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2000-05-16 第147回国会 参議院 地方行政・警察委員会 第10号
公式Web版
会議録情報
0
平成十二年五月十六日(火曜日) 午後一時開会 ─────────────
委員
の
異動
四月二十七日
辞任
補欠選任
須藤美也子
君
市田
忠義
君 四月二十八日
辞任
補欠選任
亀井
郁夫
君
中曽根弘文
君
仲道
俊哉
君
青木
幹雄
君
森下
博之
君 岡
利定
君 五月十日
辞任
補欠選任
青木
幹雄
君
坂野
重信
君
中曽根弘文
君
石井
道子
君
輿石
東君
藁科
滿治
君
照屋
寛徳
君
菅野
壽君 五月十一日
辞任
補欠選任
井上
吉夫
君 馳 浩君
藁科
滿治
君
輿石
東君
菅野
壽君
照屋
寛徳
君
松岡滿壽男
君
奥村
展三君 五月十二日
辞任
補欠選任
橋本
聖子
君
塩崎
恭久
君
奥村
展三君
松岡滿壽男
君 同日
委員塩崎恭久
君は
議員
を辞職した。
委員馳浩君
は
議員
を辞職した。 五月十五日
辞任
補欠選任
石井
道子
君
井上
吉夫
君 岡
利定
君
森田
次夫
君
木村
仁君
加納
時男
君
坂野
重信
君
青木
幹雄
君 五月十六日
辞任
補欠選任
青木
幹雄
君
岩城
光英
君
市田
忠義
君
須藤美也子
君 ─────────────
出席者
は左のとおり。
委員長
和田
洋子
君 理 事 谷川 秀善君
松村
龍二
君 朝日 俊弘君 菅川 健二君 富樫 練三君 委 員
井上
吉夫
君
岩城
光英
君
加納
時男
君 鎌田 要人君 久世
公堯君
森田
次夫
君
輿石
東君 山下八
洲夫君
大森
礼子
君 白浜 一良君
須藤美也子
君
照屋
寛徳
君
松岡滿壽男
君
国務大臣
国務大臣
(
国家公安委員
会委員長
)
保利
耕輔君
事務局側
常任委員会専門
員 入内島 修君
政府参考人
警察庁長官
田中
節夫
君
警察庁生活安全
局長
黒澤
正和
君 ───────────── 本日の会議に付した案件 ○
政府参考人
の
出席要求
に関する件 ○
地方行財政
、
選挙
、
消防
、
警察
、交通安全及び
海上保安等
に関する
調査
(
ストーカー行為等
の
規制等
に関する
法律案
に 関する件) ─────────────
和田洋子
1
○
委員長
(
和田洋子
君) ただいまから
地方行政
・
警察委員会
を開会いたします。 まず、
委員
の
異動
について御報告いたします。 去る四月二十八日までに、
亀井郁夫
さん、
森下博之
さん及び
仲道俊哉
さんが
委員
を
辞任
され、その
補欠
として
中曽根弘文
さん、
岡利定
さん及び
青木幹雄
さんが選任されました。 また、去る十二日までに、
中曽根弘文
さん、
井上吉夫
さん及び
橋本聖子
さんが
委員
を
辞任
され、その
補欠
として
石井道子
さん、
馳浩
さん及び
塩崎恭久
さんが選任されました。 なお、十二日、
馳浩
さん及び
塩崎恭久
さんは
議員
を辞職されました。 また、昨十五日、
石井道子
さん、
岡利定
さん及び
木村仁
さんが
委員
を
辞任
され、その
補欠
として
井上吉夫
さん、
森田次夫
さん及び
加納時男
さんが選任されました。 ─────────────
和田洋子
2
○
委員長
(
和田洋子
君) 次に、
政府参考人
の
出席要求
に関する件についてお諮りいたします。
地方行財政
、
選挙
、
消防
、
警察
、交通安全及び
海上保安等
に関する
調査
のため、本日の
委員会
に
警察庁長官田中節夫
さん及び
警察庁生活安全局長黒澤正和
さんを
政府参考人
として
出席
を求め、その
説明
を聴取することに御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
和田洋子
3
○
委員長
(
和田洋子
君) 御
異議
ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
和田洋子
4
○
委員長
(
和田洋子
君)
地方行財政
、
選挙
、
消防
、
警察
、交通安全及び
海上保安等
に関する
調査
のうち、
ストーカー行為等
の
規制等
に関する
法律案
に関する件を
議題
といたします。 本件につきましては、
松村龍二
さんから
委員長
の
手元
に
ストーカー行為等
の
規制等
に関する
法律案
の
草案
が提出されております。
内容
はお
手元
に配付のとおりでございます。 この際、まず
提案者
から
草案
の
趣旨
について
説明
を聴取いたします。
松村龍二
さん。
松村龍二
5
○
松村龍二
君 ただいま
議題
となりました
ストーカー行為等
の
規制等
に関する
法律案
の
草案
につきまして、その
趣旨
及び
内容
の
概要
を御
説明
申し上げます。 最近、我が国において、悪質なつきまとい
行為
や
無言電話等
の
嫌がらせ行為
を執拗に繰り返す、いわゆる
ストーカー行為
が社会問題化しており、
ストーカー行為
がエスカレートし、
殺人
などの
凶悪事件
に発展する事案が全国的に見受けられるところであります。 これらの
行為
については、
国民
からも特に
ストーカー行為
を
規制
してほしいとの要望が多く寄せられているところであり、また、その
初期段階
において
法令
を
適用
し、防犯上適切な
措置
を講ずることが、
重大犯罪発生
の
未然防止
に極めて有効であると考えられております。 しかしながら、
特定
の者に対する執拗なつきまとい
行為
や
無言電話等
は、刑法や軽
犯罪
法の
適用
により対応が可能な場合もあるものの、現実には
既存法令
の
適用
が困難な場合が大部分であり、これまで有効な
対策
をとりがたいものでありました。 そこで、この
法律案
は、このような現状を踏まえ、
ストーカー行為
を
処罰
する等
ストーカー行為等
について必要な
規制
を行うとともに、その
相手方
に対する
援助
の
措置等
を定めることにより、個人の
身体
、自由及び名誉に対する
危害
の
発生
を
防止
し、あわせて
国民
の
生活
の安全と平穏に資することを
目的
として立案したものであります。 以下、各
項目ごと
にその
概要
を御
説明
いたします。 第一は、この
法律
において
規制
の
対象
としている、つきまとい等及び
