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2000-02-28 第147回国会 衆議院 予算委員会第八分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年二月二十八日(月曜日)     午前十時開議  出席分科員    主査 萩山 教嚴君       亀井 善之君    栗原 博久君       小島 敏男君    山口 泰明君       鍵田 節哉君    日野 市朗君       石垣 一夫君    佐藤 茂樹君       加藤 六月君    塩田  晋君    兼務 木村 太郎君 兼務 田中 和徳君    兼務 滝   実君 兼務 桧田  仁君    兼務 石毛えい子君 兼務 小林  守君    兼務 末松 義規君 兼務 松崎 公昭君    兼務 山本 譲司君 兼務 石井 啓一君    兼務 遠藤 和良君 兼務 金子 満広君    兼務 山原健二郎君     …………………………………    建設大臣    国務大臣    (国土庁長官)      中山 正暉君    国土政務次官       増田 敏男君    建設政務次官       加藤 卓二君    建設政務次官       岸田 文雄君    政府参考人    (内閣総理大臣官房参事官    )            阿部 一知君    政府参考人    (科学技術庁原子力安全局    長)           間宮  馨君    政府参考人    (国土庁長官官房水資源部    長)           鈴木藤一郎君    政府参考人    (国土庁地方振興局長)  芳山 達郎君    政府参考人    (国土庁防災局長)    生田 長人君    政府参考人    (厚生省生活衛生局水道環    境部水道整備課長)    入江登志男君    政府参考人    (厚生省社会援護局長) 炭谷  茂君    政府参考人    (農林水産省構造改善局長    )            渡辺 好明君    政府参考人    (林野庁長官)      伴  次雄君    政府参考人    (運輸省鉄道局都市鉄道課    長)           柚木 浩一君    政府参考人    (運輸省鉄道局業務課長) 押田  彰君    政府参考人    (運輸省鉄道局施設課長) 野竹 和夫君    政府参考人    (運輸省航空局飛行場部長    )            上子 道雄君    政府参考人    (建設大臣官房長)    小川 忠男君    政府参考人    (建設省建設経済局長)  風岡 典之君    政府参考人    (建設省都市局長)    山本 正堯君    政府参考人    (建設省河川局長)    竹村公太郎君    政府参考人    (建設省道路局長)    大石 久和君    政府参考人    (建設省住宅局長)    那珂  正君    建設委員会専門員     福田 秀文君    予算委員会専門員     大西  勉君     ————————————— 分科員の異動 二月二十八日  辞任         補欠選任   亀井 善之君     小島 敏男君   森山 眞弓君     山口 泰明君   日野 市朗君     桑原  豊君   佐藤 茂樹君     石垣 一夫君   加藤 六月君     塩田  晋君 同日  辞任         補欠選任   小島 敏男君     亀井 善之君   山口 泰明君     森山 眞弓君   桑原  豊君     藤村  修君   石垣 一夫君     近江巳記夫君   塩田  晋君     三沢  淳君 同日  辞任         補欠選任   藤村  修君     鍵田 節哉君   近江巳記夫君     石垣 一夫君   三沢  淳君     加藤 六月君 同日  辞任         補欠選任   鍵田 節哉君     日野 市朗君   石垣 一夫君     近江巳記夫君 同日  辞任         補欠選任   近江巳記夫君     佐藤 茂樹君 同日  第二分科員木村太郎君、第三分科員滝実君、末松義規君、山本譲司君、石井啓一君、第四分科員桧田仁君小林守君、金子満広君、山原健二郎君、第五分科員松崎公昭君、第六分科員石毛えい子君、遠藤和良君及び第七分科員田中和徳君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  平成十二年度一般会計予算  平成十二年度特別会計予算  平成十二年度政府関係機関予算  〔総理府(国土庁)及び建設省所管〕     午前十時開議      ————◇—————
  2. 萩山教嚴

    萩山主査 これより予算委員会第八分科会を開会いたします。  平成十二年度一般会計予算平成十二年度特別会計予算及び平成十二年度政府関係機関予算建設省所管について、前回に引き続き質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小島敏男君。
  3. 小島敏男

    小島分科員 おはようございます。自由民主党の小島敏男でございます。  きょうは、分科会での発言の機会を与えていただき、心から感謝をしているわけであります。私ども、余り質問機会というのがありませんけれども、今回希望の委員会を申し出いたしましたところ、建設省の方で許可をいただきまして、早速これから質問に入るわけであります。予算委員会というのは、大まかに、たくさんの視野に基づいて、日本全体のこと、世界のこと、そういうことを論じるわけでありますけれども、分科会の場合には、私どもが一番知っているところも質問してよろしいということでありますので、ただいまより質問をさせていただきます。  公共事業のばらまきということが言われているわけでありますけれども、これはもうたくさんの方が言っておりますが、私は埼玉県に住んでおりますので、埼玉県は、現在の人口が六百九十万人、そして全国で一番人口増があるところということで、ここ数年はずうっと全国一位の人口増をしているところであります。ですから、勢い公共事業が助けになるわけでありまして、公共事業なくしてはとてもその六百九十万の人口を支えることができませんので、県民も、国民もやはり公共事業を大変に当てにしているということをぜひ御理解をいただきたいと思います。  埼玉県そのものは、関東平野のど真ん中ということであります。しかも、人口がふえるというのは可住面積が多いということでありまして、これからなおふえていくだろうという予測が立っているわけでありますけれども、現在、全国で第五位の人口を有する場所であるということであります。そういう埼玉県におりますと、人口増に対していわゆる公共機関の追いつかない場所がたくさんあるということでありまして、その点、細かく言いますと、地下鉄や道路河川、水路、そういう問題に多くの課題が残されているということであります。  きょうは、全体の問題と、私が住んでおります地元熊谷市を中心とした問題について、何点かお伺いをしたいと思います。  まず初めに、お伺いしたいわけでありますけれども、平成十六年、西暦の二〇〇四年に、埼玉県に二巡目の国体が決定されております。国体開催というのは全国各地で行われるわけでありますけれども、この国体開催というのは、ともかく日本全土に均衡ある発展をさせよう、これがスポーツを通じてそういうことをしながら経済効果も図ろうということでありまして、開催される土地におきましては大変に歓迎をされている。しかし、近年、ややもすると少し派手になってきたという批判もありますけれども、県民の団結、意識の高揚並びに経済的波及効果ということを考えますと、国体が来るということは非常にその地元にとっては大きなインパクトがありますし、期待をされているということであります。  第一回目の開催というのは、大宮の隣の上尾市が中心になりました。これは、上尾市がちょうど大宮の近くにある、交通の利便もいいということでありますけれども、今回は、土屋知事が第二巡目の国体開催地というのを決めるときに、大変にいろいろなところから立候補をされたわけであります。しかしながら、熟慮の結果、これはやはり国の均衡ある発展と同じように県土が均衡ある発展をしなきゃいけないということで、県北地域、私たちの住んでいる熊谷メーン会場を持ってきたということであります。そういうことで、大変に熊谷市民といたしましては、また県北地区住民といたしましては、国体メーン会場県北に持ってきたということに非常に感謝をしているところであります。  六百九十万の人口ということなんですけれども、それでは、上尾にある、昭和四十年代に第一回目の国体が来たのですけれども、その上尾に来たときにつくった陸上競技場、これが第一種なんですね。第一種というのはなかなかないんですけれども、今もって二巡目になるまで、埼玉県では第一種の陸上競技場というのは上尾しかありません。ですから、人口がたくさんいても、第一種競技場というのは一つですから、利用が激しくて、上尾の場合には普通、申し込んでおいてもなかなか予約がとれないという状態なんですけれども、今度熊谷に来るということで、熊谷のいわゆるメーン会場にも第一種の陸上競技場をつくるということで、陸上関係者期待というのは非常に大きいものがあります。  施設設備の概要というのは、現在の景気動向並びに自治体の財政を考慮いたしまして、非常に簡素にやるということであります。それはそれで私は結構だと思うのですね。余り派手にやることはないというふうに思います。  たまたま、私が昭和四十七年にアメリカからヨーロッパひとり旅をしたことがあります。そのときにはちょうどミュンヘンに行ったのですよ。ミュンヘンに行ったら、ミュンヘンオリンピックをつくるというときに、私、たまたまめぐり合わせたのですけれども、そのときに、ミュンヘン陸上競技場というのは、メーンのところは全部コンクリート、そして外側は全部木枠なんですね。ドイツ国民堅実性をあらわしているかなと思ったのですけれども、ドイツ人たちは、もうミュンヘンオリンピックが来ることはない、もう近々来ることはないんだ、だからオリンピックが終わった後には、一番使いやすいものだけコンクリートで残そう、そしてミュンヘン市民が、ドイツ国民が使うのに一番いいというようなものを残すんだということで、それを聞いたとき、なるほど、ドイツ国民というのはすごいなと思ったわけであります。  そのときに、たまたま日本の方では冬季オリンピックが開かれたのですね。冬季オリンピックが開かれたときに北海道の山を何億円かけて削って、それでその冬季オリンピックのために使って、その後また埋め戻して復元をするということでありますけれども、効率から考えたときに、ドイツ国民性というのを見習わなきゃならないなということを今から三十年前に私思いました。  ですから、今回熊谷でつくるいわゆる陸上競技場にいたしましても、大変に質素につくって、やはり取り外しができるようにするとか、また国の方で考えていることは、いわゆる観覧席だけじゃなくて、芝生に座って見る、このことも観客、顧客の人数にカウントするということに変えたようでありますけれども、今の時代を考えると、非常にそういうことは、おくればせながらとはいえ、すばらしいことであるというふうに思っております。  そこで問題になりますのが、会場までのアクセス道路ということであります。たまたま新幹線東京から上野から大宮から熊谷高崎と行くんですけれども、新幹線の駅から北に三キロの地点がいわゆる国体メーン会場なんです。その三キロの地点メーン会場なんですけれども、その間に熊谷バイパスという大きな通りがあります、これは五十メートルの幅員でありますけれども。その五十メートルの幅員を越えたところにいわゆる十五万坪のスポーツ文化公園、プラス今度の国体メーン会場の十五万坪、合わせて三十万坪のスポーツ文化土地があります。その場所メーン会場になるわけでありますけれども、一時、バイパスができたときには自動車がどんどん通ったのですけれども、今はそこも渋滞しているということであります。ですから、選手がそのところを通らない限り国体会場には行けないということでありまして、そのところをぜひ立体化をしてもらいたい。それはもう二本あるんですけれども、その道を立体化してもらいたいということが主な要望であります。  立体化場所でありますけれども、主要地方道熊谷館林線並びに県道太田熊谷線というのが二本ありますけれども、その場所立体にして、いわゆる通過をする自動車というのはそのままどんどん通過をしてもらう。そうすれば、熊谷通過するのがいっぱいあるんですから。ですから、その場所の二本だけ立体化をして、選手だとか何かが北に自由に行けるようにということであります。  平成十六年ということでありますけれども、地元市町村建設大臣並びに総括政務次官の方にも陳情を出しておりますけれども、その辺のことについてぜひお聞かせをいただきたいと思います。  それからもう一つは、熊谷バイパスは、東京に向かって行きますと、鴻巣でちょうどとまってしまいます。その先は上尾道路ということで、いわゆる大宮バイパスから上尾道路を通って熊谷バイパスに来て、それが上武国道を通って高崎の方に行くということであります。  その上尾道路でありますけれども、今から三十一年前、昭和四十四年に、いわゆる都市計画決定をされました。平成元年にまた都市計画決定をされて、今度は幅員を五十七メートルにしたということでありまして、三十年来の懸案の場所でありますけれども、そのことについて、見通しとしてはどのような見通しを持っているか。上尾道路関係についてもお聞かせをいただきたいと思います。  続けて建設関連だけ質問をさせていただきます。  そこで、もう一つ、全体的な問題でありますけれども、これは全国的に問題になっていることでありますが、ちょうど昭和四十三年に都市計画法改正をされまして、市街化区域調整区域という形に線引きがされたわけです。当時、私は市会議員をしておりましたので、五年ごと見直しということですから、五年たったらば大幅に見直すだろうということを思っていたわけでありますけれども、線引きがされた後の状態というのは、大臣初め関係議員の方も全部知ってのとおり、土地の価格がもう本当に天地、雲泥の差になったということであります。  先ほど話した、熊谷から北に向かって行くとバイパスがあるというんですけれども、このバイパスの北側と南側線引きして、市街化区域調整区域に分けたわけですね。そうすると、バイパス南側というのは坪幾らバイパスの向こうになると反幾らということで、非常に大きな格差が出たわけであります。  そういうことを考えますと、この線引きというのはどういうことだったのかなということを疑問に思わざるを得ないわけであります。四十三年に線引きをしたときは、市街地スプロール化をとめよう、どんどん畑の方に行ってしまうと。ですから、市街化区域内は快適な住環境をつくるためにいわゆる区画整理をして、そしてその区画整理に基づいてやっていこうということでやったのですけれども、三十年たった今、果たして四十三年に線引きをされた都市計画法改正がうまく機能しているんだろうかどうだろうかということに対して、私は非常に疑問に思っているところであります。  私のところにも相談に来ますが、恐らく国会議員の方々にも、この市街化調整区域の中で家を建てたい、分家住宅を建てたい、しかしこういう規制があるので思ったところに家が建てられないということであります。バブルがはじけて、土地も非常に均等化、いわゆる鎮静化したという嫌いがありますけれども、今こういう時期にこそ、四十三年に引かれた都市計画法改正、つまり線引きについて大幅な見直しをするべきではないかと私は思っております。その点についてお聞かせをいただきたいと思います。  加藤総括政務次官埼玉県選出の国会議員でありまして、今度総括になられたということで、埼玉県の隅々まで御存じであり、しかも県北に居住されておるわけでありますので、私が質問したこと、それから国体関係については大変お骨折りいただいたということでよく御存じなことだと思いますので、その辺についてもぜひお口添えをいただければありがたいと思います。  きょうは、中山建設大臣、御出席いただきましてありがとうございました。
  4. 加藤卓二

    加藤政務次官 ただいま、地元小島議員から微に入り細に入りの御質問、本当に地域の者にとって非常にいい質問をしていただいたな、こう思います。  大宮操車場の跡に副都心を持ってこようといったときは、今の知事さんがまだ参議院の議長さんで、そのときに金丸三郎さんを総務庁長官にして、おまえ、元気がいいからそこの政務次官をやって埼玉県に副都心を持ってこい、こういうふうな意気込みのもとに話し合いをしまして、本当に副都心操車場の跡へ来て、これはこの五月にみんなで完成をお祝いできることになった。  そのときに、小島議員がおっしゃっていたように、県北をどうしてくれるんだというのは、県民のひとしくみんなの意見でございました。その中で、熊谷国体を持ってこようという機運の中で熊谷が選ばれた。これはもう本当に、当然のことを当然としたようなわけでございますが、これに関しては、地元小島議員、また市長さん、議会の皆さん各界各層皆さんの大変な努力のもとだと思います。  これは、はっきり申しまして、きょうは建設省の大幹部がみんな見えておられますから、ぜひひとつ聞いていただくということも含めて、私の方からもお答えしたいと思います。  大宮のすぐ隣の上尾に大きな国体があったのは事実でございます。これを県北に持ってくるということは、南と北のバランスをよくしようという県民の総意でございます。そして、それにこたえて熊谷市が、大変大きな地所の提供、そしてまたその努力をなさっている。特に、十六年の開催予定の五十九回国民体育大会熊谷メーン会場を持ってこようということになって、本当にそうなると、交通の問題、アクセスの問題が大変問題になる、これはおっしゃられるとおりです。  私もこの間、議員、そしてその秘書の皆さんたち陳情に来たときにも、担当の人によく聞いていただいて、極めて大事なことだから、努力するだけじゃなくて地元の意向に添えるようにやりますよというような前向きな答えがあったことは御承知だと思いますが、議事録に残ることでございますので、改めてぜひその旨をはっきり申し上げておきたい、こう思います。  このために、国道の十七号の柿沼交差点、それから肥塚交差点立体化は、これはもう当然のことだと。これはもう準備は着々と進んでおりますから、その辺は心配ない。  それから、熊谷バイパスから上武道路に向けて四車線化、これをやっておくと、上武道路と今の十七号、本庄を通る道が二つ大きく生きてきますので、この四車線化予算をつけていただいて、これも着々と準備しております。  これだけでは、南北のというよりは東西の道になるので、どうしても南北、荒川を挟んでの橋梁整備を図らなきゃならない。橋梁整備を図ることにおいて、メーン会場をぐるっと回る環状道路ができ上がる、こういうふうに考えております。そのように今着々と準備しておりますし、開会に間に合うように一生懸命やっておりますから、地元へ帰ったらまた、そのように皆さんにお伝え願っていいのではないかと思います。  大変地元に明るい小島議員でございますが、詳しいことは、またきょうは幹部の方でぜひお答えしたいということで、私の方は総論だけを申し上げさせていただきます。きょうは本当にありがとうございます。
  5. 大石久和

    大石政府参考人 十七号熊谷バイパスにつきましては、今加藤総括から御説明申し上げたとおりでございます。先ほど先生から御指摘がございました熊谷館林線太田熊谷線のそれぞれの交差点が、柿沼交差点肥塚交差点でございます。大変大きな渋滞が発生いたしておりますので、国体までに立体化を間に合わせるべく努力いたしたいというように思います。  また、先ほど、十七号上尾道路について、整備方針整備見通しの御質問がございました。  上尾道路は、平成元年十二月に都市計画決定がなされ、平成七年度までに、大宮市宮前から桶川市川田谷間一般道路部、延長約十一キロメートルについて事業化し、平成九年度から一部区間用地買収に着手いたしております。  今後とも、地域皆様方の御協力、御理解を得まして、事業化区間平成十年代後半の供用を目指し、事業の促進に努めたいと考えてございます。  また、未事業化区間がございますが、この未事業化区間九キロメートルにつきましては、現在事業中の区間進捗状況周辺交通状況及び周辺開発動向等を勘案し、事業の着手時期について検討していきたいと考えております。
  6. 山本正堯

    山本政府参考人 お答えをさせていただきます。  先ほど先生から線引きについて、あるいは区画整理についての、何点かについての御質問がございました。  第一点は、いわゆる市街化区域市街化調整区域線引きについて、三十年ぐらい経過しておるがスプロールは防ぐことができたのか、効果があったのか、こういうことでございます。  御案内のとおり、この線引き制度スプロールを防止するために昭和四十三年の都市計画法改正によって設けられた制度でございまして、これまでに全国で三百三十七の都市計画区域において線引きがなされております。  ちなみに、昭和四十六年には全国都市計画区域人口の六三%に当たります約五千四百万人が市街化区域に居住をしておったわけでございますが、平成九年にはこの都市計画区域人口の約七一%に当たる約八千二百万人に増加するといったようなことでございます。  また一方、市街化調整区域については人口が抑制されておる、こういうことでございまして、大都市圏中心に、都市スプロール化についての歯どめということで一定の効果があったというふうに考えております。  先生の具体的な地元熊谷都市計画区域熊谷市、江南町、川本町といったようなところの広域都市計画区域につきましても同じような傾向でございまして、昭和四十六年に都市計画区域人口のうちの六〇%であったのが平成九年には六五%ということで、約三万五千人ほど都市計画区域内の人口がふえておる、こういうことでございます。  ただ、その後もモータリゼーションが進展をいたしまして、都市計画区域外といったようなところにスプロール、一部開発が見られるといったようなことでございますけれども、線引きによりまして全体的にはスプロールが防止を図られておる、こういうことであろうかと思います。  その中で、市街化区域整備につきましては、先生の御指摘のように、区画整理事業で精力的に整備を進めてきたところでございます。  市街化区域内の土地区画整理事業につきましては、昭和四十三年以来、全国で約四千二百カ所、約十二万ヘクタールの市街地区画整理事業によって整備されたところでございます。現在実施中のものも含めますと約六千地区、約十九万ヘクタールについて区画整理事業による計画的な市街地整備されているということでございます。  先生のところの熊谷都市計画区域につきましても、熊谷第一地区等については施行済みでございますし、熊谷籠原地区等々で施行中でございます。全体で、現在実施中のものも含めまして十九地区、約五百七十ヘクタールで計画的な市街地整備されているところでございまして、市街化区域内の社会資本整備あるいは都市整備が現在進捗している、こういうことであろうかというふうに思っております。  三番目に、線引きについては五年ごとに定期的に見直すということで、実際には大規模な変更は非常に難しいということで、地域の実情によっては区域区分を撤廃、大きな制度変更をしたらどうか、こういう御指摘でございます。  御案内のとおり、区域区分変更については、おおむね五年ごと都市計画の基礎調査というものの結果等を踏まえまして定期的な見直しを行っております。それと同時に、区画整理事業等による計画的な市街化が確実な土地の区域につきましては、随時、市街化調整区域から市街化区域に編入をすることとしておるところでございまして、全国でこれまでに約十四万四千ヘクタールの市街化区域編入が行われておるところでございます。  熊谷市におきましても、先ほど申し上げましたような区画整理事業等々が実施されました結果、四十五年当初、市街化区域が二千三百十九ヘクタールであったものが現在二千四百四十六ヘクタールということで、約六%増しに拡大されておる、こういうふうに聞いておるところでございます。  そういう点で、市街化調整区域から市街化区域に必要に応じて着々と編入等々されておるわけでございますけれども、区域区分制度が創設されまして三十年経過しておるわけでございまして、都市への人口集中が鎮静化し、あるいは一方モータリゼーションが進展するといったように、経済社会情勢は環境が大変大きく変化をいたしておるという状況でございます。  こういう状況に応じまして、地域の実情に応じて柔軟に土地利用規制が行えるように、私どもとしても検討を重ねておるところでございます。  先日、都市計画中央審議会から答申をいただきまして、区域区分制度についても基本的には線引きの選択制といったような点についての答申をいただいております。その答申の趣旨に沿って、現在都市計画法改正について準備をさせていただいておるという状況でございます。  以上でございます。
  7. 小島敏男

    小島分科員 大変に御丁寧に御答弁をいただいて、感謝をしております。  加藤総括政務次官におかれましては熊谷市のことをよく熟知しているという話をしたのですけれども、久下橋の関係、これも南から来る道路で、やはり橋梁整備が必要だろうということで、今進んでいる話まで言及してもらいまして、本当に感謝をしているところであります。  国体関係については、道路立体化について大変はっきりした御答弁をいただいて感謝しているわけでありますが、いま一つ、やはり都市計画決定をされた上尾道路関係については、平成元年ということなんですけれども、私は、四十四年、これは上尾市で都市計画決定をしたわけでありますが、たまたまその平成元年都市計画の変更のときに立ち会ったのですね。  それで、立ち会ったときに、物すごい住民がいて、その会場に私は入れないのですよ。みんなにガードされて入った記憶があるのです。それは何かというと、都市計画をしてそのままほうっておいて、そのあげくに今度は五十七メートルに変更したのですよ。私はその都市計画審議会で言ったのです、住民が怒るのは当たり前ですよと。こういう道路ができますからと地元に説明して街路決定して、手をつけないまま、今度は変更して広げるというのですから。こんなことをしていたら住民を納得させられるわけないでしょうということで、私はその都市計画審議会で発言をしたことがあるのです。そういうやり方はやはり住民に対してやるべきことでないということで、それの恩返しとして早く手をつけて完成させるようにお願いをしたいと思います。  それから、市街化区域調整区域の問題ですけれども、これも私がその当時議員をしていて、簡単に、五年たてば変えるんだからという気持ちだったのですよ。ところが、以後三十年。その間に問題がどんどん噴出した。それはなぜか。四十三年以前に宅地化をされている場所ならば家が建てられますというのですよ。これは、住んでいる住民に対して、そんなに詳しく説明がなかった。だから、後で問題が起きたわけですよ。ふたをあけてみたら、さっき言ったように土地の価格が格段の差がついた。家が建てられない。四十三年前に私は持っていたんだけれども宅地にする申請をしていなかったとか何かと、いろいろな問題が出ているのですね。  それがあるわけでありますけれども、果たしてこういう線引きが四十三年に引かれ、しかも三十年たった現在、審議会等でもいろいろ答申を得ているようであります。  これは、政治の大先輩であります中山建設大臣、当時のことをよく御存知だと思うのですけれども、四十三年以前の問題等も、恐らく大臣のところにも何とかしてくれということでお願いに来たと思うのです。こんなに土地の格差が出ると全くわからなかったのですけれども、そういう政治をよく御存じ大臣の方では、この住民、国民の問題についてどういうふうに思っているか、それを最後に聞かせていただいて、気持ちで結構でございますので、よろしくお願いします。
  8. 中山正暉

    中山国務大臣 本当に戦後の時期からいろいろな計画を立ててそれに対応してまいりましたが、経済情勢の変化、昭和三十五年であった池田内閣のときに一兆四千億の予算が、今八十四兆の予算を組むというような大変化の中で、どんどんどんどん経済効果があらわれて、昭和三十五年から五十年までが大変な経済繁栄の時代。そのころに、日本東京都だけ売ってもアラスカからチリまで買えるというような大変な、土地の問題というのは、この山ばかりの国が、どういう計画を立てるか、それと、狭いところにたくさんの密集地がある、それから過疎がある、それがどんどんバブルとなって積み上げられていった経済情勢の中で、すべてそれを含めていわゆる日本の経済力だと錯覚を起こしたところに問題があったんじゃないかと私は思います。  そうかといって、予算を積み上げてもらって実施をしようとすると、それに対して反対運動がある。それでとんざしたことが今度は逆に日本の経済力を落とす結果になって、それがバブルの崩壊につながっていったというような思いがございますので、二十一世紀、改めていろいろなことを見直すときが来ているんじゃないか。  お互い頭を冷やして、そして、日本のいわゆる国土形成の中で、私は国土庁長官もやっておりますが、そういう経済の再生に向かって、小渕内閣も経済新生、こう言っていますけれども、それは国土を見直すことから、どこをどういうふうに活用していくことがいいのか、それから私権をどういうふうに考えていったらいいのか、公共の福祉とそれから私権の関係というものを整理して、どういうふうに協力をしていっていただいたらいいのかというようなところを整理していかないとだめなんじゃないかと思っております。
  9. 小島敏男

    小島分科員 中山建設大臣には質問の通告をしていなかったんですけれども、御丁寧に答弁していただきましたことを心から感謝して、質問を終わります。  どうもありがとうございました。
  10. 萩山教嚴

    萩山主査 これにて小島君の質疑は終了いたしました。  次に、山口泰明君。
  11. 山口泰明

    山口(泰)分科員 自由民主党の山口泰明でございます。我が元県会議長であります小島先輩の後で大変光栄でございます。  実は、私の選挙区の坂戸市を中心とするところは昔から大変水害の出るところでありまして、今から六十年ちょっと前に入間川水系改修工事期成同盟会というのをつくりまして、初代の会長が私の母方の祖父でありました。そんな思いもありまして、昨年八月に予期せぬ大変な集中豪雨がありまして、私の選挙区も多大なる被害が発生いたしました。  特に被害の激しかった坂戸市赤尾地域、百三十軒ぐらいが床上浸水になったのですけれども、その後の荒川工事事務所、また関東地方建設局、建設省河川局の皆様の本当に早急な対応によりまして、越辺川と飯盛川の合流付近の河川改修事業、直轄災害関連緊急事業というんですけれども、約二十七億の事業費の決定がなされ、来月の二十一日には起工式も予定をされており、近隣住民の皆さんも大変これで安心し、またこの対応を大変喜んで、地域を代表して私は心よりお礼を申し上げたいと思います。  そこで、今後の事業状況と、これらの対応策によってこのような災害は再び発生しないと考えますけれども、その御見解をお伺いしたいと思います。
  12. 竹村公太郎

    ○竹村政府参考人 お答えいたします。  昨年八月の豪雨によりまして、この地域沿川の方々に大変な浸水被害が発生いたしました。それと、堤防の破損四百五十メーター、漏水六百五十メーター、河岸の洗掘二百九十メーターと大変な災害に遭ったわけでございますが、私ども、治水課の担当官を九月には現地に査定に入らせまして、昨年末に、事業費二十七億円、内容は、原形復旧十五億円、もう一つは、関連事業としましては、越辺川から飯盛川へ逆流を防止するための水門、十二億円ということで、直轄河川災害復旧事業を採択したところでございます。  先生からただいまお話がありましたように、本年三月中に工事着手のために現在発注の手続中でございまして、三月中にはすべての工事に着手し、速やかな復旧整備を行って、同じような災害が来ても再び被害がないような状況にしたいというようなことで鋭意頑張っていくつもりでございます。
  13. 山口泰明

    山口(泰)分科員 このような工事期間中に昨年のような集中豪雨が起こる可能性もあるんじゃないかと思うんです。その辺は万全にしていただけると思うんですけれども、もし工事中にそのようなことが起きた場合、どのような対応を考えているのかもお聞きしたいと思うんです。
  14. 竹村公太郎

    ○竹村政府参考人 ただいま御説明いたしました越辺川と飯盛川の合流点に関しまする工事は、少なくとも一年かかります。ということは、ことしの梅雨から夏、秋にかけて再び出水が十分考えられるわけでございます。  このため、今年度の工事中の災害防止ということで、仮締め切りをきちんと設け、越辺川から飯盛川へ逆流を防止するだとか、越辺川の土のうを去年の水害の水位まできちんと積んでおくだとか、越辺川と飯盛川の仮締め切りをしてしまいますと飯盛川の内水が問題になりますので、この飯盛川の内水をきちんと越辺川に吐くようなポンプ車の出動等、関東地方建設局荒川上流工事事務所は工事中万全を期してこの工事に当たっていきたいと考えております。
  15. 山口泰明

    山口(泰)分科員 ありがとうございます。ぜひその方向でよろしくお願いをいたします。  また、坂戸市におきましては、高麗川が、ふるさとの川整備事業の認定をいただきました。高麗川は関東有数の清流であり、この清流を維持するため、また地域住民の憩いの場として大変地元皆さん期待をしております。  この事業を進めるに当たっては、地方自治体が主役で取り組んでいくことになっておりますけれども、その実施について国としての役割をお伺いしたいと思います。
  16. 竹村公太郎

    ○竹村政府参考人 私ども治水事業は、地域の安全ということはもちろんでございますが、川というのは限りなく貴重な環境空間という認識のもとに、河川管理者である建設省周辺市町村が一体となって川づくりに向かっていきたいという考え方に立ってございます。そのために、御質問の高麗川におきましては、ふるさとの川整備事業を、私ども、坂戸市と一体となって実施していこうということを考えております。  現在、根幹的な治水事業建設省において実施しております。具体的に申しますと、築堤とか高水敷の整備でございます。現在、進捗状況は、用地が五三%、築堤が一一%ということで、これから本格的になるわけでございますが、建設省が根幹的な治水事業として整備した例えば高水敷の上につきましては、坂戸市の方々のさまざまなアイデア、知恵を、または希望をこの河川空間の整備に入れていきたいということで、市民と坂戸市、建設省が一体となって市民会議の設立を予定してございます。こういう市民会議の中で出たさまざまな地域の希望または要望等については、十分対話をしながら河川整備に当たっていきたいと考えております。
  17. 山口泰明

    山口(泰)分科員 ぜひその方向でよろしくお願いしたいと思います。  次に、昨年二月の分科会でも質問をさせていただきました首都圏中央連絡自動車道についてお伺いいたします。  私は、埼玉県比企郡川島町というところに住んで、そこから国会へ通っているわけでありますけれども、毎朝六時過ぎに自宅を出て首都高速五号線に入ってきますと、必ずと言っていいほど渋滞にひっかかります。これは建設省の統計でありますけれども、全国で年間に発生する渋滞による損失は年間十二兆円とも言われており、時間にして国民一人当たり年間四十二時間にも及ぶと言われております。  渋滞緩和策としてITS等の推進も重要な事業とは考えておりますけれども、やはり道路整備等の基盤整備が一番重要だと私は考えております。渋滞の緩和により、経済効果も上がり、他方、環境面でも大きな効果期待されると私は考えております。  現在、国、地方とも莫大な借金を抱えておりますけれども、一部政党は公共工事は悪と考えておりますが、私は、それは明らかに間違った見解であると思います。首都圏における道路整備等は、防災の面から見ましても今後取り組んでいかなくてはならない重要な課題であると言えます。その中においても特に首都圏中央連絡自動車道は、首都へ流れ込む交通の分散、産業活力の向上など重要な役割を果たすものであります。  私の尊敬する全国知事会長の土屋埼玉知事は、県内一時間道路網構想を公約に掲げており、県内どこにでも一時間以内で移動が可能といったものをつくり上げようとしております。経済効果等については先ほども申し上げましたけれども、私もその一翼を担って取り組んでまいりたいと考えております。このようなことを申し上げていいのかわかりませんけれども、国会移転等に費やす予算よりも、首都機能を強固なものにして、災害に強い町、そして住みよい町にしていくことが何よりも私は重要であると考えております。  そういった面から見ましても、首都圏中央連絡自動車道は最重要課題であります。全区間における進捗状況と、全事業の完成年度につきましては二十一世紀初頭と伺っておりますけれども、具体的な完成年度の目標についてお伺いしたいと思います。
  18. 大石久和

    大石政府参考人 お答え申し上げます。  環状道路、特に圏央道の重要性について御指摘、御質問でございます。  昨今、外郭環状道路埼玉区間が供用いたしまして後、やっと多くの方々に環状道路の機能というものが御理解されるに至ったというように考えてございます。先生指摘の圏央道、首都圏中央連絡自動車道は、この外環道路のさらに外側に関東の大環状を構成しようという、東京都心よりおおよそ四十キロないし六十キロの位置に計画されております延長約三百キロメートルの、首都圏機能を分散、分担し得る機能を持つ高規格幹線道路であると認識しておりまして、現在建設省日本道路公団においてその整備を進めているところでございます。  また、圏央道は、埼玉県の長期ビジョンの県内一時間道路網構想を支える基幹道路としても位置づけられておるところでございまして、建設省では、環状道路新時代を標榜し、環状道路による都市機能の再編を企図したいと考えているその重要路線でございます。  昭和六十年度に東京都八王子市から埼玉県鶴ケ島市間の延長四十キロメートルを事業化し、以降、調査熟度が高まった区間から順次事業化を図り、現在、総延長二百三十八キロメートルを事業化しておるところでございます。  これまでに、東京都青梅インターチェンジから埼玉県鶴ケ島ジャンクション間の延長約二十キロメートルを供用したところでありまして、今後、事業化区間については早期整備を図るとともに、現在調査中の区間につきましては早期に事業計画の策定を推進し、計画の固まった区間から順次事業化について検討していく予定であります。  今後とも、地元皆様の御協力、御理解を得て順次整備を進め、西側区間を今後十年以内の供用を目途に優先的に事業を推進するとともに、圏央道全体について、二十一世紀初頭の供用を目途に事業を促進してまいりたいと考えております。
  19. 山口泰明

    山口(泰)分科員 私の選挙区であります関越自動車道坂戸鶴ケ島インターから二五四バイパスの川島インター、また東北自動車道までの進捗状況がわかれば詳しくお聞きしたいと思うのです。
  20. 大石久和

    大石政府参考人 圏央道の埼玉区間約五十九キロメートルのうち、鶴ケ島ジャンクションから川島インターチェンジ間につきましては、平成元年度に事業化、平成四年度から用地買収に着手し、現在用地買収を促進するとともに、平成十一年十月に起工式を実施し、川島インターチェンジにおいて工事に着手したところであります。  今後とも、地域皆様方の御理解を得まして、平成十六年ないし十七年ごろの供用を目指し整備を進めているところでありますが、さらなる早期供用に向け、できれば平成十六年を目標に最大限の努力をしてまいりたいと考えております。
  21. 山口泰明

    山口(泰)分科員 そこで、先ほど小島議員からお話がありましたように、平成十六年に埼玉国体が開かれるわけであります。これは小島議員の選出区であります熊谷中心なわけでありますけれども、私の坂戸を中心にソフトボールの会場にもなっているわけであります。  そうしますと、やはり川島インターまで圏央道が、平成十六年、今十六、七年、できれば十六年というお話がありましたけれども、これをぜひ十六年の国体に間に合わせていただくよう、やり手と言ったら大変失礼ですが、力のある大石局長の御答弁をぜひもう一度お聞きしたいのです。よろしくお願いします。
  22. 大石久和

    大石政府参考人 建設省といたしましては、今申し上げましたように、平成十六年度に供用できるように最大限の努力をいたしたいところでございますが、何分、地域皆様方の御協力、御理解をどうしても得なければならない部分がございます。こういった御協力ないしは予算の措置状況等がこの十六年に間に合うように準備が整うことを期待するものでございます。  建設省といたしましては、それに向け最大限の努力をしたいと思います。
  23. 山口泰明

    山口(泰)分科員 わかりました。  それでは私も、地域の人、用地買収の面では最大限協力をしていきたいと思いますので、ぜひ埼玉国体までということでお願いしたいと思います。  先ほどちょっと触れさせてもらいましたけれども、ITSの推進、党の中でも綿貫道路調査会長ですとか藤井局長、いろいろ勉強会も開いております。このITSの推進で、特に料金自動収受システム、ETCについては、何か海外に比べて少し日本はおくれているのではないかなというふうに見受けられるのですけれども、今後の推進状況と導入等はどのような経過になっているか、わかる範囲でお答えいただければありがたいのでございます。
  24. 大石久和

    大石政府参考人 ITS、なかんずく自動料金収受システム、ETCについての御質問でございました。  ITSは、二十一世紀の自動車道路を規定する全く新しい画期的な技術革新だと思いますが、その中でもETC、自動料金収受システムは、道路利用者の方々に大変わかりやすいサービスができるということで、重点を置いて整備しようと考えているものでございます。  現在は、東関東自動車道等、千葉地区中心とする首都圏の道路公団及び首都高速道路公団の主要な料金所五十四カ所で平成十二年の春にサービスを開始するべく努力をいたしておるところでございますが、平成十二年度末までには首都圏でのサービス拡大に加え、東名、名神高速道路、東北自動車道、山陽自動車道、九州自動車道、阪神高速道路等、約五百八十カ所にサービスを拡大する予定でございます。  平成十一年十一月の経済新生対策におきまして、平成十四年度末までに、全国約九百カ所の料金所でETCを導入する整備目標が示されたところでございます。これは、平成十年度末の道路関係四公団の料金所の数が全体一千百カ所であるということを考えますと、そのほとんどでETCを導入する目標が定められたところでございまして、この整備目標に向けて努力をしていきたいと考えてございます。  我が国のETCは、各国で既に導入されておりますETCのシステムとかなり違っておりまして、一枚のカードで事業主体が違う全国の有料道路を通ることができるというシステムでございます。各国のシステムは有料道路ごとにシステムが異なっておりまして、その互換性がないということからいろいろ不便なことが起こっているということを聞いてございますが、そういったことをあらかじめ払拭したシステムでございますし、また、不正使用や個人情報の保護に対して高いセキュリティーを課した画期的なシステムであると自負しているところでございまして、このシステムが一日でも早く整備されまして、国民皆様方の便利な道路利用に役立てるよう努力したいと考えております。
  25. 山口泰明

    山口(泰)分科員 ありがとうございました。  ぜひその方向で一日も早くそういったことができるよう、よろしくお願いいたします。  これも昨年と全く同じ質問で申しわけないんですけれども、関越自動車道のインターチェンジは、東松山の先は花園になってしまいまして、東松山と花園の間に小川嵐山インターチェンジの建設を今計画しているわけでありますけれども、その推進状況と周辺整備状況についてお伺いしたいと思います。  というのは、嵐山工業団地という、これは県の企業局がやったところでございますけれども、そこを買うときに、このインターができるという条件で企業も買っていまして、その辺ちょっと企業の方から、泰明ちゃん、今どうなっているんだかよく聞いておいてよと、事業主からもこういうお話があったものですから再度お聞きしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  26. 大石久和

    大石政府参考人 関越自動車道の小川嵐山インターチェンジの御質問でございます。  このインターチェンジは、高速道路の沿道における工業団地の開発事業の収益により整備を行ういわゆる開発インターチェンジであり、平成四年一月に整備計画が策定され、平成五年七月に施行命令を出したところであります。  関連する工業団地開発につきましては、平成六年に用地分譲が完了するなど順調に進捗しており、インターチェンジの早期整備について地域期待は大きいものと認識いたしております。  現在、用地買収を鋭意進めているところでございまして、この平成十二年度には工事に着手できるものと考えてございます。今後とも地域皆様方の御協力をいただきながら、平成十四年度供用を目指して整備を進めてまいりたいと考えております。
  27. 山口泰明

    山口(泰)分科員 ありがとうございました。  最後になりますが、国道の四〇七号線、これは坂戸から東松山へかけての区間でありますけれども、やはり特に朝が非常に混雑をしております。通勤時間が計画的にならないということでいろいろな方から苦情もあるんです。その区間についての新しい路線が完成しますと、国道二百五十四号線との連絡もスムーズに進み、非常に利便性が上がるわけでありますけれども、この辺の進捗状況についてもお伺いしたいと思います。
  28. 大石久和

    大石政府参考人 埼玉県内の一般国道四百七号におきましては、現在、東松山バイパス及び日高バイパスの二カ所で補助事業を促進いたしております。  まず、東松山バイパスでございますが、これは東松山市下野本から坂戸市片柳間の交通混雑解消を目指した延長四・八キロの四車線道路でありまして、昭和五十八年度から補助事業に着手し、これまでに延長二キロメートルの暫定二車線で供用いたしております。  現在、東松山市下野本から上野本間の延長一キロメートルにつきまして、平成十二年度早期に供用を図るべく工事を促進しておりまして、残る区間につきましても、土地区画整理事業との調整を図りながら用地買収を促進しているところでございます。  また、日高バイパスにつきましては、日高市森戸新田から高萩間の交通混雑解消を目指した約一・九キロメートルの四車線道路でありますが、昭和六十三年度から補助事業に着手し、平成四年度から、用地の完了した一部区間の工事に着手いたしております。用地買収は約九五%完了いたしておりますが、むさしの団地内道路との交差協議が未完了のため、現在その協議成立に向け努力しているところであります。  両バイパスとも、地域の御協力を得て早期に供用が図られるよう埼玉県を支援してまいりたいと考えております。
  29. 山口泰明

    山口(泰)分科員 今、私もるるいろいろ質問させていただきましたけれども、本当に埼玉県は、東京の隣、しかし革新県政が二十年も続いたものですから大分この道路行政も含めておくれております。特に、今度大宮へ関東地方建設局が移りました。局長さんを初め各部長さんも、行って見れば、こんなに埼玉県の道路事情は悪かったか、こう思うと思いますので、別に埼玉県を早くやれというわけではありませんけれども、経済効果も考えて、ぜひその点をおくみいただいて、今後埼玉県にも御支援をいただければと思います。  時間がちょっとありますので、質問通告はなかったのですけれども、済みません、中山大臣に。  二〇〇一年に、今度は建設省、運輸省、いろいろ一緒になって国土交通省、こうなります。私は、私がお世話に、お世話になっているという言葉はいけないかもしれませんけれども、やはり建設省が大好きなわけであります。ですから、一緒になっても建設省のよさを、いろいろ新聞には書かれておりますけれども、ぜひいい意味で残していただきたい。そのことを含めて、二〇〇一年に国土交通省になるわけですけれども、大臣の基本的なお考えでもあれば最後にひとつお聞かせをいただきたいと思うんです。よろしくお願いいたします。
  30. 中山正暉

    中山国務大臣 全く私見でございますけれども、運輸省と建設省という名前をおろして、国土交通省という、よくそういうところまで話がついたなと思いますが、国土交通という、建設省道路交通の連絡というのは割に余り話し合いができていなかったようでございまして、私はそういう意味で、国土交通省になったら交通機関と道路というものを一体化して考えられる、大変な効果があるのではないかと。それからまた北海道開発庁も一緒になって、省庁再編だけで四百三十億ぐらいの費用がかかるということでございますから、そういう多額の費用を使ってこれからその省庁再編成に入る。  そこで、私も地方議会の出身なものでございますから、ちょっと地方との関係というのを考え直すときが来たのではないかと。三千三百十九とか二十五とか、市町村の数が多過ぎる。それから四十七の都道府県がある。東京は、国と特別行政区と市町村というものの三重構造になっている。そして過密と過疎がある。そういうものを、国土交通省となったときには、私は地方の大改革をしなければいけないんじゃないかと。  国は一府十二省庁になって、地方はそのままで、山ほど地方自治体があって、そしてなかなか行政の一貫性がない。車でいえば片側だけが小さな車輪になっていて、地方という大きな車輪が、地方分権にふさわしい地方ばかりだといいのですが、私は、あながちそういう形にはなっていないと。ですから、本当に真剣に道州制案みたいなものを取り上げて、電力会社は九つ、JRは、債権の処理の会社が一つありますけれども、大体六つでございます。  この日本列島、アメリカでいえば二十六分の一しかない。カリフォルニアと同じ大きさのところに、これだけ大きな地方組織がそのまま統合されずに、中央だけが組織として小さくなって、いわゆる能力、権能が一定化していない地方に地方分権というのがなると大混乱が起こるんじゃないか。  むしろ地方制度、だれが言い出すんだという問題があります。地方の議会から言うのか、だれが言い出すんだ。日本国憲法と一緒で、その改正案をだれが提議するんだということが決まっていない。国会が出すのか、内閣が出すのか、だれが出すのか決まっていないという悲劇と同じように、地方制度というのはだれが発案するのかという、そこへ私どもは積極的に入っていかなければ、二十一世紀はうまくいくんじゃないかという期待とともに、地方と中央の分断が起こって、二極化が起こってくるのではないか。  石原知事の外形標準課税の問題なんかも含めていろいろな問題で地方との対立が起こることを何とか避けていくために、早く妥協案、そういう地方と中央との調整機能をどう発揮するかという問題が残るんじゃないかと思っております。
  31. 山口泰明

