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2000-02-28 第147回国会 衆議院 予算委員会第七分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年二月二十八日(月曜日)     午前十時開議  出席分科員    主査 村田 吉隆君       甘利  明君    大原 一三君       田中 和徳君    津島 雄二君       城島 正光君    中田  宏君       横路 孝弘君    吉田 公一君       保坂 展人君    兼務 池田 元久君 兼務 渋谷  修君    兼務 山本 孝史君 兼務 上田  勇君    兼務 若松 謙維君 兼務 塩田  晋君    兼務 松本 善明君     …………………………………    運輸大臣    国務大臣    (北海道開発庁長官)   二階 俊博君    北海道開発政務次官    米田 建三君    運輸政務次官       中馬 弘毅君    建設政務次官       岸田 文雄君    政府参考人    (公正取引委員会事務総局    経済取引局取引部長)   上杉 秋則君    政府参考人    (金融監督庁監督部長)  乾  文男君    政府参考人    (厚生大臣官房障害保健福    祉部長)         今田 寛睦君    政府参考人    (運輸省運輸政策局長)  羽生 次郎君    政府参考人    (運輸省鉄道局長)    安富 正文君    政府参考人    (運輸省自動車交通局長) 縄野 克彦君    政府参考人    (運輸省海上交通局長)  高橋 朋敬君    政府参考人    (運輸省海上技術安全局長    )            谷野龍一郎君    政府参考人    (運輸省航空局長)    岩村  敬君    政府参考人    (海上保安庁長官)    荒井 正吾君    政府参考人    (建設大臣官房技術審議官    )            原田 邦彦君    政府参考人    (建設省道路局長)    大石 久和君    運輸委員会専門員     長尾 正和君    逓信委員会専門員     大久保 晄君    予算委員会専門員     大西  勉君     ————————————— 分科員の異動 二月二十八日  辞任         補欠選任   大原 一三君     田中 和徳君   横路 孝弘君     城島 正光君 同日  辞任         補欠選任   田中 和徳君     大原 一三君   城島 正光君     小沢 鋭仁君 同日  辞任         補欠選任   小沢 鋭仁君     中田  宏君 同日  辞任         補欠選任   中田  宏君     吉田 公一君 同日  辞任         補欠選任   吉田 公一君     横路 孝弘君 同日  第二分科員池田元久君、山本孝史君、松本善明君、第三分科員上田勇君、若松謙維君、第五分科員渋谷修君及び第八分科員塩田晋君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  平成十二年度一般会計予算  平成十二年度特別会計予算  平成十二年度政府関係機関予算  〔総理府北海道開発庁)及び運輸省所管〕     午前十時開議      ————◇—————
  2. 村田吉隆

    村田主査 これより予算委員会第七分科会を開会いたします。  平成十二年度一般会計予算平成十二年度特別会計予算及び平成十二年度政府関係機関予算総理府所管北海道開発庁について、政府から説明を聴取いたします。二階北海道開発庁長官
  3. 二階俊博

    ○二階国務大臣 平成十二年度の北海道開発庁関係予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  平成十二年度一般会計予算につきましては、中央省庁等改革に伴う新体制移行を反映させたものとなっており、北海道開発庁に計上いたしました予算額は、歳出九千三百二十一億九千六百万円でありまして、新体制移行後は国土交通省所管予算として所要予算額を計上しております。  次に、これら歳出予算の主な内容につきまして、その大略を御説明申し上げます。  第一に、国土保全及び水資源開発事業についてであります。  石狩川等重要水系災害多発地域の河川の整備多目的ダム建設砂防事業及び急傾斜地崩壊対策事業等治水事業推進するほか、治山事業並びに海岸保全事業推進します。  第二に、道路整備事業についてであります。  道内各地域の均衡ある発展のため、基軸となる高規格幹線道路等整備推進し、道路網の体系的かつ総合的な整備を図るとともに、トンネル崩落事故を踏まえた防災事業雪対策及び交通安全施設整備推進します。  第三に、港湾空港整備事業についてであります。  中核国際港湾である苫小牧港及び物流効率化等に資する重要港湾地方港湾整備を進めるとともに、航空ネットワーク拠点空港である新千歳空港及び奥尻空港等地方空港整備推進します。  第四に、生活環境施設整備事業についてであります。  生活環境向上を図るため、公営住宅等、下水道、環境衛生施設及び都市公園整備推進します。  第五に、農林水産業基盤整備事業についてであります。  社会変化国際化進展に対応して、北海道農業農村が持続的に発展するための農業農村整備水産業振興を図るための水産基盤整備並びに森林の持つ公益的機能高度発揮を図るための森林整備推進します。  公共事業以外の経費については、北海道経済の新生のため、道路観光情報を総合的に提供するための総合交通情報システムモデル事業、農産物など地域にある素材を活用した中小企業ベンチャーの育成のためのプロジェクトに所要経費確保いたしております。  また、アイヌ文化振興に関する施策のフォローアップを図りつつ、必要な施策推進します。  これまで北海道産業振興政策金融機関として大きな役割を果たしてきた北海道東北開発公庫は、日本開発銀行とともに、日本政策投資銀行となりましたが、新たな銀行においても、公庫が果たしてきた地域開発金融機能は引き続き継承されています。新銀行においても、地域経済自立的発展のために、資金確保を初めとして、積極的な活用に努めます。  以上をもちまして、平成十二年度の北海道開発庁関係予算説明を終わります。  よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  4. 村田吉隆

    村田主査 以上で説明は終わりました。  別に質疑申し出もありませんので、総理府所管北海道開発庁については終了いたしました。     —————————————
  5. 村田吉隆

    村田主査 次に、運輸省所管について政府から説明を聴取いたします。二階運輸大臣
  6. 二階俊博

    ○二階国務大臣 平成十二年度の運輸省関係予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  平成十二年度一般会計予算につきましては、中央省庁等改革に伴う新体制移行を反映させたものとなっており、運輸省所管に計上いたしました予算額は一兆八百六十億一千七百万円でありまして、新体制移行後は国土交通省所管予算として所要予算額を計上しております。  次に、特別会計予算でございますが、自動車損害賠償責任保険特別会計につきましては六千四百一億六千三百万円、自動車検査登録特別会計につきましては五百八億九千万円、港湾整備特別会計につきましては四千七百三億四千六百万円、空港整備特別会計につきましては四千九百四十億八千九百万円をそれぞれ歳出予算額として計上しております。  また、財政投融資計画中には、当省関係公団等分として二千八百七十四億円が予定されております。  運輸省といたしましては、以上の予算によりまして、豊かで活力ある二十一世紀経済社会構築に向けて交通関係社会資本整備を図るとともに、陸海空にわたり効率的で質の高い総合的な交通政策推進を図っていくこととしております。また、海上保安体制及び気象業務体制充実強化を図っていくこととしております。  以下、主要な事項につきまして御説明申し上げます。  第一に、交通関係社会資本整備を重点的、効率的に行うこととしております。  まず、鉄道整備につきまして申し上げます。  整備新幹線建設につきましては、国土の均衡ある発展地域振興を図るため、その整備を強力に進めることとしております。  地下高速鉄道ニュータウン鉄道等都市鉄道整備幹線鉄道高速化貨物鉄道整備及び鉄道駅の総合改善等につきましては、必要な助成を行い、整備推進することとしております。  次に、空港整備につきまして申し上げます。  航空ネットワーク形成拠点となる大都市圏拠点空港整備を最優先課題として、特に、増大する航空需要に適切に対応するため、関西国際空港の二期事業及び中部国際空港整備を重点的に推進することとしております。  また、新東京国際空港及び東京国際空港整備首都圏空港調査推進することとしております。  一般空港につきましては、滑走路延長等継続事業中心とした整備推進するとともに、あわせて、空港周辺環境対策及び航空路施設整備推進することとしております。  次に、港湾及び海岸整備につきまして申し上げます。  港湾整備事業につきましては、中枢・中核国際港湾国際海上コンテナターミナル整備及び廃棄物海面処分場整備を最重点施策として推進することとしております。  また、全国的、広域的な視点から我が国全体としての効率的、効果的な物流体系構築を進めるとともに、地域の主体性を高めるため、重要港湾の配置及び国庫負担率の見直し、統合補助金の導入などを行うこととしております。  海岸事業につきましては、質の高い海岸防護のさらなる推進及び環境利用に配慮した海岸づくりの積極的な推進重点施策とし、海岸の計画的かつ着実な整備を進めることとしております。  第二に、二十一世紀に向けた総合的な交通政策推進を図っていくこととしております。  まず、人と環境に優しい交通運輸実現観光振興交通運輸分野情報化推進等につきまして申し上げます。  人と環境に優しい交通実現でありますが、鉄道駅におけるバリアフリー化、ノンステップバス等普及促進するため、補助制度の大幅な拡充を行うとともに、地球温暖化問題等に対応するため、環境に優しい自動車技術評価及び実用評価事業促進地球規模高度海洋監視システム構築等推進することとしております。  また、観光交流を拡大するほか、地域経済活性化雇用拡大等を図るため、国際観光振興会による観光情報基盤のさらなる充実国際観光交流拡大のための宣伝活動等実施及び観光基盤施設整備等推進することとしております。  さらに、高度情報社会進展を踏まえ、電子政府実現に向けた運輸省関係法令手続電子化を積極的に推進するとともに、総合交通情報提供システム実証実験を行うこととしております。国際協力につきましては、開発途上国における交通運輸インフラ整備人材養成環境保全、輸送安全への協力等事業推進するとともに、貨物流通対策として、日本政策投資銀行からの所要融資等を行うこととしております。  次に、交通運輸分野における技術関係推進につきまして申し上げます。  二十一世紀に向けて、より高度な運輸サービスを提供するため、新幹線在来線直通運転を可能とする軌間可変電車、フリーゲージトレーン、浮上することにより超高速で走行する超電導磁気浮上式鉄道、リニアモーターカー、すぐれた耐航性能、高い積載能力を兼ね備えた超高速船テクノスーパーライナー海上空港防災拠点を初めとする幅広い分野における利用に期待のかかる超大型浮体式海洋構造物メガフロート等技術開発推進するとともに、基礎的研究に係る研究資金確保するほか、すぐれた成果を確保するため研究開発に係る評価実施することとしております。  次に、地域における公共交通維持整備につきまして申し上げます。  地域住民生活に不可欠な地方バス運行確保を図るとともに、中小民鉄近代化等を図るため、所要補助を行うこととしております。  また、離島住民生活に不可欠な離島航路整備近代化を図るとともに、離島航空輸送確保を図るため、所要補助を行うこととしております。  次に、自動車交通安全対策につきまして申し上げます。  交通事故死傷者数は、平成十一年には百万人を超え、史上最悪状況にあり、自動車構造面運行面対策など、より安全な車の開発及び普及促進のための自動車アセスメント、安全に配慮した都市交通体系形成高度道路交通システム、ITSを積極的に活用した車両の安全対策等の総合的な事故防止対策を講じることとしております。  次に、海運造船及び船員雇用対策につきまして申し上げます。  海運対策につきましては、外航海運国際競争力強化等に向けて、国際船舶制度拡充日本政策投資銀行からの融資等の諸施策推進することとしております。また、運輸施設整備事業団により離島航路を含む国内船舶共有建造を行うほか、内航海運活性化構造改善推進することとしております。  造船対策につきましては、船舶輸出を行うために必要な国際協力銀行からの融資造船舶用工業産業基盤整備等を図ることとしております。  さらに、船員雇用対策につきましては、国際的な漁業規制強化に伴う船員離職者等に対する職業転換給付金の支給や技能訓練事業実施等施策推進することとしております。  第三に、海上保安体制及び気象業務体制充実強化を図っていくこととしております。  まず、海上保安体制につきまして申し上げます。  能登半島沖不審船事案、九州・沖縄サミット警備等複雑、大規模警備事案の発生、密航、密輸、密漁等国際的犯罪の急増など、海外から押し寄せる海上警備事案等に適切に対処するとともに、国連海洋法条約日韓漁業協定の締結に伴い、拡大した水域における監視取り締まり体制強化等を図るため、巡視船艇、航空機の能力強化大陸棚調査等海洋調査及び情報収集情報通信体制流出油防除体制整備等推進することとしております。  また、船舶交通安全等を図るため、航路標識整備推進することとしております。  次に、気象業務体制につきまして申し上げます。  台風、集中豪雨等観測予報体制強化するため、観測予報施設整備推進するとともに、地震火山対策として、地震、津波、火山に対する監視体制強化を図ることとしております。特に、静止気象衛星ひまわり五号の後継機となる運輸多目的衛星については、昨年の打ち上げ失敗によるおくれを回復すべく、その早期整備を図ることとしております。  以上申し述べましたほかにも、各般にわたる施策推進するため、必要な予算を計上しております。  以上をもちまして、運輸省関係平成十二年度予算につきましての説明を終わります。何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  7. 村田吉隆

    村田主査 以上をもちまして運輸省所管についての説明は終わりました。     —————————————
  8. 村田吉隆

    村田主査 この際、分科員各位に申し上げます。  質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。  なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。  これより質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。池田元久君。
  9. 池田元久

    池田(元)分科員 おはようございます。御苦労さまです。  私は、きょうは地域の問題に徹してお尋ねをしたいと思います。  運輸政策審議会答申が出されました。それに出ております東京圏鉄道網整備、とりわけ東京神奈川の問題、神奈川東部方面線、そして横浜環状鉄道、さらには相鉄線連続立体交差事業について、順次お尋ねをしたいと思います。  私、国会へはほとんど電車で通勤しております。けさも、二階運輸大臣にしっかりと質問しなければならないということで資料を持って家を七時十分に出ました。相鉄線いずみ野線南万騎が原から乗りまして、二俣川で乗りかえ、相鉄本線横浜を経て国会へ参りました。二俣川から、この運輸政策審議会答申について読もうと思いまして持ってきたのですが、残念ながら全く読めなかった。大変な混雑でございまして、資料とかばんが宙に浮いたような形になってしまった、何もできない、そういう状況でございました。  運輸省判断基準といいますか、一五〇%が、肩が触れ合う程度新聞が楽に読めるような状態。一八〇%、体が触れ合うが新聞は読める状態。二〇〇%、体が触れ合い、相当圧迫感があるが週刊誌程度なら何とか読めるような状態。この混雑率はいずれも該当しません。何と表現していいかわかりません、二五〇か三〇〇かわかりませんが、正確にカウントすれば数字は出ると思うんですが、そういう状況でございます。  運輸省からいただいた資料でも、このピーク時一時間の混雑率は、平成十年、相鉄線西横浜—平沼橋で一五一%と出ておりますが、通勤混雑、通学の混雑緩和というのは、都市の多くの住民にとっては本当にぜひ早く実現していただきたい問題であります。  そこで、まず神奈川東部方面線からお聞きしますが、この新しい鉄道線意義について端的にお答えをいただきたいと思います。
  10. 安富正文

    安富政府参考人 先生指摘神奈川東部方面線でございますが、先般運政審の方から答申が出されました東京圏における鉄道整備計画において、神奈川東部方面線は、二〇一五年までに開業することが適当である路線、A1路線ということで位置づけられております。  この路線につきましては、先生承知のとおり、東海道線混雑緩和、あるいは新横浜での新幹線アクセス向上、あるいは神奈川東部内陸部から渋谷等都心部への速達性向上といったような効果が見込まれておりまして、そういう意味で、今後早急に整備を図っていきたいということで考えております。
  11. 池田元久

    池田(元)分科員 まさに今おっしゃったようなことでありまして、私、この東部方面線につきましては十年来実現主張してまいりました。予算委員会分科会でも、九一年、九七年、二度にわたりこの問題を取り上げて質問しております。  今、混雑の話から入りますと、この新しい運輸政策審議会答申目標年次である二〇一五年になると、このペーパーには一二七%と書いてあります。先ほど申し上げた区間が一二七%になる。大変改善されるということであります。  また、答申にありますように、整備中の路線整備され、既設路線改良等が完了する場合には、全体としていえば、東京圏の主要三十一区間ピーク時の平均混雑率は一六〇%に下がる。さらにそれに加えて、新規路線として神奈川東部方面線などの整備が終わった場合には、二〇一五年、主要三十一区間平均混雑率は一五〇%台に下がる。首都圏鉄道混雑率緩和に大きく貢献をする。結果的に相鉄線も、横浜駅近くの一番込む区間でも一二七%になるという効果が見込まれるわけです。  そのとおりですね。一言、答えてください。
  12. 安富正文

    安富政府参考人 おっしゃるとおり、今回の鉄道路線についての基本計画整備が進んでまいりますと、現在でも一八三%の混雑率でございますが、この運政審答申新規路線等も含めまして整備されますと、一五〇%台になるものと予想しております。
  13. 池田元久

    池田(元)分科員 この神奈川東部方面線既設路線をつなぐものです。この答申を読ませていただくと、短絡線、つまり、既設路線間を結ぶ短絡線整備というのが書いてあります。これは、既設路線改良等としても位置づけることも可能であるが、ここでは、便宜上、路線の新設として整理をしたと書いてあります。  これは新線ですけれども、短絡線ですね。
  14. 安富正文

    安富政府参考人 既にある相鉄あるいは東急、そういう方面に結ぶという意味で、新線にはなりますけれども、機能的には短絡線という形になるかと思います。
  15. 池田元久

    池田(元)分科員 短絡というのは言葉としては最近は余りよくないときに使われますが、短絡線というのは、この場合は、答申にもありますように、既存ストック活用の観点から過去の鉄道整備の蓄積である既設路線を最大限に活用するという意味では、大変私はやりやすい路線だと思います。  しかしながら、私が九一年、九七年、当予算委員会分科会で質問をいたしましたが、なかなか進捗しなかった。それは、羽田アクセスと当初言われて、川崎方面へのルートと二つ合わせて神奈川東部方面線と言ってきました。そして、神奈川県と横浜市、川崎市で共同事務室をつくった。しかし開店休業であった。それは前回委員会で取り上げましたので多くは言いませんが、ようやくここへ来て、二俣川から新横浜—大倉山路線に限ることにした。  私は、九七年の三月の分科会で、川崎方面ルート調整等に手間取っている、そして関心は川崎縦貫ルートの方に行っている、ですから、まずこの路線二俣川—新横浜—大倉山ルートを優先して、それにまず限って整備を急ぐべきであるという主張をいたしました。ちょっとおくればせながらという感じであります。当時の運輸大臣は、私の言うことをほぼ認めて、近々運政審が開かれてそうなるであろうという趣旨のこともおっしゃいましたが、もう三年経過をいたしました。  もうちょっとスピードアップをしていただきたいということもございますが、いずれにせよ、私の主張どおり、まず二俣川—新横浜—大倉山ルート神奈川東部方面線として二〇一五年までに整備するのが適当な区間であると位置づけがなされたことは大変喜ばしいことでありまして、私としては、関係者皆様方のこういった考えに同意をし、また、よかったなということを申し上げたいと思います。  ところで、この神奈川東部方面線につきましては、今おっしゃったように大変意義のある路線でありますが、とにかくどの路線でもいろいろな問題はあると思いますが、そういう限りにおいてのいろいろな検討課題、克服すべき課題があろうかと思います。その辺についてお尋ねをしたいと思います。
  16. 安富正文

    安富政府参考人 先生指摘のように、この路線整備を図る上では幾つかの問題がございます。  一つは、やはり整備主体をどういう形で構築していくかという問題。それから、御承知のようにこの路線、約十二・三キロございますが、事業規模としましても約三千億ほどかかる。そういう場合に、この膨大な費用の負担関係をどうするかという問題がございます。それから、先ほどからお話しありますように、東急あるいは相模鉄道といった路線関係をしてきますので、こういう関係事業者との調整といったような問題。基本的な問題が幾つかございますが、こういう点について、自治体あるいは事業者間の今後調整を図っていく必要があるかと思います。
  17. 池田元久

    池田(元)分科員 私がかねてから言っていたとおり、二俣川—大倉山区間になったわけです。川崎市は外れるわけですね。そうすると調整はやりやすいんじゃないかと思いますが、その辺はいかがでしょうか。
  18. 安富正文

    安富政府参考人 先生おっしゃいますように、川崎市自体の区域というのは今回基本的に外れるわけでございます。従来、神奈川県、横浜市、川崎市、三者が中心になってやっておりました。今後どういう形でやっていくかということについてはまだ未確定でございますが、川崎市が多分外れるんではないかと我々も予測しております。
  19. 池田元久

    池田(元)分科員 多分ではなくて、外れますよね。  それで、前回も質問いたしましたが、私鉄サイドの方の意向といいますか、その辺はどうなっているでしょうか。特に、二俣川—鶴ケ峰から新横浜—大倉山へまさに短絡をいたしますので、その辺の影響を心配する事業者がいると聞いております。その辺はいかがでしょうか。
  20. 安富正文

    安富政府参考人 当然、この東部方面線ができますと、相模鉄道本線について、特に都心方向、あるいは川崎方面も含めて、間接的にでございますが、旅客の流動に変化が生じてくるかと思います。それからもう一つ、一方で東急の方には、相互直通運転ということをやりますので、これも場合によってはお客がふえるとか、そういう問題もあるかもしれません。そういう意味で、東急とそれから相模鉄道、お互いに自治体等も含めて利害が相反する部分もあるかと考えております。
  21. 池田元久

    池田(元)分科員 やはり地域の方々の意向を最優先すべきであると私は思います。近視眼的な目で見るのではなくて。それがまた事業者の理にかなうのではないか。  要するに、全く白地のところに鉄道を敷く話ではありません。相鉄線という大変過密ダイヤをやっている路線、そして東急の基幹ルート東急東横線、しかも真ん中には新幹線があるという、だれが見たってこれは早急に路線を敷かないわけにはいかないと私は思っております。いろいろその事業者の、総体的にはそういった問題もあろうかと思いますが、ぜひ運輸省もその辺にリーダーシップといいますか、調整に力を発揮していただきたいと思います。  それから、この具体的な事業主体、そして建設費等は、今の段階でどのような見通しになっているでしょうか。
  22. 安富正文

    安富政府参考人 お答えいたします。  先ほど申しましたように、整備主体をどうするかという問題がございまして、まだ明確に決まっておりません。ただ、いろいろな検討の中では、当然、神奈川県あるいは横浜市が中心となって、第三セクターというような形の方式を目指すのではないかと我々も考えております。  それから、先ほど申しましたように、建設費につきましては、まだ試算でございますが、約三千億ぐらいの建設費がかかるというふうに考えております。
  23. 池田元久

    池田(元)分科員 第三セクターでやる方向、そして建設費は、私が前に聞いたときには、この資料にあるとおり、これは前回の質問のときの資料ですが、三千億円余り、そんなに変わっておりません。物価指数も余り変動がありませんので、そういうことだと思います。  そして次に、同じ横浜なんですが、横浜環状鉄道がございます。この路線、その意義について端的にお答えをいただきたいと思います。
  24. 安富正文

    安富政府参考人 横浜環状鉄道でございますが、これにつきましても、先ほど申しました運政審答申の中で、少なくとも整備目標年次までに整備着手することができる路線、いわゆるA2路線という形で位置づけられております。  この路線整備強化でございますが、この路線につきましては、横浜市内においていわゆる環状線として機能するわけでございまして、そういう意味で、横浜市における各地域都市機能の強化、あるいは地域間の速達性向上といったことに効果があるかと思っております。
  25. 池田元久

    池田(元)分科員 どうしても、首都圏というのは放射状の路線が重視されます。道路もそうなんですが、東京都心へ向かう。鉄道では都内に山手線がございます。しかし、横浜市内は、まだ市内をめぐるという路線がございません。この横浜市の都市機能を高めるためにも、環状鉄道は大変重要だと私は思っております。初めて国から、整備着手が適当な区間ということになったのは、大変喜ばしいと思います。  この環状鉄道でございますが、整備着手が適当な区間ということは、まず今やらなければならないことは何でしょうか。
  26. 安富正文

    安富政府参考人 先ほど申しましたように、機能的には横浜市の中を環状鉄道ということで結ぶわけでございますが、そういうことから、約三十四キロという長大な路線になります。建設費につきましても、約八千億円という非常に膨大な経費になるわけでございます。  そういう意味では、そういう長大な路線につきまして、まさに整備主体をどうやっていくのか、横浜市がやるのかどうかも含めまして、それから費用負担をどうするのか、それから、こういう長大路線ですから、具体的にどこから優先的に進めていくのかといったようなことについて、やはり関係自治体で調整して、これから検討していく必要があるかと思います。
  27. 池田元久

    池田(元)分科員 それから、この答申によると、環状鉄道高速鉄道の部に入っておりますね。地元ではモノレールの構想とかいろいろあったと思うのですが、この横浜環状鉄道は、要するに地下鉄か地上線か、その辺の見通し、構想はどうでしょうか。
  28. 安富正文

    安富政府参考人 はっきり申し上げまして、地下鉄になるか、あるいは新しい新交通システムかといったような具体的な整備の手法については、これから関係自治体等、我々も含めて相談してまいりたいと考えております。
  29. 池田元久

    池田(元)分科員 これはだめ押しといいますかお尋ねですが、高速鉄道の部に入っています。中量鉄道の部に入っていないのですね。そうすると、今のお話のとおり、その新交通システムの場合もあり得るわけですね。
  30. 安富正文

    安富政府参考人 お答えいたします。  高速鉄道ということで、地下鉄としましても幾つかの方式がございます。通常の在来の地下鉄のような形もございますし、それからリニアのような形で新しいシステムでやるものもございますので、そこら辺も含めて、いろいろなシステムがあり得るというふうに申し上げたわけでございます。
  31. 池田元久

    池田(元)分科員 今話で出ているとおり、これから建設費等が問題になりますね。答申にあるとおり、これからはなかなか需要が見込めないから、どうしても事業者は消極的になりがちである、確かにそうだと思うのですね。  そこで、問題は建設資金確保等なんですが、我々が前から主張しておりました公共事業のPFI方式、それから上下分離方式等がここに書いてあります。そして、鉄道部会において審議されている。東京圏において鉄道に求められている諸課題に的確に対応していく観点から、実効ある対策を示されることを強く望むものであると述べています。この辺の見通しはどうですか。
  32. 安富正文

    安富政府参考人 現在、運輸政策審議会鉄道部会において、今後の鉄道整備のあり方ということで御審議をいただいております。  これは、もちろん都市鉄道だけではなくて、在来線も含めまして、幹線鉄道も含めまして議論していただいておりまして、現在、その具体的な鉄道整備のあり方、整備の進め方、あるいは整備の目標、さらには支援方策として、先生今御指摘ございました上下分離方式といったようなことも考えられないかということを含めて、現在いろいろ議論をしているところでございます。  我々としては、早急に議論をまとめたいというふうに考えておりますが、非常に広範に及ぶものでございますし、中身としてもこれからの鉄道整備の進め方について一つの方針を出すものでございますので、十分な議論を尽くしていきたいというふうに考えております。今のところ、できればことしの春ごろをめどに何とかできないかということで、現在進めているところでございます。
  33. 池田元久

    池田(元)分科員 最後に、相鉄線の立体交差事業についてお尋ねします。  相鉄線横浜駅の西口に近いところでございますが、天王町から星川、和田町近くにかけての一・八キロの踏切九カ所をなくして立体交差化を図るという事業につきまして、おかげさまで二〇〇〇年度予算で千五百万の調査費がつきました。これは、昭和六十一年から地元が長い間実現を働きかけていたもので、初めて予算要求をして、千五百万といえども調査費がつけられたことに敬意を表します。  新しいやり方、ボトルネック踏切の除却等の採用によって基準が拡大されて、この相鉄線の踏切の立体交差化事業調査費がつけられました。私も年末に大蔵省などにお願いをして、内示段階で早くもつけていただいたのは大変よかったと思います。これからの事業の進め方、調査費を使ってどのようなことをやり、次にどういうことをやるのか、端的にお答えいただきたいと思います。
  34. 原田邦彦

    ○原田政府参考人 先生御質問の調査費の使用目的でございますけれども、御案内のとおり、連続立体交差事業は周辺市街地へのインパクトが極めて大きい事業でございますので、事業化に先立ちまして、当該鉄道の部分だけではなくて、地域全体の交通のネットワークであるとか、面的整備といったような広範な調査が必要でございます。  これに関する費用でございますが、具体的な調査内容といたしましては、市街地の土地利用状況であるとか、踏切の交通量、遮断時間、さらには鉄道施設の現況等を調べること、鉄道施設の概略設計、また側道の概略設計、さらに駅前広場や交差道路など関連する事業との計画の調整、さらに、事業効果環境への影響の把握などなどの諸調査がございます。  それに引き続きまして、事業化に向けての歩みでございますが、今申し上げましたとおり、インパクトが大きな事業でございますので、一般的にこの調査期間は大体二年ぐらいを要しておりますが、その後、事業主体でございます横浜市の方で、都市計画に向けまして概略設計から詳細な設計に移行いたしまして、事業認可、事業化というような段取りで進んでいく予定でございます。
  35. 池田元久

    池田(元)分科員 調査は単年度で終わりそうですか。
  36. 原田邦彦

    ○原田政府参考人 来年度スタートする調査でございますので、確たることを申し上げられませんが、今申し上げましたように、一般的な連続立体交差の調査はおおむね二年ぐらいかかっているものでございます。
  37. 池田元久