ストーカー行為
の
定義
についてであります。 つきまとい等とは、
特定
の者に対する
恋愛感情
その他の
好意
の
感情
またはそれが満たされなかったことに対する
怨恨
の
感情
を充足する
目的
で、
当該特定
の
者等
に対し、つきまとい、
交際
の
要求
、
無言電話
、名誉・
性的羞恥心
を害する
事項
を告げること等の
行為
をすることを言うものとしております。 また、
ストーカー行為
とは、同一の者に対し、一定のつきまとい等を反復してすることを言うものとしております。 第二は、つきまとい等の
規制
についてであります。 その一は、
何人
も、つきまとい等をして、その
相手方
に
身体
の安全、
住居等
の平穏もしくは名誉が害され、または
行動
の自由が著しく害される不安を覚えさせてはならないものとしております。 その二は、
警察本部長
及び
警察署長
は、つきまとい等に係る
警告
を求める旨の
申し出
を受けた場合において、さらに当該つきまとい等が反復して行われるおそれがあると認めるときは、当該つきまとい等を行った者に対し、さらに反復して当該つきまとい等をしてはならない旨を
警告
することができることとしております。 その三は、
都道府県公安委員会
は、
当該警告
を受けた者がその
警告
に従わない場合において、さらに
当該警告
に係るつきまとい等が反復して行われるおそれがあると認めるときは、
当該警告
を受けた者に対し、さらに反復して
当該警告
に係るつきまとい等をしてはならない
旨等
を命ずることができることとしております。 なお、
都道府県公安委員会
は、
禁止命令等
をしようとするときは、聴聞を行わなければならないこととしております。 その四は、
警察本部長等
は、つきまとい、待ち伏せ、進路に立ちふさがり、
住居等
の付近において見張り、または
住居等
に押しかける
行為
に係る
申し出
を受けた場合において、
当該申し出
をした者の
身体
の安全、
住居等
の平穏もしくは名誉に対する
危害
または
行動
の自由に対する著しい
危害
を
防止
するために緊急の必要があると認めるときは、その
行為者
に対し、さらに反復して
当該行為
をしてはならない旨を命ずることができることとしております。 第三は、
警察本部長等
の
援助等
についてであります。 これは、
警察本部長等
が、
ストーカー行為等
の
被害者
がみずから
被害防止措置
を講ずることを助けるため、
被害者
からの
申し出
に応じて、
ストーカー行為等
による
被害
を
防止
するための
措置
を教示する等の
援助
を行うこととするほか、
警察本部長等
が
ストーカー行為等
に係る
被害
を
防止
するための
措置
を講ずるよう努めなければならないこととするものであります。 第四は、国、
地方公共団体
、
関係事業者等
の
支援
についてであります。 これは、国、
地方公共団体
については、
ストーカー行為等
を
防止
するための
広報啓発活動
、
被害者
への
支援等
に努めなければならないものとするものであります。また、
ストーカー行為等
にその
サービス
を利用される
関係事業者
が、
ストーカー行為等
の
防止措置
を講ずるよう努めるものとすることとしております。 第五は、
罰則
についてであります。 その一は、
ストーカー行為
をした者は、六月以下の
懲役
または五十万円以下の
罰金
に処することとしております。なお、この罪は、告訴がなければ公訴を提起することができないものとしております。 その二は、
都道府県公安委員会
の
禁止命令等
に違反して
ストーカー行為
をした
者等
は、一年以下の
懲役
または百万円以下の
罰金
に処することとしております。 その三は、
都道府県公安委員会
の行う
禁止命令等
に違反した者は、五十万円以下の
罰金
に処することとしております。 第六は、
適用
上の注意についてであります。 これは、この
法律
の
適用
に当たっては、
国民
の権利を不当に侵害しないように留意し、その本来の
目的
を逸脱して他の
目的
のためにこれを乱用するようなことがあってはならないとするものであります。 なお、この
法律
は、公布の日から起算して六月を経過した日から
施行
することとしております。 また、
ストーカー行為等
についての
規制
、その
相手方
に対する
援助等
に関する制度については、この
法律
の
施行
後五年を目途として、この
法律
の
施行
の状況を勘案して検討が加えられ、その結果に基づいて必要な
措置
が講ぜられるべきものとしております。 以上がこの
法律案
の
草案
の
趣旨
及びその
内容
の
概要
であります。 何とぞ
委員各位
の御賛同をお願い申し上げます。
和田洋子
6
○
委員長
(
和田洋子
君) 本
草案
に対し、質疑、御
意見等
がございましたら御発言願います。
大森礼子
7
○
大森礼子
君 公明党・
改革クラブ
の
大森礼子
です。 直ちに質問に入りたいと思います。 まず、この
法案
の
立法
の
動機
といいますか、いかなる
社会的事情
が
立法
の背景にあるかにつきましては、ただいまの
趣旨説明
の中で
説明
されました。 そこで次に、この二条につきまして、「つきまとい等」の
定義
の中でこれは
目的犯
となっております。そして、この
目的
を広く解しますと一方で
一般市民
の自由を制約するということになりまして、どの
範囲
で
目的
を決めるかというところが非常に重要なこととなってまいります。本
法案
では、「
恋愛感情
その他の
好意
の
感情
又はそれが満たされなかったことに対する
怨恨
の
感情
を充足する
目的
で、」と、このような
目的
に限定しておりますけれども、その理由についてお尋ねいたします。
松村龍二
8
○
松村龍二
君 つきまとい等に関する
実態
について
警察庁
から
説明
を受けましたところ、その
実態
として、
交際
を求めたり、離婚後に復縁を迫るために行われている例が多く、またこれらの場合には、その
相手方
に対する暴行、脅迫、ひいては
殺人等
の
犯罪
に発展するおそれの強いものと聞いております。 そこで、
国民
に対する
規制
の
範囲
を最小限にするためにも、
規制
の
対象
を、
恋愛感情
その他の
好意
の
感情
またはそれが満たされなかったことに対する
怨恨
の
感情
を充足する
目的
