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2000-05-18 第147回国会 参議院 地方行政・警察委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年五月十八日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  五月十六日     辞任         補欠選任      加納 時男君     木村  仁君      森田 次夫君     岡  利定君  五月十七日     辞任         補欠選任      岩城 光英君     青木 幹雄君      須藤美也子君     市田 忠義君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         和田 洋子君     理 事                 谷川 秀善君                 松村 龍二君                 朝日 俊弘君                 菅川 健二君                 富樫 練三君     委 員                 井上 吉夫君                 鎌田 要人君                 久世 公堯君                 輿石  東君                 山下八洲夫君                 大森 礼子君                 白浜 一良君                 市田 忠義君                 照屋 寛徳君                 松岡滿壽男君    国務大臣        自治大臣        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)    保利 耕輔君    政務次官        自治政務次官   平林 鴻三君        自治政務次官   橘 康太郎君    事務局側        常任委員会専門        員        入内島 修君    政府参考人        内閣参事官    岩崎  勉君        総理府賞勲局長  榊   誠君        警察庁長官    田中 節夫君        警察庁長官官房        長        石川 重明君        警察庁生活安全        局長       黒澤 正和君        警察庁刑事局長  林  則清君        警察庁交通局長  坂東 自朗君        科学技術庁長官        官房秘書課長   林  幸秀君        法務省刑事局長  古田 佑紀君        自治省行政局長  中川 浩明君        自治省行政局選        挙部長      片木  淳君        自治省財政局長  嶋津  昭君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○地方行財政選挙消防警察、交通安全及び  海上保安等に関する調査  (警察制度改革に関する件)  (警察職員処遇等に関する件)  (交通事故発生時における警察の対応に関する  件)  (犯罪捜査上の通訳体制整備に関する件)  (少年犯罪の現況に関する件)  (薬物事犯の現状に関する件)  (政治資金制度に関する件)     ─────────────
  2. 和田洋子

    委員長和田洋子君) ただいまから地方行政警察委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十六日、森田次夫さん及び加納時男さんが委員辞任され、その補欠として岡利定さん及び木村仁さんが選任されました。  また、昨十七日、須藤美也子さん及び岩城光英さんが委員辞任され、その補欠として市田忠義さん及び青木幹雄さんが選任されました。     ─────────────
  3. 和田洋子

    委員長和田洋子君) 次に、政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  地方行財政選挙消防警察、交通安全及び海上保安等に関する調査のため、本日の委員会内閣参事官岩崎勉さん、総理府賞勲局長榊誠さん、警察庁長官田中節夫さん、警察庁長官官房長石川重明さん、警察庁生活安全局長黒澤正和さん、警察庁刑事局長林則清さん、警察庁交通局長坂東自朗さん、科学技術庁長官官房秘書課長林幸秀さん、法務省刑事局長古田佑紀さん、自治省行政局長中川浩明さん、自治省行政局選挙部長片木淳さん及び自治省財政局長嶋津昭さんを政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 和田洋子

    委員長和田洋子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 和田洋子

    委員長和田洋子君) 地方行財政選挙消防警察、交通安全及び海上保安等に関する調査を議題といたします。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 谷川秀善

    谷川秀善君 おはようございます。自由民主党谷川秀善でございます。  警察関係について御質問をさせていただきたいと思います。  ここ数年来、警察は毎日のように新聞をにぎわしておりましたが、最近ちょっと何か余り新聞記事を見ることがないようで、ちょっとほっといたしておるところでございます。警察改革については、ただいまいろんな問題を踏まえた上で警察刷新会議設置をされまして、精力的に会合が開かれているように承っております。先日も大阪公聴会をお開きいただいたようでございますが、こういうことは大変有意義なことだろうというふうに思っております。また、自由民主党でも警察行政刷新検討委員会が精力的に開催をされておるところでございます。  そこで、これまでこの警察刷新会議でどういう議論がなされており、そしてその見通しはどうなのか、そしてまたいつごろ警察刷新会議において取りまとめをされるのか、その辺のところをまずお伺いいたしたいと思います。
  7. 田中節夫

    政府参考人田中節夫君) 警察刷新会議国家公安委員会の求めに応じてつくられたものでございますけれども、三月二十三日の第一回の会議以来、これまでに六回開催されますとともに、今、委員指摘のように、五月十三日には大阪市内におきまして公聴会が開催されますなど、精力的な議論がただいま行われているところでございます。  会議におきましてはこれまで、例を挙げてみますと、警察情報公開につきまして、捜査密行性、個人の人権、公共の安全に関する情報収集等の観点を強調することで公開してもよい情報まで公開していないのではないかなどの意見が出されまして、議論の結果、情報公開に関する幾つかのガイドラインの例をまとめ、提言に盛り込んでいくことで意見一致を見ているところでございます。  また、警察苦情処理につきましても、地域住民の切実な要望に適切に対処するため、これは仮称でございますが、困り事相談員制度の創設、またこれも仮称でございますが、警察署評議会設置につきまして積極的に推進することで意見一致を見ております。  さらに、監察公安委員会あり方につきまして、警察本部及び警察庁監察機能強化とこれを管理いたします公安委員会機能強化活性化が必要という方向性が示されておりまして、監察の具体的なシステム等につきましてはさらに議論される運びとなっております。  今後、六月十七日に予定されております新潟市内での公聴会のほか、五月中にあと一回、六月中に三回、七月上旬に一回、会議の予定がされております。  また、会議の当初に、六月末から七月にかけて警察刷新会議提言取りまとめる、こういうようなことで会議の方では御発言があったところでございます。
  8. 谷川秀善

    谷川秀善君 精力的におやりをいただいて、できるだけ早く結論を出して、そしてその結論に基づいて実行をしていく、これが一番大事なことだろうと思います。  それと、今おっしゃいましたように、情報公開、これはやっぱりある程度しっかりとしていただかないと、ちょっと何か最近見ていますと、人権も大事ですよ、人権も大事だけれども、どうも隠し過ぎるんじゃないかという部分もあると思います。だから私は、少年法の問題もありますけれども、その辺しっかり踏まえていただかないと、事案について警察がどういうふうに動いておるのかということが非常にわかりにくい、国民の目から見てもわかりにくいという部分があると思いますので、その辺は人権との絡みもありますけれども、その辺をしっかり情報公開については踏まえておいていただきたいというふうに思います。  それと、現在警察法改正が提案されておりますね。ところが、今精力的に刷新会議をやっていただいて、その結論が七月か八月ぐらいに出るということでございます。そうなると刷新会議意見取りまとめを踏まえた上で、警察法改正にも影響するだろうと思いますが、この場合に改正をもう一度出し直すのかどうか、その辺のところをお伺いいたしたいと思います。
  9. 田中節夫

    政府参考人田中節夫君) 今、委員指摘のように、警察刷新会議におきまして公安委員会あり方等いろいろ御議論もされております。その御議論の結果がどのような運びになるか私どもでは申し上げかねるわけでございますけれども、それとの絡みで、現在国会にお出ししております警察法改正案取り扱いにつきまして、これはこの取り扱いにつきましては第一義的には国会で御判断があるというものでございますけれども、私どもといたしましては、この刷新会議あるいは国会等でいろいろ議論がございましたので、そういう議論を踏まえまして、各方面の御意見を十分伺いながらこの法案の扱いにつきましては適切に対応してまいりたい、かように考えておるところでございます。
  10. 谷川秀善

    谷川秀善君 これはやっぱりせっかく刷新会議議論をしていただいているわけでございますから、改正のときにはそういう意見も反映できるようにすべきだろうというふうに思っております。  それと、刷新会議議論議論として、現在警察庁としてはやっぱり議論待ちということではなくて、内部でできることはやっていくという姿勢が必要だろうというふうに思っております。そういう意味で、ああいういろんなもろもろの事件以来、警察庁内部としてどのような改革をされたのか、同時にまたこれからどういう改革をされようとしておられるのか、その辺のところをお伺いいたしたいと思います。
  11. 田中節夫

    政府参考人田中節夫君) 今、委員指摘のように、最近の一連のいろんな事案を契機に、組織制度あるいは運用のあり方につきまして警察刷新会議そしてまた当委員会を初めといたしまして国会でもいろいろ御意見をいただいておるところでございます。これらの御意見を踏まえまして、警察制度あり方につきまして、今後慎重に検討を重ねる必要がございますけれども、今お話しのように、この刷新会議等の御提言をまつまでもなく、やはり私ども自身がみずから改革をするという気概を持っていろんなことに当たらなければならないというふうに考えておるところでございます。  私どもといたしましては、教養制度の改善あるいは監察充実強化国民要望に真摯に対応できるところの相談体制確立、さらにはキャリア制度の問題につきましても内部検討を重ねているところでございます。  具体的に申し上げますと、教養制度につきましては、本年、警察教養規則が全面的に改正されました。職務倫理に関する教養の徹底、あるいは幹部につきましては幹部としての指揮能力等の向上を図るというようなことの内容を充実しろという、こういうような国家公安委員会の御指摘がございましたので、こういうような方向に沿いまして、現在教養制度あり方を全面的に見直しを図っておるところでございます。  また、監察充実強化につきましても、警察庁によるところの都道府県警察に対する監察強化、あるいは監察部門への優秀な人員配置等によりまして充実強化に努めておりまして、これもさらに徹底してまいりたいというふうに思っております。  さらにまた、国民要望に真摯に対応できる体制確立につきましては、特に女性、子供被害者とする凶悪な犯罪、また本委員会で御議論がございまして参議院でも可決を見ましたストーカー法等もございますので、こういうような国民要望というものに適切に対応できると、そういうために相談業務強化につきまして県に通達をしたところでございます。  今後とも、被害者等の切実な困り事につきましては適切に対応し、国民からの要望に的確に対応できるようにしてまいりたいというふうに思っております。その具体的な体制あり方につきましては今検討を進めておるところでございますし、また、キャリア制度につきましても、いわゆる最高幹部の職にある者が不適切かつ見識を欠く行動があったということでございますので、Ⅰ種採用者につきましても現場での勤務を長くする、あるいは警察本部長への登用につきましても具体的な基準の策定、さらには都道府県警察採用警察官の幹部への積極的登用など、具体的な人事あり方につきましても現在抜本的な検討見直しをしているところでございます。  いずれにいたしましても、私どもでできることはみずからの力で改革方向を探ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  12. 谷川秀善

    谷川秀善君 今、長官の方からいろんな内部改革といいますか、について検討し、これを実施していくというお考えをお伺いいたしましたが、結局は組織というのはやっぱり人間で構成しているわけですから、組織は人で構成しているわけですから、だから、やっぱり私は人事だと思うんです。一番大事なところは人事です。  そうすると、私はかねがねキャリア制度についてはいろいろと当委員会でもまた予算委員会でも質疑をさせていただきましたが、私は何もキャリア制度が悪いとは思っていないんです、やっぱりそれぞれ事情があるわけですから。しかし、そのキャリア制度をいわゆる明治時代の感覚で現在も運営しているところに問題があると私は思うんです。だから、人生八十年と、こう言っていますね。人生八十年時代を迎えている。昔は人生五十年です。だから、五年ぐらいで警察署長にするとか。そうしないと、五十歳ぐらいで皆もうやめていくわけですから計算が合わなくなるんです。ところが、最近はもう人生八十年時代、同時に定年制が六十歳、こういうことになっているわけです。  そうすると、それに応じて人事をやればそんなにキャリア制度がおかしくならないと思うんですよ。だから、やっぱり現場で長くやらせる、それで極端に言えば六十歳ぐらいで、一番偉くなると言ったら語弊がございますが、警察庁長官、六十歳ぐらいで警察庁長官になるぐらいの考えでやっていけば、別にキャリア制度が、キャリア制度で今の運営からいきますと四十四、五歳でやめている人がたくさんおるのと違いますか。そうなると今度次の、働き盛りです、それでお金も一番要る、子供もこれから大学に行かにゃいかぬ、そんなときに肩たたきされて、これは何も警察だけの問題じゃございませんよ、やめたら次の職場をあっせんするのは当たり前、しなきゃまた困ります。だから、私はやっぱり六十をめどにしてずっと計算していったらそんなにアンバランスはないと思いますよ。と同時に、一般採用試験で受けてこられた方も登用できることをやればいいわけですよ。  私は、大阪府庁におったときに上級職試験を撤廃せいと言ったんです。大卒の試験、高卒の試験短大卒試験にして、後は係長昇任試験をしろと。それは年齢だけでやれと。それでやりましたら大分活性化しましたよ。だから、そういうことで、やっぱりある程度チャンスがあるということにしてやらないと組織活性化しない。だから、出発出発、ただチャンスが常にあるということをおやりいただければ私はそんなに組織は沈滞化しないと思いますので、その辺のところを、キャリア制度検討していただいていますから十分お考えいただきたいなというふうに思います。  それで、きょう、朝ニュースを見ていますと、神戸の連続殺人事件の影響が、この前のバスジャックだとかいろんなものに影響しているというようなことがニュースで出ていましたが、何か行為障害だと、こう言うんです。行為障害が今の若者に相当あるというようなニュースを見ましたが、本当に何かわけのわからぬ事件が多いですね。殺してみたかった、死ぬのはどういう状態かやってみたかったなんというようなことを主婦殺害少年がしゃべっているというような話ですから、これは大変なことだろうというふうに思いますが、いずれにしても、このごろの青少年凶悪犯罪というのは本当にどうも理由がわからない、原因がわからないというような感じをして大変憂慮しているわけでございますけれども、最近の青少年犯罪状況というのはどういう状況なのか、お聞かせを願いたいと思います。
  13. 黒澤正和

    政府参考人黒澤正和君) 昨年、平成十一年中の刑法犯少年検挙人員でございますけれども、十四万一千七百二十一人でございまして、前年に比べますと約一割、一万五千六百人ほど減少いたしておりまして、全体といたしましては、量的な問題でございますが、平成七年以来四年ぶりの減少となったところであります。  しかしながら、その内容を見てみますと、凶悪犯検挙人員が二千二百三十七人と、平成九年以降三年連続して二千人を超える高い水準で推移をいたしております。それから、凶悪犯集団化が進行いたしております。また、凶悪粗暴な犯罪に転化しかねないひったくりが急増しておる、こういった特徴が見受けられるところでございます。  さらに、ただいま委員指摘のとおり、最近におきまして必ずしも動機が明確でない凶悪な少年事件が相次いで発生をいたしておるわけでございまして、少年非行の中身は凶悪な非行を中心に大変深刻化いたしておりまして、憂慮すべき状況にあるものと認識をいたしておるところでございます。
  14. 谷川秀善

    谷川秀善君 今御報告をいただきましたが、平成七年からずっとふえてきて、十年までふえているわけです。そうすると、十一年で一万五千人ぐらい減っているんですが、ただ心配なのは非常に凶暴化しているということです。  これはなぜ凶暴化してきたのか、その辺のところの何か分析でもございましたら、お知らせいただきたいと思います。
  15. 黒澤正和

    政府参考人黒澤正和君) 一般論でございますが、こういった背景原因としてはいろんなことが複合的に絡んでおるかと思いますが、よく私ども一般論で申し上げますと、少年自身規範意識が低下しておる、あるいは少年非行問題行動への無関心に見られる家庭地域社会非行防止機能の低下、あるいは性や暴力に関する露骨な情報非行への抵抗感を失わせるような有害な情報のはんらん、さらにはまた少年問題行動を助長するような営業の増加、こういった要因等が複雑に絡み合ってこのような状況になっておるのではないかと考えておりますが、個々の事案につきまして、私どもいろいろ勉強をいたしました。特に、最近の凶悪犯状況につきましてはよく分析検討いたしまして、そしてまたそれを踏まえまして、問題提起といいますか情報発信をいたしたい、こんなことで考えておるところでございます。
  16. 谷川秀善

    谷川秀善君 これはやっぱり、原因がどこにあってこれという決め手はなかなかないんだろうと思いますが、やっぱりこれは社会家庭とすべてにいろんな原因があるんだろうと思いますが、特に最近、このデータを見させていただいても、景気の悪いということも影響しているんでしょうけれども無職の、いわゆる職のない少年犯罪が相当ふえています。こういうことから考えますと、やっぱり社会景気も影響しているのかなと思いますが、こういう少年仕事をしたくないのか、仕事をしたくても適当な職場がないのか、その辺のところが非常にわかりにくいところなんだろうと思いますが、検挙された少年取り調べをした中で、主にどういう少年が多いのか、そういう環境、いろいろなことがあろうと思いますが、その辺のところ、わかりましたら教えていただけますか。
  17. 黒澤正和

    政府参考人黒澤正和君) ただいま委員指摘のとおり、近時、無職少年非行増加をいたしております。先ほど来申し上げております凶悪犯でございますが、無職少年による凶悪犯検挙人員、これは昨年、平成十一年でございますが七百三十二人となっておりまして、約一〇%弱増加をいたしておりまして、これは昭和四十六年以降の最悪の数字でございます。そしてまた、やや特徴として言えるのではないかと思っておりますことは、高校を中途退学した無職少年、これが昨年三百四十四人検挙いたしておりまして、平成二年の二・八倍という状況になってございます。  いろいろ事案によって事件背景動機等は異なるわけでございますけれども、少なくとも勉強したいあるいは仕事をしたいという少年につきましては、やはり社会全体が就労の機会を与えるべく努力をする、あるいは勉強をできるようなそういう環境づくりをする、そういったことも必要かと思います。いずれにしましても、総合的な対策につきましては、社会全体が取り組む必要があるのではなかろうかと考えておるところでございます。
  18. 谷川秀善

    谷川秀善君 今おっしゃったとおりだと思います。結局、高校を中退する、そして行くところがない、そうするとどうしても何かそっちの方へ走っていくということにならざるを得ないというように思います。だから、これは社会全体の問題だろうというふうに思っております。その辺のところもまたよく注意をして、取り調べに当たってはお考えをいただければなというふうに思います。  この前大阪へ帰りましたときに、昔と違って、暴走族というわけではないんですね、小さなミニバイクみたいなものに乗って、それで七、八人が遊んでいるのか何かわかりませんが、それをパトカーが二台ぐらいで追っかけているんです。それで、こんなのあなた、パトカーで追っかけたってそれはらち明きませんわ、そんな。路地へばっとみんな入るんです。これはまだ単車で追っかけているんならいいけれどもパトカーで、四輪で追っかけているわけです。だから、見ているとじゃれているような感じがしますよ、警察とその暴走族というか。それで、そんなあなた、路地へばっと入っていったらそれで終わりですから、捕まえようも何もない。ナンバープレートを見てみますと、全部ひん曲げたり、それからカバーみたいに、泥をつけてみたり、だから恐らくこれはほとんどが盗難車なのかなという感じがします。  この辺が恐らく私は、もう大阪は大変なんです、ひったくりが。だから、この子たちひったくりを昼間練習しているんだろうと思います、昼間は。それで夜になると、ちょっと暗くなったりすると、お年寄り、御婦人、もうひったくりが大変ですよ。今はもう全国的にもそうだろうと思いますが、それがほとんどがそういうミニバイクというかそんなバイクですわ。だからこれは、この辺のところ、これからだんだんまた暑くなってまいりますから本格的な暴走族の季節に入るわけですね。恐らくこれは、私は暴走族予備軍だと思うんです。どうも見ていると中学生ぐらいじゃないかなと思いますね、もう年格好から何から見ていても。  だからこの辺も、ひったくり状況というのが最近どうなっているのか、もしわかりましたらお教えを願いたいと思います。
  19. 黒澤正和

    政府参考人黒澤正和君) ひったくり認知状況といいますか、発生状況でございますが、平成へ入りまして年々増加をいたしておる状況にございます。とりわけ最近の増加傾向が顕著でございます。さらにまた、このひったくりというのは、もちろん検挙してみないと犯人はだれだかわからないわけでございますけれども子供といいますか、中学生高校生、少年が大変多い状況にございまして、平成七、八年くらいから、検挙した被疑者のうち少年の占める比率というのが七割の大台に乗ったんですが、最近はこれもさらに徐々に増加しておる傾向がございまして、昨年の統計によりますと、ひったくり検挙人員に占める少年比率が七三%ほどになっておるという状況でございまして、このひったくり事犯というのは、委員指摘のとおり少年の犯行が大変多いという状況にございます。  それから、先ほどオートバイのお話がございましたが、そのひったくりの前提としまして、そういった犯行に使用するオートバイを盗むあるいはナンバープレートをわからないようにする、そういった状況特徴として出ておるところでございまして、私ども犯罪検挙取り締まりの面につきましても、少年に限らず総合的な体制をとりまして、そして、例えばこちらの方も二輪車を使うとか、あるいはまた大阪ではヘリコプターなども効果的に使うなどいたしまして、検挙、警戒等に努めておるところでございます。
  20. 谷川秀善

    谷川秀善君 どうぞよろしくお取り締まりをお願いいたしたいと思います。  それで、本当に麻薬事犯というのは後を絶たないんですが、現在は第三次麻薬・覚せい剤乱用期にあると言われておりますけれども、この辺のところ、だんだんと使用する対象が、婦人、家庭の主婦であったり、まただんだん年齢が低下して青少年であったりしているわけでございまして、これは大変な社会問題、ますます深刻な社会問題になっていると思いますのですが、最近の麻薬の特徴的な傾向といいますか、そういうことがわかりましたら具体的に御説明をいただきたいと思います。
  21. 黒澤正和