    山口(泰)分科員 どうもありがとうございました。  これで質問を終わらせていただきます。
  32. 萩山教嚴

    萩山主査 これにて山口君の質疑は終了いたしました。  次に、石垣一夫君。
  33. 石垣一夫

    石垣分科員 公明党の石垣一夫でございます。  きょうは、地元の問題に関連をして御質問申し上げたいと思うんです。ちょっと届けの順序が逆になりますけれども、まず第二名神の問題について御質問申し上げたいと思うんです。  この第二名神につきましては、名古屋を起点として神戸に至る延長百七十五キロということで、完成時には六車線、設計速度百二十キロメートル、こういうことで今予定されております。  名古屋と大阪、神戸につきましては、名神が昭和四十年に開通いたしまして、我が国のいわゆる基幹交通網として、国土の大動脈の柱として今日まで産業、経済、文化の交流に大きく寄与したことは事実であります。しかし今日、建設当時の状況と比べまして、経済の発展あるいはまた車社会が大きく進展いたしまして、開設当時一万台という台数から、現在、平成九年では十万台、こういうふうに非常に増加いたしております。  したがって、名神高速につきましては、その後、吹田—京都間において拡幅をされてそれなりの体制がとられたのですけれども、動脈としては一本ではとても無理だということで第二名神という位置づけがなされて、いよいよこれが計画決定され、着工の運びになったのです。たまたま私の住んでおる高槻は、国道としては百七十一号線、それと現名神、この二本しかないわけです。特に、名神が一たび事故を起こしますと一斉に百七十一号線に車が殺到する、こういう状況なんです。  後ほどこの百七十一号線のそれぞれの箇所の問題を指摘いたしますけれども、第二名神の着工につきましては、私たち地元としては非常に待望の朗報である、このように地元を挙げて歓迎いたしております。  ともすれば、最近、道路建設といえば、いわゆる四十三号線の判決に見られるように、環境悪化ということで非常に地域住民から拒絶されるんですけれども、この第二名神につきましては、そういう予想される騒音、振動、排ガスという面につきましても直接住民にかぶってきませんので、その点、この工事着工は非常にスムーズにいくのではないか、このように私は思います。既に、一昨年、昨年と、八幡—高槻間、また高槻—箕面間でそれぞれ施行命令がおりまして、この二月から地元説明に入る、このように聞いております。  このメリットにつきましては、申し上げるまでもなく、大臣もよく御存じのように、いろいろと大きなメリットがあります。このパンフレットを見ましても、時間短縮と交通機能の向上、生活圏域の拡大と地域の活性化、既存高速道路の渋滞緩和、生活環境の改善、この大きなメリットがあるんですけれども、私ども高槻におきましても、市民生活面から、あるいはまた産業経済面から、あるいは都市力という一つの規格の面からでも非常に大きな効果期待をされております。したがって、大歓迎の第二名神だと思うんです。  今日まで、高槻は名神のインターチェンジの問題について随分議会で論議があったのですけれども、総論賛成、各論反対ということで、茨木のインターチェンジを横に見ながら京都南までインターがないということで、非常に市民から要望が強かったのですけれども、現実に入っていきますと、総論賛成、各論反対ということでなかなか進まなかったという経過があります。しかし、今日、この第二名神ができれば、名神とのいわゆるジャンクション・インターチェンジということで一挙にそれが解決するということで、三十六万市民の待望の第二名神なんでございます。  したがって、これの一日も早い完成については非常に期待をいたしておるんですけれども、これの最終的な完成年度は一体どの辺に置いておられますか。
  34. 中山正暉

    中山国務大臣 お地元にお住まいで実感としてお感じになっている感覚から、私も同じ大阪でございますから実感として共感を持っております。  大都市から、大阪から建設大臣が出たというのは私が初めてでございまして、それで私もすぐに、大和川左岸線の工事認可とか、それから淀川、水資源公団のあの疎水がありましたところ、これは二〇〇八年のオリンピックに大変必要だと思いましたので、淀川左岸線の工事認可、それから油小路から大阪へ入ってくる道路の認可、それから、今先生の御指摘のありました高槻から箕面に至る間の工事認可を年末に出しました。  第二名神と第二東名というのは、一体になって三大都市圏の連携を強化する大きな効果がありますし、二十一世紀の日本の経済社会を根底から支え、大都市周辺交通をスムーズにするという大きな意味があると思っております。  このうち、八幡—高槻ジャンクションの間、これは十キロメートルでございますが、平成十年の十二月に、また高槻ジャンクション—箕面間の十八キロにつきましては平成十一年十二月に、日本道路公団に対しまして施行命令を出したところでございまして、現在、測量実施に向けて関係機関との協議を鋭意行っているところでございまして、今後とも、地元の御協力をいただきながら、早期供用を目指して整備をしてまいる所存でございます。  完成年度につきましては、大石道路局長から御答弁いただきたいと思います。
  35. 大石久和

    大石政府参考人 第二名神の完成見通しはどうだという御指摘、御質問でございます。  第二名神は、第二東名と一体となりまして東京—大阪間の幹線道路を担うものでございますが、先生御承知のとおり、路線全体の中ではまだ整備計画も出せていないところもございます。当然そういったところでは施行命令も出せていないわけでございますので、全線全体が供用できる状況がいつになるかについて、現在、見通しをはっきり言える段階ではございません。  ただ、施行命令を出した区間につきましては、我々としては、一応、十年内にその整備が完了するように努力するというのを一つの目標といたしておりまして、施行命令が出ている区間につきましては、暫定、部分的な供用を含め、十年内に供用できるよう努力したいと考えております。
  36. 石垣一夫

    石垣分科員 そこで、大事なことはアクセスなんですね。これの最大のアクセスは牧野高槻線、このアクセス道路なんですけれども、このアクセスに関連いたしまして、大阪府の都計審では附帯要件をつけております。  平成六年十二月十九日の「高槻都市計画道路変更について」という答申の中で、「事業実施にあたっては、計画段階のアセスよりも詳細な検討を行うとともに、必要と判断される環境対策について万全の措置を講じること。」これが一点ですね。  第二点が大事なんですけれども、「高槻地区アクセス道路である牧野高槻線は、昭和四十四年に都市計画された道路をそのまま利用するものとなっているが、計画決定時点と現在とでは社会状況、交通事情が大きく変化している。 よって、事業実施にあたっては環境に与える影響調査を実施するとともに、地下構造を中心道路構造上の検討を行い、周辺住民の合意形成に努めること。」こういう大きな附帯要件がついているわけです。  この「地下構造を中心道路構造上の検討を行い、」という地域は、高槻の安満地域と申しまして深い歴史のある地域なんですね。その町の中を分断する、こういう計画になっているわけであります。したがって、都計審の認可を得るについても、いろいろと地元の大きな反対がありました。その集約としてこういう附帯要件がついて都計審を通過したのです。  こういう附帯要件について、当該設置者である大阪府としても、地元住民との話し合いの中で、どういう構造にしていくのかということについても今いろいろと論議をされております。また、それに伴う経費についてもやはり莫大な予算が伴うということなんですけれども、こういう都市計画審議会の附帯要件については、建設省としても十分これは配慮しないといかぬと思うのですが、こういう協議が地元から上がったときにはどういうふうに対応されますか。
  37. 大石久和

    大石政府参考人 お答え申し上げます。  牧野高槻線は、先生指摘のとおり第二名神の重要なアクセス道路でありまして、また第二名神のアクセス機能を高槻市に結ぼうと思えば、この路線が整備されなければなりません。都市計画決定時点におきまして、地下構造を中心道路構造上の検討を行うことという条件がついておりますこともよく存じております。  現在、百七十一号から高槻インターチェンジまでの間二・六キロメートルの区間につきまして、この附帯意見を踏まえ、大阪府において地下構造を中心に構造形式の検討を進めていると聞いておるところでございまして、大阪府から事業化に際しこのような協議があれば、建設省としても前向きに御協力していきたいと考えております。
  38. 石垣一夫

    石垣分科員 もう一点、牧野高槻線については、淀川新橋が必須条件になってくるわけであります。  御存じのように、大阪府も財政状況が厳しいということで、新規事業もほとんどできないという中で、第二名神のいわゆる着工のスピードにあわせてこれを整備しなければ第二名神の機能を果たせないというジレンマがあります。同時に、この淀川新橋の建設につきましては、それぞれ高槻、枚方両市民からの待望の新しい橋なんですね。こういう新橋につきましてもかなり大きな財政的な負担を伴うわけであります。これは当然大阪府が施工主体でございますけれども、こういう促進について建設省としても十分の御配慮をいただきたいと私は思うのですけれども、いかがですか。
  39. 大石久和

    大石政府参考人 確かに、牧野—高槻間の淀川の橋梁を考えてみますと、この付近は薄うございます。地域の方々から、淀川を渡る橋梁が欲しいという声がいろいろあるということは私どもも承知いたしておりますし、また第二名神のインターチェンジ・ジャンクションへのアクセスということになりますと、淀川の左岸域からのアクセスといったようなことも考えますと、橋梁一つ欲しいという状況であることは私どももよくわかるところでございます。  しかしながら、淀川を渡る橋梁ということになりますと、長大構造物になることから多額の費用がかかることもまた事実でございまして、現在その整備手法につきまして大阪府において調査検討されておると聞いておるところでございます。大阪府の検討状況を聞きながら、建設省としても最大限の応援をしていきたいと考えております。
  40. 石垣一夫

    石垣分科員 今申し上げました二点につきまして、ぜひ十分ひとつ建設省としても御配慮いただきたい、このように要望しておきます。  次に、今大臣にお見せしましたけれども、幹線道路である国道百七十一号線、高槻を通過する時点においていろいろと問題箇所があります。この大きい丸をしているところ、これは一昨年拡幅していただきまして、交通の停滞が緩和したということで、大きな効果を上げております。  そのあと、それぞれ丸をしましたところが全部問題箇所なんです。全部、府道あるいは市道との交差点なんですね。その中でも、地元からいろいろと地域の改良について要望が上がっておるのですけれども、特に赤い丸を入れた三点ですね、これがいわゆる大きなネックになっておるわけです。  こういう場所について、これは野田の交差点と今城町の交差点と大畑町の交差点なんですけれども、それぞれ右折の際の道路停滞が非常に激しい。百七十一号線を通過する量は、日量大体四万八千台なんですね、これは平成七年ですけれども。先ほど申し上げたように、一たび名神に何か事故が起きますと全部百七十一号に流れてくる。まさに停滞は目を覆うばかりで、そこへ加えて、右折路線がないものですからそれぞれの場所において停滞を来すということなんです。  この右折路線の新設については地元から要望が上がっていると思うのですけれども、先ほど申し上げたように八丁畷一つだけ去年開通したのですよ。大変に効果が上がりましたので、ますます要望が現実の問題として上がってきておるわけです。そういう点について、担当者としていかがお考えですか。
  41. 大石久和

    大石政府参考人 渋滞対策として一般的に、バイパス環状道路整備する抜本的な対策に加えて、交差点改良等の局所的、緊急的な対策が極めて重要であるということは私どもも認識しておるところでございます。  全国的な話で恐縮でございますが、現在の第三次渋滞対策プログラムにおきましては、全国の約三千二百カ所の主要渋滞ポイントの八割が交差点に関連するものでございますので、こういった箇所の右折レーンの設置あるいは立体交差化等を逐次進めていくということを目標といたしておるところでございます。  御指摘の百七十一号の渋滞対策、今先生、八丁畷の交差点のことをおっしゃいましたが、八丁畷交差点は直進専用レーンを設置させていただいた結果、通過時間が、従前、十分程度かかっておったものが二、三分でおさまるようになったというように、大幅な渋滞解消が図られたところでございまして、このほかにも上牧交差点、今城町交差点につきまして、右折レーンの設置などの渋滞対策を実施するよう高槻市などと調整を図っているところでございます。  主要の渋滞交差点だけで見ましても、右折レーンがほとんど設置されていないという状況は私どももよく認識しておるところでございまして、こういった一般道路における右折レーンの設置について今後一層努力をしていきたいと考えておるところでございますが、今申し上げた具体の箇所につきましては、それぞれ地域の公共団体と具体的な調整に入っております。早期整備が図られますよう努力してまいりたいと考えております。
  42. 石垣一夫

    石垣分科員 今大臣にお見せしました上牧、井尻、野田、八丁畷、北大手、桃園町、今城、大畑、富田丘、こういう八カ所があるのですけれども、これ、全部となると無理ですから、優先順位をつけて三カ所ということでお示し申し上げたのですけれども、ぜひ、この右折専用レーンの設置については積極的にひとつ対策をお願いしたい、このように要望いたしておきます。  次に、淀川河川公園の整備についてお伺いしたいと思うんです。  この問題については今日まで、昭和四十七年からそれぞれ年次計画を立てて、今第六次計画に入っております。平成十五年からが第七次計画ということで、かなり整備が進んでまいりました。私も当時大阪府議会におりましたので、大阪府も昭和四十六年の末からいわゆる淀川河川公園の特別推進委員会をつくって、毎年末に予算の獲得に国に陳情に伺ったことをきのうのことのように思うんですけれども。  御存じごとく、淀川を挟んで左岸と右岸があります。私は右岸の方なんですけれども、最近、左岸の枚方大橋をおりた京都寄りに立派な野球場ができまして、これは人工芝を敷いております。非常に目立つんですね。こういう立派な施設をつくってもらうのはいいんですけれども、右岸側としては、左岸につくったんだから右岸にもつくれ、こうなるわけなんですよ、必ず対比をされるということで。私は今たまたま市の体協の会長をやっているものですから、二十二連盟から当然施設の拡充というのを求められるわけです。ここに目をつけられて、最近特にその要望が非常にきついわけであります。  したがって、この淀川河川公園の整備については、いろいろと今日まで計画的に取り組んでこられました。地元の市議会においてもそれぞれ再三にわたって一般質疑が行われて、市の方も、そういう要望を受けてこれに対応するというふうに今いろいろと地元の段階ではなっておりますけれども、この整備計画の現在までの進捗状況と今後の方向性についてお伺いしたいと思うんです。
  43. 山本正堯

    山本政府参考人 淀川河川公園につきまして、今先生指摘のとおり、昭和四十七年に整備に着手をいたしまして、全体、大変広い面積でございまして、計画面積が約九百五十五ヘクタールでございます。平成十年度末現在でその中の約二百十八ヘクタールを開園しているところでございます。  先生今御指摘のように、左岸の整備と右岸の整備ということでございますが、左岸の整備の方が整備率が今高いという状況でございまして、右岸の整備がいろいろ整備率の関係その他等々で課題になっておる、こういうことでございます。  特に高槻市内につきましては、三島江地区でありますとか大塚地区でありますとか、合わせて三十ヘクタール開園しておりまして、年間約四十万人の方々に利用をしていただいております。野球場でありますとかテニスコートでありますとか、あるいは陸上トラック、サッカー場といったようないろいろな施設を設置いたしまして利用していただいておるところでございます。  こういうふうに公園の第六次の計画まで進みまして、それに基づきましていろいろ整備を進めておるところでございますが、こういう公園の施設につきましてかなり利用されておるわけでございまして、今後も多くの方々に利用をしていただけるように、既存地区の利用動向等を踏まえながら、重点的に計画的な整備を進めてまいる所存でございます。  ただ、先生指摘のとおり、この淀川につきましては、スーパー堤防の整備の問題でありますとか、あるいは野草地区、そういった自然を残すといったような観点も大変重要でございますので、そういう点も踏まえまして今後の整備に努めてまいりたいというふうに思っているところでございます。
  44. 石垣一夫

    石垣分科員 それぞれ区域設定がなされて、今おっしゃっている野草地域とか、自然をそのまま残すとか、そういういろいろと配慮をされた公園整備計画なんですけれども、私もきのうずっとあの現場を見てまいりました。まだまだこれは未整備のところがたくさんあるな、そして広いなということがつぶさに歩いてみてわかったんですよ。ぜひ次回の第七次計画において、淀川右岸の整備について十分の御配慮をいただきたい、こう思うんです。  同時に、今申し上げました枚方大橋の上手にある野球場に匹敵する野球場の設置をぜひひとつ検討願いたいと私は思うんです。これは、河川公園としては人工芝を敷いておるというのは非常に珍しいと思うんです。昨今のニーズに合ったといいますか、建設省としては珍しい私は発想だと思うんです、ああいう公園の設置については。ぜひ、そういう野球場の建設についても御配慮をいただきたいと思うんですが、いかがですか。
  45. 山本正堯

    山本政府参考人 現在のプログラム、平成十四年度までの計画でございます。その中では、今先生おっしゃいましたような点についてはまだなかなか計画というわけにはまいりませんが、次の計画がどういう格好で検討されるか、今後、また次の計画の際にいろいろ検討する必要があるのじゃないかというふうに考えておるところでございます。  今先生案内のとおり、この地域は大変広うございますので、整備を順次進めていくということであろうかというふうに思っております。次の計画に際しましてこういう点も課題であろうかというふうに思っております。
  46. 石垣一夫

    石垣分科員 用地は十分広さがありますので。  と同時に、最近のやはり車社会のことでございますから、駐車場につきましても、これは十分そのニーズにこたえるというわけにいきません、これはもう限りがありませんから。しかし、それなりの駐車場の整備についてもあわせてひとつ検討願いたいと思うんですけれども、いかがですか。
  47. 山本正堯

    山本政府参考人 この施設につきましては、今御案内のとおり、野球場でありますとかいろいろなスポーツ施設でありますとか、そういった点についての集客といいますか、いろいろそこを利用される方々の足の便も確保しなければいかぬということもございましょうし、そういう点も含めまして、今後、一体的にどう整備していくのかということが非常に課題になってくるかと思います。私ども、要望として承らせていただきたいと思っております。
  48. 石垣一夫

    石垣分科員 では最後に、実は、この河川公園の利用客が大塚地区中心として非常に多いわけです。たまたま過去二回、堤防を横断する際に事故死が二回あったのです。それで、何とか信号機を設置できないかということでやったのですけれども、河川については構造物は困るという建設省の判断で、一応横断歩道ということで二カ所を引いておるんですけれども、今後、利用者に対する交通安全対策についても十分あわせてひとつ御配慮を願いたいことも要望しておきます。  以上です。
  49. 萩山教嚴

    萩山主査 これにて石垣君の質疑は終了いたしました。  次に、塩田晋君。
  50. 塩田晋

    塩田分科員 兵庫県第十区選出の塩田晋でございます。  私は、日本に生まれ育ち、また、今生かされていることを非常に感謝をし、国に対する愛国の気持ちは中山大臣と同じだと思っております。感謝とともに、日本の国のために情熱を持って力いっぱい頑張っていきたいと思います。この愛国心というのは、やはりその源泉というものは、郷土、ふるさとにあると思います。それが一つの大きな要因だと思います。  私は、私の選挙区であります二市二町、高砂市、加古川市、稲美町、播磨町、この地域につきまして、私が生まれ育ち、また現在も住まわせていただいておりますこのふるさとのために、一生懸命にやってきたし、またこれからもやっていきたいと思っております。  この二市二町の姿について、大臣の御認識をいただきたいと思いまして、若干御説明を申し上げたいと思います。  この二市二町、東播地域といいますが、これは播州平野の東の方にございます。瀬戸内海に面しております。そして、加古川という大きな川が南北に流れているわけでございます。昔は、船の便がこの加古川をもって南北につながっておりました。  それから、この地域は昔から歴史の古いところでございまして、遠くは播磨風土記にもございます石の宝殿、このことが記載されて、寸法まで書いてありますが、これが現存しております。それから、伝説というよりもかなり史実に近い、日本書紀、古事記等にもあるヤマトタケルノミコトの生まれた地だということになっておりまして、その母の御陵もあるというところでございます。  神社にいたしましても、万葉の時代から歌われている高砂、尾上といった神社を初め、ヤマトタケルノミコト、景行天皇にえにしのある日岡神社がございますし、また、戦国時代には古戦場になった志方、神吉城、この跡にそれぞれ神社、仏閣もあるわけでございます。  それから、東の方は、台地になっておりまして、これは万葉にもよく歌われておる地域、稲美町、播磨町でございますが、台地なものですから、恐らく江戸、明治にわたりまして開発が行われ、ため池がたくさんあることでも有名でございます。先人たちの大変な努力によりまして、この地域が水田として開けておるということでございます。  また、加古川流域は、穀倉地帯として昔から盛んでございましたし、また農村工業といいますか、これが中小企業として盛んでございます。各地で特徴のある産業として栄えております。  昭和に入りまして、大正時代からもそうでございますけれども、戦後特に発展いたしましたのは瀬戸内の海岸に面したところでございまして、ここは鉄鋼、機械、あるいは化学、そしてまた織物等の大きな産業、工場が配置されております。  北の農村地帯から南に向かっての交通、通勤の状態、これは年ごとに頻繁であり、また混雑、渋滞をしておる状況でございます。  東西の連絡というのは、JR山陽線を初めといたしまして、国道二号線、あるいはまた山陽自動車道、明姫幹線、あるいは加古川バイパス等々によって非常に連絡が密であるし、また便利であるわけでございますが、そのことによって南北交通がかなり各所で遮断されておるということでございます。これに対しまして、思い切った対策として道路整備、あるいは高架事業等をお願いし、また、極めて積極的に推進をしていただいていることを感謝しております。  公共事業につきまして、国の段階で、中央で議論しておりますと、もう公共事業は景気浮揚対策としては余り役を果たさないという議論があったり、もう公共事業日本国じゅう行き渡って、それを実施する箇所が少なくなってきておる、あるいは、外国と比べて単価が高過ぎるとか、また談合等の問題等々で、公共事業に対していろいろな批判があるわけでございますが、私は、まだまだ公共事業は推進すべきである、拡大すべきであるという考えでございます。  地方におきましてはかなりの要望がありますけれども、これが市なり県、あるいは国の段階で抑えられているといいますか、予算がないからということで抑えられている面がありまして、なかなか中央まで上がってきていない、それまでに抑えられてしまっているという状況も中にはあるわけでございます。我々地方にいてあちこち回っておりますと、まだまだ、道路にいたしましても、その他の河川、あるいは公共事業をやるべき箇所がたくさんある、このように思っておりますので、ひとつその面にも目を向けて、温かい気持ちで、国土の建設のためにどうか御配慮をいただきたいと存じます。  そこで、具体的に、道路整備から御質問をしたいと思います。  国土幹線を補完し、東幡地域の県道の南北道路整備の促進につきましてお伺いいたします。  具体的に一つ一つ申し上げますと、地域高規格道路南北道路でございますが、これは認可をいただきまして、今建設が始まろうとしております。この路線についてはほぼ決まっておりますけれども、いろいろ地元の要望があって、路線を若干変更してもらいたいというような意見もあります。しかし、賛成論もありまして、地元でいろいろと苦労して調整をしておるところでございますが、十分に住民の意見を聞かれまして、適切な判断のもとにこれを設定し、進めていただきたいと思います。  このことにつきまして、この地域高規格道路、どのように今進捗し、またどのような見通しであるか、お伺いいたします。
  51. 大石久和

    大石政府参考人 東播磨南北道路は、兵庫県加古川市から小野市に至る延長十五キロメートルの地域高規格道路であり、この地域の増加する南北交通に対応するとともに、臨海部、内陸部相互を連絡する重要な幹線道路であります。  このうち、一般国道二号加古川バイパスから産業団地の開発が進められております加古川市八幡町までの間約五・二キロメートルにつきましては、平成十一年度に国庫補助事業により新規事業化し、現在、用地買収に向け、測量、設計等の諸調査を行っているところでございます。  兵庫県からは、平成十七年度ころの供用を目標に整備を進めると聞いておりまして、それに向けて、建設省といたしましても、引き続き支援をしてまいりたいと考えております。
  52. 塩田晋

    塩田分科員 次に、主要地方道の高砂北条線、県道でございますが、これの整備促進、大変力を入れてやっていただいていることはもう目に見えておりまして、感謝をしておりますが、まだまだ北の方に向かっては買収も十分行われていないところもありますし、一説によりますと、まだ十数年かかるのじゃないか、短い距離でございますけれども、そう言われております。また、この地域の特産品であります靴下のホージャリーセンターというものも、この道路際につくられることを待機しておるわけでございますが、できるだけ早い時期に整備を図っていただきたいと思いますが、その進捗状況はいかがでございますか。
  53. 大石久和

    大石政府参考人 主要地方道高砂北条線は、高砂市街地から加古川市を経由して加西市に至る延長二十・三キロメートルの幹線道路であり、山陽自動車道加古川北インターチェンジへのアクセス道路として重要な路線でございます。  このため、加古川市東神吉町地内の四車線のバイパス整備平成元年度より国庫補助事業として採択し、平成九年度に一般国道二号バイパスから北側の延長約一・四キロメートルを暫定二車線で供用したところでございます。平成九年度に供用した区間の北側の、主要地方道神戸加古川姫路線までの延長約二・〇キロメートルの区間につきまして、現在、用地買収を推進しているところでございます。  兵庫県からは、平成十五年ころの供用を目標に整備を進めると聞いておるところでございまして、建設省としてもそれを支援してまいりたいと考えております。
  54. 塩田晋

    塩田分科員 大臣、私が最初に申し上げました、ふるさと、東播地区についてのことでございますが、これに関連してどのような御感想をお持ちか。そして、私が申し上げました公共事業の役割、限界論あるいは積極的推進論、こういったことについてどのようにお考えか、お伺いいたします。
  55. 中山正暉

    中山国務大臣 先生から歴史の話を、また地域にまつわるいろいろな、神話の時代からのお話を承りまして、私も歴史大好き人間でございますので、やはり歴史は、大鏡、増鏡、吾妻鏡なんて、鏡という名前が昔ついていたのは、鏡というのは、時々引き出しの中から出して自分の姿を映せという、歴史はそのまま政治の歴史だと思いますので。特に日本書紀や古事記には、スサノオノミコトが日本を平定した後、胸毛を抜いて投げたらそれが杉の木になったとか、すね毛を抜いたらそれがマキの木になったとか、いかに治山治水というものに、国土形成に昔から心配りをしていたか。  そういう山陽地域、瀬戸内海沿岸というのは、私は大変、農耕、それから先ほどから工業の話もありましたが、呉の軍港を初め、内海は非常に海も穏やかでございますし、そういうところで発達してきた、日本の一番豊かな海岸地域のような気がいたします。しかし、真ん中に山が、山陰との境目に山がありますので、それを南北に結ぶ道路というものは今までなかった。日本列島は、東京からずっと九州に至りますまで、山陽地域を、名古屋を通り、阪神間を通って九州に至るという、これは一軸しかありません。私はよく冗談に言うのでございますが、日本列島というのに国土軸は一本しかない、もう一本つくらないと日本列島にならないなんてよく言うのでございますが、阪神・淡路大震災でも、そこから西の地域が、あれで本当に麻痺してしまいました。  そんな中で、いろいろ、幹線道路それから交通、そういうものが集結しております地域の便宜を図りますためには、山陽を通ります中央の高速道路みたいなものもできましたし、大変このごろは、阪神地区からも非常に時間的な連結がよくなりましたものですから、やはり時間を短縮するということが、私は、日本経済に物流の効果を持って経済の活性化につながりますから、公共投資というものはそういうものじゃないかと。いかに経済、すそ野の広い経済繁栄につなげるためには、やはり速く物流ができる道路というものをいかに、これは一部だけできたってしようがありませんで、道路というものは、一メートル反対されて邪魔をされても、これは、多くの賛成をして土地を提供してくださり、工事に積極的に参加してくださった方々に、本当の一部の反対者のためにそれが停滞をしてしまうということは実に残念でございます。  ひとつそういう面で、先生が最初に愛国心という話をされましたが、私は、これからの平和なときの愛国心というのは、先ほどもちょっと御答弁で申しましたが、公共の福祉と個人の権利というものをどう調整していくか。それが、公共事業というものは愛国につながるのだ、それが日本の経済繁栄につながるのだ、それが次の時代にいわゆる重税国家にしないための、今は昭和六十二年か六十三年ごろの、四十八兆円ぐらいの税収しかありませんが、それが八十四兆、三十二兆六千百億の国債をことしも発行しておるわけでございますから、それは国民からの借金でございますから、まだいいのでございますが。  その国民から借金をしたのは、国民理解をしていただいて、なぜ借金をしてまで公共投資に力を入れなければならないかということを、もう少し教育の中でも私は徹底させて、そういう公共の福祉にいかに協力をしていく国民的な共通感みたいなものを醸成していくかというのが、私は政治の大きな課題ではないかと。  総論賛成、自分のところへ来たら反対という、これではもう、どんなにきれいに織り上げた織物にでも、一点墨を落としてしまったら、それは価値がないわけでございますから、私は、公共事業のイメージというのはそんなふうに思っております。
  56. 塩田晋

    塩田分科員 中山大臣、非常に歴史に関心を持っていただきまして、また国を愛する気持ちを述べていただきまして、ありがとうございました。  この地域につきまして歴史を語ると、もう幾らでも続くわけでございますけれども、ちょっと最近でも、日本のワインの製造を、ブドウを栽培してワインを初めてつくったという工場跡地なんかが出てきたのは、稲美町というところでございます。それからまた、お寺の方では名高いのは、聖徳太子の建立に係る鶴林寺という大きなお寺がございますが、これも今なお繁栄しておるところでございまして、国宝級のお寺もあちこちにあるわけでございまして、非常に歴史と伝統の地域でございます。我々はそれを大事にして、今の住む人々が本当に幸せになるように、福祉が向上するように頑張っていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。  公共事業につきましては、積極的に推進すべきだというお考えのように承りましたので、その上に立ちまして、御質問をさせていただきます。  山陽自動車道の加古川北インターというところがありますが、これが志方町にございます。それから、志方の東、中、西を通りまして、高御位山という、これも神話時代からの山があるのですけれども、それの端の方をトンネルで抜いて高砂市に抜ける新設の道路をぜひともつくっていただきたいということをお願いしたいわけです。  これは、かつて二十数年前、あるいは三十年前からいろいろ地元の要望が出ておったわけでございますが、これはある事情でさたやみになっているのでございますが、これを復活すべきだという意見が、かなり要望が強く出ております。昨年の分科会におきましても、私はこの問題を取り上げて問題提起したわけでございますが、これをひとつぜひとも実現すべく計画に入れていただきたい、このようにお願いを申し上げます。  それから、良好で質の高い市街地域の形成につきまして、南北道路が寸断されて、非常に渋滞の原因になっているということを先ほど申し上げましたが、一つは、JRの山陽本線の加古川駅周辺の連続立体交差事業でございます。これもかなり力を入れていただきまして、現在目に見える形で事業が進行いたしておりますが、今後の進捗の見通し、状況につきましてお伺いいたします。
  57. 大石久和

    大石政府参考人 初めに御指摘があった部分につきまして、道路局長から御答弁させていただきます。  山陽自動車道加古川北インターチェンジから高砂市、これは阿弥陀町方面へのアクセス道路のことだと思いますが、通じる道路計画はどうなっているんだという御指摘でございます。確かに、前回も御指摘をいただいたところでございます。  高砂市から同インターチェンジ方向へのネットワークを補完するものとしての御提案だというふうに受けとめてはございますが、現在のところ、兵庫県におきまして、具体的な道路計画として調査されているという経緯はございません。  したがいまして、建設省といたしましては、県におきましてこのような調査が進められまして、必要な時期に我々の方に要望がありました際には、必要な応援をしてまいりたいと考えておるところでございます。
  58. 山本正堯

    山本政府参考人 連続立体関係についての御質問でございます。  加古川駅周辺における連続立体交差事業につきましては、道路交通の円滑化、あるいは地域の均衡ある発展を図る観点から極めて重要だということでございまして、JR山陽本線及び加古川線の延長約三・四キロにおいて十二カ所の踏切がございます。それを除却するということを中心にした事業でございまして、平成二年十二月に都市計画決定をされまして、平成五年に事業認可を取得して、今現在事業が進められているところでございます。  山陽本線につきましては、現在仮線工事を行っているところでございまして、平成十四年度に本線の高架化を完了する予定でございます。また、加古川線につきましては、本年度に仮線への切りかえを終えたところでございまして、平成十六年度に本線の高架化を完了する予定でございます。  私どもとしても、事業について積極的に支援してまいる所存でございます。
  59. 塩田晋

    塩田分科員 先ほどの山陽自動車道加古川北インターから志方を通って阿弥陀町に抜ける、これは県道になると思いますが、もちろん歩道をつけた新設道路、これは大臣、直線距離で五キロぐらいなものです。また、用地買収等につきましても、山の中を抜けるとかあるいは田んぼを通ってきますので、かかればそう時間のかかる問題ではない、今のうちにやれば、これは非常に有効な道路として機能するものと思いますので、よろしくお願いいたします。  これは、地元の要望がそのうち、市を通じ県を通じて建設省に上がってまいると思いますので、その節は、先ほど御答弁ありましたように、よろしくお願いいたします。  それから、加古川の大橋、二国の大橋でございますが、この右岸の北側に、直角に、鋭角的に曲がるところ、これを改修して、トレーラーとか大型バスが円滑に回れるようにお願いしたいと言っておりましたが、この状況はその後どうなっていますか。
  60. 大石久和

    大石政府参考人 一般国道二号加古川バイパスの現橋加古川橋につきましては、大正十二年に架橋いたしました橋長約三百八十メートルの老朽橋でございまして、コンクリート版の損傷が著しいことから、補助事業といたしまして平成十一年度に橋梁の修繕工事に着手し、平成十二年度に完成すべく工事を進めているところでございます。  また、御指摘の右岸北隅の隅切りの改良につきましては、橋梁の補修工事とあわせ平成十二年に完了することといたしておりまして、大型車の右折がスムーズにできますように改善をしたいと考えてございます。計画どおり完了いたしますように、地元皆様方の御協力を得て努力してまいりたいと考えているところでございます。
  61. 塩田晋

    塩田分科員 時間の関係でまとめて、道路関係、残っている問題を申し上げますので、お答えいただきたいと思います。  山陽電鉄の高砂駅周辺市街地の市事業でございますが、これの促進をお願いしたいということ。  それから、都市計画道路の別府野口線、これは市道でございますが、これの促進方を、また援助方をお願い申し上げます。  それから、JRの土山駅周辺市街地道路について整備を促進していただきたいということでございます。  それから、二見稲美三木線、稲美町でございますが、これは宗佐土山線のバイパスになるものでございますが、これの整備促進をお願いいたします。  そのほか、二号線のバイパスのリニューアル計画もございますが、これはどのようになっているか、まとめて御答弁をお願いします。
  62. 萩山教嚴

    萩山主査 大石道路局長。時間がありませんので、簡潔に。
  63. 大石久和

    大石政府参考人 道路局と都市局に係る部分がございますので、まず道路局の部分からお答え申し上げます。  町道土山新島線につきましては、現在既に八百七十メートル程度が完成、部分供用いたしておりますが、今後残りの区間整備を推進してまいりまして、平成十三年度中には完成させる予定と地元から聞いておるところでございます。建設省といたしましては、今後ともその支援をしてまいりたいと考えてございます。  また、稲美町の二見稲美三木線については、現在一部部分供用をいたしておるところでございますが、主要地方道宗佐土山線として国庫補助事業により平成六年度から整備を進めており、現在用地買収及び工事を推進しております。兵庫県からは、平成十五年度の供用を目標に整備を進めると聞いてございまして、建設省としてはこれを支援してまいりたいと考えてございます。  また、国道二号の加古川バイパスのリニューアルでございますが、直轄で管理しております自動車専用道路タイプの道路でございます。これの流出入ランプの加減速車線長が足りないといったようなことで御迷惑をかけてございますが、現在、加古川バイパスリニューアル懇話会を平成十年十一月に設置し、地元の方々の御意見を聞きながら、ランプの付加車線の改良等の計画案や新たな改良意見等の募集を行っておるところでございまして、こういった意見を反映して、早期にランプ構造の改良等の事業を進めてまいりたいと考えております。
  64. 山本正堯

    山本政府参考人 高砂周辺の件でございますが、沖浜平津線、これは東播磨地域の主要南北幹線道路でございます。これらにつきましては、現在米田地区を県で事業中でございまして、今年度末に完成する予定というふうに聞いております。残り国道二百五十号に至る区間につきましては、事業効果の高いところでございまして、早期に事業化が必要というふうに考えております。  先ほどまた、山陽電鉄と立体交差する南工区につきましては、平成九年度から高砂市が事業を行っているところでございまして、平成十一年度末の事業進捗の見込みは四五%ということでございまして、平成十四年度供用予定というふうに聞いておるところでございます。  それから、もう一つの点でございますが、都市計画道路の別府野口線についての進捗状況でございます。これにつきましては、加古川市南部において東播磨港とか臨海工業地帯と国道二百五十号を結ぶ南北幹線道路ということでございまして、現在、新野辺地区において平成十年度から加古川市が事業を行っているということでございます。平成十一年度末の事業進捗見込みは五九%ということで、十三年度末供用予定というふうに聞いておるところでございます。  私どもとしましても、地元の要望を踏まえながら、引き続き支援をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  65. 塩田晋

    塩田分科員 時間が参りましたので、要望だけ申し上げまして、回答は要りません。  加古川下流の流域下水道の問題、また公共下水道、二市二町の問題ですが、これは非常に力を入れてやっていただきまして、着々と進行しておりますことを感謝申し上げます。なおよろしくお願い申し上げます。  それから、河川の改修事業の促進でございますが、加古川の河川事業、河道整備、これについてもよろしくお願いします。別府川河川改修事業についてもよろしくお願いいたします。河川道路整備もよろしくお願いします。それから、播磨町の喜瀬川広域河川改修事業、これについても促進方をお願い申し上げます。  それから、これは公園の関係ですが、高砂市の都市公園、市ノ池は継続してやっていただいておりますが、これもよろしくお願い申し上げます。  以上で終わります。ありがとうございました。
  66. 萩山教嚴

    萩山主査 これにて塩田君の質疑は終了いたしました。  午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時一分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  67. 栗原博久

    ○栗原(博)主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  主査が所用のため、その指名により私が主査の職務を行います。  建設省所管について質疑を続行いたします。末松義規君。
  68. 末松義規

    末松分科員 民主党の末松義規でございます。  きょうは、今全国各地でいろいろな話題になっておりますマンションの建設問題について、建設大臣の方にお話を伺いたいと思います。  一番の典型例として、私の多摩の地域に国立市というところがございまして、一橋大学という大学通りに面したところに今度、四十四メートル、十四階建てのマンションができるという話がございます。今住民や自治体、あるいは業者との間で大きなもめごとになってきて、これもいろいろな新聞報道あるいはテレビ報道もされて、全国的な問題にもなってきております。  そういった意味で、この例を引きながら、建築基準法それから都市計画法について質問させていただきたいと思います。  住民の方々あるいは自治体の方々といろいろとお話をしているときに、私は非常によく感じるのですが、建築確認というのが建築基準法に定められておって、東京都の紛争予防条例とかの制度があるにもかかわらず、東京都の多摩西部建築指導事務所の建築主事さんの手によってこれがすぐにおりてしまった。実際、これはもう建設ができるというゴーサインが実質的に出されてしまったという話なんですが、これは幾つか問題がございます。  そういった意味で、自治体や住民が意思を挟む余地が全くなかったということ、さらに、国立市の方で二月から地区計画というものができまして、それが発効されているのですけれども、駆け込みの申請だったということで大きな騒動になっているわけであります。  まず大臣の方にお伺いしたいのは、都市計画法や建築基準法で、住民の意思とかあるいは地方自治体の意思はどこまで尊重されているのかどうなのか、それについてまずお伺いしたいと思います。
  69. 中山正暉

    中山国務大臣 私もこの間何かの関係で国立の駅の前の道路を見まして、先生も外交官の御経験を持っていらっしゃるようですが、まるで外国の町のような大変美しい太い木の町並木がありまして、いい町だなと思って私もあそこを通ってきたのでございます。  今度の問題というのは、景観条例をおつくりになった、これが地区計画で二月の一日につくっておられるようですね。明和地所さんというところが四十四メートルのビルの建設を、二十メートル道路、少し区画が裏側の道に面して、そういう建築物を建て始めた。東京都が、確認申請を受けたのを認可されたということで、上原市長さんも大変悩んでいらっしゃるようでございます。  住民の意思をどういうふうに考えるかというのが、このケースの場合はもう認可がおりていますので、なかなか私ども建設省の立ち入る余地がないような感じがいたしております。住民の意思は当然のことながら、特にああいう雰囲気のいい町に高層建築物ができた場合はどう考えたらいいのかというのは、私もあの町のことを考えると、あの町の雰囲気に適した高層建築物ができるならば、それはそれで今のところいたし方ないのかなと。  例えば、昔パリにエッフェル塔ができるときにも、パリの町に鉄の塊の塔ができるのは問題だという時代もありましたが、今となってみれば、パリのエッフェル塔というのはパリの象徴みたいになっておりますから、その辺をどう地域で話し合ってもらえるか。  デザインなんかでこれからの新しい都市景観をどうするかというのを、美意識の問題があると思いますけれども、そういう美意識で、新しいまちづくり、特に、この間も首都圏のこれからの問題を御討議いただく各界の方々にお集まりいただいて総理官邸で第一回目をやったのでございますが、その中でも、東京は平均二階建てぐらいしか使っていない、縦に伸ばさなければいけない、空間をどう使うかというようないろいろなお話がございました。  先生のお話で私もいろいろ考えさせられるところがあるのでございますけれども、いわゆる国立という、指定都市でもございませんし、特に確認申請というのは、建設省が各自治体を尊重して委任事務としてお願いをしているものでございますから、二十一日たちましたらその結果を出しませんといけないということになっておりますので、その辺は地域で大いにひとつ、デザインの問題とかそういうもので御討議いただいたらいいんじゃないか、かように考えております。
  70. 末松義規

    末松分科員 建設大臣から国立市の問題、御理解を、あるいは御認識いただいているということで非常にいいかなと思うのです。  マンションの建設業者の話を聞いてみますと、とにかくあそこはつくれば売れると。じゃ、経営効率から考えて、でっかいものをつくればそれがまたどんどん売れていくわけですからいいということなんですが、なぜ売れるかということなんですね。  それは、大臣が言われたように、ややメルヘン的な、パリのような感じのああいういい雰囲気があるから売れるわけであって、あれがまた街路樹の横からどんどんにょきにょきでかいのが建たれたら、これはちょっと大変なものだろう。価値そのものが、国立の持つエレガントな町そのものの価値が下がってしまう。それは、逆に言えば、商売にもならなくなってくるということなんでありますね。  では、そのときに、大臣が先ほど言われました、地域でデザインすればいいじゃないかと。このデザインをする、つまり上原市長、お名前が出ましたからあれですけれども、がデザインをして、あそこは二十メートル以下にしましょうねという話になっているのです。実際に今建築確認が出ています。それがゆえに、これを今裁判で無効だと、少なくとも差しとめの訴訟が起こっているわけです。これは裁判で多分決着がつく話であろうと思うのです。  ただ、聞いてみますと、例えば、幾ら景観条例をつくっても、建築基準法のもとで、建築主事が、何日間ですか、一定期間の間にやらなければいけない、その要件に入らないというのですよね。まあ主事の方も、逆に言えば悩んでおられるでしょう。住民からは責められ、あるいは保守系の議会の方なんかからいろいろと圧力がかかったと言われています。  という話であれば、これはむしろ法律のもとにきちんとその位置づけをしなければいけないのではないか、それが私の問題意識なんです。そこが建築基準法は不備ではないかというのが私の指摘なんですが、その点についていかがですか。
  71. 那珂正

    ○那珂政府参考人 お答えいたします。  今先生、基本的な問題について、いろいろな点について、建築基準法の問題点と言われて御指摘ございました。非常に基本的なことでございますので、少し長くなるかと思いますが、丁寧に御説明申し上げたいと思います。(末松分科員「簡潔にお願いします」と呼ぶ)
  72. 栗原博久

    ○栗原(博)主査代理 答弁者は、簡潔に答弁してください。
  73. 那珂正

    ○那珂政府参考人 はい。  建築確認制度で、まず景観条例を対象にしていないということでございますけれども、建築基準法令以外で確認対象としている法令の範囲につきましては、それぞれの法令が、建築基準法と同じように、建築物の安全の確保という観点から、建築物の敷地、構造、設備に関し必要最小限の制限内容となっているもので、かつ、その制限基準が客観的、明快であるものに限定されております。  御指摘のような、地方自治法に基づくいわゆる景観条例というものは、それぞれ地域の特性に応じたいろいろなまちづくりの手法が盛り込まれ、ねらいがあるのだと思いますが、結果的に非常に多岐にわたる制限内容を定めるという性格のものでありますし、また、その結果、制限内容、手続において、明確でない、客観性に欠けるというものも多く見られるところでございまして、こういうものにつきまして、あらかじめ建築確認の対象として統一的基準のもとにその内容を対象とするという判断ができないわけでございます。
  74. 末松義規

    末松分科員 主観的なものはだめだ、客観的なものでなければいけない、客観性に欠けるものと言われましたよね。ただ、建築基準法の中での建物の安全性とか、そういったことはいいでしょう。しかし、国は地方に対して、特色のあるまちづくりあるいは地域に合ったまちづくり、そういうことを言っているわけですよ、うたい上げているわけですよ。  では、建築基準法はというと、単に建物の安全とか財産権の保護とかといった点だけしか言っていないならば、何ら特色のあるまちづくりとか——そういう特色のあるという特色というのは、客観ですか。客観じゃないんですよ。地域の中での、いろいろと先ほど大臣が言われたデザインを考える中の問題でしょう。大臣、これは客観ですかね。主観ですよね、基本的には。そういったものをなぜ織り込まないのか。ただ、こう言えば、判断する人がまた大変な問題になるだろうという反論は出るかもしれません。  ただし、例えば国立市なんかを見ても、あの近くに、きょうは国立市の話を、モデルケースとしてやっていますから、話させていただきますけれども、例えば、あそこで四十四メートルのビルができる、それで戸数が三百四十三戸の世帯ができる、さらに駐車場に二百三十台入る。この横に身障者の方の福祉センターとかスポーツセンター、あるいは桐朋学園とかいろいろな学校もあるわけですよ。実際に生徒が登校するとか、あるいは身障者の方が通われる、車が危ないとか、そういった横の地域のことを考えないと、ただビルの安全性とかだけやっていたら、これは主観じゃないですよ、客観的な問題じゃないですか。その辺についてどう考えるんですか。
  75. 中山正暉

