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2000-04-13 第147回国会 衆議院 本会議 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年四月十三日(木曜日)     —————————————   平成十二年四月十三日     午後一時 本会議     ————————————— ○本日の会議に付した案件  裁判官弾劾裁判所裁判員辞職の件  裁判官弾劾裁判所裁判員選挙  国土開発幹線自動車道建設審議会委員選挙  国土審議会委員選挙  資金運用部資金法等の一部を改正する法律案内閣提出)の趣旨説明及び質疑  犯罪被害者等の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律案内閣提出)及び犯罪被害者基本法案北村哲男君外三名提出)の趣旨説明及び質疑     午後一時二分開議
  2. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) これより会議を開きます。      ————◇—————  裁判官弾劾裁判所裁判員辞職の件
  3. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) お諮りいたします。  裁判官弾劾裁判所裁判員安倍基雄君から、裁判員を辞職いたしたいとの申し出があります。右申し出を許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、許可することに決まりました。      ————◇—————  裁判官弾劾裁判所裁判員選挙  国土開発幹線自動車道建設審議会委員選挙  国土審議会委員選挙
  5. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) つきましては、裁判官弾劾裁判所裁判員選挙を行うのでありますが、この際、あわせて、国土開発幹線自動車道建設審議会委員及び国土審議会委員選挙を行います。
  6. 野田聖子

    野田聖子君 各種委員等選挙は、いずれもその手続を省略して、議長において指名されることを望みます。
  7. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 野田聖子君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、動議のとおり決まりました。  議長は、裁判官弾劾裁判所裁判員松本善明君を指名いたします。  次に、国土開発幹線自動車道建設審議会委員中島武敏君を指名いたします。  次に、国土審議会委員佐々木憲昭君を指名いたします。      ————◇—————  資金運用部資金法等の一部を改正する法律案内閣提出)の趣旨説明
  9. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) この際、内閣提出資金運用部資金法等の一部を改正する法律案について、趣旨説明を求めます。大蔵大臣宮澤喜一君。     〔国務大臣宮澤喜一登壇
  10. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ただいま議題となりました資金運用部資金法等の一部を改正する法律案趣旨を御説明申し上げます。  本法律案は、平成十年六月に成立した中央省庁等改革基本法第二十条第二号の規定に基づき財政投融資制度改革を実施することとし、郵便貯金及び年金積立金資金運用部への預託を廃止し、資金調達について市場原理にのっとったものとするため、関連する三法、すなわち資金運用部資金法資金運用部特別会計法及び資金運用部資金及び簡易生命保険積立金長期運用に対する特別措置に関する法律について、一括して所要改正を行うものであります。  以下、その大要を申し上げます。  第一に、郵便貯金及び年金積立金資金運用部への預託義務を廃止するとともに、資金運用部資金財政融資資金に改める等の措置を講ずることとしております。  第二に、資金運用部特別会計財政融資資金特別会計に改めるとともに、同特別会計負担において国会議決を経た金額の範囲内で公債を発行することができることとする等の措置を講ずることとしております。  その他、郵便貯金資金及び簡保積立金地方公共団体への貸し付けについて国会議決を経ることとする等、所要措置を講ずることとしております。  以上、資金運用部資金法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手)      ————◇—————  資金運用部資金法等の一部を改正する法律案内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
  11. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) ただいまの趣旨説明に対して質疑の通告があります。これを許します。中川正春君。     〔中川正春登壇
  12. 中川正春

