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志位委員 確かに、今の財政赤字の解決策というのは一定の段階を追って、一定の長期の展望で取り組まなければならないと思います。これは歳入の面での
改革も必要でしょう、歳出の面での
改革、両面必要です。私
ども近く提案を出すつもりでおりますが、両面の
改革が必要です。
しかし、私は、
景気の回復にとっても、
国民にとって財政のあすが見えないということが非常に大きなマイナス要因になっていると思うんですよ。
これで思い出すのは、一九九五年の十二月に財政制度審
議会が出した財政の基本問題に関する
報告です。このときに、もう時限爆弾が爆発寸前だというところまで財政はひどくなった、この事態を大変問題にした
報告でした。ここで、財政赤字がどういう影響を経済に及ぼすかということをいろいろな角度から述べています。中長期的な影響だけじゃありません。
私、改めて読み直してみてなるほどと思ったのは、膨大な財政赤字は、財政
政策に対する
国民の信用を失わしめることになる、こう書いてあるんですね。これは非常に深刻な問題だと思います。
国民から見れば、六百四十五兆円も借金がある、これはやはり大増税が待っているのか。それとも悪性インフレが待っているのか。それとも社会保障の切り捨てなのか。こういう将来の不安から消費を手控える。これが
景気に悪い影響を与える。まさに、財政に対する信頼がないということが
景気の問題を深刻にさせるわけですよ。
ですから、私はまず
総理に言いたいのですけれ
ども、これは
景気回復してからという段階論じゃなくて、やはり
景気回復のための手当てをとりながらきちんと財政再建の展望を明らかにする、これは最小限の
政府の責務だ、これができなければ、そういう
政府は
政権にいる資格がない、そこもはっきり申し述べておきたいと思います。
次に、それでは今は
景気の本格回復に取り組むというのですが、私は、
政府の方針では、はっきり言って財政破綻がひどくなるだけではなくて、
景気回復の展望も開けないと思います。財政も
景気も共倒れの方向だと思います。
景気回復というならば、その主役になるのは経済の六割を占める家計消費、個人消費を温めることです。
ところが、来年度
予算を見ますと、高齢者世帯で、医療、介護、
年金の
三つで合計二兆円もの給付減、負担増です。また負担増路線です。
国民から吸い上げてどこにばらまくかといえば、国と地方で年間五十兆円に上る
公共事業に相変わらずばらまく。私は、この
ばらまき政治、
公共事業への
ばらまき政治というのは九〇年代に入って本当に異常な姿になったと思うのです。
まず第一に、九〇年に
日米構造協議をやられている。その中で、アメリカからの外圧に屈して、十年間で総額四百三十兆円の公共投資基本計画がつくられました。これは九四年には六百三十兆円に膨らんで、総額先にありき、何が何でもこれを使い切るという方式が
公共事業の異常膨張に拍車をかけました。
それから、第二に、
景気対策の名で
公共事業積み増し
政策が無規律、無制限にとられるようになったことです。九二年の宮澤
内閣以来、合計十一回の経済対策が打たれました。その中で、七十一兆円に上る
公共事業の積み増しが行われました。これは異常な形で
公共事業が膨張したのですね。
こうして、大体、
日本の
公共事業費を見ますと、八〇年代の前半には国と地方で二十数兆円台の額でした。それが、九三年以降ぐらいから国と地方で年間五十兆円のお金が
公共事業に使われる、こういう異常な体制がつくられました。
私が問いたいのは、この
公共事業積み増し方式の
景気対策というのが果たして
景気に役立っているかという問題です。
景気回復というのは、GDPの数値が上がればいいというものじゃありません。民需の回復、民間の需要の回復につながって初めて自律的な回復と言えます。特に、六割を占める家計消費の回復につながって初めて
景気の自律的回復と言えます。
ところが、
公共事業を幾ら積み増しても、民需にバトンタッチしないわけですよ。私、毎年の経済白書を注意深く読んでおります。九六年版の経済白書ぐらいから、
公共事業をずっと積み増してきたけれ
ども、民需にバトンタッチしない、バトンタッチが課題だということをずっと言っています。九六年も言い、九七年も言い、九九年も言い、このミニ白書でも言っています。公需をふやしても民需にバトンタッチしない。確かに民需は、この前の一月の月例経済
報告を見ましても、個人消費が冷え込んだままですよ。設備投資もマイナスです。
これは
総理にお聞きしたいのですけれ
ども、これだけの
公共事業にじゃぶじゃぶお金をつぎ込んで、どうしてバトンタッチしないのでしょう。どうして民需の方にバトンタッチしていかないのか。その
原因はどこだとお考えでしょうか。