で行われるものに限ったところであります。
大森礼子
9
○
大森礼子
君 このように
目的
を限定することによりまして、例えば三項ですか、面会とか
交際
その他
義務
のないことを行うことをすることとか、つきまといとか、
目的
を絞りませんと、実は
取材行為
といいますか、こういうものも含まれる危険があるわけでありまして、
目的
を絞ったことは
立法
の
動機
と一致しておりまして評価できると思います。 次に、各条文の
規定
について幾つか質問いたします。 実は、
参議院
の
共生社会調査会
というのがありまして、その中で一年間、
DV
問題、
女性
に対する
暴力
問題、これを
調査
してまいりました。 そしてこの中で、そういう
暴力
を受けた
女性
が逃れる
場所
として
シェルター
がございますが、非常に
民間シェルター
の方が大いに貢献してくださっております。そういう方の御
意見
を聞きますと、
民間シェルター
の場合、
女性
が逃げてくる、かくまうと。そうすると、その夫あるいは
恋人
とかそういう人が
シェルター
に押しかけてきて、場合によっては
シェルター
の人がその
危害
の及ぶ危険にもさらされる、こういう
実態
を伺ってまいりました。そして、この
ストーカー
問題につきましても、実はほかの外国でも
DV
問題の一環として考えられているところがございます。 それで、この観点から、こういう場面におきましてもこの
法律
が機能するものかどうかということを知りたいので、以下、質問させていただきます。 まず、二条一項第一号では
場所
について
規定
してございます。 「
住居
、
勤務先
、
学校
その他その通常所在する
場所
」とありますけれども、例えばこの「その他その通常所在する
場所
」には、今申しましたような
DV
の
暴力被害
から逃れた
女性
が一時入所する
婦人保護施設
、これは例えば
売春防止法
三十四条四項の一時
保護施設
とか三十六条の
婦人保護施設
があります、あるいは
民間シェルター
もありますけれども、こういう
場所
も含まれ得るのかどうか、いかがでしょうか。
松村龍二
10
○
松村龍二
君 「その通常所在する
場所
」とは、
住居
、
勤務先
、
学校等
、
特定
の者またはその者と
社会生活
において密接な
関係
を有する者が所在することが通常予定されている
場所
を言うと考えられます。
民間シェルター等
につきましては、事実
関係
にもよりますが、その
実態
にかんがみますと、
社会通念
上これらの
場所
に該当する場合が多いと考えられます。
大森礼子
11
○
大森礼子
君 そうしますと、次に二条一項本文中で、
行為
の及ぶ
相手方
ですけれども、「その他
当該特定
の者と
社会生活
において密接な
関係
を有する者」というふうに
規定
してございます。 つきまとい
被害
から
被害者
が逃れるためには、例えば一時
親戚
のところへ身を寄せるとか、あるいは
友人宅
へ身を寄せるとか、あるいは
婦人保護施設
、今言った
民間シェルター
とか、こういうところにも身を寄せることが当然あり得ると思います。その場合、「密接な
関係
を有する者」の中には、例えば
親戚
の家の
同居人
とか
友人宅
の
友人
とか、それからさっき言いました
シェルター等
の
職員
、こういう人もターゲットになることが多いものですからお尋ねするんですが、こういう方も含まれ得ると理解してよろしいでしょうか。
松村龍二
12
○
松村龍二
君 お尋ねのうち、
親戚
については「直系若しくは
同居
の親族」に該当する場合が多かろうと思われます。 「
当該特定
の者と
社会生活
において密接な
関係
を有する者」とは、
被害者
の身上、
安全等
を配慮する立場にある者を言うものと思われ、
学校
の教師、職場の
上司等
がこれに該当すると考えられますが、
友人
、
シェルター職員
についてもこの
趣旨
に当てはまる場合には「
当該特定
の者と
社会生活
において密接な
関係
を有する者」に該当するものと思われます。
大森礼子
13
○
大森礼子
君 次に、三条についてお尋ねします。
何人
もつきまとい等をしてはならないと、つきまとい等をして不安を覚えさせることの
禁止
についての
規定
がございます。 これまでの確認の意味にもなるんですけれども、例えばこの「
何人
」というもの、これには
配偶者
あるいは元
配偶者
、
恋人等
も含まれ得ると理解してよろしいのでしょうか。先ほど言いましたように、
シェルター
に押しかけるのはこういう人が多いわけです。一方で、夫だから何をしてもいいんだというふうな意識もありますので、この点を明確にしたいと思います。「
何人
」の中には
配偶者
、元
配偶者等
も含まれ得るかどうか、いかがでしょうか。
松村龍二
14
○
松村龍二
君
警察庁等
から実情をお聞きしても、このような方が
加害者
になるということも大いにあるというようなことも伺うわけでございます。
法律
上、
行為
の主体の限定はなされておらず、御
指摘
のような者も当然含まれることになります。
大森礼子
15
○
大森礼子
君 次に、
五条
についてお尋ねします。
禁止命令等
についての
規定
なのですが、
五条
一項二号、
公安委員会
が命ずることのできる
事項
について
規定
していますけれども、「更に反復して
当該行為
が行われることを
防止
するために必要な
事項
」とありますけれども、これが
命令
の
内容
になるわけです。「
防止
するために必要な
事項
」というのは例えばどんなものなのか、例示として教えていただきたいと思います。
松村龍二
16
○
松村龍二
君 「
当該行為
が行われることを
防止
するために必要な
事項
」とは、
禁止命令
の
対象
となっている
行為
を継続する手段となるようなものを廃棄させる
措置等
であり、具体的には、写真、
ビデオテープ等
を送付するなどした場合に、そのネガ、
マスターテープ
などを廃棄することを命ずることなどが考えられます。
大森礼子
17
○
大森礼子
君 次に八条、国、
地方公共団体
、
関係事業者等
の
支援
についての
規定
がございます。 その第一項なのですけれども、この中に「
ストーカー行為等
の
防止
に関する
活動等
を行っている
民間
の自主的な
組織活動
」、このような
組織活動
の
支援
に努めなければいけないと、国及び
地方公共団体
の
支援義務
