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2000-05-18 第147回国会 参議院 財政・金融委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年五月十八日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  五月十七日     辞任         補欠選任      久保  亘君     内藤 正光君  五月十八日     辞任         補欠選任      笠井  亮君     宮本 岳志君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         平田 健二君     理 事                 岩井 國臣君                 中島 眞人君                 寺崎 昭久君                 海野 義孝君                 池田 幹幸君     委 員                 河本 英典君                 世耕 弘成君                 中島 啓雄君                 林  芳正君                 日出 英輔君                 星野 朋市君                 伊藤 基隆君                 櫻井  充君                 内藤 正光君                 浜田卓二郎君                 笠井  亮君                 宮本 岳志君                 三重野栄子君                 椎名 素夫君    国務大臣        大蔵大臣     宮澤 喜一君        郵政大臣     八代 英太君    政務次官        大蔵政務次官   林  芳正君        郵政政務次官   前田  正君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田 成宣君    政府参考人        人事院事務総局        職員局長     中橋 芳弘君        総務庁長官官房        審議官      藤井 昭夫君        総務庁行政管理        局長       瀧上 信光君        総務庁行政監察        局長       塚本 壽雄君        大蔵省主計局次        長        寺澤 辰麿君        大蔵省理財局長  中川 雅治君        厚生省年金局長  矢野 朝水君        運輸大臣官房審        議官       鷲頭  誠君        郵政大臣官房長  松井  浩君        郵政省貯金局長  團  宏明君        郵政省簡易保険        局長       足立盛二郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○資金運用部資金法等の一部を改正する法律案(  内閣提出衆議院送付) ○郵便貯金法等の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付)     ─────────────
  2. 平田健二

    委員長平田健二君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨十七日、久保亘君が委員辞任され、その補欠として内藤正光君が選任されました。     ─────────────
  3. 平田健二

  4. 平田健二

    委員長平田健二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 平田健二

    委員長平田健二君) 資金運用部資金法等の一部を改正する法律案及び郵便貯金法等の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、前回に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 内藤正光

    内藤正光君 おはようございます。  民主党・新緑風会の内藤正光でございます。  私の持ち時間は七十分でございますが、これからする私の質問はすべて大蔵大臣並びに大蔵政務次官にさせていただきますので、大臣政務次官という呼び方で済ませてしまうことがあろうかと思いますが、大蔵大臣あるいはまた政務次官を指すものということで御了解いただきたいと思います。  さて、まずこの法案に入ります前に大蔵大臣にお伺いをさせていただきたいと思うんですが、現在の財政投融資制度、いろいろな問題が指摘され、言われてはおりますけれども大臣自身はこの問題をどのように御認識されているのか、どういった問題があると御認識されているのか、お伺いをさせていただきたいと思います。
  7. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) いわゆる財投制度が、戦後だけを申しますが、戦後、我が国の復興に非常に貢献してきたことは間違いないと思いますし、財投機関が現在もたくさんございまして、また現代的な仕事をしておる。それはある意味では国に準ずる公的な機関が税金を使わずに有償のお金仕事をするという、国でもない、純粋な民間事業でもないというような、そういう部分に当たるわけでございますが、このことは別に我が国に限らず各国でもそのメリットを見てやっておることでございます。  したがって、そういう機関存在あるいはその活動というものは依然として我が国に現在必要であるという認識は、時代とともに内容は変わっても変わっていないというふうに考えております。今回その制度改革は必要でありますけれども財投機関がしてきた仕事内容時代とともに変わるといたしましても、その重要性というものはなくなっていない、こう考えております。
  8. 内藤正光

    内藤正光君 私も財投が果たしてきた役割を何も否定するわけではございません。今後も財投を完全に否定するわけでもございません。  しかし、私がお伺いしたのは、財投が持っているいろいろな問題を改革するために今回の法案が出されたと思っているんですが、私は財投の今抱えている問題を大臣に率直に語っていただきたいんです。評価ばかり言われて問題点が何一つ聞こえてこなかったんですが、よろしくお願いしたいと思うんです。
  9. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 最初にどう評価するかとおっしゃいましたからその点だけをお答えいたしました。しかし、次の御設問は当然予想されるところでございます。  そこで、平成十年に中央省庁等改革基本法ができましたときに、内藤委員の言われますように、やはりこの財投という制度には問題があるということからこのたびの改革が行われるようになったわけでございます。  一つは、郵便貯金にいたしましても、あるいは年金積立金にいたしましても、全額預託をするということになってやってまいりました。その全額預託ということが、本来、国民から集まりました資金運用方法として本当にそれがいいのかどうかということは従来からも問われてまいりましたし、またそういう資金を受け入れている郵政省にしましても、全額預託ということにはいろいろ問題がある、場合によってはある程度自主運用というものも必要ではないかというような主張も当然従来からございました。そこで、全額預託ということをともかく廃止しようというのが一つの決心であったわけでございます。  ところで、そうなりますと財投機関はその資金に頼ることができませんので、必要な金額を市場から調達せざるを得ない。そのことは、今まで言ってみれば資金だけは確保されているという大変に安易な状況から、みずからのメリットによって市場から金を調達しなければならないということになるわけでございます。それによって財投機関のディスクロージャー、あるいは市場から金を借りるということは当然拒否されることもあるわけでございますから、どうやって市場に受け入れられるか、市場経済の中でどうやって生存していけるかという問題に直面せざるを得ないということになります。そういうところから、財投機関合理化あるいはより市場経済的な運営によって、実際に資金の上でも楽な経営はできない、むだ遣いはできないということから、財投機関のあり方の不断の見直しというものを強いることになる。  大体こういう考え方から今回の改正が行われることになりますので、したがいまして従来この制度存在しておりました問題そのものを解決しようというのがこのたびの改正の目的ということになります。
  10. 内藤正光

    内藤正光君 大臣の口みずからは言いにくいのかもしれませんが、財投の一番の問題は何なのかといえば、一言で言えば肥大化じゃないんですか。官の肥大化じゃないんですか。例えば公共事業一つとったって、今、国が十兆、地方が二十兆、合わせれば三十兆なんですが、そこに財投が加わると一気に五十兆、GDPの一〇%にまで膨れ上がってしまう。こんなふうに財投があるおかげで、もうとにかく財投自身がぐんと膨らみ過ぎた。財投改革というからには、本当はこの膨らみ過ぎた財投をいかにまた圧縮するというかスリム化するか、そこが本質じゃないんですか。  そこでお伺いしたいのは、今回の法律でこの膨らみ過ぎた、肥大化し過ぎた財投を本当にスリム化できるんですか。
  11. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 肥大化ということはしばしば言われますし、実は私も便利な言葉でございますから使っておりますけれども、そのことの本当の意味は、やらなくてもいいことをやっているということなんでしょうね、恐らく。ですから、ただ大きいということではないので、やっていることが本当に入り用なのかどうかということに私はなっていくのだろうと思います。  そこで、これはこの委員会前回お尋ねがありまして、お答えもしておることでありますけれども、今度は財投機関というものが自分財投機関債を出すことが原則でありますから、その財投機関債自分責任で出さなければならない。しかし、それはなかなか市場で簡単に受け入れられるとは決まらない、格付を求められるということになるであろうと思いますから。そういうことで、自分の問題として金ができない、できる範囲でしか仕事はできないはずでございますから、そういう中で仕事プライオリティー自分で選ばなければならないという形で、プライオリティーに従ってそれの低いものを落としていく、こういうプロセスを経ざるを得ない。  また、財政当局としましても、どうしても自分で金ができないというときに、それなら財投債で助けようかということの前提として、あなたのリストラクチャリングは徹底的にできているかどうかということを問わざるを得ない仕組みでございますので、そういう形でいわゆる肥大化というものを自分自身の生存の問題として考えざるを得ないことになってくる、そういう仕組み考えておるわけであります。
  12. 内藤正光

    内藤正光君 肥大化という言葉にかえてやらなくてもいいことをやっているんじゃないか、これを今回この法案で極力、最大限市場原理を導入しながらどんどん削っていけるんじゃないのかというお答えなんですが、大臣がおっしゃったように、まさにこの法案というのは私に言わせるならば単にすべてを市場に任せてしまうファイナンスのテクニック論にすぎない、その前に本当は政治が果たすべき役割というのがあるんですが、これをこの法案ではすべて放棄してしまっているんじゃないのかと思うんです。  というのは、すべて何でもかんでも市場が片づけてくれるとかということを言う前に、まさに大臣がおっしゃったように、国会の場で政治責任において官がやるべき事業は何なのか、民にゆだねるべき事業とは何なのか、こういった選別がまず行われなきゃいけないと思うんです。  端的に言えば、まさにおっしゃったように、廃止すべき財投機関はありはしないのか、あるいはまたスリム化した上で統合すべき財投機関同士はありはしないのか。もしかしたら、いや、既にやったとおっしゃいますが、まずその前に本当に北海道東北開発公庫が必要かどうかという見直しが私はなされたとは決して思えないんです。単に二つをとにかく存続させるということを前提のもとにただくっつけただけ。まず、そこには官がやるべきことは何なのかとか、民にゆだねるべきことは何なのかというような議論は全く私には見えてこないんです。これが一つなんです、政治が果たすべき役割は。二つは、やはり政策コスト分析、この事業が果たして本当にそのコスト負担に見合うかどうか、見合うに値するかどうか、こういったものを判断する。この二つというのはまさに市場が全部片づけてくれるとかそういうふうにほうり出すべきものじゃなくて、国会がその責任において議論すべきことじゃないのかと思うんです。  そういった意味で、今回の法案というのは、よく財投改革財投改革だとおっしゃっていますが、財投改革の名に値しないんじゃないのか、単に現行財政投融資制度金融仕組みにちょっと手直しをしただけのものじゃないのか、私はそう思うんですが、大臣の御意見をいただきたいと思います。
  13. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それは正論だと思いますし、本にもそう書いてありますけれども、実際問題として一つ財投機関をつぶすとなったらこれは大変な問題であります。そう簡単に国会があの機関は要らないといって合意してくださるとは現実には思えない、政府中央省庁改革でもいろんなことを言ってこの程度のことしかできないわけでございますから。  しかし、行政機関というものはどうもどうしようもない。幸いにしてこれは金で動いている機関ですから、金がなくなれば自分で閉めざるを得ないという、どうもそういう万古不変の原理というものに頼らざるを得ない。まことに残念なことでございます。残念なことでございますが、それが一番有効な方法であろうというのが過去の経験からの判断であったのではないかと思います。
  14. 内藤正光

    内藤正光君 そうは言っても、私は、この法案が仮に成立したとしても、官がやるべきことは何なのか、民にゆだねるべきことは何なのか、この議論を避けて通ることは決してできないと思うんです。というのは、そういう議論がなければいつまでたってもどの機関もみんな財投債に安住しちゃうわけです。  そこで、大臣にそのお考えをお伺いしたいんですが、民にゆだねるべきことは何なのか、官がやるべきことは何なのか、大臣のお考えをお聞かせいただけますでしょうか。
  15. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それは抽象的に申すことはできません。その社会、その国によって、官がすべてをやって、あとは全部民に渡したらいいというところもあるかもしれません。また、官のやることはなるべく少なくしておく方がいいと考えている国もあると思いますが、私どもは、私どもというのは今政府をつくっております私どもという意味でございますけれども、それはできるだけ市場経済物差しでやっていくということの方に重点を置いております。それは実は行き過ぎればきっと非常な弊害があることでございますけれども、めったに行き過ぎませんので、まずその物差しというものが一番有効だろうと考えております。
  16. 内藤正光

    内藤正光君 万々が一この法案が通ったとしても、官のやること、民にゆだねることのこの国会での議論は私は決して避けては通れないということを申し上げて、法案の中身に入りたいと思っております。  まず、ちょっとこういう質問の仕方をさせていただきますが、もし大臣がお知り合いからお金を貸してくれと言われたら、まず、大臣はすぐああいいですよとお金を貸すようなことはないと思うんです、幾ら大臣自身お金があったとしても。私は、まず、何に使うんですかとか、あるいはまた本当に返せるめどがあるのか、こういったところを尋ねるのが普通というか常識なんだろうと思いますが、一般論で結構ですがお答えいただけますでしょうか。
  17. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それは貸すつもりなら聞きますけれども
  18. 内藤正光

    内藤正光君 貸すつもりなら当然聞くわけですよね。しかし、現行財政投融資制度は貸すつもりというか貸すわけです。だから、当然聞かなきゃいけないんですよ。何に使うんですか、むだ遣いしはしませんか、ギャンブルに使うことはないんですね、ちゃんと返してくれるんですねと、そういうことは当然聞かなきゃいけないんです。ところが、現行財政投融資制度というのはそうはなっていない。  何でなっていないのかと私もひもといてみました。そうしたら、昭和四十八年の国会議論にさかのぼることができたんです。昭和四十八年ですから今から何十年も前ですが、財投計画ということでいろいろ議論されてはいますが、そこどまりなんです。なぜそれ以上突っ込んだ議論が行われないのかと調べてみたら、昭和四十八年の国会議論でこういうのがあったんです。  資金運用部資金というのは受動的な資金だと。つまり、黙っていてもいろいろ貯金だとか何かが郵便局とかに集まってくる、こういった受動的な資金というのは全体的には数量的規制にはなじまないと。つまり、平たく言えばこういった全体を国会審議にかけるというのはなじまないと。しかし、その運用については、つまり財投計画部分、ここについてだけは財政的支援配分という性格にかんがみて、ここだけは国会議決にかからしめると。これはあくまで例外的なんですね。だから、昭和四十八年の議論では、全体としては受動的な資金ゆえに余り事細かに議論はしないというようなことを要は言っているんです。  しかし、そういったことが結果としてどういうことにつながっているのかといえば、受動的に流入する資金が各財投機関に、その資金需要かかわりなく、さらに言うならば、その組織の存在意義の有無にかかわりなく資金配分をされていってしまった。結果としていろんな財投機関肥大化をしていってしまった。私は、今回の法案を審議するに当たっては、こういった反省の上に立つべきなんだろうと思うんです。ところが、私は、どうひいき目に見ても今回の法案というのは、先ほどから何度も申し上げておりますように、現行制度を踏襲したものにすぎないのではないのかと思っているんです。  そこで、大蔵大臣お尋ねをいたしますが、いろいろあるかと思うんですけれども財投債を発行するに当たって、発行総額が最終的には決まって、それが国会議決にかかるわけなんですが、この発行総額が決まるまでの手順がどうなるのか。各財投機関予算査定、ここに着目してお答えいただけますでしょうか。だれが予算査定をするのか、そういったところをできる限り、ポイントをよりわかりやすく具体的に教えていただけますか。
  19. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 今、戦後のこと、四十何年からのことを言われましたけれども経験に徴しましても、我が国経済が興隆をいたしました過程の中で、広い意味での国民貯蓄は当然増大いたしました。いたしましたから、したがって財投原資は自然に増大をいたしました。これを配分するわけでございますから、もとがふえればどうしても配分額はふえていく、そういうことはおっしゃるとおりで、現実にあったと思うんです。  そういう中で、金があるからそれをどういうふうに有効に増大配分するかというその判断が甘くなっただろうということは私も事実に徴して本当であったというふうに思いますので、そこは間違いがないように思います。それがまた今回改革を必要とするに至った一つの大きな理由であったろうと。原資が小さくなっていけばそういうことは起こらなかったであろうと思われます。  次に、これからどうするかということでございますけれども、まず基本的に各特殊法人自分財投機関債を発行する、そういうつもりでやってもらいたいということを原則として、この法律案が通りましたら、各省庁、これは所管省庁がございますから、並びに各財投機関にまずそういうことを徹底しなければならないと思います。  それで、自分財投機関債を発行してやれるというところはそれで、もちろんいろいろ査定や何かの問題はございますけれども、多くのところがなかなか財投機関債というのは発行できないということになる、そういうふうな結果になってまいると思いますから、その場合には、それならば、一体あなたのやっている仕事の中でどうしても民間活動を補完する意味で本当に必要なものは何ですか、またその仕事は将来どういうコスト計算になるでしょうか、金を借りたときにあなたの仕事の中から返せますかといったような点の精査を大蔵省がいたします。  そうして、その中で徹底したいわばゼロベースでその財投機関のやっていることを見直しまして、その場合において何がどうしても必要だとして残るか、そういうことを一遍全部やってみなければならないし、それをいたそうと思います。  それから、どうしてもこれだけは必要な仕事だとなれば、それは今度は財投機関債はだめなわけですから財投債を分けるということになりますが、この財投債そのものが、もう預託という制度がなくなっておりますから、そう簡単に売れるとは限りません。これはまあ簡単に言えば国債でございますから、そう簡単に売れるとは限らないから、配分をするもとが実は非常に厳しいだろうというふうに考えざるを得ません。したがいまして、これは国会議決もいただいておりますから財投債幾らでも差し上げられるという状況ではない、むしろ非常に厳しいということで各機関に取捨選択をいわば強いる結果になる、そうせざるを得ないんだと私は思っております。  それが、この法律が成立いたしました後、もう予算編成時期でございますから、八月末までが財投要求の期限でございますから、その間にそういう作業をいたさなければならないと思います。私が非常に心配していますのは、なかなか財投機関債というものが市場で簡単に受け入れられるとは思わない。市場から見れば、先ほど内藤委員も言われましたけれども財投機関というのは民間企業に比べればかなり余裕余裕のあるというよりむしろ甘いと市場は言うんでしょうが、そういう経営をしておるわけですから、そういうところの財投機関債なんというものは、今までないものでございますし、どうもそういうものは安易に引き受けるわけにはいかない。また、発行条件にもよると思いますが、発行者にも発行条件幾らでもいいというわけではございませんから、そういうことで市場はなかなか食いついていかない。  その前に格付をしてもらえば、今お互いに幾つかの財投機関を思いましても、既にそういうことをやっているところも多少はあるわけでございますし、これから考えて、あそこはいけるかなといったようなところがお互いに想像できますけれども、それは決してたくさんの財投機関ではありませんので、多くの財投機関でその格付のところでなかなかいろいろ問題があるのではないだろうかということを私自身は実は正直心配しておるというのがむしろ事実でございます。
  20. 内藤正光

    内藤正光君 総額については国会議決にかかるんですが、残念ながら、今までもそうなんですが、これからも、この総額が果たして妥当なのかどうかという、国会議論するには材料が余りにもなさ過ぎるんです。そして、しっかり各財投機関予算査定まで国会が関与しないと、その足し合わせた総額が妥当なものかどうかわからないんです。この査定の一番肝心なところを、大蔵省、次は財務省、ここが一手に担うということになれば、結局さじかげん一つでどうにでもなっちゃうんです。  そこはおいておいても、結局、大蔵省あるいは財務省とて省庁間の壁というのは越えられないんですね。だから、本当にちゃんと厳しい査定ができるのかどうか、私は大いに疑問に思っているんです。ということは、結局はこれからも、またこの法律改正後も引き続きこの非効率さがそのまま温存され続けていくんじゃないのか、こんな懸念が私はぬぐい切れないわけなんです。  そこで、一言で私の思いを申し上げるなら、各財投機関予算査定についても、私は、国会が鋭く議論をするというか切り込む、そういう余地があるべきだと思うんです。今回の法改正で例えば資金運用部というものが財政融資資金特別会計というふうに名前が変わるんですが、名前が変わるだけじゃないんですね。その特別会計の持つ性格づけも百八十度変わるわけなんです。受動的なものから能動的なものへと大きく変わる。となると、私が先ほど御紹介をした昭和四十八年の国会論議の、受動的な資金ゆえに余り数量的規制になじまないだとか国会の審議になじまないとか、そういった論理はもはやここでは通用しなくなるわけです。  そこで、私は、各財投機関予算査定について、情報公開の拡充とあわせて国会議決にかからしめるべきだと思うんですが、大臣のお考えをお伺いさせていただきます。
  21. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 徹底的なディスクロージャーが必要である、また国会で各財投機関のあり方について御審議をいただく、これはむしろ当然そう願いたいところでございますけれども一つ一つ財投機関の予算を国会の御議決の対象にするということは、現実にそういうふうにお願いをしておりますので、問題は、その御議決のときに、場合によっては否決をしてもいいといった緊迫した問題のような御審議があるかないかということであろうかと思います。
  22. 内藤正光

    内藤正光君 国会議決の対象になっているといっても、それを判断する、議論するに十分な資料というのは提出されているんですか。国会議決になっているといっても、それは形式的なものであって、では国会の場でいろいろ議論するのに必要にして十分な資料というか、情報が公開されているんですか。
  23. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) もとより、国会のお求めになる資料は一切提供いたしております。  ですから、それは結局国会のお立場から、この機関は本当は要らないんじゃないかと仮にお考えになったときに、この予算を認めないというそういう国会のお立場であれば、それはそういう結果に当然なるわけでございます。従来の国会におかれましては、もとより慎重御審議をしていただいておりますけれども、それはまた当該機関に非常に大切なことでありますが、十分な資料のもとに国会は御審議の上それを認めておられるというのが従来であろうと思います。
  24. 内藤正光

