○古賀(一)
委員 堺屋長官の気持ちもわかりますし、
景気は気という面がありますから、そうだと思うんです。ただ、この
予算委員会で提出されておるもの、
国会へ提出されておるものは
平成十二年度の
予算、それは先ほど申し上げましたような累々たる債務等々、大変なことがのっておる。
そして、一方で将来どうなるかというのは、大蔵省のこの試算。それはもちろん、弾性値がどうなる、いろいろあるでしょう。でも、プロジェクションとしてはこの四パターンが提出されておるわけでありますから、我々はこれを前提にする。だから、今まさに
堺屋長官がおっしゃった、これから工業化社会、それから知恵の時代だと。
ですから、私が言いたいのは、まさに二千年紀
最初の年、二十世紀最後の年だから、そしてこれだけ大変な財政難、経済の難局を迎えておるから、まさに
政府の知恵が、今は我慢してください、しかし今年度、例えば五つ六つの新しい次の時代へ向けてのシステムの変更あるいは新しい仕組みを設けていますという、それが問われているわけです。だから、知恵の時代になるというのは、まさにそれは内閣そのものに問われておるわけでありまして、これが極めて希薄。だから、
国民に期待を持てと言っても、前から同じことをやっている、二〇〇〇年度の
予算も債務は累増したけれ
ども知恵としては余り変わらぬらしい、それで何で
国民が期待を持つだろうか。
いわば細川政権誕生のとき
国民がフィーバーしたのは、何かが変わるというあれがあったからだと思うんですよね。経済に関して言うならば、やはりそれを
政府が今まさに提示したときに初めて、
日本は変わる、新しい需要も生まれる、
国民は私たちもひとつ目標を持とうじゃないかという気になる。そこがない。それがこの
政府予算案の今の
最大の問題だろうと私は思うんです。いみじくも
経済企画庁長官堺屋先生がおっしゃいましたような、悲観論がちまたに満ちている、ならば、
政府としてそれを払拭するいわゆる新しい道を示すというところ、それが抜けておるということだろうと思うんです。
だから、この問題に関してはもう余り申し上げませんが、新しいシステムを全然組み込まず、今までのトレンドで、いわば増分主義で、何%減らした、何%ふやしたという今までのやり方でずっといった場合には、二十年後の教科書に必ず、あのとき
日本は、これだけの世界一の借金を残しながら、やり方も変えずに、
国会もチェックできずにと、このすさまじい高齢化社会、あるいは負担増、あるいは途上国の追い上げに何でこれだけ苦しまなきゃならぬのかということを書かれるだろう、それを恐れるわけであります。
そういう面では、ちょっとこの前、今度の
予算を評して、今月号のある雑誌に載っておったある学校の先生の
言葉がございました。我が亡き後に洪水は来たれという
言葉があるそうでございます。フランス革命前に、ルイ十五世のおめかけさんのポンパドール侯爵夫人が、宮廷で宴会をやり過ぎじゃないか、むだ遣いばかりじゃないか、それによってフランスの国債が累増して大変じゃないかと批判されたときに、このポンパドール侯爵夫人が、我が亡き後に洪水は来たれと。
日本の場合は、後は野となれ山となれでしょうけれ
ども、きれいな野原ときれいな山が残る程度のことじゃないですね。洪水です。だから、私は、ほっておけばこういうことにもなると思います。
私は、そういうことを厳しく真剣に指摘して、次の
質問に移りたいと思います。(
発言する者あり)いや、ですから、
国会ですから、将来を憂えることを今指摘し、予見をし、忠告を与えているわけでありまして、
国会議員たる者といえば、総理
大臣たる者何だと、もう一度私は言いたいわけであります。私は、そういう面でいろいろな知恵があるのだと思います。今までのやり方にこだわるからこそ知恵が出ないのだと私は思います。それは、まさに
大蔵大臣なり、とりわけ総理
大臣のリーダーシップというものにかかっておると思うのです。
そこで、時間も大分迫ってきましたので、
一つ例を挙げたいと思うのですね。
実は今私の母がやはり御多分に漏れず要介護になりまして、介護というのは大変だ、こう思うのですね。私は地元に母がおりますが、東京のサラリーマンのことをつらつら考えたときに、通勤時間が片道一時間半という人はたくさんいます。その人たちも、今までのいわば
日本人の
価値観というか、
政府も推奨してきたわけですが、要するに持ち家推奨という中で家を買ったんですね。往復三時間かかる。そして、五千万円あるいは三千万円、四千万円借りて、右肩上がりで
給料は上がるだろう、まさかリストラで四十代で首になることはないという、その前提で、東京都のあるいは都市部の多くのサラリーマンが借金をして持ち家を持ってきたと思うんですね。
ところが、もう一方で、私はしょっちゅう陳情を受けるんですが、うちの息子は一人息子だ、二十年前は東京の大学に行っていい会社に就職したと言っていたんだけれ
ども、
自分の妻がもう死んで
自分一人きりだから、息子を地元に戻してくれという陳情が結構あるんです。本当、これからは長男長女時代。その人たちが、今度、母が老い、こうなってくると、介護保険の問題は別にありますが、こういう時代がもう現に来つつあるんですね。
そうしたときに私はつらつら思ったんです。例えば、世田谷区とか杉並区には消防車が入れない地域というものが四割近くあるんです。それほど昔ながらの町並みが私鉄沿線に広がっております。私は、そういうところをむしろ、十ヘクタール、二十ヘクタール、一定の
計画をつくって、ここにオープンスペース豊かなビルを建て、そして高規格の福祉型住宅というものをつくるならば、今まで容積率が七〇〇%だったのを二〇〇〇%にでもしてやるというような、そういった思い切った規制緩和というもので一定の
計画でやるならば、財政ではなく、いわゆる千三百兆と言われる個人金融資産を中心に、
投資先として民間資金がそっちにシフトしていく、そして、そういうさっき言ったサラリーマンのニーズも、あるいは町並みを美しくするというニーズも、そして
日本の富が米国債とかあっちに流れずに国内に残っていく、そして
景気回復、こういうことができるんです。
私は、これは
政策として非常に重要だと私自身思っておるわけですが、こういった知恵をばんばん出せばいいではないか。ところが、それを総理の
一つのイニシアチブで、各省こういう新しい知恵を出せというものをなぜおっしゃらないのか、非常に残念です。その点について御
意見があれば、ぜひお答えをいただきたいと思います。