というんでしょうか、これを
規定
しているわけなんですけれども、この「
民間
の自主的な
組織活動
」、これは当然、今まで申しましたように、
民間シェルター
といいますか、こういう
活動
をしておられる方も、
団体
も含まれると理解してよろしいですね。
松村龍二
18
○
松村龍二
君
役務
の
提供
を行った
関係事業者
につきましては……
大森礼子
19
○
大森礼子
君 済みません。ちょっと質問し直します。 もう明らかになったからいいです。 「
民間
の自主的な
組織活動
」、これは
民間シェルター
も含まれるということで、実は
DV対策
としても本当に何らかの
シェルター
のきちっとした設置、あるいは
婦人保護事業
についても
法的整備
をしなくちゃいけないと思っておりますが、それにしても、今、非常に
民間シェルター
の方がボランティアという形で頑張ってくださっております。しっかりこういうところに国、
地方公共団体
は
支援
していただきたいと思います。 じゃ、二項です。二項で「
ストーカー行為等
に係る
役務
の
提供
を行った
関係事業者
」とありますけれども、ここに言う「
関係事業者
」というのは例えばどういうものが含まれるのでしょうか。
松村龍二
20
○
松村龍二
君
ストーカー行為等
は、
電話
、郵便、
宅配便等
を利用して行われることが少なくないことから、これらの
サービス
を
提供
する
事業者
で実際にその
サービス
が
ストーカー行為等
に利用されているものがこれに該当することとなります。
大森礼子
21
○
大森礼子
君 次に、
罰則
について
規定
がしてございます。十三条、十四条、十
五条
等、それぞれ
罰則
が
規定
してあるのですが、きちっと読めばわかるかもしれませんが、この三つの
罰則
の
規定
がそれぞれ相互にどのような
関係
になっているのか、これについて御
説明
いただきたいと思います。
松村龍二
22
○
松村龍二
君 お答えいたします。 第十三条は、
ストーカー行為
を直接
処罰
する
趣旨
の
規定
であります。 第十四条第一項は、
禁止命令
を受けた者が
命令
に違反して
ストーカー行為
をした場合、同条第二項は、
禁止命令
を受けた者が
命令
に違反してつきまとい等を行った場合で、
命令
前の
行為
から通して評価すると
ストーカー行為
に該当する
行為
を行ったときの
加重処罰類型
であります。 第十
五条
は、
禁止命令
を受けた者が
命令
に違反してつきまとい等を行った場合で、
命令
前の
行為
から通して評価しても
ストーカー行為
に該当しないときの
罰則
であります。
大森礼子
23
○
大森礼子
君 それでは
最後
に、
国家公安委員長
にお尋ねしたいと思います。 この
法案
が成立しますと、
警察
は本格的に
ストーカー対策
に取り組むことになるわけです。今回、
ストーカー行為
をどのように
規制
するかということで、直罰だけでいくのか、それとも
警告
、
中止命令
、このルートもつくるのかということで種々議論いたしました。 それで、
恋愛感情
とかというのは、いろんな
犯罪
、傷害、
殺人
とか、その一つの
動機
として
恋愛感情
のもつれ、もつれますと非常に不条理な
感情
もあるものですから、本当に凶悪な
犯罪
が
発生
しやすい。定型的にそう言えると思います。 しかし、直
罰規定
のみですと、かつて
恋愛関係
にあった者が、
女性
としましょうか、いきなり相手の
処罰
を求めるというのはいろいろためらうこともあると思うんです。また、いきなりそういう
行為
に出ますと、場合によったらさらに大きな二次
被害
に及ぶ場合もある。非常にこの分野というのはデリケートな問題だと思います。そういったことで、私は、
警告
、
中止命令
という二本立てにしたということは評価できると思います。 一方で、
アメリカ
の
DV法
のように、やはりそれは
裁判所
に
権限
を与えるべきではないか。
アメリカ
の方では、これは民事の手続になるんでしょうか、そちらへ行きますと、
裁判所
がプロテクティブオーダーあるいはプロテクションオーダー、
保護命令
というのを出しまして、これに違反すると、これは
法廷侮辱罪
のような形で
処罰
される、こういう仕組みになっております。 最終的には
裁判所
の
権限
とするのがよろしいのでしょうけれども、まだいきなりそこまではいけない。その
過渡的形態
として、私は、実はこの
警告
、
中止命令
という
措置
というのはうまく機能してほしいと、このように思っております。もちろん、
警告
によって解決することが一番望ましいわけですけれども。 そうしますと、
警察
の方でも、
権限乱用
のないように、
一般市民社会
の、
市民
の自由をいたずらに脅かさないように非常に十分これ
適用
していただく必要があると思います。それからまた、
命令
を出す
公安委員会
もその
存在意義
というものが大きく問われると思います。これによりまして、
警察
も一つ新たに一歩大きく
市民社会
の中に踏み出すことになるわけなんですけれども、この
ストーカー対策
に取り組むということにつきまして、
最後
に
国家公安委員長
の
御所感
をお尋ねしたいと思います。
保利耕輔
24
○
国務大臣
(
保利耕輔君
) まず最初に、
ストーカー
、最近社会問題になっておりますけれども、これに
参議院
でお取り組みになられて、各党各会派いろいろお話し合いの上成案を得て、こういう
ストーカー
の
法案
が提出をされたということに対して、私は心から敬意を表したいと存じます。 今御
指摘
の点でございますが、
警察
が、
ストーカー対策
を通じまして、これを有効な手だてにこの
法律
がなっていくであろうということを期待いたしております。また、
国家公安委員会
としても
立法
の
趣旨
を踏まえまして、この
法律
を十分に活用し、的確かつ積極的に
ストーカー対策
に取り組むよう
警察当局
を督励してまいりたいと思っておりますが、今御
指摘
のように非常に微妙な問題を含んでおりますので、細心の注意を払うということを、細心の注意を払ってこの問題に対処していくということを、やはり
警察
の現場まで徹底をさせなければいけないなというふうに思っております。 そういう意味で、この
ストーカー行為
を
規制
をするという本来の
目的
は、私は
犯罪