    内藤正光君 十分な資料が国会に提出されているということなんですが、基本的にはストックの損益であるBSであったり、あるいはまた損益計算書、PLであったり、資金収支だけですよね。それで、提出されてくる資料も各省庁ばらばらですよね。それを見たって各財投機関がどれだけの焦げつきを持っているかなんて全然わかりゃしないんですよ。歳入歳出だって、これは予算の要求ベースで出てくるものであって、大蔵省というか各財投機関からこれも出しますというふうに出されてくるものじゃない。足りない情報なんていっぱいあるんですよ。  あるいはまた、上場企業並みの財務諸表が公開されているか。あるいはまた、道路公団を例に挙げればわかるんですが、道路公団の下に幾つもの関連企業がある。道路公団そのものは赤字であっても、その関連会社等はもうすごく潤っている。こういったところが提出されてくる資料から全く見えてこない。  私は、そういった問題に鋭く切り込んでいくためにもこういったすべての関連会社を含めた連結ベースの財務諸表等が提出されるべきだと思うんですが、こういったものが提出されていないのが現状なんです。私はそれで国会の審議にたえ得る十分な情報が公開されているということはとても言えないんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  25. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 従来の御審議のあり方について私どもが批評がましいことを申す立場ではありませんけれども、ある意味財投機関はまあまあちゃんとやっているだろうというお立場でありますか、資料等々の御要求はもとより、国会の要求される資料はあらゆるものを御提出すべきものであります。  今、連結決算の問題も言われましたけれども財投機関側のその財務諸表のあり方、経理のあり方というのが民間の会社とはもとより多少の理由もあって異なっておることでありましょうが、国会の非常に厳しい審議あるいは資料の御要求からそういうのんびりした会計処理はしていられないということになれば、当然それは財投機関はそうせざるを得ませんので、したがいまして、国会の御審議の対象であります以上、国会が御審議のお立場からいろいろな厳しい要求をしていただきますことは財政当局としても賛成でございます。
  26. 内藤正光

    内藤正光君 それは大蔵省としても各財投機関に対して、積極的に基準を、各省庁ごとばらばらじゃなくて、私は統一した基準で提出するよう特例というか義務づけるべきだと思うんですが、そういったところまで踏み込まれないんですね。踏み込まれるんですか。
  27. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それは各機関によって性格が違いますので、統一的な方針を求める気持ちはありません。ただ、財投機関債が出せないということを言われるならば、それはなぜかということは追及せざるを得ませんから、したがって予算要求機関の側でそれはそういうふうに整備をしてこられなければならないようになってまいります。
  28. 内藤正光

    内藤正光君 でも、それは結局はその対象の財投機関大蔵省との間で閉じてしまっていることであって、これをオープンにされるんですか。
  29. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それはつまり予算折衝の過程みたいなものでございますから、それを一々公にするかどうかは事柄によると思います。要するに、目的とするところは財投機関債が出せるように合理化をしなさいということでございますから、そういうやりとりというものは当然かなり厳しいものをせざるを得ないんではないかと思います。
  30. 内藤正光

    内藤正光君 そういった各財投機関予算査定をなぜ厳しくしなきゃいけないのかというと、これはもう根本に戻るわけなんです。今までの財投機関のいろいろな問題は、結局初めに資金ありきで、繰り返しになって恐縮ですが、それが各財投機関資金需要かかわりなくばらばらとばらまかれた。これが問題なんです。  今回その方向を変えたとはいうものの、受動的なものから能動的なものへ変えたとはいうものの、この予算査定がいいかげんなものでは、あるいはまた大蔵省さじかげん一つで決まってしまうものであるのだったらば、結局最初に資金ありきの現行制度と何が違うんですかということになっちゃうんじゃないですか。
  31. 林芳正

    政務次官(林芳正君) 細かい話、細かいというかテクニカルなところもございますので私の方から御答弁させていただきたいと思います。  基本的な考え方は大臣がおっしゃったように、今度は要る資金だけを財投債ということで調達しなければならないということで、委員がおっしゃったようにそこはかなり絞りがきつくなってくる。その上で、大蔵省査定がさじかげんになるのではないかというような御指摘だったと思いますが、そこはきちっとこの改革に沿ってやっていくということであろうと思いますし、それから手続的にも、今回は財政投融資計画というのを法律上位置づけまして国会に提出させていただく。そして、今、委員から御質問があってお答えがあったように、個別機関ごとにやるわけでございます。ですから、そこにおける審議におきまして、これじゃ甘いんじゃないかということがあれば、それが国会において否決されるというような緊張感の上で、その査定もそれを前提に置いてやるということを御理解いただきたいと思います。  それから、ディスクロージャーでございますが、今申し上げましたように、予算及び財政投融資計画の説明も含めまして国会に提出するということ、それから、これは今もやっておりますが、財政投融資レポート、かなり分厚いものでございますけれども、これを公表しておりますし、それから資金運用部資金運用実績の審議会への報告と公表ということをやることになります。それから、ホームページにもレポートの掲載、それから各財投機関のBS、PL等を掲載していく、こういうディスクロージャーをやっていくということ。  それからもう一つは、先ほどBS、PLのお話がありましたけれども、今回、国会に提出することを法律上規定するとともに、今現金主義でやっておりますが、これを企業会計原則に準拠した発生主義に変えていく、複式簿記というんでしょうか、そういう形に変えていって、より立体的なディスクロをして御審議に供することができるということでございます。  それから、国会においても、衆議院におきましては決算行政監視委員会、それから参議院におきましては決算委員会と行政監視委員会が分かれておりますので、これは後でございますが、こちらにも事業の実施については御審議をいただくということで、そこでも担保がかかるということでございます。  それから、後ほど御質問があろうかと思いますが、政策評価についても、各省、総務省、それから政策評価委員会というのが今度新しくできる、そこでも評価をし、最終的にはこれに総務省による行政監察ということで、これも国会でいろいろ御議論があるということで、入り口、入り口というのは資金ではなくてその使い道の予算で査定するとともに、これはあくまで予算でございますから、結果についても重層構造的に国会で御審議をいただくことになっておるということでございます。
  32. 内藤正光

    内藤正光君 政務次官、いろいろもう既に公表しているということなんですが、では連結ベースの情報というのは公表されているんですか。
  33. 林芳正

    政務次官(林芳正君) 連結につきましては、BS、PLと申し上げたのは複式簿記という意味で申し上げた、発生主義ということで申し上げたんですが、子会社のことをおっしゃっているんだと思うんですね。  それで、特殊法人につきましては、企業会計原則に準拠して特殊法人等会計処理基準というものがございまして、これに基づいて会計処理をきちっとやっていこうということでやってまいったわけでございますが、そこで問題になりますのは、特殊法人は、特殊法人という名が示すように特別の法律がございまして、公益にのっとったことをやっていこうということで特別に法律をつくったということでございますので、いわゆる一般の株式会社みたいな利益を追求する商法法人とちょっと違うというところがございまして、会計原則もちょっと違うわけです、先ほど申し上げましたように。  ですから、そういう問題があるということを申し上げた上で、ただ全体像を見ないとなかなかよくわからないということもございまして、行政監察の勧告が平成八年十二月に出ておりますし、それから行政改革プログラムも同じその十二月に出ておりますが、これに入っておりますディスクロージャーで、子会社とか関連会社にとどまらず特殊法人の業務に関連する公益法人も含めて内容の開示を行っていこうということで、平成九年に特殊法人の財務諸表等の作成及び公開の推進に関する法律ということで法律になりまして、所管の省庁におきまして特殊法人の全体像を明らかにするという目的から子会社の財務内容の情報公開を進めておるという状況でございます。  これはどういう基準でやるかというのが最初に申し上げましたようにちょっと違うものですから、がちゃんこして相殺したものだけ出すと余計わかりにくくなるというような側面もございまして、両方情報公開することによってちゃんと見てもらうという仕組みになって、それをますます進めていくという方向であるということでございます。
  34. 内藤正光

    内藤正光君 御存じでしょうが、例えば本当に関連会社までしっかりと押さえないことには道路公団のような問題というのは全体像を把握できないわけですね。確かに株式会社そのものには直接は財投は行っていないにしても、道路公団に財投が行っている。道路公団が結局発注だとかそういったものを通じてそういった子会社を潤しているわけですよ。  やはりしっかりと関連会社すべて、子会社すべて含めて徹底して情報公開、ディスクロージャーを進めていただかないことには本当の意味財投改革は進まないだろうと思いますので、そのところは徹底して進めていただきたいと思いますが、御決意をお願いしたいと思います。
  35. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それはそれで結構でございます、まさにそういうことを政務次官が今申し上げましたので。  ただ、非常に厳しいというか厳格に申しますと、特殊法人特殊法人でございますし、子会社のうち多くは商法法人でございますから、その決算を連結する、連結決算ということになるとそれはなかなか難しいことでございましょう。しかし、全貌がわかるようなディスクロージャー、全部情報として出すということは大事なことと思います。
  36. 内藤正光

    内藤正光君 その取り組みは、例えばどれぐらいをめどに始めるとか、今のところ目標はあるんですか。
  37. 林芳正

    政務次官(林芳正君) 先ほど御答弁申し上げましたように、九年に法律も通っておりますので、これはもう進行中であるというふうに思います。  それで、今、大臣からも御答弁がありましたように、技術的に連結そのものについてはいろんな検討すべき課題もありますので、個々においては今連結決算ということで企業会計審でもこの間始めたところでございますし、いろんな動向も注視しながら、まずはその所管しておる官庁がございますから、そこが一番よく実態をわかっているわけですね。ですから、そこでいろいろ検討してまいりまして、我々といたしましても、大臣から今御答弁がありましたように、きちっと対応してまいるということだろうと思います。
  38. 内藤正光

    内藤正光君 では、数年以内というふうに理解してよろしいんですね。  なぜそういうことを聞くかといいますと、ちょっと話が変わるかもしれませんが、政策コスト分析についてお伺いしたいんですけれども、これがまたいつどういうめどで、目標ですべての財投機関に適用されるのかどうか、そういうのがちょっと不明なんですね。何回聞いても答えが返ってこないんです。それで、私としても、あと三年以内を目標にとか四年以内を目標にという話を聞きたいわけです。というのは、国会の場では当分の間が五十年続くこともあるわけですよね。  ですから、ある程度、大変しつこいようで恐縮なんですが、そういう全容を明らかにするにはそういったディスクロージャーが本当に大事だと思うんです。これは本当に来年からでもやっていただきたいぐらいの思いで私は訴えているわけなんですが、ある程度、当分の間とかというごまかしじゃなくて、お答えいただければ大変うれしいんですが。
  39. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それは、一つ申し上げられることですが、既にそういうことは進行しつつありますけれども、今度はこういうことになりましたので、特殊法人自身が実はそういうことをしないと、自分の立場というものがまず予算査定のときに説明できないし、また市場に対して説明をしなければ機関債なんという話はとても受け付けられないわけですから、今度は自分の立場からどうしてもそういうことをせざるを得ないということが起こりますので、大いにそれは促進されると私ども考えています。
  40. 内藤正光

    内藤正光君 ただ、機関債を発行しようという意欲のあるところはそうかもしれませんが、大臣もいろいろな財投機関の理事長の方々からいろいろお話を伺っているかと思うんですけれども、ほとんど積極的に機関債を発行しようなんというところはないわけですね。  それはそのはずなんですね。やっぱり機関債は財投債に比べて資金調達コストもかさみますし、情報公開もより一層進めていかなきゃいけない。いろいろな問題があるから、できるならばうちはいつまでも財投債でいきたいと思ってしまうわけですね。そういったところが果たして市場判断をゆだねるべく情報公開を進めていくかというと、私はそうは思わないんですが。
  41. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) いや、今度は財政当局になぜ機関債が発行できないのかということを説明しなければなりません。その段階で同じ問題が起こります。機関債が発行できないから何でも財投債がもらえるというわけには今度はいかぬわけでございますから、そこのところにそういう段階がやっぱりございます。
  42. 内藤正光

    内藤正光君 わかりました。  では、もうその辺のところはしっかりと規律を持って臨んでいっていただきたいと思います。この辺がいいかげんですと、本当に今回、全然財投改革のザの字もないわけですから、厳しく臨んでいただきたいと思います。  そこで、先ほどちょっと触れましたが、政策コスト分析についてお伺いをさせていただきたいと思います。  今、五つの機関において政策コスト分析が試行実施されているかと思いますが、どんなふうに使われているのかというのも含めて、現状をお伺いさせていただきます。
  43. 林芳正

    政務次官(林芳正君) 今、内藤委員から御指摘がありましたように、今回はこの改革に先立ちまして五機関におきまして試算をしておりまして、資料もお持ちだと思います。  そこで、十二年度の政策コスト分析でございますが、いろんな専門家、学者の先生方等に入っていただきましてコスト分析・評価検討会というのをつくっております。そういうところなどでいろんな精査、検討を行いながら、先ほど申しましたように、機関を監督しております関係各省庁、また機関そのものとも協力して一生懸命やっておるところでございまして、昨年は五つでございましたけれども、ここから少しでもふやしていくということで一生懸命やっておるところでございます。  そこで、財投の対象となっております特殊法人と認可法人につきましてはこういう政策コスト分析をきちっとやっていくということで、今やっている法人の業務について見直しを行っているわけでございますが、将来的には対象となる全法人につきまして分析結果を公表するということが究極の目標でありますから、そこになるべく早く、何年かとおっしゃるとなかなかきついところもあるわけでございますが、一生懸命頑張ってまいりたい、そういう現状でございます。  最初に申し上げましたように、昨年度は住宅金融公庫、国民金融公庫等、五つのものについて試算を出しておるところでございます。
  44. 内藤正光

    内藤正光君 今五つなんですが、私は早急にこれをすべての財投機関、対象機関に広げて、それでやったからといってすぐ使い物になるかといえば、これは私も理解しています、やっぱり精査の期間が何年間か必要だと思います。二年、三年になるかわかりませんが、その精査の期間を置いて、私は国会に提出を義務づけるべきだと思うんですが、いかがですか。
  45. 林芳正

    政務次官(林芳正君) 国会に提出すること自体は、ちょっと今法律がどうなっているかわかりませんが、時期的な問題として、予算をお出しする時期に出すというのはなかなかテクニカルに難しいところがあるというふうには聞いておりますが、コスト分析をこういうふうに公表して資料としてつけておりますので、それをもとにしていろんな御審議をいただくということになろうかというふうに思っております。
  46. 内藤正光

    内藤正光君 わかりました。  では、時間もあと十五分ぐらいですので、最後のテーマになろうかと思いますが、資金運用の透明性についてお尋ねをさせていただきたいと思います。  今、皆様のところに間もなく資料が届くかと思います。それをちょっと拡大したのがこちらの図なんですが、これはどういう資料かといいますと、九四年から九八年にかけての推移なんですが、資金運用部による金融債保有残高、これは縦棒の方で、線グラフが日債銀の株価の推移、これを重ね合わせたものなんです。  これを見て率直なところをお伺いしたいわけなんですが、私はあるおかしな傾向がこのグラフから読み取れるんじゃないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
  47. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) よくわかりません。
  48. 内藤正光

    内藤正光君 九五年の春ぐらいからなんですが、日債銀の株価はずっともう下がり続けているわけなんですね。それに対して、資金運用部が持っている金融債の保有高が株価とは反比例するようにぐぐっと上がっているわけなんです。これは普通に考えると大変おかしなことだと思うんですが、いかがですか。
  49. 林芳正

    政務次官(林芳正君) 今、初めてこの表を見せていただきましたし、それからこの軸のとり方が全く質の違う、保有残高は兆円でございますし、それから株価は円でございますから、ちょっとどういう因果関係が、ビジュアルに委員がおつくりになったと思うので、そういうふうに見えると委員はおっしゃるのかもしれませんが、そこは何とも申し上げようがないのではないか、こういうふうに思います。
  50. 内藤正光

    内藤正光君 質が違うとおっしゃいましたが、大体この手のグラフというのは普通なんです。左手の目盛りを読んでいただければ保有残高、兆円単位、ちゃんと目盛りも打ってあります。一番上が十二兆円。棒グラフについてはそちらを見ていただければいいわけなんです。右は日債銀の株価ということで、一番上は八百円、こういうレンジで。このグラフは別に何も特殊なものではない。私がある特殊な技術を使って加工したものでも何でもない。ただ二つを重ね合わせただけなんです。ですから、私はこれで傾向を読み取れるんじゃないですかと言っているんです。  その傾向を見ると、特に九五年四月あたりからの、これが余りにも異様じゃないですかということを私は単に申し上げているだけなんです。
  51. 林芳正

    政務次官(林芳正君) どういう御趣旨か余りよくわからないものですから、ちょっと的外れかもしれませんが、金融債保有残高というのは、委員も御承知のように、資金運用部で金融債というのを持っておる残高でございますから、それは短期の、たしか五年までだったと思いますが、その資金繰りについてやるということでございますので、これは資金運用部のその時々の判断によって残高が決まってくるということでございます。これと日債銀の株価というのがどういう関係があるのか、このグラフからどういうふうに読み取れるのか、ちょっとよくわからないところでございます。
  52. 内藤正光

    内藤正光君 資金運用部が金融債を買ったからこういう傾向を示したというのじゃなくて、言わなくてもわかっているんでしょうけれども、こういう低落し続ける株価を買い支えるために資金運用部資金が使われたというふうに見るのが普通じゃないのか。  つまり、もう既にこの時点で抜け道を使って公的資金が注入されていたんじゃないかという大変強い疑念が抱かれるわけなんですが、いかがでしょうか。
  53. 林芳正

    政務次官(林芳正君) 今やっと委員が何をおっしゃりたいかわかったわけでございますが、先ほど申し上げましたように、財政投融資計画の実行ということで、例外的に商工中金はいろいろな事情がありまして今でも金融債を購入してきておることは多分委員も御承知だと思います。それ以外は、過去において、今はなくなったんですが、先ほど申し上げましたように、資金運用部資金の短期運用の一環として、過去にいろんなところが発行しておりました金融債を運用の一環として買っておったということでございます。  これは大事なお金でございますから、過去においてやっておったときにも各行の貸付残高等を踏まえて購入額を決めておりまして、委員が今御指摘になった、特定行に偏るような恣意的な運用というのは一切行っておらないわけでございまして、買い支えというようなことがもし委員の御指摘であるとすれば、そういう事実はないということでございます。
  54. 内藤正光

    内藤正光君 資金運用部資金で当時は、現行制度でもそうなんでしょうけれども金融債を買うということは何ら違法ではない。しかし、この資金運用部資金法の第一条で資金運用のあり方について規定があろうかと思います。それは「資金を確実且つ有利な方法運用する」と。こんな下がり続ける日債銀の株価をかなり買っていたかと思うんですが、これは私は完全にこの第一条に反するのではないかと思うんですね。
  55. 林芳正

    政務次官(林芳正君) 株価が下がるということとその安全な運用というところがどれぐらい今の一条の趣旨に反してというところはにわかに今手元に準備するあれがありませんが、株価が上がったら一義的によくて下がったらだめだとはなかなか言えないのではないかなと。株を買っておるわけではなくて、金融債というのはそこの社債でございますから、先ほど申し上げましたように、各行の貸付残高とかそういうところを踏まえての運用ということで、償還の確実性とかそういうことを踏まえて、委員が今引用されました一条の趣旨にきちっと照らして運用を行ってきたということではないかと思います。
  56. 内藤正光

    内藤正光君 株価といったら、例えば日債銀の株価というのはやはり日債銀そのものの評価をあらわすわけですよね。ですから、金融債と株価が違うなんということは、物自体は違っても日債銀の評価は強い因果関係があるわけですから、私はいかがなものかと。  そこで、平成九年十二月一日に衆議院予算委員会があった。その中で、我が党の小沢鋭仁議員がこんな質問をしているんです。金融債は保護の対象になるんですかと。そうしたら、当時の大蔵大臣は三塚さんでしたが、あっさりと保護の対象になりますと答弁しているんです。当時、預金保険法の保護の対象になるかどうか。当時でも実は金融債については保護する云々という根拠法は全くなかったわけですね。にもかかわらず、当時の三塚大蔵大臣はあっさりと、別に何度かのやりとりを経た後ではなくて、保護になるんですかという小沢委員質問に対して、対象になりますとあっさり答えているんです。うがった見方をするならば、これは買い支えに対する援護射撃以外の何物でもないんじゃないか。いかがですか。
  57. 林芳正

    政務次官(林芳正君) 何ともお答えのしようがないところでございますが、金融債を預金保険の保護の対象にするというのはいろんな御議論があって、全額保護をするという特例期間中に金融債というのが資産として結果として保護されると。今度、恒久措置になりますと、これはもう委員も御承知のように金融審議会でも種々議論をいたしまして、いろいろ場合分けをして、きちっと個人で持っているものといったような条件等があったと思いますが、そういうものに限っては保護をしていく、きちっと保険料も取る、これが仕切りでございまして、それとこちらの運用部の方のあれというのは直接は、直接というか、関係のないことではないかなと。  それから、先ほどちょっと私言い忘れておりましたが、この資金運用部による金融債保有残高、これは何も日債銀だけではなくてたくさんございますので、それの総額がここに出ておるということだけはもし誤解があるといけませんので申し添えさせていただきたいと思います。
  58. 内藤正光

    内藤正光君 おっしゃるように、確かにこれはすべての金融機関金融債保有高です。
  59. 林芳正

    政務次官(林芳正君) 金融債を出しているところのですね。
  60. 内藤正光

    内藤正光君 はい、そうですね。  その前に、平成九年のこれまた六月十日なんですが、参議院大蔵委員会でここにおいでの寺崎先生がこんな質問をしているんです。この辺の傾向を指摘してなんでしょうけれども、買い手がつかない日債銀の金融債を政府が買い支えたんじゃないかというような質問、同様の質問をしております。それに対して、政府委員伏屋さんはそのような事実はないと明言をされました。  そのような事実がないならば、私はそれを示すような客観的データを示すべきだと思います。そして、林政務次官がおっしゃったように、確かにこちらは日債銀です。しかし、棒グラフの方は全部をひっくるめた総額です。  ですから、私はここで大蔵省に要求したいんですが、少なくとも平成五年一月から日債銀が特別公的管理下に入った平成十年十二月までの資金運用部による日債銀の金融債保有高、その推移を示すグラフを提出していただきたいんですが。
  61. 林芳正