    池田(元)分科員 ぜひスピードを上げていただきたいと思います。  地方ではいろいろな公共事業のむだが指摘されておりますが、こういった都市の基盤整備、そして再開発、それの中に入るであろうこのような事業に対して積極的に取り組んでいただきたいということを申し上げたいと思います。  最後に、私は、神奈川東部方面線、そして横浜環状鉄道相鉄線連続立体交差事業について取り上げさせていただきました。神奈川東部方面線について一言忘れたんですが、二俣川から新横浜まで今まで早くても三十三分かかっていたのが、これができると十四分になるという大変なスピードアップになる路線でございまして、また、神奈川の中部、東部と東京都心を結びつける第二の東海道線的なルートとも言えるのではないかと思います。神奈川東部方面線、そして横浜環状鉄道につきましては、都市部の基盤整備を早くするという意味から、ぜひ早期実現を要望しておきたいと思います。  二階運輸大臣の御答弁をいただいて、質問を終わらせていただきたいと思います。
  38. 二階俊博

    ○二階国務大臣 まず、池田委員から冒頭、早朝の混雑状況等についてお話ございました。私も全く同感でございまして、これらの問題につきまして、都市を基盤にされておられます議員の皆様初め、これはやはり国民全体の問題でございますから、政党政派を超えてこの問題の解消のために今後も懸命の努力をしてまいりたいと存じます。  ただいまお尋ねの件につきまして大臣の決意いかんということでありますが、ただいまお尋ねのとおり、神奈川東部方面線につきましては東海道線混雑緩和等、横浜環状線については都市機能の強化等、それぞれに大きな整備効果があるものと認識をいたしております。今後解決すべき課題はあるものの、委員御指摘のとおり、少しでも早い整備のために、運輸省としても関係者を督励しつつ懸命の努力を続けてまいりたいと存じます。
  39. 池田元久

    池田(元)分科員 終わります。
  40. 村田吉隆

    村田主査 これにて池田元久君の質疑は終了いたしました。  次に、城島正光君。
  41. 城島正光

    城島分科員 民主党の城島正光でございます。今の池田委員と同様、私も都市整備、なかんずく交通整備の問題について質問をさせていただきます。  私は、今東京の足立区に住んでおります。そこで生活をしておりますと、都市基盤の整備ということに強い関心を持たざるを得ないという状況であります。きょうは特に、今申し上げましたように、その中でも交通基盤の整備ということについてお伺いしたいと思います。私もきょうここへ来るまでに地下鉄千代田線に乗ってきたわけでありますが、通常この国会に通うのに地下鉄を利用している者であります。  この一月二十七日に、運輸政策審議会において、東京圏における高速鉄道中心とする交通網の整備に関する基本計画答申が出されたわけであります。前回の七号答申だと思いますが、それはちょうど一九八五年に出されまして、しかも、まさしくことしの二〇〇〇年をその目標年次とした基本計画であったわけであります。  したがいまして、まず冒頭、この一九八五年に出されました答申の総括がどういうふうにされているのか、七号答申の総括からお伺いしたいというふうに思います。
  42. 安富正文

    安富政府参考人 先生指摘の七号答申につきまして、その七号答申をベースに、我々としても、新線建設あるいは輸送力増強工事と進めてまいりました。そのおかげで、従来平均混雑率二〇〇%を超えていた東京路線につきまして、最近では一八三%ということで、依然高うございますが、そういう状況になってきております。  そういう意味で、しかるべき効果はあったかというふうに考えておりますが、まだまだこれから一八三%の混雑率をほかの都市圏並みに一五〇、六〇といったところに持っていかなきゃいけないということで、今後の具体的な首都圏における鉄道整備のあり方について、今回さらに運政審において議論していただいたものでございます。
  43. 城島正光

    城島分科員 そういう状況の中で、今般の答申概要をちょっと拝見させていただきました。その中で、幾つか個別に質問させていただきたいと思います。  今回、二〇一五年を目標とした中で、この期間中に整備すべき路線ということで整備路線整備を検討すべき路線ということで検討路線、大きくいうとこの二つに分けられているというか、二つが位置づけられております。すなわち整備路線、検討路線と位置づけられたのが二十八路線ということで、前回答申よりかなり大きく減少しているということが一つのポイントかというふうに思います。また同時に、整備路線も、二〇一五年までの間に開業が適当とした路線と、期間中に着手することが適当とした二種類があるわけであります。  そこで、確認をさせていただきます。私の地元にかなり大きな影響と強い期待が実は前々からある営団地下鉄八号線の整備についてお伺いしたいと思います。この整備状況、どういうふうな検討になっているのかということと、その中でも亀有から野田への整備状況、この検討はどうなのか。けさも実は亀有駅で通勤状況を私はずっと七時から立って見ていたわけでありますが、この地域の、特に足立区東部地域の方々の期待というのは、亀有から野田への延長についてはかなり強いものがあるわけなんで、その辺も含めて、この地下鉄八号線の整備についてお伺いしたいというふうに思います。
  44. 安富正文

    安富政府参考人 地下鉄八号の延伸でございますが、先般の運政審答申におきまして、東京圏における鉄道整備計画においては、今後二〇一五年までに整備着手することが適当である路線、A2と申しておりますが、その位置づけになっております。  ただ、この路線につきましては、常磐緩行線の混雑緩和であるとか、あるいは都心への速達性向上といった問題、それから鉄道不便地域の解消といったような幾つかの効果があるかというふうに考えておりますが、基本的に、亀有から野田まで行く路線全体として三十六・六キロという非常に長い路線でございます。それから、建設費についても約六千六百億近くかかるというふうに我々試算しておりますが、そういう意味で、まだまだ将来的に、こういう建設関係の負担をどうするか、整備主体をどうするかといったようなことについて、今後具体的にいろいろな検討をしていく必要があるかというふうに考えております。
  45. 城島正光

    城島分科員 御指摘のように、かなり建設費用がかかるということだとは思いますが、いろいろな運営主体のあり方も含めてこれは検討ができるんではないかというふうに思っております。この辺の交通基盤の状況を見ると、やはりかなり早急に基盤整備をすべき地域ではないかというふうに私は現実論からいって見ているわけであります。  今さまざまな近郊都市整備が進められておりますから、そういう点からすると、採算面においてもこの地域については、今おっしゃいましたように六千六百億という費用がかかるわけでありますが、やり方によっては十分採算がとれる、周辺地区の都市開発は進んでおりますから、そういう環境整備ができるんではないかというふうに思います。したがって、具体化に向けて早期の着工ができるように、精力的な検討をぜひお願いしたいというふうに思います。  それから次に、もう一つ東京において都心を中心に放射状の鉄道整備というものが従来から進められてきております。一方、環状的な面、環状線ということでいいますと、山手線ですとか武蔵野線など、環状鉄道網整備がある面ではかなりおくれているんではないかというふうに思っております。しかし、今の問題ではありませんが、都心に近くなればなるほどその整備のコストは当然大きくなるわけなんで、その点を考えると現状の環状道路利用する鉄道整備というものが検討に値するんではないかというふうに思います。  当然、そういう観点から、環七、環八を利用した鉄道整備ということで、いわゆるエイトライナー、メトロセブンという構想が以前から検討されあるいは研究されてきているわけであります。今般はこのメトロセブン構想が検討路線になったというふうに思っているわけでありますが、少なくとも今までの状況からすると実現の可能性が出てきたと地元の期待は大きいものがあるというふうに思います。  このメトロセブン、エイトライナーの具体化の見通しといった点についてお伺いしたいと思います。
  46. 安富正文

    安富政府参考人 いわゆるメトロセブン、エイトライナーの整備でございますが、先ほど来より申しております答申の中におきましては、今後、輸送需要動向や投資能力等を踏まえつつ、整備の必要性、整備方策等について検討すべき路線、いわゆるB路線ということで位置づけられております。  当然のことながら、環状鉄道と申しますのは、都市機能としてやはり首都圏は放射状に需要が非常に集中しておる、これを環状方向に動く輸送需要がどういうふうにあるのかということはいろいろこれから検討していかなきゃいけない問題でございますし、それから先ほどのお話と同様に、このメトロセブン、エイトライナー、全部合わせますと七十三・三キロという長大路線でございます。それから、工事費も、試算でございますが、一・六兆円に及ぶかという路線でございますので、そういった投資能力等も含めてこれから検討していかなきゃいけないというふうに考えております。  そういう意味で、まだ具体的な検討のスケジュールというのは見えてきませんが、今後とも関係自治体といろいろ調整しながら検討していきたいというふうに考えております。
  47. 城島正光

    城島分科員 費用面の話だったと思いますけれども、今の状況、例えば環七、環八の動向を見てもかなり渋滞も激しいですし、さらにはいわゆる環境問題という点からいってもこの問題は避けて通れないというふうに思っております。  さらに、先ほどの地下鉄八号線の延伸問題と同様、費用が一兆六千億ということで、かなり建設費用の問題に触れられましたけれども、現実的にメトロセブンのところを考えてみても、今整備が進んでおります常磐新線ですとかあるいは舎人新線といったようなことも含めて見ると、いろいろな計画線が順次整備されてきていますね、そうしますと、環状線との結節点というんでしょうか、そこがかなりふえてくるということからしても、採算面においてもこういった今整備されているものが順次整備されていくとすればかなり見通しはよくなるんではないかというふうに思うわけでありますし、今申し上げました渋滞あるいは環境問題もあわせて見ると、この一兆六千億という費用以上にそういった面で極めて重要な整備の必要がある路線ではないかというふうに思うんです。  いま一度、その辺を含めてぜひ早期着工に向けての検討をお願いしたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  48. 安富正文

    安富政府参考人 先生おっしゃいますように、区部周辺部の環状鉄道でございますが、現時点では、非常に長大路線であることから、財源確保策等も含めて多くの金、資金がかかるということでございますので、具体的な整備スケジュールというのはまだ見えてきておりません。しかしながら、東京都区部の主要地区を結ぶ従来にない環状という形で、新しく各地域都市機能の強化とか各地域間の速達性向上ということに寄与するかと思います。  そういう意味で、優先整備区間、どこから具体的に整備していくのかということも含めまして、関係自治体あるいは鉄道事業者等、関係者間においてさらに議論を深めていただきまして、我々としてもそれらの議論にいろいろ相談に乗りながら、今後進めていきたいというふうに考えております。
  49. 城島正光

    城島分科員 これは、今申し上げましたような交通状況、さらには環境問題、そしてまた都市基盤の整備といったような総合的な観点からも、ぜひ早期着工に向けた検討を強く要請しておきたいというふうに思います。  次に、バスサービスについてお伺いをしたいと思います。  バス事業については、需給調整の規制が廃止をされたわけでありまして、廃止後のバスサービスについては、地方部のみならず、都市部におきましても重要な問題であるというふうに思います。  近年、例えば東京において見ますと、武蔵野市におけるムーバス等、都市部における住民ニーズにマッチしたコミュニティーバスが活躍をしておりますし、かなり地域住民からも評価が高いわけであります。バス利用をせざるを得ない、あるいはさらに積極的にバスサービスということに依存しているような地域というのが東京でも多いわけですし、また、特に私の地元、足立においては、その部分に対するウエートが非常に高いところであります。  そういったことも含めて、コミュニティーバスというのは、特に都市部においては今後期待されますし、また発展をしていくということも考えられるわけでありますが、こうしたバスサービスについて国としての支援体制はどういうふうになっているのかをお伺いしたいと思います。
  50. 縄野克彦

    ○縄野政府参考人 いわゆるコミュニティーバスといいますものは、地方公共団体が主体となりまして、住民の日常的な移動のために小型の車両を用いて市街地を循環するような運行形態のバスというふうに考えております。  武蔵野市のムーバスを初め、全国各地で運行をされておりまして、住民の利便性の向上のために意義があるというふうに考えております。  運輸省としましても、基本的には、車両購入費あるいは停留所の整備など所要経費につきまして、地方公共団体と折半で四分の一ずつの補助金を交付しているところでございます。
  51. 城島正光

    城島分科員 この規制の廃止ということにおいて、いわゆる赤字路線からバスが撤退をしていくんじゃないかということの不安感というのが強い地域があるわけでありまして、今局長がおっしゃったような補助も含めて、少なくとも都市部においてもかなり生活路線に近いような地域もあるわけなんで、ぜひそういった面も複合的に見ながら、国としての支援体制、さらにはこのコミュニティーバス等への支援体制を強化していっていただきたいなというふうに思います。  次に、先ほど池田委員もちょっと触れられておりましたけれども、通勤時の、特にピーク時間帯の混雑率というのが、私の地域、地元においても大変高いものがあります。  この答申を見ますと、東京圏ピーク時一時間あたりの平均混雑率というのは、各鉄道事業者による輸送力増強の取り組みによって、一九八五年の二一二%から、一昨年の九八年は一八三%にまで改善されているという報告であります。しかしながら、九二年の運輸政策審議会第十三号答申での長期的目標というのは一五〇%、すなわち、この一五〇というのは、肩が触れ合う程度新聞が楽に読める状態ということに定義されておりますけれども、この一五〇%はもとより、第七号答申の目標であります一八〇%にもちょっと達していないということであります。この一八〇%というのは、体が触れ合うが新聞は何とか読める状態ということでありまして、まだ依然としてピーク時の混雑率というのはかなり高いレベルにあるということだと思います。  その中でも、私の地元の常磐線の亀有—綾瀬間というのは二二六%、京浜東北を含めたあの上野—御徒町間、これは二三五%、総武線の錦糸町—両国間の二三一%と並んで最悪の状況にあるわけなんで、何とかこの緩和も今回の計画どおり推進されて一四五%、いわゆる一五〇%を切る一四五%への改善というのを強く期待しているところであります。ぜひこれは実現をさせていただきたいというふうに思います。  そのことと直接関連するわけではありませんが、この鉄道関連で、北千住駅の南に長い距離の大踏切があるわけでありまして、これを何とか高架化できないか、あるいは踏切の地下道の建設ができないかというのが長い間の検討課題というか、地元からの要請が強いわけでありますが、これについての検討、計画、どういうふうになっているのかをお伺いしたいと思います。
  52. 原田邦彦

    ○原田政府参考人 御質問の踏切でございますが、足立区道の補助百三十九号線がJR常磐線と東武伊勢崎線を横断いたします幅員十五メートルの踏切でございます。御指摘のように、一日十一時間ばかり交通が遮断されている、非常に道路交通のネットワーク上のボトルネックになっております区間でございます。  現在、この踏切周辺を見てまいりますと、平面でJR常磐線と東武伊勢崎線はございますが、高架で営団の日比谷線が既に運行しております。さらには将来、常磐新線がやはり高架構造で計画されておるところでございますので、道路を高架にいたしますと、かなり高い、高架の鉄道の上を行くような、おおよそ高さ二十メートルを超えるような高高架になるのではないかなと考えられます。  また一方、地下につきましても、当該道路の下に下水道の幹線が埋設されておりまして、それを移設するか、さらにその下水幹線の下を行くようなかなり深い地下構造物が必要となってくると考えられております。  このような状況から、地下、高架、いずれも沿道の土地利用を含めまして、かなり大きな周辺影響が出るのではないかなということが予想されているところでございます。そのため、どちらにいたしましても、相当十分な、また広範な調査、検討が必要ではないかと言われているものでございます。  現在のところ、地元の足立区におきまして、高架もしくは地下化の可能性がいかがなものかということで検討を進められていると聞いているところでございます。
  53. 城島正光

    城島分科員 ということは、これは検討を地元の自治体が中心になってやっている段階ということでよろしいですか。
  54. 原田邦彦

    ○原田政府参考人 そのとおりでございます。
  55. 城島正光

    城島分科員 この問題は、先ほど例えば八号線やあるいはメトロセブンなんかも含めて費用がかなりかかるというお話がありましたけれども、まさしくこれはいずれにしてもかなり高額な費用がかかってくる話であるということは容易に推測できるわけでありまして、検討そのものはもちろん地元を中心にやるかもしれませんが、今おっしゃいましたように、十一時間ほど交通が遮断するという大変不便な状況になっておりますので、これは単に地元の自治体に任せるだけじゃなくて、ぜひここは国も含めて、もちろん都も含めてでありますけれども、総合的な検討をお願いしたいということも強く要請をさせていただきたいと思います。  それから、最後でございますが、有料道路の料金の問題について、一点お尋ねをしておきたいと思います。  昨今のいろいろな物流事業者の皆さんとの懇談や、あるいは会合なんかを設けますと必ず出てくるのは、有料道路利用促進を含めたという観点でありますけれども、料金の問題で、夜間の割引というのはなぜできないんだ、今さまざまな規制緩和の中で、電力料金にしてもそうでありますが、かなりフレキシブルな料金設定というのが行われているのではないかという提起がされるわけであります。  有料道路の料金の夜間割引等を含めた、フレキシブルな料金設定ということの問題についての御見解を承っておきたいと思います。
  56. 岸田文雄

    ○岸田政務次官 有料道路の夜間割引につきまして御質問をいただいたわけですが、先生御案内のとおり、有料料金制度というものは、建設等にかかりました費用をその利用者からの料金収入によって償還していく、こういった制度であります。  したがいまして、この有料道路料金を夜間割引するということになりますと、まずもって、有料道路事業の採算に与える影響を検討しなければいけませんし、また、どういった利用者を対象として割引が行われるのか、こうした公平性の問題もありますし、また、夜間ということでありますから、その周辺の騒音等の影響、こういったものも検討しなければいけない等々、こういった問題を総合的に検討していくことになるわけでございます。  しかし、さりとて、これは全く実績がないというわけではありませんで、東海四バイパスと言われておりますが、磐田バイパス、掛川バイパス、藤枝バイパス、浜名バイパス、こうした四つのバイパスにおきましては夜間割引が実績としてあるわけであります。  しかし、これとて、バイパスであるという条件のもとで、採算とか公平性とかあるいは環境、こんなものを総合的に検討して実施したということでありますし、また、首都高あたりになりますと、周辺の住民の方々から騒音等さまざまな要請が来ている状況であります。  夜間割引を行うということになりますと、ある意味では、夜間通りなさいというようなことにもなりかねないわけでありますから、こうした騒音、環境問題等の中でどうするか、あるいは採算がどうだろうか、こういったことも考えなければいけない等々、これは一つ一つ路線におきまして検討を加えていかなければいけない。採算ですとか、公平性ですとか、あるいは環境、こういった問題を総合的に考えていかなければいけない、そういった問題だと我々は認識しております。
  57. 城島正光

    城島分科員 以上で質問を終わりますが、最後にもう一度要請をしておきたいと思います。  先ほどの繰り返しになりますが、国際的な環境問題ということも含めて、都市生活の安全、安心といったことや、さらには都市生活の基盤整備といった点を中心として考えるならば、こうした交通網の整備に対して、ぜひ積極的な、運輸、建設含めて御検討をお願い申し上げて、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  58. 村田吉隆

    村田主査 これにて城島正光君の質疑は終了いたしました。  次に、渋谷修君。
  59. 渋谷修

    渋谷分科員 民主党の渋谷修でございます。  旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律、後はJR会社法というぐあいに略させていただきますが、このJR会社法の十条、「中小企業者への配慮」という条項があるのでございますが、この条項が置かれましたその背景、そしてまた、この条項についての御解釈をぜひ御説明いただきたいと思います。
  60. 安富正文

    安富政府参考人 お答えいたします。  国鉄改革に伴って設立されましたJR会社については、経営基盤を強化し、健全経営を実現するという観点から、鉄道事業以外のいわゆる関連事業についても、原則として自由に行えるように措置されたところでございます。  ただし、JR会社は、いずれも規模が非常に大きな特殊会社ということもございますし、また、大量の利用者が集散する駅を有しているということから、営む事業規模等によっては、周辺地域において同種の事業を営む中小企業者に大きな影響を与えるおそれがあるということから、JR会社法の審議の過程におきましてこの条項が入れられました。  このため、JR会社は、その地域において同種の事業を営む中小企業者の事業活動を不当に妨げ、また、その利益を不当に侵害することのないように特に配慮するという旨の規定がなされたところでございます。
  61. 渋谷修

    渋谷分科員 特に配慮するという、特に強調されてこういう文言がつけられたわけでありますが、それは、JR側が、例えば具体的にそういう紛争状態が起こったときに、具体的にはどのように対応するということが、この法律ができてからもう十数年たつわけでありますから、これまでも具体的な事例があっただろうと思うんですが、そういうことを踏まえまして、これからどういうことに、どういうぐあいにJRが対応することが特に配慮するということになるのか、いかがですか。
  62. 安富正文

    安富政府参考人 具体的な対応につきましては、事業のそれぞれの内容によりまして、個別具体的に異なってくるかというように考えられます。  幾つかの例が確かに今までございまして、具体的に言うと、例えばホテルなんかでございますが、ホテル、旅館につきまして、地元のホテルあるいは旅館組合といろいろな調整を図るという中で、地元地域のPRであるとか、いろいろな旅行商品の開発に一緒になってやるとか、あるいは地元と一緒になって地域振興に努めるとか、そういったような幾つかのことがやられてきております。  そういう意味で、一般的にはなかなか言いにくうございますが、各地元のそれぞれの事業者の方と十分話し合いをして、具体的にどういう形で協力していけるかということをJRとしてやってきておるというふうに理解しております。
  63. 渋谷修

    渋谷分科員 今の御答弁にもありましたし、かつてのこの法律をめぐっての議論の中で、この条項についてのやりとりがございました。その当時ではもちろん、その後、起こるであろう事態について想定をしたやりとりになっているわけであります。  これは政府側の答弁ですけれども、基本は当事者同士が十分な話し合いと理解のもとに解決をしていただく、こういうことが基本だろうということで、本法においても運輸省の適切な指導のもとに、その趣旨に従って活動いただけるだろうというぐあいに期待しているというぐあいに、当時の答弁があるわけです。  ところが、現実に最近、いろいろなJRの事業、具体的には、JRが子会社としているキヨスクとの関係ですが、このキヨスクがいろいろな事業を行うという展開の中で、例えば駅周辺の中小企業者と競合するような事業をどんどん展開する。  実は、本論に入る前に、大臣にちょっとお伺いしたいのですが、きょうの三十分という短い質疑でありますけれども、この質疑の中で、このJRの問題、その素行について取り上げるということから、当然JRとしては、これは大規模な会社でありますし、社会的責任の大きい会社でありますから、JR側から、きちんと当事者が参考人として来て、それで、自分たちの会社の姿勢なり、あるいは考え方なりを答弁してほしいということで、委員部を通じてJR側の参考人をお願いしたのでありますが、全く拒否されてしまったのです。だれも出られない、代表のそれぞれの日程がつかない、これは事務局に聞いてもらえればわかります。  このJR会社法という法律は、もちろん現在も生きているわけですね。廃止されたりあるいは死んでしまったという法律ではないわけであります。このJR法では、もちろん運輸大臣の監督権限というのも条項としては用意をされております。こうしたJRの姿勢について、大臣の考え方をお伺いしておきたいと思います。
  64. 二階俊博

    ○二階国務大臣 運輸省としましては、鉄道事業の再生、健全経営の確保という国鉄改革の趣旨から、JR会社については、鉄道事業の適切な健全な運営に支障を及ぼさない範囲内において、自由な事業展開を認めたいと考えております。  ただし、JRは、いずれも規模の大きな特殊会社であり、また大量の利用者が集散する駅を有しているという観点から、個々の事業を行う際には、地元中小企業者の事業活動を不当に妨げ、またはその利益を不当に侵害することのないよう、先ほどから委員御指摘のように、会社法第十条が設けられたものと理解をいたしております。  運輸省としては、今後とも、このような考え方に基づいて、JR会社が地元中小企業者との間で十分な話し合いと理解のもとに問題を解決するよう指導してまいるつもりであります。
  65. 渋谷修

    渋谷分科員 大臣、私がお伺いしておりますのは、今の御答弁はそれはそれで結構なんですが、きょうは、分科会とはいえ、予算委員会という、その意味では国会の中では非常に権威の高い議会の場であります。そこに、JRの代表者、代表できる人間が来て、当然、当事者としてきちんと責任を持った説明をするべきではないかということを私の方からお願いを申し上げ、議会の委員部を通じて連絡をとったのでありますが、きのうの夜に至りますまで、これはだめだ、日程がつかない、出る気もないということで、全く拒否されてしまったのであります。そのことについて、大臣はどう考えますか。
  66. 二階俊博

    ○二階国務大臣 委員会の運営そのものについて私が申し上げる立場にはないわけでありますが、理事会におきまして恐らく御協議をいただくことだと思うのであります。  しかし、当然、委員のそういう御質問に対して十分お答えできるような環境が整うことを願っておりますが、きょうのところは、私も今初めてお伺いすることでございますし、大臣が委員会の運営に口を挟むのは適当でない、こう考えております。
  67. 渋谷修

    渋谷分科員 これは委員会の運営ではなくて、言ってみれば、とてつもなく規模の大きい、しかもいろいろな歴史的な経過があってつくられてきた特殊会社なんですね。特殊会社の社長は、どんな企業でも同じでありますけれども、社会的責任があるんです。ましてや、歴史的な経過でいえば、この社長あるいは代表する方々は、自分たちが出資をしてつくり上げてきた会社ということではないのですね。  したがって、今起こっているいろいろな問題について、JRの行動、それに伴って社会的な現象が起こっている、それらについてきちんと責任を持って答弁するよう、これは当たり前の話でありますけれども、これを監督する責任は大臣にあるわけです。委員会審議あるいは委員会の運営云々ではなくて、当然、JRに対して、こういう場で要請をされたら、その意味でいえば、我々は、社会を代表して、国民を代表して、そういった問題について議論をする場に来ているわけでありますから、そういったところには要請されたらきちんと出て、自分たちの責任を堂々と、姿勢を述べるべきだというぐあいに大臣の方から指導されてしかるべきではないか。  次回、運輸委員会があれば、そちらの場に私の方も委員差しかえで参りまして、また時間をとって、ぜひ改めて、具体的なことは、今質問申し上げましても、JRの問題ですから、運輸省の方は、監督権限は持っているけれども、指導できる立場でありますけれども、実質的な責任者はこれはJRの側でありますから、そういう責任を持った答弁をいただくためには、次回の運輸委員会の場に、必ず当事者たるJR側の責任を持っている者が出るように大臣の方から要請していただきたいと思いますが、いかがですか。
  68. 二階俊博

    ○二階国務大臣 運輸委員長を初め理事の皆さんがそれぞれの党から出ておられるわけでありますから、そこで御議論いただいて御決定されることでありますが、今委員御指摘の点につきましては、私は、立場を変えれば十分理解できるということを申し上げておきたいと思います。
  69. 渋谷修

    渋谷分科員 それを前提にさせていただきまして、このときも実は非常におそれがあったわけでありますけれども、JRがいろいろな事業を展開していく、もちろん本業以外の部分、附帯する事業ですが、これについてはもちろん大臣が監督権限を持っているわけです。それに認可権限ももちろんあるわけですね。一時期、そういった問題についてはJR側も話し合いの場を持ったり、対応してきたところもありますが、最近は特に行儀が悪くなりまして、中小企業者からいろいろな話し合いの要請をいたしましても、もうほとんどまともにこれに対応しない。計画をつくったら、そのとおりどんどん事業展開をしてしまう。  具体的な事例で言えば、例えば東京駅の中に、今書籍売り場、これが四店舗設けられるという状況になっておるわけですが、例えば、専門的な業をやりますと、当然、駅周辺の中小企業者に大きな影響を与えていくわけです。先ほど来御説明ありましたように、駅というのは、多くの人々が集散をする場、非常に特殊な施設です。その中に中小企業関係の施設を設けるということになれば、当然、駅の周辺の方々との競合が起こってくる、当たり前の話であります。  したがって、きちっと責任を持って、そういう方々と話し合いをしながら解決の方策を考えるというのは、これは当たり前のことなんですけれども、どうも最近は、JRの側は、もう弱肉強食は当たり前、少々のそんな雑音なんか聞いていられないというような姿勢が見られるわけであります。  その意味で、再度運輸省の方の考え方を伺っておきたいのですが、こういう問題について、運輸省としては、改めてJRに対してきちんと、先ほどの法律の十条の規定があるわけですから、この法律自体はまだ生きているわけでありますから、これに基づいた御指導をされるかどうか、お伺いしておきたいと思います。
  70. 二階俊博

    ○二階国務大臣 JR各社に対しましては、今後とも、地元との調和を図るということを十分配慮しながら事業展開を図っていくように適切に指導してまいりたいと思います。
  71. 渋谷修

    渋谷分科員 公取を呼んであります。  公取に対しまして、ことしに入りましての一月十七日、地元の本屋さんでワタナベ書店、渡辺さんという方から、公正取引委員会あて、今回の問題にかかわりますことについての審査のお願いというのを出させていただいております。  基本は、どうもこれは、フィフティー・フィフティー、自由競争といいながら、実際には公正な競争ではないのですね。JRの側は、そういう意味では、歴史的な背景は一々長く申し上げるわけにはいきませんから、要は、特殊な会社である。国民の税金やあるいは国民の負担、これを背景にしてつくられた会社でありますし、現実に、私が間違っていたら訂正してください、今現在政府は、まだ保有株は一五%ぐらい持っているはずであります。  それから、民営化の方向へ進んでいるとはいいましても、例えば、税制上の面でも優遇措置が講じられています。固定資産税も軽減的な措置がとられておりますし、あるいは、鉄道施設用の土地には地価税や特別土地保有税なども免除されているということがあります。  その意味でいいますと、いわば、競争条件が全く不公正な状態のままで、JRが、民営事業は何をやっても構わないんだということになりますと、周辺の中小企業者にとりましては、このことについて非常な不公平感を感ずるのは当たり前な話であります。このことについて公取としてはどう考えるかということで、その審査のお願いをしているのでありますが、これについて、公取としてはどのような処理をされているか、お答えをお願いします。
  72. 上杉秋則