    中川正春君 民主党の中川正春であります。  私は、党を代表して、ただいま議題となりました資金運用部資金法等の一部を改正する法律案について質問をいたします。  ここ数日来、国会の雰囲気は落ちつかないものがあります。解散・総選挙を間近に控え、戦い前夜の緊張が私たちの意識の中に心の高ぶりをもたらしていることは確かなようであります。  前回の選挙以来、この三年半は、大きな時代変革の真っただ中にあります。その間、三代に及ぶ自民党政権は、時代の急激な変化政治リーダーシップを十分に発揮できず、絶えず後追いと形だけでごまかす中途半端な政策に終始してきたのであります。  十年前のバブル崩壊に端を発した金融構造改革は、私たち政治家やまた大蔵官僚だけではなくて、金融機関経営者すら危機感を持つことなく不良債権を隠し、問題を先送りしてきました。それが、今、国民に五兆円を超す負担となってはね返っているのです。大きなモラルハザードを起こさせた政府責任は重大であります。さらに、このことが経済構造改革をおくらせ、日本の景気を戦後最悪の事態に陥れました。  行政改革分野でも事態は同じであります。中央省庁の再編は、ようかんの切り口を変えただけだと批判されるばかりでなく、公共事業を独占する巨大省庁までつくってしまいました。地方分権とは名ばかりで、その根幹にある財源は地方に移譲するどころか、近年の地方財政危機が逆に中央に対する財政依存を高めているのが実態であります。  未来への展望が持てない今の日本社会閉塞感は、この構造改革先送りと中途半端な政策対応原因なのだと私は思っております。そうした意味で、三代にわたる自民党政権責任は重大であります。  このような背景の中で、これまでさまざまに議論されながら、いまだ具体的な改革方向性が出ていなかったのが、今回提案された財政投融資改革でありました。これは、そうした意味では、歴代内閣改革の失敗を挽回する最後のチャンスだとも言えるのであります。  行政改革の中で特殊法人あり方を論じたとき、財投の壁にぶつかりました。郵便貯金簡保民営化議論したときも財投がありました。国鉄清算事業団に続く石油公団本州四国架橋公団道路公団、そして最近では整備新幹線があります。大型プロジェクトの破綻と財投焦げつきという問題は、大蔵省民間資金を吸収して、公共事業並みの基準でその資金を再配分する従来型の投資構造を真っ向から否定しております。  これまで、行政改革公共事業見直し金融改革年金健康保険の問題まで、あらゆる分野構造改革財政投融資制度が横断的にかかわってきました。私は、今般の財投改革には、森内閣一世一代の腹の据わった取り組みを求めます。これまで先送りをしてきたそれぞれの分野のおくれをこの財投改革という機会を活用して一気に挽回する、そのような期待を持って、まずは森総理質問をしたかったのでありますが、ここに出席がないのはまことに残念であります。さらに、私自身がこの法案に目を通したときの感想は、まことに残念ながら、大きな失望以外の何物でもなかったことも改めて表明しなければなりません。  第一に、この改革によって、最終的に公的金融規模をどこまで縮小するのかという問題であります。  財政投融資は、社会全体のストックが不足し、大規模資金調達民間だけでは困難な時代には有効に機能しました。しかも、戦後の復興期から高度成長期に至るまで、我が国産業基盤住宅交通インフラなどへの投資は、高い経済成長に裏打ちされて、確実なリターンを見込むことができました。  しかし、日本は、今や千三百兆円という個人金融資産を抱えた資金大国であります。急速なテンポで進む少子高齢化人口構造は、経済安定成長成熟化社会への脱皮を求めています。こうした新しい時代資金供給と、さらに効率の高い資産運用を可能にするために、私は金融ビッグバン日本でもスタートしたのだと思っております。  民間資金供給能力は着実に高まっています。直接金融市場の拡大、長短スワップ等金融技術の発達、債権不動産等証券化による小口資金調達など、さまざまな方法によって資金調達供給が可能となり、今後さらにこの傾向が強まっていきます。このような中で、公的金融はできる限り縮小していくことが正しい選択なのであります。この改革でその規模を具体的にどこまで縮めるつもりなのか、明確な答弁を求めます。  第二に、特殊法人整理についてであります。  大蔵省資金運用部を通じての資金再配分は廃止する意図はわかりました。しかし、一方で、特殊法人発行する財投機関債には望みに応じて国の保証をつけ、さらに機関債発行できない法人のためには国がかわりに国債発行してそれを貸し付けるとなれば、特殊法人整理は何をもってするのでありますか。  市場原理によって、特殊法人事業採算性の面から整理する、採算の合わない、言いかえれば投資効率の悪いプロジェクトに対しては、市場から資金調達はできないから自然と淘汰される、このことが大切なはずであります。  もし、事業の一部を税金で負担して、コストを支えることによって最終の便益に十分見返りがあるとする事業であっても、それを市場が認めれば、資金調達はマーケットでできるはずであります。ここに国の保証を入れれば、その事業の真の評価をゆがめます。ましてや、国が肩がわりをして国債発行するなど、改革の名に値するものでは全くありません。(拍手)  今回の改革案では、特殊法人見直しは含まれないと解釈されても仕方ないと思うのでありますが、そういうことなのか、明快な答弁を求めます。  第三に、この改革によって淘汰されるであろう特殊法人や、焦げついた大規模プロジェクト清算コストの問題があります。  最近発表された総務庁の特殊法人財務内容に関する調査、この結果をここで改めて引き合いに出すまでもなく、今整理をすれば、国鉄清算事業団国有林野事業と同じく、巨額の財政負担を強いられる財投機関が散見されるのであります。  私は、この際、政府に、こうした機関整理をいつ、どれだけのコストをかけてどのようにやるのか、国民に対して説明をする責任があると思います。  第四に、郵便貯金簡保などの資金自主運用の問題であります。  これまで、郵貯などの民業圧迫は、規制緩和議論とあわせて大きな争点となっていました。郵貯簡保財投資金の源泉だということがその存続のための大きな理由の一つであったわけですが、それが崩れ、さらに以前よりも競争力の高い条件資金自主運用することになったわけであります。郵政大臣に、改めて、郵貯簡保あり方お尋ねいたします。  以上、財投の枠組みについて、根本的な問題に焦点を絞ってお尋ねをしました。  次に、法案の中身に関する質問に移ります。  まず、大蔵大臣に伺います。  財投改革に踏み切った大臣としては、財投機関資金需要をどのようなシェアで賄うつもりなのか。具体的には、財投機関債でどの程度賄い、足らざる分としてどの程度の財投債発行を見込んでいるのか、答えていただきたい。  