○堂本暁子君 八五年の
改正以後、私はこの十五年の間に二つ大きく変わったことがあると思っています。
一つは、この
制度ができたがゆえに性役割分担、男は仕事、女は家庭という性役割分担が固定化したことです。
今、パートで働いている女の人の中で、この
制度を活用したいがゆえにパートに、要するに百三十万円の
収入以下に甘んじているのだと答えている方が三五・一%です。三分の一ですね。ということは、そういう
人たちがもっと能力があっても、実際に自分で被
保険者になっていくというような、常勤になって二号になる、あるいはもっと大きい
収入を得て一号になるというような選択をあえてしない、そういう社会をつくってしまった。
その結果としてどういうことが起こっているか。それは、まず晩婚。これはこの間るる申し上げて、私が言っているだけではなくて、厚生
白書の少子化の原因というところにそういうふうに書いてあります。これが少子化の遠因にもなっている。あえて少子化ということで申し上げればそうですけれども、
女性のあらゆる意味での社会進出に大変マイナスの社会
制度だというふうに思っています。
二つ目の変化というのは、去年六月に男女共同参画社会基本法が成立いたしまして施行されておりますが、そこにきちっと書いてありますことは、二〇〇〇年度内に
社会保障制度などの差別的な
部分について見直しをするということですが、今いつになるかわからないと。
新聞の記事では二〇〇四年というふうに書いてありますが、本来であれば二〇〇〇年度内にこれはやっていただくべきことだったわけです。ですから、そういった不公平をどこまでも継続していくということは大変よくないのではないかと思います。
こういう
制度が続く限りパートタイムに、
女性はどうしてもそこに追い込まれていくような構造がありますし、そこでは大体男性の半分
程度の
賃金、
賃金格差は
世界的に見ても
日本は非常に大きいのですが、そういった
状況の中に
女性が置かれるということ。
八五年以降のプラス面を見れば、確かに
女性が
年金権を獲得したということかもしれませんが、厳密に言わせていただくと、それは結婚という形態をとっている
女性だけです。もうるるけさからずっと未
加入者そして
未納者の、
先ほどの御
答弁では百七十二万人。もしこれが半分
女性だとすれば八十六万人です。その
審議会の中に果たしてこの八十六万人を代表するような
女性が入っているのか、男性が入っているのか。そういった大きい組織の中で結婚した
女性の利益代表はいるかもしれない。しかし、むしろ私が問題だと思うのは、こういった未
加入、
未納の、本当に今や
保険料が払えないで
年金権を持っていない
女性は、男性も悲惨かもしれませんが、
賃金が男性の半分しか得られないという
状況の中でその
人たちは一体どうなるのでしょう。
この間ずっと私が話させていただいてきたプロセスの中での
お話は賛成と反対があります、そして千二百万人の三号被
保険者からは反対があります。だれだって、本人は
保険料を一銭も払わないで、そして
年金も遺族
年金もいただけるんだったら、それは権利主張をするに決まっています。
ですけれども、行政がやるべきことは、そこで公平でなければいけないということです。結婚した
女性だけが何でそういう利益を得るのか。その先には離婚の問題なんかもありますけれども、そういった三号被
保険者の妻だけがまさにそういう利益を享受しているわけでありまして、そうじゃない
女性は全くそこからは見放されている。
反対と賛成があるとか、それから難しいというふうに
大臣はおっしゃいますけれども、それはあくまでもその
人たちの利益を代表する
審議会の中の話でありまして、私が申し上げたいのは、一人一人全部の
日本の中の
女性が非常に不利益な
状況に置かれていると。これは、今たまたま私は
女性の視点から、そういった視座からこの
年金のことを切って申し上げていますが、けさはずっとほかの同僚議員からも、
女性の問題だけじゃなく、同じ視点でやはり問題を
指摘されていた。男女の別はないと思いますけれども、やはり
女性の
賃金が男性の半分であるという国、この国での
年金がどれだけ女にとって深刻なことか、これはもう本当にただならぬことだというふうに思っています。
ですから、非常に難しいと言うのはあいまいで、まるで
女性同士が、働いている
女性と働いていない
女性が対立しているような非常に雑駁なおっしゃり方なんですけれども、私はそうではないと思うんですね。働いているとか働いていないとか結婚しているとか結婚していないとか、そういったことで不公平さがあってはいけないんです。
年金というのは、すべての人に対して平等でなければいけない。公正でなければいけない。
ですから、その免除、例えば低所得であるがゆえの免除と、それから夫の
収入が一千万であろうが二千万であろうが一億でも、妻は完全に免除されているんです、今。そして、実際に一万三千円払えない、
収入が例えば月に十万円しかないというようなパートのおばさんやそういう
人たちとその間の不公平さはどう
考えてくださるのか、私には難しいという言葉で片づけられないものがあると思うのですが、いかがでしょうか。