    政務次官(林芳正君) お答えする前に、先ほど預金保険のところでちょっと間違っておりました。私、資産と申し上げたかもしれませんが、負債ということでございますので、訂正させていただきたいと思います。  それで、今、委員から、各発行銀行ごとのというか、日債銀ということでございましたが、この金融債の中でどこに幾らぐらいということは、これは市場にもいろんな影響を与えるということもございます。全体としてはこうやって金融債の保有残高を出しておりますし、それから、先ほど申し上げましたように、商工中金はちょっと目的が違うということもありまして、ディスクロ誌を見ていただければ商工中金の残高というのは出ておりますので、全体から商工中金を引いていただきましたら短期の運用にやっておったものというのは出てくるわけでございますが、そこから先のブレークダウンというのは今申し上げましたような理由でちょっとコメントができないということでございます。
  62. 内藤正光

    内藤正光君 どうして日債銀の保有残高を示すことが市場に大きな影響を与えるんでしょうか。これはもう既に過去のことですよ。過去のデータを提出してくださいと言っているんです。さらにまた、日債銀には巨額な、三兆円、四兆円もの公的資金が注入されているわけですから、私はこの辺は明らかにすべきではないかと思うんですが、いかがですか。
  63. 林芳正

    政務次官(林芳正君) 申し上げましたように、過去とは言いましても、また今いろんな交渉をやっておりまして、市場に出てくるわけでございます。ですから、そういった意味でも、また委員ももう御承知のとおりだと思いますが、金融債を出しておるところというのはそんなにたくさんないわけでございます。ですから、ではこれを出すと残りがこれとこれとこれ、こういうようなことにもなりまして、特にそういう意図がなくてもこの残高がふえたり減ったりということで、いろんな市場への影響というのは我々は配慮してまいらなきゃいけない、こう思っておりますので、そういう意味では個別の残高というのはちょっと難しいということでございます。それは御理解いただきたいと思います。
  64. 内藤正光

    内藤正光君 私が提出をさせていただきましたこのグラフを見る限り、この当時、資金運用部資金で買い支えをしたんじゃないかという疑いが大変濃厚なわけなんです。今、新しい制度をこの国会議論しているわけですね、この問題にも絡んでいるわけなんですが。新しい制度をつくる、考える、議論する、その大前提として、私はやはり過去のこういったものにいろいろ問題点はなかったかどうか反省し、そして問題点があったらそこを改善する、そういうことが大前提になければならないんじゃないかと思うんです。  そういった意味で、私は、先ほど申し上げましたが、平成五年一月から日債銀が特別公的管理下に下った平成十年十二月までの資金運用部による日債銀の金融債保有高の推移、これは何としても提出していただかなければならないと思っています。  私は委員長にそのお取り計らいをお願いしたいと思うんですが。
  65. 平田健二

    委員長平田健二君) 後刻、理事会で協議いたします。
  66. 内藤正光

    内藤正光君 その資料が提出された後、また引き続き私はこの場で議論させていただきたいと思います。  終わります。
  67. 櫻井充

    ○櫻井充君 それでは、内藤委員に引き続きまして、財投制度についてお伺いいたします。  ちょっと基本的なことを教えていただきたいんですが、まず今回の抜本的改革の目的について教えていただきたいと思います。
  68. 林芳正

    政務次官(林芳正君) もう議論を大分やってまいったところでございますが、改めまして今回の抜本的な改革の目的は何かという櫻井先生の御質問でございます。  平成十年六月に中央省庁等改革基本法が成立しておりますが、これの二十条にいろんな規定がございます。これを踏まえまして、従来の財政投融資システムの根幹でありました郵貯、年金積立金全額預託義務を廃止いたしまして、真に必要な額について市場から調達するということ等抜本的な改革を図って、今御議論がいろいろありましたけれども特殊法人等の効率化、改革に寄与していこうと。  もう少し具体的に申し上げますと、まず資金調達面、入り口の方でございますが、今申し上げましたような預託義務の廃止、それから、今もいろいろ御議論があったところでございますけれども、真に必要な資金特殊法人のために財投機関債財投債を用いて市場から調達していく仕組みに転換をしていくということをやりまして、特殊法人等の効率化、事業見直し等をやっていくと。  それからもう一つは、先ほども内藤先生からありましたように、財投の対象分野や事業についても政策コスト分析というものをきちっとやって、それを適切に活用していくことによりまして民業補完ということの趣旨を徹底していくとともに、償還確実性というものも精査して、不断の見直しを行うと。  これが基本的なところであろうかと思います。
  69. 櫻井充

    ○櫻井充君 財投機関の効率化を図っていくという話になりますが、そうすると財投機関というものの本来の目的といいますか、それは一体どういうものなんでしょうか。
  70. 林芳正

    政務次官(林芳正君) 財政投融資につきましては、財政政策の一環として、有償資金、租税の場合は無償といいますか返さなくていいお金でございますが、これに加えまして、選択的に有償資金を用いて国のいろんな施策を、あくまで国の施策ということで効果的、効率的に実施する仕組みということでございまして、これは諸外国にもいろんな制度があるというふうに承知をしております。そういうことで、今回の改革はそういう意義がなくなるということではなくて、いろんな御議論があるとおり、国の各般の施策に適切に今後も使っていく必要があるというふうに考えております。  例えば、高速道路のように受益者負担を求めるといったようなところとか、中小企業対策、環境対策、住宅金融というようないろんな分野につきましては、きちっとこの存在価値というのは今後もあるんであろうと、こういうふうに思っておるところでございます。
  71. 櫻井充

    ○櫻井充君 一般的な話ですけれども、国の施策を行ってくる、そういう会社と言ったらいいんでしょうか、そういう仕事をした場合に、民間の企業と比べてどちらが利益を得やすいとお考えですか。
  72. 林芳正

    政務次官(林芳正君) 財投機関と民間の会社を比べてということでございましょうか。
  73. 櫻井充

    ○櫻井充君 政策的なことを実現するために財投機関が必要だというお話でした。その政策的なことを行っていくということは、恐らくはコストの点というのは、民間企業と比較したときには、ある部分利益を得なくても仕方がないんじゃないかと思われる、そういう機関も出てくるんじゃないかと私は思います。  つまり、普通の企業であればとにかく利益を必ず得なければいけないわけです、そうじゃなきゃ倒産してしまうわけですから。つまり、そういう意味で、政策を実施するということは、ほかの民間企業から見たときには、黒字になりにくいというふうに一般的に考えられるものではないですか。
  74. 林芳正

    政務次官(林芳正君) そもそも特別会計は国そのものでございますし、それから特殊法人、認可法人というのも、先ほどちょっと内藤先生のときにあったと思いますが、法律に基づいてこういうことは必要だからということでつくっておりまして、例えば法人税なんかも払わなかったりするわけです、特別会計なんか特に。  ですから、そもそものその比べる基準が違いますので、そこはなかなか同じ土俵で比べてということにならないと思いますが、委員から御指摘があったように、なかなか民間ではできない補完という部分であれば、もしそこが本当にもうかるものであれば民間がやってくれるんではないか、逆に言えばそういうことになろうかと思いますので、そういう意味では委員がおっしゃったとおりではないかなと思います。
  75. 櫻井充

    ○櫻井充君 つまり、余りもうからないようなところにも政府の方針として事業を起こしていかなければいけないのが財投機関だと私は思うんです。そうしますと、先ほど政務次官からお話がありましたが、税金であれば無償資金であると。財投の場合には、基本的には、年金や郵貯を使っておりますから、将来は利子をつけて返さなきゃいけない有償資金なわけです。そうすると、利益を追求しにくいところに有償資金を使っていくというこの仕組み自体に問題はないんでしょうか。
  76. 林芳正

    政務次官(林芳正君) 有償資金といいましても限られた財源であるということでございますし、無償資金の税金というところももっとより一層限られたということでございますから、有償資金でできる分野というのは、一番最初のところで申し上げましたように、各国同じような制度があると申し上げましたけれども、有償資金でなるべくできる分野をここで見ていくということはあり得るんだろう、こういうふうに思います。  例えば、先ほど申し上げましたように、高速道路なんかは膨大な初期投資が必要になりますから、何十年のスパンで見ればその収支は償うかもしれないが、ただそこまでのことを民間でできるのかなというと、なかなかそういうわけにもいかないということがございますので、そのお金を利子をつけて返さなきゃいけないから公的な分野にはなじまないと言ってしまうと、なかなかいろんな知恵ももうそこで出なくなるということでございますから、民間でやることと、全くの税金でやるところ以外にも、うまく知恵を出して有償資金を活用していくことによって、先ほど内藤委員が冒頭でおっしゃったように、いろんなことを今までやってきたということは事実でありましょうし、今後もそういう分野はあるんだろうというふうに理解をしておるところでございます。
  77. 櫻井充

    ○櫻井充君 それでは、もう一つ別な観点からお伺いしたいんですが、たしか一昨日のこの委員会財投機関債を発行できるところはほとんどないんじゃないかというような答弁があったかと思いますけれども財投機関の数と実際に財投機関債を発行できると考えられている数について教えていただきたいんですが。
  78. 林芳正

    政務次官(林芳正君) 今、財投の対象の数ということでございますが、十二年度の計画ベースで四十八でございます。特殊法人が三十三機関、それから認可法人が五機関ということで、特別会計を含めて四十八でございます。  そこで、ではこのうち一体幾つやれるのかということでございますが、これは前回委員会でもいろいろ御議論があったところでありますけれども、例えば営団地下鉄は、これは帝都高速度交通営団でございますが、既に出しておりますし、それから、これも前回あったと思いますが、住宅金融公庫につきましてはABS等を十二年度から発行する予定をしているというふうに聞いております。  このほか、この間も総裁においでいただきましたけれども、日本政策投資銀行ですとか国際協力銀行等初め各機関で今詰めていただいているというところでございまして、これは毎回同じ答弁になって恐縮なんでございますが、どれぐらい出せるかというのは実際には市場で決定されるというような性格もございますので、現段階で幾つ、どれぐらいというのはなかなか難しいということになろうかと思います。
  79. 櫻井充

    ○櫻井充君 現段階で幾つか、どのぐらいかというのがわからないままその制度をつくっていること自体に問題はないんでしょうか。こういうのは絵にかいたもちということになるんじゃないですか。つまり、現実と全くかけ離れている制度をつくって、さあ制度はつくってみたけれども現実的には機関債を発行できない、市場原理も働かないということになりませんか。そこはまず最初にきちんと調べてからこういう制度が導入できるのかどうかと考えるのが普通じゃないでしょうか。
  80. 林芳正

    政務次官(林芳正君) ゼロということではなくて、今幾つか例を申し上げましたけれども、例がございまして、制度の方も、例えば極端な話をしますと、機関債がどうもうちは出せそうにない、しかも先ほど申し上げました財投債の合う条件にはなかなか入れないというところは、極論いたしますと、後ろはびっくりするかもしれませんが、やめてもらうしかないわけです。  だから、そういう意味ではそういう精査の仕組みをつくるというのが今回の改革の趣旨でございまして、要するに機関債というのは幾ら我々が出せ出せと言っても市場に全く受けつけてもらえないということでは仕方がないということを先ほど申し上げたわけでございまして、そういう趣旨で御理解を賜ればと思います。
  81. 櫻井充

    ○櫻井充君 今、やめてしまっても仕方がないとおっしゃいました。本当にやめてもいいんですか。これをやめた場合に大きな問題は起こらないんですか。つまり、銀行がつぶれたとか、そのために銀行の破綻のルールをつくっているわけですが。極端な話とおっしゃいましたけれども、私はそのぐらいの気概は必要だと思います。それはおっしゃるとおりだと思っています。  そうだとすると、実際、本当に破綻をしても構わないとか民営化しても構わないというのであれば、本来はこの制度にそういうルールをつくらなきゃいけなかったはずなんですよ。どういう手順で民営化していきますとか、どういう手順でどういう場合に破綻処理はどういう方法でやっていきますとか、そういうルールを定めなければ今の発言はできないんじゃないかと思いますが。
  82. 林芳正

    政務次官(林芳正君) 極端なことということで、精神的にはそういうことだと思うんです。  それで、委員がおっしゃったように、破綻とおっしゃいましたけれども、もし先ほどのプロセスの中でこれはどう考えてももう要らないよと出てきた場合に、すぐ破綻ということではなくて、多分そういうことになった場合はきちっと経過措置を置いて、徐々にいろんなところに迷惑がかからないようにやっていくと。やっぱり機関でございますから、貸しているのがあるわけです。だから、それをその場で全部なくなっちゃいましたというわけにはなかなかいかないと思いますので、そこはきちっと一番スムーズな形で、本当にそういう場合があった場合はそういう形になっていくかと思います。
  83. 櫻井充

    ○櫻井充君 済みません、仮定の話で大変申しわけないんですが、本当に効率化を求めていくとすれば今おっしゃったとおりです。  もう一つちょっと聞いておきたいんですが、そういう場合にはやはり破綻というか、そういう処理のルールというのはまた改めて定めるというお考えなんですね。
  84. 林芳正

    政務次官(林芳正君) 機関に応じてどういうことをやっていったらいいかというのはいろいろ考えようがあると思いますし、今まででもいろんな統廃合等やっております。ですから、そういうのを見ながらやっていかなければいけないと思いますし、それから財投機関の倒産法制ということになろうかと思います、委員がおっしゃったことを突き詰めていきますと。  やっぱりお葬式といいますか、市場から出ていってもらう退出のルールというのをきちっと決めなければならないわけでございますし、逆に言えば、そのルールをきちっと示すということが今生きている財投機関がきちっと市場で評価をされることにもつながっているという御指摘もありますので、我々といたしましても実は法務省に対して特殊法人等の公法人の破産等の問題について検討を依頼しておるところでございまして、今後、財投機関を含みました公法人の倒産法制については、法務省の中に法制審議会というのがございまして、そこの倒産法制部会で検討が行われるというふうに聞いております。
  85. 櫻井充

    ○櫻井充君 ちょっと脱線したんですが、今回のこの制度でとにかく市場原理に基づいて経営が効率化されると。財投機関債が発行されて初めて市場原理にかかるということになると考えていいわけですね。そのもの自体も発行できなかった場合には市場原理に乗っからないと考えてよろしいんですか、そういう理解でよろしいんでしょうか。
  86. 林芳正

    政務次官(林芳正君) 市場原理にかからないという言葉意味をどうとらえるかだと思うんですが、そもそもそこで選別をするという意味市場原理が一回かかって、それで機関債が出せないということは市場原理に基づいてそっちへ行ったという、あえて言えばそういうことではないかと思います。おとといあったように、機関債を出すことを検討いただくときに、例えば格付機関みたいなところに意見を聞くということ、これは検討の中でもやるようなことになろうかと思いますので、そういった意味ではそこでいわゆる市場原理に触れていただくといいますか、そういうプロセスはあろうかと。  だから、機関債を出せないという意味では、実際に出してそこで市場の評価を受けるというところまでは行きませんけれども、広い意味市場原理といった場合は、そもそもそこで選別をするということ自体が市場原理がそこで働くのかな、そういうふうに思います。
  87. 櫻井充

    ○櫻井充君 私はとにかく一回どこの機関にも全部出させるべきだと思うんですよ。出させてみて、買ってくれるところがなければ、やっぱりこういうものなんだなということをまず認識してもらうこと自体が大事なんじゃないでしょうか。そうじゃなければ、要するに政府保証をつけてもらうとか財投債から融資してもらうとか、その方が楽、楽というか、金利もその方が低くて済みますし、そういう意味で努力を怠るような道をもう最初からつけているわけですね。宮澤大蔵大臣も先ほどなるたけ出していただくようにお願いすると言っておられましたが、やはり原則は全部の機関にまず最初は出させるということをさせなければ市場原理も何も働かないんじゃないでしょうか。
  88. 林芳正

    政務次官(林芳正君) 何か大変魅力的な御意見のようにも聞こえますが、ただ出してだれも買ってくれなかったらどうなるんだろうな、実際にはやっぱりそういう心配があります。精神は委員がおっしゃったとおりでございます。  まずは財投機関債を出すことが原則です。それで、原則がどうしても無理な場合が最初からわかっていて、例えばやってみてもこれはとても無理だというようなところが無理して出して、だれも買ってくれないということがわかっている場合まで形式的にそういうことをやれというのではなくて、そこはきちっとこのプロセスに従っていろんなことをやるというのが今回の仕組みになっております。  委員がおっしゃる精神というのは非常に理解できるんじゃないかと思います。
  89. 櫻井充

    ○櫻井充君 出せないというのはどういう理由で出せないんですか。
  90. 林芳正

    政務次官(林芳正君) 結局、そこは市場原理ということですから、市場が引き受けられないようなものを例えば我々が出せ出せと、行政というか、私は国会議員ですから政治といいますか、その部分がいわば無理押しをして出しても、結局、では市場はそんなに無理して出せ出せと言うなら、何かあったときは後で責任とってもらえるんですかね、こういうような受けとめ方になってもこれは市場原理に反することになるわけですから、ディスクロ等、それから将来的な政策コスト分析みたいなことも多少かかわるのかもしれませんけれども、そういうことをやって、あくまで市場でこの機関債をどういうふうに評価していただくかということをやっていく必要があるんじゃないかということだと思います。
  91. 櫻井充

    ○櫻井充君 なぜ発行できないかということの理由が余り明確ではないように思うんです。  ちょっと総務庁にお伺いしたいんですが、総務庁の行政監察局が財投機関の財務内容を分析しています。分析した財投機関の数と債務超過の状態にある財投機関の数を教えていただきたいと思います。
  92. 塚本壽雄

    政府参考人塚本壽雄君) お答え申し上げます。  私ども特殊法人に対する財務調査でございますけれども、公団、事業団等三十法人を対象として始めております。これまで七回にわたりまして、二十五の法人につき調査結果を所管大臣に通知させていただいております。  このうち、御指摘の債務超過になっておる法人は本州四国連絡橋公団一法人でございます。これにつきましては、報告の中では、通行料収入を得るに当たりまして、多額の建設資金を投入する必要があったという事業の性格から、いわゆる創業赤字という面があるということも付言いたしております。
  93. 櫻井充

    ○櫻井充君 非常に不思議なんですが、債務超過でないということは、その機関自体が黒字だという理解でよろしいんですか。
  94. 塚本壽雄

    政府参考人塚本壽雄君) この点につきまして、この報告の中で、債務超過につきましては債務の総額が資産の総額を超える状況、こういうことでございます。したがいまして、刻々の収支の問題というのは途中各年度がございますが、そうした中での問題とこの債務超過の問題とは別の異なる面もあるのではないかと考えております。
  95. 櫻井充

    ○櫻井充君 ちょっと不思議なんですが、要するにほとんど債務超過ではないんだとおっしゃっているわけですよね、単年度の収支はちょっとわかりませんが。  そうすると、債務超過でないとすれば市場は買ってくれるものではないんですか。そういう単純なものではないんでしょうか。
  96. 林芳正

    政務次官(林芳正君) 委員が今おっしゃったように、一義的に今債務超過であったりとか赤字であったりということだけでいいとかだめとかということにはなかなかならないのかなというふうに思っております。  例えば、先ほども内藤委員と御議論したときに、もしくは櫻井先生になってからだったかもしれませんが、高速道路みたいな長期でやる場合は、最初は赤字なんでございますね。ですから、それが将来にわたってきちっとフィージビリティースタディーをやって長期の償還計画みたいなものをつくっておっても、最初の単年度が赤字だからここはだめだというふうに市場判断するかというと、必ずしもそうではないのではないかというふうに思っております。こうした企業については、将来の事業収入ということがもちろん予想されるわけでございますから、それによって発行した債券を償還するということも十分可能でありますので、単に単年度赤字とか累損だけを見て、それでもうそこは財投機関債は最初からだめなんだということにならないのではないかというふうに考えております。
  97. 櫻井充

    ○櫻井充君 いや、買えないというんじゃなくて、逆で、二十五の財投機関を調べて債務超過だったのはたった一つしかないと。だったら、残りの二十四は発行できるんじゃないですかと私は問いたいんですが。
  98. 林芳正

    政務次官(林芳正君) 逆もまた真ならずでございまして、では今黒字であったり債務超過でなかったらそれは全部見るかというと、市場はそれはどうして黒字なのかとか、将来的にどうなるのかということをきちっと見て判断するわけでございますから、逆もまたそういうことできちっと市場は見ると。それが厳しい市場原理ではないかというふうに思います。
  99. 櫻井充

    ○櫻井充君 そうすると、将来はもしかすると債務超過に陥るかもしれないから、そこら辺の判断が必要だということをおっしゃるのであれば、いつまでたっても市場から資金を調達できないんじゃないですか。今のおっしゃり方は、できない理由、できない、できない、できないばかりなんです。  本来だったら、発行してもらって初めて市場原理が働くんだと、私はそういう説明を受けました。だからあえて目的のところでお伺いしたわけです。財投機関の効率化を図っていきますと。その効率化を図る方法は何かというと、市場原理だというふうに言っているわけです。では、その市場原理はどうやって働かせるのかといえば、それは財投機関債を発行させてということですよね。ということは、財投機関債が発行できなければ市場原理に基づいて経営の効率化が図られるわけではない。そうすると、その目的というのは果たせないんじゃないか。つまり、先ほど内藤さんもおっしゃってましたが、これを市場原理に任せるというところにおのずと無理なところがあるんじゃないかというふうに思いますが。
  100. 林芳正

