○山崎力君 両
大臣の
所信表明になるべく沿って
質問していきたいと思います。
同僚
議員の
質問の
内容も事前通告等に含まれておりますが、なるべくそれは省いていきたいと思っております。
今、
外務大臣は席にいらっしゃらない
状況ですので、まず
防衛庁関係の方を中心に
質問をさせていただきたいと思います。その前に、こういった
委員会の議論を深める観点から、単に私の
質問に答えるというだけでなくて、私の
質問の
内容自体に、
価値観的でもいいですし立論点でもいいんですが、疑念等があれば積極的にそちらの方から御
指摘いただくということはむしろ大歓迎でございますので、御遠慮なく発言していただければと思っております。
ただ、時間の
関係もございますものですから、その際の答弁あるいは発言等はできるだけ簡潔にお願いしたいということです。まず、こちらの方の基本
認識という点から発言をさせていただきたいと思います。
御承知のとおり、ことし巷間言われましたミレニアム、二〇〇〇年、二十
世紀から二十一
世紀への橋渡しの年であるというふうに言われておりまして、
我が国の
外交、
防衛を取り巻く
環境というものも、大きな
変化を必然的に起こすであろう、起こす可能性があるという
状況が取り巻いております。
もちろん、私
どもの
日本においてはことしじゅうに確実に衆議院の総選挙がある。
アメリカでは大統領選挙がある。そして今週末には、一番ある
意味では中期的に
日本の周辺の中で問題となり得る中台
関係を大きく左右する台湾の総統選挙がある。あるいは
韓国で総選挙がある。またロシアでも大統領選挙がある。こういうふうに、
我が国自体だけでなくて周辺も大きな
変化の年になろうとしております。
そういった中で、まず
防衛庁長官の
所信表明の中に、
我が国を取り巻く中において、多くの国々が経済力の拡大などに伴い軍事力の拡充、近代化に努めてきたと。残念ながら、ポスト冷戦後いろいろな問題を抱えておりますが、そういったような
状況にあるわけでございます。
そしてまた一方、
外務大臣の
所信の中においては、人類は民族、宗教といったそれぞれの帰属意識の相克を乗り越え、対話と協調により問題を
解決していかなければならない、このような観点からの発言がございました。
そういった点からいって、これは後で
質問の形で触れさせていただきますけれ
ども、
我が国を取り巻く東
アジアの軍事情勢といいますか、そういった
安全保障体制をどうするかという基本的な問題、それに我が
日本がどう対応していくのかということをこの際もう一度考え直してみる時期ではなかろうか。ちょうど中期防の締めくくりのときでもあります。
また、
国民の感情といいますか、先ほ
ども同僚
議員から出てきた
自分たちの気持ちの問題をどうするかというところをもう一回振り返った場合に、やはり
我が国が、憲法自体を考えようという問題も
国会内において行われるようになったということもございますけれ
ども、今一番ある
意味で大きな問題というのは、平和というものに関して、戦後我々はまさに敗戦国の
国民として、しかもその戦争を起こしたということが
世界じゅうから正義ではないというふうな
指摘を受けたことに対しての総括をずるずる延ばしてきた。これの一種の総括としての表現が
日本国憲法であったんでしょうけれ
ども、その問題点が今まではある種のタブーとしてなかなか表面化してこなかったものが、半
世紀を経てこれでいいのかね、もう一回考えようという時期に来たということが一番大きな背景としてあるんではないかと思っております。
そして、そこのところで、
外交問題を含めて一番基本的にあるのは人の命、人命が大切だということの位置づけであると思っております。人の命は地球より重い、巷間そういった説がありますけれ
ども、もちろん
国家というものは人が存在しなければ成り立たないわけですから、人の命というものは極めて大切なものであることは間違いないし、私
どもも
日本人として、戦後特にそういった点での教育あるいは世間的な風潮というものをほぼ確立しております。あるいは、西洋においてもそういった歴史的な背景で出てきてはおります。
しかしながら、限られた人の命というものよりも、もっと重要なものがあるのではないかということの方で事を起こされたときにどう今の
国際社会、現代社会が対応するのかということに関しては極めて脆弱な対応しかないというふうなことが、私自身、長期的に見て今現在
解決しなければならない、あるいは
解決までいかなくても真剣に考えなければならない問題だと思っております。その
一つの例が私は中台問題であろうと思っております。
台湾が独立宣言をしたら必ず戦争になる。人命が失われない戦争というものはあり得ないわけです。台湾の独立を黙認すれば、少なくとも
中国大陸あるいは台湾における人命というものは損なわれることはない。しかしながら、
中国政府はそういったことを、台湾側が今回の総統選挙で直というふうには思いませんけれ
ども、宣戦布告する、戦争をやると言っているんです。すなわち、
一つの
中国というものは限られた人命よりも大切だという
価値観を彼らは明白に
世界に対して発信しているわけでございます。
もっと古い私
どもの若い時代のことでいえば、民族の独立は何物にもかえがたいということにおいて、当時の北ベトナムは南のベトコンと称された人とともに
世界の
アメリカに対してあれだけの犠牲を払いながらベトナム戦争を戦い抜いた、こういう事例も
現実にあるわけでございます。
そういった中で、これからどうしたらいいかということで、私の基本的な考え方から発した
質問をこれからさせていただきたいと思います。
まず最初の問題ですが、確かに経済力をつけた東
アジア、特に
中国の軍事力の近代化、拡充とは言いませんが、近代化はある
意味で目をみはるものがございます。そういった点について、
防衛庁長官の基本的な御
認識から伺っていきたいと思います。