    中山国務大臣 また一般的な話になってしまいますが、先生のおっしゃることは、これからの日本に大変重要なことを御指摘になっていると思うのです。  私なんかも奈良などに行きましたら、奈良の景観の中に、背景の若草山の向こう側に妙なホテルのネオンサインが見えたり、妙な安物の建物が見えたりする。情けないなと思います。これもまた主観の問題かもわかりませんが、奈良の県庁なんかでも、コンクリートの建物を何で建てたのかな、もっと大仏殿のような、奈良の景観にふさわしいようなものを県庁が建ててくれたらよかったのにな、これはまあ、本当に個人的な主観の問題でございますので。  パリなんかに行きましても、街路はずっと古い町並みがそろっていて、おうちの中へ招待されて行ったりすると、中はもう全く近代的なスタイルになっていますね。町全体のデザインみたいなものがある。  日本は、銀座を見てもどこを見ても、何かばらばらという感じがしますし、今までは経済繁栄、がむしゃらに下を向いて、もう一生懸命に足元だけを見てやってきた。でき上がってみたら……。  順次そういうデザインを考える時代になってきているとは思いますが、これからのそういう町並みづくりとか、その地域の特性、地方分権なんという言葉が出てきましたら、私は、そこはそこで住民の方々の主観、これは主観でございますから、客観的な要素を、皆さんの客観性を主観にまとめられるような、そういう住民の意思のあらわれたまちづくり、何といいますか、美的意識といいますか、それと経済性の追求をされる。  日本では、このごろでこそマンションの外側に花を飾られるようなところがちょこちょこ出てきましたが、日本では洗濯物が干してある。新幹線で走っても、何となく恥ずかしいなと思うのは、布団が干してありましたり、狭い裏の景観を見て、これを外国人はどう思うかなと。外国へ行きましたら、花は外に、洗濯物は内にというのが向こうの常識みたいになっていますから。日本も乾燥機のついた洗濯機なんか出てきまして、このごろ割に減ってきたんじゃないかと思いますが、そんな意味でのまちづくり全体というのは、国の文化の程度を外国人に知らせることになると思いますので、こういう風光明媚な日本が、いわゆる明日香村みたいな、特別立法をつくらないとその雰囲気が保てないというのは何か残念だな、そんな感じがします。
  76. 末松義規

    末松分科員 大臣が残念だなというのをお思いだったら、もうすぐに大改革をしてくださいよ、そこは。そうじゃないと、いやあ、困ったものだ、困ったものだといって、大臣が一番の所管の責任者でいらっしゃいますから、そこは、そういった形に日本を変えていかないと本当におかしなままになってしまう。  私も実は外交官のときにいろいろとヨーロッパの町並みを見てきました。アラブの町並みを見てきたりいろいろとしてきたのですけれども、アメリカもそうでしたけれども、結構雑然としたといったところには立法の形でそういう地域の意思が入らない。  先ほど主観と客観の話がありましたけれども、全く個々の住民の方々によってもいろいろな主観がありますから、それをまとめられるというのはなかなか難しいですよ。ただ、それは地方自治体としてそういった形の手続を踏めばできるという形になりますね。それが地方自治体の持っている意味ですよね、存在価値ですよ。そこがきちんとした形で入るということがないと、それは結局は、先ほど大臣が言われた、ばらばらな汚い町になっていく。そこは私は本当に重要だと思っているのですね。  ちょっと時間もありませんから先へ行きます。  あと、手続の問題なんですけれども、先ほど大臣が言われた明和地所が十二月の初めに確認申請を出してきたのですが、その前に、国立市の方で十一月に市民の皆さんに縦覧をするという形で地区計画というのですか、これがはっきりと出てきたわけです。そして、縦覧をした後でそれが審議会にかかって、そして一月の半ば過ぎにそれが計画決定をされて、それが条例としてこの一月三十一日に決定したわけなんです。  そういったことを考えますと、もう二月以降、実際にそういう二十メートル以上の建物はだめだよというところがわかっているにもかかわらず、それをもう駆け込みでやっていくというこの申請のやり方なんですけれども、これは当然裁判で争われていますから、ここでその当否をどうこうという話ではありません。  ただ、こういうふうなものになれば、例えば地震が起こったりなんかしたときに、ちょっとこの建物を少し設計を変更しようとしたら、途端に二十メートル以下にせざるを得ないとか、そんな問題もビル業者の方には起こってくるし、さらに、そういった意味で、住民が本当に騒いで大変だという話のときに、そういう逆なでするような形のことをいつまでも認めているような形になれば、これは先ほど言われた住民の意思ですか、住民の意思というよりも、もうちょっと客観的に、自治体の意思に真っ向から反対をしているというのは私はおかしいと思いますが、大臣、いかがですか。
  77. 中山正暉

    中山国務大臣 確かに、そういう自治行政に対する——だからお任せをしますというのが、私は建設省の委任事務として各自治体に、それもいわゆる自治体の規模に応じた、国立市ならば東京都の出張所が判断をするとか、自治体の規模に応じた委任事務としてやっているのは、まさにそういう地域の感覚で判断をしなさいということが今までの法律の趣旨であったと思いますが、先ほど住宅局長が御答弁なすったように、その枠の中に入っているのは建造物自体の安全の問題とか、そんな問題ではないかと思います。  これは余談になるかもわかりませんが、ビルの防火責任なんて書いてありますが、飲料水の責任者なんてないんですね。上に貯水槽、各自治体の事務の給水の義務というのは三階までですか、あれは。そういう形になっていると思いますが、それに美的感覚をどういうふうに入れていくかというのは今後の問題だと。  先ほど、あなたが責任者だからしっかりそれを決めていきなさいというお話でございましたが、私は、そういう問題も、これからいかに美的な感覚を、都市のせめて表玄関といいますか、そういうところの景観づくりというのは、これからそういう美的感覚を含めたまちづくりをどうしていただくのか、また審議会なんかにそういうこともお願いをしなきゃいけないなと思いながら今拝聴しておりました。
  78. 末松義規

    末松分科員 では今の、これをやっている住宅局長の方から答弁もらえますか。
  79. 那珂正

    ○那珂政府参考人 まず、先ほど、客観的かどうか、主観的かということについて舌足らずでありましたので補足させていただきますが、私が申し上げたのは、まちづくりの観点というのは、確かに地域住民なり自治体の主観といえば主観的な発意から出てくるものだろうと思います。先ほどそれを大臣は美意識というふうにおっしゃっていただきましたが、ただ、具体的に個々の建築物に対して制限を課す、つまり財産権の制約になるわけでございますが、そういう制限の基準というものは客観的でなければやはり問題であろうということを申し上げたわけです。その制限内容が一定の客観的な範囲内に入っていて妥当だと思われるものについては建築基準法の確認対象とこれまでもしてきたわけでございますが、普通、いわゆる自治法に基づく景観条例というのは残念ながらそうはなっていない。  ただ、私が申し上げたいことは、そういうことをまず地域の住民が、建築のルールとかまちづくりについて、そこの地域独自のいろいろなイメージを持ってまちづくりの計画をつくっていただくということは、我々としても、都市計画行政、建築行政として大いに進めているわけです。まずはそういうことを、地域住民、関係権利者あるいは自治体の間で共通のルール、共通の認識を持っていただくことがやはり第一だと思うのです。  その上で、もしそういうことがまとまったならば、それは、都市計画法、建築基準法等に基づく現行法でも、そういうものを個別の敷地、地域に具体的な基準として当てはめる方法は幾らでも用意されているわけです。なぜそれを使っていただけなかったのかというのが私としては非常に残念だった、こういうことでございます。
  80. 末松義規

    末松分科員 あなたは那珂住宅局長ですね、幾らでも用意されていると言っても、幾らでも用意されていたらこんな問題は起こらないんですよ。実際起こっているから問題になるんじゃないですか。裁判までやられているわけですよ。  ちょっと局長に聞きますけれども、あなたが言う自治体の意思というのは、これは客観ですか、それとも主観ですか。
  81. 那珂正

    ○那珂政府参考人 自治体の意思という意味では、主観とか客観とかいう問題を超えている、判断の問題ですから……(末松分科員「社会的な客観性があるということじゃないかということなんです」と呼ぶ)非常に広義の意味ではおっしゃるとおりかもしれません。  ただ、くどいようですが、私が先ほど申し上げた客観的という意味は、具体の個別の敷地に具体の建築計画が適法かどうかということを判断するための基準として客観性があるかどうかということを申し上げたわけです。
  82. 末松義規

    末松分科員 つまり、問題はまさしくそこなんですよ。あなたが言っておられる、個別の建築物の建築基準にかかわるものだけしか見ないということと、地域のところの自治体も含めた意思、これが全然合致していないじゃないですかと。あなたは、仕組み上はたくさんあると言ったけれども、今、国立市がそこで大変な思いをしているわけですよ。そこのところを認識してもらわないと、この問題は一切進まないんですよ。  大臣はそこはわかっていらっしゃるから、そういった意味で、先ほどから、自治体の意思も尊重する形でやっていけばいいんじゃないかという話は、私はそういうふうに解釈しているわけですけれども、やっているお役人さんの方が、そういったことでそれしか見ないという話であれば、それこそ問題だ。私は、きょうは時間がありませんから、またこれはやりますけれどもね。  ただ、そのときに、もし自治体が、これはやはりおかしいじゃないか、今回のように駆け込みのケースですね、それについて今あなたは全然判断を下していません。それについては言ってくださいね。  それと同時に、もしこういったときに、自治体がおかしいじゃないかということを意思を示すといった場合に、建築基準法の方に、正当な自治体がきちんと緊急の差しとめをやる、そういう要件を入れるか、入れるべきだと思っています。また、そういった景観条例だって、まさしく住民の意思あるいは地域の、自治体の意思というのは条例ですから入っているわけですから、それを認めないというのは全くおかしいんじゃないか。あるいは、もしそれが対立するようなことがあるならば、それに対してきちんとした紛争の調停の手続、これをやはりきちんと機能できるようなものをやるべきじゃないですか、私はそう思いますけれどもね。
  83. 中山正暉

    中山国務大臣 この問題というのは、後で条例ができているものですから、不遡及の原則といいますか、法律の適用をさかのぼれないという形になっております。  それで、客観的か主観的かという話がありまして、条例となったからには市の議会の意思が客観性ができたという形ではないかと思いますが、ただし、権利として四十四メートルの建物を建てられるというものに対してそれを阻止したりしますと、今度は損害賠償の問題とかそういうものが出てきますので、私権と、それからそういう客観的な損害の伴わない、美観とかそんなもので損害は起こるのかもわかりませんが、いわゆる財産的な価値を伴わないものが財産的価値を伴うものに対する、それを阻止する権利というものが法律上ないということになりましたら、これは行政としては、裁判が起こっておりましたら司法の判断というのを待つ以外にはない、そんな形ではないかと、お話を伺いながらそう思っております。
  84. 那珂正

    ○那珂政府参考人 先ほどのいわゆる駆け込み申請のことについてですが、これはもう先生御存じであるので簡単にしますけれども、建築確認申請自体で適用されている制限に合っているかどうかを技術的に見るというのが建築確認でございますので、それがいわゆる駆け込み申請的になされたかどうかということにかかわらず、そのときの適法性を判断するわけでございます。  ただ、建築確認がなされた後に、工事着工前までに新しい制限が、法令による制限が加わった場合には、その後着工いたしますとその建物は違法な建築物となりますので、その時点で確認申請のやり直しということになります。さらにまた、工事着手後であれば、これについては新たな規定に適合しなくても適法として取り扱われて、改めて建築確認申請をする必要はございません。  それから、くどいようですが、建築基準法の適用について、個別のことで、技術的な、客観的なことで決まり切ったことだけをやっているじゃないかというお尋ねですが、その建築規制の前提としては都市計画制度があります。都市計画の、例えば問題になっている地域の用途地域とかあるいは容積率、建ぺい率、高さ、こういうものについては事前にきちっと地域の意思として決められることが手続としてはあったということを申し上げたわけでございます。
  85. 末松義規

    末松分科員 そういうことは私も承知の上で申し上げているわけであります。  実際に、国立市長が保守の方から革新の方にかわったとか、いろいろな政治上の変更があったことは実はあったのですけれども、そういった中での話は一つあるかもしれませんが、いずれにしましても、やはり自治体の意思そのものがそういったところにかかわってくるときに、緊急の差しとめとかそういったことの手続をやはり要件として入れていただく必要があるし、また、条例といってもなかなか、景観条例は関係ないよというふうに突っぱねるんだったら、それはやっぱりおかしいですよ。  私の質問時間がなくなりましたから、最後に景観条例について。  先ほど来大臣は美意識とおっしゃっておられますけれども、それは主観だから手続からは関係ないんだと言うのかどうか、そこは大臣にもう一度ちょっとお尋ねしたい。それで、私は質問を終わります。
  86. 栗原博久

    ○栗原(博)主査代理 末松君の時間が超過しておりますから、大臣、短くひとつお願いいたします。
  87. 中山正暉

    中山国務大臣 住宅局長が申し上げておりましたが、用途地域としては第二種中高層住居専用地域、容積率が二〇〇%、建ぺい率が六〇%、こうなっておりますので、先生も、これはもう常識以前の常識でございますが、憲法を逸脱した法律はこれは禁じられていますし、その中での条例で、そういう三段層になっております制度の中での条例ということでございますから、個人の権利として、この用途地域の問題、容積率の問題、建ぺい率の問題が充足しておりましたら、これは国としてはいかんともしがたいということになるので、今後の問題だと思います。
  88. 末松義規

    末松分科員 どうもありがとうございました。
  89. 栗原博久

    ○栗原(博)主査代理 これにて末松君の質疑は終了いたしました。  次に、鍵田節哉君
  90. 鍵田節哉

    鍵田分科員 民主党の鍵田でございます。  きょうは、せっかく大臣がいらっしゃるのですから、いろいろお聞きをしたりお答えいただければと思っておったのですが、ちょっと具体的な道路の問題とか、建設労働者に対する退職金共済制度がございますが、それらについて質問をいたしますので、もしよろしければ、また大臣の方からも御答弁いただければと思います。  実は私は、大阪で中心に仕事をしておりますから本当に大臣も昔からよく存じておるんですが、住まいの方は奈良県の方でございますので、特に奈良県の道路事情について若干お聞きをしたいというふうに思っておるわけです。  といいますのは、大阪の場合などは、地下鉄でありますとか私鉄、さらにJRと、公共交通が非常に発達をしておるわけでございますが、奈良県は、JRもそれから私鉄も一応走ってはおりますけれども、ほとんどは道路を利用して生活をしておる、また産業活動をやっておるというのが実態でございまして、そういう意味では、地域地域の特色のあるそういう道路行政とか公共事業とかというふうなことは、やはり建設省としても十分配慮をしてやっていただきたいということでございます。そういうことからいたしまして、若干私の地元の具体的なことについてお聞きをしたいわけでございます。  過去にも何度か国道百六十八号線の問題について御質問しておるわけでございますが、特に枚方からずっと新宮の方まで非常に長い国道でございますけれども、その中でもとりわけ、生駒山と矢田丘陵に挟まれました非常に狭隘な地域、生駒市の部分、それから平群町の部分があるわけでございますけれども、この間は代替の道路もないというふうなことで、東大阪とかさらには枚方あたりからここを通過する車もありますし、この地域の住民にとりましては大変重要な生活道路でもあるわけでございます。それだけに、日ごろから大変混雑が著しいということで、これの改修に努力をしていただいておるところでございます。  特に第二阪奈道路が、昨年でしたか、供用開始をされまして、なおかつ通行量がふえてきたということもございますし、それから南生駒の周辺で一部供用されておりますバイパス、一分バイパスの影響もありまして、大型小売店舗がたくさんできてまいりました。そのためにまた利用者もふえてきておる、こういうことでございます。  そのうち、平群町の上庄バイパスにつきましては、昨年供用開始されまして、平群町部分については大変便利になってきておるわけでございます。しかし、椿井橋という上庄バイパスの南の方に位置するこの橋の改修が非常におくれておる、こういうふうなことがございますし、さらには、南生駒周辺からこの上庄バイパスにつながります接点がまだ十分な工事がなされておらないというようなことで、くねくねと迂回をしなくてはならないというふうなことがございまして、その辺で非常に使い勝手が悪いということになっておるわけでございますが、これらの工事がおくれておる理由なり、また今後の整備見通しなどにつきましてお答えをいただきたいと思います。
  91. 大石久和

    大石政府参考人 お答え申し上げます。  国道百六十八号上庄バイパス及び一分バイパス整備状況についてお尋ねでございます。  まず、上庄バイパスについて申し上げますと、昭和四十八年に事業着手いたしたわけでございますが、事業着手後直ちに現地の測量に着手いたしましたが、バイパス区間につきまして公図が極めて混乱しておったこと、また、買収単価につきましても、起点及び終点部の一部の地権者の方々と折り合いがつかず用地買収に時間を要したこと等によりまして、現在なお先生指摘のような状況でございます。  また、一分バイパスにつきましては、昭和五十九年度に事業着手いたしまして、現地の測量に着手する予定でございましたが、一部区間バイパス反対者の方々の用地立ち入りを拒否されるなど、また、供用後の騒音対策の設計協議が難航するなど、さらには用地買収単価につきましても、一部地権者の方々と折り合いがつかず用地買収に時間を要していること等から、現在まで時間を要している状況でございます。  しかし、一分バイパスにつきましては、平成十年十二月にはバイパス事業反対者の方々からも用地の立ち入りについて御了解が得られたことから、現在事業を推進しているところでございます。  上庄バイパスにつきましては、三・二キロを部分供用してございますが、平成十一年度以降は残る区間用地買収を推進しているところでございますし、一分バイパスにつきましては、第二阪奈道路への流入路として生駒市一分町内の〇・四キロを、先ほどございましたように、一方通行の一車線のランプウエーとして供用するなどさせていただいております。現在、残る一・三キロメートルにつきまして、平成十二年度中に暫定二車線供用を図ることを目標に工事を推進するとともに、残る区間用地買収を鋭意進めているところでございます。  今後とも、早期に供用が図れますよう、奈良県ともども努力してまいりたいと考えております。
  92. 鍵田節哉

    鍵田分科員 今もちょっとお話がありましたけれども、第二阪奈道路が開通するときに同時にこの一分バイパスも開通するというふうに地元皆さんは何か思っておったようでございますし、そういう計画ではなかったのかなというふうに思っておるわけでございます。  特に生駒市の部分が非常におくれて、一分バイパスが未完成のために現在の百六十八号線が非常に混雑をしておって、この近くに消防署などもございますし、そういう意味では緊急自動車の通行にも影響するというような状況でございますから、一日も早い開通が望まれるわけでございますけれども、具体的にどのぐらいの目標でこれを完成させようとされておるのか、お聞きしたいと思います。
  93. 大石久和

    大石政府参考人 それぞれのバイパスについて御説明申し上げます。  百六十八号上庄バイパスにつきましては、現在、先ほど申しました用地状況等もございましたが、用地の取得が八一%、工事の進捗が六七%まで参りましたので、供用目標といたしましては平成十五年度を考えたいと思っております。  また、同じく百六十八号一分バイパスにつきましては、現在、用地が八四%、工事進捗率が七九%でございますので、これも平成十五年度には供用したいというように考えております。
  94. 鍵田節哉

    鍵田分科員 ありがとうございます。  それでは、できるだけ早くこれらの開通をしまして、生駒市それから平群町、この辺の住民のためにも、また多くの通過車のためにもひとつ頑張っていただきたいというふうに思います。  それから二番目には、京奈和自動車道の奈良県部分のことでございます。  奈良県にとりましては、京都、和歌山両方に接続する非常に重要な高規格道路でございますけれども、それが京都部分、木津と宇治ですか、このあたりが今供用されておるのですが、奈良県部分がほとんど供用されておらないというような状況でございまして、奈良県にとりましては、県を横断するような形での高速道路というのは西名阪以外は現在のところないわけでございますから、特に京都方面から和歌山方面に向かいますこの京奈和道路が完成をするということは、観光客の誘致、さらには県民の行動範囲というような面でも随分大きな影響を与えるわけでございます。  特に、奈良県は観光だけではございませんけれども、非常に大きな一つの産業でございますので、そういう面からしますと、現在新幹線が京都を通っておるということで、京都などに比べますと数段観光客も少ないというような状況にあるわけでございます。  そういうことを考えますと、この京奈和自動車道が一日も早く完成をしていただきたいところでございますけれども、残念ながら、奈良県というよりも、まず奈良市部分の大和北道路がまだ計画すら立っておらないというような実態にあるようでございまして、先日も地元の奈良新聞で大変大きくこのルート問題について取り上げられておりました。それらのことをお聞きしましても、平城宮跡などの文化遺産があるというふうなこともございまして、大変慎重に調査をされておるということはわかるわけでございますし、奈良県にとりましては、こういう文化遺産を大切にしなくてはならないという一面もございますけれども、また、こういう京奈和道路のような広域の道路というものが一日も早く完成することも大変重要でございます。  そういう意味から、平城宮跡の地下を通るルートにつきましても今いろいろ調査をされて、ボーリング調査は一応終わったというように新聞では報道されておるわけでございます。今後まだ二年ほどかけて観測をしていかなくてはならないというふうなことも言われておるわけでございますけれども、それがもし地下水位との関係で難しいということになりますと、地上ルートを考えなくてはならないということにもなるわけでございます。  それらにつきましても並行して調査をし、さらには計画を立てていかれようとするのかどうか。それらの問題につきまして、いつごろこの基本計画が立てられて、そして着工、事業開始されるのか、そこらのことにつきまして、現在わかっておられる範囲でひとつお答えをいただきたいと思います。
  95. 大石久和

    大石政府参考人 京奈和自動車道、いわゆる大和北道路につきましては、奈良市の中心市街地や平城京跡あるいは平城宮跡など極めて重要な文化財などが、ルート選定上考慮すべき事項として定められております。これらの文化財の保護あるいは景観の保全等に配慮しながらルート設計を進めなければならないということでございます。  奈良バイパスがあのように回っておりますのも、かつてはわかっておりませんでした平城宮跡が東側に延びているということが奈良バイパスの計画上わかったというふうな時期がございました。そういったことを考えますと、事後の調整に時間を要するよりは事前の調査を十分やりたいということから、現在のような調査をやらせていただいておるわけでございますが、現在、ボーリング調査及び地下水観測を実施いたしておりまして、これが平成十四年三月までかかるのではないかというように考えております。  したがいまして、今後のこのルートの固定あるいは構造上の見通しを決定するのは、この調査区間が終了する十四年三月を待つ必要があるのではないかと考えてございますので、残念ながら今、五カ年内にはその構造計画を明らかにすることはできないのではないかというふうに思っておりますが、できるだけ早くこのルートをどんな形で通過することができるのか決めまして、地域の方々に御提示して御協力を得られるようにしていきたいと思います。
  96. 鍵田節哉

    鍵田分科員 ありがとうございます。  このルート問題というのは、地元合意というふうな面もあって、非常にデリケートな部分も含んでおりますから、今日の段階ではそれ以上は私も申し上げませんけれども、一日も早くその計画が立てられますようによろしくお願いを申し上げたいと思います。  それからもう一つ、大阪国際空港へのアクセス問題で、特に大阪国際空港を活性化しなくてはならないというふうなことで、平成八年に大阪国際空港地域活性化調査委員会というのを、地元や学識経験者、さらには国も入っていただいて三者構成で行われてきたわけでございますけれども、空港へのアクセスの利便性の向上というふうなこともその中でうたわれておるわけでございまして、実は私も、運輸委員会なり、さらには決算行政監視委員会でも、やはりこのアクセスを大切にしないといけないんじゃないか、年じゅう大阪市内と空港の間は慢性的な渋滞を繰り返しておる、したがって、大阪から東京へ飛行機で行くよりも、空港から大阪市内へ入る方が時間がかかるというような実態があるわけでして、こういうものを一日も早く解消してもらいたい、こういうことで質問で取り上げてきたところでございます。  しかし、先ほど申し上げました活性化調査委員会というのも、何か取りまとめをされたのが運輸省のようでございまして、どうもその後、これらにつきまして具体的な解消策というものが出ておらないというふうに考えておるわけでございます。特に、モノレールで大阪の東方面とか北方面には非常に便利になったのですが、大阪市内の乗降客がやはり多いわけでございますから、このアクセスが解決しない限りこの問題が解決できないわけでございます。そういう意味では、やはり一日も早い阪神高速の混雑緩和ということが大切なのではなかろうか。  そういうことで、一つは、大阪環状線、阪神高速の環状線をすべての道路が利用しないと他の阪神高速に行けない、そういう構造に問題があるんじゃなかろうか。したがって、環状線を利用しないでバイパスできるような、そういうシステムを考えてもらったらどうだろうかというふうな一つの提案も行ったりしてきておるわけでございます。それらにつきましても一日も早く解決策を見出していただきたい。  特に、省庁再編が行われますと、運輸省とも建設省は一緒になりまして国土交通省ということになるわけでございますから、そのためにもやはり空港の活性化と、それから大阪市内とのアクセスを大切にする、そういう方針をぜひとも一日も早く確立をしていただきたい。そういうことについては大臣が一番痛感されているんじゃないかなというふうにも思いますので、ぜひともよろしくお願い申し上げます。  以上について、お考えがあればお聞かせいただきたいと思います。
  97. 大石久和

    大石政府参考人 確かに、先生指摘のように、伊丹空港から大阪の都心部に向かう交通を分担できるのは阪神高速大阪池田線となってございまして、その結果、淀川断面では、二十四時間交通量が四車線の高速道路で十二万台に達しているという極めて慢性的な渋滞を常時引き起こしているのが実情でございます。  そのため、この空港線の渋滞対策といたしまして、ネットワーク整備によるものと箇所的な対策によるもの、この二つを考えてございます。  一つ目のネットワーク対策によるものにつきましては、淀川左岸線を阪神高速道路として整備することといたしておりますが、これが国道四百二十三号、いわゆる新御堂筋でございますが、新御堂筋と連係することによりまして、大阪北部の交通を新御堂筋から大阪都心に導入するということができる結果、阪神高速大阪池田線の負荷を軽くすることができるのではないかといったような考え方が一つ。  それからもう一つは、この大阪池田線が、今先生指摘ございましたように、環状線と合体するあたりで渋滞の頭が発生いたしますので、その手前で本線車両の流出を促進することができないかというふうなことを考えてございまして、いわゆる流出促進ランプの方策についても検討いたしておるところでございます。
  98. 鍵田節哉

    鍵田分科員 では、ひとついろいろ研究をしていただいて、ぜひともこの大阪空港線の混雑緩和に頑張っていただきたいと思います。  では、最後に、もう一つは、建設労働者のための退職金共済制度についてお聞きをしたいというふうに思います。  実は、建設委員会でも私この問題を取り上げさせていただいたんですが、当時の大臣はこういう制度御存じなかったんです。中山大臣御存じなのかどうか私もわからないんですけれども、この退職金制度があって、公共事業については土木、建設によって単価が違いますけれども、発注の料金の中に積算して退職金、共済金も含まれておるという実態でございますけれども、それが正しく労働者の持っております手帳に証紙が貼付されることがなかった。国から交付されておる共済金と、実際に労働者が共済金を受け取る金額との間には非常に大きな格差があるという実態が新聞報道でもされておりましたし、事実、私もいろいろ調査をしましてそういう実態がわかってまいったわけでございまして、これらを取り上げてまいったわけでございます。  昨年から、建設省と労働省でこの改善方策について今取り組まれておるということも聞いておりまして、順次見直しはされてきておるというふうに聞いておりますけれども、やはり、もうちょっと根本的な解決策というものを考えていただかなくてはならないんじゃなかろうか。  特に、ICカード化なども議論をされておるわけでございますけれども、何かICカード化した場合には、そのカードで請求が来た分だけは掛金を支払っていくというふうな後払い方式というふうなことも議論されておるようでございます。やはり、公共工事には必ずその分は積算されて入っているわけですから、必ず前払い方式でやってもらうということでないと、実際に国から公共工事のときに出されておる金額と労働者の手に渡る金額との間に大きな格差が出るということが解消できないんじゃなかろうかというふうに思っておるわけでございます。そういう意味では、ぜひともこの前払い制度を維持していただきたいというふうに思っております。  それから、建退共の運営につきましては、今運営委員会があるわけでございますが、ほとんど経営者だけで運営をされておる。経営者の自主的な共済制度だというふうに言われておるわけでありますけれども、実際は国が資金を出してそういう共済制度を運営しておるわけでありますから、そういう共済制度を本当に実効のあるものにするためには、労働者の代表もその中に加えていくということが必要なのではなかろうか。  本当に、運営委員会のメンバーを見ましても、こんな共済制度に余り興味のなさそうなゼネコンの社長さんとか会長さんとか、そんな人ばかりが運営委員になっておるわけでございます。やはりそれだけの資金を国も出してやっておるわけでございますから、これらにつきましては、より実効性のある共済制度にするためにも、労働者側の委員がこれに入ってやるということが大切なのではなかろうか。もちろん、今いろいろ考えていただいておる解決策もあわせて進めていただきたいとは思います。  特に、指名する場合にも、この共済制度の履行をちゃんとやっているかどうかということもやはり指名入札に入る資格の一つに入れていただくとか、工事の評価についても、実際に随分大きな工事をやっておりましても、そういうふうな労働者はゼロだったというふうなこと、実際にそんなことはあり得ないことを言って、それで支払いを逃れておったというふうな実態もあるわけでございまして、それらを十分チェックするようなそういう解決策をぜひとも考えていただきたいというふうに思っております。それらにつきましての考え方をお聞きして、質問を終わりたいというふうに思います。
  99. 風岡典之

    ○風岡政府参考人 お答え申し上げます。  建退共制度の重要性、私どもも、先生指摘のとおりでありまして、労働者の福祉の増進の上で極めて重要な課題だ、こういうふうに思っております。  それで、掛金のあり方につきましては、今先生指摘がありましたように、検討委員会でいろいろ議論をしておりまして、先払い方式、後払い方式、それぞれメリット、デメリットが正直言ってあるものでありまして、先週取りまとめられました委員会では、その辺の整理を一応したというふうにお聞きをしております。今後、運営委員会等でさらに議論をした上で、最終的には、建退共の制度は労働省の所管ということになりますので、労働省の方において検討が進められていくことになるのではないかというふうに思っております。  ただ、私どもも建設産業の立場から、当然非常に関心を持っておりますので、労働省とも十分連携をとりながら取り組んでいきたい、このように思っております。  それから、先生の方から、建退共に加入していても、実際には証紙が十分配られていない、そういったものをもう少しチェックをすべきじゃないか、特に入札に当たっての御指摘がございました。  これは、建退共制度の改善のあり方について、三月に建設省、労働省等で問題点の指摘をしまして、その中で、先生指摘のように、証紙について、実際の管理が非常に不徹底だという問題がありますので、その辺につきましては、受け払い簿の提出を求めるようなことで確かに労働者に渡っているかどうかというものも十分チェックをするような、そんなことで取り組んでいきたいというふうに思います。  それから、もう一つ指摘がありました、建退共の運営委員会に労働者の代表をというお話がございました。これも、この関係の担当というのが労働省ということでございますので、私の方からお答えを差し控えさせていただきたいわけでございますが、今先生指摘のありましたように、この運営委員会につきましては、建設の事業主の相互の共済ということで法律上そういう形で選ぶということになっていますので、私どももそういう考え方にならざるを得ないのかなと。ただ、いろいろな形で労働者の御意見を反映するようなことは当然幅広く考えていかなければならないことではないか、このように思っております。
  100. 鍵田節哉

    鍵田分科員 もちろん労働省の所管でございますから、私は午後に労働省にそのことを申し上げたいと思ってはおりますが、やはり建設省も実際に資金を出す方の立場の省庁でございますので、一緒になって健全な運営をということでやっていただいておるわけでありますから、建設省としてもそういう立場に立って処理、解決に臨んでほしいということを希望するものでございますからそういうことを申し上げたわけでございまして、ぜひとも労働省に対しても建設省の方からもそういうふうな立場でお話をいただければありがたいなというふうに思っております。  それでは、以上で終わります。ありがとうございました。
  101. 栗原博久

    ○栗原(博)主査代理 これにて鍵田君の質疑は終了いたしました。  次に、石井啓一君。
  102. 石井啓一

    石井(啓)分科員 公明党・改革クラブの石井啓一でございます。よろしくお願い申し上げます。  まず最初に、大臣に北関東自動車道につきましてお伺いをしたいと存じますが、もう大臣も御承知かと存じますけれども、この北関東自動車道につきましては、茨城県の常陸那珂港から常磐自動車道、東北自動車道、関越自動車道と、茨城、栃木、群馬、この三県を結びます関東北部の大動脈でございまして、ことしの三月の十八日に水戸インターチェンジから常磐道のジャンクションでございます友部ジャンクションまで供用開始になる、大変結構なことでございます。  きょうの御質問は、この友部ジャンクションから西側、東北道に向かって、特に茨城県内の整備状況と今後の見通しにつきましてお伺いをいたしたいと存じます。
  103. 中山正暉

    中山国務大臣 パリとかロンドンはもう環状道路が全部できておりますけれども、東京はそれもまだできておりませんで、いわゆるCO2とかNOxというのが解消されますのは時速八十キロぐらいで走ってもらうのが一番そういう問題の解決にもつながるということでございまして、先生の御指摘の今の大環状というのは、これは最近になっての新しい考え方でございますが、非常に結構なことだと思うんです。  これで外側の四重構想といいますか、三環状線の上に加わるもので、関東一円の物流がよくなると思いますが、北関東自動車道、常磐道それから東北道、関越道の三本の縦貫道を結びまして、上信越道それから中部横断道とともに関東の大環状道路を形成し、物流の効率化、それから関東全域の機能の適切な分担、それからまた地域の連携、発展に不可欠な路線になるものと認識をしております。  現在、茨城県内については全線にわたり事業着手をしておりまして、来月に水戸南と友部ジャンクション間十四キロでございますが、北関東自動車道として初めて供用するほか、平成十二年度には友部ジャンクションと友部間八キロが供用する予定でございますので、鋭意その整備を進めているところでございます。  残ります区間につきましては、現在地元と設計協議中でございまして、今後とも関係者の御協力をいただきながら、これを早期に整備いたしまして関東一円の発展につなげていきたい、かように考えております。
  104. 石井啓一

    石井(啓)分科員 大臣、大変ありがとうございます。地元も大変熱心に協力を申し上げますので、どうぞよろしくお願いをいたしたいと存じます。  続きまして、今大臣からも御発言ございましたけれども、環状道路が非常に重要だということで、二問目は首都圏中央連絡自動車道、圏央道につきましてお伺いをいたします。  きょう私は、茨城県内の主要事業をずっと質問する予定でございますので、圏央道の特に茨城県内の整備状況と今後の見通しについてお伺いをいたしたいと存じます。
  105. 大石久和

    大石政府参考人 首都圏中央連絡自動車道、いわゆる圏央道は、東京都心よりおおよそ半径四十キロないし六十キロ圏に位置し計画されている、延長三百キロメートルの高規格幹線道路であります。  茨城県区間約七十キロメートルのうち、常磐自動車道から茨城、千葉県境間の延長約二十九キロメートルにつきましては平成六年四月に都市計画決定し、このうち常磐自動車道から国道六号牛久土浦バイパス間延長一・六キロメートルにつきましてはおおむね用地買収が完了し、平成十二年二月二十一日に起工式を行い、平成十四年度供用を目標に本格的な工事に着手したところであります。また、現国道六号から阿見東インターチェンジ間延長八・六キロメートルにつきましては、平成十一年度から用地買収に着手しております。  さらに、埼玉、茨城県境から常磐自動車道間の延長約四十一キロメートルにつきましては、平成七年三月に都市計画決定し、このうちつくばインターチェンジから常磐自動車道間につきましては、早期の用地買収着手に向け地元及び関係機関との協議を進めているところであります。  今後とも、地域皆様方の御理解、御協力を得まして早期整備が図られるよう努力してまいりたいと考えております。
  106. 石井啓一

    石井(啓)分科員 圏央道につきましても、どうぞよろしくお願いを申し上げます。  続きまして、一般国道六号日立バイパスでございますが、これは御承知のとおり、御承知といいますか、昨年実はこの日立バイパス質問させていただいたのでございますけれども、現在四・七キロメーター区間事業化しておりまして、このうち、北側から途中にございます本宮アクセスというところまで平成十二年度に供用予定、こういうことで伺っております。  この四・七キロメーター区間事業化をしている区間の早期の全線供用及び現在都市計画決定をしていてまだ事業化をしていない区間が、現在事業化している区間南側にございますので、この区間につきましても早期の事業化を地元は大変熱望しておりますので、この点についてお伺いをいたしたいと存じます。
  107. 大石久和

    大石政府参考人 一般国道六号の日立バイパスは、日立市域が南北に長いことから引き起こしております交通混雑の緩和と交通安全の確保を図ることを目的といたしまして、海岸沿いに計画された延長約十・四キロメートルの道路であります。  このうち、北側の延長四・七キロメートルの区間につきましては、先生指摘のように事業中でありまして、昭和六十一年度から用地買収平成二年度から陸上部の工事に着手し、海上部につきましては、漁業補償、公有水面埋立法に基づく埋立免許申請の手続等を進め、平成八年度から工事に着手したところであります。  現在、日立市東滑川町から本宮町までの間延長約一・六キロメートルにつきまして、平成十二年度の供用を目途に整備を促進いたしております。残りの延長約二・六キロメートルの区間につきましては、海岸部の工事が中心であり、平成十年代後半の供用に向け順次工事を促進しているところであります。  なお、南側の未事業化区間、約五・七キロメートルにつきましては、事業区間進捗状況周辺交通状況並びに周辺開発の動向等を勘案し、また、未事業化区間の南の部分の道路計画の進捗等もあわせ考えながら、今後の事業着手時期について検討してまいりたいと考えております。
  108. 石井啓一

    石井(啓)分科員 この日立バイパスにつきましては、もう既に用地が手当て済みでございまして、事業費を投入していただいて早く供用していただければ、その分、効果が上がる路線でございますので、ぜひお願いをいたしたいと存じますし、また、引き続いて、南側事業化についても鋭意検討を進めて、早期の事業化をお願いをいたしたいと存じます。  続きまして、一般国道五十一号鹿嶋バイパスでございますが、この鹿嶋バイパスにつきましても、もう昭和五十九年度から事業化をしていただいておりまして、二〇〇二年のワールドカップ、これが鹿島スタジアムで行われるということで、このワールドカップに合わせて鹿島サッカースタジアムまでの間を全線供用していただく、こういうことで鋭意今、事業を進めていただいているところでございますが、地元の方から、あわせて、鹿島スタジアムから現道にタッチするまでの区間、一・八キロメーター区間、まだあるわけでございますけれども、この区間については、ワールドカップに合わせて何とか供用をしてもらえないかという強い要請がございまして、この点についてお伺いをいたしたいと存じます。
  109. 大石久和

    大石政府参考人 鹿嶋バイパスは、国道五十一号の鹿嶋市内の交通混雑の緩和あるいは交通安全の確保を目的といたしました延長八・三キロの道路でございます。昭和五十九年に事業着手し、現在までに、鹿島サッカースタジアムまでの間、延長約四・六キロメートルを暫定二車線で供用しているところでございますが、現在、北浦を渡河する新神宮橋を含む区間用地買収及び橋梁工事等を促進するとともに、鹿島サッカースタジアムから終点側の、今先生一・八キロとおっしゃいましたが、約二キロメートルにつきまして、早期の用地買収着手に向け、用地測量を促進しているところでございます。  地域の方々の御協力を得て、今先生が御指摘がありましたような平成十四年度の開催予定のワールドサッカーの大会に合わせた供用に向け、最大限の努力をしてまいりたいと考えております。
  110. 石井啓一

    石井(啓)分科員 大変前向きな御答弁をいただきまして、地元の方も大変喜んでおると思います。用地買収に向けて今準備中ということでございますので、当然、地元の協力ということもあるかと存じますが、予算あるいは事業執行の体制等、最大限御配慮をいただきたいと存じます。  それでは、続いて、霞ケ浦につきまして御質問申し上げます。  御承知のとおりでありますけれども、霞ケ浦は日本第二の面積を持つ湖沼でございまして、その流域面積は茨城県全体の約三五%を占めるわけでございますけれども、この流域の発展とともに、生活排水や工場排水の増加で水質が大変汚れておりまして、いわゆる富栄養化という状況であります。  その水質浄化のために、霞ケ浦で底泥、底の栄養化した泥、これをしゅんせつする工事、これを進めていただいているわけでございますが、このしゅんせつ工事の現状、それから、かつてはこの霞ケ浦は大変水がきれいで、至るところに湖水浴場があって、多くの人々が水に直接触れ親しんでいた。今は釣りの方々のメッカになっていまして、ブラックバスのメッカになっておりますけれども、釣りだけでなく、直接人々が水と親しめる、そういう要請も非常に強くございます。  したがいまして、流域の方々が湖水に親しむことのできる浄化機能それから親水機能を持つ水辺の整備、ぜひともお願いをいたしたいと存じますが、この点についてお伺いいたします。
  111. 竹村公太郎

    ○竹村政府参考人 霞ケ浦の水質そして環境につきましての御質問がございました。  霞ケ浦の水質は、二十年前の昭和五十四年、このときが一番悪くて、湖の水質のパラメーターでありますCOD、化学的酸素要求量が一一ppmを示しました。その後、昭和六十年代になりまして八ppmまで改善されましたが、近年、残念ながら、横ばいになっている状況でございます。  霞ケ浦の水質改善を図るために、水が停滞しやすい水域であります土浦沖と高崎沖を対象区域としまして、八百万立米の底泥しゅんせつを平成四年度から本格的に実施しております。全体計画は八百万立米でございますが、現在の十一年度末までの進捗率は約六〇%の四百八十万立米になってございます。平成十七年度を完成目標として懸命になってしゅんせつをし、霞ケ浦の水質改善に寄与しようということでやってございます。  また、水辺整備につきましては、県民、市民が容易に湖に近づくことができますように、水際を緩やかな斜面にいたしまして、浄化機能を持つヨシ等を植栽しまして、環境的にも配慮していきたい。十一年度までは約九キロのそのような護岸を整備いたしております。  その周辺の公園等の土地利用と調和のとれた水辺の整備を積極的に行いまして、茨城県のみならず、首都圏全域の憩いの場の空間として整備していきたいと考えております。
  112. 石井啓一

    石井(啓)分科員 ぜひよろしくお願いを申し上げます。  次の質問は那珂川水系緒川ダムの件でございますけれども、この緒川ダムというのは、昨年、ダム工事が休止ということになっておりますが、この緒川ダムにつきましては、もともと洪水調節と水道用水の確保、こういう大きな目的がございました。水道用水については、茨城県、常北町、緒川村、この三者がこの用水の確保ということになっておりますけれども、特に常北町の方からお話を聞きますと、既にもう水利権の負担金をこれまでも納付をしてきた、あるいは、那珂川から取水する予定ということで、浄水施設も約十八億円かけてこれも設置をしている、また、現状では何とか簡易水道あるいは井戸水で町の水道用水の需要を賄っておるけれども、恒久的な水源ではないので、やはり水道用水の水源の確保というのは重要な課題である、今後、水需要がふえることを考えると、やはりこの緒川ダムが休止した、その水源の確保はどうなるのかということで大変心配をされているところでございます。  これは水道水源ということでございますから、きょうは厚生省にお越しをいただいていると思いますので、厚生省にお聞きをしたいと思いますが、この緒川ダムのもともと予定しておりました水道水源の確保ということにつきまして、どのように考えていらっしゃるのか、お伺いをしたいと思います。
  113. 入江登志男

    ○入江政府参考人 お答えいたしたいと思います。  先生お尋ねの緒川ダムでございますが、茨城県の緒川総合開発事業といたしまして建設が進められてきたダムでございまして、水道水源として常北町ほか茨城県の広域水道等の水道事業が参加しているところでございます。  昨年八月に緒川ダムの建設が中止になったことを受けまして、同ダムで計画されております利水、治水の代替案につきまして早期に方針を検討すべく茨城県内に対策検討会議を設置いたしまして、全体的な検討が行われているところと聞いております。  常北町におきましては、このダムを水源に予定した水道施設の整備が進められておりまして、厚生省といたしましても、常北町の生活基盤を支える重要な事業といたしまして、施設整備費に対する国庫補助を行ってきているところでございます。当該地域の水道につきましては代替水源が必要になるわけでございますが、さきに述べました茨城県における全体としての検討の中で必要な整理が行われるものと理解しております。  厚生省といたしましては、茨城県における検討状況を踏まえ、県ともよく相談しながら、当該地域の生活基盤である水道が早期に整備されるよう引き続き必要な支援をしてまいる所存でございます。
  114. 石井啓一

    石井(啓)分科員 この件につきましては、町の当局あるいは住民に対する説明といいますか、そういうのが必ずしも十分でないように伺っておりますので、ぜひ地元と、県だけでなく町の当局ともよく連携をとりながら検討を進めていただきたい。厚生省の方でもよく御指導、御支援のほどをよろしくお願いをいたしたいと存じます。  それから今度は、鉄道関係につきましてお伺いをいたします。  まず、常磐新線でございますけれども、常磐新線は宅地開発と鉄道建設をあわせて行うという画期的な鉄道でございますが、バブル崩壊後、必ずしも需要が伸びておりませんので若干心配な点もございますけれども、いずれにしましても、この常磐新線の早期整備というのが望まれております。  今、平成十七年度を開業目標といたしまして鋭意事業が進められていると承知しておりますが、現在の進捗状況、それから今後の見通しについて確認をいたしたいと存じます。
  115. 柚木浩一

    ○柚木政府参考人 お答えいたします。  常磐新線の整備進捗状況についてのお尋ねでございますが、今先生の方から御指摘ございましたように、整備主体であります首都圏新都市鉄道株式会社、それから地元の一都三県、東京都、埼玉県、千葉県、茨城県、この御地元皆さん方を中心に、現在十七年度の開業を目指して努力しているところでございます。  現在の進捗状況でございますけれども、昨年の十一年の六月には全線にわたりまして都市計画決定を終えておりまして、その大宗におきまして既に工事施行認可がなされ、工事に着手している状況になっております。ただ、一部の区間等につきまして地元の地権者等の調整もございますし、必ずしも買収がまだ進捗していないという状況もございますので、関係者一丸となってそこの進捗を高めていきたいというふうに思っております。  特に、茨城県守谷あるいは伊奈谷和原の間、この点につきましてはかなり進捗を見せてきておるわけでございますけれども、その先のつくばまでというところが、これから面整備も含めて積極的に取り組まなければいけない区間だろうというふうに認識しております。
  116. 石井啓一

