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2000-03-15 第147回国会 参議院 財政・金融委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年三月十五日(水曜日)    午前十時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         平田 健二君     理 事                 中島 眞人君                 平田 耕一君                 寺崎 昭久君                 海野 義孝君                 池田 幹幸君     委 員                 岩井 國臣君                 片山虎之助君                 河本 英典君                 世耕 弘成君                 中島 啓雄君                 林  芳正君                 日出 英輔君                 伊藤 基隆君                 久保  亘君                 櫻井  充君                 浜田卓二郎君                 笠井  亮君                 三重野栄子君                 星野 朋市君                 椎名 素夫君    国務大臣        大蔵大臣     宮澤 喜一君        国務大臣        (金融再生委員        会委員長)    谷垣 禎一君    政務次官        大蔵政務次官   林  芳正君        郵政政務次官   前田  正君        金融再生政務次        官        村井  仁君        経済企画政務次        官        小池百合子君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田 成宣君    政府参考人        警察庁長官官房        審議官      岡田  薫君        金融再生委員会        事務局長     森  昭治君        金融監督庁検査        部長       五味 廣文君        国土庁地方振興        局長       芳山 達郎君        大蔵省理財局長  中川 雅治君        大蔵省金融企画        局長       福田  誠君    参考人        国民生活金融公        庫総裁      尾崎  護君        日本政策投資銀        行総裁      小粥 正巳君        国際協力銀行副        総裁       篠沢 恭助君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○平成十二年度一般会計予算内閣提出衆議院  送付)、平成十二年度特別会計予算内閣提出  、衆議院送付)、平成十二年度政府関係機関予  算(内閣提出衆議院送付)について  (総理府所管金融再生委員会金融監督庁、  金融庁)、大蔵省所管郵政省所管郵便貯金  特別会計簡易生命保険特別会計)、内閣府所  管(金融庁)、総務省所管郵便貯金特別会計  、簡易生命保険特別会計)、財務省所管国民  生活金融公庫日本政策投資銀行及び国際協力  銀行)     ─────────────
  2. 平田健二

    委員長平田健二君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。  昨三月十四日、予算委員会から、本日一日間、平成十二年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総理府所管のうち金融再生委員会金融監督庁及び金融庁大蔵省所管郵政省所管のうち郵便貯金特別会計及び簡易生命保険特別会計内閣府所管のうち金融庁総務省所管のうち郵便貯金特別会計及び簡易生命保険特別会計財務省所管国民生活金融公庫日本政策投資銀行並びに国際協力銀行について審査委嘱がありました。  この際、本件を議題といたします。     ─────────────
  3. 平田健二

    委員長平田健二君) この際、政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  委嘱審査のため、本日の委員会警察庁長官官房審議官岡田薫君、金融再生委員会事務局長森昭治君、金融監督庁検査部長五味廣文君、国土庁地方振興局長芳達郎君、大蔵省理財局長中川雅治君及び大蔵省金融企画局長福田誠君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 平田健二

    委員長平田健二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 平田健二

    委員長平田健二君) この際、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  委嘱審査のため、本日の委員会参考人として国民生活金融公庫総裁尾崎護君、日本政策投資銀行総裁小粥正巳君及び国際協力銀行総裁篠沢恭助君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 平田健二

    委員長平田健二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 平田健二

    委員長平田健二君) それでは、委嘱されました予算について順次政府から説明を聴取いたします。宮澤大蔵大臣
  8. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 平成十二年度一般会計歳入予算並びに大蔵省所管及び財務省所管一般会計歳出予算、各特別会計歳入歳出予算及び各政府関係機関収入支出予算について御説明申し上げます。  まず、一般会計歳入予算額は八十四兆九千八百七十億五千三百万円となっております。  このうち主な事項について申し上げますと、租税及び印紙収入は四十八兆六千五百九十億円、雑収入は三兆三千四百八十億一千六百万円、公債金は三十二兆六千百億円となっております。  次に、大蔵省所管及び財務省所管一般会計歳出予算について申し上げます。  大蔵省所管歳出予算額は二十兆五百二十五億五千九百万円、財務省所管歳出予算額は四兆三千三百八十七億五千五百万円、大蔵省所管及び財務省所管一般会計歳出予算の総額は二十四兆三千九百十三億一千四百万円となっております。  このうち主な事項について申し上げますと、産業投資特別会計へ繰り入れは一千五百九十五億三千三百万円、国債費は二十一兆九千六百五十三億四千百万円、政府出資は三千二百四十四億二千万円、公共事業等予備費は五千億円、予備費は三千五百億円となっております。  次に、大蔵省所管及び財務省所管の各特別会計歳入歳出予算について申し上げます。  造幣局特別会計におきましては、歳入歳出とも三百三十四億七千百万円となっております。  このほか、印刷局等の各特別会計歳入歳出予算につきましては予算書等をごらんいただきたいと存じます。  最後に、大蔵省及び財務省関係の各政府関係機関収入支出予算について申し上げます。  国民生活金融公庫におきましては、収入三千四百五十四億五千六百万円、支出三千五百七億七千五百万円、差し引き五十三億一千九百万円の支出超過となっております。  このほか、日本政策投資銀行等の各政府関係機関収入支出予算につきましては予算書等をごらんいただきたいと存じます。  以上、大蔵省及び財務省関係予算につきまして、その概要を御説明申し上げた次第でございます。  なお、時間の関係もございまして、既に配付しております印刷物をもちまして詳細な説明にかえさせていただきたいと存じますので、記録にとどめてくださるようお願いいたします。  よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  9. 平田健二

  10. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 平成十二年度における総理府所管金融再生委員会金融監督庁及び金融庁並びに内閣府所管金融庁歳出予算要求額について、その概要を御説明いたします。  平成十二年度一般会計予算につきましては、中央省庁等改革に伴う新体制移行を反映させたものとなっており、金融再生委員会平成十二年度における歳出予算要求額は十億二千八百万円となっております。これは金融再生委員会に必要な経費として計上いたしております。  次に、金融監督庁平成十二年度における歳出予算要求額は三十億八千四百万円となっております。  このうち主な事項について申し上げますと、金融監督庁一般行政に必要な経費としまして二十二億一千五百万円、金融機関等監督等に必要な経費としまして七億一千五百万円、証券取引等監視委員会に必要な経費としまして一億二千四百万円を計上いたしております。  次に、金融監督庁改組後の金融庁平成十二年度における歳出予算要求額は四十七億九千九百万円となっております。  このうち主な事項について申し上げますと、金融庁一般行政に必要な経費としまして三十八億二千百万円、金融機関等監督等に必要な経費としまして四億一千八百万円、証券取引等監視委員会に必要な経費としまして二億三百万円を計上いたしております。  また、中央省庁等改革に伴う新体制移行後につきましては、内閣府所管金融庁予算として所要の歳出予算要求額を計上いたしております。  以上をもちまして平成十二年度総理府所管金融再生委員会金融監督庁及び金融庁並びに内閣府所管金融庁歳出予算要求額概要説明を終わります。  よろしく御審議くださいますようお願いいたします。
  11. 平田健二

  12. 前田正

    政務次官前田正君) 平成十二年度郵政省所管特別会計歳入歳出予算案につきまして御説明申し上げます。  まず、郵政事業特別会計におきましては、歳入歳出予定額はともに七兆五千七百二十億円となっております。  なお、収入印紙等印紙の販売に係る業務外収入支出分を除きますと、歳入歳出予定額はともに五兆八百七十五億円となっております。  次に、郵便貯金特別会計におきましては、一般勘定歳入予定額は十兆四千三百四十二億円、歳出予定額は九兆三千九百五十六億円となっております。  金融自由化対策特別勘定歳入予定額は七兆五千百六十七億円、歳出予定額は七兆五千百十一億円となっております。  簡易生命保険特別会計におきましては、歳入予定額は十九兆五千八百七十八億円、歳出予定額は十五兆八千四百五十四億円となっております。  平成十二年度におきましては、国民皆様利便性向上を図るため、郵便局サービス充実を図る施策を中心に実施してまいりますが、このうち為替貯金事業及び簡易生命保険事業に関する主な事項について御説明申し上げます。  まず、少子高齢化が進展する中で、新たな年金制度として導入される確定拠出年金制度において、郵便局運営管理機関となるとともに、年金資産運用対象として郵便貯金及び簡易保険を提供してまいります。また、インターネット上で口座間の送金サービス等を行う郵貯インターネットホームサービス実証実験充実するとともに、インターネットを利用した簡易保険各種案内書電子メール送信契約内容等に関する照会対応サービスを実施してまいります。  次に、無保険車両対策に資するため、郵便局において原動機付自転車等自賠責保険民間損害保険会社から受託して取り扱います。  また、郵政局庁舎及び簡保加入者福祉施設等バリアフリー化の一層の充実にも取り組んでまいります。  さらに、預金者及び加入者利益や健全な経営を確保するため、平成十三年四月からの郵便貯金資金全額自主運用等に向け制度体制の整備を図るとともに、確実有利な方法により公共利益に資する運用に努めてまいります。  以上をもちまして平成十二年度郵政省所管特別会計歳入歳出予算案についての説明を終わらせていただきます。  御審議のほどよろしくお願い申し上げます。
  13. 平田健二

    委員長平田健二君) 以上で説明の聴取は終わりました。  なお、大蔵省所管予算説明については、お手元に配付しております詳細な説明書を本日の会議録の末尾に掲載することといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 平田健二

    委員長平田健二君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  15. 世耕弘成

    ○世耕弘成君 自由民主党世耕弘成でございます。  十三日にGDPの状況発表になりまして、かなり新聞でも取り上げられておりました。全体としてマイナス一・四。マイナスになるぞなるぞという話は前々からいろいろ聞こえてきておりましたので余り驚くこともなかったんですけれども、その中身を見ていきますと、ちょっと幾つか驚くことがあったような気がしております。その一つは、きのう大蔵大臣もおっしゃいましたけれども、民間設備投資が意外と早目にプラスに転じたなんということもあるのかなというふうに思っております。  しかし、私がその内容を見て一番びっくりしたのは、住宅着工戸数減少を示した、大きく減少をしているということでございました。それがこの一四半期に限っておればいいんですけれども、さらにその先行指標となるような住宅金融公庫への申込件数も一年前の同期に比べますと半減をしている。ということは、すなわちこの間発表になった内容も悪いですし、あるいは今後春以降も回復が期待できないという厳しい状況にあるのかなというふうに思っております。  しかし、景気対策上、住宅ローン減税というのを今まで行ってきておりまして、これは非常に効果があるという判断で、実は政府の今の租税特別措置法案の中でも、二〇〇一年まで今続けている住宅ローン減税を継続する、延長するということが今回案に盛り込まれておりまして、この租税特別措置改正法案の中でも一番の目玉として第一番に出てきている。しかも、私自身も、年末、自由民主党の中で税制議論をする中では、この住宅ローン減税の継続ということは景気対策効果があるんじゃないかということで強く延長を主張した一人でもあります。  しかし、きのうの数字を見てかなりびっくりしておりまして、もはやこの住宅ローン減税というものが神通力を失ってしまったのかなという心配をしておるわけですけれども、その辺に関して大蔵省としてどういうふうにお考えになっているかをお伺いしたいと思います。
  16. 林芳正

    政務次官林芳正君) 数字もいろいろございますので、私から御答弁させていただきます。  まず、委員が去年からこの問題に鋭意取り組んでおられることに敬意を表したいと思います。そしてまた、QEの中で特にここに注目をされて、確かにマイナス五・八で、寄与度といいますか、マイナス一・四の中にどれぐらいのポーションを占めるかというとマイナス〇・二でございまして、このマイナスの中でのかなりの部分と申し上げてもいいと思うんですが、占めておるということでございます。  そこで、私もいろいろ調べてみました。民間住宅マイナス五・八というのは前期比ということでございますから、十—十二月が七—九と比べてどうなったかと。七—九も同じ税制をやっておったわけでございます。それでは、税制のこれがなかった前年同期比、つまり平成十年の十—十二と比べてどうかという数字がございまして、これはプラスの四・四ということでこの制度をやらなかった前の年と比べてかなりふえておるということでございます。いわゆるカレンダーイヤーで比べますと、平成十一年の暦年では十年の暦年と比べて一・四プラスという数字も出ておるところでございます。  それから、先行指標とも言えるという御指摘でありましたが、この募集の状況でございますけれども、これはその直近の前の第二回、十一年の七月から十月ぐらいまでの数字でございますが、このときが前年と比べましてプラス三〇・七とかなり大きな数字でふえておりましたので、その反動もあったということで少し割り引いて考える必要があるのかな、こういうふうに思っておるところでございます。これは住宅ですから、最終的には民間の方がいろんな税制ですとか金利の動向を見て決めるわけでございまして、一概に言えるわけではないんですが、いろいろ御議論を聞いておりますと、中だるみなのか、もう一巡したのか、いろんな御議論もあるところでございますけれども、これを皆様方の御尽力によりまして半年延ばしていただきましたので、そういう効果も相まって着実に伸びていくものと考えておるところでございます。
  17. 世耕弘成

    ○世耕弘成君 よくわかりました。一概に悲観する必要もないのだなということがよくわかりました。  しかし一方で、住宅ローンに関する税制をどうするかというのはいろんな議論がございます。例えば今の住宅ローン減税というのは基本的に残っているローンの一定の比率を税額から控除するという形をとっているわけですけれども、それではどうしてもある期間からある期間に入居した人という期間限定になってしまいます。  普通、人が家を買うのは、今税金が安いから買おうという動機よりも、やはり自分の人生の中で、子供も大きくなってきたし自分もそれなりに貯蓄もできてきた、頭金の用意もできるのでそろそろ買おうかなという形でやっていくわけですから、例えば住宅ローンを払っている人に対してローン金利を控除した方がその分が消費に回って景気対策として効果があるんじゃないかという議論もあるわけです。アメリカでは実際にそういう形で住宅ローン減税が行われているわけですけれども、その辺についてはどういう見解をお持ちでしょうか。
  18. 林芳正

    政務次官林芳正君) これももうずっと長い間いろんな御議論があったところでございまして、議員もよく御承知の上での御質問と思うわけでございますが、一般利子所得控除する、この場合は住宅ローン利子所得控除でございますが、確かにいろんな効果もあるということでございましょうけれども、一方で、いわゆる利払い費でございますから、ほかの利払い費と同様、生計費支出所得税課税対象から外すということ自体がかなり所得税の体系の中でいろんな問題がある。  それから、中堅所得者層で持ち家を持っておられる方はローン利子ということで出てくるわけですが、借りておられる方は家賃という形で出ていく、ではそこをどうするのかというようなバランスがあるということでございます。  それから、諸外国、特にアメリカお話がございましたが、アメリカも一度全部そういう利子控除というところをやったわけでございますが、やはりそれはちょっとなじみにくいということで、住宅だけはまだ残っておりますけれども、ほかのものの利子についてはもう全部外していった。それから、ドイツやフランスにおきましても、一度導入したものを廃止しておるというのが国際的な流れではないかなというふうに我々は承知しておりまして、そういう中で今最大限この税額控除ということで効果を図るようにしておるというのが現状でございます。
  19. 世耕弘成