また、一方で政府系金融機関という資金需要機関を監督する立場として、財投機関債発行をどの程度認めるつもりなのか。こちらについては、個別機関ごとに具体的にお答えをお願いしたいと思います。  あわせて、資金需要の大きい財投機関を監督されている建設大臣にも、所管財投機関ごとに、その財投機関債発行見込み額、及びこれを実現するため、特殊法人財務諸表等作成公開推進法に基づくディスクロージャーの充実など、財投機関に対する指導のあり方についても伺います。  次に、同じ資金調達でも、資金運用部資金発行できるとされている政府短期証券について伺います。  日銀短期財投債として発行する政府短期証券を引き受けるかどうか、また、これについて日銀との合意はできているのかどうか、大蔵大臣お尋ねをします。もしこの短期証券日銀が引き受けることになった場合、これを借りかえることによって実質的には長期性債務と同様になることはないのか、そのための歯どめがあるかどうかもあわせて伺います。  次に、財投機関に対する貸し付け条件についてであります。  この原資である財投債は、市場から国債と全く同様に調達するものであり、当然に国債金利調達できるものであります。  一方で、貸し付けにおいては、財政融資資金法第七条に基づき、大蔵大臣国債の利回りに即し決定することになっております。  この場合、現在の大蔵省見解では、利ざやなし、すなわち国債金利のままで貸し付けるとしておりますが、これは事実でしょうか。また、事実であるとすれば、当然、財投機関にとっては、この財政融資資金を取り組む方が有利であり、一層財投機関債発行に消極的になることが考えられます。この点について、大蔵大臣見解をお聞きいたしたいと思います。  法案に関する最後質問は、財政融資資金運用についてであります。  従来は、郵便貯金年金等を通じて受動的に資金が流入しておりましたが、この改正案によれば、必要な資金を必要なだけ財政融資資金が取りに行く形になっております。従来のような余裕資金が生じる可能性は極めて小さくなっていくのであります。  そこで、この改正案を見たときに、幾つかの疑問を生じます。  まず、運用対象外債が入っているということであります。基本的に余裕資金のない状況にあって、なぜ外債運用する必要があるのか、短期的な資金調整であれば国債で十分ではないのか。  また次に、今触れた国債での運用です。結果的に見れば、財投債という国債で集めた資金国債運用するという極めてばかげた事態が生じることが考えられます。たとえ短期運用だとしても、それは意味のないことであります。大蔵大臣答弁を求めます。  最後に、時代変化は、私たちの予想を超えてはるかに急激なテンポで迫っております。こんなときに、改革は何であれ、その場しのぎのごまかしであったり、形だけ変えて体裁を整えるような官僚の浅知恵であってはなりません。財政投融資改革は、橋本政権以降、自民党三代にわたる政権改革の総決算であります。このままでは、これまでの改革論議と同様に、中途半端でかけ声倒れと批判されても仕方がないと断じざるを得ないのであります。私は、ここで改めて、私たち政治リーダーシップの喚起を促したいと思います。  それは、最近の風潮のように、数の勢いに任せて一気に成立させてしまうものではないということであります。政府には、国民が真に納得するまで説明をする責任があります。また、与野党慎重な審議の上での修正についても、正しければ従う大人の度量を、連立与党に対して心から期待したいものであります。そうした真摯な議論があって初めて、政治全体に対する信頼が国民の中にもう一度よみがえってくる、そのことを最後に指摘をして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手)     〔国務大臣宮澤喜一登壇
  13. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 幾つかのお尋ねがございましたので、順を追いまして御説明申し上げます。  まず、この財政投融資という制度は、納税者の金でなく、有償の金を用いて国の各般の施策をやろうという仕組みでございますが、各国でもこういうことはやっておりますし、我が国でも今後とも重要なシステムであると考えておりますが、今までやっておりましたことが、いわば座っておって金が入るという預託というようなシステムに乗っておりましたから、全体が放漫に流れやすいという御批判がありまして、それにかんがみまして、今回の改革を決意したところであります。それで、今回の改革によりまして、財政投融資対象分野あるいは事業見直しに努めてまいりたいと思います。  重点的、効率的な施策推進を図りまして、放漫であるという批判にこたえなければならないと思っておりますが、将来の財政投融資規模がどのぐらいになるかということは、ちょっとただいまのところまだ試行錯誤に入っておりませんので明確でございませんが、平成十二年度財投計画におきましては、前年度対比で一般財投につきましてマイナス四・八%、財投資全体では前年度一七・四%のマイナスでございます。  それから、今回の改革でございますが、従来は、おっしゃいますように黙っておりますと預託の金が入ってきたというシステムでございましたが、今回は、財投機関債あるいは財投債ともども、資金調達に全力を果たさなければならない。市場資金調達をするわけでございますから、その調達の期間あるいはタイミング等において、市場から当然いろいろな制約が課されます。  したがいまして、資金調達を行う特殊法人の方もおのずから放漫な事業はやっていられない、取捨選択を厳しく行わざるを得ないというのが、特殊法人効率化事業見直しが進む基本的な原因になるはずであると考えております。  そして、その間、政策コストの分析あるいは償還確実性の精査などをいたしてまいりますと、中川議員特殊法人見直しということはこの考えの中に含まれていないのかというお尋ねでございましたけれども、結局、そういうことで合理化を強いられる、市場と対応しなければならないということを通じまして、特殊法人等見直しにつながっていくであろうと考えております。  