    ○上杉政府参考人 お答えいたします。  ただいま御指摘の具体的な事案に対する対応というのは私ども発言ができませんので、具体的な事案に対する回答はできないわけでございますが、お尋ねのような問題については、まず、JRは事業者ということでございますので、当然独占禁止法の適用を受けるということで、私どもの持っている独占禁止法上のカルテル、私的独占、それ以外に不公正取引がございますので、そのような規定に該当すれば、私どもとしては問題にするということでございます。
  73. 渋谷修

    渋谷分科員 中身について聞いているのではないのであります。このことについてきちんと受理をしたかどうかという事実、受理した上で、そのことの検討を行っているかどうか。中身については、私はそこまでは聞きません。少なくとも、そこまでは答えられるじゃないですか。いかがですか。
  74. 上杉秋則

    ○上杉政府参考人 私ども、これまで、具体的な事案につきまして、申告があったかどうかということについては、私どもの方からは申し上げることはしていないわけでございますが、お尋ねのようなことで、具体的なお名前がありましたので、恐らく私の担当ではございませんけれども、公正取引委員会にそのような情報が来ているとすれば、それは担当部局において適切に対応されるものと承知いたしております。
  75. 渋谷修

    渋谷分科員 受理して、もう一月の話ですから、それはエンドレスで全く当事者に対して何の回答もしないということであると、これはやはり行政の不作為行為と思われても間違いがないことになりますから、早急にこのことについては処理されるようにお願いをしておきたいと思います。いい悪いは別にして、内容としての問題はともかくとして、早急にこれは回答されるようにお願いをしたいと思います。  そこで、大臣、この問題についての考え方なんですが、駅というのは、先ほども言いましたように非常に公共的な色彩の強い施設です。そこを中心にして多くの人々が行き交う。そこを中心にして例えば商店街も形成される。地方の小さな駅はまた別ですけれども、少なくとも主要な駅の周辺には必ず商店街が形成をされる。  ところが、駅の構内というのは、その意味では、だれでも経営者であれば、その中の立地のいいところに店舗を出したり、あるいはその中で事業をしたいというぐあいに考えるわけですね。ところが、JRについては、九〇%出資のキヨスク、これとの関係で、その意味では独占的な支配関係があるわけですね、ほとんどキヨスクしかこの中では事業をさせない。例外はあるのかもしれません、私も全部調べていませんから。しかし、実態としては、もうキヨスク以外は事業が展開できないということになっています。  比較としてはどうかとは思いますけれども、少なくとも、例えば政府調達の分野で、海外との関係でいえば、一定の金額以上のものについては参入の機会を与えなければならないということでオープンにするというのは、これは政府の姿勢としてやっているわけですね。ところが一方で、このJRの非常に公共性の強いそういう施設については、他の事業者が、あるいは本屋さんなどが、本屋をやるのであれば我々にも参画する機会を与えてくれと言っても、一切これについては受け付けない。キヨスクしかだめなんだということになりますと、これは公正な競争ができないじゃありませんか。大臣、いかがですか。
  76. 二階俊博

    ○二階国務大臣 個別の出店の問題等について具体的な問題が生じた場合には、当然、地元中小企業者と十分調整を図るようにということを指導するのは私たちの務めであると思っております。  しかし、例えば東京駅の中で書店が幾つかある。そうすると、東京駅の周辺にも大きな書店も存在しておるわけでありますが、それらが売り上げにどのような影響を及ぼしているか、あるいはどのような公平でない競争が行われているか等、具体的な事例に基づいて私どもは判断をしてまいりたいと思っております。  例えば、これは今渋谷委員がおっしゃっておられることに適合するかどうかわかりませんが、JRの西日本で京都駅を大改修しました。その際、一体この周辺のお店はどうなっていくだろうかということを当然だれもが心配するわけでありますが、この京都駅に、先ほども申し上げましたように、駅として相当お客が集中してくる、その結果、その周辺の店の営業の売り上げも伸びておるというふうなことも聞いております。我々はこれを細かく調査したわけではありませんが、そういう事例もありますので、委員御指摘の点につきましては、今後十分検討をしてまいりたいと思っております。
  77. 渋谷修

    渋谷分科員 それは大臣、駅を新たに改造、改築しますと、例えば人の流れも当然変わってくる。人の流れが変われば、それによってまたその周辺の商店街にいい影響も与える場合もあるし、また悪い影響を与えるところも当然出てくるわけですね。  ですから、それは一概の話を申し上げるというつもりはないんですが、しかし、それにいたしましても、駅構内というのは、それは事業者から見れば一等地なわけですよ。商業というのは、基本的にやはり立地というのは非常に大きな要素を占めますので、そういう点からいいますと、キヨスクだけにいわば参入の機会があって、あとの他社は全くこれに入れないということは、私はこれは、自由競争ということを前提にした場合でも全く納得がいかない、非常に不公平なことではないのかというぐあいに思うのですが、その点についてはどう考えますか。
  78. 安富正文

    安富政府参考人 基本的に、鉄道事業の構内と申しますか事業者の所有する財産の上でどういう形で事業を行うかということについては、個別の各鉄道事業者の判断に実際ゆだねられているということでございます。したがいまして、具体的に、入るべきだとか入るべきでないという話については我々としても何とも言いようがないわけでございます。  ただ、先ほど来より話をしておりますように、個別の具体的な問題について、地元なりそういう関係事業者と問題が生じるということになりますれば、JR会社法の十条の規定に基づいて、いろいろJRは会社として配慮していかなきゃいけないということでございますので、我々としても、そういう観点から、具体的な事例がございましたら、地元中小企業との調整を十分図って、円満な解決が図れるように今後とも指導していきたいというふうに考えております。
  79. 渋谷修

    渋谷分科員 改めて確認をいたしますが、今、保有株は何%で、それから旧国鉄の債務、これは幾ら今残っているのか、それの今後の処理の方針というのはどのようになっているのか、お伺いします。
  80. 安富正文

    安富政府参考人 JR東につきましては、現在、約五十万株残っておりまして、JR東全体からしますと約一二、三%だというふうに思います。  それから、長期債務につきましては、先般の国会等で具体的に長期債務の処理について御議論をいただきまして解決いたしました。約二十八兆円の長期債務がございまして、これについては、それぞれ、一般会計での引き継ぎであるとか、あるいは清算事業団、いわゆる鉄建公団の特別業務勘定への引き継ぎであるとか、それから年金の移換金についてのJR各社の負担等、適切に処理しているところでございまして、今後、長期にわたって、特に一般会計で引き継ぎました長期債務については、一般会計の中において処理していくということになるかと思います。
  81. 渋谷修

    渋谷分科員 大臣、今お話がありましたように、旧国鉄の債務ですが、それについて、その多くの部分が一般会計でということは、つまり国民の税金に飛ばされるんです、言ってみれば。国民負担でこれを処理しようという話であります。  ところが、一方で、JRの事業展開によってその周辺の中小企業者が圧迫をされ、そして店を閉じなければならないという話になりますと、これはやはり納税者の立場からいえば納得のいかない話になってくるわけですね。しかも、自分たちがそこに、例えば駅構内等に自由に参入できる、もちろん契約条件その他を明らかにしてくれればいいです、そういう条件の中で参入できればいいんですが、全く門は閉ざされたまま参入もできないということであれば、これはどう考えてもこのJRの姿勢というのは傍若無人、弱肉強食そのものではないか。  この間のお話をいろいろ伺ったり聞いてみましても、JRはみずからの体の大きさのことを自覚していない、その社会的な責任ということを自覚していない。まさに巨象と、その周辺にある中小小売業者のことを、表現としてはいいかどうかというのはありますけれども、ちょうどアリとの戦いのような感じなんですよ。巨象の方は、実は自分の足が一体何を踏んでいるかということは自覚もない。ところが、その行動の中で中小零細企業は大変な圧迫を受けるということについての認識、自覚がないと、これはやはりJRの姿勢というのは正されてしかるべきだろうというぐあいに思います。  十数%のこの保有株について、これも全部市中に出してしまいますと、こういう議論も実は国会ではできなくなってしまいます。もちろん一般的な議論はできますよ、商工委員会とかそういうところでできますが、少なくとも政府が一定の関与をしながら、こういう非常に問題のあるJRの事業行動についてこれをきちんとチェックするということが議会の中ではできなくなってしまいます。  私は、この十数%の株はきちんと、JRの企業行動が、姿勢が正されるまでは、この保有株は政府が保有していくということの必要性はあるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  82. 二階俊博

    ○二階国務大臣 ただいま渋谷委員の御指摘につきましては、御意見として十分承っておきたいと思います。
  83. 渋谷修

    渋谷分科員 先ほど来申し上げている件につきましては、今、書店だけの話ではありませんで、私の選挙区に、板橋区というところですが、板橋区におきましても、JR板橋のすぐ近くに、JRのそもそも持っていた用地ですが、本来これは鉄道用地として確保されていた土地なんですね。それが時代状況の流れの中で、この用地を例えばスーパーの出店などに使ってしまう。結局周辺の小売業者に対して大きな影響を与える。  話し合いの中で私も参画してきた経過があります。ところが、そこに出てきたJR側あるいはキヨスク側の各責任者、代表取締役とかそういうことではないんですが、責任者たちの姿勢は、その意味では本当に誠意のない、全くその場に出てきてただアリバイだけをつくっているというのにすぎないわけであります。  先ほどの十条の中小企業者への配慮ということは、これは中小企業者の側から配慮する話じゃなくて、JR側から中小企業者に対して、周辺事業者に対してどう配慮するかということでありますから、当然のことながら、新たな事業展開をする、影響を与えるという場合については、自分たちは具体的にこういう配慮をしているよ、こういう提案をするからどうぞ皆さん理解してくださいという具体的な提案があってしかるべきなんですが、いつ来るときでも全く白紙です。何も持たずに、ただそこに来た、アリバイをつくった、後は計画どおりやりますよという姿勢なんですね。  こういう現場の実態をぜひ大臣、御認識をいただきまして、このJR会社法は依然として生きている法律でありますから、この十条という運用適用については厳しくやっていただくようにお願いを申し上げまして、大臣からの御答弁をいただいて終わりにいたします。
  84. 二階俊博

    ○二階国務大臣 板橋という具体的な指摘がございました。どういう状況になっておるかということを運輸省としても関心を持って、JRから報告を受けるようにいたしたいと思います。  中小企業を守るということは、お互いに政治家として極めて重要な問題であります。委員御指摘の点につきまして、十分配慮してまいりたいと考えております。
  85. 渋谷修

    渋谷分科員 ありがとうございます。
  86. 村田吉隆

    村田主査 これにて渋谷修君の質疑は終了いたしました。  次に、上田勇君。
  87. 上田勇

    上田(勇)分科員 公明党・改革クラブの上田勇でございます。  いよいよ平成十二年度の予算も、きょうは分科会を迎えまして、大詰めを迎えているところでございますが、きょうはまず初めに、大都市地域におきます鉄道整備の問題につきまして、大臣初め運輸省の皆さんに御見解を伺いたいというふうに思います。  私は、地元が横浜市でありますが、横浜市を初めといたします我が国の大都市、とりわけその中でも郊外の住宅地域というのは、一般に道路網公共交通網の整備が大変おくれております。住民の皆さんは、混雑したバスで交通渋滞の中を長時間かけて駅までやっとの思いでたどり着き、そこからまた混雑した電車に乗って長時間通勤する。これでは到底本当に豊かな生活とかゆとりのある生活とは言いがたい状況でございます。  こうした事態を早急に解消していく、これは政治、また行政に課せられた緊急課題であるというふうに私は思っておりまして、そのためにも大都市圏においては、大量かつ迅速な輸送が可能で、しかも環境への影響も負荷も小さい、そういう鉄道網整備をもっと積極的に推進していく、促進していく必要があるし、また、利用者のニーズに合わせた運営を行っていくということも重要な課題であるというふうに考えております。  初めに二階大臣に、大都市圏におきます鉄道網整備、その重要性についての認識、またこれからの方針につきまして所見を伺いたいというふうに思います。
  88. 二階俊博

    ○二階国務大臣 お尋ねの大都市圏の鉄道網整備でありますが、私自身も、先般早朝の新宿駅の状況を視察してまいりました。勤労者の皆さんやあるいは学生が相変わらず通勤通学の混雑により大変なエネルギーを浪費しているという状況を改めて確認するとともに、通勤通学輸送を担う都市鉄道整備の必要性、緊急性を痛感しているものであります。  また同時に私は、住宅政策との連携も念頭に入れて通勤対策を展開することが必要である。したがいまして、今後運輸省としては、国土交通省という中で建設省とも十分連携をとりながら、鉄道の敷設と住宅の建設相まって、勤労者やあるいは学生の皆さんの今日のようなエネルギーの浪費について対応をしてまいりたい。これだけでできるわけではありませんが、こうしたことも十分念頭に入れてまいりたいと思っております。
  89. 上田勇

    上田(勇)分科員 ぜひよろしくお願いいたします。  ことしの一月に、運輸政策審議会東京圏鉄道整備計画答申いたしまして、二〇一五年を目標とする計画が決定されたところでございます。これまでは一九八五年の答申によります計画に基づいて整備が進められてきたわけでありますが、その計画の中には、整備路線、検討路線、ありましたけれども、この十五年間での目標の達成状況、またその状況をどのように評価されているのか、御見解をお伺いしたいというふうに思います。
  90. 羽生次郎

    ○羽生政府参考人 お答えいたします。  今先生指摘運輸政策審議会七号答申でございますが、この二〇〇〇年を目標年次としまして、整備延長五百六十七キロメートルの路線を計画していたところでございます。  このうち、現時点で見ますと、営業中の路線が約四四%、二百四十八キロでございます。また、工事施工認可を受けて現在整備中の路線が三一%、百七十七キロでございまして、全体の七五%が営業中または整備中でございます。  なお、この整備計画路線の五百六十七キロのうち、残っている百四十キロメートルでございますが、これについては関係者間の調整がとれていない、あるいは沿線開発がおくれているということで現在整備されておりません。しかしながら、今回の十八号答申によりまして、この百四十キロのうち約百キロ程度が引き継がれております。したがいまして、ここで答申された路線は九十数%実施されている、あるいは引き継がれているという状態でございます。  これをどう評価するかということでございますが、十五年という比較的長い期間ではございますが、東京都における、あるいは東京圏における土地の取得でありますとかそういったのはかなり難しゅうございますから、その中で七五%実施というのはかなり高い数字ではないかと私は思っています。これは、関係者間の非常な努力と、それから当時がちょうどバブル期に当たっていた関係で、需要が右肩上がりになるという予測がなされたことも寄与をしていると思われますが、土地を必要とする公共事業整備率としてはそこそこにいっているものだと考えております。
  91. 上田勇

    上田(勇)分科員 もちろん、各種の公共投資の目標というのはなかなか一〇〇%達成というのは難しいわけでありまして、今答弁にありましたように、私も、相当程度進んできているという認識は全く同じでございます。  そこで今度は、先ほどちょっと述べましたが、一月に決定されました計画の中では、この路線の新設の部分に関しまして三段階のランクがつけられております。  私の地元の関係についても、例えば神奈川東部方面線とか、横浜三号線の延伸とか、東横線の複々線化といったところがA1ランクでありますし、そのほか、横浜環状鉄道とかがA2、また、東海道貨物支線の旅客線化などの事業がBというようなランクづけになっております。  こうしたランクづけはいろいろな要素が絡んでいることだというふうに思うんですが、そうしたランクをつけた際には主としてどのような要素が考慮されたのか、理由、またその判定をされた基準とかがございましたらお伺いしたいというふうに思います。
  92. 羽生次郎

    ○羽生政府参考人 お答えいたします。  先生の御指摘のとおりでございますが、基本的には、この基準については二つの考え方、二つの区分けでございます。一つはAというランクでございまして、目標年次までに整備推進すべき路線、もう一つはBというカテゴリーでございまして、今後整備をすることを検討すべき路線でございます。  それで、A1、A2と二つ分けた理由でございます。同じように政策効果は高いわけでございますが、A1の場合でいいますと、客観的な諸条件が整って直ちに整備を進めることができるような路線、こういったものがA1でございまして、他方、A2というのは、政策効果は高いものの例えば整備主体の見通し等がまだいま一つクリアでない、こういったものについて、熟度上若干問題があるものについてA2としております。  それから、Bでございますが、これは、政策効果があるのは認めるものの、客観情勢をまだ見きわめる必要がある。例えば、沿線の開発プロジェクトの進捗状況だとか輸送需要等を踏まえて今後検討すべき路線、これがBというぐあいになっております。
  93. 上田勇

    上田(勇)分科員 今回の計画に盛り込まれている路線の中でも特に私の地元で関心が高いのが、神奈川東部方面線それから横浜環状鉄道の二つの路線でございます。  たしか、他の委員からもきょうこの件について御質問があったというふうには承知しておりますけれども、この両路線、長年地元の地域の方々が早期実現に向けまして大変な努力をされてきているわけでありまして、昨年は、運政審の計画への位置づけと早期事業化に向けまして、地元、これは横浜市の旭区の関係者でございますが、自治会や工業会、商店街また労働組合の方々が一丸となりまして、署名活動を行いました。実に十二万余りの市民の署名が集まったということでありまして、これは多少重複とかありますし区外の方々が署名したという例もあるんですが、ただ、この旭区というのは人口が二十五万程度でありますので、半数近い方々がぜひ促進をしてほしいという、強い要請がある事業でございます。  この署名簿につきましては、私初め横浜市内の与党の国会、市会の議員の方々の代表が、先ほど申し上げました地域団体の代表の方々と一緒に、運輸政策局長の方にも署名簿を届けさせていただいたわけでございます。  これだけ地域で非常に長年にわたって熱心に取り組んできている課題でございますので、ぜひとも速やかな着工をお願いしたいところでありますけれども、まだ実際には、非常に込み入った市街地を通過しなければいけない部分もありますし、いろいろと支障、困難があるというのは私も承知しております。  そこで、両路線事業化につきまして、大まかなところで結構でございますが、見通し等について御見解を伺いたいというふうに思います。
  94. 安富正文

    安富政府参考人 神奈川東部方面線でございますが、これはA1ランクということで、事業化の、いわゆる整備目標年次までに開業することが適当である路線と位置づけられております。  ただ、これも十二・三キロという非常に長い路線でございます。それから約三千億円の経費がかかるということで、東海道線混雑緩和とか新横浜のアクセスとか、そういう意味では非常に効果があるわけでございまして、そういう意味で、我々としても少しでも早い整備実現ということを図っていきたいというふうに考えております。  ただ、整備主体をどうするか、それから、まさにここは既設事業者との関係もございますので、運行主体をどうするかという問題がございまして、それから莫大な費用の負担、関係事業者間の調整と、幾つかの解決すべき根本的な問題がございます。  ただ、この東部方面線については既に前々からいろいろな検討がされているということもございまして、既に関係する地方自治体とかあるいは鉄道事業者によっていろいろな協議が進められておりますので、当面これらの協議の状況を見きわめながら、我々としても、いろいろ一緒になって検討していきたいというふうに考えております。  それから、横浜環状鉄道でございますが、これはA2ランクということで、目標年次までに整備着手することが適当な路線ということになっております。  この路線も三十四キロ、八千億円に及ぶ非常に長大な路線でございますので、特に整備主体を具体的にどうするか、あるいは費用の負担、関係事業者間の調整といった先ほどと同じような幾つかの解決すべき問題がございます。これについては、自治体、関係事業者などでこれらの課題についてさらに議論を深めていただきまして、今後いろいろ検討していきたいというふうに考えております。  まだ具体的に今後のスケジュールということでは明確に申し上げられませんけれども、我々としては、少しでも早い整備実現に向けて関係者と努力していきたいというふうに考えております。
  95. 上田勇

    上田(勇)分科員 確かに、今御答弁にあったように、鉄道整備というのはいろいろな困難がある、解決しなければいけない課題があるというのは私も承知しているところでございます。とりわけ、相当人口が密集しているような地域に新たに建設するという中では、計画にのったからそう簡単にできるということではないというのはよくわかりますし、また、これまで横浜市でもいろいろな高速鉄道網とかの整備をしても、やはり採算性の問題というのもなかなか難しいというのも承知しているところでございます。  一方でそういういろいろな課題がある中で、冒頭申し上げましたように、やはり都市部のいろいろな問題を解決していくために、生活の利便性を向上する、または通勤通学の環境を改善していくためには、鉄道整備、これも欠かすことのできないことであるわけであります。  そこで、答申の中では、やはりこうした問題意識も御認識をいただいていて、計画を実現していくためにということで、整備、運営主体の確立であるとか、公的支援措置を含めた建設資金確保が今後重要な検討課題になるというようなことも述べておりますし、また、整備費用の縮減、工期の短縮といったことについても言及をしております。  先般伺ったところでは、こうしたテーマについては現在運政審鉄道部会の方で検討されているというふうに承知しておりますけれども、具体的にこうしたいろいろな計画を実現していく、円滑に進めていくためには、いろいろな課題を解決していかなければいけないですが、こうした課題についてどのような方向での議論が行われているのか、また、いつごろを目途といたしましてこうした問題についての方向性、結論を出す予定なのか、ちょっと現状を御報告いただければというふうに思います。
  96. 安富正文

    安富政府参考人 運輸政策審議会鉄道部会では、平成十年の十二月に諮問をいたしまして、今後の鉄道整備の基本方針、鉄道整備を円滑に進めるための方策ということで審議を行ってきております。現在までに小委員会を含めまして十三回ほど審議を進めておりまして、昨年の六月には、中間的な報告ということで、今後の取り組むべき鉄道整備のあり方とか鉄道整備の進め方といったような基本的な考え方を整理したところでございます。  現在は、では具体的に鉄道整備の目標としてどういうことをとらえていったらいいのか、あるいは支援方策としてどういう考え方に基づいてやったらいいのかというようなことについて、熱心に御議論をいただいているところでございます。  まだいろいろな問題がございまして、具体的にここで議論の中身を御紹介することができなくて残念でございますが、議論を進めまして、何とかことしの春ぐらいにはめどをつけたいなというふうに考えているところでございます。
  97. 上田勇

    上田(勇)分科員 大都市部における鉄道整備は非常に緊急、重要な課題でございますし、またそれには多くのいろいろな課題があるということでありますので、さまざまな角度、幅広い議論を行っていただきまして、事業の円滑な、計画的な実施のために、いろいろな方策についてぜひ前向きな御検討をいただければというふうに御要請をしたいと思います。  次に、これから非常に重要な課題として、今運輸省の方で取り組んでいただいております交通施設、駅等のバリアフリー化のことにつきまして、基本的なことをお伺いしたいというふうに思います。  これからの本格的な高齢社会の到来に向かいまして、やはり最も公共性の高い施設は鉄道の駅であるとか交通機関でありまして、そこの段差の解消であるとか、エレベーターとかエスカレーターの設置だとか、高齢者や障害者の方々が自由に利用できる、支障なく利用できるというようなことにしていく、これは非常に重要な課題であります。  ちょうど平成十二年度の予算案にも運輸省の方としては大変予算の増額をしていただいておりますし、今回のこの国会におきましてもバリアフリー化の法案を提出の予定というふうに聞いているところでございます。大変時宜にかなった取り組みであるというふうに評価をしているところであります。  こうしたバリアフリー化、必要性はわかっているけれども、なかなか今の現状では、予算の制約もあるし、やはり都市部の鉄道駅というのは非常に密集した市街地の中にあって、改良するといってもなかなかスペースがとれなかったり、またその事業実施に当たって周辺とのいろいろな兼ね合いでの困難が多いということは承知しておりますけれども、そうした場合には、やはり既成市街地での再開発と一体的に実施するというような、もっとかなり総合的な取り組みが必要なのではないかというふうにも思っているところでございます。  それで、これから交通施設のバリアフリー化に向けまして事業をどのように進めていかれるのか、また今後、予算確保等につきましてどういう方針で臨まれるのか、御所見をお伺いしたいというふうに思います。
  98. 二階俊博

    ○二階国務大臣 御承知のように、二〇一五年は国民の四分の一以上の方々が六十五歳を迎えるだろうということを言われております。この高齢化社会、そして交通弱者と言われる方々、身体に御不自由な方々が安心して公共交通機関を利用できるような社会をつくっていく。そのために、我が国において交通施設のバリアフリー化は喫緊の課題だというふうに考えております。  従来の交通関係社会資本整備が、需要に追いつくための供給力整備中心であったために、必ずしもこうした点について十分とは言えなかったという反省を持っております。このため、平成十年度第三次補正において、交通施設バリアフリー化設備整備補助金制度というものを創設し、補助金額及び補助率の大幅アップを図ってまいりました。しかしながら、バリアフリー化に今後十年間程度本格的に取り組む必要があることから、今回、補正ベースではなくて、当初予算で大幅な増額、手厚い補助制度を内容とする予算を提出しているところであります。  同様な観点から、バリアフリー化社会的に必要なものとして定着させるためには、国、さらに地方、また事業者の役割を明確にした上で、社会的な連帯によるバリアフリー化促進する枠組みをつくるために、今回法律を提出させていただきました。  ただいま上田委員御指摘のように、総合的に対応するようにということでございますが、全くそのとおりでございます。したがいまして、今回の法律におきましても、自治省はもとより建設省あるいは警察庁にも御理解をいただき、お互いにこの目的を達成するために協力、協調し合っていこうということで、四省庁がそろってこの法案を提出させていただいた次第であります。  各党非常に熱心に、いろいろな御意見をちょうだいいたしておりますが、特に公明党におきまして、このことに対して大変早い段階から御支援をいただいておりますことに、この席をかりまして感謝を申し上げる次第であります。  先般、アメリカにおきましてのこの問題の権威者の方が日本においでになりました。御承知のように、アメリカでは一九九〇年に、障害を持つアメリカ人法というものが成立しておりますから、スタートの段階におきましてはアメリカは私たちよりも十年早く法律を持っておるということに相なるわけですが、我々は、この内容におきまして、例えば信号等交通安全の行政まで踏み込んで多面的な施策を取り込んでいる。したがいまして、この法案が成立いたしますと、単に鉄道だけではなくて、その鉄道周辺の歩道等に至るまで、先ほど申し上げました信号等、あらゆる面から対応する。  また、市町村がこれに積極的に対応することができるように、特に財政支援の面におきまして自治省の御協力を得ることになったということは、二十一世紀の初頭には大きな成果を上げ得るものということを期待いたしております。  きょうは、たまたま上田委員からこういう御質問をちょうだいしておるということでございましたので、きょうでき上がったばかりの「安心して移動できる社会をめざして」というパンフレットを、委員長の御了解をいただいて、今それぞれ委員の皆様のところにお配りしているところだと思います。  こうして、運輸省としましても、他の三省庁と力を合わせて、本法案の成立はもとより、実態面でぜひ成果を上げ得るように努力をしてまいりたいと思いますので、委員の一層の御協力を改めてお願い申し上げておきたいと思います。
  99. 上田勇

    上田(勇)分科員 大臣の大変力強い御決意をいただきまして、本当にありがとうございます。  御承知のとおり、我が国の町というのは、これから本格的な高齢社会と言われながら、なかなか高齢者の方々あるいは障害をお持ちの方々が自由に移動できないというのが本当に切々たる思いでありますので、今大臣の御決意のとおり、またぜひ積極的な推進を図っていっていただきたい、このことを重ねて御要請したいというふうに思います。  最後に、時間が余りなくなりましたが、実は今、運輸事業者の需給調整規制について廃止の方向で、政府の規制緩和計画に沿って順次法律の改正が進められていまして、今度の国会でも、バス、タクシー、港運事業者等につきまして法案が予定されているところでございます。その中で特に、最近やはりタクシーについては利用者が減少していますし、収益が低下しているという中でありますので、ちょっと一言質問したいのです。  私の地元なんかでも、また東京都内でも見受けるのですが、やはり今、相当供給過剰傾向なんではないのかなというのが実感でございます。事業者もまた乗務員の方々も収入が減っておりますし、これから新規参入とか増車が続くとすると、環境はなかなか厳しいだろう。今度の審議予定の改正法案でも、セーフティーネットとして緊急調整措置が導入されるということは承知しておりますけれども、まず一つ、これの概要をお伺いしたいということ。  また、この中に、特に都心部では、夜間の人の集まるところに今客待ちの空車がすごく並んでいまして、これが騒音だとか大気汚染だとかの問題にもなっております。もちろん道路の渋滞も生じているわけであります。需給関係ではなくて、こうした環境等の面からの配慮もその需給調整の中に考える必要があるのではないかというふうに思いますけれども、その辺、お考えを伺えればというふうに思います。
  100. 縄野克彦

    ○縄野政府参考人 私どもが今国会で御審議をお願いしたいということで今検討中の、タクシーの規制緩和の法律案につきましては、今御指摘のように、著しい供給過剰が起きた場合に、その地域の実車走行キロでありますとか実車率、売り上げ、そういうものを勘案し、かつ利用者からのトラブルあるいは苦情についての申し出数なども実績と傾向値を判断して、緊急調整措置、つまり新規参入と増車をストップするという措置を法律の中に盛り込むべきではないかというふうに考えております。  今先生指摘のように、特に駅あるいは空港におきまして過剰なタクシーが列をなすという実態は、今でも現にあるわけでございます。既に、ナンバーを奇数あるいは偶数で分けまして、あるいは入り口、進行方向を別々にしたりしまして整理をしておるわけでございますけれども、このような状況利用者の不便に該当することになれば、先ほど申し上げました緊急調整措置の発動要件の一つになるものというふうに考えております。  それから、交通渋滞あるいは排気ガス、環境への影響ということにつきましても、著しい過剰状態一つの要素として、私どもも関心を持っておるところでございます。
  101. 上田勇

