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脇雅史君
環境合理性という
言葉が出ました。私もそういうことを申し上げているんです、
経済合理性から
環境合理性へと。
合理性ということは、理屈に合うわけですから本来いいことなんですが、その前に
言葉がつくと、
経済にとっていいことが
経済合理性ですから、
経済というのは
人間のさまざまな
分野すべてをあらわすわけではないのでちょっと間違うことがあり得た。
環境というのは、さっき申し上げたように、我々の周り、森羅万象すべてをひっくるめて
考えればいいわけですから、
環境合理性という
言葉を生かして、いかに
負荷を少なくして将来に向けてよい
環境をつくっていくか。このよい
環境というものが何かということを具体的にお示しをしなければいけないわけでありますが、その辺に今後とも
努力をしていただきたい。
なお、ちょっとつけ加えておきますと、よく
節水節水といって、水を使わない方がいい、これも
割りばしと同じような
議論がありまして、必ずしも水を使わないことがいいことじゃないんですね。
水というのは、ぐるぐる
太陽エネルギーで回っているわけですから、ほっておけば海へ流れていくわけで、一生懸命ちまちまやって、どんどん自然に海へ流れていけばそれがいいことだと必ずしも、悪いことではないかもしれませんが、我々の
生活全般を
考えたときにいいことばかりでもない、特に
水道局の立場からすれば、どんどんお金にかえていただいた方が償還もできるわけでありがたいわけですから。ただ、日ごろ
余り水を使っていますと、いざというときに
渇水対策ができなくなってしまいますので
節水節水と言っておりますが、冷静に
考えれば、水はあるときにはそれこそ湯水のように使えばいいし、なくなったらうまく使うと。ただ、水の場合にはもう
一つ別な要因があって、使えば必ず汚れるということがあるんです。それをどうしていくかという問題があるので単純には申せませんが、そんなこともあると思っております。
それから、今まで申し上げたようなことをいろいろ
考えた上で、
都市の
環境というのをぜひともお
考えいただきたいわけです。
環境庁、これから
環境省になってもついつい目が行くのが
自然環境です。ただ、大多数の方は
都市部に住まわれているわけですから、
都市の
環境を一体どうしてくれるんだ、
都市の
環境は今はどうなっているんだと。非常に住みにくいとかみんなは言うけれども、本当に住みにくいのか、いいのか悪いのか、やはりきちっと見ていなければいけません。観察をして測定をして評価をして、
東京なら
東京をどういう
環境にしたいのか、しようと思うのか、しなければいけないのかを提案しなければいけない。
私、特に
都市部で大事なのが緑だと思うんです。草木であります。そういう緑を大事にするということがさまざまな
生物環境を呼び起こして非常に我々
人間が住むにもいい
環境になると思うわけであります。
東京都市部、二十三区あるいは
大阪市内、一体全体緑は減っているのかふえているのか、どんな
状態なのか。私、
東京なんかにおりますと必ずしもそんなに悪くはないと思うんです。
子供のころからいろいろ見てみますと、鳥なんかも、
子供のころは随分ツバメがいっぱい来ました。それから、スズメが随分いました。
カラスは今よりは随分少なくて、オナガといったようなちょっとした鳥がいた。ただ、さまざまな鳥は、当時私が興味がなかったせいかどうかわかりませんが、余り見かけた記憶がなかったんです。セキレイなんか、ちょろっとたまに善福寺川という川の上を飛んでいたこともあったんです。最近ちょっと朝見ているといろんな鳥の鳴き声がするので、何鳥かな、ムクドリとか何とか、結構調べてみますと種類いるんです、私のところは練馬の辺でまだ若干緑が残っているせいかもしれませんが。鳥なんかも
環境の指標として非常に大きな要素だと思うんですが、必ずしもそんなに
東京は悪くなっていないんじゃないかなというふうに感じます。
それから、
カラスです。この
カラスというやつは非常に賢い鳥なんですが、やたらふえていまして、
ごみ収集に非常に悪さをして、最近
カラスよりちょっと
早目にということで
収集時間を早めたりしているところもあるようですが、随分苦労されている。
話が
余談になりますが、
カラスというのは本当に賢い鳥で、
ごみ置き場に行って、かぶせた網を二羽で行って一羽が持ち上げてその間に引き出すとか、
カラスは数が数えられて必要な分だけソーセージでも取り出す。五つまで数えられるんだそうです。それから、
枯れ木の中にいろんな幼虫がいますよね。それを、
枯れ木を見つけてぱっと飛んでいってこんこんこんこんとやって穴をあけてくちばしを入れて食べるんです。