    政務次官(林芳正君) 先ほど来、大臣からも御答弁があったとおりでございまして、何も全部市場原理でやってくれということではなくて、先ほども内藤先生との御議論でいろいろありましたような手続で、まずは機関債が出せるかどうかというところで市場原理を働かせて、それから先ほどちょっと申し上げませんでしたけれども、今度、預託義務が廃止されますと財投債そのもの市場で調達をするということでございますから、こちらも市場原理お金を取ってこなければならないということがまずあるわけでございます。  その上で、何も全部市場原理じゃないと申し上げたのは、やはり最後は我々政治といいますか、そこの責任できちっと見て、これは要るのか要らないのか、それは市場原理というよりも政策目的と最初に私が申し上げましたところから判断をするわけでございます。その判断は、財投機関債ということで自分お金を調達できなくてこっちへ来るのならそこは厳しくやりますよ、これが今回の改革一つ考え方でありまして、何も全部市場原理でやって、あとは全くやらないということではなくて、あくまで両者が相まって最初に申し上げました目的を達成していこうということになるんではないかと思います。
  101. 櫻井充

    ○櫻井充君 でも、先ほどのお話をお伺いしていると、市場原理というか、機関債はほとんど発行できないということになりそうだ、そういう見通しだと。見通しも立てていないんだとすると、なぜこういう制度をつくって、こういう考え方でこの制度が運営されていくんだと、その根拠にならないと思うんですよ。つまり、先ほども言いましたが、現時点で機関債がきちんと発行できるのか、どの程度の数ができるのかどうかということをまず踏まえた上で制度ができ上がってくるんだと思います、くどいようですけれども。  そうすると、結局のところは、ほとんどが市場原理というよりも、もし効率化を図っていくとすれば政治の決断にゆだねるというふうに考えてよろしいんでしょうか。
  102. 林芳正

    政務次官(林芳正君) そこは先ほどからなかなか委員考え方が一緒になるという感じにならないわけでございますけれども、やはり財投機関債は、先ほど申し上げましたような見通しといいますか、ゼロでないということで、原則そちらでやってもらうという中で今検討してもらっていると申し上げたとおりでございます。  市場原理財投機関債では難しいというところをまず第一段階で共通一次みたいなものできちっと振り分けをしまして、二次試験は政治といいますか、一義的には大蔵省査定をするということであれば行政がきちっとやって、それを政治がまたきちっとチェックをする。重層的な構造であるということを先ほど申し上げましたけれども、そういうところでより厳しくやっていくということであろうかと思いますので、その両方をうまく、ポリシーミックスと申しますか、やっていくというのが今回の改革の趣旨であろうというふうに思います。
  103. 櫻井充

    ○櫻井充君 それでは、もし財投機関財投債を発行して資金を調達した、融資してもらったと、こうなると今までのシステムとどこが違うんですか、どこが根本的に違ってくるんですか。
  104. 林芳正

    政務次官(林芳正君) それは今まで御答弁申し上げましたように、預託がなくなりましたので、まずお財布の入り口の方は自動的に郵貯とか年金の残高によって決まるという状況がなくなりますので、来たお金を使わなければいけないということはなくなるということでございます。それから、今申し上げましたように、最初のところで共通一次をやるわけです。それは今までなかったわけです、財投機関債をまずやれという精査が。そこでスクリーニングをするということがまず大きな違いでございますし、預託義務がなくなるので、先ほども申し上げましたけれども財投債自体の調達も市場を通じて行われることになるというところが大きな違いであろうかなと。  それから、先ほど内藤委員にも御答弁申し上げましたように、ディスクロをやったり政策コスト分析をやって、財投債に入ってくる費途の精査をきちっとやっていくというところも変わってくるのではないかなというふうに思います。
  105. 櫻井充

    ○櫻井充君 今、来たお金を使わなければいけないという答弁がございましたね。来たお金を使わなければいけないというのは、今まで年金や郵貯のお金がどんどん入ってくれば、預託された場合にはそれを全部使わなければいけないということですか。
  106. 林芳正

    政務次官(林芳正君) 預託義務ということは、裏を返せば金利をつけてお返しをしなければならない。これは普通の金融機関でもお預かりした預金に対しては金利をつけて返すということですから、そういう意味では全部それを財投機関にやってということとは理論的には一致しないと思うんです。先ほども金融債のお話がありました。短期についてはそういうような資金繰りみたいなこともやっておるわけでございますけれども大臣から何遍も答弁があったとおり、やはりお金があるということで、それがある以上はそういうところへ使っていこうということがあったということは委員が御指摘のとおりだと思います。
  107. 櫻井充

    ○櫻井充君 このことが多分大きな問題だったんだろうと思うんです。要するに、財投資金が豊富にあったので不必要な特殊法人ができたりとか効率の悪い経営をすることにつながっていたんじゃないかという指摘があります。この点についてはどうお考えでしょうか。
  108. 林芳正

    政務次官(林芳正君) もう何度も大臣から御答弁がありましたし、私も大臣と全く変わるところはございませんが、そういう指摘を踏まえまして、自動的に入ってくるやり方から今回の必要な額だけを調達するということに改革をするということだと思います。
  109. 櫻井充

    ○櫻井充君 そうしたら、もう一つ教えていただきたいんですが、今度、財投機関債を発行したときに、市場とは言っていますが、民間で機関債を買ってくれなくて、購入してもらえなくて郵貯や年金で引き受ける、購入するということになれば、これまでの制度とどこが違うことになるんでしょうか。
  110. 林芳正

    政務次官(林芳正君) 大変大事なポイントではないか、こういうふうに思います。  今、委員から御指摘があったように、これまで同様に郵貯や年金積立金で購入するんではないかということでございますが、先ほど申し上げましたように、財投債財投機関債も一度市場へ出るわけでございます。ですから、そこでほかに買いたい人、売りたい人がいれば同じ条件でそれは買ってもらうということになるわけでございます。今はそういうほかの人が入れない、全額預託という中で預託金利ということも一義的に決まっておるということですから、そこに質的に大きな違いが出てくるんではないかというふうに思っております。
  111. 櫻井充

    ○櫻井充君 ちょっと視点を変えてですが、宮澤大蔵大臣にお伺いしたいんですけれども、今後、日本という国は大きな政府を目指していくべきなのか、小さな政府を目指していくべきなのか、総理を経験されている宮澤大蔵大臣はどうお考えでございましょうか。
  112. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 一番問題は社会保障の問題でございますけれども、私どもとしてはできるだけ小さな政府を目指したいと思っております。
  113. 櫻井充

    ○櫻井充君 今、大臣は小さい政府を目指していくべきではないだろうかというふうにおっしゃいました。  公的金融による貸し出しの対GDP、名目のGDPを比較してみたときに、アメリカが四・五でイギリスが一・〇でドイツが四・九、日本は実は三四・四%です。小さい政府を目指すということであれば、世界の国々が公的金融の貸し出しがこれだけ少ないにもかかわらず日本がこんなに高い数字を示している。となると、本当はもっと改革が進められるものではないでしょうか、これ一つをとってもですよ。
  114. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) やはり歴史的な背景が一番大きいと思いますが、我が国の場合には、ドイツも似ておりますけれども、インフラストラクチャーというものがもともと、これはドイツに比べましてもと申し上げることができると思いますが、不十分であったところへ、戦争によって破壊されたということ、それから国民のニーズが時代とともに非常に高くなってまいりましたために、そういうためのGDPの需要というものが非常に大きかったということが一番の原因であろうと思います。端的な例は下水道とよく言われますけれども、普及率が六〇%程度のところになおいるわけでございますが、同じような状況はヨーロッパの先進国にはほとんど見られないところでございますから、そういう意味での需要が一番原因をしておるのではないかと思っております。
  115. 櫻井充

    ○櫻井充君 要するに、日本というのは、民営化民営化と言っていますが、実際は余り民営化されていないんじゃないかと思うんです。  もう一点追加しますと、郵便貯金というのは個人の預貯金の三分の一を占めているわけです。つまり、この分が今までは財投資金として使われてきているわけです。先ほども話が出ましたが、これを使わなければいけないから余計な特殊法人がどんどんできてきたという流れなんじゃないかと思います。  そうすると、本来であれば、こういうお金が民間の銀行に預金されるなどすれば、基本的には自己資本率も高くなっていきますし、民間の金融機関が投資することもできるようになっていくんじゃないかとも思うんですが、この点についていかがでしょうか。
  116. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) あるいはこれらのお金がエクイティーに投資された場合ということをつけ加えますと、そういうことであろうと思います。  我が国の場合には貯蓄という形で預金に非常に大きなものが流れておりますけれども、それがそうでなくてエクイティーに投資されたとすれば、またそれも一つの行き方であったのではないかと。つまり、おっしゃることは私は間違っていないと思っておりますが、これだけのものがこういう形で行かないで銀行へ行けばとおっしゃいましたが、同じようにエクイティーに投資されればというのもつけ加えましたらおっしゃるとおりだと思います。
  117. 櫻井充

    ○櫻井充君 つまり、私がもう一つ心配しているのは、ペイオフが始まった際に民間の金融機関からまた預金が逃げていく可能性があるんじゃないのか。そうすると、郵政省の方がいて大変申しわけないんですけれども、また郵貯がふえていったときに結局どこかで運用しなければいけないと。そうすると、また余計なと言ったら怒られるかもしれませんが、特殊法人がつくられていくような流れになりはしないか、そういう心配をしているのでちょっとお伺いしただけでございます。  この際なので、もう一つだけ大蔵大臣に教えていただきたいことがあるんですが、財投の果たしてきた役割というのは十分認識しているつもりです。ただ一方で、今、国はどんどん国債を発行してきています。その国債は今財投で引き受けてもらっていますから国民は痛みを感じないで済んでいるんだと思うんです。つまり、今の国は借金をしていかなければ財政的に成り立たないわけです。本当であれば、もし財投のようなものが全くなかったとすれば、これは国債を発行して買い手がなければの話ですが、増税をしなければいけないんだろうと思います。しかしながら、財投があるおかげで国債の金利もそれほど高くならずに引き受けてもらっているので、国債はどんどん発行できている、そういう状況じゃないかと思うんです、地方債もあわせてですけれども。  そうすると、この財投というのはバッファーとしては非常に有意義なものであるとは思います。しかしながら、医者の感覚でいつも話をして大変申しわけないんですが、どこかの臓器が痛んでいる人が、例えば肩を痛めているピッチャーがいたとして、痛みどめを打ってまた投げて肩を壊すなんというのは甲子園でよくあることです。つまり、こういうバッファーがあることによって国民の方々は実際余り痛みを感じていないんだと思うんです。ぴんときていない。  これがもし大増税になってくれば、今一体どういう金の使い方をしているんだという話になるんだと思います。そこになっていかなかったというのは、バッファーとして、第二の予算としてこれまでもちろん意義があったというのは重々承知していますが、現在の財投が余りに膨らみ過ぎているもう一つ問題点というのはそういうところに出てくるんじゃないかというふうに私は考えているんですけれども、これは質問通告しておりませんので、感想で結構でございますが、いかがでしょうか。
  118. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) お尋ね意味はよくわかっております。  それで、それに対しては、国債の消化が順調にいっているのは財投というものがあるからだろうということでございました。私に言わせれば、さらに進んで、それはそれだけに相当する国民貯蓄があったからだというふうに申し上げることができるだろうと思います。  したがいまして、ここに郵政大臣がおられますが、この財投預託されておった資金が解放されて自主運用されるというときに、恐らくはかなりの部分が国債に投資されるのではないか。そうでなければならない理由はございませんけれども、有利、安全、確実というような、どなたかはこれは丸い三角みたいなものだとおっしゃいましたけれども、しかしそれはやはり大事なことでございますから、そういうこともあるであろう。  したがいまして、今まで財投が国債の消化に貢献してきたということは私は全く間違いでないと考えておりますが、しかしこの金はどこかへ行かなければならないはずでございますので、その中で国債の発行条件がリーズナブルなものであればかなりのものを買ってもらえるのではないかというふうに考えることができると思います。
  119. 櫻井充

    ○櫻井充君 今、自主運用という話が出て、もう一点、国債というキーワードが出たんですが、自主運用をして利息を払っている、さもそう思えるようなんですが、実際はことしの予算を見ても国債の利払いだけで十二兆円税金を使っております。ということは何かというと、我々が郵便貯金を積んで、一方で我々が税金を払ったものがこちらから移行してきただけなんじゃないか。この郵貯のところだけを見れば、確かに自主運用で間違いないし、利息がついています。しかしながら、もっと全体の流れで見てくると、利息は税金が郵貯の方に移っていっただけ、年金も同じです。そういう形で国民全体から見たときに、果たしてプラスになると考えられるのか、このお金の流れに関して。  つまり、先ほども言ったとおりなんですが、お金が右から左にキャッチボールされているだけじゃないだろうか。ことしは三十兆円ぐらいだったと思いますが、国債を買いました。そして、元本を八兆円返して利息を十二兆円払っています。こういうここでのやりとりをしているうちに、自主運用という形で一応ふえているように見えますけれども、こちら側での、一方での借金はどんどんふえていっている。  ですから、郵貯だけ見れば確かに自主運用をしています。年金も自主運用をしてふえていますよという形をとっているけれども、そのふえたものというのは実際は税金が移動してきているだけじゃないんでしょうか。
  120. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 申しわけありません。税金が移動していると言われました意味がちょっと。
  121. 櫻井充

    ○櫻井充君 つまり、十二兆円は国債の利払いとして今回計上されていますね。つまり、その十二兆円は国債を買ってくれた人たちに利子として払っているわけです。国債を買ってくれたところに払っているわけです。つまり、郵貯が国債を引き受けていれば郵貯にその税金が移っていっているというか、お支払いしているわけですね。  ですから、その利息のもとというのは実際は税金であって、自分たちが支払っているものがただ単純に移転していって回っているだけではないのかというふうに考えるんですけれども、いかがでしょうか。
  122. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) これは仮定の話でございますけれども、国が大変たくさん税金を取らせていただければ、何も利子をお払いする必要はないわけでございます。しかし、それができませんので、国が拝借しておりますから、それについては利子をお払いせざるを得ない、こういうことではないかと思います。  ですから、この話は好きで私は申し上げるんじゃございません、一つの仮定の話として、もし国民にそれだけの貯蓄があるのであれば、国がもっと税金でそれをもらえるのではないかというふうに考える内外の学者はかなりおります。しかし、それは政策として正しくないと私どもは思っているわけでございますので、非常に端的に申し上げればそういうことではないかと思います。
  123. 櫻井充

    ○櫻井充君 済みません。通告もしないで横道にそれて大変申しわけございませんでした。  また財投制度改革についてなんですけれども財投機関改革とか効率化が今回のやり方で図られなかった場合、この場合にはどなたの責任ということになるのでございましょうか。
  124. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 結局、国民がした貯蓄が最終的に最も効率的な形で使われていないということになるわけでございますので、それはそういう今の制度の欠陥である、こういうふうに申し上げるべきではないかと思います。
  125. 櫻井充

    ○櫻井充君 国会に来て非常に不満といいますか疑問なのは、また医者のことで大変申しわけございませんが、私たちは日常いつも責任をとるというか、そういう立場にずっと立っておりました。例えば、患者さんが亡くなったときに、その死亡に対して納得される方もいらっしゃいますし、医療ミスだった場合には必ず責任をとらされます。もっといえば、本当だったら一週間ぐらいで退院できる方が一カ月も入院していたという場合にだって、我々はなぜそうなったのか、だれの責任なんですかということを絶えずとらされておりました。  国会に来たときに、後でお伺いしたいんですが、例えば昨年の林野庁のことに対しても、それから国鉄清算事業団に関しても、こういうことで政策的に失敗して、どなたが責任をとるんですかとどなたに聞いても、責任の所在が全くないんですね。こういうやり方が国民の皆さんにとっては非常に不満なんじゃないでしょうか。  ですから、今回の制度改革がうまくいかなかった場合には、今確かに制度が悪いとおっしゃいました。そうすると、制度の提出者の責任ということと考えてよろしいんでしょうか。
  126. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 昔はお医者さんのことを国手と言ったそうでございますので、国家公務員すべてそういう心がけを持っていなければいけないという意味でただいまのことは承りました。
  127. 櫻井充

    ○櫻井充君 済みません。  あと、国鉄清算事業団、なぜ昭和六十二年に二十五・五兆円であった債務が資産を処分したにもかかわらず平成十年には二十七・八兆円になったのか、この点について御説明いただきたいと思います。
  128. 鷲頭誠

    政府参考人鷲頭誠君) 御説明いたします。  日本国有鉄道清算事業団の債務処理につきましては、昭和六十三年一月二十六日の閣議決定に基づきまして、事業団が保有する土地や株式の処分に全力で取り組んできたところでございますが、事業団の債務が増加した原因としましては、収入面が一つ、それからコスト面が一つ、両面ございます。  まず、収入面でございますが、事業団発足時に予測しようのない原因によりまして資産処分収入を順調に確保することができなかったということがございました。  まず、土地につきましては、事業団発足後に発生いたしました地価高騰問題に対処するために土地の売却が見合わせられました。さらに、その後、バブル経済の崩壊によりまして、土地需要の低迷、土地売却が順調に進まないということで、かつ地価の下落によりまして土地売却収入が減少したという側面がございます。  それから、株式につきましては、株式市況の低迷とか阪神・淡路大震災の影響等によりましてJR株式の売却が順調に進まなかったという理由がございます。  それから、支出面につきましては、事業団発足後、新たに年金関係の負担を負うことになりました。一つは、鉄道共済の救済のため、国鉄の事業主負担の不足分として、平成二年度から八年度まで総額七千億円の特別負担を負ったということ、それから、鉄道共済の厚生年金への統合によりまして、鉄道共済の関係事業主の一人としまして、九年度に約七千七百億円の移換金の負担金を負ったというようなことがございまして、この結果、事業団は収入をもって支出を償うことができず、債務が増加するということになったものでございます。  なお、事業団の債務につきましては、平成十年十月に施行されました日本国有鉄道清算事業団の債務等の処理に関する法律によりまして本格的な処理が行われたところでございます。
  129. 櫻井充

    ○櫻井充君 よく聞く言葉ですが、予想しようのないという言葉がよく出てまいります。確かにそうだったのかもしれませんが、そういうことがかなり国の事業の場合には多いのではないかなというふうに思います。それを防ぐために、今回の法律で、第六条の財政投融資計画の第三項のところに「あらかじめ財政制度等審議会の意見を聴かなければならない」とございます。ぜひ、ここのメンバーは、イエスマンを集めるのではなくて、かなり辛口のメンバーを集めていただきたいと思います。  最後に、丹羽厚生大臣の発言について宮澤大蔵大臣にお伺いしたいんですが、丹羽厚生大臣が来年の四月から基礎年金の国庫負担割合を二分の一に引き上げると表明されております。宮澤大蔵大臣も同様の考えなのかどうか。そして、もしそうだとすると、大体二兆四千億円必要となりますが、その財源はどうされるおつもりなのか、御答弁をお願いいたします。
  130. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 基礎部分を三分の一から二分の一の国庫負担にする、国の負担にするという考え方につきましては、私は与党間で基本的に合意はあると思っております。ただ、その際、それはそれに必要なはっきりした財源を備えてしなければならない、こういうことが一緒に言われておりまして、そのための結論は平成十六年までに出さなければならないということになっておるのが現状でございます。  したがいまして、丹羽厚生大臣は恐らく今の、殊に国民年金等々の離脱状況を非常に心配されておって、何とかもう少し負担を下げないと制度そのものが壊れるということを、これは心配されるのは当然でございますけれども、そういう気持ちからああいう話をされたと思います。  実はそのことは前から既に言われておって、その実現のためには確実な財源を備える、生み出すということがついておりますので、いわば事態の緊急性にたえかねてと申しますか、そういう種類の御発言であったとは理解いたしますものの、そのことは前から実は言われておることであって、問題はどうやって財源をつくるかということでございますので、財政当局としてはその後の半分をきちんとしていただけませんとすぐに賛成をするわけにはまいらない、お気持ちはわかりながら困惑しておるということでございます。
  131. 櫻井充

    ○櫻井充君 終わります。
  132. 平田健二

    委員長平田健二君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時三分休憩      ─────・─────    午後一時一分開会
  133. 平田健二

    委員長平田健二君) ただいまから財政金融委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、笠井亮君が委員辞任され、その補欠として宮本岳志君が選任されました。     ─────────────
  134. 平田健二

    委員長平田健二君) 資金運用部資金法等の一部を改正する法律案及び郵便貯金法等の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、休憩前に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  135. 海野義孝