    ○世耕弘成君 わかりました。では、今の形での住宅減税効果景気にいい影響を与えることを引き続き期待してまいりたいと思っております。  次に、今度の平成十二年度予算、これは総理や宮澤大蔵大臣も繰り返し主張されているように、あくまでも景気優先景気回復が最優先であって、そのためにできることをできる限り盛り込んだ予算である、二兎は追わないで景気回復の一兎を追う、この姿勢には私も大賛成でありまして、やはり今年度の予算景気回復優先していくべきである、そのように考えております。  しかし一方で、おとついのQEでそろそろ景気回復軌道が見え出してきているという状況の中で、今年度はいいんですけれども、来年度以降、景気がこのまま回復軌道に乗っていったとして、そろそろどういう形で財政を立て直していくかということも、ラフなものでも構わないので青写真を示していく必要もあるのではないか。  日本の国と地方を合わせた借金が六百四十兆を超えているというような話が海外でも随分不安がられている面もありますので、私は九州・沖縄サミットなんかでも問題になってくるんじゃないかなと懸念もしております。ですから、そろそろ青写真を示していってもいい時期に来ているのではないかというふうに思っています。  その青写真考えるときに、やはり外国の例というのも念頭に置いておかなきゃいけないと思っています。現に欧米では、一時期かなり財政赤字が大きくなって、しかしそれを回復した事例というのが幾つかございます。例えばアメリカの場合は、法律をきっちりつくって、そこで数値目標期間目標を設定して、そこへ目指して財政を改善していくというやり方をとりました。フランスは増税という形で財政を改善するという形をとりました。そしてまた、イギリスの例をとりますと、イギリス民営化ですとかPFIという手法を導入して、民間活力を使いながら小さな政府を実現していったという形で財政再建を行っていったわけであります。  では、日本景気回復軌道に乗った後どういうふうにしていくべきなのか。一たんは財政構造改革法というものを制定したわけですから、ある程度米国型に近いような形で財政再建をやっていくという意向を一時期示したわけですけれども、実際に今後景気回復軌道に乗ってきたときにどういう形でやっていくべきだとお考えになるか。ここは大臣の御見解を、平成十三年度以降の財政構造改革法の扱いも含めてお伺いをしてみたいと思います。
  20. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ただいま御指摘の問題は、むしろこれから当委員会あるいは国会全体、世論の動き等々を注意深く拝見しながら政府考えなければならない問題だと思います。基本的に、プラザ合意以降、きのうも椎名委員とそういうお話がございましたが、ブームがありバストになりまして今日まで苦しんでまいりました。ようやく不況を脱出しそうな気配もあります。しかし、非常な大きな財政負担になりました。同時に、こういうプロセスを経て我々は二十一世紀における日本の地位、日本経済社会というものをもう一遍二十一世紀にふさわしいものに築こうとしている、私はそういうふうに思っております。  したがいまして、財政改革というものは極めて焦眉の問題でありますけれども、それだけで問題を解決するということは問題の性質上できないのではないか。できないと言うと語弊がございますが、財政を追っていきますと、それはもちろん税制もあり、中央地方の問題もあり、社会保障の水準の問題もあり、恐らく二十一世紀における日本経済社会というものが前の世紀から非常に変わったものになっていく、そのときに一番シリアスな問題として財政があるということであろうと思いますので、手法としては、やはり二十一世紀最初の十年なら十年の日本経済社会のあり方というものをマクロモデルでつくってみて、そのマクロモデルが整合するような役割財政に求める、どうも私はそういうことにならざるを得ないのではないかと思っております。  今、マクロモデル作業は、我が国がプラザ合意以降、経済偏重になりましたので実際上は役に立っておりませんが、このたびは二十一世紀の仮に五年ですか十年ですか、そういう大きな作業をやってみて、その中で財政財政役割あるいは社会政策社会政策役割、そういうものを求める、これは必ずしもそうすれば正解が得られるということでは御承知のようにないわけですけれども、しかしこのコンピューターの時代にそのプロセスを経ないで答えを出すということは、恐らくそれでは事は済まないだろうと思っております。  したがいまして、基本的に経済軌道に乗る兆しがはっきりしますと、恐らくそういう作業を、来年から行政機構が大変に変わりますが、その新しい行政機構に与えられた最初の仕事の一つは私はそれではないかという思いがいたしております。もちろん大蔵省大蔵省として自分たちの問題としての財政考えますけれども、そういう大きなフレームワーク考えない限り、国民を納得させるような、あるいは将来に向かって頼れるような計画というのはできにくいのではないか。そういうことをやったらできると必ずしも楽観的に思っているわけではございませんけれども、それは省けない手続だろう、こう考えておるということが一つでございます。  そういうことを展望いたしますと、今さしずめ私どもに課せられた問題意識は、こうやって経済成長がやや明るくなってきた段階で、ことしの秋の問題でございますけれども、従来、大きな補正予算を去年もおととしも秋に組みました。また、そのことを予定しつつ本予算を組んだ嫌いがございますけれども、今度は本予算にいっぱい、出せるものは全部、公債がふえますのはあえて全部計上いたしておりますので、ならばこれでもう従来のような大きな補正を秋にするということはしないで済みたいと思っておりますが、ただ経済がそういうふうに展開しなければそんなことを言っても意味のないことであります。  今の段階でどうも経済がそういうふうに展開し始めるのではないかということに希望が持てるようになりましたので、先ほどお話しの設備投資等々、それならばことしの秋は従来のような大きな補正というものはあるいは組まなくて済むのかもしれない、ということはこれ以上国債をふやさないで済むということでございますが、そこから精神としては財政再建の気持ちで取りかかりたい、多少希望的でございますが、そう考えております。
  21. 世耕弘成

    ○世耕弘成君 そのマクロモデルというものをぜひ国民に早い段階で示していただいて、経済の姿についてある程度コンセンサスをつくりながら前へ進んでいくべきだなということを感じております。  そのマクロモデルとも関連をしてくるんでしょうけれども、結局、国民にとって財政を一番肌に感じるというのは税になってまいります。財政再建の基本というのは、単純に言えば出る方は抑えながら入る方をどうやってふやしていくかということに尽きると思うんですけれども、どうやって税収をふやしていくか、そのふやしていき方についてどうやって国民のコンセンサスを得るか、あるいは単純な増税ではなくて、民間の活力をうまく元気にしながら、国民の働く気、やる気を引き出しながら、結果として税収がふえるという形に導いていくのが理想なのかなというふうに思っております。  そこで、ひとつ議論をしたいのがアメリカの一九八〇年代のレーガノミックスでございまして、これは基本的にはアメリカ財政を破綻に導いたということで今の評価は悪いわけですけれども、私はその中で非常にレーガン政権が大胆な減税を行ったということは一定の評価をしていいのではないかなというふうに思っているわけです。  アメリカはその後財政赤字に苦しむことにはなりましたけれども、逆に今日のベンチャーが出てきたり非常に経済が元気になっているのはレーガン政権時代の減税がかなり一定の効果を持っているのではないかと思うんですが、このレーガン政権の減税について大蔵大臣としてはどのように評価をされているかということをお伺いしたいと思います。
  22. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) お互い、あの時代は社会人として見てきたわけでございますからいろいろな感想がございますが、レーガンが税率を下げれば税収がふえるということを言いましたときに、それは多分うそだろうと私なんかは思いました。また、実際うそであったわけです。しかし、そういうレーガンの精神の中に、何となく国民を規制から解き放てば国の活力というのは大きくなるんじゃないかという思想があったように思います。  ですから、レーガンの第一期というものは、世耕委員が今おっしゃいますように、財政的には非常な赤字になり失敗であったということなんですが、同時に、いろんな規制解除みたいなものが、前からいきさつはありましたけれども、航空だとか金融だとかというものをやって、何となくアメリカ経済社会が規制から放たれたという効果があそこから生まれたんではないか。財政の方は、レーガンの第二期はほぼ収支とんとんみたいなことに変わりましたけれども、そういう経済解放の精神というものが、これはレーガンの性格もあったと思うんですが、何となくアメリカ社会を動かして、そして財政の方は後でOBRAにつながるわけで、そこでつじつまが合って、それから最近までそれは、結局一番つぶしたのは軍事費でございますが、それでとんとんになりやや黒字が出た、そういう一つの転機をつくったのはレーガンであったと、そう申したらいかがかと思いますが。
  23. 世耕弘成

    ○世耕弘成君 一定の評価はしていただいているということで、私も、日本を今後立て直していくに当たっては、やはり税制面で何らかの、国民が元気が出る、働く気になるような仕組みを考えていく必要があるというのを非常に痛感しております。  きょうはもう時間もありませんのでお答えはいただきませんが、特に今、所得税の累進制の問題ですとか課税最低限の問題、この辺をクリアにして、国民が働けば働いた分だけちゃんと報われるという仕組みを税制の上で、特に景気回復期にはつくっていくことが重要ではないかなというふうに考えているということを申し上げさせていただいて、次の質問に移らせていただきたいと思います。  次は、今回の予算の中の一つの大きな柱は金融システムの安定化ということでございます。ちょっと一つ、その安定化の中で、常に新聞記事なんかでも出るのですけれども、健全な借り手の保護という言葉が出てまいります。これがちゃんと行われているのかどうかというのが私は気になるんです。  特に、健全な借り手ということでいけば、ある金融機関が破綻をします、それが受け皿銀行へ譲渡される、その中で本当に健全な借り手に対する債権というのがきっちり移行しているのかどうか、あるいは状況によっては受け皿側が例えばこんな小口の債権はうちは要りませんからどうぞ整理回収機構へ持っていってくださいという形になっているのか、その辺が法的、制度的にどうなっているかをまず勉強させていただきたいと思います。
  24. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 金融機関が破綻しました場合に、世耕委員が御心配のように、善意で健全な借り手というものがどうきちっと融資を受けられるようにして、そこでおかしなことが起こらないようにしていくかというのは破綻処理の一つのポイントだろうと思うんです。  制度的に申しますと、これは金融機関の態様によって違いますけれども、金融整理管財人を選任して送っていくような場合がございます。それから、信用金庫なんかの場合には第三者から成る業務監査委員会、この中には公認会計士とか弁護士が入る場合が多いわけでございますけれども、そういう業務監査委員会を設ける場合、あるいは信用組合の場合には顧問団を設置することとなっておりまして、こういう管財人や業務監査委員会あるいは顧問団の監督のもとで善意かつ健全な借り手に対する融資を継続していこう、そして救済金融機関への営業譲渡に際してもできる限り借り手の保護に資するようにしていこうと、仕組みの上でそうなっております。  確かに個々の例を見ますと、例えば受け皿となっているところも、できるだけ健全なものだけくれよな、少し傷があるようなものはRCCに持っていってくれと、こういうような、これも受け皿としては時に、やむを得ないと言うのはいけないかもしれませんが、受け皿としてはそういう心理に駆られる場合があろうかと思いますが、制度の上で、そういう仕組みで担保をするようにやっておりまして、実際の処理事例を見ましても、要注意先債権ではあるが返済の見込まれる先であれば救済金融機関が引き継いでいったという例も十分見られるわけでございます。
  25. 世耕弘成

    ○世耕弘成君 制度としてはできているということでございますが、やはり現実には若干の漏れが出ているような気がするわけです。  私の地元の和歌山県というのは実は早い段階で金融機関の破綻を経験しておりまして、そのケースで幾つか私もいろいろ地元の中小零細の事業者の方から御相談を受けるケースがあるんですけれども、実際にローンの返済表を見せていただいて、一回たりとも滞りなくお金は払ってきた、払ってきたんだけれども、結局、何か自分がわからない間にRCC、整理回収機構の方へ行ってしまったんだというようなお話もいただいております。  現実に今度は整理回収機構へ債権が行ってしまうと、これは事業者にとっては大変苦しい状況になるんですね。経営者と銀行のつき合いというのは、基本的には銀行からお金を借りて、それを返していくことによって次の信用を生み出してまたお金を借りられる。例えば一千万借りて一生懸命三百万円分返すと、ああ、この人はちゃんと返してくれる人だなということで銀行が次にまた、では次は五百万円追加で貸してあげますよという形で事業が回っていくのが銀行と事業者のつき合いの基本だと思うんですけれども、整理回収機構へ債権が行ってしまうとその機能は全然働かないで、ただ単に整理回収機構へ返していくだけということになってしまう。  しかも、整理回収機構の金利というのはもう譲渡された段階で固定しちゃいますから、例えば平成二年だとか三年あたりにお金を借りた人というのは、私のところへ今相談に来ているのは、例えば六・八%という金利で、これは美容室を経営していて美容室の改造資金にお金を借りた人で、一切滞りなく返しているんですが、それがRCCへ回っちゃって、そして六・八%という金利を今も払い続けている。きょう総裁がお見えのようですけれども、国民生活金融公庫のこの手の事業者向けの一般貸付金利は今だと大体二%台前半なんですね。そうすると、もしそっちへ借りかえができたりすれば、年間七百万とか八百万の節約になるという形なんです。非常にまじめに返しておられる方だけに、何とかその辺の弾力的な運用といったものができないのかどうかということをちょっと委員長にお伺いしたいんですけれども。
  26. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今、委員がお触れになりました委員の御地元の金融機関が破綻した例を実は私もけさ事務方から聞いておりますと、確かに委員が御指摘のように、全国の例の中でも受け皿が受け継いでいった割合が非常に少ないケースの一つというふうに聞いておりまして、多分、委員もそういう中で苦しんでおられる方の実情をお聞きになっているんだろうと思います。  確かにそういうことは全くないとは言えません。私どもとしても、先ほどのような仕組みのもとでやっておりますけれども、そういう仕組みを生かして、できるだけ地域の実情も反映しながらやれるように、といいましても、余り破綻処理の原則を曲げるわけにいかないことはもちろんでございますけれども、できる限りその実情も酌み取っていくように努力いたしたいと思っております。
  27. 世耕弘成

    ○世耕弘成君 貴重なお言葉、ありがとうございます。特にRCCへ移った後も、もうそこだけではなくて、その中でも善良な人は何とか救ってあげられることをぜひ考えていっていただきたいと思います。  続きまして、今年度予算の中で、もう恒例行事になりつつありますけれども、NTT株、これが一体幾らで売却をされ、どれぐらいの量を売却される予定なのか、ちょっとお伺いしておきたいと思います。
  28. 中川雅治

    政府参考人中川雅治君) 十二年度予算案におきましては、NTT株式の処分限度数を百万株、ネット売却収入を一兆四千百四十一億円と見込んでおります。
  29. 世耕弘成

    ○世耕弘成君 ということは、大体一株あたり百四十数万円での売却を想定されているということでございますけれども、既にきのうの終わり値段階でNTT株は百三十六万円、ここ数週間非常に低迷している状況が続いております。逆に、去年の状況を申し上げますと、NTT株は予算の中では九十万五千円で売却する予定だったわけですけれども、結果としては百五十二万円で売却できておりまして、これは去年の財政でいい話が余りない中で非常にいい状況だったということでございます。  私は別に政府によって株価がコントロールされるべきであるとはとても考えてはおりませんけれども、一方で、今NTT株が低迷している原因というのは幾つかはっきりしているのがございまして、例えばアメリカとの事業者間の相互接続料交渉、これがアメリカの強硬姿勢が報じられるたびにNTTの株は確実に下がっていっております。あるいはまた、一部の政治家の方がおっしゃっている、NTTが持っておりますNTTドコモの株を強制的に放出させろという議論も、NTTドコモの株価というのも当然NTTの一つの資産評価の中に入ってくるわけですけれども、この報道がされたときも必ず下がっております。あるいは、NTT株の構成要因の一つであるドコモ株も報道された瞬間に四百十四万円から三百三十八万円に大幅に下がっているという状況がございます。  その辺、下げる方に政治のコミットが非常に大きいですので、これは答弁はいただきませんけれども、株主であってなおかつ財政を管理されている大蔵大臣としても、政府の行為によって、それが納得のいく内容であればいいですけれども、相互接続料にしてもドコモ株放出にしてもほとんど理屈の通らない問題ですので、そういうことで国にとって非常に大切な財産であるNTTの株の値段が下がらないようにぜひ注視していただきたいということをお願いして、質問を終わらせていただきます。
  30. 櫻井充

    ○櫻井充君 民主党・新緑風会の櫻井充です。  まず最初に、大蔵大臣にお伺いしたいんですが、これは通告なしで大変申しわけないんですけれども、先ほど大蔵大臣説明を聞いておりまして、昨年度の予算のときには、たしか一回から大魔神を投入するようなものなんだというふうにおっしゃったかと思います。そういうふうにおっしゃりながら、昨年は二回補正予算を組まなければいけないような状況でございました。私は、予算作成において、決算でのチェック機能というふうなものが余り生かされずに次の年の予算がつくられてしまうというところが一つ問題なのかなというふうに思っております。  昨年度、大魔神を一回から投入すると言って予算を編成されました。それの反省を受けて、ことしは予算として大体どういうふうなところが昨年度と変わったのかということについて、概略で結構でございますので、教えていただければというふうに思います。
  31. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ことしの予算を編成いたしますときに、それは昨年の夏ごろからのことでございますけれども、多少いろいろ不確かな要因はありましたけれども、私はこの予算をもっていわゆる不況脱出、金融秩序安定についての最後の景気刺激的な、しかもそういう要因の後始末をする予算にしたいと願望しておりました。しかし他方で、その時点では経済のそういう展開が果たして可能かどうかということがわかりませんで、したがってある意味でそこは一種のかなり問題のある想定をあえて立てまして予算編成をした感じがございます。  公共事業なんかにつきましても、予備費五千億円といったように、かなり高いレベルでありました前年度と同額の公共事業を立てております。しかし同時に、金融秩序安定につきましては、これでもう恐らく大丈夫だろうと思える六兆円を、国債整理基金でいざ現金化のときの準備をいたしまして四兆五千億円、それにあとは今お話がございましたNTTでございますけれども、そういうことで、まずこれで準備は十分だろうというようなことをいたしてございます。  したがいまして、その段階では不況脱出、金融秩序の安定というものを何とかこれでおしまいにしたいと思っていたしまして、その後になりまして経済の動きがまあまあ少し明るい方に向いてきたと。一昨日は設備投資もどうやらプラスになりそうだということでございますが、これは幸いにしてそうなってきたということで、多分大丈夫ではないかと思います。  そういうような意味で、少し長くなりましたけれども、不況脱出、金融秩序回復の、いわば国としてはこれで恐らく最後にしていいだろうと思うような予算を組んだということでございます。
  32. 櫻井充