それから、資金調達のことでございますが、まず各機関で必要な資金自分調達するということが原則でございますから、それは財投機関債発行努力をしてもらいたいということでございます。  機関によりまして、客観的に見て絶対に必要な資金であるが財投機関債では調達できないという場合に、財投債が援助をするということはあることでございますけれども、それは自分自分資金調達できないということを言うことになるわけでございますから、それは必ずしも名誉なことではない、そういうところへ経営を追い込んでいかなければならないと考えております。  財投機関債そのものですが、既に帝都高速度交通営団あるいは住宅金融公庫などで発行あるいは発行が予定されておりますけれども、今考えてみますと、日本政策投資銀行あるいは国際協力銀行などは、そういうことを検討してできる、それだけの信用も持っておるのではないかと考えていまして、各機関において、ともかく財投機関債発行努力をしろということを申しておるところでございます。  財投機関債がどのぐらいになりますか、あるいは財投債がどのぐらいになりますか、その辺は市場で決定をすると申し上げるのが正確な答えであろうと思っておりますが、とにかく最大限市場との折り合いをつけてもらうということが大事だと思います。  それから、財投債発行規模につきましても、したがいまして、今のところ、正確な予測をすることが困難でございます。  それから、財政融資資金融通証券発行するということについて、これは御承知の、今発行しておりますFB、為券でありますとか蔵券でありますとか、外為の証券、その一つになるはずでございます。  それで、FBは、御承知のように、ことしの四月から公募になりました。四月から完全公募入札に移行いたしましたので、もし募集残が生じたとかなんかの場合に、日本銀行が例外的に所要FBの引き受けを行うことができることにしております。ただ、それは、その後の公募入札調達した資金償還をしなければならないことになっておりますので、日銀が引き受けたFBを借りかえ借りかえ長期的な債務になるということは、制度上ないことになっております。また、そういうことは起こっておりません。  それから、財投債調達した金は利ざやを取らないのかというお尋ねで、そのつもりでございます。一切利ざやを取らないつもりでございますので、そこは、お尋ねのように、財投機関債で金を調達するよりは財投債をもらった方が得だということは大変に注意をしなければならない問題でございますが、しかし、それは、一生懸命やっても自分のところでは財投機関債発行できないということをいわば告白するようなものでございますし、財投債そのものが、その数量が限られておりますから、どこにでも差し上げますというようなわけにはいきませんので、そういう窮屈な運営の中でできるだけ財投機関債発行する、それができなければ事業合理化をしなければならない、やがては、そういうところは本当に仕事をする資格があるのかねというところへ追い込んでいくということになれば、この制度は成功だというふうに思っております。  それから、外債運用することがあるかということでございましたが、財政融資資金は毎月平準的に発行される財投債調達いたしますし、その調達資金を出しますこととの間に時間的な隔たりがございます。融資との間に時間のずれがございますから、一時的な余裕資金をどう運用するかという、これはそれだけの問題でございます。  したがって、通常は内国債運用することになろうと思いますけれども、外国政府発行する国債等信用のある外国債に一時的に運用することも特に禁ずる必要はないだろう、こういうことで財政融資資金運用対象として残すことにいたしておるものでございます。(拍手)     〔国務大臣八代英太登壇
  14. 八代英太

    国務大臣八代英太君) 中川議員にお答え申し上げます。  財政投融資改革後の郵便貯金簡易生命保険事業あり方についてのお尋ねでございますが、郵便貯金簡易生命保険事業は、専ら小口個人対象として、簡易で確実な貯蓄や生命保険サービスをあまねく公平に提供することを目的として設置されたものでございまして、国民利用者に広く利用され、支持を受けているものでございます。  今回の改革によりまして、郵便貯金が全額自主運用することになって経営健全性が向上することになりますが、郵便貯金簡易生命保険とも、金利保険料については市場メカニズムとの調和をとって設定しておりまして、いわゆる民業圧迫につながるものとは考えておりません。  また、この二つの事業目的は、いわば基礎的な金融サービスの提供にありまして、財政投融資資金調達目的に設置されたものとは考えておりませんが、今回の改革後におきましても、国営事業らしい運用を行うため、確実、有利という原則に加えまして、公共の利益にも配意する仕組みをつくることにしておりまして、この面においてもその役割を果たしていくことができるものと考えております。  以上でございます。(拍手)     〔国務大臣中山正暉登壇
  15. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) 中川議員からの御質問、二点ございましたが、建設省所管機関財投機関債発行についてどうするかということでございます。  建設省所管の各財投機関につきましては、住宅資金低利融資、それからまた有料道路などの建設国民生活にこういうものがもう必要不可欠でございますので、その意味で、有償資金を活用して行うことがこれらの事業にふさわしいということで実施しておりまして、今後とも、これらの事業に必要な資金を円滑に調達していくことが何よりもこれから望まれることだと考えております。  それから、財投機関債につきましては、その公募発行によりまして、各機関市場評価を受けることを通じまして運営効率化へのインセンティブが働く等の効果があると言われておりまして、住宅金融公庫は五百億円を決めておりますが、これを除きまして、各財投機関発行見込み額については、現段階では、大蔵大臣も御答弁ございましたが未定でございます。