    ○海野義孝君 公明党の海野でございます。  公明党・改革クラブを代表しまして、大蔵省並びに郵政省大臣及び関係各位の方々に御質問させていただきます。  一昨日と本日午前中にかけまして大変御熱心な討議が重ねられてまいりました。それぞれの問題とするところあるいは論議の内容等につきましてはいろいろございましたけれども、まさに戦後最大と言われる財投の大改革という大きな問題につきまして、何とかこれを成功させたいという点で、これまでの財政投融資等についての問題とか、あるいはこういうふうにすべきではないかとか、あるいは今回の法案についての問題とか、いろんなことで質疑がございました。  私としましても、本日いただいた五十分の中で、今回の二法につきましてというか財投改革全体について、御確認を含めて改めて関係各位の御意見を賜りたい、このように思う次第でございます。多少重複する部分があるかと思いますけれども、よろしくお願いしたいと思います。  まず冒頭に、この大きな問題に取り組んでこられた所管の大臣としての宮澤大蔵大臣にお聞きしたいのでありますが、現在この財政投融資計画残高がもう四百兆円を超えている、それから毎年の財政投融資計画の予算につきましても大体四十兆円前後というような大変大きなものでございますけれども、それだけ規模が大きいということ、またずっと長く継続してきたというところに財投の大きな意義というか意味合いがあったと思うわけでございます。そういった点で、この財投の意義とか、これが今日までの我が国経済産業においてどういうふうに働いてきたかというような点についての所感をひとつ最初にお聞きしたいと思います。
  136. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) おっしゃいますように、ここ十何年、少なくとも財投というものは一般会計予算といわばほぼ並ぶようなものとして機能をいたしてまいりました。  我が国の一般会計の規模は基本的には税収の増大化によりまして大きくなってまいりました。国債の点はございますものの、一遍は平成の最初には国債がゼロになったこともございましたから、税収の伸びによって一般会計が大きくなってまいりました、最近はもう別でございますが。そういう意味では、財投も、財投に必要な預託された資金の増大によって、これも国民経済活動国民貯蓄率の増大でございますが、それによって自然にその規模が大きくなることが許されたということを申し上げることができると思います。  その限りにおきまして、その活動は幅広く財投機関等々を通じまして日本経済に影響を与えてまいった。多くの国におきまして国は税金で仕事をいたしますが、税金でない、いわばコストのかかる金を使って民間事業のできないところを財投機関がいろいろに機能してまいったという歴史であったと思います。例にいろいろタイプがございますけれども、高速道路のように受益者負担を求めなきゃならない分野、中小企業のように特殊な分野、あるいは環境対策または住宅金融のように民間経済を補完するような機能、各広い分野において財投機関活動がございました。  それが我が国の戦後のあり方について非常な貢献をしてまいったことは間違いのないところでありますし、その多くは今後も活動を続けてもらいたいと考える有用な使命を持っておると思いますけれども、よく御存じのように、資金がいわば苦労なく市中を通さずに提供されるという状況はとかく財投機関活動をいわば肥大化したという批評が非常に強うございまして、そういうこともあり、また一般的に国民の貯蓄を預託という形でその運用を拘束するということについてのそもそも論もございまして、その両方から、平成十年の中央省庁等改革基本法でこのたびの改革を行うことになったわけでございます。  したがいまして、私どもは、この改革を通じて、一方におきましては、そういう国民の貯蓄が財投ということに拘束されずに運用されるという道が開けますとともに、他方において、財投機関においてより厳しい市場原則に即応しながら自己で資金を調達する努力を強いることによって冗費を節約していく、あるいはプライオリティーの低いプロジェクトを切っていく、そういうような形での合理化をしてもらいたい、そういう目的を持ちましてこのたびこの法案の御審議をお願いいたしておるわけでございます。
  137. 海野義孝

    ○海野義孝君 これまでの財投問題点及び今回大改革を行うに至った経緯についてまで御答弁がございました。  もうちょっとその辺について、今度は林次官に少しお聞きしたいと思うんですけれども、有償資金を活用する財政政策を実現するための制度というのは欧米にもあるわけでございます。共通しているところは、住宅であるとか地方自治体関係であるとか中小企業であるとか、あるいは貿易、対外援助であるとか、ある国においては農業、また全般的に言われる点では社会資本の整備等々について行っているわけでございまして、我が国も同様な面で、さっき大臣がおっしゃったように、第二の予算といいますか、一般会計予算と両々相まってこれまでの我が国経済産業の発展に大変貢献をしてきた、そういうメリットがあったという面もお述べになりました。  次官も今回のこの改革についてはいろいろと携わってこられているということを伺っておりますので、そういった中で、今後改革をしていく場合の対象となる分野とか事業について、これまでと大きく変わっていくというような論議があったのかというような点、いかなる分野に今後はそういう財投を活用していくかというような点については、時代も大きく変わりましたし、それから最近言われるような官民の分担とか民業の補完であるとか、そういうような面で、従来と比べて我が国の民につきましても大変な力を持つようにもなってきているということで、そういった点からすると、財投の当初の目的からすればかなりやはり変わってきたと思うし、二十一世紀はさらに大きく変わっていくんじゃないかということも感じられます。それは最近のいわゆる構造改革とか産業論等からもわかるわけですけれども、そういったことを踏まえて、今般の財投改革のねらい、それから主な内容についてできるだけ簡潔にひとつお述べいただきたいと思います。
  138. 林芳正

    政務次官(林芳正君) 大変大きな問題でございます。委員金融財政分野についてはもう御専門でいらっしゃいますから、私の方から簡潔にお答えいたします。  先ほど大臣から御答弁がありましたように、この対象となる分野というのは今後もいろんな分野が考えられますし、財投の意義というのは残るわけでございますけれども、今回、対象の分野を今までこうだったものをこれにするというよりも、こういうことを経済環境が大きく変わっていく中で不断に見直していく、そのためにより効率的なシステムというものをきちっとしておくことによってこういう見直しがきちっと行われるようにやっていこうというのがむしろこの改革の基本的な考え方であったというふうに私は理解をしております。  そういった意味で、先ほど来いろいろ議論がありまして、委員も御承知のように、いろんな中身を盛り込みまして、必要な分野にはちゃんとやるし、必要だったからといってそれが未来永劫必要であるということもないわけでございまして、不必要になったものについてはきちっと見直しをして、常に一番必要なところに効率的に資金が行くようにするということを目指すためにむしろ今回の改革を御提案させていただいた、そういうことになろうかというふうに考えております。
  139. 海野義孝

    ○海野義孝君 大変意味のある御発言だったというように思います。私は今回の財投改革を成功させなくてはならないと、時間もかかるかと思いますけれども。やはりこの財投改革、さっきもお話がありましたような肥大化の問題とかいろいろなことがありましたが、これまで言うなれば我が国の高度成長とともに財投の規模も拡大してきた、また財投がなかったならとてもじゃないが今日のような規模のところまで社会資本の整備等についても進まなかったんではないかという部分が確かにあったと思うので、そういった意味では、日本の経済とともに量的拡大というような面ではやはり目的を達してきたと。いよいよこれからは質的な問題に踏み込んでいくということが問われる段階で、財投につきましてもこれは全く例外ではない、こういうように思うわけでございます。  そこでまず、財投改革の面で、資金調達という点につきまして少しお話を進めたいと思うんです。  これまでの議論の中でもいろいろございましたけれども、これまでのいわゆる資金運用部からの資金の融資といいますか投融資、こういった面から、今後は財投機関におきましても資金調達の自己努力ということがだんだん問われるようになっていくということが言われるわけでございます。先般来この委員会におきまして大蔵大臣からもいろいろと御意見が御披露されました。改革後の財投機関の要するにファイナンスというか資金調達についての基本的な考え方についてこれまでもるるお述べになっていますけれども、核心の部分についてもう一度お答えいただければと思います。
  140. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 以前にもお聞き取りをいただいておると思いますが、そのようなことが改革の目的でございますので、まず財政当局といたしましては、八月に概算要求が締め切られますときに財投につきましてもヒアリングを終えたいと考えておるわけでございます。これから法律が成立いたしましたらば、まず関係各省庁、それから各財投機関に対して、基本的には自分の力で財投機関債を発行するように努力をしてもらいたいということをまず理解していただくようにいたしたいと思います。  このことは必ずしも簡単なことでございませんので、もう既に各機関ではそういう予測のもとにいろいろ努力をしておられるようでございますが、市場格付を得て財投機関債がどのぐらい受け入れられるかということになりますと、これはもう海野委員がどなたよりもお詳しい経験を持っていらっしゃいます、簡単なことではないだろうというふうに思われますが、しかしそれだけの努力をして、そしてその上でどうしても調達ができないということになりましたら、今度は大蔵省の側におきまして徹底的に財投機関活動をゼロから洗い直すぐらいなことをさせてもらいたい、そういう共同の作業をしてみたいと思います。  それによりまして、プライオリティーの低いものはもう削り落とす。しかし、なおどうしてもしなきゃならないものが残るということでありますれば、それはやむを得ず財投債で面倒を見るということになってまいるかと思います。しかし、財投債そのものが、預託制度がなくなっておりますので、郵政大臣にはいろいろ特別の御配慮をお願いいたしておりますものの、今までとは違う環境でございますから、財投債そのものにも限りがあると考えなければなりません。  そういう状況の中で、財投債の発行につきましては国会の御理解も得なければならないことでございますから、最終的に財投全体についてどれだけの財投機関債が可能であり、どれだけの財投債の起債並びに配分ができるかということを予算編成の過程におきまして詰めていかなければならない。その間に、そういう制約がございますので、ほかの理由はともかくとして、制約のゆえに各財投機関債活動がミニマム必要なものだけに限られていく、また合理化が行われていく、そういう効果を期待しているというのが大体のこれからの道行きでございます。
  141. 海野義孝

    ○海野義孝君 言うなれば、財投機関資金調達につきましては、従来は長期の固定、一律の金利というような形で資金の調達をしたわけでございますけれども、今度は自己努力でやっていくというようなことになりますと、いわゆる民間におきましては社債であるとかあるいはまた金融債を出すとか、こういう形で市場にさらされて、そして一方ではそういった調達資金のコストについても大変流動的というか、そういうようなリスクも伴うという部分も出てくるということで、ですから大臣がおっしゃったような財投機関債ということはこれまた並大抵のことではないということでありますけれども、やはり財投機関債を発行して自己資金を調達するというような踏み込んだ努力ということがまさに改革のゆえんたる部分でもあろうと思います。  この点はこれから七月、八月にかけての平成十三年度予算の概算要求に向かっていろいろと議論が沸騰することにもなろうかということで、大変な御努力があると。まずはこの財投改革資金調達の面における大きな難関ということになろうかと思いますので、この点については頑張っていただきたい、このように大蔵大臣または関係の方々にも申し上げたいと思うわけです。  そこで、みずから資金調達の努力を最大限行うということを、それは経営に対する努力とか緊張感を高めるということではこれまでも当然財投機関としては努力をされてきているわけですが、それ以上にまた大変厳しい状況にさらされるということだと思いますけれども、そういったことがある面では今回の財投機関にとっての改革の大きなポイントになるだろう、こういうように思うわけでございます。  例の政策コスト分析の問題等も資料をいただいて、五機関については拝見しておりますけれども、政策コストの分析という問題は五機関だけでなくて、全般、各機関についても試行することが差し迫った問題ではないかと思うんですけれども、この点での具体的な検討状況というのは今どのようになっていますか。
  142. 林芳正

    政務次官(林芳正君) まず、財投機関債の各機関の具体的な検討状況ということでお尋ねがありましたので、お答えをさせていただきたいと思います。  何回かやりとりもございましたけれども、いわゆる営団地下鉄、帝都高速度交通営団等の発行事例というのは既にあるわけでございますし、それから住宅金融公庫はもう十二年度の発行を予定しております。また、日本政策投資銀行や国際協力銀行等、これは今までも合併の前に海外で資金を調達しておったりということはあるわけです。それは政府保証がついておったと思いますが、そういうこともございますので、こういうようなところで、各機関、またそこを所管します官庁と一緒になって、今回の趣旨を十分踏まえてやっていかなければならないと、今鋭意検討をお願いしておる段階でございます。  今申し上げました例えば住宅金融公庫ですと、住宅ローンという債権がございますので、このアセットを担保にしたABSタイプのもの、それから普通の各機関の信用力に基づくいわゆる社債型のコーポレート型等、どういう方式にするかも含めまして具体的に今やっておるというところでございます。  スケジュールにつきましては、先ほど大臣から御答弁がありましたように、十三年度要求に向けてだんだんと具体化していくことになろう、こういうことでございまして、委員の御指摘どおり、我々も一生懸命各機関のしりをたたいてまいりたい、こういうふうに思っておるところでございます。  それから、後段の政策コスト分析でございますが、これは大変大事な問題でございまして、改革一つの大きな発端といいますか背景といたしましても、その年度年度はわかるのでございますが、この事業をやるときに、将来まで含めて一体どれぐらいコストがかかるのかということがともすればおざなりになっていたという御指摘もあったものですから、こういうこともきちっと踏まえていこうということでこの政策コスト分析を取り入れました。  午前中にも御議論がありましたけれども、昨年、五機関については公表いたしたわけでございます。私も何回か答弁させていただきましたけれども、まだまだ試作といいますか、コストは数字で出ておりますが、ベネフィットはまだ定性的な表現にとどまっておるということもございますし、この辺につきましてもいろんな検討課題というのがまだ残されておるわけでございます。その辺をクリアしてまいりまして、先ほども御答弁させていただきましたが、目標は全法人についてやっていこうということでございますけれども、何分いろんな専門的な検討も必要でございますので、昨年が五機関でございましたから、ことしはなるべくそれに上積みを目指していくということで頑張ってまいりたいと思っておるところでございます。
  143. 海野義孝

    ○海野義孝君 今の最後の部分については鋭意努力していただきたい、こういうふうに思います。  この資金運用部資金法の改正案の中の附則の四条のところにも出ておりましたけれども、あるいは郵貯法の方についても同様の規定が置かれていたように思いましたが、郵便貯金とか年金積立金、こういったものを、従来の資金運用部への預託ということから、今後は預託を廃止して自主運用するということになるわけですけれども、さっきも申し上げたように、これまでに四百兆円からの財政投融資計画残高、その中で約八割強は資金運用部資金が充てられているわけでして、これからずっと数十年にわたってこれを言うなれば返済していくというようなことになっているわけでございます。  そういたしますと、来年の四月から新しい改革に基づいた制度になった場合、いろいろ激変的な問題が起こってくることは当然のことなので、これに対して万全を期すということがやはり大事なことです。例えば、こういった自主運用資金運用によって市場の変動が大変大きくなるとか、そういう問題もあるでしょうし、それから具体的に資金を調達して事業を行っている財投機関等についても潤沢な資金が使えるという状況が必要なわけです。  そういった点からすると、今の預託というのは七年間というようなことになっておりまして、一方では資金運用部からの投融資については数十年、長いものでは三十年、四十年というようなことですから、この辺での資金の問題、これは民間で言うと入ってくる金と使う金との面で大問題が起こるわけです。まかり間違えば、勘定合って銭足らずというようなことが起こってくるわけでして、直ちに倒産というような問題が起こるわけでして、今回の場合、この財投改革を成功するためにはそういう経過措置というのは万全な対応をしなくてはならないと思うのです。その点について、大蔵省、いかがでございますか。
  144. 林芳正

    政務次官(林芳正君) もう御専門の委員ならではの大切な御指摘だというふうに思っております。  昨今ではキャッシュフロー経営の重視等も民間でも言われておる中で、今回、大変ずうたいが大きいものですから、ホエール・イン・ザ・ポンドなどという御指摘もあるように私も承知をしております。市場で大きな鯨が小さな池の水をはねないように、そういうような今御指摘であったと思いますけれども、そういう意味で適切な経過措置というのは大変に大事なことだというふうに我々も認識しております。  そこで、具体的には今七年間という御指摘がございましたけれども、十三年度以降七年間におきまして、二つのことを柱といたしまして経過措置を講じようということにいたしております。  一つは、今、委員がまさに御指摘になりましたALMといいますか、入り口と出口の長短がございますので、ここはその機関からの既往の貸し付けの回収が行われるまでの間に、その資金繰りの確保のための必要な額の財投債というのは郵貯と年金資金に引き受けていただこうというのがまず一点でございます。  それからもう一点は、ずうたいのでかいという方でございまして、これはやはり市場に大きな影響を与えるということも配慮いたしまして、改革の最初の段階では必要になります新規の財投債のおおむね二分の一程度については郵便貯金資金と年金資金に引き受けていただきまして、徐々にその割合を低下させていく、こういう経過措置をとりまして、なるべくスムーズにこれを実施してまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  145. 海野義孝

    ○海野義孝君 どうもありがとうございました。  先ほどもちょっと政策コストの問題で御質問し、御答弁がありましたけれども政策コスト分析を進めるプロセスにおきまして財投機関のディスクロージャーも進むことになるということですね。特殊法人の中には財投機関ではないものもあるわけですけれども、こういう特殊法人などの情報公開制度の検討状況はただいまどのようになっているか、これは総務庁ですか、ちょっと教えてください。
  146. 藤井昭夫

    政府参考人藤井昭夫君) お答えいたします。  特殊法人等の情報公開制度につきましては、先年、行政機関の情報公開法を国会で御審議のときに、公布後二年を目途に法制上の措置を講ずることとされているところでございます。これを受けまして、昨年七月、特殊法人情報公開検討委員会というのを設置いたしまして、特殊法人のみならず、独立行政法人、認可法人等も視野に入れまして御検討をいただいているところでございます。  情報公開制度と申しますのは、開示請求制度と情報提供義務制度という二つ制度で構成されているわけですが、その両面にわたって検討していただいております。  そこで、先月四月五日に同委員会で中間取りまとめというものを公表していただいているわけですが、そこでは、情報公開制度の対象とすべき法人というのは、政府の説明責任を全うすべき法人という観点から、政府の一部を構成すると見られる法人という考え方をとっていただいております。  その政府の一部を構成する法人に当たるかどうかの判断基準は財投対象法人であるかどうかということとはちょっと異なるんですが、設置法において、例えば国が直接出資するとか、あるいは最高幹部というべきような理事長等を直接任命しているかどうかとか、そういう観点から基準を提案していただいているところでございます。  現在、同委員会では、この中間取りまとめについて関係各方面からの意見を聴取していただいているところでございますが、そういうものを踏まえまして、最終報告は一応七月を目途として進めていただいているところでございます。
  147. 海野義孝

    ○海野義孝君 同じく総務庁にお聞きしたいんですが、今の情報公開制度と同時に政策評価制度の導入ということが不可欠になっているわけです。これもいろいろとこれまで総務庁からも折に触れてお話がありましたけれども特殊法人などへの政策評価制度の導入、活用についてどのように考えていらっしゃるか、あるいはどういう準備を進めていらっしゃるか、その点をお聞きしたいと思います。
  148. 塚本壽雄

    政府参考人塚本壽雄君) 御指摘のとおり、今度導入されます政策評価制度特殊法人改革について重要な意義を有すると認識しておるところでございます。  そこで、特殊法人と政策評価の関係でございますけれども、御指摘の中央省庁改革の推進に関する方針に沿いまして、総務省設置法に基づきまして、特殊法人等につきましても政策評価の一環として調査対象とされるということになっております。私どもは、特殊法人等につきましてはこれまでも財務内容から見ました経営上の課題などについて明らかにする取り組みを進めてまいりましたけれども、今後、総務省として行います政策評価につきましても、引き続き特殊法人等を積極的に取り上げてまいるという考えでございます。  なお、政府全体としての取り組みにつきましても、現在、各省庁におきます政策評価の指針となりますガイドラインの試案を取りまとめたところでございますが、今後その案を取りまとめ最終的に確定するという運びを政策評価制度の導入に間に合いますように着実に進めてまいる所存でございます。
  149. 海野義孝

    ○海野義孝君 今、総務庁の方に二点ほど御質問して御答弁いただきましたけれども財投機関を初めとする特殊法人等についての改革というような点で新たないろいろな制度が取り入れられていくということで、これはこれとして大変結構なことだというふうに思います。  時間も限られていますので、次に郵政省の方に少しお話をお聞きしたいと思うんですが、今回の改革で、これまでの郵便貯金とか、厚生省マターですけれども年金積立金であるとか、あるいはまた郵政省の簡保の資金であるとか、こういったものが自主運用されることになるわけでして、考えてくるとこれはもうまさに画期的なことであります。  まさに国民の短中期の主として零細な資金を中心として集められ、これまで大変我が国国民貯蓄率が高いという中で、高度成長の中でこういった膨大な資金財投に有効に使われてきたということは多とするわけでありますけれども、これは今までは言うなれば資金運用部への預託ということであり、しかも預託の金利についてはそれなりにまあ有利な形で来たということが言えるんですが、自主運用ということになりますと、これが今後成功するかしないかということは大変大きな問題になる。まさに郵便貯金であるとか年金積立金とか簡保資金であるとか、こういう制度そのものの存立の根幹にかかわってくるような重要なものであるというように私は深刻に考えているわけであります。  そういう意味で、これまでも委員会でいろいろ御答弁がありましたが、本法案におきまして、郵貯の自主運用は確実で有利な方法により、かつ公共の利益の確保にも配意しつつ行う、こういうふうになっているわけですけれども、安全確実な運用を行うことが何よりも重要であるとの認識について、確認の意味で再度大臣の御答弁をいただきたいと思います。
  150. 八代英太

    国務大臣(八代英太君) お答え申し上げます。  郵便貯金は、先生おっしゃいますように、まさに一生懸命働き汗を流す向こう三軒両隣の人たちが中心となって、専ら小口個人を対象としておりますので、簡易で確実な貯蓄手段を提供しておるわけでございますが、小口個人のお客様は特に安全性というものを重視して郵便貯金を御利用いただいているものと、このように私たちは基本的に思っております。  一般的に、いわゆる資金運用につきましては、ハイリターンを求めて高いリスクを負う考え方もありますし、一方では確実性を優先させるという考え方がございます。ヘッジファンドは前者のハイリスク・ハイリターンで、それによっては国の財政さえもひっくり返らんとするようなアジアの経済危機も、こういうギャンブル性の中における一つ資金運用であるわけでございますけれども、郵貯というのはその対極的なものでございまして、独立採算制のもと、預金者に郵貯の元利金の支払いを確保するために安全確実な運用国民から求められているという基本認識を持っている次第でございます。  したがいまして、郵便貯金資金のこれからの運用は大変堅実にやるということがモットーでありますし、何よりも確実性を重視して、その中でできる限り有利な運用を行うことが重要であるというふうに認識しておりますし、またそれが郵便貯金をしてくださっている皆さん方の心ではないか、このようにも思っている次第でございます。
  151. 海野義孝