    政府参考人黒澤正和君) 薬物問題は大変な社会問題でございますし、また治安の根幹にかかわる最重要課題の一つであると認識いたしております。  現在の薬物情勢は、ただいま委員指摘のとおり、第三次覚せい剤乱用期ということで大変厳しい情勢が継続いたしております。特に、昨年、平成十一年でございますが、覚せい剤につきまして二トンに迫る大量の押収を見ているところでございます。この量はどのぐらいの量かといいますと、過去五年間の押収量を一年で上回ってしまう過去最高の記録でございます。大臣もよく言及されるんですが、仮に一回〇・〇三グラムを使用するといたしますと、一回の使用量に換算すると約六千五百万回分の使用量でございまして、単純に言いますと日本の全人口の半分の人という、そういうオーダーでございます。さらに、本年に入りましても、これは三月末の数字でございますが、押収量、検挙人員ともに昨年を上回るハイペースで推移をいたしておりまして、大変厳しい情勢であると認識しておるわけでございます。  そしてまた、このような深刻な状況をつくり出しておる特徴として考えられますことは、覚せい剤は中国ルートが多いわけでありますが、近時北朝鮮ルートが大変多くなってまいりまして、日本に大量の覚せい剤が流入しておる状況にございます。そしてまた、この大量流入に伴いまして、第二次乱用期は昭和五十年代でございましたけれども、その時期に比べますと末端価格といいますか、要するに一般の人が手に入れる価格というのが大変低下しております。それから、この種のことは従来暴力団がやっていたわけでございますけれども、イラン人の密売組織によりまして街頭で無差別な販売をする。最近、若干手口がまた変わってまいったんですが、このようなことから、少年一般市民などが覚せい剤の入手が比較的容易になってしまった。さらにまた、少年の問題でございますけれども、ダイエット効果があるんだなどと言って覚せい剤に対して誤った認識を持って、ファッション感覚で、アルファベットのSであるとかスピードとか、こんなふうに呼んでおりまして、少年層を中心として、覚せい剤の危険性、有害性についての認識が欠如して、乱用に対する抵抗感が希薄になっておる、こんなことが特徴として挙げられようかと思います。
  22. 谷川秀善

    谷川秀善君 今御説明のように、二トンに迫る量が押収されている、こういうことでございますが、それだけ押収されても価格は余り変動していないようでございますから、そうすると大変な量が入ってきている、こういうことですな、逆に言うと。それだけ押収しても、品薄になりますと価格が上がるはずですけれども、どうも末端価格が余り上がっていないということからいいますと、押収された量の倍か、もっとその倍ぐらい、実際には、これはわかりませんが、入ってきていると。価格も高騰しているのではなくてちょっと安くなっているということからいいますと、ようけの量が入っているんじゃないかというふうに思いますので、これは大変な問題だろうと思います。  そういうことでありますので、どうぞしっかりと取り締まっていただくということと、これはやっぱり、日本で生産されているものではないですから、外国から入ってきているわけですから、一番大事なのは水際で押さえるということだろうと思うんですね。だから、その水際作戦をしっかりとやっていただく。そういうことで、この前の通信傍受法もそれに効果があるということで、いろいろ批判いただいている面もありますけれども、そういうものを有効に活用していただいて、この麻薬犯罪については徹底的に水際で押さえるということを特に御要望いたしておきます。  それと、ストーカー法案は、きょう委員長が衆議院の方で御説明をいただいておる、きょうじゅうに恐らく成立をするのではないかと思います。ところが、最近の犯罪というのは、もう悪質化していますし、それと同時に広域化していますし、スピード化をいたしております。そういうことで、第一線の警察官は大変多忙をきわめ、御苦労をかけていると思うんです。不祥事は不祥事として、一般警察官は大変日夜国民のために御努力をいただいているということについては私もかねがね感謝をいたしておるところでございます。  私が大阪府庁におったときも、警察官の待機宿舎だとかそれから宿舎、これが非常にお粗末なんですよ。実際、面積も狭いし、二Kぐらいじゃないですかな、それぐらいだろうと思うんですね。それと、割に当時ですからへんぴなところにある。そうすると、これだけ都会化してきて交通も渋滞してきている、こういうことになると、やっぱりいざ鎌倉といったときになかなか招集をかけるのが大変だというようなこともあって、その当時関口前長官が府警の本部長をしておられたので、それで何とか改善をしたいと。ところが、国の枠と補助面積は決まっていますね。それで、それしかできないということで、府単費で一部屋を増築するというか、一部屋を大きくするということをやった記憶もございます。  ところが、お伺いしますと、やっと何か標準面積といいますか、それが五十六平米から六十四平米になったんですか、宿舎は。これ、六十四平米というと本当小さいですよ。五十六平米。大体考えてもらったらわかりますが、本当に小さいですね。だから私は、やっぱり、警察官にしっかりやれと言うためには、そういう待遇もしっかり改善をしてあげないと大変だろうと思っています。  そういう意味で、宿舎、そして待機宿舎の現状はどうなっておりますか、お伺いをいたします。
  23. 石川重明

    政府参考人石川重明君) 今、委員指摘の待機宿舎の整備でございますけれども、これは昭和三十四年から徐々に行ってきたわけでございます。この趣旨は、迅速な集団警察力を確保する必要がある、そのために職住接近と申しますか、そこへ居住をする必要があるということで、各県の要望を踏まえまして国庫補助事業として計画的に整備を進めてまいりました。昨年度末、ことしの三月三十一日現在までに、世帯用で全国で三万戸、それから独身用で全国で四千室というような整備状況でございます。平成十二年度におきましては、世帯用を百四十六戸、独身用を二十八室整備をすることにしておりまして、今御指摘のように、より住みやすい住居環境というものが必要だろうということで、独身用につきましては二十二平米から二十四平米に若干の改善を行った、また世帯用につきましても六十四平米に行ったということで、改善を図っておるわけでございます。  この老朽狭隘状況というものを全国的に見ますと、既に三十年を経過して、しかもまだ狭い、五十六平米にも至っていないといったものがまだあるわけでございまして、そういうものにつきましては、各県の要望をなるべく私どもとして吸い上げて、計画的にこれを改善整備をするように努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。  また、このほかに、先ほど御指摘がございましたように、各県単と申しますか、各県が職員宿舎を整備しております。これにつきましても各県が今努力をしてやっているところでございます。  そんな状況でございます。
  24. 谷川秀善

    谷川秀善君 この辺はしっかりと、我々も頑張りますから、予算的にまた頑張っていただきたい。  せっかく大臣がお越しでございますが、私はもう大臣は結構だと思っていましたんですが、今いろいろと質疑をさせていただきましたが、警察内部の刷新はしっかりとやっていただく、信頼される警察になっていただくということと、同時にやっぱり警察官にやる気を起こさせる待遇もしっかりとするということが大事だと思うんです。劣悪な状況に置いておいてしっかりやれと言ったってこれはやっぱり無理ですよ。  そういう意味で、最後に、国家公安委員長として、やらせる、そのためには待遇もしっかりするということの御決意をお伺いして、松村委員と交代をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
  25. 保利耕輔

    国務大臣(保利耕輔君) 国の治安を維持するために警察力を整備していかなければならない、同時にまたそこで働く皆様方の待遇も十分考えていかなければならないという委員の御指摘もごもっともでございまして、私もそのことは大変気にいたしております。  ちょっと長くなりますけれども、私も一々、刑務所に勤務する方々の、それは中に入っておられる方でなくて勤務をする方の、刑務官の方々の宿舎の状況について自分の目で見てきたことがあるのでありますが、たまたま婦人刑務所であったものですから、女性の方が勤務しておられる宿舎が実は昭和二十五年の木造建築であるというようなことがありまして、大蔵省にかけ合ってそれを全面的に建て直すことをしていただいたことがあるのでありますけれども、そういうような配慮というのが警察にもされてこそ私ども警察官にしっかりやれということが言えるんではないか、ということが言えるんだろう、このように思っておるわけでありまして、夏の概算要求の時期がそろそろ迫ってくるわけでございますが、こうした面への配慮というものをするように、これは警察庁もシーリングがありましてなかなかやりにくいところだろうと思いますけれども、そういったことは我々政治家のサイドからよく申し上げるということがひいては治安維持に役立つものだという観点に立って我々は努力をしていかなければならない、このように認識をいたしております。  どうぞひとつ御助力を賜りますようにお願いを申し上げたいと存じます。
  26. 谷川秀善

    谷川秀善君 我々も全面的にバックアップをさせていただきたいと思いますので、どうぞ大臣頑張っていただきますようにお願いをいたします。  終わります。
  27. 松村龍二

    ○松村龍二君 それでは、私、時間が二十分弱しかございませんが、問題を二点に絞りまして、ぜひ検討していただきたい、御高見を伺いたいという質問をさせていただくわけです。  一つは、最近、新聞やテレビですけれども、犯人がといいましょうか被疑者が検挙されたとき、警察署に連行されますときに、顔を布で覆っている、あるいは頭から布をすっぽりかぶって顔が見えないようにしている風景をテレビ等で見るわけです。また、警察から検察庁に往来する、行き来するというふうなときにも布をかぶって顔が見えないようにやっておる。またきのうは、テレビを見ておりましたら、被疑者を検察庁へ連行する自動車にまで覆いをかぶせて乗ってから覆いを外していく、自動車にまで覆いをかぶせると。変わっておるなと思って見ておったんですが、これはどういう目的で、どういう根拠でやっているのか、まずお伺いします。
  28. 林則清

    政府参考人(林則清君) 議員御案内のように、刑事訴訟法の第百九十六条が、「検察官、検察事務官及び司法警察職員並びに弁護人その他職務上捜査に関係のある者は、被疑者その他の者の名誉を害しないように注意し、且つ、捜査の妨げとならないように注意しなければならない。」と定めておりまして、警察におきましても、犯罪捜査規範の第九条にも、「捜査を行うに当たつては、秘密を厳守し、捜査の遂行に支障を及ぼさないように注意するとともに、被疑者被害者その他事件の関係者の名誉を害することのないように」注意しなければならないという定めが置かれておりまして、その趣旨にのっとって職務を遂行しておるところでございます。  報道機関による写真撮影等は、被疑者の名誉、プライバシーを侵害するおそれが高いということから、場合によってはその被疑者人権の保護のために顔や手錠を遮へいするという措置を講じておるということもあるというふうに承知しておるところでございます。
  29. 松村龍二

    ○松村龍二君 そうしますと、私どもがテレビで見るような顔を見せないようにしているというのは、警察庁が具体的に全国の警察に基準を示してやらせているのかどうか、その点についてお伺いします。
  30. 林則清

    政府参考人(林則清君) そういったものについての基準を特に示しておるということではございませんが、ただいま申し述べました刑訴法あるいは捜査規範の精神にのっとって、各都道府県警でケースに応じてそのような措置を講じておるということでございます。
  31. 松村龍二

    ○松村龍二君 昔は被疑者が自分の上着をかぶって顔を隠す、それを警察官が助けるというか認めてやっておる、こんな感じだったんですが、最近はほとんど例外なくそういうことをやっておるということと、また青い布きれでしょうかシートですかああいうものでかぶせてやっているということを見ますと、これは本人の希望と関係なしに、本人が自分は恥ずかしいことをした、したがって世間に顔向けができないからぜひ顔を隠したいと言ってやっているんではなくて、警察がむしろ布をかぶせてやっているように見えるわけなんですけれども、その辺、いつごろからどういうふうに変わってきたのか、疑問に思うんですが。
  32. 林則清

    政府参考人(林則清君) 具体的な、個別にどのような措置を講じておるかというのは承知しないところでありますけれども、やはり被疑者といえども肖像権と申しますか一種のプライバシーというのが大変尊重されるべきことであるという意識というものは非常に高まっておりまして、そういう意味で、先ほど申し上げました犯罪捜査規範等の趣旨にのっとって、できる限り被疑者人権というものを守るといいますかそういう措置を講じておるものと承知しております。
  33. 松村龍二

    ○松村龍二君 今のお話を聞いておりますと、そういうふうに被疑者に布をかぶせるのが当然であるということを今一生懸命弁解しておられるように聞くわけですが、私は、そこのところを答えていただく前に、なぜこういうことを質問するかといいますと、最近の事件はよく、警察が証拠を固めて起訴が確信できるまで捜査しないという過程において、一生懸命テレビ、報道機関が被疑者と会ってインタビューしたりして、そういう映像もどんどん流れてくるわけですね。そういう中にありまして、被疑者は捕まるときだけ顔を隠すということ、しかもこれは日本人の性格としてだんだんだんだんきちょうめんになっていくんですよ。そうすると、今まで警察が準備したシートの端切れをかぶせていたのが、今度はちゃんと袋形に縫って、警察署に全部一枚ずつ差し上げて、それでみんなそれをかぶせるというふうになっていくことは私はもう目に見えておると思うんですよ。ですから、本質的なことをお伺いするわけです。  そこで、やっぱり社会はこういう犯罪があったときに、どういう人がやったんだろうかということに関心があるし、知る権利もあるわけですね。先般来のカレーライスに毒をまぜて住民を皆殺しにしようとしたというふうな人が仮にいるとしますと、どういう人がやっているんだろうかということに社会は興味がありますし、この方がもしも将来、死刑になるのかどうか知りませんが、世の中へ出たときに、全然国民が知らされていませんと、隣にその人が住みついてもわからない。次の犯罪が起こることを防げないというまた点もあるんですね。そういう意味におきまして、社会の方は一方で知る権利がある。  竹村健一が昔よく紹介しておりましたが、マクルーハンの法則というのがありまして、テレビに出てくる講演とか討論をどういうふうに視聴者が見ているかというと、七割方服装とかしゃべり方とか顔つきを見ていると。内容は三割ぐらいしか重点がかかっていないということがありましたように、人間はやっぱりどういう人がどういう犯罪をするかということに関心を持つということがあろうかと思うわけです。そういう意味におきまして、少年は別であるということは私もよくわかりますが、御検討をいただきたいと思うんです。  それで、日本人は非常に美的感覚がすぐれておりまして、言葉の上でも、日本はアメリカに負けたというときに敗戦と言うと、残念なもので終戦というふうにだんだん言葉をかえましたり、占領軍と言うと残念なものですから進駐軍というふうに名前をかえましたりしまして、表面上きれいに過ごせば、日本の包装が非常にばか丁寧だと言うように、そういう日本人の、法的根拠がなくても現場警察官があるいは警察署長さんたちの日本人的な感覚で勝手にどんどんエスカレートして被疑者を隠すということがあるのではないか。そういう点はやはり警察庁も無意識に見ているのではなくて、どの辺が妥当な点なのかということに注意を払っていただきたいというふうに思うわけですが、そのことについてどういうふうにお考えでしょうか。
  34. 林則清

    政府参考人(林則清君) 被疑者の、具体的に言いますと例えば報道機関による写真撮影等につきましては先ほど申し上げたとおりでございます。それから、具体的には例えば今御指摘がありました逮捕された被疑者の顔写真の報道機関への提供というようなものにつきましては、今申し上げましたように当該被疑者人権尊重の上から慎重に対応すべきものでありますけれども捜査の必要性または公益の必要性が高い場合にあってはそういったものを警察側から積極的に公表を行い得る場合もあるというふうに考えております。  具体的には、議員御指摘のような反復性の強い常習者による犯罪であって被疑者写真の公表により余罪情報の入手等が期待できるというような捜査上の必要性の高い場合や、また凶悪重要事件その他社会的関心の強い事件であって被疑者写真を公表することが社会的公益を図る上で相当と認められる場合には、これまでも被疑者写真を報道機関に提供しておるところでありますし、今委員指摘のような一律に基準を定めるということはなかなか事案の性質上難しいところでありますが、ただいま申し上げましたような考え方に立って、公表できるものは公表していくということで対処したいというふうに考えております。
  35. 松村龍二

    ○松村龍二君 私もおとついはそちら側に座らせていただきましたのでそういう答弁をしたいという気持ちは何となくわかりますが、被疑者の写真は提供するけれども、私が問いかけていることに対しては一切消極的なように聞こえるわけですけれども。  実は私も、前職警察におりまして、昭和五十年ごろロシア人の亡命を一遍扱ったことがあるんです。ロシア人の亡命事件で東京都内に通りますときに顔にあれをかぶせたわけですね。そうしたら後でソ連大使館から文句をつけられまして、警察が拉致したんだろうと言うのです。その根拠は、ロシア人なら、ソ連人ならそんな自分から顔に物をかぶせることはないと、普通に堂々とあれするのに、かぶせたというのは警察が拉致した証拠だというふうに難癖をつけられまして、国が違えば感じ方が違うんだなという経験がありまして、昨今の何でもかんでもこんなだんだん、さっき言いましたように警察で袋をつくってかぶせたり自動車にあれしたり、ちょっと過剰になっていくのではないかというふうに思いますので質問させていただきましたので、御検討いただきたいと思います。  それから第二の質問は、先ほど谷川先生から警察刷新の話がありましたが、私ども自民党の警察行政刷新委員会警察大学校を視察に行ってまいったわけです。それで、約五人の議員が警察大学校の寮を見せていただきましたところ、現代のいろいろな教育施設、自治省あり民間会社あり、いろいろあると思いますが、ちょっとそのことを考えると常識を逸するようなお粗末な寮でありました。ベッドが六つですか部屋にありまして、ベッドとベッドの間隔は五十センチぐらいしかないと。そこにカーテンが仕切られていまして、がらんとそれだけですね。ちょっとこれは余りにひどいんではないかというふうに考えたんですが、これについて御説明いただきたいと思います。
  36. 田中節夫

    政府参考人田中節夫君) 今、委員指摘警察大学校の具体的な寮の問題でございますけれども、これは全般的に私ども考えます場合に、職員が安んじて仕事をする、あるいは警察大学校等におきましては勉学に励むことができるというような観点で整備されなければいけないというように考えているところでございます。そういう点で今、委員指摘のように必ずしも十分ではないところもございます。我々従来より努力をしてまいりましたけれども、なかなか十分なところまでには行っていないというところがございます。  ただ、具体的な警察大学校の寮というふうに限って考えますと、現在、府中市内に移転整備中でございます。新しい警察大学校は平成十三年完成を予定しておりまして、ここにおきましては生徒寮は完全に個室化されておりまして、現代的なものとなるような形での整備を図っているところでございます。
  37. 松村龍二

    ○松村龍二君 その前に警視庁の警察学校の寮を視察させていただきまして、これも今個室化をねらってやっておる、こういう話で、当然に府中に移転すると。それまではお金を投じてもむだになるからやめておこう、この状態が十数年続いておるというふうに私承知するわけですけれども、十三年以降は個室のいいところへ入れると、こういうことのようでありますが、ただいま谷川先生から話がありましたように、やはり警察現場の予算についての要求がどこにあるのか、労働組合がありませんので、下から突き上げてくるような要求というのはよほど鋭敏にしていないとないわけですね。それで、補正予算だ何とかだ、大型の予算入れないといかぬというと、警察庁幹部が頭で考えて予算を要求するということになることもあると思うんですね。そういう意味におきまして、日ごろからやはり警察の一線の需要がどこにあるのかということをしっかり把握しておいていただきたい。  先般、実は土曜日、水防訓練が地元でありまして建設省の幹部がお見えになったんですが、非常に大がかりな巨大スクリーンを使いまして、気球は飛んでいるわ、すごい水防訓練だったんです。それで、その方が元警察本部長をしておられましたので、すごいですね、建設省すごいですねとこう言いましたら、オウム返しに警察は予算がありませんからねと。自分が本部長のとき建設省から警察へ行って、いかに予算が少ないところかと。それは道路、橋一本つくっても何億円ですから、それと比較できないことは当然ですけれども、私は何をどういうふうに感じておられるのかはわかりませんでしたけれども、やはり予算の問題。  また、先般来私申し上げておりますが、警察官の負担が、全国では一人の警察官が五百四十人の国民の負担をしておると。それで、警視庁は一人の警察官が二百五十人、二百七、八十人。隣の埼玉県が八百人。桶川の事件警察官が足りないから起きたことではないと思いますけれども、現実その東京の隣に、首都圏にありまして、とても現場の負担に耐え切れない体制でやっておるということは明白であります。千葉県は、成田の警備隊がありますので少し人数が、一人当たりになると薄められるかと思いますが、神奈川においても八百人近い負担というふうなことで、これを思い切ってならすのか、もう警視庁を少なくしてならすのか、あるいは必要に応じて、今度のストーカー法案等もありまして増員をするとか、そのようなことについてはひとつ積極的にやっていただきたい。長官、一言だけお答えお願いします。
  38. 田中節夫

    政府参考人田中節夫君) 委員指摘のように、我々を取り巻く情勢、大変厳しい状況にございます。また、そういう意味で現場での負担というのは大変重くなっているということは委員指摘のとおりでございます。そのような情勢の変化に私ども体制が十分に対応しているかどうかにつきましては、これはやはり基本的なところから検討しなければいけないというふうに思っております。  今お話しのような待遇の問題につきましても、これは第一線の職員のニーズと申しますか、意見を十分にしんしゃくした上で、本当にその労に報いるような形での待遇というものを考えていかなければいけませんし、また負担の問題につきましては、国、地方とも財政状況が非常に厳しい中でございますので、なかなかに増員というのは難しい面もございますけれども、ただ私どもが抱えている問題というものにつきましては、これは関係方面によく理解をしていただく、そして何らかの措置を、いろんな形の措置があると思いますけれども、講じていただくということも考えなければいけませんし、また私どもの中でどのような措置を講ずることができるのかということにつきましても真剣に検討を加えてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  39. 松村龍二

