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公述人(綿末しのぶ君) 大分県の杵築市から参りました綿末しのぶと申します。
実は、私がこの公聴会に参りましたのは、この会のホームページがございまして、そのホームページの中で公募をしておりました。ホームページの中で公募をされているので、さぞやたくさんの応募があるんだろうなということで、一言地方からの情報を発信したいということで応募をいたしましたら、こちらの方で話をしてくださいということになりました。何分、本当に初めてのことですので、失礼な表現もあるかと
思いますが、お許しいただければと思っております。
私の肩書ということで、杵築市
各種女性団体連絡会議議長というふうになっております。この杵築市
各種女性団体連絡
会議というのは、市内の十六の
女性団体が集まったものです。ただの情報交換の場というのが当初の目的でございまして、予算もないという会なのですが、どうしたわけか次々と行政の方から依頼がございまして、ほとんど動員団体みたいな形に現在はなっておりまして、大変苦慮をしているところでございます。
それからもう
一つ、大分県の
男女共生アドバイザーという
制度がありまして、こちらの方に所属をしておりまして、いろいろ県内の市町村に出向いて
お話をさせていただいております。私も元市議
会議員ということで、またその
お話については後で述べたいと思っております。
家族構成ということで書いてまいりましたが、夫が一人おります。長男は大学院に通っております。次男はことしの春大学を卒業し、この就職難の中、見事に
自分で勝手に就職を決めてまいりまして
社会人をしております。三男は大学の三年に在学中です。男三人だったのですが、非常に年が離れまして長女が一人生まれております。この長女は中学一年生ということで元気に学校に通っております。
この
子供たちに長らくかかわってきたのですけれ
ども、その中で、先ほ
ども意見が出ておりましたけれ
ども、就職と進学のことについて大変
男女格差があるというのを感じております。
まず一番最初の関門が、中学校の進路指導です。中学校の進路指導に当たってくださる
先生方は、男の子に対しては実にきめ細やかに時間を割いて相談に乗ってくださいます。ところが、女の子になりますと、どうせいずれは結婚してしまうのだから適当にこの辺の学校でいいんじゃないかということで非常に熱意がない状態です。それが現実です。
それから、
子供三人が大学に進学しておりますが、その進学
過程におきまして大学の方で既に
男女の差別が行われているということを知りました。大学受験をするために偏差値があります。偏差値によって、あなたはこの大学に行けますよとか、あなたならこの大学は大丈夫でしょうということを今はコンピューターに一覧表が出てまいります。それに
自分の点を入力しますと、これこれこれの大学が該当しますということで出てまいります。
ところが、同じ大学の同じ学部でありながら、
女性と
男性ではその点数が大きく違っている学部がございます。これは、九州の国立大学の中に歴然とあらわれておりまして、この学部につきましては
女性では何点以上ないと合格できませんということが
先生方の間では常識になっております。差別されるはずのないこういう国立大学の入試という場面で、もう既に学部を受験するときに女子の足切りが行われているということは非常に腹立たしいことでございます。
幸い私は、三人男でありましたのでそのときは考えなかったのですが、現在長女がおりますので、この子が進学をするに当たりまして、これは大きな関門となるなというふうに思っております。いずれ少子化ということで、ほとんどの高校生が進学しても大学が倒産するような時代が娘が受験をするときには来る予定になっておりますので、若干安心をしております。こういうことを常々
子供たちを育てる中では考えてまいりました。
これから
子供たちは多分就職そして結婚ということになると思うんですけれ
ども、その中で
子供たちがどういう
パートナーを選んでいくのかということが
一つあると思っております。
この少子問題について、現在同級生の
子供たちが何を考えているかというと、男の子、女の子にかかわらず、結婚をすると損をするというふうに考えている
子供たちが大変多いのです。
男の子は、何で
自分が稼いできたその給与を女の子に、要するに妻に全額渡さなくてはいけないのか、今まで一人であれば全部使えるものが、結婚をしたからといってなぜ女に全部渡さなならぬのだということで、非常に損をするので結婚したくないと言います。女の子は、結婚をすると
自分の本当にやりたかった