    ○櫻井充君 昨日、公聴会がございまして、経済戦略会議のメンバーの一人の三宅さんが公述人として見えられました。そのときに、景気回復しつつあるだろう、そして約八十五兆円の今回の予算も仕方がないとは思う、ただこのままいくとまた秋には景気が悪くなってしまうんではないだろうかというようなお話もございました。ですから、今聞かせていただいたのは、果たして本当に今回のこの予算案でまた秋に景気が悪くなってしまうようなことがないのかなと、経済戦略会議の方もそういうふうに危惧されておりましたので、その点についてお伺いさせていただきたかったわけでございます。ですから、なるたけ補正予算が組まれないような、そういう予算であることをこちらとしても期待しております。  そしてまた、別な点からいきますと、今度は日本全体で見ると、現在黒字であると思います。ですが、国とか地方自治体の債務残高が現在増加してきているというのは、ある意味でいうと、我々の家庭で考えたときに、家庭での収入はある程度確保されているけれども、家庭の中に一人非常な浪費家がいてどんどん家庭の中を圧迫していくような、そういうイメージがあってならないんです。  とにかく日本国全体として、しかも貿易も黒字である日本の国でありながら国とか地方自治体の債務残高がどんどん増加している、この原因はどういう点にあるとお考えでございましょうか。
  33. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それはいろんな見方ができると思いますけれども、片方で国民の資産が千三百兆あるということでございますね。そして、国も地方団体も大きな債務を負っていますが、その債務は外国に対する債務ではない。外貨の準備あるいは貿易、経常収支はすべてプラスである、順調である。そういう経済は、国民にそれだけの貯蓄があるならばそれだけの債務というものは別段心配することはないではないかと申しますか、ちょっとそれは語弊がありますが、国の経済としてはこなせる性格のものではないかという議論はいつも片側にあるわけです。しかし、その国民の貯蓄を動員するということは、国からいえばそれは税金で動員するかということになれば、それは簡単なことではございません。  それから、むしろ国民がこれだけの、いわば六割ぐらいが金融機関に預けられている、株はほとんどない、国債は三%であるといったような、そういう国民の貯蓄の運営の仕方が変わればこれはうんと変わるはずでございますけれども、それは急に政府が変えようと思っても変えられるわけではございませんから、だんだんそういうことにしていかなければなりません。少なくとも国民の国債投資あるいは証券投資等々はもう少しよくなっていく、銀行預金の分がそれだけ減ってと、そういう形が変わりますと今の問題はかなり変わってくるとは思っております。ですから、ある意味で、日本国民は金を持っているんだけれども金の使い方がわかっていないとよく言われるような状況にあることも事実であります。しかし、それはだんだんに変えていくしか私は方法がないんだろうと。  国が大きな債務を持っていることを私は決して楽観視しておりません。殊に大蔵大臣としますと、国債費が非常に大きくなってまいりましたので、公債金収入より国債費が大きくなってきましたら、それは借金を払うために借金しているような状況でございますから、そんなことが長く続いてはもともといけないわけでございますので、そういうような状況だと思っております。
  34. 櫻井充

    ○櫻井充君 こちらとしてはちょっと原因をということでお伺いしたんですけれども。ある意味でいうと、ここ十年間見てきたときに、支出の点で問題はなかったのかというふうなことがあるかと思います。  きのうの公聴会でもあったんですが、公共事業に関していろいろ御意見がございました。まずお伺いしたいのは、公共事業というのは本来どういう目的で行われるものでございましょうか。
  35. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それは、基本的には国民に必要なインフラストラクチャーを政府地方政府の責任においてつくるということだと思います。
  36. 櫻井充

    ○櫻井充君 それで、皆さんにお配りした資料を見ていただきたいと思います。これはきのうの予算委員会の公述人の方の提出された資料の一部抜粋でございます。  左側にあります図2、図3のところに示されておりますように、図2のところでは三十年間の推移を見ておりますが、対GDP比で日本だけが異様に公共事業に関しての額が高いということを示しておりますし、一九九五年一年だけを取り上げましても、日本と他の先進国を比較したときに日本公共事業費がいかに高いか、しかも一番右端に日本を除く六カ国の計がございますが、それと比較しても日本一国の方が公共事業費が多いというふうなことが示されております。  このように、日本公共事業費が世界の国々と比較してこれだけ高くなっている理由というのは一体どこにあるのでございましょうか。
  37. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 今から二十何年前に初めて各国のいわゆるサミット、今度日本でございますけれども、がフランスで開かれました。私は外務大臣でございましたけれども、そのときは石油ショック後の不況でございます。  それで、当時ドイツの首相はシュミットさんでしたが、私にこの不況を日本はどうやって乗り切るのかということを聞きますから、私は公共事業をやって乗り切ると言いました。ところが、シュミットが私に、それはおまえの国は非常に幸せだ、ドイツはもう公共事業をやるものがないということを言いました。住宅にしても下水にしても、国がそういうことをやって経済を立て直す、そういう公共事業はないんだという話をしたのをいまだに覚えておりますけれども、今おっしゃいましたことは、非常に簡単に言えば、今日なお日本はヨーロッパのこういう国々あるいはアメリカに対して極めて社会資本が乏しい、それが私は基本だと思うんです。  何か公共事業といいますと、一部の方々からそれは土建屋がもうけるためのものであるという、どこかそういう部分があるのかもしれません。それから、今までのやり方にいろいろ落ち度もあるのかもしれない。しかし、毎年見ていて、雨が降っても地震が起こっても、とにかく日本のインフラストラクチャーというのはいまだに極めて貧弱であるということは残念ながら本当でありますので、その限りでは公共事業の比率が高いことは私はやむを得ないのだろう、基本的にはそう思っております。
  38. 櫻井充

    ○櫻井充君 私は公共事業が不要だというふうには決して思っておりません。必要な公共事業はどんどんやっていくべきだというふうには思っています。ただ、そこの中で本当に必要なのかどうかということをチェックする必要があると思います。  今、大臣から、日本はインフラ整備が世界の国と比べてまだ低いというふうなお話がございました。ほかの国のことを例に挙げて申し上げるのは大変失礼かもしれませんが、イタリアと比較して果たして日本というのはインフラ整備がおくれている国なんでございましょうか。この数字を見ても、イタリアの十倍以上日本の方が公共事業費が高いというふうになっておりますが、この点についてどうお考えでございましょうか。
  39. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 十分知識がございませんのでうまくお答えできませんけれども、やっぱり何世紀、石でインフラストラクチャーをつくってきた国と、木と土でつくって地震がある国との基本的な違いではないかと思います。
  40. 櫻井充

    ○櫻井充君 もう一つ、右の上に図4がございますが、世界の国々のGDPに対しての公共事業費を見たときにも、もともと日本は高かった上に、さらに八五年、九〇年、九五年とどんどん公共事業費がふえてきております。世界の国々は変わらないかむしろ減っていくというような状況で、その世界の国々でもすべてがインフラがきちんと整備されているかというと、決してそうではないと思うんですね。私は旅行に行った程度しか外国に行った経験はございませんから一概に言えないのかもしれませんが、こういうふうに日本だけがさらに公共事業費が突出してくるような、そういうふうな予算のあり方という点について再度お伺いしたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  41. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 私も詳細に西欧の国々と比べるだけの知識を持っておりませんけれども、仮に下水道の普及率一つとりましても、これだけがすべてじゃないとは思いますけれども、そこに象徴されている日本のインフラストラクチャーの貧弱さというのはあえて申し上げるまでもないのではないかと思っております。  今度、政府も長年のいろいろな御批判にこたえまして、昨年の秋から四本の、つまり基本的なインフラ、少子高齢化、それから環境問題、情報通信という四本に公共事業を重点化しまして、それがただいま御審議いただいている予算で、九兆何千億の二割何分ございます。そういうこと、あるいはだめな工事は途中でもうやめろといったようなこと、いろいろ反省をしつつやっております。  しかし、それでも地方から、都会もそうですが、来る公共事業への要望というのは後を絶たないのみならず、我々国会議員は実際地方のそういう要望というのを中央に取り次ぐことにいまだに寧日なきありさまでありますから、決して日本のインフラはこれで十分だという状況になっていないということはどうも否定できないと思います。
  42. 櫻井充

    ○櫻井充君 では、もう一点お伺いしますが、先ほど公共事業というものはインフラ整備のためにまず基本的に行われるべきだというふうにお話がございました。むしろ今は景気対策のために公共事業がというような言葉が先行しておりますけれども、これはその目的から考えるとちょっとおかしいんじゃないかというふうに思いますが、その点に関してはいかがでございましょうか。
  43. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 実際に各地に不完全なインフラストラクチャーがたくさんあるという我が国の現状、それからもう一つ申せば、この不況というのは当然地方にも及んでおりまして、それは一番端的には、まあそこまで申すこともありませんが、地方の零細な公共事業に関連する人たち、そこがすぐ失業になるということがまたございますから、実際そういう人たちに、必要のない仕事をしてもらう、穴を掘ってまた穴を埋めるというようなことを申しているんじゃありませんで、必要なインフラストラクチャーをしてもらうことが景気対策としても一番有効だということは私は現実だと思います。だからといってむだをしてはいけないということはわかっておりますけれども、これが景気回復のための大きな柱になるということは別に否定をする必要はない、私はそうだというふうに思っております。
  44. 櫻井充

    ○櫻井充君 確かに雇用の確保という点でいえば公共事業が必要であるということもわからないわけではございません。つまり、公共事業が全くなくなった場合には、それに従事されていた方が失業されてしまう。その方々に失業保険を払うよりは公共事業を行ってインフラを整備した方がいいという理論も、これは間違いなく成り立つことは重々承知しております。  ただ、このプリントの右の下のところ、図7にございますけれども、公共事業の雇用効果という点で見てきたときに、総工事費百万円当たりの労働者数という、この破線について見ていただければわかりますが、雇用効果という点でもどんどん低下しているというか、だんだん効果がなくなってきているというふうなデータもございます。  ですから、こういうような形ではなくて、むしろ介護なりのああいう別な産業の方が雇用効果があるというふうに言われているデータもございますので、このデータを踏まえた上で、やはり公共事業費というものがこのままあり続けなければいけないのかどうか、その点についてお伺いしたいと思います。
  45. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 私はおっしゃることはかなり真実だと思っています。公共事業の及ぼします雇用増進効果、それからいわば投資乗数効果ともに、これは当たり前かもしれませんが、年とともに減ってきております。  それから、中央政府が何とかやろうとしましても、地方財政が非常に苦しゅうございますから、自分のところに問題はあるんだけれども単独事業というものはなるべく避けたいという一般的な態度、それもここのところ非常に顕著でございますから、公共事業を積んだら景気回復するという図式はかつてほど力がありませんし、またそれなりに別の工夫をしなきゃならないという問題が出てきておりますことは事実でございます。
  46. 櫻井充

    ○櫻井充君 そうなったときに、では予算は一体どうなのかというと、結局、昨年度と比率は変わらない、予算の中で占める割合は変わらない。ですから、大臣がおっしゃっていることと今年度の予算と若干違っているような気もいたしますが、いかがでございましょうか。
  47. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 今御審議いただいている予算はまさに昨年と同額を計上しておりますので、恐らくある意味では投資乗数効果あるいは雇用効果は幾らか悪くなってくるかもしれないと思いますけれども、それにかわるいい方法があるかといいますと、なかなかすぐには発見できないというのが実情かと思います。
  48. 櫻井充

    ○櫻井充君 そうしますと、ある意味では、仕方がないからという言葉が適切かどうかわかりませんが、ほかにいい方法が見つからないのでこういう公共事業を景気対策一つとしてやらざるを得ない状況だというふうに判断してよろしいのでございましょうか。
  49. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) そこは冒頭から申し上げておりますように、我が国のインフラストラクチャーをまだまだ充実しなければならないという問題は厳然としてございますから、そのための公共事業という意味合いは失われておるわけではございません。
  50. 櫻井充

    ○櫻井充君 それでは、ほかにもっといい方法があったらというようなことが大臣からございましたけれども、今のアメリカ景気を支えてきているのは情報通信関連の産業がかなり発達してきているからだろうと思いますが、それではなぜアメリカの情報通信産業というのはこれだけ発達してきたのでございましょうか。
  51. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それはとても私にお答えできる能力がありませんけれども、しかしマクロで見まして、一九八五年あたりのアメリカの不況、それから立ち上がる段階でシリコンバレーあたりが動き始めたわけですけれども、そういうことから今のインフォメーションテクノロジーというものがここまで来た。それには、ベンチャーキャピタルの精神であるとか、失敗を一遍してももう一遍出てくることを社会が別に嫌がらない、恥ずかしがらないでトライしてくる精神とか、いろんなものがあったのだろうと思います。  いずれにしても、これはしかし民間の力でございますから、我々の社会もそうあってほしい。そのために、政府としても、例えばオプティカルファイバーのための共同溝をつくるとか、いろんな手助けはいたしますし、財政でも税制でも、そういうベンチャーキャピタルなり新しいインフォメーションテクノロジーを助けるようなことは一生懸命いたしておるつもりでございます。しかし、これは基本的には民間のそういうイニシアチブによるものだ、それをどうやって政府が助けるかということだと思っております。
  52. 櫻井充

    ○櫻井充君 今、シリコンバレーの話が出まして、そしてベンチャーの話が出ましたが、アメリカの場合と日本のベンチャーの大きな違いというのは、アメリカの場合にはお金を借りる際に担保をとられないし、そして連帯保証人をとられない。つまり、担保をとられないというのは、自分の資産は資産で分けて、仕事の部分は仕事の部分で分けていますから。日本はそうではなくて、何か企業を起こすときには資産まで全部担保にかけられて、そして奥さんまで連帯保証人にとられて、失敗すると身ぐるみはがされる、そういうような状況にあるから立ち直れなくなってしまうわけです。ですから大きな冒険ができないというふうな問題点があると私は思いますが、その点に関してはいかがでございましょうか。
  53. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 少なくとも土地や家を担保にとっておけば間違いないというような考え方は、質屋が時計をとって金を貸すのと幾らも変わりませんから、そういう金融機関の物の考え方というのはここで非常に大きな反省を求められ、またそれが変わりつつあるのだと思います。
  54. 櫻井充

    ○櫻井充君 いや、変わりつつあるとおっしゃいますが、本当に変わってきているんでしょうか。私の知り合いの方にお伺いしても、先ほど世耕先生の方からも話がありましたが、業績がよかろうが何しようが全然関係なしですし、それから事業を起こしたいといったときに、まだ担保を求められるというような現実は今のところ全然変わっていないように思います。  民間企業だとはいいながらも、公共性という点で行政側から公的資金を注入しているわけですから、その辺のことに関してある程度行政指導なりなんなりなさるという意思はおありでございましょうか。
  55. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 私の言葉が不用意でしたが、変わりつつある、変わることを期待していると申し上げるべきであったと思います。  こういうふうに金融の再編成がありまして、これから起こることは非常な各金融機関間の競争である、そこまでは間違いないと思います。今は何といっても資本の方が少ないものですから銀行は威張っていますけれども、競争になって、今のような精神でない銀行は競争におくれるといったような状況が出てくるんだろうと私は思います。  金融監督庁でもいろいろ中小企業に対する金融とかいうようなことはかなり立ち入ってガイダンスを与えておられるように思いますが、それと並んで、全体の競争の中からそういうものが、きょう、あすと申し上げたのはちょっと言葉が不適当でしたが、そういう傾向にあることは間違いないと思います。
  56. 櫻井充

    ○櫻井充君 競争していくということは本当に大事なことだと思います。しかし、競争するためには、今度は借りる側の方が銀行の情報というのをかなり持たなければ、競争させるというのは変な言い方ですが、借りる方が今度は銀行を選べるというようなことがなかなかできないんじゃないかというふうに思っています。  そういう意味で、ある意味では銀行の情報公開というふうなものをもう少し強く打ち出させる。そして、今個々別の銀行はやっているんですけれども、極端に言えば格付までできるかどうかわかりませんが、そういう形で、例えばここの銀行は中小企業にどれだけ貸し出ししていますよというランキングをつけるとか、地域にどれだけ貸し出ししていますよという意味でのランキングをつけていくとか、そういう格好にしてくると初めて競争原理というのは生まれてくるんじゃないかなというふうに思っています。  今、私たち民主党の中でそのような銀行の情報公開法をつくっておりますが、そういうものに関して御意見がございましたら教えていただきたいと思います。
  57. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 後段のことはちょうど金融監督を見ていらっしゃいます村井総括政務次官がいらっしゃいますのでぜひお答え願いたいんですが、前の方でもう一つ言い忘れましたのは、エクイティーの問題だと思います。エクイティーというものが大分若い企業家の意識に上ってきまして、それは銀行ではない道でございますが、それが銀行に対する刺激にもなってくるかと。後の問題は村井政務次官にお願いします。
  58. 村井仁

    政務次官(村井仁君) ただいま櫻井先生から御指摘のありました点でございますけれども、私ども金融監督庁におきましても、できるだけ適切なリスクテークを金融機関がするようにということは慫慂しているところでございます。  現実に地域の中小企業を相手にいたします第二地銀なんかが典型的な例でございますけれども、少し金利は高目にちょうだいしながら、余り担保に依存しない貸し付けを中小企業向け貸し付けとして特段に一つのセールスポイントにしているというような傾向もこのごろ出てきておりまして、これは私はただいま櫻井先生が御指摘のような流れからしますと大変歓迎すべき方向ではないかと。私どもとしましても適切なリスクテークをするようにということを慫慂しております。  ただし、非常にリスクの多い部分というのは、ただいま大蔵大臣からお答えがございましたように、本来エクイティーの世界の話だろうと。そういう意味では、おのずからいわゆる間接金融の世界では限度のある話ではないか、こんなふうに思っております。
  59. 櫻井充

