○椎名素夫君 それで、先ほどの消防車の例を言いますと、橋本さんは出さないといってもうガレージに入れちゃう。しかし、そうしたらうまくいかなくて、やっぱりそういうこともやらなきゃということなんでしょうが、それから後、言う人に言わせれば、もうよそからまで消防自動車を借りてきてそこら中にぼやまで出しているというようなことを申しますね。
しかし、先ほどからの
お話、それから最近のいろいろの御発言などを伺っておりまして、大変にいろんなことをのみ込んでおられると。特に私はそうだなと思いましたのは、グリーンスパンとの
お話で
アメリカの
経済の例を引かれて、そういうことは来ると、近いうちに
日本の
経済にも。それは全くそのとおりのように思うんです。
しかし、これは非常に難しい話で、言ってみれば、大きな言葉を使うとパラダイムが変わっていくわけですから、そこで新しいモデルをつくるというのは大変難しいということはよくわかりますけれども、
そこらあたりが見えないと、ただただいつ
景気がよくなるんだろうなという気分ばかりが今蔓延していて、お役所のモラルハザードというのがよく言われますが、それと同時に非常に広い範囲でモラールハザードというのも起こりつつある、それがまた
消費などに響いてきているという感じがするんです。
大変難しいことかもしれませんが、ほかの方が
大蔵大臣になったときとは違ってよくわかっておられるので、そのあたりの新しいパラダイムに転換していく
経済というものについて、はあなるほどそうなると問題は相当いろんなことがほぐれてくるなということを少し説明していただくといいと思うんですね。それがないものですから、みんな元気がなくなっちゃっている。
それから、もう
一つ気になりますのは、
大蔵省の諸君が今非常にいい
大臣を持って快適だという感じを持っておられると私は思っております。というのはどうしてかというと、みんなわかっちゃっている、この
大臣は。その上で、世間がいろいろ悪口を言っても、やるべきことはやるんだということでやっている、わかっているよと言う、しかし時には何でもありということもあるなと言ってくださる
大臣というのは非常にいいものでして、恐らくそれで快適なんだろうと思うのですが、それを余り全部抱きかかえてしまうと、
大蔵省の諸君が安心してその揺りかごに入ったような感じで物を
考えなくなるんじゃないかと思うんですね。それがとても怖い。
いろんなことで
お話を伺ったりしたときに、例えばいろんな問題が出ました、今までも。中期試算ですか、ああいうものは一体どうなんだこうなんだと。二%や三%
成長しても
財政は全然よくならないじゃないかというようなことを聞かれると、いや、いろいろ
考えておりますと言うんですが、余り
考えているという感じがしないんですね。ですから、そういう
意味ではそれはモラールハザードであって、これについても
大臣が余りわかっていて、わかった上でやっているんだという安心感を余りお与えになると皆さん物を
考えなくなるおそれがあると思いますので、その点はぜひお気をつけいただきたい。
それから、もう
一つのモラールハザードの方は、大変難しいことでしょうけれども、御自身でおっしゃらなくても結構ですから、確かに新しい、何というか
経済の形というものが変わっていくということは私もそう思っておりますし、またそうならないと二十一
世紀はうまくいかないだろうと思うので、ぜひその点もお願いしたいと思うんです。
これをやりませんと、どうしても古いセクターに引っ張られることになりがちであると。これは各国の政治家に聞いてみてもそうなんですが、政治に駆け込むのはみんな古いセクターなんですね。新しいセクターは忙しくて永田町や霞が関なんかに来ないんです。その人たちが
伸びて新しい
GDPを創出し、雇用をふやし、そして株価の平均も上げているというあたりが余り顔を出さないと見えない。もう
伸びがとまった、あるいは少し落ちかけている人たちは何とか工業会とかいうのをつくって、専務理事か何かをお役所から雇って、その人たちがこのあたりを徘回するというのが大体の姿でありまして、その姿が余り大きく見えるとどうしても新しいパラダイムの変換というのが難しくなる。ここはやっぱり我々政治家は忙しくてなかなかかぎ回るわけにもいきませんけれども、お役所の方々もよくよく
そこらあたりを
考えていただきたい。
ただ、何か飯食ってもコーヒー飲んでもいけないというようなことをこのごろ言いますから、皆さんおつき合いが悪くなっちゃうとそのあたりがまたおかしくなるというような変なこともあって、大変でしょうけれどもその点をぜひお願いしたいということを申し上げて、御感想を伺います。