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大森議員 ただいま議題となりました
企業組織の
再編を行う
事業主に
雇用される
労働者の
保護に関する
法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御
説明申し上げます。
現在の
雇用情勢は、
政府の
経済失政による大不況と大
企業を中心とするリストラの横行で、戦後最悪の状態が続いています。特に最近では、銀行に見られるように合併による大規模人減らし、営業譲渡、分社化に伴うリストラの強行が横行し、小渕内閣以来、株式交換・移転
制度を内容とする商
法改正、産業活力再生法、そして今国会に
提出されている
会社分割法と、法制面でもその
支援策が強められ、
労働者の
雇用はかつてない重大な危機にさらされています。
既にヨーロッパにおいては、こうした
企業組織の
再編から
労働者の既得権を守るための法制が整備されてきておりますが、
我が国においては、ほとんど野放しというのが実情であります。
我が国においても、
雇用を守るルールの
確立を求める広範な世論があるにもかかわらず、
政府は、今般、商
法改正による
会社分割を法制化するに当たって、その場合に限った
労働契約承継を内容とする
法律案を
提出したにすぎません。しかも、その内容を子細に検討すれば、分割を容易に行うため、主要な
労働者の民法六百二十五条に基づく
異議申し立ての余地を完全になくすための法整備という性格のものであり、到底
労働者保護の名に値するものではありません。
本
法律案は、こうした
企業組織の
再編から
労働者の
雇用と労働条件を守ろうとするものであります。したがいまして、第一に、
労働者が
保護される
企業組織の
再編の範囲を、合併、営業譲渡・譲受及び今回
政府から
提出されております分割等といたしております。
第二に、こうした
企業組織再編を理由とした解雇を禁止する措置を講じました。さらに、
企業組織再編後の
企業経営上の負担をあらかじめ軽減することを目的とした解雇も禁止することといたしております。実際には、後者の例が多いことにかんがみ、この措置は、解雇制限措置を実効あるものにする上で不可欠であると考えます。
第三に、
労働契約の承継について、本人同意を
原則とした承継を基本にしながら詳細な
労働者の
雇用に関する権利
保護を定めました。
合併の場合には、合併に当たって合併消滅
事業主に
雇用される
労働者の
労働契約は合併存続
事業主にすべて継承されること、この場合、同意のない
労働者は合併存続
事業主との
労働契約を解除できることとしております。
分割の場合にも、
労働契約の承継について本人同意を前提としております。したがって、分割計画書に記載された
労働者は
労働契約を承継されますが、同意しない
労働者の
労働契約は承継されることはありません。この点が、
政府の
労働契約承継法案とは根本的に異なる部分であります。当然、承継されないことについても
異議申し立て権が保障されていることは言うまでもありません。
営業譲渡の場合にも、合併の場合と同様の権利を
確保しております。
こうして、
労働者の
雇用を守り、民法六百二十五条で
確立されている本人同意
原則を疑問の余地なく明らかにすることが可能になるでしょう。
第四に、これら
企業組織の変更を行おうとする場合には、
事業主は、
労働者に対し
労働契約の
承継等必要な事項を通知しなければならないこととしました。
第五に、
企業組織変更後一年間の労働条件の不利益変更を禁止しました。
第六に、労働協約について、
労使の間で承継について合意のあった部分すべて、承継について合意がない場合には
企業組織再編後の
企業労使においてそれまでの労働協約が締結されたものとみなすことといたしました。
第七に、
企業組織の
再編を行おうとするときは、あらかじめ過半数労働組合もしくは過半数代表者との間で事前協議を義務づけております。
第八に、
企業組織再編に際して、
再編後の
企業において少数労働組合の権利を
確保するために、承継
労働者の労働条件の主張の
機会の
確保措置を明記しました。
第九に、
労働契約及び労働協約の承継、労働条件の不利益変更の制限その他
労働者の権利
確保のために
労働大臣が指針を定め、
労働者保護のために必要な指導助言をできることとしています。
第十に、本
法律またはこれに基づく命令違反の事実があるときは、
労働者から都道府県労働局長、労働基準監督署長または労働基準監督官に申告できる旨定め、本
法律の実効を
確保しております。申告したことによる不利益取り扱いの禁止は言うまでもありません。
以上が
法律案の主な内容であります。日本共産党は、本法案以外にも、本院に、解雇規制法案及び
サービス残業根絶特別措置法案の二法案を
提出しておりますが、本法案とあわせ施行されることになれば、先進諸国と比べ
我が国に決定的に欠けている
雇用に関するルールが
確立し、リストラから
雇用を守るだけでなく、
雇用拡大にも資することは間違いありません。
以上、本
法律案の提案理由及び内容につきまして御
説明申し上げました。
何とぞ、御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。