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2000-04-20 第147回国会 参議院 国土・環境委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年四月二十日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  四月十八日     辞任         補欠選任         吉川 春子君     岩佐 恵美君  四月十九日     辞任         補欠選任         岡崎トミ子君     谷林 正昭君      高野 博師君     山下 栄一君      岩佐 恵美君     阿部 幸代君  四月二十日     辞任         補欠選任         上野 公成君     森山  裕君      坂野 重信君     木村  仁君      谷林 正昭君     海野  徹君      奥村 展三君     戸田 邦司君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         石渡 清元君     理 事                 市川 一朗君                 田村 公平君                 福山 哲郎君                 森本 晃司君                 緒方 靖夫君     委 員                 上野 公成君                 太田 豊秋君                 木村  仁君                 末広まきこ君                 月原 茂皓君                 森山  裕君                 山下 善彦君                 脇  雅史君                 海野  徹君                 北澤 俊美君                 佐藤 雄平君                 谷林 正昭君                 山下 栄一君                 阿部 幸代君                 大渕 絹子君                 戸田 邦司君                 島袋 宗康君    国務大臣        建設大臣     中山 正暉君    政務次官        建設政務次官   加藤 卓二君        建設政務次官   岸田 文雄君        環境政務次官   柳本 卓治君    事務局側        常任委員会専門        員        杉谷 洸大君    政府参考人        防衛施設庁長官  大森 敬治君        環境庁水質保全        局長       遠藤 保雄君        沖縄開発庁振興        局長       襲田 正徳君        資源エネルギー        庁公益事業部長  大井  篤君        建設省河川局長  竹村公太郎君        自治省財政局長  嶋津  昭君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○河川法の一部を改正する法律案内閣提出、衆  議院送付)     ─────────────
  2. 石渡清元

    委員長石渡清元君) ただいまから国土・環境委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十八日、吉川春子君が委員辞任され、その補欠として岩佐恵美君が選任されました。  また、昨日、高野博師君、岩佐恵美君及び岡崎トミ子君が委員辞任され、その補欠として山下栄一君、阿部幸代君及び谷林正昭君が選任されました。     ─────────────
  3. 石渡清元

    委員長石渡清元君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 石渡清元

    委員長石渡清元君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事森本晃司君を指名いたします。     ─────────────
  5. 石渡清元

    委員長石渡清元君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  河川法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、防衛施設庁長官大森敬治君、環境庁水質保全局長遠藤保雄君、沖縄開発庁振興局長襲田正徳君、資源エネルギー庁公益事業部長大井篤君、建設省河川局長竹村公太郎君及び自治省財政局長嶋津昭君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 石渡清元

    委員長石渡清元君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 石渡清元

    委員長石渡清元君) 河川法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 月原茂皓

    月原茂皓君 月原です。  自由民主党・保守党の会派でございますが、建設大臣に冒頭お尋ねいたします。  今度の河川法の一部を改正する法律案、大きな意味でいえば地方分権ということで、地域住民に密接に関連することについて地方自治体が主体的に建設省等と協力しながら実施していくという考え方そのものは、私は非常に高く評価するものであります。  そこで、今回の改正によって河川管理工事について指定都市あるいは市町村仕事がふえるということでありまして、よく言われていることでありますが、権限を与えられても財政的あるいは人的な面、技術的と申しますか、そういう点について、もう既に地方の方は技術的な面においては相当の蓄積があるにしても、やはりそれにかかわる権限を新たに委譲された場合にそれを実施するための力というものを与えなければならない。  そういう意味におきまして、財政面技術面においてどのように考えておられるのか、そのことをお尋ねしたいと思います。
  9. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) 今回の改正につきましては、いわゆる地方分権流れというものの中で市町村町づくりを推進する際に、一級河川それから一級河川直轄区間においても治水上著しい影響を与えない範囲河川工事を行うことができるようにしようとするものでございまして、あくまでもこれは市町村の発意が前提ということでございます。  この場合、市町村都道府県管理区間事業を実施しているのと同様に、地方財政観点からも適切なものとなるように対応してまいりたい、かように考えておりまして、自治省ともいろいろ協議をいたしております。技術面からも可能な限りの支援をしてまいりたい、財政的にもお困りにならないような方策を打ち出すことが名実ともに充実することではないか、かように考えております。
  10. 月原茂皓

    月原茂皓君 大臣の今の御答弁、そのとおり強く進んでいただきたいと思います。  この法案が今年度中に当然のこととして施行される。そうすると、いよいよそれが具体化してくる。その場合に、自治省の方において地方経費についての査定というものが一年おくれになっては困りますから、早急にそういうことについて詰めていただきたい、そのように思います。また、建設省自身権限も一部与えることになりますから、建設省自身の問題としても考えていただきたい、このように思うわけであります。  そこで、次に河川局長と担当の方々にお尋ねいたします。  これは河川法の今回の改正と直接関係するわけではありませんが、堤防の整備など河川工事がかつてはコンクリートでばんばんつくっていったらいいという時代があったわけでありますが、最近になってくると、安らぎというような問題もあるとともに、基本的には生態系そのもの影響を与えるような、そういうふうなことも言われているわけであります。  それで、もう既にそういう工法などに対していろいろ研究もされていると思いますが、このような生態系影響を与えないというようなことについて、工事に際してどのような配慮をされているか、その点をお尋ねしたいと思います。
  11. 竹村公太郎

    政府参考人竹村公太郎君) お答えいたします。  建設省では、治水上の安全性を確保しつつ生態系配慮した河川整備を行うため、多自然型川づくりに積極的に取り組んでいるところでございます。この多自然型川づくりでは、生態系配慮した工法を各河川の状況に応じて採用するなど工夫を行っております。  具体的に申しますと、瀬とふちができるようにしたり、河畔林河畔の樹木をできるだけ保全、復元したり、魚たち上下流を移動できるように堰や床どめ工に魚道を設置したり、河畔の勾配をできるだけ緩やかにするなど工夫を行っているところでございます。  今後とも、動植物の生息環境配慮して自然と調和した河川空間整備してまいりたいと考えております。
  12. 月原茂皓

    月原茂皓君 その際、欲深いことでありますが、そういうふうな目的を達するために余りにも経費がかかっては困るのではないかなと。そうたくさんこれからの財政が許すわけではないとするならば、こういうふうな工法についてコスト削減というか、最小の経費でその目的を達するための研究も進められておると思いますが、従来の工法と比べてどのように進捗しているのか、コスト面についてお伺いしたいと思います。
  13. 竹村公太郎

    政府参考人竹村公太郎君) 多自然型工法に係りますコスト高についてお答え申し上げます。  河川整備に当たりましては、経済性も考慮しながら実行可能な範囲河川環境整備保全を図ることが大事でございます。  これに要するコストとしましては、例えば用地取得の取り扱いだとか工法の選定、使用する材料等によってばらつきがございますが、そういう中で、なるべく現場で発生した材料の活用によって材料費を節減したり、コスト縮減目的とした技術開発、これは現在私ども自然共生研究センターというのを木曽川に設けまして、自然の素材を活用した工法についての技術開発をスタートしたところでございますが、このような工夫によりまして、コスト縮減を目指した技術開発を行い、必ずしも高いコストをかけなくても良好な河川環境整備が可能であると認識しております。
  14. 月原茂皓

    月原茂皓君 お願いしたいことは、川というのは日本人の心のふるさと一つであります。「故郷」という歌にも、「小鮒釣りしかの川」というようなものもありますし、我々が小学校時代に習った歌にも、隅田川、本当にゆったりとした感じのそういう雰囲気を出すためにこれからも努力していただきたいと思います。  その際、私は今コストの面を申し上げましたが、経済的波及効果というようなことを、要するに乗数効果というか、建設省得意のそういうことばかりを頭に置くのではなくて、やはり将来の子孫、我が祖国にとって、ふるさとにとって、我が国にとって必要なものについては必要な経費を注ぐということも必要だと思っておりますので、その点も十分配慮して行動していただきたい、こういうふうに思うわけであります、非常に欲深いお願いでありますが。  そこで次に、最近河川水質についていろいろ議論が行われておるわけでありますが、河川水質検査をどのように実施しているのか、そして人体影響を及ぼすような物質についてはどのように把握されておるか、最近の趨勢というか、そういうことについて御説明願いたいと思います。
  15. 竹村公太郎

    政府参考人竹村公太郎君) 河川水質に関しましての私どもの対応の取り組みを御説明いたします。  人の健康の保護の観点から環境基準が定められている物質については、平成十年に全国一級河川百九水系、九百十八地点、合計五万四千二十四検体の調査を実施しております。その結果、環境基準を超過した地点は二地点のみでございました。  また、内分泌攪乱作用が疑われております化学物質、いわゆる環境ホルモンの問題につきましては、平成十年度より全国河川における実態調査を実施しております。これらの物質が、低濃度ではありますが河川水中に広く存在することを確認しております。  さらに、近年社会的関心を集めているダイオキシンにつきましては、ことしの一月から全国河川においてダイオキシン類実態調査に着手するとともに、本年度より河川における監視や対策のあり方について検討を進めているところでございます。  今後とも、人体影響を及ぼすような物質について、河川管理者として必要な調査を行ってまいりたいと考えております。
  16. 月原茂皓

    月原茂皓君 今、環境ホルモンあるいはダイオキシン、そういう新たな人体影響を及ぼすような物質についての検査を始められ、またそれを追跡されているということをお聞きしたわけでありますが、これはもちろん何のために検査調査するんだといえば、それを防がぬといかぬわけであります。    〔委員長退席理事市川一朗着席〕  そういう意味で、河川水質問題に関するそれにどのように対処していくかというようなことについて建設省はどのようにされておるのか。  そしてまた、今局長お話しのように、ダイオキシンあるいは環境ホルモン、さらにはバクテリアというような問題もあるでしょうし、またこの間、越生の方ではクリプトスポリジウムという原虫が見つかって、下痢で大きく新聞に載ったというようなこともありますし、ウイルスの問題についても最近言われております。  こういう問題について、今お話しのように適宜それを取り上げ、水質検査、その流れを把握されておるわけですが、それに対して、人体影響を及ぼさないようにそれをセーブしていく、力をなくさせていくというようなことについて建設省はどういうふうに今行われ、またどういうところで研究されて今後取り組まれようとしているのか、そのことを御説明願いたいと思います。
  17. 竹村公太郎

    政府参考人竹村公太郎君) 河川水質問題は、河川管理者として取り組むべき重要な課題の一つだと考えています。  人々の飲み水、工業のための用水、農業のための用水はすべて河川から供給しているわけでございます。このため、河川管理者としましては、河川水質の把握に努めるとともに、今御質問のどのような対策をしているかという点でございますが、長い間生活排水や汚い物質がたまっている川の底、いわゆる底泥のしゅんせつをまず行います。そして、どうしても汚い川がございましたら、近くに良好な河川があり、その河川が十分な水量を持っていれば、その川から水質のよい水を導水いたしまして水質の悪い河川浄化を行います。いわゆる浄化用水導入事業でございます。さらに、近くにそういう良好な豊富な水がない場合には、その河川そのもの浄化をする、いわゆる河川浄化施設の設置を進めております。  このように、河川水質調査だけではなくて、私どもみずから河川水質保全対策を進めてきたところでございます。  また、新しい問題としまして、ダイオキシン類環境ホルモン等微量有害化学物質や今御質問のございました病原性微生物クリプトスポリジウム、これは何かかたい殻を持っている微生物だそうでございまして、殺菌ではなかなか死なないと聞いておりますが、このような新しい水質問題が私ども河川管理者にも登場してきまして、今後、調査研究の実施に努めていきたいと考えております。  これからも積極的にこのような水質問題に対応していく所存でございます。
  18. 月原茂皓

    月原茂皓君 今お話しのように積極的に取り組まれているわけでありまして、今までは災害を防ぐのが河川局というか建設省仕事のようなことでありましたが、もちろんそれが基本でありますけれども、そのほかに、そういう水による健康に対する影響というものが非常に出ているだけに、今後一層こういうことについても、今努力されている延長線上ですが、さらに他の省庁とも協力しながら、国民自身が安心できるような水質保全に注意していただきたい。  そのことをお願い申し上げて、私の質問を終わります。
  19. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 佐藤雄平でございます。  まず大臣に、河川行政重要性と次の二十一世紀に向けた河川行政所見についてお伺いしたいと思います。  ちょうど五年前ぐらいになると思うんですけれども、「水の旅人」という映画を見たんです。これは、山林に降った一滴水滴が山を流れ、川に来て、最後、海に流れていく、たしか山崎努さんが出た映画だったのかな。一滴水滴が海に流れるまでのいろんな水の経験を見ると、本当に水というのは大事であるなと。草木、そしてまた、微生物から生物から、ある意味では本当に人間にとって大事なものでもあるなと。  あるときはエネルギー発電にもなったりする。そんなことを考えると、私は空気と水では、ある意味では水の方が、空気ももちろんなけりゃ生きていけませんけれども空気必要条件であり、水は必要条件と同時に十分条件も、潤い、一つの心の安らぎというか、そんなこともあるわけであります。  そういうふうな中で、本当に私は河川行政というのは大事だと思うんです。しかしながら、それと同時にやっぱりまた災害、一昨年私どものところにもあった。ですから、まさに大臣がよく、水を治める者が国を治めると言っておられますけれども、それぐらい重要であろう、そんな思いをするところであります。  大臣河川行政重要性と次の時代に対する一つ河川行政方向性ということについての御所見をまずお伺いしたいと思います。
  20. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) 四十五億年ぐらいの地球の歴史の中でも、一番先に水ができて、そしていわゆる我々脊椎動物も海からはい上がってきて陸で生活をするようになったということでございます。  私はいつも、地球というのは土の部分が三割しかありませんから、七割は水、だから本当は水球と言った方が正しいんじゃないかと思っているぐらいでございまして、特に飲水思源、飲み水は源を忘れずということわざが中国の言葉にもあります。    〔理事市川一朗退席委員長着席〕  ですから、今先生がおっしゃったようにいろいろな、先ほど月原先生建設省の務めというのは川の土木的な工事だけではないぞと。人間が水から上がってきた動物である限りは、それに責任を持つ建設行政の中でいわゆる環境問題、特に日本一級河川だけでも百九本あるわけでございますし、大変山の多い急峻な土地から海に流れ出すたくさんの川を持っておりますので。  私もブラジル移民方々の九十周年の会に行ったときに、お別れに歌われたのが先ほど月原先生がおっしゃった「兎追いしかの山、小鮒釣りしかの川」、あの歌を目に涙しながら、遠いところにいらっしゃる方々日本ふるさとの姿を思い浮かべて歌っていらっしゃるお姿を見て、本当に身が引き締まる何とも言えぬ、何か血の中に新しい日本というものに対する、祖国というものに対する思いを注入されたような気がして聞いたことがございます。  そんな意味で、これからはそういう配慮をして、日本の川は世界の海につながる、そういう責任を持つのが私は建設行政の中での河川行政ではないか、そんなふうに考えております。
  21. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 どんな立派な政治もどんな立派な行政も、地域社会の中に溶け込まなければ、私はこれからは立派な行政、立派な政治だと言えないと思います。  そういうふうな中で、先般の吉野川、さらにまた長良川のいろんな問題がありましたが、これについては、もう本当に地域、地元の方に御理解をいただくような最大限の努力をして河川行政を進めてもらうということが、次の時代のある意味では行政の大きな役割の一つであるかなということで切望しておきます。  次に、河川審議会のいろんな経緯を見たり、また明治二十九年からの河川法のいろんな改正があって、この水系という意味合いの中から私はその管理責任というのが国でありまた県であったのかなと思うのであります。しかしながら、日本行政政治の中で、地方時代とかふるさと創生ということがたびたび出てきて、地方を大事にしなきゃいけないということがあったと思うんです。  そういうふうな中で、河川行政、法の改正も含めて、地方自治体、そしてまたその都市、町にその権限を委譲するというような話が今までなかったのかどうか。それと同時に、水系一体としての管理というのが一番いいという中での今度の改正意味、これはどういうふうなことなのか、これについての御見解をお伺いしたい。
  22. 竹村公太郎

    政府参考人竹村公太郎君) 御指摘のように、現在の河川法は、昭和三十九年の河川法改正によりまして水系一貫という概念が入ってまいりました。それ以前は、江戸時代の各藩、そして明治になっての各県は、目の前に流れている川を管理するけれどもその水系、上流から河口まで一貫した管理という概念は残念ながらなく、昭和三十九年の河川法で確立されたと認識しております。  このような水系を一貫した広域的かつ総合的な管理を行うという観点から、その管理には一定行政力財政能力が必要であることから、原則として、一級河川につきましては建設大臣、二級河川につきましては知事がその管理主体となってきたところでございます。  一方、近年、河川空間の景観、親水性を生かすとともに、町づくりと連携した河川管理整備の要請が高まってまいりました。そのため、県が管理を行う河川につきまして市町村一定河川工事を行うことができるよう市町村工事制度昭和六十二年度の改正によって位置づけられました。さらに、平成九年の改正によりまして環境河川管理目的に位置づけられまして、さらに市町村の積極的な参画が求められてきたところでございます。  今回の改正は、政令指定都市河川管理権限を委譲するとともに、市町村工事制度の対象を一級河川直轄区間に拡大するものであり、国と地方自治体の連携した河川行政流れを一層推し進めるものと認識しております。
  23. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 地域社会にある意味では溶け込んだ河川行政の推進、そんなことであろうかなと思います。  法案の中で、いわゆる町づくり地域づくり一体となるということでありますけれども河川事業というのは本当にべらぼうなお金がかかって、そういうふうな意味合いから私は国と県、今の局長お話のとおりだと思うんです。そういうふうな中での今度の改正というのは、その地域の中で河川一体となってこういう事業をしたいというような要望があるという前提の中での改正であるのかなとも思うのであります。  政令指定都市の中でその関係する河川というのは三百十七本あるわけですけれども、そういうことを踏まえながら、自治体の中から、どのような事業をしたい、町づくりをしたい、さらにまたどれぐらいの数のそういうふうな要望があるのか、概算で結構でございますから、この点についてお答え願いたいと思います。
  24. 竹村公太郎

    政府参考人竹村公太郎君) 委員指摘の今回の改正は、各市町村また政令指定都市要望を受けたものでございます。  政令指定都市は、河川地域社会の貴重な水辺空間と位置づけまして、地域自主性多様性を考慮して市街地開発区画整理事業都市公園事業一体となった河川整備管理を行えるよう制度改正要望してきたところでございます。  これまでも、具体的に申しますと、河川工事、いわゆる工事だけの分野におきましてでございますが、福岡県の北九州市で、小倉の中心市街地の再開発事業一体となって紫川という川を非常に美しく整備しております。また、東京都の江東区では、工場跡地での公園整備事業と連携した旧中川の整備を実施しているところでございます。  今回の改正を受けまして、今後、各政令指定都市においては、河川管理者として主体的に町づくりと連携した河川整備管理を推進していくものと認識しておりますが、その内容を、各政令指定都市とよく打ち合わせする中で政令指定都市でどのような箇所数のそのような要望があるのか、また全国の各市町村でどのような要望があるのか、この法改正を踏まえて丁寧に各自治体お話をする中でその箇所数等を把握していきたいと考えております。
  25. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 その制度の中では、たしか国土庁でやっている調整費というふうなのがあって、今までも現実問題としては町づくりの中で省が違うところはそれぞれ調整しながらやってきたと思うのですけれども、新しい法改正の中で、私はもう手短に早くできるからというふうな一つの利点もあるのかなと解釈をしております。  次に、今度指定都市管理権限が移る。そうなってくると、流水占用料とか、またそこに砂利があれば砂利の採取権とかそれぞれ伴ってくると思うんです。さらにまた、この法案の中で、政令の見込みで「発電のためにするもの」というものも書かれておりますが、さまざまな権限というのが与えられると思うんです。  この件についても、いわゆる権限の委譲というふうなことになると、政令指定都市がその権限を持つということの理解でよろしいのでございましょうか。
  26. 竹村公太郎

    政府参考人竹村公太郎君) 御指摘の流水占用料等の帰属につきましてお答えいたします。  河川法上、都道府県知事は河川の水の使用について流水占用料を徴収することができます。その占用料は都道府県の収入となることとされております。  この原則は、一級河川、二級河川の別を問わず適用されておりまして、例えば一級河川直轄区間建設省でございますが、国が管理する区間につきましてもその流水占用料は都道府県の収入とされているところでございます。流水占用料の徴収及び収入の帰属は従来どおり都道府県の収入と今回の改正においてもなっております。  もう一つ説明させていただきますと、政令指定都市の中に流れている一級河川河川工事をする場合、もちろん国がやる場合でございますが、それは政令指定都市の負担ではなくて、国と都道府県の負担となってございます。  このように、流水占用料が従来どおり都道府県の収入となっていることは特に不合理ではないという判断に立ってございます。
  27. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 あと、石材とか砂利の採取権はどのようになりますか。
  28. 竹村公太郎

    政府参考人竹村公太郎君) 流水占用料と同じ取り扱いとなって、都道府県の収入となってございます。
  29. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 わかりました。  次に、どうしても川になると災害のことが気になってしようがないんです。  建設省からの図柄を見てみますと、本流と支流になって、ややもすればこの支流の方が政令指定都市にその管理権限を委譲するということになるのかなと思いますけれども管理権限を委譲するということは、当然のことながらそれに対する河川管理施設というものも附帯するのかなと。  河川管理施設の中には、場合によってはダムがあったり堰があったり水門があったりする。災害が起こったとき、この辺のいわゆる水質調整というのは、片方の本流は場合によっては建設省がやっている、都道府県がやっている、片方の権限政令指定都市がやっている。  いわゆる水質調整、この辺はどのようにして行っていくのか、この件の御見解についてお伺いしたいと思います。
  30. 竹村公太郎

    政府参考人竹村公太郎君) 政令指定都市権限が委譲された場合、水質、水害等、いわゆる管理に関する責任はどうなるのかということでお答えさせていただきますと、政令指定都市への権限委譲は、従来都道府県が管理していた河川についての包括的な管理権限指定都市に付与するものであり、河川管理に伴う責任についても都道府県にかわって指定都市が負うこととなります。  指定都市管理する区間の指定は、一級河川については建設大臣が知事と指定都市の長の意見を聞いて行い、二級河川については知事が指定都市の長の同意を得て行うこととなっております。したがって、権限委譲に伴う管理責任の移行も、両者念頭に置きながら関係者間の協議がなされるものと考えております。
  31. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 その件については、もう本当に、災害は人の命にかかわる問題ですから、連絡を密にして、それこそある意味では危機管理にも抵触するのかなと。十分これを志向していただきたいと思います。  次に、一級河川直轄区間について市町村が今度は工事を行うことができると。  一級河川直轄区間というのは、我が福島県でもそれぞれ考えてみると、べらぼうに川幅があり、また長さもあって、現実問題としては市町村が護岸をするにしても大変なお金がかかって僕はできないんじゃないかなと思いますけれども、できるという前提の中で質問をさせていただきます。  側帯とか水防拠点等のいろんな整備がある、これにはもう本当に自治体はお金がかかると思うんですけれども、これについての財政的な措置、それと、当然のことながら工事をすると市町村は起債等を期待すると思うんです。この起債等についてはどのような処理をしていくのか、河川局としての考え方をお伺いしたいと思います。
  32. 竹村公太郎

    政府参考人竹村公太郎君) 御指摘のように、市町村財政が大変厳しいということは私どもも強く認識しております。  今回の法改正によりまして建設省直轄区間市町村河川工事を行うと申しましても、根幹的な治水事業はすべて建設省が直轄で行うということは何ら変わっておりません。いわゆる町づくり一体となった、例えば桜堤の整備だとか、水に親しめる空間の確保や子供たちの学習の場として生態系保全目的とした護岸だとか、または地域の公園がないことからかんがみて公園を川の中につくりたいといったようなときに、市町村の発意でもって行う工事建設省の場所まで広げるという内容になってございます。  費用負担は、国が三分の一、都道府県が三分の一、市町村が三分の一を予定しておりますが、市町村工事の負担につきましては、市町村都道府県管理区間事業を実施していると同様に、起債措置等、元利償還金の地方交付税の措置が認められるよう自治省と現在協議中でございます。
  33. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 全国市町村財政はもう局長十分承知だと思いますけれども、三千二百余の市町村があり、平均するとたしか人口は一万人ぐらい、一般会計で三十億から四十億ですから、今の市町村の発意に基づきと、それはあると思いますけれども、現実問題としてはなかなか大変なことであるかなと思います。その件についての、やっぱり市町村財政、国の財政ももちろんでありますけれども、補助率等についてはさらにまた検討していただければありがたいと、そんなふうに考えております。  次に、これは結構各都道府県からの要望が高いと思うんですけれども河川審議会の最後の答申の中でも、それぞれ河川事業を進めている市町村の中で特に都市基盤河川改修事業、これについての要望が非常に高いということで、市町村範囲をさらに広げたらどうだ、そんなこともあるみたいですけれども、これについて建設省としては今後どのような方向を示していくのか、お答え願いたいと思います。
  34. 竹村公太郎