    石井(啓)分科員 今度国土交通省になると、これはまさに従来の建設省と運輸省と合体してやるべき典型的な事業だと思いますので、よろしくお願いいたします。  それから次に、常磐線と千代田線の、特に千代田線が常磐線に直通乗り入れをしている件でございますが、今、取手駅まで乗り入れをしておるわけでありますけれども、取手以北に延伸をしてほしい。常磐線の混雑緩和、運行本数の増加ということで、取手駅の北側の地域の方、非常に強い要望がございます。この取手以北への延伸についてお伺いをしたいと思います。  あわせて、その延伸をする際ネックになると考えられますのが、取手駅と次の藤代駅の間で現在、交流と直流が変換をするということになっておりまして、したがって、取手以北に延伸をしようとすると、千代田線の車両が交流と直流が切りかえることができるような電車を導入しなければいけないということもございますし、あるいは常磐線の方からいいますと、千代田線に対応する電車を導入しなければいけない、こういうことになるわけでございますが、この点についてもあわせてお伺いをいたしたいと存じます。
  117. 押田彰

    ○押田政府参考人 先生お話のございました常磐線の取手以北への千代田線の乗り入れの件でございますが、先生のおっしゃるとおり、一番大きなネックになっておりますのは電化の方式の違いでございます。取手までは直流の電化方式で行っておりますが、そこから先は交流に変わるということで、これをもし千代田線を取手以北に乗り入れるためには、施設の改良だけでなくて車両の面でも費用がかかるということで、今のところ非常に難しい状況にあるというのが実情でございます。  ただ、JR東日本の方もこの取手以北の利用者の皆さんの利便性を高めるということには非常に心を砕いておりまして、平成七年あるいは平成九年のダイヤ改正におきまして、例えば土浦—上野間の快速電車を増発する、あるいはこの区間に新型車両を投入するといったようなことをしてまいっております。  運輸省といたしましても、鉄道事業者がこういった利用者の利便性の向上に努力をするということは大変重要なことであると認識をいたしておりまして、引き続き鉄道事業者を指導してまいりたいと考えております。
  118. 石井啓一

    石井(啓)分科員 よろしくお願いをいたしたいと存じます。  それから、先日の運輸政策審議会の答申におきまして、常磐線を東京駅に乗り入れをして東海道線と相互直通をしようという計画が打ち出されておりまして、二〇一五年までに開業することが適当な区間、こういうことで位置づけられております。大変このニュースは期待が高まっているところでございますけれども、現在どんな検討が行われて、その事業化に向けてどういう見通しなのか、この点について確認をいたしたいと存じます。
  119. 野竹和夫

    ○野竹政府参考人 常磐線の東京駅への乗り入れにつきましては、乗りかえ利便、時間短縮等利用者利便の向上や、山手、京浜東北線の並行線及び乗り継ぎ駅でございます上野、日暮里駅での混雑緩和に資するとともに、常磐線沿線と東海道地域との連携の強化、沿線地域の東海道新幹線や羽田空港へのアクセスの改善等にも寄与するものと認識しておりまして、重要な政策課題と考えております。こうした観点から、ただいま先生指摘ございましたように、さきの運輸政策審議会の地域交通部会の答申におきましても、二〇一五年を目標年次とした整備を推進すべき路線として位置づけられたところでございます。  運輸省といたしましては、これらを踏まえまして、今年度からJR東北、高崎、常磐線の東京駅乗り入れに係る都市鉄道調査という調査を実施しておりまして、この中の委員会で、整備計画でございますとか、あるいは概算建設費、需要予測あるいは収支採算性などについて検討を行っているところでございまして、これらの検討を踏まえつつ、JR東日本関係自治体等関係者の間で調整を進めまして、できる限り早急に本事業整備の推進を図ってまいりたいというふうに考えております。
  120. 石井啓一

    石井(啓)分科員 それでは、最後の質問でございますが、百里飛行場につきまして、これは今航空自衛隊の使用している飛行場でございますが、これを民間と共用化しよう、こういうことを従来から、県の方から要請をしているところでございます。  この百里飛行場の民間共用化の進みぐあい、そして今後の整備見通し等につきまして確認をいたしたいと存じます。
  121. 上子道雄

    上子政府参考人 先生お尋ねの百里飛行場の民間共用化の進捗状況などにつきましてお答えを申し上げます。  茨城県の航空利用者の大半は現在羽田空港を利用しておりますけれども、アクセスに長時間を要するというような事情から、百里空港の民間共用化について強い熱意があったものでございます。  これにつきましては、平成八年の十二月に閣議決定をされました第七次空港整備七カ年計画の中で、関係者と調整を行って結論を得た上で整備を図るということになりまして、それ以降、運輸省、防衛庁、茨城県との間で鋭意協議を進めてきたところでございます。  その結果、現在の滑走路の西側に並行して、主として民間航空機が使用する新たな滑走路を整備するということで調整がつきましたため、来年度、平成十二年度の概算要求に民間共用化の事業化要求を盛り込んで、現在審議をいただいているところでございます。  運輸省といたしましては、十二年度の予算案の成立を待ちまして、さらに詳細な計画を策定し、あるいは環境アセスメントの手続、こういったものを行いまして、できるだけ早期に供用が開始できるように努力してまいりたいと存じております。
  122. 石井啓一

    石井(啓)分科員 平成十二年度に事業化という御答弁でございましたので、早期の供用に向けまして御努力をお願いいたしたいと存じます。  以上で終わります。
  123. 栗原博久

    ○栗原(博)主査代理 これにて石井君の質疑は終了いたしました。  次に、田中和徳君。
  124. 田中和徳

    田中(和)分科員 自由民主党の田中和徳でございます。  一昨年の参議院選挙での都市部における極めて厳しい結果を受けて、我が党内に、総裁直属機関、都市問題対策協議会が設置されて以来一年半近くが経過をいたしました。私も同協議会の都市政策委員会主査に就任し、以来、都市生活者の視点を国政に反映させる立場から全力で取り組んできたのでございます。そして、予算編成や税制改正、そして法律化などに着実に成果を上げてまいりました。しかし、日本人口の大部分を占める都市生活者の意見をまだまだ十分に国政に反映し切れていないように私は思っております。  そうした問題意識に立って、大臣のおひざ元の大阪と並ぶ人口密度の極めて高い川崎市の議員として建設行政に関して数点お伺いをしてまいりますので、明快な答弁をお願いしたいと存じます。  まず最初に、東京湾アクアラインに関してお尋ねをいたします。  私は、アクアライン開業前に、自民党の関係部会や委員会で何度も繰り返し通行料金の引き下げを強く主張し、また当時の亀井建設大臣にもお願いをさせていただきましたが、当初計画の五千五十円から四千円へと引き下げが決定され、今日の状況になっております。  しかしながら、まだ高過ぎるということで利用者が少なく、その後も無理を承知で事あるごとにさらなる引き下げを要望してまいりました。そのかいもあり、昨年末の予算編成の際に、建設借入金の償還期間の延長により通行料金の再引き下げを実施するとの方向性が示されたのでございます。  経営全体を考えると、交通量と通行料金のバランスが大事で、建設省でも詳細な試算をしておられることと存じます。ただ、事前に予想した交通量と余りにも乖離している現況からすれば、私は、この際理屈抜きに千円ぐらい思い切って引き下げて三千円程度にすべきだ、このように思っております。もしくは、それ以下なら交通量はぐっとふえていくのではないかと思います。  そこで、念のため確認をさせていただきますが、今後どのようなスケジュールで引き下げを実施されるのか、またどのような見込みなのか。また、引き下げを想定しているいろいろな数字があればお知らせをいただきたいと思います。道路局長さんからまずお答えをいただきたいと思います。     〔栗原(博)主査代理退席、主査着席〕
  125. 大石久和

    大石政府参考人 東京湾アクアラインの交通量は、先生指摘のように、現在、計画値の約四割にとどまっておりまして、利用の一層の促進を図る必要があるのではないかと各方面から御指摘をいただいております。そのため、関連する道路網の整備を進めるとともに、料金についても、償還の確保策とあわせ十分検討していく必要があると考えております。  このため、首都圏の南回りバイパスとしての東京湾アクアラインの役割が十分に発揮できるよう、平成十二年度政府予算案において、東京湾アクアラインや千葉東金道路三期等に対する償還期間の延長、公的助成の拡充を盛り込んだところでございます。  東京湾アクアラインの料金の変更につきましては、平成十二年度予算の成立後、日本道路公団からの申請を待って対応することとなりますが、東京湾アクアラインの利用促進に特段の配慮がなされるよう考えてまいりたいと考えております。  また、料金等の変更を行うためには、千葉県への協議等、道路整備特別措置法上の変更許可の手続が必要であることから、これらの手続には夏ごろまで時間を要するものと考えております。  なお、料金の水準につきましては、昨年末に地元自治体、地元経済界等から成ります千葉地域高速道路網検討会、これは日本道路公団で設置したものでございますが、この中の提言におきまして、調整すべき料金といたしまして、現在の四千円から三千円へといったような方向の議論がなされているのは承知いたしておりますが、具体的にどのような料金になるかは、道路公団の申請を踏まえつつ適切に判断してまいりたいと考えております。
  126. 田中和徳

    田中(和)分科員 ただいま局長の答弁をいただきましたけれども、今からお話をしてまいりますけれども、これは当初の計画どおりになかなか事が進まなかった。アクアラインは比較的順調に建設が進んだのでありますが、一番の問題は、取りつけ道路がほとんどうまく進捗していない、これがやはりもう一つの理由であろうと思うのです。料金の引き下げとあわせて取りつけ道路、あのアクアラインに結ぶ道路をどのように進めていくのか、今もお話が少しありましたけれども、極めて重要な課題だと思っております。  そして、アクアラインの建設に当たって、時の建設大臣あるいは関係自治体の長等が協議をして約束をさせていただいた。この約束は、アクアラインが完成する前に、神奈川県川崎市を縦に貫く、臨海部から東名高速道路まで完成をさせてアクアラインの供用開始を待つんだという話でございました川崎縦貫道路についても、この際ぜひお尋ねをしておかなければなりません。  この道路は、一期工事については臨海部でやっと工事が進み始めました。しかし、いまだなおどうも予定よりおくれがちでございまして心配をしております。また、京浜第一国道、その堀之内の交差点から東名高速道路までの間の二期工事、いまだなお都市計画決定すらされていない状況でございまして、いわば何もできていない、このように言って過言でないと思います。  一期工事が完成したとしても、堀之内の交差点で車が行きどまることになればどんな状況が生じてくるかということは、当局の皆さんの方がよほどよく御存じでございます。地域の住民にとっては、さらに交通渋滞が進むという可能性が高くなってまいりますので、完成しても供用開始に反対をしようという声もございます。当然のことながら、並行して工事を進めて完成をさせるといった約束を守って、早く東名高速道路まで工事を進めていかなければならない。  しかし、重ねて申し上げますが、都市計画決定すらされていない、こういう状況でございます。いわば行政の不信を募らせることにもなってまいりますけれども、一部、地元の熱心さが足りないからこのような状況になっているんだという話もありますけれども、私は、国の責任の方がよほど大きい、このように申し上げなければならないのではないかと思っております。  ぜひ、川崎縦貫の二期について、東名高速道路までどのようにつないでいくのか、今後のスケジュールについてお聞かせをいただきたいと思います。
  127. 大石久和

    大石政府参考人 川崎縦貫道路整備の考え方についてお尋ねでございます。  先生指摘のとおり、一期区間を浮島ジャンクションから国道十五号までの間、二期区間国道十五号から東名高速道路までの間として設定し、逐次整備を進めることといたしておりますが、御指摘のように、アクアラインのネットワークをきちっと受けるという道路の機能を考えますと、川崎縦貫道路は早期に東名高速道路まで結ぶ必要があると考えてございます。  現在、一期区間につきまして、用地の取得が九〇%完了し、上下部の工事等が進捗いたしておりますが、一部におきまして用地取得が難航しておるところがございます。したがいまして、今五計内での完成が非常に難しい状況ではありますが、工事が鋭意進んでおることは御承知のとおりでございます。  しかしながら、二期区間につきましては、建設省、神奈川県、川崎市が現在相互に協力しながら調査の推進に努めているところではございますが、いまだ事業の具体化が図れるような事態には至っておりません。したがいまして、一期の状況を見ながら、今後とも早期に事業の具体化が図れるよう、建設省、神奈川県、川崎市において協力をしていきたいと考えております。
  128. 田中和徳

    田中(和)分科員 ぜひ大臣にここで御答弁を願いたいと思うのでございます。  アクアラインと今私が申し上げました川崎の縦貫道路は実はセット物でございます。当時、千葉の強い要請に対して、神奈川県側は実は余り積極的な姿勢でございませんでした。当時、東京湾横断道路、このように申した時代にいろいろと議論があったのでございますが、神奈川県側のメリットがなかなか見出せなかったからでございます。そういう中、川崎の細長い地形を縦に貫く道路整備、そして首都高速を走らせて産業都市としての利便性を高めて、こういう思いで実は国と地方の調整がなされたのでございます。  何度も申し上げるのですけれども、アクアラインの完成前に、当然のことながらこの川崎縦貫道路は、巨費を投ずる事業でありますけれども、完成をしていなければならなかったのでございます。私は、地元の一市民として、地元の自治体の取り組みも私は不十分な部分がたくさんあったと思います。しかしながら、建設省からも助役を川崎市に派遣をされたり、もろもろの取り組みをされて今日まで来られたわけでございますが、今の局長の答弁のように、実は二期工事については、二期工事の方がよほど大事なんです。その二期工事についてはまだ検討、協議という話でございまして、実はさっぱり様子が見えてまいりません。  アクアラインの料金の引き下げはぜひ大臣からも御答弁をいただきたいと思うのですが、あれだけの立派な我が国の宝物でございますが、使われなかったらまさしくこれは大変なことでございまして、この活用を図るというのは、地域にとっても、日本の国そのものにとっても大変私は重要なことだと思っておりますが、料金の引き下げとあわせて、取りつけ道路、お約束どおりの推進をぜひお願いをしたい、この思いでございますので、ぜひ前向きの御答弁をいただければありがたいと思います。
  129. 中山正暉

    中山国務大臣 先ほどお話がございました大都市の市議会、それからまた県議会と経験を積まれてこられて、私も同じような経験を積んで、私も昭和三十八年に大阪市議会に、二十九歳でございましたか、当選をしたときには、日本の指定都市の中で初めての革新市長でございました。私なんか自民党野党議員ということで、振り出しがそういう振り出しでございまして、先生のお立場は本当に痛いほどよくわかるわけでございます。  この間もそのアクアラインへ私行ってまいりました。観光バスもたくさん来ていて大変なものでした。中国の高官の方が来られて、李鵬さんでございましたか、どなたかが来られて大変激賛をしておられた。大したものだというお話をされておりました。  私が、昭和四十四年に国会に当選したとき、隣が浜田幸一先生でございました。この東京湾横断道路、もう懸命に運動しておられたことを私、目の当たりにしてきたものです。もう引退をされてしまいまして、今はもう御令息の時代になりましたが。  その意味で、このアクアラインというものと川崎の市内を通るもの、これがいわゆる圏央道に通じる重要な、東京の環状線にもつながるということでございますから、これは何としても、おくれております東京環状道路の一環として、特に千葉の東金一期、二期、三期、これをプール制にして料金の引き下げの問題なんかも考えなきゃいけない問題でございまして、初めは四千九百円というのを今四千円にしておりますが、これは一ダースなら安くなるという原則がございます。たくさん通ってもらわないと、償還期限も五十年というようなことにしなきゃいけないということになっておるわけでございますが、東京湾アクアラインの一層の利用促進が図られるよう、平成十二年度の予算の成立を待ちまして、関係機関と鋭意調整を行っているところでございます。  川崎縦貫道路も、川崎市内の各拠点相互の連絡を強化するとともに、東京湾アクアライン等と一体となり広域幹線道路網を形成し、良好な都市構造の形成を支援する極めて重要な道路だと認識をしておりますので、今後とも地域の方々の御理解と御協力を得て、早期整備が図られるようにしたい。  特に、これは圏央道でも、この間現地に私も入ってまいりましたが、九百件の人が賛成をしてくれているのに、十四件ばかりの人が、そのうちの一件に六十八人の一坪地主がおられました。建設省大臣室に来られたときは六十八人だったのですが、二十日ぐらい後に地元へ入りましたら、もう百十六人になっておりました。そういう方々に何とか御理解をいただいて、私は、促進方をしていかなければならないんじゃないかと。  きのうの真夜中に私ちょっと目が覚めて、偶然四チャンネルをひねりましたら、そこに、大公害都市東京という一時間番組を見ました。まさにこの間あきる野市の現場で私がお目にかかった方々がテレビの画面に出てこられまして環境問題で話をしておられましたが、私どもが現地へ入ってお話しした画面は一切出てまいりません。  そういうことを見ていますと、早く推進をするためには、大勢の方々が賛成してくださったのに、わずかの方々が反対をしていらっしゃる、これは、役所側にいわゆる投資の問題と効率の問題と厳しく言われておりますが、むしろそういう反対をしていらっしゃる方々にそういう問題をひとつ御認識をいただかないと、幾ら税金を使っていろいろと事業をやりましても、わずかなことでこれが進捗が図られないということは実に残念なことでございますので、先生も御苦労でございますが、どうぞひとつ根気よくいろいろ御示唆をいただいて、早く完遂をしたいものだ、かように考えております。
  130. 田中和徳

    田中(和)分科員 もう私どものまさしく尊敬する大臣でございますけれども、本当に都市政策に打ち込んでこられ、大先輩の御答弁をいただきました。前向きのお話でもございましたので、ぜひ期待をさせていただきたいと思っております。  そして、あえて申し上げますが、費用の面は、これは当然試算をしていかなければなりませんけれども、大深度法がいよいよ国会の方に提案され、議論をされるということでございます。土地の買収を入れれば、都市部でございますから、その法律を適用してつくっていくとルートももう少しストレートに持っていくことができるのではなかろうか、こんな思いもあるわけでございまして、ぜひひとつそういう御検討もいただければ幸いだと思っております。  次に、いわゆるあかずの踏切対策についてお尋ねをさせていただきたいと思います。  実は、もう対策を講じて久しい事業でありますが、どうも一向にらちが明かないと申しますか、前に進まないのでございます。  私どもの川崎市でも百四十七カ所の踏切がございます。特に、南武線に至っては四十二カ所の踏切がございます。川崎は縦に細長いものですから、南武線は南北をつないでいく、縦軸の大交通網といいますか、軸として大いに働いてくれているわけでございますが、幹線道路を遮断している四十二カ所の踏切があるのでございます。  私は、特に駅前で毎日、きょうもそうでしたが、朝、国政報告で演説をしております。約二時間やるわけでございますけれども、声がかれておりますが、どこの町も朝の渋滞は大変でございます。きょうは、産業道路という一番臨海部の場所で、京急の駅前でやったのでございますけれども、大分取り組んでいただいて以前ほどではないにしても、本当にやはり朝のラッシュ時は大変な状況にございました。言えば切りがないほどでございますけれども、この対策が今後どのように進められるか、ここが実は一番重要なのでございます。  きょうは運輸大臣に、そちらの分科会では、次善の策として、もっと細かく調査をしていただいて、遮断機をおろす時間を縮める方法を検討していただきたいということを申し上げてまいりました。前向きな御答弁をいただいておりますけれども、建設省に向けては、ぜひもっとハードの部分で解決をしていただかなければなりません。  この予算の中で連続立体交差化事業はどのように措置がなされておるのか、まずお聞かせをいただきたいと思いますし、ぜひひとつ今後の見通し、特に川崎市などの状況についてもお知らせをいただければ幸いだと思っております。
  131. 大石久和

    大石政府参考人 踏切の立体化につきまして、一般的な事柄につきまして私から御答弁申し上げたいと思います。  建設省はこれまでに、立体交差化等の改良を必要とする踏切を五カ年ごとに指定する踏切道改良促進法や道路整備五カ年計画に基づき、重点的に踏切道の立体化を促進、推進してきたところでございます。  例えば、昭和五十年には一万五千カ所の立体交差がございましたが、平成七年にはこれが二万三千五百カ所にふえてございまして、この二十年間に約八千五百カ所の立体化をなし遂げてまいりました。  また、今五カ年計画におきましても、四百五十カ所を立体交差化する計画にいたしておりますし、十二年度予算におきましては、地方自治体が地域づくりの中でボトルネック踏切を解消する場合などに補助事業として支援する対象を拡大する踏切道等総合対策事業、運輸省と連携して実施する事業を創設することといたしまして、予算につきましても重点的に配分する計画といたしております。例えば、一般道路事業の伸び比は、来年は一・〇三でございますが、この踏切のための立体交差化事業費につきましては、一一%の伸びを要求させていただいておるところでございます。  今後とも、踏切の立体化につきまして、精いっぱい努力していきたいと考えております。
  132. 山本正堯

    山本政府参考人 川崎市内の立体交差関係についてのお問い合わせでございますが、御案内のとおり、今先生おっしゃいましたように、川崎市内はJR東海道線、JR南武線、京浜急行、東急東横線と大変多くの鉄道が走っておりまして、多くの踏切において交通渋滞が生じておる、こういう状況でございます。  現在、京浜急行の大師線の京急川崎駅—小島新田駅間の延長五キロにおいて連続立体交差事業実施中でございます。ただ、先ほど先生おっしゃいましたように、川崎縦貫道の整備の状況等々との関係から、今、事業については若干おくれておりますが、これによりまして十四カ所の踏切が除却されるということでございます。  さらにまた、東急東横線の元住吉駅付近につきまして、道路を地下化するといったようなことによります立体交差化の計画がございます。これにつきましても、市の方で事業化に向けた検討の調整を進めている、こういうふうに聞いておるところでございます。  なお、先生、先ほど最後のお話にもございましたように、南武線の関係につきましても、特に矢向とか向河原駅、その周辺道路につきましては、大変遮断時間が長く、交通量も多いところでございまして、踏切が都市交通内のボトルネックになっている、こういう状況というふうに聞いております。この区間につきましても、昭和六十三年度から、市の方で鉄道高架に向けた調査を実施しておるというふうに聞いておるところでございます。  今後、市において、事業化に向けた関係機関との必要な調整を鋭意進めていくというふうに聞いておりまして、私どもといたしましても、今後とも、これらの事業の調査、あるいは立体化事業化につきまして引き続き支援をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  133. 田中和徳

    田中(和)分科員 ただいま両局長より御答弁をいただいたわけでございます。確かに数字で見る限り、大変な御努力をしておられるということは評価いたしますが、川崎市の方はどうも大変おくれておりまして、ぜひひとつそういう面で特段の、さらなるお力添えをいただかなければなりません。  実は今、京急の大師線の連続立体化は、御存じのように縦貫道路とのセット物でございまして、進めていただくことになっておりますけれども、この大師線すべての連続立体化を優先させてやるということになりますと、多分大変な歳月がまた流れていくのだろうと思うのです。南武線のごく一部、戦後初めて中原区の地域が完成をしたのでございますが、それは全体のごく一部でございまして、だんだんと計算をしていくと、百年河清を待つという言葉がございますけれども、百年たってもいかほどできるのか、このように心配されるところなんです。  ぜひ私は、重ねて、これこそやっていく事業であって、次が終われば次というふうに継ぎ足していくような事業ではないのではないかな、こう思っているのです。  それともう一点、やはり事業費の配分について検討を加えていくべきではないかな、このように思っているのですね。国と地方の割合、そしてもう一点は、鉄道事業をやっている企業に負担をしていただくわけでございますけれども、ここら辺のことを抜本的に見直していかないと一向に進まないのじゃないか。  どんな町をつくろうとしても、再開発事業に取り組もうとしても、そこにあかずの踏切があったのではどうしようもないのでございます。鹿島田のあの町、御存じかもしれませんが、まさしくハイテクの町としてどんどんと高層ビルが建ち並ぶようになりました。しかし、毎日毎朝、夕刻もそうですけれども、多くの車や人々が、自転車があそこで遮られておるのでございますね。何十階のビルとあかずの踏切というのは、これは似合わないと思うわけでございます。  どうぞひとつよろしく、財政面での組み方も変えていただけるように、ぜひお願いしたいと思います。  実は、加藤政務次官おみえでございますから、時間の関係もありますので、ぜひ一言お答えをいただき、局長さんからもお答えをいただいて私の質問を終わらせていただければと思っております。よろしくお願いいたします。
  134. 加藤卓二

    加藤政務次官 地元のことをよくわかる先生が、本当に天下国家に先立つような道路の問題に触れていただいて、私も、道路がないと出てこられない関東のチベットでずっと道路づくりをやってまいりました。おかげで山梨もトンネルが抜けましたし、それから外の道もやってまいりました。そして、願っていた建設のお手伝いができるポストもいただけて、今、本当に建設省の役人よく働くな、こんなに働く人たちと一緒に仕事ができて、本当に私もこれでお役に立てるな、こう思っております。  今後とも、私たちはどちらかというと叱咤激励型の古参軍曹スタイルではございますが、一生懸命老骨にむち打ってというよりも、これからまだ若返って一生懸命やらせていただきますが、先生の御意思のあるところを十二分に省内に、そして道路、いろいろな問題点を解決していくよう努力してまいりますから、よろしくお願いします。
  135. 大石久和

    大石政府参考人 立体交差化の費用について、道路管理者あるいは都市計画事業者がきちっと負担しろということでございます。  現在も、例えば連続立体交差化事業におきましては、その事業費の九五%から八六%を鉄道事業者以外の道路管理者側で負担させていただいているということでもございます。また、単独立体につきましても、鉄道側の負担の上限額を決めまして、道路管理者が負担させていただいているというところでございますが、今後とも、道路管理者、都市計画事業者と鉄道事業者の応分の負担のもとに踏切の改良が促進されますように努力していきたいと思います。  先ほど申し上げました、創設いたします踏切道総合対策事業実施することによりまして、さらに二千七百カ所ほどの踏切が補助対象として拡大されるということでございます。地方自治体に対する支援も一層推進してまいりたいと考えております。
  136. 田中和徳

    田中(和)分科員 終わらせていただきます。ありがとうございました。
  137. 萩山教嚴

    萩山主査 これにて田中君の質疑は終了いたしました。  次に、石毛えい子君。
  138. 石毛えい子

    ○石毛分科員 民主党の石毛えい子でございます。  本日は、私は日ごろは厚生委員会に所属をしておりまして、厚生行政を中心に活動を続けさせていただいておりますが、関連しまして、建設行政にかかわって、主要三点ほどの質問をさせていただきたいと思います。  まず第一点は、いわゆるハートビル法、高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律に関してでございます。  改めて申し上げるまでもございませんが、高齢社会化が進んでおり、だれもがさまざまな行動に不自由さを持つ可能性がある現代の社会で、バリアフリーのまちづくり、またユニバーサルデザインに基づくまちづくりは、今日的な大変重要な課題になっていると私は考えます。こうした観点から、ハートビル法が持ちます政策的意味につきましても、大変注目されるところだと考えるところです。  まず最初にお尋ねしたい質問でございますが、このハートビル法におきましては、特定建築物という指定がございます。病院または診療所から始まりまして、郵便局、保健所、税務署等々が具体的に列挙をされて、そしてさらに、その他これらに類する公益上必要な建築物というふうに記載されてございます。  これを拝見しておりますと、学校が入っていないのでありますが、私は、学校は公益上必要な建築物であると受けとめておりますが、なぜこのハートビル法の中で特定建築物に学校が指定されていないのか、その理由についてお尋ねをしたいと思います。
  139. 那珂正

    ○那珂政府参考人 お答えいたします。  ハートビル法におきましては、病院、劇場、百貨店などの不特定多数の人が利用する建築物を特定建築物として、その建築に当たって、いわゆるバリアフリー化のための一定の努力義務を課すことで、その推進を図っているところでございます。  学校につきましては、基本的にその利用者が特定されているということから、現在のところは特定建築物に当たらないという解釈をしております。
  140. 石毛えい子

    ○石毛分科員 大臣にぜひともお聞きいただきたいと存じますが、私ども民主党、この通常国会に、移動制約者の方々の移動の自由を確保する法案を提出させていただく予定でございます。その法案をつくる過程で、民主党としてパブリックコメントを求めさせていただきました。そのパブリックコメントにこういうコメントをいただきましたので、これを読ませていただきたいと思います。  少しコメントの文章が長いものですから、お出しいただいた方には失礼ですが、途中をちょっと省略させていただきます。  私は重度身体障害者の寝たきりに近い者ですが、阪神・淡路大震災のときに被害に遭われた私たちの仲間が緊急避難所へ避難したときに、避難場所と指定されている学校や公民館、地域の集会所等々、避難所へ行き、まず困ったこと、それは、このような避難所、学校や公民館などの入り口に階段や大きな段差があり、大多数の場合には、車いすのまま入れるところはなきに等しいと言っても過言ではありませんでした。人命にかかわること、災害時に避難先に車いすのまま出入りできない避難所が避難所と言えますか。最低限、公立、私立を問わず、小中高等学校の教室や講堂、体育館の出入り口にはバリアフリー法を適用すべきではないですか。私の生活範囲の避難時指定の公共施設には、車いすのまま入れるところなど一つもありません等々、こういうお便りをいただいております。  住宅局長の御答弁ですと、学校は利用者が特定されているということでございますから、こういう緊急の災害などがないときには、小中高等学校の教室は、確かに、利用者は特定されているというふうに申されましても、それはそれで妥当であるとは思います。  しかしながら、学校というような公共建築物は、こうした災害等が起こりました場合には、まさに不特定多数といいましょうか、学校に通ってくる生徒さんたち以外にもたくさんの地域の方々が御利用になる、そういう機能も持つ公共施設でございますから、私は、学校は、このハートビル法の中で特定建築物に指定をすべきものだというふうに考えますが、大臣、御所見はいかがでしょうか。
  141. 中山正暉

    中山国務大臣 先生は、日本女子大でも社会福祉学科という学問を勉強していらっしゃったわけで、成果を政治の世界に本当に実践的にやっていらっしゃることにまず敬意を表したいと思います。  私も、若いとき、昭和五十一年でしたが、早川崇厚生大臣のもとで政務次官をしたことがございまして、そんな意味で、先生の御意見、ユニバーサルデザインといいますか、妊婦でも何でも、子供さんでもお年寄りでも、それからまた、その中でバリアフリーという義務づけを行うことを、民間の建築物を対象としても十分な国民的なコンセンサスが求められるところでございますが、これから、いわゆる現行ハートビル法に基づきまして、不特定多数、不特定かつ多数の利用者が利用する特定建築物の建築主に対してバリアフリー化の努力義務を課すとともに、補助それから税制、融資等による誘導措置を活用することによりバリアフリー化の推進を図っているところでございます。当面は、これらの措置を活用して積極的に建築物のバリアフリー化を推進していくことにしております。  先生の御指摘の学校についてのお話でございますが、ハートビル法の対象になる建築物の範囲や基準等については、必要に応じて検討を行い、適宜的確な対応を図ってまいるということでございますけれども、私は、やはり地元の学校の建てかえで、大阪の市内のことでございますが、教育委員会に聞きましたら、ある中学校で、今、昭和二十年代のものを改築、改造しているということを言うわけでございまして、まだ三十年代に建てられたものには手が及びません、こういうことでございます。  私は、先生のおっしゃることは個人的には大変適切だと思っております。ですから、建設行政の中でも、文部省とかそれから教育委員会というのは、ハートビル法を適用しますといろいろまた費用がかかるものでございますから、財政的な問題で、現状の学校の中にそういうものを組み込んでいくということにはいろいろ逡巡をする立場もあるのかもわかりませんが、まず隗より始めよという言葉がありますから、国の機関なんかは率先していろいろそれに対する対応、なかなか一遍にというわけにはいかないかもわかりませんが、先生の御趣旨は私は政治家の一人としてよく理解ができる、そういう意味で、その立場で、これから文部省やら教育委員会皆さんにもお願いをする、建設行政の中でそういうことの進捗を図る努力をいたさなければならないのではないか、かように考えております。
  142. 石毛えい子

    ○石毛分科員 ありがとうございます。  個人的な心情というふうにおっしゃられましたけれども、ぜひともそれを公の政策として展開していただきますよう、私からはそういうふうに申し上げさせていただきたいと思います。  それでは、関連した質問でございますけれども、大臣も今お述べになられましたように、このハートビル法の対象となる建築物には補助制度や税制上の特例措置、低利融資あるいは容積率の特例などのメリットと申しましょうか、推奨策がございます。  では、実際にこの推奨策がどれぐらいの効果を発揮したかということだと思いますが、これまでにこの制度を活用して建設されました認定建築物はどれぐらいになりますでしょうか。また、それは、なかなか計算の仕方が難しいのかとは思いますけれども、全体の建築物の中でどれぐらいの割合を占めるようになっておりますでしょうか。そこをお教えいただきたいと思います。
  143. 那珂正

    ○那珂政府参考人 十年度末現在で、ハートビル法の認定建築物数は累計で一千六十二件でございます。  これが特定建築物のうちどのぐらいかということで、なかなか全体を把握するのは難しいんですが、少なくとも指示対象となる床面積二千平方メートル以上のものについては把握できますので、それについて申し上げますと、おおむね毎年毎年の新築ベースで約一割程度が認定建築物であると推計されております。
  144. 石毛えい子

    ○石毛分科員 住宅局長、大変恐縮でございますが、この一割ぐらいといいますのは、政策立案の側にお立ちになられましたときに、どのような評価をなさいますでしょうか。ちょっとこれは質問外で恐縮でございますけれども、私は、病院または診療所ですとか、百貨店、マーケット、ホテル、旅館、それから老人福祉センター、児童厚生施設等々が入っているのを拝見しますと、もう少し多くてもいいのかな、そういう思いがいたすわけでございますけれども、いかがでございましょうか。
  145. 那珂正

    ○那珂政府参考人 おっしゃるとおり、正直申し上げまして、一割程度というのはフローベースで見ても十分な割合とは言えないと思います。  ただ、認定されていなくても、このハートビル法の趣旨を理解されて、実際に主要な部分をバリアフリー化されているという建築物は、これも相当程度あるというふうに推計されます。これが認定建築物の倍なのか三倍なのか、そこはちょっと推計の域を出ないわけですけれども、いずれにしても、二倍でも二割、三倍でも三割程度でございますので、先生おっしゃるように、現段階で必ずしも十分な成果を上げているとは申し上げるわけではございません。
  146. 石毛えい子

    ○石毛分科員 実は、大臣は先ほど私の卒業した学校についてお触れいただきましたけれども、私が長年住まわせていただいている東京の町田市というところも、日本で一番最初にハンディキャブを走らせた町ですし、それから、ハートビル法に先立ちまして、公共的な建築物をバリアフリーでということで、銀行ですとかデパート等々、バリアフリーを進めてきた町でございます。今その町を私は歩いておりますと、本当に車いすを御利用の方ですとか白杖を使われた方、たくさんの方々にほぼ日常的と言ってもいいぐらい出会うような町になっているということにある種の感慨を持っているところでございます。  住宅局長も御答弁になられましたように、ハートビル法の認定建築物ではなくても、そういう別のつくられた建築物が文化としてそうしたバリアフリーのまちづくりを進めている、そういう方向性は私は出てきているんだというふうに思うわけでございますけれども、しかしながら、やはり一割というのは少ないのではないかという思いがいたします。  そこで、公益上必要な建築物すべてとは私は申し上げるつもりはございませんけれども、役所ですとか、あるいは、役所が建てるあるいは運営する建物、そして、もう一度学校に触れさせていただきますけれども、学校などは積極的に、この奨励法という法律の進め方ではなくて、それは経過措置は必要かとも思いますが、義務法に変えていく、義務規定に変えていくということが、思い切って本当に人に優しいまちづくりを進めていくという意味では有効性が高いのではないかというふうに考えます。  こうしたところに思い切って公共工事を進めていくというふうにお考えになられるのが時代の方向性だと思いますが、大臣からもう一度前向きの御答弁をお願いしたいと思います。
  147. 中山正暉

    中山国務大臣 八代英太議員が出てこられて、今車いすの閣僚が出られたので、議員として出てこられたときに、国会でいわゆるバリアフリーの改造が大分行われました。あれだけで二億円かかったそうでございます。また、今、総理官邸もエレベーターがつけられました。この間皇居へ行きまして、八代先生が皇居の中のエレベーターに乗られるというので、私も一緒に乗ってみました。  そういうふうに、なかなか総理官邸も古い、ライト教授がお建てになって昭和二年にできた総理官邸でございますから、国会は昭和十一年、ついおとといが二・二六事件の日でございましたが、ちょうど二・二六事件が起こったときにこの国会ができましたから、そこへバリアフリー化が今、現実に八代先生がお出ましになったことで始まったということで、これは先生おっしゃるように本当に、御意見として私拝聴をいたしましたが、これは大いにそういう問題に真剣に取り組まないと、アメリカあたりに行きますと、やっとこのごろ日本あたりが道が大分バリアフリー化してきたなという思いがいたしますが、そういう問題は真剣に、ひとつ国際水準になるような努力をいたさなければいけないなと思います。
  148. 石毛えい子

    ○石毛分科員 大臣が国際化とおっしゃってくださいましたので、私もまた記憶がよみがえってまいりましたけれども、私の車いすの友人で、クリントン大統領のリハビリテーションの特別任命官をされておられるジュディ・ヒューマンという方がおられます。一年に一度ぐらい日本に来られて、私の事務所にもいつも寄ってくださるのですけれども、議員会館は車いす利用のトイレが一階におりなければないとか、それから女性用については非常に不便だとか、そういう御指摘をいただいております。  この建物を改築するというのは大変お金がかかるでしょうし、困難だと思いますけれども、新しくできるもの、とりわけ公共建築物については義務規定を設けていただくことが、私はバリアフリーのまちづくりを進める非常に積極的な推進策になると思いますし、それから、時代が違っていたとおっしゃられればそれまでですけれども、今日のような時代ですと、どこまでどんなふうに変えるべきかということは、ぜひとも障害をお持ちの当事者の方々の御参加をいただいて検討していくのが現代の方法だと思います。  恐らく、事務担当の方にお尋ねさせていただきましたときに、例えば階段の幅ですとかのりをどうするかというようなことにつきましては、当事者の御意見をお聞きになられたのだと思います。当事者の御意見を伺ったというふうにおっしゃられておりましたけれども、もっと積極的に聞かれていけば、きっと義務化をしてほしいという要請もされたのではないかと私は推察するところでございます。  これから、この法律、ぜひ見直していっていただきたいと思いますし、大臣も前向きの御回答をいただきましたので、早急に見直しに着手していただければというふうに要請を申し上げまして、次の質問に移りたいと思います。  次でございますけれども、公営住宅への単身障害者の方の入居の問題をめぐってでございます。  入居者資格を定めました公営住宅法施行令第六条には、身体上または精神上著しい障害があるために云々、そういう書かれ方がされています。しかし、その具体的な内容につきまして、年齢ですとか障害等々を定めた要件を見ますと、この要件には、知的障害を持つ方など身体障害以外の障害者の方が挙げられておりません。法文になっている部分と具体的に指摘されている内容にそごがあるというふうに、私はこの施行令六条を読んで思っているところです。  そこで、障害者基本法が制定されて、障害者は身体障害の方だけではなく、知的障害、精神障害の方も障害を持つ方というふうに法律の中でも明記されるようになっているこの時代でございますから、知的障害を持つ方についても、介護の体制が確保されているのであれば、公営住宅に単身で入居できるよう積極的に対応を進めるべきだと考えますが、いかがでございましょうか。
  149. 那珂正

    ○那珂政府参考人 お尋ねの点は、公営住宅に単身で入居できる人の要件についてでございます。  御指摘のように、具体的には施行令六条に定められているわけでございますけれども、正確に申し上げますと、今先生お触れになった、身体上または精神上著しい障害があるために常時の介護を必要とする者でその公営住宅への入居がその者の実情に照らし適切でないと認められるものを除いた次の一号から六号までの人が入居の対象になるという、限定列挙の形になっているわけでございます。  そういうこの六条の規定に基づいて、具体的には、例えば賃貸借契約を結ぶ当事者としての責任能力がおありになるかどうかとか、あるいは単身で生活できるかというような判断が非常に難しい、実際問題非常に難しいというところ、現在のところ制度的にあるいは実態的にその知的障害者の方の単身入居は、おっしゃるとおり認められていません。  ただし、先生御存じだと思いますが、五十歳以上の老人の方は、この規定によれば一応対象になっておりますが、現状はそういうことでございます。  しかしながら、実際問題、知的障害者の方については、知的障害者を含む世帯が公営住宅に入居されるときには優先入居の規定あるいは入居基準の緩和等の措置を講じておりますほか、公営住宅を知的障害者グループホーム事業に活用することは近年非常に多くなってきておりまして、こういう措置を積極的に講じているところでございます。  御指摘の、単身入居の問題につきましては、今申し上げましたグループホーム事業のいろいろな実施状況あるいは昨年成立いたしましたが、成年後見制度の定着状況あるいはさらに、一番問題なのは、障害福祉を担当する関係行政機関の考え方、意見などを踏まえまして、御指摘の趣旨に沿って具体的に検討していきたいと思います。
  150. 石毛えい子

    ○石毛分科員 時間もなくなりましたので、質問させていただきたい点、まだございますけれども、住宅局長、大変恐縮でございますけれども、次の質問に移らせていただきたいと思います。これから具体的な論議をさせていただきたいと思いますので、ぜひよろしくお受けとめください。  最後の質問になりますけれども、公契約における厚生労働基準ということについてお尋ねをさせていただきたいと思いますが、本日は、建設省建設経済局長と自治省行政局長が連名で出されております「地方公共団体の公共工事に係る入札・契約手続」という中で触れられています最低制限価格制度と低入札価格調査制度に関しましてどのような基準が設定されておられるのか、その中身について御指摘をいただきたいと思います。
  151. 風岡典之

    ○風岡政府参考人 御指摘の最低制限価格、それから低入札価格調査制度、これにつきましての基準は、法令上は特に特段の定めはございません。  私ども、直轄工事におきましては、低入札価格調査制度については運用の基準というのを定めておりまして、それは直接工事費の全額、それから共通仮設費の全額、それから現場管理費につきましては五分の一、その三つを足したものをもって基準価格というような取り扱いをしているところであります。
  152. 石毛えい子

    ○石毛分科員 この低入札価格調査制度の中で、例えば賃金ですとか労働時間ないしは労働安全衛生などの側面については指摘をされているのでしょうか。いかがでしょうか。そこのあたりをお教えいただきたいと思います。
  153. 風岡典之

    ○風岡政府参考人 今の調査基準価格の内容といたしましては、労働者の賃金につきましては直接工事費の中に含まれております。それから、現場管理費は五分の一を計上するというふうに言っておりますけれども、この内容としましては、労働者のための法定福利費相当額というものがこれに当たるということでありますので、労働者につきましての賃金あるいは福祉につきましては、調査基準価格を設定する段階で十分考慮している、このように言えようかと思います。
  154. 石毛えい子

    ○石毛分科員 入札価格についてはこの調査制度を設けられておりますけれども、それでは評価はどのようにされているのでしょうか。それで質問を終わらせていただきます。
  155. 萩山教嚴

    萩山主査 風岡建設経済局長。持ち時間終了でございますので、迅速にひとつお願いいたします。
  156. 風岡典之

    ○風岡政府参考人 低入札価格の入札が行われた場合にはもちろん調査をするわけでございますけれども、まずは、どういう理由でその価格で入札をするのか、また、必要に応じまして入札価格の内訳書を出していただくとか、あるいは手持ち工事とかあるいは手持ちの機械の状況とか資材の状況がどうなっているかというようなことを、いろいろな項目につきまして入札参加者からお聞きするとか、あるいは関係の機関に照会をする、そういったものをもとにしまして、その価格で工事が的確に実施できるかどうか、これは発注主体の方で判断をさせていただいている、このようなことでございます。
  157. 石毛えい子

    ○石毛分科員 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。
  158. 萩山教嚴

    萩山主査 これにて石毛さんの質疑は終了いたしました。  次に、金子満広君。
  159. 金子満広

    金子(満)分科員 限定された時間でありますから、前置きは抜きにして早速質問に入ります。  質問は、あらかじめお知らせしてあるように、栃木県の思川開発の問題についてです。  御承知のように、この開発計画が当初発表されたのは一九六四年ですから、もう三十六年になります。こういう中で、最初からこの開発については、現地である今市市は市議会で反対の決議を全会一致でやりました。それ以後何回も決議がされておりますが、今日もこの態度は変わっていません。同時にまた、南摩ダムの建設予定地と言われる鹿沼市でも、市内のダム建設予定地はもちろんのこと、多くの住民運動が反対に立ち上がっています。栃木県下でも反対運動というのはずっと広がっているわけです。  こういう中で、御承知のように、吉野川のあの可動堰問題での徳島市民の投票があった、それから愛知万博に対するBIEからのいろいろな指摘があった、こういう中で、自然を守ることがいかに大事かという点で大臣もいろいろ発言されておりますし、否定的なことは言っていませんし、できるところではこういうような手直しもということも聞こえるわけです。  そういう中で、思川開発についても、まだ本工事は全然入っていないのですから幾らでも見直しをすることはできると思います。これまでの計画をごり押しするということでなくて、今いろいろな意見が出ているわけですから、この率直な意見を、大臣の性格からして聞こうという意欲は大いにあると思うので、その点を最初に伺っておきたいと思います。
  160. 中山正暉

