○
国務大臣(
玉沢徳一郎君) この日中漁業協定が締結をされましてから二年間以上、条約が発効に至らないという異常な状態が続いておったわけでございます。この間約二十回にわたる
協議を行ったわけでございますが、なかなか
合意に至らない。
合意に至らない最大の原因は、やはり現在のままでありますと、中国側の漁船も
我が国の十二海里から外の方へ自由に操業できる、こういうことでかなりの数の船が来ておるわけです。
一方、二百海里体制の趣旨は、お互いに二百海里の中におきましては専管事項として自国でその
資源を主体的に扱っていく、こういうことでございますが、隣国同士の
関係になってまいりますと、二百海里ずつお互いに主張した場合は当然バッティングするところが出てくる。そのところを暫定水域として設けまして、日中も日韓もここのところの扱いがなかなか
話し合いがつかなかった、こういうことでございます。
そこで、日韓につきましては、昨年の十二月に暫定水域における操業条件等につきまして
合意を得たわけでございます。これによって、韓国側におきましても七百数十隻にわたる
減船をせざるを得ないという話でございます。
今回の点におきましても、中国側が
合意をしなければ協定を破棄して、そして徹底的な取り締まりを行うべきだ、こういう御意見等もお寄せいただいておったわけでございますけれども、しかしお互いに隣国同士でございますから共存共栄を旨としまして、暫定水域につきましてもお互いにつらい決断ではありますけれども、
減船も承知してそしてやらなきゃいかぬ。
特に中国側は、日本海域においては四千隻も操業している、こういうようなことを主張したわけでございまして、それを九百隻にすると。そういうような中での苦労があって、向こう側も
減船におきましては相当漁民の
皆さんにも不満があると思うわけでございます。
一方、我が方におきましても、やはり新しく中間水域というところを設けまして、これは日韓ともぶつかるところでございますので非常に厳しい形でございますけれども、中間水域を設けて許可の要らない船が両国で操業できるというふうにしたわけでございます。
ところが、これに伴いまして、例えばアマダイのはえ縄漁業等の重要な漁場がこの中に入るというようなこともございまして、そういう対象の方々には強い不満がある、こういうことで、私も趣旨をよくお話をしました。百二十七度三十分から日本側の方におきましては底刺し網が完全に禁止されました。そうしますと、アマダイ等はそれによってかなりふえてくる可能性があります。そういうこともよく
説明しまして御理解をいただいたところでございますけれども、いずれにせよ、六月一日から発効するということになりまして、九州海域ばかりではなくして、日本水域全体におきまして漁獲の
資源を特定しまして、そして漁獲高をどれだけ向こう側に示すかというような点についてこれから随時詰めていかなきゃいかぬ、こういうことになるわけでございます。
いずれにしましても、これで本格的な二百海里体制をしくことができるわけでございますので、
我が国はこの二百海里体制の中における漁業
資源を回復させ、永続的に漁業を
展開することができる基盤をしっかり保つ、これが大事であると、こう思うわけでございまして、そういう
観点につきまして、つくり育てる漁業、栽培漁業等も
振興せしめて、
我が国の基本的な
水産政策を打ち立てて進めていきたい、このように考えておるところであります。