○
参考人(笹山
幸俊君) ありがとうございます。
それでは、特に
公共団体としてやっておる仕事と今回の
改正につきましてのいろんなそれをどう利用していくか、活用していくかという御
議論になってくると思います。これは、今、
伊藤先生初め
野口さんからもお話がありましたように、
公共団体として現在やっている仕事について非常に利用しやすくなるという面と、非常に厳しくなるのではないか、手間がかかるのではないか、こういった
議論になると思います。
これにつきましては、当然
市町村がその
地域の
実情に応じましてそれぞれその
地域の
町づくりとしてはこれが一番いいという判断をすれば、それが現在の
改正していただいている
制度の趣旨に合うのではないかと。柔軟に対応できるとは言いません、もし利用できないということになれば当然やめてもいいのではないか、こういう判断を現在しておりますので。過去いろんな
制度が変更になってきておりますけれども、これを少なくとも柔軟に
公共団体は利用できる、使用できると。これも住民の
皆さん方の
意見も聞きながらということで、非常に幅を持った
制度改革が一部ございます。
しかし、今、
野口さんからのお話のように、反対方向のものもないとは言えません。今回の
中央審議会での
審議過程でいろいろと
公共団体あるいは個別のヒアリングをしていただいておりますし、
市長会から関係団体の
意見も聴取していただきまして、それぞれの立場を配慮して立案していただいたと思います。これにつきましては、今までに余りなかった例でございまして、今後の方向づけとしては一番いい方法ではなかったかなと、こう思っております。
特に今回の
改正案の内容で
神戸市がやっておりますことを、これは
参考的にお聞きいただければいいんですが、特に
町づくりについて過去にやってきた中で、最近震災復興もあったということでございますので、その
地域地域によって
町づくりというものは一体何をしたらいいのか、こういうことになるんだと思います。ですから、今回は特に、
神戸の場合は震災で教訓を大分いただいたわけでございまして、要はその
地域の
皆さん方にとって最小の
単位は一体何だろうか、こういうことを考えております。
極端に言いましたら、私はアメリカへ行って聞かれたんですけれども、日本にはいわゆる向こう三軒両隣あるいは町内会というものがあったではないか、それが現在はむしろアメリカでそれを進めておるんだ、こういう
議論がありました。
ですから、やはり町は
地域の
方々にとって安心して暮らせる、そういう町でないといけないということから、よく言われておりますけれども、コンパクトタウンあるいはコンパクトシティーというものを考える。これは何も、新しい表現をしておりますけれども、内容は、過去の
都市計画で例えば近隣住区とか現在出ております
地区計画制度とかいろんなものがあって、それをうまく使いこなせていなかったのではないかということでございますので、このコンパクトシティー計画というものを私どもは考えております。
これは区域的に見まして、
指定市ですから区があります。それから、区別の計画というのがあるんですが、その上に
マスタープランがある。区別の計画は今回は各区の
方々につくってもらいました。ですから、それを
参考にしてコンパクトタウンというのはどういう範囲を言うかといいますと、大体小学校区が
二つ、中学校区、こういう範囲を言おうと、こういうぐあいに考えております。この中には、昔から言いますように道路とか公園とかというものを普通は考えてきたんですけれども、そうではないと。これはその区域内、面積的にいえば約二百ヘクタールぐらい、あるいは
人口的には二万人台ということになりますので、中学校が要るわけですが、そういう要素だけではなくて、それぞれの生活に必要な利便施設あるいは福祉施設、そういったもの、それとまたその隣の区域に同じようなものがずっと要りますから、そういうもの、あるいはその
地域での歴史的なまた文化的な自然、そういったものを保存しながら、あるいはつくっていきながらその町をつくろう、こういうことを今ねらっております。
ですから、こういった区域の
皆さん、
市民にとって、確かにこれを何とか自分
たちの町という愛情を持っていただくということのための
やり方ではないかなということでやらせていただいております。
そういう意味で、いろんなその中で起こってくる問題というのがあります。
建物を建てれば高さの問題、建ぺい率の問題、また業種によってはそこの
地域では排除したいという施設が入ってくる
可能性がある、それを排除したい、こういった御
意見を伺う。そういう
単位を考えながらやっていけば全体的に、例えば区なら区レベルのバランスがとれていくんではないかなと、こういう気持ちで今考えております。
ですから、今回の
線引きの問題でも、
神戸市の場合は全市域が
一つの
都市計画区域でございますので、先ほど
野口さんから、また
伊藤先生からもお話がありましたように、市街化区域と調整区域というふうに分かれております。ですから、それぞれ制限が違います。調整区域は
用途が決めてありません。ですから、それぞれの計画を立てる段階で自然環境、あるいは道路の関係でいえば沿道関係、そういったものの
土地利用について非常に過去苦労してきたというのが
実情ではないかと思います。
そういうことで、今回の
改正で市街化調整区域の中の
土地利用というものが出てまいります。ですから、
建設省の方でも調整区域の中の集落、特に既存宅地がございますけれども、そういった問題についての
制度があります。しかし、これは許可制になっておりませんので、今回許可制にしていただける、こういうことになってまいりました。ですから、そういったことで
開発許可をすることによってその
地域のスプロール化というものを防げる、こういう
考え方で、非常にいい案ではないかと私は思っております。
そのための前提として、
神戸市の場合は、調整区域の中、特に先ほどもお話がありましたように、例えば農政関係でいえば農振
地域があります。優良農地がこれだけあります。あるいは国立公園もあります。それから風致地区も決まっております。こういった既に決まっておるものについてはいいんですけれども、市街化区域と例えば農振区域との間、これを私どもは
