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今井澄君 もちろん
利用者の
方々、それと広く
国民の
意見を聞きながら納得できるような
改革を徐々に進めていかなければならないと思うんですが、ただし
改革の方向というのは、先ほどから何回も申し上げておるように、市場原理の導入だ、
利用主義だということでもうそれはしかれちゃっているわけです。そうなりますと、あとはどの分野からどういうスピードでいくかという、そのことに関心が現実的にはもう来ているというのは事実なんだろうと思うんです。だから、それだけ心配も多いんですよ。
それだけに、今度の
法改正は、多くのことを政省令事項に残したまま、あるいはどの
事業は
利用主義にするんだ、どの
事業は
措置制度に残すんだということが
余り明確にならないまま
基礎構造改革ということだけが、
ぼんと
理念だけが前に出ているから、余計見えにくいし不安をあおっているというのが問題だと思うんです、あるいは
精神障害の問題はわきに置かれているということもありますし。そういうことで、私はもう一度これは整理し直さないと何か不安が出てくると思うんです。
そこで、実は私も
基本的には、もしできるならば
措置制度ではなく
利用制度の方がいいと。
介護保険が始まってわずか一カ月ちょっとですけれ
ども、この中で既にそういう
意味での成果、権利性の意識とか、これは苦情の申し立てという形でもう現実にあらわれているわけです。それからもう
一つ、地方分権ということで非常に地方がやる気になっているという
意味では、非常に大きな成果が上がっているという
意味ではこの
福祉の今回の
改正も、かつての
福祉六法の
改正に続き、
事業を拡大しそれの総合化を図ると同時に地方分権を進める、またその中での権利性もはっきりさせていくことは
基本的にいいことだと思うんです。
しかし、例えばこの前、高額所得者の番付が発表になりました。あの中に乙武さんの名前があったわけですね。非常にすばらしいことだと思うんです。障害を持っていても頑張る、頑張れるということで非常に大きな希望を与えてくれて、高額所得者の名簿にまで名前が出ると。そういう方はやっぱり頑張ってもらいたいし、そういう方が頑張れるような環境を
整備するのが我々の役目でもあると同時に、しかし一方で、先ほどから何回も引用している、そうはいってもできない人もいますねという、そこが問題なんですね。
障害者の所得保障をどう
考えるか。基盤さえ
整備すれば、競争社会の中でどんどん競争して頑張って収入も得られるという人もいる一方、なかなかそういう条件を
整備しても必ずしもそういうところまでいかないという方たちがいるわけです。
知的障害者の皆さんがすべてそうだとは私は申し上げませんし、
知的障害者でも芸術家として有名な方とかいろいろいるわけですから一概には言えませんけれ
ども、私も長年地元の
知的障害者やそういう
人たちとのおつき合いを医者としてもやってくる中で、これまではそういう方たちの所得の問題でも生活上の問題でも
施設に預けながら全部親が最終
責任を負っていたわけです。
今、何が問題かと。親亡き後の心配というのがこの方たちの最大の心配になっているわけです。そうしますと、親亡き後の何かといったら、
一つは
施設とかそういうものと同時に、所得保障なんだと思うんですよ。
そうしますと、
障害者について、その生活の実態あるいは家計の実態、あるいは労働、社会参加の実態等を丁寧に調べて、どういう障害種別で、どういう
人たちが、どういう条件を与えれば
自立ができていくのか、あるいは条件を与えてもなかなか
自立できない、収入を得られない。そういうふうなことについての実態調査というのをきちっとやった上で、どういうところに手を差し伸べる人々がいるのかということを明らかにしなきゃいけないと思うんです。
これは、この前、年金のときでもいつでも、私はこの三年間ほとんどこの
委員会でいつも言い続けているんですが、今、手を差し伸べなければならない低所得者の定義というのは全く形式的で古いんですよ、住民税非課税世帯とか住民税非課税
個人とか、老齢
福祉年金受給者とか障害年金受給者とか。そういう過去にずっとできた古い制度の中で認定された人や、そういう種別に入る人だけに
支援をするというんじゃなくて、こういうふうに新しい
改革を新しい時代に向かって踏み出そうとする以上はきちっと実態調査をして、本当にその
人たちの所得は環境さえ
整備すれば自分たちで獲得できるのか、それとも公的に助け合いの精神で
支援しなければいけないのか、そこまで含めて
社会福祉施策・
事業を展開しなきゃいけないのか。
そういう
意味でどうしても、
介護保険のときには私
どもは低所得者の新しい概念、実態、そういうことを調査してやるべきだというふうに申し上げたんですが、その辺はどうでしょうね、今度の
社会福祉事業法等の
改正をするに当たって、きちっと
厚生省としてもその辺、実態調査や新しい
考え方、そういうことを打ち立てる必要があるんじゃないかと思うんですけれ
ども、
大臣、いかがでしょうか。