そのような趣旨を踏まえながら、今後、各機関資金調達全般を考える中で検討してまいりたいと思っております。  次に、もう一つの御質問は、特殊法人財務諸表公開についてのお尋ねがございました。  建設省所管特殊法人である首都高速道路公団とか、それから日本道路公団都市基盤整備公団等につきましては、いずれも、平成九年の六月に公布された特殊法人財務諸表等の作成及び公開推進に関する法律におきまして、その財務内容公開推進に資するために、財務諸表、それから附属明細書、業務報告書等を一般の閲覧に供しなければならないことが定められておりますところでありまして、その規定に従って的確に対応をいたしておるところでございます。  現在、政府特殊法人情報公開検討委員会におきましても、特殊法人の保有する情報の公開に関する制度等の検討が行われておりまして、その検討状況を踏まえまして、建設省といたしましても、所管特殊法人の情報公開についてさらに適切に対応してまいりたい、かように考えております。  以上でございます。(拍手)     〔国務大臣続訓弘君登壇
  16. 続訓弘

    国務大臣(続訓弘君) 中川正春議員の御質問にお答えいたします。  私に対しては、特殊法人改革についてのお尋ねをいただきました。  特殊法人につきまして不断の見直しを行うことは、行政改革を進めるに当たっての重要課題の一つであると認識しております。  総務庁では、昨年四月の減量化計画を踏まえ、平成九年の整理合理化議決定について、統廃合関連法案の審査や財務公開評価等に係る実施状況の点検など、その推進に努めてきているところでございます。  さらに、ただいま御審議をいただいております財政投融資制度の抜本的改革、そして特殊法人の情報公開等は特殊法人整理合理化に資するものであり、今後、こうした関連制度の動向をも十分踏まえつつ、さらなる改革に努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。(拍手
  17. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) これにて質疑は終了いたしました。     〔議長退席、副議長着席〕      ————◇—————  犯罪被害者等の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律案内閣提出)及び犯罪被害者基本法案北村哲男君外三名提出)の趣旨説明
  18. 渡部恒三

    ○副議長(渡部恒三君) この際、内閣提出犯罪被害者等の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律案及び北村哲男君外三名提出犯罪被害者基本法案について、趣旨説明を順次求めます。法務大臣臼井日出男君。     〔国務大臣臼井日出男君登壇
  19. 臼井日出男

    国務大臣(臼井日出男君) 犯罪被害者等の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。  近時、我が国では、犯罪による被害者の問題に対する社会的関心が極めて大きな高まりを見せており、犯罪被害者やその遺族に対する配慮とその保護のための諸方策を講じることが喫緊の課題となっております。  被害者等は、刑事手続の当事者ではないものの、刑事手続対象としている事件によって直接の被害を受けた者であり、被害に係る刑事事件の審理の状況及び内容について深い関心を有するとともに、これらの者の受けた身体的、財産的被害その他の被害の回復には困難を伴う場合があることにかんがみ、刑事手続に付随するものとして、被害者等の心情を尊重し、かつその被害の回復に資するための措置を定め、もってその保護を図ることが必要であります。  そこで、この法律案は、このような状況を踏まえて、被害者等の保護を図るために、刑事手続に付随する措置について所要の法整備を行おうとするものであります。  この法律案の要点を申し上げます。  第一は、公判手続の傍聴についてであります。裁判長は、被害者等から申し出があるときは、申し出をした者が刑事事件の公判手続を傍聴できるよう配慮しなければならないとするものであります。  第二は、公判記録の閲覧及び謄写についてであります。被害者等から損害賠償の請求など正当な理由に基づき刑事事件の訴訟記録の閲覧または謄写の申し出があり、相当と認めるときには、刑事事件の係属中であっても、裁判所は、申し出をした者にその閲覧または謄写をさせることができるとするものであります。  第三は、民事上の争いについての刑事訴訟手続における和解についてであります。被告人と被害者等は、両者の間における被告事件に関連する民事上の争いについて合意が成立した場合は、刑事事件の係属する裁判所に対し、共同して当該合意の公判調書への記載を求める申し立てをすることができ、その合意が公判調書に記載されたときは、その記録は、裁判上の和解と同一の効力を有するものとし、被害者等は被告人から債務の履行がない場合には、別に民事訴訟を提起することなく、当該公判調書により強制執行の手続をとることを可能とするものであります。  その他所要の規定の整備を行うことといたしております。  以上が、この法律案趣旨であります。(拍手)     —————————————
  20. 渡部恒三

    ○副議長(渡部恒三君) 提出北村哲男君。     〔北村哲男登壇
  21. 北村哲男