    ○海野義孝君 来年の四月以降の自主運用に当たりまして、現在いろいろとその準備もされているんじゃないかというように思うんですけれども、具体的にどのようなポートフォリオになるのかといった点でわかりやすく具体的な説明ができたらお願いしたいと思うんです。  仮に現在検討中ということであるならば、スタート時点は大部分運用は国債を中心とした安全確実な債券での運用を行うものでなくちゃならぬのじゃないかなというふうに私は思うんですけれども、そういった点について御所見はいかがでございますか。
  152. 八代英太

    国務大臣(八代英太君) 自主運用に当たりまして先ほどその責任の重さを申し述べたところでございますが、どのようなポートフォリオを組むかということについては、事業運営におきまして重要な課題であると考えておりまして、現在、金融経済の専門家などに研究をしていただいているところでございます。  こうした研究の成果などを踏まえまして、まず運用計画を策定することとなりますが、具体的な運用計画につきましては、毎年度これを作成の上、郵政審議会というところにお諮りをさせていただきまして、そして公表することとしておるわけでございます。  したがって、郵貯の具体的なポートフォリオにつきましては毎年度の運用計画の中で示していくことになりますが、例えば現在の郵貯の自主運用資金である金融自由化対策資金では国債が約五割を占めております。全額自主運用後はこれに財投債とか財投機関債ども入ってまいるわけでございます。これらを踏まえると、緻密なポートフォリオ分析を行うことが必要であることはもちろんでございますし、また今後も、それぞれの債券の発行量や金利の動向など、金融経済情勢にもよりますけれども、少なくとも当分の間は国債や地方債などの公共債がかなり大きな割合を占めることになるのではないかと考えております。  いずれにいたしましても、郵貯の原点を考えますと余りギャンブル性のような形の中で運用すべきではないというのが基本にございまして、そういう意味でも、バイ・アンド・ホールドと申しますか、もう買ったらしっかり長く離しませんぞと、そしてその流れの中で、確実、安全、有利な資金運用が私たちのモットーでなければならない、こんなふうにも考えている次第でございます。
  153. 海野義孝

    ○海野義孝君 今、大臣からギャンブル性というようなお話が出ましたけれども、間違ってもそういったことを口にされるということはいささかどうかと私は思います。  当面、経過措置の期間においては、それとスタート時点はそろりそろりと慎重におやりになると思うんでいいんですが、経過措置が終わった時点からは大変自主運用等については厳しくなる。巨額の公的資金市場運用されるようになりますと市場攪乱の要因にもなってくると。さっき財投機関債等についても運用の対象になるということでしたけれども財投機関債というのもレーティングされるといろいろあると思いまして、こういったものが市場においてはかなり変動する、マーケットにおいて価格の変動があるということになろうかと思うんですね。  そういう意味で、運用額ということだけでなくて、運用方法についても大変左右されてくると思うんですね。ですから、市場に対して影響を与えるような運用をしないということをどのように担保というか確保されるかということが私は大事だと思うんです。その点について具体的にわかりやすく説明していただけないでしょうか。
  154. 前田正

    政務次官(前田正君) お答えを申し上げたいと思います。  全額自主運用後の郵貯資金については市場運用が基本となりますので、市場への影響に十分に配意して運用し、市場の混乱を回避していくことが大変重要であると私ども考えております。  そのために、まず今回御審議をいただいております法律案におきまして運用原則について明記するとともに、毎年度、基本方針だとか当該年度の資金配分計画等を内容とする運用計画というものを審議会に諮問した上で定めることといたしております。また、運用計画につきましては、市場の無用の混乱を生じさせないようにするために、策定後直ちに一般に公表することといたしております。  また、運用計画の策定に当たりましては、法律案において市場に与える影響等を勘案することとされております。その運用計画では、運用資産の価格形成に支配力を行使することのないように、各運用資産の市場規模に配意した運用を行うことと、値ざや稼ぎをねらって頻繁に市場で売買を行うことなく、長期的にしかも安定的な運用手法をとること等の考え方を示すことといたしております。  さらに、郵貯資金運用実績につきましては、ディスクロージャーを充実するとともに、郵貯資金運用内容について市場が十分に評価できる仕組みとなっております。資金の具体的な運用自体は市場の動向に対応してまいりますが、このような法律上、運用上の仕組みや方策により市場への影響を十分に配慮し運用してまいりたい、かように思っております。
  155. 海野義孝

    ○海野義孝君 ありがとうございました。  今おっしゃるように、安全確実な国債等を中心にしながら運用について考えていらっしゃるということですが、御案内のとおり、グローバリゼーションあるいはまた最近のビッグバンというようなことの中で、特に為替の問題であるとか金利の問題、国際的な株式市場の問題、先物の問題等々によって金利自体も大変変転きわまりないというような時代にもなってきておりますので、そういった点では重々慎重な運用をしていただきたい、こう思います。  それから、自主運用につきまして、地方自治体に対して貸し付けを行うということがあるんですけれども、来年の一月からは自治省と郵政省が総務省になるということで、地方財政関係は自治省がこれまでやってきたが、今度、郵政省が総務省になって、郵政事業庁として言うなれば地方自治体に対して貸し付けを行うと。そういうふうに、資金の調達側と供給側というのが同じ省内ということで、利益相反というか、そういうややこしい問題が起こってくるんじゃないかということを私はちょっと心配するんです。  その点については、やっぱり適切な緊張関係というのが大変重要になってくる、いわゆる透明性ということが大事だと思うんですけれども、その点についてはいかがでございますか。
  156. 前田正

    政務次官(前田正君) お答え申し上げたいと思います。  個別の地方公共団体の地方債につきましては、先生も御承知のとおり、起債許可制度のもとで起債許可を受けた地方債のみが発行できる仕組みとなっておりまして、郵貯の地方公共団体貸し付けは起債許可制度の範囲内で行われることとなっております。  地方公共団体の起債については、それぞれの事業につきまして、地方財政の健全性を確保するとの目的のもとで、総務大臣と財務大臣がそれぞれ個々の団体の財政状況も踏まえまして地方債を発行することが適当であるかどうかということの判断をする仕組みとなっております。郵貯の貸し付けはこの起債許可を受けたものを対象とするものでございます。  たまたま今回の省庁再編によりまして、先生御指摘のとおり総務省内でこの両方の事務を扱うことになりますが、郵貯の貸付制度があるからといって起債許可に当たって簡単に安易な対応をした場合には、地方公共団体の赤字の増大など事後的にさまざまな問題が生ずることが容易に予想されるものでございます。したがいまして、こうしたことを踏まえれば、簡単に安易に起債許可が行われるという事態は生じるものではないと私ども考えております。  また、郵貯資金の各年度の地方公共団体への貸付額の決定に当たりましては、郵政審議会において、郵貯資金運用計画の一部として、資金運用に関する専門知識を有する外部の有識者による審議を経た上で一般に公表することとなっております。これに加え、財投計画の一環といたしましては、財政制度等審議会の審議を経るほか、特別会計予算総則に貸付額を計上し国会での議決を得ることとしております。このような外部からのチェックが入ることにより、貸し付けの透明性が確保され、安易な運用の抑制につながるものと私ども考えております。
  157. 海野義孝

    ○海野義孝君 もう時間が来ましたので終わりますけれども、最後に郵政大臣に一言だけ自主運用に向けての決意を伺います。  自主運用が成功するかどうかということがやはり今後の財政投融資計画の進行についても大きな影響を与えるということが考えられるわけでございますので、その点を踏まえて、ひとつ最後に自主運用についての御決意のほどをお願いします。
  158. 八代英太

    国務大臣(八代英太君) 現在、郵便貯金資金運用部へ預託を義務づけられておりますが、これが全額自主運用になるということでございますから、再三申し上げておりますように、大変責任が重いということはそのとおりでございます。商品提供から資金運用まで郵便貯金事業として一貫した経営を任されるということでございます。事業の健全経営の確保にも我々は努力しなければならないと思いますし、責任も一層重くなるという認識でこれから立ち向かいたい、このように思っております。  郵便貯金国民の皆様に最も安心して御利用いただいているものでございますから、その期待にこたえられるように、一層責任を自覚しまして、能力の向上、適切な運用体制の整備などに懸命に努めてまいりたいと思っておりますので、どうぞよろしくまた御指導のほどお願い申し上げます。
  159. 海野義孝

    ○海野義孝君 どうもありがとうございました。
  160. 宮本岳志

    宮本岳志君 日本共産党の宮本です。  今回の改正案は、財政投融資の中の中枢を占める資金運用部資金について、その中心的な財源である郵貯資金年金積立金預託義務から外し、自主運用を認めることによってこれらの資金を切り離そうというものであります。したがって、郵貯、年金などの資金は全額自主運用となり、金融市場運用されることになってまいります。  財政投融資の現状には確かに多くの問題がございます。そのあり方が問われていると思います。しかし、最大の問題は、その制度にあるのではなく、歴代自民党政府がこの制度を乱用して専らむだな大型公共事業や大企業のための産業基盤整備のために投融資してきたことであり、また一般会計の赤字を当面糊塗するために財投資金を流用したり、大企業本位の景気対策に乱用してきたことだと考えます。  我が党も財政投融資制度改革は急務だと考えますけれども、それはこのようなまさに財投制度の解体によってではなく、ディスクロージャーを徹底し、財投国民国会の監視のもとに置くことによって、むだな公共事業や大企業本位の産業基盤整備から国民生活と福祉基盤の整備の方向に財政投融資対象を大きく切りかえることこそ必要だと思うんです。  そういう立場から、私は郵便貯金法等改正案に絞って質問をいたします。  まず、総務庁の平成十二年度青少年対策関係予算各省庁重点事項別政府予算額調というのが手元にございます。その中にこども郵便局の育成等という項目があるんですけれども、予算額と施策の目的は何ですか。
  161. 團宏明

    政府参考人(團宏明君) お答え申し上げます。  平成十二年度青少年対策関係予算重点事項別政府予算額の中に、郵便貯金に係るものとしてこども郵便局の育成等の項目がございます。合計で三億五百万円でございますが、大別して三つございます。  一つはこども郵便局、これは小学校等で先生方の御支援も得て郵便貯金をやっていただいておりますが、この郵便局の表彰等に対する支出でございます。金額は二千八百万円程度でございます。二番目に貯金箱コンクールというのをやっておりまして、これが二億五千八百万円でございます。三番目が国際協力に関する作文コンクールの実施、これは一千九百万円でございますが、これは郵便貯金におきまして国際ボランティア貯金というのをやっておりまして、その施策の関連でこういう作文コンクールをやっているというものでございます。
  162. 宮本岳志

    宮本岳志君 今御紹介があったように、学校で貯金係の子が子供たちのお小遣いなどを集めてまとめて郵便貯金に入れる、こういうものですね。このこども郵便局は総務庁のまとめには毎年出てまいります。そもそもいつから始まったものか、そして現在何校でやられているか、お答えください。
  163. 團宏明

    政府参考人(團宏明君) お答えいたします。  こども郵便局昭和二十三年五月から始まっているものでございますが、この趣旨は、児童生徒自身に金銭を合理的に使う態度を学ばせ、経済的関心を深めるともに、貯蓄心を養う、そういうふうなことを目的として行われているものでございます。  平成十一年三月末現在でございますが、こども郵便局を実施している学校数は二千二百八十九校、こども郵便局数は三千五百六十六局となっております。
  164. 宮本岳志

    宮本岳志君 郵便貯金は「国民経済生活の安定を図り、その福祉を増進することを目的とする」と。これは郵便貯金法第一条に明確に定められております。高度の公共性を持っております。だからこそ、国の行う事業であって、郵政大臣がこれを管理しているわけであります。  したがって、この郵便貯金で集まってきた資金というのは、学校で子供たちから集めたお小遣いも、お年寄りの老後の支えとなる生活資金も全部この中には入っているわけであります。だからこそ、私はその資金運用に当たってもその性格を踏まえたものでなければならないと思うんですね。つまり、確実、有利はもちろんですけれども、公共の利益に沿った配分運用が極めて重要であります。  ところが、今回の改正案では、郵貯、簡保ともに自主運用原則として確実で有利な方法により、かつ公共の利益の確保にも配意するとし、公共性の方は単に配意するだけでよいことになってしまっていると思うんですね。大臣、これは先ほど申し上げたような資金の性格から見た公共性の明白な後退ではないでしょうか。
  165. 八代英太

    国務大臣(八代英太君) 後退ととるか前進ととるかはそれぞれ人の分かれるところでございますが、宮本委員は後退という表現で今御質問でございます。  今後の郵貯・簡保資金運用につきましては、地方公共団体に対する直接貸し付けを行うほか、財投改革の趣旨に沿って安全確実な債券への市場運用を基本とする仕組みに移行することとしているわけでございます。  公共の利益ということでございますが、公共の利益に係る簡保の運用原則の規定については、地方公共団体を除く財投機関への直接貸し付けの廃止等を踏まえて改めることにしたものでございます。  しかし、郵貯・簡保資金は、全国の郵便局を通じまして、今、子供さんも含めてお年寄りも含めて、そういうものが資金でございますから、国営事業役割として、今後とも地方公共団体貸し付けを通じて住民の身近な社会資本の整備のために資金を還元するということによりまして、まさに子供さんたちの学校であれ、地域の安心、安全であれ、いろんな意味で使われるということでございますから、公共の利益のために貢献していく必要があると考えておりまして、それを配意という表現をするから後退だとかというのじゃなくて、かえって公共的な利益に還元するように有効にしていこうということですから、ぜひ御理解をいただきたいと思います。
  166. 宮本岳志

    宮本岳志君 この運用に当たっての研究会の中間報告、そこでは、やはり配意という言葉に今回、私は後退だと思うんですけれども、それにふさわしく、公共の利益という口実で、つまり有利に運用ということができなくなることがあってはならないということも述べられているわけですから、私は大臣が今おっしゃったような決意を運用にも貫くべきだということを申し上げておきたいと思います。  そこで、国民は今、郵便貯金に何を求めているかということを次に論じたいんです。  最近のいわゆる郵貯の集中満期の問題で、一部には、郵貯資金がこれで一気に流出して株式市場は大活況を呈するだろうと言われてまいりました。そこでお伺いしますが、満期を迎える定額貯金の再獲得の状況はどうですか、これは数値のみで結構ですから。
  167. 團宏明

    政府参考人(團宏明君) お答えいたします。  御指摘の集中的な満期の状況でございますが、これは平成十二年度から十三年度にかけまして元利合計約百六兆円の満期を迎えるというふうなことになるわけでございます。このうち、三十一兆円程度の再預入を目指しているというところでございます。  具体的に、四月分がまとまりましたので御報告申し上げますが、四月期におきましては満期を迎えた定額貯金の払い戻しが元利合計で六兆六千億ございました。このうち、三兆六千億円が定額貯金及び定期貯金へ再預入されております。それから、通常の時期よりも通常貯金に預けられた金額というものが約八千億程度ございまして、これを仮に入れますと四兆四千億程度が再預入されたというふうな計算でございます。率で申しますと、払い戻しされた金額に対しまして、定額、定期貯金合計で約六六%が再預入されたということになりますが、この払い戻しのうち利子課税金額が約五千億程度というふうに見ておりますし、また一千万円の限度を超えた金額もあろうと思いますので、そういうものを除きますと、可能な範囲での再預入率で考えますと約八七%というふうなことになろうかと見ております。
  168. 宮本岳志

    宮本岳志君 ぜひ端的にお願いしたいんですが。  予想を超えて郵貯にやはり頼っておられるということだと思うんですね。  それで、貯蓄広報中央委員会の行っている貯蓄と消費に関する世論調査をきょうは持ってまいりましたけれども金融商品を選択する際に重視することという問いがこの調査の中にございます。これを見てみますと、元本が保証されている、これは九七年に他の理由を抜いて一位になりまして、昨年はさらに上昇して三三・八%と群を抜いております。これに対して、二位は取扱金融機関が信用できる、これが二二・一%ございます。これに対して、利回りがよいは一二・五%で四位ということになっております。  これは郵政大臣にぜひ基本的な問題としてお伺いしたいんですが、国民が郵貯に期待しているのは何よりも安全性、確実性と、こういうことはよろしいですね。
  169. 八代英太

    国務大臣(八代英太君) 今データをお示しいただきましたけれども、貯蓄広報中央委員会の貯蓄と消費に関する世論調査、ありがとうございます。元本が保証されているからという安心感、三三・八%、それから取扱金融機関が信用できて安心だから、二二・一%ということを考えてみますと、合計で五五・九%を占めておりまして、まさに安全性を重視する傾向をまた郵便局へ期待している、こういう結果だと思います。  また、ある新聞社が実施した金融機関のイメージに関するアンケート調査によりますと、郵便局は信頼できる、これが第一位なんですね。六八・一%ございました。健全な経営をしている、これが第二位で二五・四%で、これもまた高い評価をいただいておるわけでございます。  郵便貯金は、そういう意味では全国あまねく津々浦々、二万四千七百ございますし、そういう中において非常に確実な運用をしているものですから、しかしそういう中にも、確実性の中でさっき数字が低いというおしかりを受けたわけですが、例えば福祉定期預金のように他の一般金融機関ではなかなか四・一五%というような今の低金利時代ではとてもやっていけないというので撤退するようなケースもございますけれども、しかしまさに国民共有の財産としての郵便貯金はそういうものもしっかり押さえながら、国民の皆様に還元していくという施策もぜひ御評価をいただきたい、このように思います。
  170. 宮本岳志

    宮本岳志君 利用者にとって金融商品の利回りは高い方がよい、それは当たり前の話だと思うんですけれども、しかしこういう調査結果を見る限り、将来の安心のために安全確実な貯蓄を必要としている。日産生命の破綻で加入者が大変な目に遭ったというのも記憶に新しいところです。そして、それは、これまでの自民党政治が進めてきた医療費の国民負担増だとか年金制度の改悪など、病気などのいざというときの不安、国民の老後の不安をあおるような政策を進めてきたからこそ、またなおさらのことだと私ども考えております。  それにもかかわらず今回のこの自主運用が本当に預金者の利益のためになるのか、このことを幾つかの角度から検証してみたいと思うんです。  まず、保険局長に聞きますけれども、九六年度末における簡易保険資金の指定単運用の累積損益は幾らだったか、お答えください。
  171. 足立盛二郎

    政府参考人足立盛二郎君) 九六年度末でございますが、指定単運用の累積損失につきましては三千六百七十九億円となっております。
  172. 宮本岳志

    宮本岳志君 その後、成績が若干改善したという資料もありますけれども、三千億程度は累積欠損だということですね。これは埋めが終わるまであと何年かかるかという状況だと思うんですけれども、こういう危険が既に生じているわけなんですね。  こういうリスク、つまりこういう欠損が生まれる可能性もあるというリスクを承知で自主運用するメリットは一体どこにあるのか、ぜひ端的にお答えいただけますか、保険局長
  173. 足立盛二郎

    政府参考人足立盛二郎君) 御案内のように、指定単は郵貯、簡保の本体で運用ができない株式等に資金運用するためにつくられておるわけであります。  先生御指摘のように、株式というのはリスクがあることは事実でございます。また、同じように、例えば外貨債なども為替リスクといったものがあるわけでございます。  ただ、資金運用考え方といたしまして、そういうリスクのあるものとないものとを組み合わせて運用する、いわゆる分散投資による効率的なポートフォリオと申しますか、例えば債券と株式を組み合わせる、あるいは国内債と外国債を組み合わせるといったようなことによりまして、リスクがお互いに相殺されまして効率的なポートフォリオを形成して資金運用を行うというのが現在のポートフォリオの考え方でございまして、株式にリスクがあるから直ちにこれを資金運用の対象としては除外すべきだということではないというふうに理解しておるところでございます。
  174. 宮本岳志

    宮本岳志君 ポートフォリオという言葉が出ましたが、実際にこの間、こういう運用の失敗で損失が出ているという議論はいろんな場面で繰り返されてきたわけですよ。例えば今国会でも、年金の運用をめぐって国民福祉委員会での議論もございました。しかし、ポートフォリオ、あなた方がおっしゃるような分散投資というものをやっていてこういう穴があいているわけですからね。それを知らずに穴があいた話ではないんですから。今までもやっていて、穴があくときにあいているわけですから。そこが今本当に問われているんじゃないかと思うんです。  では、郵政省に改めて聞きますけれども、年金資金運用が大問題になりましたが、これとあなた方がこれから自主運用するこの資金運用とは違うと、そういうふうにお考えですか。
  175. 團宏明

    政府参考人(團宏明君) お答えいたします。  郵便貯金につきましては、来年度以降全額自主運用というふうになるわけでございます。  この運用の安全性ということについての御質問かと思いますが、実はこの法案におきまして、郵貯の運用対象につきましては国債、地方債等の元本保証のある債券を中心というふうなことで、そもそも信用リスクは相対的にかなり小さいものを対象とするというようなことにしておりますし、また特定の銘柄に偏らない分散投資と適切なポートフォリオを組んでいくというようなことにしております。それから、運用方法も、先ほど答弁もございましたように、短期間の値ざや稼ぎということをやらないでバイ・アンド・ホールドでやっていくというようなこと等をやっていきますので、こういうふうな運用方法により確実な運用ができるのではないかというふうに考えております。  実績としましては、昭和六十二年以降、金融自由化対策資金の中でそれなりの実績を上げておりますし、それと余り対象も変わっておりませんので、そういう実績を生かして今後努力してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  176. 宮本岳志