    政府参考人竹村公太郎君) 委員指摘のように、事業主体としての都市基盤河川改修事業の拡大が要望されているところでございます。  従来ですと、東京都の特別区、都道府県の県庁所在地の市、人口二十万以上の市、また一定の要件を満たす人口五万人以上の市と限定しておりましたが、平成十二年度の予算では、市町村の発意により地域特性に応じた事業が実施できるよう、人口五万人以上のすべての市に拡大していく予定になってございます。
  35. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 通産省、お見えになっていただいていると思うんですけれども河川行政をずっと見てくると、どうしてもやっぱり私は水力発電を思い出すんです。  今、昨年の臨界事故から始まって、エネルギー政策は微動だにしないという話でありますけれども、私は、さらにまたこの地球環境等も踏まえて考えると、大型の水力発電というのはもう限界があると思います。しかしながら、中小水力、これについても通産省、エネ庁としては相当進めてきたわけでありますが、エネルギー全体としての電力のウエート、さらにまたその中でもだんだんこの二十年の中で発電の中身が変わりつつあるわけです。  今この時期に際して、水力発電に対しての通産省の今までの流れの中でと、これから次の時代に向かった地球環境をも考えた中でのいわゆる水力発電政策についての考え方をお伺いしたいと思います。
  36. 大井篤

    政府参考人大井篤君) お答え申し上げます。  従来から通産省におきましては、水力発電につきまして、一つには、議員御指摘のとおり、例えば二酸化炭素の排出の問題であるとかそういった環境面で大変すぐれているということがございますし、また何よりもこれは純粋な国産のエネルギーであるということを踏まえましてその開発の促進ということを図ってまいりました。  そういった観点から、最近では大変中小の水力発電所というものが多くなっているわけでございますけれども、そういったものにつきまして、建設費について補助を行うとか、あるいはそういった中小の水力発電所を建設するエンジニアリング、こういったものに対する育成事業、こういったものに対する補助、さまざまな予算措置を講じておるところでございます。
  37. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 公営電気の制度があって、あれはもう十五年ぐらい前からですか、各都道府県がそれぞれのダム、水系を利用しながら公営電気をつくっておる。  これは、現況としてどれぐらいの県でやって、どれぐらいの数になって、さらにまた各県から次年度的な、将来的な要望としてはどのようになっているのか、この件についてお伺いしたいと思います。
  38. 大井篤

    政府参考人大井篤君) 公営電気事業の位置づけを申し上げたいと思いますけれども平成十年度で見まして、出力三万キロワット以下のものを中小水力発電所ということにしますと、その総電力量というのは合計約四百二十三億キロワットアワーということになります。これは一次エネルギー供給全体の約二・〇%ということになっております。また、平成十年度で公営電気事業者が開発しております中小水力発電所につきましては、合計で約八十四億キロワットアワーということでございまして、これは中小水力発電所の約二割、一次エネルギー供給全体の約〇・四%ということになっております。  このように、公営におきましては大変奥地であるとか規模の小さいところ、こういったところの開発を担当している、こういう位置づけになっていると思います。それから、主要河川のあるところのほとんどの都道府県がこういった公営の水力発電事業というものを営んでいるというふうに理解をしております。
  39. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 今後の問題として、それぞれの都道府県から例えば電調審に上げてくれとかいうような話というのはどれぐらい想定できるかということと、通産省としては、この河川を利用すれば中小水力ができるとか、またある意味ではそのダムを使えばできるというようなそんな調査はしていらっしゃるかどうか。
  40. 大井篤

    政府参考人大井篤君) 我が国の中でどのくらい開発可能な水力があるのかというようなことにつきましては、従来から水力開発地点計画策定調査というものを行っておりまして、またこれのフォローアップということで各年度ごとに調査をしております。  ちなみに、十年度末の調査について申し上げますと、水力発電に関しましては、既に開発されている地点というものが全国で千五百二十九地点、出力につきましては約二千万キロワットということでございます。現在工事中の地点、これが五十六地点ございます。出力につきましては百一万キロワット。それから、未開発地点でございますけれども、これが二千七百二十一地点、出力につきましては千百十三万キロワットという調査結果を得ているところでございます。
  41. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 本当にぜひ進めていただきたいと思います。  それと同時に、どうしても公営電気をつくって売るときに電力会社がなかなか単価的に高くなってイエスと言わない、いろいろ苦慮している事例も聞いておりますけれども、やっぱり私は環境問題を初めとしてこれからの社会というのは、一つの理念を持った経済、社会になっていかなきゃいけないのかなと。そう思えば、電力料金にそれが原価主義というふうなことの中ではね返ってきても私はしようがないかなと、そんな思いもしますので、ひとつ次の時代というのは、一つの理念を持った経済、社会をつくっていただくような経済政策というか、特に通産省、エネ庁の部長にお願いしたい、そんな思いでございます。  水力発電と河川ですが、今部長からもいろいろお話がありましたが、今のエネルギー全体を考えると、原子力発電をどうこう言うわけではありませんけれども、少なからず原発の予定地域が少なくなっている、しかしながら経済はある一定の基準を持ってまた成長もしていかなきゃいけない、その原動力となるのがエネルギーであるし、また電力でもある。  そういうふうな状況の中で、やっぱり河川事業と水力発電というものはある程度整合性を持ってまた連携をしながらやっていかなきゃいけないのかなと。特に、既存のダムについてこれからどれぐらいまだ発電機を設置することができるかどうかなんというと、やっぱり河川局の、建設省のいろんな情報、御指導を仰がなければできないと思うわけであります。  そのエネルギー対策、電力対策についての建設省河川局としての所見をお伺いして、質問を終わります。
  42. 竹村公太郎

    政府参考人竹村公太郎君) 水力発電につきましての私どもの考え方を述べさせていただきます。  水力発電は太陽エネルギーと認識しております。海水が太陽によって温められて上の方に行きまして冷やされて落ちてくる、いわゆる太陽と海さえあれば無限の循環を繰り返しているものでございます。それを利用したこの発電は、日本人の持っている唯一の純国産エネルギーでございまして、なおかつクリーンだという性格を持ったものと認識しております。  建設省におきましては、河川行政を所管する立場から、中小水力のみならず水力発電のために、必要な河川法、電気事業法の手続について通産省と円滑な協議に努めており、通産省と連携してこの水力発電の整備に対応していきたいと考えております。  また、建設省の所管するダム、これは洪水調節や水資源のためにつくるダムがございますが、ダムをつくることによって水をためる、いわゆる太陽エネルギーをためるという装置ができますので、必要に応じてダムにおいても的確な発電をするよう私ども対応しているところでございます。
  43. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 ぜひそういうことで両省とも連携しながらお進めいただきたいと思います。  終わります。
  44. 谷林正昭

    谷林正昭君 民主党・新緑風会の谷林正昭でございます。  本委員会では初めての質問ということになりますし、先般の本会議でも大臣に御質問をいたしました。実は参議院議員になりまして初めての本会議質問だったものですから非常に上がりまして、大変大臣に失礼だったかなというふうに思いますが、お許しいただきたいと思います。  あの質問をつくるに当たりまして河川行政を勉強させていただきました。  そのときにふと思い出したのは、今は亡き郷土の大先輩であります永田良雄先生日本の均衡ある国土の発展に御尽力され、そして河川行政にも大変心を砕いておいでになりました。ところが、志半ばにしてお亡くなりになりました。くしくも私は永田先生の繰り上げ当選でこちらへ来させていただきまして、初質問がそういうことであるということで、非常に不思議な縁があるものだなというふうに感じながらあの代表質問をつくらせていただきました。大変未熟でありましたけれども、今度この委員会で少しまた勉強させていただきたいなというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。  富山県といいますと、漁師さんが富山湾に出まして立山連峰を必ず眺められるそうであります。そのときに感じるのは、川の急流さ、まるで滝が何本も富山湾に注ぎ込まれている、こういうふうに感じるという話をよく聞きます。とりわけ私の住んでいる魚津市では、アルプスから流れる冷たい川水、そして温暖な暖流、寒流がそこでぶつかり合う富山湾、そういったときにそこにできるのが世界的にも有名な蜃気楼であります。私の魚津市ではまさに「蜃気楼の見える街魚津」というキャッチフレーズもつくらせていただいておりますが、そういうこともありまして、川には非常に興味を持ちながら実は生まれ育ったということでございます。  そこで、質問に入らせていただきます。  まず、細かいことで恐縮でございますけれども平成十一年八月の河川審議会の中間答申の中で、NPOあるいは市民、こういう方々の役割を非常に多く提言しております。四カ所ぐらいに実は出てまいるわけでございます。  ぜひ、建設省といたしまして、建設大臣を頂点とするこの河川行政における市民、NPO、こういう役割をどういうふうに位置づけておいでになるのか、あるいは法体系の中にどういうふうに今後位置づけていくのか、そこらあたりをお聞かせいただきたいというふうに思います。
  45. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) 本会議で初御登板、まことにおめでとうございました。国会への御参加とともに、また永田先生の後をお継ぎになったというお話が今ございましたが、永田先生もそう国会でおっしゃっていただくことに天上界で満足していらっしゃるだろうと。改めて御冥福をお祈りするとともに、その後をひとつしっかり、名前も同じマサアキさんでございますから、御活躍を期待いたしております。  今の御質問のお答えでございますが、いわゆる市民とNPOが果たす役割分担についてということでございます。  河川管理の法体系の基本である河川法においては、平成九年以前には市民や住民等について規定はありませんでしたが、地域のニーズに的確にこたえて、また河川の特性と地域の風土それから文化など実情に応じた河川整備を推進するために平成九年の河川法改正におきまして、河川整備計画の策定に当たり公聴会の開催等、関係住民の意見を反映させるために必要な措置を講ずることとなったところでございます。このことにより、流域に住む方々治水対策や豊かな河川環境の創出等に関する要望を取り入れた河川整備を推進していくことになると。  いろいろボランティアで御活躍いただいておりますNPOの方々には大変心から感謝をいたしておりまして、先般いろいろNPOの方々の御活躍のお話も私、伺ったところでございますけれども、これからひとつそういう意味全国民のために、先ほど佐藤先生の御質問にもありましたような、河川全体に対する地域住民方々のお心持ちというものが川に反映されますようなことに進展していくように私も期待をいたしておるところでございます。
  46. 谷林正昭

    谷林正昭君 大臣の今の御答弁によりますと、NPO、市民の方々との対話というものを重視していくと、こういうふうに受けとめさせていただきたいと思います。  残念ながら、十一年の中間答申ではそういう参画を促しておりましたが、ことし出ました一月二十一日の答申では、このNPO、市民団体の方々の参画が欠落をしたという答申が実は出されております。うがった見方をいたしますと、うるさいやつらは入れないんだというような答申とも受け取られます。  今の大臣の御答弁からいきますと、そうではないというふうに受けとめさせていただきますが、なぜこの十二年一月二十一日の答申で市民やNPOの参画が欠落をしたのか、何か背景があれば教えていただきたいと思います。よろしくお願いします。
  47. 竹村公太郎

    政府参考人竹村公太郎君) 一月二十一日の答申につきましては、河川管理における役割分担のうち、地方自治体としての市町村の参画の拡充方策についての答申をいただいたものでございます。  実は、引き続き、河川地域の共有の公共財産である、個性豊かな特徴ある地域社会の形成のために市民やNPOの果たす役割は重要との認識のもとに河川審議会での審議を継続しております。  現在、国内や海外の先進事例や市民団体等へのアンケートを行っておりまして、これらの結果を踏まえまして、市民団体との連携における現状の課題、問題点、その解決の考え方等について審議をまさにしていただいているところでございます。
  48. 谷林正昭

    谷林正昭君 今ほどお聞きしまして私の勉強不足が明らかになったような気もいたしますが、一方では、そういうふうに地域住民方々、市民の方々あるいはそういう川に親しむ、水に親しむ方々とも対話をぜひ今後とっていただきたい、またそういう体系をつくっていただきたい、このように思います。  次に、これも非常に法律の中身の揚げ足をとったようなしゃべり方になるかもわかりませんけれども、十六条の二の四項の中に公聴会の開催が盛られております。その公聴会の開催の前に「必要があると認めるときは」という文言がございます。  この「必要があると認めるときは」のその基準というものがあるのかどうか、こういうものがあれば聞かせていただきたいというふうに思います。
  49. 竹村公太郎

    政府参考人竹村公太郎君) 河川整備計画の策定に当たりまして、公聴会の開催等関係住民の意見を反映させるということは、原則としてすべての河川でそのような必要な措置を実施いたします。ただし、「必要があると認めるとき」と法律で書いてございますのは、規模が大変小さい河川でもう小規模な工事しかない、河川への影響が極めて小さいというような必ずしも地域住民の意見を聞く必要がないという場合もあるわけでございますので、このようなものについて河川管理者の判断にゆだねることとしたものでございます。  一級河川百九水系は当然全員聞きます。二級河川全国に二千七百十八ございます。この中に大変小さな河川もございます。そういう河川については、ある場合においては流域住民の意見を聞かないで小規模な工事をやるということがあるということの例外規定でございます。
  50. 谷林正昭

    谷林正昭君 例外規定ということでありますが、例外が広がらないように、できるだけ対話を主としてぜひこの項目を生かしていただきたいというふうに思います。  次に移ります。  平成九年の河川法改正の際に、私はまだ国会議員ではございませんでしたが、勉強させていただいたときに、民主党は、水系主義といいますか流域主義といいますか、そして水系一貫というふうに法律が変わるならば、考え方が変わるならば、そこには水系委員会というものを設けるべきではないか、こういうふうに提言をさせていただきました。  ところが、その時点では受け入れられなかったわけでございますけれども、その後、御承知のように地方分権一括法も成立いたしまして、今度の法改正のように、まさに水系一貫主義を地方分権とあわせて進める、こういうような状況に今なってきたところでございます。  大臣は、この水系委員会のようなものを設けながらの水系一貫主義、管理といいますか、こういうことになるのかならないのか、どうお考えなのか、現時点での考えをお聞かせいただきたいと思います。
  51. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) 平成九年の河川法改正の際に御党、民主党から御提案がありました制度は、一、二級の各水系ごとに関係地方公共団体の長やら学識経験者から成る水系委員会を設けて、その意見聴取を経て水系管理の基本方針や計画を定めることとするものであったというふうに理解をいたしております。  しかしながら、水系ごとに設置される水系委員会では、河川整備全国バランスを確保する観点からの審議ができなくなるおそれがあるという懸念をいたしておりまして、水系ごと、先ほどから話の出ております一級河川が百九本、それから二級河川が二千七百十八ということでございますが、行政組織としての委員会の設置を義務づけることは、行政改革やら地方分権から見ましてちょっと逆流することになるということであると同時に、その認識を持って現在でも、基本的にはそういう意味で、これは行政改革、人も要りますし、人員削減なんかにも影響のあることだと思っておりますので、河川審議会に特別委員として地域の代表を加えたり、それから河川整備計画の策定に当たり学識経験者等から成る委員会を設けること等によって地方の意見を反映し、河川の特性に応じた計画の策定を行いたい、そんなふうに考えております。
  52. 谷林正昭

    谷林正昭君 いろんな条件や弊害も重なろうかと思いますけれども、今ほど地方の意見を取り入れやすいようなそういう委員会河川審議会というようなこともございましたので、ぜひ前向きにそういうふうに進めていただきたいというふうに思います。  それとあわせまして、今後の河川管理地方分権について将来もっともっと私はやるべきではないかなというふうに思っておりますので、本改正地方分権化は終わりということではなくて、将来も進めていかなければならないというふうに思います。  計画がございましたらお聞かせいただきたいと思います。
  53. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) 地方分権推進委員会の勧告を踏まえまして昨年三月に閣議決定した第二次地方分権推進計画に沿いまして建設省としても、河川管理における地方分権を推進すること、具体的には、現在審議をいただいております河川法改正による市町村参画の拡充のほかに、一級水系や直轄管理区間の見直しによる河川管理権限地方公共団体への委譲、それから統合補助金の創設等による地方公共団体の裁量権の拡大など、地方分権推進のための各種取り組みを実施していくということでそういう方向性を持たせたいと思います。
  54. 谷林正昭

    谷林正昭君 ぜひ進めていただきたいというふうに思います。  次の質問に入らせていただきます。  十二年、ことしの一月二十一日の答申の中に、「川における伝統技術の活用はいかにあるべきか」ということで、伝統工法、こういうものを非常に重んじる答申が出されました。そういう中に具体的な提言も幾つか出てきたわけでございますので、それを少しお聞かせいただきたいと思います。  例えば、資料館を整備したらいいんじゃないか、あるいは伝統技術を受け継ぐためには、そういう用語がたくさんある、その用語の辞典を編さんしたらいいのではないか、そして後世に残すべきではないか、あるいは、物としての河川管理の伝統技術、こういうものの現状、例えば吉野川の第十堰のような非常に伝統ある工法、こういうものを物として残していったらいいのではないか、そのためにはどう把握するのか、今把握するべきではないかとか、あるいはそういう伝統技術を残そうとしている地域に対して支援をするべきだ、こういうような実は答申が出されております。  私も非常にすばらしい答申だなというふうに思いますし、ぜひやるべきだというふうに思いますが、答申が出たばかりでありまして、まだ三カ月ぐらいしかたっておりませんが、どういうふうに緒についたのか、そこらあたりをお聞かせいただきたいと思います。
  55. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) 河川審議会答申、「川における伝統技術の活用はいかにあるべきか」を受けまして、今後の対応についてのお尋ねでございます。  河川審議会答申のこの伝統技術問題、近年、住民と川との触れ合い、それから川の環境空間としての重要性の再認識、川をめぐる情勢が変化をいたしてきておりますので、川と人との長い歴史を振り返りまして先人の知恵に学ぶことが肝要であるといった観点から今日の河川行政から見た伝統技術の評価を取りまとめさせていただいております。  建設省といたしましても、河川審議会の答申の趣旨を生かし、河川伝統に込められた知恵や考え方を現代に合わせ、工夫をしつつ、現代技術と伝統技術を整合させてバランスよく融合し活用することにより安全で豊かな河川環境整備してまいりたい。  吉野川の例をお引きになりましたので、吉野川の場合にも、大きなフランスの城みたいな可動堰、引き上げるタイプとゴム式のタイプ、それからあとはつい立て式といいますか、水が出たときにばたんと倒れる、その三方式があったんですが、吉野川の場合には百九十四キロの長い川の十四キロ隣接した徳島市で住民投票が行われ、その中でも伝統技術の問題というのが出てまいりました。  ヨハネス・デ・レーケという明治六年から三十六年まで日本にいていろいろ日本の、いわゆる木曽三川の改修とか淀川の改修とか、くしくもことしはオランダとの修好四百年の年に当たるわけでございますが、大阪でも今度はオレンジ公というオランダの皇太子が来られていわゆる水のシンポジウムをおやりになるわけでございますが、ヨハネス・デ・レーケも明治十七年に吉野川に行っておりまして、この固定堰の問題というのは将来いろいろ問題が起こるのではないかということを想定しております。  百五十年に一遍とか七十五年に一遍の洪水を想定しております地域でございますので、一つ可動堰の問題だけが徳島市民の住民投票に対する情報として提供されていまして、私どもはほかにも方法があると。近代技術を駆使しての、まさにゴム式で、これを水が出たときにはしゅっと閉じてしまう。  それから、この間、猪名川で、二月でございましたか、これも享保三年ぐらいに決められました固定堰を今度は新しく改修することになりまして、そこはゴムで、立ち上げるときには一時間でこれが膨れ上がるような大変近代的な工法を用いて、これは周辺七市町、特に猪名川は六年に一遍の洪水を想定しておりますようでございまして、下の方の左門殿川、それから神崎川とか川がたくさんございますが、そういうものに対する対応をあと二年かかってやることになりました、そこでは住民投票も何もなかったわけでございますので。  住民投票の評価、これは京都大学の大学院教授佐伯啓思さんが、   住民の意思が直接、政治に反映されることが民主主義の本旨と思われているようだが、これは違う。西洋では、国民に選ばれた政治家に物事を決めてもらう方が安全、というのが主流の考え方だ。代議制は意思決定が遅く能率的でもないが大きくは間違わない。住民投票はわかりやすいが、間違うと大変なことになる。 ということをたまたまきのうの朝日新聞に「住民投票と代議制」という問題で記事を書いておられます。  私は、日本国憲法の前文の最初には日本国民は正当に選挙された代表によって行動をするということが書いてあるものですから、あのときの吉野川の方々には、建設大臣室に大勢の方にお入りいただきまして、そういう運動をしていらっしゃる方々お話をいたしました。  そういう意味で、先ほどのNPOの問題も、そういうことを基点にしながら、これからの河川管理というのは、その周辺に住む方々のためにどういうふうに河川管理をするかということを含めて、話し合いをしながら行動をしていきたいと思っております。  今の川における伝統技術の活用はいかにあるべきかという、その答申の中でも、そういう伝統的な技術で河川管理が十分にできるということも、一つの方式として採用することが前提という形での答申であった、私はかように考えております。  それぞれ川の姿は全部違います。それぞれの表情があるわけでございますし、それぞれの性格があるわけでございますので、それに適合した伝統技術という昔の人の知恵、それから新しいこれからの人の知恵、そういうものが整合性を持って採用されるところの治山治水の心がこれからの時代に適合していくんじゃないか、そんなふうに思っております。
  56. 谷林正昭

    谷林正昭君 ちょっと私が質問した内容とずれて大臣の持論が少し出まして、聞かせていただきましたけれども、私は答申の提言の進捗状況を少し聞きたいなと思ったんですが、時間の都合もございますので、後日また事務局の方から聞かせていただきたいというふうに思います。  そこで、次の質問に入らせていただきます。  今、個性ある地域づくり町づくり、こういうものが叫ばれております。河川に関しても、自慢話にはなりませんけれども、私の住んでいる魚津市でどういう河川に対する心思い、気持ちを込めながらやっているかということを紹介しながら一、二点御質問させていただきたいというふうに思います。  というのは、魚津市の市街地流れる、幅五メーターぐらいの小さな農業用水が町に入って川になる、こういうような鴨川というのがあります。  これは県下でもごみの川ということで有名だったんですが、市民の人たちが十二、三年前に、これじゃだめだ、子供の教育にもよくないというようなことがありまして、まず、その川をきれいにしよう、ごみを捨てないようにしようという運動から始まりました。しかし、もう一歩進んで、このごみで山になっている川にサケを呼べないかということが語り合われまして、そのごみ川にサケを呼ぼうということになりました。周りの人たちはびっくりしました。しかし、五人の輪が十人になり、十人の輪が五十人になり、今二百名を超える人たちがその鴨川にサケを呼ぼうという、こういう運動をしております。  やり始めてから四年目にサケが四匹上がってきました。今もう十三年たちましたけれども、昨年の秋にも上がってきました。  そういうようなことで、市民運動だとか市民グループだとかという人たちの環境に対する思い、それは、権力に立ち向かうというのも市民運動かもわかりませんけれども、原状を回復する、そのために一生懸命努力する、そしてそれが子供たちの教育、あるいは川にはごみは捨てない、こういう環境教育にもつながっていって、小学校の子供たちが毎年サケの稚魚を放すという、そういう行動をとっております。  そういったときに、建設省さんが進められるふるさとの川整備事業、こういうものがあるというふうに聞きました。それが町づくりの中心になっているということも聞きました。  そこでお尋ねいたしたいのは、このふるさとの川整備事業、過去五年間ぐらいにどれだけの申請があって、どれだけの認可がおりたのか。  これは、申請から認可までいろんな段階を踏むというふうに私は思います。私の考えは、申請されたものについてはできるだけ枠にはめないで、枠から外に出たものについては、だめですよということではなくて、アドバイスをしながらできるだけ認定を多くした方がいいのではないか、こういうふうに実は思っているものですから、その申請と認定のギャップがどれほどあるものか、お聞かせいただきたいというふうに思います。
  57. 竹村公太郎