    ○松村龍二君 どうもありがとうございました。
  40. 菅川健二

    ○菅川健二君 民主党の菅川健二でございます。  この委員会では初めての質問でございますので、よろしくお願いいたしたいと思います。  私ごとで恐縮でございますけれども、私、三十数年間ほど地方行政に携わっておりまして、また内政関係者ということで警察の関係の方ともいろいろ情報交流をやっておった仲でございますので、当委員会に属するというのを遠慮いたしておったわけでございますが、きょうはかつての上司がお二人当委員会におられますけれども、せっかくの機会でございますので、警察制度改革等を中心にいたしまして幾つかの質問をさせていただきたいと思います。  まず、ここ二日間大問題になっております、森総理の十五日の神道政治連盟の会合におきます日本は天皇中心の神の国であるという発言につきまして、これは憲法の基本理念でございます主権在民に反しておるというのは当然でございますけれども、閣僚としても憲法遵守義務違反に該当するのではないかというふうに思っておるわけでございますが、森内閣の主要な閣僚でございます保利自治大臣にはどのような認識をお持ちか、お聞かせいただきたいと思います。
  41. 保利耕輔

    国務大臣(保利耕輔君) 私は、政治家として仕事をしてまいります場合に、第一義的に考えるのは、憲法を尊重し擁護するという憲法九十九条の規定、いわば遵守義務といいますか、これを第一義に考えて、憲法を基点にしていろいろなものを考えるというのが必要であるというのが私自身の考え方であります。  森総理が、国会の中ではございませんでしたけれども、御指摘のような発言をされたということについてはいろいろ御批判等もあり、昨日、参議院本会議においてもその真意について御説明をされたところでございまして、そのお話を私も伺っております。しかしながら、公人としてやはり不用意な発言をしてはいけないということは私自身肝に銘じておるところでございますので、こうした御発言についての当否は別といたしまして、私自身は心に戒めて、憲法の趣旨を体して今後も発言等に注意をしながら処していかなければならないというふうに考えているところであります。
  42. 菅川健二

    ○菅川健二君 非常に慎重な保利大臣のことでございますから、よもや失言はされまいとは思いますけれども、今御発言のように、ひとつ憲法遵守ということを基点にしながら大臣としての職務を全うしていただきたいと思うわけでございます。  そこで、これから警察関係につきまして幾つかお尋ねいたしたいと思います。  民主党では、三月二十七日、警察問題一一〇番というホームページを開設いたしましていろいろ意見を聞いてまいっておりまして、現在、具体的には五十数件ほど国民の方から意見が寄せられておるわけでございます。いろいろ千差万別でございますけれども、こういった国民の声等を参考にしながら幾つかの質問をさせていただきたいと思います。  まず、最近の一番ショッキングな事例といたしまして、五月の連休中に起こりました西鉄のバスジャック事件でございますが、多くの死傷者を出しまして、死者に対しましては心からお悔やみを申し上げまして、また負傷者につきましてはお見舞いを申し上げたいと思うわけでございますが、たまたまこの事件の解決の場所の東広島市というのは私が今住んでおるところでございまして、私もえらいことが地元で起こったんだなと。犯人が地元の方でないですからほっとは、若干の気分的な落差はあったわけでございますけれども、いずれにしても大変国民としては心痛い話でございまして、また地元でこういった事件を解決したということについていろいろ逐次情報等を小まめにお聞きいたしておったわけでございます。  広島県警のとった対応につきましては、慎重かつ果敢といいますか、週刊誌等でいろいろな、もっとこういう方法もあったんじゃないか、ああいう方法もあったんじゃないかということが言われておりますけれども、これは結果論でございまして、私はかなり冷静な、妥当な判断でもって措置をされたのではないかと心から敬意を表したいと思いますし、また、犯人の取り調べに当たっております西条警察署というのは私のうちから大体百メートルぐらい離れたところでございまして、警察署の御労苦も大変なものであろうと、これまた労をねぎらいたいと思うわけでございます。  毎日、テレビ等で西条警察署が映っておりますと、先ほど来ございますように、警察というのは非常に予算の少ないところで、かつては警察署、駐在所、派出所というのは大変老朽化した建物が多かったわけでございますが、幸い西条警察署というのは今から十年ぐらい前に、私が県におりましたときに立派に建てかえた施設でございますので、これは全国的に放映されても少なくとも建物そのものは堂々としておるなというふうに見ていただいておるのではないかと思うわけでございます。  それにつけましても、バスジャックということにつきましては、今までほとんど経験がないわけでございまして、大変な無防備状態の中でこういったことが起こったということに対して、もっと早くバスジャックに気がついて、そしてそれに対して早期に措置をしておれば犠牲者も最小限で済んだのではないかという気もいたすわけでございます。  そういった面で、今回の事件に基づきまして、それに対する反省なり、さらに今後の改善策、これは関係機関に要望することもいろいろ多いんじゃないかと思うわけでございますが、昨日、バス業界も早速会合を開いたやにも聞いておるわけでございますが、ひとつ関係機関との連携を密にされまして、こういった事件が二度と起こらないように、また、起こった場合には早急に対応できるようにお願いいたしたいと思うわけでございますが、警察庁長官、いかがでございましょうか。
  43. 田中節夫

    政府参考人田中節夫君) 今回のバス乗っ取り事件につきましては、凶器を使用いたしまして運転者や乗客を長時間人質にとりまして乗客を死傷させるというまことに痛ましい事件でございました。委員指摘のように、広島県警におきましてはぎりぎりの判断だったと思いますけれども、結果的に人質あるいは被疑者等を無事確保し、あるいは救出できたということでございまして、私どもといたしましてはその関係警察職員の労を多とするものでございます。  そこで、今お話がございましたように、関係機関等に対しますところの予防等の対策でございますけれども、これは国家公安委員会におきましても御議論がございました。私どもといたしましては、この種事案の再発を防止するために、五月十六日付で運輸省及び関係業界団体に対しまして、事件発生時の対応方策といたしまして、対応マニュアル等の整備、通報システムやGPS等を活用した位置情報管理システムの整備等につきまして、また再発防止対策として、車内やバス運行ターミナル等の防犯設備の整備、不審者に関する情報の早期把握のための広報啓発活動等につきまして早急に検討していただくよう要請いたしました。その結果、今、委員お話しのように昨日会議が持たれたところでございます。また、各都道府県警察に対しましては、関係業界と連携した再発防止対策を推進するよう指示したところでございます。今後とも、関係機関、団体等と連携を図りながら、この種事案の再発防止に努めてまいりたいと考えておるところでございます。  また、一たん、あってはならないことでございますけれども、このような事案発生した場合の対応等につきましては、今回の事件を教訓としながら、そのための対応策の確立にさらに努力をしてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  44. 菅川健二

    ○菅川健二君 ひとつこれから精力的に解決策を見出して対応をとっていただきたいと思うわけでございます。  次に、先ほど申し上げましたホームページ、民主党の警察問題一一〇番にもいろいろあるわけでございますが、先ほど谷川委員は、最近は警察の不祥事も余り聞かなくなったなということを申されたわけでございますが、ただ、今でも大体毎日、新聞記事にならない日はないんではないかというぐらい、特に昨年の神奈川県警の不祥事以来、警察庁が特別監察までして、またその後、警察庁長官もいろいろと、いろいろな形で会合を持ち警察官の綱紀粛正について訴えておられるわけでございますが、そのやさき、なお警察官の不祥事が絶えないという状況でございます。  これにつきましては積年の積もったものもあろうかと思いますけれども、いずれにしても警察官二十六万人ですから大変な数ではございますけれども、第一線に働いておる警察官に至るまで綱紀粛正をする。あわせて、やはり余りたたくばかりではいけないわけでございまして、士気高揚策も図っていくという二面作戦が要ろうかと思うわけでございますが、不祥事撲滅に対しまして警察庁長官としてどのような対応をしておられるのか、また今後、それについてどのようにしようとしておられるのか、御意見をいただきたいと思います。
  45. 田中節夫

    政府参考人田中節夫君) 今、委員指摘のように、全国の警察を挙げましていわゆる不祥事案の再発防止に取り組んでいる中で、なお御指摘のように国民からの厳しい御批判を招くような事案が相次いでいることは、まことに遺憾でございます。お話のように、いろんな施策あるいはいろんな場をとらえまして信頼回復の重要性につきまして指示しているところでございますけれども、まだその徹底を欠いている、一線の職員の一人一人の心にまで届いていないというような感じがするわけでございます。  私どもといたしましては、これまで進めてまいりました監察機能の充実、あるいは職務倫理教養強化、さらには幹部によるところの業務管理の徹底などの対策をさらに推進するなどいたしまして、一線の警察職員一人一人が強い使命感と高い倫理観を保持いたしまして職務に邁進するよう全力を尽くしてまいりたい、かように考えております。  また、委員指摘のように、その一方で、現場で汗を流して仕事をする、成果を上げた職員が報われるようなそういう仕組み、あるいは適材適所の人事配置、昇任というものにも配意していかなければなりませんし、職員による提案制度と申しますか、具体的な現場の中で職員が考えていること、それを組織として積極的にくみ上げ、取り上げて、そして風通しのよい職場をつくるということも大変大事だと思います。そういうふうにして士気の高い組織づくりを進めてまいりたい、かように考えておるところでございます。  いずれにいたしましても、国民の信頼を一日でも早く回復することがただいまの私に課せられた重大な課題でございますので、そのために全力を尽くしてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  46. 菅川健二

    ○菅川健二君 最近はやっている川柳に「すり切れて正す襟なし五十年」という川柳がございますけれども、襟がないという状況を、襟をまた新しくつくってひとつ正していただくようにお願いいたしたいと思います。  そこで、本題になりますけれども警察制度改革について幾つか御質問なり考えを申し上げたいと思うわけでございます。  現在、警察刷新会議で非常に熱心に御討議いただいておるということにつきましては、ホームページ等を開いてみまして、昨日も一夜漬けでずっと目を通してみたのでございますが、大変お忙しい方が随分時間をかけて、しかも月に三、四回という大変なハードスケジュールをよくこなしておられるなというふうに感心いたしたわけでございますが、ただ、頻繁に会合を開いておられる割にはなかなか収れんしにくいなと。中でも苦情処理の問題と監察機能の問題と国家公安委員会機能の問題、そういったものがぐるぐる議論が回っているような感じも実はいたしたわけでございます。  いずれにしても、徐々に収れんさせて、そして、先ほど谷川委員に対する御答弁にありましたように六月末から七月にかけて結論を得られるんじゃないかという見通しのようでございますが、この結論の時期につきまして刷新会議の中身を見てみますと、来年度の予算に間に合わせるんだ、あるいは法改正絡み等はどうするんだというような議論もあるようでございますが、特に六、七月をめどにされた理由というのはどういうところにあるんでしょうか。
  47. 保利耕輔

    国務大臣(保利耕輔君) 刷新会議をお願いいたしまして、警察制度の基本的な問題についていろいろ御議論をいただいていることは御承知のとおりであります。  三月二十三日に第一回の会合をやりまして、それから既に六回開催されました。五月十三日には大阪で地方公聴会をおやりになったと。今後は、あと五月中に一回、六月中に三回、七月上旬に一回という形で会議の開催が予定されておりますし、六月には新潟で地方公聴会をやるということになっておるところでございます。  警察刷新会議提言につきましては、第一回会議におきまして、六月末から七月ごろには一遍取りまとめてみようよというようなお話がございまして、今その線に向かって御努力を鋭意続けておられるところであります。提言取りまとめられることになりますれば、国家公安委員会警察庁といたしましても、これを重く受けとめて警察刷新に生かしていくというような方向を出しておるところでございます。  ところで、警察刷新会議の様子でございますけれども、六人の著名な皆さんがお集まりになりまして、いろいろさまざまな御意見が出ます。一回について大体二時間ということで設定をするのでありますが、どうしても三時間ぐらいになってしまう。大変実のある議論をしていただいております。  一例を申し上げまするならば、警察法五条に規定をいたしておりますところの、例えば国家公安委員会警察庁を管理するという、この管理という言葉は一体何を指すんだというようなことまで徹底して御議論をなさっていらっしゃいますし、それからこの刷新会議の中の会議のやり方としては、多数決はとらない、全員の意見一致するまでとことんまで議論をしよう、そういう姿勢をとっておられるということであります。それから、警察庁が事務のお世話をいたしておりますが、これはあくまでも事務的なお世話であって、中の内容についてあるいはやり方について警察庁がいろいろ下準備をするということはこの会議の性格上認められておりませんで、言われたことの事務的なお手伝いをするという形で進んでおります。  そんなことで、大変時間がかかりながらこの刷新会議が運営をされておるものですから、少し時間がかかるのではないかなと思っておりますが、ただ、当初、六月から七月ぐらいに一遍取りまとめをしようということでスタートしておりますので、中間取りまとめになるのか最終の取りまとめになるのかちょっと現在のところでは予断を許しませんけれども、一応の会議の成果というのをその辺でお示しをし、そして予算概算要求に盛り込むべき事項があればそれは盛り込んでいかなければならないという観点から、その時期に一応の取りまとめをしようということで進んでいるものと、こういうふうに理解をいたしております。
  48. 菅川健二

    ○菅川健二君 大変御熱心に討議されておるということはよくわかるわけでございますが、ただ、鉄は熱いうちに打てということわざもございますけれども、六、七月ということになりますと選挙の真っ最中あるいは選挙直後ということでございまして、これについて仮に法制化するということになりますと、さらに次の臨時国会というのはいつになるかわかりませんけれども、かなりおくれてくるのではないかという私は危惧を持っているわけでございます。  そこで、民主党としましては、警察制度の抜本的な改正を早くやるべしということから、去る四月二十七日に警察法改正案を衆議院に提出しておるところでございます。ただ、残念なことには、どうも今のところ衆議院で塩漬けになっておるわけでございまして、できるだけこの警察法改正案というものが審議されるよう期待いたしておるところでございます。  そこで、これらの内容につきましての骨子等を申し上げると同時に、それについて現在における対応なり今後の考え方についてできるだけ具体的に、お話しできる範囲でよろしくお願いいたしたいと思います。  基本的に戦後の警察というものを振り返ってみますと、これは警察のOBでございます今危機管理の大家でございます佐々さんのいろいろな著書から私は受け売りといいますか、また私も警察行政の方とは県におきましても内政関係者ということでしょっちゅう警察庁出向の方とは会合を持っておりましたので、そういった中からいろいろ振り返ってみますと、戦後の混乱期におきましては、暴動に対する治安活動等でいろいろ多方面の、特に公安警備の面で警察の果たした役割が大きいわけでございますが、佐々さんの言葉をかりますと、日本が余りにも平和で豊かになった八〇年代ごろから警察組織は腐り始めたと言われておる、その主たる理由として敵が存在しなくなり、ピラニアがいなくなった、シラスだけになったことが警察腐敗の原因ではないかという指摘をされておるわけでございます。  そういった面では同じような考えでございますが、今さら意図的に敵をつくるということはこれはやるべきでないわけでございまして、ただ、どの組織におきましても、私はいろいろな行政をみずから担当してまいりましたけれども、チェックのない組織というものは、やはりそれがある程度時期がたちますと独善に陥り、それがまた腐敗、堕落につながっていくというのがどの組織でも通例ではないかと思うわけでございます。  特に金を握っておる大蔵省がかなり、二、三年前大変ないろいろな問題を起こしたわけでございますが、それから次には、権力の中で一番中枢でございます警察権力というものがやはり問題をただいま起こしておる。これはまさにチェックが行き届いていないといいますか、チェック機能というのが事実上機能していないというところに大きな原因があるんではないかと思うわけでございます。  そこで、私は、今度の警察制度改革で一番重要なのは、警察行政に対していかにチェック機能というものを制度的にビルトインするのかということが一番重要ではないかと思うわけでございます。この点につきまして、国家公安委員長の御見解をお聞きいたしたいと思います。
  49. 保利耕輔

    国務大臣(保利耕輔君) 今度の一連の警察の不祥事等を私どももとらえまして、国家公安委員会の中におきます論議も非常に活性化をいたしております。活性化という言葉がいいかどうか、ちょっと私も思い悩みますが、非常に激しい議論がされておりまして、警察に対していろいろな注文が出ておりますので、これは公安委員会として一つのチェック機能を果たしているかなという感じを私自身持っておるところでございます。  公安委員会警察との関係でチェック機能をどういうふうにするかということを考えますときに、一つ大事な要素というのは、国家公安委員会警察庁の関係と同時に、都道府県公安委員会都道府県警察との関係、ここを少し明確にやっぱりする必要があるんではないだろうか。やはり現場現場警察、しかも県警制度をとっておりますので、その県警がきちんと動いているかどうかということを監察し、そして注意を与えていくというのは、やはり第一義的には都道府県の公安委員会にその権能を持たせるべきではないか。そのためには、現在の都道府県公安委員会制度そのものでいいだろうかというようなことまで、今、警察刷新会議の中でも論議が出ておるところでございます。  そういうようなことをしながら、多角的に公安委員会警察との関係を考える中でこのチェック機能を充実させていくということが必要でございまして、警察刷新会議におきましても論議をされておりますので、この御論議を承りながら、今後、そのあり方について検討を加えていきたいと思っております。  私が強調したいところは、地域におきます地方の公安委員会のチェック機能をさらに十分にさせていくにはどうしたらいいかというところで、今考慮しておるというところであります。
  50. 菅川健二

    ○菅川健二君 私もチェック機能を果たせるためには、やはり警察庁警察本部とそれから公安委員会国家公安委員会、それから地方の県の公安委員会でございますが、それとの間のやはり緊張関係と、そして公安委員会がチェック機能を十分果たせるような形にすべきではないかと思うわけでございまして、私は、現状ではなかなかこれは難しいわけでございまして、これはやはり制度改正にぜひ結びつけなければならない大きな課題ではないかと思うわけでございます。とりわけ都道府県の公安委員会なり警察本部が重要であるということは、これは全く私も同感でございます。  そこで、監察機能について、私はやはり国家公安委員会あるいは都道府県の公安委員会に直属の監察機能といいますか、そういったものを持たす必要があるんじゃないかと思うわけでございます。現在、都道府県におきましても警察監察室等があるわけでございますが、やはり警察本部長の補助機関として警察本部長の任命ということになりますと神奈川県警のようにもうお互いにぐるになっちゃって事件を隠ぺいするということは当然起こり得るわけでございます。  これについて、優秀な人材をそこに持っていったらどうかということがございますけれども、優秀な人材であってもやはり上司と部下という関係におきましてはおのずからやはり限界があるわけでございまして、やはり違った機関がそれについて監察機能を持つと。ただ、公安委員会が全部の監察機能を持つかどうかということは、やはりこれは議論があるかと思うわけでございます。いわゆる一般的な業務監察まで細かく公安委員会がやる必要があるのかどうか。少なくとも服務規律に基づく監察というのは当然やはり公安委員会も持たさなければならないというふうに思っておるわけでございますが、その点につきましては公安委員長さんも大体同じ意見のように思うのでございますが、いかがでしょうか。
  51. 保利耕輔

    国務大臣(保利耕輔君) まさに御指摘の点が刷新会議の討議の中心的な問題になっております。  そこで、全く独立した事務局を設けて国家公安委員会監察機能を持つかどうかということでございますが、御党で提案をされておられますのは独立した事務局を設けてという形と理解をいたしておるのでありますけれども、一つは行政改革の今の時勢というのを考えながらやっていかなければならないということと、いわゆる監察という行為が服務にかかわる監察部分が中心課題になっておりますので、企業会計の会計監督をやるというのとはちょっと違うのではないかなと、こんな感じがいたしております。  どこが違うかというと、主として警察監察をやりますのは、人事と結びついて情報を得ていかなければならない。どういう人が働いており、この人はどういう特徴を持っておられる方かというようなことを情報をつかんでいるところとの連絡関係というのが非常に大事でありまして、国家公安委員会の中に事務局を置き、さらにその事務局が全部そこの情報をつかみ切れるかというと、これはなかなかつかみ切れないのではないか。  そうすると、非常に大きな、膨大な組織を持ち、警察との対立関係の中で緊張感を持たせるというのは、私も意味は非常によくわかるのでありますけれども、現実的であるかどうかというところから考えますと、やはり国家公安委員会の中の事務担当部署の充実ということは、これは現実にもホームページに対する回答案の作成とかそういうことで非常にふくそうした仕事がございますから、それを充実させることは私は必要だと思いますけれども、やっぱりそこにいます人間は警察内部のことについて自分はよく承知しているぞという人がおりませんというと、本当の意味での監察ができるかどうかというところが私ども気がかりなところでございまして、そういう意味で、これから刷新会議議論がそこへ入っていくと思うのでありますけれども方向としては、私はやはり警察内部から人を出してもらっていろいろな情報を得つつ監察をやっていくということだろうと思います。  ただ、国家公安委員会としての監察機能ということで申し上げますならば、私はこの間も新潟の事件のときに考えたのでありますけれども、管区警察局というのが特別監察に行っております。それで、管区警察局に強い監察権限を持たせ、そして国家公安委員会警察法で規定されておりますところのその監察を管理するという立場で物を考えるのはいかがだろうかというようなお話も出ておりますので、そういったところの落ちつき先といいますか集約先というのを私も重大な関心を持って見守っておるところでございます。ここのところが一番の問題点であるというふうに考えておるところでございます。  少々答弁が長くなりまして、恐縮でございました。
  52. 菅川健二