    ○櫻井充君 本当に今のことがどんどん広がっていってくれればいいなというふうに思っています。というのは、中小企業の方々とお話をすると、金を貸してくれということではなくて、自分たちが資金調達できるようなシステムを構築してほしいということなんです。  だから、だれにでもかれにでもお金を貸してくださいと言っているわけではなくて、自分たちの業績なり、それから自分たちが何をやろうとしているのかとか、そういうふうなことを含めた上で判断してお金を貸していただきたいと。そしてまた、自分たち銀行を選べるような、どこか決まった取引先の銀行ではなくて、メーンバンク制ではなくて、もっともっと違う銀行があって自分たちがそこから選べるような、そういうふうな、この間予算委員会でもお話ししましたが、要するに貸し手と借り手の立場が、余りに貸し手の立場の方が強過ぎますから、その立場がある程度対等になるような関係をつくっていっていただければなというふうに思います。  それでは次に、別なことについて質問させていただきますが、現在、景気の悪化もあるんだと思いますけれども、多重債務者が増加してきております。この現状について教えていただければと思います。
  60. 村井仁

    政務次官(村井仁君) 今の御質問にお答えする前に、もう一言だけつけ加えさせていただきたいと思います。  先ほどのリスクテークの問題でございますけれども、例えば信用金庫あたりに大変典型的に出ているわけでございますが、借り手の事情というものを非常によく理解している金融機関が大変積極的な姿勢をとって貸し付けに当たっているというような例も、これもまたケース・バイ・ケースでございますけれども、見えるということも一言申し上げておきたいと存じます。  その上で、ただいま櫻井先生も御指摘の多重債務者の増加でございますけれども、現在の状況だけちょっと申し上げさせていただきますと、私ども金融監督庁は、いわゆる借り手、消費者と言ってよろしいんでございましょうか、それを直接に担当する立場じゃございませんで、貸し手の側から借り手を見ているという間接的な立場でございます。  現在の多重債務問題についての状況でございますけれども、個人の自己破産の申し立て件数、これは新受件数、新しく申し立てた件数で最高裁判所がとった数字でございますが、これをずっと見てみますと、平成三、四年以後ちょっとふえたのでございますが、平成六年ごろに減っておりまして、それからまたふえてまいりまして、平成十一年におきましては十二万二千件余りというところまで来ている、こんなふうに承知をしております。
  61. 櫻井充

    ○櫻井充君 多重債務者の方がふえているその原因はどこにあるというふうにお考えでございましょうか。
  62. 村井仁

    政務次官(村井仁君) 国民生活センターが平成十年十月に調査した結果を発表した例がございます。これを見ますと、平成十年の相談内容は、その以前に比べまして債務者の年齢が上がっていること、無職の者がふえていること、それから男性の割合が増加している。それから、借金の主な理由というのが、以前には例えばぜいたく品を買ったとか、いろんなことがあるのでございますが、今回は生活費に使ったと、こんなようなことが言われておりまして、結局のところ景気低迷が長引いた影響がここに反映しているのではないか、そんなような感じがいたしております。
  63. 櫻井充

    ○櫻井充君 要するに、景気の悪化と雇用の問題なんだというふうに思います。年齢が上がってきているというのは、無職の方が多いというふうにおっしゃいましたが、リストラで首を切られた方とか、そういう方々がこういう状況に陥っているのかなというふうに思います。  そんな中で、昨年出ました産業活力再生法などを見ますと、合併すると税金を優遇しますとか、それから今など、いまだにリストラすると株価が上昇する等、首を切ると税金を安くしますよ、それから首を切ると株が上がりますよという状況が続くのでは、まだまだこういう人たちがふえていくのではないかというふうに思いますが、こういう方々をどういう形で守ろうというふうにお考えでございましょうか。
  64. 村井仁

    政務次官(村井仁君) 金融監督庁という金融という行為をチェックいたします立場からはおのずから限度のあるところでございますけれども、私どもとしましては、まず第一は、多重債務者問題といいますか多重債務問題というのは、当事者御自身の問題であるとともに、消費者信用の健全な発展という観点からも非常に問題だと思っておりますので注意深く見ておりますけれども、まず借り手である利用者の側で消費者信用の節度ある合理的な利用がなされる、これが非常に大事でございまして、そういう意味で政府広報などで啓発に努める、これは一生懸命やっているところでございます。  それはそれといたしまして、貸し手の側で余りむちゃな貸し付けを行っちゃいかぬということは大切な点でございまして、顧客審査に当たりまして過剰な貸し付けが行われないように適切な対応をさせるという意味で、貸金業規制法におきまして貸金業者に過剰貸し付けを禁止している。これは法十三条でございます。  それを踏まえまして、私どもの事務ガイドラインにおいて、簡易な審査のみにより無担保無保証で貸し付ける場合にはその資金需要者に対する貸付金額につきまして五十万円または年収額の一〇%に相当する金額をめどにして貸しなさい、こういうガイドラインを示しておりまして、これに基づきまして私どもとしまして貸金業者に対しまして適切な顧客審査の徹底を指導している、こういう立場でございます。  今のは一件一件の話でございますが、多重債務を防止するという観点からはプライバシーの保護が一方で非常に重要な問題でございますから、これに配慮しながら信用情報機関を活用するように指導しておりまして、信用情報機関におきましても、延滞等の事故情報、これはいわゆるブラック情報でございますけれども、これの交流が行われ、過剰貸し付けの防止にある程度成果を上げている、このように見ておるところでございます。  さらには、消費者信用にかかわる業界において、多重債務問題解決に向けてのいろいろな方策につきまして意見交換、検討などを行っている。さらには、先ほどもちょっと触れましたけれども、いわゆる借り手に対する啓発活動の推進など、金融機関、貸金業者による信用情報機関の利用促進、こういったことを進めさせているということでございます。
  65. 櫻井充

    ○櫻井充君 たしか金融監督庁と通産省で補助金を出して民間の団体にカウンセリング業務等も行っているのではないでしょうか。違いますか。
  66. 村井仁

    政務次官(村井仁君) 私どもの承知していますところでは、恐らくそれは通産省の補助を受けてということであろうと思います。私どもの補助機関としてはございません。
  67. 櫻井充

    ○櫻井充君 そこの専務理事だったかと思いますけれども、金融監督庁の方が、天下りと言ったらいいんでしょうか、そちらに行っている。通産省からも一人行っている。補助金が、ちょっとはっきりした額がわからないのでその額を教えていただければと思うんですが、たしか数千万円の額だったかと思いますけれども、そのような金額が実際は出されています。  それで、やっていることは非常にいいことでして、多重債務で苦しんでいる方々がそこに相談に来られることになっています。しかしながら、そこの運営というのはいろんなところから寄附を受けながら運営しているわけです。国はそこに補助金を出しているとは言いながら、その補助金が何に使われているかというと、通産省の官僚と金融監督庁の天下りの人件費のためにほとんど消えているんだというふうに思います。  もう一点問題があるのは、そのカウンセリング業務を行っている人たちは弁護士さんなんですけれども、毎日三人ずつ週三回来られます。しかし、こういう方々でなくても相談は受けられるんです。その方々の人件費というのが一日六万円かかりまして、そこの協会でやっているのが大体一億何千万だったと思いますけれども、そのうちの七割以上がそういう人件費で全部消えてしまうと。  こういう機関はどこの地方自治体でも必要だと、地方自治体というかその県ごとに必要だというふうに言われていますが、それがなかなか広がっていかない理由として人件費等が余りに高過ぎるということがございます。ぜひ調べていただいて、もし今何か情報がおありでしたらちょっと教えていただきたいんですが、ぜひそういうような相談窓口を全国に広げていただければと。  そして、何回も言うようですが、国で補助金をつけていますと言いながらも、それが天下り官僚の人件費に消えてしまうような補助金のつけ方はぜひやめていただければというふうに思っていますが、いかがでございましょうか。
  68. 村井仁

    政務次官(村井仁君) 私どもの役所はまだ新しいものでございますから、天下りとおっしゃいますが、ちょっとそのあたりは思い当たりのないところでございます。そのあたりはちょっと調べさせていただきたいと存じます。  通産大臣の許可によって設立された日本クレジットカウンセリング協会というのがそれに当たるのかと拝察いたしますけれども、どのような業務内容であるか、所管外でございますので私の方からお答えすることは適当でないと存じますが、ただいずれにいたしましても私どももいわゆる消費者金融問題をめぐる多重債務問題というのは全くかかわりがないわけじゃございませんから、ただいま先生御指摘の点を踏まえまして、十分注意して検討をさせていただきたいと思う次第でございます。
  69. 櫻井充

    ○櫻井充君 では、よろしくお願いいたします。  それでは次に、長銀と日債銀の問題についてお伺いしたいと思いますけれども、長銀と日債銀が売却されました。一応十億円ということで売却されましたけれども、皆さんからすれば、何兆円というお金をつぎ込みながらわずか十億円で売らざるを得ない、それだけ税金がむだに使われたのではないだろうかというふうなことをおっしゃる方が本当に多くいらっしゃいます。  そこで、まず一つは、なぜその十億円という金額が決まったのか、そのことについて教えていただきたいと思います。
  70. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今、櫻井委員が言われましたように、長銀につきましては既存株式約二十四億株、これをパートナーズ社に対して対価十億円ということで売却をいたしました。また、日債銀につきましても、ことし二月二十四日、いわゆるソフトバンクグループを優先交渉先として選定をいたしました。そのソフトバンクグループが言っておる買収条件におきましては、預金保険機構が保有する日債銀の普通既存株式約二十五億株、この対価が十億円というふうにされているわけでございます。  それで、どうしてこれが十億円なのかということですが、要するに長銀あるいは日債銀にロスの補てんをいたします。そうしますと、バランスシートで見ますとちょうど資産と負債がバランスをした状況で、ロスを補てんした段階では自己資本ゼロでございます。そうしますと、その自己資本ゼロの、株価もゼロの、株価もまだついていない、こういう企業の価値が幾らかというのは、これは実はどう算定するのかというのはなかなか難しい話でございまして、今までの処理にとっております方法は、要するに競りにかけなきゃ値が出ない、簡単に言えばこういうことなんだろうと思います。それで、ではそれぞれどなたか手をお挙げになる方はいらっしゃいますかという形で手を挙げていただいて、一番高くついたのがこの値段だという、余り法律的あるいは学問的な分析ではありませんけれども、わかりやすく言えばそういうことであろうと私は思っております。
  71. 櫻井充

    ○櫻井充君 そしてもう一つ、たしかこれは二次損失に関しても預金保険機構の方で保証するという条件をつけて十億円で売却されているかと思いますけれども、この二次損失の補てんというのに大体どの程度お金が必要だというふうにお考えなのか。その点についての見通しですけれども、見込みで結構でございますが、幾らぐらい必要と考えていらっしゃるんでしょうか。
  72. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) いわゆる二次ロスという中で、では何が契約の中で補てんする責任を負っているかということになりますと、これもえらいぎりぎり法律議論をしますと難しいのでございますが、瑕疵担保責任という民商法にございます概念をかりまして、要するに長銀譲渡後三年以内にこの瑕疵、二割以上の減価が認められた場合に新生長銀は当該資産の譲渡を解除することができると。これが今おっしゃった二次ロスということになると思うのですが、何が二割以上減価して解除権が行使されるかというのは、今の段階でこれぐらい予定しているというような問題ではございませんで、お答えできることは何でもお答えするつもりでありますが、今の時点で見通しを申し上げることはちょっと私はできないと思っております。
  73. 櫻井充

    ○櫻井充君 最近、政府の答弁で想定外ということが随分言われておりまして、銀行の経営上の問題に対してなぜ税金を使わなきゃいけないのかという声が非常に多くございます。今回のことに関しても全く予想がつかないというふうなことで、二次損失が起こったときに結局幾ら必要になりました、また税金を投入しますよということでは、なかなか国民の方々は納得しないんじゃないだろうかというふうに思っています。  ですから、でなければ幾らということではなしで結構ですが、二次損失はあり得るというふうにお考えでございましょうか。
  74. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) こういう契約条項が結ばれているということは、全くそんなことはあり得ないと思って結んでいるわけではございません。やっぱりそういうことも場合によっては出てくるかもしれない。しかし、これは金融再生委員会一つ一つの債権をチェックしまして、そしてこれはちゃんとした債権であるというその判断が間違っていたら責任を負わなきゃいかぬということでなっているわけでございますから、今までの段階で最善を尽くして審議をした結果である、そうぼろぼろ出てくるというようなものであっては困る、こう思っております。
  75. 櫻井充

    ○櫻井充君 もう一つ、僕が皆さんからよく聞かれるのは、長銀とか日債銀をそのままつぶしてもよかったんじゃないか、それに預金者の方々を保護するために幾らか税金を使う、そういう格好で、長銀や日債銀はつぶしちゃっていただいてよかったんじゃないかというふうにおっしゃる方もいらっしゃるんですが、これは試算されているかどうかわかりませんけれども、つぶした場合に公的資金は一体どのぐらい必要だったんでしょうか。もしそれを計算されているのであれば教えていただきたいというふうに思います。
  76. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) これも額で何兆になるとかいうふうにお答えすることはちょっと難しいと思っております。新聞紙上等ではそんなことを算定しておられる方もあるようでございますけれども、これも多分前提の置き方をどうされたかによって全然違ってくるだろうというふうに思います。  例えば、いわゆる預金全額保護の特例というものを前提として考えるのか考えないのかということによっても違ってくると思いますし、それから先ほど世耕委員の御質問の中にもあったわけですけれども、破綻するということになればいわゆるRCCに持っていくというようなことになるんだろうと思いますが、そうすると関連の企業がたくさん倒産をしてくるということも当然想定される。それから、長銀の保有している株式というのも相当なものでございますから、こういうものを清算するということになると一挙に市場に放出をしなきゃならない。そういうときに、では株価秩序というものはどうなるのか。  それから、これも二年前の金融国会では随分御議論があったことでございますけれども、デリバティブ等が一挙に解除された場合に、そういう連鎖による市場の影響というものがどのぐらいあるのかとか、こういうことをどこまで視野に入れて考えるかによっても全然違ってくると思います。  したがいまして、これ以上答えると、事務方があんなことを大臣は答えて大丈夫かというふうに思うかもしれませんが、私の感じとしては、一番安くついたのは、当時模索された、どこかの金融機関と合併をさせてそこに資本注入するというのが表面的な金額では多分一番安かったろうと思います。それから、特別公的管理というのは真ん中辺にあって、清算させてしまった場合にはもっとかかるんだろうというのが私の直観でございますけれども、ただこれもそれぞれデメリットがございまして、金銭だけではやっぱりはかれない問題が私はあると思います。  私どもとしては、二年前いろいろ御議論してつくっていただきました特別公的管理の中で最善を尽くしてこういう結果になったというふうに思っておりますし、またいずれにせよこれだけの公的資金を投入してここまで持ってきたわけでございますから、私は、歴史家なりエコノミストが後世振り返っていただいて、どういう方法がよかったのか、また我々のやってきたことのどこに間違いがあるのかというようなことはきちっと歴史的に検証していただかなきゃいけないし、我々もそういう歴史の検証というものを待ちたい、こう思っております。
  77. 櫻井充

    ○櫻井充君 ぜひ金融監督庁でも考えていただきたいというか、なぜそんなことを申すかといいますと、今銀行での信用乗数が二けたに落ちておりまして、要するに今どの程度貸し出しているかということになりますが、二十四年前と同じぐらいのレベルだというふうに言われています。ですから、このまま行くと、銀行の再編なりほかの銀行が破産するというようなことはまた十分可能性としてはあるんじゃないかなというふうに思っています。  ですから、またそうなったときに、また何兆円というふうな税金を使わなきゃいけなくなる事態が起こるかもしれない。そのときに、やはり今回のことを踏まえた上で、どういう形にしてやった場合には最小限に食いとめられるのか。これはお金の問題だけではなくて、周りの経済とかそういうふうなものも含めてですけれども、そういうことが起こったときにどうなのかということの対策を練るためにぜひ検討していただきたいというふうに思います。  そしてもう一点ですが、やはり長銀や日債銀に対しての皆さんの怒りというのは、公的資金を注入したんだけれども倒産してしまったと。そして、あのときには公的資金を注入すればこの銀行は助かるんだといって、九八年の三月に公的資金が注入されています。しかし、結果的には破綻して、あのときに注入した税金というのはむだ金になってしまったわけです。その責任の所在がはっきりしてこないということが皆さんの怒りのまた一つでもあります。  九八年の三月に長銀、日債銀に公的資金を注入した責任というのはどなたにあると、もしくはどこの省庁でも結構でございますが、どこにあるというふうにお考えでしょうか。
  78. 村井仁