の予防的効果を中心に置いてやるべきものだと思っておりまして、そういう意味で、
警告
、
中止命令
というようなことをきちんと手だてを踏んでやっていく、そして人権侵害等が逆の意味で起こらないように配慮しながらやっていくことが必要だと、そのように思っておる次第であります。十分にそういった点を心して
警察庁
を督励してまいりたいと思っております。
大森礼子
25
○
大森礼子
君 終わります。
富樫練三
26
○富樫練三君 日本共産党の富樫練三でございますが、この
ストーカー
規制
法案
について、幾つか
草案
の提出者に確認をしておきたいと思います。 第一の問題は、
法案
の第四条に基づく
警察
からの
警告
、さらに第六条に基づく仮の
命令
、また第
五条
に基づく
公安委員会
からの
禁止命令等
について、今も大臣から答弁があったんですけれども、
警察
権力の乱用にならないというここのところはなかなか微妙な問題が入っているというふうに思います。乱用にならない保証はあるのかという問題なんです。 例えば、
市民
のプライバシーの侵害とか、あるいは労働組合運動や
市民
運動などに対する
警察
権力の乱用を
防止
できるかどうかという点、これとの関連で、
警告
や仮の
命令
あるいは
禁止命令
と行政不服審査法に基づく不服申し立て、さらに取り消し訴訟との
関係
はどのような
関係
になるのか、この点についてまず確認しておきたいと思います。
松村龍二
27
○
松村龍二
君 本
法案
に
規定
する
警告
、仮の
命令
及び
禁止命令等
の
対象
となるのは、まず、
被害者
の
申し出
に係るつきまとい等を行った者であります。
規制等
の
対象
となりますつきまとい等につきましては、第二条におきまして個々の
行為
を明確に
定義
するとともに、
国民
に対する
規制
の
範囲
を最小限にするためにも、これら
特定
の者に対する
恋愛感情
その他の
好意
の
感情
またはそれが満たされなかったことに対する
怨恨
の
感情
を充足する
目的
で行われるものに限っておりまして、御
指摘
の労働組合運動等は本法の
規制
対象
とはならないところであります。 また、この
法案
の
草案
をつくるに当たりましては、第十六条で特に「
適用
上の注意」、「この
法律
の
適用
に当たっては、
国民
の権利を不当に侵害しないように留意し、その本来の
目的
を逸脱して他の
目的
のためにこれを濫用するようなことがあってはならない。」という一条を設けております。 この問題は本当に、ぬれぎぬと申しましょうか、一方的な
被害
申し立てによりまして
警察
が軽はずみに動きますと、冤罪といいましょうか、実際に
ストーカー行為
をやっていない者が職場等において
警告
をされたというような評判が立ったりしまして大変な
市民
生活
に影響をもたらすということもございますし、それから一般の熱心な商売
活動
、あるいは先ほど申しましたような労働
行為
、その他紛らわしい、
国民
の権利を侵害することがあってはならないということを特にこの条文に込めたわけでありまして、今後、
警察
あるいは法務省等におきまして、この
法案
を運用するに当たりまして細心の注意をいただくよう期待しておるところであります。 なお、行政不服審査法、行政事件訴訟法との
関係
でございますが、本法の
警告
は、行政指導の一種でありまして不利益処分には当たらないため、行政不服審査法及び行政事件訴訟法の
対象
とはなりません。一方、仮の
命令
及び
禁止命令等
は、
対象
となる者に一定の
義務
を課するものであるところから、いずれも不利益処分に該当するところですが、仮の
命令
については、その効力がある十五日間に限り審査請求及び取り消し訴訟の
対象
となり、
禁止命令等
については、行政手続法に基づく聴聞を経て行うものでありますところから、同法第二十七条第二項によりまして
異議
申し立ての
対象
とはならないものの、取り消し訴訟の
対象
となるものであります。
富樫練三
28
○富樫練三君 次に、同じく第四条に基づく
申し出
についてですけれども、
被害者
本人に
申し出
は限定されるのかという問題についてです。 場合によっては
被害者
が二十歳未満、未成年者であるということも考えられるわけで、その場合には親権者も
申し出
人になれるのかどうか、この点についてはいかがでしょうか。
松村龍二
29
○
松村龍二
君
申し出
につきましては、
申し出
をする者が不安を覚えているかどうかを確認しなければならないために、その性質上、本人によって行われるべきものと考えております。 しかしながら、本人が未成年者である場合には、本人の意思を尊重しつつ、親権者が代理人として
申し出
ることができるものと考えられます。
富樫練三
30
○富樫練三君 同じくその第四条なんですけれども、
警告
などの
対象
は
行為
をした者というふうになっております。恋愛やあるいは
怨恨
あるいは
好意
、そういう
感情
を持った人物、例えばAという人物から第三者であるBが依頼をされて、そのBがつきまとい等あるいは
ストーカー行為
をした場合に、依頼をした張本人でありますAの取り扱いがどうなるのか。この点についてはいかがでしょうか。
松村龍二
31
○
松村龍二
君 そのようなケースも起き得ると思いますが、Bが
行為
を反復することにより
ストーカー行為
の段階までエスカレートした場合、告訴があれば直接罰の
対象
となりますが、BにおいてAがCに対して
恋愛感情
その他の
好意
の
感情
またはそれが満たされなかったことに対する
怨恨
の
感情
を充足する
目的
を有していることを認識しておれば、AとBとは共同正犯など刑法上の共犯の
規定
により
処罰
され得ます。 Bにおいて、A、C間の事情について全く認識がなく、BがAの道具として利用されたような場合には、Aは間接正犯として
処罰
され得ます。第三者Bによる
行為
がつきまとい等の
行為
に該当する場合、Aは
行為
自体を行っておらず、Bにはつきまとい等の
定義
として
規定
されている恋愛等の
感情
がないことから、いずれに対しても本法に基づく
警告
等は行うことは困難であると考えます。ただし、
警察
法第二条に基づいて指導、
警告
等を行うことは考慮すべきものかと考えられます。 その後もBがつきまとい等を反復した場合は、先ほど述べたと同様、AはBにおいてA、C間の事情について認識があれば共犯として、認識がなければ間接正犯として