    宮本岳志君 今、私は年金と違うのかと聞いたらそういうふうにお答えなので、適切な運用、あるいはリスクも小さいと。そうしたら、年金の方はリスクの大きいことをやった、あるいは適切でないことをやったということなのかと思いますが、では厚生省の方はどう言っているかと。  これは、ことしの三月二十一日、国民福祉委員会矢野年金局長は、「私どもの場合はこれは時価評価をいたしております。郵政省の場合は簿価評価です。」、ここが違うと。「それから、郵政省も指定単で一部外部運用しておりますけれども、これにつきましては詳細がディスクロージャーされていない、こういう状況でございます。」と答弁されました。  厚生省年金局長、事実ですね。そして、このディスクロージャーしていない詳細とは何ですか。
  177. 矢野朝水

    政府参考人矢野朝水君) お答え申し上げます。  ことしの三月二十一日の参議院の国民福祉委員会におきまして、私どもが実施しています年金福祉事業団の運用と、それから郵政省で行っております郵貯の金融自由化対策資金、この違いをいろいろ聞かれたわけでございます。そのとき、私は、一つの問題といいますか、ポイントといたしまして運用のディスクロージャーということを申し上げたわけでございまして、郵政省で指定単運用をやっておられます部分につきましては時価による評価が行われていない、こういうことを念頭に置きまして、詳細についてディスクロージャーがなされていないという答弁をしたわけでございます。
  178. 宮本岳志

    宮本岳志君 では、少しディスクロージャーについて聞きたいんですけれども、簡易保険福祉事業団からここ五年間に指定単運用を委託した金融機関名、九九年度末における金融機関ごとの運用残高及び損益はどうなっているか。これは郵貯資金と簡保資金のそれぞれについてお答えください。
  179. 足立盛二郎

    政府参考人足立盛二郎君) 指定単の運用先であります信託銀行別にその名称あるいは委託残高といったものを公表することにつきましては、私ども国または事業団の当該信託銀行に対する評価、そういったものを明らかにすることになりますし、信託銀行の経営といったものにも影響を与えることにもなりますので、現在、公表をしておらないところでございます。  もう少し具体的に申し上げますと、そういう委託先の信託銀行に幾ら幾らその運用を預けておるといったようなことを公表いたしますと、その時々の市場状況によりましては信託銀行の経営の悪化を招いたり、あるいは金融不安をあおることにもなりかねないと考えておりまして、社会的にも私たちは国営事業としてそれなりに大変大きな存在でもありますので、なるべく市場に対しては中立的な存在でありたい、またあるべきであろうというふうにも考えるわけであります。  また、信託銀行別に残高あるいはパフォーマンスといったことを発表いたしますと、どうしても信託銀行間で競争が起こりまして、短期的な運用姿勢を強くとるといったようなことになりますと、結果的にそれは資金運用として簡保といたしましてマイナスにもなりかねないといったようなことを考えて公表することを差し控えておるところでございます。  しかしながら、情報公開の重要性につきましては御指摘いただいておるところでありますので、今後、金融ビッグバンが進展するとともにそういった自己責任原則考え方等々が浸透していくものと考えますので、指定単のディスクロージャーのあり方につきましては、先ほど来から申し上げました信託銀行に対する影響や市場に対する影響等も考えまして、その充実へ向けて検討してまいりたいというふうに考えております。
  180. 宮本岳志

    宮本岳志君 事実だけちょっとお答えいただきたいんですね、年金局長がお見えですので。  金融機関ごとの運用残高を厚生省は公表しておられますね。事実だけ。
  181. 矢野朝水

    政府参考人矢野朝水君) 運用機関別の資産残高、それから過去の運用成績、こういったものは公表いたしております。
  182. 宮本岳志

    宮本岳志君 そうしたら、郵政省の言い分によると、厚生省というのは金融不安をあおったり市場中立じゃなかったりということになりますね。  私は、厚生省でもそうしてやっていることを当然ディスクロージャーすべきだ、そういうこともやらないようでは到底国民は安心して資産を任せられないということを指摘したいと思います。  時間がありません。次は、PKOの問題をお伺いしたい。  九八年三月末の郵貯一千四百一億円、簡保八千三百十一億円、合計九千七百十二億円の指定単積み増しが当時の自民党山崎政調会長の一兆円PKO発言を受けた紛れもないPKOであったことを衆議院で我が党の矢島議員が事実として指摘いたしました。これだけ事実も明瞭になり、マスコミももう周知のこととして報道しているにもかかわらず、足立局長は、これまでも株価維持のための指定単運用というものは行ったことはありません、今後ともそのような考え方はございませんという答弁を繰り返しておられます。  大臣に改めて確認いたしますけれども、かつて一度たりともPKO、こういうことはやったことはないと断言できますか。
  183. 八代英太

    国務大臣(八代英太君) いずれにしましても、郵便貯金あるいは簡易保険資金運用というのは、大事な小口の皆さん方のそういうものをお預かりしていることでございますから、事業経営を健全ならしめて、そして預金者、加入者の利益の向上を図ることを目的として行われているわけでございます。指定単は金銭信託の一種でありまして、それはお任せはいたしておりますけれども、その割合の指定を行うのみでございまして、具体的運用は預けられた信託銀行の判断により行われるものであるという思いでございます。  そもそも簡保事業団が具体的な売買の指示はできる仕組みとはなっておりませんので、局長にどうだとかああだとか言われるのも、これもなかなか答弁しにくいだろうと、このように思います。先般のあの話から私が感じますと、こうしたことから、株価維持のために指定単を用いることはやっぱり考えてはならないという思いでございます。  ですから、その辺をぜひ御理解いただいて、矢島委員にも衆議院では私がしっかりとその旨はお伝えしておりましたので、もう一度聞き直していただければありがたいと、このように思います。
  184. 宮本岳志

    宮本岳志君 そういたしますと、少し理解に苦しむような答弁があなた方にございます。  と申しますのは、一昨年三月の衆議院逓信委員会で当時の金澤簡易保険局長が「平成四年、平成五年に総合経済対策、それから新総合経済対策の一環として簡保事業団を通じた指定単の増額を行ったことがございます。」と答弁されています。  株価の買い支えでないとしたら、なぜ指定単の増額が経済対策と言えるんですか、お答えください。
  185. 足立盛二郎

    政府参考人足立盛二郎君) 御指摘の九二年に行いました郵貯・簡保資金による指定単の運用の増額につきましては、当時の経済対策閣僚会議で決定されました総合経済対策に盛り込まれていたことは事実でございます。  ただ、これはいわゆる指定単というものがあくまで加入者及び預金者の利益を目的としたものでありまして、そういう当時の投資判断からいたしまして適切であるということで実施したものであります。このことが結果として金融・資本市場への資金の流入を通じて経済の活性化に資する面もあるという理解であったと認識しております。したがって、株価の維持とかあるいは企業の決算対策とか、そういったことを目的として実施したものではございませんので、御理解を賜りたいと思います。
  186. 宮本岳志

    宮本岳志君 結果としてそのような役割を果たしたと。私はどうも理解できないんですね。  では、なぜそれを経済対策と呼べるのか。つまり、政府経済対策というのは、何か別の目的を持ってやったことがたまたまそういう結果になったものを寄せ集めて経済対策と呼ぶようなことがあるのか。もうそもそもつじつまが合わないと思うんですね。  それで、ここで言っているまさに九二年、九三年というのはどういう時期だったか。では、利用者のために指定単を積み増ししたとあなたがおっしゃるんだったら、どういう時期だったかということを議論しましょう。  九二年五月二十日、衆議院大蔵委員会で、簡保資金のディスクロージャーを拒む郵政省に対して、我が党の正森成二議員が、簡保の指定単運用の損失は五千億円を下らないだろうと、こう指摘をいたしました。それに対して、当時の簡易保険局は何と答弁したか。「ただいまのような株式の状況でございますので、指定単の中に組み込んでおります株式につきましてもある程度の、いわゆる損というものが出ているところでございます。」と。つまり、この当時、既にそれまで持っていた指定単に組み込んだ株についても損が出ている、そういう答弁が明確に出ている時期なんですよ。この答弁は間違いないですね。
  187. 足立盛二郎

    政府参考人足立盛二郎君) 平成四年五月二十日の衆議院大蔵委員会におきましての正森先生の御質問に対する答えは、ただいま先生がおっしゃいましたように、「ただいまのような株式の状況でございますので、指定単の中に組み込んでおります株式につきましてもある程度の、いわゆる損というものが出ている」という答弁を行っております。
  188. 宮本岳志

    宮本岳志君 株に資金をつぎ込んで損をしていた、まさにそのときに経済対策だといって株の運用、積み増しをする、これがPKOでなくて何をやったらPKOになるのかと言わざるを得ないと私は思いますよ。明確にそういうことをあなた方はやってきたんだと言わざるを得ません。  それで、簡保資金は同時に、株もそうですが、不動産にも投資をされてまいりました。しかも、そのテナントに郵政省関連の団体が入っていることが昨年九月六日の新聞報道でも明らかになっております。  同日、郵政事務次官が記者会見をしてその問題に答えております。その資料も郵政省からいただきましたが、ここでひとつ、保険局長の方で二つの問いへの答え、「テナントに郵政省関連の施設なり団体が入っているのは不明瞭ではないか。」、それから「ビルの管理会社に郵政省関連の公益法人が出資していたというのは事実か。」、この二つの問いにどう答えておりますか。読み上げてください。
  189. 足立盛二郎

    政府参考人足立盛二郎君) 平成十一年九月六日の会見におきまして、事務次官でありますが、「簡保資金で不動産を購入しているというのは事実か。」という御質問に対して……
  190. 宮本岳志

    宮本岳志君 いや、後の二問でいいですから。
  191. 足立盛二郎

    政府参考人足立盛二郎君) はい。  「テナントに郵政省関連の施設なり団体が入っているのは不明瞭ではないか。」という御質問に対しましては、「詳細は不明。しかし、どのような団体であっても、きちんと契約し、賃貸料も一般的な世間相場を考えた上でのものと思われることから、ただちに不明瞭ということにはならないと思う。」と。それから、「ビルの管理会社に郵政省関連の公益法人が出資していたというのは事実か。」という御質問に対しましては、「過去は出資をしていたが、公益法人の監督基準の変更により、非上場株式の保有が原則禁止となったため売却しており、現在は郵政省関連の財団法人等は株主になっていないと聞いている。」と回答されております。
  192. 宮本岳志

    宮本岳志君 まずは郵政省の運営している資金が不動産に投資をされていた、そして取得されたビルに郵政省の関連団体が入居をし、郵政省関係の財団の資金の入った会社が管理をしていたということ、これは事実としてお認めになったわけですね。  こういう実態を大臣は是認するんですか。
  193. 八代英太

    国務大臣(八代英太君) 今、局長の説明のとおりだと思っております。
  194. 宮本岳志

    宮本岳志君 では、もう少しお伺いしましょう。  先ほど読んでいただいたビルの管理会社というのは、この九月六日付の朝日で報道されているケイアイエステートのことですね。事実関係をイエスかノーで。
  195. 足立盛二郎

    政府参考人足立盛二郎君) ケイアイエステートだと思います。
  196. 宮本岳志

    宮本岳志君 このことが報道されたその日の事務次官の記者会見ですから、間違いないと思うんです。  我が党の矢島恒夫議員への郵政省からの回答がここにございます。これによると、財団法人簡保資金振興センターから五百五十万円、施設建設総合情報センターから二百万円がこの会社に出資をされておりました。間違いないですね。
  197. 足立盛二郎

    政府参考人足立盛二郎君) 過去におきまして郵政省の所管に係る公益法人が御指摘の会社に出資していたことは事実でありますが、これはあくまで信託銀行の要請を受けまして公益法人の判断に基づき財産運用の一環として行われたものと承知しております。  現在は、先ほども申し上げましたとおり、郵政省所管の公益法人が出資を行っている例はございません。
  198. 宮本岳志

    宮本岳志君 財産運用の一環としてやっておられたと、こういう答弁ですね。  出資が行われた期間はいずれも昭和六十三年度から平成十年度と。ですから、もう今はやっていないと言うけれども、十年度まで出資は続いていたわけであります、ごく最近まで。  ここにケイアイエステート社の閉鎖事項全部証明書、いわゆる閉鎖謄本を持ってまいりました。それによると、歴代の社長は朝熊勇氏、濱田望氏、鎌原徹氏となっており、いずれも郵政省のOBであります。朝熊勇氏、濱田望氏、鎌原徹氏の郵政省の最終の官職と退官後の経歴はどうなっておりますか、郵政省官房長。
  199. 松井浩

    政府参考人松井浩君) お答え申し上げます。  御指摘のありました三名の最終官職、経歴でありますが、最初に朝熊勇さん、昭和六十一年七月に信越郵政研修所長を最終官職といたしまして郵政省を退職しておられます。同年九月、六十一年九月でありますが、財団法人簡保資金振興センター常務理事に就任しておられます。  それから、二番目に御指摘の濱田望氏でありますが、昭和五十七年七月に大臣官房資材部長を最終官職といたしまして郵政省を退職しておられます。それから、同じく同年十一月、五十七年十一月に簡易保険郵便年金福祉事業団理事に就任でありますが、その後、昭和五十九年二月にキャプテンサービス株式会社の専務取締役に就任でございます。  それから、御指摘の三番目の鎌原徹氏でございます。昭和六十年四月に逓信博物館長を最終官職として郵政省を退職されまして、昭和六十年五月、同年五月ですが、財団法人電気通信政策総合研究所常務理事に就任でございます。  また、社長の就任の時期でございますが、朝熊氏は平成元年の三月からの就任であります。それから、濱田氏は平成元年の六月から、それから鎌原氏は平成十年の六月から、それぞれ御指摘の株式会社ケイアイエステートの社長に就任されたと承知しております。
  200. 宮本岳志

    宮本岳志君 郵政省は不動産運用も具体的なことは全部信託銀行の裁量に任せていると、先ほどもそういう答弁でしたよ、信託銀行の要請だと。しかし、郵政省OBが歴代社長を務めているような会社にビルを管理させていて、そういう説明はやっぱり国民は納得しないと思うんです。しかも、濱田氏などは信託銀行に指定単を直接委託する立場の簡保事業団理事から同社の社長へと渡っているわけであります。  このケイアイエステートは二つのビルの建設に合わせて郵政省の認可法人等の出資でつくられたと報じられております。客観的に、この会社が設立されたことによってつまり郵政省OBの職場が生み出された、これはもう否定し得ない事実だと私は思うんですね。天下り先をつくったとしか考えられない。こんなことは本当に利用者の利益のためにやっていることなのか。  あなた方の天下り先の確保のためにやっているとしか考えられないと思うんですけれども大臣、この話を聞いていて、こういう疑念を持たれるようなやり方はおかしいとお感じになりませんか。
  201. 八代英太

    国務大臣(八代英太君) 今いろいろと局長から宮本委員に対してお答えして、また官房長からもその動向が報告されました。  いずれにしましても、職員の再就職については、本人の知識とかあるいは経験とか技能等が再就職先に評価されて行われているというものであって、私はそういう意味では就職の件については全く問題はない、こう考えております。
  202. 宮本岳志

    宮本岳志君 いや、私が天下り先をつくるためとしか考えられないと、そう言うのは、あなた方が言うような利用者の利益のためになっていない、この仕事は。  新聞報道にはこうございます。例えばこの二件のビルの一つ、四谷ビルの場合、八八年当時の周辺地価は三・三平米当たり約七千万だった。その値段で買ったというんですよ。それが現在約七百万円。つまり、周辺地価は十分の一程度に下がっていると推定している。国民は大損じゃありませんか。こんな投資はとてもじゃないが利用者の利益のためにやったとは考えられない。私はそのことを厳しく指摘しておきたいと思います。  その上で、では就職の問題がどうかという議論もやりたいと思うんですね。  郵政省は、この指定単の運用の実態はおろか、どの金融機関に委託して運用しているのかさえ明らかにしてまいりませんでした。その背景に私は郵政省と信託銀行業界との癒着があるのではないかということも指摘をしたい。  まず、郵政省に在籍した元職員で、郵政省資金運用する信託銀行に現在在籍している職員または役員、顧問等も含む数ですけれども、数は何人で、それぞれの郵政省における最終の役職名はどうなっておりますか、官房長。
  203. 松井浩

    政府参考人松井浩君) お答えを申し上げます。  委員の方から事前に御照会がございまして、これに対応して、過去五年間、つまり平成七年から平成十一年まででございますが、国家公務員法第百三条の就職承認を受けて信託銀行に再就職した者を調査いたしました。その結果、該当する職員はおりませんでした。また、就職承認を経ないで再就職した者の在籍状況については承知しておりませんので、御理解いただきたいと思います。
  204. 宮本岳志

    宮本岳志君 承知していないと、そういう回答、事前にもそうでしたよ。  ことし三月十五日の朝日には、「郵政省金融界への天下りは数十人にのぼるが、信託銀行業界でその多くを引き受けている。仕事がほとんどない非常勤顧問などの形が多い。「多額の手数料をもらう見返りという面はある」と信託銀行幹部は認める。」と書かれております。  郵政省に聞きます。  九五年度から昨年度までの年度ごとに指定単運用の手数料として信託業務を行う金融機関に支払った額は幾らですか。
  205. 足立盛二郎

    政府参考人足立盛二郎君) 指定単運用に係りまして信託銀行に支払った信託報酬でございますが、各年度ごとにお尋ねでありますので、平成七年度、郵貯指定単の報酬として百八億円、簡保指定単としては百六十四億円。平成八年度でございますが、郵貯が百十八億円、簡保が百六十八億円でございます。平成九年度、郵貯百二十八億円、簡保は百七十三億円。平成十年度、郵貯百五十三億円、簡保二百十億円となっております。  なお、平成十一年度につきましては、現在、決算が終了しておりませんので、現時点での公表は差し控えさせていただきたいと思います。
  206. 宮本岳志

    宮本岳志君 どんどんふえてきているんですね。これは金融自由化特別勘定もふやしていっていますから、当然、指定単運用の額もふえているということだろうと思うんですが、二百億から三百億、平成十年度では合計すれば三百六十三億ということになろうかと思います。  既に今運用している分でこれだけなんですから、これから全額自主運用ということになれば、金融自由化特別勘定と全額自主運用との差は恐らく二百兆円弱ということになるんだろうと思うんですけれども、これがさらに上積みされて運用されると、指定単もその分、同じ比率かどうかはともかくとして、ふえていくということが予想される。今でも二百億、三百億、三百五十億と。これが本当に倍というような形で手数料が入ってくるわけですね。  天下りの受け入れは多額の手数料をもらう見返りだと、ここまで書かれている以上、この実態を明らかにせずに全額自主運用を認めるわけにいかないと私は思います。なぜ天下りの実態を明らかにしないんですか、そういった中身まで含めて。
  207. 松井浩

    政府参考人松井浩君) お答え申し上げます。  先ほど御答弁申し上げましたように、離職後二年以内に再就職しようという者につきましては、御案内のように、国家公務員法第百三条で就職承認が必要になります。これに関しましては当局としてきちっとした把握ができる状況でございます。  ただし、先ほど私申しましたが、就職承認を経ないで再就職した者については承知する立場にないということを申し上げたんですが、それは基本的には国家公務員法の中で、もちろん公務の中立の問題はありますが、同時に企業経営のお立場もあるし、それから公務員の職業選択の自由の問題もあります。プライバシーの問題もあります。そういう中で現在の国家公務員法制度がそのようになっているということでございます。
  208. 宮本岳志

    宮本岳志君 そういうものはつかめている分しかわからないというお答えだと思うんですね。二年以内のものは報告はあるんだが、そうでないものはわからないと。  ところが、厚生省は国会の答弁で、厚生省から年金資金の受託金融機関への再就職の実態というものを明らかにされました。昨年十二月一日の衆議院厚生委員会、ここで、委員会会議録九号の八ページ上段十二行目から十五行目にかけて、年金局長、これを読んでいただけますか。
  209. 矢野朝水

    政府参考人矢野朝水君) 昨年十二月一日の衆議院の厚生委員会におきまして、菅直人議員から、年金福祉事業団の受託機関に就職している厚生省OBの実態について質問があったわけでございます。その際、大野政務次官が次のように答弁いたしております。  「常勤で住友信託銀行の顧問にお一人、非常勤で日本生命保険顧問にお一人、それから安田生命顧問にお一人、住友生命顧問にもうお一人、以上四名でございます。 常勤の方、元児童家庭局長でございます。あと、非常勤の方が大臣官房付の方、九州地方医務局長の方、そして社会保険大学校長の方、以上四名でございます。」。  以上でございます。
  210. 宮本岳志

    宮本岳志君 厚生省はこうして国会の場で明らかにされました。  先ほど、退職後二年以上たてば報告義務はないんだという答弁です。それは聞いております。では、二年以内であればことごとく報告される形になっているか。  これはひとつ人事院の職員局に聞きたいんですが、郵貯や簡保の資金運用を担当している者が、仮に退職と同時にきのうまで運用を委託していた信託銀行に就職したいと、こういう話になった場合に、直後ですよ、そういうケースは絶対に認められないんですか。
  211. 中橋芳弘