    政務次官(村井仁君) 大変難しい問題でございますけれども、九八年三月に長銀、日債銀に対しまして資本注入を行った。その際に、金融危機管理審査委員会におきまして、審査時点における財務状況あるいは金融システム安定化への必要性等を勘案して、その当時の法律、審査基準にのっとりまして厳正に審査され決定されたということでございまして、従来の金融行政につきまして、いわゆる裁量行政、護送船団方式というような批判があったことから、新たに今度は金融監督庁を設置するなど、自己責任原則の徹底と市場規律を基軸とした透明かつ公正な金融行政への転換を図る、そのプロセスで起きた事件でございます。  私どもとしましては、今の時点でどこに責任があったかとおっしゃられましても、今申し上げました金融危機管理審査委員会におきましては、限られた期間の中で申請行から自己査定資料を初めとして提出資料を受けまして、それに基づきまして集中した審査を行って判断をしたということでありますが、その時点で既に債務超過であった、こういった情報は当時は簡単に言えば入手できる状態ではなかったということでございます。その後、いろいろ調べてみるといろんな問題が出てきたというのが今度の事態に至ったということでございまして、その点は私どもとしましても大変残念なことだとは思っておるわけでございますけれども、その時点でだれに責任があったのかとおっしゃられますと、これはちょっとお答えのしようがない。その当時の制度において最善の手段を尽くしたということだと思っております。
  79. 櫻井充

    ○櫻井充君 警察問題もそうなんですけれども、皆さんが怒っていらっしゃるのは、要するに内部の審査が甘過ぎるんじゃないか、そして何かが起こったときに想定外でございましたと、そういう答えに関してかなり怒っていらっしゃるんだろうというふうに思います。  もう一つ、日債銀に関して奉加帳方式で民間金融機関に株式を引き受けさせて、結果的には日債銀が倒産して、出資した民間金融機関というのは損をしたわけですけれども、こういう点に関しての責任というのはいかがなものでございましょうか。
  80. 村井仁

    政務次官(村井仁君) 同じく既往のことでございますので、監督庁の立場からお答えさせていただくわけでございますが、これは九七年四月、日債銀の経営再建の手段としまして、いわゆる奉加帳方式で、大蔵省におきまして当時のセーフティーネットの整備状況等を踏まえまして最善の方式としてとられたわけでございますけれども、結果として日債銀の再建が行われなかったということでございます。  これもただいまのお答えと似たようなことになりますけれども、日債銀が監査法人と相談の上で自主的に作成した財務諸表などを踏まえて、債務超過ではない、こういう認識の中で、その当時の金融システムの安定を確保していくという観点から、日債銀の経営再建という目的のために最大限の支援を行ったということであります。しかしながら、その結果うまくいかなかった、日債銀の再建ができなかった、こういった反省に立ちましていわば金融行政の大転換が図られた、この点をひとつ御理解いただきたいわけでございまして、私どもも現在は、非常に厳密な金融監督当局による検査監督、こういったものを踏まえまして、そしてまた金融再生委員会においていろいろと御判断をいただいて衆知を尽くしてやっていくという方向に改めたわけでございます。  さような意味で、ただいま委員指摘のような事態がまた起こるというようなことには私はならない、このように思っておる次第でございます。
  81. 櫻井充

    ○櫻井充君 そういうふうにならないことを本当に願っております。  最後に、三月九日の予算委員会で私は富士銀行の不正融資問題について質問いたしました。そのときに、林刑事局長の方から、八百二十一億円を立件し、捜査を結局終結したというふうに答弁がございました。しかし、不正融資の額が二千七百五十億円で、まだ約二千億近くがどのように使われたのかということが不明なんですけれども、なぜもうこの時点で捜査を中止されたのかについてお伺いしたいと思います。
  82. 岡田薫

    政府参考人岡田薫君) お尋ねの事件は平成三年の九月以降警視庁において取り扱った事件のことと存じますが、この事件につきましては、金額としては総額八百二十一億円に当たる有印私文書偽造、同行使並びに詐欺事件で十二名の者を逮捕し立件送致いたしておりますが、捜査の過程で刑罰法令に触れるということが認められた事実につきましてはすべて検察庁へ送致したものと承知をいたしております。  その余の個別具体的な事柄については答弁を差し控えさせていただきたいと存じます。
  83. 櫻井充

    ○櫻井充君 これは九八年五月十八日の千葉刑務所内での中村元課長の出張尋問に関してですが、小林先生、これは秘書さんでございますが、小林先生とは自分自身もうべったりでした、小林先生も私にべったりでした、そういう関係ですと、こういうふうにも供述されております。それから、これは大田省三大蔵省審議官が名誉毀損罪となっているわけですが、あるジャーナリストの方と社長さんとの取材テープが証拠物件として提出されまして、そのときにこう言っているんですね。鳩山は何ももらっていない、そんな力はない、松岡だと。そして、松岡の方から花田は鳩山に頼んだのか、あんなやつじゃだめだよ、おれじゃなきゃだめなんだと言ってきたと、こういうようなこともございます。それから、花田さんという方が今いろいろ取りざたされておりますけれども、あの方が政治家の後援会に入っているのは橋本龍太郎さんお一人だけでございます。  こういうふうな点についてきちんとお調べになったのかどうか、最後にもう一度お伺いさせていただきたいんです。
  84. 岡田薫

    政府参考人岡田薫君) 大変恐縮でございますが、個別具体的な犯罪捜査についてはなかなか申し上げられないところでございますけれども、一般論として申し上げますれば、犯罪捜査機関としては捜査にかかわるさまざまな情報について関心を持ってございます。その上で、証拠に基づいて立件できるものは立件する、そういう方針で対処いたしております。
  85. 櫻井充

    ○櫻井充君 私たちはこの事件はまだ終わっているとは思っておりませんので、捜査の方をよろしくお願いしたいというふうに思います。  これで終わります。
  86. 海野義孝

    ○海野義孝君 公明党の海野でございます。  宮澤大臣初め皆様方、大変御苦労さまでございます。  予算委嘱審査ということでございますが、最初経済につきまして、まず大蔵大臣に御意見といいますか御所見をお聞きしたいと思うんです。  つい数日前に昨年の十—十二月期の実質GDPが発表になりました。これにつきましては、かねてより二期連続で落ち込むんだというような予想が新聞等でも発表されておりまして、昨年暦年で見ますと、前半二四半期はプラスでありましたけれども後半は落ち込むと、こういう状況だったんですが、これは過去三回目の落ち込み幅ということで、たしか第一回目は第一次オイルショックのとき、第二回目は平成九年の四—六、消費税が二%アップになったとき、このときにたしか落ち込んだというふうに私は記憶しております。  今、景気浮揚のために官民挙げて必死になって取り組んでいるわけであります。こういったさなかにおいてこういう悪い数字が出たということは大変心外に思いますけれども、事実は事実であるし、これはもう過ぎ去った過去のことではありますが、今回の不況は、いろいろ言われているように、従来とは違って大変手のやける複合型の不況であるとか、国民の間にもそういった認識があるわけでございますけれども、大蔵大臣のお立場で今回のこういった数字についてどういった御所見をお持ちか、最初にお聞きしたいと思います。
  87. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 最初に、せんだってのQEで私が一番感じましたことは、長年低迷しておりました企業の設備投資がプラスになった、これで将来の展開ができるという点でございます。  それはそれといたしまして、昨年一年に起こったことを考えますと、一—三から暮れまで、最初は年率に換算いたしましてプラス六・三でございます。その次の四半期がプラス三・九でございます。その次の四半期がマイナス三・九、最後の四半期がマイナス五・五でございますから、ちょうど真ん中へ行ってもとへ戻ったような動きを昨年いたしました。年間を通じまして昨年はプラス〇・三でございますので、初めて経済プラス成長になったという点は変わりございません。  それで、十—十二で非常に大きなマイナスが出ましたのは、これは消費が悪かったということでございますが、十—十二はボーナスのことももちろんございましたけれども、私は、今度の不況脱却の中で、供給面の問題は予算を初め極力いたしますが、需要側と申しますか、労働側と申し上げた方がいいかもしれませんが、どうしてもリストラというものは不可避だと。大企業も中小企業もこれを怠けておると本当の経済回復というものは次の世紀に向かってできないと考えましたので、既に政府はこの前の前の予算から不況対策の経費をかなり計上いたしておりますし、昨年の補正もそうでございます。リストラというものは当然なければならないと考えて対処いたしましたし、企業もまた当然リストラを労働との話し合いで始められました。それが一番象徴的に十—十二の間に出たと思います。  家計調査が一番手っ取り早くわかるわけでございますけれども、この間における家計は概して所得が減っております。所得が減っておりますので、したがって消費が減っております。GDPの六割以上の消費が一・六減ったわけでございますから、これは当然予想されたことではございました。堺屋さんも私も予想しておりましたのでこれはやむを得ないと。  ただ、消費の減りが、十—十二はボーナス月でもあってやむを得ませんが、その次一—三、今のところでございますね、あるいは四—六にうまく回復してくるかどうかというのが一番の問題だと思っております。常雇用から一時雇用に移り変わりますと、失業の数字には関係しませんが、所得が下がることはどうもやむを得ないことで、そのことが十—十二に一番はっきり出ています。やはりここへ来まして労使のいろいろなお話し合い、それについて政府は云々すべきではありませんが、そういう中で雇用条件というのは一つの落ちつきを見せるのではないか。リストラがすぐに終わるということではございませんけれども、どのような形でという一種の正常化のような状況が生まれてきて、また企業利益も上がり始めましたから、多分一—三では十—十二のような状況ではないのではなかろうか。これは希望的な観測でございますけれども、統計局の家計調査でも少し矛盾した数字が出ておりましてきちっと申し上げられないのですが、どうも十—十二よりは一—三はいいのかと思います。  そういたしますと、この設備投資がもう一遍引っ込まなければ、これはこれでまず民需の軌道に成長が乗るというふうに私自身はQE考えておりますし、堺屋長官も同じように考えておられるように承知しております。
  88. 海野義孝

    ○海野義孝君 大分丁寧に御説明いただきましたけれども、明るい感じも受け取れるような御発言でございました。  これまでここ数年来モデルになっていたのは、やっぱり設備であるとか債務であるとか雇用であるとか、こういったものの調整という問題、これが景況に大変大きく影響を及ぼしてきたということでございまして、今の大臣の御答弁ですと、設備投資が三期ぶりぐらいにプラスに転じてきた、しかも過去数年来なかったような高い数字が出てきていると。昨年の十月ぐらいから、船舶、電力を除く民間の機械受注、先行指標ですけれども、これがプラスに転じてきて、一たん一カ月ちょっと落ち込みましたが、その後はぐんと伸びてきておるというようなことで、設備投資については調整が終わったということで期待を持っておりました。  雇用につきましても、このところ四・七ぐらいでとまっておりまして、ひところは四・五ぐらいまで行きましたけれども、おっしゃるようなリストラの問題とかいろいろあるでしょうから四・七ぐらいでとまっている感じがします。債務の問題等についても大分調整が進んできておる、こういうふうに思いますから、そういう点で見ると、ことしに入ってからは明るくなってきているのではないかと思うんです。  いろいろ見ていますと、例えば企業絡みの数字がいいわけです、個人はよくないけれども。企業関係でいうと、三年ぶりで企業の収益が、リストラ効果もあるでしょうけれども、この三月期はプラスになりそうだとか、広告費がふえてきているとか、所定外の労働時間がふえてきているだとか、そういうような面から見ると明るいので、私は去年の十—十二月期のGDPというのは攪乱要因というか惑わされる数字じゃないかというような気がします。今から振り返ってみますと、これは去年の十月から十二月の数字ですから、言うならば約半年前から三カ月前の数字が今ごろ出ているわけで、これに私は一喜一憂する必要は全くないと思うんです。  設備、雇用、それから債務等の調整については大体何合目ぐらいに来たかというような点は、大臣は今どのように見ておられますか。
  89. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 雇用につきましてはおっしゃるとおりでございまして、いっときは五%を超えるだろうと言われましたが、常雇用ではありませんでもパートでとどまっておってくれる。今としましては、ここで学卒がございますから、これがどういうふうに関係するかということはちょっとわかりかねておりますが、有効求人倍率は〇・五二になりましたので、これは意想外によくなっておる。いっときかどうかということを注意しております。  それで、設備投資でございますが、ちょうど先週、法人企業統計も出まして、見ておりますと、分けますと大企業の方が早いようでございますね。それから、製造、非製造では、コンピューター関係は別でございますが、製造の方が少し早いようであります。ですから、それが中小企業になり非製造になっていく、どういうふうに早くそっちへ転化するかがわかりませんけれども、海野委員はよく御存じのように、機械受注が六カ月ぐらい前から兆しがありましたし、工作機械も最近いいようでございますから、先行指標は多分設備投資は続いていくだろう。それが非製造や中小企業へどれだけ早く移っていくかはちょっとわかりかねますけれども、経験的に申しますと、これだけ長くマイナスが続いておりました設備投資がこういう形で一遍プラスに出ますと、これはしばらく続くのではないか。あっちへ行ったりこっちへ行ったりしないでしばらく続くと考えますので、それはある意味で雇用にも少しいい影響が出るのではないかと、こう私は見ております。
  90. 海野義孝

    ○海野義孝君 そこで、消費を中心にしまして、民間の自律的な回復には投資がそういった雇用の面あるいは労働者の就業時間の問題等を押し上げるという形で可処分所得がふえ、そして消費に回っていくというのにはまだどうかと思いますが、民間部門の一角にこういう明るい兆しが出てきたということは心理的には大変明るいというように思います。  そこで、大事なことは、昨年七月でしたか、平成十一年度、今年度の予算執行の過程において、少子化対策とか雇用対策等を中心にしまして、第一次の補正予算、約五千億だったと思いますが、それから昨年十二月の初めに成立した第二次補正予算、これは事業規模では十八兆円、約七兆円弱ということで、公共事業等を中心にして景気の失速を押し上げるというような意味で手だてをしたわけです。これが平成十二年度の予算執行へのつなぎとして大変重要な役割を果たすと思うんです。  たしか大臣は所信表明の中でもこれの迅速な執行ということをおっしゃっておりましたけれども、これは今具体的にはどういう面でどのぐらい執行されているか、そんな点はいかがでございますか。
  91. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 一番顕著でございましたのは、年が明けまして一—三月、四月ごろ、そのころに公共事業がどうしても落ちますので、その分を補正でさせていただいたのが一番大きいところでございますけれども、その他にも失業対策等々ごらんのように手当てをいたしてございますので、私の気持ちでは、あれが今の時期をカバーしておりまして、そして今御審議いただいております予算が走り出しますとつなげますので、それで九月やそこらまでのことはまああれこれ心配ないな、そこで民需がうまく出てくれれば渡せるのではないかと、ぼんやりそういうようなことを考えております。
  92. 海野義孝

    ○海野義孝君 大臣はこのところいろんな委員会等においても、あるいは記者会見等でも御発言になっていらっしゃいますけれども、平成十二年は、財政的にも大変厳しい中で、言うなれば三・八%というような積極的な予算によって何とか官需によって押し上げて民需につなげようということで、恐らく補正予算等については平成十二年度は打つ必要はないんじゃないかというような御発言もあるようですが、私も何とか平成十二年はそうありたい、こう思います。  財政的に大変厳しい中で、まさに背水の陣の平成十二年度の予算でありますので、これの迅速な執行によりそれがうまく民需にバトンタッチすることを願うわけでありますけれども、それだけではなくて、今まだ経済の面とか社会の面で閉塞感というものが国民の中にはあると思うんです。そういうような面を何とか打開する。つまり、消費者の方々はそれなりにお金は持っているんだけれども、これを大事に使うということで、先がもうちょっとはっきりしてくれば財布のひもを緩めようという方々もいらっしゃると思うんです、いろんな手だてを講じてきておりますから。景気がよくなってくればそれなりにまあまあ金利も上がるでしょうから、そうなればこの面からも財布のひもも緩んでくるんじゃないかと思うんです。  そうした中で、やはり経済社会の閉塞感を打ち破るような展望というものを政府としましても示す必要があると思います。大臣のお立場としては、国民にとってみれば、楽観的という言葉はどうかと思いますけれども、やはり明るい展望というか、そういったことをお示しになることが私は重要だろうと思うんですね。そういう意味で、この閉塞感を打ち破るような御発言というか、そういう面では特に何かございますか。
  93. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 先ほどのお話の続きでございますけれども、今予算を御審議いただいておりまして、これが四月から執行できるようになりますと、時間が多少かかりますから、五、六月ぐらいのところまでの公共事業は前の補正でやらせていただける、そしてこの予算につないでいくということになろうかと思います。  国民の皆さんの中に、随分借金をして、そしてその行方がわからない、景気が立ち直らなければもっと借金をしてどうなるのかというお気持ちが当然のことですが相当強うございますので、そういう意味では、この間のQEというもので民需がだんだん走り出しそうだという感じは、今年秋に大きな補正予算は多分なるほど要らないのかもしれない、そうするとそれで国債の増発は防げる、将来もそういう兆しが見えるだろうかというようなことは、もしそういう重苦しい感じの一部がそこにあるならば私は国民に申し上げていいことだろうと思うのでございます。  それに、この間のプレイステーションなんかを見ておりましても、購買力がないということではなくて、やはり買いたいものは買うというようなところはございますから、ここで消費が回復し始める、あるいは設備投資が出始めるというようなことは一般の景況感というものにプラスになりまして、したがってそういう意味で国民にも明るい感じを持っていただけるんではないか。何か政府がということを特に私は今思っておりませんけれども、そういう事実がかなり国民に明るいものとして映るようになるのではないかということを期待しております。
  94. 海野義孝