    上田(勇)分科員 もう時間がありませんので最後に、今度はそのタクシー業務適正化臨時措置法、これが恒久法化されまして、あわせてその目的等も変更になるんです。  伺っているところでは、現行は指定地域東京とそれから大阪市だけなんですが、今後横浜市、名古屋市などの大都市も指定地域に追加するというような考え方もあるようでありますが、まずそれについてどのようにお考えなのか伺いたいのと、また、その際には、やはりこれは地元業界や乗務員の方々にも大変な影響があることでもありますので、ぜひその地元の市の当局、また事業者あるいは労働組合等と、十分な、そして時間をかけた意見調整を図っていっていただきたいというふうに考えますけれども、その点につきまして最後に御見解を伺いたいと思います。
  102. 縄野克彦

    ○縄野政府参考人 今お話がございましたように、東京、大阪について既に指定されているところでございます。流しのタクシーが専らでありますところにつきましては、引き続き今現在東京、大阪でやっておりますような施策が必要と考えておりまして、この制度を恒久化したいと考えておるところでございます。  その場合、もちろんそれ以外の地域横浜でありますとか名古屋に拡大する可能性は考えられるわけでありますが、地域ごとのタクシー事業の実態、それから利用者の利便の確保のために事業を行うわけでございますけれども、負担も若干伴うわけでございますので、必要性、負担の可能性につきまして、関係事業者、労使、利用者代表の御意見を十分踏まえながら、指定について検討していくことにしてまいりたいと思います。
  103. 上田勇

    上田(勇)分科員 どうもありがとうございました。
  104. 村田吉隆

    村田主査 これにて上田勇君の質疑は終了いたしました。  午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十三分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  105. 甘利明

    ○甘利主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  主査所用のため、その指名により、私が主査の職務を行います。  運輸省所管について質疑を続行いたします。田中和徳君。
  106. 田中和徳

    田中(和)分科員 自由民主党の田中和徳でございます。  我が党が一昨年の参議院選挙で都市部における極めて厳しい結果を受け、党内に、都市政策の拡充に向けた議論そして政策提言の場として、総裁直属機関、都市問題対策協議会を設置して以来一年有半が経過をいたしました。私も同協議会の都市政策委員会主査に就任させていただき、以来今日まで首都圏中心とした都市生活者の視点を国政に反映させるため、必死で努力をしてきたところでございます。この協議会は、予算編成や税制改正の際にさまざまな分野にわたる提言を盛り込むなど、着実に法律化に向けても成果を上げてきたところでございます。  中馬次官が先日まで会長をお務めになっておられたわけでございまして、御指導いただきながら、ともに汗を流させていただきましたし、また、今般も中馬先生の大変な御指導のもとに、「安心して移動できる社会をめざして」、交通バリアフリー法ができればこのように変わりますよという我が党としての政策提言をこのようにパンフレットにもさせていただき、関係省庁の皆様方にも御理解をいただいているところでございます。  しかし、我が党の都市部選出議員の数が過去、今日ともに相対的に少ないことがその理由であるかどうかわかりませんが、日本の人口の大部分を占める都市生活者の意見をまだ十分に国政に反映し切れていないように私は思っております。そうした問題意識に立って、人口密度の極めて高い政令指定都市でございます川崎という大都市部選出の議員の一人として、運輸行政に関して幾つかお伺いをしたいと思います。  時間の制約もありますので、日々の通勤通学の日常的手段として都市住民と密接度の深い鉄道事業に特に的を絞ってお伺いをいたします。  まず運輸大臣にお伺いをします。さきの一月二十七日に運政審の発表がなされました。川崎市を含む東京圏鉄道整備計画に関する答申についてでありますけれども、川崎市民の長年の懸案であり、私も自民党の部会や委員会でも何度も繰り返して主張してまいりました、地下鉄川崎縦貫高速鉄道や東海道貨物支線の旅客線化や川崎アプローチ線も同答申に盛り込まれております。  特に川崎縦貫高速鉄道は、新設路線ながら、目標年次である二〇一五年までに開業することが適当な路線として、A1に位置づけられております。これらの路線は、沿線地域間のアクセス改善やJR南武線の混雑緩和、臨海部の新たな土地利用の可能性などをもたらすものであり、川崎市民にとってはまさしく待望の事業と言えます。  しかし、川崎縦貫高速鉄道と同じく川崎の新たな縦軸の交通手段として期待され、当初計画では東京湾アクアライン開業と同時に供用されることになっておりました、いや、それ以前に供用開始の約束があった川崎縦貫道路建設が遅々として進んでいないこともございまして、縦貫鉄道についてもその二の舞ではないかと、一方に市民の冷ややかな反応があることも事実であります。  そこで、あえて確認をさせていただきますけれども、A1ランクの川崎縦貫高速鉄道及び検討ルートのBランクの東海道貨物支線の旅客線化などについて、開業までの今後の詳細なスケジュールはどのようになっているか。また、建設の際はいかなる問題点があり、それをどのようにクリアしていくおつもりなのか。そして何よりも、運輸行政のトップとして計画の着実な実施に向けてどのように取り組まれるのか。大臣の決意をお聞かせいただきたいと存じます。
  107. 二階俊博

    ○二階国務大臣 先般、運輸政策審議会から答申されました東京圏における鉄道整備計画において、ただいまお尋ねのとおり、川崎縦貫高速鉄道の新設については、少なくとも整備目標年次である二〇一五年までに、平成二十七年になりますが、開業することが適当である路線、A1となりました。また、東海道貨物支線の旅客線化につきましては、今後、京浜臨海部の再開発等に係る輸送需要動向等を踏まえながら、可能な区間から段階的に整備を検討すべき路線、Bと位置づけられたところであります。  川崎縦貫高速鉄道の新設については、今後、事業推進に向けての地方自治体等の検討、調整状況等を踏まえる必要があります。同時に、東海道貨物支線の旅客線化については、京浜臨海部の再開発の見通し、整備主体や膨大な費用の負担、関係事業者調整など解決すべき基本的な課題が数多く残されておりますが、地方自治体や鉄道事業者などの関係者間においてこれらの課題につきさらに真剣な議論が進められるものであるということを期待いたしております。
  108. 田中和徳

    田中(和)分科員 大臣の御答弁にありましたように、前向きな開業に向けての計画発表でございまして、将来これは、川崎の一番北部の小田急の新百合ケ丘というところから、東横線の元住吉を経てJR川崎駅、さらには現在の京急大師線などの活用を検討しながら羽田の飛行場乗り入れという夢のある事業につなげていかなければならない大事業になると思うのでございます。縦軸の方向のまさしく川崎地域の大動脈になってまいりますので、ぜひ特段のお力添えと事業の展開をお願い申し上げておきたいと思っております。  それから、今の臨海部における支線、貨車の旅客化の問題でございますけれども、これも横浜川崎東京、臨海部をうまく通過していけば、今の朝夕の交通ラッシュの有力な緩和、解消策になってまいります。ぜひ検討を早めていただいて、実現の方向で御検討を願いたいと思っております。よろしくお願いいたします。  次に、いわゆるあかずの踏切の対策についてお尋ねをいたします。  鉄道は、都市部の住民にとっては特にそうでありますけれども、毎日の交通手段として重要な役割を果たしております。そして、鉄道各社においても、混雑緩和や利便性向上に向け運行本数の増加などに努力をいただいております。しかし、その反作用として、ダイヤの過密化がいわゆるあかずの踏切の問題という弊害を助長しているのも事実であります。  この問題は全国の各都市共通の深刻な悩みの種であり、繰り返しマスコミ報道でも取り上げられてきましたが、ラッシュアワー時には一時間のうちあいている時間がわずか十分にも満たない、そういう踏切もそう珍しくない状況でございます。  私の地元川崎市でも百四十七カ所の踏切がございまして、特に川崎市を縦断する南武線にはまだ四十二カ所もの踏切がありますが、それがほとんど通行量の極めて多い幹線道路といいますか、朝夕の、自動車の面でも人が歩む面でも極めて重要な道路を遮断しているのでございます。そして、危険きわまりないことでありますけれども、通行人が踏切があくのを待てずにバーをくぐって、チンチンと音がする中を危険を冒して渡っていく、そういう状況が常態化している箇所がほとんどなのでございます。私は特に朝、駅前で演説をしておりますので、この姿を毎日のように見ておるわけでございます。  このような実態に対して、行政や鉄道会社が一体となって立体交差事業推進などの対策を講じておりますけれども、特に都市部においては、用地の関係もありまして、遅々として進んでいない、こういう実態が各所に見受けられるわけでございます。  将来的にはすべての箇所の立体交差化を図ることが理想でございますけれども、短期的な次善の策としては、安全の確保を最優先としつつ、同時に、踏切の遮断時間を一分でも短くするために遮断機の制御装置の改善を図っていくことが重要ではないか、私はこのように思っておるのでございます。  そこで伺いますけれども、あかずの踏切対策として、遮断機の開閉間隔の制御装置の高度化に鉄道各社はどのように取り組んでおられるのか、また、その着実な推進に向けて運輸省はいかなるリーダーシップを発揮しておられるのか、お答えをいただきたいと思います。
  109. 安富正文

    安富政府参考人 先生指摘のように、あかずの踏切対策ということについては、特に、列車回数や自動車交通量の多い踏切道でございますと、立体交差化ということで踏切道の除去を行うという抜本的な対策が必要になってまいります。  そういうことを進めておりますが、なかなか現実にはそこまでできないということで、現に存在する踏切道で、列車回数が多く、かつ警報開始から列車が到達するまでの時間に大きな差が生じているものにつきましては、特急列車、各駅停車あるいは貨物列車等の列車の種別を判断する、あるいは列車の速度を感知するといったようなことを通じて、踏切の警報を開始する地点を変更するということによって踏切道の警報時間を必要最小限にするという、いわゆる警報時間制御装置の整備を必要に応じてやっております。  現在、平成十年度までに約二千二百三十カ所ほどの整備を進めてきておりますが、今後とも、鉄道事業者を指導して、警報時間制御装置のついた踏切というのをふやしていきたいというふうに考えております。  また、これらの装置については、ATSと連動させることによって、列車が駅を過って通過した場合にも保安機能をちゃんとできるように、駅近傍においてはATSと連動した制御装置なども適用の拡大を図っているところでございます。  運輸省としては、平成八年度から踏切道改良促進法に基づいて、経営状況の厳しい鉄道事業者に対しては当該装置を導入する際に補助金の交付を行っているところでございますが、今後とも、鉄道事業者を指導して、この装置の拡大に努めてまいりたいというふうに考えております。
  110. 田中和徳

    田中(和)分科員 ただいま鉄道局長より御答弁をいただいたわけでありますけれども、次善の策でございますけれども、ぜひひとつ改善をしていただきたいと思います。  ただ、先ほど申し上げましたように、遮断機のバーをくぐって、待てないからといって通行してしまったのでは、これは大変な事故が誘発される事業になってしまうといけませんので、その点については、絶対通れないように安全対策にも万全を期してもらいたい、このように思っております。  さて、中馬次官が大変な汗をかかれて取り組まれた都市問題対策協議会の交通バリアフリーの中の、特に鉄道各駅の施策についてお尋ねをしてまいりたいと思います。  私自身も公共スペースのバリアフリー化を基本政策の一つとして取り上げてまいりましたけれども、近年のバリアフリー化推進はなくてはならない、こういうことであると思います。特に、お年寄りの皆さんあるいは身障者の皆さん、あるいは健常者でも前の日一杯飲み過ぎると朝なかなか大変だ、こういうことで、エスカレーターやエレベーターがあると便利がいいわけでございまして、その点についてお話を申し上げます。  私の川崎市内では五十三の鉄道の駅がございますけれども、エレベーターあるいはエスカレーターが設置してあるのはまだ三割弱の十五駅にしかすぎないところでございます。  運輸省でも、従来より助成事業を着実に実施してきているということは私も承知しておりますし、御努力も認めます。また、国会で、今申し上げましたバリアフリー法を提案して、審議をし、可決の方向になれば一層弾みがついていく、このようにも思っております。  そこで、地元の話でありますが、川崎市内の各駅について、一日も早いバリアフリーの設備の完備をお願いしたいところでございますけれども、今後の設置の見込みについてはどのように改善がなされるのか、お伺いをしておきたいと思っております。
  111. 中馬弘毅

    ○中馬政務次官 基本的なことについて、私の方から答弁をさせていただきます。  冒頭に田中委員の方からお話がございましたように、自民党の都市政策としましても、これに真剣に取り組み、また具体的にいろいろな提言をしていただいたのが田中委員でございました。これを運輸省を初めとして各省庁の御理解そしてまた関係議員の皆様方の御理解によりましてこうして法案化できましたことを本当にうれしく思っている次第でございます。  お話がありましたように、これから高齢化社会でございまして、もう二〇一五年には四人に一人が六十五歳以上となってしまう。あるいは、もちろん、西欧、特に北欧に比べまして、ドア・ツー・ドアで車いすの方々が自由に町の中へ出ていけるという状況ではありません。まず大量輸送ということの方に中心がございまして、そうした交通弱者への配慮が若干手おくれになっておったことは事実でございます。  しかし、こうした成熟社会になりまして、その必要性が認識され、こうして具体的になってまいりました。そのほかにも、今御指摘がございましたように、おなかの大きい方だとか子連れの方だとか、いろいろな意味でなかなか交通機関、あの階段を上りおりするのは大変だという方がいらっしゃいます。そういう方々の配慮のためにも、まずは、少し運輸省交通関係が先行した形になりますけれども、交通バリアフリーという形で今回この制度が整備されるわけでございます。  それの個々につきましては当局の方から説明させますけれども、全体としまして、この法案が、順調に予算をつけていくことができるならば利用者の九〇%がちゃんとその恩恵に浴するという形にまで持っていくことにしておりますので、よろしく御理解と、また御支援のほどをお願い申し上げます。
  112. 安富正文

    安富政府参考人 具体的なエスカレーター、エレベーターの整備状況でございますが、先ほど先生からお話がございましたように、五十三駅中まだ十五駅しかないということはそのとおりでございます。  平成十一年度においては、川崎市内の四駅について、エレベーター四基、それからエスカレーター十基の新増設を行ったところでございます。  今後の予定ということでございますが、具体的にここで数字を申し上げることはできませんけれども、先ほど総括政務次官からもお話がありましたように、十二年度予算案において、鉄道駅の関係、約八十億の予算をつけて、補助金をつけて、今後整備していこうと思っておりますし、それから、バリアフリー法案の中にもございますように、各自治体の中で基本的な計画をつくって着実に実施していきたいと思っております。  そういう意味で、川崎市とも相談しながら、具体的な計画について自治体とよく相談して、この予算の使い方も含めて、今後、エスカレーター、エレベーターの整備に努めてまいりたいというふうに考えております。
  113. 田中和徳

    田中(和)分科員 中馬総括政務次官、御答弁ありがとうございました。ぜひ頑張らせていただきたいと思いますし、今後とも御指導願いたいと存じております。  今、大臣を初め皆様のところに、黄色い表紙の私のつたない政策提言でございますが、お配りをさせていただきました。ちょっと冊数の手持ちが少なかったものですから、委員の先生方のところにはまた後ほどお渡しさせていただきたいと思いますが、お許しをいただきたいと思っております。  これは、バリアフリーの話とも関連をするわけでございますが、先ほど申し上げました自民党の都市問題対策協議会で発表し、以来、基本政策の一つとして掲げてまいりました夢の子育て支援列車、エンゼルTRAIN構想についてお尋ねをさせていただきたいと思います。  初めに、エンゼルTRAIN構想とは何かを簡単に申し上げさせていただきます。  簡単に言えば、鉄道事業者に御協力をいただいて、ラッシュアワーを中心に、乳幼児連れや妊婦の方を対象とした専用車両を設置したらどうかという提言でございます。  議論を要することではありますけれども、思い切って車内をフローリング敷きなど、親子がスキンシップを図りやすいものにしたり、育児アドバイザーによる定期的な育児相談や育児関係の書籍、あるいはホームページなどの無料閲覧ができるようにしたり、さらにはワンストップ行政サービスの試験的実施をしたりなど、乗車時間を利用した多様な育児支援サービスの提供の場として活用することも盛り込んでおるのでございます。  乳幼児を連れて乗るのは大変だがシルバーシートを活用すれば十分である、こういう意見もあることも事実でありますが、現実問題として、私たちの川崎地域から東京方面に、あるいは横浜方面にラッシュ時に電車に乗ると、混雑をすり抜けてシルバーシートへたどり着くことも大変な苦労になることが予想されるわけでございます。  私も、こうしたパンフレットを作成し、地元で広報活動や意見の聴取に努めておりますけれども、特に、二十代、三十代の子育て世代の女性のみならず、男性からもぜひ実現をしてほしいという励ましの手紙やファクスを数多くいただいておるのでございます。  最近では、駅型保育所の整備が注目を浴びておりますが、こうした専用車両があれば、子供を会社付近まで連れていくことができるようになりますし、事業所が集積するターミナル駅を中心に民間参入による大規模な保育所が設置できるようになるのではないかと思っております。当然、スケールメリットを生かして、延長保育や一時保育など、多様な育児サービスを安い値段で提供できるようになり、また施設整備費用の軽減もできますし、都市部の空きオフィスの有効活用という効果も期待できます。  さらには、通勤時間をそのまま親子のスキンシップの時間に変えることができますし、昼休みや労働基準法六十七条の育児時間を利用して子供に気軽に会いに行けるようにもなり、子供たちの健全な育成につながるのではないかと思います。  また、都市部では特にそうですが、御近所のつき合いや親類関係の希薄さが育児に関する悩みや不安の一因となりまして、さらには幼児虐待という大変痛ましい事例も生み出しておりますけれども、通勤の機会を利用して同じ子育て世代の皆さんと新たなネットワークをつくることでそうした問題の解消も期待できます。  通勤に関してだけでなく、電車で気軽にレジャーに出かけるようになれば、マイカーの利用も減少し、環境保全にも役立つと思います。  プラス面を挙げればまだありますけれども、この程度にさせていただきますが、ぜひ、現実問題にも目を転じていただき、議論が必要なのだろうと思います。  都市部での鉄道混雑状況を考えると、他の乗客の理解を得て実現にこぎつけるのは困難でございますし、行政として専用車両の設置を義務づけたりというのも、これは難しいことだと思っております。  運政審でもさまざまな路線建設計画が打ち出されておりますけれども、新設路線の中に思うように利用客がふえていない路線も存在することは事実でありまして、この点にも注目してはどうかと思っております。新設路線に計画的に専用車両の設置を進めれば、子育て世代向けの社宅の整備や住宅地の開発が進み、結果として都市部の各地域間の人口の適正な配分が実現し、他の路線混雑緩和にも役立つと思います。  いろいろと述べてきましたけれども、何よりも私が主張したいのは、専用車両の設置が少子化対策の起爆剤にもなるのではないかと思うからでございます。さらには、政府がこういう政策を実施することによりまして、少子化対策に本格的に乗り出している、こういう面もアピールできるのではないかと思います。キャリア志向の女性が晩婚化、晩産化の傾向にあるときに、私は効果があるのではないかと重ねて申し上げている次第でございます。  時間の関係で、もう少しお話ししたいこともございますけれども、この程度にさせていただいて、もう時間が終わりでございますので、大臣からお答えがいただければ幸いだと思います。
  114. 二階俊博

    ○二階国務大臣 ただいま田中委員から、夢の子育て支援列車、エンゼルTRAIN構想につきまして種々お話がございました。すぐできるかどうかは別といたしまして、極めて新鮮な響きを持って、御熱意がひしひしと伝わってくるような思いでございました。  乳幼児連れや妊婦等の交通弱者が安心して鉄道利用していただく環境をつくるということは、少子化社会への対応として非常に重要なことだという認識を持っております。  このため、運輸省では、先ほどから御議論のあります交通バリアフリー法案を今国会に提出させていただいたほか、「心身障害者・高齢者のための公共交通機関の車両構造に関するモデルデザイン」を策定し、交通弱者に配慮した車両の導入を促進しているところであります。  御提案の専用車両の設置は、こうした趣旨に沿ったものと承知をいたしております。  一方で、現状においても、大都市圏の混雑率は極めて高い状況にあり、専用車両の設置が列車の有効な利用を妨げ、混雑をさらに助長するおそれもあるということで、慎重に検討すべき課題だと認識をいたしております。  運輸省としても、今後ともバリアフリー化を進めるとともに、関係省庁と連携をとり、駅周辺、近隣の保育施設の整備等促進するなど、乳幼児連れや妊産婦等の利用者のニーズにも対応できるよう適切な措置を講じてまいりたいと考えているものであります。
  115. 田中和徳

    田中(和)分科員 大変前向きな御答弁をいただき、ありがとうございました。私も一生懸命頑張ってまいりますので、またよろしく御指導のほどをお願いしたいと思います。ありがとうございました。
  116. 甘利明

    ○甘利主査代理 これにて田中和徳君の質疑は終了いたしました。  次に、塩田晋君。
  117. 塩田晋

    塩田分科員 二階運輸大臣は、中馬総括政務次官とともに、陸海空にわたる我が国の運輸政策に、また行政に果敢に取り組んでおられまして、着々と成果を上げておられますことに対しまして心から敬意を表しますとともに、感謝を申し上げたいと存じます。  我が国は、言うまでもなく海国、海洋国家であります。我が国の経済の発展のためにも、維持のためにも、海を忘れては考えられない。また、我が国の国防、安全保障の点から見ましても、我が国が海に囲まれておるということ、そしてその出入りはやはり船であるということについて、これはもう大前提になると思うのでございます。  ところで、我が国の日本船の船籍が、十数年前は千隻を超えておったのが毎年激減をしてまいっておりまして、一昨年は百六十八隻、一番最近の資料では百五十四隻というように減ってきてしまっておる。これは重大な事態ではないか。日本海運商船隊という意味では、他国の船籍を持つものを含めまして大体二千ですか、横ばいでいっておりますけれども、我が国の船籍のものがそのように減少しておるということにつきまして、経済の安全保障あるいは国防上の安全保障につきまして、非常に憂慮するものでございます。  政府におかれましては、国際船舶制度というものを設けてこれに対処しておられるわけでございますけれども、それにもかかわらず、なお減少を続けておるというのが現状でありまして、日本の安全保障の観点からも早急に日本外航船舶海運の再建策を実施する必要があると思いますが、これについて大臣にお答えを願いたいと思います。  このことにつきましては、一昨年の秋の運輸委員会におきまして、元神戸商船大学学長の平勇登先生が請願を出されました。私が紹介議員になったわけでございますが、全党一致でこれが採択された経緯もございます。国を憂え、海を愛し、そしてこよなく日本の海運について関心を持っておられました平先生は昨年暮れに亡くなられたわけでございますが、その中に込められた思いというものは、非常に激しく、また熱いものがあったと思います。  そういったことからも、この日本の海運、外航船舶商船隊の再建についてどうお考えか、お聞きしたいと思います。
  118. 二階俊博

    ○二階国務大臣 ただいま、船の重要性ということにつきまして、御専門の塩田先生からるるお話もございました。  私は、ちょうど昨日小笠原に行っておりまして、風速二十メートル以上、ヘリコプターが飛びませんので船でもって、この予算委員会に間に合うようにということで、ゆうべ夜中に帰ってまいりましたが、いかに船が重要な役割を果たすかということを、きのう一日船の中におりまして、まさに痛切に感じておるところでございます。  貿易立国であります我が国におきましては、貿易物資の安定輸送の確保を図る観点から、外航海運の輸送力を確保することは重要な課題でありまして、とりわけ日本籍船はその中核となる役割を果たしているものと認識をいたしております。  このため、平成八年に貿易物資の安定輸送に必要な一定の日本籍船を国際船舶と位置づけ、税の軽減措置等を講ずることによってその維持確保を図ることを目的とする国際船舶制度を創設し、その後、この制度の拡充に努めてきたところであります。  ただいま塩田委員からの御質問の中にもございましたが、外航海運等につきまして極めて情熱的に対応していただいておりました商船大学元学長の平先生が御逝去されましたこと、まことに哀悼の意を心から表したいと思います。  どうぞ、この国際船舶制度を創設、それを拡充していく方向で頑張ってまいりたいと思いますので、一層の御支援をお願いしたいと思います。
  119. 塩田晋

    塩田分科員 ありがとうございました。  言うまでもなく、外航船舶海運というものは日本の経済の動脈でありまして、これが断たれると日本経済自体が崩壊するというものでございまして、非常に重大なものである。しかもまた、先ほど申し上げましたように、国防、安全保障の観点からも、本当に重視をしてこの問題に対処しなければならないことだと認識しております。  そこで、この日本海運の再建のために提案でございますけれども、船員の人件費が高いことによって、船主を初めとして、外国船員を雇うという率が多くなり、今や船長と機関長二人だけで運用するというようなことになってきておるわけでございます。  果たしてそれでいいのかという問題意識があるわけでございますが、人件費が高い、賃金が高いということであれば、これは、あれほど補助金をやかましく言うアメリカですら賃金補助を行っているわけです。一隻二億円ほど、五十四隻にわたりまして補助をしているということがございます。これはもちろん徴兵、戦時を考えての徴用の問題があるわけでございますが、日本はその点若干事情が異なると思いますけれども、そういう制度もある。  それから、日本の国内でも、御承知だと思いますが、労働省関係では、賃金の補助というのはかつてはなかなかできなかったことでございますけれども、今いろいろな政策的な賃金補助を行っておるところでございます。近くは介護労働に対しての一定の賃金補助、二分の一とか三分の二にするような制度も来年度行われますし、また今までにも、定年延長だとか時間短縮だとか、そういったことでは賃金補助を一定の条件のもとにやっております。  したがって、賃金補助は絶対できないといって数十年前はやっておりましたけれども、今やそういう制度が一般化しておる。この日本にとって重大な、死命を制するような海運に対しまして、この危機的な状況に対しまして、賃金の補助をこの際思い切って導入すべきではないか、このように考えます。  それから、やはり、リベリアとかパナマですか、各国に船籍を移しているというのは、登録免許税あるいは固定資産税がゼロないし非常に低い、日本に比べてその点が非常に有利であるということで外国に船籍を置くというケースが多いわけでございますので、やはり思い切った登録免許税あるいは固定資産税の減免を行うべきではないか。船は固定資産税がかかる対象である、固定していないのだけれども固定資産税がかかるんだということ、これは世界的にそういう観念があったようでございますが、余りにも外国に比べて高過ぎる。その点を是正すべきであると思います。  それから、一年のうち大部分を船の上あるいは海外で過ごしている船員が、その本籍なり住所がある市、町あるいは県に対しまして住民税を納めるといったようなことはどんなものだろうか。随分軽減はしてあるというのですが、十分の一だとしても、一年のうちほとんど海外にいて、本当に何分の一しか帰ってこないという場合に、もっともっと軽減していいのじゃないか、このように考えます。  以上、三点につきましてお伺いをいたします。
  120. 高橋朋敬

    ○高橋政府参考人 船員の人件費の賃金補助関係の御指摘でございました。  今、我が国の賃金補助的な制度のことについて調べてみたのですけれども、例えば、中小企業のベンチャー事業の支援のような、特定の業種に限らないような横断的な政策目的のための賃金補助があるということは承知しているところでございます。それから、雇用の場の確保とかあるいは雇用調整という視点から賃金補助ができてきているということも承知しているところでございます。  ただ、先生指摘のように、船員の人件費が高いという、高さに着目いたしまして、特定の産業を支援するという観点からの賃金補助を行っている例は、我が国で見出すのはなかなか難しいのではないかと思っているところでございます。  そういった支援が可能か否かにつきましても、いずれにいたしましても、我が国におきましてそういった国民的なコンセンサスが得られるかどうかという問題がありますので、十分慎重にこれから検討が必要ではないかというふうに思っているところでございます。  それからもう一つ、税金の関係の御指摘がございました。  船舶の登録免許税あるいは固定資産税につきまして、先生御案内のように、国際船舶制度によりまして、平成八年度以降、特段の軽減措置を講じてきているところでございます。その後、対象船舶もふやしてまいりました。そういった拡充に努めているところでございます。  それで、諸外国の海運の税制と比べてみて、もっと軽減すべきじゃないかといったような議論もあるわけでございますが、社会的背景とか税制の体系がそれぞれによって違いがあるところでありますので、一概に比較することは難しい面があるわけでありますが、しかし、今後とも、国際競争力強化に資する税制といったことにつきまして、引き続き検討してまいりたいと考えております。
  121. 塩田晋

    塩田分科員 船に乗っている船員は、これは内航船であろうと漁船であろうと同じでございますけれども、非常な危険を常に負っておるわけでございます。戦時中はいろいろございましたが、今後我が国でも、緊急の事態が生じた場合、いろいろ手を打たなければならないことが多いと思うのです。  船員は、恐らくフィリピンを中心にした船員がほとんどだと思うのですが、船長と機関長だけで大きな船を動かせるはずがないわけでありますし、危険を負っているという点におきましては、緊急事態に遭遇した場合、一斉に外国の船員は逃げてしまうかもわからない。そういったことも考え、また我が国の船員に安心して船を運航してもらうためには、災害時の特別の手当といったものが必要ではないかと思うのでございますが、これについてどのようにお考えでございましょうか。
  122. 谷野龍一郎

    ○谷野政府参考人 御説明をさせていただきます。  今先生指摘の、緊急時の船員の災害に対する手当の問題でありますが、私どもは、船員の災害、事故につきましては、一義的には船員の災害や事故に対する補償ということで、厚生省所管の船員保険によって一応賄われているものと理解をしております。  ただ、先生冒頭御指摘のように、国際船舶制度の中で、外国の船員の方と一緒に日本の船を安全に運航するということでありますから、特に船員の教育訓練の分野でその点については十分意を尽くしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  123. 塩田晋