    中山国務大臣 ダム工事なんというのはなかなか長いことかかるもので、三十六年というお話がございましたが、事業地とそれから受益地の異なる場合が多うございますし、また、事業地においては水没等によって社会環境に影響を及ぼす場合も多いことから、地域の御理解を得るのが本当に大切なことだと思っております。  水資源開発公団が実施しております思川開発事業においては、長年にわたって話し合いをさせていただいた結果、南摩ダムのダムサイト下流の一部の方々に対して、今後とも御理解を得られるようにさらに努力を重ねていく必要があると思います。水没する七十六戸の方々については、ダム事業に御理解を示されて、一日も早い生活再建を望まれている状況があるということを聞いております。  また、思川開発事業では、大谷川からの導水を行う計画としておりますが、導水のための取水が行われる予定の今市市においては、十分理解を得られている状態ではない。ここでは住民投票があるということでございましたが、市議会の方がそれは自分たちの任務だということで、住民投票をかえってお断りになったということでございます。  今後とも、そういう地域地域関係の方々の御意見を聞き、また金子先生の御示唆もいただきながら検討を加えていきたいと思っております。
  161. 金子満広

    金子(満)分科員 いろいろありますけれども、一番大事なことというのは、こういう大型の公共事業ですから、そういう中で三十余年間にわたって、一筋じゃないのですね。ダムをつくるということだけは同じだけれども、目的がやたら変わる、それからダムの形態も変わっちゃう、そういうことがやられるし、例えばダムも重力式コンクリートダムで始まった、そうしたら全然手をつけないうちにまたがらっと変わっちゃって、今度はロックフィルダムになってしまう。それから、当初予算は百八十億円と当時の新聞に全部出ている。そうしたら、だんだんどこでどう膨らんだかわからない間に、今では二千五百二十億円になっちゃう、計算してみると十四倍だ、そういう状態が出る。そして、最初、目的の中にあった東京の生活用水確保が全部なくなっちゃう。それから、発電所をつくる、これもいつの間にか消えてなくなっちゃう。そして、工業用水と言ったら、工場はできない、団地はだめ。こういうような答えがずっとあるわけです。  問題は、最初の計画も計画変更も、現地の住民や自治体と十分相談に乗っていないのですね。それで、悪い言葉で言えば、机の上で計算して考えてこれを押しつけてきたということであります。けれども、計画の変更というのはどこでやるのですか、これは明らかにされていないですね。
  162. 竹村公太郎

    ○竹村政府参考人 お答えいたします。  本事業、思川開発事業は、水資源開発公団事業でございまして、水資源開発促進法及び水資源開発公団法及びその関連する水資源開発公団法施行令という法律で規定されております。計画の内容は、すべてこの法に基づいて行われております。  ただいま先生の御指摘のありました、確かに昭和三十九年ごろから構想が出されました。御承知のように、三十九年と申しますと、最初に構想が生まれたときは、これから日本が高度成長する前段でございまして、最大限水資源開発をしようじゃないかというような構想からスタートしたわけでございますが、その後の社会的な状況の変化を的確に把握し、そして、関係者への配慮はもとよりでございますが、水を分水する今市の方々の社会的な状況、環境問題、既得水利、既得農業用水や地下水への影響等を考えまして、平成六年五月に、建設大臣より水資源開発公団に対しまして事業実施方針の指示がございました。そして、それを受けて、水資源開発公団が平成六年十一月に計画をして認可をされております。ということで、その中で初めて事業費も二千五百二十億と設定されて、そして水資源開発も、当初の構想より半分の、分水の影響を非常に抑えた形で、そして利水者も初めてそこで確定してございます。  要は、法律に基づいてこの事業の手続が行われているということでございます。
  163. 金子満広

    金子(満)分科員 質問に正確にお答えにならないのですけれども、どこでどう決めたはわかるのです。地域の住民や自治体の意見を聞いたか。  これは日弁連が鹿沼の市役所で市の代表と話し合ったときも、市の側は、市は国の策定した計画については全くかかわってこなかったと。ですから公団で、そして建設省でどんどん決めていくわけです。それを押しつけてくる。  今の経過の中でよくわかるんです。そういう中でお話にもありましたが、この開発は普通のダムと違うんですね。南摩ダム、南摩ダムというけれども、あそこは水がないんですよ。だから、今市市の大谷川から水を二十キロも山の中をトンネルで通さなければできないんですね。大谷川が嫌だと言えばダムはできないんです。そういう中で、いろいろあるけれども、今市市の方は、当初の計画では、これは大臣の方に決議は出してあります「当地方の産業発展を阻害し、市民生活を脅かすおそれのある大谷川取水計画に対し、全市を挙げて反対する」、これはなかなか当時聞き入れられていなかった。ですからまた同じ決議を繰り返す。それは二枚目にあります。  問題は、今河川局長が言われた、平成六年、一九九四年に今市市に対して新しい計画の変更を出すわけです。これが問題なんです。それは、言われるとおり、大谷川からとる水の量を半分に減らすというんです。そして行川に新しいダムをつくる。水が今市で不足したら、百六十メーター下の南摩ダムから逆送して水を送る、これはすごい計画だとだれでも思ったと思うんです。  これは、考えてみても、今市を賛成に回すための手だな。これは大臣は当時全然知らないと思うんですよ。それで現地にそれを持ってきたから怒りが広がるわけです。そして今度は、水をやることに反対だけではなくて、これも決議の中にありますけれども、「思川開発事業計画の中止を含めた見直しを再考されるよう地方自治法九十九条二項の規定によって意見書」を出します、これを総理や建設大臣に出しておるわけです。ところが、これもだめなんですね。聞かないので、今度は、翌年また、同じ決議だけれども、「見直しを再々考されるように」とまた出てくるんです。これも全然聞いていないし、このことは今大臣も報告は受けていると思うんですよ、担当者から。受けていなかったら、報告しない方が大事な問題になりますからね。  それで、私は、最初の計画も途中の変更も、当時だれが発案したかというのは人も皆わかるわけです。私は、極端な言葉で言えば、非常にずさんだったと思うんです。それを社会情勢の変化に持っていっちゃいかぬと思うんですよ。ダムの形態なんというのは初めからわかっている、社会情勢で変わるんじゃないんだから。そういう点を考えたときに、科学的な展望を持っていなかった、これが事実、三十余年の経過の中ではっきりしていると思うんですね。  ですから、そういう中で、例えば南摩の話がずっと出ました。大臣、これも最初に受けた報告でなされたと思うんですね。三十数年間翻弄されるわけですよ。どんなことになるか。一つしかない小学校の増改築もやらないんです。明治のときにつくったものです。生活道路の改善も舗装もやらない。ちょっとした大きいトラックは、ぶつかるから後ろへ下がる、前へ行けない、Uターンなんかできやしない、こういう状態だ。それだけじゃないんですね。私も直接会って聞きました。三十数年前に、結婚して、増築しようとしたら、どうせ沈むんならだめだと言われて増築もできない。気がついてみたら六十近くなっている。亡くなった人の石碑を建てよう、建てたってだめだよ、またつぶされて湖だ、こういうようなことを言われているんですね。  私は、そういう人の気持ち、こういうずさんな計画、科学的な見通しのないことをやってきたんだからそういうのがどういう事態を引き起こしているかというのは、大臣、これは想像できると思うんですね、一言で。今うなずいてくれましたが、私はそうだと思うんです。  それから、鹿沼では、もう一つは、南摩ダムと関連して東大芦川というところにダムをつくられる。これは日光の手前なんです。きれいな川が流れていて、ここには有名なニッコウイワナというんですけれども、ここしかいないんですよ。これも全部パアになるわけです。だから、漁業組合の方はもう全員反対ですね。そして、その地域は挙げて反対。これは、国じゃなくて県の事業なんですね。  治水だ、治水だ、台風になったら困ると。ところが、明治から台風がないんだよ、ここは。降っても大丈夫なんです。そうすると、今度は飲み水に少しと言う。これは説得力ないし、県の計画のダムなんだ。これも思川開発の中の一部分としてやるわけですけれども、自然というのは一度壊せばもとには戻らない。ですから、大臣がやっているうちに、私は、そういう点では今までのを引き継いでいくというんじゃなくて、ここはやめた方がいい、変えるべきだというのを、全然まだ手がついていないんですから、これはぜひやってほしいと思うんですね。その点はお願いしたいと思うんです。
  164. 中山正暉

    中山国務大臣 実はきのう、日曜日でございましたが、大阪と兵庫県の間を流れます猪名川の加茂井堰というのが二十六年ぶりに起工式が行われまして、きのう出てまいりました。ここは、住民投票も何もなしで、国会議員先生方もお祝いに出てくださったりしております。  先生の今の御指摘の問題も、ここにも写しがございますが、思川開発大谷川取水反対に関する決議、昭和四十四年の七月の十日と書いてありますから、私らが国会に当選したころじゃないですかね。そのころから、その次は五十七年、一九八二年六月十五日とか、ずっとこれはいっぱい出ておりますし、それから、日弁連からも何か弁護士さんじゃなくて検察官みたいな意見が随分出ておりますから、先生のそういう御指摘、ダム事業というのは一般に長期間にわたることが多うございまして、事業地内の方々にとっては、用地交渉が妥結して移転が決まるまでの過程において、新たな生活設計、それは人生どんどん、三十六年間には変わってまいります。一歳で生まれた人も三十六歳になるわけでございますから、御心労をおかけしている場合も多いと思います。  こんなことから、用地取得等に際して誠意ある対応を行うとともに、できる限り早期にダムに対する皆さんのお考えをまとめて、私も、日光の華厳滝の下流のところから水をとって、またそれを逆流させる、水利の問題というのは水理学という難しい学問で計算をしていろいろなことをやりますが、三十六年の間には、技術は、こういういい方法もあるとか、こういうこともやらなきゃいけないという、やっている方にとりましては、いろいろな理想の形を追求しようという形になってくるのは、これは学問をやっている人の大変専門的な部分だと思いますので、私が急にとめるというわけにもいきません、わずかの間この地位にいるだけでございますから。しかし、皆さんのいい結果が得られますように、その地域の経済力とか、それから農業とかいろいろなことで便宜を図れることは、長い日本のこれからの国家的な使命からしましたら、三十六年間というのは逆に考えれば一瞬のことかもわかりませんから、将来にいい結果を得られますように、ひとつ考えさせていきたいと思っております。
  165. 金子満広

    金子(満)分科員 中山さん、わずかな時間だと言うが、私はそのわずかの時間にやってほしいんですよ。長いことかけていたらだめになっちゃうんですからね。いずれにしても、誠意を持って現地の声も聞くということは確認してやりたいと思うんです。  今思川開発は、あの地域だけではなくて全国的になっているというのは、今お話しになりました日弁連ですね。九七年に現地調査をして、今市市それから鹿沼市の当局、県や水資源公団やいろいろの団体とも意見交換をして、その結果まとめたのが政府にも提出されている内容なんですね。検察官的だというふうに言われましたけれども、はっきり物を言った方がいいんで、どっちともとれるようなことではなくて、そこには明確に書いてあるんですね。「意見を聞いた後、市民参加のもとに事業の中止を含む抜本的な見直しを改めて実施すべきである」、こういう意見書を出した。  こういう中で、私も現地も視察に行ってお世話になったところですから、はっと思ったのは、今月の十二日の朝日新聞の報道なんです。これは建設省のものですけれども、これが治水のあり方を二十年ぶりに再検討するというので、そのまま紹介すると、「国の治水のあり方を約二十年ぶりに抜本的に見直すことを決め、建設大臣の諮問機関である河川審議会に諮問した。」今度は、これも記事ですから、「審議会は住民意見を取り入れた流域治水計画の策定方法なども討議する、今年秋をめどに建設相に答申をする」、こう出ておるわけです。それを見て、これはなかなかやるなと思ったんです。  今度は、ちょうど中山さんは国土庁兼務されているわけですね。そうしたら、十六日に下野新聞のトップに出たんです。何と書いてあるかというと、「思川開発国土庁 今市に「水特法並み」適用 取水地に異例の措置 市の態度軟化が狙い」と書いてある。それでその中で、「大谷川からの取水に反発する今市市の態度を軟化させるのが狙いだが、水特法による地域整備事業は水没地に限っており、取水地で水没地並みの事業実施するのは極めて異例だ。」と論評し、最後のところで、「取水地への適用は全国でも例がない。」というわけだ。私は、これは重大な問題であると思うんです。だから、十二日の新聞に出たのとこれは全然違っちゃうんですね。  そういう中で、いろいろあると思うんですが、この下野新聞を見たときに、こうだと思って、国土庁の担当者から意見を聞きました。そうしたら、これはまだ国土庁の見解ではありません、国土庁で決めたものではない、そういうお話ですと国土庁のだれかが言っているわけですけれども、その後明らかになったところでは、国土庁の担当者が出向いているわけです。そして、この話をしているんですね。  そして、現地でも県の段階でも問題になっているのは、今市市を水特法の地域整備事業、これを条件にして賛成に変えさせようということではないか。ですから、一九九四年に大谷川からの水を半分にするとか行川ダムをつくるとか、これで何とか緩和してもらおうと思ったができない。今度は、水特法の特例というか拡大解釈というか、これを担当者がやっていると思う、やっているんですね。  ですから、いろいろ言われてみても、こうしたやり方は、住民には知らせないで水面下でやっている工作だとしか思えないんです。これはもうみんな現地で大きな声でしゃべっていますから、こういう公表できないようなやり方というのは私は直ちにやめるべきだと思う。それで堂々と話をすりゃいいんです、秘密のことじゃなくて、根回しじゃないんだから。その点をひとつ、大臣
  166. 鈴木藤一郎

    ○鈴木政府参考人 ただいまのお尋ねの件でございますが、南摩ダムの水特法に基づきますダム指定の調整を国土庁が行ったことがございます。その際、栃木県から、大谷川の取水についても水特法の適用は可能かどうか、こういうお話があったわけでございます。これに対しまして、私ども水特法を所管する国土庁の立場といたしまして、水特法の適用はできません、しかしながら関係省庁の協力のもとに、水特法に準じた措置を講じることについて、関係地方公共団体の意向を踏まえながら、今後具体的に検討することが必要であると考えられる、こういったことを栃木県に回答したわけでございます。その点に関します御質問だと存じます。  ただいま、この点に関しまして、国土庁の方から現地に赴いてそういった考え方を伝えたというようなお話ございましたが、私の承知している限りそういった事実はございません。  が、今後仮に地元関係自治体から地域整備計画等の具体の要望が出てくるということになりますと、まずは栃木県において関係市町村の意見を聞く、そういった手続を経まして、そして具体の内容の詰めが行われまして、それを受けて国土庁が窓口となりまして関係省庁と協議しながら水特法に準じた具体的措置を固めていく。あくまでも、そういったことが仮に地元から出てきた場合ということでございます。  なお、参考までに申し上げますと、水特法が適用される場合におきましても、国土庁みずからが直接地元地方公共団体や住民の方からお話を伺うということではなくて、国土庁は、地元の首長さんの意見を聞いて県が作成した整備計画の案、そういったものを関係省庁に協議するという立場であるということを御理解いただきたいと存じます。
  167. 金子満広

    金子(満)分科員 言われていることはそれしか出ないと思うんです。だから私は、現地といっても栃木も現地なんです、県庁も。県庁と話し合っておることは間違いないんです。しかし、大臣まで認可してこれでやれということじゃないんですよ。いわば根回しなんですよ。その根回しをやってまとまったら報告して判をついてくれということだと思うよ。これを秘密でやっているから大変なことになる。漏れちゃうんです、しゃべれば。  一人でできるのは夢見るだけなんですよ。これは相手がいるんだから、どんどん出ちゃう。それで新しく怒りが組織されるんだ。これが今だと思う。  だから私は、こういう点は慎重にでなくてオープンでやってくれ。それでよけりゃいい、悪けりゃ悪いとみんなの前でやるのがこれが民主主義ですからね。  さあそこで、時間がありませんから、今ダム建設の問題については、日本だけでなくて国際的にも大きな問題になっておる。今日本の国内で建設中と建設予定を入れると五百を超えているんですよね。だから、ダムはムダだという言葉が言われるくらい広がっていると思う。そういう中で報道によっても、アメリカではダムの建設はこれからはやらないという方向が前面に出る、現在百を数えるダム地域でダムを壊す、ダムを解体して自然に戻してやると。川は永久のものだけれどもダムは限定された時間でだめになる、これを近代の政治家は知るべきだ。  御承知と思いますが、きのうとおととい、ベトナムのハノイで、国連の専門機関や各国の政府、NGOなどの協力でおととし結成された世界ダム委員会が主催する、東・東南アジア地域での会議が開かれたわけです。これはいろいろマスコミの方もキャッチしているところもあると思いますが、私どもの党は赤旗の特派員がいますから、細かい記事を全部送ってもらいました。  こういう中で日本から出席されている中に堀博さんという方が出ています。これは現在、国際水資源学会日本国内委員会の会長さんで、そしてこれまで河川の仕事をやってきたんですが、元国連開発計画上級技術顧問、その方が出席している。それからもう一つは、長良川の河口堰をやめさせる市民の会議がありますが、よく論文を書いている天野礼子さんと二人で出ているんですね。  そういう中で何を決めているかということになると、環境をどう守るか、住民の意見をどう聞くかが中心になって、全部発言しているんです。  私は、これはそうだと思うし、こういう中で、最後に、思川のダム建設の問題でも、環境はどうなるか、自然はどうなるか、みんな神経を使っていますし、住民参加とか権利保障をどうするかという点については、まだ具体的に道はあかないわけなんですね。それで、既定方針を押しつけるだけじゃ、もう矛盾は拡大するばかりだ、今はそこに来ていると思うんです。それを緩和するために水面下でやる、やったところが、またこれなんです。もうこういうのは、私は、中山さんの性格は、やはり下工作するのは嫌だと思うんです。堂々とやればいいんです。やはり、言葉がこれは正確じゃないかもしれないけれども、官僚というのは、何とか思ったことを通すために、あの手この手を知っているんです、みんな。だから、政治家はそこのところを大胆に克服しなけりゃならぬ。まだ本工事に移っていないんだし、ダムは一メーターも積んでいないんだから、年じゅう変わっているんだから、こういうときに、私は、幸い、建設省国土庁中山さんは兼務しているんだから、一人二役ができるわけだから、ひとつ現地へ行って、現地の声をじかに聞いてほしいと思うんです。ろ過してくると、方針に合うことしか出してこない。だから、中山さんが行けば、これは嫌だと平気で言うと思うんです。聞いたって怒る人じゃないんだから。私は、そういう点は大胆にやることを最後に提案をし、いつとは言わないけれども、ぜひやってほしいと思うんです。
  168. 中山正暉

    中山国務大臣 先生のいろいろなお話を伺いまして、単純でございますので、いろいろこれから考えていきたいと思いますが、思川とはよく言ったもので、本当にいろいろな思いがあると思いますし、ダムというのは、逆に読むとムダということにもなりますから、むだなものならばやめなきゃいけないでしょうし、いまいち御理解を得ていないと思いますから、その意味では、思川開発事業というのは、思川沿川等の洪水被害の軽減とか、それからかんがい用水の供給とか、栃木県とか埼玉県、それから千葉、茨城県下の各利水者への水道用水や栃木県の工業用水の供給とか、それから利根川及び鬼怒川流域の異常渇水時の緊急用水の補給などが目的でございまして、地元栃木県はもとより、関東地方全体にとっての重要な事業であると私は聞いておりますので、着実な進捗が図れるよう水資源開発公団を指導している立場から、先生の御意見も肝に銘じながら対応してまいりたい。  この間も、岩佐先生の御案内で、圏央道にも行ってまいりました。現地の皆さんの話も伺ったりしておりますので、確かに、現場に入ること、足を満たすといって、満足というのは足を満たすことだ、こういうことでございますから、そういう時期が来ましたら、そういう対応もいたしますが、そのときはもう大臣でないかもわかりませんので、皆さんの話を聞きながら、私がおります間、皆さんの懸命に対応をしている、長い歴史のある、三十六年間の歴史でございますから、それにふさわしい対応をしてまいりたいと思います。
  169. 金子満広

    金子(満)分科員 最後に一言。  大臣のうちに来た方がいいです、私が案内しますから。ぜひ来て生の声を聞いた方が今後に生きますから、よろしくお願いします。
  170. 萩山教嚴

    萩山主査 これにて金子君の質疑は終了いたしました。  次に、小林守君。
  171. 小林守

    小林(守)分科員 民主党の小林守でございます。  今、金子委員の方から思川開発事業についての総括的な、また今日的な御質問があったわけでありまして、まさに私自身にとっては地元中の地元、選挙区でございます。そういう点で、触れていただいたことに感謝を申し上げると同時に、質問の趣旨も金子委員さんとそう変わらないというような思いでございます。それで、本当に地元なものですから、少し具体的な、踏み込んだことで質問をさせていただきたいなと思っているところであります。  二十五日、今市市の方で今市市建設業組合の百五、六十名の方が集まって、栃木県とそれから水資源の公団から、今度の国土庁の方針と言っていいと思うのですけれども、下野新聞に報道されました、今市に対して水特法並みの適用をするというような記事を受けて、既に県や公団が動いて、今市市の建設業組合の皆さんを集めてその説明会を持ったという事実がございます。形の上では建設業組合が呼んでその説明を聞いたということでありますけれども、先ほどのお話では、国土庁はまだ決めたものではないというようなお話もございました。  そういうことで、これは大変な問題ではないか。これだけ、もう既に地元では、県や公団は国土庁の基本的な考え方、方向に沿って地ならしの動きを始めているというような状況でありますから、国土庁はまだ決めていませんというような話は通用しない問題ではないかな、このように思えてなりません。  まず第一点、そこを確認しておきたいと思います。
  172. 中山正暉

    中山国務大臣 思川開発事業は、今市市の大谷川からの取水施設、鹿沼市の南摩ダム及びこれらを連絡する導水路などから成っておりまして、洪水被害の軽減、都市用水の開発等を目的とする事業でございます。  このうち、南摩ダムについては、既に水源地域対策特別措置法の対象として指定ダムの指定が一昨年なされているところでございまして、今後、各種の整備計画の検討が予定されているところでございます。一方、今市市における取水施設については、水没家屋がないことなどから水特法上の要件を満たしていないために、水特法の対象にはならないと思っております。  思川開発事業を推進するに当たりましては、今市市の大谷川からの取水が前提であることから、国土庁としては、今市市の理解と協力が不可欠であると思っております。このため、水特法に準じた措置が必要ではないかと考えているところでございますが、このことは、水特法が制定された際の参議院建設委員会の附帯決議の「本法の適用をうけないダム、河口堰等についても、所要の措置を検討し、本法に準ずる措置を講ずるよう努めること。」という趣旨に沿ったものであると考えております。  水源地域対策特別措置法に準じた措置として具体的に何が必要かについては、関係地方公共団体の意向が示された段階で、関係省庁とも十分に相談をしながら今後検討してまいる、かように考えております。  また、鹿沼市役所にお勤めになっておられた先生のお地元のお知恵を拝借したいと思います。
  173. 小林守

    小林(守)分科員 そういう考え方を地元、県、公団に対して示したということですね。こういうことで、地元が話がつくならば上げてこいよということなんでしょうか。それだったらば、関係省庁、建設省あたりになるんでしょうか、そういうところに予算措置をさせるよというようなことなんでしょうか。  要は、この決定責任者はだれなのかということなんですよ。県や公団に、そういう方向ならば配慮の余地があるし、準じた取り扱いができるという前提に立って指示をしているわけですよね。その指示をした決定責任者はだれかということなんですが、それはいかがですか。
  174. 中山正暉

    中山国務大臣 国土庁として調整機能を発揮するということでございますので、地域整備の内容とか財源等の具体的内容については地元における協議、それから調整の状況を見ながら、今後、関係各省と協議をする、農水省とかいろいろな役所が関係してまいりますので、その調整役の役割としての国土庁が最後に取りまとめをするということになると思います。
  175. 小林守

    小林(守)分科員 ですから、こういう方向性を国土庁が示したわけですね。県や公団に対して国土庁が示したということでよろしいですか。
  176. 中山正暉

    中山国務大臣 そのとおりでございます。
  177. 小林守

    小林(守)分科員 そういうことであるならば、実は関係自治体の方からどういう状況かといったことをお聞きいたしましたら、公団と県の方からメモ書き程度の文書をいただいて、こういう方向だということでお話があったということは事実だ、しかし、国土庁から明確なお話があったわけじゃない、そういうことなので対応のしようがないということなんですよ。先ほどもちょっとお話がありましたが、根回しをかけているみたいな感じで非常に不透明な感じがいたしてなりません。  ところが一方では、今市市の建設業組合の皆さんが集まって、どういう話を受けたのかわかりませんが、この事業をやれば相当の事業が興るし、地域の活性化にもつながるとかいろいろなお話がもう既にあったのかもしれませんけれども、一番最初にその方針の説明を受けた団体が建設業団体だということについて、私は非常に不幸なというか、方向として、例えば市民合意をつくっていくんだというような立場に立つならば、極めて不適切なやり方ではないかなと思えてなりませんし、なぜ一般市民に対して呼びかけるようなことを先にやらなかったのか。要は、建設業団体から、市に対して圧力をかけろということと読まれても不思議ではない。  また、別の見方をするならば、水特法に準じた適用をさせるということになるならば、今市市が同意するならば、少なくとも国庫補助率を水特法並みにかさ上げした率で事業実施できるんですよ、そういうことじゃないですか。ということになると、極端な話、札束を見せて、どうなんだ、了解すればこういう形になるよという形で、一種のおどしをかけるみたいな、非常にお粗末な合意形成の方法ではないか、このように思えてならないんですよね。     〔主査退席、栗原(博)主査代理着席〕
  178. 中山正暉

    中山国務大臣 これは、国土庁としてはもっと純粋に県の方に連絡をする、直接各自治体に連絡する立場にございませんで、国土庁は県にお話を申し上げて、その後どういう方向で皆さんに情報が伝わったのかはわかりませんが、もっと純粋な気持ちで県に連絡をしたものであると聞いております。
  179. 小林守

    小林(守)分科員 お話を申し上げたということですが、何らかの文書を持っていかれたんでしょうか。きちっとした国土庁長官の文書を持っていかれたんですか。
  180. 増田敏男

    ○増田政務次官 小林先生のお尋ねにお答えを申し上げます。  先生も地方自治に大変明るい方ですから、ちょっと振り返って思い起こしていただきたいのですが、これは、国の方から文書を持ってこうですよという仕組みの話じゃないのです。市町村の方からいろいろ積み上げ式に県を通して国土庁へ要請してくる、そこの話し合いの結果、準じたものを選んでいく、こういうふうに運ばれているものであります。  過去の例もそうなっておりますので、ぜひこの際、先生にも、地元の問題ですから、誤解のないようにお話をいただいて積み上げてもらいたいなと。要するに、こうこうこうだからどうだ、そしてうちの方はそれを受けて、関係省庁も調整をしながら結論を運びたい、こういうことで準ずるという基本のことを申し上げた、こういうことであると理解しています。よろしくお願いいたします。
  181. 小林守

    小林(守)分科員 書類で持っていったのかどうかをちょっと確認したいのですが。
  182. 増田敏男

    ○増田政務次官 私も、先生のお名前が出ましたので、気になって確認をとってみました。そのときは、先生がおっしゃったメモ程度を置いたと。何でそうしたのだと聞いたら、大体こういうようなことはあります、準ずるということがありますということでして、これとこれがこうだからどうするこうする、そういうような話は今後の課題ということで、国土庁としては県から出てくるのを待つ、こういう状況だと理解しております。よろしくお願いいたします。
  183. 小林守

    小林(守)分科員 非常に不透明なやり方に思えてならないんですよ。少なくとも今市市から上がってくるとか、要は、ボトムアップ的な、地域の事情を踏まえて国土庁は対応していくというようなお話なんだと思いますが。  今市市の市長は、思川開発事業検討会、これは河川整備計画に基づく、関東地建がこの河川整備計画をつくるための意見を聞くというような仕組みの中で検討会を開いて、関係水没地の代表の団体の方とか関係自治体の長の方とか、それからもちろん有識者、学者、そういう方に出ていただいて、いろいろな角度から議論というか意見をいただいて検討いただいているという状況なんです。  少なくとも今市の市長は明確に、市議会の決議を踏まえて、また、今市につくられている大谷川取水対策委員会というのがあるんですね、これは公的な位置づけでつくられているんですが、ここも今検討中なんですけれども、基本的に市議会の決議を受けて、市長は、その思川開発事業検討会の中で明確な反対の意思を表明しています。  そういうことになるならば、結局そうだから下から上がってこない。だから水面下で県に働きかけ、水公団のしりをたたいて切り崩しをやれということじゃないですか。
  184. 中山正暉

    中山国務大臣 先ほどの御質問に対する確認をしていただくためのあれでございますけれども、平成十二年の二月二十三日に、栃木県の企画部長が今市市長に対して、水特法に準ずる何らかの措置を講ずることについて今後検討していく方針ということを説明したようでございます。これが、県担当者に対して説明をした、メモ程度ということでございますが、国土庁から企画部長に伝達したことが今市市長に対してそういう発言になったということでございます。
  185. 小林守

    小林(守)分科員 メモ程度で話をしたと同時に、二十五日には、既に今市市の建設業組合が公団や県の職員を呼んで、今度の水特法並みに適用させるということはどういうことなのかと。質問の中では、取水地の範囲はどこまでなんだ、今市全地域が対象になるんですかというような質問も恐らくあったと思います。水没地域が対象だというようなのが水特法ですよね。これは、今市はもちろん水没地域はありませんから、水没の住民はいませんから、要は、その取水地なんですよ。しかし、水没地並みの対処をするということなんですけれども、その範囲はどこなのか。  先ほどのお話の中で農水省の話が出てきました。当然のことながら、取りつけ道路関係とか治山事業とか農水省土地改良事業とか、そういうものも幅広く適用するならばできるということになると、これは、ダムをつくらせるために、同意を得るために、なりふり構わずばらまきの切り札を切っていくというようなやり方に思えてならないんですよ、補助率がいいですから。それを当て込んで、ああ、それは結構な話だ、仕事がもらえる、ありがたいという形で地元の建設業者が踊る、そういう構図を今進めようとしているんじゃないんですか。
  186. 竹村公太郎

    ○竹村政府参考人 私ども建設省は水資源開発公団の実際の事業の進め方についての責任を持っていますので、先ほどからお話の出ています建設業者への説明会ということでございますが、内容については私もよく詳しいことは承知しておりませんが、今手元の資料では、平成十一年だけで水資源開発公団は地元への説明会を五十一回開催してございます。さまざまな団体、土地改良組合、または反対期成同盟会、または対策協議会、さまざまな方々を含めて五十一回やっています。つまり、月に二回以上やっているわけでございます。  そのようなことで、私ども、これからも水資源開発公団の思川の現場の職員が、さまざまなことでさまざまな、ありとあらゆる、答えられる範囲で丁寧に、そしてわかっている範囲ですべてを御説明しろというような指導をしていることでございまして、決して水面下で隠れている、または建設業界だけ特別にやったということではなくて、去年、継続してやっている説明会の一環だと私は理解してございます。
  187. 小林守

    小林(守)分科員 いや、それはちょっとあれじゃないですか。建設業組合の方については初めてだというふうに言われています。なおかつ、取水地も水没地並みの適用をさせる用意があるよという国土庁の方針に沿って県が動き、公団が動いた。だから今市の建設業組合の皆さん方が色めき立ったのと違うんですか。初めてですよ、これは。納得できません、それは。
  188. 増田敏男

    ○増田政務次官 先生国土庁の見方が違うようでありますが、私の方としては、こう言うと恐縮なんですが、まず県の担当部長さんにおいでをいただいて話をした、メモ程度をお渡しした。そうすると、今度は国土庁としては、具体の内容について地元で話し合いが先行して行われて、それがまた国土庁へ返ってくる、こういうふうな理解で、それが来ると初めて、先生が先ほどおっしゃった、財源はどうするこうするということもあるように、関係省庁への連絡調整を始めていく、こういう運びで動いてきた、こういう理解をいたしております。  ぜひそのように、引き続いて御協力をお願い申し上げたいと思います。
  189. 小林守

    小林(守)分科員 実質的には国土庁が県や公団に指示を出して、こういう方向で用意があるから動けという形で出したものというふうに私は思いますし、その方針を決定された責任は国土庁長官にある、このように受けとめさせていただきます。  いずれにしても、今市市に対してきちっとした説明をしていただきたい。少なくとも文書で、メモ書きなんていうのでは失礼な話ですよね。これだけの大問題を抱えている地域なんですから、国はこういう用意があるんだということをきちっと国土庁がやるべきですよ、県それから公団を通して言わせるというようなことではなくて。だって、実際にやるのは、建設省や農水省の予算にのっけない限りこの事業はできないわけですよ。  ですから、そうなってくると国の問題なんですよ。県との関係とか公団との関係地元でいろいろありますから、これは基本的に国の事業でありますから、やはり国の責任で、何となくこそこそやるんじゃなくて、きちっとやはり今市の方へは伝えてほしいと思います。  それでないと、非常に不透明な形で、変な動きで圧力をかけているんじゃないかとか、そういうふうに受けとめられてしまうと思います。きっと善意でやったのかもしれませんが、決して状況はそういうふうに受けとめることはできない、そのように思います。
  190. 中山正暉

    中山国務大臣 先生の御指摘のように、三十六年間のいろいろな難問を抱えておりますところでございますから、ちょうど来年は一月六日から国土交通省になるわけでございますので、一体化します折に、今先生がおっしゃったように、堂々と、皆さんから見て、こっちは、国土庁の方は正規の手続でちゃんとやっているつもりでおるようでございますが、誤解があるようでございますので、その誤解を払拭するためにちゃんとした対処をいたしたいと思います。
  191. 小林守

    小林(守)分科員 それでは、ダム問題について、もう一つ別の角度からちょっとお聞きしておきたいと思います。  建設省の中にも、いわゆるダム事業等の公共事業についての再評価制度が導入されていますね。それで、数十年、二、三十年たって事業が全く進捗していないというようなところについては何カ所か、中止とか休止とか廃止または凍結というような決定が既になされた地域もございます。  こういう中止の決定をされたときに、することも選択肢として今あるわけですけれども、地元人たちの声というのは、先ほど金子先生のお話にもありました、例えば、もう三十六年間生殺しの状態にされてきたと。  逆に今は、最初は絶対反対の運動を続けておられた皆さん方が、三十六年たって世代がかわってしまった。将来の生活再建が立たない、早く何とかしてはっきりしてほしい、そういうことで、逆に言うと、今さら撤退されても困るよと、現実の話、そういう思いの方もいるんですよ。ダムをつくることについて、賛成だ、反対じゃなくて、今さらこのままほっておかれたんじゃ困るよというのが事実だと思うんですよ。国は何らかの責任をとってほしい。  例えば、ダムをつくるんだという形で、一貫して、廃止を含めた、中止を含めた方向はあり得ませんという形で国はやってきたのです。地元の住民の声を聞くにしても、中止も含むのかというふうに我々は何度も聞いてきましたが、中止は含むとは言っていません。今まではそうなんですよ。  ところが、今日に至ると、中止や凍結も含めた見直しが再評価制度の中で出てきていますよね、既に中止したダムだってあるわけですから。そういう国のこの施策の転換の中で、見直しの中で、地元人たちは三十六年間ほっておかれていて、もう今さら撤退されては困るよという声があるのは事実なんですよ。これは、だからダムをつくれということにはならないはずなんですよ。  だけれども、どうしてくれるんだと。新しい土地を購入する計画もあるし、家もつくって嫁さんをもらわなければならぬ、そういう計画をもう進めている、そのうち補償していただけるんだろうという予定の中で。そういう思いがあるんですよ。  その場合に、できるできないの決定は、少なくとも相当まだまだ時間がかかるかもしれません。しかし、その間、ではそこの対象地域の、水没地域の住民はどうしたらいいんだということなんですよ。ぜひ公団に買ってほしい、私はもう違うところへ出て生活したいんだ、三十六年間、事業計画構想を発表して塩漬けにしてきたのだから、その責任をとってほしい、できるできないは私の責任じゃないです、どうぞ我が家、土地と家屋を評価して、山林も含めて買ってくださいと言った場合に買ってもらえるかどうか。買う責任があるのではないかと思うのですが、いかがですか。
  192. 中山正暉

    中山国務大臣 これは着々と計画を進めてまいる地域でございますけれども、十六、七カ所ばかり中止したところもございますが、これは計画どおりに、皆さんの御理解を得ながら進めてまいりたいと思っておるところでございますので、どうぞそういう御懸念のある方はひとつその事業に早く御協力いただいて、買収に応じていただいて、そして事業進捗にひとつ御協力いただくように先生からもお話をいただかなければならない。  事業を中止した場合には、その土地の買収、補償をするということは、それこそ会計検査院から何と言われますか、これは不可能だと思っております。
  193. 小林守

    小林(守)分科員 ほかでやったことはないのですか。例えば五木の子守歌の里である川辺川ダムの建設計画の中で、もう三分の一ぐらいの住民は流出というか、よその地へ出ていってしまっていますよね。補償金をもらって出ていっているんですよ。できるのですよ。ダムができようとできまいと、建設省土地、国有地が残るということなんじゃないですか。
  194. 中山正暉

    中山国務大臣 あれは全く中止をしておりませんで、着々と進めておりますので、買収に応じてお立ち退きになった方々の話ではないかと思いますので、あれは中止をしておりません。
  195. 小林守

    小林(守)分科員 国庫補助について、周辺整備事業とかこういう整備事業については国庫補助をかさ上げしてやりますよ、そして、なおかつ中止になったところについては返さなくてもいいですよということに今なっている、補助金の適正化法の運用で。自治体は、ここで中止されたらば補助金を返せと言われるのではないかという心配で反対が言えないということだってある。水没住民は、今これを中止されたら補償金を返さなくちゃならないのかなという心配がある。そういう問題が本当に、情けないと言ってはおかしいんだけれども、本末転倒の話になるかもしれませんが、実態として、できるできないは自分の問題ではないのだ、しかし三十六年間塩漬けにされた責任をだれがとってくれるのだろうということなんですよ。  しかも、少なくとも三十六年間の間に地域コミュニティーは完全に崩壊しました。共同体意識が完全にずたずたにされたんですよ。逆に言えば、もし中止するにしてもこの責任をとってもらわなきゃならぬということだと思うんですが。  さっきもお話がありましたけれども、どうせダムに沈んじゃうんだから、何も今道路を少し直したり拡幅したり護岸工事をやったりしたって、どうせ水に埋まっちゃうんだから、そんないいものをちゃんとやる必要はない。どんどんほかの地域からおくれてきた、それが塩漬けと言っているんですよ、私は。  そういう形で、要は、そこを放棄して出ていくしかないという形に追い込んでいるとしか思えない、残念ながら。だから、逆説的な言い方だけれども、中止するんだったら、この三十六年間の塩漬け状態をどうしてくれるんだという問題を抜きに撤退ということもやはり語ってはいけない問題かなというふうに思います。だからといって、ダム事業を進めろということじゃない。私は、より大きなむだをあの南摩ダムがやってしまうことになると思えてならないんです。既に東京都はおりてしまった、埼玉県は欲しがっているようだけれども。しかも二〇〇七年には、日本人口のピークを迎える。  例えば、百軒が水没する。住宅とそれからその用地、畑、田んぼ、それを補償したって一軒五千万だ。百軒だったら五十億ですよね。ところが、あの事業全体をやるとなったら二千五百二十億円ですよ、今の計画案では。私は、もっと物すごい国家的な大きな事業のむだをやることにならないのか、そのように思えてならないんです。  ですから、逆説的な言い方ですが、今撤退されては困るということを、国としては、これは重く責任を受けとめて、公共事業見直しをやっていくべきだと思います。高度成長時代、公共性が確かに一時期はあった、しかし時代の変化の中で変わってしまった、これに対する責任を、もうとにかくやるしかないというんじゃなくて、見直しをするという時代ですよ。少なくとも中止したというダムだってあるんだから。  そういう流れにあって柔軟な、やはり三十数年間の塩漬けの精神的な苦痛、地域コミュニティーが崩壊してしまったという、これもまた苦痛だと思いますけれども、そういうものに対して、中止するんだったら、再建なり地域振興をもう一回やる、それから個人の家庭に対しても選択の自由を与える、そういう措置を考えていってもらいたいと思うんですよ。
  196. 中山正暉

    中山国務大臣 先生のその御懸念に対するお答えは、しっかりこの計画を進めてまいりますということを私が断言することがお答えではないかと思います。  治山治水の問題というのは、明治政府がヨハネス・デ・レーケを招きまして、そして日本の総合的な計画というのを立ててまだ百年しかたっておりません。このダムだけでも三十六年間の話でございますから。  これは、二十一世紀に向かう、日本が近代国家になってから着々と進めてきた、いろいろ痛みを伴いながら、現代に生きている方々に御迷惑をおかけするかもわかりませんが、これは、後世の日本のために治山治水をどうするかという、まだスタートして百年でございますから、どうぞひとつその辺は御理解をいただきまして、中止するものははっきり中止するということを発表しておりますので、その発表の中に入っておりませんものはどんどん進めてまいるということで御理解をいただきたいと思います。
  197. 小林守

    小林(守)分科員 何か決意を述べられましたが、一種の開き直りのような感じがしてならないんですよね。見直しをするということになるならば、それに対する責任というものをやはり明らかにしていただきたい。私は、開き直りにしかすぎないというふうに思えてなりません。  終わります。
  198. 栗原博久

    ○栗原(博)主査代理 これにて小林君の質疑は終了いたしました。  次に、滝実君。
  199. 滝実

    ○滝分科員 自由民主党の滝実でございます。河川道路について、二点についてお尋ねをしたいと思います。  今も大臣のお話を聞いていましたら、日本の治水工事、明治以来急ピッチになされてきたわけでございますけれども、本日は、そういう中で、極めて局部的な話で恐縮でございますけれども、奈良盆地の水を一手に集めている大和川の水害問題についてお話を承りたいと思うのでございます。  実は、最近は毎年のように局部的なこの水系で水害が発生しているのでございますけれども、十八年前ですか、昭和五十七年に大和川水系、とにかく大和盆地の中が全般的に水害を受けました。集中豪雨でもって大和川水系の全般が出水した、こういうことでございまして、以後、精力的に河川改修が進められてきたわけでございますけれども、しかしなかなか思うようにいかないのがこの河川改修であると思うのでございます。  特に、当時大水害を受けたいわば葛城川の周辺、沿川はほぼ本川が改修を終わったんですけれども、一方、北の方から水を集めております佐保川の本川はいまだに改修が続行中ということでございまして、これから本格的なところに入ってくるわけでございます。  地元の住民の皆さん方は、この佐保川の本川の改修が進めば、これは毎年繰り返しております水つきが解消されるもの、こういうふうに実は理解をいたしておるのでございますけれども、しかし、どうもそうでもなさそうな感じがするわけですね。佐保川の本川の改修が終わっても、そこに流入してまいります各支川の流域は、必ずしも水害がそこでもって解消するわけではない。本川が改修されればもうなくなるというように思い込んでいるわけでございますけれども、どうも実態はそうではない。これから佐保川の本川が改修されました段階で、今度は次の段階としては、佐保川本川に流入する各支川の改修が出てくるんだろうとは思うのでございますけれども、なかなかこれが容易ではない、そういうような状況であると思います。  長らく佐保川とそこの支川との合流点には樋門なんかがありまして、水が出た場合には、本川の水量が多いし、また強いものですから、各支川に逆流しないようにどうしても樋門を設置せざるを得ないというのがこの奈良盆地の特徴でございます。そうすると、その樋門のところでポンプアップをせよというのは、もう昔から県議会でも取り上げられておりますし、国にも御陳情申し上げているのでございますけれども、どうもそこのところがはっきりいたさないものですから、実際問題として、この佐保川本川並びにその支川の実際の改修計画、そういうものがどうなっているのかを一遍ここでお示しをいただきたいと思うのでございますけれども、よろしくお願いいたします。
  200. 竹村公太郎

    ○竹村政府参考人 奈良盆地の大和川支川、佐保川におきます治水対策についてお尋ねがございました。  地形上、この奈良盆地は大変水はけが悪く、特に佐保川につきましても、昭和五十七年、二千戸以上にわたる大浸水被害を発生してしまいました。私ども、昭和六十一年から総合治水対策をこの地で集中的にやっておりまして、十年に一度の降雨、つまり時間五十ミリを対象とした総合治水対策を実施しております。  現在まで、直轄区間延長八キロのうち、下流四キロの引き堤等を完了しております。全体事業費は三百七十億で、平成十一年度末で進捗率は七〇%となってございます。残りの区間につきましても、平成十五年度の完成を目途に、鋭意河道しゅんせつ、築堤、橋梁かけかえ等を実施してまいります。  なお、支川につきましては、この佐保川本川が改修されないままにポンプアップ等で水を出しますと、佐保川に負担がかかり過ぎますので、佐保川本川の改修終了後、築堤を主体とした支川改修を進めますが、浸水被害を軽減するために、流域での雨水貯留の浸透施設整備や、必要に応じてポンプ排水による対策を検討してまいりたいと考えております。
  201. 滝実

    ○滝分科員 その辺のところが、問題は、その佐保川本川の改修がいつごろの予定で進められているのかというのをひとつ確認させていただきたいと思うんです。  それからもう一つは、地元はもともと樋門のところには必ずポンプ排水をつけなければ出水するに決まっているんですけれども、ポンプ排水はまかりならぬということで来ているものですから、その辺のところの見通しを、具体的にある程度のお示しができればひとつお示しをいただきたいと思うんです。
  202. 竹村公太郎

    ○竹村政府参考人 佐保川本川の改修につきましては、全体の進捗が七〇%程度いっておりますので、平成十五年完成を目途にさまざまな工事を実施していきたいと考えております。  なお、各支川におきますポンプ排水につきましては、私ども決してポンプをノーと言っているわけではございません。その地域の状況に応じて、佐保川本川の改修後、逐次ポンプ排水等も含めて検討してまいりたいと考えてございます。
  203. 滝実