    ○菅川健二君 基本的な考えは私も変わらないと思うわけでございますが、監察機能を持たせる場合にどの程度の監察機能を持たせるかということはいろいろ議論があろうかと思います。ただ、伝家の宝刀として公安委員会監察機能を持つということは最低限必要であろうというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたしたいと思います。  あわせて、やはり苦情処理についても同じことが言えるわけでございまして、警察署に困り事相談とかいろいろある。それは警察のそれぞれの対応で必要なわけでございますが、ただ、警察署で、いろいろこの前のストーカー事件等を見ますと握りつぶされるということもあるわけでございます。したがいまして、苦情処理についても公安委員会において窓口を、特に都道府県の方では窓口を開いておく。そういうことによって苦情処理の窓口を開き、しかもそれが適正に処理されるように警察当局とうまく連係プレーをしていくというシステムが必要ではないかと思うわけでございます。  そういった面で、公安委員会には監察機能、そして苦情処理機能、それからあとやはり今は公安委員というのはまさに裸の王様でございまして、全然補助職員がないわけでございます。少なくとも独自の情報なり調査する機能を持つためには、あわせてそういった面の、そうたくさんの人数でなくていいかと思うわけでございますが、やはり独立の事務局を設けるべきではないかと思うわけでございます。この点についていかがでございましょうか。
  53. 保利耕輔

    国務大臣(保利耕輔君) 困り事相談というようなことにつきましては、国家公安委員会といたしましても大分前にホームページを開いて、いろいろな御注文を最近は承るようになってまいりました。ひところはクレームが非常に多かったのでありますが、最近は積極的な提案その他もいただいておりますし、ある場合には細かい御注文もちょうだいをいたしておる、これを警察行政の中に反映をさせながらやっていっておりますが、同時に、これまた先ほどの議論と同じでありますが、地方におきます公安委員会の中にもホームページを開設しているところもございまして、身近な問題等についてはそこへ問題が投げかけられていくということが進められておりますが、私は、こうしたことはやはり今後取り進めていくべきことであろうと。そして、やはり庶民に近い形の、市民に近い形の警察になってほしいと、私はそう思っておるところでございます。  同時にまた警察の方も、私も現行法制下でやれることはたくさんあるはずだということで、具体的にいろいろ指摘をしながら具体的な取り組みをしていただいておりますが、特に窓口等について、困り事相談の窓口等について一例を申し上げますならば、過日報道されましたけれども、世田谷の警察署には即応班というのができまして、一カ月、約三十日の間に三百件の苦情申し出があったということであります。  その内容を見てみますといろいろございまして、例えば下水が詰まったというようなこともございます。ただ、そういう話は区役所でというのは今までのやり方ですけれども、それでは満点ではなくて、具体的に、区役所の○○課の○○係の○○さんに用件を伝えてありますからそこへ行って御相談くださいというようなところまでやらないと満点ではないというような、非常にきめの細かいことをやっています。これは手間暇かかることですから、恐らく人員等についても我々も考えていかなきゃならないことだと思いますが、そういう出先でのいろいろなそういう対応、それから我々のところでお受けするホームページあるいは投書、それからできるならば地域の公安委員会で受けるもの、そういったものを総合的にやりながら、やはり市民に密着をした警察という改善に我々は今後も努力をしていかなければならないんじゃないかと思います。  なお、事務局体制についても御質問がございましたが、この事務局の問題は先ほども長々と御答弁をさせていただいたんですが、まさに警察刷新会議の中心的なテーマになっておりまして、御党の御提案も当然頭に入れながら今後議論が進められていくものだと、このように思っております。
  54. 菅川健二

    ○菅川健二君 今、委員長が申されましたように、現行制度でもできることはどんどんやっていただきたいと思うわけでございますが、私は、やはり制度的にもきちっとそれを担保する制度を設けるということが、この際極めて重要ではないかと思うわけでございます。  そこで、くどいようでございますが、公安委員会監察苦情処理の新たな機能を付与し、みずから情報収集や調査をするための独立の事務局を設けるようにぜひ改善、改革をよろしくお願いいたしたいと思います。  それからもう一つは、チェック機能のもう一つ大きいのはやはり情報公開でございまして、警察情報国民なり市民の目にさらしていくということが極めて重要だと思うわけでございます。そこで、従来とかく捜査情報とかプライバシー等にかかわるということでどうも隠ぺい体質があったんじゃないかと思うわけでございますが、情報というものは原則として公開すべきであるという観点から警察行政の見直しを図っていただきたいと思うわけでございます。  そこで、そこの一つといたしまして、都道府県につきましては御案内のように情報公開条例というのを全県に設けておるわけでございますが、公安委員会とか警察本部がその対象になっていないという県が大半でございまして、対象になっている県は現在九県にすぎないと。その他の県でも幾つか検討しているようでございますが、ぜひこれは自治大臣という立場で全県的に情報公開の対象になるように勧奨していただきたいと思うわけでございます。いかがでございましょうか。
  55. 保利耕輔

    国務大臣(保利耕輔君) 情報公開につきましては、御指摘のとおり全県で情報公開条例が設定されておりますけれども、九県だけは警察のものについても情報公開条例がございますけれども、ほかはないという状態でございます。  おいおい進んでくるんだろうと思いますけれども、ここのところはまさに地方自治の問題でありまして、私どももなかなか、これを必ずやりなさいということが言いにくい立場でありますけれども情報公開法が設定をされまして、その趣旨を踏まえながら今後検討が進んでいくということを私どもは大いに期待をいたしておるところでございます。
  56. 菅川健二

    ○菅川健二君 この点につきましては、情報公開法の四十一条にも規定があるわけでございまして、国としてもこれの規定に基づいて勧奨していくということは当然あってしかるべきではないかと私は思うわけでございます。  ただ、若干その中の隘路の一つといたしまして、都道府県の公安委員会には附属機関を置けないような自治法の政令があるわけでございます。こうしますと、附属機関として情報公開審査会を現状では設けることができないというようなことが一つの隘路になっておるんじゃないかと思うわけでございまして、そういった面で、自治省の方といたしましても、政令改正することによって都道府県が対象としやすいような条件づくりに努めていただきたいと思うわけでございますが、いかがでしょうか。
  57. 保利耕輔

    国務大臣(保利耕輔君) 御指摘のとおり、地方自治法の百三十八条の四に「但し、政令で定める執行機関については、この限りでない。」と。それで、「政令で」というのは地方自治法施行令の中で、その例外となる執行機関は公安委員会とする、こう書いてありますから、これが情報公開審査会を公安委員会に設けることができないということの根拠になっているわけでございます。  これは、私もまだ勉強が全面的には進んでおりませんけれども、都道府県の情報公開の条例が整備されてまいりまして、大方は大体知事室を中心にして、そこへ情報公開審査会が設定をされているというのが普通の姿ではないだろうかと思うわけであります。警察におけるいろいろな情報警察なり公安委員会なりが情報提供を拒否した場合に、知事室に設けられております情報公開審査会に申し出をしても、これは、警察の方は情報を今のところ出すという条例になっておりませんのでということで門前払いをされるという可能性があるわけであります。  そういうような、いろんな情報公開審査会のやり方というのは、公安委員会につけるのも一つでしょうし、いろんなやり方があるとは思いますけれども、私は、精神としては警察といえども公開して差し支えない情報は公開をしていくべきだという考え方に立っておるわけでございまして、捜査に関連するからだめということで全部を非公開にしてしまうということはない、普通の行政措置等については公開をしていくべきだという立場からこれを考えてみますと、やはり地域において情報公開審査会が持ちます機能というのが今後備わってきて、警察の差し支えない部分についてはそこを通じて申し立てができるという姿になっていくことを私どもも想定しておるところでございます。  これはやはり地域の取り組みでございますから、一義的にはそちらの方のお考えにゆだねたいと思いますけれども方向性としては、警察庁がもう既に情報公開の国家としては対象になっておりますし、それは限界のあるところではありますけれども、そういう方向性がありますから、同じ方向性をやはり地方も持っていただきたいと私は思っております。
  58. 菅川健二

    ○菅川健二君 ぜひ情報公開がすべての都道府県にも行き渡るように環境づくりをよろしくお願いいたしたいと思います。  制度改正絡みにつきましては以上でございまして、若干話は変わりますけれども、刑事局長さんにちょっと具体の事案についてお聞きいたしたいのでございますが、近々、衆議院選挙が行われることになりますと、やはり公職選挙法の違反事案というのがいろいろ出てまいってくるかと思うわけでございますが、去る三月九日に同僚の櫻井議員が予算委員会で質問した件につきまして、再度確認いたしたいわけでございます。  去る九八年二月二十六日、これはやや古い話でございますが、東京新聞に、南関東比例選出の議員が五千円相当のスリッパセットをお歳暮として神奈川県内の有権者四千人に配った疑いがあると、実物が写真入りで報道されているわけでございますが、その後、宮城県選出の議員につきましては、県内に千円相当の線香セットを配った疑いで書類送検され、議員は辞職しておるわけでございます。  こういった両方の事案につきまして、特に神奈川県民の方は、その前段の議員の場合は捜査状況がどうなっているんだろうか、一向に何の情報もないけれどもということでございまして、そういった面で捜査の経緯なり、なぜ立件しなかったかにつきまして、お話しできる範囲内で結構でございますから、よろしくお願いいたしたいと思います。
  59. 林則清

    政府参考人(林則清君) お尋ねの報道された事案につきましては、神奈川県警におきましても承知をしておりまして、自来、関心を持って事実関係の究明に努めたところでございますけれども、御指摘のように、これまでのところ事件として立件するに足りる事実関係等の把握には至ってはいないというのが現状でございます。  そしてまた、宮城県のお話がございましたけれども、同じようであって事案はそれぞれに状況、事情等が異なるものでありますので、個別の事案ごとに法と証拠に照らして立件の判断がされるということでございます。  それで、神奈川の事案について、捜査の経緯とか、あるいはまだ立件に至っていない理由につきましては、これはやはり捜査の具体的な内容にかかわるものでございますので答弁は差し控えさせてもらいますけれども、神奈川県警においては関係者の事情聴取等、事実関係の究明に当時努めたものというふうに考えておるところでございます。
  60. 菅川健二

    ○菅川健二君 いずれにいたしましても、類似の事案につきまして、仮にそれの法の適用状況が違っておるということになりますと大変なことでございますので、整合性、公平性をぜひ今後の違反事案があった場合につきましては念頭において対処していただきたいと思うわけでございます。  最後に、警察庁長官にお聞きいたしたいわけでございますが、現在、警察行政というのは、最近ストーカー行為とかあるいは児童虐待とか、いろいろ法律そのものもどんどんつくっておるような状況、それから、そのほか家庭内暴力とか少年犯罪など新しい社会病理現象というのがどんどん出て、警察も大変だろうと思うわけでございます。  ただ、警察組織というのは、従来とかく警備なり公安が重視されまして、幹部職員もこれらの関係者が主力を占めておるのじゃないかというようなことも言われておるわけでございます。ある本からとったのを見ますと、歴代の警察庁長官十八人中八人が警備畑出身で、刑事局長から警察庁長官になった方は三名にすぎないというような記述もあるわけでございます。反面、刑事部門については、部門別定数配分を見てみますと約一五%程度でございまして、十年前もほぼそういった同じような比率であるわけでございますので、どちらかといえば手薄といいますか、大変御苦労をかけておるんじゃないかと思うわけでございます。  そこで、これからの複雑多岐化する社会現象に対応しますためには、もっと刑事部門重視とかあるいは第一線の警察署、派出所、駐在所など、現場重視の組織人員配置にウエートを移していくべきではないかと思うわけでございますが、この点についての御見解をお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
  61. 田中節夫

    政府参考人田中節夫君) 委員指摘のとおり、警察を取り巻く情勢は大変厳しいものがございまして、また私どもが取り扱う事象というのは複雑多様化しております。さらに、今御指摘のように、新しい法律が国会等で可決、施行になりますと、またさらに業務がふえるということもございます。  このような中で、そういうような需要に対応できるところの体制が整っているかどうかということでございますけれども、私どもといたしましては、限られた人員でその時々の治安情勢に対応するためにいろんな施策をやってまいりまして、従来、例えば本部のデスク部門を削減いたしまして警察署の第一線に要員を配置するというようなこともございました。そしてまた、住民の皆さんの要望等を勘案しながら、具体的な配置等につきましても腐心をしてきたところでございます。お話しのように、警備、公安部門のみを重視してきたということは決してないわけでございます。  ただ、御指摘のように、情勢は刻々変わりますので、そのような情勢にきちんと適合した対応あるいは人員の配置、適切な配備というものができているかということになりますと、これはなかなかに行き届かない面がございますけれども、今御指摘がございましたように、警察に何が求められているのか、あるいは警察としての現在の課題は何かということを十二分に考えながら、適正かつ効果的な要員配置等に今後とも全力を挙げて努めてまいりたい、また都道府県警察を指導してまいりたい、かように考えておるところでございます。
  62. 和田洋子

    委員長和田洋子君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。    午前十一時五十七分休憩      ─────・─────    午後一時三十分開会
  63. 和田洋子

    委員長和田洋子君) ただいまから地方行政警察委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、地方行財政選挙消防警察、交通安全及び海上保安等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  64. 大森礼子

    ○大森礼子君 公明党・改革クラブの大森礼子です。  それでは、質問に入らせていただきます。  昨日、いわゆるストーカー規制法が参議院本会議で可決されて衆議院の方に回されました。このストーカー規制法につきましては、直罰規定のほか警告、それから中止命令、こういう流れも設けまして、この点について、警察の方で、あるいは公安委員会の方で裁判所にかわるようなそういう処分ができるのかという疑問も呈されておりますけれども、非常に柔軟な取り組み方として私は評価しております。  そして、これによりまして、こういう被害に遭っている女性の方も警察に非常に相談しやすくなると思います。ストーカー問題とかいわゆるDV問題、ドメスティック・バイオレンスの問題で被害女性が警察に相談に行った場合に、余り親切に取り合ってくれないという苦情、これをこれまで聞いております。あるいは告訴も受け取ってくれない、こういう苦情も出ておりました、これはすべてだとはもちろん申しませんけれども。こういう観点から警察がどのようにこういう問題について関与するかというきちっとした根拠規定を置いたわけですから、実はこれから警察側もむしろこういう事例を扱いやすくなるのではないだろうかと思います。  問題は市民が、特にストーカーなんかですと被害は女性が多いと思うのですけれども、こういう人が安心して相談できる窓口が、まず窓口があること、それから申し出とかその後の処分に流れるんだろうと思います。こういう点を考えてきたときに、ストーカーの背景にある事情とかありますが、やはり警察も少し変わるべきではないかと。  どういうことかといいますと、やはりこれからは女性の警察官の役割というのが非常に大きくなってくるのではないかな、このように思います。女性の被害の問題だからイコール女性でなくちゃわからないとまで言うつもりはありません。あるいは経験豊かな男性の警察官がいろいろ事情を聞くという方が安心できるという人もおります。しかし、いずれにしましても、こういう問題を扱うとやはり女性のこともわかっていかなくてはいけないので女性警察官が担当するのが望ましいのかな、こんなふうに思っております。  それからまた、一般的に申しましても、やはり男女共同参画社会の実現と考えましたときに、あらゆる分野で女性が進出していかなくてはいけないだろうと思いますし、また女性を受け入れていただきたいと思うわけであります。その点は警察も例外ではないだろうと思います。  そこで、まず数値をお尋ねするんですけれども、現在、警察官全体に占める女性警察官の割合というのを教えていただけるでしょうか。
  65. 石川重明

    政府参考人石川重明君) 平成十二年四月一日現在でございますが、都道府県警察に勤務する女性警察官の総数は約八千五百人でございまして、全警察官の約三・七%に当たる、こういうことでございます。
  66. 大森礼子

    ○大森礼子君 この三・七%の受けとめ方ですけれども、どうもこの八千五百人、これもかなりふえてこうなっているんだろうという気がするわけです。三・七%ということは、昔の司法試験の合格率に近いななんて思ったんですけれども。  それで、確かに検察庁にしてもそうです。これはもう男の職場だなんて昔は言われておりましたけれども、今は女性検察官が次々と誕生しております。それで警察も、やはり仕事がハードだということで、捜査にしましても女性に向かないのではないかと昔は思われていたのではないかなと。ただ、女性側から見ますと、本当に男性と一緒にやれないのかどうか、同じ条件で使ってもらいたい、こういう希望もありまして、私は女性の、今まで交通関係とかそういうふうに限定されておりましたけれども、やはり本格的な捜査のできる警察官というのも育てていくべきだと思うし、それにきっと期待にこたえてくれるだろう、こういうふうに思っております。  そこで、いろんな情勢を見まして、状況を見まして、国家公安委員長にお尋ねするのですけれども、女性警察官の登用について国家公安委員長はどのように考えておられるか。今いらっしゃる警察官を適材適所に配置する、育てるという観点もありますし、これからやはり女性警察官というものの増員を図っていくべきではないか、それからもっと幹部にもどんどん登用していくべきではないか、こんなことを思うわけですが、国家公安委員長のお考えといいますか思っておられることをお尋ねいたします。
  67. 保利耕輔

    国務大臣(保利耕輔君) おかげさまで、ストーカー法は、けさ委員長にも御足労を願いまして、衆議院の地方行政委員会で可決をいたしまして、先ほどの衆議院の本会議で緊急上程をして法案が成立をいたしました。ありがとうございました。  今お尋ねの女性警察官の件でありますけれども、今警察に求められております一つの大事なことは、親切な窓口業務ということが求められていると思います。そこで、やはりこのストーカー事件、特に被害者の方はほとんど女性ということで考えますと、女性の立場でいろいろ話を聞いていただく、そういう警察官の存在というのは私は非常に大事だと思っております。そういう意味からいきますと、三・七%、八千五百人の女性警察官の数ではまだ私は不足であろうかと思います。  特に、この間、有珠山の噴火の様子を視察してまいりましたときに、あそこで活躍をしております「はまなす隊」という女性の警察官の皆さん方が非常に喜ばれておりまして、女性の警察官であるがゆえに話がしやすいという一般の方々の御印象もあるようでございまして、そうしたことを考えますと、窓口業務としては女性が担当する方が適切であるという場合があるということを考えますと、やはり女性警察官の充実については私どもは逐次進めていくべきこと、このように認識をいたしております。
  68. 大森礼子

    ○大森礼子君 ぜひ積極的登用を図っていただきたい。  例えば、今、私、公明党ですが、公明時代、浜四津敏子さんが代表のときによく地方についていきましたけれども、地方に行きますと、SPさんでしょうか、ついてくださいます。その中にやっぱり女性の方がいらっしゃいまして、何人か姿を見ました。非常にきびきびと動いていらして、それでりりしくて、女性もこういうところにも出てこられるんだなと思ったことがあります。非常に新鮮な印象でした。こういう分野にも登用していただきたいし、それから女性だからといって担当すべき分野を逆に限定しないで、男性と同じ捜査取り調べにしましてでもできるのかどうか、ぜひそういう機会をどんどん与えていただきたいなというふうに思います。  それから、女性がふえますと、午前中の質疑谷川委員、松村委員、それから大臣御自身も御指摘されましたけれども、宿舎とかの関係がありまして、大臣が非常に劣悪な宿舎状況だったのを改善した、こうお話しありましたけれども、この点も職場環境としていろいろ配慮していただきたいと思います。  余計なことですが、午前中は平米の話がありましたね。世帯用が六十四平米、独身用が二十四平米とかで、それで古くて劣悪だと。実は、参議院議員宿舎にも狭いのがありまして、菅川先生も私も同じところに入っておりましたが、清水谷宿舎のB棟というのがありまして、これは広さが三十二・三七平米で、六畳、四畳半。今リフォームされてシャワー室がついたので一間七畳ぐらいのがありますけれども、ふろがないという、こういう環境でありまして、私は、こういうところへ女性議員を入れるのは女性の人権上問題があると一人だけ騒いでいた思い出があります。議員の中にもそういう宿舎があるということで、ちょっと触れさせていただきます。  それでは次の問題で、捜査通訳のことについてお尋ねいたします。  捜査通訳というのは、外国人事件、外国人の取り調べなんかをする場合に通訳を要する、この通訳のことでありまして、一般的に司法通訳という形でくくれるのかもしれません。わかりやすくする意味で、法廷通訳と区別する意味で捜査段階の通訳を捜査通訳というふうに表現させていただきます。  外国人事件、これは増加傾向にあるということは指摘されております。そうすると、日本語に通じない外国人については取り調べには通訳が必要となります。それで、まず最初に一般的な総括的な質問をするのですけれども警察捜査段階でこの通訳ということについてどのような問題意識を持っておられるか。非常に漠然とした質問ですけれども、まず国家公安委員長にお尋ねいたします。
  69. 保利耕輔

    国務大臣(保利耕輔君) 日本人、外国人問わず、やはり被疑者から十分に供述を得るということは非常に大事なことであります。とりわけ外国人が外国語しかわからないという場合には、十分にその人権に配慮して通訳を充実させながら被疑者側の申し立てをよく聞くということはやはり必要なことであろうかと、こう思うわけでございます。  私も就任早々、警視庁の留置場へ行ってまいりましたが、そこにはかなり大がかりに広告が壁に張り出してありまして、何カ国語だったか忘れましたが、三カ国語か四カ国語かでいろいろな注意事項が記載をされておりまして、こういったところはやはりいろいろ配慮はしているんだなということを感じましたけれども、実際いろいろな国々の方々が日本においでになって、残念ながら犯罪を犯された方々は警察のお世話になるということでありますので、その通訳については万全の体制をとっていかなければならないだろうと。新しい種類の仕事として充実すべき点の一つに十分挙げられる問題だという認識を持って今後対処してまいりたいと思っております。
  70. 大森礼子