人間は見えません。ところが、その後がすごいんで、小さい枝を持ってきてそれをすっと入れてその棒の先に虫をつけて取り出す、そんなある
意味では
人間よりすごい能力がある。なぜかその
カラスも非常に嫌われて、悪い鳥だと言っているんです。
これまたおもしろい話がありまして、
毎日ごみが荒らされるものですから、あの
カラスを何とかしろというふうに
奥さん方みんな思われていたんですが、新聞の投書で見ていますと、
カラスはしようがないわねと言いながら楽しそうにその後片づけをしている
奥さんがいて、ああ心の広い人だな、
カラスは悪さをするけれども、そういう
カラスとも
一緒に生きていこうと思っている人もいるんだという
意見を述べられた方もいました、少数だと思いますが。そういう
カラスをどうするか。
人間の
都合で、悪いからみんなやっちゃえ、殺しちゃえと。シカも数を減らしましたけれども、
カラスも減らせと。
カラスの肉というのは、また
余談ですが、おいしいんだそうです。山形で何年か前に、イノシシの肉とか豚肉、牛肉、さまざまな肉を十種類集めて、目隠しをして食べさせて順番をつけて、おいしい順を並べたら
カラスは二等賞だったんです。だから、あるいはこれから
カラスは食料になるかもしれないんです。こういう
都合の悪い
カラスを、やめるのがいいかあるいは
一緒に暮らすのがいいか、
一緒に暮らすとしたらどうするのか、冗談まじりで申し上げましたが、これは
環境のかなり
基本なんです。
考えてみたら、トキという鳥は今は神様のような鳥になっていますね。もう絶滅危惧種で、トキ御殿じゃないけれども、新潟の方もおられますが、かつては物すごくおられて、おられてと言わないといけないんでしょう、そのトキさんは、当時は田んぼの邪魔だからどんどん殺しちゃえとやたらに殺して、それで減ってきたら、大変だ、大事な鳥だから
保護しよう、これが
人間様のやることです。
その時々、我々はみんな正しい
判断をしていると思っていますけれども、過去三、四百年の歴史を見れば正しい
判断なんかほとんどなかったんです。私がこうやって申し上げているのも間違ったことを言っているのかもしれません。そういう危惧を持ちながら申し上げているわけです。
そういういっとき邪魔になる鳥に対してどういうことをしようとするのかという
人間の姿勢こそが
環境行政の
基本になるはずなんです。その積み重ねがさっき申し上げた、
言葉で言えばなかなか格好いいことを言えるわけですけれども、
環境行政の理念になるんです。だから、
カラス様をあだおろそかにしてはいけないんで、
カラス対策なんかはどう
考えておられるのかといったことについてもお聞きをしたいんです。
それから、花粉症。これはいつかも取り上げたことがあるんですが、毎年何千万人という方が大変な思いをしている。こういうことはやっぱり
環境庁としては見過ごせない。何かいい対応策がないのか知恵を働かせるべきだと。何かおやりになったことがあるようでありますが、その辺ももう一度お聞かせをいただければと思います。
それから、石原知事さんが言われていますが、やはり
都市部で一番問題になるのは車、排気ガスです。あの大型車の排気ガスというのは私も本当に腹立たしい思いがして、車で走っても、大型車が前に行ったらもう換気はやめて車の中だけ
循環式に変えなくちゃいけないとか、そんな思いです。みんながそんな嫌な思いをしている。みんなが嫌な思いをしているのをほっておいては
行政はいけないのであって、すぐ取り上げなければいけない。そういう
意味では、石原都知事の決断というのはいいことだなと私は思っているわけであります。そういうディーゼル車対策といったことについては本当に真剣に取り組んでいただきたい。
もちろん対策をすればお金がかかるんですが、一人一人お金を使ってもいいじゃないですか。
道路関係でもたくさんのお金を使っているわけですから、その一部でもいいから使って良好な
環境が得られるように
努力をすべきだと私は思っております。
それから、騒音なんかの問題があります。同じく
道路でございますが、騒音対策といったことについても、最近の裁判所の判例で一定以上の騒音を出してはいけないといったような判例も出ているわけですから、そういったことを踏まえた上でやはり
環境庁としてきちっとしたことを言わなければいけないだろうと、
道路屋さんとけんかになるわけでありますが。ただ、
道路も必要、
環境も必要なんで、どこで折り合うかということでありますから、それは恐れずに言っていただきたいというふうに思います。
私も
都市部に長いこと住んでおりまして、大阪にも住みました。随分いろんないい公園もできて、最近は言われるほどには私は
日本の大
都市の
環境は暮らしにくいとは思っておりません。ただ、もっとよくしなければいけないこともたくさんあるということで幾つか例示をいたしましたが、それぞれにつきましておわかりになる範囲でお答えをいただければと思います。