○
西山登紀子君 私もこの
少子化の問題、議員になって以来ずっとかかわってまいりましたけれ
ども、この
調査会で非常に濃密な
調査が行われてきたというふうに私も感謝をしているわけですが、私自身も
認識が非常に深まってまいりました。当
調査会全体としてもそうだと思うんですけれ
ども、とても
認識が深まったんじゃないかなと思うんです。
新しいポイントとしては、今まで
少子化問題、
女性が
子供を産む、産まない問題というふうな単純化するような
傾向から、私はやっぱり当
調査会の今の到達点というのは、この
少子化問題というのは
日本の若い男女が
家族を持てなくなっている、あるいはおじいちゃんが孫を持てないというんですかね、おばあちゃんもそうですけれ
ども、そういう
社会問題として共通の
認識になったんじゃないかというふうに思うわけですね。
そういう
認識のもとでやはり
少子化対策をどうしていくかというときに、先ほど
理念が必要だというお話がありましたけれ
ども、ここの
調査会で私はコンセンサスになれるんじゃないかというふうに思っておりますのは、やっぱり
子供を産むかどうかを決めるのは当事者の選択だと。これも
一つ共通認識になれるものではないかと思います。
それから、
有識者会議の方で言われたことですが、今さら
女性を家庭に戻す
対策は非常に非
現実的だし、不適切だし、不合理であると。これが
有識者会議の提言として述べられたということは私は非常に大事なことではないかと思います。もうそういうふうなところには戻ることはできないし、やはりそういう先を見通した、
女性の
社会進出あるいは
女性の自立ということとあわせて
社会がどういうふうに成熟するかという問題としてとらえないとだめじゃないかなというふうに思うわけですね。
先ほど来、三歳児神話の問題で言いますと、これは私自身が産休明けで
子供を働きながら育ててまいりました。そういう
意味では、何回も申し上げておりますように、
保育所に預けるということ即悪ではありません。ただ、
保育所が劣悪な
条件であった場合には、それはやっぱり
子供の発達を十分に保障するものにならないということはあるわけでございまして、だから一対一保育にしなきゃいけないよとかいろいろ問題提起を
皆さんがしてこられたんですが、しかし今はやっぱり
保育所に預ける、そして母親も慈しみ育てるという二つのことが相まって幼児
教育というものは全体としていいものになるんだというのが大体の
共通認識じゃないかと。いつまでも三歳児神話にとらわれているということはちょっとまずいんじゃないかなというふうに思っております。
それで、
女性団体の中には、この
少子化対策を進めるということに対して、戦前の産めよふやせよになるんじゃないかとか、あるいは戦前は
女性は三界に家なしということで
経済的また性的にも男性に隷属した存在ということでございましたので、そういう点で非常に警戒心がぬぐい切れないというのがあります。
私はこの
調査会が何らかのまとめをする際に、
一つの
理念という、立脚点というのは、先ほどお話にありましたカイロの
人口問題の国際
会議、それから北京の世界
女性会議の視点、リプロダクティブヘルス・ライツというこの視点ですね、これは
女性だけに対して保障されている権利じゃなくて、男女のカップルについてきちっと保障されなければいけない性と生殖に関する健康・権利ということですから、この視点が非常に大事だということと、外国で行われた国際
会議だけじゃなくて、私はやっぱり
日本国憲法第二十四条にきちっと明記がされております視点が大事じゃないかと思っております。それは、「離婚並びに婚姻及び
家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。」という
日本国憲法第二十四条の規定、これをやはり立脚点として、こちらの
調査会が何らかのまとめをする場合には重要じゃないかというふうに思っております。いかなる国家的な目標も、これは大いに
女性団体なんかは反発をするでありましょうし、それはするべきではないということを申し上げたいと思います。
それから二つ目の点は
経済的な支援の問題なんですけれ
ども、これ、乳幼児
医療の無料化の問題ですね。
これは何回も言っているんですが、
一つ現在の到達点として資料をいただいております。
平成十一年四月一日現在で入院、通院を実施している自治体はどうかということで、私、去年の
平成十年四月一日現在と比較をしてみました。
それをいたしますと、はっきり出ておりますのは、自治体は率先してこの乳幼児
医療無料化の
制度を拡充しているわけです。入院の場合には未実施の自治体はゼロでございます。入院の乳幼児
医療の無料化が、例えば三歳未満というのは五一・〇%の自治体で既にやられておりますが、四歳未満がプラス八十五自治体ふえております。それから五歳未満がプラス三十七ふえて七十五、六歳未満はプラス四十で三百八十八、就学前は四十二ふえて四百六という形で実行がされていっていると。だんだん上の方に拡充をされてシフトされていっているわけですね。
通院の場合も、これは見事なんですけれ
ども、四歳未満以上に拡充していく
傾向が出ております。通院、四歳未満は百十一自治体がこの一年でふえて四百九十七ですね。これは
平成十一年四月一日までの一
年間でふえたわけですから、これ、十二年四月一日から実行する自治体はかなりふえておりまして、私の地元の京都でも劇的にこの
制度の拡充が今進んでいるところでございます。
ですから、こういう生まれてきた命の早期発見、早期治療ということにも貢献いたしますし、
子供を産んでみようかなというときの見通しを立てるときに乳幼児
医療の無料化があるんだよということで安心ができる。こういう非常に実効のある
制度をなぜ国がいまだに渋っているのか、いつまでも渋っていていいのかということを私は申し上げたいし、地方自治体がこれだけ拡充しているわけですから、その
制度の合理性と
必要性というのは十分にもう示されているんだというふうに思うわけでございます。
最後に
労働問題なんですけれ
ども、この間、男女の働き方、働かせ方がやはり問題だという大きな
テーマがございました。
それで、これは
人口問題研究所の
調査なんですけれ
ども、私もなるほどなと思ったのは、全国家庭動向
調査というのをいただいたところ、第一子の
出産に当たって
仕事をやめた
女性は全体の七三%、企業別に見ますと、千人以上の大規模企業では
仕事を続けることができた方は一三・七%ということで最も低い率が出ております。最も高いのはやっぱり公務員の職場ですね。
こういうところから、民間の企業任せにしておいたのでは、体力のある大企業が最も
出産をして勤めが続けられないということは、これはやっぱり何らかの
意味で
制度的なルールを
社会がきちっと持たないと、
女性が
経済的に自立を続けていこうと思えば一方の家庭を持つということを捨象する、あきらめる、あるいは積極的な
意味でもう要らないという決断をする、こういうふうな
状況になっているんじゃないか。
この点でも、やっぱり
日本の異常な長時間
労働だとか、あるいは男性が
家族的責任を果たせないというこのゆがみ、
女性は深夜勤務の解禁とか、こういうようなことになっておりまして、
政府が
少子化対策を言っている割には、むしろやっぱり逆行するような施策が実行されているんじゃないかという点で私は大変危惧を持ちます。
本
調査会がじゃどういうふうに今後やっていくのかということなんですけれ
ども、やっぱり若い人の
意見を聞いてみたらどうか、あるいは
女性の
労働者の方でいろいろな問題を持っていらっしゃる方を
参考人に招くなりなんなりして直接
意見を聞いてみるということも必要じゃないかと思うんですね。そういうことも提案を申し上げまして
意見とさせていただきます。