    ○大森礼子君 法廷通訳、捜査通訳を含めて司法通訳と呼んでいいかと思うのですけれども、実は私、修習生時代に東京地裁で外国人事件の部、裁判修習、そこに入りました。検事時代にも外国人事件を扱いました。弁護士になってからも、弁護士として外国人が参考人となる事件を扱いまして、実は三つの場面から外国人事件というのを特に通訳の問題を中心として見てまいりました。そして、これからやはり外国人の人権、それから外国人の人権というアプローチでなくても、そもそも裁判というのは公正であるべきですから、実体的真実の発見、これも目的なわけですから、そのためにも現行法の通訳制度というのはいろんな問題があると思っております。  そういった面で、法務委員会でも法務省あるいは最高裁の方にずっとこの司法通訳問題について質問してまいりました。ただ、捜査段階では警察も当然そういう取り調べが入るわけですので、できれば警察それから検察庁、法務省それから最高裁と、この問題については一体化した取り組みというのが必要ではないかな、こういうふうに思っております。これまで警察の方に余り質問したことがありませんでしたので、きょうお尋ねする次第です。  まず外国人被疑者が捕まりますと、逮捕とかされますと、逮捕されない場合もありますけれども取り調べ、そこで通訳が必要となってまいります。警察の場合、警察官自身で非常に語学を習得しておられて、そういう方が当たられる場合も多いのですが、やはり民間人をお使いになることが多いと思います。  それで、この民間の通訳の方をどのように確保しておられるのか。あわせてお尋ねしますけれども、語学レベルというんでしょうか通訳能力といいますか、このチェックというのは警察現場ではどのようにしておられるのでしょうか。
  71. 石川重明

    政府参考人石川重明君) 今、部外通訳の問題についてお尋ねがあったわけでございますが、部内には約三千人ほど通訳能力を有する警察官というものを養成しておるわけでございますが、特に高度な能力を有する方というのは中途採用で、既に民間企業等で国際経験を積んでおられる方とか、そういう方から特別に採用をして通訳専門職員として活躍していただくという道があるわけでございます。これはまだわずかでございます。  そこで、御指摘のように、さらに高度な通訳を必要とするといった場合には民間の方々の協力をお願いしているわけでございますが、こうした協力をいただける方が全国で約五千人おられるわけでございます。部内外、両々合わせまして約七十カ国から八十カ国の言語に対応をしているという状況でございます。ただ、それぞれの県単位とか所属単位で見ますとすべて賄えるほどではないということで、例えば一つの県で集団密航等がありましてたくさんの通訳の方が必要だという場合には、ほかの県からも応援と申しますか連絡をして協力していただくといったような機動的な対応も行っておるわけでございます。  そこで、民間の協力をいただくような通訳者をどうやって確保しているかということでございますが、これはそれぞれの地域でいろいろな、国際社会と申しますか国際的な市民の方のグループとか、そういうところといろいろ接触をいたしまして、そして、そこで警察に協力しようということで御承諾いただける方にお願いをしていると。  その通訳レベルの判定ということになりますと、それはちょっと一律に私も申し上げられないのでございますが、所によっては面接をして、日本語との関係が特に多かろうと思いますけれども、どういう形で日本語との関係で正確な通訳をしていただけるかといったような面接はしているだろうと、こういうふうに承知をいたしております。
  72. 大森礼子

    ○大森礼子君 特に厳密な統一的な基準というのはないというふうに伺ってよろしいですね。──はいということですので。  もちろん、この語学レベルの判定というのは非常に難しいもので、通訳にどれだけの能力を求めるかと。高く求め過ぎますと、そういう方はいらっしゃいません。例えば英語で言いますと、自分のことを言ってなんですけれども、昔ですが、昔の英検一級とか通訳ガイドの英語とか取ったことはあるんですけれども、とてもこれでは高度な通訳はできないなという認識であります。  ただ、その点については、発問の仕方、あるいは問答、問い答え式にするとか簡単な短文でするとか、そこは工夫によってそんなに複雑な文章を使わなくても調書はできるわけですから、こういう工夫によってカバーできる部分もあるだろうと思います。  それにしましても、まず語学能力が仮にパスしたといたしましても、捜査ですから刑事訴訟法上の多少の知識は持っていなくてはならないだろうと。それからまた、後で守秘義務のことについて聞くんですけれども、やはり人間の倫理観といいますか資質もしっかりしたお人柄の方でなくてはいけないだろうと思うわけです。  通訳人として確保した上で、例えば刑事訴訟の基礎知識とか、こういう能力向上を図るためのプログラムというものが警察の中でありますでしょうか。これまで法務省それから最高裁で聞いたら、いろんなセミナーとかはしていると。これはもう聞いているんですけれども警察の方ではいかがでしょうか。
  73. 石川重明

    政府参考人石川重明君) 今御指摘の民間の通訳の方につきましては、特に刑事手続の流れとかそれから捜査における留意事項ということについては、必ずしも専門的な知識を持っておられない方が多いわけでございまして、そこで通訳ハンドブックといったようなガイダンスと申しますか教養資料というものをつくりまして、通訳として活動される前にそれをよくお読みいただく。あるいは先ほどセミナーということがございましたけれども、講習会を開催いたしまして、そこに参加していただくということによりまして、被疑者や参考人の取り調べあるいは事情聴取における通訳に必要な法律的な知識とかあるいは配慮すべき留意事項といったようなことについて習得をしていただくように各県において努めているところでございます。
  74. 大森礼子

    ○大森礼子君 各県で各県本部単位で行っているということなんでしょうが、その講習会というのはどの程度のものなのか、ちょっと時間がないのできょうは聞きません。  実は、この講習会につきましても、今警察のレベルでもやっていないことはない、やっておられる。それから、法務省でもそうですが、最高裁でもそうです。それぞれ何かばらばらにやっておりまして、私は何かこれを一つの大きな司法通訳制度みたいなものをつくりまして、それで裁判所も法務省も警察も一体となって一元化した司法通訳体制ができないのかな、そうすればセミナーの持ち方なんかももっと効果的にできるんだろう、こういうふうに思っております。  それで、警察段階では、例えば自供事件なんかの場合、それほど複雑でない場合は警察官が通訳をしておられる場合もございます。なるべく警察と検察庁では否認事件なんかの場合には違う通訳人ということで、警察段階では警察の人が通訳していても検察庁段階では民間の方とか、大体こういうふうにしていると思うんですが、それにしましても、調べというのは調書作成だけではありませんで、いろんな聞き込みをする場合、これからは外国人に聞き込みをしたりとか、そういう活動もふえますので、現場警察官自身が語学を習得するという必要性は非常に高くなってくるだろうというふうに思います。  先ほど、部内で三千人通訳能力を有する警察官を養成している、これは特別なシステムがあるということがわかったのですが、この体制についてもう少しお話をいただきたい。  それから、例えば語学の能力を向上させるために現地へ語学留学といいますか、こういう制度というのは設けているのでしょうか、お尋ねいたします。
  75. 石川重明

    政府参考人石川重明君) 部内におきましては約三千人ほど養成をしているということを先ほど申し上げましたが、これは警察大学校に付設をしてございます国際捜査研修所というのがございます。ここにおきまして警察職員に語学研修を実施しておるわけでございます。それから、都道府県警察におきましても、警察学校における語学教養、それから予算措置を講じまして民間の言語学校に対して外部委託教育を行っている。あるいは海外語学研修、これは各県単位で申しますと年間一名とか三名とか、そういう数字でございますけれども、そういう研修を行いまして、通訳と申しますか語学能力を備えた捜査員の養成ということに配慮をしているところでございます。
  76. 大森礼子

    ○大森礼子君 私は昔、検事をしているときに外国人事件を扱いまして、東京でしているときには、警視庁に外事課というのがあるんでしょうか、そこから通訳の方が来られまして、英語でしたけれども、非常にすばらしい通訳で、それで、どこへ留学されていたんですかと伺ったら、留学したことはないんだと。留学しないでこんなに語学を身につけるのはどうすればいいのかと驚いたことがあるんです。だから、余り留学とかそういうことはしていないのかなと。これだけ能力あるんだったら、ちょっと留学させてあげればさらに磨きがかかるのになと思ったことがあります。  それから、岡山にいるときに不法就労事件、韓国人被疑者でしたけれども扱いまして、このときは事案も軽微なものでしたし複雑でなかったので警察官の方が通訳してくださいました。自供事件です。そのとき非常にすばらしい通訳をし、韓国語はわかりませんけれども、応答を被疑者としていると大体わかりますので、どこで勉強されたんですかと聞いたら、自分で勉強したんですと。全然知らないところをここまでマスターするというのは非常なやっぱり御本人が努力されたんだろうなと、こういうふうに思ったことがあるんです。  それで、特別な能力を身につけられた、自分の勉強によって。これに報いる制度があるのかどうか疑問になりまして、特別手当か何かありますのと言ったら、全然ありませんと聞いたのですが、それは本当なのでしょうか。  申し上げたいのは、特にこれから語学が大事になってくるし、何か資格とか取れば多少待遇的に違うとか、奨励するような制度があればもっとみんな語学も勉強しようというふうになるのではないかと、こう思うので、何かそれを奨励する制度があるのかどうか、あるいはこれからどういうふうに考えておられるか、このあたりをちょっとお聞きしたいと思います。
  77. 石川重明

    政府参考人石川重明君) 資格に伴ってそのまま何かの処遇に直結するといったようなことではないのでございますが、一部の府県、まだ少数でございますが、特殊勤務手当で通訳に従事した場合に日額で出す。これちょっと額はまだ微々たるものでございまして、県によって若干違うわけでございますが、平均すると一日約四百円とか、多い場合でも一千円ぐらいということでございますが、日額で支給をするということがございます。  この点につきましては、自分で努力をして語学を身につけて職務に役立てるということでございますので、語学教育を自分が自己啓発的に行う場合の費用補助なんかにつきましても、三十二道府県におきまして、民間語学学校に警察職員が通って受講するといった場合には補助をするような制度、手当てというものを講じておるわけでございます。  こうした問題につきまして、大変国際化が進展している中で、こういう方々の活躍の場というのはふえていくわけでありますから、もっと充実した制度にしていくべきではないか、このように考えております。
  78. 大森礼子

    ○大森礼子君 やってもやらなくても給料一緒だったらやるまいかなと思うのが人情でありまして、何かそういう奨励するような制度が要るのではないかと思います。そしてまた、いろんな警察官の方が、程度の差はあるにせよ語学を学んでいくということは、開かれた日本の警察という意味からも必要なことだろうと思います。そういった意味で、頑張って勉強して自己能力を上げた人が報われるような制度、これは長官にお願いすればいいんでしょうか、お願いしたい、こういうふうに思います。  これは必要なことで、全部通訳を民間にしますと、実は通訳謝金というのも年々高くなっておりまして、これとのバランスを考えまして、やはり警察官が語学を習得していく、そういう動きをつくることも大事であろう、こういうふうに思っております。ぜひ語学留学制度とか、基礎がある方は六カ月ほど現地にいればかなりマスターしますので、こういうこともどんどん取り入れていっていただきたいなと思います。  次に、通訳人の守秘義務ということについてちょっとお尋ねいたします。ちょっと質問の順序を変えて申しわけありません。時間の関係でこれをまず聞きます。  先週、ある市民団体の方から要望書というのをいただきました。それで、この要望書というのは、通訳制度につきまして、警察の通訳制度というような御指摘です。外国人の人権上多くの問題があるとの指摘がありまして、警察通訳制度の改善を求める内容要望書となっております。  そして、問題事例を一つ取り上げておられるわけですけれども、これは新聞にも、三月八日前後の新聞に出ましたので御存じの方もいらっしゃると思うんですが、現在係争中の刑事事件で、フィリピン人の被告人で、在日フィリピン人向けの新聞に通訳人が、通訳という経験を通して知り得た事実なんでしょう、これを記事に書いて掲載された、それで個人情報漏えいという重大なプライバシーの侵害をしている、こういう御指摘がありまして、通訳人の守秘義務ということについて問題提起をしておられます。  それで、確認なのですけれども、民間の方に捜査通訳を依頼する、それでこの方に、自分が事件で知り得た事実というものを、そのとき、またそれ以後もそれを漏えいしてはいけない守秘義務、この規定があるのかどうか。この点についてお尋ねします。
  79. 林則清

    政府参考人(林則清君) 警察捜査において民間人の方に通訳を嘱託するいわゆる部外通訳人に対しては、御案内のとおり法的な守秘義務はございません。このため、警察ではこれら部外通訳人に対しまして、取り調べ等で知り得た情報を外部へ漏らさない旨の誓約書を本人から徴取するなど、情報が漏えいすることのないよう配意をしております。  それで、今御指摘ありました案件につきましても、そういった事実があるということでありますので、その通訳人としての誓約の遵守について改めて指導し、厳しく注意したところ、本人も深く反省しておるという報告を受けておるところでございます。  警察庁としては、部外通訳人について、捜査で知り得た内容を部外へ漏えいすることのないよう、今後とも指導を徹底してまいりたいというふうに考えております。
  80. 大森礼子

    ○大森礼子君 実は新聞記事でも、公判で公になっていることなのでもう問題ないのかなと思ったと通訳人は述べておられまして、詳しい事情はこれ以上わからないのでどちらがどうとも言えないのですけれども、やはりそういうことをきちっと、身分上守秘義務があればそれはもう自分に何かきっちり入るわけですけれども、民間の通訳の方は場合によったら、警察の場合には逮捕したら四十八時間以内に検察庁送致というのがあります。非常に現場がばたばたするとぱっとお願いするような場合もあるし、そういうときにやっぱり守秘義務というのがきちんと説明されていない場合もあるのかなという気もするんです、義務自体がないわけですね、法的な。ですから倫理の問題になってしまうわけです。  今、誓約書を書いてもらっているということなのですが、これとても、じゃその誓約書に違反した場合、後どういうことになりますか。これは効果的なのかどうか。どうなりますか。誓約書を書いたのに漏らしてしまったという場合にはどういう扱いになりますでしょうか。
  81. 林則清

    政府参考人(林則清君) 御指摘のとおり法的な効果というのはございませんので、本人の一種のそういうことに携わる者の倫理として、もう今後そういうことはしないということをもう一回反省してもらうということになるということでございます。
  82. 大森礼子

    ○大森礼子君 だから、要するに本人次第ということになってしまうわけですね。  それで、今そういうちゃんとした法体制、法整備されていませんので、民間の通訳をお願いするときにはきちっとこの旨を、法的義務はないけれども、こういうことから例えば警察官とか検察官に守秘義務が課せられている、その理由はこういう理由です、プライバシーとか。やっぱりきちっとまず御説明して、それを聞いていただくことが大事なんだろうと思います。  それはそれとして、ほっといていいのかという問題があるんですね。この市民団体の方も警察通訳人の、警察に限定していますけれども、これは検察庁段階でも一緒だと思います。「警察通訳人の質、人数の十分な確保のためにも通訳人の資格制度を導入し、警察通訳の運用を改善するよう、貴党からも警察庁に対し働きかけて下さいますよう要望いたします。」。「貴党」は公明党ですので、要望を受けてきょうここで、私もこの問題を扱ってきましたし、非常に大事な御指摘だと思いますので取り上げさせていただくわけなんです。  ここでも、この方も、今守秘義務がないから実際に漏えいを行っても処罰できないという形になっている。これは私は何とかしなくてはいけないだろうと。この方は「刑法を改定し、」という提案をされているわけですけれども、そもそもなぜこういうことが起きるかというと、やはり大事な司法通訳制度というものが法整備がされていないからだと思うんですね。  それで、やはりアメリカのように司法通訳認定試験というものできちっとした資格を与えて、そしてその人にはまず語学レベルの保証がされますし、それから刑事訴訟法等についても基礎知識をきちっと勉強していただくと。それから、守秘義務ももちろん課する、こういう司法通訳制度をつくるべきではないかと思います。  こういう言い方をしますと、みんなその資格がないと司法通訳ができないみたいに誤解されるんですけれども、アメリカでもそうは考えておりませんで、こういう資格を持った人はそれだけ通訳の正確性についての信用性が高いと合理的に推定されて、待遇が違うとか。こういう制度を取り入れるべきではないか、こういうふうに思っています。  これはお答えは要りません。警察だけでのものでもありませんで、司法通訳全体の問題として取り上げていかなきゃいけない問題だと思いますので、自分の考えだけを申し上げます。  それから、もう時間になりましたので最後の質問になるのですが、薬物関係については午前中の質疑で出ましたので質問をしません。  通信傍受法は八月から施行だと思います。いまだに人権侵害とか言っておりますけれども、私は薬物の使用者、これは被害者だと思っております。そして非常に押収量もふえていると。  この前新聞記事でどこかが調査、推定したところ、年間大体十五トンから二十トンが国内で使用されている、末端価格で一兆円規模だと。これだけ蔓延しております。通信傍受法が施行になる前の駆け込み供給という面もあるかもしれませんけれども、私は、覚せい剤を体に入れるとその人間というものを壊してしまうわけですから、こういう犯罪、薬物、これが広がること自体国民に対する大きな人権侵害行為であると思うわけでありまして、こういうバランス感覚を持って人権というものを論じてもらいたいなと思います。  いずれにしましても、非常に要件を絞りました通信傍受法、これによってやはり摘発をして、そして国民の皆様に納得していただくしかない、理解していただくよう努力してもらいたい、こういうふうに思っております。  これを述べたらあと次の質問が時間切れになってしまうんですけれども、あと一問だけ。  警察段階で聴取した通訳の正確性が問題となった場合、法廷で争われた場合、例えば警察の調書も特に本人調書でしたら任意性さえあれば証拠能力が認められる場合、出る場合がございますね。特に通訳の正確性が争われた場合、通訳人を証人として呼んでもなかなかその当時どういう具体的な言葉で通訳したか再現することは不可能であります。  こういう場面が生ずるわけですが、このことについては警察庁では何か対応策とか、そういうものはとっておられるのでしょうか、こういう場面に備えまして。簡単にお尋ねいたします。
  83. 林則清

    政府参考人(林則清君) そういった問題が事件内容とか自供の状況という具体的な状況の中で発生するおそれのあるようなものについては、供述の正確性とか信用性を担保する必要が認められるわけですから、その場合には通訳を介しての読み聞けをテープ録音するというようなことを行って対処しておるのが実務の現状であります。
  84. 大森礼子

    ○大森礼子君 実はそれが望ましいと思います。そうしませんと、いたずらに水かけ論になりまして、それで真偽もわからなくなりますので。取り調べをビデオテープに、これは賛成できません。ただ、争いのある事件、否認事件、複雑な事件、これにつきましてはやっぱり警察庁警察官あるいは検察官、この判断で将来その正確性が争われた場合には読み聞け時のテープで立証できるような体制をとっていくということが大事ではないか、こういうふうに思っております。  この点、本当はもっと聞きたいんですけれども、時間が参りましたので終わります。この通訳の問題、外国人事件の問題につきましてはまた機会がありましたらお尋ねしたいと思います。  ありがとうございました。
  85. 富樫練三

    ○富樫練三君 日本共産党の富樫練三でございます。  警察問題、今回特に警察情報公開の問題と交通事故の例をもって、この問題について中心とした質問をさせていただきます。  昨年来、神奈川県警の例の不祥事件以来、あれ以来の一連の不祥事件というのは、事件を起こした個々の警察官の個人の資質や責任の問題ではなくて、実は警察組織ぐるみの不祥事件であったということが一層警察に対する国民の不信を広げた、こういうことだったと思うんです。  そういう中で、監察機能の喪失やあるいはキャリア制度の問題あるいは公安委員会あり方、こういうことについて警察組織が大変根深い秘密体質あるいは閉鎖性というかあるいは組織的な隠ぺい体質、こういうものが根強くあるということが国民の前にはっきりしました。その改革方向の一つとして、情報公開の必要性、これが各方面から今主張されております。  ところが、警察刷新会議の第一回目の会合のときに、国家公安委員長があいさつをしておりますけれども、その要旨が私どもに配られております。検討すべき課題というか、そういう点で五つの問題点を国家公安委員長は提起したわけなんですけれども、残念ながらこの五つの課題の中には情報公開、あるいは問題点としての閉鎖性あるいは隠ぺいする体質、こういう指摘がない。したがって、解決策としての情報公開についても触れられていないというふうに、私どもに配られている資料はこれは要旨でありますけれども、そういうことになっております。  そこで、国家公安委員長に伺いますけれども、秘密性、閉鎖性と情報公開についてどういう認識をまず持っているのか。昨年来この委員会でもそうですけれども国会全体として警察の問題が審議されてまいりました。これらの審議の一連の中で情報公開についてもかなり議論をされているわけですけれども、そういうところに国家公安委員長も一緒にいるわけで、どう経過も含めて認識をされているのか、その点をまず端的にお答えいただきたいと思います。
  86. 保利耕輔

    国務大臣(保利耕輔君) 警察刷新会議の皆様にいろいろな検討をお願いいたします際に、私どもはどういうテーマをお願いするかとかあるいはどういうやり方をするかとかというようなことについて枠はめをすべきでないという観点に立っておりました。したがいまして、私もあいさつの中で五項目については述べてはおりますけれども、こういうものに、私が申し上げることにとらわれないで自由に討議をしていただきたい旨を申し上げましたし、警察刷新会議の皆さんは当然にそういう気持ちを強く持っておられまして、私が提起したものは全く無視するわけではないけれども、それにとらわれずに議論するよということが警察刷新会議のスタンスでございました。そのことは私もよく承知しておりました。  ただ、当時やはり組織論というものが非常に強く出ておりましたものですからこうした五項目の問題について取り上げさせていただきましたけれども、同時に、「これらに限らず」という言葉も入っておりまして、その中には当然のことながら情報公開等についての問題もあったわけでございます。  果たせるかな、第二回目の会議だったと思いますが、そのときに、情報公開苦情処理ということを中心テーマとしてまず真っ先に討議をされたというふうに記憶をいたしておりまして、その辺に警察刷新会議における問題意識の非常な強さというものを感じまして、私自身大変感銘をしたところでございますが、今後、こうした問題についてはきちんと私どもも討議を重ねなければいけませんし、刷新会議の中でも討議が進められていくものと、このように考えております。
  87. 富樫練三

