○富樫練三君 ちょっと認識が違うのではないかというふうに思います。
この一覧表の中にあります一番上、上尾市の場合ですけれ
ども、これは既に
判決が確定をしております。その中ではこういうふうに言っているんですね。
本質的には
営利を
目的とする商法上の株式会社組織をとる私企業の
一つ、この相手方、
派遣先が、であって、その営業
目的とする再開発ビルの管理及び
運営、不動産の売買・貸借等の
業務は、
地方公共の秩序を維持し、
住民の安全、健康及び福祉を保持すること等を
目的とする
地方公共団体の
事務、これは旧
地方自治法の第二条になるわけですけれ
ども、この時点ではまだ法改正はされておりませんでしたので、これとは性質を異にするものである。したがって、上尾市の
職員がその
身分を保有したまま被告の
業務に従事、被告というのは相手方の会社でありますけれ
ども、そういう場合これが
職務専念義務に反しないとは到底見られないところである。
これが
判決なんですね。ですから、その
派遣先の会社というのはこれは
公共的な
性格はないんだということですね。まさに純然たる
営利企業だということを
判決の中で明らかにして、だから
職務専念の義務を免除するということは認められない、こういう論法になっているわけなんですね。
この一覧表の中で上から五番目の岡山のチボリ・ジャパン株式会社ですけれ
ども、この会社というのは商業登記簿上からいいますと、その
目的として、遊園地の経営及び設計及び
運営のコンサルティング、それからスポーツ施設、遊技場、興行場等レジャー施設の
運営管理、それから宿泊施設、飲食店の経営、土産品店、遊園地内での売店の経営からずっといっぱいありまして、不動産の賃貸借、あっせん及び管理、損害保険代理業、旅行あっせん業、広告代理業、両替業、それから酒、たばこ、切手、収入印紙、医薬品、米、塩、それから古美術品、衣料品、食料品及び日用品雑貨等の販売並びに輸出入業、その他たくさん書いてあるわけなんですね。
これが相手方になるわけなんですけれ
ども、これに対して
職員を
派遣したということに対する、これはまだ係争中でありますけれ
ども、岡山地裁の
判決はこれは出ているわけなんですね。
ここではこういうふうに言っているんですね。「被告会社は遊園地経営
事業等を
目的とする
営利企業であり、いわゆる第三
セクターとはいえ、その資本金に占める岡山県の出資比率は一六%弱程度にとどまっており、
地方自治法二百四十四条の二第三項、同法施行令百七十三条の三、同法施行規則十七条により
地方公共団体が公の施設の管理を委託することができる
法人の要件にも該当しない。」。その上で、被告会社の
事業は
営利目的であることにかわりなく、「右
事業内容そのものが、
地方公共団体のなすべき
事務と同視し得るといえるようなものでないことは明らかである。」。したがってそこに
職員を
派遣するのは違法である、こういう
判決なんですね。
全部を申し上げるわけにいきませんけれ
ども、この
二つを見ただけでも、問われているのは、
職務専念の義務免除が正しいかどうかとかあるいは給料を
支給したのが正しいかどうか、これは方法の問題、
手続上の問題はありますけれ
ども、その根底にあるのは、相手の企業あるいは組織が
公共性を有しているのかどうかと、ここが問われたのが今度のこれらの一連の裁判だと。
住民訴訟の
住民側、原告側もまさにそこのところを裁判に問うていると、こういう
性格のものなんですね。ですから、
法律をつくる場合にはここにしっかりとこたえるようなものでなければ残念ながら裁判にはたえられない、こういうことになると思うんですけれ
ども、
大臣の所見はいかがでしょうか。