    ○滝分科員 地元は、とにかくそういうことが予定どおり完成されますことを待ち望んでいるわけでございますけれども、しかし、去年もそうでございますけれども、少し集中豪雨がありますと相変わらず出水をする、こういうことが今やもう常態になっているわけでございますので、予定どおりというよりも、予定をむしろ早めるような格好でお願いを申し上げたいと思うんです。  ただ、その際に、これはもう地元でもわかり切った話なんでございますけれども、根本的な佐保川の改修を完成させるためには、恐らく佐保川本川の河床の切り下げ、川を下げるということが必要だろうとはみんな言っているわけでございますけれども、問題になりますのは、大阪府と奈良県の県境にございます亀の瀬の地すべり、そしてその地すべり対策を講じた上での亀の瀬の掘削、こういうものが出てまいりませんと、根本的にはこの大和盆地の水つき問題は解消しない、こういうようなことも十分理解はされているわけでございます。  そういった根本的な対策、亀の瀬をめぐる問題、それから亀の瀬だけではございませんで、その下流の柏原とかあるいは松原の水害対策、そういった問題も絡んでくるんだろうと思うのでございますけれども、基本的なその辺の絡みの見通しはどういうことになっているんでしょうか。
  204. 竹村公太郎

    ○竹村政府参考人 奈良盆地の治水とその下流の大阪府域の大和川に関する治水の御質問がございました。  先生指摘のように、まさに奈良盆地の治水は下流の大和川をしっかりしないと完結しないということでございます。そして、大和川で大変難しい問題がございますのは、奈良県と大阪府の中間、ちょうど境にございます亀の瀬地すべりという大きな地すべり地帯がございます。最大深さ七十メーター、もし移動したら、移動する土塊量、少し微妙な動きもしておりますが、千五百万立米。千五百万立米といってもぴんとこないと思いますが、甲子園球場が六十万立米でございますので、甲子園球場二十五個が動いているというような、大変日本でも最大級の地すべりがございます。  この地すべり対策は、大阪と奈良の交通動脈を守ることからも必要ですし、この地すべりが大和川へもし入ってしまった場合、川をふさぐ、そしてそれがもし大きな雨で決壊するというようなことになっては大変だということで、直轄事業として亀の瀬地すべりを全体事業費九百二十億円で私ども実施しているわけでございます。現在の進捗率、平成十年度末までは約六〇%の五百二十億を実施し、残り一番重要であります峠下部の深礎工、深いくいを打つわけでございますが、平成十五年ごろの完成に向けて鋭意実施している状況でございます。  さて、この亀の瀬地すべりをやると同時に、大和川の河口部及び下流域の治水の対策をしなければ上流の洪水を安全に流せませんので、現在五十七年出水の規模を対象としまして、大阪府域における大和川の河口のしゅんせつ、香ケ丘の引き堤、国豊橋のかけかえ等の事業について、平成十一年度は約二十二億円で極めて鋭意懸命に大和川工事事務所がやっているという状況にあるということを御報告させていただきます。
  205. 滝実

    ○滝分科員 亀の瀬の恐ろしさは、かつてこの地域に対岸に道路をつけたときにも地すべりが起きました。その後、鉄道のトンネルも押しつぶしました。そういうことを経験しているものですから、奈良県の人間は、まあしようがないな、こういうふうな気分が相当にあるわけでございますけれども、明治も百三十年たちますと、いつまでもやむを得ないというふうにも言っていられない事情があるわけでございます。  そんなことを勘案の上、とにかく事あるごとに、公共事業はむだ遣いだから公共事業費を圧縮する、こういうような声が片やあるわけでございますけれども、建設省におかれましては、ひとつその辺のPRも兼ねて、基本的に本人の責任ではどうしようもないようなことをどうやって救うかということを、営々として特に治水関係ではおやりになってきているわけでございますけれども、その辺のPRもよろしくお願いを申し上げたいと思うんです。やはり明治百三十年をそのまま今に残しているような事業でございます。簡単にお金だけの問題で解決するとは思いませんけれども、よろしくお願いを申し上げたいと思います。  次に、同じようなことで、今度は道路の災害対策につきましてお尋ねをさせていただきたいと思うんです。  奈良を通過地点として大阪から名古屋までの名阪国道、あれは昭和四十年にいわゆる千日道路として完成いたしたわけでございますけれども、奈良の天理から三重へ向かうところが高原状になっておりますので、百五十メートルぐらいの水準点から五百メートルぐらい一気に上り上がる、こういう道路の部分があるわけですね。急に上るものですから、かなり勾配がきつい、なおかつカーブもきつい、こういうようなことでございまして、この地域、特にその一気に上るところの交通事故がいわばこの道路のネックになっているような感じがあるわけでございます。  奈良国道事務所で調べてもらいましたけれども、上り坂と下り坂では事故の発生率が倍ほど違うんですね。この区間は、車が一億台通るたびの交通事故を計算しますと、上りで大体二〇ぐらい、下りになるとその倍の四〇ということでございますから、下り上りで交通事故の発生頻度が倍ほど違うということは、いわば事故の発生においては非常に特異な地点、こういうことになるわけでございます。  そこで、地元では、別ルートを考えた方がいいんじゃないかとかそういうようなことも一部言われているんでございますけれども、別ルートを考えるといったってなかなか大変な話なんで、具体的には奈良国道事務所が苦労をして、どうやって事故を減らすかということでいろいろやってくれているわけでございますね。  ついこの間までも、浸透性の舗装に大体全部切りかえて雨の日のスリップ事故をなくす、こういうようなことでほぼ全面的な舗装改修を終わっていると思うんですけれども、それだけじゃなくて、やはりこういう昨今の、冬場になると、ちょっとでも雪が降ればすぐに塩化カルシウムをまくとか、その維持管理費だけでも国道事務所は大変難儀をしている、そういう箇所でございます。別ルートの問題はひとまずおいておいて、当面この現道を中心にして事故発生をとにかく減らす、半分まで減らすというようなことで対策が講じられていると思うのでございますけれども、そういった見通し、どの程度まで事故が減らせるところまでいけるのか、そんな状況をちょっとお示しいただきたいと思うのです。
  206. 大石久和

    大石政府参考人 名阪国道は、先生指摘のとおり、いわゆる千日道路整備された道路でございます。したがいまして、例えば登坂車線の延長が足りないだとか、あるいは加減速車線長が足りないといったようないろいろな問題がございました。おまけに、大阪湾と伊勢湾を直結する道路でありまして、関ケ原のような雪氷問題も非常に少ない、冬期間の交通遮断が少ないというようなことから、交通負荷が年々高まっている道路でございまして、この道路を円滑かつ安全に通すというのは道路管理者としての使命でございます。したがいまして、名阪国道リフレッシュ計画というものを立てまして、安全対策等の措置を講じてきたところでございます。  ちなみに、登坂車線の設置につきましては、現在までに五カ所で十・六キロメートル、それからインターチェンジの改良につきましては、全部で十カ所ございますが、そのうち七カ所が完了し、平成十一年度に小倉インターチェンジの改良が完了し、残る五月橋のインターチェンジにつきましては、現在その工法等について調査中でございます。  また、安全対策として、御指摘がございましたように、平成四年度から排水性舗装を実施し、スリップ事故を削減させるための努力をいたしてまいりまして、平成十一年度で完了する予定となってございます。この間、名阪国道の排水性舗装を実施した結果、先ほど先生、上り下りでそれぞれ事故率が二〇、四〇と言われましたが、平均いたしますと約二九でございましたが、昨今の改良が行われたところの状況を見ますと、平均の事故率が二〇・三というように下がってございまして、現在の全国道路公団が管理しております一般有料道路の事故率よりもやや低いというような状況にまでさせていただいております。  またさらに、天理東インターチェンジから福住インターチェンジ間につきましては、地元の方々が、いわゆるオメガカーブといわれている非常に急カーブ区間がございまして、この事故防止のため、視線誘導標の設置や追突警報システム等の整備実施したところでございます。今後とも、急カーブや縦断勾配が厳しい区間等におきまして事故の発生頻度が下がりますように、追突を警報するシステムや諸設備の整備を行いまして、交通事故の防止に向けた対策を講じてまいりたいと考えております。
  207. 滝実

    ○滝分科員 とにかく、局部的な局部改良という格好、あるいは舗装のやり直し、こういうことで努力をされている姿は、私も見ておりますので、工事事務所の努力は評価をさせていただいておりますけれども、ここが実は私の選挙区でございますので、雨が降ったり、小雪が降りますと、私は少なくとも下り車線は、ここは通りませんで、もとの旧国道をわざわざ遠回りして下ってくる。旧国道の方がカーブがきついんです。ヘアピンカーブがきついのでございますけれども、旧国道の方は事故がほとんどありませんので、事故に巻き込まれるということはまずありませんので、そっちを通ってくる、こういうことをやっているわけでございますけれども、やはりそういうことをやらざるを得ないというのが問題だと思うのです。  したがって、次に根本的な解消は、これは千日道路で急いだものだから、ルートもろくろく選ばずにやったんじゃないかというような憶測のもとに、別ルートを考えた方がいいんじゃないか、こういうようなことが一部言われているわけでございます。国道事務所でも、これはもう前から、恐らく道路局長さんが奈国の所長をやっておられるときからそんな話はちらちらあったのだろうと思うのでございます。別ルートといったって、そんなに簡単に、最初の設計で簡単にできるぐらいならそっちへ行っているはずなので、最初からこっちを選んだということは、なかなか別ルートといったって難しい、こういうことの証明でもあろうかと思うのです。  そういった別ルート案というものについての技術的な検討ができるのかどうか、そういうのは可能かどうか、そういった点についてお示しをいただきたいと思います。
  208. 大石久和

    大石政府参考人 この名阪国道の福住インターチェンジと天理東インターチェンジの間にございますオメガカーブを解消するためには、天理東と福住との間の縦断を解消する必要がございます。御承知のとおり、福住と天理東の間にはかなり大きな断層がございまして、奈良盆地の方がどんと下がっているという状況にございます。オメガカーブで延長を稼ぎながら縦断を克服しているというのが実態でございまして、これを解消しようといたしますとかなり長い延長の別ルートが必要でございます。  これをどのように整備していくのかにつきましては、いろいろな考え方を整理する必要がございまして、現在、名阪国道の別ルートによる対策につきましては、現在進めております交通安全対策等の進捗状況を踏まえながら、別ルートによる整備効果や、その別ルートをどのように整備していくのかという整備手法を含めて、幅広く検討を進めているところでございまして、奈良県御当局のお考えや関係皆様方の御意見を聞きながら具体的な検討を進めたいというように考えてございます。  御指摘のように、いつまでもこのオメガルートを放置しておいてよいというようには考えてございません。別ルートも含めて対策を考えていきたいというように思っております。
  209. 滝実

    ○滝分科員 とにかく道路といえばむだだ、こういうような声も瞬間的に出るような世の中でございますけれども、道路といえども、やはり事故をいかに防ぐかということで、現場の国道事務所が日夜苦労されている。それは維持管理だけでも大変な負担をかけているわけですね。  特に、この一週間ぐらい、寒さが厳しくなりますと、この地域はすぐに夜間の凍結という問題が出ますものですから、翌日、あるいは金曜日の夕方には土曜日、日曜日の夜間の冷え込みぐあいまで一々確認した上で体制をとらなければいかぬ。こういうようなことを冬場には繰り返してやっているような、そういう努力が、片や余り世間には知られませんけれども、おやりになっている、そういうところでございます。  したがって、公共事業についていろいろ批判がある中で、やはりこういう必要なものはこれからもやるのだ、こういうことを国民皆さん方にお示しをいただかないと、ただ単に公共事業圧縮だということを、かけ声だけで埋没させたのでは、これはいつになってもよくならない。危険を覚悟で車を走らせにゃいかぬ、こういうことだろうと思います。河川についても先ほど申し上げたとおりでございます。  せっかく大臣はこの地域土地カンがおありになりますので、最後に大臣から一言御所感をいただきたいと思います。
  210. 中山正暉

    中山国務大臣 先ほどから、大和川のお話なんかいただいておりまして、大和川は昔は生駒山の下を北に向かって流れていたようでございます。これは、今橿原にその資料館みたいなものができておりますが、中甚兵衛という人が、十八歳から六十八歳までかかって江戸幕府に、大阪湾に真っすぐに大和川が放流できるようにした。そして、百九本の直轄河川がありますけれども、一番の天井川がこの大和川でございまして、そして軟弱な、脆弱な地盤で、いつも土砂崩れが起こるという。竹村河川局長から私は縄文時代の地図をもらいましたら、もう大変な、それこそ天王山のあたりまでが海だったという。  それを考えますと、国土づくり、本当にヨハネス・デ・レーケが、これもまた日本じゅう活躍しておりまして、淀川も昔の地図を見てみますと、本当に複雑な、神崎川とか、それから左門殿川とか、正蓮寺川とか、もう川の名前が同じ水系に幾本もついております。桂川、宇治川、そういう上から流れてくる、奈良と京都の間を流れてくる、琵琶湖から流れてくる川も、最後には淀川という川一本にヨハネス・デ・レーケが改修をしてくれたわけでございます。  その後、今のお話のように、これは国土形成の問題で、大変長く時間のかかることでございますし、私も奈良へ入りますと、本当に道路が、特に南の方へ行きますと大変時間がかかる。狭い道路で、大変気になるものでございます。最近、第二阪奈ができまして、これが奈良へ行くのには大変近くなりました。あそこまでは早く行けるのでございますが、そこから奈良の中を動こうとすると大変な難渋で、玉置和郎という人が半島振興法というのをつくられましたけれども、私は、奈良とか和歌山は内陸振興法というのをつくらないといけないんじゃないかなと。むしろ、あれは半島ではないと。私は、紀伊半島は眠っていると思っております。  道路局長も工事事務所長をしておられましたので、本当にうんちくを傾けたすばらしい本を書いておられますから、私もそれで勉強しておりますので、ひとつ一生懸命に、公共事業日本の国力を維持するために、特に平和国家としてこれから世界に経済力で貢献していくためには、しっかりと日本国土の形成をするために、道路河川、そして国民の安全を図って経済力を高めるためにはこれはなくてはならないものだ、そういうものをもっと教育の中でも、私は、費用対効果というのをむしろ国民に教えなきゃいけないんじゃないか、建設省が費用対効果と自分で自分のことを考えていたってどうにもならぬ、こんな感じがしておりますので、これはむしろ教育の問題でもあるのではないか、かように思っております。
  211. 滝実

    ○滝分科員 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。
  212. 栗原博久

    ○栗原(博)主査代理 以上をもちまして滝君の質疑は終了いたしました。  次は、松崎公昭君。
  213. 松崎公昭

    松崎分科員 民主党の松崎公昭でございます。  お疲れのところ、大臣には御苦労さまでございますけれども、ひとつおつき合いをいただきたいと思います。私は、地元の問題を取り上げさせていただきます。  私は千葉県におりまして、北の外れにございます。ここを国道十六号線、そしてまた国道六号線、そういう道路が交差をしておりまして、この十六号線というのは大変、いわゆる千葉県の東葛北部というところでありますが、この地域の有名な交通渋滞のメッカとして交通ニュースには必ず出てくるといういわゆる呼塚交差点、こういうものがございます。ここに今、この国道は片側二車線でありますが大変な混雑をしておりまして、前々から、バイパスをつくるべきだろう、そんな考えがありました。大臣には地の利がないかもしれませんが、この十六号線のバイパス問題、これをどのように認識をされていらっしゃいますか、まずお示しをいただきたいと思います。
  214. 中山正暉

    中山国務大臣 先生には、予算委員長をしておりますときに一緒に予算委員会からイタリアへ行ったとき大変お世話になりましたこと、改めてお礼を申し上げながら、千葉の東葛地域における道路整備の方針についてのお尋ねがございましたので。柏とか野田市等の九市二町から構成されている、千葉県の人口の約四割を占める地域でございますから、東京都に隣接して首都機能の一部を担っている地域、そういう認識から、近年の自動車交通の増大に伴い、国道十六号や国道六号を初め、地域の幹線道路においても交通渋滞が著しい状況でございますので、高規格幹線道路から市町村道に至る道路網について、地域の社会経済活動に欠くことのできない最も基本的な社会資本として体系的に整備を進めてまいりたいと考えております。  具体的には、東京外郭環状道路整備等の抜本的施策に加え、交差点改良等の局部的対策を組み合わせて実施しているところでございまして、今後とも、千葉東葛地域の有するポテンシャルが十分発揮できるように引き続き道路整備を推進してまいる所存でございますが、細かくは、道路局長から御答弁申し上げたいと思います。
  215. 大石久和

    大石政府参考人 一般国道十六号の渋滞対策、バイパス計画についてお尋ねでございます。  一般国道十六号は、千葉県内で東葛地域と千葉市及び東京湾臨海部を連絡する重要な路線でございまして、現在、交通量が一日約四万八千台から六万一千台と極めて多く、先生指摘ございましたように、柏市の呼塚交差点を初め主要な渋滞ポイントが数多く存在してございます。  このため、この路線の交通の円滑化を図る観点から、野田市の船形地区を起点とし、沼南町藤ケ谷を終点とする約二十七キロのバイパスを計画しておるところでございます。これを、千葉柏道路として地域の方々の御意見を伺うべく準備を進めているところでございます。  本路線の整備により、交通量が千葉柏道路に転換することから、現在の十六号の交通量が大幅に減少し、当該区間の渋滞の緩和、環境問題等の改善に大いに寄与するものと考えております。
  216. 松崎公昭

    松崎分科員 実は、この道路計画は、手前みそになるわけでありますけれども、あの当時、地元の代議士がいなかったものですから私が、県議会の最終の段階だったんですが、前の、第十一次の道路五カ年計画に平成四年に滑り込みをさせていただいて、どうやら入れていただいた。これには大変な汗をかかせていただいたということで、特に私は思い入れが強いわけでありますけれども、これは、柏市という三十二万のところの、十六号線が通過しているところが新しい市街地を今つくろう、それから常磐新線というつくば—東京の幹線の鉄道計画、これもちょうど十六号線にかぶってくるということで、今のまま放置していたら柏市が特にどうにもならなくなる、そういうことで第十一次の道路五カ年計画に何とか滑り込ませた。そういうことでございますので、何としてもこの道路は、あの東葛地区の動脈を補完する意味で非常に重要な位置づけをしております。この計画の着工と、今計画されております完成までのスケジュール、こういうことをぜひお聞かせをいただきたいと思います。
  217. 大石久和

    大石政府参考人 千葉柏道路につきましては、もう先生御存じのとおり、大変人口の稠密地帯を通過するものでございますから、いろいろな方々の御意見を聞きながら進めていく必要があると考えてございます。  現在、計画策定や事業実施のやり方を問うパブリックインボルブメント、これは、前の五カ年計画の際にも、このような手法で多くの方々の御意見を反映しながら五カ年計画を策定するということをやらせていただきましたが、このパブリックインボルブメントの考え方を導入するということといたしまして、平成十一年十一月二十六日に、計画案の公表に当たり、この旨を公表させていただいておるところでございます。  このため、平成十一年の十二月に、沿線三市一町等により、千葉柏道路整備に関する関係市町検討委員会を設置させていただきまして、今後、各市町に共通する問題等につきまして意見の調整や検討を始めるとともに、住民の方々の御意見の集約を始めたところでございます。  建設省といたしましては、これらの手続を踏まえ、平成十二年度より事業者として計画案を策定していく予定といたしておりまして、今後、地域の方々の御意見や御要望を踏まえ策定されました計画案をもとに、都市計画並びに環境アセスメントの手続を進め、これらの手続が終了後、早期に事業化を図りたいというように考えております。
  218. 松崎公昭

    松崎分科員 今、混雑の内容、もちろん、そちらでも把握されておりますように、大変な混雑度が、一・四ということで、強い場所であります。ですから、今の手続あるいはこれからのスケジュールというのは、おっしゃったとおり、今までの建設省の常套のやり方だろうと思いますけれども、実際、非常に切迫しておりますので、これは言えない問題もたくさん、PIを使って始めたばかりだから言えないかもしれませんけれども、一応の大まかな完成は大体何年ぐらいでやりたいんだと、わかりましたら教えていただきたいと思います。
  219. 大石久和

    大石政府参考人 現在まだ、計画案の素案を練るべく、地域の方々の御意見を聞き始めたところでございます。  建設省といたしましては、この状況を解決するために一日も早い完成に努力するところでございますが、現在、どの時点でこの道路が完成するのか、見通しが言える段階ではございません。
  220. 松崎公昭

    松崎分科員 それはわかりますが、ただ、この周辺に外環道路、内側の東京湾に近い方に外環の計画が今進んでおります。また、外側には圏央道という、千葉県からずっと茨城を通って関東平野を回っていく道路がございます。こういうものも同時並行で進んでいるわけでありまして、これらができますと、今の状態でいきますとせいぜい十年から二十年はかかるであろうという大まかな予測の中で、圏央道にしても外環にしてもできてしまう可能性が、もちろん早くできた方がよろしいわけですけれども、このバイパスができるころに既にそれらの周辺の幹線道路ができ上がってくる。そうなると、必要ないじゃないかと言う方も千葉県の自民党筋の方の中にもいらっしゃるわけであります。この必要性、本当に必要なのかどうかということを、今の時点ではそうなんですけれども、将来を見たときに、人口が頭打ちにもなります、それから情報化社会も進む、物流がどうなっていくかということを含めますと、ひょっとしたら、でき上がったころにはもう必要がない道路になるよ、そんなことを言う人もいまして、私は承服しがたいんですけれども。  その辺で、本当に必要性があるんだという、数値を含めて何か予測等があれば教えていただきたいと思います。
  221. 大石久和

    大石政府参考人 圏央道や外環等のネットワーク整備が進めば十六号のバイパスとしてこの道路の必要性がなくなるのではないか、そういう御懸念でございますが、私どもはそうは考えておりません。  例えば、我々が計算しております、将来の交通を分担するトリップ長という考え方がございます。それは、一台の車が平均的にその道路区間を何キロ走行することとしてその道路を使っておられるかというようなものを考えるものでございますが、当然、市町村道等に比べまして、高速自動車国道等におきましてはその一台当たりのトリップ長が長い、そういう特性を持ってございます。つまり、足の長い交通を分担するのが高速道路であり、地先から地先への移動を分担するのが市町村道であるといったような、そういう意味で使うことが多いのでございます。  我々の予測で申し上げますと、例えば外環では、将来外環を使う交通は、平均トリップで七十五キロぐらいの起終点を持っておられる車が使うのではないか、あるいは圏央道ですと、百キロ弱ぐらいの足の長い交通がこの圏央道に乗るのではないかというような計算をいたしておりますが、交通はそんなに足の長い交通ばかりで構成されているわけではありませんで、地先から地先へ動かれる交通もたくさんあるわけでございます。  そういう交通の中で、千葉柏道路は、将来的には四十キロから五十キロぐらいのトリップ長を持つ交通を分担する道路として構想されまして、さらに足の短い交通につきましては、例えば三十キロから四十キロといったような交通につきましては現道の十六号に残るであろう、それ以上に足の長い交通については千葉柏道路に移り、さらに足の長い交通だけが外環や圏央道に移るのではないかというように考えてございますので、中長距離の交通を担う道路として、この千葉柏道路は今後も、将来とも必要な道路というように考えております。
  222. 松崎公昭

    松崎分科員 よくわかったわけでありまして、確かに、おっしゃるとおり、ここは高速道路でも何でもありません、一般道路でありますので、普通の道路と全部交差をしながら、ですから大変な混雑になっているということであります。  ただ、やはり、一つの将来予測の中で、これはどうなんでしょうか。走行台キロというのがあるそうですね。走行距離掛ける台数ということで、今のトリップ長と同じようなものですけれども、車が本当にふえるのかどうか、これは難しい予測だと思うんですけれどもね。高齢化社会になって人口が減りますね。それから、情報化社会になると、あるいは情報が分散する、それから、都市が分散することによって都市圏への集中も少なくなる、そういう予測をする方々もいるわけであります。  ですから、走行台キロなんかの観点から見てどんな予測をされているか、また、バイパス完成を見越して平成三十二年ぐらいの予測が出ているんではないかと思いますけれども、十六号それからでき上がるであろうバイパスの予測、ありましたらお知らせください。
  223. 大石久和

    大石政府参考人 将来人口見通しが余りふえないというような状況のもとで、走行台キロが伸びないのではないか、したがって道路整備はその必要がないのではないかといったようなことが言われていることは、私どももよく承知いたしております。  しかしながら、建設省におきまして、過去の走行台キロの伸びを、現在我々が持っております経済因子の中で何が説明力があるかということを調べましたところ、GDPの伸びと免許人口の伸びでほとんどその説明ができまして、道路交通容量の伸びというものが走行台キロの説明因子としてはほとんど五%ぐらいしかきかないといったような、そういう学術的な数字も持たせていただいております。  したがいまして、道路空間が延びることがたちまち走行台キロの伸びを促し、走行台キロの伸びに直結する、道路をつくるから走行台キロが伸びてしまうんだということにはならないのではないかというように考えてございまして、我が国の経済力の伸びと免許人口の伸びといったようなことで大体説明ができるということになってございます。免許人口は引き続き、特に若年の女性層の免許取得の人口がふえておりますので、伸び続けております。  それから、十六号ないし千葉柏道路の将来の交通特性でございますが、将来千葉柏道路ができた際にも十六号には約四万台程度の交通が残ると見込まれておりまして、その際に、千葉柏道路は三万ないし四万台の、先ほど言いましたような比較的足の長い交通を分担するというような将来予測を持っております。
  224. 松崎公昭

    松崎分科員 よくわかりました。これによって、やはり我々がどうしても必要だということがある意味では証明されたのかな、そんなふうに思います。  さて、このルートが、かなり、我々にとりましては自然環境の宝庫であります手賀沼という全国一汚れている、もう二十五年も汚れている沼でありますが、風光明媚なところに橋をかけなければならない。それから、一部、特に我孫子市というところを通るんでありますけれども、ここは直接的に十六号線が入っておりませんので、何か自分のところの地域には余りバイパス関係ない、十六号の混雑は関係ないと思っているようでありますけれども、実際にその我孫子市というところを通らなければならない。そこが一番の住宅密集地に一部入るというところで、大変我孫子市は、市民の皆さんは懸念をする、被害だけ受けるんじゃないかと。そういうことを今地域では非常に、この建設に当たりまして懸念材料の一番なんであります。  さてそこで、最近、公共工事、ここの委員会でもいろいろお話が出ているようでありますけれども、公共事業が必要かどうかという問題は別といたしましても、かなり、計画段階からの政策評価とか、事前、事後の評価も含めて、政策の評価をしっかり公共事業に取り入れなければならない、そういう時代になってきた。そういうことをやることによって住民の協力も参加も得られるんではないか、そんなふうに思っておりまして、最近なかなか建設省さんも新しいいろいろな試みをされているというふうに聞いております。政策評価にどのように取り組んでいらっしゃるか、お答えをいただきたいと思います。
  225. 大石久和

    大石政府参考人 建設省におきましては、事業採択以前に当該計画がどのような経済効果をもたらすかについて評価をいたすことといたしておりまして、その基礎的な勉強は、道路局では十年ほど前から続けてきたところでございます。  現在、道路の種類に応じまして、政策評価項目を変えながら評価を実施いたしておるところでございます。例えば、高速自動車国道でございますと、全体的な国土構造がどのように変わるのか、そのことをどのように評価するのかといったようなことでございますし、また、地先の交通を担います市町村道に至りましては、交通事故の問題でありますとかいったようなものがどの程度解消されるかということを評価項目に入れて評価いたしておるところでございます。  一般国道につきましては、一般国道の特性でございます地域交通混雑緩和の状況や、あるいは交通事故の減少等を評価項目に入れながら評価することといたしておるところでございまして、この事業の採択時にはそのような評価をいたしまして、公表していくこととしたいというように考えております。
  226. 松崎公昭

    松崎分科員 実際に、私もよくわからないんですけれども、BバイC、費用対効果制度、こういったものを計画段階で、着工準備の期間でおやりになるんだということも聞いております。これは対大蔵対策ということもあるかもしれませんが、それがまた見方によれば逆に住民への説得力にもなるわけでありまして、この辺のことですね。今までこういうことがなかったから、諫早の問題やら藤前の問題なんかもいろいろ大きな問題になってきたと思うんですね。  ですから、こういうことをこの道路バイパス工事に当てはめるとしましたら、どういうふうなやり方になるんでしょうか。政策評価と費用対効果の事前の対応というものは、このバイパス工事に関してどんな手法になるのか、教えていただきたいと思います。
  227. 大石久和

    大石政府参考人 この十六号のバイパスにつきまして、ベネフィット・アンド・コストの分析を、BバイCのコスト評価をやりますと、多分、先ほど申し上げましたように、交通の渋滞の緩和の度合いを数値に換算し、あるいは交通事故の減少を数値に換算し、また沿道地域開発状況を開発効果として見込み、あるいは、道路の構造がよくなることによりまして荷傷みでありますとかその他が少なくなるといったようなことをベネフィットの要素に入れさせていただくということになると思います。  コストの評価につきましては、当然ながらその道路にかかる用地費、工事費等を入れさせていただきましてBバイCの評価をさせていただき、それを公表させていただくという、通常のバイパスをやる場合のBバイCの手法を使うことになるんだろうというように考えております。
  228. 松崎公昭

    松崎分科員 そういう問題は、つまり、住民がその地域でこの公共工事が必要だ、どうしても道路が必要だというときに、やはり説得材料になると思うんですね。  ですから、この辺は公開をされるんでしょうか、それとも、それは省内の手続ということでやられるんでしょうか。
  229. 大石久和

    大石政府参考人 建設省では、既に平成十年度から、新規採択事業箇所についてすべてのBバイCを測定し、それを公表いたしております。したがいまして、今後やることとなるこの事業につきましても、すべて公表していくこととなります。
  230. 松崎公昭

    松崎分科員 わかりました。ぜひそういう手法をとっていただきたいと思います。  それから、先ほどもお話がありましたパブリックインボルブメント、これも前々からやっていらっしゃるということなんですが、多分これは千葉県の中では初めてなのかなと私は思うのでありますけれども、これは、ちょっと私もよくわからないんですね、先ほど、道路五カ年計画では全部これをやっていたというお話でありますけれども。そうであれば、もっと建設省に対する信頼とか、こういう公共工事に対して国民がもっと協力的になってもいいはずなんでありますけれども、ここの工事において、パブリックインボルブメントの具体的な方策を少し教えていただきたいと思います。
  231. 大石久和

    大石政府参考人 確かに、五カ年計画でパブリックインボルブメントという言葉を標榜しながら意見集約を図ってきたにもかかわらず、先生指摘のとおり、余りパブリックインボルブメントという言葉が国民の間に喧伝されているという状況にはなっていない。これは、パブリックインボルブメント、こういう表現の仕方がよかったのかなという反省もいたしておりますが、現在では、今道路局は、このパブリックインボルブメントという言い方で、地域の方々、国民皆様方の御意見をお伺いするということにさせていただいております。  名称その他につきまして、あるいは国民理解を得やすい方法につきましては、今後、検討の課題とさせていただきたいというように思います。  この道路にパブリックインボルブメント方式を適用する、そのやり方につきましては、道路の必要性、ルート、構造のあり方からあるいは情報の提供の仕方までを含めて、多くの方々の御意見を伺うことといたしておりまして、平成十一年十二月から十二年二月までの間に、野田市、柏市、我孫子市、沼南町の沿道三市一町の住民に対し、それぞれ第一回目の説明会を開催し、情報提供とアンケートの形式で意見聴取を始めたところであります。  今後、パブリックインボルブメントの内容の検討を具体的に進めることといたしておりまして、これにより、地域の方々の御意見や御要望を踏まえた道路計画が策定できるものと考えてございます。それを踏まえた道路計画の策定に努力していきたいと考えております。     〔栗原(博)主査代理退席、主査着席〕
  232. 松崎公昭

    松崎分科員 確かに、どこかの委員会で、文部大臣でしょうか、横文字が多過ぎるというので反省するということを言っていたそうでありますけれども、こんな舌をかみそうな名前でいったって、それは東大出の皆さんの大官僚さんはいいでしょうけれども、私たちは舌をかんでしまいますから。わかりやすくということであれば、当然、この言葉をもう少し考えた方がいいと思いますね。  それから、今地元の説明会が、第一回、各地区でやられたということでありますけれども、先ほどもちょっと触れましたように、真ん中の我孫子市というところは一番距離が短いんですけれども、通過が二キロでしょうか、一番短いんですけれども、ここが一番問題がある。問題というか、住民の方々に大変刺激を与えるような計画になっております。  例えば、そのPI方式でやったところ、今仮のルートが発表になっておりますけれども、これからこのルートのやり方を変えるとか工法を変えるとか、工法もまだ確定はしておりませんけれども、一部には、各首長の中では、手賀沼というところを地下道で通したらどうか、そういう話もあるわけでありますから、これは費用が大変かかる。そうなりますと、先ほどのBバイCでいくとできなくなってしまうおそれもあるということもあって、私は、非常に苦慮する状況になるなと。  ですから、今のうちに、どうやって住民の方々に御理解をいただけるような手法で、そして実際にその地域社会も挙げてこの道路をつくるようになるためには、PIでいきますとルート変更等も結果としては当然あるということでよろしいんでしょうか。
  233. 大石久和

    大石政府参考人 直轄国道等では、既にパブリックインボルブメント方式による調査あるいは計画固めを行っているところは幾つかございまして、その中では、幾つかのルートを提示して、どういうルートがいいか、住民の方々の意見あるいは関係団体の意見を聞きながらルートの固定を図っているところもございます。  今回の千葉柏道路先生、仮のルートというお話がございました。我々なりに考えたルートとして御提示させていただいてはおりますが、いろいろな声を聞きながら、ルートも含めて、パブリックインボルブメントの中で固定していきたいと考えております。
  234. 松崎公昭

    松崎分科員 つまり、千葉県は成田空港なんという苦い経験もありまして、物事を決めて、そして実行しよう、今までの役所のやり方でいくと、結局それがもう一たん決めたものは変えないという姿勢でいろいろな問題を起こしてきた。そこに、こういういろいろな手法の工夫が出てきたということは、大変うれしい、よろしいことだと私は思うんです。  さて、今後、いよいよこれが進んでまいりますと、いわゆる環境問題、特に手賀沼を中心とした問題は、あそこは非常に鳥の集まるすばらしいところなんでありますけれども、環境を大事にする人たちが非常に多いのですね。そうなりますと、いよいよ環境アセスが次の段階には待ち構えているわけでありますけれども、これをしっかりクリアするためにも、持続可能な開発というかワイズユーズというか、こういうこともしっかりと組み入れなければならない。ですから、建設省として環境アセスメントに向けて、ちょっと早いかもしれません、先まで含めながらどんな考えで臨むのかをお知らせいただきたいと思います。
  235. 大石久和

    大石政府参考人 千葉柏道路は、延長約二十七キロメートルの四車線の一般国道として計画しておるものでございますから、昨年六月に施行されました環境影響評価法に基づく対象事業となることはそのとおりでございます。したがいまして、都市計画決定権者であります千葉県において、今後環境アセスメントが実施されることとなるというように考えてございます。  環境アセスメントの実施に際しましては、当然のことながら法を遵守するとともに、アセスメント実施者であります千葉県に事業者として十分協力しながら、住民の方々の御意見、御要望を踏まえ、環境に十分配慮した道路整備がやれますように努力したいというように考えております。
  236. 松崎公昭

    松崎分科員 どうもありがとうございました。
  237. 萩山教嚴

    萩山主査 これにて松崎君の質疑は終了いたしました。  次に、遠藤和良君。
  238. 遠藤和良

    遠藤(和)分科員 私は最初に、大臣に四国の現状をよく知っていただきたいという意味で、四国の社会資本整備状況について若干お話をさせていただきます。  このほど、建設省の四国地方建設局がいいレポートをまとめてくださいました。最初に四国の厳しい自然現象というものを分析されておりまして、四国には中央構造線など大きな三本の断層が四国を横断しているわけですね。その関係から大変地すべりの危険地域が多い。四国は、国土面積では全国の五%しかないのですけれども、地すべりの危険箇所は全国の一三・九%ある。したがって、国土面積比の約三倍です。だから、日本全国の三倍の危険の地域を抱えている、こういうようなことです。  それから、異常気象も大変多いわけですけれども、異常気象で通行が禁止になる区間というのが日本全国平均の約二倍あるということですね。  それから気象条件。瀬戸内海側は全国でも有数の少雨地域ですから、渇水被害が多い。四国の人口日本全国の三・三%しかないのですけれども、渇水の影響を受ける人口全国の一一・三%を占めていまして、総人口比の約四倍の状況にある。  それから洪水ですけれども、台風常襲地域ですから、過去二十五年間の水害被害額が全国平均の二・五倍、これはどの地域よりも高い数字になっている。  こういうふうに大変厳しい自然環境の中にあるのですけれども、社会資本整備はどういうふうに進捗しているかというと、例えば高速道路の開通は現在四四・二%でして、全国から比べるとワースト二位だ。大型車がすれ違える国道や県道はまだ五割しかなくて、これは全国でワーストワン、一位だ。下水道の普及率も全国最低の二三・二%だ。あるいは、一人当たりの公園面積も全国平均以下であって、中小河川の堤防整備率は、これも全国水準未満で、まだ未整備地域が七割ある。社会資本整備状況はこういうふうな状況です。  それで、結論の部分ですけれども、結論として、現在の約二倍のペースで進めていかないと全国の水準にならない、こういうふうに四国地方建設局はレポートをまとめたわけでございますが、そうなると、やはり重点配分をしていただかないと全国水準に追いつかないという状況になるのですが、これに対する建設大臣の認識をまず聞きたいと思います。
  239. 小川忠男

    ○小川政府参考人 ただいまお話しになりましたレポートについて事務的にちょっとお答えをさせていただきたいと思います。  私も、あのレポートを読みまして、自分たちの組織を褒めるわけじゃございませんが、四国四県にかわって一生懸命四国をPRし、整備水準のおくれを訴えているというふうな印象、特に四国の置かれている地理的、自然的条件に対する危機感といいますか、これが背景にある力作だと思います。  四国の整備水準、いろいろ評価はあると思いますが、単純な整備水準では割り切れないような、例えば本四架橋、これは四国の経済の将来にとってとてつもなく大きな意味を持つと思います。ただ、レポートでも触れておりますように、幾つかの整備水準の指標が、全国的に見た場合にかなりおくれているというのは事実であろうと思います。  その意味では、重点配分という言葉が適切かどうかは別として、多少時間がかかってもやはり全力を挙げて整備を進めていく必要があるというふうな印象を持って受けとめさせていただきました。
  240. 中山正暉

    中山国務大臣 四国は、今官房長が御答弁申しましたように、三本の橋がかかったという時代が来ました。大鳴門橋もかかっておりまして、将来の第二国土軸といいますか、新国土軸という言い方の方がいいのかもわかりませんが、紀淡海峡大橋、これも可能性が、豊橋から渥美半島伊良湖岬を通って、伊勢湾湾口道路を通って紀伊半島をぶち抜いて、そして紀淡海峡から四国に入って、そして愛媛の佐田岬から九州の地蔵岬、関サバとか関アジで有名なあの地蔵岬に入って、それから熊本へ抜けるという、次の新国土軸が縦断する期待がかけられるわけでございます。  私が尊敬しておりました大平総理大臣とか、またもう一人の総理大臣、三木総理大臣が出られているところでもあり、この四国に対する大きな政治的な配慮が私は当然なされるべきであると。本土から離れておりました島でございます。  九州はちゃんとつながっておりますが、その四国に新しい橋がつながったということは御同慶の至りでございますが、つながりましても、今度は中の道路網とかがしっかりしておりませんと、急峻な山がございますし、中央構造線という大活断層も吉野川の流域を通っております。そんな地域を何とか克服して、この四国が本当に発展の段階に入られますように私どもも努力をしていきたいというのは、先生から今全国平均の差を伺いますと、余計にそれを痛感するものでございますので、御指摘、貴重に受けとめております。
  241. 遠藤和良

    遠藤(和)分科員 社会資本整備というのは、現役の世代が未来世代に対してできる投資だと思うのですね。今、社会資本整備は、税金をいっぱいかけて、悪玉論といいますか、そういうふうなことが若干言われているわけですけれども、それは本当に社会資本整備の本質をついた、理解をした議論ではなくて、暴論だと思っています。いわゆる公共事業ばらまき論ですね。  そういうものではなくて、本当に社会資本整備というのは、利便性という面もあるのですけれども、一つは、住民の生命とか財産とか、そういうものを保全していくという国の治山治水にかかわる大切な仕事があるわけですから、単に採算性とか効率性ということで社会資本を論ずるのはおかしい、私はこう思います。  いわゆる効率性が高い事業は、例えばPFI、民間の資本を利用して公共事業をやろうという話もあるわけですから、そちらの方にだんだんシフトしていって、効率性は低いけれども、その地域の住民にとっては本当にどうしても大変大切な事業だ、こういうものは税金を中心にした社会資本整備を整々粛々と整備していく、こういう基本的な考え方で社会資本整備していくべきだ、こう考えるわけでございますが、いかがでしょうか。
  242. 中山正暉

    中山国務大臣 関西国際空港がいわゆるPFIのはしりであったのではないか。日本の航空行政というのは、成田は公団方式、それから羽田はあっという間に立派な空港ができまして、国の直接の空港、それから関西国際空港のようにいわゆる民間の会社という形で、一貫していないのもちょっと問題があるのかなとは思いますが、とにかく関西国際空港という空港ができました。  しかし、今千四百億円のいわゆる赤字が出ているというような形でございますから、景気の問題と絡んで、いろいろ社会資本の問題というのは、いつもサミットに参りますと日本の総理大臣は、日本はもっと社会資本を充実させろと言われる。毎回言うことでございますが、英国なんかは、一六六三年にもうターンパイクという馬車用の高速道路ができておりましたり、一七〇〇年代には、パリはもう下水道を完備しておりました。  その中で日本は、今から政治的に振り返りますと、米ソの両方を相手に戦争をした。その後、米ソの対立の中にあって日本の思想的な対立がありまして、一段階革命論とか二段階革命論とかいう革命論があって、社会資本が充実して日本が栄えたら革命が起こらない、だからできるだけ社会資本を投資させずに、失業者が出て社会混乱が起こって、そこに革命が起こるという、そんな思想があった時代が、三十年ぐらい前に、一番激しい、いわゆる大学紛争で盛り上がったころ、あのころがそれのピークだったと思います。私は、それの残影が残っていると。  もう与野党も大変協調的な時代が来ましたし、同じ方向を向いていろいろな、かつては考えの違った政党も一緒にこの日本の将来を考えて、次に大重税国家を残さないために、そして後の人がもっと安い費用で経済効果を上げられますようにするために、そういう意味の投資が今の時代になっての新しい社会資本の充実だ、こういうふうに私は考えております。
  243. 遠藤和良

    遠藤(和)分科員 ちょっと時間がないので、吉野川の第十堰の話に入りたいと思います。  最初にちょっと例え話をしたいと思うのですが、ある病院で、ある患者の治療方針をめぐって医師団が、専門医が集まって検討した。熟慮を重ねた結果、外科手術が最適だ、こういう判断をした。そこで、その患者の家族に同意を求めた。家族の中には賛成だという人もいたのだけれども、家族の大半の人たちが同意しなかった。このときに医師団はどうするかという話ですね。  私は、お医者さんの仲間がいるものですから、お聞きしましたら、遠藤さん、それは二つ方法があると。一つは、もうよその病院に行ってもらえ、こういう決断をする。もう一つは、患者の家族の人に、じゃ、あなた方のおっしゃる治療方針でやります、だけれども、それは医師としては自信がありません、だから、もし何かあっても結構です、そういうふうな承諾書を書いてくれますか、そうしたらあなたのおっしゃる治療方法でやりましょう、こう言うしかないんじゃないのと言うのですね。  これを吉野川第十堰で考えてみると、最初の、どこかよその病院に行ってもらいましょうということはできないわけですよね。日本の国は、政府が一つしかない、建設省一つしかないですから、よそに行ってくださいとは言えません。  それから、あなたのおっしゃるとおりやりますから、もしうまくいかなくても結構ですという承諾書を書いてくださいということも、これは国の責務を国民に転嫁する話になってしまうわけですね。これもできない。やはり治山治水というのは国の責務ですから。そうすると、これはなかなか難しい問題になるわけですね、実際にどうするかということになると。  一つは、医者の場合は、インフォームド・コンセントという、説明と同意という話、それから行政の方でいえば、アカウンタビリティー、説明責任、こういうふうな話なんですけれども、一生懸命説明して最善を尽くしたのだけれども、理解してもらえないときはどうするのかということになるのですね。どうしますか。
  244. 中山正暉

    中山国務大臣 きのう大阪で、先ほどどなたかにも答弁したのでございますが、猪名川という川、これは十年に一遍の洪水が来る可能性がある。その下の方の神崎川とか左門殿川、中島川とかいうような川は、六年に一遍の水害の危険性があって、その地域に住んでいる人たちのいわゆる財産、資産というものは六兆数千億円だと。そこは二十六年間かかりましたが、きのう起工式をやってまいりました。そういうのは余りマスコミには出ません。  先生の例え話、非常に興味を持って聞かせていただきましたが、川の問題は、これはやはり住民の皆さんと、それが影響するところはもう四国全体の問題でございますから、本川村から発しますこの百九十四キロ、それに隣接する十四キロの徳島市の御判断だけではぐあいが悪い。  ですから、ひとつ関係者に一堂に集まっていただいて、川は物を言いませんから、これはいわゆる意識のない患者と同じでございます。ですから、その意識なき患者が、いわゆる四国全体の活性化のためといいますか、後の世に災害を、百五十年に一遍とか七十年に一遍とかいう、大都市の真ん中の川の場合は住民投票も何も起こりませんでしたが、そういう七十年に一遍、百五十年に一遍というところでは、それはひとつある程度時間もかけて、その物を言わない川を、大変功績のあった人物の延命を図るかどうかという、それと同じ感覚で、その患者の周囲のすべての人に寄ってもらって、人道的な立場から判断をして、手術をするならばその方がよみがえるという前提に立っての手術は、するのが医師としての務めでございましょうし、それを説得するのは医師としてのまた、医学に対する全くの素人に対して、自信を持って手術を敢行するなら手術を敢行するということを宣言するぐらいの権威があっていいと私は思っております。
  245. 遠藤和良