    ○富樫練三君 今、大臣がお答えになりましたけれども、大臣が当初掲げた五項目とは裏腹にというか、それとは逆に、この刷新会議の第二回目の冒頭で課題として取り上げられたのが今おっしゃられました情報公開問題なんですね。  ですから、国家公安委員長の認識と、それから国民の声がそれなりに反映している刷新会議のメンバーの皆さん方との間に情報公開についてはかなりの落差があるというか、認識の差がある。今、国民の方は情報公開すべきだと、これが非常に大きな課題になっているにもかかわらず国家公安委員長にはそういう認識はなかったんじゃないか。あるいは認識があるにもかかわらず五項目の中に含めなかったということになれば、情報公開について避けて通ろうというふうに思ったのかもしれないし。疑うわけじゃないんですけれども。ですから、改めて情報公開について、警察問題の根本問題としてこの問題を認識していただきたいというふうに思います。  そこで私は、警察組織全体に蔓延している秘密体質、権力のおごりという言葉も刷新会議の中ではある発言者は使っているわけなんですけれども、そういうものの結果として、犯罪被害者の気持ちが警察にはなかなか通じていない、被害者を犠牲にして平気でいる、こういう警察の実態があるということなんですね。あるいは、警察によってその被害が逆に拡大をする、こういう問題も出てきていると思います。  今、交通事故は年間約百万件、死亡者が約八千から九千名でしょうか。一カ月単位で見れば一万二千人ぐらいになる、こういうことになるわけなんです。一カ月以内に死亡された方、こういう統計でいえば一万を超える。こういう状況ですから、引き続いて重大な社会問題になっている。ここに直接携わるのが警察でありますから、そういう点では警察仕事というのは大変大事だというふうに思っております。  ところが、最近の報道を見ただけでも、交通事故に対する警察の処理の不誠実さ、これは大変目立ちます。  例えば、被害者の代理人の弁護士が茅ヶ崎署から加害者の供述調書を取り寄せた。調書は事実と違うにもかかわらず実況見分調書も加害者の供述書に合わせて作成されていた。有印虚偽公文書作成容疑で神奈川県警の警部補を書類送検。これは去年の十一月です。  それから、けがの程度が二週間以内で悪質性が低い場合は送検しないと浜松中央署員が加害者に内規を漏らして、加害者は診断書を書き直して提出した。被害者の抗議で同署が事故を再捜査し、加害者を業務上過失傷害容疑で書類送検した。これはことしの二月です。  それから、被害者の供述調書を書きかえさせた。これは相手の処罰を望むという調書だったんだけれども、供述だったんだけれども、それを処罰を望まないというふうに書きかえさせる。被害者の抗議で警察署が謝罪をして、事故を再捜査して加害者を書類送検した、こういうわけなんです。事故の処分の結果、連絡がないことを不審に思った被害者が県警本部に抗議したら、県警本部は不適切な対応があったということで謝罪をした、こういうものです。これは去年の十二月です。  それから、容疑者の供述だけをもとにひき逃げ窃盗事件一般の事故として処理した。県警は職務怠慢だったとして担当の巡査部長を戒告処分、上司二名を本部長注意、加害者を道路交通法違反と窃盗容疑で書類送検をした。これは去年の十二月です。  交通事故にまつわるこういう問題というのは後を絶っていないんですね。これらの例には大変共通点があるというふうに思います。これは現場警察官の対応が共通して被害者の声を無視しているという点です。それから、職務に無責任であるという点です。さらに、被害者に対して誠意はみじんもない、こういうふうに言わざるを得ないような状況が、実態があるというふうに思うんですけれども警察庁長官に伺います、こういう指導をしているんですか。
  88. 田中節夫

    政府参考人田中節夫君) 委員指摘の交通事故の問題でございますが、お話しのように年間百万件以上発生しております。しかも、その現場におきましては、警察官が直接に被害者、加害者に接する場面でございますので、お話しのようにいろんな事例につきまして御指摘がございましたけれども、我々といたしましては、国民のための警察、あるいは警察の原点に立ち返って仕事をしなければならないというふうに申してきておりますが、その私どもの指示が現場に徹底していないということの具体的なあらわれが御指摘のような事案になっているのではないかというふうに思っております。  お話しのように、被害者の声を聞くあるいは誠実に対応することは、私どもは従来もそのとおり言ってまいりましたし、今後とも職務執行に当たりましては、誠実にしてそして公平かつ毅然とした態度でもって職務を執行するようにということで今後も指導を続けてまいりたいというふうに思っております。
  89. 富樫練三

    ○富樫練三君 そういう話は去年の神奈川県警以来もう何度も耳にたこができるほど聞いてきたわけですけれども、一向に改善されていないというのが実態だと思うんです。  全く同じような例が埼玉県警浦和警察署、ここでも起こっている。私はこれを例にして伺いたいと思うんですけれども、交通事故が起こったのは九八年、平成十年二月十三日、午前五時五十分ごろ、浦和市内で事故が発生しました。  この事故というのは、被害者A、当時四十四歳の男性です、が運転する普通乗用車にその子供さんB、高校一年生の男性ですけれども、が同乗して信号機のない交差点を走行中、一時停止をしなかった加害者Cの運転する普通貨物車が衝突をして、被害者Aはフロントガラスにひびが入るほど頭をぶつけて脳しんとうを起こす、同乗していた子供がけがをする。A、被害者ですけれども、Aは頭部外傷、頸部捻挫、腰部の捻挫で二年三カ月後の現在も通院加療中です。  問題は、事故の直後、加害者Cが警察にも連絡せず、救急車も呼ばず、けがをした運転者Aが乗っている乗用車、被害者が乗っている車ですね、それを自分の貨物車で牽引して、現場から約百メートル離れた自宅の車庫に運んで、あわせて加害者Cの妻が急いでその現場に行ってほうきでガラスの破片などを掃除する、こういうことになったんです。  それで、けがをした被害者Aが、自分が引っ張られていっている車の中から、これはおかしいということになって警察に一一〇番をする、その警察から連絡を受けた消防署が救急車をすぐ出す。こういうことで救急車もパトカー現場に行ったんですけれども、行ったときには事故を起こした車は跡形もない、現場には。しかも、事故の後にあるガラスの破片、そういうものはきれいに掃除されている、こういう状態だったんです。  この加害者Cという人は自動車修理工場を営んでいて、おまけに保険の代理店もやっているということなんです。しかも浦和警察署の生活安全課が任命する地域安全協力員ということにもなっているわけなんですね。  そこで幾つか伺うわけですけれども、この交差点は加害者の方が走ってくるところは一時停止の指定がしてあるわけなんです。ところが、一時停止はしなかったんですね。そのことは本人が認めました。ということなんですけれども、一時停止しなかったということは、これは道路交通法上のどこに違反して、もしそれが事実であるとすれば、それはどういう罰則がありますか。
  90. 坂東自朗

    政府参考人坂東自朗君) 交差点手前に一時停止の指定がされている場所で一時停止をしなかった場合につきましては、関連がある法律と条文は道路交通法四十三条の指定場所一時停止の違反ということになります。ただ、これらの具体的な条文の適用がされるか否かにつきましては、個々具体的なケースに基づいて判断されるものというふうに考えております。
  91. 富樫練三

    ○富樫練三君 言わないから私が言いましょう。  この場合は、これが事実だとすれば三カ月以下の懲役または五万円以下、または十万円以下の罰金と、こういうことになっていますよね。  伺いますけれども結論だけ言ってくれればいいですから、時間が短いですから。  実況見分調書には、加害者Cが一時停止しなかったことが記載されていましたか。
  92. 坂東自朗

    政府参考人坂東自朗君) お尋ねの件につきましては、捜査の具体的な内容ということでございますので、答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
  93. 富樫練三

    ○富樫練三君 そんなことはないですよ。私の手元にその調書があるんです。これは裁判所が出したものですからね、公になっているものですよ。そこには、本人が両側を確認したもの、確認した地点というのは一時停止地点になっているんですよ。そちらにも手元にあるだろうと思いますけれども。  だけれども、ここで確認したということは、一時停止したかのように書いてあるんです。ところが、本人は一時停止しなかったと、こうなっているんですよね。ですから、そういう点でいえば、一時停止しなかったということはここには書いてない。  そこで、その供述調書には一時停止したかしなかったか、その点については書いてありましたか、どうですか。
  94. 坂東自朗

    政府参考人坂東自朗君) 供述調書等の内容につきましては、先ほども申しましたように、捜査の具体的な内容の書類でございますので、そこにどういう記載があったかということにつきましては答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
  95. 富樫練三

    ○富樫練三君 要するに、その中身については答えられないということのようなんですけれども、幾つか伺いますので、結論だけ言ってくれればいいです。  この日は二月十三日、ですからまだ冬ですね。日の出は六時三十一分なんですね。ぶつかったのが五時五十分ごろ。前夜は雨で、まだその時点で曇っていたということなんですけれども、前照灯をつけていなかったと、その加害者の車ですね。被害者の車はもちろん前照灯をつけていたわけですけれども。  この時間帯でつけていないということについては道交法上のどこに違反して、どういう罰則がありますか。
  96. 坂東自朗

    政府参考人坂東自朗君) 道路交通法五十三条には、車両等は夜間、政令で定めるところにより前照灯等の灯火をつけなきゃいけないということになっております。
  97. 富樫練三

    ○富樫練三君 夜間というのは、基準はどこからどこまでですか。夜間の基準はどこからどこまでですか。
  98. 坂東自朗

    政府参考人坂東自朗君) 失礼しました。五十二条でございます。訂正させていただきます。  夜間は、規定によりますと、「日没時から日出時までの時間をいう。」ということになっております。
  99. 富樫練三

    ○富樫練三君 そうですね。そうすると、日の出は六時三十一分ですから、事故が起こったのが五時五十分ないし五時五十五分ごろということですから、日の出よりも三十五分か四十分ぐらい前ということですから、当然のことながらこれは前照灯をつけていなければならない、こういうことですね。  このことについてその実況見分調書にはどういうふうに記載されていますか。
  100. 坂東自朗

    政府参考人坂東自朗君) 先ほども答弁いたしましたとおり、実況見分調書の内容等につきましては答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
  101. 富樫練三

    ○富樫練三君 書かれてないんです。書かれてないんですよ、あなたが言わないから私が言いますけれども、というのが実態なんですね。だから、これは道交法上の違反だということについては全くわからない調書になっていますね。  それから、次に聞きますけれども、事故の直後、加害者Cは大変酒臭かったということを被害者のAもBも言っているわけなんですけれども、そのことを救急車で運ばれた病院から浦和警察署に連絡をして、ぜひ検査をしてもらいたいというふうに要請をしたわけなんですけれども、これは検査を行われましたか。
  102. 坂東自朗

    政府参考人坂東自朗君) この事件につきましては、業務上過失致傷罪ということで送致されておるわけでございますけれども、その他の件につきましては事件の具体的な内容ということになりますので、御答弁は差し控えさせていただきます。
  103. 富樫練三

    ○富樫練三君 事故直後、加害者Cは被害者A及びBがけがしているということを知りながら、救急車も呼ばなかったわけですよね。  これは、道交法上はどういう扱いになりますか。
  104. 坂東自朗

    政府参考人坂東自朗君) 加害者が被害者などが負傷していることを知りながら救急車を呼ばなかった場合でございますけれども、これは関連のある法律と条文は、道路交通法七十二条第一項の前段の救護措置義務の違反ということでございます。
  105. 富樫練三

    ○富樫練三君 加害者が警察署に連絡しなかったというのは、道交法上はどういう扱いになりますか。
  106. 坂東自朗

    政府参考人坂東自朗君) 関連のある法律と条文といたしましては、道路交通法七十二条第一項後段の報告義務の違反ということでございます。
  107. 富樫練三

    ○富樫練三君 先ほど言いました事故車、自分のトラック、貨物車と、それから相手の乗用車、これを現場から引き揚げましたよね。それで、その現場をきれいにほうきで掃除をする、その後に警察が来る、救急車が来る、こういう格好になっているわけなんですけれども、もしもこれが、現場を保存するということなしにして、これは証拠隠滅だということに万が一なった場合には、刑法上はどういう扱いになりますか。
  108. 坂東自朗

    政府参考人坂東自朗君) 仮定の話でございますが、一般的には委員指摘のように百四条の証拠隠滅の罪ということが関連する法律あるいは条文ということになろうかと思いますが、いずれにいたしましても、個々具体的なケースにつきまして具体的に判断されるものというように承知しております。
  109. 富樫練三

    ○富樫練三君 現場には事故車がなかった、警察が行ったときには。それは調書には書いてありますか、実況見分には書いてありましたか。
  110. 坂東自朗

    政府参考人坂東自朗君) この点につきましても、捜査の具体的な内容ということでございますので、答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
  111. 富樫練三

    ○富樫練三君 要するに書いてないんです。これにはそういうことが書く欄があるんです、ちゃんと。書く欄があるんだけれども、それは書いてないんです。その他の見分状況ということで、その他気がついたことを全部書く欄があるんです、ここに。ところが、現場に行ったところ車は一切なかったということについては、一切どこを見てもないんですよ、これには。ですから、正確な実況見分調書だというふうにはこれは言えないんですね。  そこで、その上で伺うわけですけれども、これにはまだ問題点があるんですね。それはこういう問題があります。  浦和警察署及び埼玉県警、それから警察庁の対応の問題について次に移りたいと思うんですけれども、事故の翌日、病院が出した診断書は二週間の加療を要すというふうになっています。これは、コピーを私はいただきました。  事故当日とその翌日、加害者Cは被害者Aに対して電話と直接の面談によってしつこく、今回の事故の診断書を二週間にしてくれませんか、こういうふうに言っている。被害者がどうしてですかと聞くと、二週間なら処分が甘くて済むと浦和警察署交通課の今回の事故担当警察官から言われたというふうに加害者が答えているんですね。それを聞いたので、被害者が病院から浦和警察署に電話を入れたんです。その担当の警察官に確認したところ、そのように言いましたと、こういうふうに警察官が答えているんです、被害者に対して。警察官に対してそのようなことを警察官として言っていいのですかというふうに聞いたら、ううんと言って、ううんと考えているわけですね、ううんと言って言葉がなかったと。これは裁判所に出した本人の陳述書の中の一文なんですけれども、こういう事実があるんですね。  このことについて埼玉県警本部に確認をしてみたところ、本人に確認したところ記憶にないという答えだったというふうに返事が返ってきました。警察庁の方に事実はどっちなんだということで確認をしたら、警察庁が埼玉県警本部に確かめて、今度はそういうことはなかったと。そういうことは言わなかったと、こういうふうに警察官が答えたという返事が返ってきました。どんどん変わるわけですね。本人は最初認めた、次は記憶にない、今度はそういうことは言わなかったと、こういうふうになっているんですね。  なぜそういうふうにころころ変わるのか、その原因と、もう一つは、二週間なら処分は甘いよということを加害者に伝えることは日常茶飯事になっているんですか。どうですか。
  112. 坂東自朗

    政府参考人坂東自朗君) 委員指摘の点につきましては、埼玉県警に確認をいたしましたところ、事故捜査を担当した警察官はそのような話をした事実はないというように報告を受けているところでございます。
  113. 富樫練三

    ○富樫練三君 日常茶飯事なの、二週間以内にすれば甘くするというのは。
  114. 坂東自朗

    政府参考人坂東自朗君) そういうようなことは一般的には行われていないというように承知しております。
  115. 富樫練三

    ○富樫練三君 そうでしょうね、あるとは言えないと思うんです。  そこで伺うんですけれども、そういうことは日常茶飯事ではない、特殊なことだと。今の返事ではそういうことは言わなかったというふうに言っていますけれども、本人が一番最初、事故の直後に認めているわけですからね。加害者も認め、そして当の警察官も認めているわけなんですね。そういう事実ですから、これは改めて調べていただきたいと思うんだけれども。  なぜこのケースのときに二週間、さっきの新聞記事にもありましたけれども、なぜそういうことになっているのか。  これは加害者と警察は特別の関係にあるんですよ、先ほど言いましたけれども。浦和警察署の生活安全課が任命した地域安全委員なんですよ。だから、日常的な交流があるんです。そういう人なんですね。ですから、そこは何か関係があるんじゃないかというふうに疑わざるを得ないような状況があると。実態はどうかというのは皆さんが調査すべきだと思うんだけれども、こういうふうに思いませんか。
  116. 坂東自朗

    政府参考人坂東自朗君) 交通事故捜査事件捜査というものは当然のことながら客観的かつ公平に進められるべきものでございまして、今回の事案につきましても適正に処理されたものというふうに私どもは承知しております。
  117. 富樫練三

    ○富樫練三君 適正に処理されていないから私が質問しているんだけれども。  それで、事故の三日後に被害者Aが頸部、首の捻挫のために首にギブスをはめたままの状態で浦和警察署に呼び出されて、それで事情聴取が行われたわけなんですね。事故の状況について報告したんだけれども、担当警察官がちゃんとやるからと。すなわち、ちゃんとやるからというのは、あなたが供述した中身についてはこの供述調書にちゃんと記載するからと、こういう意味だと思うんですね。  ちゃんとやるからと言われて、本人はそれを信用して、余白がたくさんある用紙の一番下のところ、例えばこれが用紙だとすれば、上の方に文字があって、余白がずっとあって、ここに署名捺印をしたというわけなんですね。この余白については後からその警察の人が埋めてくれるものだろうと、こういうふうに良心的に普通ならば思いますよね。その場で書かないわけですから、ここのところを余白にしてあるわけですからね。いわば白紙に判こを押した、こういう格好になっているわけなんですね。  それで、その供述調書、それを見せてもらいたいと確認をしたんだけれども、確認をしようと思ってね、ところが浦和警察署はそれは見せられませんと、こう言うわけなんですね。  これはこういう指導をやっているんですか。
  118. 坂東自朗

    政府参考人坂東自朗君) 刑事訴訟法四十七条というものの規定によりまして、捜査書類そのものの被害者に対する開示というのはしていない現状でございます。  ただ、警察といたしましては、被害者の心情への配慮あるいは被害回復の必要性等も考慮いたしまして、例えば捜査書類の内容を含めて捜査により明らかになったことをできる限り被害者の方々に対して御説明をしてきたところでございます。
  119. 富樫練三

    ○富樫練三君 私が聞いているのは、白紙に判こを押させているのかと聞いているんですよ。どうなんですか。
  120. 坂東自朗

    政府参考人坂東自朗君) 刑事訴訟法及び犯罪捜査規範におきましては、被害者等の供述を録取した場合におきましては、これを供述人に閲覧させ、または読み聞かせるとともに、供述人に対して増減変更を申し立てる機会を十分に与え、誤りがないことを確認の上、署名押印を求めることと規定されているところでございます。  警察庁におきましては、適正な調書の作成について日ごろから指導をしているところでございまして、本件の場合もこのような手続により適正に作成されたものと、このように承知しているところでございます。
  121. 富樫練三

    ○富樫練三君 事実と違うんですよ、それは。白紙なんだから、閲覧させたり読み聞かせするということはできないでしょう。白紙なんだから。  ということで、もうあなたの言っていることと浦和警察の担当官がやったことが全然違うということだね。どうですか。
  122. 坂東自朗

    政府参考人坂東自朗君) ただいま申し上げましたとおり、被害者の供述を録取いたしまして、そして本人に確認を求めて、それで署名押印をさせた、このように埼玉県警からは報告を受けているところでございます。
  123. 富樫練三

    ○富樫練三君 それは浦和警察署がうそをついているんですよ。あるいは埼玉県警がうそをついているんですよ。  白紙に判こを押したんですよ。後からそれは書き込んだかもしれないですよ。何を書いたかわからないですよ、本人は。被害者本人はわからない。ですから、その場では閲覧も読み聞かせもできないんですよ。それが事実だと。これは被害者本人、そこの場にいた人が言うんだから。それを埼玉県警が、いや適正にやりましたよと。  あなたどっちを信用しますか。
  124. 坂東自朗

    政府参考人坂東自朗君) ただいま申し上げましたとおり、埼玉県警におきましては、今申しましたような手続によりまして適正に作成されたというように報告を受けております。
  125. 富樫練三

    ○富樫練三君 という意見というか、被害者からそういう声があった場合に、調査しますか。
  126. 坂東自朗

    政府参考人坂東自朗君) 実況見分の調書等とそれから被害者の方の供述というものに食い違いがあった場合におきましては、再度見分等をやり直すというようなこともいたしますけれども、今回の場合はそういった食い違いがなかったということのように報告を受けております。
  127. 富樫練三

    ○富樫練三君 報告はそうでしょう。それはそういう報告をするしか、埼玉県警も浦和警察署もそういう報告をするしかないだろうと思いますよ。  だけれども被害者からそういう意見が正式に出された場合には調査をしますかと聞いているんですよ。どっちですか。調査をするんですか、しないんですか。
  128. 坂東自朗

    政府参考人坂東自朗君) ただいま申し上げましたとおり、被害者との供述の間においては食い違いはなかったということでございますので、再度見分等はしなかったということでございます。
  129. 富樫練三