    塩田分科員 私は、一般の労災に対する補償だけでなくして、船員についてのある一定条件の緊急事態に際しましての特別の補償制度、これは厚生省の所管とはいえ、やはり運輸省が強く主張して上乗せするようなことを考えるべきではないか、こう申し上げたわけでございます。御検討をいただきたいと思います。  次に、日本周辺の海域の安全対策についてお伺いいたします。  いわゆるサブスタンダード船の横行が目立っております。国際的なスタンダードに満たないサブスタンダード船、これが多数横行して非常に危険な状況になっておりますが、日本の規制は甘過ぎるのではないかという声があります。航行の安全と環境保全のためにも法規制をして対策すべきではないかと考えますが、どのようにお考えでございましょうか。
  124. 谷野龍一郎

    ○谷野政府参考人 御説明を申し上げます。  先生指摘のサブスタンダード船の安全確保あるいは海洋汚染防止のための対策でございますが、御承知のように、船舶の安全確保や海洋汚染防止につきましては、国際条約におきまして旗国主義がとられております。したがいまして、まず一義的には旗国がその責任を果たすということになっております。  しかしながら、さまざまな旗国の中には必ずしもその責任を十分に全うしていないという国も大変多うございまして、御指摘のようにいわゆるサブスタンダード船が存在しておりまして、国際的にこれをどのように排除していくかということが今非常に大きな課題になっております。  このために、もちろん旗国主義に基づいて旗国の規制を強化するということも一つの方法でございますが、これをやりながら、一方では、入港国による外国船舶への立入検査、いわゆるポートステートコントロールを周辺各国と連携のもとに厳しく実施していくということが効果的であると考えております。  我が国は、アジア太平洋地域の一員といたしまして、各国との連携を図りながら、地域全体としてのPSCの強化推進しているところでございます。  また、我が国自身の体制でありますが、昭和五十年代後半よりPSCの体制を本格的に固めておりまして、現在、全国各地に約五十八名のPSC専門官、加えて船舶検査官あるいは船員労務官により、外国船の監督を厳しく実施しているところでございます。
  125. 塩田晋

    塩田分科員 ぜひとも万全を期していただきたいと思います。  それから、日本周辺の海域で非常に船舶の頻繁な行き来がありますが、非常に危険な海域もございます。こういったところに分離通航帯を設置してはどうかと思いますが、いかがでございますか。  それから、大きな港につきまして、水先案内、パイロットの制度がありますが、これはいろいろ再検討され、規制緩和の観点からもいろいろと改革が行われております。例えば神戸、大阪あたりは一万トンまで、横浜は三千トン、今、関門なり博多港等で検討が行われておりますが、かなりのばらつきがあります。やはり水先案内制度というのは、諸外国では非常に厳格にこれを運用しておりまして、それとの並びでやはり日本の制度の改革も行うべきではないか。余りにも取っ払ってしまってフリーにしていいわけがないと思いますが、この点、いかがお考えですか。
  126. 荒井正吾

    ○荒井政府参考人 海上保安庁から分離通航帯についてまずお答えさせていただきます。  委員御指摘の分離通航帯は、国際規則に基づく分離通航帯の設置ということではないかと思いますが、日本近海では、千島列島、宗谷海峡に設けられております。  我が国周辺では、それにかわるものとして、東京湾、伊勢湾、瀬戸内海の三海域において、海上交通安全法により、よりきめの細かい交通規則を持った安全対策を講じた海域を設けております。この規則により、海上交通の安全を確保しております。二十メートル以上の大きな船の事故は最近減少ぎみでございますし、外国船舶の事故も減少しておる状況にございます。  ただ、ふくそう海域の安全のために、分離通航方式、そのほか、必要な事態が発生すればいつでもその設置の必要性について検討していきたいと考えておるところでございます。
  127. 谷野龍一郎

    ○谷野政府参考人 水先制度の関連について御説明を申し上げます。  水先制度につきましては、大変古うございますが、大正時代に結びました海港条約というのがございまして、これに基づきまして、国際的には各国がそれぞれの港の実情に即して独自の制度を採用しているところでございます。我が国におきましても、水先法に基づきまして、船舶交通の安全の確保、それから船舶の運航能率の増進、この二つの目的を持った規制として実施をいたしておるところでございます。  我が国の水先制度を適切に運営していく上で、先生指摘の諸外国において採用されております水先制度の内容等についても十分考慮に入れるべきだという御意見については、そのように裁量をいたしております。ただ、基本的には、自然的条件、あるいは船舶の運航状況など、我が国固有の事情に即した制度とすべきであるというふうに認識をいたしております。
  128. 塩田晋

    塩田分科員 海賊対策について、私は前、安全保障委員会でも取り上げて質問したことがあります。日本のアルミニウムのインゴットが、船が丸ごと二回も海賊船に盗まれたというような事態もその後起こっておりますし、海賊対策につきましては、国際的な関係もありますが、十分に対処していただきたいと思います。これは要望いたしておきます。  それから、海員の養成訓練の制度を再構築すべきではないか、こういう意見を申し上げたいのでございますが、時間の関係で、特に若手船員に対する教育訓練スキームの充実を図るべきであると思います。また、船員の養成の計画をやはり確たるものをつくって国民に知らせるべきではないかと思います。海技水準の向上のためにいろいろと工夫をして教育訓練制度について再検討していただきたい、このことをお願い申し上げます。  それから、船長、機関長、二名の配乗でよろしいということでございますけれども、一遍に機関長や船長になるわけではないので、養成も含めて、実習期間ということも考えて、航海士、機関士は一般の方をやはり増員すべきではないか、このように考えます。これについても要望をいたしておきます。  それから、関空工事の件でございますが、皆様方の御努力によって、順調に進んできております。これは感謝を申し上げたいと思います。  また、埋め立ての砂につきましても、日本国内ではなかなか調達できないという状況の中で、海外からの砂の搬入もできることになりまして、順調にこれから進んでいくと思うのでございますが、埋め立て用の砂の運搬が港が限られているということ、それから、運航する水路も限られているといった問題があり、周辺自治体とか、あるいは各種団体等のいろいろな関係もありまして、その協力が必要でございますが、運輸省としても、そういった点についてできる限り円滑に工事が進むように御配慮をいただきたいと思います。この点について、コメントがございましたらお伺いいたします。  それから最後に、これは運輸大臣にお伺いしたいと思いますが、政府専用船、これは内閣の方でまとめて予算化されて調査費も来年度予算についております。これをぜひとも、政府専用機が二機あるわけでございますが、船がないわけであります。これは、病院船にするか災害救助船にするか、あるいは海外在住者の引き揚げに使うか、いろいろな議論があると思いますが、私は、一つのアイデアとして、小さな国であっても大統領の専用ヨットというのがあります。やはり迎賓用の、あるいはトップ会談をするような、そういうことも機能として入れるべきではないかと思いますが、大臣にお考えをお聞きいたしまして、質問を終わります。
  129. 甘利明

    ○甘利主査代理 時間がありませんので、簡潔に答弁をお願いします。
  130. 岩村敬

    ○岩村政府参考人 第一点目の関西国際空港の二期事業でございますが、御承知のように、昨年の七月十四日に現地着工いたしております。十二年度末までに護岸を概成し、十三年度より埋め立て工事に入るということを予定いたしております。  その際、先生指摘の海外からの砂の問題でございますが、現在のところ、特段の問題は生じていないというふうに伺っておりますが、二〇〇七年の滑走路供用に向けて間違いがなく進むように我々としても気を配ってまいりたい、そういうふうに思っておるところでございます。
  131. 二階俊博

    ○二階国務大臣 塩田委員等は、政府専用多目的船の建造につきまして、大変御熱心に日ごろから御活躍をいただいておりますことを承知いたしております。  政府が多目的船を保有し、大規模災害発生時の救援、医療協力等活用するという考え方は十分検討に値するものであると考えております。ただいまヨットのお話も出ましたが、そうしたことの重要性も十分理解できるところであります。  しかしながら、具体的な使用目的、その目的に応じた船舶の仕様等解決しなければならない課題というものは極めて多いわけでございます。船舶の効率的な運用という観点からも平常時の使い方も重要な課題であると思うものであります。  現在、政府では、委員も御承知のとおり、内閣官房が中心となりまして、関係省庁の実務家に有識者を加えて平成九年度に設立した多目的船舶基本構想調査委員会において、これらの課題を含む諸課題について検討を行っております。  平成十二年度の予算におきましては、基本構想の概要の取りまとめのために検討経費として千五百万円計上しているところであります。  運輸省は、関係省庁とこれらの検討に参画しておりますが、政府としての検討結果を踏まえて適切に対処してまいりたいと思っております。  ただ、防災船につきましては、今日、静岡県におきまして、テクノスーパーライナーを活用して防災船として購入、また、改造を加えて対応しようといたしておりますが、日ごろは観光を兼ねた交通機関として、清水港と下田港の間を往復いたしております。これらの問題につきまして、今後大いにこのことも参考になるのではないかと思っております。  ただいま、間もなくでございますが、三月早々、政府がこの静岡県の船を逆にリースいたしまして、中国に向かっての初めての実験航海をやろうといたしておるところでございます。  今後、専用船につきまして、ただいま飛行機との対比の問題もございましたが、私どもとしては慎重に検討を続けていきたいと思っております。
  132. 塩田晋

    塩田分科員 ありがとうございました。
  133. 甘利明

    ○甘利主査代理 これにて塩田晋君の質疑は終了いたしました。  次に、中田宏君。
  134. 中田宏

    中田分科員 本日はお疲れさまでございます。  県内の先輩であります甘利先生が委員長席にいていただいて、それから、本当に野党からも評価の高い二階大臣がおられますので、私、きょうは和やかな雰囲気の中で、いつも割ときんきん言っておるものですから、きょうは分科会ということもありまして、久しぶりに和やかな中で議論をさせていただきたいなというふうに思っております。  都市政策という観点から、きょうは、なかなか聞くことができないことも含めて、ちょっとお伺いをしたいと思うのです。東京圏のいろいろな交通網の整備、とりわけ鉄道関係といったところについて、幾つかお聞きをしていきたいと思います。  東京一極集中というふうによく言葉が使われますけれども、この東京一極集中というのは、まずは広い意味で日本全体としての東京一極集中というのがありますよね。すなわち、航空路線に関してもあるいはJRにしても、すべて東京に向かって一極集中している。国道もそうでありますね、一号線から始まってということですね。もちろん、そうした広く日本全体という意味での一極集中。それからもう一つは、東京圏というエリア内での一極集中というのも、実は私ども東京圏の中で暮らす都市住民にとっては非常に大きな一極集中の問題でもあるわけであります。  横浜あるいは川崎、千葉といったところから、鉄道があるいは道路が、すべて東京都心部に向かって集中をしているという状態ですね。これは逆に考えれば、我々が今いる国会を含む都心部から放射線状にすべて道路やら鉄道やらが出ている、そういう状況にあるわけであります。それがある意味では、私ども、とりわけ東京近隣に住む都市住民にとっては、幾つかの非常に大きな問題を生じているわけであります。  例えば大臣、こういう言い方があるのです。私の選挙区などはとりわけこういう言い方をするのです。私の選挙区は神奈川八区、横浜市の青葉区と川崎市の宮前区という、小選挙区三百の中で唯一政令市にまたがっている珍しい選挙区なんですけれども、そこの場所の川崎側あるいは横浜側の住民は、時として、横浜都民という言い方があるのですよ、あるいは川崎都民という言い方があるのですよ。すなわち、横浜市民、川崎市民ということじゃなくて、ある意味では東京に向かって顔が向いている。映画を見に行くのでも、ショッピングをしに行くのでも、もちろん通勤するのでも、みんな東京に向かっていく。横浜都民、川崎都民、こういう言い方があるわけであります。  そういう意味において、今度は逆のケースで、例えば横浜市役所はもちろん横浜中心部、関内にあります。あるいは川崎市役所も川崎中心部にあります。もちろん、横浜川崎のそれぞれに会社もありますよ。あるいは映画館等もあって、そちらにも本当は人が集まるものがある。ましてや、横浜市民や川崎市民にとってみたら、市民税を払って、それは一つの公共施設ですから、同じく使いたいのだけれども、交通のアクセスが非常に面倒になっているという実態があるわけであります。  いわば横浜のあるいは川崎の、私は北部の方なんですが、そちらの中心部の南部の方との、南北間における移動のアクセスが非常によろしくないということがある。それが結局は、東京に向かって顔が向いてしまうし、また東京に向かう路線が非常にパンク状態になってしまう、首都高速道路も大変な渋滞、あるいは鉄道も通勤ラッシュが厳しい、こういうぐあいになるわけであります。  そういう意味では、この横浜川崎内における南北間の移動というようなことについて、実は前々から住民のニーズ、国民のニーズというものが潜在的に非常にあります。もちろん声としても上がっているわけでありまして、例えば私も、一昨年の平成十年の四月三日に運輸委員会に、横浜市営地下鉄三号線の延伸についての請願書というのを、寺原篤夫さん以下九名の請願を出させていただいて、これは委員会に御付託をいただいたり、こういったニーズもすごく多いわけであります。  そんな中、つい最近、先般、一月の二十七日に運輸政策審議会運政審地域交通部会において、東京圏における鉄道整備計画の策定に関する審議が行われて、そして答申が出されたというふうに聞いております。  この中で、今私が請願の付託をお願いしたこの横浜三号線並びに川崎の縦貫高速鉄道、これはいずれもが、目標年次までに整備推進すべき路線ということで、Aランクに位置づけていただきました。そのAの中でも、今回からはA1、A2と二つのランクがあって、A1のランク、これは目標年次までに開業することが適当である路線ということであります。A2の方が、目標年次までに整備着手することが適当である路線というふうに分けられていることを考えますと、A1に位置づけられたということは、まさに最優先、最重要の路線なんだ、こういう位置づけを結論として出していただいたわけであります。  私もこれは再三にわたって運輸省に要望をさせていただいてまいりましたので、この答申は大変吉報だというふうに思っています。  さて、吉報は吉報でありがたいのですが、問題はこれをどう実際に推進をしていくのか、ここがポイントでありまして、計画は出たけれどもそれっきりということであっては当然ならぬわけでありまして、そこら辺、まずお聞きをしていきたいと思います。  運政審から答申された横浜三号線の整備について、運輸省は今後どのように具体的に計画を前に進めていくのかということについて、まずはお答えをお願いしたいと思います。
  135. 中馬弘毅

    ○中馬政務次官 都市の一極集中、またその都市の中における集中の問題も議論されまして、私ども、日本の均衡ある発展ということで全般的な運輸体系をにらんでの政策を進めておりますけれども、しかし、都市部におきましては、私たちだけ何か疎外されているという都市住民の不満があることも十分に承知いたしております。現実に大変な混雑率であったりするわけでございまして、そういう中で今進めているところでございます。  小渕内閣の方もようやくそこに一つの大きな焦点を当てまして、都市交通といいましょうか、そこに対しての施策をかなり今進めているところでございます。  そういう中で、運輸政策審議会の方から今回の答申が出されました。中田委員の御地元でもございます横浜三号線でございますが、これは今御指摘ございましたように、A1ランク、A2ランクに位置づけされています。しかし、同じ三号線の中でもA1とA2に二つに分かれております。二〇一五年までに運行を始めることと、あるいはそれまでに着手するということで、二つに分かれてしまっております。  これは、御承知かと思いますが、その線路が川崎市と横浜市に二つに分かれておりまして、それぞれの自治体の対応の仕方がちょっと違うところがございます。中央集権か地方分権かといろいろな議論もありましょうけれども、地方に任せますとこういう面も若干は出てまいります。  この鉄道整備につきましては、地方自治体、それから事業者、そしてもちろん地域住民の方々のお声等も含めて具体化されてくるわけでございますから、そこのニュアンスが若干違いますのでA2とA1に分かれておりますが、いずれにしましても、解決すべき基本的な課題がまだ多く残っておりますから、地方自治体や鉄道事業者などの関係者間においてこれらの課題について論議をさらに深めていただくことによりまして、これが実現の運びになる、このように確信をいたしております。
  136. 中田宏

    中田分科員 今お聞きしたこれからの具体的な進め方ということについて、ちょっとお答えをいただけなかったような気がいたしております。  中馬政務次官は実は都市部でありますから、そういう意味で問題を共有して、そこの部分についてはたくさんお言葉をいただいたのですが、今後の具体的な三号線の取り組みということをちょっとお願いします。
  137. 安富正文

    安富政府参考人 具体的な形でどういうふうにしていくかということをやっていくためには、まず、整備主体をどうしていくのか、運行主体をどうしていくのか。特に、横浜川崎をまたがるところもございますし、そこら辺をどうするかという問題がございます。それから、具体的には、当然それなりの金がかかりますので、今回の三号線ですと約千四百億ぐらいかかりますので、そこら辺の費用負担関係をどうするかという問題もございます。  そこら辺は、我々としてもぜひ自治体も含めて一緒になって議論をしていただいて、その中でこれから具体的スケジュールをつくっていくということになるかと思います。まだ現時点において、具体的にいつ着手して、いつどういう形になっていくかということの具体的な計画があるわけではございませんけれども、今後その計画を詰めていくということになるかと思います。
  138. 中田宏

    中田分科員 そうしたら、これは着実に進めていただく以外にないのですが、今回A1ランクに認定というか結論を出していただくに当たって、運輸政策審議会の中でどういった議論、すなわち、この三号線について重要視をいただいたその理由部分ということを実はちょっとお聞きをしたいというふうに思います。  三号線、これは今総括政務次官からお答えいただいたとおり、あざみ野からすすき野地区はA1だ、そこから先の新百合ケ丘まではA2という位置づけになったわけでありますが、A1、A2と隔てなくてでも結構であります、この延伸問題についてはどれだけその効果というものを審議会の中でお見積もりをいただいたのか、その点についてどういう議論でありましたか。
  139. 羽生次郎

    ○羽生政府参考人 お答えいたします。  横浜三号線、先生御案内のとおり、関内からあざみ野まで現在営業中でございまして、あざみ野から新百合ケ丘までの延伸を答申上位置づけておられます。  ここは、まず、運輸審議会で議論した中では、相当程度の輸送需要が見込まれていること、それから第二番目には、新百合ケ丘と横浜都心部先生のおっしゃる横の連携でございますけれども、これの速達性向上が図られること。具体的に申し上げますと、新百合ケ丘—横浜間で約十七分程度短縮が図られるのではないか。加えて、新横浜方面との新幹線アクセスがよくなること。多摩センターから新横浜まで十数分よくなるし、また町田等の住民の人もよくなると考えられます。  そういった意味から、非常に政策効果の高いところでございますし、さらにJR南武線、横浜線の混雑緩和も見込まれる、こういうところからこのAランクが与えられたわけでございます。  このAランク、A1、A2とございますが、これは基本的に政策効果という面ではA1もA2もほぼ同じように高い。しかし、これを実現させるまでの熟度として若干の違いが、先ほど総括政務次官から申し上げたような違いがあるのかなということで、A1、A2となっているところでございます。
  140. 中田宏

    中田分科員 今、相当程度の輸送需要というふうに言っていただいたわけですけれども、一昨年ですか、大臣の地元に行かせていただきまして、和歌山の温泉に家族で行って、本当にのんびりした風景の中で都市住民の一人としてくつろがせていただきました。一方で、大臣のところは過疎の問題を抱えたり、これはそうした別の課題があるはずであります。ただ、こちら、私ども都市の方は、これまた逆の問題を抱えている。  実は大臣、このくらい住民がいるんですよ。すすき野地区というふうに今簡単に言いましたけれども、すすき野側だけで五千三百世帯、虹ケ丘側、これは川崎市麻生区側で一千八百世帯、合わせて七千百世帯がそのすすき野地区と言われているニュータウンだけで住んでいるんですね。七千百世帯ですよ。  当然のことながら、これは世帯でありまして、ここはアパートとかひとり者の方がいるよりも明らかに家族で住んでいるケースが高くて、お父さん、お母さんがいて、お子さんがいてというような世帯がほとんどでありますから、確実に倍以上の人口がここの一つのエリアだけで集中をしているわけであります。  そうなりますと、倍にするだけで一万四千、もちろんそれ以上の団地群、住宅ができているわけであります。鉄道整備等があらかじめあったところに人が住んでいるわけではない、しかし一方では、人が住んできて、この十五年ほどの間に物すごく発展をしてきて、もうバスがパンク状態なんですね。駅に来るバスが連なって来るのです。二台、三台と連なって駅にバスがやってきて、そして駅から電車に乗るというぐあいになっていたりする。  そういう意味では、やはり都市政策というのも、これは鉄道分野において非常に重要な一つの象徴的な路線でもありますから、先ほど申し上げたとおり、今回A1ランクにしていただいたことには、一定の評価をいただいて、お願いしてきた側としては大変ありがたいことだと思うし、着実な実行をぜひしていただきたいというふうに思っています。  あわせてもう一つ、これも同じようなものなんですが、やはりA1ランクに位置づけられた川崎縦貫高速鉄道、こちらの方についても今後の取り組みというのをお聞きしたいのですが、これは参考人でも結構ですので、取り組みをお答えいただきたいと思います。
  141. 安富正文

    安富政府参考人 川崎縦貫高速鉄道でございますが、この鉄道は、南武線の混雑緩和、解消といったような効果、それから川崎都市機能の強化といったような効果ということで、運政審の中でも高い政策効果があるということで位置づけられているものでございます。  今後、自治体、関係事業者一緒になって、具体的な整備について検討していくことになろうかと思いますが、御承知のようにこれも、具体的に申しまして、二十一・六キロの長きに及び、建設費としても約六千億円という経費がかかります。これは今後関係者の間で、具体的にどういう問題があるか、事業主体、実際の費用負担問題、そういうことも含めて議論がされるかと思いますので、少しでも早い整備実現に向けて、関係者の議論を深めていただくとともに、我々としても努力してまいりたいというふうに考えております。
  142. 中田宏

    中田分科員 これもあわせて、答申が出るまでの中身をちょっとぜひこの機会に聞いておきたいと思いますが、議論の中身、すなわち川崎縦貫高速鉄道、これも宮前平まで、そこまでがA1ですね、そこから先の延伸ということになると違いますね。そこら辺等々を含めての効果ということをちょっと聞かせていただければと思います。
  143. 羽生次郎

    ○羽生政府参考人 お答えいたします。  川崎縦貫高速鉄道でございますが、御承知のように、川崎市当局が非常に御熱心にこれを推進しているところでございまして、また、輸送需要も、さっきの、いろいろ答申をいただいた中でも、恐らく断面輸送量で十五万人程度となる相当大きな輸送量が見込まれるところでございます。これは、先ほど鉄道局長が申し上げましたように、JR南武線の混雑緩和、特に武蔵中原と武蔵小杉の間の大幅な緩和、それからJR横浜線へもその混雑緩和の影響があると考えています。  さらに、新百合ケ丘から川崎を経由して、京急電鉄を利用する羽田アクセス、これのアクセス向上の政策効果が認められているところでございます。具体的に申し上げますと、私も住んでいます町田から羽田空港でございますけれども、現行七十八分が六十五分程度に、約十三分間程度の短縮が見込まれております。  いずれにいたしましても、これは川崎の中を通っていく路線でございますので、それほど、前の路線よりは話し合い等もスムーズに進むのではないかと期待しているところでございます。
  144. 中田宏

    中田分科員 ちょっと勘違いをしておりましたが、宮前平を含めて新百合ケ丘から川崎まで、これは全部A1ランクですね。  これは、宮前区のそれこそ区役所から何から集中している宮前平というところだとか、あるいは、これまた新興の都市と言える新百合ケ丘まで、川崎の南北間を結んでいくわけでありまして、そういう意味では非常にニーズの高いものでありますし、今触れていただいたとおり、他の既設路線混雑緩和という意味で非常に重要な部分でありますから、ぜひこれも着実に推進をしていただきたいというふうに思います。  私、気になるのは、前回答申が出たのが一九八五年ですよね、これは第七号答申ですね。その七号答申では、ことしの二〇〇〇年までに整備をするというふうになっていました。この整備のぐあいでありますけれども、七号答申整備計画路線、このころは、A1だとかA2あるいはBというランク分けではなかったですね、多少この分け方は違うわけでありますけれども、いわば最優先に位置づけられた路線のうち、七号答申整備計画路線が五百六十七キロある。このうち約四四%が営業を既に開始しているが、約三一%は整備中だというふうに現状なっています。  今回の分け方と前回の分け方とはもちろん違うわけですけれども、しかし、三一%がまだ整備中である、開業には至っていない等々を考えると、今回も、十八号答申、二〇一五年までに整備をしましょうというふうには言っておっても、大丈夫かな、きちっと整備を着実に進めていただくことはできるかなということが非常に気になるわけであります。  そこで、今後これらの整備を円滑に進めていくには、国が当然これは財政措置等をしていかなければならないということになるわけでありますけれども、運政審の中での国の支援についての議論、あるいはこれからの運輸省の方針ということ、これをぜひお伺いしたいと思います。
  145. 安富正文

    安富政府参考人 先生指摘のように、今後鉄道を、都市鉄道も含めまして整備していくということになりますと、財政的な問題がいろいろございます。そういう問題につきまして、現在、運政審鉄道部会において審議をいただいているところでございまして、平成十年の十二月に諮問をしまして、今後の鉄道整備の基本方針、鉄道整備を円滑に進めるための方策について議論しております。  昨年の六月に、鉄道整備のあり方あるいは鉄道整備の進め方について中間報告をいただいたところでございますが、この鉄道部会は、都市鉄道だけじゃなくて幹線鉄道全体、在来線も含めまして、地方鉄道も含めまして議論していただいているところでございます。  具体的な幹線鉄道あるいは都市鉄道についての整備目標として、どういうことを我々としてにらんでいったらいいのか。それから、先生いろいろ先ほどからおっしゃっていますが、財政支援のあり方としてどういう方策があるのか。現実に、我々としては、地下鉄補助なりあるいは第三セクター補助なりいろいろな補助制度がございますが、そういうことを具体的にどう考えていったらいいかということについて議論していただいておりまして、これは何とかことしの春ぐらいまでには議論をまとめて、今後の政策に生かしていきたいというふうに考えておりますが、現在そういう形で審議が進んでいるところでございます。
  146. 中田宏

    中田分科員 繰り返しになりますけれども、これをとにかく着実に推進していただくということ。国側として着実に推進するということになれば、地方と円滑な協議を進めていただいた上で、これはもう、鉄道ということになりますと公共交通機関であり、かつ地方だけで解決できる問題でもない。何よりも、運政審というこの中で位置づけられなければ事実上スタートしていかない課題なわけですね。  例えば私鉄が、あるいは地方の公共団体が、何とか混雑緩和のために頑張ろうと思って、金さえあればやれないことはないだろうけれども、しかし、そうはいっても、地域住民あるいは行政、いろいろなかかわりが出てくるわけであって、そういう意味では、運政審というところでしっかりとお墨をつけてもらうということがやはり必要だったわけですから、ここでお墨をつけていただいたことはそれはよし、しかし、やはり国として、それはちゃんと進めていくという覚悟をぜひお願いしておきたいというふうに思います。  さてそこで、先ほど東京一極集中、こういうふうに申し上げたのですけれども、このことを考えていったときに、運政審のあり方等についても、私はこれから先、大臣にも後で御答弁をいただきたいと思うのですけれども、ぜひやはりもっともっと総合的にいろいろなことを考えていかなければならない時代を迎えつつあるというふうに思っているわけであります。  さて、その前段としてお聞きをしたいのですが、現状における運政審はどういう構成で一体議論がなされているわけですか。次官、お願いします。
  147. 中馬弘毅

    ○中馬政務次官 運輸政策審議会、いわゆる運政審は、総合部会、情報部会、国際部会、地域交通部会、物流部会、この五つの常設の部会を持っておりますが、それに加えまして、平成十年の十二月に鉄道部会を設置して、審議を行っているところでございます。  今お話がありましたように、ただ運輸関係のことだけをやっているのではなくて、もちろん総合的な交通の中の一つの運輸関係でございますから、道路等に関しましても、もちろんその中で議論がされております。幹線旅客交通システムの整備道路混雑緩和やバスの走行環境改善など都市交通が円滑化するようなこと、そういったこととか、物流関連のインフラの効果的な整備、こういったこともそれぞれの部会で、総合部会、地域交通部会、物流部会等において審議されております。  しかし、それを実施するのは、今の省庁の中では、我々は運輸の関係でございますが、道路関係については建設、こう分かれております。しかし、後ほど大臣の方も総合的なお話をしていただけると思いますが、総合的な形が必要であることは御指摘のとおりでございます。
  148. 中田宏