    ○海野義孝君 ありがとうございました。  小池次官、久しぶりにお話しさせていただきますけれども、新聞では、今の一連の景気について、どうも何となく春らしくなっていくというような報道がちらほらある中で、一方ではもちろん慎重な見方も当然流れていますけれども、新聞では週末に三月度の月例経済報告をお出しになることについての内容の記事が躍っているわけでして、そういう直前にして御発言を求めるのはいささかどうかとは思いますけれども、何か政府景気の自律回復宣言というようなことを新聞は言うわけであります。  今、宮澤大臣の御答弁もそういう諸指標等を踏まえておっしゃっているかと思うんですが、個人的なお考えでも結構ですから、役所にいらっしゃって、二月から三月にかけてそういった少し踏み込んだようなコメントが今週末に出せるということになれば私は大変結構なことだと思うんですが、その辺についていかがでございましょうか。
  95. 小池百合子

    政務次官小池百合子君) 御指摘の新聞報道を私も見ましたが、報道のときに最後に「へ」がついていることが多いわけでございまして、「政府宣言へ」というふうな形になっておりました。  結論から申し上げますと、先ほど来、大蔵大臣から本当に細かい数字までそらで覚えた数字をずっと御報告いただきまして、もうこれ以上の御説明をすることもなかろうかとも思いますが、確かに現在幾つか明るい動きが見られます。企業収益、そして設備投資など、これまでの暗いところから明るい動きが出てくるというのは、これはまさに文字どおり明るい材料ではございます。しかし、民需全体で見ますと、まだまだ弱いところもございまして、その意味では景気は自律的な回復段階に向かった動きが徐々には出ているけれども、いわゆる景気回復宣言の段階には至っていないというのが現在の私どもの考えでございます。  しかしながら、月例経済報告を間もなく発表させていただくことになっておりますけれども、この案文については現在まさに検討中でございまして、間もなく発表させていただきます。ただ一つ、これが景気回復宣言というふうにとられるのかどうかは別でございますけれども、これまで「緩やかな改善が続いている」という言葉をこのところ数カ月使わせていただいておりますけれども、これを全体的には上方修正の表現にしようかということで、堺屋長官初めいろいろと頭を突き合わせて考えているところでございます。  桜が咲いたと言いたいところでございますけれども、今そういう状況にあるということを御報告いたしておきます。
  96. 海野義孝

    ○海野義孝君 ありがとうございました。  時間が限られておりますので、あと金融問題についてちょっとお聞きしたいと思います。谷垣金融再生委員会委員長にお願いしたいと思いますが、たくさん質問は用意しておりましたけれども、時間があれですし、大臣も記者会見とかいろいろなところで御答弁されておりますから大体承知しております。  一方で不良債権の処理等も大変進んでおりますし、破綻した大手金融機関についても受け入れ先が大体決まったというようなことで、その過程においては十分なセーフティーネット等を準備するのがやや遅かった部分で国民のお金を相当使ったという点で大変コストがかかったのはやむを得ないと思いますけれども、これから先を考える場合に、つい数日前に三和、東海、あさひ、つまり近畿、中部、それから関東の大手の銀行が統合するということが発表になりました。これまでに発表されたのから見ますと、大体二年先の春ぐらいまでには四グループぐらいに日本の金融界の大どころが統合されるというふうに思うんです。  何となくこれまでの横並び的なところから、最近の内外でのそういった金融統合等の中で、かなり駆け込み的な統合のようにもとられかねないんですが、しかもこういったところのねらいというのは、収益源としては法人取引関係、証券業務とか、こういう分野じゃないかと思うんです。片や例のセブン—イレブン、イトーヨーカ堂、あるいはソニー等の他業種からの金融機関への参入というようなことが今言われているわけです。  こういうように、日本におきましても、ある面でようやくここへ来てその潮の流れが前向きに向かうという方向になろうかと思うんです。私は、一方で銀行の大手が集約されるということは、ますます大手にとって貸し出しの面で厳しくなるんじゃないかというような感じがしないでもない。一方では、決済銀行的なものではありますけれども、そういう異業種からの参入によって、小回りのきいたきめ細かなリテール的な部分でのサービスというのがこれまでにないような形で急速に進んでいく。  こういうように、日本の金融界は今大きく変わろうとしているんですけれども、これが我が国の経済に対するメリットというかプラスですね、これまで金融界はかなり吐き出していましたから、今度はそういうプラスの面で、景気の面にも国民のためにもメリットを与えるような方向というのを大臣としてはどのようにお考えになっていらっしゃるか、あるいは打つ手としてはどういったものをお考えになっているか、そういった点について御見解をお聞きしたいと思います。
  97. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 上手にお答えできるかどうかわかりませんが、私たち金融再生委員会のスタンスというのは、こういう議論のときに常に申し上げているんですが、我々が主導して再編を推し進めていくとかというような行政手法は用いておりませんで、やっぱり民間の中から、こういうペイオフ解禁というのも迫っているじゃないか、自由化も進んでいるじゃないか、そういう中で体力をつけてより高度なサービスを提供するためにはどうしていくんだ、そういう観点から、まず民間から考えていただかなきゃならない、こう思っております。  しかしながら、では我々のスタンスというのも全く無色透明で中立かというと、そうではありませんで、金融国会でいろいろいただいたツールというものがございます。早期健全化法あるいは資本注入というような手段もいただいているわけでありますから、そういう手段を使って、金融再生委員会も来年の一月という時限的な機関でございますけれども、この数年懸案であった金融をできるだけ健全なものにしていって、何か今まで経済を下から引っ張るような感じもありましたけれども、それを火事場のばか力で取り除けというのが我々の役所の使命かな、こんなふうに思っております。  そういう中で、昨今いろいろなおっしゃいましたような再編の動きが出てまいりまして、私は、これは我々の目指しているところとも沿う流れだと基本的に歓迎をいたしているわけでありますけれども、単に寄せ集めてひっつけたというだけではそういうメリットが出てこないわけでありますから、それぞれの合併を契機に、効率化とか経営体質の改善とか、そういうようなものにもさらに取り組んでいただかなきゃなりません。また、それぞれの金融機関の特色を発揮していただいて、それぞれの地域なりそれぞれの業種なりに対してどういう新しいサービスが提供できるかというようなことも真剣に考えていただいて効果を発揮していただきたい、こういうふうに思っているわけであります。  それと同時に、今、新しい事業会社等の参入の問題もお触れになりましたが、これは個別の企業がどうするというような話は、審査に事前に予断を与えるようなことは私は申し上げてはいけないと思っておりますけれども、一般論として申し上げれば、そういう事業会社の持っているいろいろなノウハウと金融機関というものを組み合わせることによって相乗効果が発揮できるのではなかろうか、そういう中でいろいろな金融技術も発達してくるのではなかろうか、そういうことによってひいては国民的な利便というものも高まっていくのではないか、そのことがまた経済にも刺激を与えるのではないか、こういう期待を持っているところでございます。  しかし、他方、事業会社が銀行業を営んでいくということは、私どももそういうことを最近では経験していないわけでございますし、銀行法上も余りそこらは明確な規定がないわけでありますので、ではそこにどういう問題点があるのかというようなこともよく詰めて考えなければならないと思っておりまして、そういう議論を煮詰めていかなきゃいかぬ、こんなふうに思っております。  うまくお答えになったかどうかわかりませんが、そんなふうに考えているわけでございます。
  98. 海野義孝

    ○海野義孝君 どうもありがとうございました。  終わります。
  99. 平田健二

    委員長平田健二君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時十五分まで休憩いたします。    午後零時十六分休憩      ─────・─────    午後一時十五分開会
  100. 平田健二

    委員長平田健二君) ただいまから財政金融委員会を再開いたします。  平成十二年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総理府所管のうち金融再生委員会金融監督庁及び金融庁大蔵省所管郵政省所管のうち郵便貯金特別会計及び簡易生命保険特別会計内閣府所管のうち金融庁総務省所管のうち郵便貯金特別会計及び簡易生命保険特別会計財務省所管国民生活金融公庫日本政策投資銀行並びに国際協力銀行を議題とし、休憩前に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  101. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 日本共産党の池田幹幸でございます。  きょうは主に再生委員長に伺いたいと思います。  長銀、日債銀の処理ではロスの穴埋めのために大体六兆八千億ぐらいの負担が国民に負わされるということなわけなんですが、最初に伺いたいのは、この巨額な資金が一体どう使われたかということであります。  過去の放漫経営や行政の失政のツケを国民に負わすわけですから、国会に対して当然詳細な情報を開示すべきだと思いますが、そのことに関してまず再生委員長のお考えを伺いたいと思います。
  102. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 長銀、日債銀のロスの穴埋めに使われた資金が一体どこへ行くのかということでございますが、長銀譲渡の際の必要な公的資金につきましては、ことし二月末時点での暫定的な貸借対照表に基づいて、さっき御指摘された金額の中の一部でございますけれども、約三・六兆円のロス補てんが行われたところでございます。  この資金は基本的には新生長銀の経営陣の経営判断によりましてみずからの業務運営のために使われるものでございますが、その一部は預金保険機構から長銀が借入していた金額がございます、一・七兆円。この一・七兆円の借入金の返済に充てられます。それから、そのほかは、現在、短期金融市場を中心として運用が行われているというふうに承知しております。  長銀に投入された現金は資産の部に計上されまして、多額の金融債を発行しておりましたから、その金融債の償還原資として用いられることがあるのはもちろんでございますが、運用によりまして他の資産にまた振りかわっていくということもあろうかと思います。  それから、日債銀に将来投入される公的資金につきましても、基本的には将来の新生日債銀の経営判断により使われるものですが、現時点においてその使途をこうこうと申し上げられる段階にはまだ至っておりません。
  103. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 今の時点ではそうなんですが、将来、長銀についても、どの債務者にどういう形の穴埋めがなされたのかということまで開示されますか。
  104. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今、私が申し上げましたことは、長期信用銀行の貸借対照表をごらんいただきますと、その貸借対照表の中に債券がどれだけ、預金がどれだけと書いてございますから、当然そういうところに振り向けられていくということであろうと思います。
  105. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 個別の、こういった債務者のこういった穴埋めにというふうな形ではそれは出てこないでしょう。
  106. 森昭治

    政府参考人(森昭治君) お答え申し上げます。  ただいま大臣が申し上げましたとおり、二月二十九日現在の予備的貸借対照表というのを世の中にも公表していまして、これの中に債券が約七兆、預金は約二兆等がございます。  今おっしゃった個別のと申しますと、例えば借入金もあるわけで、どういう個々のところから借り入れているかということがあると思いますけれども、それはやはり個別の取引先とのことになりますので、将来にわたってもそこは通常の銀行と同じように取引先の名前が出てくるというわけではないと承知しております。
  107. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 通常の銀行の取引の場合とは全く違うと思うんですね。昨日この委員会でも問題になりました第一火災の秘密契約のことがあります。こういったことが起こってくるんですね。これもマスコミが取り上げて初めて明らかになったわけです。こういうことが国民の不信を助長するんだというふうに考えるわけなんですが、結局、今お答えになったように、損失の穴埋めにどこにどれだけ国民の資金が使われたのか、どの債務者に幾ら損害をこうむったのか、こういうことは公表しないというんでしょう。これでは国民の不信を払拭することはできないと思うんです。結局、ほかの銀行と同じだというふうに考えるというんだけれども、それとは全く違うでしょう、国民の公的資金がこれだけつぎ込まれるわけですから。現実に昨日からこういった疑問も国民の中に起きてきているわけですから、これにはきちんと答えるべきじゃありませんか。
  108. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 確かにこれだけの公的資金を投入することは事実でございますけれども、一方、金融機関というのはそれぞれの生きた経済主体とのいろんな信用関係もあり、それぞれのいろいろな企業運営の秘密というものもございまして、それを全部開示していくということは金融機関としてはやはり本来の仕事を全うできないのではないかと私は思います。したがいまして、個々の取引に関して数字を公開するということはやはり難しかろうと思います。
  109. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 再生法で六カ月に一回国会に対して破綻処理の報告をするということ、そういったことがなされているわけで、それの意味というのは、やはりこれだけの多額の公的資金を使うのだから当然そういう形でやっていくんだ、国民の前に明らかにしていくんだということが前提になっている。それが中途半端ないいかげんな形でやられたのでは国民の不信というものは全く払拭されないというふうに考えるんです。少なくとも国会に対してこの第五条に基づく報告を上回る形での報告、情報開示を国会に対してなすべきだと私は考えます。  その点、委員長にお願いして、資料提出を求めたいと思うんです。
  110. 平田健二

    委員長平田健二君) 後刻、理事会で協議いたします。
  111. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 日債銀のソフトバンクグループへの譲渡の条件、ここではいろいろ問題があります。費用最小化の原則を貫くということを言っておられるわけですけれども、それならば、穴埋めに使います三兆二千億円、これを少しでも減らしていこうという努力をすべきだと思うんです。しかし、残念ながら、今度の処理案を見てみますと、むしろ国民負担をふやす、そういったものが含まれております。  例えば、日債銀の保有している地銀など他企業の株式の含み益八百億円から九百億円を日債銀につけてやると買収条件にありました。これも八日の予算委員会でちょっと論議したんですが、これはソフトバンクグループへの持参金だというふうに考えるべきだと思うんです。しかし、この含み益は本来国民負担、ですから国民にお返しせにゃいかぬ、国民の負担軽減に回すべきものだと思うんです。その点について、もしそれをやれば三兆二千億円という形でつぎ込んだうちの一部でも国民負担の軽減として返ってくると思うんですが、いかがですか。
  112. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 午前中の質疑のときにも申し上げたことでございますけれども、どうしてこれだけの公的資金を投入して、しかもこういう価格で売るのかということは当然私たちも十分説明しなければなりませんし、ここのところを御理解いただけないとなかなか話が前に進まない、私もそれはそう思っております。  ただ、先ほど申し上げましたように、要するにロスを埋めたとき、資産と負債というものがちょうどバランスのとれたといいますか一致した状況で、資本も何にもないと。それをどう評価するかというのも、評価の方法が正直言ってまだないわけでございます。それを競りにかけて、それで一番価格を高くつけた者に売り渡す、簡単に言えばそういうことなんでございます。  それからもう一つ、こういうことを申し上げていいのかどうかわかりませんが、できればたくさんの方がこの競りに参加していろんな条件でできるだけ高い値段をつけていただきたい、私たちは当然そう思い、金融再生委員会としてはその努力をしてきたわけでございますけれども、これも率直に申し上げて、買い手が引きも切らずと、そしてその中でたくさん競りに参加する方がいらしたという状況ではないのでございます。その限られた中で、先ほど国民費用最小化ということをおっしゃいましたけれども、そういうことを考え、一番値段を高くつけていただいた方にお譲りするということでやってまいりました。そのことを御理解いただきたいと思っております。
  113. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 交渉だということのようですけれども、それにしてもそれじゃ余りに弱腰じゃないかと思うんです。  その買収条件の中で、今言ったような株の売却で八百億から九百億がこれから見込まれる、それについては持参金でつけてやる、そこまで譲歩する必要がどこにあったのか。  それからまた、資本注入もこれから考えるわけですよね。資本注入もさらに二千四百億円やるというわけなんですけれども、三兆二千億円を負担した上にさらにどんどん追加して負担すると。午前中の審議にもありましたように、瑕疵担保特約までまだあると。後でまたちょっと論議したいと思うんですけれども。そういう形で、物すごい譲歩じゃないですか。何でそこまで譲歩する必要があるんですか。
  114. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 譲歩とおっしゃいますけれども、先ほど申し上げましたように、やはり競りにかけて値段を決めたということでございます。  それから、含み益とか、こういうものもおっしゃったわけでありますけれども、資本注入していく、こういうものもきちっとやっていただければ後でその含み益が返ってくる、含み益といいますかキャピタルゲインが得られる、こういう見込みもあるわけでございます。
  115. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 今キャピタルゲインの話があったんですけれども、保有株を将来売ったときという話ですよね、日債銀の保有株を。  これも、返ってくるというふうにおっしゃるんですけれども、先ほどの八百億から九百億も含めて。しかし、これは八日のときにもちょっと質疑したんですけれども、返ってくる額というのはもう頭打ちで決まっておりますよね。これ以上はキャピタルゲインがたとえ期待できてもそれはもう要りませんというふうになっているんでしょう、こちらの側で。
  116. 森昭治

