○笹野貞子君 民主党・新緑風会の笹野貞子と申します。
外務大臣に質問をさせていただきます。
東洋レーヨンの重役だった森本忠夫さんという方が「
ロシア商法の知恵」という非常に大作の本を書いております。この本を読みますと、
世界の商人の中で一番商売が上手で、そして
日本人が一番手ごわい相手が
ロシア人だ、
ロシア人というのは一番商売上手で、交渉相手としては手ごわいということを非常にわかりやすくおもしろく書いた本です。
なぜ私がこの本を読んだかといいますと、私は
北海道の出身で、私の父は戦前から冷凍船を持っておりまして、
世界の七つの海を駆けめぐって外国貿易をしていた男でして、北方四島、北方というのはこれはもう古来から
日本のものであるということで、そこら辺で
操業していて、そして戦時中、戦後、非常に拿捕が次々と起きたという歴史の中で、私の父は、
自分の領土で
操業することの何が悪いのかという、そういう信念のもとで、当時のソビエトと大変交渉をした男性でもありました。
このときに、私の父が申しましたのには、非常に手ごわい相手だ、少々のことでは交渉ということの障害を
日本人は乗り切ることのできない最も手ごわい相手だということを私は子供のときによく聞いておりまして、それで、国交のないときに、私の父が音頭をとりまして、初めて拿捕された船を返還するべく、国家にかわって日ソ協会というのを鳩山一郎さんをトップにして
北海道につくったという、そういう経緯があります。
そういう経緯で、これから
ロシアを相手に
日本が領土問題、
ロシアは非常に領土問題に対しては一種独特の敏感な
思いを持っておりまして、あの大きな国がなぜあれだけ小さな島にと思うぐらい領土問題にはその過去の歴史の中で紛争を重ねながら歴史を進めたという、そういうことがありますので、私は大変危惧をいたします。
今、
ロシアの
大統領はもうすぐで
プーチン大統領になるわけですけれ
ども、この方の御出身を見ますと、元KGBという、そういう御経歴であります。そして、今私が言いましたように、なかなか手ごわい、
世界で一番交渉ごとの卓越した能力のある、そういう相手に、非常に今
日本は重大な時期を迎えました。二〇〇〇年を節目にしてというこの重大なときに、これから
森総理大臣を初め、
河野外務大臣がそれにぶつかっていって交渉して、本来の
日本の姿に戻すということであります。
しかし、どうもこのごろのニュースを見ていますと、
先ほど大臣は、再度
確認をした、いろんなことを
確認したというふうにおっしゃいますが、ニュースなんかで見ますと、かえって後退しているようにいろんな方が
発言しているんですね。特に
ロシアの高官は、二〇〇〇年内の
平和条約の
締結は困難であるとか、それよりも中間条約の
締結が妥当であって、領土問題の解決を含む
平和条約とは別に平和友好協力条約を
締結すべきだとか、私にしたら心臓がとまりそうになるようなそういう
発言を繰り返している。
いよいよ手ごわい相手にこれからぶつかっていくわけなんですが、しかし、
先ほども
鈴木特使の
お話がありましたように、今、
小渕前
総理は大変、私からもお見舞いを申し上げたいのですけれ
ども、重大な時期に差しかかって、四月二十八日から三十日まで
ロシアのサンクトペテルブルクにおいて交渉がなされるということを聞きました。元レニングラード、非常に寒いところで大変だと思うんですが。
そこで、
大臣にお聞きしたいのは、非常に手ごわい相手ですね、そして初めて
総理になられてまだお元気な方ですけれ
ども、寒い地に行って、違う文化のところに初めて行って、最も重大な領土問題を
お話しになるということは、大変私は何か不安を覚えてならないわけです。
私が御質問をしたいのは、
ロシア人というのは急いだ方が負けですね、佐々木小次郎になった方が負けで、宮本武蔵流にじっと相手を観察し、
状況を把握し、そして一瞬のチャンスをつかむというこの戦法で
日本外交をしなければ、何か非常に不安だというふうに思うんです。
そこで、
沖縄の
サミットとは別に、
先ほど外務大臣は、相手を知らなければいけない、
信頼関係を築かなければいけない、これも確かに一理あります。でも、相手によりけりだと私は思うんです。向こうはKGB御出身の方ですから、いろんな
情報を御存じだと
思います。ですから、そういう点で、私は、
総理大臣が直接行って知らない土地で知らない人にそういう重大なことを切り込む前に、
外務大臣がお行きになったり、あるいは
サミットはこれは
サミットとして
お話をしたらいいと
思いますので別に
考えて、もうちょっと急がない方がいいというふうに思うのですが、
大臣の御所見はいかがでしょうか。