    北村哲男君 民主党の北村哲男でございます。私は、民主党の提出しました犯罪被害者基本法案につきまして、その趣旨を、提出者を代表いたしまして今から御説明いたしたいと思います。  我が国では、長い間、犯罪被害者は精神的にも経済的にも苦しめられてきました。近年、特にサリン事件以来、犯罪被害者の置かれている状況が広く認識されるようになり、また、被害者を支援する組織が各地に設立されるなど、ようやく犯罪被害者の支援について一定の前進は認められるものの、被害者の悲惨とも言える現状は基本的には変わっておりません。  犯罪被害者に対する公的支援について申し上げれば、まず、二十年前に犯罪被害者給付金支給法が成立し、国から見舞金が支給されるようになりました。また、近年、被害者への連絡制度あるいは警察庁による相談窓口の設置など、行政もようやく重い腰を上げた感があります。政府から提出されておる刑事訴訟法改正案などもその一つと言っていいでしょう。  確かに、いずれも一歩前進ではありますが、しかし、犯罪被害者の問題全体を考えるならば、犯罪被害者の権利を明記した基本法の策定と、それに基づいた総合的施策が必要不可欠でございます。  次に、具体的に望まれている支援について申し上げます。  まずは、医療関係費など、被害に遭った直後に必要な経費であります。先日行われました法務委員会でも、人違いで火だるまにされた被害者のもとに、皮膚移植にかかった二百七十四万円の請求があった、そういう参考人の陳述がありました。本来ならば、不法行為に基づく損害賠償請求によって加害者に対して請求するものでありますけれども、加害者に資産があることはほとんどなく、被害者がみずから負担しなければならないのが実情でございます。また、犯罪被害によっては、働き手を失うなど生活上の苦労にも深刻なものがあります。  そういった犯罪被害者あるいは被害者の家族に対しては、国あるいは社会全体で支援していく制度が必要ではないでしょうか。  精神的被害についても深刻でございます。サリン事件の被害者あるいはさきの新潟での九年間にも及ぶ監禁事件の被害者など、犯罪被害者は心にも大きな傷を負っている例が多々ございます。性犯罪被害者を含め、捜査やマスコミあるいは近隣による第二次あるいは第三次被害に苦しむ人も大勢おられます。  それには、カウンセリングを継続的に受けられる仕組み、被害者のプライバシーの保護、心理的負担を減らすための配慮が必要です。さらに、再被害防止の観点から、ストーカーからの保護、暴力犯罪を繰り返すおそれのある者に対する監視などの対策も考えなければなりません。  また、今回政府より提出された刑事訴訟法及び検察審査会法の一部を改正する法律案における被害者等の刑事訴訟手続への参加の方法についてもさらに検討をすべきでしょうし、犯罪被害者給付金支給制度そのものも再考すべきものと考えます。  これらの具体的な制度づくりを考える上で、国、地方公共団体、そして民間支援組織の役割を決め、それぞれが力を合わせ、被害者等の支援に向かう体制と、特に民間組織を支援するシステムをつくる必要があります。  このような総合的な支援対策に向かう第一歩として、私たちは、ここに犯罪被害者基本法案提出したものであります。  この法案では、基本理念として、一、すべて犯罪被害者は、個人の尊厳が重んぜられ、犯罪被害の状況等に応じた適切な処遇を受ける権利を有する、二、何人も、犯罪被害者の名誉及び生活の平穏を害してはならないとの二点を掲げ、目的の項で、国及び地方公共団体犯罪被害者等が受けた被害の回復及び犯罪被害者等社会復帰を支援する責務があることを明記しております。その上で、国は、この法案によって設置される犯罪被害者等支援対策審議会の意見を聞いて、支援の基本計画を定め、具体的な支援対策を推進することになっております。さらに、相談、指導等を初めとする国及び地方公共団体施策を定めております。  以上、この法律案趣旨について御説明いたしました。  犯罪被害者の惨状を御理解いただき、党派を超えて御賛同賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。(拍手)      ————◇—————  犯罪被害者等の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律案内閣提出)及び犯罪被害者基本法案北村哲男君外三名提出)の趣旨説明に対する質疑
  22. 渡部恒三

    ○副議長(渡部恒三君) ただいまの趣旨説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。奥田建君。     〔奥田建君登壇
  23. 奥田建

    ○奥田建君 民主党の奥田建でございます。  私は、党を代表しまして、ただいま議題となりました内閣提出犯罪被害者等の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律案について質問いたします。  犯罪行為によって命を奪われ、あるいは心身に傷を受けた被害者の人権に焦点を当てた法案国会提出され、こうして審議されるというのは、我が国の法制史上画期的なことであり、意義深いことだと評価いたします。犯罪被害者は、これまで法的に明確な位置を与えられてきませんでした。犯罪を裁く手続を定めた刑事訴訟法の世界にも、一方の当事者である犯罪被害者の立場はなかったのです。  いかなる犯罪にも、加害者と被害者が存在します。加害者の人権については、憲法や刑事訴訟法に規定されています。同様に、被害者の人権も保障されるべきであります。  憲法第十三条は、「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」とうたっています。百三条に及ぶ日本国憲法の条文の中で、基本中の基本とも言われる条文ですが、犯罪被害者にとっては、どこの国の憲法かと思えるほどに無権利状態に置かれているのです。  そこで、まず、犯罪被害者の人権保障についてどう考えているのか、臼井法務大臣の基本的認識をお尋ねします。  民主党の犯罪被害者基本法案は、被害者の権利を明確にした上で、被害回復、社会復帰を支援するための総合的施策の実施を規定しています。同案については、さきに法務委員会で行われた参考人の意見聴取でも、被害者の立場から早期の制定を望む意見が出されていますが、政府は基本法を制定する意思はおありでしょうか、前向きの御答弁をお願いいたします。  