    政府参考人竹村公太郎君) ふるさとの川整備事業についてのお尋ねでございました。  これは、昭和六十二年より実施している事業でございますが、都市の中に流れている川の自然環境保全、創出を図り、地域整備一体となった河川改修を行おう、そして良好な水辺空間の形成を図ろうという事業でございます。基本的に、地域の主体的な取り組みを支援するという事業でございまして、趣旨に照らして適合するものについては、私どもは申請を受けたらそのまま認定を行うこととしております。  その件数は、平成七年から過去五カ年では、十件、四件、十二件、六件、七件となっておりまして、今まで、始まってから百七十七件の認定をしております。  これは、今御質問にございましたように、川の中の趣旨に合った整備事業、川とは余り関係ないところの整備事業が出てきても困りますが、少なくとも川と町づくり一体となったものにつきましては、私どもはすべて認定していくという姿勢をとってございます。  平成十二年度につきましては、年度後半を目途に現在作業をしている段階にございます。
  58. 谷林正昭

    谷林正昭君 これからますますそういう運動や、あるいは町づくりの中に河川というものが位置づけられながら親しみのある川というものになっていくのではないかなというふうに思いますので、今局長がおっしゃいましたように、申請されたものについては、よっぽどのことのない限り認定してバックアップしていく、こういう方向をぜひ今後もとっていただきたいというふうに思います。  環境庁の方から、大変お忙しい中、政務次官においでいただきまして申しわけございません。  このふるさとの川整備事業にかかわりまして、恐らくこれからもたくさんそういう申請が出てくるというふうに思います。やはり川の環境生態系といいますか、河川環境整備事業の中にも「親水性生態系配慮し」という文言も河川管理の中であります。  そういったときに、平成五年四月一日から施行されております種の保存法というのがございます。この種の保存法に従いまして今、日本では環境庁が指定いたしました約二千四百のレッドデータブックに載った動植物種類、その中で絶滅が心配される種類、希少野生動植物種といいますか、これが五十七種指定されております。メダカで一昨年有名になりましたけれども、淡水魚ではⅠ類で五十八種類あるいはⅡ類で十八種類、こういうようなものもあります。  そこで、私が質問して環境庁の方からお答えいただきたいのは、こういう希少野生動植物について、河川の改修や町づくりにその河川を生かしたことをやっていくときに、そういう希少価値のある希少の動植物がそこで死滅をしていったり、あるいはそういうことに配慮されないで工事がされるということになれば私は問題があるというふうに思っております。  そこで、一つは、今後の指定に当たってどういうふうに見直しがされていくのか、あるいは見直しされる予定があるのかどうか、これをまずお聞きいたしたい。  もう一点は、国だけでそういうレッドデータブックをつくりましても、各地方地方でもやっぱり関心を持ってもらわなきゃならない、あるいは環境配慮する河川工事などをしていくときに大事な問題になってくるというふうに思いますので、県あるいは市町村でこういうレッドデータブックを作成しているのかどうか、あるいは今後どういうふうに連携をとっていくのか。  ぜひこの二点についてお聞かせいただきたいというふうに思います。
  59. 柳本卓治

    政務次官(柳本卓治君) 絶滅のおそれのございます種の保存のためには、種の保存法に基づく国内希少野生動植物種に指定をいたしまして捕獲、採取等の規制を行うことが大変重要と認識しておりますし、御意見のとおりでございます。現在、動物四十九種、植物八種、計五十七種を指定しているところでございます。  環境庁では、平成七年度からレッドデータブックの改訂作業を進めておりまして、今月十二日に無脊椎動物のレッドリストを公表したところでございます。すべての分類群のリストの改訂作業が現在終了いたしました。今後、新しいレッドリストの掲載種の中から種の保存法に基づく国内希少野生動植物種の追加指定に向けまして詳細な生息調査を進めるなど、一層努力してまいりたいと考えております。  そして、ただいま先生からの御指摘の都道府県、市町村のレッドデータブック作成状況いかんということでございます。  環境庁で把握しているところによりますと、都道府県版のレッドデータブック等は現在十七都道府県で作成済みでございます。二十七府県で作成中であります。ちなみに、谷林先生の富山県は現在作成中でございます。  また、幾つかの市町村でも作成中でございます。非常に市町村多うございますので、作成に当たりましては、これまで必要に応じまして都道府県への情報提供や情報交換等を行っているところでございまして、今後とも、都道府県や市町村との連携を図りながら、絶滅のおそれのある野生生物の種の保存を一層推進してまいりたいと考えております。
  60. 谷林正昭

    谷林正昭君 どうもありがとうございました。  この五十七種の中にはミヤコタナゴ、イタセンパラ、こういう淡水魚も入っております。うっかりして、もしふるさとの川にこういう魚がいたらということになれば、やっぱりこういうものに、河川行政とあわせて関心を持っていただきたいなというふうに思いまして、こういう質問をさせていただきました。  次の質問に入らせていただきますが、時間ももうございません。最後の質問になると思います。  地下洪水について少し質問をさせていただきます。  今回の法改正でまさに権限委譲がなされまして、政令都市にそういう権限が委譲された。私は、すべてすぐやらなければならないということではございませんけれども、今後考えられるのは、中核都市あるいは特例都市、こういうところにもこれから地下ができたりあるいはそういう町づくりがされるというふうに思います。  昨年夏の集中豪雨で、福岡市で一人死亡、東京新宿でも一人死亡、こういう悲惨な災害がございました。そういうことを考えたときに、この地下水害に対する対策が急がれるわけでございます。  あの災害の後、地下空間洪水対策研究会というものがまとめた対策があるというふうに思います。もうすぐ梅雨になりまして洪水の季節になります。その具体的な対策がどのように徹底され、そしてそれを防ぐために活用されているのか、お聞かせいただきたいというふうに思います。
  61. 竹村公太郎

    政府参考人竹村公太郎君) 委員質問の地下空間の洪水対策でございますが、昨年夏、福岡市及び東京の地下洪水によりまして、今まで潜在的にあった地下洪水という問題が顕在化いたしました。  この地下空間の洪水対策につきましては、昨年の十一月より建設省、国土庁、運輸省、自治省研究会をつくりまして、昨年八月末に緊急対策を取りまとめ、関係機関に通知するとともに適切な対応を依頼したところでございます。  緊急対策の内容は、日ごろからの危険性の周知徹底、洪水時における的確かつ迅速な情報の伝達、避難体制の確立、防水板の設置や下水道、河川整備などでございます。  これに基づきまして、昨年六月末に地下街等の浸水被害が発生した福岡では、福岡市と、いろいろな商店街の方々がいらっしゃいますので、地下空間管理者との連絡の場が五月中旬を目途に設けられ、今後具体的な対策を検討していく体制をとっているところでございます。  また、福岡の御笠川におきましては、全体事業費二百三十五億円の河川激甚災害対策特別緊急事業としまして、昨年度、対策事業に着手しております。この事業においては、河川改修とともに水防活動や地下空間を含む避難体制を支援するためのソフトの対策である情報基盤整備等を推進しているところでございます。  今後、一層地下空間の洪水対策に対して関係省庁と連絡、連携をとりながら対応してまいりたいと考えております。
  62. 谷林正昭

    谷林正昭君 もう豪雨の季節が来ますので、ぜひ速やかに対策をとっていただきたいというふうに思います。  終わります。ありがとうございました。
  63. 森本晃司

    森本晃司君 大臣、先般は大和の地を訪れていただきまして大変ありがとうございました。その点についてまた後ほど大臣のいろんな御意見も聞かせていただきたいと思いますが、今回の改正について自治体の意見をどう聞かれているかということをまずお伺いしたいと思います。  全国一律の河川整備の結果、確かに治水安全度の向上はございました。しかし、よく言われておりますが、また今、建設省はそのことについてより前進した考え方で河川工事を行っておられますが、河川の個性がだんだん失われてきたのではないかと思われます。  そういったところで、今度は自然環境を享受し、きれいな水辺環境をつくったり水辺空間ということが国民の中からそれぞれ求められるようになってまいりまして、こういった多様化する国民の期待に対応しようということで今回の改正が行われたものであるかと思います。  そういった角度から、政令都市への権限委譲について関係のそれぞれの道府県や政令指定都市は今どのような御意見を持っておられるのか、集約されたものがあるかと思いますので、お聞かせ願いたいと思います。
  64. 竹村公太郎

    政府参考人竹村公太郎君) 委員指摘のように、今回の政令指定都市権限委譲に関しましては、政令指定都市がみずから都市づくりと一体となった河川整備管理を行えるよう制度改正要望してきたというのがベースにございます。  具体的に政令指定都市の現在の私どもが聞き取ったところの要望はどのようなものがあるかということでございますが、まず、政令指定都市は、権限委譲は工事、維持、管理一体的にできることから基本的に賛成であるということでございます。二点目として、財政につきましては起債や地方交付税の手厚い措置を要望されております。さらに、権限委譲の時期は一括ではなくて段階的なものを要望しているという状況にございます。  一方、権限を委譲する私どもそして都道府県はどのようなことを考えているかと申しますと、権限委譲は地方分権流れの中で基本的にやらざるを得ない、またやらなければいけないと考えております。  問題は水利権の許可でございますが、水利権と申しますのは川の水を外へ持ち出してしまうということでございまして、これは目の前に流れている川だけの問題ではなくて、下流の方々もいらっしゃる、上流の方もいらっしゃるということで、水利権の許可については都道府県の関与について検討していただきたいというような県の意見があるというような状況にございます。
  65. 森本晃司

    森本晃司君 先ほど月原先生の御質問の中にもあったことでございますが、権限を委譲してすべてそちら任せでいいのだろうかという問題があります。  それは、一つは技術力の問題と財政的協力が国の方で要るのではないかと思っています。今まで建設省が蓄積された技術、工法等々も、権限委譲と同時に設計の段階でやはりいろいろと協力していく必要があるのではないか、こう思うところでございます。  例えば、私の奈良県に有名な法隆寺がある斑鳩町というのがございます。ここに三代川というのがございます。これは、今、町の雨水をほとんど集めたり、生活雑排水を集めたりする川にもなっておるわけです。  この川はいろいろ歴史がございまして、享保七年に、すぐ横に大和川が流れておりますから大はんらんいたしまして、その地域が稲がなびくときに浸水してしまった。この大和川の横に、大和川のすぐおりたところの目安という村の中に断恨碑という碑がお寺の中に立っておるわけでございます。  これは、当時の庄屋の助宗と呼ばれている人が、田畑に水がたまったので何とかそれをしようということで、今の三代川に当たるところを一生懸命掘って大和川へ水を流して田んぼの水が引いたわけでございますが、当時の幕府の許可を得ていなかったものですから、その助宗という大庄屋が断罪されるということになってしまったわけでございます。その人のそういった水害から守るという気持ちを何とか受け継いでいかなければならないということで、明治に入ってその近くの五村の人たちがその断恨碑を建てて、今も毎年五月になると供養されているところでございます。  そういう歴史を持った川でございまして、その人の意思も受け継いでいかなければならない。しかし、その地域が非常に発展してしまいまして、五十七年の大和川の大洪水のときも被害があったわけでございますが、今も毎年のごとくそこが水害になってきます。ただ、平成六年からその工事が、いろいろ買収の問題等々もありますので町村の関係者の御協力をいただかなければなりませんが、今工事がストップしているという状況なのです。  これは、早く建設省にも御協力いただいて改修をしなければならないところなんですが、それを改修するに当たって、そこは世界遺産のあるところなんです。その川を改修するときに、ただ単にコンクリートで固めて治水だけでという形より世界遺産にふさわしいような川づくりをしていくことが私は非常に大事なことではないかと思うんです。そういった場合にやはり、これは私は、今申し上げましたのはほんの一例でございますけれども、国の技術的、財政的支援が要るのではないかと思います。  ちょっと前置きが長くなりましたが、権限委譲とその技術力、財政力、そしてその土地の、今ほんの一例でございますけれども、世界遺産があるところにふさわしい川、あるいはそのほかそれぞれ地域によって随分と異なってくるかと思いますが、そういったことに対する考え方をお伺いしたいと思います。
  66. 竹村公太郎

    政府参考人竹村公太郎君) 権限委譲に関しましての財政及び技術的な面に関する私どもの支援の姿勢についてお尋ねがございました。  まず、財政的なものでございますが、これは、市町村都道府県管理区間事業を実施していると同様に、起債措置等、元利償還金の地方交付税措置が認められるよう自治省と現在協議中でございます。  技術的な面でございますが、私ども、現在、長い間河川改修に携わっておりまして、さまざまな技術的な蓄積、研究を積み重ねて、それをさまざまな技術指針または要綱等にまとめております。  川の安全に関しましての指針に関しましては、安全等に対することはほとんど全国共通でございますので、これらの内容をきちんと市町村方々に伝達または情報を共有化する努力をしていきたいと考えております。  もう一方、今回中心になっております町づくり一体となった河川改修、河川整備、これは大変難しゅうございまして、私どもの事例集をまとめて紹介してしまいますと、その事例集が今度はベースになって全国、金太郎あめのような整備になってしまうということでございまして、これは避けなければいけない。今、委員指摘のように、その土地その土地の長い歴史と文化の上に立った河川整備を行っていただきたいと私どもも思っておりまして、日本の長いこの国土の多様性を生かした、それぞれの川が、姿が、顔が違うという前提河川整備をやっていただきたいと考えております。  これにつきましては、私どもは、新しいテーマでございますので、これから国と都道府県と市町村が密接に打ち合わせを行い、その地方その地方の一番特色のあるやり方は何なんだろうかということを議論しながら進めていかなければいけないのかなと考えております。これからもよろしく御指導のほどをお願いしたいと考えております。
  67. 森本晃司

    森本晃司君 そういう形でこれからそれぞれの地域水辺空間あるいは河川環境保全、その土地に合ったやり方が行われていくべきであると私は思っております。  ところで、市町村が行うことができるのは一定河川工事及び維持だけに限られておりますが、市町村が行った工事に係る施設等の管理について、これは本来の河川管理者が行うべきではないかと思いますが、こういった施設についての管理、これは一体どういう形になっていくか、お伺いします。
  68. 竹村公太郎

    政府参考人竹村公太郎君) 市町村が行いました河川工事の施設のその後の管理はどうするのかというお尋ねでございます。  市町村が行う河川工事の結果設置される施設は、河川管理施設となることが予定されているものでございます。工事終了後は、一級河川直轄区間であれば私ども建設省が当該施設を維持管理していくこととなっております。
  69. 森本晃司

    森本晃司君 次に、市町村工事制度範囲一級河川直轄区間まで広がり、それぞれの市町村独自の政策が行われることになるかと思います。例えば、水質浄化事業などについては市町村ごとに異なるのではないか。  こういったことから、先ほども議論が出ましたけれども水系一貫主義との関係をいかにして両立させるのかというのは極めて難しい問題ではないかと思うんですが、どのようにお考えになっておられるか、お伺いします。
  70. 竹村公太郎

    政府参考人竹村公太郎君) ただいま委員指摘水系一貫主義の管理の課題につきましては、極めて留意をしながら私ども対応をしていかなきゃいけない課題だと認識しております。  具体的にどのような体制に立っているかと申しますと、政令指定都市への河川管理権限の委譲に当たりましては、本来の河川管理者である建設大臣または知事が区間の指定を行うとともに、河川整備計画の策定等、河川管理に関する重要な事項は建設大臣との協議が必要であるとなっております。  また、市町村工事一級河川直轄区間の拡充につきましては、市町村との協議の際に河川管理者である建設大臣治水上の影響について判断することとしておりまして、このような手続の中で水系一貫主義、そして安全なという、私ども安全という概念の確保に努めてまいるところとなっております。
  71. 森本晃司

    森本晃司君 次に、平成五年度に清流ルネッサンス21という制度が発足いたしました。水質汚濁が著しく生活環境の悪化や下水道への影響が顕著な河川、湖沼、ダム貯水池において水質改善を地元の関係者と協力し合って行うということで行われました。  第一次計画では、河川が十七、湖沼が四、ダム貯水池が三ということでございます。第二次では、河川が四、湖沼一、ダム貯水池一がそれぞれ選定されておりますが、現在までの進捗状況をお伺いいたします。
  72. 竹村公太郎

    政府参考人竹村公太郎君) 清流ルネッサンスの進捗状況についてお答え申し上げます。  清流ルネッサンス21は、水質汚濁が極めて著しくて生活環境の悪化や上水道への影響が顕著な河川において良好な水環境の改善を図るため、委員指摘のように、市町村河川管理者、下水道管理者が一体となって水環境改善緊急行動計画を策定しようというものでございます。  水環境の改善事業を総合的かつ緊急的に重点的に実施することを目的としたもので、平成五年度から実施されておりまして、これまでに全国で二十五カ所について行動計画が策定され、河川管理者、私どもによりまして川の中のヘドロ、いわゆる汚泥のしゅんせつ、そして先ほども申しましたが、豊かなきれいな水が近くにある場合はその浄化用水をそこから導入する、そして豊かな水が近くになければ直接その川の浄化を行うための施設を整備するという事業を始めております。また、流域市町村による生活排水対策、下水道事業等も実施されているところでございます。  本年度末には十四カ所で計画で設定された目標をおおむね達成できるものと見込まれ、都市河川等の水質改善、環境改善に効果を発揮しているものと認識しております。
  73. 森本晃司

    森本晃司君 私も建設省にお世話になったときにこの清流ルネッサンスという言葉を聞きまして、だれがネーミングしたのかなと、すばらしいネーミングであって、それだけでも川の水質を取り戻せるというイメージがわいてくるのではないか、このようにそのときは思ったわけでございます。  私の方の奈良県では大和川清流ルネッサンスというのがございます。今まで非常に汚れている川の代表で、私どもの川と綾瀬川というのがありました。綾瀬川が清流ルネッサンス21でいろんな運動を展開してこられて、水質浄化に協力した団体を表彰する等々やってこられましたし、また江戸川でも江戸川・坂川清流ルネッサンスということでいろいろ河川保護団体を表彰されたりしております。  代表的なところで結構でございます。例えば、綾瀬川清流ルネッサンスはどういう形でやってこられたのか、お伺いします。
  74. 竹村公太郎

    政府参考人竹村公太郎君) 委員指摘の利根川水系綾瀬川、また先ほども一つ名前の挙げられました大和川、この二つの川は常に全国でもワーストを競っている川でございます。  綾瀬川の清流ルネッサンスは大変重要な課題でございまして、地元市町村、学識経験者、河川管理者から成る綾瀬川清流ルネッサンス21地域協議会を平成六年に設置しておりまして、水質改善緊急行動計画を策定しております。  その中で、河川事業としては、汚泥しゅんせつ、浄化用水、直接浄化施設等を実施しております。そしてまた、市町村のやっている内容としては、綾瀬川みんなで水質調査、綾瀬川クリーン大作戦等、住民と一体となった活動を実施しておりまして、非常に大きな効果を上げております。具体的な数字で申し上げますと、平成五年にBOD七五%値で四十六であった地点平成十年には十四に低下するなど、大変大きな効果を上げているという状況にございます。
  75. 森本晃司

    森本晃司君 決して名誉な話ではないんですが、私もまた大臣も関係ある大和川、これはいつも大体ワーストワン、ツーをそれぞれ争ってきたところでございまして、奈良県も平成六年十一月に清流ルネッサンス21、県それから市町村それから大阪府と一体になってそういったことを今日まで推し進めてきているところでございます。  昔、大和川といえば、夏休みに入りますとあそこで私たちは泳いでいたわけでございますけれども、今はとてもじゃないけれどもあの川で泳ぐ気にもならないし泳ぐことはできないだろうと思っています。昭和五十年ごろと比べると極めて川はよくなっていると思うんですが、依然として水質は悪い状況でございまして、私も衆議院時代、予算委員会あるいは災害特別委員会でこの問題を取り上げさせていただいたことがございました。  それで、平成七年、八年が大和川はワーストワン、平成九年にワーストツーという状況にございます。大和川は、先般大臣にもお見えいただいて、きれいにしようということでの曽我川の浄化施設に大臣もお運びいただきましたが、ワースト何位でございましょうか、現在。
  76. 竹村公太郎

    政府参考人竹村公太郎君) 私の記憶では、その年によって流量は雨が降るとちょっと変わりますが、ワーストワンかワーストツーか、どちらかの順位にいるかと思っております。
  77. 森本晃司

    森本晃司君 確かに、奈良県の方で人口が急増した。それから、大和川というのは一年日照り、一年洪水という状況で今日まで来ています。一挙に集中していますから、また水量がないときには、そのときにはかるとワーストワンの不名誉な位置にあるわけでございまして、これは何とかしなければならないということで、今度、先ほど申し上げました曽我川浄化施設という大変立派なものが、全国でも最大級の河川浄化施設、大和川に清流をということで大臣をお迎えして通水式を行ったわけでございます。  この効果というのはどれほどありますでしょうか。
  78. 竹村公太郎

    政府参考人竹村公太郎君) 委員指摘の曽我川の浄化用水も含めまして私ども河川浄化につきましては、ヘドロのしゅんせつ、そして河川浄化、そしてさらに家庭からの生活排水の防止、美化清掃、また下水道の整備とさまざまな要因でこの川の水質浄化に当たっているわけでございます。  大和川も着実に水質が改善しておりまして、環境基準が大和川はBODで五ppmでございますが、平成四年の平均値、八地点の平均値でございますが、五に対して十一だったわけでございますが、平成十年度には七・七ppmまでに改善してございます。一つ一つの効果というより地域全体の協力によって着実に大和川の水質が私は向上していると認識しております。
  79. 森本晃司

    森本晃司君 今度この浄化槽、その日は水が通るのを大臣にボタンを押していただいて、それで終わったわけでございます。その後、私はまたこの浄化槽を訪ねました。大和棟の立派な、その地域にふさわしい管理施設がございまして、管理棟があります。その下にいろいろと新しい浄化槽がありまして、槽が三つに分かれています。第一槽は、とったばかりの水を見ることができる。第二槽があり、第三槽になっていけばなっていくほどきれいになる。そして、そこに蛍光灯がありまして、光の度合いでどれほど水がきれいになっていくのかということを目で学べる形になっております。  今そこに名津井さんという建設省の監督官がおられまして、それを見学に来た人たちにも、わずか数人の職員の皆さんで一生懸命説明をされ、地域の人たちが、ああ、この汚れている水がこんなにきれいになるのかということを皆さんよく理解されている。しかし、何分その槽そのものは地下に埋もれているものですから、一般の人たちはそこへ行くと、ただ大和棟があり芝生の空間があると。これから芝生がどんどん伸びていってすばらしい空間ができて、周りは電線もないので、そこで恐らくたこ揚げをする人たちもいっぱいできてくるのではないかと思うんです。  私はそこを見まして、取水したものをきれいにして今度は川へ流しているんですけれども、ちょっともったいないなという気がしたんです。何でかというと、そのせっかくきれいになった水が下の川へ流れたら、他の汚れている水と一体となってまた流れていきます。ただし、水質はそれできれいにはなるわけですけれども。  大臣にお見えいただいて式典をやったその向こう側に飛鳥川の浄化槽が以前からつくられていまして、そこもすばらしい空き地になっているわけです。ここは野ウサギが出てきたりトンボが飛んだりするところなんです。  私は、そこに立って思ったんですが、例えば建設省がそういうことをされたときに、こんなにきれいになった水を施設のところに、飛鳥川浄化施設のところは随分あいていますから、そこに小さな川をつくって、それで自然石を置いたりして、この前も飛鳥川に蛍を飛ばしたいんだと言っていましたけれども、そこをそういう形にして、いろんなボランティアの人たちにも御協力いただいて、例えばそこで蛍を私は飛ばせることができると思うんです。しかも、川の名前が、こちら側が有名な曽我川、こちら側が飛鳥川、そして大和川へと合流する三角地に今度ちょうど大臣にお見えいただいた川西町保田というところに施設ができているんです。  そういったことを考えたときに、建設省が新しい技術を開発して全国最大の規模の浄化するものをつくったんだ、ここからとった水がこっちへ出てくるとここは蛍が飛び交うようになるんですと。大和川清流ルネッサンス21のうたい文句は、アユが泳ぎ、ゲンジボタルが飛び交う川、これを目指していこうということで今日までやってきているわけですから、今後そこだけに限らずに、そういうものをされたときに建設省がちょっとそういう工夫をして、多くの人たちに見てもらうことができる、親しんでもらえる空間にしていってはいかがかなと、こう思います。  現地を訪れていただいた大臣、そこの土地は見ていただいていないんですけれども大臣がおられた位置からすぐ北側にずっと続いてございます。また後ほど地図で御説明させていただきたいと思うんですが、そういうふうな工夫建設省にこれからあればいいなと思うんですが、いかがでございますか。
  80. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) 大変いいお話だなと思って伺っておりました。  あの節は御出席いただいて感謝をいたしております。  私があのときに五十億でこの施設ができましたという話をしたら、ええっという方がおられたりして、先生がおっしゃるように下へ隠れていますし、普通ならば、昔は上から流して下へ抜かしていく、今度は逆に、不思議なベークライトのような合成樹脂のような玉が入っていて、それが二つの槽にあって、下から上へ上がってまたおりて、今度は下から上がって、そして今度は、何か電気掃除機についているのれんのような、それにちょっと毛がずっと生えているようなものが垂れ下がっているその中をまた上がっていって、本当に画期的な水を浄化する形になっているのを見て、本当にああいうのをもっと直接見れるような、私はフーバーダムに行ったことがありますが、フーバーダムは中は水槽みたいになっていて、すごい大きな魚が目の前のガラスを遡上していくのが見えるようになっています。  先生のおっしゃるような蛍が出てくるような川、これは蛍が出てくるということはきれいになったという証拠だと思います。昔、能勢へ行ったことがありまして、能勢にますの荘というマス釣りをさせるところがありましたが、そこで一晩泊まったら、電気スタンドをつけて本を読んでいまして、寝ようと思って電気を消したら、部屋の中が蛍でいっぱいで、本当に忘れられない光景があります。  それから、安倍晋太郎外務大臣と私は、安保三十周年、外務大臣顧問ということで行けということで行きまして、ワシントンの日本大使館の中に小さなせせらぎがありますが、夕方、外務大臣が座っている前で記者団と懇談しているときに、あの大使館の中の浅い川から蛍がふあっと出てきた光景がこれまた今でも忘れられません。  だから、そういう蛍の飛ぶような環境をつくるために、別の流れへまぜてしまいますと、先生がおっしゃるようにまた汚い川ワーストワンということで、何で大阪に流れているのに大和川かなと思ったら、そういう理由があったみたいでございます。  ですから、そういう意味で、確かに先ほどのNPOの話とか、それから審議会をつくって地域の方の知恵を出そうと、先生の享保七年のいわゆる断恨碑の話もありましたが、その地域の特性に合ったような川づくり、そしてそこへ蛍が出てくるような川づくりというものが、ただ技術で、おれは専門家だ、だからそんなものは知らなくてもいいんだ、きれいにさえなればいいんだということじゃなしに、お金がどういうふうに使われているか、それがどういう効果を生むかという費用対効果のうちには目で見る効果というのも私は入れていっていいんじゃないかなと、本当にお説のとおりだと思いました。
  81. 森本晃司