    政府参考人(森昭治君) お答え申し上げます。  先生御指摘の例えば八百億から九百億の含み益、そしてさらに先方が要請しています二千四百億の資本注入、これは上場されまして株価が二百四十円程度まで上がった際には少なくても含み益も取り返せますし、資本注入額も元本、公的資金を毀損せずに返してもらえると。逆に言えば、そこまでしっかりした銀行にしなきゃいかぬということで資本勘定を充実させるわけでございます。  それでは、どんどんいい銀行になっていったときに株価は上がっていくだろう、そうしたらさらにキャピタルゲインが得られるんではないかという御質問かと思いますけれども、そこは先方はいつまでも潜在株主としての国の支配を受けずに民間の自主的なイニシアチブというものを尊重していきたいという要望も一方にございます。したがって、長銀の場合で申しますれば、ある程度の、本当の意味での投入した公的資金以上、百億、二百億、それくらい上がったところですと向こうから売ってほしいという要望があって、当方としては不合理に拒否しないということになっておりまして、基本的に日債銀の場合にも同じような考え方が優先交渉先にはあると承知しております。
  117. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 だから、全くほとんどその相手さんの言いなりだという感じがするんです。  大体、六億株持っているうちの五億株を無償償却しちゃうということなんですよね。六千何百万株かだけを保留しておいて、それを二百何十円か三百円になったときに売ったらキャピタルゲインが得られますと言うんですけれども、頭打ち三千四百億、それ以上はキャピタルゲインが得られないような、今の時点ではそういう買収条件の案になっていますね。そうですよね。三兆二千億使ってそれだけしか返ってこない。  先ほどから伺っているんですけれども、それでは費用最小化の原則というのは一体どこへ行ったんだと。長銀の場合とほとんどこの条件は同じなんです。だから、長銀から日債銀へと移る過程で余り学習効果はなかったんじゃないか。交渉もほとんど同じ、額まで全く同じなんですね。買収額が十億円というのも同じだし、資本注入の二千四百億も同じ。全く同じなんですよ。しかも、ソフトバンクグループの場合には頭打ちが三千四百億と、余計悪い条件がついているわけなんです。  もし国が三千四百億円キャピタルゲインが得られる時点のことを考えたときに、ソフトバンクグループは二十五億株持っているわけですから、大体そこで十億円で買って得られるキャピタルゲインが約七千五百億ということになるわけです。まるでぬれ手にアワだということになるわけですが、これを何でもっときちっとした形で交渉しないのか、私は不思議でしようがないんです。余り聞いても仕方がないと思うんですが、一言だけ、委員長、どう思われますか。
  118. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今、上限を区切っているのはおかしいとおっしゃいましたが、事務局長が御答弁をいたしましたように、やはりこれから民間銀行として生きていくためには国の支払いの上限というものも要るだろう、そして健全な姿で生きていっていただかなければこの銀行国民経済の中で役割を果たしていけない、こういう判断でございます。  それともう一つ、先ほどの繰り返しになりますが、こういう形で競りにかけて一番高い方に買っていただいた、こういうことでございますから、言いなりという御表現は私は適切ではないと思っております。
  119. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 銀行のことを考えるのか、国民負担を少しでも減らすことを考えるのかということだと思うんです。どちらに重点を置いて考えていくのかということについてこの違いが出ているんだということを指摘しておきたいと思うんです。  さらに、先ほどの瑕疵担保特約、これも先ほど説明がありましたが、結局、二割以上ロスが出たときは買い取るんです、買い戻すんですということですね。これがどの程度になるのかということもなかなか計算できないというお話だったんですけれども、余りにもひどいんじゃないですか。向こう三年間、もともと買い取った側で当然リスクを負うべきものを、何でそこまでこちら側で面倒を見なきゃいかぬのか。これも交渉内容の話だと思うんです。まさにこれ自身も非常に弱腰な、銀行言いなり、ソフトバンクグループの言いなりという感じがするんですが、どうですか。
  120. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) この瑕疵担保というのは、売買というものがありましたときに、その売買の目的物と申しますか、この場合は多少いろんな法的構成がございますけれども、保証した評価に誤りがあった、減価が生じた場合にはそれを補てんしていくというのは、これは民商法等にも瑕疵担保責任という法理がございますように、やはり一つの法の理念として考えてよろしいのではないかと思っているわけであります。  それで、こういう形でやりましたときに、単に三年間という期間を区切ってございます。それと同時に、この三年間という期間を区切りましたのは、この三年の間はその相手先に必要な融資は続けてくれ、こういう条件といわば裏表になりましてこういう特約がついているということでございますので、御理解をいただきたいと思っております。
  121. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 この問題はこのぐらいにして、六兆円の積み増しの問題に入りたいと思うんですけれども、こういった問題も、国民負担を減らしていこうと思えば、結局、預金保険機構で面倒を見るということになると、銀行が保険料で負担するのか、国民負担、公的資金で負担するのかということになっていきますよね。そういうときに、今後の考え方としてこのことは非常に大事になってくると思いますので、それを念頭に置きながら質問したいと思うんです。  特例業務勘定、これがもともとどういうものだったかということなんですけれども、これは銀行の支払う額が特別保険料では足りなくなった、そのときに保険料収入を補完するものとしてこの特例業務勘定をつくったと。要するに、七兆円で足りなくなったら、まず保険料で支払うということを考える、そしてそれが足りないときに初めて交付国債というものが出動するんだ、そういう考え方でつくられたものだと理解しておるんですが、間違いございませんね。
  122. 福田誠

    政府参考人福田誠君) お答えいたします。  今御指摘のとおりでございまして、特例業務勘定は預金等全額保護のために本来預金保険の対象とならない預金等を保護するために設けられたものでございまして、その財源につきましては平成八年の預金保険法の改正によりまして特別保険料が課されているところでございますが、さらに平成十年の預金保険法の改正によりまして、預金保険機構の財政基盤を強化し預金等全額保護の徹底を図るために、特例業務勘定に七兆円の特例業務基金、すなわち交付国債が措置されたところでございます。
  123. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 そうしますと、再生委員長、七兆円が足りなくなったら、すぐに六兆円を積み増すんじゃなしに、まず保険料を引き上げるという方向で考えるべきじゃないでしょうか。これは企画局ですね。
  124. 平田健二

    委員長平田健二君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  125. 平田健二

    委員長平田健二君) 速記を起こして。
  126. 福田誠

    政府参考人福田誠君) お答えいたします。  今回、預金保険機構に交付する国債、現行七兆円を六兆円増額することをお願いしてございます。これは十二年度予算編成時におきまして平成十年二月に十七兆円の枠組みを設定したわけでございますが、このときには想定しておりませんでした特別公的管理銀行である長銀、日債銀の処理に要する金額の見込みが六兆円台であったことを勘案して決定したものでございます。  今御指摘の財源といたしまして、金融機関の特別保険料を引き上げればよろしいのではないかということでございますが、これにつきましては、御案内のとおり、現在の金融機関の保険料負担は一般保険料を含めまして平成七年度以前の七倍の水準の保険料を負担しておりまして、既に極めて高い水準となっております。  また、保険料をこれ以上引き上げることになりますと、特に中小金融機関につきましては、その利益に比較して保険料負担が過大となりまして金融システムに対する不安を助長しかねない可能性がある、また国際的に活動する金融機関につきましても、その国際競争力への悪影響が懸念される等の事情から困難と考えられ、他方で預金等の全額保護に万全を期する必要がございますので、交付国債の増額により財源手当てを行うこととしたものでございます。
  127. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 こういった仕組みがつくられたときも、私たちは銀行の不始末は銀行業界全体で処理すべきだということを主張して、当面、保険料が足りないのであれば、ストックが足りないのであれば銀行業界全体で借金すればいいじゃないかということを提案してきたわけなんですけれども、今の時点で振り返ってみても当然そうすべきじゃないかというふうに思うんです。今ともかく保険料率はもう変えないということでしたが、しかしそれにしても特別保険料金は年間大体二千億ですから、六年間で大体一兆二千億。当然これは足りないでしょうけれども、しかしそれに比べて国民の負担が七兆プラス六兆の十三兆というのは、これは余りにも国民負担が大き過ぎるんじゃないかというふうに考えるんです。  それで、いわゆる銀行の保険料負担のことなんですけれども、今一般保険料が〇・〇四八%それから特別保険料が〇・〇三六%ということなんですが、こういう状況の中で、私は特別保険料と一般保険料を合わせれば借金をしても計画的に返していける状況にあるんじゃないかと思うんです。  そこで、実態をちょっと伺いたいんですが、一般と特別を合わせた保険料は約五千億になっているというふうに思います。そこで、今の実態なんですけれども、一般勘定、特例業務勘定、金融再生勘定、早期健全化勘定というふうに分かれておりますが、これはそれぞれに日銀と民間から借り入れておりますけれども、借り入れ状況、額はどうなっておりますか。
  128. 福田誠

    政府参考人福田誠君) お答えいたします。  預金保険機構に設置されております各勘定の借入金残高でございますが、現段階、三月十四日現在の計数を申し上げますと、一般勘定につきましては、民間金融機関等からの借入金が一兆二千四百十八億円、日本銀行から三百十七億円、合計一兆二千七百三十五億円でございます。特例業務勘定は、民間金融機関等から三兆五千六百七十六億円、日本銀行からはございません。金融再生勘定は、同じく民間金融機関等から三兆六千二百八億円でございます。金融機能早期健全化勘定でございますが、民間金融機関等から七兆五百四十億円、日銀から千九百八十億円、別途債券を発行いたしておりまして残高五千億円、早期健全化勘定を合計いたしますと七兆七千五百二十億円でございます。
  129. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 合計してみたんですが、日銀から二千二百九十七億円、民間から十五兆九千八百億、約十六兆円。パーセンテージにしますと、民間からの借り入れが九八・六%なんです。初期は日銀からの借り入れが圧倒的に多かったわけですけれども、今はこういうふうに逆転してきております。  実際に民間からの借り入れの方が金利も安いということもあるんですけれども、こういう実態があるとすれば、当面、破綻処理に使うお金が不足するならば銀行業界全体で借り入れて、保険料を値上げしなくても今のままでできるかどうかわかりませんが、必要ならば値上げしてでも計画的に返していくということはできると思うんです。  例えば、先ほど申し上げましたように、年間五千億収入があるわけですから、六年すると三兆円という形になるわけで、今のままでも十分返していける可能性というのはそこでつくと思うんです。何で、まず六兆円を積んで、国民負担、国民にツケ回しをするという考え方になるのか。当然のことながら特例業務勘定でまず考える、そういう考え方があってしかるべしじゃないでしょうか。
  130. 福田誠

    政府参考人福田誠君) お答えいたします。  そのような御指摘もあろうかとは存じますが、先ほど申し上げましたように、現在の保険料の水準は一般保険料と特別保険料を合わせまして通常の七倍になっておりますので、そのような高い水準の保険料をごく長期間継続すること自体が先ほど申し上げたようなことからかなり困難ではないかと思っているわけでございます。
  131. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 大蔵大臣はどのようにお考えですか。
  132. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) いろんなことを考えますと、今、政府参考人も申しましたように、七倍以上の保険料を銀行に出してもらっているわけですが、それが相当重い負担であるということはおわかりいただけると思います。いわばそういう思想の中に、悪いことではないかもしれませんが、大きな銀行、小さな銀行、いい銀行、余りよくない銀行とあるのをひっくるめて保険料を取るわけでございますから、中には、そういう危険の非常に少ない銀行からいえば、大変余分な負担を負わされておるという論理は恐らくあるのだと思いますが、しかし金融界一体の問題といいますか、信用の問題とでもいうんでしょうか、そういう従来の我が国では比較的通りやすい論理で通してきたんだろうと思うんです。  これからもやってやれないことはないかもしれませんが、競争というような状況が表に出てきて、それが原則になり、強いところはやっぱり強いんだ、政府はそれは別に護送しないよというような思想でございますから、そういう高い保険料を今までのベースで取ること自身にも実はそろそろ問題があったのかもしれないとも思います。  それはそれといたしましても、これだけのものを国の負担で保護しようという考えでございますから、ここらからは国が背負わなければいけないんじゃないかという物の考え方、むしろその方が関係のない銀行にしょわせるというようなことよりは筋が通っておるのかもしれませんで、そこらのところの総合的判断でございます。
  133. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 お考えが違うようですが、最後に一問だけお伺いしたいんですけれども、特例業務勘定の廃止がペイオフの延期と合わせた形で一年延期されることになりました。特例業務勘定を廃止して一般原則に戻る、銀行業界自身が責任を持ってやるという原則に戻るんだと思うんです。  その時点で、この保険料ですが、金融審の報告でもあるんですけれども、一般保険料と特別保険料を合わせた額、一般保険料に戻してしまうんじゃなしに、特別保険料をなくしますというんじゃなしに、合わせた額くらいにして一般保険料として徴収するという方向をとるべきじゃないかと思うんですけれども、そのことについて大蔵大臣はいかがお考えですか。
  134. 福田誠

    政府参考人福田誠君) お答えいたします。  その時点で保険料水準をどうするかはまだ今後の検討事項でございますが、金融審議会等での御議論を一応御紹介いたしますと、特例措置終了後の保険料の水準につきましては、一般勘定の借入金の早期返済等の観点からしますと、現行の水準をベースとして検討することが必要になるのではないかというふうに指摘をいただいております。
  135. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 現行水準というのは。
  136. 福田誠

    政府参考人福田誠君) 高い水準ででございます。
  137. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 終わります。
  138. 三重野栄子

    三重野栄子君 社民党の三重野栄子でございます。  郵貯、簡保二特別会計の関連につきまして郵政政務次官に二点ほどお伺いいたします。  まず、郵貯の自主運用についてでございますが、平成十三年四月から郵貯の全額自主運用がスタートすると承知しております。郵貯は国民の貴重な資産でありまして、運用に際しては慎重過ぎるくらい慎重な運用を心がけていただきたいと存じますが、郵貯残高は平成十二年度末で二百四十八兆円との試算もあり、これだけ巨額の資金運用を行うことは簡単ではないと思います。  郵政省も昭和六十二年度から自主運用の実績をお持ちで、その運用実績についても、平成四年度以降の七年間については民間を上回っているようでございます。しかし、これだけ巨額の資金運用を行うに際しましては民間への委託運用のような方法も検討すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
  139. 前田正

    政務次官前田正君) 今、議員御指摘のとおり、平成十三年四月から郵貯、簡保の全額自主運用ということをこれから御審議いただくわけでございますが、郵便貯金とか簡保の資金というものは大変重要なものでございますので、その全額自主運用に当たりましては、市場を通じた元本保証のある安全で確実な債券の運用というものをまず基本にいたしております。  こうした運用につきましては、いわゆるハイリスク・ハイリターンをねらったような運用とは異なりまして、特殊なノウハウが不要なことから、郵貯、簡保本体で運用することといたしております。  なお、このほかに、一定のリスクを伴う運用対象につきましては、民間運用ノウハウを活用する観点から、民間への委託運用により行うこととしております。具体的には、簡保事業団を通じて株式等の組み入れ可能な指定単への運用等を行ってまいります。  このように、本体運用民間への委託運用を適切に組み合わせながら、全体として確実そして有利な運用に努めてまいりたいと考えております。
  140. 三重野栄子

    三重野栄子君 ぜひともそのようにお願いいたします。  次に、地方公共団体との関係についてお伺いいたします。  昨年十二月九日、大蔵省が公表されました財政投融資制度の抜本的改革案の中では、財政力の弱い地方公共団体の資金確保のために、自主運用開始後の郵貯、簡保は、地方債計画、財政投融資計画の枠内で、地方公共団体に対しては例外的に直接融資を行うとされておりました。  地方財政は非常に厳しい状況にありまして、郵貯、簡保を地方に還元する意味でも、郵貯、簡保がこうした役割を担うことはやむを得ないと考えます。  しかし、ここで一つ気になることがあるんですが、貸し付け条件を統一的なものにするという点でございます。この貸し付け条件はどのような過程で決定されるのでしょうか。こうしたやり方は地方公共団体のモラルハザードを招く危険が大きいのではないかと考えますが、そうした危険はないでしょうか。
  141. 前田正

    政務次官前田正君) 先生御指摘のとおり、先ほど申し上げましたように、全額自主運用移行後の郵貯、簡保の資金運用につきましては、安全で確実な債券を中心とした市場運用を行うことをまず基本といたしておりますが、郵貯、簡保の公的性格、全国の郵便局を通じて集められた郵貯・簡保資金を地域に還元する観点から、政策融資として、地方公共団体の資金確保のために地方公共団体に対しては例外的に直接貸し付けを行うことといたしております。  地方公共団体への貸し付け条件につきましては、各団体の財政規模などにより団体間格差が生じ資金調達が困難となる団体が発生することのないよう、財政融資資金とともに政府資金として統一的貸し付け条件を設定することといたしております。具体的な貸し付け条件は、郵政審議会とか財政制度審議会において審議され、所要の調整を図った上で決定をしてまいりたいと思っております。  個々の地方公共団体の起債に関しましては、起債許可制度のもと、各団体の財政状況も十分踏まえまして、国が責任を持って地方債を発行することが適当であるか否かを判断する仕組みとなっております。  郵貯、簡保の地方公共団体貸し付けはこうした現状の起債許可制度のもとで許可を受けたものについて貸し付けを行うこととしておりまして、このような貸し付けについて地方公共団体に対して統一的貸し付け条件を設定することにより、モラルハザードが生じることはないものだと考えておるところでございます。
  142. 三重野栄子

