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政府参考人(古田
佑紀君) お尋ねの中で、いわば事実関係に当たるようなことについて私からお答えいたします。
まず、
親告罪の
告訴期間の
制限が設けられている理由でございますが、御指摘のような
犯罪につきましては、その性質にかんがみまして、刑罰権の発動を
被害者などが処罰を求める場合に限るということにしているわけでございますが、その一方で、公訴の提起の可否を私人である
被害者の方などにゆだねる状態が長く続くと手続の安定性が害されるということを避けようとする配慮であったりすると思われるわけでございます。
次に、実際に
告訴がなされているケースでどの程度の時期に
告訴がなされているのかという点でございますが、
法務省刑事局におきまして、
検察庁が
警察から送付などを受けて受理した
事件につきまして、
平成九年四月から
平成十一年六月までの間に
性犯罪の
告訴がなされた
事件について
調査をいたしました。
これは一カ月以内のものではなくて、一カ月を超えるものについて
調査をしたわけでございますが、
犯罪の
被害を受けた日から一カ月を超えて
告訴された事例が五百八件ございました。そのうち、六カ月以内に
告訴をされている事例が三百九十五件で、六カ月を超えて
告訴がされた件数は百十三件でした。この
犯罪の
被害を受けた日から六カ月を超えて
告訴がされた百十三件のうち、犯人がわかったときから一カ月以内にされたものが九十八件、一カ月を超えて三カ月以内にされたものが七件、大半のものが犯人がわかった日から三カ月以内にされておりましたが、それを超えたものも五件ございました。
なお、
被害者が
告訴期間内に
告訴に踏み切れなかった事例がどの程度あるかということにつきましては、これはちょっと
捜査機関としては、
告訴がないものですからその実数を正確につかむことは極めて困難でございますが、昨年七月、現在国会に提出して御審議いただいている
犯罪被害者保護関係の立法をする際に行いましたパブリックコメントを求めた結果によりますと、その
意見の中ではやはりそういう例がかなりあるというふうな御指摘もありましたし、ことしになって
実施いたしました
犯罪被害実態調査によりますと、
警察などに届けない事例というのも相当になるということからすると、御指摘のような場合も相当数あるのではないかと考えております。
それから
最後に、公訴時効の点でございますが、今回国会で御審議をいただいている
犯罪被害者保護関連法案は、公訴時効の期間そのものを変えるものではございません。
告訴期間の
制限を廃止するということですので、公訴時効の期間内は
告訴ができる、しかしながら公訴時効が完成した場合には、これはもはや刑罰権の
対象になりませんので
告訴ができないということになります。
ちなみに、公訴時効の期間はどの程度かと申しますと、強姦罪で申し上げますと七年でございます。それから、強制わいせつ罪で申し上げますと五年でございます。