処罰
され得ると考えます。
富樫練三
32
○富樫練三君 同じく第四条の
申し出
の問題なんですけれども、
被害者
が
申し出
をする段階で、自分はこういうふうなつきまといの
被害
を受けているという点について、どこまで証明すればいいのかという問題です。
被害者
本人が証明するというのは大変困難な場合も予測されるわけなんですけれども、例えば
行為者
名、相手の名前が不明であったり、あるいは証拠はしっかり本人から挙げることはできない、そういう場合でも
警察
はきちんと対応できるかどうか、この点についてはいかがでしょうか。
松村龍二
33
○
松村龍二
君 御
指摘
のような場合、
申し出
を受けた
警察本部長等
は、
申し出
をした
者等
の協力を得ながら、例えばつきまとい等の事実についてメモしたり
電話
を録音してもらうなどして事実を明らかにしていくとともに、
行為者
に直接事情聴取を行う等、必要な
調査
を行っていくものと考えております。 したがって、
被害者
が
申し出
をする際に
行為者
の氏名等が不明であったり証拠がない場合でも、
警察
は
被害者
の立場に立って可能な限りの対応を行うものと考えられます。
富樫練三
34
○富樫練三君 そういう
申し出
をした場合、
申し出
はしたんだけれども、窓口あるいは現場の
警察
が動かないために実際には
申し出
の効果がなかったという場合に一体どうなるのかという問題があります。今までたくさんの事件がありますけれども、そういう事件の場合に、現行法でもかなり現場で対応すれば防げたにもかかわらず、結果として
申し出
あるいは相談、訴え、こういうことが十分尊重されなかったために事件に発展してしまう、こういうことが現実にはたくさんあったわけなんです。 したがって、
申し出
が来れば
警察
が動くというのは当然のことなんだけれども、しかしそれが行われなかった場合に、動くという保証はあるのか、この点についてはいかがでしょうか。
松村龍二
35
○
松村龍二
君 本法が成立した場合、いわゆる
ストーカー
事案に対する
警察
の
活動
の明確な根拠となることから、
警察
としてもより対応が行いやすくなるほか、本法制定後は、
警察庁
から全国の都道府県
警察
に対して、この
法律
の
趣旨
を徹底し適切な対応が行われるよう指示がなされる予定であると聞いております。
申し出
を受けたものの
警告
の要件に該当しないような場合であっても、その理由を
申し出
をした者に対して
説明
するとともに、
行為者
に対して
警察
法に基づく一般的な指導、
警告
を行っていくものと考えております。また、
申し出
をしたにもかかわらず
警察
が全く対応しない場合は、行政不服審査法等による救済の
対象
とはならないものの、一般の苦情として
警察
本部等に申し立てることができます。
申し出
の受理等の手続については、
国家公安委員会
規則で定めることとなっていますが、これらの点も十分考慮して検討を行っていくものと聞いております。
富樫練三
36
○富樫練三君
最後
になりますけれども、そうしますと、今のお答えで、
申し出
をしたけれども
警察
が動かないという場合には、一般的に今の制度でも都道府県警本部に苦情を申し入れるということは可能だということですね。 それからもう一つは、今後手続等については
公安委員会
の規則、これを制定していくと。その場合にも考慮されるというのは、
申し出
者がきちんと
警察
で対応してもらえなかったときに都道府県警本部または
公安委員会
に苦情を
申し出
る、そういう権利は保障されているというふうに理解してよろしいんでしょうか。あるいはそういうことを今後の規則の中で考慮していきますよと、こういうことで理解してよろしいんでしょうか。
松村龍二
37
○
松村龍二
君 当然にそのように考えますが、何でしたら
警察庁
からお答えいただきたいと思います。
黒澤正和
38
○
政府参考人
(
黒澤
正和
君) お答えいたします。 今御
指摘
の点でございますが、今後
法律
が成立いたしますれば
国家公安委員会
規則におきまして
申し出
の受理等の手続について
規定
をすることといたしておるわけでございますけれども、今御
指摘
のございました点も含めまして、
法律
にのっとりまして種々検討をさせて適切に対処してまいりたいと考えておるところでございます。
富樫練三
39
○富樫練三君 終わります。
照屋寛徳
40
○
照屋
寛徳
君 社会民主党・護憲連合の
照屋
寛徳
でございます。 私は、
ストーカー
規制
法の
立法
の必要性ということについては必要である、こういう考えを持っておりますが、同時に
恋愛感情
だとか
好意
の
感情
だとかあるいはまた
怨恨
の
感情
という、そういう刑罰を与えるときにそれらの
感情
をどう認定するかというのは非常に難しい問題だなという思いを持っております。したがいまして、一番大事なのは、この
ストーカー
規制
法によって、
被害者
がこの
法律
でどう扱われるのかということが一番大事ではないかなというふうに思うわけです。要するに、
被害者
の法的保護に十分であるだろうか、この
法律
の中で
被害者
が蚊帳の外に置かれたり、あるいは法的保護が十分受けられないということであっては大変困るわけであります。 そこでお伺いいたしますが、
被害者
がその
被害
の訴えを
警察
等になした場合に、
警察
等がそれを軽視したり黙殺したりして取り合わなかった場合の
被害者
の苦情申し立てというか救済はどういうふうになされるんでしょうか。
松村龍二
41
○
松村龍二
君 ただいま富樫
委員
からの御質問にもあったかと思いますが、各都道府県
警察
におきまして
警察
の職務執行に関する苦情処理の窓口が設けられておるわけであります。したがって、御
指摘
のような苦情は、この
ストーカー対策
をする担当部署が正当に対応しない場合、苦情処理の窓口において受け付け、適切に処理されるものと考えております。また、そもそも
ストーカー行為
の
被害者
が
申し出
等を行ったにもかかわらずこれを軽視したり黙殺することのないよう、
警察庁
において各都道府県
警察
に対する指導を徹底されるものと考えております。 この
施行
をいつからということも検討をいたしました際に、
警察庁
の方から、この
法案
に対する
公安委員会
規則その他の法整備あるいは各都道府県