    森本晃司君 今すぐそこにつくれるかどうかは回答を求めてもあれでございますので、これからまたいろいろ建設省の皆さんとも話し合っていってそれを実現したいと思いますし、また、私たちの仲間で、蛍を飛ばすためのいろいろ民間の協力も要る、そういったことにも協力をさせていただきたい。そのことによって建設省河川地方自治体がまた一体となって、自分たちの川を自分たちでも大事にしていこうということになってくるかと思っております。具体的にはまたゆっくりとお話をさせていただきたいと思いますが、せっかくのすばらしい空間がございますから、それを利用していった方が私はいいかと思っております。  ところで、大和川は同時に大変な洪水を起こす川でもございます。昭和五十七年、私がまだ議員にしていただく前の年の八月でございまして、忘れもいたしません。王寺の川がはんらんいたしまして、そして奈良県で約一万二千戸ほど浸水した状況がありました。その泥の中に私も入って、それぞれの御家庭のところの荷物を運び出したり、ボートを浮かべて食料を投げ込んだり、自分でもやったことがございます。  それから五カ年計画で相当改修は進んでいったわけでございますけれども平成七年に千六百、平成九年七月に五百五十戸、また平成十年八月には二千七十一戸がやはり浸水の被害に遭っております。  この大和川の改修、今、席を立たれましたけれども、脇先生、近畿地建におられるときには大変御尽力をいただいたわけでございますけれども、現状、また今後のそういう治水についてどうお考えか、お伺いします。
  82. 竹村公太郎

    政府参考人竹村公太郎君) 奈良盆地を流れます大和川は、ふだんは水がないわけでございますが、雨が降った場合は一気に周辺の山から奈良盆地に水が押し寄せまして、奈良盆地から水が出る出口はたった一つ狭い大和川だけでございます。そのため、昭和五十七年、あのような大水害が発生いたしました。  その五十七年の発生をもとにしまして、建設省近畿地建と奈良県は総合治水対策特定河川としまして、河道の改修と流域の中のため池の整備をしようという二つの柱を立てました。  その一つの川の改修の平成十一年現在での状況でございますが、もう既に三河川河川改修は終わっております。現在、佐保川、地蔵院川等五河川で実施中でございまして、十一年度末までの進捗率は約五〇%にも達しております。  もう一方の柱でございますため池でございますが、平成十一年度末現在での流域の中にあるため池の箇所は百二十七カ所、容量でいきますと百七万立米でございます。進捗率は約六〇%に達しております。  このような結果で、今委員が御指摘のございました五十七年では一万を超えるような浸水の戸数が出たわけでございますが、二日間雨量で二百二十二ミリの雨が降りました。平成七年七月には、二日間雨量で百八十八ミリという、それに匹敵する雨量だったわけでございますが、どうやらこうやら二千程度の浸水でおさまったわけでございます。  五十七年から平成七年までの被害の傾向を見てみますと、総合治水対策事業は確実に効果を上げつつあるという認識を持っておりまして、残りの事業を懸命になって精力的に実施していく予定になっております。
  83. 森本晃司

    森本晃司君 この大和川は、大臣も御承知のようにもう一つ大きな課題を抱えておりまして、建設省もこのことについては全国で一番の取り組みをしていただいております。  ちょうど奈良県の水が全部大和川へ集まって、そしてそれがやがて大阪へ出ていく。その大阪へ出ていくのど元のところに有名な亀の瀬地すべりというのがございます。これはもう四万年ほど前から続いているようでございまして、昔は万葉の歌に歌われて、あの亀の瀬地すべりのところは竜田越えとか言われたり、一方また恐の坂とも言われておったところでございます。なぜ恐の坂かなと思うと、やっぱり地すべりがあって非常に恐れられていたんではないかなと。そういう呼び名もついております。  先般、大臣に明日香村へ行っていただいて、その後、浄化槽のところへ行っていただいて、帰るときに亀の瀬にお立ち寄りいただきまして、ありがとうございました。  私も以前現場に行きまして、今一生懸命くいを打ったりして何とかやっていただいていまして、六・五メーターのくい打ちのところがございまして、百メーターぐらいのくいがどんと打たれていきます。私も上から下まで建設省の人の御案内で一緒にずっとおりていって見た。こんなすごい工事なのかなということでございます。  あの亀の瀬がもし地すべりでぎゅっと閉まることになりますと、奈良県じゅうが全部水没してしまうことになりまして、県民の九割、それから資産の八割はこの大和川流域に集まっておりますし、百二十万人の人たちが大変な影響を受けます。それで、詰まってしまえば大臣のおられる大阪は一見助かるようでございますけれども、その自然のダムが決壊したときは大臣のお宅の方へ直接どんと行ってしまいまして、これはまた大阪の皆さんに大変な被害を及ぼすということで、幸い大臣もそれを見ていただいて、私、これでさらにまた、なかなか大きな課題でございますので建設省の皆さんは御苦労されておると思うんですけれども、大変励みになったかと思います。  この亀の瀬工事をさらに続けていっていただくことに対する大臣のお考えをお伺いさせていただきたいと思います。
  84. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) 本当に森本先生のおっしゃるとおり、私も実は行って現場で驚きました。今六メートルとおっしゃいましたが、直径八メートルの輪っかを入れて、その中に鉄筋を入れて百メートルのくいを四十二本打つそうでございます。  その二上山、あれは古い火山のようでございますが、昭和七年ですから私が生まれた年でございますが、その昭和七年に大土砂崩れ、地すべりがあって、あそこはもう鉄道も国道二十五号線も全部つけかえたという大水害がありまして、あそこへ行って聞いてみましたら、直轄の地すべりの地域全国に十一本あるようでございますが、そのうちの四割の費用を使っているという、もう大変なところでございます。  大和川というのは、川中甚兵衛という人が一七〇四年に、これは十八歳から六十八歳までかかって幕府に頼んで、大和川は生駒山の下を北へ向かって流れていて、有名な鴻池さんの鴻池新田の方へ向かっていたやつを五十年かかって大阪湾に真っすぐ流れ出るようにつけかえをしたという、河川の歴史では、直角に河道を変えたというすごい歴史があるということで私も本当に認識を深くいたしました。  今おっしゃるように、もし二上山と信貴山の間が崩れて、それがオーバーフローするようなことになりましたら大阪の六割は水につかります。そもそも生駒山の下からずっと海だったわけでございますから、そのもとの姿に返るということになりますし、あそこが詰まったままだと今度は枚方の方から、北側の方から大阪へ水が入るというような形になりますでしょうから、先生のおっしゃったようにあそこは大変重要なところだなと。あんな百メートルのくいを打って、下にある何か分厚いおもちみたいな形になっているもので本当にとまるのかなと。素人考えでよくわかりませんが、その動く大地の恐ろしさというようなものを、先生お話と同じように、私も現場へ行ってびっくりしました。  すぐそばには住宅がずっと迫っていますし、ほとんど立ち退いておられますが、その地すべりの恐ろしさというのを私はあの現場で見せていただいて痛感をしておりますので、心して対応していくことをこの際お誓いを、建設省それから河川事業すべての組織を通じて。  また、私なんかもそういうことを知らなかったということは、余り広報、宣伝が行き届いていないんじゃないかという気がしてなりません、あそこがどんな恐ろしいことか。人をおどかすのがいいことか悪いことかわかりませんけれども、こんな危険な地域があるということはやっぱり認識をさせるべきではないかというふうな両方の思いをいたしました。
  85. 森本晃司

    森本晃司君 大臣のお言葉を伺いまして、心強く思っている次第でございます。  建設省の皆さんも大変な思いで取り組んでいただいておりますが、先ほどお話がありましたように、同時に交通の要衝でもございます。JR関西線が通っていますし、国道二十五号が通っています。  どうぞ、さらにいろいろとお力添えをいただきますことをお願い申し上げまして、終わります。
  86. 石渡清元

    委員長石渡清元君) 午後一時二十分に再開することとし、休憩いたします。    午後零時十分休憩      ─────・─────    午後一時二十一分開会
  87. 石渡清元

    委員長石渡清元君) ただいまから国土・環境委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、谷林正昭君が委員辞任され、その補欠として海野徹君が選任されました。     ─────────────
  88. 石渡清元

    委員長石渡清元君) 休憩前に引き続き、河川法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  89. 山下善彦

    山下善彦君 午前中に引き続きまして、河川法改正について数点質問をさせていただきたいと思います。  今回の河川法改正の原因の一つに、午前中の議論の中で出ておりましたが、平成十一年六月に福岡市の地下街で浸水被害が起きた、近年になって豪雨災害など都市部での洪水が非常に目立って多くなってきていることが今回の改正法につながったのではないか、私はそう認識しておるわけでございます。  今回のこの河川法改正においては、都市の洪水を防ぐという意味においても、河川管理町づくり一体化を推進していこうということがこの改正目的一つになっていると考えてよろしいのでしょうか。その点について、まず確認をさせていただきたいと思います。
  90. 加藤卓二

    政務次官(加藤卓二君) 河川法改正についてのお尋ねでございますが、河川法改正流れというのは、近代河川制度というのは明治二十九年にスタートして、これは治水がほとんど主でございましたが、昭和三十九年には治水それから利水の方も一緒に入れるようになりました。今度の改正治水、利水、それに環境町づくりを含めての大きな柱ができ上がったわけでございます。  特に現行では、河川整備をするときの計画の立案には、学者や関係住民が一緒に参加できる、関係知事や市町村長も一緒に計画に参加できるというような制度になっておりますので、今先生がおっしゃられたように治水、そしていろんな意味での町づくりにも地域住民が参加できるようになっております。  近年、都市では、集中豪雨により頻繁に地下空間の浸水災害が発生するなど、浸水対策の実施が急務であります。一方、河川空間町づくり一体整備していく要請も高まっております。今回の法改正は、町づくりの中心的主体である市町村河川管理に参加して、安全で魅力ある河川整備都市空間整備の積極的な実施を可能にしたものだ、こう思います。
  91. 山下善彦

    山下善彦君 ありがとうございます。  今政務次官からるる御説明をいただきましたけれども、今回の改正の提案理由の中には、都市の洪水を防ぐということが明確にうたわれていないんじゃないか、そんな感じがいたしますけれども、その点についてはいかがですか。
  92. 竹村公太郎

    政府参考人竹村公太郎君) お答えいたします。  近年、急激な集中豪雨の発生によりまして、特に昨年夏の福岡の博多駅周辺など大都市の中心部で大変大きな水害被害を発生させております。この浸水対策を緊急に実施する必要を私どもは十分認識しております。  具体的には、事業としては都市河川改修事業だとか床上浸水対策特別緊急事業だとか流域貯留浸透事業等を計画的に推進しまして万全を期していきたい。また、ソフトの対策としましては、国土庁、運輸省、消防庁と合同で地下空間洪水対策研究会などを発足させまして、緊急的な浸水対策のための住民への避難等についてもこれから取り組んでいきたいと考えております。このように、都市部の治水対策都市洪水を防ぐための対策につきましては、従来の法制度の中でしっかり実施していくという体制になっております。  今回の法改正につきましては、近年、市町村が川と一体となった町づくりを主体的に進めていく要請が高まっているというような状況を踏まえまして、本法案改正を御提案になったわけでございます。
  93. 山下善彦

    山下善彦君 ありがとうございました。ちょっと読み切れなかったものですから、あえてお伺いをしたような次第でございます。  それでは、今回の提案説明の中にもありますように、市町村工事制度の内容、この点について伺いたいと思います。  実際に、町村において大変財政上、きょうの午前中の議論でも財政に絡む問題が出ておりましたが、無理があるかもしれませんけれども指定都市でない市においても洪水の可能性のある一級河川や二級河川が当然流れているわけでございます。河川審議会答申が町づくりと防水政策を一体化していこうという考えがあるならば、地方分権流れを踏まえた上でさらにもっと踏み込んでいただいて、市町村工事制度の内容のさらなる拡大だとか、指定都市以外でも一定財政力のある市におきましても河川管理権限委譲を行っていこうとする考えはないのかどうか、その点について伺いたいと思います。
  94. 竹村公太郎

    政府参考人竹村公太郎君) これまで市町村は、一級河川の知事区間、そして二級河川におきまして町づくりと連携した河川整備を行ってまいりました。今回の改正は、直轄区間でもこのようなことをしようという市町村工事制度の拡充でございます。これは町づくりと連携した河川整備という形で、いわゆる根幹的な治水事業、これは大変な資金と時間がかかりますので、基本的には国の役目であり、二級河川は県の役目だと認識しております。  今回、政令指定都市河川管理の一括委譲という御提案をしているわけでございますが、政令指定都市は、もう既に従来ある市町村工事制度を利用しまして、かなり工事的には大規模な工事を実施しております。このような過去の政令指定都市河川工事の実績を踏まえまして、そして政令指定都市財政そして人員配置等を考慮しまして、当面政令指定都市が一括管理をしても大丈夫だというような区間につきましては、知事と協議の上管理をしてもらおうという内容になってございます。河川管理権限委譲をこのような技術的観点、または財政力、行政力観点から私どもは判断したわけでございます。
  95. 山下善彦

    山下善彦君 今局長から御説明いただいたことは、そのように当然理解しておるわけでございます。  私はさらに、財政力がある程度、余裕のあるところは現状ではないと思いますけれども、緊急的ないろんなこういう措置をする場合に、どうしてもそこにこれは国の問題だよというところで、非常に緊急を要するようなときの工事の施工命令と申しますか、そういうことができない場面があるわけでございまして、これが行政の区割りの問題点だなということを私も感じたことが過去に地方におきましてあるわけでございますので、あえてそういう場合も含めて、もちろん今回のこの改正の中では今御説明のあったような形で進められると思いますが、さらに踏み込んでいただいて、これから河川管理権限委譲をそれなりに対応できるような、政令指定都市以外の市でもやっていけるようなそんな考えを持って、今後、またいつの日かわかりませんが法改正を進めていただければと、こんなふうに要望をさせておいていただきたいと思います。  次に、ことしの二月の河川審議会に諮問をされました流域での対応を含む効果的な治水のあり方についてということでありますけれども、この諮問の背景と理由について御説明をいただきたいと思います。
  96. 竹村公太郎

    政府参考人竹村公太郎君) 私ども河川管理者として気象、水門データを観測しておりますが、特に近年のこの異常気象のデータは激しいものがございます。  具体的に申しますと、気象庁が所管しておりますアメダスという雨量資料、これは全国で千三百地点ございますが、千三百地点をずっと見てみますと、過去の十カ年を見ますと、平均で一時間雨量が百ミリを超えるのが大体一年間に一カ所か二カ所でございましたが、平成十一年では一時間雨量が百ミリを超える箇所が十カ所を超えるというような事態になっております。  私ども、さまざまなデータでもって予測をし計画をして河川事業をやっていくわけでございますが、自然の驚異的な力は私どもが計画したものをいつかは必ず上回るという認識のもとに、その際発生する大洪水がそれまで築いてきた私ども人間生活を一気に襲って壊滅的な被害を生じさせることのないよう、その被害を最小限とする流域での対応が求められるのではないかという認識に立ってございます。  このような観点から、国民の生命、財産を守るため、いわゆるハードとしての河川事業も当然やっていきますが、流域内における壊滅的な被害を最小限とするソフト対策の充実にこれからきちんと対応していかなきゃいけないという認識に立ってございます。
  97. 山下善彦

    山下善彦君 それと、今申し上げておりますように最近における都市での洪水は、確かにスーパー堤防など従来の治水対策で行われた工事なんかも必要であると思いますけれども、堤防と一体的に効果的な手法を今後考えていかなければいけないんじゃないかなと思っておるわけでございます。  今回のこの質問の位置づけなんですが、従来の治水対策の変更になるのか、または一部修正なのか、それとも流域管理という概念をしっかり考えて対策を総合的に行っていこうとするのか、その点について教えていただきたいと思います。  なお、いつまでに答申をまとめ上げるつもりなのか、あわせてお伺いしたいと思います。
  98. 竹村公太郎

    政府参考人竹村公太郎君) 私どものこの流域管理という観点は、どういう今までの流れの中の位置づけなのかという御質問だと考えられます。  私ども、従来からこの国土を守るためのある一定安全性を設定して、それに向かって河川改修、河川整備をやっていくという基本的な考え方は何ら変わってございません。ただし、それを上回る大変な大きな災害があるんではないかというときの被害を最小限にしようというプラスアルファの危機管理的な要素が非常に多い内容と私ども考えております。  流域管理と申しますと、具体的には学校のグラウンドや公園を利用して雨水をためて、一時的にそこに水をためておいてもらう。また、従来地方自治体や水防団にしか伝わらなかった洪水の情報、これを地域住民へわかりやすい形で伝達しよう。そして地方部で、もしそういうことができるなら、地域を守る輪中堤や住宅地のかさ上げというような水害に強い町づくりということも時間をかけてやる必要があるんじゃないかというような流域の対応を考えてございます。これらのような流域での対応と従来行ってきた河川における根幹的な整備とをあわせまして、水害に強い国土を築いていきたいと考えております。  この答申の御質問でございますが、私どもこの答申につきましては現在審議中でございますので、まだ確定的なことは申し上げられませんが、年内を目途に一定の答申が出るのではないかなと予想してございます。また、直接この答申がどのようなことになるか全く現時点では把握できませんので、今後この答申に基づいて私ども行政的な対応が必要ならそのような対応をさせていただきたいと考えております。
  99. 山下善彦

    山下善彦君 答申が出ればもちろんその法改正もここで必要になってくると思うんですが、その点はどうですか。
  100. 竹村公太郎

    政府参考人竹村公太郎君) 私どもこの答申の内容をまだ十分把握しておりませんが、もしその結果、現時点では法改正を直接的に目的とした諮問ではございませんが、結果によっては法改正が必要な場合には私ども適切に対処していくことが必要なのかと考えております。
  101. 山下善彦

    山下善彦君 次に行きたいと思いますけれども、ことしの二月に、同じ日になるわけですが、河川審議会で答申をされて、今議会で、災害対策特別委員会で可決された「総合的な土砂災害対策のための法制度の在り方について」でございますが、この最後の部分の文書に、「住民は行政の限界を認識して、対策工事によるハード施設を過信することなく、」との趣旨がここで述べられておるわけでございますが、この答申を踏まえて今申し上げたような法律案が今回提出されて昨日の本会議で可決されたと、こういうことでございます。  この土砂災害の防災対策の考え方と治水対策との関係はどのようになっていくのか、その点について伺いたいと思います。
  102. 竹村公太郎

    政府参考人竹村公太郎君) 昨日、参議院本会議で通過していただきました土砂災害防止法案は、従来の事業法、いわゆる砂防三法と呼んでおりますが、従来の砂防三法は、土砂災害が発生する原位置、土砂災害を発生する場所の対策工事をきちんとやっていこうというのが従来の砂防三法でございました。今回の土砂災害防止法案は、土砂災害が上部標高で起きて、その土砂が下部標高に襲ってきて、そして被害を受ける方々、被害を受ける住宅地における対策ということでございまして、これを私ども愛称でソフト対策と呼んでございます。具体的には、危険の周知だとか警戒避難体制の整備だとか住宅地の立地抑制等々でございます。  また一方、流域管理は、先ほど御説明申し上げましたように、従来のように河川における根幹的な安全対策は従来どおりきちんとやっていく。その一方、流域においてはグラウンドや公園等を利用した水害に強い町づくり、そして住民への的確な情報伝達というソフトの対策を充実しようという内容でございます。  そのため、土砂災害法と流域管理というのは、一方はがけ地における問題、一方は低平地における問題というその場所が違います。そして対象とする災害も、土砂災害と水害と災害の種類も違いますが、自然災害に対応するハードとソフトが一体となって強い国土をつくろうという意味では全く基本的なコンセプト、考え方を持っているのかなと私ども認識しております。  このハード、ソフト一体となった総合的な対策を私どもこれから大きな二本柱として、安全で快適な国土を形成していきたいと考えております。
  103. 山下善彦

    山下善彦君 地元の話になるんですが、私の地元の静岡県は大井川だとか天竜川というような大変急流で治水対策が必要とされてきた川が非常に多いわけでございますが、今日まで堤防の整備や上流部でのダム建設が行われてきました。今後も、もちろん堤防補修やダムのしゅんせつをしっかりやっていただかなければならないと思うわけです。  そのような観点に立って、このような急流地の流域対策をどのように行っていこうと考えられているのか、伺いたいと思います。
  104. 竹村公太郎

    政府参考人竹村公太郎君) この急流河川大井川、天竜川等におきます流域管理という点につきましては、私ども堤防の破堤、はんらんということに対しまして最も重要なことは情報の伝達と住民の避難という点ではないかと認識しております。  具体的に申しますと、天竜川上流の長野県伊那市や菊川水系の菊川町、小笠町、大東町でもう既に洪水ハザードマップを作成し、水害時における被害を最小限に食いとめる取り組みを実施しております。このような流域におけるソフト対策がこういう急流河川でも必要だと考えております。  また、天竜川は特に急流でございまして、洪水時には大量の土砂流が発生します。いわゆる川の水の移動と同様に土砂の移動、これは私ども土砂の移動を流砂系という概念でとらえまして、河川、砂防、ダム、海岸が上流から河口まで、海岸まで一貫して土砂がどのような形で流れていくのかという流域全体の土砂管理の計画を今後大きな河川管理上の重要な課題と認識しております。  今後、この問題につきましても、私どもきちんとさまざまな分野で関係省庁と協力しながら対応していきたいと考えております。
  105. 山下善彦