    三重野栄子君 地方に参りましても、簡保事業団で建てたとか、学校や公園に立て札がありますと大変うれしいわけですけれども、ぜひとも運用をよろしくお願いします。  次は、むつ小川原開発につきまして国土庁にお尋ねしたいと思います。  むつ小川原開発の処理問題につきましては、国土庁と青森県との交渉が長引きまして、平成十一年十二月ようやく決着を見たというふうに承知しております。交渉の過程では青森県の木村知事が頑張ったとか、国土庁サイドから見れば苦戦したとかいうようなことが新聞で報道されておりましたが、国土庁はどのようにお考えであろうかというところでございます。  決着を見た処理策に対して国土庁としてはどのような評価をされておりますでしょうか。また、むつ小川原開発の今後についてどのような展望をお持ちでしょうか、お伺いいたします。
  143. 芳山達郎

    政府参考人(芳山達郎君) お答えいたします。  昨年末に関係者間で合意を見ましたむつ小川原開発の再建スキームについてでございますけれども、現在のむつ小川原開発株式会社を清算しまして、借入金に依存しない形での土地の一体的な確保、造成、分譲を行う新会社を設立するということを基本としております。具体的には、新会社の資本金額をむつ会社が所有する土地の時価評価額に会社設立費用を加えた額としまして、現在のむつ会社の出資割合に基づいて国、青森県、民間がそれぞれ相応の負担を行うものであります。  今回の処理策は、昨年八月にその基本的な考え方をまとめて以降、国、県、民間など関係者がそれぞれの立場で最大限の協力を行うという前提のもとで鋭意協議を続けてまいりました。その結果取りまとめられたものでございます。  お尋ねの青森県との協議につきましても、今後の開発構想のあり方ないしは具体的な処理スキーム等について真剣かつ精力的な協議を進めてまいりました。その結果、開発構想部会の設置を見たところであり、こうした経緯を踏まえまして、昨年十二月に国土庁長官と青森県知事との間で処理策の合意がなされたところでございます。  こうした経緯のもとで、昨年十二月二十四日の閣議了解におきまして、政府として、我が国に残された貴重な未利用地でありますむつ小川原地域の重要性にかんがみ、経団連等の協力のもとで新会社の事業の円滑な推進が図られることを前提に産業投資特別会計からの出資を受けて日本政策投資銀行の出資を行うこととしまして、平成十二年度政府予算案に新会社への出資金二百九十四億円を盛り込んでおります。また、青森県におきましても、県議会二月定例会に上程しております平成十二年度当初予算に新会社への県の出資金八十九億円が盛り込まれておると聞いております。  今後、この処理策のもとで、地元青森県はもとより、我が国、さらには産業界のためにも、将来にわたって生かしていかなければならない地域として今後に向けて土地の一体的な確保とその活用が図れるよう全力を尽くしてまいりたいと考えております。
  144. 三重野栄子

    三重野栄子君 今お伺いいたしましたが、もう少しお伺いしたいと思います。  むつ小川原につきましては、将来への一歩を踏み出す前に、二千四百億円を超える債務を抱え破綻に至ったことについて過去の検証が必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。苫東については、平成十年十一月、「苫東開発をふりかえって」といういわば反省文のような報告書が出されております。むつ小川原についても同様の報告書を提出する必要があるのではないかと思うわけです。その点につきましては、平成十一年四月に衆議院の大蔵委員会におきまして国土庁の地方振興局長も、国土庁として何らかの取りまとめをしたいと考えていると答弁をしておられます。  昨年十二月にそのような報告書をお出しになられたということでございますけれども、今日まで提出がおくれた理由というのはどういうものがあったのでしょうか。また、この報告書から将来に向かって学ぶべき点があるとしたらどういう点がございましょうか。今も幾つかあったと思いますけれども、もう一度改めてお伺いいたします。
  145. 芳山達郎

    政府参考人(芳山達郎君) 御指摘がありましたように、むつ小川原計画は、四十四年の新全総以降、累次の全総計画で位置づけられております大規模プロジェクトでありまして、青森県が基本計画を策定して、国におきましてはこの基本計画を参酌しつつ所要の措置を講ずる旨の閣議口頭了解を行いまして、また旧北東公庫、青森県、また民間が出資したむつ小川原開発株式会社が用地を買収、造成、分譲するということで、関係者の多岐にわたる協力と連携のもとに進められてきた事業でございます。  しかしながら、その後の二度にわたる石油危機、産業構造の転換など経済社会環境の大きな変動もありまして、結果として企業立地が必ずしも十分ではありませんでした。開発の推進主体でありますむつ会社は平成十年十二月に元利払いの延滞状態に陥った次第でございます。  御指摘がありましたように、開発の経緯について十分な検証が必要であるという観点から、開発に係る経緯や推進体制について検証を行うため、昨年秋に学識経験者によりますむつ小川原開発点検委員会を設置しました。昨年末にこれまでの総点検と今後に向けての対応について報告書が取りまとめられまして、公表されたところでございます。  その中で、社会経済情勢の大きな変化、また開発初期におきます用地の先行的また全面的な取得など、このような客観的な要因も指摘された上で、一点目でございますが、計画の見直し等に係る柔軟かつ機動的な対応に欠けていたのではないか。二点目は、官民の多岐にわたる事業の推進の結果として、プロジェクトの総合的な推進に係る責任体制が不明瞭なものとなり、相互依存体制を強めていったのではないか。三点目は、設立当初から有利子借入金に大幅に依存する形で事業が進められたということで、会社の債務累積構造を招いた。こういう三点が主に指摘されております。  したがいまして、こういったこれまでの長い開発経緯を踏まえた厳しい総括と反省に立ちつつ、今後、関係者と相協力しながら、むつ小川原開発の再建に向けて具体的な取り組みを精力的に進めてまいりたいと考えております。
  146. 三重野栄子

    三重野栄子君 どうも御苦労さまですが、さらに御検討をお願いします。  次に、財投機関債についてお尋ねいたします。  国民生活金融公庫総裁日本政策投資銀行総裁国際協力銀行総裁、お忙しいところをわざわざおいでくださいましてありがとうございました。御三方並びに大蔵大臣にお伺いいたします。  まず、財投機関債の発行についてでございますが、昨日の本委員会におきまして、大蔵大臣は、各財投機関に政府保証のない財投機関債をできるだけ発行させることが必要である旨の御答弁をいただきました。  確かに、平成十三年四月からスタートします財政投融資改革は市場原理の導入を目指したものでありまして、財投機関債の発行はそうした理念に沿ったものと言えると思います。しかし、各財投機関の姿勢は消極的でありまして、本日お越しいただきました日本政策投資銀行国際協力銀行総裁の皆さんは財投機関債を出すことは難しいとの見解であるようでございます、後で伺いたいと思いますが。  確かに、日本の資本市場はまだ未整備なところがありまして、日本の市場で発行することは困難かもしれませんけれども、資本市場が整備された海外の市場でそうした債券を出すということは無理なのでしょうか。工夫次第では可能な感じもするわけでございます。日本政策投資銀行国際協力銀行は財投機関の中ではかなり優良な部類に入っておられるわけですから、こうしたことには先陣を切っていただきたいと思うわけでございます。  まず両総裁から。やっぱり大蔵大臣に初めに伺いましょうか。その点につきましてよろしくお願いします。
  147. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 後にしてください。
  148. 三重野栄子

    三重野栄子君 そうですか。それでは、どちらからお願いしましょうか。日本政策投資銀行からひとつよろしくお願いします。
  149. 小粥正巳

    参考人(小粥正巳君) お答え申し上げます。  日本政策投資銀行といたしましては、財政投融資制度改革の趣旨に沿った対応を図るべく、資金調達のあり方につきまして現在幅広く検討を行っているところでございます。  目下勉強中というのが正直なところでございますけれども、お尋ねでございますから率直に申し上げますと、私どもは、日本政策投資銀行法に基づき主務大臣が策定される中期政策方針に規定されております地域整備、生活基盤整備、そして経済活力創造といった重点分野におきまして、これまでと同様、長期、固定そして低利の安定した資金供給を行っていくということが求められているわけでありますが、それを可能とするような資金調達が安定的かつ継続的に可能であるかどうか、この点をまず十分検討させていただきたいと考えているところでございます。  それから、市場は動くものでございますから、その時々の市場状況によりますけれども、結果的に資金調達コストがこれまでより上昇いたしまして、私どもに期待されております政策効果が十分発揮できなくなるようなことがないかどうか、また法律によって義務づけられております収支相償原則をこれまで同様維持できるのかどうか、そういう問題と申しますか、観点も踏まえながら実際の発行可能性につきまして現在鋭意検討を行っているところでございます。  それから、海外での起債についてお尋ねがございました。  ざっと申し上げますと、旧開銀ではこれまでに通算六十七回、円換算で合計一兆六千億近くの外債を発行しておりますし、また旧北東公庫におきましても九回、千百億円ばかりの外債を発行してまいりました。日本政策投資銀行になりましてからも、一回ではありますけれども約八百億円の外債を、これはいずれも政府保証債として実は発行してきております。これらは政府保証を背景にしておりますので、市場におきまして高い信認を得ておりますし、投資家にもなじまれている、こういうことで、資金調達を市場の状況を見ながら海外でも行ってまいっております。  そういうことでございますが、今の三重野委員からのお尋ねの点につきましては、冒頭申し上げましたように、現在、財投改革の趣旨に適切に対応できるように一生懸命勉強、検討させていただいている、そういうことでございます。
  150. 篠沢恭助

    参考人篠沢恭助君) 国際協力銀行でございます。  昨年十月に旧輸銀と海外経済協力基金が統合して発足しておりまして、業務の内容はそれぞれやっておりましたものを引き継いでおりますので、かなり多岐にわたる業務内容となっております。  そういう中で、最近ではアジア通貨危機への対応、現地経済の復興支援、日系企業の支援といったようなかなり難しい局面におきまして、いろいろリスクテークもしながらの大きな融資活動を行っておりまして、アジア支援だけで見ますと、四兆九千億というような実績を持っておるわけでございます。  そこで、財投機関債の件でございますが、私どもの銀行は開発途上国向けが貸し付けの大宗を占めておりまして、かつそれはリスクテークを必要とするといいますか、普通のマーケットの評価の目から見ますと大変取り扱いが難しい、そういうようなものに私どもは積極的に仕事をしていく必要があるという面がございます。  そういうことでございますと、そこで出します財投機関債というような債券が市場からどういうふうな評価を受けることになるのか、あるいはその評価の結果、資金を調達するわけでございますが、それが私どもに求められております役割、機能を十分に果たすだけの答えが出てくるかどうかといったような難しい問題はあろうかと思います。そういったことを含めまして、現在いろいろと多角的に検討を続けておるところでございます。
  151. 三重野栄子

    三重野栄子君 国民生活金融公庫総裁には貸し渋り対策で非常に御健闘いただいておりますが、現状について一言いかがでしょうか。
  152. 尾崎護

    参考人尾崎護君) 貸し渋り対策が始まりましてから一年余の間は非常に貸し出しが伸びまして、それに追われたわけでございますが、政府におかれましていろいろと保証面でございますとか対策を広げられましたものですから、ここのところ落ちついている貸し出し状況にございます。  ただ、まだ何とも今後の様子がわからないところもありますし、この二月は少し貸し出しがふえてきておりますので、貸し渋り対策に欠けることのないよう今後も努力を続けてまいりたいと存じます。
  153. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) どうも様子がおかしいのでお返事は後に回させていただいたんですが、聞いていますとなかなかやりますというようなお話でありませんね。それは困るので、全体のことも、これは法律が通りましてから来年のところまでまだ時間がございますので、よく両行の総裁、副総裁とも事務当局もまずお話をしまして、そしてこういう制度になりましたらそういう制度の中で御苦労をいただかなきゃならないところもあるのではないかと思います。  今きちんとお返事を申し上げられませんけれども、私にとっては、少なくとも注意を喚起してくださいましたので、よくみんなで相談をいたしまして仕事がしていけるように考えたいと思います。
  154. 三重野栄子

    三重野栄子君 どうもありがとうございました。  終わります。
  155. 椎名素夫

    椎名素夫君 きょうの委嘱審査の範囲からちょっと外れておるかと思うんですが、いわゆる思いやり予算についての質問をさせていただきたいと思います。  私は昭和五十四年に初めて国会議員になったんですが、五十五年に大蔵大臣が官房長官をやっておられたとき、それから中曽根内閣で大蔵大臣をなさった、そういうことをずっと通じて、いろいろと日米の安保協力について端っこの方で仕事をさせていただいて随分御指導いただいたわけです。おかげさまで、あの当時、最初はいろいろ問題がありましたけれども、日米間でつまらない摩擦というのは大体起こさないで済んだというふうに思っております。  最近ちょっと気になりますのは、私の感じでは、小さなお金の話で思いやり予算を削ろうかとかいうようなことで、下の方のレベルでやっているならいいんですが、これが大臣の話になったり、大統領までがあれはそのままにしろとか、そういう物事の実質に応じ比例のとれないような騒ぎにどうも時々なる。まだなり続け、特別協定が改定されるときにまた問題になるだろうと思うんですが、これは非常に愚かな話であろうと実は見ているわけであります。  それまで日米同盟関係というのはある意味では自動的にどんと流れていたわけですが、冷戦が終わってしまうと少し国際関係というのは昔に戻って、それぞれがそれぞれを選んだり、あるいはどこと組もうかというようなことを考えたり、むしろ少し複雑になってきて、日米同盟というのはあの冷戦のときよりもっと大事に大切に扱わなきゃいかぬということになってきているんだろうと私は思っております。  そういう中で、決してこの周りはずっと平和であり続けるだろうという気もいたしませんし、いろいろ火種というのが相当顕在的にもあるいは潜在的にもあるという中で、今のようなことが起こりますと大変につまらない話なので、この日米同盟関係のマネジメントというのは相当丁寧にやっていかなきゃいけない。そういうときに、確かに財政状況は厳しいということでありますけれども、こういうことで一文惜しみの銭失いみたいな話になったんじゃばかばかしいという気が実にしているわけです。  きょうこれを伺おうと思ってちょっと探してみましたら、実は去年の四月十三日に衆議院のガイドラインに関する特別委員会で、伊藤茂さんの質問に対して、大蔵大臣の大変に我が意を得たりというような御答弁がありまして、これを読みましたらもう伺う必要もないかと思いましたけれども、せっかくでございますので。  いろいろなことを言っておいでになって、最後に、「財政は確かに厳しゅうございますけれども、日本の安全に関することであったら、やはり削減するのはそれは一番最後だ、ほかに削るところがあったら削らなきゃならないぐらいに私は考えております。」、伊藤さんが聞いたものですから、「お言葉に逆らって申しわけありません。」と、こういうことになっておりますが、今もそういうふうにお考えだろうと思います。  それだけでなしに、こういうことが、何かまた日本からけちなことを言ってきたというような話が、うまくやれば実際は少しけちでもいいんですが、アメリカの新聞に載ったりして、何だ、日本人はまたけちなことを言いやがってと、殊に向こうの議会なんかはうるさいのがたくさんおりますし。そういうことにならないようなマネジメントを、むしろ大蔵大臣のお仕事の範囲じゃなくて、外務大臣か何かがやるんでしょうけれども、少し御指導いただいて、お金の交渉もお金の交渉ですが、そういう全般的なマネジメントに少し目を配っていただけないものかというお願いをいたしまして、質問のような妙な話ですが、これだけお聞きすればきょうは終わりにいたします。
  156. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) この問題につきましては、まことに長い年月、椎名議員が御自身で積極的に関心を持たれ動かれたことをよく知っておりますし、御尊父様はなおさらそれについて大変なお力をなさった方でございますので、御質問はまことにごもっともだと思って承っております。  実はこの国会になりましてから予算委員会等々で二、三度この御質問を受けておりますので、私はこうお答えしております。ただいまこの問題は我が国の外務省、防衛庁当局がアメリカといろいろ交渉をしている問題と存じておりますのでその帰趨を見ておりますが、私としては、国の安全、日米の親善というのは最も我が国にとって大切な問題であると考えておりますと、そういう御答弁をいたしております。  両国でいろいろ厳しい交渉、やりとりを関係者がしておるんだと思いますけれども、アメリカの側でひょっとしておまえの国の大蔵大臣は金なら幾らでも出すと言っているじゃないかと言われますと、これは大変に交渉しておる人には迷惑だと思っておるものでございますから、今のように国会ではお答えをいたしておりますが、この問題は我が国にとりまして最も優先度の高い問題であると心得ております。
  157. 椎名素夫

    椎名素夫君 ありがとうございました。  終わります。
  158. 平田健二

    委員長平田健二君) 以上をもちまして、委嘱審査は終了いたしました。  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  159. 平田健二

    委員長平田健二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  次回は明十六日午前九時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時十九分散会