警察
、
警察
署におきます受け入れ体制の整備、この陣容を整える、あるいは
警察
官に対する教育あるいは
市民
に対するPR、これをするためにはどうしても六カ月は最低限必要である、こういう決意が表明されましたので、そのような対応をしていただけるものと考えております。
照屋寛徳
42
○
照屋
寛徳
君 さて、この
目的犯
なんですが、第二条の「その他の
好意
の
感情
」という構成要件ですね、なかなかわかりにくい抽象的な、
恋愛感情
とか
怨恨
の
感情
というのはまだ外形的にもよくわかるのでありますが、「その他の
好意
の
感情
」というのはどういったことを考えておられるんでしょうか。
松村龍二
43
○
松村龍二
君 私も
法律
家でありませんのであれですが、
好意
の
感情
とは、一般的には好きな気持ち、親愛感のことを言いますが、この
法律
においては、つきまとい等を
規制
するに当たりまして、
恋愛感情
その他の
好意
の
感情
を充足する
目的
等を存在要件としておりまして、その
感情
が充足され得るものであることが予定されていることから、単に一般的に好ましいと思う
感情
だけではなく、
相手方
がそれにこたえて何らかの
行動
をとってくれることを望むものを言うと考えられます。 また、一例を、本当に一例だけでございますが申し上げますと、女優、あるいはテレビを見ておりましてその画面に載るニュースキャスター等に対するあこがれの
感情
など、
恋愛感情
には至らないものも
好意
の
感情
に該当し得るものと考えておるわけであります。
照屋寛徳
44
○
照屋
寛徳
君 それから、確認ですけれども、この
ストーカー
規制
法は、労働運動の話がありましたが、それ以外の消費者運動とかあるいはマスコミ等の報道
活動
、
市民
運動や地域
活動
、自治会
活動等
には
適用
されない、こういうふうに考えてよろしゅうございますか。
松村龍二
45
○
松村龍二
君 私ども、この
法律
の立案に当たりましては、そのようなことを厳に考えまして
目的
を絞ったところでございます。
照屋寛徳
46
○
照屋
寛徳
君 私は、本
法案
を見ておりますと、
警告
だとかそれから
禁止命令
だとか、あるいは仮の
命令
等々、いわば
警察
が判断とそれに基づく執行権を有しているわけです。私は、本来はその判断と執行を分けてこそ権力は適正に行使されるのではないか、こういう考え方に立っているわけでありますが、
警察
が判断と執行権を有して果たして公正、妥当な
権限
の行使が担保されるのか、こういう思いがあるわけです。 先ほど、
大森
委員
からもそれに関連して
権限乱用
の
防止
の決意等を
国家公安委員長
に求めておりましたが、今申し上げた判断権と執行権との
関係
、果たして公正、妥当な
権限
の行使が担保されるかという問題と、そういう
権限乱用
には及ばないというふうな決意等、ぜひお聞かせをいただきたいと思います。
松村龍二
47
○
松村龍二
君 この
法案
を
適用
するに当たっての決意は
警察
、
国家公安委員長
あるいは
警察庁長官
の方から御答弁いただきたいと思いますが、私どもは、この
法案
に当たりましては、西洋の法制におきまして
裁判所
、判事が指示を出すというふうな方法等もあると。しかし、これには司法
関係
が十分成熟したといいましょうか、
市民
の問題に即座に対応できるという社会的な準備、対応が必要でございますし、やはり
警察署長
にだけお任せするのではなくて、あくまでもこのような
警告
等を行った場合には
公安委員会
にも報告し、
市民
の代表で成り立っております
公安委員会
がすべてこれを各段階において管理する、また
禁止命令等
をする際には
公安委員会
がこれを行うというふうなことで実際上の必要性とまた公平を担保する、
市民
の権利を侵害しないといったことに十分に意を使って立案したつもりでございます。
照屋寛徳
48
○
照屋
寛徳
君 それから、第四条の
警告
を求める
申し出
について、本人もしくは、先ほどは法定代理人である親権者からの申し立てが可能だと、こういう話がありましたが、例えば弁護士などが代理人となって
申し出
することも可能なんでしょうか。また、その際の、私はある面でまた
申し出
そのものが乱用に及ぶようなケースもあるのではないかというふうに思うんですが、それらの
申し出
の乱用の
防止
等についてはどういうふうに考えていらっしゃるんでしょうか。
松村龍二
49
○
松村龍二
君 先ほども申しましたように、本人の意図が、意思がはっきりしませんと、例えば、娘がある人とおつき合いをしておる、親は気に食わないから親が勝手に
申し出
をするというようなことになってはいけないわけでありまして、あくまでも本人の意思を原則として考えるわけでありますが、未成年者が
被害
に遭っている場合には親権者というようなことを想定しておるわけでありますが、また細部にわたりましては
国家公安委員会
規則等で間違いのないように決める、こういうふうに承知しております。
照屋寛徳
50
○
照屋
寛徳
君 私は、告訴、告発の代理のように、弁護士が代理人となって
申し出
することは可能なんでしょうかと。
黒澤正和
51
○
政府参考人
(
黒澤
正和
君) 民法の一般原則が
適用
されまして、代理人による
申し出
も可能であると考えておりますが、先ほど来申し上げておりますように、
申し出
人が不安を覚えているということを確認するということがポイントになるわけでございまして、代理人として
申し出
も法的には可能ではございますけれども、弁護士さんの
申し出
とは別途、本人の意思確認ということをさせていただく、かように考えておるところでございます。
照屋寛徳
52
○
照屋
寛徳
君
国家公安委員会
規則みたいなのがつくられるんでしょうけれども、この
法律
の成立を期して。その際、さっき申し上げました
申し出
の乱用の
防止
策みたいのは考えておられるんでしょうか。
黒澤正和
53
○
政府参考人
(
黒澤
正和
君) その辺のところも今後法の
趣旨
を踏まえまして検討をさせていただきたいと思っておるところでございます。 この手続につきましては、先ほど来出ておりますように、
申し出
がありましても直ちに手続が始まるというものではございませんで、特にこの種事案というものは外形からは両当事者の
関係
