○福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。
私は、平和と
基本的人権の二点について述べたいと思います。
日本国憲法のもとで
日本国憲法が生かされていないということをこの
調査会で徹底して
調査をしていただきたい、していきましょうというふうに言いたいと思います。どこがどう生かされていないのか、どう生かしていくのか、それを
調査する、そのことがこの
憲法調査会の意味であるというふうに考えております。
基本的人権に関していえば、残念ながら、今、
日本の
社会にはさまざまな
人権問題があります。どんな人もこの
社会の一員であるにもかかわらず、具体的に差別や
人権侵害があることは皆さん方も本当に具体的に御存じだと思います。子供、女性、被差別部落、在日韓国・朝鮮人、外国人、高齢者、ハンディキャップがある人の問題、さまざまな問題がたくさんあります。もちろん、男性の
人権問題もたくさんあります。
そのように具体的に生じている
人権問題をどのように
憲法を生かすということで解決し得るのか、それこそが私は
政治に課せられた課題であるというふうに考えております。
次に、
公共の
福祉論を盾に
基本的人権をその関連で論ずることへの
危険性を申し上げたいというふうに思います。
公共の
福祉については、きちっと
憲法の中に
規定があります。
憲法十二条、「この
憲法が
国民に
保障する自由及び
権利は、
国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、
国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に
公共の
福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。」。きちっと「
公共の
福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。」と
日本国憲法は
規定をしております。したがって、
公共の
福祉が足りないという
意見は、私はこの
憲法に合っていない、むしろ
憲法はそのことをきちっと書いているというふうに考えております。
逆に、この
公共の
福祉論が
主張されることは、私は滅私奉公あるいは私権への非常に恣意的な
制限がなされる
危険性があり、先ほど、例えば公明党の魚住
委員が
人権国家日本というふうに格調高くおっしゃったこととまさに正反対のことが生ずるのではないかというふうに思っております。
「
公共の
福祉」と
日本国憲法は書いておりますが、具体的には、例えば国連の規約
人権委員会におきまして、
日本の裁判所やさまざまなものが、例えば
公共の
福祉という一般条項で、パブリックインタレストという一般条項で
基本的人権を
制限しているということについては、何度も何度も疑義が出されております。
御存じのとおり、
基本的人権を個別に
制限するためには具体的なはっきりした基準が必要で、
公共の
福祉という極めて抽象的な概念で
基本的人権は今日、戦後のもう五十年たった現在、
国際人権法の立場では
制限できないということは確立をしております。ですから、この
調査会におきまして安易な
公共の
福祉論による
基本的人権の
制限が出ないようにということを申し上げたいと思います。
次に、平和の問題について述べます。
先日、学生の方
たちが来て
発言をしてくださいました。津田塾大の横倉さんは、目には目をとか、血は血で洗うしかないと考えるのは人間の欠点だと思うというふうに
発言をされました。私も人間の欠陥だというふうに思います。だからこそ、ハーグ
会議において
日本の九条が二十一
世紀を切り開く先見性を持つものとして高く評価をされたのであるというふうに思っております。
日本は五十四年間、平和
憲法を持ってきました。相手がいるから軍縮や戦力放棄はできないという
意見がありますが、平和
憲法を持つ
日本は、戦後、相手を説得する努力をすべきであったはずです。しかし、一向にそのようなことは発信されてきませんでした。
平和外交、軍縮外交、戦力放棄外交を行うことが平和
憲法のもとで期待されたはずです。なぜ
日本が平和外交、軍縮外交、戦力放棄外交ができなかったのか、戦後の
日本の外交史を徹底的に
調査する必要があると考えております。
憲法調査会の
調査に求められているのは、
基本的人権や平和についてのこのような
調査です。
憲法を生かすことが戦後五十四年間極めて不十分だったのですから、そのような
調査をきちっと行えば、それは歴史に残る作業になると考えます。落ちついたそのような
調査が十分なされることを強く要求したいというふうに考えます。
次に、運営の問題……