    山下善彦君 今出ておりましたように、この土砂の問題は大変な問題が私の地元でもあるわけでございます。今、ダムのお話が出ましたけれども、この既存のダムの管理治水上大変重要な問題になってくるのではないかな、そういうふうに考えておるわけでございます。  堆砂の問題、ダムにたまる砂、海岸の侵食が進む中で防災や環境の面からも大変心配されるわけでございますが、伺うところによりますと、今までのダムは堆砂による治水、利水等への影響が生じないように百年間の土砂流入に耐えられるように設計をしてまいった、こういうふうに伺っておるわけでございます。  平成二年の総務庁の行政監察の資料によりますと、この堆砂の問題が予想を上回る勢いで進んでいる。六十カ所その当時調査をしたそうでございますが、二五%のダムで予想以上、二倍以上のスピードで堆砂が進んでおる、こういうような結果が報告をされているわけでございます。  そこで伺いたいと思いますけれども全国のダムの平均堆砂率、これはどのようになっているのか、また堆砂によってどのような問題が生じているのか、伺いたいと思います。
  106. 竹村公太郎

    政府参考人竹村公太郎君) 私どもの手元の資料によりますと、平成九年度現在の全国の百万立米以上のダム、一定程度、中小以上の余り小さなダムではなくて中規模と言われますが、百万立方メートル以上のダムを対象とした調査によりますと、ダムの総貯水量に対する平均堆砂率は七%でございますが、全国平均だけで申しますと七%という数字は少しわかりにくい点がございます。余りにも小さいんじゃないかと。  これをもう少し地域別に表現させていただきますと、全国平均では七%ですが、実は中部地方が圧倒的に大きな数字を示しておりまして、中部地方が二一%でございます。あと、ほかの地方は実は四%とか一%とか六%とか、北陸でも六%ということで、ともかく中部地方の堆砂率が非常に大きなウエートを持っておりますので、全国の堆砂率七%といっただけでは中部地方の問題点は表現されないかなと認識しております。  ダムにおきまして砂がたまったらどうかという点につきましては、私ども河川管理者として、従来ダムをつくってくることについては世界最高の技術を持ってきたと認識しておりますが、これからダムを管理するための排砂対策、砂対策も世界一の技術を持とうという意気込みでダムの堆砂に今取り組んでございます。  建設省所管のダムは、洪水調節や利水、上水道や農業用水や工業用水を水が少なくなったときに出さなきゃいけませんので、砂がたまるということはダムの機能にとっては重大なことでございますので、きちんと私どもダムの堆砂を見まして、これから建設省所管のダムは特に私ども意を尽くして管理に当たっていきたいと考えております。  なお、中部地方の、では二一%を占めるダムがどこが大きいかと申しますと、実は電力関係のダムでございます。水力発電のダムはダムの高さがあれば十分発電の効力を達するわけでございます。私どものダムは水の容量がないと効力を発揮しませんが、発電のダムは容量がなくても、ダムの高さが十分あって、その勢いで発電をするという仕掛けでございます。特に、天竜川筋にあるダムはダムの中腹に洪水のときに水を吐く穴を持っておりません。ゲートを持っておりません。私どもの洪水調節をするダムは、ダムの堤体の中腹に洪水を吐く大きなゲートを持っておりまして、洪水時には土砂とともに洪水を下流へ安全な量だけ放流するという仕組みになっておりますので、発電のダムと比べると私どもが所管しているダムの堆砂率は歴然と少ない量になっております。  少なくとも、私どもこれから発電を所管している通産省とともども、この堆砂についてはさまざまな技術開発を実施していきたいと考えております。
  107. 山下善彦

    山下善彦君 ありがとうございます。  今御説明のありましたような状況を受けて、建設省の対応も今御説明があったわけでございますが、時間の関係上で、最後に天竜川水系におきまして平成十年度と十一年度にダムの排砂に関しての実験というか試験を行っていると伺っておりますけれども、その状況について教えていただきたいと思います。
  108. 竹村公太郎

    政府参考人竹村公太郎君) 委員質問平成十一年、十二年のダムの排砂試験というのは、電源開発株式会社が所有する秋葉ダムの土砂を秋葉ダムから下流の川へ置きまして、これは私ども建設省の中部地方建設局と協力しまして、学識経験者、関係市町村、そして河川利用者、つまり漁業関係者も含めて天竜川土砂供給試験検討協議会というのを設けまして、秋葉ダムから、貯水池から下流へ土砂を三万立米置きました。何で置いたかと申しますと、洪水が起きたら洪水の自然の力でもってそれを海へ流してもらおうという趣旨でございます。  私どもが計画したとおりに四回の洪水が起きまして、洪水のたびに川の中に置いた土砂が少しずつフラッシュされまして、結局それをずっとモニタリングしたわけでございますけれども、河道への影響河川環境への影響はなかったということでございます。  今後とも、引き続きましてこの秋葉ダム貯水池から掘削した土砂をダムの下流に置いて、自然の力で土砂を海まで持っていってもらうというような試験を継続していきたいと考えております。
  109. 山下善彦

    山下善彦君 ありがとうございました。  今御説明がありましたような実験をされていると思いますが、実際には治水対策上の問題点としては、先ほども申し上げましたように大変な勢いで堆砂の問題が起きているわけでございます。もっと抜本的な対策を立てなければ大変なことになるなということで地元の町村でも大変心配しておるわけでございますので、ぜひその点については今後さらに検討していただいて、抜本的な対策を立てていただくようお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
  110. 脇雅史

    ○脇雅史君 自由民主党の脇雅史でございます。  河川は、私が申し上げるまでもなく、いわゆるインフラといいましょうか、社会資本の中でも一番古くから大変な苦労をして今日にまで至った、そういう施設でございます。重い歴史の中で河川局は、私から申し上げると若干信じてもらえないかもしれませんが、時代流れに合わせて非常によく対応をしていただいているというふうに私は思います。今回の法改正もひっくるめて、さらによりよい河川になるように御努力をお願いしたいと思います。  私は、本会議その他、河川に関する最近のさまざまな先生方の御発言を聞きながら、若干どうかなというふうなことを思うことがあるものですから、一つ二つお尋ねをさせていただきたいというふうに思います。  第十堰が話題になっておりますが、それに関しますことが多いわけでありますが、まず住民投票の話でございます。  午前中に建設大臣からお話がありました。いわゆる我々の代表を選んでやる代議制度の中でどんな格好をとるべきかということを言われました。いろいろ当時のマスコミその他の書き方、報道の仕方を見ておりますと、非常に上辺だけ、賛成か反対か、住民投票に賛成すれば民主的であるし反対すればその反対だというふうな非常に短絡的な、芸能ニュースを流すような感じで報道されたように私は感じました。当時言われた中で、その問題が投票になじむ問題であるかどうか、あるいはその範囲をどう設定したらいいのか、そんなようなことが言われておりました。  確かにそれも大事なことではありますが、住民投票というのはもっと重い問題だと思うんです。我々の民主政治、民主主義の世の中をさらに一段と進めていく、熟成していくためにどういう使い方をすればいいのか、一体全体、住民投票で決まったときに、決まったことについてだれが責任をとれるのか、とるのか、反対意見はどうするんだと、本当に根元的な、まさに民主主義の制度の根幹に触れる問題だと思うんです。ですから、やはり冷静に掘り下げて、さまざまな問題を挙げてそして進めていかなければいけない問題なんで、何か賛成したらラーメンを半分まけてあげますとか、そんな中でやる話とは全く違うはずなんです。そういう意味で、私は現在両院に置かれております憲法調査会、そういった中でこそきっちりと詰めるべき問題だというふうに思います。  これはきょうは特に、きょう大臣の御発言もありましたし日ごろお伺いしておりますので、答弁は結構であります。  それから、住民の意見を聞くということが午前中も話が出ておりました。公共事業を進めるに当たって、住民の方々の御意見をお伺いするのは極めて大事で、河川法でもそういう改正をされたわけです。  そこで、もう何年かたつわけでありますので、これまでにどんな聞き方をされてきたのか、それぞれの住民といっても、どのぐらいの範囲の人から聞くのか、どういう立場の人から聞くのか、さまざまな問題があると思うんですが、今までの実績とそれに基づいてどんな問題があったのか、そういう問題意識もひっくるめてお話をいただければと思います。
  111. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) けさの委員会の席でも、私は吉野川第十堰の話をいたしました。私は、先生がおっしゃっておられましたように民主主義というのは、ヨーロッパでは魔女狩りとかそんなのがありましたから、また西部劇でもよくリンチにかけてしまった後でそれが大変な間違いだったという、その一瞬の瞬発的な民衆の意識というもので物事は左右されるものではない。時間が少しかかりますけれども、やっぱり憲法の前文、最初に書いてありますような、いわゆる日本国民は正当に選挙された議員によっていろいろなことを決めていくという、その原則をちゃんと実施していかなきゃいけないと思っております。  この間、プーチンが大統領になるときの方式を見ていましたら、何か吉野川の投票と同じように五〇%以下ならば公表しないなんというのがプーチンの大統領選挙のときの投票方式。あれも初めは私は不思議だなと、五〇%以下でも公表したらいいじゃないかなんという話をしておりましたんですが、とにかく吉野川の問題というのは自然との闘いでございますので、今、有珠山とも自然との闘いをしておりますが、そういう問題はもっと落ちついて、本当に地域の住民の皆様方、特に四十七市町村に関係のあることを一市のそのときの住民投票だけで左右はできないとかたく信じております。  しかし、皆さん方のいろんな御意見は聴取しなければいけない。これも民主主義のいわゆる原則の一部である。そうして、いろいろな自然科学の世界で、もう釈迦に説法でございますが、先生のような御専門の方も国会にいらっしゃることでございますし、また一般の地域に住んでいらっしゃる、歴史のいわゆる知恵を知っていらっしゃる方、その方々の御意見を拝聴するというのも大事だろうと思います。  今の御質問でございますが、住民の意見聴取についてのお尋ねでございます。平成九年の河川法改正の趣旨を踏まえまして、河川整備計画の案を作成する場合に、流域で委員会等を設置して、河川工学以外にも環境、文化、経済、教育など、河川の特性に応じて幅広く多くの分野の方々の意見を聞くとともに、公聴会等の開催、それから縦覧、インターネットによる意見公募などを通じて流域住民のさまざまな意見を聞くよう努力いたしたいと思っております。  今後とも、河川についての理解を深めていただけるようより一層努力をいたしたい、かようにお誓いをするとともに、流域住民やさまざまな分野の方から公平に意見が聞けるようにさらに努力をいたしてまいりたい、かように考えております。
  112. 脇雅史

    ○脇雅史君 局長からでも結構なんですが、法改正以降、住民の意見をどのように聞いてきたのか、少し実績がわかればお願いしたいんですが。
  113. 竹村公太郎

    政府参考人竹村公太郎君) 法改正して以降、河川整備方針及び河川整備計画の事例はまだ途上でございます。  具体的に申しますと、二級河川におきまして二河川におきまして河川整備計画が策定されました。その際、新しい法律に基づきまして流域住民等の意見を聞く措置をとらなければならないということで、その二河川河川整備計画をつくる段階におきましては、県によります説明会、そして質疑応答の会等を実際に開催いたしまして、小さな流域でございますが、その流域の方々の御意見を聞くという努力をしながら県は河川整備計画を策定したと報告を受けております。
  114. 脇雅史

    ○脇雅史君 実績としては余りよくわからない部分もあったんですが、いずれにしても建設省としては住民の方々の意見を幅広く聞こうと、こういうふうに世の中に言っているわけです。その反動と言ってはおかしいんですけれども、それを受けて、これからは私たちの意見も聞いてもらえるというふうに非常に期待を持った方々が多いわけです。そして、ある意味では、お金を使ってでも河川を勉強して、みずから計画論にも参画をしたいというふうに言っている方も多いわけで、生兵法大けがのもとということがあって全面的に全部が全部それがいいというわけではないんですが、その姿勢は極めて貴重なわけで、そういうものをうまく生かしていかなければいけないんです。  ところが、なかなか世の中というのはうまくいかないので、余り大事だ大事だと言いますと、物すごい自分が主役になったような気になる方がいるかどうかわかりませんが、大臣とさしでやるんだ、計画は二人で決めるんだと。ところが、ではほかの人はどうするんだと。その方は一体どういう立場で来ているのか。反対派の方々の代表で来ているのか、どういうお立場なんですか、住民の代表の方なんですかと言うと、そうではなくて、やはり一部の方の代表でしかない場合が多いわけです。  ですから、住民の方の意見を聞くというのは非常に口当たりのいい、耳ざわりのいい言葉なんですが、やはりそこには民主主義としてのルールがなければいけない。意見を大臣としてお聞きになるのは非常に大事なことですからどんどんお聞きになりますけれども大臣と意見を言い合って私たちの意見が通らなかったらその会はおかしいんだというような進め方をするというのは、やはり誤解ではないかな、民主主義の誤作動ではないかなというような感じもいたします。  やはり建設省として、住民の方々の意見、流域の方々の意見を聞くと言った以上、実績を踏まえてきっちりとしたルールをつくりながらやっていかないと要らない誤解を住民の方々に与えるおそれもあるので、その辺、今後工夫をしながらやっていただきたいと思います。もう返事は結構なんです。  それから、あと一つ大事な話で、治水というのはやはり重たい伝統を持っているものですから、非常に大事な、これだけは外してはいけないというような点が幾つかあると思うんです。  日本というのは、いわゆる河川がつくった平野、沖積平野ですけれども、そこに五〇%の人間が住んでいて七五%の資産があると言われているわけです。川が流れて平野ができるということは、もともと水が流れていたところ、言いかえれば川だったところに住んでいるわけです。  ただ、水が来るといけないので、洪水のときでもできるだけ来ないようにしたい。言うならば、川を狭い範囲に閉じ込めてきた。折り合いをつけるわけですけれども、ここは川でないぞと人間側が主張して、本来自然の河川である部分をも河川でない格好、それを法律という格好でここが川だと言っているわけですね。それはもう随分無理をして狭い範囲に、利根川、何川でもみんな押し込めて現在の姿があるわけです。  ですから、言いかえれば、洪水のときに本来水が来るところに来なくて川の中に全部集まりますから、水位が非常に高くなっているわけです、日本の川というのは。そこの縦断図というのをかいてみるとわかるんですけれども、洪水時の水位というのが二階屋のてっぺんとかそんなところにまで来るようになってしまっている。ですから、日本の川、沖積平野の治水、堤防で守るというときに一番大事なことは、水位を上げないということなんです。まして人工的に構造物をつくったりして水位を上げるということはあり得ない話なんです。これは譲ってはいけない点なんです。  冗談めいた話で恐縮なんですが、例えばこの間「あすか」というテレビ番組があって、あそこに禄さんという非常に頑固な職人がいて、和菓子の心は何か、一期一会とか言いながら、自分の娘であるとか周囲の人間がつくる売らんかなという菓子はだめだと。非常に頑固にこれだけは外せない点だと、職人として和菓子はここを外してはいけないということを主張して、万事最後はうまくいく話だったわけです。  治水の歴史をしょっている大臣、いわばしにせの大臣、しにせの主人なんです。ですから、もし世間様が間違ったことがあれば、道を外すことがあれば、治水はここだけは外せませんよと言わなければいけないわけです。それは第十堰でいえば水位を上げるということなんです。もう既にうんと上げているわけですから、これをさらに上げるなんということはあり得ない。  河川管理というのはなかなか世の中に見えていかないんですけれども、例えば橋を一本かけるときでもだめだと言うんです、河川屋は。なぜか。橋をかけるとピアが立って洪水のときに邪魔になり、あるいは水位が上がる。それが原因で、たかが一センチのことで堤防が壊れて大水害が起こることがあるからなんです。  そういうことでやってきたわけですから、いつかのお話の中でもありましたが、現在の堰を温存してそして堤防を少しでも上げればいいじゃないかと。これは知らない人が聞けばもっともに見えるんですけれども、あり得ない話なんです、これは本来治水として。そのあり得ない話をあり得ないんだぞと、それをしにせが言わなかったらだれが言うんだと。それを本気で言わなければ国民の方々も信じませんね。そういう案があるんだと、お金が高いからこっちはやめようじゃないんです。それは初めからあり得ない話なんです、白紙に戻すとかなんとか言いますが。ですから、それを国民に対して言うのは、まさに水を預かる建設省ののれんの社長が、雇われ社長でも何でも言わなければいけないわけですから、そこはやっぱりきちっと声を大にして言ってほしいと思うんです。  また話が変わって恐縮ですけれども、阪神・淡路大震災、私は東京にいたんですけれども、あのテレビを見ていたら高速道路が倒れた映像が出てきました。本当にびっくりしました。高速道路が地震で倒れるということはあり得ない、みんなそう言っていたんです。ところが、よく冷静に考えてみたら、むしろ技術屋として考えてみれば倒れたことに驚く方が驚くべきことなんです。当たり前なんです、ある意味では。当然外力を想定して、その外力に合うように設計したわけですから、それをはるかに超える力が来たら壊れるのが当たり前。むしろ、ああ壊れたかと、大変な力が来たんだなと思うのが技術屋の本来の姿で、非常にある意味で謙虚な気持ちを持っていれば当然に壊れ得るものだというふうに思うはずなんです。  自然を相手にする、そういう土木工学の世界ではまさにその謙虚さが一番大事なのであって、今回も吉野川で百五十年に一度と言うと、そういうありもしない洪水を出して住民をおどしてといったような表現の新聞がありました。これまた驚くべきことで、阪神・淡路大震災は何百年に一回の確率の地震ですけれども、何百年に一回でも起これば何をやっていたんだと言うし、百五十年に一回の安全を保ちましょうと言うと、それを何かつくり話のように言われてしまう。非常に謙虚さのない話だと思うんです。  謙虚に自然現象に対応するとすれば、まさにこの吉野川の第十堰でいえば水位を上げられない。ほかのどこの場所で言っても水位を上げてはいけないんだと。ですからそれは、話し合って納得して議論して決める話とは違うはずなんです。  だから、そこのところが、私も一人の市民として、随分テレビでもラジオでもやられました、新聞でも言われました。聞いていて、そういうことが建設省側からも伝わってこない。これでは、一般の人も多分そういうものだというふうには思わないんじゃないか。日本における治水の大事さということ。みんなめったに起こらないものですから安心し切っておりますけれども、やはりここはきちっと建設省の方で主張していただきたい。  それからまた、もう一つ余分なことを申し上げますが、これは水をためる話ですけれども、アメリカで、ダムは要らないと六、七年前に開墾局の局長さんという方が言われたことがあるんです。それは、アメリカの開墾局ではもう長年の歴史がありますから必要なダムはつくったんです。ですから、これ以上つくらなくても今ある施設を合理化すれば足りるということでそういう話が出た。  それを聞いて、さて日本のダム反対論者は喜んで、アメリカが要らないと言っているから日本も要らないんだと、こう言ったわけですが、考えてみてください。私がうちへ帰って、おい飯だと言ったら、隣のうちは晩飯終わったからあなたも飯はないよと言われたらどうするんだと。大事なことは自分が今飯を食わなくちゃいけないのかどうかなのであって、そういうことを一切論評せずに、水を使おうと思ったらためるしかないんです。安全度が高いか低いかを議論するならいいんです。ただ単に、だれかが要らないと言ったら要らないんだといったような風評に惑わされるようなことでは、二十一世紀の日本は本当にどうにもならない事態になってしまう。  これはちょっと話が外れましたが、そんな意味で、要するに原理原則というものをきちっと言っていただかなければいけないということで、ひとつ御決意をお聞かせいただきたいと思います。
  115. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) さすが御専門でございまして、大変いいお話を伺わせていただきました。  ですから私も、最初から「吉野川に思う」という詩をつくりまして現地へお送りをいたしまして、今おっしゃる頑固に徹しようと。  これは、政治家というのはある意味で私は消耗品で、大衆のために犠牲になってもいいと、こういうことを私は基本に思っておりますので、やっぱり神様に聞かれても恥ずかしくないことを人のためにする、これが私はいわゆる民主主義だと思っております。  人民の人民による人民のための政治といいますが、その前にはアンダーゴッド、神の意思によってと書いてございますから、数の多い方へついていくのは、これは民主主義ではない。数も根底にはありますが、私は神様に聞かれても恥ずかしくないことを人のためにすることが民主主義の根底だと思っておりますので、その政治家の中から選ばれて、今しにせを守るというお話がありましたが、建設省というところをお預かりする限りは、それは幾ら自分が非難を受けてもそういう道を歩んでいきたいと思っております。  久米宏の番組に出たときに、姫野という人が向こうで代表に出てきましたので、私はこの人を一回だけ相手にしましたが、この間ある方から、この人と話をしてくれと、あの人は私の相手ではないとはっきり申し渡しました。そういう決意で私は今後ともいきたいと思います。  例えば、私のところの淀川なんというのは、これはけさほどのいわゆる地下出水の問題でも、もし淀川がはんらんいたしましたら、これはもう三十分で大阪地下街、日本一の地下街は水浸しになります。一人や二人の犠牲ではなくなりますから、吉野川の関係の人にもそう申し上げたんです。あなたのところは百五十年に一遍だけれども、大阪の淀川はもっと期間は短い、十年に一遍とかそういうはんらんを想定されておると。  もともと大阪城の下を流れていたものをヨハネス・デ・レーケが川上から川下までずっと調査をして、それを沖野さんという方が実地して、明治四十幾年にあの新しい淀川を大阪湾に真っすぐ抜いた。一七〇四年の中甚兵衛と一緒で、これは大変な、大阪という沖積平野の上に今日本第二の都市を築いている。もともと海だったし、もともと川だった。  そこにそういうものを築いているということで、あなた方のところどころか私のところ、何で吉野川へ行くのかなんて私は地元から文句を言われるぐらいだけれども、やっぱり百九の直轄河川のためにどうするかということが私は大事なことであるので、とにかく非難を受けても、インターネットのヤフーというのを見たら私の欄がありまして、そこには全国からぼろくそに言うのが大分インターネットでやられておりますけれども、私は本当に何かかえってそれを見ると愉快になっています。  やっぱりそういう意味で、しにせを守ろうと思ったら攻撃は多いほどおもしろい。敵は幾万ありとてもという時代に育ったものでございますから、少々のことは何とも思いませんし、反対のために設けられたヤフーのその欄の中にも、一割ぐらいやっぱり正しいんじゃないかという説もありますから、何が正しいかというのをだれが判断するかというのは、これは本当にあとは神様だと思いますので、先ほど申しましたように恥ずかしいと思わないことを、神様の前でやることを人の前でもやりたいと、こう思っております。
  116. 脇雅史

