○小池晃君 私は、日本共産党を代表して、政府提出の
預金保険法等の一部を
改正する
法律案、
保険業法及び
金融機関等の
更生手続の
特例等に関する
法律の一部を
改正する
法律案、
農水産業協同組合貯金保険法及び
農林中央金庫と
信用農業協同組合連合会との
合併等に関する
法律の一部を
改正する
法律案の三
法案について、反対の討論を行います。
預金保険法等の一部を
改正する
法律案に反対する第一の理由は、本
法案が
預金の
全額保護措置の延長を口実に、
金融機関の
破綻処理への
公的資金投入を一年延長するとともに、六兆円もの交付国債を増額していることです。
政府はこれまで、
公的資金の投入は
金融不安に
対応した時限
措置だとしてきました。もしも
大蔵大臣が言うように
金融不安は解消したのであれば、前提が崩れているのであり、
公的資金投入策を延長する理由はどこにも存在しません。今こそ、
破綻処理の費用は業界責任で賄うという自助努力、自己責任の原則に立ち返るべきであります。にもかかわらず、交付国債を積み増すという政府の
対応は、財政危機に拍車をかけることはもちろん、国民への安易なツケ回しであり、直ちに中止すべきであります。
第二の理由は、
金融危機への
対応という口実で、二〇〇一年四月以降も
資本増強などの恒久的な税金投入に道を開いていることです。これは、
システミックリスクのおそれがあると政府が
判断すれば一方的に税金投入を可能にするものであり、このような税金投入を恒久化すれば
金融業界のモラルハザードを一層促進することになります。
第三の反対理由は、
協同組織の
金融機関に対して優先出資の発行を認め、
公的資金で
資本増強を図ることが、
協同組織金融機関の会員
組合員の相互扶助組織としての協同性を否定し、
経営支援の名のもとに整理
再編を一気に進めるものだからであります。
次に、
保険業法及び
金融機関等の
更生手続の
特例等に関する
法律の一部を
改正する
法律案について反対の理由を述べます。
反対の理由の第一は、
破綻した生命保険会社の
処理のための生命保険契約者保護機構の借入金に対する政府保証を恒久
措置とし、二〇〇三年三月までに四千億円の政府補助をできるようにした上、その後も政府が必要と
判断すれば、生命保険業界への税金投入をできるようにしたことであります。
生命保険会社は、そもそも長期のリスクを引き受けて利益を上げることを業とするもので、その信頼性を確保するために契約者保護機構を設立しています。経済環境が変化したからという理由で各保険会社と契約者保護機構が保険契約者保護の責任を果たさないのであれば、みずからの存在意義そのものの否定と言わねばなりません。
第二の理由は、
金融ビッグバンに
対応するとして保険業界の
再編を進めようとしていることです。
破綻のおそれがあることを理由に、保険会社の
更生手続の開始、予定金利の引き下げ、早期解約控除の設定などを進めることは、保険会社の整理、淘汰を進め、契約者の犠牲の上に業界の
再編を促進するものです。さらに、生命保険会社を中心にして、保険相互会社の株式会社への転換を促進しようとしていますが、これによって保険契約者の権利や契約条件が低下する事態が生まれることは明らかです。
最後に、
農水産業協同組合貯金保険法及び
農林中央金庫と
信用農業協同組合連合会との
合併等に関する
法律の一部を
改正する
法律案について、反対の理由を述べます。
反対の理由の第一は、本
法案が
預金保険法と横並びで、貯金保険機構にも税金を直接投入する恒常的な
制度を新たにつくるものだからです。
第二は、
金融ビッグバンに
対応した大銀行本位の
金融規制の全面緩和と自由化を進めていることです。農漁協系統を含む中小
金融機関を大銀行との激しい競争に追い込み、その整理、淘汰を促進することで、結局しわ寄せを受けるのは零細中小業者、農漁民にほかなりません。
以上、三
法案について、反対の理由を述べて、討論を終わります。(拍手)