○河野国務
大臣 平成十二年度
外務省所管一般会計予算の
概要について御
説明申し上げます。
外務省予算の総額は七千七百三十七億千六百万円であり、これを
平成十一年度
予算と比較しますと百四十一億九千五百万円の増加であり、一・九%の伸びとなっております。
新千年紀の幕をあけた現在、民族、宗教といった帰属
意識の相克を乗り越え、対話と協調により問題を解決していく国際
社会の構築に向け、たゆみない努力が続けられなければなりません。また、国際
社会の持続的な安定と繁栄のため、
社会的公正の
確保や、環境、貧困、
社会的弱者への対応といった問題に対し、引き続き国際
社会が一致協力して対応することが必要であります。こうした課題を前に、我が国は、増大する国際
社会の期待にこたえ、その国際的地位、影響力にふさわしい積極的で創造性豊かな役割を果たしていく責任があります。このような観点から、我が国外交に課せられた使命は極めて重大であります。その使命を果たすために、
平成十二年度においては、厳しい
財政事情のもとではありますが、外交
施策の充実強化と外交
実施体制の強化の二点を重点
事項として、
予算の効率的配分を図っております。
まず、外交
施策の充実強化に関する
予算について申し上げます。
外交
施策の充実強化の五つの柱は、九州・沖縄サミットの円滑な
実施、平和・安全、人間の安全保障の推進、対ロシア
政策の推進、二国間援助等の推進、そして国際文化交流の推進であります。
九州・沖縄サミットは
平成十二年度における我が国外交の最重要課題であり、その円滑な
実施に向けて百一億円を計上いたしました。
次に、平和・安全、人間の安全保障の推進でありますが、我が国の国際的地位に見合った責務を果たすべく、紛争予防・予防外交への積極的取り組み、軍縮・不拡散分野における貢献、さらには人間個人に着目した人間の安全保障の観点から具体的な
施策を講ずべく、総額三百三十億円を計上しております。
また、対ロシア
政策の推進につきましては、平和条約の締結を目指し、日ロ
関係の一層の進展を図るべく、北方領土関連、支援
委員会拠出金等に総額十六億円を計上いたしました。
次に、二国間援助などの推進でありますが、
平成十二年度
政府開発援助につきましては、
一般会計予算において、
政府全体で対前年度比〇・二%減の一兆四百六十六億円を計上しております。
外務省のODA
予算について見ますと、対前年度比〇・四%増の五千六百二億円となっております。このうち無償資金協力
予算は対前年度比一・一%増の二千四百五億円を計上しておりますが、その内訳は、
経済開発等援助費が二千七十九億円、食糧増産等援助費が三百二十六億円であります。また、我が国技術協力の中核たる国際協力事業団につきましては、対前年度比一・二%増の千七百九十二億円を計上しておりますが、特にシニア海外ボランティアにつきましては、対前年度比三百人増の四百名を派遣すべく
予算を計上しております。
さらに、国際文化交流の推進でありますが、九州・沖縄サミットの成功に向け、沖縄を初めとした我が国の多様な文化の紹介、また、国際
社会における正しい対日理解を促進するため
日本語普及等文化交流基盤の整備のために六十億円を計上しております。
次に、外交
実施体制の強化に関する
予算について申し上げます。
まず、定員の増強につきましては、危機管理・安全体制の強化を中心として、本省及び在外公館合計で七十三名の増員を図り、
平成十二年度末の
外務省予算定員を合計五千二百八十九名といたしております。また、機構面では、在ユジノサハリンスク総領事館の新設等を予定しております。
さらに、在外公館の機能強化につきましては、在外公館施設等の強化及びキルギス邦人誘拐
事件等の教訓を踏まえた危機管理体制・海外邦人安全対策の強化のために四百十三億円を計上しております。
加えて、外交
政策策定の基盤となる情勢判断に不可欠な情報通信及び連絡網の整備に要する経費として八十五億円を計上しております。
最後に、
平成十二年五月一日以降に公示される衆議院議員選挙または参議院議員選挙から在外での投票が開始されることとなっており、このための経費として十三億円を計上しております。
以上が
外務省所管一般会計予算の
概要であります。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
なお、時間の
関係もございますので、詳細につきましてはお手元に「国会に対する
予算説明」を配付させていただきましたので、
主査におかれまして、これが
会議録に掲載されますようお取り計らいをお願い申し上げます。