    ○脇雅史君 終わります。ありがとうございました。
  117. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 日本共産党の緒方靖夫です。  九七年に三十三年ぶりの河川法改正が行われました。それと、今回の河川法改正ということで、まず大臣に基本的な点をお伺いしたいと思うんですけれども改正された河川法というのは、治水、利水に加えて環境保全整備、それからまた住民の意思を反映させる措置、住民参加、これは限定されているものでありますけれども、そういうものをつくり上げたということで、私は川については治水、利水、環境、そういう総合計画をつくっていくという、その点で非常に重要なものだと思っております。そしてさらに、このたび市町村が何らかの形である部分を受け持つことができるという可能性をつくるという点でも、これはこれで結構なことだと思います。  そういうことを考えたときに、それぞれの河川についてどういう河川にしていくかという基本方針、これはやはり非常に重要なものだと思うんです。それがあって初めて町づくりとか、あるいはどういうふうにして河川の周りを再開発していくかとか、そういったこともできてくると思うんです。  そうすると、今回の改正案と、それから現行の河川法の中で決められている河川整備基本方針というのは非常に重要な関連を持っていると思うんです。これは当たり前のことでありますけれども、今回の改正を生かす上でもこの基本方針というのはその前提となる極めて重要なものだと思いますけれども、その点で大臣のまず基本的な、これはイロハの問題でありますけれども、しかし同時に、この法案を検討する上で非常に大事な問題でありますので、あえてお伺いしたいと思います。
  118. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) 先ほど脇先生からもお話がありましたように、日本の川というのは本当に天井川で、頭の上を流れているという川が多いわけで、日本の技術者が、技術の方々がそういう川を今日まで維持してくださっている、すばらしいそういう技術が日本には蓄積されているなと思います。  ロンドンへ行きまして、エディンバラの方へ行って、テムズ川が見えるところがありますが、あそこは本当に土地の一番下を川が流れているという感じで、本当にうらやましい。一番低いところを流れているのが川で当たり前だと、こう思うんですけれども、そういうわけにはいかない日本のいわゆる地形、ここに住んでいてどこへも引っ越しするわけにいきませんから。  その近代技術と、それから今おっしゃったような、昔と違って川に物を捨てるとか、それから汚い話でございますが、かわやなんといって、川の上でトイレをやって、それでそのまま自然に流して、その流れ着くものはお魚が食べて、それをまた人間が食べるという、そういう食物循環みたいな中での川の存在と、今の意識の中では、川とどう共生していくか。公害の問題とか、すばらしい電子顕微鏡とか、そういうものができてからミクロの世界にどんどん人間が立ち入っていきまして、それが人間の病気とどう関係があるかとか、人間の健康とどう関係があるかということが見つけられてから、特に市民、住民の意識というのは、私は川に対する、特に近くの川に対する意識というのは高くなったと思っております。  それを河川行政の中でどう治山治水という問題と、それから近隣に住む方のいわゆる健康に関係のある環境の問題としての川の水質と、それからあとは景観からくる憧憬みたいなものがありますね。景観をどうするかというのは、これは法律で決められません。それをどう調和させるかというのが私は、いろんな住民にも参加してもらって相談をする組織をつくっていくかという、そういう意識の根底ではないかと思います。  とにかく、河川整備基本方針にも定める事項というのは、河川法施行令第十条の二に規定してございますが、具体的には、当該水系に係る河川の総合的な保全と利用に関する基本方針と、それから基本高水、いわゆる水の高さでございますが、その河道やそれから洪水調節施設への配分、主要な地点の計画高水流量、それから計画高水位、流水の正常な機能を維持するために必要な流量に関する事項など、河川整備の基本となるべき事項を河川整備基本方針として定めて、今度の河川法改正も、そういうものに対してできるだけ幅広い意見を聞きながら、先ほどの話ではございませんが、しにせとしての、専門家としての、また一遍洪水が出たらとんでもない、何もかも財産を失ってしまうという、財産の保全も含めて人間の命、そういうものを守るための集積された最高度のいわゆる管理機能というものを充実して実施できていくような行政としての責任を果たす、それが私は今回の河川法の中の趣旨ではないかと思っております。
  119. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 河川整備基本方針の中身も大臣に今答弁いただきましたけれども、それが非常に重要だと、そして今度の法改正を生かす上でも前提となるという、その点はもう答弁の中で言わずもがなで言われたと思いますけれども、その点確認させていただきたいと思います。
  120. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) おっしゃるとおりでございます。
  121. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 そうすると、河川の総合計画で欠かせない、それが基本方針となるわけですけれども、そうしますとこれはちょっとややこしくて、法改正の前に工事実施基本計画というのがありましたので、法改正後それを基本方針というふうにみなすというふうに考えていいと思うんですけれども、そういうふうにした場合、一級、二級水系におけるこのみなしを含めた基本方針の現在の策定状況、これはどうなっているかをお尋ねしたいと思います。
  122. 竹村公太郎

    政府参考人竹村公太郎君) 河川整備基本方針等の策定状況のお尋ねがございました。  全国一級河川のうち百九水系一級河川、二級河川は二千七百十八水系でございます。このうち、河川整備基本方針につきましては、一級河川では六水系、二級河川では九水系策定されております。  平成九年の法改正においては、河川整備基本方針が法施行後直ちに策定されるものではなく相当期間を要せざるを得ないということから、これらが定められるまでの間は工事実施基本計画の一部を河川整備基本方針とみなすというみなし規定を法の附則第二条に経過措置として規定してございます。  この河川整備基本方針は、このような改正河川法の附則の二条に言うみなしの河川整備基本方針も含めますと、一級河川の百九水系ではすべてございます。二級河川では七百四水系となります。
  123. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 二級水系では七百四水系ということですけれども、そうすると計算しますと大体二六%ということになるわけです。なぜこんなに低いんですか。
  124. 竹村公太郎

    政府参考人竹村公太郎君) 我が国の国土の面積のうち一級水系、先ほど申しました百九水系が占める面積は国土面積の三分の二でございます。残りの三分の一が二級水系または普通河川でございます。普通河川と申しますのは二級河川よりもう少し小さい、小規模という意味でございます。三分の一が二級河川または普通河川の流域でございます。  これらの二級河川のうちすべてが、すぐさま何か河川工事河川整備を計画的に実施しなければいけないという状況にはございません。この二級河川のうち、洪水による被害の状況や河川整備環境上の必要性等を踏まえまして、各知事が優先度を定めて自分の県の中にある二級河川、数多くございますので、優先度を定めて段階的に、計画的に河川整備基本方針の作業を進めていると認識しております。
  125. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 整備をしなければならない条件がないと優先度が低いということだと思いますけれども、それでいいのかと思うんです。  大臣、今の答弁をお聞きだと思うんですが、二級河川、その中で二六%しか方針を持たれていない。大臣が非常に重要だと言われた計画ならそうなわけです。さらにそれより低い普通河川になるともっとそれは大変な状況になることがはっきりしております。  そうすると、二級河川というのはその地域では大きな川なわけです。そこにしかるべき優先度を与えない、これはやはりちょっとおかしいんじゃないかと私は率直に思うんです。ですから、やはりその点はおくれていると。そのおくれの理由はいろいろあると思いますけれども、しかし優先順序が低いという形で言われたこれがその理由になると思うんです。やっぱりそれでいいとしちゃいけないと思うんです、建設省としては。ですから、その点でやはり大臣が重要だと言われた基本方針、これをしっかりつくるようにお願いしたいと思います。
  126. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) これは先ほど申しましたように河川に対する意識というものが、明治からまだ百二十数年ということでございますから、その間に、なかなか長期に及びます吉野川の問題でも、六十二年ぐらいから始めてまだあと二十年以上かかるんじゃないかという、その間の調査費だけで今五十六億ぐらいついていると思います。  そして、お金と人手と住民の意識とそれを全部合わせていく、徐々にやっていく中途段階だと思いますので、まだ一つ河川に五十年ぐらいかかっていろんなことをする。そして、さいの河原のようにそれがまた台風とか異常気象とかエルニーニョとかラニーニャというようないわゆるゲリラ的天候というものに支配をされますから、なかなか整備計画を実施していくというのは、今のところ、先生から低いパーセンテージだというお話がありましたが、そういう水系というものでまとめていって、それを徐々に整備していくということでの計画は私は一生懸命にやっている証左じゃないかなと、こんなふうに思っております。  先生のおっしゃるような理想の方向に向けて、完璧を期すような方向にひとつ国民の意識、PRも啓蒙もいたしまして推進していかなければならないのが河川行政である、かように考えております。
  127. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 もう計画なんです、これは。実施するわけじゃなくて、計画がないわけですから、総合的な計画が。ですから、それが問題だということを率直に認めていただかないとやはり物事は始まっていかないだろうと思います。  河川局からいただいた資料を見ますと、東京都の場合も十水系中わずか一水系しか策定されていないわけです。私は率直に思うんですけれども、それならば建設省は都道府県に対してどういう指導を行っているのか、その点をお尋ねしたいと思います。
  128. 竹村公太郎

    政府参考人竹村公太郎君) 私どもも、二級河川河川整備基本方針の策定は重要な行政的なことだと認識しております。  建設省としましても、平成九年十二月からの改正河川法の施行にかんがみまして、平成十年一月に事務次官名で各知事あてに基本方針を速やかに策定するよう文書で通知しているところでございます。今後とも、二級水系河川整備基本方針の策定が進むよう適宜都道府県の指導をしていきたいと考えております。
  129. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 そういう形でどれだけ進捗するのか注目していきたいと思いますけれども、その点はこれは建設省と都道府県が一体になってやらなきゃいけないことだと思いますので、ぜひ努力していただきたいと思います。  それで、私は率直に言ってこのおくれは非常に重大だと思います。川は大小問わずその地域の中で大きな役割を果たしているわけです。言ってしまえば川は文明の母、そう言えると思うんです。そして、自然と環境、そういうものも備わって役割をさらに果たすと思います。同時に、暴れると大変危険だということはもう言をまちません。  ですから、防災それから災害の危機管理、これが非常に重要だと思うわけですけれども、その点で総合的な計画に当たる基本計画、これは極めて重要であることはもう言うまでもないと思うんです。大臣は先ほど一生懸命やっていると言われましたけれども、やはりさらにそれをしっかり進めていただくというその点をひとつ確認していただきたいと思います。
  130. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) 行政の責務として当然のことだと思いますが、先生のおっしゃるように基本方針、これは基本方針をつくるとすぐできるようなことに錯覚を起こされていくと、これは実態と合わなくなっていくといけませんので、その辺は住民の方々との意見調整をしながら、堅実な基本計画をずっと立てていくように進捗を図りたいと思います。
  131. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 次に、命にかかわる問題、財産を守る問題、その点にかかわって質問したいと思うんですけれども、それは内水浸水対策の問題です。  近年、都市化の進展に伴って雨水が本川に到達しないうちに水路からあふれて浸水する、これが内水浸水なわけですけれども、この被害が増加して、特に資産の集中する三大都市圏ではこの被害が水害の大部分となっている、そういう状況があります。  過去三年間の水害被害の総額は幾らで、そのうち内水浸水の被害額はどのぐらいなのか、お示し願いたいと思います。
  132. 竹村公太郎

    政府参考人竹村公太郎君) 委員質問の過去三カ年の河川における水害被害を調べてまいりました。ただし、これは公共土木施設被害を除いた一般資産の水害被害額でございます。一般資産の被害額と申しますと、家屋、事業所、営業停止、農作物等の一般の方々生活にかかわる部分の被害額でございます。  平成八年は三百三十九億円、そのうち内水被害額は百九十三億円、平成九年は二千二百二十五億円、うち内水被害額は千六百七十九億円、平成十年は三千四百七十九億円、うち内水被害額は千五百三十三億円と私ども建設省河川局の集計ではなってございます。
  133. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 今の数字を見ましても、計算してみても大体水害被害額の半分以上が内水浸水による被害だということになると思うんです。  内水浸水の対策を効果的に行うためには、雨水の総合処理を目的とした総合的な計画を策定して推進を図る、これが非常に重要だと思うわけですけれども、その点で建設省は関係自治体にどのような指導をされていますか。
  134. 竹村公太郎

    政府参考人竹村公太郎君) 委員のおっしゃるような内水被害に関しましては、私ども河川管理者のみならず、地域を預かる、一般行政を預かる都道府県の行政が非常に大きな役目を持ってございます。  特に、水に関しましては、私ども河川部局と都市の面的整備を行っている下水道部局との共同した連携が特に重要となってございます。そのようなことから、河川部局と下水道部局が協議会をつくり、現在、各都道府県で総合的な雨水対策計画を策定して、それに向かって各部局がきちんとおのおのの役割分担を果たしていくようにというような河川管理者としての指導を私ども実際やってございます。
  135. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 東京都では、九三年に総合治水対策協議会を発足させました。計画策定を進めているわけですけれども、いまだに多摩川やその支流、支川では策定されていない、そういう状況があるわけです。  内水浸水対策では、以前から河川整備事業に関連して、下水道整備とかこれの整備に基づく調整池の整備等、雨水流出抑制対策が実施されてきたわけですけれども、ちょうどこれは私が以前から大臣質問させていただいている調整池の問題、これは河川局との関係になりますけれども、そういう問題も大事な対策一つなわけです。  内水浸水対策に係るこのような関係事業間の調整を進めていく、そして総合計画の策定を一層推進していく、これは今やはり洪水の被害、一般の被害の半分以上が内水浸水にかかわっているということを見るならば、これが非常に重要な対策ということは言をまたないと思うんですけれども、やはり大臣が先頭になってこの問題について対処していくという、その点で大臣のお考えを伺いたいと思います。
  136. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) おっしゃるとおり、先ほどから話の出ている支流となる河川が高かったり、ポンプアップして本流に流しているようなところも多いですし、市街化が激しくなって都市周辺の昔は田んぼとかため池がたくさんあったところがみんな住宅になってしまって、そこからの生活排水とかいろんなものが全部出てくる。おっしゃるように、内水による被害が先ほど局長が申しましたような大変な額になっているということを考えますと、この天井川、それよりも下に流れている支流、それからその周辺にある住宅、この関係をどんなふうに整備していくかというのは国の行政としても大変大きな責任があると思っております。  建設省といたしましては、内水対策として、排水ポンプ場の整備から機動的な対応が可能な移動式のポンプ車の配備に重点的にそういう意味で取り組んでいるところでございますが、都市部を中心として地下浸水被害も発生しておりますので、河川事業とそれから下水道事業が連携して内水被害の解消にも努めているところでございます。一方、近年多発しているゲリラ的な集中豪雨に対し、ソフト対策として情報伝達施設の整備ども図っているところでありますし、国民の安心して快適な生活を実現するために引き続き内水対策を推進していくことといたしております。  特に、今、紀尾井町の方でも参議院の議員宿舎の下に大放水路をつくっておりますし、この間私も大阪でも、地下に物すごいトンネルをつくって、それを周辺の住宅密集地から大阪市内の下を通って平野川大放水路で住吉川にポンプアップして外へ出すというのを見てきましたが、大工事でございます。東京もそういうことを、この近くでも議員宿舎のすぐ横の清水谷トンネル、あそこでそれがたまたま見られるわけでございますので、そういう地下放水路などもつくって鋭意対応しているというのが現実でございます。
  137. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 次に、普通河川の問題についてお伺いしたいと思うんです。  河川法で一級、二級河川あるいは準用河川に指定されていない末端の河川対策、これも非常に重要だと思うんです。これら普通河川は事実上市町村管理しているわけですけれども、過去三年間に普通河川にかかわって起きた水害の被害の総額、そしてそれが河川における水害の被害の中でどのぐらいの割合を占めるか、お示しいただきたいと思います。
  138. 竹村公太郎

    政府参考人竹村公太郎君) 過去三カ年におきます普通河川での被害の額を御報告いたします。  これはやはり建設省河川局の水害統計に基づくものでございますが、今回統計上の都合で、被害額は一般資産の被害額と公共土木の被害額及び公益事業等の被害額の合計となってございますので御容赦願いたいと思います。  平成八年度では、水害被害額は一千三十七億円のうち普通河川での被害額は五百六十九億円、五五%。平成九年の水害被害額は全体で三千三百二億円、うち普通河川での被害額は千二百八十億円、三九%。平成十年の水害被害額は五千九百八十六億円、うち普通河川での被害額は千二百五十七億円、二一%。  パーセンテージだけでいきますと、平成八年は五五%、平成九年は三九%、平成十年は二一%となってございます。
  139. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 ばらつきはありますけれども、非常に大きい額だということは変わりないと思います。  その点で、なぜそういうふうになるのか、主な原因は何ですか。普通の河川におけるこれだけ被害が大きく出るという。
  140. 竹村公太郎

    政府参考人竹村公太郎君) この普通河川の被害額と申しますのは、もう一にかかってそれの受け皿としての一級河川または二級河川整備が途上でございまして、それらの流域内の河川の水を全部受け切れないというのが実態でございます。それと同時に、面的な整備である下水道の整備がさらに進んでいけば下水道の能力と相まって普通河川の被害が少なくなるということもございますが、まだ下水道の整備が途上だという、この本体の河川整備と下水道の整備がまだ途上にあるというのが普通河川の被害の割合が高い理由でございます。  普通河川のそこにある資産というのが計算上出てきますので、その原因が普通河川の水なのか、一級、二級水系がはけない水なのかという区別ができないで普通河川にあるところの資産が計上されますので、大変普通河川の被害が高く計上されていくというような傾向もあるということも御承知おきください。
  141. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 その理由はよくわかるんですけれども、同時にこのおくれというのは、やはり市町村にとって非常に整備に金がかかるというのが、いろいろ現状を聞くとどうもそういう理由が出てくるという率直な感じがするんですね。  要するに、補助事業を活用した整備、それがやっぱり不十分だと。つまり、補助事業をこういう分野においても拡大していくならばそれが随分進展するのではないかということを率直に思うわけですけれども、その点はそういうことになりますね。
  142. 竹村公太郎

    政府参考人竹村公太郎君) 私ども、普通河川の被害を軽減することは極めて大事だと考えておりまして、その受け皿となる一級河川、二級河川整備と同時に、普通河川整備市町村と連携して進めていかなければいけないという認識を持っております。
  143. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 今局長が述べられたとおりだと私は思うんです。  そうすると、やはりそれぞれ市町村自治体に対してこの面で普通河川もやはりきちっとした形で防災の対策がとれるような補助事業の活用、その道を開くことが非常に大事だと思うんですけれども、その点、大臣のお考えをお願いいたします。
  144. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) 今度のまさに地方に参画をしていただく河川事業というものの基本には、最初の御答弁でも私は月原先生に申し上げましたが、そういう地方権限とかそれから区域を区切って河川事業に参画していただく、そのノウハウを積み上げていく中でもそういう問題が大事だと思っておりますので、それは自治省とよく相談をして、最後に大蔵省の理解を得ながら解決を図ってまいりたい。大蔵省は来年からは財務省になるわけでございますが、新しい省庁再編の中でしっかりした河川というものに対する基盤をつくっていくべきだと思っております。
  145. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 国民の生命、財産を守るという点で、二つちょっと問題提起したいと思うんです。  これまで提起してきた問題なんですけれども一つは、河川はんらん地域というのがあります。これは河川からの水がはんらんによっていつも潜在的に洪水になる、そういう危険性を持つ区域のことなわけですけれども、それが国土の一〇%を占める。人口でいえば約半分、そして国民の資産でいえば四分の三を占める地域にそれが集中しているわけです。そうすると、治水、防災というのは非常に重要な役割を持つということがその点からもくっきりすると思うんです。その点でハード面の対策がある、これは言うまでもありません。同時にソフト面もある。  これは前回、ちょうど三月十四日の質問のときに、私は河川情報センターの雨水等々のそういう計測の問題で提起させていただきました。  この質問で、せっかく建設省が情報を集めて、河川情報センターがそれを活用して自治体に配る、そのときの料金が非常に高い。その問題を提起して、各自治体が利用できるように料金を低くすべきじゃないか、そしてまたそれをできたら無料にするぐらいのことを申し上げましたけれども、その点について、ついこの間、一カ月前の質問でありますけれども、どういう対策をとられたのか、伺っておきたいと思います。
  146. 竹村公太郎

    政府参考人竹村公太郎君) 河川情報の国民の共有というのは大変重要なことでございまして、私ども持っている河川情報を水防団体、地方公共団体のみならず一般の住民の方々にまで提供していきたいという大きな考え方は持ってございますが、当面、自治体に対して、河川情報センターの情報を利用していただきたいという段階にございます。    〔委員長退席理事市川一朗着席〕  私ども、この河川情報センターの立ち上げのときには、システムの構築や全体のさまざまなソフトのための費用がかかってきたわけでございますが、年を追うにつれ、そのコストも日々縮小し、積み上げることによりましてそういうシステムを構築してまいりましたので、合理化、コスト縮減を常に図ってきたところでございます。  具体的に申し上げますと、去年、十一年度までは市町村へのハード、ソフトの費用を合わせまして百二十七万円余だったわけでございますが、今年度、平成十二年度からは百万円を割る九十四万円余ということで大幅な合理化、コスト縮減を図りまして、市町村が提供を受けやすい体制をとり、河川情報センターからの情報が各市町村に行きやすくなったと、私どもはそういう認識を持ってございます。
  147. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 私の質問の後にそういう形で敏速に措置をとられたということ、このことはよかったとはっきり思います。しかし、さらにもっと自治体が活用しやすいような、そういう形で善処をお願いしたいというふうにお願いしておきたいと思います。  それからもう一つ、私は大臣に以前からお尋ねしている調整池の問題。これはきょうみたいに雨の降っている日、そこに水がたまって水かさが増す、そしてそこにはだれも管理、維持がされないということもあって、土砂がたまっている、ごみが捨てられる、そしてそれが下水に流れる、そうしたことが起こるわけですね。ですから、これは再三お願いしていることで、既に答弁はいただいているものであります。しかし、こういう雨が降った日、そのことが思い起こされます。  やはり、その措置を迅速にとっていただきたい。どういう措置を今とりつつあるのかということを含めて、御答弁いただけたらと思います。
  148. 竹村公太郎

    政府参考人竹村公太郎君) 宅地開発等大規模開発に伴いまして、流出抑制をする調整池の適切な維持管理というのは、これからの水害に強い町づくりにおきまして一つのテーマだと認識してございます。  そして、大臣からも私ども指示を受けまして、建設省内部に経済建設局、都市局、河川局、局を横断しました課長クラスの検討会を平成十一年十二月に設置いたしました。現在、この課長クラスの検討会で懸命に検討しておりまして、今年度中ごろを目途に調整池の保全対策、どのような管理をしていったらいいか、廃止すべき調整池はどういう基準にしたらいいのかとか、さまざまな調整池にかかわります問題点を洗い出し、これからの私どもの方針を出していきたいという努力をしている最中でございます。
  149. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 大事な問題ですので、敏速にしっかりとお願いしたいと思います。  次に、私は、同僚議員が質問した件でもありますけれども河川水質調査についてちょっと立ち入ってお尋ねしたいと思います。  言うまでもなく、水質調査河川の汚染の問題、人の健康、生活環境を維持管理する上で極めて大切なもので、特に有害化学物質の蓄積、これは数十年にわたって健康被害を及ぼすという点でも非常に重大な問題であると思います。その点で、この水質調査で都道府県が毎年建設省と協議して公共用水域や地下水の水質測定計画を作成しているわけですけれども水質調査を実施している地点全国で幾つあるのか、東京ではどうなっているのか、それをお尋ねいたします。
  150. 竹村公太郎

    政府参考人竹村公太郎君) 河川水質保全は、河川管理者としても大変重要な課題だという認識のもとに、建設省では昭和三十三年以降、全国一級河川直轄区間におきまして、継続的、定期的に水質調査を行っております。  現時点での水質調査地点は、一級河川百九水系のうち千二百六十二地点となってございます。  そして、御質問の東京都でございますが、東京都の今手元にあるものでは、河川の区域では七十三カ所、湖沼では二カ所、七十五地点、その他八王子市、町田市等の市単位でもやってございますが、それはわずかでございます。東京都の実施しているものはトータルで七十五地点とこの手元のデータではなってございます。
  151. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 その場合、河川水質調査の測定項目、これはどういうものですか。
  152. 竹村公太郎

    政府参考人竹村公太郎君) 環境基本法に基づきました生活環境保全に関する環境基準項目でありますBOD、生物化学的酸素要求量やCOD、化学的酸素要求量の八項目等、人の健康の保護に関する環境基準項目であります重金属や有機塩素化合物等の二十六項目について調査対象としてきているところでございます。  また、人の健康の保護に関連する物質でありますが、公共用水域における検出状況から見て、現時点では直ちに環境基準項目とせず、引き続き知見の集積に努めるべき物質として環境庁が定めている要監視項目二十五項目のほか、植物プランクトンの発生量の指針となるクロロフィルa等についても定期的な水質調査を実施しております。  また、近年の内分泌攪乱作用が疑われる化学物質、いわゆる環境ホルモンダイオキシン等の有害化学物質等への国民の関心の高まりも受けまして、これらの物質についても全国一級河川百九水系において水質、底質等の調査を実施しているところでございます。
  153. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 相当詳しい調査が行われているということがわかりましたけれども建設省はその測定データをいつ公表されていますか。
  154. 竹村公太郎

    政府参考人竹村公太郎君) 建設省一級河川において実施した水質調査結果につきましては、各地方建設局において毎月一回、前の月に実施した主要な水質調査項目に関する調査結果を速報値として公表してございます。また、前の年に実施した全国水質調査結果は毎年七月ごろにわかりやすく取りまとめて全国的に公表してございます。  建設省としては、水質調査結果を可能な限り迅速に公表できるよう努めてきたところでございますが、これからもそれに努めてまいりたいと考えてございます。
  155. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 手元にちょうどきょう発表になったデータがあります。きょうの日付なんだけれども、「関東地方建設局の管轄内の一級河川の水文水質状況について、」とあります。これを見ると、有機汚濁の代表的な指標であるBODや酸性、アルカリ度の指標のpHなど生活環境項目の測定データは公表されているわけですけれども、カドミウムや六価クロム、砒素などの健康項目は一切公表されていない。  これはどういうわけですか。
  156. 竹村公太郎

    政府参考人竹村公太郎君) 水質調査項目は、先ほど御説明しましたように大変な膨大な項目をやってございまして、私どもその分析がすぐに結果が出たものについては公表し、分析に所要の時間がかかるものにつきましては後ほど改めて報告をしているということでございまして、毎月報告します速報値は限られた項目になってございます。  ただし、一年後にはきちんとほかの項目についても公表しているところでございます。
  157. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 膨大で時間がかかると言われましたけれども、しかし建設省が東京都に対してはすべてのデータを提供しているんじゃありませんか、一カ月後あるいは二カ月後に。
  158. 竹村公太郎