仕事も打ち捨てて、そして
子供を産み育児をし、そして夫の両親を
介護する、そういう現実が今、目の前に広がっているわけです。その中で、せっかくこれだけの給料を今もらっていて
自分が自由に
自分の意思で生活ができているのに結婚をしたらそういうことができなくなるのか、非常に
自分は損をするということで、男の子、女の子がともに結婚は損をするということで一致をしておりまして、杵築市はわずか人口が二万二千人、有権者数が一万七千人という小さな市なのですが、その中でも三十代、四十代の
男性、
女性ともに結婚をしないという選択をしている方が大変ふえております。
特に、
女性の場合は、三十を過ぎますと、今まででしたら親御さんが非常に焦って、どこか嫁に行くところはないかということで探し回っていたのですけれ
ども、今は反対でして、まあ家にいてくれるならそれでもいいやということで積極的ではないのです。かえって、男の人を持っている、男の子を持っているそういう
家庭の方が焦ってお嫁さんを探しているのが
現状です。
やっぱり女の子を持っている親御さんは、今結婚をすると
女性がどういう
立場に置かれるかということを非常によく知っておりまして、このままでもずっと、
自分たちの
介護をしてくれればいいやぐらいにしか思っていないというのが実に現実です。
杵築市だけではないとは思うんですけれ
ども、最近離婚をして親元に帰ってくるという女の人が大変多くなっております。母子
家庭というのが大変ふえているんですけれ
ども、今まででしたら、母子
家庭で実家に戻ってきたときに大変肩身の狭い
思いをするとか、それから親御さんができるだけくっつけておこうとしたというようなこともあったのですけれ
ども、最近はそういうこともなくなりまして、喜んで親御さんが受け入れているという現実があります。かわいい孫まで連れてよくぞ帰ったということで、もう行かぬでもいいというのが私
たちの身の回りにたくさん起こっております。
この母子
家庭につきましてはいろいろ、
女性が働くという場が今大変難しくなってきておりますので、収入の面では大変苦慮をしておりまして、杵築市は本当に田舎の市なのですが、なぜか住宅費だけは異常に高いところでございまして、住宅に住むということで非常に母子
家庭では苦慮をしております。この対策は早急に求められると思うのですけれ
ども、なかなか市の担当者の方に腰を上げてもらえないのが現実です。
私が今回この
意見を述べるということにつきまして、こちらの方に提出した文書がございます。その中で私は、「
女性の
政策決定過程への
参画についての
現状と
課題に関する件」というふうに書いてありましたので、
政策決定過程への
女性の
参画というときに一番
思い浮かぶことというのは、国や自治体の
審議会の委員です。もちろん議員
制度というのもありますし、最終的には首長、市長とか
知事とかそういう人がふえていくことではないかというふうに考えております。
まず一番行政として、また国として簡単な方法は、
審議会の委員を必ず
男女同数またはそれに近い数にするということです。これについては国としても自治体としても、法律も何も改正もせずにすぐやろうと思えばできることだと
思います。そこの
審議会で実質的に国民全般が考えているような、国民の考えに即した審議ができるようになれば、そこからできてくる法律や条例というのは今よりもずっと現実的に実効を上げていくと
思います。
女性議員の数をふやすというためには、今までも何人の方もおっしゃいましたけれ
ども、選挙
制度を大きく変えていくぐらいの大胆な改革がないと、これ以上の大幅な増加を早急にということは見込めないと
思います。現在、
大阪と熊本で
女性の
知事が誕生いたしました。市長や
知事でも市民の支持があれば十分になれる可能性があると立証され、とても心強い
思いがしております。
審議会につきましては、例えば少子化を問題に審議をするならば、委員には今子育てをしている人、あるいは
子供を産める世代の二十代、三十代の
女性が入っていくべきだとは思うのですけれ
ども、実際の
審議会というのはそういうふうになっておりません。高齢の学者だとか高齢の知識人ということが多く、また
社会で活躍している
女性を入れたとしても、
子供を育てたことのない人であったりと、本当に子育てしながら働いている多くの
女性の悩み、子育て支援に、今子育てをしている
人たちが本当に何を必要として何を求めているのかが出てくるような会にはなっていないと
思います。
それから、先ほ
ども申しましたが、少子化のもう
一つの原因という若者の結婚拒絶に対する対策な
ども、今の
審議会の委員では、どういう対策を打てばいいのか、どういうところに問題があるのかということは出てくるはずもないのではないかと