    中田分科員 冒頭申し上げた東京一極集中の問題、そして都市交通問題、これは本当に総合的に対応していかなければいけない。総合的にというのは何でしょうかといったときに、これまでの運輸省であるならば、運政審の中であるならば、やはり鉄道がある、あるいはバス路線があるといったところまでは、ある意味では議論がなされてきた。  しかし、先ほどから出ている自動車での移動、バスあるいはマイカーにおける移動ということになれば、これは、車というのは畑を走って、あるいはビルの上を走ってくるわけじゃないわけであって、道路がなければだめですね。そういう意味では、道路とのかかわりといったものも交通体系という中では考えていかなければいけないわけです。すなわち、鉄道道路自動車等の全般的な議論の中で都市交通政策というのを考えていく必要がある。  石原都知事が、今話題の方が、東京都心部に入る車にはお金を課そう、ロードプライシングという考え方を今持ち出して、検討しているようですね。これなどもまた、東京都は二〇〇三年までに実施したいなどという形で計画を出しているようでありますけれども、運輸省の皆さん、うかうかしていると、外形標準課税と同じで、東京都が勝手に決めて、ぽんという形になりかねないですよ。  私は、それがいい悪いは別として、やはり都市政策というのは、総合的に考えていくことをだれかがやらなければいけない。これを東京都だけに考えさせておいても全然だめですし、ましてや地方自治体の限界があるわけですから、これはやはり、今申し上げた、鉄道だ、道路だ、それから車の移動、方向性やらいろいろある中において、議論をしっかりとしていく必要があると思います。  そういう意味では、今般、中央省庁の再編に伴って国土交通省という形で再編をされていくのは、行革全体について僕はいろいろ言いたいことがありますけれども、しかし、今回の国土交通省というのは、先ほど申し上げたように、今まで運輸省がやっていたこと、あるいは道路建設省だというような形のあり方から一つの省庁にまとまるわけでありますし、そういう意味では、今までのよく言われるいわゆる縦割り構造というものが、一つの省庁の中で、総合体系的な交通網を整備していく上で、ある意味一つの大きな再編になる、そういうふうに考えられるわけであります。  ここは大臣、もうこの省庁再編に向けての予算だって今年度予算に組まれているわけですね。どういう省庁の割り方にしていくのか、中の機能はどうするか、これは当然論じているわけですね。ですから、その中で大臣、これは都市の総合政策、あるいは都市だけじゃないのですけれども、先ほど申し上げたように東京一極集中といった場合に、日本全国の問題があるわけです。  航空路線の問題、私は全県に一つずつ空港が必要なのかという議論も本当にやらなければいかぬと思いますよ。鉄道との兼ね合い、道路との兼ね合い。こうしたことを国土交通省という新しい省庁ではまさに体系的、総合的に打ち出すべき責務がある、私はこう思いますが、大臣にはぜひこの準備を、リーダーシップをとって今のうちから始めておいていただく必要がある、そう思います。二階運輸大臣、ぜひ御見解を伺いたい。
  149. 二階俊博

    ○二階国務大臣 冒頭からずっとお話をお伺いしておりまして、大変広い視野から都市問題について言及をされました。同時に私の郷里のこともおっしゃっていただきました。つまり、私は、どなたかが最初におっしゃったことでありますが、日本が二つある。高度成長の波に乗った、今お話のありました中田委員のお地元のようなところと、それに乗り切れなかったもう一つの日本がある。この二つをどう対処していくかというのは、お互い政治家としての責任だと思うわけであります。  今度いよいよ国土交通省が発足するわけでありますが、鉄道の問題、道路の問題、例えばよく踏切の問題などを話される方々が多いわけでありますが、これは建国協定などといいまして、前々から建設省と国鉄との間で古い歴史があるわけでありますが、そうした問題も今度は一挙に解決することができる。何もかも一挙というわけにはまいらないかもしれませんが、少なくとも従来よりもスピードをもって解決することができる。  それから、私はこの前に、ラッシュアワーの時間に新宿駅の状況等を見てまいりまして、そのとき痛感したことは、やはり住宅対策鉄道問題は一緒になって考えていくべきだということを思いまして、そこでちょうど新聞記者の皆さんに取り囲まれましたので、何か大臣として案があるかと言われますから、幾つか述べました中で、私は、住宅対策鉄道道路問題を一体になって考えていかなくてはならない、こう申し上げました。  早速そういうことに対処すべきだと思いましたので、ちょうど役所へ帰ってまいりましたら、御承知のように建設省も運輸省も同じ建物の中におりますから、私は自分の部屋へ行く前に建設大臣及び建設省の事務次官の部屋を訪ねまして、これからはこういう問題をとにかく取り組んでいかなくては都市政策を我々が担っていくという責任を果たせないというお話を申し上げましたら、全くそのとおりだということで、今や建設省と運輸省、それぞれ幹部同士で意見の交流等も行っておりますし、我々は、ただいま中田委員御指摘のような問題につきまして、もっともっと積極的に、もっともっとスピーディーに物事が解決できるように努力をしてまいりたいと考えております。
  150. 中田宏

    中田分科員 時間がなくなりましたのでこれで終了させていただきますが、まさに都市代表の中馬総括政務次官もいらっしゃいますし、一方で、二階運輸大臣、大所高所に立った視野をお持ちの大臣がいらっしゃるわけですから、ぜひそういう意味ではリーダーシップをとっていただいて、来るべき省庁再編に備えた体制を今から着手していただきたい。  このことを申し上げて、終わらせていただきたいと思います。
  151. 甘利明

    ○甘利主査代理 これにて中田宏君の質疑は終了いたしました。  次に、山本孝史君。
  152. 山本孝史

    山本(孝)分科員 民主党の山本孝史でございます。  きょうは、自賠責保険と交通事故の被害者、とりわけ重度後遺障害者の援護の施策について、二階運輸大臣並びに金融監督庁、厚生省の方々にお伺いをさせていただきたいと思います。  まず、運輸大臣にお伺いをさせていただきたいと思っておりますのは、自賠責保険の再保険を廃止するということがありまして、先般、日経新聞にも大変大きな記事が一面で出たところであります。  交通事故の被害者からしますと、あるいはこれからの車社会を考えますと、この自賠責保険がこれまで果たしてきた役割、被害者の救済という意味で大変大きい役割を果たしてきましたし、そこで、再保険がなくなることで、とりわけ交通事故の被害者の保護がおろそかになるのではないかという気持ちが、大変大きなものが社会の中にあると思っているわけですけれども、大臣、ここのところはどんなふうな受けとめ方をしておられますでしょうか。
  153. 二階俊博

    ○二階国務大臣 政府再保険廃止問題については、昨年の九月の運輸大臣懇談会報告書におきまして、被害者保護の充実、被害者救済対策等に必要な財源の確保等の五つの条件が示されたところであります。この五条件に係る具体的な検討を進めた上で結論を得るべき課題だと考えております。  特に、被害者保護につきましては、交通事故の被害者が損保会社に対し弱者の立場にあることを考慮し、適正な保険金支払いを行わせるための公的監視システムが必要だと考えております。現在、この問題は、自賠責審議会の場で、被害者保護のあり方、保険金水準の見直し等の問題とともに検討中であり、運輸省も検討に参加をいたしております。この検討が一段落した段階で、速やかに運輸大臣懇談会を再開いたしまして、五条件についての具体的な制度設計等の検討に入るつもりであります。  政府再保険見直し問題については、あらかじめ五条件について検討を加えた上で結論を得るべき問題だというふうに考えております。廃止先にありきという前提で議論するものではないが、その前提として、被害者保護をおろそかにしてはならないということは委員御指摘のとおりでありまして、私は全く同感の意を表しておきたいと思います。  なお、日経新聞、私も拝見をいたしました。自由民主党幹部にもお尋ねをしましたが、まだそのような決定をしておるというふうな状況ではない、ただそういう議論が出ておる、そういう段階だというふうに承っております。
  154. 山本孝史

    山本(孝)分科員 規制緩和の流れがあったり、あるいは業界の皆さん、日経連あるいは自動車業界等々から大変大きな声が上がっていまして、運用益がたまっているじゃないか、もっとこの金はユーザーに還元をする、すなわち保険料を引き下げる方向に使えという御主張が随分強いわけですね。この日経新聞の中で、行革本部の幹部は、自家用車一台につき数百円程度の自賠責保険料の引き下げが可能だ、現在年一万三千八百円、これが再保険を廃止することで数百円程度下がるじゃないか、こういう御主張をされておられるわけです。  私は、問題は、自賠責というものをどう考えるかということだと思います。ユーザーの利益というときに、その益金を、確かに保険料を下げるというのは一つの方策だとは思いますけれども、しかし、基本的には被害者保護ということで始まっている制度ですから、いわば社会的な保険として、車を運転する人はみんな少しずつ出し合おう、そのお金で万が一のことがあったときには被害者には十分な支援をしてあげようというのがこの自賠責保険のもともとの考え方ですね。その中に再保険というものがあって、必ずこれだけのものをしてこなければいけないということになってきた。希望どおりに運営されてきたかどうかというところはいろいろ批判があるところですが。  しかし、自賠責保険の持っているそのものの意味合い、被害者の救済をしていかなければいけないんだということであって、ユーザーの、すなわち運転者の、あるいは自動車業界のメリットを考えて、保険料を下げて、より車が売れるように、より車が走りやすいようにということよりも、やはり政府として、我々がまず考えるべきは、被害者救済をしっかりやっていくんだ、益金があるんだったら、ユーザーに返すという前にもっと被害者に力を入れていくのが筋じゃないかと私は常に思っているんですが、大臣もう一度、この辺はどうお考えですか、その益金の使い道としては。
  155. 二階俊博

    ○二階国務大臣 自賠責特会の積立金でありますが、累積黒字や累積運用益、これはまずユーザーに還元するのが基本であるという認識は持っております。このため、平成三年、五年、九年、三次にわたる自賠責保険料の引き下げを行ってまいりました。しかし、この間、自動車事故対策センターの療護センターの運営や、介護料の支給、交通遺児家庭への支援等、被害者対策には万全を期してきたところであります。  悲惨な境遇にあります交通事故被害者の救済は重要な課題であります。私は、これは、車社会全体を守っていくために、あるいは、車社会が持っておる負の部分でありまして、国や自動車関係者が目をつぶるとかあるいは避けて通るとかということはできない問題だというふうに認識しております。  運輸大臣として、対策強化を指示するとともに、運輸大臣懇談会に後遺障害部会を最近設置いたしまして、二月から検討を開始したところであり、交通事故被害者救済対策充実に取り組んでまいりたいと思っております。  先ほど委員御指摘のとおり、ユーザーの利益とは何かということを考える場合に、被害者救済に万全の対応をとるということ、そのこと自体、車社会を維持発展させていくということに大いに寄与するわけでありますから、その点も十分配慮してまいりたいと考えております。
  156. 山本孝史

    山本(孝)分科員 自賠責保険そのものを監督していますのは金融監督庁で、その運用益をどうするかというのは運輸省ということですから、先ほどの、懇談会でのいろいろな被害者保護の五条件という報告、これをしっかり尊重して、そういう自賠責の運用をしてくださるかどうか。実は、これは大蔵省というか金融監督庁の方にその話が行くわけですね。したがって、金融監督庁、きょう来ていただいておりますけれども、質問が二点ございます。  一つは、今、自賠責保険の審議をしておられる自賠責保険審議会に被害者の代表が実は入っておりません。この方たちを入れていただきたいということが一つ。それから、先ほど二階運輸大臣から御答弁がありました運輸省の方の懇談会で出しました五つの前提条件、ここはしっかりと自賠責審議会の方でも尊重して、その条件が守られなければこの自賠責の再保険には踏み込まないという御答弁をいただきたいと思います。
  157. 乾文男

    ○乾政府参考人 お答えいたします。  まず第一点の、自賠責審議会に被害者代表を入れるべきではないかという点でございますけれども、現在、自賠審に懇談会を設けまして議論を行っているわけでございます。そうした中で、現在、自賠責保険をめぐる問題につきまして、広く国民、ドライバー、そしてまた自動車事故の被害者の視点に立ちまして、幅広い議論が行われているわけでございます。  私ども、そうした中で、交通事故被害者の観点に立つということの重要性をよく認識しておりまして、懇談会の運営に当たりましても、昨年、交通事故被害者の遺族の方からも直接にヒアリングを行うなど、自賠法の目的でございます自動車事故被害者の保護という観点に配慮してきているつもりでございます。  今後とも、自動車事故の被害者や遺族の方の御意見に十分耳を傾けながら、運営に当たってまいりたいというふうに考えております。  それで、先ほどの、運輸省の出されました五条件を十分に踏まえるようにということでございますけれども、運輸省の懇談会の報告が昨年出されまして、私ども、それを受けて自賠審で検討する立場にあるわけでございますけれども、運輸省の方の検討会の座長でいらっしゃいます西崎先生に二度にわたりまして私どもの自賠審の懇談会に御出席をいただきまして、西崎先生御自身から運輸省の懇談会の模様を詳しく御説明、御紹介いただいたところでございまして、現在、そうした点をも十分に踏まえながら、幅広い観点からいろいろな検討を行っているところでございます。
  158. 山本孝史

    山本(孝)分科員 重ねての質問で恐縮でございますが、懇談会ではいろいろと聞かれておられる、あるいは運輸省の懇談会の座長から報告を聞かれたということですが、自賠審そのものに被害者代表を入れるお考えはないんですか。
  159. 乾文男

    ○乾政府参考人 自賠審の委員の任命ということになりますと、法律で金融再生委員会が任命することになっているわけでございますけれども、現在のところ被害者代表という方は入っていらっしゃらないわけでございます。  今後、そうした問題をどうするかという観点、今の御指摘を踏まえて検討していかなければならない点かと思いますけれども、私どもといたしましては、いずれにいたしましても、先ほど申しましたような、被害者の方から十分に意見を伺う等の方法によりまして、今後とも被害者の方の意見が当審議会の審議に反映されるように努めてまいりたいというふうに考えております。
  160. 山本孝史

    山本(孝)分科員 しっかりとそこは検討していただいて、懇談会で出ている、あるいは外からいろいろな意見でも出ております被害者の声がかき消されないように、しっかり受けとめていただきたいというふうに思います。  重度後遺障害者あるいは高次脳機能障害者という問題、いろいろ出ておるわけですけれども、二階運輸大臣にお伺いしたいんです。  自動車事故対策センターの千葉の療護センターに視察に行かれたというふうにお伺いをしておりますけれども、ごらんになって、どんな印象を受けられたのか、どういう施策が必要だというふうにお考えになったのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  161. 二階俊博

    ○二階国務大臣 私は、昨年十一月でございましたか、テレビで千葉療護センターの模様を見ました。この実情をぜひ自分自身の目で確かめておきたい、そういう思いから千葉の療護センター視察に出向きました。  テレビでもそういう場面がございましたが、同時に、私自身も直接こうした関係者からお話を伺うにつけまして、例えば、交通事故を負った息子がだんだんと年とともに大きくなってくる、つまり重くなってくる、お母さんは年とともに小さくなってくる、この介護に対する大変な負担を言われる方もございます。同時に、もっと胸を打つことは、私は自分の子供よりも一日でも長生きしたい、そう念じております、それから先のことは申し上げる必要もないことだと思います。  こうした方々が全国津々浦々に点在しておられて、私たちのことを考えてくれる役所というのはないのかということを思っておりましたが、運輸省でもそうしたことに対する後遺障害部会などを開いていただいて、我々の意見を聞いてくれるということだけでもうれしいと言って、この間関係者もお見えになりました。  療護センターにお伺いしたときの感想でございますが、私は、これらの障害を持っている方々が社会復帰できるかどうかということにつきまして、関係者が懸命の努力をしておる姿を拝してまいりました。指一本しか正常に機能しない、そういう方でも、一生懸命ワープロの練習をして、そして社会復帰への意欲を持っておられる。あるいはまた、元気なころに、そういう障害にぶつかっていないころに英語が非常に得意だったという少年は、常に英語の勉強をしたいということを希望する、したがって近所の高等学校の先生に特にお願いしておいでをいただいて、今英語を勉強しております。私に対して、英語でごあいさつをしなさいと言われて、一生懸命ごあいさつをしてくださった。  そうしたことを見るにつけまして、私どもお互いに元気な者は、それでもあすは我が身であるわけでありますから、自動車メーカーの皆さんとか自動車産業に携わる人たち、その人たちは直接の原因者と言うわけにはまいらないと思います、しかし、直接の原因者ではないが、お互いに自動車社会を生きる今日、みんなが心を寄せ合うということは必要ではないかということを私は機会あるごとに訴えております。
  162. 山本孝史

    山本(孝)分科員 足を運んでいただいて直接お話を聞いていただいて、ありがとうございます。  私も、わかばの会の皆さん、あるいは大阪の若者と家族の会の皆さん、いろいろな方たちからお話をお伺いさせていただきます。新聞を読んでおりましても、この療護センターは大変大きな役割を果たしていると思うんですが、残念なことになかなか入れないという状態があるわけですね。そこは今、改善策を講じるということでお話をいただいているわけですけれども、この点について、やはり短期入所、ショートステイがもっとできるようにしていったらどうだろうかというお話があります。  もう大臣もよく御存じかと思いますけれども、新聞で紹介をされておりましたある御家庭は、横浜に住んでおられて、九年前の事故で植物状態に陥った次男、二十七歳の入院を千葉に頼んだけれども、千葉は待機者が五十人もいるので、岡山の方が早いからというので岡山に家族全員が移って、今岡山の療護センターに入っておられるというお話も聞かされました。  そんなふうに考えますと、やはり急性期のときにあのセンターでちゃんとした治療を受けて、あるいはいろいろ指導を受けて、あとは民間の病院等、国が協力病院を指定しながら、もっと入りやすくしていくという方策があるのではないかというふうにも思うわけです。この辺は、ショートステイ、今度新しく中部にもできますけれども、どういう形でこのセンターをこれから運営していこうというお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。
  163. 二階俊博

    ○二階国務大臣 仰せのとおり、短期入院、ショートステイにつきまして、重要な検討課題だということを認識いたしておりますので、前向きに取り組んでいきたいと思っております。  なお、こうした、センターに入院されております御父兄や、あるいはまたお子さんたちがそういう立場に立っておられる、重度後遺障害者を持つ子供の御父兄が先般も私のところに訪ねてみえられましたが、千葉の療護センターでも、私たちがこんなことをしてほしい、こういうことをお願いしたいということができれば、もっともっと有効活用できるのではないかというふうなお話もありました。  今、そうしたことを十分運輸省でもお聞き取りをいたしまして、療護センターとも御相談して、そうした関係者の皆さんの、本当に御不自由で大変な、深刻な問題を抱えておられる状況に対して、少しでもそのことを和らげることができるような努力を運輸省としても積極的に取り組んでいきたいと考えております。
  164. 山本孝史

    山本(孝)分科員 今あります資源をできるだけみんなでうまく使っていける方策、いろいろ国の方でもお聞きになっておられると思いますが、とりわけ、利用しておられる皆さんあるいは利用したいと思っておられる皆さんの希望がかなうような形で、国のセンターなりあるいは協力病院のあり方なり考えていただければというふうに思います。  いずれにしましても、入れる施設は大変限られていますので、在宅での療護、看護というものを応援してあげなければいけないということになるわけです。  もう一つ例を紹介させていただければ、これも新聞で恐縮でございますが、三重県の方で、事故に遭われたのが十八年前、小学校二年生のときに長男が軽トラックにはねられた。加害者の側は無免許で、しかも飲酒運転で、任意保険に入っていなくて、結局払われた保険料は自賠責の二千万と、そしてその他、あと分割払いをして、恐らく三千万少ししか入ってこないというお話だと思います。それで、小学校二年生のときから子供をずっと面倒見ていかなければいけない。ちょうどお母さん、そのとき三人目のお子さんがおなかの中にいて、しかも御主人はがんで亡くなられるということで、このお母さん、どうされたかといえば、どこまで介護できるかわからないので、民間の在宅介護センターの隣に賠償金のすべてを使って土地を買って、車いす生活ができる家を建てて三カ月前から暮らし始めた。こういうふうに、すべて御家族が後遺障害が残った御家族の面倒を見なければいけないということになる。  在宅介護というものが、介護保険が四月から始まりますけれども、残念ながら交通事故の被害者にとっては介護保険は使えないわけですね。そういう点からしても、交通事故被害者に対して、今運用益もあるわけですから、もっともっと手厚い在宅介護ができないだろうかと思うわけです。  ここで二点お伺いをしたいのです。一つは、これは運輸省サイドで、在宅介護料の増額というものは検討していただけないのだろうか。今、他人に頼むと一日四千五百円、自分がやると二千二百五十円というのが介護料です。しかし今、介護保険、重度の後遺障害の方を自宅で介護すれば、三十五万円ぐらいまで出てくる。でも、一日わずか二千円とか三千円の話ですと、物すごく少ない金額にしかならないわけですね。そういう意味でも、在宅介護料の増額ができないか。あるいは、他人に頼むと幾ら、自分だと幾らという差額がついています。ここは同額にすることはできないのだろうかということを運輸省の方に。  それからきょうは厚生省からも来ていただいておりますが、こうした遷延性の意識障害、いわゆる植物状態になっておられる方たちの、障害者の療護施設への受け入れ、あるいは在宅での介護の支援策というものをもう少し手厚くしていくことはできないのだろうか。  この二点について、それぞれの省庁から御答弁をお願いします。
  165. 縄野克彦

    ○縄野政府参考人 まず運輸省関係について御説明申し上げますが、今お諮りしております予算案の中におきましても、今先生お尋ねの在宅の介護の実態、それからそもそも障害者の方がどんなふうにおられるのか、在宅がどういうふうにして介護されておられるのか、その家計の状況はどうであるか、ショートステイのニーズはどのようにあるかというようなことについて、実情を把握してまいりたいと思います。  その上で、今御指摘がございました労災保険あるいは新しい介護保険などにつきまして、制度間のバランスの問題、これをどのようにとる必要があるか、具体的な介護料の金額についてお尋ねがございました。  それにつきましても、実態と支給水準につきまして、先ほど大臣から申し上げました後遺障害部会におきまして既に指摘が出ておるところでございますけれども、私どもとして前向きに検討してまいりたいというふうに思っております。
  166. 今田寛睦

    ○今田政府参考人 最初にお尋ねいただきました身体障害者の療護施設でございますが、私ども、いわゆる、交通事故を特定して施策を組んでいるわけではございませんので、一般論という形でお答えするしかないのですけれども。  こういったところで常時介護を必要といたします最重度の身体障害者、これが療護施設にお入りいただくわけでありますが、そこでは当然医学的な管理のもとで必要な処遇を行うということでありますから、遷延性の意識障害者につきましても、身体障害者手帳の交付を受けられるような状態になれば、この施設に受け入れることは可能なわけであります。  現在、平成十年四月現在でありますが、この遷延性意識障害者の約六百五十人が入所いたしております。しかも、平成元年からは、遷延性意識障害者の処遇の向上という観点から、特別介護経費加算ということで若干の手当をつけさせていただいております。  ところが、身体障害者療護施設というのは、御承知のように、必ずしも専門的な医療を行うということでもないために、遷延性の意識障害者の中でも症状が非常に不安定で、常に医学的管理とか専門的医療を必要とするような場合には、必ずしも対応できないというのが現状ではないかと思います。  一般的に、身体障害者の療護施設は、こういった遷延性の意識障害者も含めて、全体としてまだまだ入所ニーズが非常に高うございます。そういうことから、障害者プランに基づきまして、平成十二年度の予算案におきまして、千三百人分を新たにセーブするということで、所要予算の計上をさせていただいているところでございます。  いずれにいたしましても、障害者プランの実施ということで、こういった重度の障害者のための施設の整備には今後とも努めていきたいというふうに思っております。  それから在宅につきましても同様に、交通事故を特定した形での対策ではございませんけれども、それぞれ、身体障害者のための福祉施設でありますとか、あるいは身体障害者のための在宅サービス、あるいは知的障害者のための在宅サービス、それから精神障害者のための在宅サービスというものを、できるだけ垣根を超えて利用できるようにということで、そんな中に、例えば重度の方々が利用できるものがあれば、できるだけ対応できるように努める必要があるのかな、このように考えております。     〔甘利主査代理退席、主査着席〕
  167. 山本孝史

    山本(孝)分科員 自動車交通局長にもう一度お尋ねなのですが、今介護料が出ております。この金額ですね、安いと思っておられるのか、あるいは妥当と思っておられるのか、どうなのでしょうか。上げていこうというお考え、もう少しお示しいただけませんか。
  168. 縄野克彦

    ○縄野政府参考人 先ほど申し上げましたように、具体的にどのような費用がかかっておるのか、どのような介護の実態にあるのかということと、他の制度とバランスがとれているのかどうかという点について、確かに問題意識は持っております。それを見きわめて、バランスがとれるように私どもとして対処してまいりたいと思います。
  169. 山本孝史

    山本(孝)分科員 問題意識を持っているというのは、今の金額は安過ぎるという御認識だと思いますので。  申し上げましたように、介護保険制度が始まります。大体、在宅で気管切開をしながら、しかも医療従事者にしか許されていない医療行為を家族にだけは認めるというような形で、在宅で無理やり介護させているわけですから、そういう意味でも、自賠責という、ある意味では国の税金というのではなくてユーザーがみんなで出し合っているお金をその被害者の救援に使うということに対して、何ら不思議なことはないわけで、そういう意味では、他の制度とのバランス云々というのは、他の制度がおくれているのであって、自賠責が一種日本の人間の命を決めてきたという歴史もあるわけで、逆からいけば、自賠責がもっと充実することが実は日本社会の全体の充実にもなるわけですから、ほかの低い制度に合わせるのじゃなくて、自賠という制度の中で考えていくということは大いにあり得ることだと私は思います。そういう意味で、被害者救済という観点に立った施策をやっていただきたい。それが私は運輸省のお仕事だろうと思います。  そこで、もう一点厚生省にぜひお伺いをしておきたいんですが、高次脳機能障害の方たちが今問題になってきています。実は私の友人もそういう状態になっておりまして、外見は全く同じなんですけれども、すぐ忘れてしまう、出ていったけれどもその道では帰ってこられないとか物忘れが激しいとかという形で、残念ながら仕事につけない状態に今います。そういう意味で、高次脳機能障害、ようやくそういう人たちがいるんだということに注目が集まってきたのかもしれませんが、この障害者手帳の交付という面でももう少し柔軟な対応をしていただけないものだろうかと思っておりますので、この点、手短によろしくお願いします。
  170. 今田寛睦

    ○今田政府参考人 いわゆる御指摘の高次脳機能障害につきましては、いろいろな原因がございます。例えば交通事故による外傷、それから、脳血管障害あるいはアルツハイマー等によっても同様の症状が起こるわけでありますが、これらの調査によりますと、平成八年度の調査では、頭部外傷で高次脳機能障害が起こった人が約二千七百人ぐらいいらっしゃるんじゃないかというふうに推計をいたしております。  こういった方々に対しましての対応でありますが、御指摘のようにこの高次脳機能障害というのは、いわゆる手が動かないとか足が麻痺したとかいうふうに見えれば理解もできるわけですけれども、必ずしもその状態が十分に理解できないということで、今の福祉施策で申し上げますと、例えば身体的に障害があれば、身体障害者の福祉施策活用できますし身体障害者手帳が得られる、同じように、知的障害者であれば知的障害者手帳がもらえる、精神障害者であれば精神障害者の手帳がもらえる、こういう仕組みになっているわけでありますけれども、高次脳機能障害について、それぞれの認定についても基準がございますので、その基準に照らして一定の等級を決め、あるいは手帳を交付する、こういうことになっております。  今申し上げましたように、その把握がしにくい、つまり、他人から見るとよくわかりにくいということの御指摘がございます。したがいまして、この高次脳機能障害につきましてまず行政窓口でその実態を十分把握できる、その辺をもうちょっと理解させる必要があるのじゃないか、そうすることによってその人が持っている障害に見合ったいろいろな福祉サービスというものを提供し、また、手帳の交付を行うということで、それについての窓口での難しい判断をできるだけ適切に行うということで、先般ガイドラインを取りまとめたところであります。  このガイドラインにつきましては、ことしの三月、来月になりますけれども、担当者会議を行うわけでありますが、そこでこのガイドラインをまず配付して、一体、その高次脳機能障害というのはどういう形であらわれるのか、あるいは、それらについてどういうサービスが提供できるのかといった点をまとめたものがございますので、そういったことで行政担当者にもそういったものをお示しして、的確な判断あるいは遺漏のない判断というものをこれからもきちっとしていく必要があるんじゃないか、このように思っております。
  171. 山本孝史

    山本(孝)分科員 ぜひお願いしたいと思います。  大臣もさっき英語でしゃべりたいと思っておられる方がおられたというお話をされました。いわゆる植物状態といことでもう何もできないということじゃなくて、きっちり意思の疎通もできるわけですね。事故から八年たって、八カ所目のリハビリ専門病院で五十音順が書かれた透明なシートを使って意思疎通の訓練をしたら、ちゃんと言葉が、会話が通った、意思が疎通したということもあります。そういう意味では、早く対応する、しかも、もうだめだと思い込んだものではない、医学は進歩してきているわけですから。  そういう意味でも、自動車事故対策センターのこの療護センター、大きな意味があると思いますし、自賠責の問題については、大臣がおっしゃっていただいたように、まず廃止ありきではない、全くそのとおりで、やはり、被害者のいないところでその制度のやり方を、この将来を決めていくということの絶対ないようにしていただきたいということをもう一度お願い申し上げまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  172. 村田吉隆

    村田主査 これにて山本孝史君の質疑は終了いたしました。  次に、吉田公一君。
  173. 吉田公一

    吉田(公)分科員 きょうは、財団法人タクシー近代化センターについて主に質問をしたいと思うんですが、その前に、タクシーの規制緩和について最初にお尋ねをしたいと思っております。  非常に経済不況の中でだんだんタクシーに乗る人が少なくなってきているわけでありますが、そういう状況下において規制緩和で増車をしている。これで増車をしないのか、なお増車を進めていくのか、まず基本的な考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  174. 縄野克彦