    政府参考人竹村公太郎君) 行政官同士ではさまざまなデータは共有の財産、行政上実施していくための資料でございまして、さらに自分たちの測定したデータと他者が測定したデータのクロスチェックということも繰り返し行う必要がございますので、業務上さまざまなデータ交換を実施しているのは事実でございます。
  159. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 手元にやはり東京都の一番直近の発表物があります。これは日付は三月二十日になっておりますけれども、これを見てもやはり生活環境四項目に限定されているわけですね。さっき私が言ったとおりです。これは建設省も東京都も同じなんですけれども、これはどういうわけなのか。先ほどと同じ理由ですか。
  160. 竹村公太郎

    政府参考人竹村公太郎君) ほかの機関の発表の内容は十分承知しておりませんので、また改めてお答えしなきゃいけないと思いますが、基本的に同じような考え方だと認識しております。
  161. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 そうすると、先ほど言ったように、七月に発表される水質年表で一年間分が発表されるということになるわけですね。そうすると、必要なデータを発表するのに一年かけるということになる。私は、これはやはり非常に時間をかけ過ぎているのではないかと、そう思うんですね、率直に言って。  と申しますのは、その間に、建設省や東京都が調べているそういう同じ地点で、例えば市町村が何らかの資料が必要になる、それについて市町村が独自に調べるということも起こってくるわけです。そうすると、こうした膨大で詳しい情報については一年に一度というやり方、これはやはりいかにも意味がなくなってくる、今の自治体のニーズに合わないということになってくるのじゃありませんか。
  162. 竹村公太郎

    政府参考人竹村公太郎君) 一般的な水質測定またその報告の仕方は先ほど御説明しましたが、内分泌攪乱作用が疑われる化学物質またはダイオキシン等に関しまして、国民の生活に直接大変関心のあるような項目につきましては、それが確認されたまたは大きな数字が出たといった段階では速やかに現在も過去も公表してきたところでございます。  そのような特別な事情が、特異な異常値または特異な現象が起きた場合には速やかにそれは国民に知らせていくというのは、私ども水質測定の現場での対応になってございます。
  163. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 大臣、お聞きのとおりなんですがね。要するに発表できるわけです。資料が膨大で時間がかかって発表できないというものではない、発表できるわけですね。そして、何か大事なことがあったときにはそれを発表する体制もとっているということなんです。  ならば、私は率直にここで提案したいわけですけれども、これまで年に一回しか発表してこないそうした問題、健康項目という非常に今情報のニーズが高まっている項目も含めて、やはりせっかく測定しているわけですから、その情報について公表するのに一年もかかる、そんな状況を改めて早期に発表する、そういう体制をとるべきじゃありませんか。
  164. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) 持っている資料は公表をするというのが当然のことであると思いますし、河川水質調査結果は国民にとって重要な資料でございますし、水質調査結果を効率的、速やかに公表するということは必要だと思いますが、建設省といたしまして従来から月一回の水質測定結果を公表してきたところであります。  今後はインターネットとかそういうものも活用いたしまして、一層の情報公開の効率化及び迅速化を図ることを検討いたしておりまして、これからまた新しい技術を使ったりして、より充実するようにしていきたいと思っています。
  165. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 測定のデータの発表のおくれ、公表のおくれがどういう問題をもたらしているかといいますと、私はこれは本当に驚いたわけですが、国と東京都が調査しているその同じ地点で、情報を知りたい市町村が、国に聞くわけにもなかなかいかない、東京都に聞けばいいんだろうけれどもそれもなかなか敷居が高い、自分たちで測定するわけです。  私は手元に、ある三多摩の市の調査結果を持っておりますけれども、ちょうど同じポイントでやっているわけです。これは本当にむだだと思うんです。何で市町村が重複して、国や東京都がやっている調査、そこと同じところの水を採取して水質調査するのか。測定場所で同じことをやっている建設省の職員と出くわすことがあると、そういう笑い話もあるわけです。私が調べただけでも、そういう事例というのは東京都だけに限っても二十三カ所あるわけです。そんな実態があるということを建設省は御存じですか。
  166. 竹村公太郎

    政府参考人竹村公太郎君) 個別の現場の状況等は今手元に資料がございませんが、そのようなことがあるのかどうか、今後私ども調査して検討していきたいと考えております。
  167. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 ぜひ調査をお願いしたいと思うんです。私は率直に言って、同じ箇所を国とそして自治体が同じ目的調査をする、こんな非効率、むだはないと思うんです。これはやっぱり縦割りとそしてまた連携の悪さ、このことを象徴している出来事だと思います。  大臣に御答弁いただいたように、インターネットを使って迅速にそういう情報を流すために努力していく、これは本当に私もぜひ要望したい、そういう方法だと思うんです。私は、そういう点でどの市町村もこうしたデータが入手できて、しかも今環境問題はなかなか大変なときにありますけれども環境保全する上でも行政に役立てるというそういう方向でぜひ進めていただきたい、このことを改めて大臣にお願いしておきたいと思います。
  168. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) 三つの役所が一カ所で同じことをやっているなんてこれほどのむだはないと思いますから、それはちゃんと整理をして、こういう情報というのはいわゆる専門家が使うことが多いと思いますから、そういう専門家の方々には周知徹底して、またそういう情報を必要とする機関というのは数も決まってくることと思います。  そういうむだがないような、情報がすっと流れるような組織づくりというのはこれは大事なことで、川の数も限られていますし、そういうことに関心を持っていらっしゃる方の数も限られておりますから、そういう欲しい人と渡す人が一体化するような機構をつくっていくことが大事だと思います。
  169. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 河川局長からもぜひ調査をしたいという御答弁をいただきましたので、その調査の結果をぜひ報告していただきたいと思います。  私がこの問題を重大だと思う理由は、先ほどむだと言いましたけれども、やはり税金のむだなんです。私は調べてみましたけれども、一回一通りの河川水質調査、その測定をすると幾らかかるのか。これは項目を広げれば切りがありませんけれども、常識的な健康項目二十六項目、生活環境項目八項目とした際に、大体費用というのは幾らぐらいかかるものですか。
  170. 竹村公太郎

    政府参考人竹村公太郎君) 水質調査に関する費用は、頻度や検体数、項目によっても違いますが、環境基準が定めている三十四項目の水質項目につきまして同時に調査を行うという仮定のもとに、その分析に要する一回当たりの費用は、平均的に見て二十万から三十万円程度と考えられます。
  171. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 二十万から三十万とすると、調査を一年間に十二回やったとして、私の調べたところでは東京都では重複地点が二十三カ所あったわけです。全国で千二百六十二地点やっている。そして、東京で七十五地点というふうにしていくと、ちょっと単純計算しても、二百三十とか二百五十カ所あるとして、そうすると二十万、三十万だと約六億円になるんです。それだけのむだがあるということになると思うんです。  そうすると、私が今回指摘したような地域、それに直していくと二十億円以上になる。私はその点で、税金のむだ遣いという点からもこうしたことはやっぱり避ける必要がある、繰り返してはならない、そう思います。その点で、こうしたことを繰り返さない、そしてまた迅速に、こうした今環境問題が重要になっている折、環境の指標を示す水質調査をきちっと進めていく、建設大臣を先頭にして治水、また河川行政を推進していただきたい。そのことを要望しておきたいと思います。  最後に大臣の御所見を伺って、質問を終わります。
  172. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) おっしゃるとおり、むだは排していかなきゃなりません。特に、人間の体についても健康診断というのが必要なのと同じように、道路とかそんなものが動脈で河川は静脈みたいな感じがしますから、両方が健康でないと国家の健康は保てませんので、そういう意味で国土の健康状態を診断する必要な資料はちゃんと充実させていかなければいけない、そんなふうな感じで御質問を拝聴しておりましたので、貴重な御示唆と受けとめたいと思います。     ─────────────
  173. 市川一朗

    理事市川一朗君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、奥村展三君が委員辞任され、その補欠として戸田邦司君が選任されました。     ─────────────
  174. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 今回の河川法改正によって、町づくりの主体であります住民に最も身近な自治体であります市町村河川管理に参加できるようになるのは、地方分権の精神からも大変望ましい方向だと思います。従来は、昭和六十二年の改正によって一級河川都道府県管理区間及び二級河川に限られておりました市町村河川工事が、今度は一級河川直轄区間においても行えるようになりました。  この工事に係る費用負担ですけれども、先ほどからも同僚議員からたびたび御指摘がございますけれども地方財政を圧迫するのではないかというのが私の心配でございます。  河川局長は、国が三分の一、県が三分の一、市町村が三分の一の負担になる、そしてその三分の一の負担についても起債等々の手当てができると思うのでという御答弁をいただいていますけれども、これまでの一級河川直轄区間につきましては、河川工事の費用は、大規模工事では国が十分の七、県が十分の三、その他の工事では国が三分の二、県が三分の一となっておりまして、市町村の負担額はゼロでございました。  今度の制度は、市町村に多くの財政負担を強いることになるのではないでしょうか。
  175. 竹村公太郎

    政府参考人竹村公太郎君) 今回の法改正によりまして市町村河川工事をやるという内容につきましては、あくまでも市町村の発意によりましてその地域町づくり一体となった河川区域の整備をしたいというのを前提として、私ども市町村が活躍する場のメニューを広げようという内容でございます。  今委員御心配の、基本的な抜本的な河川事業、安全に対する事業環境保全に対する事業またはさまざまな河川事業要望があるわけでございますが、それは従来どおり河川管理者である建設省、国が行い、そして二級河川なら知事が行うというような抜本的な河川事業の仕組みは変わってございません。  それを前提とした上で、市町村の発意によって美しい町づくりまたは親水性のある町づくりといった部分の市町村工事についての今回の法改正と私ども考えてございます。
  176. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 具体的に市町村の負担に係る費用はどのぐらいになりますか、総工事費の。
  177. 竹村公太郎

    政府参考人竹村公太郎君) 先ほど委員お話がございましたが、市町村がみずからの発意で河川事業河川区域の中で町づくり一体となった整備をしたいといったときの費用負担でございますが、国も三分の一出す、県も三分の一を出す、そして市町村が三分の一を出すというような、三者で三分の一ずつを負担するという仕組みになってございます。
  178. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 自治省に尋ねますけれども、今回の河川法改正によって市町村が負担をすることになるこの三分の一の費用についてどのような手当てがなされますか、具体的にお願いいたします。
  179. 嶋津昭

    政府参考人嶋津昭君) お答えいたします。  現在でも、市町村一級河川都道府県管理区間及び二級河川において河川工事を行う場合において費用負担をしているわけでございますけれども、これは一般公共事業に対する地方財政措置というような形でやっておりまして、地方負担の九五%につきまして地方債を起こして、その元利償還金の三〇%について後年度交付税の基準財政需要額に算入するというやり方をやっております。  今回の河川法改正によりますところの国直轄管理区間において市町村河川工事を行う場合においても費用負担が生じますので、今までの公共事業と同様の措置をしていこう、こういうふうに考えております。
  180. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 パーセントも同じでございますか。
  181. 嶋津昭

    政府参考人嶋津昭君) 同種の事業でございますので、同じ措置をしたいと考えております。
  182. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 そうしますと、従来、直轄工事区間においては市町村は一切、今回市町村で行う河川工事の例ということで挙げられておりますこうした側帯とか水防拠点等の整備とかあるいはこういう樹林帯などにおいても、市町村要望をして直轄事業として行った場合には負担はゼロだったわけですね、従来は。  それを今度は市町村事業として認めますと、どうぞお好きなようにやってくださいということで、希望でやるんだから負担はする、そして元利償還金の三割しか負担しないということですので、あとの七割については、三分の一の七割については市町村持ち出しになります。  しかも、従来の国の直轄事業においては国債が発行されて、その国債によってこれらの工事費が捻出されていくんですけれども、今度は地方債を発行しなければなりません。財源の弱いところでは当然これは地方債発行ということもなかなかできにくいわけでございまして、自治省がこれをやすやすとお受けになるということは私は納得ができないのですけれども、御答弁いただきたいと思います。
  183. 嶋津昭

    政府参考人嶋津昭君) 失礼いたしました。  今ちょっと私は勘違いいたしまして、単独事業市町村河川事業をやる場合の元利償還金の措置率が三〇%でございましたが、この場合は公共事業としてやる場合でございますので、地方債を九五%措置し、その元利償還金の八割を後年度交付税の元利償還にしていくという措置を今しておりますので、今後も同様の措置をするということに、これは建設省と協議してすることになると思いますけれども、そういう形ですので、財政負担については一般の公共事業同様で財政措置は万全を期していくことになると思います。  失礼いたしました。
  184. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 八〇%にいたしましても、国が総費用の五分の三、そして県は三分の一、そして市町村は全体の十五分の一を負担しなければなりません。  八割計算で今ざっと手元で計算させていただきましたけれども、十五分の一を市町村が負担するという構図になりますので、従来の直轄事業工事よりはやっぱり市町村負担は大きくなり、さらに起債を、みずからの責任において借金をしなければならない。これは、国において国債の発行高が六百兆を超えるという現状の中でもう国債が発行できない、こういう事態に至った今、河川事業をこれから先やっていくにはこういう地方債の発行に頼らざるを得ない、そのための今回の法改正ではないかと私自身は思っております。  地方財政が非常に逼迫している状況の中で、この河川法改正そのものは一見とても地方分権に見えるんですけれども、その実は国の負担する費用を地方に回していくという法改正でございまして、これは極めて厳しい改正だなというふうに思っています。  河川局長、この件でちょっとお聞きをしますけれども財政力のない市町村がこれらの工事について建設省と相談をする中で、希望はこうだけれども建設省の直轄でやってほしいという要望をした場合は、従来どおり市町村工事に係る部分も当然直轄事業としてやるということを御答弁いただけますか。
  185. 竹村公太郎

    政府参考人竹村公太郎君) ぜひ御理解願いたいのですが、今回の河川法改正によりまして、従来国がやっていた事業地方に肩がわりしてもらうということでは断じてございません。  私どもが従来やってきた河川改修事業は、従来どおりさらにもっと力を込めてやっていきますが、今回の改正目的は、市町村建設省管理している河川空間に今まで立ち寄れなかった、入ってこられなかった。でも、建設省管理している区間であっても市町村町づくりのために利用してよろしいですよというそういうメニューの展開でございます。決して、私ども工事をやってもらいたいがための市町村への工事分担ではないということでございます。  そして、さらに今委員指摘の、従来どおり建設省がやってくれるんじゃないのかということでございますが、私ども例えば桜堤という事業、そこに事例で書いてございます桜堤でございますが、河川の中の土砂を掘削して、捨て場がないときにはその堤防の横に捨てていく、用地の一番楽なところに捨てていくと。そして、その余裕の断面のところに桜を、桜の木そのものは私どもは植えませんでしたが、その周辺の地域方々のボランティアだとか市町村の寄附等の協力によりまして桜の木を植えていくというようなことは従来もやってきましたし、これからもやってまいります。  私ども河川工事とタイミングが合えば、そういう町づくりをしながら河川工事をやっていくというのはもう大前提でございます。ただし、ある市町村によりましては、ともかく早くある区域、市街化区域または再開発事業、または工場群の跡地整理をしたいというような、そういう市町村の発意によって早急にやりたいというときにもメニューを広げておこうという趣旨のための法改正と御理解願いたいと考えております。
  186. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 本年一月、河川審議会の答申で「川における伝統技術の活用はいかにあるべきか」というようなことで、先ほどから御質疑が続いておるわけでございますけれども、「けんせつほくりく」の四月号というのが手元に届きました。そして、ぱらぱらとめくっておりましたら、「先人に学ぶ」というコーナーがございました。そして、霞堤と河畔林というようなことで、旧来工法を利用しながら今も活用されているというようなことが書かれておりまして、少しうれしくなったんです。  この旧来工法を生かして、今も現役としてやっていられるようなことがたくさんあるのかどうか、この霞堤とか河畔林について少し御説明をいただければというふうに思います。
  187. 竹村公太郎

    政府参考人竹村公太郎君) 霞堤、河畔林という二つの事例が出ました。  霞堤と申しますのは、堤防がぶつぶつに切れている堤防でございます。そして、大きな洪水になったときには、洪水が一気に下流に行かないで、その切れているすき間から田んぼ、いわゆる人々が住んでいるところというより田畑が多いわけでございますが、そういうところに水があふれて、洪水を低くしていくという昔から行われている一つ工夫でございます。  また、河畔林と申しますのは、堤防がなかなかできないところに昔から大きな樹木を植えて、大洪水が来ても一気に洪水が来ないで、じわじわと水が木の間からあふれてくるというための河畔林のような内容でございます。  このように昔の私どもの先祖たちは、水の勢いを減らすためのいわゆる減勢治水、水の勢いを殺す減勢治水というような手法を持ってございました。これは実は、その水にきちんと対抗できないという逆に力の弱さのあらわれだったという面も言えるかと思います。大きな力を持った武将たち、または大名たちはきちんと堤防をつくって下流に流したということに対しまして、そういう工夫をやったという歴史的な事実がございます。  では、これからはどうなんだということでございますが、私ども河畔林につきましては、従来は河川管理施設とは認知してございませんでした。河川の横にある樹木は河川管理施設ではない、あれは単なる木だということで、河川管理者は特にそれを管理しないということだったわけでございますが、平成九年の河川法改正によりまして、あれは河川管理として私ども管理していこうという法改正をいたしました。  そのようなことで、霞堤も含めまして河川の特性、地域の実情を踏まえまして、地域の実情と申しますのは、そこに住んでいる方は洪水のたびに洪水があふれ返っては困る、早く堤防を締めてくれというのが実は一番大きなその地域方々の強い思いでございますが、そういう地域方々お話し合いをしまして、もしそういう霞堤、河畔林の存在がその地域方々として認知または合意が達せられるようなことがあるならば、一つ河川改修の手法として私どもメニューを広げているというような段階に至ってございます。  この霞堤と河畔林だけで河川改修をやっていくということではなくて、メニューをともかくふやしていくということにありますので、御理解願いたいと考えております。
  188. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 それは当然です。その地域に合ったもので、こういうものでもまだ守れているという実態があるということを私は知りたいと思ったわけでございます。  先ほど来、吉野川第十堰も伝統的な工法一つというふうに私たちは思っているんですけれども、第十堰の問題も、そういう治水のやり方があったのだという伝統技術として後世に伝えていく役割も今を生きる私たちの役割の一つにあるのではないかなというふうに思いながら、第十堰のあり方をこれからも討論していっていただきたいなというふうに思っているんです。  現地の人から、第十堰の補強工事のために上にコンクリートのかさ上げ部分がつくられてしまって、そこがさっきの水位を上げるというところにつながっているので、そこはとっていただいて旧来の堰に戻していただいて、さらに補強をしていただければ、水量の流下に少しは広がっていくのではないかということを言っておられたのを今思い出しました。さっき脇先生が水位を上げちゃいけないんだということをおっしゃっていますので、それを下げる方法としては堰の高さを下げることが一つの方法としてあるなというふうに思っておりますので、反論をしておきたいというふうに思います。  それから、きょうは話が随分と重なっておって同じような質疑になるんですけれども、ちょっとだけ違う観点のものを一つやらせていただきたいと思います。  きのうの読売新聞の夕刊に、有珠山の噴火による降灰が百万トン以上に上っている可能性があるというようなことが報じられておりました。連日その被害状況を聞く中で、泥流によって橋が押し流されていて、その下流にまた橋がひっかかっているというようなニュースが流れておりまして、有珠山にも川があるんだなと思いまして、河川法だからちょっと聞くことがあるかなと思って一生懸命探しました。そうしましたら、有珠山を取り巻く川に西山川と小有珠川というのがありまして、その砂防ダムがこの間ずっと長い間やられてきておったということを突きとめました。  ところが、今回の噴火によりまして、せっかく長い間、前回の噴火が五十二年といいますからもう二十三年間かけて築き上げてきた西山川の砂防ダムとかあるいは流路工などが今回の噴火によって、泥流によってもうふさがれてしまって、さらにその橋が流れたことによってせきとめられたことが原因かもしれませんけれども市街地に、町の中に泥流が押し流されていって非常に被害が広範にわたっているという事実がございます。  私自身は、こうした砂防のダムとかあるいは河川工事というのは最も必要だし、そのときそのときに最大限の努力を払いながら進めてこられておるので、そのことをもともと非難するわけではありませんけれども、この間、さきの噴火から今年までここの砂防にかけた費用等々、総額はどのくらいになっているのかなというのをちょっとお聞きしたいと思います。  自治省の方、どうぞお帰りになって結構です。ありがとうございました。
  189. 竹村公太郎

    政府参考人竹村公太郎君) 昭和五十二年の噴火以降、有珠山におきまして砂防事業としまして北海道は、西山川や小有珠川等の十三渓流において平成十二年三月末までに約二百七十八億円の事業費を投入し、砂防ダム四十三基、これは貯砂容量としまして五十四万立米、そして床どめ工として十七基、流路工として九カ所で約五千五百メーターを整備いたしました。
  190. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 そのうち、今回の泥流で埋まってしまってもう使えないものは大体何分の一ぐらいになるのでしょうか。
  191. 竹村公太郎

