○今井澄君 そこで、今
大臣も言われた、
高齢者は平均値として豊かになっているけれ
ども実は二極化しているのだと、そこが非常に大事だと思うんです。
私は、これは時間の
関係もありますのでまた年金の審議の中でできればやりたいんですけれ
ども、例の六十五歳支給問題、減額率も
関係して、支給開始年齢を先に延ばすというのはだれにとって有利かというと、要するに高齢になっても働ける人というのは大体経済的に豊かな人が多いんです、インテリゲンチアであるとかあるいは社会的地位や何かを持っているとか。だから、例えば年金
審議会に参加するような人にとっては、あるいは
厚生省のお役人の人にとっても六十五歳にしても痛くもかゆくもないわけですよ。
私も実は昨年、六十歳になりました。年金をもらう年齢になりましたけれ
ども、まだまだ
自分じゃ働けると思っているわけです。私たちのような層はいいんですよ、六十五歳になったって大したことないんです。ところが六十歳で、定年がどうなるかわかりませんが、それ以降働こうと思ってもなかなか職を得られない。そういう人が問題なんですよ、実は。そういう人のところにきちっと年金が行って
生活保障ができなきゃならない。
きのうも減額率のお話のときにも申し上げましたけれ
ども、やっぱり減額してでも早くもらわざるを得ない
人たちがいるんですね。それは私たちのような世代、層じゃないんですよね。そこのところをやっぱりはっきり分けて考えなければならないので、例えば六十五歳にふやすんじゃなくて、加入期間を四十歳、四十五歳にすればどうだろう、そうすると低所得の人には有利で高所得の
人たちはなかなか満額年金をもらえない、それでいいじゃないかという説もあるわけですから、その辺ですが。
ところで、私
どもはこういう社会保障の
充実安定ということは大事だと思ってこれは頑張らなきゃならないわけですが、一方では、先ほどの不安の原因の
一つが借金ということも申し上げました。少なくとも景気がいつ回復するかはともかく財政構造改革にもう一度手をつけなければならないことも事実なわけですね。財政構造改革、この日本の借金財政を何とかするということになってくると、これはそう先のことではないと思います。私
どもは二兎を追うべきだと主張しております、小渕さんはとりあえずは一兎だけだという話ですが。
そうなりますと、今年度の
予算を見ても、これは例年同じなわけですけれ
ども、政府の一般歳出
予算のうちの約三分の一は
厚生省予算なわけですね。来年度
予算も一般会計が八十四兆九千何がしということで約八十五兆、そのうちの一般歳出が四十八兆九百十四億円ですか、そのうち
厚生省予算が十六兆八千七百三億円、伸びにしても比率にしても大きいわけですね。三五%が
厚生省予算。そうなりますと当然、財政構造改革、どこかで削減に手をつけるとなると、まず
厚生省の
予算がねらわれることは間違いないわけですね。
これは
平成九年の財政構造改革の推進に関する特別措置法案というその要綱を見ましても、まず第一に総則がありまして、次に第二、各歳出分野における改革の
基本方針云々というところの一に社会保障が来ているわけですね。何といってもこの社会保障
関係費がまず削減の対象になると。この前の橋本内閣の財政構造改革のときには当初
予算における額を対前年比百分の百二を乗じた額を上回らないということで、二%という枠をはめられたわけですね。ことしは三・六%、社会保障
関係だけ見れば三・九%ふえているわけですね、
厚生省予算。そうすると当然ここへ来るわけです。何が何でもこれを全部守りながら財政構造改革というのは、これはできない相談だと思うんです。
この中身を見てみますと、一番額として多いのが
医療保険
制度の
予算が約六兆八千億円、それから次が年金が五兆一千五百億円、次が介護で一兆九千億円、その次が社会福祉施設の運営費の補助金等、その次が各種の手当、それでその次が
医療費を除いた
生活保護費ということになってくるわけですね。
そうすると、この中でどれを削るかということなんですね。私は端的に申し上げますが、年金については今国庫負担をさらに上げようということもあり、これはまた別枠ということも、目的税ということもあり得ると思いますが、ここを削っていくことは難しいだろうと。不当に年金をもらっている人はそうはいないだろう、お金持ちの場合はもうカットしますよと言わない限りそれは
制度上非常に難しいだろう。そうすると、額としても多いしむだもあると言われている
医療費を削るしかないと思うんですね。ことしも
医療費が大分ふえておりますが、残念ながらそれしかない。じゃ
医療費のどこを削るかといったらやっぱり老人
医療費だと思うんですね、率直に言って。
というのは、欧米に比べて異常に、若者に比べて高い、一人当たり
医療費が高いということもあります。それから、かねがね私申し上げておりますが、一人当たり老人
医療費が日本じゅうで一番少ないのが我が長野県です、五十万弱。一番高いのが北海道の八十八万、一・八倍の差がある。じゃ、長野県と北海道とお年寄りがどちらが健康なのか、どちらが生きがいを持っているのか。長野県は
医療費が一・八分の一というか、それだけ少ない分だけ北海道に比べて不幸かというと決してそうではない。むしろ、幸せな面もあるということを考えると、明らかにむだがあるということはこの数字からだけでも明らかである。
私は、そういう点で、老人
医療費をきちっと削るということをやらない限り、年金も
医療も介護も全部削られたら、それこそ
国民は泣くに泣けないと思いますが、いかがでしょうか。