○今泉昭君 いろいろと努力をされておられること、承知しているつもりでございます。
ただ、私が歯がゆく思う点は、アメリカの政府のやり方と日本の政府のやり方の違いでございます。どうも、自由化自由化、
規制緩和規制緩和という外部からの押しつけに対して余りにも日本は受け身過ぎるのではないかと思うんです。
というのは、これはもう私が言うまでもないことでございますが、八〇年代に入りましてアメリカが大変な苦境に陥った。そのときに、もう何回も申しましたけれども、いかにしてアメリカ
産業を立ち直らせるかということでアメリカは相当思い切ったドラスチックなことをやってまいりました。有名なヤング・リポートは別といたしまして、ヤング・リポートが実際に生かされたというのは後々のことでございまして、実際上アメリカの
経済再建が始まったのは一九八七年の実はレーガンの年頭教書からはっきりとこれを打ち出されてきたと私は見ているわけです。
そこに出ているものは、
一つは、二国間並びに多国間の交渉を通じた
市場開放を
強化する通商法の改正という建前を
一つは出しながら、それ以外のものは何と全く違うようなことを堂々とやってきているわけです。例えば、輸入圧力によって傷ついた国内
産業の救済
措置をどうするか。三番目は、外国の不公正な
競争に効果的に対処できるような
法律の改正をせよ。四番目には、知的所有権の
強化。五番目には、世界貿易の変化に
対応した
独占禁止法の
修正。六番目には、アメリカの生産者に不利に働く外国のひもつき援助に対処するための特別の基金の
確保。
大体この六点を
中心として、一九八七年のレーガンの年頭教書はこれを起点として、ヤング・リポートを引き受けるような形でアメリカの
経済再建に取り組んできた。何というんでしょう、それこそ周りから何と言われようと自分
たちの主張しか押しつけないというやり方でやってきたと思うわけです。そういうアメリカの動きを見てみますと、日本の
政策は余りにも紳士過ぎるんじゃないかという気がしてならないわけであります。
特に、今私どもが心配なのは、今やっぱり国民が一番心配なのは、何といっても仕事がないということですよ。
雇用をどうしてくれるか。大きなことを言えば、
産業政策がどうだとか、日本をこれからこうするんだということは言えるけれども、現実の姿としては、仕事がないから仕事をどうかしてくれよ、こういう気持ちがあるわけであります。
そういうことを考えてみますと、仕事がいっぱいできる
産業は何なのか、その
産業をいかに育成
強化していくか、こういうことになるんじゃないかと私は思うわけです。そういう形での大きな柱を据えつけていただきたいと思うんです。そういう意味では、労働
政策と通産
政策は大変関係の深い問題があると思うんです。
よく我々はこういうことを聞いてまいりました。最初、
産業の米と言われた鉄鋼の場合は部品構成が大体二けただ、造船の場合は三けただ、電機
産業は四けただと。要するに千の単位の部品を構成しなきゃ物ができないという、それだけ多くの部品を持っている。自動車の場合は五けただ、飛行機の場合は七けただと。要するに、何万、何十万というけた数の部品を組み立てるということは、その製品をつくるための企業が必要なんです。労働者が必要なのであります。だから、いかに
雇用を拡大するかということは、
雇用の大変必要な
産業を戦略
産業として据えつけて、それを拡大をしていくという強い
一つの柱があってしかるべきだと。
ですから、あれまでもアメリカは自動車
産業にこだわって、アメリカ人が望んでもいないのに自動車の輸入制限をしているわけです。アメリカの国民は、日本の自動車の方がよほどいい、効率はいいわ、安いわ、スタイルはいいということで望んでいるにもかかわらず、自動車
産業の代弁者としてアメリカは強引に
我が国の自動車の輸入制限をした。輸出制限台数を最初は二百六十万ですかなんかに抑えて、やむを得ず日本の場合はそれに
対応するために、橋本総理も大分それは苦労されたかもしれませんけれども、向こうに工場をつくるという妥協策を講じて、向こうの輸入制限の攻勢にこたえたというけれども、結果的には向こうに工場をつくって日本の
雇用がどんどん、どんどんしわ寄せを受けていった、こういう経過があるわけであります。
だから、そういう意味では日本の、先ほどレーガンの年頭教書にもあったように、日本に働く人間が被害を受けるような
産業はどんなことを言っても守るんだという強いやっぱり
産業政策をつくっていただくということが私は通産行政に課せられた重大な使命だと思うのでございますが、この点。
雇用の拡大という面で一般的に言われているのは、最近の
情報化革命だからそこで
雇用が創出すると言うけれども、なかなかそう簡単にふえてくるものじゃないんです。これは時間がかかる問題なんです。
そういう意味で、この問題について通産
大臣、どのようにお考えですか、お聞きしたいと思います。