○岩本荘太君 参議院クラブの岩本荘太でございます。
先日の代表
質問あるいは参考人
質疑、きょうの
質疑をお聞きしまして、私も大分勉強させていただきました。こういう
法律が発想されたこと、あるいはこういう
法律の成立に努力されていることを
評価するものでございますが、やはりこの
法律、これをどう実効あらしめるか、実効を確かなものにするかということは、それを受け入れる
社会の問題ではないのかなというような気もいたします。そういう意味で、先ほど大沢
委員も実効性についていろいろ御
質問されましたが、私は、角度はちょっと違いますが、そういう角度から
質問をさせていただきたいと思っているわけでございます。
こういう新しい対応といいますか、今までになかった価値観といいますか
考え方というものは、やはり受け入れる
社会そのものの中に実際に根づいていなきゃいけない。単に表面的なもので、あるべし、そうだというようなことであってはなかなかいけないんじゃないのかなと思うわけでございます。
そういう意味で、私は今回のこの実効性の面で、いわゆるお互いを
思いやる心といいますか気持ちといいますか、そういうものをどう確かなものにするか、
社会に根づいたものにするかということと、先ほど
大臣も言っておられた
バリアフリーのこういう問題というのは
地域が
中心になると、それと同じことだと
思いますが、
地域性の尊重ということが大きな二つの柱でないかなということを私は思っているわけでございます。
その
思いやりといいますか、これは新しい
考え方ということでなくて、人間が本来持っている、だれでも相手を
思いやって、助け合いたいという気持ちはこれはだれにもあるわけで、今までもそういう意味で、
バリアフリーとまではいかなくても、それに相当するようないろんなことをやってきただろうと
思います。
それと同時に、やはり人間、これは私が申すまでもないわけですけれども、競争
社会の中で生きていく、あるいはその中できばをむき出して相手をけ落とさなければ生きていけないというときといいますか
時代もあったと思うわけでございます。それはそれでやっぱりやむを得ない。例えば日本のあの戦後の復興
時代もあるいはそうだったと思うんです。そのときに、
バリアフリー対策がいいからやろうと思っても、これはなかなかやれない。その前にやるべきこと、やらなければいけないことがあったというような
時代でもありましょう。
私は海外援助なんかで発展途上国をいろいろと見させてもらっているんですけれども、そういうところでは、やはりそういう
バリアフリーはやりたくても、まず貧困からの脱出だということで、なかなかそういうことができない。これは発展途上国全体について言うと失礼かもしれませんけれども、そんなふうな見方もできるわけでございまして、今、我々日本人、日本がこういうことに取り組めるということを、こういう経済発展のもとに取り組めるということを、ある面では大変幸せなことであるという喜びを持たなきゃいけないんじゃないのかなという気がするわけでございます。
ただ、とはいえ、金ができたから何でも金で片づけようということであれば、これは私が最初言いました
思いやりの心と大きく離れるというような気がしてならないわけでございます。
その
思いやりの心をどう植えつけるかということで、私の経験でございますけれども、二年ほど前、ドイツの
地方都市で、駅前の広場の
横断歩道に目の不自由な方が立たれましたら、さっとどこからか御婦人があらわれてきて、手を引かれて渡られた。それで、渡られたら、どこへ行くともなく消えられた。そういうような、これは何でもないような光景でございましたけれども、私はそれを見て、大変こういう
思いやりの心というのが根づいているところだなと。
こういう気持ちが、やはりこういう
バリアフリーの
法律だけでない面での、
バリアフリー社会を確立するために必要ではないのかなというような
思いをいたしたところでございまして、そういう気持ちを持っているということで
質問させていただくわけです。
まず、
思いやりについてなんですが、これはやはり日本人といいますか人間全体が持たなきゃいけないことではあると
思いますけれども、それはある意味では教育の場で教え込むということも大事ではないか。
今回のこの
法律は四
省庁ということですけれども、やはり
バリアフリーというのは我々も含めて人間が生活するすべてにかかわるものですから、これはまさに全省が
関係しなきゃいけないということで、きょうは文部省と経済企画庁からも来ていただいておりますので、まず、この
バリアフリーというものが、こういう物の
考え方が必要なんだと、お互いに
思いやることが大事なんだということをいわゆる教育の場でどんなふうに具体的に教えておられるのか。それと同時に、できれば、子供だけではだめですので、大人の人にも、例えば大人の人は生涯学習というような場がございますので、そういうところとの関連でどんなふうにお考えになっておられるのか、御
答弁をお願いいたしたいと
思います。