○武見敬三君 この適応外処方の問題について、これを適切に解決をしていくという方向は極めて正しいわけです。同時に、この適応外処方の問題というのはまた臨床の医師の立場からすると医師の処方権の問題にもかかわってきます。したがって、医師の処方権という問題をやはりきちんと
確保しつつも、この適応外処方の問題をどのようにして適切に迅速に解決をしていくのかということを考えていただきたい。また、それを実施していくときにも、余り回りくどい仕組みをつくらないで、できるだけわかりやすい簡潔な仕組みでこの問題を解決すべく努力をしていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
さて、現在私
どもは医療保険制度の抜本改革についての仕事もしているのは御案内のとおりであります。ただ、公的な医療保険制度の抜本改革の議論のみに終始していたのでは二十一世紀の
我が国における国民一人一人の医療保障というものをより堅固なものにしていくということは必ずしも十分ではないという見方も出てきております。特に、一九九〇年代に入って公的な医療保険制度改革がなかなか進まない、そして患者の
負担のみ増大をするという
状況の中で、やはり将来の公的な医療保険制度に対する国民の不安あるいは不信といったようなものが確実に私はふえてきているように思います。
そういたしますと、中堅所得者層以上の人たちはこうした公的な医療保険制度のみに依存するのではなくて民間の疾病保険というものをいわば依頼しながら、新たにそれを活用しながら、この公的な医療保険制度を補完する形でこうした民間の疾病保険というものを活用するようになってきているように思います。それによって着実に民間の疾病保険市場というのは九〇年代に入ってから非常に伸びてきている、おおよそ年間にして七兆円ぐらいの
保有契約高になっておりますし、新規契約高を見ても毎年一兆円ぐらいの新規契約高が結ばれているということがあります。
こうした
状況を見たときに、私は非常に奇異に、ある種縦割り
行政の一つの限界みたいなものを感じました。それは、公的な医療保険制度についての改革の主管というのは厚生省、ところが民間の疾病保険等に関しましては大蔵省、金融監督庁ということになっています。そうすると、本来ならばこうした公的な医療保険制度と整合性のとれた形で民間の疾病保険制度というものがデザインをされて、そして国民一人一人がいわば全体のデザインをよく
理解した上で自助努力によってこうした民間の疾病保険も活用する形で公的な医療保障をより
強化し、みずからの安心できる医療保障というものを
確保するということが望まれるわけであります。
そうすると、本来両者は総合してデザインされなければならないだろうということになる。すなわち、我々は今一生懸命公的医療保険制度の抜本改革というところばかりに目をやっていて、厚生省だけを相手にして議論しているけれ
ども、しかしこうした民間の疾病保険をも含めて大きく将来の公的・私的保険制度というものを考えることが本当の
意味での私は医療保険制度の抜本改正の議論だろうというふうに思うようになりました。
ところが、縦割り
行政というのがなかなかそれを実行していく上で障害になって仕方がない。まず、こうした民間の疾病保険との整合性のとれた公的・私的保険の総合的な保険制度というものを考えることの必要性というものをお認めになるかどうかというところで
厚生省保険局長の御意見をお聞きしたいと思います。