    政府参考人中橋芳弘君) 資金運用を担当しております国の職員が当該資金を直接預け入れている金融機関に再就職することについては、離職後二年間は認められないものと考えております。  ただ、郵貯資金を簡保事業団に寄託して行いますいわゆる指定単につきましては、同事業団が信託銀行等に委託するものでございまして、郵政省と信託銀行との間には直接の関係はないと聞いておりますので、国公法百三条の密接な関係はないと、かように考えております。
  212. 宮本岳志

    宮本岳志君 これ、皆さん本当にお聞きになって驚くと思うんですね。つまり、簡保事業団と取引している信託銀行であればそれは別にできるというんですよね。今の御答弁はそうですよ。  この人事院の運用というのもいかがなものかと思いますけれども、実際、退職して二年間という冷却期間を置けば幾らでも行けると。今のように聞いて、ないと言っても、マスコミではいっぱいあると、指摘されるように、こういう脱法的な形になっている。ましてや、簡保事業団との取引だったらいいんだと言って、あしたからでも行けると、こういうことになっているんですよ。  私どもは郵貯・簡保資金を株に投入するとか指定単ということにそもそも反対です。しかし、百歩譲って、あなた方がどうしてもやるというなら、少なくともこういう癒着はきちんと清算することが最低限のルールではないですか。大臣、そう思いませんか。
  213. 八代英太

    国務大臣(八代英太君) その人の人生再出発に際して、その専門知識を請われて再就職するというのはいろんなケースであるだろうと思うんですね。そこに、今おっしゃるように癒着を前提に、それは天下りはけしからぬという前提考えれば……
  214. 宮本岳志

    宮本岳志君 新聞が言っているんですよ。
  215. 八代英太

    国務大臣(八代英太君) 新聞は、そういう報道はいろいろな報道の仕方がありますから、それはそれとして、そうなってしまうとこれはなかなかかみ合わないところが出るだろうと、こう思います。  しかし、大事なお客様からお預かりしている資金であればこそ、もしでき得れば人事交流の中においてその技術が買われて指導的な立場に、そして再就職するところがそういうまた信託銀行であったということも、私はそう不自然に目くじらを立てるようなことではないような気がするんですが、間違いでしょうか、私の考えは。
  216. 宮本岳志

    宮本岳志君 一言だけ。  全く不自然だと、国民は不自然としか見ようがないということを申し上げて、私の質問を終わります。
  217. 三重野栄子

    三重野栄子君 社民党の三重野栄子でございます。  二法案に関連をいたしまして質問いたします。  まず、大蔵大臣に確認させていただきたいのでございますけれども前回の火曜の委員会で、財政投融資が肥大化をした要因として、一般会計で賄い切れない財政需要を財政投融資が肩がわりをしたためだということを率直にお認めになったと私は思っています。  そこで、大蔵大臣に確認させていただきたいのですが、こうした点は過去への反省であり、平成十三年四月から始まる新たな制度では同じ過ちは繰り返されないと思うんですけれども、この点、確認をさせていただきます。
  218. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 本法案につきまして本委員会でも長いこと御審議をいただいておりますので、大体その辺のところは繰り返して申し上げてきたつもりでございますが、十二年度の財投計画におきましても、一般財投融資については前年度比マイナス四・八%、財投計画全体では前年度比マイナス一七・四%となっておりまして、私どもの中にもそういう反省があったわけでございます。  今回、こういう改革を機として過去のそのような誤りを犯しませんように、またそういうふうにして誕生しました新しい財投機関がそれぞれ任務にふさわしい、しかも非常に緊張した状況で任務を遂行できるようにいたしていきたいと考えております。
  219. 三重野栄子

    三重野栄子君 どうもありがとうございました。  財投機関の情報公開について一点お尋ねいたしたいのでございますけれども、午前中にもいろいろ議論がございました。そこで、もう一点私の方から申し上げたいのでございますけれども財投機関の中には数多くの子会社とか関連会社を有する機関も少なくないようで、改めて申すことではございませんけれども、このような現況にかんがみますと、財投機関の情報公開に当たっては子会社とか関連会社との連結財務諸表の作成あるいは公開が求められると考えるわけでございます。  この点に関しまして、大蔵政務次官の御見解をお伺いしたいと存じます。
  220. 林芳正

    政務次官(林芳正君) お答えを申し上げます。  委員が今御指摘になりましたように、午前中もこの件につきまして御議論いただいておったところでございますが、多少重なるところも出てくることかとは思われますが、御答弁させていただきます。  委員がよく御承知のように、特殊法人の会計処理につきましては、企業会計原則に準拠して特殊法人等会計処理基準というものがございまして、これにのっとって実施をしておりまして、きちっとやっていこうということでやってまいったわけでございますが、今、委員からいろんな子会社があるというお話がありました。  そこで、大臣からも先ほど御答弁いただいたとおりでございまして、特殊法人というのは特別の法律でつくって、公共公益的な事務事業を行うということでございまして、その子会社は、例えば株式会社でありますと利益の追求を目的とした商法法人ということでございますから、先ほど申し上げました企業会計原則というのと特殊法人の会計基準というのも若干異なるところがございますし、またもともとそういう設立の目的等が違うということもございまして、これを一律に連結でがちゃんことこうやって見るのはなかなか難しいというのは午前中の答弁にもあったとおりでございます。  ただ、その子会社等も含めまして実態をきちっと把握するということは非常に大事なことでございまして、もう委員が御指摘のとおりであります。午前中にも御答弁申し上げましたように、いろんな御議論を踏まえまして、また特殊法人の財務諸表等の作成及び公開の推進に関する法律ということで、衆参両院で、たしか参議院では当時の齋藤先生からもこの件について御質問があったようでございますが、そのときの答弁にもありますように、その子会社は子会社なりにきちっと親たる特殊法人と関係するところはディスクロをしてもらって、それで機械的な連結というよりももう少しきちっとした実態を把握するということで、所管官庁、それから我々もその後ろに立って全体像をきちっと明らかにしていくということをやっていかなければならないと、こういうふうに考えておるところでございます。
  221. 三重野栄子

    三重野栄子君 そこで、財投機関の財務の健全性を確保する意味で申し上げたいんですけれども、外部監査の導入は非常に有益であるというふうに考えるわけでございます。  そこで、二点ほど申し上げますと、外部監査を既に導入している財投機関は幾つあるでしょうか、その機関数と機関名をお答えいただければと思います。第二点は、大蔵省は外部監査の導入について何らかの指導を行っておられるか。  以上二点につきまして総務庁の方から御回答いただきたいと思います。
  222. 瀧上信光

    政府参考人(瀧上信光君) 特殊法人のうちで外部監査を導入しているところでございますが、JRの各社、NTT、日本たばこ等の特殊会社十三法人がいわゆる商法特例法に基づきまして実施をしているほかに、総務庁が各省からの御報告をもとにお聞きしているところでございますが、石油公団、それから日本原子力研究所、商工組合中央金庫の三法人が監査法人による監査を導入しており、そしてこのほかに国際協力銀行、それから日本政策投資銀行が導入を予定しているというふうに聞いております。
  223. 三重野栄子

    三重野栄子君 予定のところも御回答いただきまして、ありがとうございました。外部監査が導入されて有益であるように御努力をお願いしたいと思います。  次に、交付税特別会計の資金繰りについて大蔵省理財局長にお伺いしたいのでございますけれども資金運用部の資金繰り悪化の影響を受けまして、交付税特別会計は今年度民間金融機関からの借り入れを八兆円行うこととされております。国の特別会計がこれだけ巨額の資金を民間から借り入れるのは初めてのケースのようですけれども、これまでの借り入れの状況はどのようになっておりますでしょうか。また、借り入れの方式としては、例えば預金保険機構が採用している金利競争方式が考えられるわけでございますけれども、どのような方式を採用されるのか。  以上二点につきまして大蔵省理財局長にお伺いしたいと思います。
  224. 中川雅治

    政府参考人中川雅治君) まず、平成十一年度末における資金運用部から交付税特別会計への貸付金残高は三十兆四百三十七億円でございます。  それから、交付税特別会計の民間からの借り入れの方式でございますが、民間金融機関からの借り入れにつきましては入札によることを予定いたしておりまして、入札参加者の範囲や入札の具体的手続につきましては現在検討を行っているところでございます。  まず、入札参加者の範囲につきましては、国債の入札参加者の範囲、民間金融機関に係る各業法の貸し付けに関する規定等を踏まえて検討を行っているところでございます。また、入札の具体的手続につきましては、借入金利の決定方法、応募金利の刻み、最低応募単位、入札から借り入れまでの期間、入札書の提出方法、民間金融機関から国への払い込み、国から民間金融機関への償還、利払いの方法等、現在、手続の細目等について検討を行っているところでございます。いずれにいたしましても、入札によることを予定いたしております。
  225. 三重野栄子

    三重野栄子君 そこで、国の特別会計が八兆円という巨額の民間資金を吸収することに対しまして、国債市場の需給悪化を招いて長期金利が上昇していくのではないか、そういう副作用を懸念する声もあるわけでございますけれども、この点につきまして大蔵大臣の御見解を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。
  226. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 御質問があるのはごもっともだと思います。現実に八兆円の借り入れを入札によりいたそうとしているわけでございますが、民間の資金が非常にだぶついているという事態があり、また政府としてもとより高い金利を払って借り入れるということはなかなか問題がございます。たまたま入札をするというような状況ほど民間側にも資金需要が乏しく、またしたがって低い金利で借り入れることができるという現実状況からこういう措置をとることになったものだろうと私は考えております。  そもそも民間資金需要が高くなりますれば、こういうものに民間は応募をいたしませんし、またしましたとしても非常に高い金利になるはずでございますので、こういうことを三重野委員がやっていいのかねとおっしゃいますのは、実際そうおっしゃる方が普通の経済状態であって、こういうことができたりするのはどうも余り健全な経済状況でないのではないかと私自身も思っておりますけれども現実にはそういう需給が一致したということでやらせていただいたものと考えます。
  227. 三重野栄子

    三重野栄子君 大変厳しい状況のようでございますが、この問題に関連いたしまして大蔵省理財局長お尋ねいたしたいのでございます。  資金運用部資金の交付税特別会計に対する短期貸し付けの残高は最新の数字でどのようになっているでしょうか。
  228. 中川雅治

    政府参考人中川雅治君) 交付税特別会計の借入金残高、これは十二年度末には三十八兆円になるというふうに見込まれております。
  229. 三重野栄子

    三重野栄子君 そこで、交付税特別会計に対する短期貸し付けにつきましては国会議決を要しない財政投融資の短期運用で賄っていると思われるわけでございますけれども、こうした複雑な会計上のやりくりというのは国民の目から見て非常に不透明であると思うのでございます。  そこで、理財局長から三十八兆円という答弁がありましたけれども、この規模は非常に大きなものであると思います。そうしますと、財政投融資の短期運用につきまして抜本的な見直しが必要であると考えますけれども、この点に関しまして大蔵大臣の御見解をお伺いしたいと存じます。
  230. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 資金運用部資金の短期運用の問題につきまして、国会議決がどこまで必要であるかということ、短期というのは普通五年未満でございますけれども、私ども国会議決が必要でないと考えておる理由につきましては、資金運用部の流動性確保のために一時借り入れに対応する、あるいは金融情勢等に機動的に対処する、そういう意味では、ちょっときつい言葉ですけれども、資源配分的な機能としての資金の移動ではない、こういうものでなければならないというふうに今まで考えております。  このたびの改正案の作成につきましても、財政制度審議会の法制部会で御議論をいただきました。現在、国民経済における資源の配分に政策的に関与する見地からなされる限りは、そのような運用国会議決の対象とすることが適当である、したがって五年以上の長期運用国会議決の範囲である、そういう考え方でよかろうということでございましたので、従来に従いまして法案の作成を行うことにいたしておるというのが私ども考え方でございます。
  231. 林芳正

    政務次官(林芳正君) 大臣から今、短期の方の五年のお話がございました。それから、委員が今ちょっと交付税特会の方でお金を借りるのはどうかという問題がございましたので、確認でございますが、この借りる方の特会の方は借入金の総額について会計法にも規定がございまして、またこのたび、これぐらい借り入れるということは十二年度の借入金についても予算総則とともに国会議決をいただいておるところで、そちらは縛りがかかっておるということを申し添えさせていただきます。
  232. 三重野栄子

    三重野栄子君 理解できました。  それでは、大蔵省に対する質問は以上にさせていただきまして、あと数点、郵政省の方にお尋ねしたいと思います。  平成十年から五年間、毎年二千億円ずつ郵便貯金の剰余金を国鉄の債務処理に充てることが平成九年十二月十七日の財政構造改革会議で決定されたわけでございますけれども、当時、五兆円近くあった剰余金は平成十二年度には一兆円を割り込んでしまいました。剰余金は本来預金者に還元されるべきものでありまして、こうした措置が延期されることは絶対あってはならないと思うわけでございます。  そこで、郵政大臣に二点ほどお伺いしたいと思います。  こうした措置の延期は絶対ないと言えるのでしょうかというのがまず一つ。それからまた、平成十年度から三年間、郵貯については赤字が続いておりますが、平成十三年度については黒字を確保することができるのでしょうか。その見通しをお伺いいたします。
  233. 八代英太

    国務大臣(八代英太君) 旧国鉄長期債務処理のための一般会計への繰り入れにつきましては、平成十年の、三重野委員がおっしゃいましたように、大変長い名前の法律であります。一般会計における債務の承継等に伴い必要な財源の確保に係る特別措置に関する法律というのでございますが、平成十年度から五年間、各年度二千億円ずつ、合計一兆円を一般会計に繰り入れることとされておるわけでございます。また、その法律の繰り入れの財源として郵便貯金特別会計一般勘定の積立金を取り崩すこととされております。  この繰り入れ措置は、国鉄の長期債務の処理策について、国家財政が非常事態であることから、他の機関も、これは郵貯だけじゃございませんが、いろんな機関も協力するとの取り組みが行われる中で、国の機関であります郵便貯金としてもやむを得ず特例的に協力を行うということにしたものでございます。  この繰り入れ状況でありますが、平成十年度、一九九八年度でございますが、この年と十一年度に二千億円ずつ一般会計に繰り入れたところでありまして、また、ことし、十二年度予算においても、赤字が今おっしゃったように見込まれるわけでございますが、かなりの積立金を保有しておりますので、二千億円の繰り入れを計上しているところでもございます。  平成十三年度、来年度の経営の見通しということになるわけでございますが、平成二年度から平成三年度に預入された例の高金利の定額貯金がちょうど満期を迎えまして支払い利子の負担が大幅に減少することになりますので、一転して約一兆円程度の黒字が生じる試算ができておりまして、引き続き積立金を保持する健全な経営を維持できると考えております。こういう状況ですから、平成十三年度につきましてもこの二千億円は当初の約束どおりで、繰り入れの延期等の見直しは行う必要はないものと考えておるような次第でございます。
  234. 三重野栄子

    三重野栄子君 郵貯に対する期待は国民の側も大変大きいわけでございますけれども自主運用の問題についてお尋ねしたいと思います。  まず、郵貯の運用に対する事後評価の問題でございますが、事業の健全性を確保するためには運用評価を的確に行ってそれを実際の運用にフィードバックしていく仕組みが必要だと思うのでございます。  そこで、運用評価についてはその客観性を高めるという観点から外部評価機関を活用すべきであると思うのでございますけれども、この点につきまして貯金局長にお伺いします。
  235. 團宏明

    政府参考人(團宏明君) お答えいたします。  委員御指摘のとおり、資金運用におきましては、計画し、実施し、評価するというプロセスがございますので、この運用結果について適正な評価を行うということは非常に重要なことと考えております。  この仕組みでございますけれども、今回の法律によりまして、事後の評価を受けるために運用実績の報告書にいわゆる時価会計による資産評価の結果等を添付して審議会に提出し、一般に公表するということにしておりまして、その公表結果に基づいていろんな御意見とか批判、評価をいただきたいというのが基本でございます。  また、このほかに、国の機関でございますので、会計の正確性、合規性の観点から会計検査院の検査を受けて、会計経理の健全性ということについては検査を受けるということになっているわけでございます。  御指摘の外部評価機関ということでございまして、できるだけディスクロをやりましていろんなところからの評価を受けるということが基本でございますが、外部評価機関のうち、仮に民間としますと、特定の機関にディスクロージャー以上の情報を提供して評価をいただいてこれを次の参考にするということも考えられなくはないというふうに考えております。ただ、特定の機関に情報を提供することの問題、加えて、これを幅を広げましてALM的な評価を受けるかどうかというふうないろんなやり方もあろうかと思います。これにつきましては、民間の金融機関についてもこういう評価機関をどういうふうに利用していくのか、こういうふうな趨勢も見ながら、有用な評価方法があれば検討してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  236. 三重野栄子

    三重野栄子君 もう少し詳しくは今のところはわかりませんか、例えば外部評価の機関の中身とか、どういうところにとか。今、民間のお話もございましたけれども、もう少し具体的にはまだできていないんでしょうか。
  237. 團宏明

    政府参考人(團宏明君) 具体的にはこれから検討しようというふうに考えております。  外部評価ということは経営の中で最近かなり活用されてまいりまして、ちょっと話題はそれますけれども、ALM、いわゆる資産負債の対応についてリスク管理を行うということを今やっておりますが、こういうことにつきましては民間の会計の専門機関に外部評価をお願いしたりとかいうこともやっておりまして、そういうものが運用にも応用できるかどうかということについては、いろんな民間の状況等も参考にしながら今後検討していきたいという状況でございます。
  238. 三重野栄子

    三重野栄子君 それでは、郵貯資金自主運用に移行していきますと、金融市場の価格形成に影響を及ぼす危険性は否定できないと思うのでございますけれども、こうした影響を極小化するためにはどのような方策がございますでしょうか。郵政大臣、お考えがございましたらお伺いしたいと思います。
  239. 八代英太

    国務大臣(八代英太君) 全額自主運用後の郵貯・簡保資金につきましては市場運用が基本となりますので、御指摘のような価格形成と市場への影響に十分配慮して運用しまして市場の混乱を回避していくことは重要な留意点であろう、このように私たちは考えております。  そのために、今回御審議いただいております法律案におきましては、運用原則について明記するということがまず一点ございます。それから、毎年度、基本方針や当該年度の資金配分計画等を内容とする運用計画を審議会に諮問するということがございます。さらに、もちろん郵貯はお一人お一人が株主でございますから、一般に公表すること等もいたしております。  なぜ運用計画の公表をするんだ、こういうことでございますが、これは郵貯資金の動向について市場に予見可能性を与え、無用の混乱を生じさせないようにするためでございまして、大変これは重要だと、このように思っております。  また、運用計画の策定に当たりましては、法律案におきまして、市場に与える影響等を勘案することとされております。その運用計画では、運用資産の価格形成に支配力を行使することなく、各運用資産の市場規模に配意した運用を行うことが一つございます。そして、値ざや稼ぎをねらって頻繁に市場で売買を行うことなく、まさに長期的、安定的に運用手法をとるということ等の考えを示すことにいたしております。  さらに、市場が郵貯資金運用内容を十分に理解できるように、郵貯資金運用実績につきましてはディスクロージャーを徹底いたしまして、多くの皆さんに公開原則にしていきたい、このようにも思っております。  資金の具体的な運用自体は市場の動向に対応してまいりますが、このような法律上、運用上の仕組みや方策によりまして、価格形成等市場への影響に十分配意して運用してまいることとしておるような次第でございます。
  240. 三重野栄子

    三重野栄子君 最後に、全額自主運用、そして二十一世紀における郵貯・簡保事業のあり方に対しては大変期待もしておりますし、非常に希望も持っています。  先ほどこども郵便局の話もありましたけれども、私の娘も小学生のときに郵便局貯金をした経験がございます。十二分まで時間がございますから、最後の質問でございますので、郵政大臣の将来展望を十分聞かせていただきたいと思います。
  241. 八代英太

    国務大臣(八代英太君) 有益な御質問をありがとうございます。  今後、郵貯の資金が全額自主運用となりますと、商品提供から資金運用まで、まさに入り口から出口まで郵便貯金事業として一貫した経営を行うわけでございますので、市場の動向や利用者のニーズに対応しましてサービスを提供できるようになるわけでございますが、一方、それだけ事業としての責任が重くなるということがございますので、我々も自覚して取り組んでいきたい、このように思っております。  郵貯、簡保の今後のあり方についてでございますが、現在、我が国で進められております金融ビッグバンは金融市場を活性化させるということでもございますから、郵貯、簡保も民間金融機関に劣らぬサービスを提供していくことが当然求められるというふうに思っております。  他方、欧米に見られるような金融サービスの地域間格差や顧客間格差を生む懸念が指摘されております。例えば、銀行がどんどんクローズしちゃって、郵便局が山の中、離島というところにないアメリカなんかの現状を見ますと、自分たちの預金を預ける場所がないというような格差もございますので、これからやっぱり二万四千七百の国民共有の財産としての郵便局というのは大切な金融の窓口機関だという思いを持っております。  そういう意味でも、私たちは、このような金融ビッグバンの進展に対応して、小口個人の利益の確保を目的といたしまして、簡易で確実な貯蓄や生命保険のサービス等を全国あまねく公平に提供しながら、郵貯、簡保の役割は引き続き重要でございますので、しっかり育てながらこれからの二十一世紀を迎えていきたい、このように思っております。  いずれの形態になりましても、国営事業としての郵貯でございますし、国営事業としての簡保でございますから、その役割をしっかり果たすべく我々は全力を挙げて取り組む覚悟でございます。
  242. 三重野栄子

    三重野栄子君 ありがとうございました。  終わります。
  243. 平田健二

    委員長平田健二君) 両案に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時十一分散会