    遠藤(和)分科員 私、この問題を見ておりまして思いましたのは、吉野川というのは、徳島県民にとっては母なる川なんですね。ですから、母にメスを入れてほしくない、そういうような精神的なものがあるんだと思うのですね。でも、医者の常識といいますか、専門的な知識からいえば、これはやはり外科手術をするしかない。そういうふうな、土木技術上の問題と精神世界のような問題が、ちょっと次元が違う議論をされているような気もするんです、若干。それをどう整理するかという話だと思うんですが。  今後のことにつながっていくのですが、建設大臣は、一遍ゼロから議論しましょうということをおっしゃいましたが、その意味なんですけれども、例えば現在計画がある、それはちょっと横に置いておいて、それにとらわれないで、だから、最初に可動堰ありきという、あるいは向こうからいえば最初に固定堰ありきという、その議論じゃなくて、一遍全くゼロから議論をし直しましょう、こういう意味だと理解してよろしいんでしょうか。
  246. 中山正暉

    中山国務大臣 この間、どの委員会かでも、前原先生と議論をしたのでしたか、私は、白紙に戻せという——可動堰にはゴム式のものもあります。きのうの猪名川では、ゴム式で、しぼめて、それを立ち上げるまでに、一時間あったらもとの形にそのゴム式の可動堰は立ち上がるということなんです。それから、つい立て式というのと三種類あるのに、反対していらした方々のパンフレットの中には、鳥の目から、鳥瞰的に見た固定堰と、それから、まるでフランスの城がそびえ立っているような引き上げ式の固定堰なんという、それはまるでお城のような、虫の目から見たような、見上げるような可動堰を広報活動の中に使っていらしたから、私は、先ほどのお医者さんの話でいえば、手術の方法が一つしかないことを提示した医療行為のような感じにちょっと受け取れる。私は、情報が正確に民衆に伝わっていない中での選択というのは少し問題があるんじゃないかという感覚をしております。  先生の最初の御質問、ゼロからという意味はどういう意味だ、私は、白紙撤回というのは平面的な話だと思いますが、時間的な問題で、建設省が歩き始めているから、そこでとまって、そこで目盛りをゼロに合わせましょう、あなた方も、一月二十三日運動、一、二三と歩き出したのならゼロに戻してください、お互いにゼロから始めましょうというのは、時間的な、系列的な意味でのゼロという意味でございますので、これから新しくスタートしましょうということを申し上げたのが私のゼロ提案でございます。
  247. 遠藤和良

    遠藤(和)分科員 ゼロから議論すると、やはり対話のルールといいますか、それをきちっとつくって、新しい審議会のような形でみんながいろいろな案を平等に議論していく、こういうふうな形になるのかなと思うんですね。  ですから、最初に結論があるわけじゃない。自由にいろいろな案を出して、本当にどれがベストかと。私たちは可動堰がベストだと思うよ、私はそうではないよ、そういうふうないろいろな意見があるわけですけれども、それを自由に、平等に、一遍俎上にのせて議論していきましょうという形になると、やはり、何か新しい形の審議会とか、あるいは、それぞれの案に調査費をつけて専門的に調査して、その結果を報告してもらうとか、そういうふうな、仕組みですか、対話のルールでしょうか、そういうものをつくらなければ始まらないんじゃないかなと思うんですが、どうでしょうか。
  248. 中山正暉

    中山国務大臣 河川法の十六条の二の四というもので、一般の方々の御意見も聞くということでございまして、そういう意味で、建設省として第十堰問題に対して、地域住民の方々との対話を積み重ねるための対話のルールづくりを行っていくことが大事だと私は思っております。  このため、二月十二日でございますが、一般公募の方が三十五人参加した第一回の懇談会が開催をされたようでございます。議論の場についての御提案を、今後、懇談会の議論を踏まえて検討していくために、私は、そういう中でひとつ地元の方々と対話を続けていく。  今日まで五十六億円の調査費を入れて、その中から人件費を引きますと四十億ぐらいになるわけでございますが、そういう貴重な調査を続けておりますので、まだ、千三十億かかるなんてうわさだけで、何か今にも可動堰が着工にかかるようなあれがありますが、それは全く予算がついておりませんから。道路が上についてインターチェンジにつながるという二つの効用を持った可動堰、それから、可動堰だけならば九百五十億ぐらいだということでございますけれども、それも予算がついておりません。  まだ調査の段階でございますから、そういう調査をするために、いろいろな、先生の御提案のような、皆さんとの新しい懇談の場というのを、いわゆる河川法の十六条の二の四の方式に従いましてつくっていくことが新しい河川法の意思に従うものじゃないかと思っております。
  249. 遠藤和良

    遠藤(和)分科員 今予算の中で調査費が計上されているわけですから、これを活用したらいいと思うんですね。ただ、いろいろな案について調査しなければ本当にいいのかどうかということにならないものですから、そういうものをきちっと、各案ともに全部調査費をつけて調査をする、それを議論の対象にする、こういうのがいいと思うんですね。  そういう形で行いましょう、その結論が出るまでは、現在の計画は一時横へ置いておきますと。これを何と表現したらいいのかわからないんですが、凍結というのか棚上げというのかわかりませんけれども、横へ置いておきましょうと。だから、結論が出る方向でもう一遍きちっと話し合いをしていきましょう、こういうふうな整理をしないと話が前に進まないんじゃないかな、こういうことを心配するわけでございますが、重ねて質問します。
  250. 中山正暉

    中山国務大臣 本当に先生の御提案のとおりだと思います。先生のお名前を拝借して申しわけありませんが、仲よく、和が良しと書いてございます。和良と書いてございますから、ひとつそういう和の精神を了としてやっていきたい、先生のお説のとおりでございます。
  251. 遠藤和良

    遠藤(和)分科員 こういう問題は、いたずらに感情的に対立するのが一番よくないわけですよね。本当に理性的に、本当に未来世代のことまで考えて、あるいは流域住民全員あるいは徳島県民全体のことを考えて、冷静な中で議論をするべきだと思うんですね。そういうふうな環境づくりが一番大切だと思います。  ぜひそんな形で、この問題について、今入り口をつくっている状況かもわかりませんけれども、皆さんが納得して新しい審議が始まるように御配慮を願いたい、心から願いたい、この気持ちを付言させていただきまして、あと一分ぐらいありますから、答弁をお願いします。
  252. 中山正暉

    中山国務大臣 肝に銘じて、先生のお気持ちと全く同じでございまして、揺れているとかいろいろなことを言われますが、まだ何もないんですから。揺れるも何も、私にしてみたら、かえって妙な気持ちがいたします。  私はまだ、去年の十月の五日に就任したところでございますから、その問題、急にこうして、皆さんとの関係ができたわけでございますから、私は、先生方の御満足をいただくような解決の方法をそういう面から探っていきたい、かように考えております。
  253. 遠藤和良

    遠藤(和)分科員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  254. 萩山教嚴

    萩山主査 これにて遠藤君の質疑は終了いたしました。  次に、木村太郎君。
  255. 木村太郎

    木村(太)分科員 大臣初め皆さん、本当に遅くまで御苦労さまでございます。三十分の時間をいただきましたので、特に地元のことを中心にお聞きしますので、前向きな答弁を期待申し上げたいと思います。  早速でありますけれども、まず、私の地元に、自動車専用道路であります津軽自動車道建設が始まっておりまして、浪岡—五所川原間というところが着工されているんですけれども、十二年度の予算案が仮に通ったならば、十二年度でどのぐらいの進捗率になる見通しがあるのか、見通しをお持ちでしたらお聞かせいただきたいと思います。
  256. 大石久和

    大石政府参考人 津軽自動車道についてのお尋ねでございます。  津軽自動車道は、青森市と鰺ケ沢町を結ぶ延長約四十キロメートルの高規格幹線道路であり、このうち浪岡町から五所川原市までの延長十五・七キロは、浪岡五所川原道路として平成五年度に事業に着手したところであります。このうち、東北縦貫自動車道弘前線に直結する浪岡インターチェンジから五所川原東インターチェンジの間八・一キロメートルにつきましては、平成十四年度の暫定二車線供用を目指し、鋭意工事を促進しているところであります。また、五所川原東インターチェンジから五所川原インターチェンジの間延長七・六キロメートルにつきましては、用地買収及び改良工事を促進しているところであり、平成十年代後半には事業区間全線の完成を図るべく整備を進めているところであります。  今後とも、地域の御理解と御協力を得て、早期に供用が図られるよう整備を進めてまいりたいと考えております。
  257. 木村太郎

    木村(太)分科員 用地買収もありますので、予定どおりにいかないかもわかりませんけれども、ぜひ、今の御答弁にあった方向で御努力をお願いしたいと思います。  そして、津軽自動車道、五所川原から鰺ケ沢というところまでの延伸も計画としてはあるわけでありますけれども、この整備のことをどう考えておられるのか。特に国土開発幹線自動車道建設審議会で、ぜひこの五所川原—鰺ケ沢間についても積極的に取り上げていただければありがたいな、こう思いますが、いかがでしょうか。
  258. 大石久和

    大石政府参考人 津軽自動車道の五所川原—鰺ケ沢間を早急に整備すべきだという御指摘でございます。  五所川原—鰺ケ沢間の延長約二十キロメートルにつきましては、平成五年に基本計画に指定しておりまして、現在、建設省においてルート及び構造の検討を行っているところであります。  今後は、周辺道路整備状況や地域開発動向を勘案しながら、調査熟度の高まった区間から環境アセスメントに着手する予定であり、環境アセスメントの終了後、次の手続に入りたいと考えてございます。そのため、調査の推進に努力してまいりたいと考えております。
  259. 木村太郎

    木村(太)分科員 調査の推進に努力するということですので、その調査の結果が出れば直ちに次の段階に進んでいただくことを御期待したいと思います。  いま一つ道路のことでお聞きしますが、日本海沿岸東北自動車道の計画、もう既に部分的に進んでいるところがあるわけでありますけれども、これは前にもお聞きしたことがあるんですが、能代から東北縦貫自動車道の小坂ジャンクションのあたりでドッキングする考え方が、計画としてあるようであります。  私は、能代から、当然に北上しまして、ただいま御質問させてもらった津軽自動車道の終点地にあります鰺ケ沢とドッキングすることが、やはりいろいろな面での交流や、あるいは広い圏域、圏域という考え方を持てば当然の計画を持つべきでないかな、こう思っております。  手元に、前回の国幹審の計画図というのを私きょう持っているんですが、そちらから見ますと小さくて見えないと思いますけれども、私の地元青森県というのは、日本海側と太平洋側がありまして、しかも真ん中には奥羽山脈、八甲田山がありまして、そして津軽半島、下北半島という大きな半島がある。そういうことを考えれば、循環性ということが大変大事に思われておりまして、そういうことを考えても、日本海沿岸東北自動車道、能代から小坂への計画を否定するものではありませんが、能代から北上して津軽自動車道の鰺ケ沢とドッキングするということが当然の姿ではないかな、こう思っております。  ぜひ、次の国幹審でも議題にしていただけるようにできないものかどうか。もっと具体的にいうと、計画路線にぜひ位置づけて、前回の国幹審で用いたこの計画図の中に、点線なり、何らかの線引きが当然に近い将来できるようにお願いしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  260. 大石久和

    大石政府参考人 先生の御指摘は、能代から、鰺ケ沢を越えて五所川原に結ぶその路線でございます、それでよろしゅうございますでしょうか、西津軽能代沿岸自動車道路についてのお尋ね……(木村(太)分科員「そうです」と呼ぶ)はい、わかりました。  西津軽能代沿岸道路は、西津軽郡鰺ケ沢町と秋田県能代市を結び、日本海沿岸地域の交流の促進や、津軽自動車道から日本海沿岸東北自動車道等とあわせて、循環型ネットワークの形成を図る道路でございます。  先生、国幹審のお話をされましたが、国幹審の議を経る高速道路、高規格幹線道路とそれから国道との間のネットワークを補完する道路として地域高規格道路というものを現在計画レベルで持ってございます。高速道路のネットワークだけではどうしても補完し切れない部分が全国に幾つかございまして、御指摘の青森県の西部につきましても同様のことでございまして、あるいは三陸海岸でもそうでしたし、日本海側では幾つかそのようなところがございました。  そのようなネットワーク上の補完を行うために地域高規格道路というものを構成したものでございまして、この道路も、地域高規格道路の中で、特にこの地域の循環型のネットワークを形成する道路として計画したものでございまして、この道路につきましては、現在基本計画区間でございますが、今後地域の調査状況等を待ちまして、次の計画段階への格上げについて検討していきたいと考えているところでございます。
  261. 木村太郎

    木村(太)分科員 ぜひ検討していただきたいと思います。  次に、ダムのことをお聞きしますが、これも何度かお聞きしてきたことなんですけれども、地元に津軽ダムというのがありまして、これは国直轄のダム事業であります。先ほどの道路と同じような趣旨でお聞きしますが、十二年度の予算が通ったならば、どのぐらいの進捗が見られる見通しかお聞かせください。
  262. 竹村公太郎

    ○竹村政府参考人 津軽ダムに関しましての進捗状況を御説明させていただきます。  津軽ダムは、平成二年、五年、九年と大規模な洪水に襲われました津軽平野の治水対策のかなめであります。そして、岩木川流域では毎年のように発生しています用水不足による渇水等、大変苦労している方々の、地域の安定的な発展のために極めて重要な施設と認識しております。  現在、目屋ダムという小さなダムがございます。このダムをかさ上げする事業でございまして、平成十一年度までにダム下流の工事用道路十三・五キロのうち約五キロが完成し、一部が供用できる見込みでございます。平成十二年度は、政府原案十二億円の事業費をもって、引き続き工事用道路の工事を行うとともに、水没者の方々の生活再建が早期に図られるよう、所要の用地国債枠を確保して用地補償を強力に推進する予定でございます。
  263. 木村太郎

    木村(太)分科員 進捗率に直しますと、どのぐらいの見通しが立ちますか。
  264. 竹村公太郎

    ○竹村政府参考人 総事業費の平成四年度単価では千四百五十億円でございます。現在、十一年度までの実施額は百十億円でございますので、約一〇%弱かと思われます。
  265. 木村太郎

    木村(太)分科員 十二年度の予算を仮に使っても一〇%ということでありますけれども、先ほど答弁にもありましたが、目屋ダムというダムが完成したときからそれにかわるダムの必要性がありまして、それが津軽ダムということで取り上げられた。そしてここまで来ているわけでありますが、おかげさまで、皆さんのおかげで、予算的な動きを見れば、まだ本体工事に入っておりませんので大変額的には小さい額でありますけれども、伸びてきているということは、津軽ダムは完成させなければならないダム事業だ、私なりにそう理解しております。  そこで、地元でも移転の問題とかいろいろな努力をしているわけでありますので、当初、国みずからがつくった計画ですと、平成十五年度には完成していなければならないダム事業でありましたので、これは当然に無理だということはだれから見てもわかるわけであります。しかし、予算的には伸びてきている、小さい額でありますが。よって、私は、ぜひお願いしたいのは、この二、三年のうちにでも、この津軽ダムが何年には完成するというきちっとした目標年次を、もちろん、でも若干の、目標を持ってもおくれることはあろうかと思いますけれども、国として、建設省として、何年ごろにはきちっと完成できるように、それを目指していきたいという目標年次をこの時期にもう示す必要があるんではないかな、こう思いますが、いかがでしょうか。
  266. 竹村公太郎

    ○竹村政府参考人 ダム工事は大変長くかかります。地域の方々に大変御迷惑をおかけしておりますが、ダム本体工事につきましては、工事用道路、用地補償等が終了してからでないと着手できません。今後、これらの工事及び用地補償を促進して、ダムの早期完成を目指して努めてまいる所存でございます。  完成時期につきましては、用地補償の円滑な完了と関連工事の進捗という課題があるため、現時点では明確な回答ができないことをお許し願いたいと思います。  いずれにしろ、平成十二年度が用地補償に関しまして大きな山場に差しかかったと認識しております。私ども、所要の用地国債の枠を確保して、水没者の方々の御理解を得て、円滑にこの補償の局面を解決するため万全を尽くしてまいりたいと考えております。この補償の局面が解決できた暁には、大体次の大きなスケジュールが見えてくるのではないかなと考えておりますので、本日はこの程度の御回答でお許し願いたいと考えております。
  267. 木村太郎

    木村(太)分科員 そうしますと、用地補償が今山場だと。私も地元の動きを見てそう感じております。ですので、その山場をクリアした時期には、そのころにはきちっと示せる、こう考えてよろしいですか。
  268. 竹村公太郎

    ○竹村政府参考人 本事業につきましては、この用地補償が一番の大きな局面でございますので、その他、事業費の確実な確保という点もございますが、この用地補償が終了した段階では、山場を越えた段階では、次なる大きなスケジュールの予定が私ども表明できるのかと考えております。
  269. 木村太郎

    木村(太)分科員 そうしますと、今の段階で、もちろん、今山場を迎えていると。既に地元でも、もうダムの底に沈む予定の方々が移転先を決めている、あるいは決めつつある状況でありますが、用地補償、本当にこれは交渉でありますので、大変、予定どおりいかないときもあろうかと思います。しかし、建設省サイドとして、用地補償のめどを、少なくともいつごろまでは終わらせたいというのは持っているかと思うんですが、いかがでしょうか。
  270. 竹村公太郎

    ○竹村政府参考人 本津軽ダムに関しましては、東北のダムにしましては大変水没戸数が多く、百十七戸という大変多くの方々にこの津軽平野のための犠牲になっていただくという状況にございますし、さらに、このダムは先ほど申しました目屋ダムのかさ上げ事業でございますので、再々水没という方々がいらっしゃいます。その方々の御心労等を考えますと、この補償交渉は、私ども、大変重要な、そして身の引き締まる局面に来たと考えておりますので、この件につきましては、万全を尽くして東北地建が今対応してまいりたいという態勢になってございます。
  271. 木村太郎

    木村(太)分科員 具体的に、建設省としては何年ごろ、あとどのぐらいで用地補償のめどをつけたいという、それをお聞かせいただければというふうに質問したわけでありますけれども、今も御答弁ありましたが、二回も移転を余儀なくされる方々もいるわけです。だとすれば、そういう人たちのまた犠牲をもって津軽平野全体のための津軽ダムの建設なんだということで、ではいつには完成するんだという地元期待が大きいわけであります。よって、私は、今こういう趣旨の質問をしたわけであります。  御答弁にあったとおり、なるべく早く、大事な局面である用地補償をクリアして、そのときには、時期的にもうそれと同時には、いつごろということをきちっと明示できるように、ぜひ強く要請しておきたいと思います。  津軽ダムのことはこのぐらいにしますが、次に、もう一つ地元のことで恐縮でありますが、地方拠点都市地域整備促進ということで、これは国土庁中心になって全国各地で指定をしながらバックアップしていると思いますが、私の方の地元にも、弘前市を中心に弘前地域平成六年の九月に指定を受けまして、平成八年の一月に基本計画が承認されております。また、弘前地域では市町村が広域連合を発足させるなど、地元地元でいろいろな努力が始まっております。  この弘前地方拠点都市地域整備について、国土庁として現時点でどうとらえて、また、今後の対応というものがあればお聞かせいただきたいと思います。
  272. 芳山達郎

    ○芳山政府参考人 お答えいたします。  今先生指摘ありましたように、地方拠点法は地方の自立的な取り組みを基本とするということでございまして、弘前地方拠点都市地域につきましても、弘前市を中心とした三市八町七村で構成される地域でございます。  基本テーマとして、「うるおいと活力のある共鳴空間の創出」を基本理念とするということで、平成八年一月に知事の承認を受けました。現在、地区内に設けられた弘前市中心市街地区を初め六つの拠点地区において事業実施をされております。  基本計画に基づく事業でございますけれども、弘前市中心市街地区の商店街共同施設整備事業とか黒石市の中心市街地区の教育の森整備第一期事業などを完了しておりまして、今後、弘前市の中心市街地区の町並み事業、また、黒石市の中心市街地区の土地区画整理事業が着実に実施されております。六つの拠点地区いずれも一部完了または事業実施中というわけでありまして、おおむね順調に整備が進められているものと聞いております。  国土庁といたしましても、主務省庁ともども、十分連携を図りながら、いろいろの国の支援措置が効果的に実施されるよう努力してまいりたいと考えております。
  273. 木村太郎

    木村(太)分科員 ぜひお願いしたいと思います。  もう一つ国土庁サイドにお聞きしますけれども、我々地元の方では津軽海峡軸というふうによく言っておるんですが、新しい国土軸を打ち出しての新全総、二十一世紀の国土のグランドデザイン、これには津軽海峡のことは具体的に明記されませんでした。しかし、その後の第五次の東北開発促進計画の中では、津軽海峡に関して触れられております。  これも何度かお聞きしてきたんですけれども、地元でも、北海道なんかも連携を深めていまして、行政だけでなくて経済界も立ち上げが成りまして、津軽海峡に大橋を建設することが二十一世紀には必要ではないかというような機運がますます高まってきております。  二十一世紀の国土のグランドデザインが決まった次の日の朝刊を見たとき、私はがっかりしまして、四国の方、紀淡海峡、豊予海峡の方には何か点線が載っていたんですね。しかし、津軽海峡というよりも白河以北は日本列島の地図が紙面においては切れておりまして、何か、何となくそれだけを見れば西日本重視のような印象を持ったわけであります。  この津軽海峡大橋、あるいは津軽海峡軸という考え方について、東北開発促進計画の中では触れられておりますので、今現時点で国土庁としてどう考えているのか、これはぜひ長官からお聞かせいただきたいと思います。
  274. 中山正暉

    中山国務大臣 まず、自民党にお戻りになって、お戻りになってというかお入りくださって、心から歓迎を申し上げたいと思います。  おっしゃったように、四国には三本橋がかかっておりますし、九州にもかかっておりますし、まだ九州でも、また新しい橋の構想みたいなものがあるようでございます。  この間、橋の専門家に聞きましたら、橋というのは、私は、御飯を食べるはしとこの橋ははしと橋ほど違うぞと言っておったんですが、そうじゃなくて、口に物を入れる、そういう口に物を運ぶはしというのは、いろいろなところの経済効果を大きくするための橋と語源は同じなんだそうでございます。  私は、津軽海峡、確かに五十三キロの青函トンネルが通りましたが、あそこは百六十メートルぐらいの深さがあるようでございますので、今の技術ではどうなのかなという問題がありますが、おっしゃるとおり、これから北海道は、私なんか大ぶろしきを広げておりまして、大深度構想でもできたら、それこそ宗谷海峡は四十六キロしかありませんから、北海道から宗谷海峡につないで、そして間宮海峡は八キロしかありませんから、バイカル—アムール鉄道につないだらどうだなんて大ぶろしきを広げております。そのときは、東北とか北海道に脚光の浴びるとき、シベリア開発は一にかかって日本の責任というようなときには、先生方がいいお年になられたころに、私は、いろいろなおもしろい進展があるのじゃないかと思います。その意味で、二十一世紀の国土のグランドデザインという新たな交通体系とか交流圏構想等の動向を見ながら、長期的視点に立って検討してまいりたいと思っております。  また、昨年三月に策定されました東北開発促進計画第五次の分でございますが、これらでは、交流圏構想等の動向を見つつ、カートレイン等の青函トンネルの一層の活用方策、それから津軽海峡を横断する新たな交通体系について、長期的視点に立って検討するとされております。  津軽海峡架橋構想については、昨年、青森県において調査会が設置されました。事業手法や技術的な課題等、検討が進められるところと承知をいたしております。  国土庁といたしましては、青函地域の今後の交流、連携の進展など、地域発展を図るための必要とされる新たな交通体系について、長期的視点に立ってさまざまな角度から検討されるべきであると考えておりますので、地元の検討の状況を見守って、これからの将来の計画を立ててまいりたいと思っております。
  275. 木村太郎

    木村(太)分科員 長官みずから大変ありがたい御答弁がありまして、ぜひお願いしたいと思います。  時間がなくなりましたので急ぎます。  分科会としてはちょっと違うのかもわかりませんが、しかし、国土庁は我が国の防災害の総合的な役割をつかさどっておりますので、長官にお聞きします。  先般、さきの国会で、原子力防災法が制定されました。制定される前に、私は、この原子力防災法と災害対策基本法との整合性等々を聞いたのですが、制定を受けての我が国の防災害対策を総合的に管轄します国土庁長官が、原子力防災法と災害対策基本法などとの整合性をどのように持って我が国の防災害対策に取り組むのか、短くて結構ですからお答えください。
  276. 中山正暉

    中山国務大臣 むつ小川原で知事さんにも大変お世話になっております。  原子力災害は、放射能が五感に感じられないこと、また、特別な訓練や専門的な知見が必要なこと、そういう特殊性を有することから、こうした特殊性に適切に対処するための災害対策の一般法である災害対策基本法の特別法として、原子力災害対策特別措置法が制定されております。  原子力災害については、高度の専門的知見を必要とすることから、原子力安全担当省庁である科学技術庁及び通産省が基本的に取り組むこととされております。そういう意味で、発生した場合には影響が大きいことでございますので、内閣総理大臣を本部長とする原子力災害対策本部の設置など、内閣挙げての対応が行われることになっております。  国土庁は、防災行政全般をお預かりする立場として、現在、原子力災害対策特別措置法の制定を踏まえ、災害の予防、それから応急対策、復旧、復興のそれぞれの段階で防災関係機関がとるべき具体的な措置について、関係機関と協力して防災基本計画原子力災害対策編の修正を行うことといたしております。  今後とも、関係省庁の行う各種対策が円滑かつ的確に実施されるよう所要の調整を行い、政府の連携が一層緊密なものとなるように努力をしてまいる所存でございます。
  277. 木村太郎

    木村(太)分科員 今長官から答弁があったとおり、法整備が整っても、実はつい最近も大変ゆゆしき事態が発生しました。きょうは分科会でちょっと違うわけですけれども、科技庁、通産省からもおいでいただきましたけれども、六ケ所村の建設中の再処理工場で、つけるべき必要な部品が取りつけられていなかったことが判明しまして、しかも、十七日にメーカーから日本原燃に連絡され、それが二十一日にようやく科技庁に連絡され、そして二十四日にようやく県、六ケ所村に伝わった。このことについて、国としてどう思いますか。
  278. 間宮馨

    ○間宮政府参考人 今回の問題の原因が、設計図面から構造図面を作成する段階にあったことを考慮いたしますと、日本原燃の設計管理を中心とした品質管理の体制に問題がなかったか再点検することが重要と考えております。  このような観点から、既に、日本原燃において調査が進められておりまして、当庁は、この日本原燃に対しまして徹底した調査を行った上で、再発防止策を報告するよう指示をしております。  また、当庁としても、独自の立場から、日本原燃の品質管理体制について、現地に職員を派遣し、本日から現場での調査を行っているところでございます。その結果を踏まえ、日本原燃を適切に指導してまいりたい、こう考えております。  また、先ほどのお話で、当庁に対して二月二十一日に連絡がありましたが、その内容は、二月十七日に、機器製作メーカーである日立製作所から日本原燃に対して納品された機器の試料採取用の配管に設計と不整合があったということがございました。  その際、当庁からは、日本原燃に対して、他の機器について同様の問題がないか調査するよう指示を行い、二月二十二日に、高レベル濃縮廃液一時貯槽に係る不整合について追加的な報告が同社からあったところでございます。  当庁として、できるだけ早期に報告、公表がなされるべきと考えておりまして、そういう意味では、直ちにほかの問題がないかということを調査するとともに、ある程度取りまとめた段階で、できるだけ早急に公表するよう指導してきたところでございます。  青森県、六ケ所村に対しては、同社におけるこれまでの調査の取りまとめを受けて報告が行われたものと考えております。
  279. 木村太郎

    木村(太)分科員 そういうこと以上に、科技庁も二十一日にはわかったわけです。もちろんメーカー、日本原燃からも、地元六ケ所、県にも連絡がなかったし、科技庁は二十一日の段階で知っていたと報道があるわけですよ。  では、なぜ科技庁は地元の県や六ケ所に連絡しなかったのですか。
  280. 萩山教嚴

    萩山主査 間宮原子力安全局長。時間が来ておりますので、簡潔にお願いします。
  281. 間宮馨

    ○間宮政府参考人 今申し上げましたように、直ちに調査し、ある段階までまとまったところで公表するようにということでございますので、あとは企業の方で独自の判断で行動されたものと思っております。
  282. 萩山教嚴

    萩山主査 これにて木村君の質疑は終了いたしました。  次に、山本譲司君。
  283. 山本譲司

    山本(譲)分科員 民主党の山本でございます。早速質疑に入らせていただきたいと思います。  私は、中心市街地の活性化法に関連をして、そのことを中心に幾つかについて質問をさせていただきたいと思います。  大店法の事実上の撤廃の動きの中、また、それにさらに追い打ちをかけるような長引く不況の中で、シャッター商店街とやゆをされるような、くしの歯が欠けるように相次いで閉店をしていく、そんな商店街が全国各地で見受けられるようになったわけでありますが、中心市街地の息をどう吹き返していくかということが、まちづくりの上でも重要な、そして大きな課題になっているわけでございます。  平成十年七月に施行されました中心市街地活性化法によりまして、十三の関係省庁によります横断的な支援体制の整備も進んでおりまして、また、既に二百の自治体、そして二百二の地区が基本計画策定に着手をしていると聞いております。  このこと自体は非常に評価をするわけでございますが、一方で、中心市街地活性化法の第三条の中で、地域住民の理解と、これと並んで重視されております民間事業者の能力の活用についてという点でございますが、具体的制度や、やはり各省庁支援事業の中で、この法案ができたからといってこうした民間事業者に特に配慮あるいは重視をされるということになるのかと、なかなか考えにくい点もあるので、具体的にどういうものなんでしょうか。まずこの点について伺います。
  284. 山本正堯

    山本政府参考人 先生案内のとおり、中心市街地改善活性化法、おととし成立をいたしまして、現在、全国で、最新のところで二百市町村、二百二カ所につきまして基本計画が策定されておるところでございます。  これの基本的な考え方は、先生も御案内のとおり、市町村が主体になりまして計画をつくり、まちづくりを進める。それに対しまして、国、県挙げて支援をする。その際に、先生今お話がございましたように、民間の事業者の能力、民間の方々の力も十分活用していくということがうたわれておるわけでございます。私ども、まちづくりという点につきましては、行政と民間が適切に役割分担のもとに力を合わせて取り組むことが必要だ、こういうことでございます。  したがいまして、私ども、具体的には、例えば中心市街地活性化のための基本計画の策定に当たっては、地域住民や商工団体などの意見の反映に努めるといったようなこと、あるいは、建設省事業といたしましても、公共事業の中でもとりわけ土地区画整理事業とか市街地開発事業といったようなものにつきまして民間の組合を活用するといったような点、あるいはまた民間投資を誘発するような効果の高い事業に対して重点的な支援をやっていくといったような点について、建設省としても取り組んでおるところでございます。  なおまた、この事業につきましては、公共事業と同時に商店街ということで、通商産業省関係事業等についても支援をするということになってございます。そういう点でも、民間の活力、民間の能力を十分に引き出しながら、この事業を総合的にやっていくということであろうかというふうに思っております。
  285. 山本譲司

    山本(譲)分科員 民間事業といいますと、最近ではPFIということがよく連想されるわけでございますが、昨年の通常国会で成立をしましたPFI推進法、これに基づいて民間委託の推進をしていくということは、この中心市街地の活性化の中でも十分考えられると思います。こういった手法も活用していくということでよろしいですか。
  286. 山本正堯

    山本政府参考人 今申し上げましたように、民間の資金力、ノウハウの活用等によって効率的な、あるいは効果的な社会資本整備するという観点からも、PFIの推進が非常に重要であるということでございます。  まちづくりに関しましては、従来から、先ほど申し上げましたように、区画整理事業でありますとか市街地開発事業を初めとした、民間の資金力、ノウハウの活用が図られてきたところでございますが、特にこういう中心市街地活性化を進める上では、こういうものと同時に、先ほど申し上げましたように、行政と民間が役割分担のもとに力を合わせて取り組んでいくことが必要であるということであろうかと思います。  具体的な、PFIの法律に基づいて、そのPFIの手法の活用をどの程度、どういう格好でできるのかということについて、現在、私どもとしても鋭意検討いたしておりますし、地元のところの各公共団体でもいろいろ検討されておるというふうに聞いております。  例えば、中心市街地の商店街の空き地を活用して公共の駐車場や公共の広場の整備をやっていくといったようなことによるPFIの活用でありますとか、あるいは商業施設の未利用の、使っていない容積を活用した上に公共住宅をつくるとかいったような点についても、いろいろ一つのアイデアかなというふうに考えておるところでございまして、PFIについても中心市街地の活性化に活用することが一つの大きな手法であろうというふうに考えております。
  287. 山本譲司

    山本(譲)分科員 このPFIなんですが、言葉としては最近頻繁に使われるようになったわけでありますが、その細かい中身、規定についてもまだまだ抽象的なものが多くて、どうもぴんとこないという方も、またそういう業者も、また事業者になり得る自治体なんかでもそんな声が多く聞かれるわけであります。どうも、そのすべての規定なんかをこれからの基本方針あるいは実施方針というものにゆだねているところが多かったわけであります。  そこで、あれと思ったのは、きのう、日経新聞の朝刊の一面で「PFI推進へ第三者機関」という、こんな大きな見出しで記事が掲載をされているわけでありますが、この内容について、これは総理府ですか、かいつまんで御説明をいただきたいと思います。
  288. 阿部一知

    ○阿部政府参考人 御説明申し上げます。  PFIにつきましては、PFI法に基づきまして基本方針というのを作成するということがございます。さらには、基本方針にのっとりまして、これは各省の大臣それから都道府県知事、さらには市町村長が個別の事業ごとに定める実施方針というのをつくりまして、そこで初めて事業が成立するということでございます。  PFIの基本方針でございますが、これは内閣総理大臣が定めるものでございまして、現在、これについては案文の詰めの作業ということをやっているところでございます。  なお、基本方針につきましては、案がまとまった段階で、政府といたしまして所要の手続、具体的には、PFIの推進委員会というのがございまして、こちらに付議をするということでございまして、その意見をいただき、その上で正式に基本方針の策定、公表ということになります。  なお、新聞に載っておりましたPFIの役割、それからPFI委員会の設置の役割、そちらにつきましては実はPFI法に定められているものでございまして、基本方針によって委員会の役割を変えるということは難しゅうございまして、特に改組ということについては私ども考えておりませんで、現行のPFI推進委員会を役立てていくということで考えております。
  289. 山本譲司

    山本(譲)分科員 そうしますと、これは誤報ということなんですか。
  290. 阿部一知

    ○阿部政府参考人 ここにつきましては、誤報といいましょうか、私ども、実はなぜこういう見出しになったかということはちょっと明らかにはなっておりませんが、いずれにいたしましても、PFI推進委員会というのは役割はしっかりございますので、それを活用してまいりたいということでございます。
  291. 山本譲司

    山本(譲)分科員 この記事を見て、基本方針がもう決まったのかとある意味では喜んだわけでありますが、しかし、話を聞いてみますと、どうもいつまでにどうするのかというのがしゃきっと見えてこないわけでありまして、ツースローというやり方でやられているんじゃないか。そんな中で、やはりこういう若干誤ったとらえ方をした記事なんかも出てきている。これはやはり、これだけ一面に載るということは、今期待をしている人も多いということのあらわれではないかと思います。ぜひその辺のスケジュールをしっかりと見定めて、早急にこの動きを総理府としても取りまとめるように、よろしくお願いをいたしたいと思います。立派な道具があっても、やはりそれを使いこなせなくては本当に効果は上がらないわけでございまして、ぜひそういった観点からもしっかりと取り組んでいただきたいと思います。  この厳しい経済状況の中で、中心市街地の商店主や地権者また民間事業者に相当強力なインセンティブを与えないと、やはり計画は立派なものができても中心市街地の活性化に向けた事業そのものは迅速に進まないという懸念がございます。  そこで伺います。  まずは、都市区画整理とか再開発というのは長期化するということが大体通例になっておりますが、これは既に行っております補助率アップということが主な内容の街なか再生区画整理事業、そしてやはり同じように街なか再生再開発事業、この実績というのはどうなっているのか、これが一点ですね。そして、今後のインセンティブ強化策についてどのようなことを考えていらっしゃるのか、これが二つ目です。あわせてお答えをいただきたいと思います。
  292. 山本正堯

    山本政府参考人 先生今御指摘中心市街地におきます区画整理事業、再開発事業中心の、大変大きなインパクトがあるわけでございます。  具体的には、今の実績でございますが、街なか再生型の地区数でございます、平成十一年最終見込みが、単年度でございますが二十二地区、調査が三十三地区でございます。なおまた、街なか再生の市街地開発事業につきましては、十一年度の事業中の地区が四十七都市の七十四地区ということになってございます。
  293. 山本譲司

    山本(譲)分科員 果たしてこの補助率をアップさせるということ自体、それはそれで悪い話ではないのかもしれませんけれども、決定的な解決法にはならないのではないか。現在、都市開発事業というのは本当に多くの困難な課題を抱えておりまして、事業のあり方自体が見直されるべき時期に来ているのではないかと私は考えているわけであります。やはり再開発事業の最も大きな問題というのは、事業計画から施行までの助走期間に本当に十年から二十年かかって、そしてさらに完成というのは一体いつのことやらといった気の遠くなるような時間を要するケースが多いわけであります。  なぜこのような事態に陥ってしまったのか。これはよく、住民合意を取りつけるのに余りにも多くの時間とそして費用がかかってしまう、このことが原因だと指摘をする方もいます。しかし、それが本当に本質的な原因なんでしょうか。私は、住民合意がなかなか得られないのは単なる住民エゴではなくて、都市計画制度自体に多くの問題点を抱えているためではないかと思っております。さらに、全体同意がとれないことが事業の進まない根本原因だと考えるよりは、むしろこれまでの事業計画に余り魅力がなく、その上、制度自体が素人ではなかなかわからない非常に煩雑なものであって、もうこういうまどろっこしいことはいいや、そんな気持ちもあってなかなか住民の合意が得られなかった、こう考えるべきだと思っています。  最近、全国の各地の都市を見てみますと、駅前の再開発ビルなんか、またその周辺の風景も非常に似通って、味気のないところが多くなっております。このことは、再開発事業土地区画整理事業が国の細かい指導のもとで一律に進められているという実態をよくあらわしているんではないかと思います。地方分権の観点から見るならば、このような国主導の都市開発は改められるべきであって、全国それぞれの地域の特色を生かしたまちづくりを進めるためには、自治体に計画の裁量権を大幅に与えていく、国は金は出しても極力口は出さないという姿勢に徹するべきだと考えます。  これは大臣に、そうした考えについてどうお思いか、お聞きをいたしたいと思います。
  294. 中山正暉

    中山国務大臣 私の大阪も、日本一の天神橋商店街という、天満の天神さんの参道が商店街になっている、そこらはやはり歴史と伝統に支えられて特徴がありますものですからまだ勢いがいいと思いますが、ほかのところはおっしゃるとおり大変疲弊しております。それから、今おっしゃるように、大阪の阿倍野の市街地の再開発なんかも、これはもう三十年、もっとかかっていますでしょうか。きのうも実は大阪へ行きましたら、高槻の駅前、これは十字屋が百億円ぐらいの拠点事業をするはずだったのが立ち退いていって、あなたに何を頼んでいいかわからない、こういうことで、もうとにかく会いに来たというようなお話でございました。  今お話にありましたように、自治体にも、大阪市初め六百六十四の市がありますが、その中で指定都市でそういう能力を持っている地域と、それからまた府県といいましても、これはまた実施行政をやっている企画行政の役所でございますから、国の企画行政とそういうものが一体化するには一体どうしたらいいんだろうかと、今先生の御質問を伺いながら、私も、いろいろこれは考えを変えていく時期が来たのではないか、そういう意味での地域の活性化というのは大変化が起こっておりますから、大きな問題があると思っております。
  295. 山本譲司

    山本(譲)分科員 今の制度自体をどうとらえられているかというような観点からの質問だったんですが、大阪の状況もよくわかりました。  これに関連しまして、やはり地方分権という観点から、中心市街地の活性化法の運用について、また幾つか質問をさせていただきたいと思います。  この法施行によって、自治体が総合的かつ主体的に中心街のまちづくりに取り組むという条件は一定程度整備はされたと思います。この間、地域での計画策定の過程で私も関係者といろいろお話をした中で、自分たちで責任を持ってまちづくりに取り組むというやりがいを感じた、こういった声も聞こえてくるわけであります。計画段階における例えば窓口の一本化でありますとか、十三省庁による協議会の設置といった仕組みは評価できるわけでありますが、しかし、結局のところ、最終段階で都道府県を通して各省庁、そしてまた各課に助成のお願いをする必要があるということになってくるわけですね。これでは何か従来と変わらないんじゃないかという声もまた関係者からも聞くわけであります。これですと、中心市街地活性化の趣旨や基本方針に掲げます自治体の主体性の尊重でありますとか、あるいは一体的推進という理念が十分に生かされなくなってしまうのではないかと思います。この点について、いかがでしょうか。
  296. 山本正堯

    山本政府参考人 先生今御指摘のとおり、中心市街地活性化法では、市町村の主体性を最大限尊重するという制度になっております。  したがいまして、通常の、今までの法律でございますと、市町村が中心市街地の中でいろいろな事業をやりたいといったようなときに、その計画をつくって都道府県あるいは大臣に上げてくる、それを承認するといったような格好の制度が大変多うございましたが、この制度は、市町村が自主的にその中心市街地の中についていろいろな事業を掲げてくる、それを担当の省庁の方に提出をするということ、承認とかという手続を経るということになっておりません。  その市町村がつくります基本計画に基づきまして、今先生もおっしゃいました統一的な窓口をつくりまして、そこで関係者と調整をする、あるいはまた、十三省庁によります連絡協議会を設けて、関係省庁の緊密な連携のもとに、地域の実情に即した支援を総合的かつ重点的にやっていこうという制度でございます。そういうような観点から、今回中心市街地事業の推進に当たっては、できるだけ市町村の方々に主体性を持ってやっていただこうということでございます。  また、なお建設省のいろいろな事業につきましても、十二年度から、現在、まちづくり総合支援事業といったようなものも創設を予定しております。これも、例えば中心市街地の中で、一定の区域の中で、公園でありますとか、区画整理でありますとか、下水道でありますとか、そういったようなものをそれぞれが個別に採択をするのではなくて、総合的に一括して、パッケージで採択をしていこうということでございます。そういったような点について、全体として、市町村の主体性を尊重しながら、重点的、効率的にやっていこう、支援をしていこうということでございます。
  297. 山本譲司

    山本(譲)分科員 今言われた、審議をされている来年度予算で、これは三百五十億円ですか、いわゆる補助金の整理統合をして、そしてまちづくり総合支援制度として補助金を活用するということで、確かにお金の出し方というのは、非常に地域のまちづくりあるいは自治体の主体性にも当然大きな影響を与えるわけでありまして、アーケードをつくる、それだったらこれだけのお金を出しますよじゃなくて、一括して、面的な整備を行って、それに対して自治体の裁量で使える補助金というものを出すという流れ自体は評価をいたします。  しかし、一体三百五十億というのがどれぐらいの額なのか。そしてまた、これは建設省の支援事業でありますが、例えば環境問題でありますとか、これからいろいろ建設省関係の中でも具体的に提案をされるでしょうバリアフリー、そういった福祉の観点だとか、いろいろな、まちづくりというのはポリシーミックスだと思うのですね。したがいまして、各省庁の支援事業の一本化でありますとか、助成金の統合なんかも含めて、自治体から見れば、効率的に、簡単に、迅速に運用できる制度にしていくべきだと思うのですが、その点についてはいかがでしょうか。
  298. 山本正堯

    山本政府参考人 先生指摘のように、まちづくりというのは、総合的な施策ということが必要であろうかというふうに思っております。したがって、今回、今まではそれこそ各個別の事業について各個別の採択ということでございましたが、まちづくり総合支援事業ということで、初めて統合補助金という格好で、パッケージでやっていくというような制度を創設したわけでございます。  なおまた、私どもの方の、例えば公園でありますとか、下水道でありますとかといったような個別の補助金の中でも、例えば公園につきましては、一つの市町村の中で幾つかの公園があるとすれば、幾つかの公園事業について個別の箇所づけをやるのじゃなくて、全体一本で統合的に補助金を交付するといったようなことも、今回、十二年度から実施をするべく準備を進めておるというところでございます。  先生おっしゃいますように、各省庁を超えた総合的ないろいろな考え方がないかというようなこともございますけれども、まずは、私どもとしては、建設省の中で統合的な補助金ということで、地方分権推進委員会等々の答申等もいただきながら、そういう格好で進めさせていただくということでございます。
  299. 山本譲司

    山本(譲)分科員 やはりこの制度を利用される方からしてみれば、ひもつきではなくて、そしてやはりワンストップでいろいろな手続もできる。役所間のたらい回しじゃなくて、その裏には役所の予算の分捕り合戦があるのかもしれません。そういったものも改める意味も含めて、やはり今おっしゃった、お答えになられたところをもっともっと拡大をしていっていただきたいと思っております。  時間がなくなってまいりましたので、この中心市街地活性化の問題から離れまして、最後に、ちょっと建設大臣の基本姿勢についてお伺いをしたいと思います。  建設大臣は、徳島吉野川の可動堰の問題で、この計画の賛否を問う住民投票の実施を前に、民主主義の誤作動だと発言をされましたね。しかし、私は、民主主義というのは、権力を集中させた中央政府がトップダウンで物事を決めるのではなくて、住民の多様なニーズに対応できやすい、そして住民による参加と監視がより簡単である地方自治体こそが行政の主体となっていかなくてはならないと思っております。その意味からすれば、自治体が条例をつくり、住民投票によって事業の是非について判断をするといったこの姿勢については、やはり立派な民主主義だと思っております。  こうした今回の吉野川の可動堰のような大規模公共事業に限らず、現在さまざまな再開発事業において、全国多くの地域で住民の開発に対しての反対運動というのも起きているわけです。一体なぜかというと、これもやはり、先ほど触れましたが、今の国の都市計画制度を見ていると、余りにも全国一律で画一的になってしまっている。その結果、地方自治体にとっては、あるいは住民にとっては、死活問題になるような乱開発も国の都市計画制度にのっとってどんどん進められてしまうという現実があります。そして、住民はその開発に反対せざるを得ないか、なすすべがないということです。  こうした問題を解決するためには、今自治体では、住民の立場に立って宅地開発指導要綱をつくったりしておりますし、これは全市町村の約五割が策定をしているそうであります。さらに、今多くの自治体においてまちづくりに関する条例がつくられておりまして、これも約五百の市町村がこの種の条例を策定いたしております。条例の中に、国の法律にいわゆる上乗せ、横出しをしているものもあります。このような自治体の宅地開発指導要綱でありますとか条例が優先なのか、それとも国の法律が優先なのかという議論は以前から行われてきたわけでありますが、しかし、一昨年の都市計画中央審議会から答申が出されて、手続をより具体化したり加重的に行うことについて自治体は条例を制定することはあり得るという内容になっているわけであります。  そこで、お待たせしました建設大臣、地方分権の流れの中で、こうした自治体のまちづくり条例と国の法律との関係をどうとらえられているでしょうか。所見を伺いたいと思います。
  300. 萩山教嚴

