○堂本暁子君 けさの
公聴会で何人かの方の御
意見の中でも、審議会の
委員でいらっしゃる方でも、結構今度の改正については批判的な御
意見が多いことに驚きました。
例えば高山先生も、学生が、いわゆる収入のない人が
年金に入る、そういう社会保障の制度に入るということは異常だということを何人かの方がおっしゃって、
日本は非常に例外的な国であると。私もよそのことを知らなかったものですからそうかなと思って伺いました。実際に働き始めるのは、十八歳から大学院を出れば三十歳の人もいる、入り口がそういうふうにばらばらなのであれば出口もばらばらでもいいのではないかというふうにおっしゃったんですね。それを六十五歳で切ってしまうのは一体どういうことなのだろうか。そして、実際に六十歳から今度六十五歳に
引き上げても、現時点では二%から三%、五万人
程度である、そのことのために今景気が悪いときにむしろ労働意欲をそぐことになるのではないかということを高山先生はるるおっしゃったんです。私も本当にそこのところはそう思います。
今回、
財政的な理由からの改正というのは理解いたします。しかし、この間ずっと申し上げてきたように、今回の改正では不公正はどうも十分に是正されない。これは女性の問題だけではないです。いろんな是正が必要だと思う。
例えば、きょうの
公聴会でもう
一つ印象に残ったのは零細企業。会社に勤めていても会社が
厚生年金に入らないそういった零細企業では、夫と妻はともに一号の被
保険者になる、そうすると同じ妻の
立場にいてもむしろ収入が少なければ少ないほど二万六千円の
保険料を払うわけです。それに対して、大企業だったら妻は免除されている。こういう不合理が実際に出てきているわけです。これは別に女性の問題ではなくて、やはり男性でも同じだと思います。
厚生年金に入れなくて第一号の被
保険者になるというようなことがあるということをきょうおっしゃいました。
私がそこのところで、るる今までにも申し上げてきましたけれ
ども、どうしても今回やればやるほどだんだん納得がいかなくなってきている最大の理由は、こういう保険制度を続けていると社会保障のあり方というのが、一号、二号、三号の間の不公平あるいは制度間の不公平、それから一番大きいのは職種間の不公平、そしてどう
考えてもやはり貧しい人の方にしわ寄せが行くようなことに、この零細企業の場合をとっても間違いなくなっていると思います。実態を
考えるとそうだと思うんです。それから、農村の女性の場合もそうだというふうに言えます。
従来の制度というのは高度
経済成長期に生産と企業に利するような形で寄与してきた、これは事実だろうというふうに思うんです。七五年の改正については、
大臣は女性に
年金権を与えた改正なのだと何度もおっしゃった。確かに
年金権は与えられたかもしれない。しかし、その改正ゆえに性役割の分担、男は仕事、女は家庭という性役割が固定化したことが
一つ。そして、そのために男性が会社人間化せざるを得なかった。だから、過労死とか五十歳の自殺なんというのは本当に苦しいことなんですが、それがそういう形で出てきた。女性の
意見が分かれるとおっしゃいますけれ
ども、女性の
意見が分かれるという問題よりも、こういう制度のための社会構造がやはり晩婚化を生み、少子化を生んでいるということを一番最初のときに申し上げました。
ついさっき見つけた
資料なんですけれ
ども、私がなぜこのことが今回の改正に入らないことに大変不満を抱いているかといいますと、社会保障制度審議会の九五年の準備作業として九四年九月に出された社会保障将来像
委員会第二次報告というのがあります。
その中でどう言っているかというと、妻は家庭内にとどまり夫に扶養されるのが一般であった家族の姿を前提とした社会保障、税制などの社会制度を見直し、主として常用の男子労働者を念頭に置いて構築されたこれまでの社会保障制度を再編し、世帯単位中心のものからできるものについては個人単位に切りかえることが必要である。
これは九四年です。五年前に言われている。五年前に言われているにもかかわらず、今二〇〇〇年ですね、もう六年たっている。なのに、これはこれからの課題でございますというふうに
厚生省も
大臣もずっと
答弁されている、これから審議会でやります、これは五月になったらやりますと。これは、女性の問題でも学生の問題でも何でもなくて、やはり
日本の社会構造の問題だろうと思うんです。高度
経済成長期の社会構造から低成長期の社会構造への転換をするために一体どうあるべきなのかということだと思うんです。
私は、もうこのことで多くを述べるつもりはないんですけれ
ども、やはり審議会のあり方自体も間違っていると思います。審議会の中にどういう方が入っていらっしゃるかというと、専ら学識経験者が七人、それから組合、労働界から四人。一号被
保険者の妻の
立場とか零細企業の
事業主の方とかそういった方は、
意見は聞くのかもしれませんが、審議会のメンバーには入っていない。だから、
意見を聞き及んでそれで終わってしまう。農村の妻の
立場で入っている方がおられるでしょうか。そういった方もおられない。
これでは、私は、抜本的な
改革をしない限り女性の問題だけに特化してもだめである、あくまでも抜本的な問題を解決しない限りこういった矛盾を次から次へとまた引きずって五年、十年とたっていったときに社会自体が非常に疲弊するというふうに
考えますが、
大臣がそこでいつも申していますけれ
ども、これは
意見が合う合わないの問題ではない、やはり
大臣の決断だと思います。政治の決断が必要です。そうでない限りできないと思っておりますが、はっきりしたお返事をぜひともいただきたいと思います。