    ○富樫練三君 後でまた言いますけれども、もう一つこういうのがあるんですね。  事故の当日から、当日は平成十年の二月ですけれども、九九年の十月二十一日までですから、一年八カ月ぐらいたっているわけですね。それで、被害者Aは、実況見分書を担当した警察官、その見分書を書いた警察官がだれなのかが一年八カ月間わからなかったと。だれが書いたのか、どういう警察官なのかということがわからないので、浦和警察に聞きに行ったんですね。そうしましたら、担当者の名前は言えないというのが警察署の返事だったと。それでやむを得ず、それじゃ検察庁に行って聞きますよというふうに言ったら、ちょっと待ってくれということで奥の部屋で相談をした結果、名前を教えていただいたと、こういうわけなんですね。  それで、ところが、そのときに警察署の方で、その警察官はもうここにはいないよ、こういうふうに言ったそうです。それで、じゃどちらに、転勤か異動かで、どちらに行かれたんですかというふうに聞いたら、それは言えないと。しようがないから、またじゃ検察庁に行って聞きましょうと言ったら、ちょっと待ってくれと。また相談をして、どこそこの警察署に転勤しましたよと。  警察の対応はこれでいいんですか。どうですか。
  130. 坂東自朗

    政府参考人坂東自朗君) 本件の場合、対応した警察官が不明でございますけれども、埼玉県警の場合におきましては従来より担当者の氏名を記載した連絡カードなるものを被害者の方に交付して担当者を明らかにしてきたところでございます。  今回の場合も、警察官の氏名を当事者に伝えたものというふうに承知をしております。
  131. 富樫練三

    ○富樫練三君 まだ幾つか伺いたい点があるんですけれども、ちょっと時間が迫ってまいりましたので、国家公安委員長に、今までのような事例があるということで改めて伺いたいんですけれども。  私、一番最初にその幾つかの新聞も含めて事例を挙げて、現場警察官に共通しているのは被害者の声を無視しているんだ、ここが共通していると、もう一つは、職業に対して、職務に対して大変無責任だ、こういうふうに申し上げました。それからさらに、誠実さのみじんもない、これが共通しているんだというふうに申し上げましたけれども、今の浦和警察署や埼玉県警の対応の仕方。被害者の方は何度も埼玉県警にも行っているんです。浦和警察にも行っているんです。警察庁にも来ました。しかしながら、やっぱりこの三つの点は共通しているんですよ。今の答弁も共通していますよね。被害者の声がそういうふうに出ているというのに、県警からの報告を全面的に信頼して適正に行われたと。全然適正じゃないですよ、これは。実況見分調書は事実と違うんですよ。それに基づいて検察庁に送られたけれども、不起訴になっているんですね。したがって、その不起訴は納得できないということで検察庁に今申し立てをしているわけなんだけれども、検察審査会の方に。それはやっていますよ。それから、損害賠償についても別途裁判はやっているわけですけれども、そういうふうにどんどんどんどん問題の解決を困難にさせていっている一番の根本のところに一番最初の実況見分調書がある。それから、加害者と被害者から聞いた供述調書があるわけなんですね。これが事実なのかどうかということは全く本人にも知らされない、確認できないまま事態が進行していく、こういうふうになっているんですね。  ですから、こういう実態だという点について、私が言ったこの三つの点、被害者の声を無視しないこと、改善するには。それから職業に対して、職務に対して責任ある態度をとること。それから誠実さを持ってちゃんと対応すること。このことが大事だというふうに思うのと、同時に私は、やっぱり情報を公開するということが大変大事だというふうに思っております。  これは、どういう情報を公開する必要があるか。今回の例や新聞に出されている交通事故の例から見れば、四つの点でどうしても情報公開をしなければならないなというふうに思うんですけれども、まず見分調書、これを当事者には公開すること。当事者。加害者、被害者ですね。それから、供述の調書、これも加害者、被害者、供述した本人には後日ちゃんと開示するということがどうしても必要だというふうに思うんですね。  まずその点について、今までの一連の議論を通じて国家公安委員長が考えていること、そしてあわせてこういう公開が必要なんじゃないかという点について、委員長の見解を伺っておきたいと思います。
  132. 保利耕輔

    国務大臣(保利耕輔君) 被害者の声、現場の声を大事にする、職務について忠実に行う、それから誠実な対応をする、それはもうまさにそのとおりだろうと思います。そういうことを徹底していくために私どもはこれからも努力を続けていかなければならない、まず基本的にはそういうふうに申し上げておきたいと思います。  今の事案について、いろいろ委員からの御指摘を私も伺っておりましていろいろ感ずるところもございますので、今後、私の立場から申せば、そういうことは事実なのかということをもう一度私が交通局長なり警察庁長官なりから話を聞きたい、こう思っております。  その中で、私はちょっと不思議だなと思った点が一つありますが、それは白紙にサインをされた、被害者の方が白紙にサインをされて警察を信用したとおっしゃるんですが、それでその後いろいろ問題を提起しておられると。私がもし被害者でありましたらば、白紙にサインするということは私はなかっただろうと思うんです。その辺のところの様子がちょっとわからないなというのが私の一つの疑問であります。  しかし、今お話しのような状況については、よく交通局からも話を聞き直してみまして、直すべきところがあるならばこれは直していかなければならない、それが今警察に求められていることだと思っております。
  133. 富樫練三

    ○富樫練三君 委員長、最後に一言。済みません。  この件については再調査をすべきだということと、幾つかの点については私は情報を公開すべきだということを強く主張して質問を終わります。
  134. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 社会民主党・護憲連合の照屋寛徳です。  私はきょうは、政治資金規正法と政治献金のあり方、また、いわゆる政治家と金の問題に絞って質問をやらせていただきたいというふうに思っております。  去る四月二十五日の予算委員会においても私はこの問題を取り上げました。とりわけ、橘自治政務次官が一九九五年から一九九八年までの間に合計四千万円の政治献金を清和政策研究会ほか八つの政治団体に献金している事実を問いただしました。この合計九つの政治団体は、いずれもいわゆる森総理の派閥であります森派に関連する政治団体でありまして、具体的には、山王政経調査会、政信会、清風科学研究会、世界人口問題環境保全総合研究所、仙信会、それから創信会、創造と信頼の政治を推進する会、中央政経調査会でございます。この団体は、いずれもいわゆる森派の金庫番と呼ばれておられる方が代表者もしくは会計責任者に就任をしておるということが特徴的であります。  橘自治政務次官は、予算委員会における私の質問で四千万円の政治献金の事実をお認めになりました。しかも、先ほど申し上げましたように、それらの政治団体がほとんど同一の者が代表者もしくは会計責任者になっておることについてもお認めになりました。  そこでお伺いいたしますが、橘政務次官は、四千万円の政治献金をした清和政策研究会ほか八つの政治団体がどのような具体的な政治活動をやっておるというふうに認識をしておられたのか、詳細にお答え願いたいと思います。
  135. 橘康太郎

    政務次官(橘康太郎君) 御質問の点でございますが、御指摘の九つの政治団体は、自由主義、民主主義を基調とした福祉国家建設の実現を図ることなどを目的といたしました団体でございまして、その目的達成のためにそれぞれ活動をしてこられたものと承知をしておるわけでございます。  また、これらの政治団体につきましては、それぞれ政治資金規正法に基づきまして設立届けがなされ、その活動にかかわる政治資金の収支報告書が提出され、その収支は公開されているものと承知をいたしておるところでございます。
  136. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 私がお聞きをしているのは、政務次官予算委員会の答弁の中で、私としてはそれぞれの政治団体の活動を支援しようという趣旨で法に定められた範囲内で献金をしたんだ、だから何もやましいことはないんだ、こういうふうに答弁しているわけですね。そうすると、今言うように自由主義と民主主義と福祉国家の建設を目的とし云々ではなくして、政治資金規正法上、それぞれの団体、代表者を決め、会計責任者を決め、設立目的を定めて、規約を定めて届け出るわけですね。あなたが献金をされた九つの政治団体というのはどのような活動をやっておったんですか、具体的に。
  137. 橘康太郎

    政務次官(橘康太郎君) 御質問の点でございますが、繰り返しになりまして大変恐縮でございますが、前の御回答と同じことでございます。
  138. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 それでは承知できませんよ。前の回答と一緒だって、福祉国家建設を目的と、そんな抽象的なことじゃなくして、あなた御自身が予算委員会でそれぞれの政治団体の活動を支援しようという趣旨で献金したんだと、こう言っているわけですから。  それぞれの九つの政治団体はどのような活動をしておったんですか。実際はやってなかったんじゃありませんか、何も。
  139. 橘康太郎

    政務次官(橘康太郎君) 先ほどお答えいたしました。まことに繰り返しで申しわけございませんが、それぞれの団体は、その活動にかかわることにつきまして、政治資金の収支報告書の中でそれを明らかにしておるところでございます。
  140. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 私が聞いているのは、予算委員会という公の場で政務次官御自身が、それぞれの政治団体の活動を支援するという趣旨で、そういう目的で献金したんだと。だから、献金の事実をお認めになった上で、九つの政治団体の活動を支援するということであなたは献金したと言っているわけですから、九つの政治団体はどんな具体的な活動をやっておったんですか。どうしてそれが明らかにできないんですか。
  141. 橘康太郎

    政務次官(橘康太郎君) 先ほど来繰り返して申し上げておるとおりでございます。
  142. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 何にも答えてないじゃないですか、繰り返し申し上げますというんだけれども。  私は、政治資金規正法を所管する政務次官として、こういう態度で本当にいいんだろうか。今まさに国民が、政治資金規正法の立法目的に照らして政治献金というのは透明性を保つべきである、こういうことを強く望んでおるわけですよ。私は、今の政務次官のその姿勢というのは、これはとても国民が納得できるものじゃないということを強く申し上げておきたいと思います。  それでは自治省にお伺いいたしますが、今指摘をした九つの政治団体の所在地と代表者と会計責任者、それから電話番号を明らかにしていただきたいと思います。
  143. 片木淳

    政府参考人片木淳君) お答えいたします。  御指摘の九つの政治団体につきまして、公表されている収支報告書を確認いたしましたところ、まず順次申し上げます。  山王政経調査会、主たる事務所の所在地千代田区紀尾井町一赤坂プリンスホテル内、代表者手塚光夫、会計責任者金子裕子、電話番号三二六五―二九四一。  政信会、主たる事務所の所在地千代田区紀尾井町一赤坂プリンスホテル内、代表者飯塚勝巳、会計責任者手塚光夫、電話番号三二六五―二九四一。  清風科学研究会、主たる事務所の所在地千代田区紀尾井町一赤坂プリンスホテル内、代表者八木勇吉、会計責任者手塚光夫、電話番号三二六五―二九四一。  清和政策研究会、主たる事務所の所在地千代田区紀尾井町一赤坂プリンスホテル別館二F、代表者手塚光夫、会計責任者金子裕子、電話番号三二六五―二九四一。  世界人口問題環境保全総合研究所、主たる事務所の所在地千代田区紀尾井町一番地赤坂プリンスホテル一〇一号室、代表者飯塚勝己、会計責任者手塚光夫、電話番号三二六五―二九四一。  仙信会、主たる事務所の所在地千代田区紀尾井町一赤坂プリンスホテル内、代表者金子裕子、会計責任者手塚光夫、電話番号三二六五―二九四一。  創信会、主たる事務所の所在地千代田区紀尾井町一赤坂プリンスホテル内、代表者金子裕子、会計責任者手塚光夫、電話番号三二六五―二九四一。  創造と信頼の政治を推進する会、主たる事務所の所在地千代田区紀尾井町一赤坂プリンスホテル内、代表者手塚光夫、会計責任者金子裕子、電話番号三二六五―二九四一。  中央政経調査会、主たる事務所の所在地中央区日本橋本石町四―四中尾ビル六〇二号室、代表者高橋登、会計責任者手塚光夫、電話番号三二六五―二九四一とそれぞれ記載されているところでございます。  以上でございます。
  144. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 今言ったように、九つの政治団体、ほとんどが赤坂プリンスホテル内、同一場所であります。電話番号三二六五―二九四一、電話番号も一緒。ところが、日本橋と赤坂プリンスホテル、これも電話番号が一緒なんですね。まさに「おどろき桃の木山椒の木」でありますが。  この同一場所、同一代表者、同一会計責任者、こういったものはそもそも政治資金規正法の政治団体として法律が予想していることなんでしょうか、自治省。
  145. 片木淳

    政府参考人片木淳君) 政治資金規正法上、政治団体の事務所の設置場所、代表者等の役員の選任要件、資格につきまして制限する規定はないところでございます。
  146. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 確かにだれが役員になろうとか制限する規定はないけれども、同一人が幾つもの政治団体に名を連ねる、同一場所、場所は違うけれども電話番号が一緒、とんでもない話じゃありませんか。赤坂プリンスホテル一〇一号室に所在場所が定められている政治団体もありますね。ところが、赤坂プリンスホテルには一〇一号室はないというんです。そういう実在しない所在地を報告書に記載すると、政治資金規正法ではどういう扱いを受けるんですか。そんなことをやっていいんですか。
  147. 片木淳

    政府参考人片木淳君) 政治資金規正法第二十五条におきまして、収支報告書に虚偽の記入をしたということになりますと、そうした場合に係る罰則の定めがあるところでございます。  いずれにいたしましても、個別の事案につきましては具体の事実に即して判断されるわけでございまして、自治省としては実質調査権を有しておりませんので、お答えいたしかねるところでございます。
  148. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 実質調査権はない、しかし予算委員会やこの場で具体的に問題指摘がされたわけでありますから、調査をしなければいけないでしょう。どうですか。
  149. 片木淳

    政府参考人片木淳君) ただいま申し上げましたとおり、法律によりまして自治省に実質調査権が与えられておりませんので、しかも問題が政治活動の自由に関する事柄でございますので、差し控えさせていただきたいと考えておるところでございます。
  150. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 中央政経調査会についても、代表者が実在の人物であるかどうかというのは大きな疑念があります。  私は、これらの今指摘をされた九つの政治団体というのは、明らかに具体的な政治活動はやらない、第一、政務次官、献金した御本人が具体的な政治活動については答えられないんですから、これはペーパー団体だというふうに私は思わざるを得ません。そのことを強く指摘し、同時に、これは私は政務次官の責任は非常に大きいということを強く申し上げておきたいと思います。  それでは自治省にお伺いいたしますが、四月二十九日付の東京新聞で報道された河村文部総括政務次官の先ほど指摘をした森派政治資金管理団体への三千万円の政治献金の事実は、そのとおりでしょうか。
  151. 片木淳

    政府参考人片木淳君) お答えいたします。  報道されております献金につきまして、九つの今御指摘の政治団体の平成八年から平成十年の収支報告書及び平成七年の収支報告書の要旨に係る官報告示を確認いたしましたところ、三千万円ちょうどではないと思いますが、そのような寄附がなされた旨の記載があるところでございます。
  152. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 この問題も河村文部総括政務次官の三千万円に及ぶ政治献金も、橘政務次官と同じような方法で政治献金がなされているんです。これは私はもう大変大きな問題だと思いますよ。こんなことをやって政治家と金にまつわる問題、本当に国民に納得できるような説明ができるかというと、私はとてもできないと思います。  しかも、私が調べた河村文部総括政務次官の所得等報告書を見ますと、例えば平成七年ですと、歳費それから団体役員報酬を含めて三千二百万円余りの収入しかないんです。橘さんはもっとたくさん収入があられるんですが、三千二百万のうち八百万円も献金しているんです。平成八年は二千五百万余の収入のうちから五百八十万円寄附している。平成九年が三千二百万円余りの収入に対して七百九十万円。平成十年が三千六百八十七万円余の収入で八百五十万円寄附しているんです。  これはどういう意図で、どういう目的でこんなにもたくさんの政治献金をしたのだろうか。しかも、それがいずれも森派の政治団体になされているという事実は、これは大きな意味を持っていると。なかなか橘さん御本人も事実をおっしゃりませんけれども、いずれこのことは私は大きな問題になるだろう、こういうふうに考えております。  それで、私は予算委員会でも申し上げましたけれども、結局のところこれは政治資金規正法の献金の上限額、これの脱法行為ではないか。おっしゃるように、合法的な装いが緻密にこなされております。それは、合法だ、違法じゃない、政治資金規正法で許されているんだと、こうおっしゃりたいのかもしれませんけれども、まさに橘政務次官、河村政務次官が森派へ政治献金をした、この具体的な事実に照らすと、私はむしろ合法性を装った脱法行為であるというふうに言わざるを得ない。私自身三十年近く弁護士をやって、法律家としてそうとしか思えないんです。また、国民のごく常識的な考え方からしても、これは政治資金規正法の献金額の上限を超えていないから合法なんだ、こういうふうに言い張ってもやっぱり国民は納得しないだろうというふうに思います。  それで自治大臣にお伺いいたしますが、この橘、河村両政務次官の献金方法、具体的な献金は、これは違法な脱法行為ではないでしょうか。政治資金規正法との関係でどのように考えておられるんでしょうか、お伺いいたします。
  153. 保利耕輔

    国務大臣(保利耕輔君) 先ほど自治省からのお答えを申し上げましたとおり、違法と言い切れないというところがございますものですから、現在このようなものが違法の形ということの認定はしがたいものであります。  しかしながら、こうした御指摘、いろいろ具体的な例を引いての御指摘でございますが、今調べてみますと、九つの団体のうち一つ、清和政策研究会を残しましてあと八つの団体については昨年じゅうに全部解散がされておりますので、今後そういう措置はとりがたいもの、私はそのように認識をいたしておるわけでございます。  また同時に、この種のものをまたやれば同じではないかという御指摘もあろうかと思いますが、それにつきましては、政治活動に関することでございますから、各党各会派においていろいろ御協議をされて、こういう事態を起こさないようにすることについて御検討いただければよろしいのではないかなと思います。  自治省といたしましては、政治的な自由に対して干渉するということは避けなければならないことであるというふうに認識をいたしておりますので、何とぞ各党各会派でのお話し合いをお願い申し上げたいところであります。
  154. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 それでは、自治省にお伺いいたしますが、一九九五年から一九九八年の間に、先ほど指摘をした森派政治団体に五十嵐真一、五十嵐好子個人名義でなされた政治献金の額を明らかにしていただきたいと思います。
  155. 片木淳

    政府参考人片木淳君) お答えいたします。  御指摘の九つの政治団体の平成八年から平成十年の収支報告書及び平成七年の収支報告書の要旨に係る官報告示を確認いたしましたところ、順次申し上げますが、山王政経調査会には五十嵐……
  156. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 合計でいいです。真一と好子で。別々の合計で。
  157. 片木淳

    政府参考人片木淳君) それぞれの団体に対してそれぞれ寄附がなされておるものでございますが、政治献金がなされておるものでございますが、仮に合計をするということでお答えをさせていただきたいと思います。  ちょっと申し上げますと、まず平成七年から申し上げますが、全団体に対して寄附が行われているわけではございません。年によりまして、八、九、十と順次申し上げますが、年によりまして対象団体は異なりますが……
  158. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 いや、合計でいいですよ、合計で。
  159. 片木淳

    政府参考人片木淳君) その前提で仮に合計ということで申し上げます。  平成七年、五十嵐真一、合計一千万円。五十嵐好子、二百万円。平成八年、五十嵐真一、一千万円。五十嵐好子、二百万円。平成九年、五十嵐真一、一千万円。五十嵐好子、二百万円。平成十年、五十嵐真一、一千万円。五十嵐好子、二百万円となっております。
  160. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 森派の政治団体に、平成七年から平成十年の間に五十嵐夫妻で四千八百万円政治献金されているんです。これはちょっと私も公表された書類で確かめましたけれども、恐るべき数字だなというふうに思っております。  ところで、一九九二年秋の園遊会に五十嵐真一さんが招待されておりますが、それはいかなる肩書で、だれの推薦で招待されたんでしょうか。
  161. 岩崎勉

    政府参考人岩崎勉君) 先生御指摘のとおり、招待をされております。  園遊会招待者につきましては、宮内庁から内閣官房に対しまして推薦依頼がございます。その際に示されました選考基準によりまして各省庁から推薦をしてもらいまして、これを取りまとめて推薦しているところでございます。  本件の推薦省庁は科学技術庁でございました。
  162. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 どういう理由で科技庁は推薦をしたんでしょうか。
  163. 林幸秀

    政府参考人(林幸秀君) 御説明いたします。  五十嵐氏につきましては、平成四年秋の園遊会に科学技術庁より内閣官房に対しまして推薦をいたし、その結果招待されたと承知しております。  推薦を行った理由でございますが、五十嵐氏は長年にわたりまして清掃事業活動を行ってこられ、また二十年以上にわたりまして日本環境保全協会の理事として活躍されるなど、廃棄物処理、清掃業界に功績があることにあわせまして、環境保全技術の開発に尽力されたことを考慮いたしております。
  164. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 同五十嵐氏は一九九八年春の褒章を受章しておりますでしょうか。そうであれば、いかなる功績でだれが推薦されたのか明らかにしていただきたい。
  165. 榊誠

    政府参考人(榊誠君) 御質問の五十嵐真一氏につきましては、平成十年春の褒章におきまして藍綬褒章を受章されております。受章の功績といたしましては、今科技庁からもお話がありましたように環境衛生の向上に関するものでございまして、推薦省庁は厚生省からでございました。
  166. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 私は同氏が褒章を受けられることの是非をこの場で論じようというふうには思っておりません。  ところが、先ほど自治省から報告がありましたように、御夫婦でこれはもう個人としては極めて高額の政治献金を、しかも森派の政治団体にしていると。このことは恐らくごく普通の国民感情からすると、とても納得しがたいものではないかということを現段階では指摘しておきたいというふうに思っております。  一つだけ質問を飛ばしてしまいましたが、橘政務次官にお伺いいたしますが、あなたの御家族、例えば父親あるいは御子息から森派の政治団体への政治献金やパーティー券の購入などはありましたか。
  167. 橘康太郎

    政務次官(橘康太郎君) 御質問の点でございますが、あったと承知いたしております。
  168. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 幾らございましたか。
  169. 橘康太郎