    ○縄野政府参考人 道路運送だけではなくて、運輸事業につきまして規制の見直しをしております。路線バスとタクシーにつきまして、できれば今国会に改正法案をお出ししたいと思っておりますが、その基本認識は、需給調整、つまり、需要に見合った供給力を設定するということで規制をしてまいりましたが、基本的には、経営の規模、つまりタクシーでいえば、台数あるいは新規参入、そういうものについて基本的には経営判断にゆだねたいということを基本にして、それがいい意味での競争、利用者の利便の向上につながるのではないかというふうに考えております。  ただ、タクシーのように、投下資本が非常に小さくて、人件費が八割を占めるというような特性があるものについて、著しい供給過剰になった場合にどうするかということについて一定の措置が必要ではないかということを考えておりまして、それを法案の内容に盛り込みたいというふうに考えております。
  175. 吉田公一

    吉田(公)分科員 この資料にありますが、増車台数その他、おおむね書いてあります。しかし、何でもかんでも規制緩和、規制緩和という声で、規制緩和をしてもいいけれども、しかし、事実上の人たちが、既存の事業者生活ができなくなったり、あるいはまた、増車によってそれぞれの人たちが廃業したり希望者が少なくなってきたり、そういうことであっては規制緩和の本来の目的ではないので、そういう点は何でもかんでも規制緩和すればいいというものではない。  だから、既存の人たちが、タクシーにしたって大蔵所管の酒屋さんにしたって、みんなやはり今まで指導してきたり許可してきたり厳しい審査をしてきているわけですから、急に規制を緩和して需給調整なんていったって、需給といったって、人が乗らないんだもの需給調整にならないじゃないか。今見てごらんなさい。駅はそこらじゅう空車だらけじゃない。それでも需給調整とこう言うの。
  176. 縄野克彦

    ○縄野政府参考人 これまでは、タクシーにつきましても、新規参入あるいは増車の申請がある場合に、それに見合う新たな需要があると認められるときに免許なり増車の認可をしてまいりましたが、基本的には、それを申請者、事業者の判断にゆだねたいということでございます。
  177. 吉田公一

    吉田(公)分科員 規制緩和によって新規参入や増車は、大体一台増車すると二・三人の雇用があると言われているわけです。だから、雇用するための規制緩和なのか、あるいは、お客さんがいっぱいいるから規制緩和をして車をうんとふやすのか、どっちなんですかね。
  178. 縄野克彦

    ○縄野政府参考人 需給調整は、安定したサービスという意味で、かつ、免許を得た事業者に安全で利用者利便の高いサービスを約束してもらって提供してもらうという意味では役割を果たしてきたというふうに思います。  ただ、逆に言いますと、需要が伸び悩んでいる中で需給調整を続けることの弊害も一方にございます。新規参入あるいは意欲のある事業者の増車というものができないわけでございまして、これにつきましてはいろいろな御意見がございますが、運転者の処遇、いい意味でのサービス、そういうものについてのいい意味での競争、切磋琢磨によって業界が活性することが一方で求められているのではないかというふうにも考えております。
  179. 吉田公一

    吉田(公)分科員 だけれども、局長の言っていることは全く一般論であって、そんなのは当たり前の話。したがって、それだけで増車をするなんという理由にならないので、じゃ個人タクシーの人たちはどうするの。事業者は経営者の判断でやるのはいいけれども、個人タクシーの人は判断できないじゃない。
  180. 縄野克彦

    ○縄野政府参考人 御承知のように、日本のタクシーにつきましては、法人タクシーを基本としてまいりました。ただ、長く法人タクシーの乗務員を勤め、無事故無違反といういい実績を残した方に将来の希望を与えるべきということで、個人タクシーの制度が創設されたわけでございます。  私どもとしましては、個人タクシーはそういう意味での位置づけであるということについて、今回その基本的な制度はそのままでいいのではないか、基本的には法人タクシーに経営判断の上で参入、事業運営をしていただきますけれども、個人タクシーについては、先ほど申し上げましたような観点から、一定の実績、それから資格、能力を持った人に、別の観点から事業をしてもらうという考え方でまいりたいというふうに思っております。
  181. 吉田公一

    吉田(公)分科員 それでは今度は、大臣、東京と大阪にしか近代化センターというのはないものですから、特殊な近代化センターでございまして、それを暫定措置ということで臨時措置法でいつまでも、これは約三十年たつわけだ、東京、大阪しかないものを臨時措置法でいつまで置いておくのか。そんなに必要なら、臨時措置法じゃなくたって、きちっとした法律をつくるべきであって、よく臨時措置法とかなんとかいって何十年もやる癖があるけれども、この措置法をいつまでほっておくのですか、臨時措置法だなんていって。
  182. 縄野克彦

    ○縄野政府参考人 御指摘のように、タクシー近代化センター、タクシー業務適正化臨時措置法につきましては、臨時措置ということで東京、大阪のような大都市におけるタクシーの実態に即して創設されたものでございます。  今回、タクシーの規制のあり方を見直すに際しまして、この法律についてあわせて見直しを私どもとして行いまして、できれば、東京、大阪の流しタクシーがメーンであるという実態から、この臨時措置法につきましては恒久化することが必要ではないかということで、そのような改正法案を提案したいというふうに考えておるところでございます。
  183. 吉田公一

    吉田(公)分科員 時間がありませんから、はしょってどんどん質問させていただきますが、財団法人という以上は財団法人の業務をちゃんとしなきゃいけないと思っています。とかく評判が悪いのは、近代化センターがよく運転手の人たちを、指導するならいいけれども取り締まりをしているみたいなことをやって、何の権限もないじゃないか、近代化センターに。行き過ぎているところがたくさんある。  財団法人なんだから、あくまで指導をするということが大事なんで、指導を飛び越えて、警察官だってしないようなことをやっている。警察だってちゃんと警察官職務執行法という法律に基づいてやっているわけで、言いわけをしたり言い分を言ったり説明をしたりすれば反抗的な態度だと言って、これは処分の対象になるみたいなことを言っている人がいるけれども、とんでもない話だと思うのです。局長、ちゃんとそれは答えて、記録に残しておいてくださいよ。
  184. 縄野克彦

    ○縄野政府参考人 先生おっしゃられますように、近代化センターの指導員の仕事は指導でございまして、取り締まりと受けとめられるような言動があったとすれば適切ではないと考えるところでございまして、適切な指導が行われるように、私どもとしてもきちんと監督をしてまいりたいというふうに考えております。
  185. 吉田公一

    吉田(公)分科員 タクシーの人の教育指導はやっているけれども、取り締まる人たちの指導教育なんて本当にやっているのかね。  それからもう一つついでに、専従指導員という人が、銀座が主なんだけれども、銀座で、混乱をするということで乗り場を決めましたね。その乗り場がかえって乗客には不便で、あそこはタクシー乗り場、こっちは個人タクシー、こっちは営業車なんていって、乗り場を決めているわけです。お客さんにしてみれば、事前でとめる人もあれば、事前でとめれば、おまえ、乗車拒否しちゃうんじゃないかと言われる。こっちから行けば、乗り場指定があるのに何で乗っけたんだ、こうなる。そんなあいまいな、どっちにも理由がつけられるようなものを存置しておくということ自体がおかしいと思う。銀座なんかやめた方がいい。
  186. 縄野克彦

    ○縄野政府参考人 近代化センターの指導員に対しましては、私どもいろいろな形での監督指導をやってまいっておりますし、今後とも充実してまいりたいと思います。  銀座の乗車禁止地区の問題でございますけれども、これまでも先生からそのような御指摘がございました。現在、御承知のように、午後十時から午前一時までの間、タクシー乗り場として指定されたところ以外での乗車を禁止しております。  これは、いわば乗車秩序といいますか、運転手さんの方の客選び、長距離客を選ぶというようなことがないように、そういう観点から、お客様から見ていましても、非常にタクシーとお客さんの双方の数が多い地区でございますので、私どもとしましては、必要性はあり、定着しているものと思っておりますけれども、先ほど御指摘されましたように、そういうことを知らないお客様がそれ以外でタクシーを拾おうとする、運転手さんはそれを断る、指導員がそれは違反だというようなことは、確かにこの必要性についての、この制度についての認識のPR不足であろうとも思いますし、私どもとしましては、必要性、必要があるとすれば、その制度をきちんと御認識していただき、PRするというようなことがさらに必要かなというふうに思っております。  必要か必要でないかということにつきましては、利用者あるいは道路管理者、警察等の意見もさらに聞いて、私どもとして判断してまいりたいと思っております。
  187. 吉田公一

    吉田(公)分科員 聞いて対処するなんていったって、行政処分の対象になるんだから、事は重大なんです。聞いてから判断するなんという話じゃなくて、しかも指導員の話が優先的なんだ。  乗り場で、前でお客さんは知らないから手を挙げる。そうしたらタクシーの方は、あそこに乗り場がありますから向こうで乗ってください、乗車拒否だって言うんだよ。それで今度は、乗っければ指導員が来て、乗り場は向こうにあるじゃないか、何でちゃんと乗り場を守らないんだ。これまた行政処分の対象だ。そんないいかげんな取り締まり。  行政処分というのはその人の生活にかかわることだからね。だから、行政処分をするということは、その人の身分にかかわることだから、そんなあいまいな、どっちにでもとれるようなことで取り締まるなんということは不届きな話だと思っているんだ。ちゃんとしなきゃだめだ、それは。
  188. 縄野克彦

    ○縄野政府参考人 先ほど御説明申し上げましたように、運転手さんがこの禁止措置をお客様に御案内して結果的にお客様がそれに乗れなかったということは乗車拒否には当たらないと思います。それが指導員に見つかるところとなり、処分の対象あるいは処分だというような警告を受けたとすれば、それは本意ではございませんので、さらに指導員に対する私どもの教育、監督を徹底してまいりたいと思います。
  189. 吉田公一

    吉田(公)分科員 要するに、銀座を廃止すれば済む話なんですよ。もう三十年以上もたって、まだ日本がバブルの高度経済成長のときに、銀座華やかなときに、混乱しちゃいけないと決めた話だ。それをまだ置いておいて、つまり指導員のために置いておくようなものじゃないの。これを外しちゃったら指導員が行くところがないものだから、じゃもっと指導員の人を散らばらせればいいじゃないの。何も銀座に集中して、隠れて取っつかまえてみたり、あげくの果てに、ちゃんとした説明をすれば、反抗的な態度だ、それはおまえ行政処分の対象になるぞと。警察官だって反抗だけじゃ処罰にならないよ。公務執行妨害というのは、手を出さなければ公務執行妨害にならないんだよ、口頭で言っている分には。それを近代化センターの職員だけは、反抗すれば、何回もやれば行政処分の対象にしてやるなんという話は、もう言語道断な話だと思う。どうですか、局長。廃止する気はないのですか、銀座は。
  190. 縄野克彦

    ○縄野政府参考人 いわゆるバブルあるいは昭和四十年代におきまして、逆の意味で、神風タクシーでありますとか乗車拒否が起こった事態を踏まえてこの制度ができ、銀座のシステムができているわけでございます。  現在、逆の意味でタクシーとそのお客様の状態が生じております。こういう状態の中で、やはりタクシーの運転手さんが長距離客を選別するというようなおそれがないのかどうか、それから全体の交通管理上適切であるのかどうか、そういう観点から、御指摘のような意見も踏まえて、警察あるいは利用者、道路管理者の意見も聞きまして、私どもとしてはなおこの制度が必要であると思っておりますけれども、さらに見直しのための議論をしてみたいというふうに思っております。
  191. 吉田公一

    吉田(公)分科員 それから、個人タクシーの試験というのは、これは国家免許ですか。
  192. 縄野克彦

    ○縄野政府参考人 個人タクシーの事業免許そのものは国家免許でございます。
  193. 吉田公一

    吉田(公)分科員 個人タクシーの試験には二つあると聞いていますが、一つは法令試験だ、一つは地理試験だ。この地理試験だけは近代化センターに任せているのですね。なぜですか。
  194. 縄野克彦

    ○縄野政府参考人 事業免許は国家免許でございます。  それから、先生御案内のように、東京、大阪につきましては、指定地区におきましては、運転手さんは登録をされた運転者でなければタクシーの乗務員として事業を行ってはならないということでございまして、その中で、その登録の要件としての地理試験、これは制度上は基本的に国家試験でございますが、その国家試験を指定機関、東京と大阪の近代化センターに、運輸大臣のかわりとして地理試験を行わせておるわけでございます。
  195. 吉田公一

    吉田(公)分科員 需給調整ということで、試験合格者も今待機しているのかな。それで、くじ引きなんかで認可を決めているということを聞きましたが、それは本当の話ですか。
  196. 縄野克彦

    ○縄野政府参考人 先ほど申し上げましたように、個人タクシーの制度というものが現在の需給調整とは別の観点から創設されたものでございます。需給調整の中で、個人タクシーさんの中で、先ほど申し上げましたような実績、能力のある方の中でどのような人に免許を与えていくかということについては、公正にこれを選抜する必要があるのではないかというふうに考えております。
  197. 吉田公一

    吉田(公)分科員 要するに、免許を与えるときに、試験合格者の中からやるわけですね。そのときに、局長、くじ引きで決めているの。
  198. 縄野克彦

    ○縄野政府参考人 大変申しわけありませんが、くじ引きであるかどうかは、私、今ここで承知しておりませんが、同じ能力の、つまり先ほど申し上げましたように、選抜制といいますか、一定の能力、実績を持った人に将来の希望として事業免許を与えるという制度でございますので、そのような方が、仮に今の需要状態から見てそれを超える人数がおられた場合にどのように選抜するかということにつきましては、何らかの公正な方法が必要ではないかというふうに考えております。
  199. 吉田公一

    吉田(公)分科員 だって、需給調整というのはそちら側でやっているわけでしょう。需給調整というのは運転手が決めるわけじゃないのだから、試験合格者が決めるわけじゃないのだから、そちらの判断で決めているわけだ。だから、合格者はてっきりもうタクシーの運転ができると思っているわけだ。  それを待たせるということになれば、大変な試験勉強をしてみたり、あるいはあらかじめ車庫を決めたり自動車を決めたりしているわけで、その人が試験に合格したから合格すると思ったら猶予期間を与えられてしまった。どれぐらいの猶予期間を与えているのですかね。全部合格するのですか、最後は。
  200. 縄野克彦

    ○縄野政府参考人 二つございまして、個人タクシーにつきましても、現在は需給調整の基本的な大枠の中で判断をさせていただいているということでございます。それともう一つは、法人タクシーを長くやられた方の希望ということでございますので、私どもとしましては、すべての方が直ちに資格を持ったら事業ができるということにならないということについてもやむを得ない面があるのかなというふうに思っております。
  201. 吉田公一

    吉田(公)分科員 そうすると、試験に合格しても最後までタクシーには乗れないという人も出てくるのはやむを得ない、そういうことですか。
  202. 縄野克彦

    ○縄野政府参考人 最後までというのはあれでございますが、私どもとしましては、この個人タクシーの制度の趣旨からいいまして、できるだけそういう十分な能力、実績のある方については何らかの方法で個人タクシーの事業免許が得られるようにしてまいりたいと思っておりますが、すべての方について直ちにということはなかなか難しい場合もあるということを申し上げたわけでございます。
  203. 吉田公一

    吉田(公)分科員 直ちに難しいといったって、自分たちで試験をやっていて合格者をちゃんと選んで出しておいて、直ちに難しいということはないじゃないですか。  試験合格者は必ずタクシーに乗れるように、あらかじめその範囲の中で試験合格者というのを決めるのが当たり前の話で、国家公務員や地方公務員みたいに一年間名簿が猶予できるなんという、そんな適用をする必要はないのです。だから、試験合格者はそうやってそちらが選ぶのだから、ちゃんと試験合格者は、あるいは個人タクシーの免許が取れる者は何人と大体わかるわけだから、最後にくじ引きだかいつ免許を与えて運転させるのだかわからないなんて生殺しみたいなことを平気でしておくなんということ自体がおかしいじゃないですか。それはどうなんですか。
  204. 縄野克彦

    ○縄野政府参考人 個人タクシーの運転手さんの方からそういうような不満、不公平感というものが出ないように、免許制度のあり方について、今回の制度改正を機にもう一度個人タクシーの具体的な事業免許のあり方についても見直しをしたいというふうに思っております。
  205. 吉田公一

    吉田(公)分科員 「タクシー近代化センターの概要」というのをいただきました。その中に、運営費、一般四万六千百円、ワゴン一万五千二百円、それぞれ書いてあります。個人タクシー一万八千五百円。  これは、今まで値上げをしてきたのですか。それとも、なぜ一万八千五百円、これは大阪も東京もそうですけれども、どういう基準で負担金を決めたのですか。
  206. 縄野克彦

    ○縄野政府参考人 適正化事業実施していく中で、法人と個人のそれぞれの営業の実態、そういうものを勘案して、負担金の額として一台当たりとして決めておるものというふうに承知をしております。  これまでどういう額の変遷があったか、ちょっと私、今手元にデータがございませんで、後ほど御説明させていただきたいと思います。
  207. 吉田公一

    吉田(公)分科員 発足以来、職員の数はふえたのですか、ふえないのですか。
  208. 縄野克彦

    ○縄野政府参考人 現在、御案内のように、そこに書いてございますが、東京は二百十九人でございます。  ちょっと発足以来の人数の変遷について手元に資料がございませんので、後ほど御説明させていただきたいと思います。
  209. 吉田公一

    吉田(公)分科員 とにかく、年間、個人タクシーで一万八千五百円、それから一般というのは、これは普通法人タクシーのことをいっているのだろう、こう思いますが、四万六千百円も取っているじゃないの。しかも、これは料金にかぶさってくる話であって、最終的にはお客さんが払うということになっているわけですね。  だから、職員の人数をふやさず経費を減らそうという努力をしていかなければいけないのだけれども、東京、大阪タクシー近代化センターの十一年度の予算内容を見ると、八億三百万円とか三億八千万とか、こういうよくわからない、その他でもって三億だ、それから管理費で四億三千万か、それから指導業務料が八億だとか。財団法人であって、人からお金を徴収してやっている以上は情報公開しなければいけないと思うのだけれども、これ以上詳しいことをちゃんと払った人に明示しているのですか。
  210. 縄野克彦

    ○縄野政府参考人 公益法人として必要な情報公開、例えば、閲覧の請求があれば閲覧に応じるという意味での情報公開はしております。
  211. 吉田公一

    吉田(公)分科員 閲覧をしなければ公開しないなんという、閲覧なんか求める人はいやしないでしょう、みんな。  では、一人でも閲覧を要求したら全部出すのですか。
  212. 縄野克彦

    ○縄野政府参考人 閲覧は、人数にかかわらず、求めに応じて閲覧の対象になるはずでございます。
  213. 吉田公一

    吉田(公)分科員 これだけのお金を人から徴収しておいて、閲覧をしなければ公開しないなんという話はないので、どこだってそうでしょう、会費を納めたら会計報告というのは毎年度やっているじゃないですか。我々のクラス会みたいなところだって幹事をやった人はちゃんと、会費は幾ら、残高が幾ら、足りない分は幾らとクラス会でさえやっているのに、人の金をこんなに、一万八千五百円も集めておいて、タクシーから四万六千円も集めておいて公開しないというのはおかしいでしょう。
  214. 縄野克彦

    ○縄野政府参考人 先生お尋ねの、その業務にかかった費用、その業務の内容の適否、合理化の余地がないのか、それから今お尋ねの、公開をもっと積極的にするべきではないかという経営の改善について、御指摘を踏まえて、私どもも必要な監督をしてまいりたいというふうに思っております。
  215. 吉田公一

    吉田(公)分科員 そして、この予算内容を、これはいただいたのですけれども、人件費というのが出ていない。だって、こんなにたくさんいるんだからちゃんと人件費が幾らだということを明快にしなければおかしいでしょう。業務費だとか管理費なんというところへ埋没させてしまって人件費が浮き出てこないようにやっている。そういうことがおかしいというのですよ。  これは、常勤役員三人というのは、出身はどういう人ですか。
  216. 縄野克彦

    ○縄野政府参考人 三人のうち、東京でございますと関東運輸局の出身者が二名、警視庁の出身者が一名でございます。
  217. 吉田公一

    吉田(公)分科員 もう時間がございませんからこれで終わりにいたしますが、二階運輸大臣につきましては、東京鉄道整備のために日ごろから大変御高配をいただいておりまして、東京出身の者として厚く御礼を申し上げる次第でございます。どうもありがとうございました。  以上をもって質問を終わります。
  218. 二階俊博

    ○二階国務大臣 東京鉄道は引き続き努力をしてまいりたいと思いますが、タクシー近代化センターのあり方について、先ほどから吉田委員の熱心な御議論を伺っておりまして、需給調整規制の廃止等タクシー制度を見直す中で業務全体について点検を行い、必要な改善を行ってまいりたい、そう考えておる次第であります。
  219. 吉田公一

    吉田(公)分科員 どうもありがとうございました。
  220. 村田吉隆

    村田主査 これにて吉田公一君の質疑は終了いたしました。  次に、松本善明君。
  221. 松本善明

    松本(善)分科員 きょうは、運輸大臣に、東北整備新幹線と東北本線の存続問題について伺いたいと思います。  これは、岩手県とか青森県とか、地元でもマスコミを含めて大きな問題になっておりますが、やはり、在来線新幹線のあり方とか、日本の貨物輸送の問題、交通政策の根本にかかわる問題でもございますので、伺いたいと思います。  東北新幹線の盛岡—八戸間は、総事業費四千八百四十億円に対して、二〇〇〇年度までを含めますと三千五百八十二億円余りの事業費を投入し、進捗率は七四%です。また、八戸—新青森間についても、総事業費四千八百億円に対して、二〇〇〇年度までに百八十七億を投入して、四%弱の進捗率ですが、東北本線の在来線存続に対しては、一体国は何をしたのでありましょうか。
  222. 安富正文

    安富政府参考人 現在の東北本線の在来線自体につきましては、JR東日本が経営しているわけでございます。そういう意味で、現在、JR東日本において適切に事業運営がなされているものと考えております。  お尋ねの点が並行在来線ということでございましたら、後でまた申し上げるかと思いますが、我々として、並行在来線については、税制上の優遇措置等についていろいろ支援していきたいというふうに考えております。
  223. 松本善明

    松本(善)分科員 基本的に、やはり、答弁を聞いているとかみ合わないのですよ。私は、基本的に、わからないならわからないでもいいから、やはり運輸大臣中心で答えてもらいたいと思います。  これは全く答えていないのだけれども、並行線については、JRの経営から分離するという政府・与党間の申し合わせが九六年十二月に行われていますね。しかし今、県だとか市町村だとかでは、通勤通学、通院、買い物など、高齢者や障害者、住民生活の基礎になるもの、これを本当に地元では苦慮しているのです。例えば、高校生。岩手の県立の一戸高校では、生徒数約五百人のうち、約半数の二百三十人が電車通学をしております。  こういう問題があるのですが、この政府・与党間の申し合わせ、これは法的根拠がありませんし、地元住民の合意もない。単なる申し合わせで一方的に経営分離をして、あとは地元負担によるというのでは、これは公共交通機関としての国の責任を放棄するということにはなりませんか。  運輸大臣、どうお考えですか。
  224. 二階俊博

    ○二階国務大臣 新幹線の開業に伴い、JR東日本から経営分離される東北本線盛岡—八戸間については、優等旅客が新幹線に移転するために収入減とならざるを得ませんので、厳しい経営状況になるわけでありますが、一方で、運営経費については、第三セクターへの移行により相当の削減が可能となるものと考えております。いずれにしましても、具体的な収支については、現在、並行在来線を引き受ける岩手県、青森県において、それぞれ詳細な検討がなされているわけであります。  なお、昨年十月に岩手県が公表した収支見通しに関する調査結果では、第三セクター並みの運賃に引き上げても、開業初年度は七億円の赤字が見込まれるということになってございます。
  225. 松本善明

    松本(善)分科員 運輸大臣、こういうことを考えられたことがあるかどうかはわかりませんが、八戸から新青森間で見ますと、新幹線在来線、並行とはとても言えないですね。新幹線は八甲田の山の中を走って、在来線は陸奥湾沿いに走るわけです。  下北半島は今でも過疎地帯ですけれども、その玄関口である野辺地を東北本線は通っていますが、今度はここを新幹線は通らないわけです。そうなりますと、野辺地でも大問題になっていますけれども、これを玄関口とする下北半島はいわば陸の孤島になってしまうのですね。そういう問題を運輸大臣、考えたことがありますか。
  226. 二階俊博

    ○二階国務大臣 新幹線建設に対しましては、並行在来線というものを分離して第三セクター等へ移行するということが条件になっておりまして、それでもなお新幹線建設を希望する地域の熱い期待といいますか、要望によってそういう方向が選択をされておるものでありまして、運輸省としてわざわざそれを取り外すことを当初から考えておったわけではありません。
  227. 松本善明

    松本(善)分科員 地元が要望するといっても、では、地元の人たちが交通問題で困るということを国は考えなくてもいいというわけにはまいらないと私は思います。実際に困る人たちがいっぱい出るわけですから。  それで、野辺地の町長も、地元地元と言われるけれども、納得してないですよ。新幹線に対する思いを述べたというのに、何でこのような不公平な扱いを受け、いじめを受けるのかということまで言っていますよ。もう一度、いま一度、国に対して政治的に訴えに行かなければならない、将来に禍根を残してはならぬ。これは九九年十一月十五日の在来線対策青森県協議会での野辺地の町長の発言であります。  だれが見ても、さっき言ったようになるんですよ。それは地元が要望したからしようがないということで、運輸大臣もそれでいいのですか。それで済ませられますか。
  228. 二階俊博

    ○二階国務大臣 私たちとしては、すべての国民の足を担うといいますか、そういうことに配慮をすべきだと思いますが、在来線在来線新幹線新幹線でということになりますと、現在の財政事情の中におきまして両方を全うしていくということは極めて困難な情勢の中にあって、やむを得ざる措置として、今日、先ほどから委員御指摘のような状況に相なっているものと考えております。
  229. 松本善明

    松本(善)分科員 だから私は、やむを得ないというのではなくて、やはり整備新幹線の計画そのものを、やはりJRの責任も明確にして、その負担問題も含めまして、在来線存続、そして地元には迷惑をかけないという観点から見直すべきじゃないか。私どもも新幹線が通ることについては反対でありませんけれども、在来線の存続ということと、地元負担をなくして国の責任を中心にしてやるべきだという立場であります。  やはり新幹線開業に合わせて、今言ったような、本当に下北半島の人なんかどうなるかと思いますよ。開業と合わせて在来線も残して走行する、地元の皆さんには余り迷惑はかからないという方向で、私はこの整備新幹線の問題についてやはり方針を見直すべきではないかと思いますが、運輸大臣、どうお考えですか。
  230. 二階俊博

    ○二階国務大臣 新幹線建設に当たっては、国ですべてをやるわけではございませんので、当該のJRがこの着工に同意するかどうかということが極めて大きな要素になっております。  いずれのJRにいたしましても、並行在来線を引っ張ったままで、引きずったままで新幹線に着工するということに関しましては、極めて強い抵抗といいますか、そのことに対して同意するということはなかなか困難な状況にある今日であります。
  231. 松本善明

    松本(善)分科員 運輸大臣、これはJRの立場だけ考えるというわけにはいかぬのじゃないですか。やはり国の交通政策の問題ですから。  特にそのことがはっきりするのは、やはり貨物ですよ。東北本線では、日に四十八本もの貨物列車が走行しております。その九割は、北海道首都圏を直結する我が国物流の大動脈です。JR貨物の総輸送量二百二十七億トンキロのうち、一八%、四十億トンキロを占めております。整備新幹線の関連線区では最も大きいですよ。  JR貨物は国鉄改革の中で全国一元化の独立した事業体として発足したのではありますが、しかし、鉄道貨物輸送のあり方についてはやはり国が方針を持たなければならない。  九七年四月十五日の衆議院運輸委員会附帯決議では、「政府は、次の事項について特段の配慮をすべきである。」として、「整備新幹線建設に伴う並行在来線の経営分離によって、将来JR貨物の輸送ネットワークが寸断されないよう、万全の措置を講ずること。」こう求めている。  これは、第三セクターだけに任せていきますと寸断されるおそれがあります。この附帯決議を実行するという決意は政府にありますか。
  232. 二階俊博

    ○二階国務大臣 JR貨物が国民生活及び日本の産業に果たす役割というものは極めて大きいものでありますから、JR貨物の経営状況等を考えながら、JR貨物に何をなさなくてはならないかということを、今運輸省としても十分考えております。今議員御指摘のように、寸断されることのないよう、最善の努力をしてまいりたいと思います。
  233. 松本善明

    松本(善)分科員 そうすると、どうやって寸断されないように貨物輸送を確保するかという問題です。  新幹線の上は貨物は走行しないということを九八年六月に決めている。奥羽本線を迂回ルートとして使用するということになりますと、JR東日本は、貨物のために投資を行う理由はないと言っているのですね。投資額は約一千億から二千億ぐらい、あるいはそれ以上になるかもしれぬということをJR貨物の担当者は言っております。  もし、そういう方針で、東北本線も使わない、それでもし単線になるということになったら、分断されることになるのじゃないですか。単線にならないというために、貨物輸送は東北本線でちゃんとやっていくのかどうか。やっていくのならば、国としてその責任をとるのかどうか。その点は、運輸大臣、どうですか。
  234. 二階俊博

    ○二階国務大臣 JRから経営分離される並行在来線利用して鉄道貨物輸送を行う場合の線路使用料等について、経営分離後も適切な線路使用料を確保することとし、関係者間で調整を図る旨の平成八年十二月の政府・与党合意に基づき、まずは青森県、岩手県、両県におきましてJR貨物と協議を進めているところであります。  運輸省としては、現在行われております両県とJR貨物の協議の状況を見ながら、適切な線路使用料が設定されるように努力をしてまいりたいと思っております。
  235. 松本善明

