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国務大臣(二階
俊博君)
岩本委員は地方行政にも大変お詳しいわけでございますが、私は、この過疎問題というものは政治の中でも極めて重要な位置づけが必要だというふうに
考えております。
先ほどからたびたび御
指摘もございましたが、御承知のとおり国土の約半分が過疎
地域でございます。残念ながら、そこに住まいをする人口は国全体の人口の約六%程度でございます。ここに大きな問題があります。過疎地を走る
バス会社にしっかり走れといっても、六%しか人が住んでいない、しかし国土面積は日本の半分ある、そこに極めて大きな問題が横たわっておるわけであります。そのことは航路におきましても、また航空路におきましても同じような意味合いを持っておると思います。
幸いにしまして、ちょうど通称過疎法というのが期限が参りまして、先般、過疎
地域自立促進特別
措置法ということで議員立法で成立を見ておるわけでありますが、私はこの中で注目すべきことは、
交通の
確保につきまして、第二十条に「国及び地方公共団体は、過疎
地域における住民の
生活の利便性の
向上等を図るため、
地域住民の
生活に必要な旅客
輸送の安定的な
確保について適切な配慮をするものとする。」という
規定が入ってございますが、このことは、まさに過疎地の住民の
皆さんの
生活を心配される各党の議員から大変強い熱心な御意見が開陳された結果であるというふうに私は認識をいたしております。
私自身も過疎
地域の出身でございますし、また過疎問題につきましては、私も幾つかの党を変遷いたしましたが、どこの党におりましても過疎問題といえば私のところへ回ってまいりまして、私は予算
委員会等でも過疎問題だけで質問をした経験もあります。しかし、なかなかこのことに対する御理解を得られるということは難しいのと、
先ほども申し上げましたように人口が何せ六%しかありませんから、政治の場で数で決着をつけるという場合にはどうしても隅の方に追いやられるようなそういう
状況にあることは否めません。私は、そうしたことを憂慮する一人として、
岩本委員からこの法案の審議の最終にこうした御
指摘をいただくということは、私としてはむしろ感謝をいたしております。
この問題について、とも
ども今後よく過疎地の住民の
皆さんの足を守るという意味で今日までさまざまな御意見が各党、各
委員の皆様から御
指摘がございましたが、それらも念頭に入れて対応してまいりたいと思っております。
過疎地は、いずれにしましても通学、通院等日常
生活に
バスは欠くことができないわけでございますし、そして都会の
皆さんには想像も及ばないことではありますが、例えば人口三千ぐらいの小さな村があります。人口三十万、四十万の町と全く同じ面積を持っております。その中を
バスがずっと走っておるわけでございますし、学校の数は都市に負けないほどたくさん小さい学校がずっと点在しております。それを合併統合させるということも、その
地域にとりましては町全体が発展する方向を
考えるよりも学校の統合に労力を費やされることの方が多いぐらいのそうした課題があります。笑えない事実であります。そうした
状況の中で、過疎
バスということにつきましてもいろいろ補助金等の対応が今日まで図られてまいりましたが、それにもかかわらずやはりほとんどお客が乗らないという
バスは、撤退をそれぞれの
バス会社が決意するのはやむを得ない、こういう今日の
状況にあります。
しかし、私は
先ほど来御意見をずっとちょうだいしながら
考えておりましたが、つまり、
バス事業でも、観光
バスも別にやっておるわけでございますし、あるいは高速
バスに進出している
バス企業もあるわけでございますし、
バス会社はそれだけの
事業ではなくてまだ他にも
事業を展開している場合があるわけでありますから、今後税制
措置等におきましても、そうした過疎
バス等について懸命の努力をしておる
事業者に対して何らかの配慮を
検討すべき時期に来ておるのではないかと私は
考えております。
したがいまして、今後
関係省庁と十分対応を図りながら、過疎地の住民の
皆さんの足を守るという意味で、
運輸省としてもこの
法律が通れば、
法律が通っただけでそれでいいというのではなくて、ここから私
どもは新たな出発をしなきゃいけないというふうに
考えておる次第でございます。