犯罪被害者が放置される社会は、あすは我が身ということで、すべての国民に不安をもたらします。事件が起きて被害に遭ったときから、被害の回復やあるいは社会復帰に至る過程のすべての段階で被害者に適切な配慮と支援をすることが不可欠です。  以下、政府案と犯罪被害者行政について、具体的項目に沿って質問をいたします。  政府案は、一連のプロセスのごく一部分である刑事手続における被害者の取り扱いを規定しております。待ち望まれたものとはいえ、これだけでは不十分と言わざるを得ません。  まず、事件が起き一一〇番をすると警察官が駆けつけますが、同時にあるいは警察よりも先に、公的機関の相談員や支援ボランティアが駆けつけ、被害者や家族のケアに当たるという仕組みができないものでしょうか。被害者や家族は、心身にダメージを受けながら、さまざまなことを処理しなければいけません。相談員やボランティアが病院や警察に付き添い、あるときは遺体の確認、葬式の手配などを援助できるようにする、法的援助が必要なときは弁護士との連絡をとり、マスコミへの対応もしてくれる、こうした仕組みについて、法務大臣のお考えはいかがでしょうか。  池袋の通り魔事件で娘さんを殺された遺族の方は、救急救命費として百七十四万円を請求されたそうです。凶器も死因もはっきりしているのに司法解剖された。解剖の場所は汚くて、被害者への哀悼の意が全く感じられなかったという遺族の言葉に、胸がふさがる思いであります。加害者が負傷したときにはきちんとした医療施設で公費による治療を受けられるのと比べると、何という違いでしょうか。せめて被害者の医療費は公費負担にすべきではないでしょうか。  また、一九八一年に施行された犯罪被害者等給付金支給制度は、適用対象も金額も不十分であり、ぜひ見直していただきたいと思います。一部、現行制度のもとでは、厚生省のもとにある部分もありますが、法務大臣としての御見解をお聞かせください。  次に、被害者の知る権利に関連して法務大臣に伺います。  法務省は、被害者等通知制度を昨年の四月からスタートさせ、被害者に対し、通知を希望するかどうかを確認し、事件の処理結果、公判期日、裁判の結果など、刑事事件の情報提供をすることになっております。しかし、不起訴裁定の主文や理由の骨子、勾留、保釈等の身柄の状況は、希望の有無を確認されることもなく、被害者が検察官に対し情報の提供を申し出たときに「通知することができる」とされています。これは通知しないこともあるという意味でしょうか。どういう場合に通知しないのでしょうか。御説明をお願いします。あわせて、この一年間のこの通知制度の実施状況について御報告ください。  被害者は、当事者である自分に何も知らされずに刑事手続が進んでいくことで、ますます疎外感を深めてしまいます。普通の市民がこのような法務省の実施要領を知ることなど不可能でございます。被害者を置き去りにしないために、まずは、被害者はどのような情報を知ることができるのか、そういったことを知らせるシステムが必要ではないでしょうか。  特に、自分に犯罪行為を働いた加害者が不起訴になったとき、その理由を知りたいと思うのは当然であります。また、加害者が保釈されるとなると、被害者としては不安でたまりません。性犯罪などは再犯性が非常に高いことから、具体的な身の危険も現実としてあります。これらの情報が他の情報と比べてアクセスしにくくなっているのはなぜでしょうか、納得できません。  続いて、犯罪被害者等保護法案に規定された被害者の優先傍聴について伺います。  マスコミが注目する裁判は、傍聴者も多く、抽せんで外れたら被害者も傍聴できなくなりますが、本法案はそうした事態に配慮しようというもので、率直に評価したいと思います。  しかし、その対象は、被害者またはその配偶者、直系の親族もしくは兄弟姉妹となっています。人によっては、おじさんやおばさん、あるいは友人などが家族同様の親密な人かもしれません。わざわざこのような限定をする必要があるのでしょうか。  ちなみに、被害者等通知実施制度要領では、通知の対象を、被害者、その親族もしくはそれに準ずる者とされております。これでよいのではないでしょうか。ぜひ第二条の対象を拡大するように見直していただきたいと思います。  これらの点について、法務大臣の明快な答弁を求めます。  最後に、警察の犯罪被害者への対応についてお尋ねいたします。  これまで、警察がどの機関よりも犯罪被害者対策を実施してきたことは承知しております。しかし、桶川のストーカーによる女子大生殺人事件に見られるように、被害者への配慮どころか、被害者を死に追いやったケースが起きており、一体第一線ではどのような被害者対策が行われているのか、疑念を抱かずにはいられません。  九八年の八月に警察庁が作成した「警察の犯罪被害者対策」という冊子にはこうあります。ささいな事件でも犯罪であることに変わりはありません、警察では、まず被害者の話に親身になって耳を傾け、誠実な対応をするよう体制が整えられていますと。さらに、昨年六月に改正された犯罪捜査規範には、被害者対策の一層の推進が盛り込まれています。  このとおりに警察の対応が行われていたら、桶川の事件は起きなかったはずです。告訴までして保護を求めたのに、警察は保護するどころか、その告訴さえもないものにして、虚偽の公文書を作成しました。全く同じようなことが兵庫県警でも起きております。愛知県警では、少年の恐喝事件の被害届が適切に処理されず、被害を拡大させました。  警察業務は適切に運営されているのでしょうか。新人警官には、被害者への対応について研修が行われているようですが、厳しい階級制の警察では、幹部警官の意識が変わらなければ被害者対策も進まないのではないですか。この際、犯罪被害者対策の実施状況について、業務監察を行ってはいかがでしょうか。  森内閣は早々に警察法改正案の出し直しを見送ったようでございますが、一体警察改革を積極的に推進する気があるのでしょうか。保利国家公安委員長の見解を求め、私の質問を終わります。(拍手)     〔国務大臣臼井日出男君登壇
  24. 臼井日出男