    萩山主査 大臣、答弁するのをちょっと待ってください。時間いっぱい使ってしまっておりますから、答弁は簡潔によろしくお願いいたします。中山建設大臣
  301. 中山正暉

    中山国務大臣 まちづくりは、住民の理解と協力のもとに地方公共団体が主体的に取り組むことが重要と認識をいたしておりますが、建設省といたしましては、これまでも、地方公共団体がその地域の実情に応じて地域に密着したまちづくりが可能となるような都市計画に関連する制度の拡充強化に鋭意努めてきたところでございます。  去る二月の八日には、都市計画中央審議会が新たな都市計画制度のあり方について答申をしたことを受けて、地域の課題に的確に対応し得る柔軟性を備えた都市計画制度となるような所要の法改正、都道府県による線引きの選択制の導入とか、それからまた都市計画手続を条例により付加することを認めるというような中身でございますが、各地方公共団体においてもまちづくりに関連するさまざまな条例の制定が進んでいる、いわゆるまちづくり条例の制定を契機として、住民の積極的、主体的参加による個性あるまちづくりが図られているものと承知をいたしております。  吉野川の例がございましたが、憲法の前文には、民主主義という、日本国民は正当に選挙で選ばれた人を通じて政治を行うということが書いてありますものですから、中央の信頼性というものがいろいろな動揺を来しているようでございますが、先ほど御質問の中にも、今市という市で、むしろ、投票条例を決めるということに、それは議会に対する越権行為だといってそれに反対をされたという例もありましたり、地域地域でその実情に応じた対応をしていかれるのは、私は、それは一地域の意思として別に否定するものではありません。  そういう意味で、先生のおっしゃるように、中央と地方とは協調をして同じ目的に向かって進むということが大切だと思っておりますので、それは、その地域地域の特殊性に対応する対応を私ども中央もしていかなければならないと思っております。
  302. 萩山教嚴

    萩山主査 これにて山本君の質疑は終了いたしました。  次に、山原健二郎君。
  303. 山原健二郎

    ○山原分科員 日本共産党の山原健二郎でございます。  きょうは、徳島の住民投票の結果につきまして、特に建設大臣にお伺いをしたいと思います。  一月二十三日に投票が行われましたが、徳島の市長は、この投票の結果を受けて建設反対を表明いたしております。これにつきまして、私は、調査費を凍結した上で、可動堰建設の中止も選択肢に入れまして、今後、関係住民と協議することを特に望んでおきたいと思います。  可動堰建設の利水上の理由が全くなくなり、洪水から住民を守る治水を唯一の推進理由にする以上、水を治めるためには、徳島だけではなく、吉野川の水系全体を考慮に入れた対応が必要でありますので、これにつきまして幾つかの質問をいたします。  吉野川には、早明浦ダムを初め数多くのダムがあります。そのダム群によって、清流と呼ぶにふさわしい川であった吉野川は、今や寸断をされ、やせ細り、見る影もない濁り川に変わっていることは御承知のとおりでございます。私はこの地域の出身でございますので大変悔しい思いがしておるのでございますが、一度自然を壊してしまったら、破壊された自然の修復は人間の力ではほとんど不可能だと言われておる状態でございます。それが現在の私の率直な気持ちでございます。  早明浦ダム建設は、吉野川に八十年に一回起こる洪水を調節するといってつくられたものであります。まだ二十七年か八年しかたっておりません。できたばかりです。四百戸の人家が湖底に沈みまして、はかり知れない犠牲を払い、巨費を投じて上流に幾つものダムをつくりながら、今になって、第十堰を撤去しなければ住民の生命と財産は守れないと。さらにまた一千億円以上の税金を使って可動堰をつくるという。一体何を考えているのか、全く整合性がわかりません。  しかも、第十堰は、二百五十年の歴史の試練に耐えて現在に至っているわけですが、今の堰がもし地域住民に大きな災いを与えていたとするならば、二百数十年も生き残るはずがないのです。つまり、第十堰は今でも十分利水上の機能を果たしておりまして、同時に、この堰が原因となって破堤した大きな洪水が起こっていないことは皆さんも御承知のとおりであります。私はどうしても今度の計画は納得できないものですから、このことをあえてお尋ねするわけでございます。  昭和四十年、一九六五年四月に出されました建設省河川局の吉野川水系工事実施基本計画によりますと、保全に関しては、上流部については、既設の柳瀬ダムのほか早明浦ダムを建設して、洪水を調節し、下流部の洪水を軽減するとなっております。これは、その後も計画は同様の趣旨でございます。吉野川本流の早明浦ダム、池田ダム、銅山川の柳瀬ダム、新宮ダム、富郷ダム、穴内川の穴内ダム、このダム群は、洪水を調節し、下流部の洪水を軽減することを目的としてつくられたものでありますが、現在、このダム群に対する評価はどのようにお考えになっておりますか。まずお伺いいたします。
  304. 竹村公太郎

    ○竹村政府参考人 吉野川水系におきます上流ダム群の評価についてお尋ねがありました。  先ほど先生昭和四十年の、八十年に一回の洪水というお話がありましたが、確かに、新河川法が昭和三十九年にできまして、総体的計画を引き継いだ昭和四十年では、八十年に一回の洪水に対応しようということで、岩津で一万七千五百トン、そのうち、上流ダム群で先生指摘のように二千五百トンを、そして川では一万五千トンを受け持とうという計画になっておりましたところ、四十九年に一万四千四百七十トン、五十年には一万三千八百七十トン、五十一年には一万一千四百五十トンと、立て続けに大きな洪水が来まして、建設省としては、昭和五十七年三月に吉野川水系の工事実施基本計画を改定いたしまして、百五十年に一回の洪水でも大丈夫な、安全な地域にしようということで改定をいたしました。そのときに、上流ダム群では六千トン、河道部分では一万八千トン、これは岩津でございますが、そのような分担を決めたわけでございます。  私ども、この計画に基づきまして、上流の柳瀬ダム、早明浦ダム、池田ダム、新宮ダムに加えて、現在試験湛水中でございますが、富郷ダムを現在私ども保有しておりまして、約六千トンのうち三千トンの洪水調節が可能となってございます。  もう少し具体的にお話しさせていただきますと、一例ですが、去年の九月の洪水の際に、早明浦ダムでは洪水調節を行いまして、ダムがない場合と比較して本山町本山橋付近で約二・六三メーター水位を低下させるなど効果を発揮しております。  そして、このダムの直下だけではなくて、いわゆる河口から四十キロ地点の岩津からずっと開けている中流部、下流部におきましても、ダム群の効果はすべてこの沿川に効果があるという判断をしてございます。
  305. 山原健二郎

    ○山原分科員 ダムの効果というのは、表現なさっておると思いますが、つまり、ダムは洪水を軽減してきたわけですね。早明浦ダムなどの完成以降は、明らかにこれまでのような大きな洪水は起こっていません。  昔、吉野川で魚を釣っておりますと物すごい洪水が来まして、これは上流の高知県の方で大雨が降りまして、それが洪水になって出てくるわけですね。土佐水と呼んでいるんですね。徳島の人は土佐水と恐れておったんですね。しかし、上流に早明浦ダムと池田ダムができましたことによりまして土佐水は現在ほとんど鳴りを静めています。私の小さいときの経験では洪水がありましたけれども、早明浦ダムができてからないんですよ、今。吉野川は見違えたように優しい川になっておると表現をしておりますが、これは、日本釣振興会の徳島支部長の高橋康生さんの証言でありますけれども。  ところが、突然今度は百五十年に一度の洪水に備えてという名目で可動堰をつくるというわけです。全く私には納得がいかない。そんなものを慌ててつくる必要があるのかと。全くないと思っておりますから、私の体験と信念からこのことを申し上げているわけですが。  可動堰推進に当たって建設省は、今おっしゃったように、下流部について百五十年に一回の確率で洪水量を計算しています。でも、これは、百五十年に一回の大雨が降ったら吉野川中流の岩津の地点で秒当たり二万四千トンの水が流れるが、これを上流のダム群によって一万八千トンまでカットするという前提でございます。つまり、その差の六千トンをダムでとめるという計算になっております。ところが、現在あるダムでは三千トンしかとまらないんです。残りの三千トンは流れて、吉野川は水が堤防を越え、可動堰をつくっても何の役にも立たないという結果が残るわけでございます。私は、そういう間違った計算の上に立って建設省の試算はなされておるのではないかということを指摘したいわけでございます。  濁流によって苦しんでいる周辺住民の気持ちを察して、過去の歴史の教訓に真摯に学ぶべきだというのが私の気持ちでございます。可動堰の強行は、その人たちの気持ちを逆なですることにもなる。  上流では、洪水調節のためのダムで水は濁らない、こう言ってきたのですが、下流では、洪水から住民を守るための可動堰で、環境は悪くならないと宣伝もしておりますね。説明が矛盾をしているわけでございまして、言うならば、何回だませば気がおさまるのか、まるでおどし文句のように、洪水だ洪水だ、人命が危ないと。今度の場合もそうでしょう。大洪水が来るから人命を守るのが先だ、こういう論法で来るわけですけれども、実態はそうではないのです。  吉野川は、ほんの二十七、八年前に早明浦ダムというダムをつくって、私のふるさと、四百戸の人家が湖底に沈んでおるんですよ。それだけの犠牲を払って、猛烈な攻撃をかけて早明浦ダムをつくって、その効果がもう全く数字上検証されていないというのが今の実情でございます。  私は、その意味におきまして、大変激しい言葉を使いますけれども、私は吉野川を毎日見て、吉野川で泳ぎ、あの砂の一つの砂まで覚えているのです。それくらい川に親しんできた人間でありますから、今建設省がやろうとしておることに対してはどうも納得がいかないのです。  洪水の原因は、山林や田園などの保水力にもよることが多く指摘されております。今度の新河川法に基づいて全水系の治水計画の見直しが必要と思います。歴史の経過を踏まえて、下流も上流も地域の意見を早急に総合的に反映をして建設省としてはお考えを出すべきではないかという気持ちでございますが、そういう気持ちはありますか、このことをお尋ねしておきたいと思います。
  306. 竹村公太郎

    ○竹村政府参考人 流域におきます洪水に関しましてどうやって安全を確保するかということでございますが、上流ではダムによって洪水をため、中流部におきましては堤防を強化し、そして下流部では、もし川の中にその洪水の流れを邪魔するような固定堰があったらそれを極力早くなくして、スムーズに、円滑に洪水が流れるようにするという、流域全体のすべての政策と相まって流域の安全が確保されるものと考えております。  そういう意味では、第十堰は現在固定堰でございます。この固定堰の上に洪水が乗り上げて、洪水のときは大変水位が高くなります。私ども、上流の方々が吉野川に多くの犠牲を払って貢献したと同時に、下流域でも、この危険な固定堰を可動堰にして下流域での安全を確保するということと相まって安全性が保たれると考えております。  なお、先ほど先生指摘のように、最近は洪水がないじゃないかということでございますが、数字的に見ますと、昭和四十九年の一万四千五百トンが最高でございまして、それ以降、五十年に一万四千トンがありましたが、実はこの二十五年間、大きな洪水は現実問題として発生しておりません。ダムがあったからないからということではなくて、この二十五年間、この地域に大きな台風が、一万四千トンを超えるような大きな出水を出すような洪水がないということだけは御報告させていただきます。
  307. 山原健二郎

    ○山原分科員 それからもう一つ建設大臣に言っておきたいのですが、この間ヘリコプターの上から見たら雪がいっぱいあったと、この雪解けの水が洪水になるのじゃないかという、これは四国におったらそんなことはありません。雪で洪水が起こるなんということはないのです。台風で起こるのです。これはもう皆知っているわけですね。だから、誤った判断でやられると困るのですね。雪解けの水で洪水が起こるということは今までなかったのです。そのことは御承知願いたいと思います。  それで、住民投票は議会制民主主義を補完するものでございまして、建設省のごり押しをとめる住民にとって最後の方策でもあったわけですが、その結果、ノーの意思表示が明白になったわけでございます。上流から考えても、まず可動堰ありきの姿勢は撤回をすること、第十堰の改修、堤防等の強化等の住民の代替案を真剣に検討すること、そして吉野川水系全体の新河川法による整備計画の見直しを要求しておきたいと思います。この点についてのお答えをいただきたい。
  308. 中山正暉

    中山国務大臣 私が申し上げましたのは、四国の山に珍しく雪があったという話をいたしましたわけでございまして、そのときの状況を申し上げただけで、それで洪水が起こるなんということは夢にも考えたことはございません。  私が九歳のときに室戸台風がありまして、大阪が大水害に遭ったことがありました。それから、第二室戸台風というのが戦後にも参りましたし、私どもは、四国の上を入ってくるのがちょうど大阪の上にやってきて、大風水害を何度も何度も経験しておりますので。  その意味で、今先生が早明浦ダムのお話をなさいました。早明浦ダムで少し調節がきいてきた。それを建設省河川局の方々が、水理学、いわゆる工学的な見地から、百五十年に一回の洪水、そして改定をしながら——あと、この間、岩津から上へ行きましたら、吉野川というのは河口が千メートルで、岩津は百五十メートル、ひょうたんのくびれのような箇所が幾箇所もありまして、そこで、あのヨハネス・デ・レーケが明治十七年に、この固定堰は動かした方がいいと。川の流れに合わせて真っすぐ流れるようにしていますから、ゆがんていたときのままの、はすの状態で固定堰がありますものですから、素人目に見ましても、これはいろいろ問題があるなというのはヘリコプターの上から見ると余計によくわかります。  それから、徳島市内に鮎喰川の堤防が八メートル、これは両岸が八メートルであって、そして吉野川の堤防があるわけでございます。徳島の町は三堤防で守られているという形になっておりますし、百九十四キロの中で十四キロだけが徳島に隣接しているところでございますから、そこだけの意思で四十七市町村の御意思を無視するわけにいかないというような気持ちで、吉野川の問題はこれから皆さんとお話し合いをしていきたいと思っておりますので、どうぞ御心配になりませんように。  強硬に今すぐ、予算がついているわけでもございませんし、調査費がついているだけで、着々と調査をして、まだこれからどのぐらいかかりますか、二十数年ぐらいかかる話でございますから、そんなに、今、何か急に可動堰が目の前にそびえ立つような話は、私はむしろおかしいと思っています。
  309. 山原健二郎

    ○山原分科員 吉野川は、本当に日本一きれいな清流、四万十川は最後に残された清流と今言われておりますけれども、四万十川なんというものは、私は悪口を言うつもりはありませんけれども、前はきれいな川じゃなかったのです。今はもうほかの川が全部、ダムができてだめになりましたから、四万十川が唯一の清流と言われているわけですが、それは結構ですけれども。  あの地方を嶺北地方と呼んでおりますけれども、嶺北地方の住民にとっては、川は濁り、濁流ですよ。雨が降ったら、見るに忍びないような真っ赤な川なんですね。それから、洪水の軽減のために水没を余儀なくされた、こう出ておりますが、四百戸沈んでいるんです。これは大変な犠牲を負わせたわけでございまして、水はとられ、濁流が残る、そういう荒れ川になっているわけでございます。  ことしの一月、早明浦ダム直下の本山町、この本山町というのは、嶺北、水の管理事務所のあるところでございますが、これに関しまして要請をしております。ダム周辺の環境整備の推進、ダム上下流域における濁水解消の抜本的対策の実施を求めているわけでございます。  その趣旨を紹介しますと、台風など、貯水池域内に大量の降雨があると早明浦ダムは濁水の水がめとなって、吉野川は泥川と化します、こうなっております。以前は、ダムができる前には、三日もすれば清流が戻ったわけですが、今は、昔日の面影がありません。第一、子どもが川で遊ばぬのです。こんな悲しいことはないわけですね。また、住民生活にさまざまな悪影響を及ぼしておりまして、水と緑の自然資源を生かした地域づくりを進めております嶺北地域にとっては致命的な打撃となっておるわけでございます。  そこで、人工による自然破壊に対して、自然や生活環境の復元を求める関係者の声は特に大きくなっているわけでございまして、このような地域に対しまして、どういう問題が発生しているかということは認識をしていただきたいと思います。  特定貯水池総合保全事業、吉野川上流水源地域基金制度などがあって環境整備がなされ、九九年から選択取水設備が設置されているようでございますが、まだまだ濁水問題は解決をしておりません。この地域では、濁水解消のため、導水バイパスの設置なども具体的に提案をしております。  ダムを受け入れた地域に対しまして、これらの問題に対する早急な解決策を考慮すべきだと思いますが、この点についてお答えをいただきたい。
  310. 竹村公太郎

    ○竹村政府参考人 御質問にお答えいたします。  早明浦ダムは、昭和五十年に完成して以来二十五カ年、四国四県の貴重な水資源として効果を発揮しており、また、昭和五十年、五十一年、平成五年、平成九年等、洪水調節を行い、下流の洪水被害を軽減しております。  その一方で、先生指摘の濁水問題も生じていることを認識しております。完成したその年の昭和五十年、そして次の年の五十一年、大変大きな洪水が参りまして濁水問題が発生しました。  建設省としましては、昭和五十一年に吉野川水系濁水調査委員会を設置し、この結果をもとに、五十四年から、早明浦ダム上流域にて建設省直轄砂防を開始いたしました。そして、過去二十年間、平成十一年度換算で百九十八億円、約二百億円をもってダム上流の砂防、床固め等、貯水池の水質に一番影響を与える山林保全に努力しているところでございます。  そしてさらに、五十八年に発生した濁水を契機としまして、ダム濁水対策調査研究会、これは本省に設置しましたが、その結果を受けて、昭和六十二年からは、貯水池周辺からの土砂流入を防止するための植栽等を行う貯水池水質保全事業に着手しまして、平成十一年度までに十七億円をもって三十九ヘクタールを対象にして植林をしている状況にございます。  さらに、平成十年には、先生指摘のように選択取水、五億五千万円を投じまして、今までは表面しか取水できなかったものを、貯水池のすべての層で自由に私どもが取水できる選択取水設備を改良したところでございます。  このように、私ども、水質保全に関しては、たゆまぬ努力、研究をこれからも続けてまいりたい、このように考えております。
  311. 山原健二郎

    ○山原分科員 私のふるさとに大原富枝さんという作家がおりまして、八十八歳で亡くなりまして、今度の土曜日にそのお葬式があるわけです。「婉という女」という小説を書いた人でございますけれども、本当に情けないと書いてありますね。目の前にあったきれいな川がこんなに濁って、もうふるさとへ帰るのが嫌だという気持ちまで起こると書いてありまして、ふるさとにとりまして河川がどんなに大事なものかということはもちろんおわかりだと思いますけれども、それほど人間の心を揺さぶるような河川なんですね。だから、今でもこの河川を——ダムができまして、早明浦ダム建設に伴う後遺症の克服が、いまだに地域住民の悲願となっておるわけでございます。  私は、これまでの、人間が自然をねじ伏せるというような不遜な考え方を改めて、これからは、自然をいじり回すようなことは慎重にしなければならないと思っているわけですが、そのためには、地域住民の意見をよく聞き、未来の川をどうするかという立場に立って考える必要があると思います。絶対にごり押しはだめですね。無理をしたら必ずその天罰といいますか見返りがあるわけでございます。  吉野川の問題を考えますときに、私は言いたいことがいっぱいありますけれども、これで終わらせていただきますが、最後に、建設大臣、昔から一緒にやってきた仲でございますので、この河川の問題について、またこの可動堰の問題につきましてもお考えをお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  312. 中山正暉

    中山国務大臣 自然に対する考えは、先生と全く同じでございます。  この間、ブラジル移民の集いにブラジルへ参りましたら、お別れのときに皆さんが「故郷」の歌を歌われました。ウサギ追いしあの山、小ブナ釣りしあの川、それを聞いて本当に感激をした思い出を、今先生のお話を聞きながら思い起こしておりましたのでございます。  そういう意味で、私どもは、この山紫水明の日本国家の中に美しい国の直轄の川というものは百九本ございますが、その百九本の中で、四国三郎と言われる吉野川、これは大切に守りながら、その川を守ると同時に国民の大切な財産と命も守る、その両立をするためにいろいろな間で紆余曲折がございますが、それはひとつ御了解を得ながら、先生の御趣旨を体して、河川、治水の行政に邁進している人たちとともに考えさせていただいてまいりたいと思います。  きょうはありがとうございました。
  313. 山原健二郎

    ○山原分科員 終わります。ありがとうございました。
  314. 萩山教嚴

    萩山主査 これにて山原君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして建設省所管についての質疑は終了いたしました。     —————————————
  315. 萩山教嚴

    萩山主査 平成十二年度一般会計予算平成十二年度特別会計予算及び平成十二年度政府関係機関予算中総理府所管国土庁について、政府から説明を聴取いたします。中山国土庁長官
  316. 中山正暉

    中山国務大臣 総理府所管のうち、国土庁平成十二年度予算について、その概要を御説明申し上げます。  平成十二年度一般会計予算につきましては、中央省庁等改革に伴う新体制移行を反映させたものとなっており、国土庁に計上いたしました予算額は、四千六百九億八百万円でありまして、新体制移行後は国土交通省所管等の予算として所要の予算額を計上いたしております。  国土庁といたしましては、以上の予算によりまして、二十一世紀の展望を開く国土政策を積極的に推進してまいる所存であります。  具体的には、  一、二十一世紀の国土のグランドデザインの戦略的推進等の国土計画の推進  二、地域戦略プランの推進  三、土地の有効利用を図るための総合的な土地対策の推進  四、健全な水循環系の確立を目指した総合的な水資源対策の推進  五、新たな基本計画等に基づく三大都市圏整備の推進及び首都機能移転に向けた検討等大都市圏整備の推進  六、多自然居住地域の創造等による国土の均衡ある発展と活力ある地域社会の形成を図るための地方振興の推進  七、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ、地震、津波、噴火、洪水等の災害から安心して暮らせる安全な国土づくりに向けた総合的な災害対策の推進 以上の七点に重点を置くことといたしております。  事業別の重点施策の概要につきましては、お手元に配付しております平成十二年度国土庁予算概要説明によりまして御承知を願いたいと存じます。  よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  317. 萩山教嚴

    萩山主査 以上をもちまして総理府所管国土庁についての説明は終わりました。     —————————————
  318. 萩山教嚴

    萩山主査 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、これを許します。桧田仁君。
  319. 桧田仁

    桧田分科員 自由民主党の桧田仁でございます。  予算分科会も、ずっと国会を見てみますと全部終わっておりまして、一番最後に私、しんがりを受けました。大臣政務次官皆さんも大変お疲れでございます。また、災害国家と言われておりますが、質問も私だけがやるようなことで、えっという感じできょうここに登場いたしました。  と申しますのは、私がここに立ちますのは、大臣政務次官御存じのように、昨年、私の出身地でございます広島市佐伯区、私は病院も広島市佐伯区にございますけれども、戦後というよりも百年ぶりの大きな災害が起きました。私は、政治を目指してからわずか十年足らずの短い日々ではございますけれども、医療、福祉のことはある程度専門でございますから一生懸命やってきたつもりですが、災害ということはつい人ごとだと思っておりました。災害対策特別委員をさせてはいただいておりますけれども、これは一つの勉強というぐらいに思っていて、そんなにも瀬戸内海の静かな町に育ちまして、災害の縁もほとんどないというところで育ったものですから、ついつい本当に油断しておりました。  知らせを受けて最終の新幹線で帰りますと、いつも遊びなれた川は濁流で、もう戦前からあった橋が落ちている。ええっということで急いで上流に帰りますと、まさに阿修羅のような日々でございました。昨年六月二十九日の災害というのは、私にとりましては初めて経験する、ああ、これはいかぬと。それからの四日間の不眠不休の日々、前関谷国土庁長官にも谷川秀善国土庁政務次官にも直ちにお会いいただき、つぶさに見ていただきました。  しかしながら、後で質問いたしますけれども、きょう現在、仮設住宅から離れていない、たった一つ、災害のための仮設住宅に広島市佐伯区の住民は残っております。私は、この気持ちを込めて、地元出身の桧田といたしましては、何とか災害のことについてもう一度皆様方とともに議論し、そして考えたい。そして、このお亡くなりになった方や犠牲になられた方、財産を失われた方、そして私たちみんなで何とかいい形にお願いしたいという気持ちで、私、ここに最後のしんがりを受けさせていただきました。ちょっと国土庁関連の質問が少ないのも大変寂しい思いがしますが、あえて私が大事な責務を負ってやらせていただきたい、こういうふうに思います。  前置きが長くなりましたが、まず第一は、今までいろいろな災害が起きたときに、激甚災害指定ということが行われておりました。ところが、この激甚災害指定、どうも実態と現実と違う。しかも、言いにくいのですが、激甚指定になるために一生懸命運動している。ちょっと待ってください、激甚指定というものは、もう少し本当に実態に合った、そして住民の気持ちに合った、あるいは、ただお金だけではない、すべて総合的に災害を考えて、予算もあります、しかし、私ども災害国日本におる者は、住民にとって納得できる指定をいただかないと、桧田先生、早くしてください、早くお願いしますというような形でなしに、法律をもっときっちりするのが私たちの仕事でございます。聞きますと、ありがたいことに激甚指定の考え方を少し変えるということでございますので、ぜひ新しい考え方を教えていただきたいと思います。
  320. 増田敏男

    ○増田政務次官 お答えを申し上げます。  常日ごろ先生の大変熱心な取り組み、特に災害に対する御発言は耳に残っておりまして、初めに敬意を表したいと思います。  それではお尋ねにお答えをしてまいりますが、激甚災害の指定の基準についてのお尋ねだと思います。先生のおっしゃいましたように、一昨年の夏から秋にかけまして各地で豪雨災害が相次ぎまして、被災された地方自治体から激甚災害の指定を求める要望が全く多く寄せられました。また、過去十年間で公共土木施設関係のいわゆる本激の指定は、阪神・淡路大震災のみであります。このような状況を踏まえまして、公共土木施設災害に関する激甚災害の指定基準の見直しについて検討を行っております。  検討に当たっては、最近の地方自治体の財政の逼迫状況を踏まえまして、被災された地方自治体の財政負担の緩和を図るとともに、被災地域の円滑かつ早期の復旧を図ることを目的として、大規模な被害が生じた災害については、適切に激甚災害に指定できるようにとの考えに立っております。  今後、関係省庁と調整を行い、年度内には改正手続が完了できますよう手続を進めてまいりたい、このように考えております。  以上です。
  321. 桧田仁

    桧田分科員 大変ありがとうございます。  やっと長年の住民の思いが遂げられるような気がしまして、こういう法律の改正や考え方の改革というのは、国民は、やってくれるなと非常に喜んでおります。ぜひお願いしたいと思います。  実にこの改正はありがたいのですが、やはり聞く者は、具体的にどうするのかということがつい知りたいものですから、わかれば、具体的な例でお教えいただけますでしょうか。
  322. 増田敏男

    ○増田政務次官 具体的なお尋ねですが、お答えを申し上げていきたいと思います。  全国的に大規模な災害を対象とするA基準につきましては、現在は、査定見込み額は全国の標準税収入の四%を超える災害となっております。改正案では、〇・五%を超える災害としており、これを今年度の数字で申し上げれば、約一兆二千億円から約千五百億円に引き下げることとなりました。  この結果、例えば被害額が約二千億円、標準税収入の〇・六三%であった平成十年八月末の栃木県及び福島県を中心とする豪雨災害と同程度の災害が激甚災害として指定されることになります。  また、A基準に該当する災害ほど大規模ではなく、特定の都道府県の区域に激甚な被害をもたらした災害を対象とするB基準につきましては、現在は、査定見込み額が全国の標準税収入の一・二%を超える災害となっておりますが、改正案では〇・二%を超える災害としており、これを今年度の数字で申し上げれば、三千六百億円から約六百億円へと引き下げることとなります。  ただし、このB基準につきましては、特定の都道府県の区域に大きな被害が生じたことを要件としており、一つの県またはその県内の市町村の査定見込み額が一定の基準を満たしていることが必要であります。  この結果、例えば全国の被害額が約七百億円、標準税収入の〇・二二%であり、かつ高知県内の市町村に基準を上回る大きな被害をもたらした平成十年九月の豪雨災害と同程度の災害は、激甚災害として指定されることとなります。  さらに、補助のかさ上げ対象となる地方公共団体の基準につきましては、都道府県、市町村ともそれぞれ現在の基準の二分の一に引き下げることとなります。  最後に、局地的に激甚な被害を受けた市町村を市町村単位で指定する局地激甚災害の基準につきましては、現在は、査定額がその市町村の標準税収入を上回る必要がありますが、改正案では、標準税収入の二分の一を上回れば指定ができる、こういうふうに実は取り組んでいるところであります。  以上です。
  323. 桧田仁

    桧田分科員 大変ありがとうございます。ぜひ、この激甚災害指定のことについては、積極的に前向きに、住民の立場でよろしくお願いします。  それでは、いよいよ具体的なことについてお伺いします。  もう時が八カ月もたちました。でも、私としましては、私いよいよ任期も終わりに近いものですから、この昨年六月二十九日の災害、どうしてもこの予算委員会の最後の質問にしておきたいという私のたっての希望をかなえていただきました。何とかここでもう一回考えて、この災害の復旧も考えようと思います。ぜひもう一度、頭の整とんも要るわけです、住民も忘れてしまいがちですが、昨年の六月二十九日の災害、広島県の被害はどのようだったのでしょうか。
  324. 生田長人

    ○生田政府参考人 お答え申し上げます。  平成十一年六月末の梅雨前線豪雨は、主として西日本中心に大変大きな被害をもたらしたわけでございますが、特に広島県では、六月二十九日の夕刻から時間雨量七十ミリを超える大変大きな豪雨になりまして、県内各地で三百カ所を超える土砂災害などが発生いたしまして、甚大な被害をもたらしております。  広島県内の主な被害状況といたしましては、消防庁の調べによりますと、死者・行方不明者三十二名、重軽傷者五十九名、また住家被害といたしましては、全壊百一棟、半壊六十八棟、床上浸水千三百二棟と極めて大きな被害を生じております。
  325. 桧田仁

    桧田分科員 概略はわかったのですが、特に公共事業関係はどのような被害だったでしょうか。あれば査定状況も教えてください。
  326. 竹村公太郎

    ○竹村政府参考人 広島県内の公共土木関係の状況を御説明します。  河川千八百六十三カ所、道路千百七十カ所、ダム二カ所、砂防四百四十一カ所、急傾斜地崩壊防止施設三カ所、橋梁二十九カ所、下水道一カ所、公園十カ所等の公共土木施設合計三千五百十九カ所が被災したところでございます。  査定につきましては、八月九日から八次にわたる査定を行い、十二月三日までに全箇所終了しております。河川約百四十八億円、道路六十五億円、ダム二億五千万円、砂防四十七億円、急傾斜地崩壊防止施設約四千万円、橋梁約七億円、下水道約三百万円、公園約七千万円等、災害復旧工事費合計約二百七十一億五千万円を計上して決定済みでございます。  さらに、被害が大きかった吉山川、大毛寺川、黒瀬川等二十一件につきましては、災害復旧助成事業、災害関連事業等の改良復旧事業費等約百十六億円を採択いたしました。  さらに、河川災害復旧等関連緊急事業、いわゆる復緊事業でございますが、大毛寺川と冠川二河川につきまして、七十三億円を決定しております。このことによって、下流も一気に改修をしようということでございます。  また、土砂災害につきましては、災害関連緊急事業として八十五カ所、約百三十二億円が採択済みでございます。
  327. 桧田仁

    桧田分科員 一方、農地とか農業施設、林業施設の被害状況や査定状況、いかがでしょうか。
  328. 渡辺好明

    ○渡辺政府参考人 御指摘の豪雨災害による広島県内の農地、農業用施設の状況でございますが、農地につきましては約一千カ所、復旧額で約十六億円。また、農業用施設につきましては約二千カ所、復旧額で約四十一億円となっております。これら被災をいたしました農地などにつきましては、既に十二月三日に査定を終了いたしまして、市町村は本格的な復旧工事に着手いたしております。
  329. 伴次雄

    ○伴政府参考人 林業関係でありますが、発生箇所千二百二十四カ所で、百十四億円であります。すべて査定は終了している状態にあります。  以上でございます。
  330. 桧田仁

    桧田分科員 広島県の被害状況、甚大な被害ですが、その中で特に、先ほど言いました広島市佐伯区の被害は、人、建物、農地あるいは林業関係、すべて甚大な被害でございました。ぜひ、これからは広島市佐伯区に限って、少し詳しく教えていただきたい。  まず、全体の被害状況はいかがだったでしょうか。
  331. 生田長人

    ○生田政府参考人 佐伯区の主な被害状況でございますが、佐伯区は広島市の中でも最も被害が大きゅうございまして、人的被害といたしましては、死者十二名、重軽傷者三十六名となっております。これは、広島県で亡くなられた方の約四割、負傷された方の約六割を占めております。  また、住家被害といたしましては、全壊五十六棟、半壊三十二棟、一部損壊五十棟、床上浸水七十七棟などとなっておりますが、県内の全壊家屋の約半数以上が集中している、こういう状況でございます。
  332. 桧田仁

    桧田分科員 では、もう少し詳しく、同じ佐伯区内の公共土木事業の状況はいかがでしょうか。
  333. 竹村公太郎

    ○竹村政府参考人 佐伯区の公共土木施設関係の御説明をいたします。  河川十四カ所、道路三十八カ所、砂防二十カ所、急傾斜地崩壊防止施設一カ所、橋梁二カ所等、公共土木施設合計七十五カ所が被災したところでございます。  査定につきましては、八月九日から七次にわたる査定を行い、十月二十九日までに全箇所終了しておりまして、河川約一億五千万円、道路約四億円、砂防約三億五千万円、急傾斜地崩壊防止施設三千万円、橋梁約七千万円、災害復旧工事費合計約十億円を決定済みでございます。  なお、古野川、梶毛川につきましては、事業費約四億円の災害関連事業を採択いたしております。  また、土砂災害対策事業につきましては、荒谷川、古野川、堂ケ原川など、災害関連緊急事業として、十六カ所の約五十四億円が採択済みでございます。  そして、工事はすべて平成十一年十二月に発注済みでございまして、十二年度内に完成したいということで、全力を挙げておるところでございます。
  334. 桧田仁

    桧田分科員 一方、農業施設、林業施設の最近の被害状況と査定状況、いかがでしょうか。  できれば、お金も知りたいが、箇所が知りたいんですが。わかれば箇所も答えてください。
  335. 渡辺好明

    ○渡辺政府参考人 佐伯区内の農地、農業用施設の状況でありますが、農地につきましては四十六カ所、復旧額で約一億円でございます。また、農業用施設につきましては八カ所、復旧額で約三千万円となっております。  災害復旧は、翌年の営農にできる限り支障がないようにとの対応を基本方向といたしております。被災した農地につきましては、既に十一月十二日に査定を終了いたしまして、本格的な復旧工事に着手をいたしております。  なお、進度の状況でございますが、広島市佐伯区の初年度、十一年度中の復旧進度は約七割、今後とも早期復旧に努めたいと考えております。
  336. 伴次雄

    ○伴政府参考人 林業関係でありますが、被害箇所が六十八カ所でありまして、十八億円の被害と相なっております。  今、災害関連復旧、治山ということで、流木の対策としてのスリットダムの建設等が鋭意進行しておりまして、おおむね半分の進捗率と相なっております。  なお、林道につきましては七カ所あった次第でございますけれども、市町村道がその前にありまして、その災害復旧ということがあって、進度は二二%ということに相なっております。
  337. 桧田仁

    桧田分科員 ちょっと、私がお願いしたことの、予算額はわかったんですが、箇所数が知りたいものですから、再度、局長答えられますか。
  338. 竹村公太郎

    ○竹村政府参考人 佐伯区内におきます箇所数でございますが、河川十四カ所、道路三十八カ所、砂防二十カ所、急傾斜地崩壊防止施設一カ所、橋梁二カ所、計七十五カ所でございます。
  339. 桧田仁

    桧田分科員 再度、これから予定しているダムとかそういうものの箇所はわかりますか。
  340. 竹村公太郎

    ○竹村政府参考人 先ほど御説明させていただきました古野川、梶毛川等の災害関連事業と、荒谷川、古野川、堂ケ原川等の総事業費、災害関連緊急事業としまして十六カ所、五十四億円でございます。
  341. 桧田仁

    桧田分科員 そこで、今これだけの被害ですから、先ほど言いましたように、まだ仮設住宅にお住まいでございます。  仮設住宅というのは、皆さん御経験になったかどうかわかりませんが、姉も同じように、私の姉が阪神大震災で九死に一生を得まして、仮設住宅に長く住んでおりました。姉の話を聞きましても、もう大変なことだと。人は仮設とおっしゃるけれども、一刻も早く出たい。それは、どんなすばらしい仮設であっても、国が用意してくれたのに大変恐縮でございますが、もう人に言えない苦しみと苦労と、隣近所のプライバシーもないという厳しい状況。  今現在、まだ広島市佐伯区の方は、多くの方が仮設住宅にお住まいと聞いております。実情と、もう少しわかれば、詳しく内容を教えていただけますでしょうか。
  342. 炭谷茂

    ○炭谷政府参考人 広島市の佐伯区において、当初は三十世帯仮設住宅に入っていただいたわけでございます。その後、復旧によりまして、きょう現在、十一世帯二十九人がまだ仮設でお住まいでございます。  これらの方々の住宅について、今後の見通しについて広島市が調査をいたしましたところ、既に自宅の再建を予定している方が三世帯、残りの八世帯については、河川道路の改修計画が具体化するのを待って自宅の再建についての方針を判断するとの報告を受けております。  仮設住宅の供与期間は最大二年間でございますので、入居が可能な期間というのはまだ残されているわけでございますが、今後、河川道路の改修の進捗状況を踏まえながら、広島市から仮設住宅の取り扱いについて御相談があれば適切に対処してまいりたいというふうに考えております。
  343. 桧田仁

    桧田分科員 ただいまお答えのように、まだここにポイントがございます。きょうの質問のポイントがございます。  実は、自分の家を用意しようといいましても、大変な状況なんです。ぜひ、きょうはお答えは結構ですが、長官がまだおられますので。実はこのたびは、被害の厳しいところや急傾斜地や、あるいは今後被害を受けるところは、国の法律、多少強制力を持って、もうそこの土地には家ができませんよという形なんです。わかるんですが、土地は何とか離れても、代替地に行こうとしますと道路がないんです。ところが、道路といいましても、今度は、田んぼの中に土地があっても、道路をつくるということが大変難しいわけなんです。  ぜひこれは、お答えは要りませんけれども、困っておられる方が、一方早く仮設住宅から出たいんですが、土地は何とかあるんだけれども道路ということになると、いろいろな建築基準法の関係で、道路の広さも距離もあります、隣地を通ります、そう簡単じゃないんです。  ところが、道路の補助というのは、このたび考えているいろいろな改正でも、補助に対する考えがないんです。土地に対する補助はあるけれども、取りつけ道路に対する補助がないものですから、仏つくって魂入れず、土地だけ幾ら用意したって、道路はお金を補助しない。  では、どういうことになるかと。隣近所に頼んで、何とか道路を通らせてください、だめです、まあまああけてください、だめです、では何とか、せめて少し高目に買いますからと言っても、高くと言うとびっくりするほど高い。補助はない。これでは、さっき言いましたように、危ないところは新しいところに逃げなさい、あるいはいいところを用意しましょうと言いましても、取りつけ道路に補助がない、まだ法的にきちっとなっていないので、これはいろいろなところでもお願い申し上げておりますが、ぜひこれは要望として、大臣にも次官にも関係部局長にも、ひとつこの取りつけ道路に対する配慮もぜひお願いしたい。そうしませんと、仮設住宅から出たい方は出られないのです。  一方、今お話がございましたように、これは広島市佐伯区を見ていただくとわかるんですが、それは十二年度に早くしたいとおっしゃいますけれども、早くしたくても、まだ川は荒れ放題、十二年度に直るといいましても、また一年二、三カ月後になるのです。それまで帰れない方がこんなにおられるので、何とかぜひ、公共土木工事、もっと積極的に、こういう場合は早くやる。特に、今帰れない仮設住宅の方の地域は最優先で何とかできないんでしょうか、いかがでしょうか。早くできないでしょうか。
  344. 竹村公太郎

    ○竹村政府参考人 公共土木の災害復旧につきまして先生から御質問がありましたが、代替住宅のことにつきましては直接お答えできませんが、広島県内の公共土木の復旧は早急を要するということで、今回の災害につきましては、初年度、つまり十一年度は八〇%、初年度で八〇%を超える復旧進度の予算を確保し、そのような目的で現在順調に復旧作業に入ってございます。  この砂防及びがけ崩れの災害、災害関連緊急事業、採択された箇所につきましては、早期に完成を図るべく実施してまいりたいと考えております。
  345. 桧田仁

    桧田分科員 つまり、皆さんが現地に行かれたらわかるんです。山が崩れそうなままなわけです。川は荒れ放題で流れているんです。それは人間が心配し過ぎという御意見もありましょうけれども、すごい雨が降ってきたら、不安になるのは当たり前です。いつ崩れてくるかわからぬ、いつどの川がもう一回荒れるか。それは心配し過ぎかもしれません。確かに百年に一度のような被害でした。でも、人間は、あつものに懲りてなますを吹くといいます。恐ろしくて、もう精神的にも参っているんです。ちゃんと直してもらうまではよう帰らぬということです。  本当は、私たち専門家から見ると、そこまで心配しなくても、めったにこれだけのことはない。ほとんどの河川は五十、一、すなわち五十年に一回の災害に対応してございます。でも、百年に一回のことだってあったんです。ぜひ、これを何とか早くやっていただくようにお願いせざるを得ません。  一方、農地についてもこうでございます。農地についても同じように、実は農地にどっと倒れてきました。でも農地は、御存じのように、復旧したくても、ブルドーザーやトレーラーが入りたくても農地は人の農地を通っていく、どうするのか。農業用水が崩れた、そこを直すのにそれだけの工事のシャベルカーが要ります、そこへ入ろうと思っても田んぼの中を通っていくことができない、そういう非常に難しい状況でございます。  だから、農地の改善復旧も早急にしませんと、広島市佐伯区の農地や農業施設、林業施設は大変困っている。しかも、このたびは杉やヒノキの流木がどっと、除夜の鐘をどんとつく、あの形でどんどんついていったんです。ですから、これは林業関係もしっかりやって復旧いただかないと、ただただ今から一年先にやりますというようなことではなしに、早急に急いでほしい。そうしないと、どんどんと鐘をつくようなあの流木がどんどん落ちてくるんじゃないかとみんな夜も寝られない思いなんです。何とかしてほしいので、農業関係、林業関係、いかがでございましょうか。
  346. 渡辺好明

    ○渡辺政府参考人 災害復旧の大原則は、農業の場合は翌年の営農にできる限り支障がないようにするという基本原則で実施をいたしております。  災害復旧の工事の期間というのは三カ年でありますけれども、そうなりますとやはり後にずれてまいりますので、私どもは、今広島県全体といたしましては、初年度、十一年度中で復旧進度約八割、それから佐伯区についていえば約七割ということで、とにかく急いでやっております。三カ年という原則はありますけれども、できるだけ前倒しをしてやるように頑張ります。
  347. 伴次雄

    ○伴政府参考人 森林関係であります。  今指摘ありましたように、流木の問題が大きな視点でございまして、それをいわゆる防止するスリットダムというものを四基つくっていきたいと思っております。  なお、進度につきましては、平成十二年度中に林道は一〇〇%までいたしたいと思っております。  それから、林地荒廃につきましては、一生懸命前倒しをしていきたいと思っております。
  348. 桧田仁

    桧田分科員 ただいまの河川局長、構造改善局長、長官の御返事でございます。住民の気持ちを、やはり隣の家のがけが崩れそうな家に住んでいる気持ち、いつ川が流れてくるかわからない気持ち、そしてがけ崩れがいつ起きるかわからない気持ち、やはり私は、災害復旧の基本は我が身になって、これでいいのかということだと思います。  国の予算も大変厳しい中から、災害復旧に莫大な予算をいただきました。あるいは、来年度にも予防的なことも考え、先ほど言いましたように、危険地域を新しくやり変える方式も考えられております。どの方式にしましても、住民にとりましては、やはりまだまだ行政や予算の応援が十分でないという、多少被害者意識がないとは言えませんけれども、思いがございます。  何とぞ、国土庁長官にも政務次官にも、さらには各局長、長官等にも、被害を受けた、苦しい、しかも夜音がしてもばっと目が覚める、寝られない、雨がぽとっと屋根に落ちても不安な気持ちになるという住民の気持ち、何とか考えてやって、一刻も早い復旧事業へは前倒しの上にも前倒しを、なおかつ前倒しをして、一日も早く工事をやっていただきたい。  それは工事が早く完成するだけじゃありません。早く苦しい、トラウマと私らはいいます、外傷症候群といいます、被害症候群の精神的なこの苦しみ、住民の気持ちを、一刻も早く広島佐伯区の住民のためにもお願いしたいと要望して質問を終わります。ありがとうございました。
  349. 萩山教嚴

    萩山主査 これにて桧田君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして総理府所管国土庁についての質疑は終了いたしました。  これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  分科員各位の御協力によって、本分科会の議事を滞りなく終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。  これにて散会いたします。     午後八時四分散会