    政務次官(橘康太郎君) 今定かでございません。でも、二百万前後、父の場合は。息子の場合は五十万前後ではなかったかな、このように考えておりますけれども
  170. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 最後に、橘政務次官にお伺いいたしますが、森派への合計四千万円の政治献金、これは政治資金規正法に照らして合法であって何ら非難されるものではない、こういうふうに予算委員会やあるいは本日の委員会で繰り返し述べておられますが、仮に合法だとしてもこういうやり方というのは本当に好ましいことだろうか、適正なことだろうか、このことについてはどうお思いですか、最後にお伺いいたします。
  171. 橘康太郎

    政務次官(橘康太郎君) 私は、予算委員会並びに本日申し上げたとおりでございます。
  172. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 好ましいことだとお思いですか。
  173. 橘康太郎

    政務次官(橘康太郎君) 繰り返しで大変恐縮でございますが、予算委員会と本日申し上げたとおりでございます。
  174. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 予算委員会や本日何もおっしゃらないから、仮に合法だとしても、あなたがやった献金というのは、献金行為というのは好ましいことだとお思いなんですか。それは、政治資金規正法を所管される政務次官だから私は聞いておるんですよ。好ましいことであるとお思いなのかそうでないのか、そこだけはっきり答えてください。
  175. 橘康太郎

    政務次官(橘康太郎君) 大変恐縮でございますが、繰り返しになって恐縮でございますが、予算委員会で申し上げたこと、そしてきょう申し上げたとおりでございます。
  176. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 私は、何ら具体的な答弁が得られなかった、答弁を拒否した、自治政務次官が答弁をしなかった、こういうふうに受けとめて、時間でありますので終わります。
  177. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 参議院クラブの松岡滿壽男です。  警察刷新会議の資料をいただいておりますので、まずそれに基づきまして質問をしたいというように思います。  せんだっての予算委員会で前小渕総理ともこの警察問題についてのやりとりをしたことを思い出しておるんですけれども、やはり当時の支持率の低下ということについて、金融の問題それとやはり警察の問題が一つの理由になっているという御答弁を当時いただきました。  やはり国民の最大の関心事というものは、そういう警察、身近な問題としてとらえていた、警察国民の信頼にこたえていない、いろいろな問題が噴き出してきている、そういう不安というものがそういうものにつながっておったというように認識をいたしておりまして、そういう中から今回警察刷新会議を持たれたというふうに思うわけであります。  しかし、もともと私は、現在の議院内閣制のもとでさまざまな審議会、国民会議、私的諮問機関、広く国民意見を聞くということは大切だと思いますけれども、大統領制あるいは知事、市町村長とは別の形で、総理大臣というのは議院内閣制という中であるわけでありますから、国会での審議、国会に対する責任を持つというのが基本だというふうに私は主張しておりましたし、せんだっても予算委員会で資料の提出を求めましたら、各省庁の審議会の数だけでも二百幾つ、それから私的諮問機関も二百以上あると。それにはやはり国民の謝礼として税金も払われておるわけでありますし、当時の官房副長官の御説明では二億円ぐらいの報酬だという話がございました。  しかしながら、今回これだけの大きな問題を引き起こしている警察の中で、やはりいろいろな英知を結集して何とか改革をしていかなきゃいかぬということでありますから、警察刷新会議における熱心な取り組みにつきましては、私も評価いたしますし、敬意を表したいとは思うんです。  しかし、この中を見ていましてちょっと気になりますのは、本国会での、取り組みその他について自治大臣がきちっと説明するというような御回答もこの委員会でいただいておるわけでありますが、「警察の不祥事が多発し、警察に対する国民の信頼は、大きく損なわれました。」、「国会などでの御論議や国家公安委員会に寄せられる国民の御意見等を見ましても、警察の不祥事が後を絶たないのはその体質そのものに原因があり、組織人事教養制度の在り方を抜本的に改革すべきであるとの厳しい指摘がなされております。」ということを保利自治大臣は冒頭に言われまして、五つほど具体的な一つのたたき台を示されておるわけであります。それに対して、氏家座長と樋口座長代理の三月二十三日の第一回の記者会見で、「警察には閉鎖性、秘密性、おごりの問題があるが、最大の問題点は情報公開がきちっとしていないことである。」。ここまではよかったんです、ここまでは。その後に、「全警察官が総懺悔するような話ではなく、どこに特定の問題点があるかを探し出し、そこを変革していくことが必要である。」と、こういう意識ですね。  私は、意識改革こそ今必要だと思うんです。前線での警察官がいかに真摯に国民の安全を守るために取り組んでいるかは我々も知っていますよ。しかし、これだけの問題が出てくるということは、全体がやっぱり意識改革をしなきゃいかぬ。しかしこの警察刷新会議にそういう意識があるんでしょうか。この言葉を見まして、一体どうなっているんだという疑問を生じておるんですけれども、大臣は、それに対するコメントはあれでしょうけれども、どうも我々の真剣な議論とかそういうものがこの刷新会議に反映しているんだろうかということにいささかの疑問を覚えるんですけれども、いかがでございましょうか。
  178. 保利耕輔

    国務大臣(保利耕輔君) 警察刷新会議におきますどの委員の方々も、現在の警察の不祥事にかかわるいろいろな問題については大変な危機意識を持っておいででございます。特に、国民の皆様方に御納得をいただけるような改革をしないといけないのではないかという意識は非常に強く持っておられまして、そういう観点からいろいろな議論を展開していただいておるところと私は承知をいたしております。  困り事相談とかそういう細かい話まで出ておりますし、また大きな話としては、公安委員会制度そのものについてのいろいろなお話というようなことも、ひいて言えば、やはり現在の警察制度が戦後長い間たちまして大分疲弊をしてきているし、社会一般情勢を反映しているんでしょうか、警察官の意識の低下が部分的にでも見られる、そういうものがいろいろな犯罪増加につながってきているというような認識は警察刷新会議の中でも非常に強くあるというふうに申し上げておきたいと存じます。  御質問の趣旨に真っ向から答えているかどうか私もちょっと自信はありませんが、私が出席をしている範囲では、そのように私は感じております。
  179. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 大臣、そうじゃないんですよ。やはり国会での論議とか国民の不安とか関心とか、そういうことから見たら、大臣がここまで表現しておられるわけですから、刷新会議の方でむしろ全警察官が総ざんげして出直すぐらいの気持ちでやるべきだという表現があってしかるべきだと思うんだけれども、そういう認識にこの警察刷新会議は欠けておるんじゃないかという疑問が私があるから御質問を申し上げておるわけです。
  180. 保利耕輔

    国務大臣(保利耕輔君) 警察刷新会議の中におきます議論につきましては、氏家氏が代表いたしまして記者会見をその都度やっております。その振りつけについては私どもは全く関与せず、警察刷新会議の皆様が複数出席をしておやりになっていらっしゃるということであります。  しかしながら、議論の中で私ども入っておりまして感じますところは、やはり今の警察については、十分に根性をたたき直すというか、俗な言葉で言えばそういうことでしょうけれども、そういうことは必要だという雰囲気は私もひしひしと感じておりまして、記者会見の中でそういうものを出していないということが御指摘かと思いますが、そこはもう警察刷新会議に私としてはお任せをしているんでありますけれども、雰囲気としては、今申し上げましたように、十分にそのことは認識をしておられるということをこの場で御報告をさせていただきたいと思います。
  181. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 そういうふうに願いたいと私も思いますけれどもね。  もう一つ気になりますのは、全会一致。要するに、全会一致結論が出るまで徹底的に議論する、裏返せば多数決ではやらない、この答申は、ということのようですね。そうすると、一人か二人異論があれば、議運みたいなもので、結論が出ないということになるとこれは何のための刷新会議だという疑問が一つあるんですが、こういうことはどうなんでしょうか。
  182. 保利耕輔

    国務大臣(保利耕輔君) その点については私からお答えするのが適当かどうかわかりませんけれども、最初のときに御議論がございまして、この会は、異論があれば全会一致といいますかみんなの意見が一緒になるまで議論を闘わせて一つの結論を得ていくようにしたいと思うと。多数決で決めるというのは、仮に三十人とか五十人とか大きなグループで論議をいたします場合には多数決の決定もやむを得ないと思うが、六人程度の会議であるならば、みんなが一致するまでとことん話し合うべきであるというふうに全員が一致しておられたということであります。
  183. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 それはそれでいいことですけれども、例えば困り事相談の問題を具体的に取り上げられております。この委員会でもせんだって相談員の設置が決まったという御報告を受けました、二千人の。今度はそうすると、今まで警察庁でやろうとしておった相談員制度と今度新しく提案される困り事相談員、これはどのような仕分けになってくるのか。我々から見ても、せっかく国会の場でも議論してそういう相談員制度を設けるということになって、今回の警察刷新会議でもその提案がなされておるわけでありますけれども、これはどのように理解すればいいんでしょうか。
  184. 保利耕輔

    国務大臣(保利耕輔君) 中間答申になりますか最終答申になりますか、そこの中でどういう表現になっていくのかということでありますが、その御意向を尊重して、政府といいますか、警察庁が責任を持って一つの改革案をつくり上げていくということになりますから、その後の調整だろうと思います。  しかし、困り事相談というのは、実は法整備を必ずしも必要としない、むしろ予算措置等が必要かもしれませんが、そういう考え方は警察庁の方にもありまして、必ずしも名称は統一をされておりませんが、親切な窓口対応ということを非常に強く求められている昨今でありますので、それをできるだけ早く全警察庁につくっていくということが現下の急務でもある。  したがって、そういうインフォメーションを刷新会議の方にも入れながら刷新会議の方でそういう一つの方向づけを出していただくということになっていこうかと、こんなふうに思っております。
  185. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 先ほど多数決の問題にこだわりましたのは、今回オープンにして、いろいろと国民の方にも窓口が開かれて情報も入れておられるということは非常に私はいいことだというふうに思っているんですけれども、この困り事相談という、ある委員さんが言っておられることが、「「困りごと相談」という表現は、警察は何でも引き受けるといっているように聞こえ不適切。」だと、「仕事が増えている中で、本当に処理できるのか。本来やらなければならない犯罪捜査などに力が行かなくなったら、本末転倒極まりない。国民の依存体質を助長して、警察仕事が増えるばかりになるのではないか。」という、こういう御発言があるんですけれども、これを見て私も目を疑ったわけですけれども、今どきそういう発想をされると、国民がこれだけ不安を持って何とかしてくれと、それにこたえてこの刷新会議ができているわけでしょう。それに対してこういう意見があったら、やはりそうかと、困り事相談というのは、多数決でやるから、やっぱりこれは慎重にやらにゃいかぬなということで、何のためにやっているかわからなくなってくるということを私も危惧するんですけれども、これに対して大臣のコメントを求めてもちょっと御返答のしようもないだろうとは思うんですけれども、いかがなものかなという思いが実はいたします。
  186. 保利耕輔

    国務大臣(保利耕輔君) 確かに市民のための窓口である困り事相談室というようなものあるいは相談の係というようなものを置いてやるということは、それだけに人員も食うことでもありますし、また手間暇もかかることでありますから、その面についてはむしろ政治の場でいろいろ配慮をして、そういったやり方についてサポートしていかなければならないというのは、私もそのように感じております。  一方で、どなたが申されたか私は定かに記憶がありませんけれども、本末転倒という言葉は私は実はよく覚えておりませんが、どなたでもやはり、国家の治安を維持していくという警察の最も大切な任務というのは忘れてはならないぞという気持ちはどなたでもお持ちになっているだろうと思いますし、私自身がそう思っております。同時にまた、市民のための警察国民のための警察という立場も忘れてはならない。それだけに警察に課せられた任務は非常に重いし、また大きい。  それを我々が後押しをすることによってその両面がきちんと対応できていくようにしていくというのは、国家公安委員会仕事でもありますし、また応援してくださる議員の皆様方にもお願いをしなければならないことだと。そのようにして、両々相まって、あらゆる面で日本の国民が安心して生活できる日本の国家というのをつくっていかなければならない、そんなふうに私は考えております。
  187. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 それで、まだもちろん途中ですからいろいろと支障もあるかもわかりませんが、この警察署評議会仮称)を設置するという一つの提案があるんですね。自治体関係者とか保護司とかNPO、婦人団体、被害者団体、弁護士会、町内会、学校関係者等の代表者から成る警察署評議会を結成するものと。原型は英国にあり、これを日本流にモディファイしていこうということになったということでありますが、実は、せんだって予算委員会で、三月十六日ですか、参考人を呼んでこの問題をやったときに、渥美東洋さんという方が参考人で来られまして、私もこれは質疑をやったんですけれども、「ある面で民間人を内容に入れながら警察活動全体を賄うというのは世界の潮流なんです。宣誓した上で警察活動をやる人とそうでない人と両方を置いて、サポートしてもらうという形になるんだったらば、今いろいろ問題になっている国籍条項も問題なくやられますでしょう。」「そういうことも考えていただきたいし、それから今は警察OBの方々たちを多く活用するという方法もないわけじゃありません。」、「早くやめて日本の社会からほうり出されて生きがいを失っている我々に、」、これは定年の方だと思うんですけれども、御自分も入れて、「私も何か老人年金手帳なんというものをもらう年ですが、こういう人間をもっと使ってもらいたいんです。我々がそういう仕事を与えてくださればいろんなことをやりますから。松岡さんもどうぞそういう仕事をしていただいて、」、私も引っ張り込まれてもあれなんですけれども、「みんなで一緒にそういうことをやりましょうよ。」ということを言っておられまして、「警察官としては採用しなくたって、地域で一番大変なお仕事をされて、子育てをされて、人間関係を御存じなのは女性の方々です、日本では今でも。だから、それらの方々の信頼を得るように、それらの方々の協力を仰いだらいいです。」、「そうすれば、女性が入ってくることによって、殴ったり火をつけたりするようなことはなくなります。」というような答弁がありましたけれども、これは大体そういう審議の中で方向づけがなされつつあるんでしょうか。いわゆる警察署、地域の中でサポートしていくと、地域が警察と連携をとりながら、民間も入れて。  ところが、今現在地域社会の中では、かつての交番というものが、昔は家族で警察官が住んでおられたけれども、ほとんどいないわけですね。だから、駆け込もうにも行ったってだれもいないという状況。そうなると、地域化されるためには確かに一つのこういう方向づけがあるんだけれども、その前にやっぱり交番という核になる部分がきっちりしなければならぬと私は思うんですけれども、そういう点についての御意見があればひとつお願いしたいと思います。
  188. 保利耕輔

    国務大臣(保利耕輔君) 私がこの場で刷新会議の中のことについて詳しく御報告をするのが適当なのかどうかわかりませんが、今のPCCGというイギリスでとっております制度については議論が出たことは確かであります。記者会見でもそこの点が随分強く御質問があったようでございまして、新聞によっては大きな記事にされたところもあるようでございます。  ただ、PCCGをそのまますぐ日本に適用できるかどうかということについてはまだ議論を深めなければならない点だと思っておりまして、イギリスでつくりましたけれども、必ずしもイギリスで成功しているとも言えない、そういう面があるようでありまして、つくったところつくらないところ出てきて、これは警察署単位でございますが、しかも、形だけつくったんだけれども実際は警察が一生懸命お守りをしているというような姿というようなものがあるようでございますので、そういった点も十分検討を加えながらこのPCCGをどういうふうに入れていくのか、あるいは入れないのか、当面は入れないで将来の研究課題にするのか、そういった点は今後の検討になると私は思っておる次第でございます。
  189. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 警察関係はそのくらいにいたしまして、土地開発公社の塩漬け土地の問題でございますが、これは二月七日の日経ですか、「簿価で三兆八千五百億円」、「整理先送り 監督も甘く」という形で取り上げられておるわけであります。各自治体とも非常にこの問題では頭を悩ませておるわけであります。地価も先が見えないわけでありますし、経済構造も変わってくるという中で、今後これの健全化をどうやって取り組んでいったらいいかということで、みんな頭を悩ませておるわけであります。  しかし、この取得の中には、非常に取得の過程が不透明なものとか明確な利用計画がないのに取得してしまったとか、現行制度でのチェック機能が十分に実は働いていないんですよね、振り返ってみると。これはやはり今後地方分権を進めていく上において非常に大きな課題だと思うんですね。  きょうは衆議院の方で例の政務調査費ですか、地方自治法の一部を改正する法律案が通って、参議院に来るわけです。これは今後の地方議会を強化していくという上では非常に重要なことであろうと思いますし、そういう御努力に感謝はしたいと思っております。各党全党でそういう体制をつくろうという機運が出てきたということだと思うんですけれども、このチェック機能が十分に働いていないという点が非常に気になるわけですね。  例えばの話として今、土地開発公社の問題を申し上げておるんですけれども、この点についてどのように対処していかれる御所存か伺いたいというふうに思います。
  190. 保利耕輔

    国務大臣(保利耕輔君) 詳細については平林政務次官から御答弁をいただきますが、最近の動きを私の方からちょっと申し上げておきますと、平成十二年四月二十一日、つい先日でございますけれども、建設省の建設経済局長自治大臣官房総務審議官との連名の通知を各自治体に出しておりまして、土地開発公社の運営改善についてということで六項目、例えば土地取得手続の適正化でありますとか、保有土地の処分の促進でありますとか、そういう通知を出して地方自治体の方にお願いをして、処分ないしいろいろな適正な処理についてのお願いを出しているところでございますので、つい最近のことでございますので、私の方からそのことを申し上げさせていただいて、残余の答弁は平林政務次官からしていただきます。
  191. 平林鴻三

    政務次官(平林鴻三君) お尋ねの地方議会のチェックの問題を中心にお答えをいたしますが、御承知のとおりでありますけれども、土地開発公社は、公有地の拡大の推進に関する法律というのがございまして、その規定に基づきまして地方公共団体の長に予算、事業計画の承認等を受けることになっておりますほか、地方自治法の規定により、土地取得に当たって地方公共団体が債務保証を行う際には議会の議決を受けるということになっております。したがいまして、土地取得の時点で地方公共団体のチェックを受けるという仕組みは既にでき上がっておるわけでございます。  これも御承知のところでありますけれども、土地取得時から時間が経過いたしまして、財政事情の変化あるいは取得後の事業計画の見直し等によりまして、土地開発公社が長期にわたって保有するということになっておる土地が見受けられます。そこで、土地開発公社が土地を取得する際には、土地利用計画や地方公共団体による買い取りの見通し等につきまして十分チェックをするように、大臣が今お答えしたような指導をやってきたわけでございます。さらに、本年四月には、この土地開発公社のより一層計画的かつ適正な運営を図るために、土地取得手続の適正化等に係る留意事項を地方公共団体に対して通知をいたしたところでございます。  今後も、引き続きこの問題には十分留意をして、指導の誤りなきを期していきたい、かように思っております。
  192. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 平林先生も知事さんをやっておられたし、私も市長をやっておったわけですけれども、現実問題として、地方議会の中でのそういう、チェック機関はあるけれども十分なチェック機能を果たしているかどうかということに問題があるわけでありまして、今後地方分権を進めていく段階でのいろんな議論をするためには、やはり過去を振り返り、反省して対応していかなきゃいかぬという思いでこういう御質問を申し上げたわけであります。  もう一つ、例の特別地方債の廃止の問題です。  病院建設費など年に一兆三千億円、結局厚生省は病院やごみ処理場の建設資金として公的年金の積立金を原資に行っている地方公共団体向けの融資を平成十三年度から廃止するということになったわけですね。平成十二年度で一兆三千億円もの資金が財政力の弱い市町村を中心に融資される予定になっているわけですけれども、これが廃止されるということになると安定した資金調達資源を失うわけでありまして、地方債の消化難あるいは調達コストの上昇の可能性もある。特に小規模な市町村では大変不安になっておるわけですね。  これに対して自治省としてどのように対応をなさるのか、それをお伺いいたしたいと思います。
  193. 嶋津昭

    政府参考人嶋津昭君) 現在、国会で御審議されております財投改革によりまして、御指摘のように、資金運用部の預託義務の廃止の関連で、従来特別地方債として病院とかあるいは一般廃棄物の処理事業とかあるいは簡易水道事業等に対して地方債計画上一兆三千億ほどの融資規模で還元融資という形で行われていたわけでございます。  したがって、この財投改革後の取り扱いでございますが、御指摘のように、それぞれの事業は地方団体の行政に大変重要な事業でございますし、また、そういう形で今まで年金資金がいわば還元融資の形で有効に活用されていたところでございますので、そういうのを財投改革後どういうふうに資金を確保していくかということについて関係省庁と現在協議をしているところでございますが、方向といたしますと、今回の財投改革後も、今度、郵便貯金資金なりが直接融資をするという窓口が開かれます。あるいは、財投債を原資にいたしまして財政融資資金制度ができますので、その財政融資資金制度は今の還元融資の機能を補完するような形での利用も一つ考えられるところでございますし、あるいは、病院事業なりあるいは簡易水道事業というのは公営企業金融公庫の融資対象事業でもございますので、公営企業金融公庫の融資について、その拡充を図っていくというような必要性もございます。  全体を通じて、今後また新しい財投計画あるいは地方債計画で国会において御議論をしていただいて、それで資金を集める力が弱いような地方団体に対しても必要な資金については十分な配分ができるような地方債計画、財投計画をつくりまして国会に御審議をお願いしたいというふうに考えているところでございます。
  194. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 特例市の話を聞こうと思ったんですけれども、時間が参りましたのでこれでやめますけれども、ぜひこの委員会等での議論につきまして警察会議の方に大臣の方から御報告をお願いしたいというふうに思います。
  195. 和田洋子

    委員長和田洋子君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時四十七分散会