    松本(善)分科員 しかし、それが赤字なんですよ。だから、それをどこが負担しなければいかぬのか。  鉄道局長に。あなたは簡単に聞いたことだけ答えなさいよ、ごちゃごちゃほかのことを答えられると困る。  JR貨物は経常損益連続赤字で、九八年度七十二億円の赤字で、奥羽本線に投資するという負担能力はないのではないかと思うけれども、この赤字の状況をちょっと簡単に、そのとおりでいいならそのとおりと。
  236. 安富正文

    安富政府参考人 先生指摘のとおり、今JR貨物については七十数億円の赤字という状況になっております。
  237. 松本善明

    松本(善)分科員 運輸大臣在来線の上を貨物を走行させる、これを第三セクターでやりますと、通常かかる経費をやはりJRか国かが負担すべきである、それでないとできないですよ。岩手県と青森県で計算させていると。これは、そんな赤字は受け入れられないと言っています。これにかかる通常経費をやはり国で負担する考えがあるかどうか、伺います。
  238. 二階俊博

    ○二階国務大臣 御質問のJR貨物の青森、岩手の問題でありますが、JR貨物は全国津々浦々に走っておるわけでありまして、今日まで私どもは一定の方式でもって対応してまいりましたので、青森、岩手だけをどうするということを今直ちに御答弁することは極めて困難でありますが、今議員が御指摘になっておられる点につきまして、私どもとしましても適切な線路使用料の設定を図るなど、今後JR貨物の運行に支障を来さない努力を、政府としても何らかの対応を図っていかなくてはならない、こう考えております。
  239. 松本善明

    松本(善)分科員 運輸大臣、通常経費と言いましたのは、ただ言ったわけじゃなくて、いわゆるアボイダブルコストという回避可能経費だと少なくなるのですよ。実際通常かかる経費、これは、報道によりますと二十五億円ぐらい。現行の盛岡—八戸間で貨物使用料は今約六億円ですが、通常経費にすると約二十五億円になります。  やはりこの問題で岩手、青森県民に貨物の負担を負わせるというわけにはいかないと思うのです。これはやはり国が責任を持つとはっきり言えますか。
  240. 二階俊博

    ○二階国務大臣 運輸省として、いかなる方法があるかということを検討してみたいと思っております。
  241. 松本善明

    松本(善)分科員 運輸大臣、その程度ではちょっと困るのですね。といいますのは、岩手県知事は九九年九月二十二日の記者会見で、岩手県にその負担がかかるというのならば、乗り入れ拒否の姿勢を示しています。その後、岩手の県議会でも、こんなにかかるのだったらもう来てもらわなくてもいいというぐらいの意見になりつつあるそうです。それはもっともなんですね。何のプラスもない、全国的な貨物の動脈を維持するというために何で岩手県が負担をしなきゃいかぬ。これは納得しないですよ。  だから、検討するというよりは、やはり国が負担をしてでも、そこまでまだ議論が進んでいなければ、国が負担をしてでもこの貨物輸送の大動脈は国の責任で維持する、そこぐらいは言ってもらわないと困るのです。
  242. 二階俊博

    ○二階国務大臣 岩手県知事も再三お見えになりますが、まだ岩手県知事からそのような問題について一言も伺ったことはございません。伺ったことがないからといって今議員御指摘のことに関して何も疑問を呈するわけではありませんが、今の御意見に対しまして、私どもとしては、今後JR貨物の将来も含めていかにあるべきかということを真剣に検討してみたいと思います。
  243. 松本善明

    松本(善)分科員 前向きの答弁と受けとめて、次へ行こうと思います。やはり、在来線の維持存続を図る、第三セクターに任せてそれは分断されない、そういうために、JR東日本にも応分の負担を求めることも含めて、在来線の存続のために検討してほしいと思います。  ところで、現在東北本線の盛岡—青森間の収支はどうなっていますか、鉄道局長。赤字ですか、どのくらいの赤字ですか。
  244. 安富正文

    安富政府参考人 JR東日本の東北本線盛岡—八戸間の現状でございますが、現在の東日本の当該区間における収支状況については明確に我々として把握しているわけではございません。ただ、想定されるところ、先生おっしゃるように赤字であるというように考えられます。
  245. 松本善明

    松本(善)分科員 大臣、今の鉄道局長の答弁で、赤字の状況を把握していないと。それで第三セクターにやらせるというのは無責任じゃないですか。国会答弁として慎重な答弁かもしれないけれども、私はやはり無責任だと思います。  それで、私どもの調べで、九五年ベースで支出が三百十五億円、収入は百六十四億円、要するに費用の五二%しか回収できなくて、百五十一億円赤字です。新幹線で特急「はつかり」が廃止をされますと、費用百七十二億円に対して収入四十一億円、費用の二四%しか回収できない。百三十一億円の赤字になるということであります。  これを、在来線を第三セクターで運営した場合にどういう試算になるだろうか。この赤字はどういうふうになるだろうか。これは鉄道局長に簡単に答えてもらおう。
  246. 安富正文

    安富政府参考人 当該区間につきまして、第三セクターに移行した場合には、当然、収入減、優等列車が通らないことに伴う、優等旅客が抜けることに伴う収入減がございますが、一方、運行経費についても、第三セクターへの移行に伴って相当の削減が可能ではないかというふうに考えております。  いずれにしましても、具体的な収支については、現在、岩手県、青森県両県において詳細に検討をしているところでございますが、昨年十月に岩手県が公表しました収支見通しによりますと、開業初年度に約七億円ぐらいの赤字ではないかというふうに見込まれております。
  247. 松本善明

    松本(善)分科員 運輸大臣、はっきりしているところからちょっと申し上げますと、岩手県で、今の計画しているところ、八戸までのところの運賃を、開業当初一・六七倍に値上げをして、三年ごとに六%値上げをして、開業から十五年目で初めて黒字に転化するという予想です。これは、一応は並行で走っていると言われる盛岡から八戸の岩手県側で考えてそうです。  そうすると、並行とは言えない青森になると、もっと大変になる。それはもう極めて明白なんですよ。成り立たない。だから、単線にするか複線にするか、そういうことも議論されているわけですよ。単線の方がいいけれども、その場合は貨物が行かないのですよ。そうすると、やはり貨物の路線使用料で赤字を補わないとこれは寸断されるのですよ。そういう問題になっているのです。  そこを、やはりこれは政治的決断ですよ。赤字ですけれども、赤字を受けとめても貨物はちゃんとやる、それから、地元の人たちの足も確保する、こういう方針をしっかり出さないとそれはどうしようもなくなる。そこのところを運輸大臣に聞いているわけなんですが、伺いたいと思います。
  248. 二階俊博

    ○二階国務大臣 ただいま重要なポイントについて御指摘があったわけでございますが、私ども、これから地元の状況またはJR貨物等からも十分意見を聴取した上で運輸省としての方針を定めてまいりたい。  いずれにしましても、国民の足を守るという、僻地にお住まいになっておられる皆さんが、せっかく新幹線新幹線をと叫び続けて、ようやく新幹線が走ると同時に自分たちが大変不安になり、不満を抱くというふうなことになったということでは何をやっているかわかりませんので、そうした面、特に、先ほどからたびたび御指摘もございましたように、JR貨物の経営ということ、あわせて十分考えてまいりたいと思います。
  249. 松本善明

    松本(善)分科員 大臣、沿線の市町村長は、もちろん皆さん保守的な方ですよ、みんな反対です。新幹線のとまるところも、二戸だとか八戸でも地元負担が多い。とまらないところはもっとそうなんですよ。  そういうことも含めてお調べになった方がいいと思いますが、特に、その場合に、レールなどの鉄道資産を地元に無償譲渡すべきではないか。これは有償にしたら成り立たないのです。青森県側の鉄道資産は約百八十五億円、岩手県側は複線電化の場合で約百六億円と言われていますが、その無償譲渡も含めて検討していただきたいと思いますが、いかがでしょう。
  250. 二階俊博

    ○二階国務大臣 御意見として十分承ってまいりたいと思いますが、財政が十分豊かであれば今お話しのようなことを即刻答弁しなければなりませんが、よく慎重に考えた上で、また地元の御意見等も改めてこの段階で聴取して判断をしたいと思います。
  251. 松本善明

    松本(善)分科員 確かに財政の問題がございます。私もそれはもちろん頭に置いての話なんです。話なんですが、やはり、この際に、交通関係、運輸関係予算をどうするかという問題の根本にさかのぼって考えるべきじゃないか。  といいますのは、道路道路鉄道鉄道、こういった特定財源方式をもう一度考え直して、総合的に、例えば新幹線在来線をどうするか、貨物をどうするか、航空はどうするか、それから船はどうするか、これは、全体の総合的な交通政策を立てて、そして財源を配分する。今のままでは無計画になっちゃうんだ。財政がない、財政がないということで、結局しわ寄せが国民にいく、そして根本的な貨物の輸送というようなところまで問題が起こってくる、これではやはり国として成り立たないと思うのですよ。  国としての総合的な政策をきちっと立てて、そして抜本的にこのあり方を見直す。在来線の存続、貨物、それから財政、地元負担。地元負担も本当に大変ですよ、とまるところも。それらを全部含めて再検討される考えがあるかどうか、伺いたいと思います。
  252. 二階俊博

    ○二階国務大臣 国土交通省という新しいスタートを目前に控えておりますだけに、これから私どもは、道路の問題、鉄道の問題、あるいは住宅の問題等をあわせて総合的に考えていかなきゃいけない時代が来ておるということを痛感しておるわけでございますが、ただいま松本委員御指摘の問題につきましても、十分、今後におきまして配慮をしてまいりたいと考えております。
  253. 松本善明

    松本(善)分科員 時間も来ましたのでこれで終わりにしようと思いますが、念のためにちょっと言っておきますが、長野しなの鉄道の場合には、これは有償になったんですよ。だけれども、そのことによってやはり赤字をしょっているんですね。これは長野しなの鉄道よりもっと赤字になる可能性のあるところです。  だから、そのことも含めて、それから、今運輸大臣の言われた全体の問題も含めて、根本的に新幹線在来線の問題を検討していただきたいということを要望して、私の質問をこれで終わりたいと思います。
  254. 村田吉隆

    村田主査 これにて松本善明君の質疑は終了いたしました。  次に、若松謙維君
  255. 若松謙維

    若松分科員 公明党・改革クラブを代表して質問させていただきます。私が最後になりますので、お疲れでしょうが、先輩、ひとつよろしくお願いいたします。  その前に、隣で建設関係をやっておりますので、ちょっと時間の関係上、建設省の質問を最初にやらせていただきたいと思います。  実は、上尾道路整備の見通しについてなんですけれども、一般国道十七号線、上尾道路、これは現在の大宮市の宮前を起点としまして鴻巣市の箕田に至る延長二十・一キロメートルのバイパスです。この十七号線は、首都圏と上信越地方の経済圏を結ぶ大動脈として極めて重要な役割を担っている主要幹線道路であります。しかし、今、一日五万台を超える交通量で大変慢性的な交通混雑、数キロの区間でも三、四カ所、実はそういう慢性地帯があるのですね。  そういったところで、ぜひともこの上尾道路の早期完成が期待されるところなんです。とりあえず今、川田谷の圏央道と上尾道路の交流するところは大体事業化が決まっているのですけれども、いわゆる川田谷というか北本、そこから鴻巣までがまだ未事業区間ということで残っております。この区間をぜひ早期に事業化していただきたいということですけれども、その見通しについて、いかがでしょうか。
  256. 大石久和

    ○大石政府参考人 お答えいたします。  上尾道路は、一般国道十七号の大宮市から鴻巣間の慢性的な交通渋滞の緩和交通安全の確保、沿道環境の改善等を目的とした延長二十キロのバイパス事業でありまして、一般部道路自動車専用部を併設する構造となってございます。  平成元年十二月に都市計画決定がなされ、平成七年度までに大宮市から桶川市川田谷の間の一般道路分、延長約十一キロメートルについて事業化し、平成九年度から一部区間の用地買収に着手しておるところであります。  先生指摘のように、新大宮バイパスから圏央道までの間が事業化されておりまして、事業採択後、設計、測量、地元協議を経て、現在一部の区間で用地買収をしているところでございます。  事業区間につきましては、平成十年代後半の供用を目指すという言い方で地域説明させていただいております。現在の五カ年計画が平成十四年度まででございますが、次の五カ年計画内に圏央道とあわせてこの区間の供用が図れるよう努力したいと考えてございます。  なお、残る未事業区間、約九キロメートルございますが、これにつきましては、現在事業中の区間の進捗状況並びに周辺の交通状況や周辺開発の動向等を勘案しながら、事業の着手時期について検討していきたいというように考えてございます。  いずれにいたしましても、北のバイパス道路整備が進んでおりますので、早急な取り組みが必要だと考えているところでございます。
  257. 若松謙維

    若松分科員 もうちょっと具体的に教えていただきたいのです。ちょうど平成十一年度の補正予算のときに、一億円、上尾道路の特に未事業区間事業化というところでも項目としては入っておりましたけれども、特に、鴻巣の馬室とかああいったところは長年期待しておりまして、なかなか事業化が見えないと次の計画が立たない、こういう強い要望もございます。私も行くたびに、どうなっているんだ、あした決まるんじゃないかとか、それは先生頑張っているのかとか、いつも言われていまして、もうちょっと具体的に、少なくともここ一、二年のうちに事業化を決定するとか、そういったところまでちょっとお答えいただけますか。
  258. 大石久和

    ○大石政府参考人 未事業区間事業化時期につきまして、もう少し具体的に述べよという御指摘でございますが、現在のところは、例えば上尾道路の現在事業化しておる区間だけで全体事業費が一千七百億円でございまして、平成十一年度までの事業費を差っ引きまして、残事業費が約一千五百億ございます。  こういった状況で、圏央道とあわせてこの区間を供用しようということになりますと、残念ながら、残る区間の九キロを事業化いたしましてもなかなか進捗が図れる状況ではないということから、事業化している区間に全力を挙げたいというように考えてございまして、未事業区間事業化の時期につきましては、先ほど申し上げさせていただきましたような答弁でお許しいただきたいと思うのです。  いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように、圏央道以北の十七号の整備も進んでおりますことから、残る区間につきましても早い時期の事業化が必要だと考えております。
  259. 若松謙維

    若松分科員 これはぜひ早急にお願いしたいのですね。別にいつから開始しろと言うわけじゃないのです。これはちゃんと事業としてやるということを表明だけしていただければ、あとはもう来年やれとか再来年、そういうことは言いませんから。それほどこれは強い要望だということをまず御理解いただいて、また来年も引き続きこれはやらせていただきますので、本当に早急の事業化をお願いしたいと思います。  それで、上尾道路、圏央道の平成十一年度、これは補正予算も含みますけれども、それと十二年度の予算額は、どのくらいの規模を見込まれているのか、それをお答えいただきたいと思います。
  260. 大石久和

    ○大石政府参考人 上尾道路の十一年度事業費につきましては、二十七億四千万円、当初事業費が二十六億四千万円、補正が一億円でございます。なお、平成十年度の事業費につきましては、当初が十億であるのに対し、一次補正で十四億八千万円をつけさせていただいたところでございます。  なお、圏央道路につきましては、当初、補正、二次補正とを合わせまして、全体、埼玉区間におきまして、約二百億を投入させていただいております。平成十二年度の配分につきましては、現在作業中でございますが、事業の進捗等を見ながら、平成十一年度事業費に負けない事業費を積み上げるべく、現在作業をいたしておるところでございます。
  261. 若松謙維

    若松分科員 建設省としては、圏央道の早期開通はかなり重要だと思いますけれども、ひとつ上尾道路につきましても圏央道並みの御努力をお願い申し上げまして、次の質問に移りますので、どうぞ退席していただいて結構です。  では、ちょっと質問の内容を、今度は陸路から空路に行きたいと思います。ホンダエアポートについて、運輸大臣、よろしくお願いします。  現在、埼玉県は七百万人弱、群馬県が三百万人ということで、この二県だけで一千万人。さらに栃木等も入れますと一千二、三百万人、大変大きな地域になるわけです。ところが、この北関東地域に、いわゆる民間のエアポートがないのですね。民間というか、いわゆる公共的な空港がありません。結局私たちは成田とか羽田に行くわけですけれども、これで三時間ぐらいかかるのが現状なんです。  このホンダエアポートというのは、今本田が所有しているわけですね。桶川と川島にまたがるエアポートです。これは実は、戦時中の空軍、昔は空軍といわないですね。航空隊というのですか、第二次大戦中は。非常に風的には安定して、それで長い間飛行場として軍事用にも使われてきた、こういったところなんです。  去年の分科会での運輸大臣の答弁でしたけれども、拠点、いわゆる空港拠点、これは国が考え、地方の空港は地方の主体性を大事にしたい、こういう答弁だったのですけれども、この大変広い関東地域の中で成田と羽田という二つの巨大空港だけでは、周りの地域とのバランスある発展がちょっと難しいのではないか。  私も、実はホンダエアポートからプライベート機をチャーターして三宅島まで行きました。埼玉の真ん中ですから、そこから乗って、八分ぐらいして下を見たら、荒川かと思ったら隅田川なんですね。乗って十五分ぐらいしたらもう横浜の上になっていまして、これは便利だと。なぜこれが羽田とか成田にアクセスできないかということ。欧米ですと大きな空港の隣にコミューター用のエアポートがあるのですけれども、日本はこれがないのですね。狭いからなのか。恐らく、運輸省も考えていらっしゃると思いますけれども。  いずれにしても、この北関東のコミューター空港整備なんですけれども、単なる北関東の旅客の利便性の問題だけじゃなくて、当然二十一世紀になりますと、空港の需要というのはもっともっとふえていきますので、もっと広い視野から空港整備を考える必要があるのじゃないかと思うのですね。  そこで、まず一点目の御質問なんですけれども、この北関東地域空港利用客の人数は把握されていますか。教えてください。
  262. 岩村敬

    ○岩村政府参考人 実は、二年に一度、航空旅客動態調査というのを実施いたしております。これをもとに、今御質問のございました各地域の方とその空港とのつながりを推計することが可能になるわけでございます。  平成九年度の調査をもとにしました推計によりますれば、埼玉県そして群馬県の両県で一年間に成田空港利用した方が二百万人、羽田空港利用された方が四百万人程度というふうに見込まれているところでございます。
  263. 若松謙維

    若松分科員 そうすると、六百万人ということで、ほぼ埼玉県の人口、一人一回近く使用している、こういう現状なんですね。その人がみんな大挙して、羽田とか、ぐっと遠い、もう韓国の方が近いのですよ、正直言って。非常に空の道としては不便なんです。  それで、追加質問です。年間に二百万人、四百万人といるわけです。やはり、先ほどの羽田とか成田という拠点空港だけじゃなくて、これだけの利用者がいるわけで、さらにこれからの空の便の利用増を考えると、やはり北関東の空港整備、これはもう国としては検討すべきじゃないかと思いますけれども、運輸大臣のお考えはいかがですか。
  264. 二階俊博

    ○二階国務大臣 ホンダエアポートのコミューター空港化につきましては、若松委員は、たしかもう何年も前からこのことを御主張なさっておりまして、私もかねてこの問題をお伺いした記憶がございます。  北関東周辺の人口等を見まして、ここに空港がないのはおかしいではないか、こういう御主張だと思います。私どもも、空港建設につきましては、それぞれの地域の要請といいますか、地方自治体の意思決定をまず最重要課題と考えておるわけでありますが、今後、現在の設置管理者であります本田航空株式会社及び埼玉県を中心とする地元の地方自治体の意思決定、意思確認が最も重要だと考えております。  そして、そのような意思がまとまれば、地方自治体からの空港化の要望があれば、その時点におきまして、実現の可能性等につきまして運輸省として積極的に検討をしてまいりたいと思っております。
  265. 若松謙維

    若松分科員 まず地方の、いわゆる桶川、川島、そういった地域の主体性というものは、私どもはしっかりやっていこうと思っておりますし、実際にそういう運動も着実に流れとしてできておりまして、埼玉の土屋知事も、やはり埼玉には必要だという考えをかなり強く持たれております。  ですから、万が一こういった形で地元での意思というものが明確になった場合に、国からの物心両面の支援というのでしょうか、それを当然地元としては期待しているわけですけれども、その点についてはいかがでしょうか。
  266. 二階俊博

    ○二階国務大臣 コミューター空港は、地域的な航空需要に対応するものでありますが、先ほどから申し上げてまいりましたように、地元の主体性を最も重要視しているところであります。そうしたことで、地方の意見がまとまり、具体的な要望があるという場合には、運輸省としては誠意を持って御相談に応じてまいりたいと思っております。  具体的には、地域でこの空港建設のために、関係者がお集まりになって委員会でもおつくりになるといえば、運輸省からもそこに参加をして、御一緒に検討するということも考えてもいいのではないかと思っております。  なお、その際、整備費の四〇%を限度として補助を行っている現状であります。
  267. 若松謙維

    若松分科員 ありがとうございます。  では、済みません、大臣、これは質問通告していないんですけれども。  今、例えば五十人のジェット機等もあるわけです。実際、百人のジェット機も千メートルの滑走路でできるわけですけれども、五十人規模でも、例えば韓国とかウラジオストクとか諸外国、いわゆるインターナショナルエアポート、それも可能なわけなんで、そういった国際空港使用目的も今の規制緩和にはあるわけですけれども、今の国際化の流れで、そういったことも認められる可能性はあると理解してよろしいですか。
  268. 二階俊博

    ○二階国務大臣 航空の場合には、当然他の交通機関も同じでありますが、安全を第一というふうに考えていかなくてはならないと思います。空港関係のもろもろの安全に対する問題点をクリアすることができるならば、航続距離というものの当然制限があるわけでありますが、それが可能であれば、チャーターのような形で海外に出るということは可能だと思っております。
  269. 若松謙維

    若松分科員 大変前向きの答弁、ありがとうございます。  それでは、道路から始まって、空に行って、今度は電車に行きたいと思います。  JR高崎線の通勤快速、これの上尾駅停車問題なんですけれども、現在、上尾は、人口二十一万人ということで、埼玉県でもたしか八番目の人口を擁していると思います。  ということで、いまだに人口増になっているわけですけれども、上尾は都心から約四十キロ圏なんですね。そして、非常に鉄道利用した東京方面への通勤通学者が多い。上尾駅と北上尾駅の利用客は、一日平均五万二千人を超えているんです。さらに、さいたま新都心という地方分権のビッグプロジェクト、これもことしに完成します。さらには二〇〇四年の第五十九回国民体育大会、埼玉で開催されるわけですけれども、上尾には新県立武道館とか、こういったことでかなりの利用客がこの上尾駅で増加する見込みがなされる、こういう状況なんですね。  ところが、通勤快速というのがありまして、今、快速アーバンとかいろいろあるわけですけれども、大宮から鴻巣まで約十数分あるわけですけれども、上尾駅というこの二十万を超えるところでとまらないんです。そうすると、私も電車で通勤していますから、大宮で夕方あたり通勤快速に乗れないわけですから、その次の電車を待つというと、本当に次の電車がいっぱいなんです。  こういうことを考えると、二十万人も擁しているわけですし、かつ、地元でももう何万人も署名しました。こういう地元の事情をしんしゃくしていただいて、これは最終的にJRが決めるんでしょうけれども、地元の新井市長も一生懸命高崎支社等にもお願いしているところです。ぜひ運輸省としても、そういった事情を理解していただいて、当面は下りで結構ですので、通勤快速電車の上尾駅停車というのも早急に検討していただきたいんですけれども、いかがでしょうか。
  270. 安富正文

    安富政府参考人 先生指摘のJR高崎線の通勤快速の上尾駅停車問題でございますが、具体的な運行計画といいますか、ダイヤ設定につきましては、利用者の利用状況とか利用動向を勘案して鉄道事業者が判断するという基本的なところがございます。  ただ、そうはいいながらも、鉄道事業者利用者利便の向上を図ることは当然のことでございますが、通勤快速につきましては、いわば遠距離通勤者の速達性、遠距離のお客さんをいかに都心の方に早く持ってくるか、あるいは都心から遠距離の方に持っていくか、そういう目的のために設定されているものでございます。  もちろん上尾の方の駅の乗降人員が非常に多いということもよくわかっておりますし、我々としてもそこら辺の事情はわかりますが、JR東日本としては、全体の速達性の問題とかそういうことを勘案しながら今後検討していくことになるかと思いますが、現在のところはそういう考えはないというふうに聞いております。
  271. 若松謙維

    若松分科員 通勤快速ですから、通常、通勤通学の時間帯にやっているわけですけれども、本当に、特定の、一本でも二本でもいいから、そんなに冷たい答えをされないで、二十万人もいるんですよ。運輸大臣、ぜひ今度招待しますので、夕方のつぶされる経験を一緒に見ていただきたいんです。どうでしょうか、これはあくまでも公共機関ですので、ひとつ地元の要望というのを伝えていただきたいんですよ。
  272. 二階俊博

    ○二階国務大臣 人口二十一万を超えるという上尾の状況につきまして、また若松委員の御熱意のほどは、先ほどからも御質問をお伺いしながらひしひしと感じておるところでございます。もとより、このJRの停車につきまして、大臣が直接指示、命令をするというわけにもまいりませんが、ただいまのような熱心な御意見のあったことをJRに伝え、適切に指導してまいりたいと思います。  お地元におかれましては、粘り強く御努力をいただくことを切に希望するものであります。
  273. 若松謙維

    若松分科員 エールをありがとうございます。早速地元に帰って、その運動を倍加するため頑張ってまいりたいと思います。  それでは、今度は、同じ高崎線、宇都宮線ですけれども、今これは上野駅、いわゆるああ上野駅ですね、この時代がいわば二十一世紀にも続いております。これは、ああ上野駅じゃなくて、あっ東京だというふうに実はしたいんですよ。  ということで、私は、上野じゃなくて、新幹線みたいに高崎線、宇都宮線を東京まで、できたら埼玉から湘南まで行きたいと思っているわけです。イギリスも、実はもう十数年前からそういう相互乗り入れみたいな形でやっているわけです。ぜひ上野—東京間を開通していただきたいわけです。  これは何度も言っているんですけれども、実際にたしか二〇一五年までという話ですか、これはもうちょっと早くなりませんか。なぜそこまで待たなくちゃいけないのか。わずかな距離なので、ひとつよろしくお願いします。
  274. 安富正文

    安富政府参考人 高崎線、東北線の東京駅乗り入れの問題につきましては、非常に効果のある路線ということを我々も十分認識しております。そういう観点から、さきの運政審でA1路線ということになったわけですが、これはあくまで二〇一五年までにということで、これまで待てという意味じゃございませんので、我々としてはできるだけ早期にやりたいと思います。  ただ、ここに、この路線整備する場合におきましても、具体的な整備計画であるとか需要予測、さらには収支採算性、あるいはJR東日本を初めとする関係者間の調整幾つかの課題がございます。ここら辺については、現在、我が方でも、都市鉄道調査の中で、東北、高崎、常磐線の東京駅乗り入れという観点で調査をしているところでございまして、できるだけ早期に実現を図っていきたいというふうに考えております。
  275. 若松謙維

    若松分科員 ぜひ、これからも環境問題と公共機関の見直し等も進んでまいると思いますので、必ずや私は需要増は期待できるものと思います。今せっかく、二〇一五年にやるんじゃなくて、もっと早くやりたいという意思ですので、本当に早くやってください、引き続きよろしくお願いします。  それでは、最後の質問です。首都圏中央連絡自動車道、圏央道、これの高速バス路線運行なんですけれども、まだこれは完成していない段階での質問で、ちょっと気が早いかもしれませんが、もう地元の自治体では具体的に考えておられます。  この圏央道というのは、都心から四十キロから六十キロを環状に結ぶ首都圏連絡道路です。特に北本市、このエリアも平成十年度代中に開通、先ほど平成十四年度の五カ年計画ということですから平成十九年度までに開通、こういうことで、さらに、北本市ではJR高崎線と圏央道の交差するところに新駅を整備することが検討されております。仮称北本新駅とか南北本駅とかこういう言葉が使われております。これはこれでJRとやっているわけなんですけれども、万が一そういった形で圏央道が北本を通過する場合に、ぜひ圏央道を活用して県内の東西の地域間の連絡を、いわゆるバス、例えばJRの高速バスとかあるわけですけれども、ああいった形で交通利便性を向上するように、今特に北本市長が一生懸命これを期待されているところですので、ぜひ圏央道開通の際には高速路線バスの運行を要望したいわけですけれども、これについていかがでしょうか。
  276. 二階俊博

    ○二階国務大臣 圏央道開通に伴い高速バス路線の開設、大変先見性を持って語られておるわけであります。私どもとしましては、地元自治体の要望等も十分考慮し、輸送需要が見込まれる場合には、バス事業者の経営判断に基づくことは当然のことでありますが、事業者におきましてもこの開設に努力されるものと期待いたしております。  運輸省としては、バス事業者から路線開設の申請がなされれば直ちに積極的に対処してまいりますことをお約束しておきます。
  277. 若松謙維

    若松分科員 ありがとうございました。  今後とも御支援のほどをよろしくお願い申し上げ、きょうは大変長時間になりましたけれども御苦労さまでした。ありがとうございました。
  278. 村田吉隆

    村田主査 これにて若松謙維君質疑は終了いたしました。  以上をもちまして運輸省所管についての質疑は終了いたしました。  これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  分科員各位の熱心な御審議と格別の御協力により、本日ここに本分科会の議事をすべて終了することができました。心より感謝いたします。  これにて散会いたします。     午後四時三十二分散会