    政府参考人竹村公太郎君) 砂防ダムの役目は、一時的に噴出する泥流をそこで一時的に捕捉するということでございまして、今回の現象を見ている限りでは、現時点のところでは北海道が実施したこの砂防ダムは十分効果を発揮していると認識しております。  現在、私ども現地に立ち入ることができませんので、どの程度の量が全部埋まってしまったのかとかいうのは写真で想定することでしかないわけでございますけれども、現時点では私ども、私どものやったこの砂防ダムが下流のいわゆる温泉街を今のところきちんと救っている、効果を発揮しているという認識に立ってございます。
  192. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 その百万立米がもう既に噴火されているという状況の中で、計画が五十何万立米ということですので、今回の噴火によってもうそれをはるかに超えるものが出ているので、その計画自体が非常に見通しが甘いと言わざるを得ない。こういう災害は予想ができないことですので、これを指摘するのは大変私も厳し過ぎるというふうに思いますけれども、二十三年間かけて人知を結集して防災対策をしてきたのに一瞬の噴火によってそれがチャラにされてしまうということが自然災害、自然の力の巨大さということだろうと思っております。  私自身は、この地域全体の復興計画というのはこれからまだ随分先のこと、噴火がとどまってからでなければ立てられないというふうに思うのですけれども、この間の二十何年前の噴火から今日までの計画と今実際に被害が起こっている現状をしっかり照らし合わせて、次の時代にどういう計画でここの有珠山全体の防災計画を立てていくかということをきちんとここは決めていっていただきたいというふうに思っております。自然と共存することは大変いいことですけれども、自然を恐れるという気持ちを決して忘れてはならないのではないかというふうに思っておりまして、安全に住むことができる場所を人間は探して移動することが可能だということもぜひ念頭に置いて、これからの復興対策をしていただきたい。  もちろん、地域の人たちの希望を取り入れることが何よりも大事でございますけれども、その希望がこれから先においても危険なことに直結をしていくということがあるならば、さっき言った政治家の先見の明ということも必要だろうというふうに思うのですけれども大臣にこの考え方をちょっとお聞きいたします。
  193. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) 私も三十一日、すぐに災害対策本部を二時に、ちょうど衆議院の本会議で都市計画法とそれから建築基準法の改正案が上程されて、田中慶秋先生の御質問に入って十分後に噴火をしたという情報がありまして、すぐに議場を出していただきまして、対策本部を立てて、それからまた国土庁へ帰りまして、第一回の全体会議を、本部の会議を開きまして、その足ですぐに現地へ入りまして、夕方には現地に着いて、伊達市の現地の対策本部に入ったわけでございまして、ここのところずっと注目をいたしております。  今お話のありましたあの上の方は林野庁の方でやった砂防事業、その下の方が建設省でやった流路工でございますが、これはおおむね、ちょっとオーバーフローしたようなところがありまして、その激しいところが新聞社のカメラでねらわれたものでございますから、半分ぐらい建物の埋まっているようなところが写っておりますが、二十三年前にやったのにしてはよかったねと私は河川局に言ったぐらいでございまして、うまく百八十五メートルの洞爺湖の中へ流れ込んで落ちついたようでございますので、あとは自然に誘導的に流れているようでございますが、これからどんなことになりますか。  あそこはSiO2とかいう珪酸の大変粘っこいアルカリ土壌だそうでございまして、流れてきてもみんなでホースで水をかけると固まってしまうような性質があるそうでございます。ですから、昭和新山とか明治新山とか、明治四十三年でございますが、そういう固まった山がこぶのように周りにできてきている。今度はうんと洞爺温泉の方に近いところでございますので大変気になっているところでございますが、おっしゃるとおりトラック七千数百台分の土砂、降灰があったとか、これは大変なことでございますから、今警戒おさおさ怠りないようにいたしております。現時点では、今回の噴火に伴う土砂災害が確認されているのは、想定していなかった温泉街直上の噴火口からの熱泥水による西山川のみで、昭和五十二年の噴火後に整備された砂防ダム及び流路工が効果を発揮したために現在の被害にとどまっているところだとこういうふうに考えております。捕捉量十万立方でございます。  また、建設省においてはこれまで被害範囲の予測を行い、また関係自治体のハザードマップを十五カ所ぐらい作成しておりまして、一カ所だけは伊豆の伊東の沖ということで海の中でございますのでこれはハザードマップはできませんが、今回の速やかな事前避難に極めて有効に活用されているところでございます。  今後とも、火山災害が発生した場合における被害の拡大を防ぐため、地方公共団体等と連携しつつ、砂防事業などの国土保全事業や、それから避難路、迂回路、及び緊急輸送道路に資する道路事業などを推進し、人々が安心して暮らせるような町づくりをいたしたい。  国道二百三十号ももう全部遮断されておりますが、私が現地へ行きましたときにもすぐ第七師団の工兵隊と道路局が協力してやったらどうかという話をいたしておりまして、今代替の道路もつくろうということで大体話は決まっておりますので、これは何もないことを祈りたいと考えております。
  194. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 大臣、ドイツではわざと洪水を発生させて、そしてその洪水によって被害を受けたところはもう人が住まないということで、そういうところに住んでいる人には国が金を出して新たに安全なところに移っていただくという政策をやっているんですね。  今この地図を見ますと、青いところは今回汚泥に汚染された地域、ここはまた噴火が起これば被害に遭うという地域ですが、ここにもまだ人家もありますし町もあるわけです。ドイツの例を学ぶならば、一度こうなったところの人はできるだけ違うところで安全に住んでいただくために、国は惜しみなく金を使うということがあっていいのじゃないかと思いますので、ぜひよろしくお願い申し上げます。
  195. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) 私も先生と同じようなことを記者会見で言いましたら、地元で移る移らないの大論争が起こっておりますようでございます。私は、大阪市内でも二千メートル掘ったら温泉が出てきまして大きな温泉ができていますから、あの辺なら百メートルも掘ればどこからでも出るんじゃないですかなんて余計なことを言ったものですから、論争になっております。  しかし、先生のおっしゃることは私は基本だと思います。ただし、ヨーロッパはあの広いところにとうとうと流れる川、ドナウ川でも何でも大音楽に、交響楽になるような川ばかりでございますが、十本ぐらいしかありません。その上に、平たいヨーロッパでございます。大体どこへ住んでも同じような感じがありますが、日本の場合は狭いところを見つけて、さっき脇先生お話しの沖積平野の上にみんな人が住んでいるような形でございます。  まさか温泉のすぐ上からああいうふうな形になるとは皆さんも思っていらっしゃらなかった。旅館が三十三軒ぐらいあると思います。きょうは、壮瞥の方は七軒ぐらいのホテル、旅館で、壮瞥温泉の方は帰っていいことになったようでございますが、なかなか使い物になりませんし、全国テレビで温泉の屋根の上から煙が出ているようなところは余り皆さんはいらっしゃらないんじゃないかと思いますから、もっと景色のいいところを設定したらどうかという極めて常識的な話をしたのでございますが、先生のおっしゃることと同じような気持ちでおります。  後の問題でございますが、そういうところへ誘導するようなお話をして、地質調査している方がいらっしゃるので、どこかそういうところを見つけてあげたらどうかと、そんな話もしております。
  196. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 砂防ダムに二百七十八億円も使うわけですから、そのお金が使えれば十分にもっと暮らしやすい場所が確保できるかなというふうに思っています。  水質の汚染の問題は大勢の方が取り上げましたのであえてやめますけれども河川の底質にあるダイオキシンとかあるいは環境ホルモンの除去などにもう少し予算が使えないかなというふうに思うんですね。  河川環境整備事業制度の創設がされたのが昭和四十四年、そして平成十一年度では予算が五億七千六百億円ということで河川浄化作業はずっとやられているわけですけれども、まだまだ人々が川に親しんで足をつけて手で水をすくって遊ぶという状況には本当になっておらない。そのために、ぜひもう少し積極的に取り組んでいただきたいということで、河川局長から御答弁いただいて終わります。
  197. 竹村公太郎

    政府参考人竹村公太郎君) 御指摘の底質、いわゆる川の底にある物質の除去、浄化は非常に大事でございまして、水質そのものは下水道部局と連携してやっているわけでございますが、川の底に沈んでいるものにつきましては私ども河川管理者が主になってきちんと処理をしていかなきゃいけないと認識しております。    〔理事市川一朗退席委員長着席〕  排出したものの捨て場所等、大変な問題がまだ控えておりますので簡単にはいきませんが、これからも全力を尽くして対応していきたいと考えております。
  198. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 しんがりでございますので、よろしくお願いします。  中山建設大臣は、先日の本院本会議の河川法の一部改正法案趣旨説明に関する質疑に対する答弁で、河川整備基本方針及び河川整備計画について、一級河川につきましては六水系河川整備基本方針を策定し、引き続き河川整備計画を策定すべく作業を行っているとし、二級河川につきましては九水系河川整備基本方針を打ち出しまして、そのうち二水系河川整備計画を策定いたしましたとし、河川整備計画が策定された二河川は熊本の上津浦川と岩手の気仙川でございますと述べておられます。  そこで、お尋ねいたしますけれども、なぜこの二河川だけに関して整備計画が策定されたのか、選考されたのか、その理由及び他の地域河川に関してはなぜ整備計画の策定がおくれているのか、その理由についてお尋ねいたします。
  199. 竹村公太郎

    政府参考人竹村公太郎君) 二級水系につきましては、上津浦水系等九水系河川整備基本方針を策定しました。そのうち、御指摘のように熊本県の上津浦、岩手県の気仙川の二水系整備計画が策定されたところでございます。  なぜこの二水系という御質問でございますが、これに関しましては熊本県及び岩手県の対応が非常に素早く、準備が前々から整っておりまして、河川整備基本方針が策定された直後から有識者や流域住民等に対して説明会や意見の交換を通ずる作業、手続に入っておりました。このような流域の方々の意見を聞き、または有識者の意見を聞くという作業、手続が成ったため、熊本県及び岩手県では河川整備計画の案がまとまり、法的な手続が完了したわけでございます。  残りの七水系につきましては、整備計画が策定できますように必要な作業を各県とも行っておりまして、その他の河川につきましても基本方針及び整備計画の策定に向けて各地方で努力が現在まさにやられている最中でございます。
  200. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 他の地域河川につきまして、この二水系については計画があるけれども他についてはこれからということでありますけれども、大体いつごろまでにそういったふうな計画が完了するのか、その辺についてお尋ねします。
  201. 竹村公太郎

    政府参考人竹村公太郎君) 私どもとしては、建設省の各地方建設局及び県に対しては極力早く、速やかにやっていただきたいというお願いはしてございますが、現時点でどの程度の進捗になるかということを明言する段階に至っていないことを大変申しわけないと思っております。
  202. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 建設大臣は、同じ本会議質疑に対する答弁で、今回の法改正による市町村工事財政負担について、都道府県の場合と同様に地方財政観点からも適切なものになるように対応していきたいというふうに述べておられます。  これは具体的にどのような対応をされるおつもりなのか、御説明願いたいと思います。
  203. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) 先ほど大渕先生の御質問に対する答弁でも自治省からいたしましたように、現下の地方財政は大変厳しい状況にございますから、地方権限委譲ということで財政負担の重荷を背負わせるというようなことがあってはいけないと思いますから、今回の法改正においても、地方財政観点から適切なものとなるように、市町村都道府県管理区間事業を実施しているのと同様に起債の措置とかそれから地方交付税の措置等について万全を期すように、今自治省との折衝に入っております。  自治省財政局長が先ほど御答弁申し上げましたように、この話は先ほどの答弁からも御推測いただけますように万遺漏なきを期したい、かような方針で進んでおりますので、権限だけでなしに実質的に仕事をしていただけるようなお金の裏打ちをする必要がある、こう思っております。
  204. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 そこで、一級河川、二級河川につきまして、国の方針として今全国でどの程度の、何%ぐらいの整備計画が進んでいるのか、もしデータがありましたらお示し願いたいと思います。
  205. 竹村公太郎

    政府参考人竹村公太郎君) 先ほどの御審議の中でもございましたように、一級河川の百九水系につきましては、現在ある、前の法律の工事実施基本計画が河川整備計画とみなされるという法律体系になってございますので、一級河川につきましては百九水系全部が整備計画済みでございます。  また、二級河川につきましては、七百余の二級水系が現在整備計画がみなしを含めまして策定済みと考えてございます。
  206. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 本年の一月二十一日の河川審議会の答申に沿って、本改正案においては市町村工事制度の適用対象河川の拡大を行うこととされておりますけれども市町村においてはおのずから財政力に強弱の格差が存在するわけであります。  したがって、その際、財政力の弱い市町村に対しては何らかの特別の施策を行うことが必要じゃないかというふうに考えますけれども、これは先ほどの答弁にもあったようでありますけれども、二重になるかもしれませんが、御答弁願いたいと思います。
  207. 竹村公太郎

    政府参考人竹村公太郎君) 私ども、今回の法改正におきまして、従来やっている建設省河川事業財政力の弱い市町村に肩がわりしてもらうということでは断じてないということでございます。市町村がみずからの出資で、みずからの気持ちで町づくりのために直轄河川建設省管理している空間を使いたいというような前向きな気持ちで、そういう形で町づくりをしていきたいというときに、私どもの空間もどうぞ町づくりのために利用していただきたいという趣旨の法改正でございます。  また、それに伴います費用負担は市町村が当然出てくるわけでございますが、先ほど自治省の方からも答弁がございましたように、さまざまな手法でもって市町村財政負担が軽減されるよう、これから関係省庁と努力していく段階に至ってございます。
  208. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 この法改正によって市町村財政が圧迫されるというふうな懸念は各市町村の方からは出てこなくて、これは全国的な河川整備される条件整備であるというふうに考えてよろしゅうございますか。
  209. 竹村公太郎

    政府参考人竹村公太郎君) 委員の御指摘のとおりでございます。
  210. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 九九河川ハンドブックの河川環境整備事業河川名一覧表の中に、沖縄県では久茂地川、報得川、国場川の三河川の名が挙がっております。  これらの河川環境整備事業の経過と現状についての概要を御説明いただきたいと思います。
  211. 襲田正徳

    政府参考人襲田正徳君) お答え申し上げます。  沖縄県におきましても、良好な河川環境を形成するために河川環境整備事業というものを進めております。  お尋ねのありました三つの河川のうち、久茂地川でございますが、那覇市の中心市街地にふさわしい河川環境を形成するということで平成十年度から事業に着手をいたしております。現在、石積み等によります護岸の工事を、今、都市モノレールを建設いたしておりますけれども、その建設に合わせまして実施をいたしているところでございます。  それから、糸満市を流れます報得川についてでございますが、河川水質浄化目的といたしまして平成九年度からしゅんせつ等の工事を実施してまいりまして、この十一年度で事業を完了いたしたところでございます。  それから、国場川につきましては、那覇市民の憩いの場ともなっております奥武山公園、これに隣接をいたしました区域の親水性を高めるということで、平成七年度から階段式の護岸等の工事を進めているところでございます。  私どもといたしましては、今後とも自然環境あるいは景観に配慮した河川整備を積極的に進めてまいりたいと考えております。
  212. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 この国場川、報得川のいわゆる河川整備状況というものはどの程度進んでいますか。
  213. 襲田正徳

    政府参考人襲田正徳君) 申しわけありません。細かい整備状況、手元に数字がございませんけれども、上流のダムの整備等に合わせて下流の方の河川整備あるいは先ほどの環境整備、あるいは災害等の課題に対応して例えば床上浸水等を解消するための工事等、関連の事業を積極的に進めているところでございます。
  214. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 前述の九九河川ハンドブックによれば、平成十年における一級河川水質事故件数は五百十六件で、その八五%が重油、軽油などの油流出事故であるということであります。二級河川についての資料は整っていないようでありますけれども、この点については他日に譲ることにいたしまして、本日は、一級河川水質事故に占める油流出事故の多発の原因とその予防対策についてお伺いいたします。
  215. 竹村公太郎

    政府参考人竹村公太郎君) 平成十年に一級河川で発生しました水質事故は五百十六件でございまして、そのうち油流出事故は八五%の四百三十八件でございます。  そのうち原因が判明しているものが全体の二百八十一件でございまして、その内訳は、工場等の操作ミスによるものが百五十件、これは原因が判明しているものの中では五三%を占めています。交通事故によるものが四十三件、一五%でございます。不法投棄によるものが二十三件、約八%でございます。  なお、残りの二百三十五件につきましては原因が不明でございます。これは、原因物質が特定できなかったことや、油膜が浮いていても非常に小規模な事故のため発生源を特定できなかったということの理由によります。  水質事故の対策としまして、私ども都道府県と連絡体制を取り合いまして、もし発生した際には建設省みずからオイルフェンスの設置や吸着マットを河川に設置し、油の除去等汚染物質の拡散防止に努めているところでございます。  今後とも、この水質事故は水道水等生活に重要な問題を抱えておりますので、関係機関と適切な体制をとっていきたいと考えております。
  216. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 沖縄県においては、しばしば米軍基地から流出した油が河川を汚染する事故が発生しております。ちなみに、復帰後、平成十一年十二月までに十七回も発生しております。  そこで、その事故の原因と事故に対する防衛施設庁の対応及び米軍の事故予防策について、近年の主要な油流出事故の事例に即して御説明をいただきたいと思います。
  217. 大森敬治

    政府参考人大森敬治君) お答え申し上げます。  防衛施設庁といたしまして、米軍の基地から近隣河川への油流出事故につきまして地元の方々に大きな不安と懸念を与えていることを非常に深く憂慮しているわけでございます。本年一月にも、嘉手納の弾薬庫地区から比謝川への油の流出事故がございました。これを受けまして、私ども防衛施設庁といたしましても、米軍に対しましてその都度早急な原因の究明と再発防止を期すように申し入れて改善に努めているわけでございます。  具体的に申し上げますと、本年一月の嘉手納弾薬庫の油流出事故でございますけれども、これにつきましては、事故の原因はボイラー室のバルブの金属疲労によるものというふうに考えておるわけでございますけれども、再発防止に当たりましては、その発生箇所のバルブの取りかえはもちろんでございますけれども、全ボイラー室の点検を行いまして同様のバルブを使用している箇所におきまして接続部品の取りかえをやってもらいまして、また、使用部隊におきましてボイラー室の日々の点検を実施するというふうなことを米側に実施してもらっているところでございます。  また、昨年八月にはキャンプ瑞慶覧の油流出事故がございました。この事故原因は油水分離槽の操作ミスによりましてオーバーフローしたというものでございますけれども、再発防止につきまして米軍ともいろいろ協議いたしまして、油水分離槽の日々の点検を確実に実施してもらう、また米兵の教育の徹底をしてもらうというふうなことで改善に努めてもらっておりますけれども、この油水分離槽は若干古うございまして施設そのものの改善を行う必要があるということで、現在、米側とどのように具体的にこの施設を改善したらいいのかということで協議を行っているところでございます。  いずれにしましても、防衛施設庁といたしまして、米軍に環境保全にさらに努力をしてもらうのは当然のことでございまして、今後とも再発防止の徹底を図るよう米軍にも一層努力を求めまして、環境保全に努力してまいりたいというふうに思っております。
  218. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 嘉手納飛行場からの油漏れというのは、再三再四油漏れが続発しているという状況でございます。キャンプ瑞慶覧についても本当に、きょう発生したかと思ったらまた次何日かには発生しているというふうな、これも非常に続発をしているわけです。  ただいま、防衛施設庁長官お話によりますと、キャンプ瑞慶覧についてはまだ調整中ということでありますけれども、この施設の改善というものは米軍の費用によるものか、あるいは思いやり予算で、防衛施設庁の予算でやるのか、そういったことについては嘉手納の飛行場といいキャンプ瑞慶覧といい、どういうふうな形で処理されるんですか。
  219. 大森敬治

    政府参考人大森敬治君) お答え申し上げます。  キャンプ瑞慶覧の油水分離槽の改善の問題でございますけれども、現在、これは先ほどお答え申し上げましたように、米側とどういうふうに改善すればいいかということを協議しているところでございまして、部分的な改善にとどまるということであればそれは当然米側の方でやっていくということになろうかと思いますし、その点は、施設そのものの改善を要するというふうな大規模なものになりますと防衛施設庁の方でやる場合も生じてくる可能性はありますが、いずれにしましても、この点につきましては具体的な協議をさらに詰めまして検討してまいりたいというふうに思っております。  それから、嘉手納の弾薬庫の場合におきましては、これはボイラー室のバルブの金属疲労の問題でございまして、米側の方で当然やらなきゃいけないことでございまして、我々としてその点につきましても十分米側に申し入れて改善を求めてまいっているところでございます。
  220. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 キャンプ瑞慶覧についてはまだどちらが負担するということが決まっていないようでありますけれども、これはあくまでも米軍の施設ですから米軍の責任において処置してもらうというのが当然の姿勢じゃないかと思いますので、その辺は慎重に対応していただきたいというふうに思います。  沖縄県の本島北部地域における国営ダムの管理状況は現在どのようになっているのか、その貯水容量、貯水量、貯水率及び現在の需給状況等について御説明をお願いしたいと思います。
  221. 襲田正徳

    政府参考人襲田正徳君) お答え申し上げます。  本島北部のダムの関係でございますが、多目的ダムを中心といたしまして水資源開発を積極的に進めてまいりまして、これまでに国直轄で七つのダムを完成させたところでございます。うち、国直轄で管理をしているのが北部の五ダムと宜野座村の漢那ダムの六つのダムでございます。一つは県管理に移管をいたしまして、六ダムを国で直轄して管理しておりまして、利水容量は合計で六千七百万トンという状況になっております。  現在の貯水状況ということでございますが、四月十九日現在で貯水量が約五千九百万トン、貯水率にいたしまして約八八%ということでございます。こうした国管理のダムによりまして、平成十年度ベースで見ますと都市用水の約五三%を賄っておるという状況でございます。  確かにダムは多くなってきたわけでございますけれども、まだ不安定な河川表流水に依存している面も多い。さらに今後、人口の増あるいは観光、生活水準の向上等に伴いまして水需要が増大していくというふうに見ておりまして、今後とも引き続き多目的ダムの整備を計画的に進めてまいりたいと考えております。
  222. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 ことしは沖縄は非常に雨が多くて貯水量は今八八%ですか、そういう状況でありますからことしは心配ないようでありますけれども、従来のような断水騒ぎが続く状況でありましたから、ダムの整備をしていただいて、将来人口増とかあるいは観光産業に影響のないようにぜひ努力をしていただきたいというふうに思っております。  そこで、きょうの質問にはないんですけれども、実は一昨日でしたか、ガーブ川の、このガーブ川というのは一九六〇年ぐらいまで、整備されるまではずっと台風が来るたびごとに地域にはんらんを起こして毎年大変な被害が起きてくるというふうな状況でございまして、アメリカの支配下にあったけれども、実は六百万ドルという大変な金をアメリカが支出してガーブ川の河川整備をしたわけでありますけれども、不幸なことにこの河川の上に水上店舗というものをつくってしまって、非常にいびつな都市の形態になっているわけです。  それは、以前から水上店舗を撤去して、そこにきれいな道路をつくって、もっと環境整備を図る必要があるんじゃないかというふうな声があったわけですけれども、一昨日でしたか、那覇の都市計画の方でこれを二十二メーターの道路につくりかえていく。いわゆる水上店舗を壊して二十二メートルの道路をあけて環境整備していこうというような案がありますけれども、これは都市改造あるいは水上店舗の撤去、道路計画と大変な事業でありますけれども、この辺について河川関係と、それからせっかく振興局長がお見えになっておりますから、その辺の経過についての支援の仕方というものは国としてどういうふうなお考えなのか。もし何か案がありましたら、御説明をいただきたいというふうに思っております。
  223. 襲田正徳

    政府参考人襲田正徳君) お答え申し上げます。  お話しのように、ガーブ川は国際通りからちょっと入った平和通りなりの隣接のところ、まさにお話しの水上店舗が今あるわけでございますが、ふたをしたその下がガーブ川というふうに言われるところでございまして、先生お話しのように過去大変水害があったりいろんな課題の多いところでございます。  何よりもあそこの市街地の再開発をどうするか。土地の所有権者あるいはたな子の問題等々いろいろ権利関係もふくそうしております。しかし、市街地あるいは中心市街地の活性化をどういうふうにやっていくかというのは本当に官民挙げての課題でございまして、長年那覇市を中心にして検討されてきたわけでございます。  お話しのように、つい最近一つの構想をまとめられまして、公共施設の整備等それから商店街の再編成と申しますか、商業機能をいかに時代のニーズに合わせてアップ・ツー・デートなものにしていくかということで一つの絵をかかれたわけでございます。この中には、民間部門でやる部分もあれば公共セクターでやる部分もあるということで、そこらの詰めはすべてこれからでございますけれども一つのこれからの議論のたたき台と申しますか、絵ができたということは事実でございまして、私どももそうした地元の考え方もよく聞きながら国として支援できるところは積極的に支援してまいりたい、このように考えております。
  224. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 質問事項にはなかったんですけれども、御丁寧な御答弁をいただきました。ぜひ積極的な御支援をよろしくお願い申し上げまして、終わります。  ありがとうございました。
  225. 石渡清元

    委員長石渡清元君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。     ─────────────
  226. 石渡清元

    委員長石渡清元君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、上野公成君及び坂野重信君が委員辞任され、その補欠として森山裕君及び木村仁君が選任されました。     ─────────────
  227. 石渡清元

    委員長石渡清元君) これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  河川法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  228. 石渡清元

    委員長石渡清元君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  福山哲郎君から発言を求められておりますので、これを許します。福山哲郎君。
  229. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 私は、ただいま可決されました河川法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・保守党、民主党・新緑風会、公明党・改革クラブ、日本共産党、社会民主党・護憲連合、参議院クラブ及び二院クラブ・自由連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     河川法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講じ、その運用に遺憾なきを期すべきである。  一、政令指定都市への河川管理権限の委譲に当たっては、国は関係都道府県及び関係政令指定都市と十分連携をとるとともに、政令指定都市財政負担の緩和に努めること。  二、政令指定都市への河川管理権限の委譲により、関係政令指定都市がその発意に基づき、速やかに浸水対策を推進できるよう努めること。  三、市町村工事制度の運用に当たっては、水系全体における一貫性のある河川事業が行われるよう、河川管理者及び市町村長は十分協議するとともに、地域の創意工夫が十分反映されるよう努めること。  四、都市河川都市における貴重な水辺空間であることにかんがみ、その整備に当たっては、生態系配慮するとともに、利用者である市民に親しみやすい河川環境が創出されるよう努めること。  五、河川整備を行うに当たっては、本年一月の河川審議会答申「川における伝統技術の活用はいかにあるべきか」を踏まえ、伝統技術の知恵を現代に合わせて活用し、環境や歴史的風土との調和に努めること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ御賛同いただきますようお願い申し上げます。
  230. 石渡清元

    委員長石渡清元君) ただいま福山君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  231. 石渡清元

    委員長石渡清元君) 全会一致と認めます。よって、福山君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、中山建設大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。中山建設大臣
  232. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) 建設大臣として一言ごあいさつを申し上げます。  河川法の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま全会一致をもって可決されましたことを深く感謝申し上げます。  今後、審議中における委員各位の御高見やただいまの附帯決議において提起されました政令指定都市への河川管理権限の委譲に当たっての関係都道府県及び関係政令指定都市との十分な連携、地域の創意工夫を反映した市町村工事制度の運用等の課題につきましては、その趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。  ここに、委員長初め委員各位の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。  どうもありがとうございました。
  233. 石渡清元

    委員長石渡清元君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  234. 石渡清元

    委員長石渡清元君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時四分散会