思います。女は結婚すること、
子供を産むだけ、育てるだけの性として固定観念を持っている委員の間で何を話し合われても、若者に受け入れられるはずはないと
思います。先ほ
ども申しましたが、今の
社会では女も男も結婚をすると損をする
社会、若者がこういう感じを持っているということを理解はできないと
思います。
先ほ
ども申しましたけれ
ども、私が住む杵築市というのは人口が二万二千です。地方行政の広域化ということで消防は一市二町で行っております。現在、救急車が救急電話をして着くまでにおおよそ近いところで十分、遠いところでは三十分かかります。緊急のそういう病気にはほとんど間に合いません。杵築市には市内に救急指定病院は
一つもありません。重篤な場合は全部転送されます。転送されるのにまた三十分から一時間の時間がかかります。心臓であるとか脳血管障害であるとか、そういう病気の方はとても間に合いません。
救急がそうですから消防につきましても、火事の一報を受けてから現場に到着するまで三十分ぐらいは優にかかります。ほとんど燃え尽きて後始末に行くだけというのが
現状です。
そういう広域行政、これが本当に私
たちの命、
暮らしを守っていく行政のすべきことなのかなというのを非常に疑問に感じております。これは広域行政をしていい部門、してはいけない部門というのがあるのではないか。命や
暮らしを守っていくという一番大事な場面に
女性の発想、そういうものがやっぱり欠けているのが
現状ではないかなと思っております。大変悲しい現実です。
それから、私
たちの市の
審議会もいろいろあるのですけれ
ども、その
審議会はほとんどが金太郎あめという感じで、メンバーはどこの
審議会に行ってもほとんど変わりません。
女性で選ばれるのは商工会の婦人部長さんであるとかJAの
女性部長さんであるとか漁協の婦人部、恥ずかしながら
女性団体連絡
会議の議長の私も選ばれるのですが、メンバーが占めております。
男性もほとんどが商工会であるとかそれから医療の現場の方であるとかそういう各界の代表ということで、年齢は六十代、七十代というのが大変多うございます。
こういう中で、本当に杵築市民が望む審議はできないということで市長に
審議会の委員の一般公募を申し出ましたが、まだ一度も公募になったことはございません。この
審議会の委員を公募するということはいろいろ問題もあるかと
思いますけれ
ども、やはり
意見のある人、
思いのある人を一人でも二人でも入れて審議をしていくということは実効を上げるためには大変大切なことではないかなと考えております。
先ほどからも何回も出ておりますが、議員の数をふやすこと、これは国
会議員のレベルならすぐにできると
思います。選挙区で今までのような選挙のやり方で
女性が出て選挙
運動をするということは大変難しゅうございますが、比例区の候補者を政党が
男女同数にする、名簿順も
男女を交互にすると決めれば、すぐにでも
女性議員の数はふえていきます。先ほ
ども出ておりましたが、実際に
女性議員の多い北欧ではこの方法で数は確実にふえておりますし、これなら子育てをしている
女性でも国会に出ていくことができます。選挙区の方でもそうなればいいと
思いますけれ
ども、実際は大変難しい選挙
制度になっております。
その中で、これはトレンドマガジンというのですが、これは主にDIMEという雑誌なんですが、この中にいつも集計が載るんですね。いろんな情報の集計です。その中に今回、タイムリーなことに世界各国の議員、閣僚比率から見る
女性進出先進国ランキングというのが載っておりました。これは
男性が主に見る雑誌です。三十代、四十代ぐらいの
男性が見る雑誌なんですけれ
ども、その中にこういう先進国ランキングというのが載っておりまして、これは下院とか衆議院を中心にした数字ですので若干違うかもしれませんけれ
ども、第一位がスウェーデン、二位がデンマーク、フィンランド、ノルウェー、オランダ、ドイツとずっと続きまして、
日本は百三十七番目です。
これの対象になっているのが、議員の数とそれから内閣内の
女性の割合というのが入っているんですけれ
ども、
日本の場合は閣僚が一人ということで大変位置は低うございます。この中に書いてあるのは、
大阪に全国初の
女性知事誕生というのが一番スタートになっておりますが、途中、フィンランドでは史上初の
女性大統領が生まれているという記述もあります。それから、クオータ制で
女性進出を支えているということも記述をされております。ノルウェーでは公的機関において一方の性が全体の最低四〇%を占めることを定めた法律があるほどという記述もあります。