白地区と言っておったんですけれども、これには制限がございません。ですから、それをある程度制限する必要があるということで山林
地域と
農村地域、こういった問題についての条例を実はつくってございます。
山林
地域については、先ほど言いましたように国立公園、風致地区それから保安林、そういったものもございますので、これは緑地の保全、育成及び
市民利用に関する条例を平成三年につくっております。そういうことで、緑の保存
地域あるいは緑の保全区域あるいは緑の育成区域を
指定しております。
そして、それと同時に発足したんですが、震災の関係で少しおくれましたが、平成十年度に、農用地区、農振地区がございますので、
農村地域につきましては人と自然との共生ゾーンの
指定等に関する条例、これを制定いたしております。これは、農村
用途地域とそれぞれの分野での
土地利用の区分けをしていく、そして全体的には、よく言っておるんですが、里づくりという名称で農村環境の整備を進めていく、こういうことにいたしております。
そういうことから見まして、区域割りあるいは
土地利用についての許可制、こういったものについては、非常にこれの法的な裏づけをしていただけるということを私どもはありがたく思っております。これは一般の条例でやっておりますので最終的な規制ということにはかかわりませんので、今回は法による条例ということになります。
それともう
一つは、市街地等それぞれの
地域に対しての
地区計画の手続の問題ですけれども、これにつきましては、住民から提案を受ける、こういうことを過去に私どももやってまいりまして、
地区計画及びまちづくり協定等に関する条例、いわゆる
まちづくり条例というのを
昭和五十七年に定めております。
これは、
地域の
皆さん方が自分の町をどういう町にしたいかということをみずから考えて、ここをこうしようということを決めていただいて提案していただく、それに対して支援をするということになります。このまちづくり協定その他につきましては、市だけではなくて
民間の
専門家の
皆さんにそれの中に入っていただいて指導していただくという
制度になってございます。
ですから、こういったものがどんどん進んでまいりますと、これがルールとしてはずっと、町の
考え方が変わってくる場合でも柔軟に対応できるのではないかと、こう思っております。町はそういう意味で永久的な問題ではございませんので、ある時期が来ますと
地域の
皆さん方の
考え方もそれぞれ変わってくると、これはよく言われております、ニュータウンが現在オールドタウンになっているわけですから、オールドタウンということは規制市街地の最たるものと。
そうすると、それをどう改善していくかというのは、やはり
地域の
皆さん方のそれぞれの町のつくり方、あり方についての
議論をする場、そういうものが必要になってきているのが現状ではないかと、こう思いますので、そういった問題についていろいろと
地区計画等の中で、これは市街地あるいはそれぞれの周辺
地域、そういった問題にかかわってまいりますので、今回の特例
容積率適用区域、こういったものも確かにその
地域での
容積の問題あるいは高さの問題あるいは建ぺい率の問題、そういったものが出てきますし、
文化財保護、そういったものも出てまいります。そういったことで、よく言われておりますように、
容積移転というものをその地区あるいは街区、私どもは実は街区という
考え方もあったんですけれども、今回は地区で
容積移転が可能というようなことになってまいります。ですから、その区域を高度利用を図っていくということについては非常にいいんではないかと。
私どものモデルとしては、旧居留地というのがございますが、その旧居留地ではそういった
町づくりになっておりまして、言えばヨーロッパ型であるわけですが、戦後どんどん変わってまいりましてアメリカ型に変わりつつあります。どちらをとるかということは非常に難しいんですけれども、私どもは、
神戸はヨーロッパ型なんでヨーロッパ型にしてほしいという気持ちは持っておりますが、現在はアメリカ型になっております。
ですから、例えば
容積率と建ぺい率ということを認めていきますと高さ制限が外れてきますから高さを決めた方がいいんではないかということで、中心にフラワーロードという新
神戸から税関までの道路がありますが、これは実は景観条例と別の条例で高さ制限をしております。そういったことが、先ほどのお話じゃないんですが、いろんな
制度が順次出てきますので非常に混乱するということは確かでございまして、その
地域によってそれを選択する場合に話が非常に難しくなる、わかりにくくなる、こういうことがあると思います。
それから、お話があって、それ以外の立体的な
都市計画決定を可能にしていただけると、これは非常に私どもはありがたいと思います。といいますのは、将来必ずここにはいろんな地下の、あるいは空中の
都市計画決定をする必要のある場所というものがありますし施設があるんです。それが同時にできないものですから、例えば地下鉄があってその下を道路が通る、あるいはその上を道路が通る、こういった場合に非常にむだな工事をやらざるを得ない、こういうことになりますので、同時に
決定ができればありがたい、こう思っております。
今後、こういった問題について、いろいろと教えをいただかないといけない問題は、特にこういった新しい
法律でございますので、ぜひ国におかれましてはそういった運用のガイドラインあるいは必要な
情報、こういったものの提供をしていただきたい、こう思っております。
ですから、共通の問題もあろうと思いますけれども、それぞれの
地域あるいは市の考えておることにつきましては十分お聞きをいただいて、そしてそれに対して適切な御指導をいただければと、こう思っております。
それともう
一つ最後に、この
都市計画決定につきましては、
決定はそういうことであります。実際に問題になりますのは事業をやるということなんです。事業をやらないと、
決定だけでは十年も二十年もそんな必要はなかったのではないかという
議論が出ますので、その事業化に対する支援というもの、御指導をぜひ
お願いしたいと思います。
ちょうど時間になりました。以上でございます。
ありがとうございました。