等もございましてわかりにくい部分もございまして、本人の
申し出
をよく聞き、そしてまた事案によっては
相手方
からも事情をよく聞きまして、あるいはまた、
関係
人からも話を伺う、そのような慎重な手続をするということで手続が進んでまいりますので、
申し出
が何でもかんでも乱用されて出てくるというふうには考えておらないところでございます。
照屋寛徳
54
○
照屋
寛徳
君 第七条のみずから
防止
するための
援助
の
内容
というのは、具体的にはどういうことが想定されるんでしょうか。
松村龍二
55
○
松村龍二
君 第七条第一項の
規定
によりまして
警察本部長等
が行う
援助
の具体的
内容
といたしましては、例えば
被害者
に対する自衛
措置
の教示、
電話
録音や
行為者
の
行動
の記録等の方法の教示、
行為者
との交渉を行う場として
警察
施設を利用させること、防犯ブザー等の防犯器具の貸し出しなどが考えられるものであります。
照屋寛徳
56
○
照屋
寛徳
君 私は、ストーキングという大変形態的には限定しにくい人の安全への脅かし
行為
に対しては、具体的なケースに応じてより具体的な
禁止命令
などが必要ではないかなというふうに思うわけですが、それがこの
法案
によって判断と執行権を
警察
に任せてそれで十分だろうか。より具体的な
禁止命令
を出すについては
裁判所
などの司法機関の介入が必要ではないかなということをいまだに考えておるわけであります。 ともあれ、見直し
規定
も入りました。ぜひ、そのことも考慮して、
法律
成立後には
警察
におかれては適正な
権限
の行使をやっていただきたいと思います。
最後
に、
ストーカー
犯罪
が多発している社会的な背景だとかあるいは取り締まりに当たっての
権限乱用
防止
の心構えを
国家公安委員長
と
警察
の方にお聞きして、終わります。
保利耕輔
57
○
国務大臣
(
保利耕輔君
) 最近
ストーカー
から
発生
し
殺人
に至るというような事件も出ておりまして、そういった問題が今後社会的に蔓延していかないようにやはり予防的な
措置
を講ずるという意味で、この
法律
の持っている意味は非常に大きいと思います。どうしてこの
ストーカー
の
行為
が多くなってきたかということについては、社会学的にも非常に難しい問題ではあろうかと思いますが、こういういわば人間
関係
が希薄化したとかあるいは人間
関係
形成能力が弱体化したとかというようないろいろな理屈が考えられると思いますけれども、このまま放置をいたしておきますとこういった
行為
がまだまだ蔓延する可能性があるということで、この
法律
の持っている意味は大きいと思います。 なお、この
法律
の執行につきましては、先ほど私からもお答えを申し上げたのでありますが、非常にデリケートな問題を含んでおりますので、細心な注意を窓口の方で払ってもらわなければなりませんし、まずは
市民
からの相談というのを
警察
の直接の担当窓口がきちんと対応するという、そういう体制をつくり上げていくということが私どもに課せられた責任の一つではないかと思うわけでございます。 その上で、手だてを講じまして
公安委員会
と御相談の上にまた
警告
を発するとかあるいは中止勧告をするとかというようなことをやって、そしてこの権力の発動に至っていくというようなことが準備されておりまして、それにのっとって十分に注意しながらこの
法律
の運用を図っていくように
警察庁
を督励してまいりたい、このように私は存じております。
田中節夫
58
○
政府参考人
(
田中
節夫
君)
ストーカー
犯罪
の多発の社会的背景につきましては、ただいま大臣から御答弁になったとおりでございまして、私どももそのように認識しておるところでございます。
権限乱用
の問題につきまして御
指摘
がございました。 本
法律案
で
規制
されます
ストーカー行為
、それは外形から判断いたしますとさまざまな態様の
活動
が
対象
となるものではございますけれども、法ではっきりと「
恋愛感情
その他の
好意
の
感情
又はそれが満たされなかったことに対する
怨恨
の
感情
を充足する
目的
」というふうに限定をされております。したがいまして、現在問題となっているような事案に的を絞ったものというふうに私どもも理解しております。 また、この
法律
の運用に当たりましては、先ほど来いろいろ御議論がございますように、第十六条におきまして「
適用
上の注意」として「
国民
の権利を不当に侵害しないように留意し、その本来の
目的
を逸脱して他の
目的
のためにこれを濫用するようなことがあってはならない。」と
規定
されているところでございます。 この
法律案
が
施行
されまして現場に、そこにおろしました場合に、個々の具体的なケースによりましては非常に難しい判断を求められる場合もあろうかと思いますが、基本的にはその当事者の心情というものも十二分に酌み取りながら、本当に
国民
の皆さんの要望に沿った解決のあり方というものを求めて、いささかも
権限乱用
といったことのないように適切な
法律
運用につきまして都道府県
警察
を指導してまいりたい、かように考えておるところでございます。 ─────────────
和田洋子
59
○
委員長
(
和田洋子
君) この際、
委員
の
異動
について御報告いたします。 本日、
青木幹雄
さんが
委員
を
辞任
され、その
補欠
として
岩城
光英
さんが選任されました。 ─────────────
和田洋子
60
○
委員長
(
和田洋子
君) 他に御発言もないようですから、本
草案
を
ストーカー行為等
の
規制等
に関する
法律案
として本
委員会
から提出することに御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
和田洋子
61
○
委員長
(
和田洋子
君) 御
異議
ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。 なお、本会議における
趣旨説明
の
内容
につきましては
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
和田洋子
62
○
委員長
(
和田洋子
君) 御
異議
ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後一時五十五分散会