    国務大臣(臼井日出男君) 奥田議員にお答えをいたします。  犯罪被害者の人権保障についての認識に関するお尋ねがございました。  犯罪被害者は、犯罪行為によってその人権を侵害された方でございます。これまでも、このような権利の侵害に対しては損害賠償請求や刑罰権の発動を求める権利などが定められておりますけれども、犯罪によって受ける被害の重大さ、多様さを考慮した対策の充実が必要と考えております。  次に、犯罪被害者基本法に関するお尋ねがございました。  犯罪被害者保護の問題については、多岐の分野における種々の施策が必要でございますが、まずもって個別具体的な施策を講じることによって対応することが肝要であります。政府におきましては、犯罪被害者対策関係省庁連絡会議を設置いたしまして、既に一定の施策を講じ、さらに今後行うべき施策を検討しているところでございます。  基本法の必要性につきましては、こうした種々の個別具体的な施策を講じていく中で、総合的な見地から検討するのが適当であろうと考えております。  事件の直後からの支援に関するお尋ねがございました。犯罪による被害を受けた直後からの支援のあり方につきましては、さまざまな点から検討する必要がございますが、関係機関民間団体が連携して被害者支援に取り組むということは極めて意義のあることだと考えております。  なお、警察当局におきましては、犯罪被害者からのさまざまな相談に対応する体制の整備充実に努めておりますほか、捜査員とは別の警察職員が、事件発生後、早期から被害者に付き添い、被害者からの相談に応じたり、民間ボランティア団体等の相談機関の紹介などの支援活動を行う指定被害者支援要員制度の導入が始められていると承知をいたしております。  次に、医療費の公的負担、犯罪被害給付制度に関するお尋ねがございました。  犯罪被害者保護の問題は、御指摘のとおり、精神的な支援、経済的な支援等、多岐分野にわたっております。犯罪被害者対策関係省庁連絡会議におきまして、関係省庁の緊密な連携のもと、検討がなされたところでございまして、今後とも、関係省庁が連携をしつつ、さまざまな具体的問題について取り組んでいくものと承知をいたしております。  なお、犯罪被害給付制度の充実につきましては、警察庁当局におきまして、諸般の事情を考慮して適切に対応されるものと承知をいたしております。  次に、検察庁の被害者等通知制度における不起訴裁定の主文や理由の骨子、勾留、釈放等の身柄の状況の通知に関するお尋ねがございました。  御指摘の制度は、事件の処理結果、公判期日、刑事裁判の結果という基本的な事項をお知らせすることを主眼としているものであることから、さらに詳細にわたる不起訴裁定の主文及び理由の骨子や勾留及び釈放等の身柄の状況につきましては、被害者等の御希望がある場合に通知の対象としたものでございます。  ところで、これらの事項につき通知をしない場合といたしましては、その通知を行うことによりまして、関係者の名誉その他の利益を不当に害するおそれがある場合、他の事件の捜査または公判の運営に支障を生ずるおそれがある場合、犯人の改善及び更生を不当に妨げるおそれがある場合、新たな紛争または事件を誘発するおそれがある場合等が考えられているところでございます。  処理結果等の基本的事項と差を設けましたのは、このような問題が生ずることを避ける必要があることや、裁判前の起訴記録の公開原則的に禁止をいたしております刑事訴訟法第四十七条の趣旨を考慮したことによるものでございます。  次に、検察庁における被害者等通知制度の実施の状況についてのお尋ねがございましたが、一年間の通知状況におきましては、現在、集計作業中でございます。平成十一年四月から昨年末までに全国の検察庁において通知した通知者数は三万人を超えております。被害者から同制度評価するコメント等も寄せられておりまして、順調に実施されているものと承知をいたしております。  次に、検察庁の被害者等通知制度の周知方策に関するお尋ねがございましたが、被害者等がこの制度を利用する機会を十分に保障するために、実施要領の全文とともに制度説明を掲載いたしましたパンフレットを作成して、全国の警察署、検察庁に備えつけるなどの措置をとっておりまして、今後ともこの制度の周知方に努めてまいりたいと考えております。  次に、本法案第二条の公判手続の傍聴の対象者の範囲を拡大すべきではないかとのお尋ねがございました。  法律で傍聴への配慮義務を明定する対象者の範囲は、被告人が原則として法廷に出頭することとの均衡上、犯罪の一方の当事者である被害者またはこれにかわるべき者、すなわち被害者の法定代理人を原則とし、被害者が死亡した場合またはその心身に重大な故障がある場合につきましてはその配偶者等の近親者とするのが適当であると考えられます。  御指摘のように、その範囲を拡大することといたしますと、一般の傍聴希望者が実際に傍聴できる数に影響を及ぼすことや被告人の家族の傍聴に対する配慮との均衡などの問題がございます上、法律上、裁判長に配慮義務が課せられる範囲を、合理的かつ明確に規定することが困難になるおそれがあると考えられます。  なお、御指摘のような方につきましても、個別の事情に応じて、従来どおり、実際上の配慮が払われるものと考えております。(拍手)     〔国務大臣保利耕輔君登壇
  25. 保利耕輔

    国務大臣(保利耕輔君) 奥田議員のお尋ねの桶川事件におきます警察の対応につきましては、まことに遺憾に存じております。被害に遭われた方に心からおわびを申し上げたく存ずる次第でございます。  また、御指摘の愛知県警あるいは兵庫県警の事案につきましては、現在、鋭意調査中であると承知をいたしております。  警察は、犯罪の被害に遭われた方が最初に接する機関であり、被害者の権利を擁護する立場にあります。被害者対策を第一線警察に徹底させるため、最近の不適切事案を踏まえながら、幹部の意識改革や職員に対する指導、教養の徹底を図るほか、その実施状況についての業務監察も含め、被害者の切実な要望にこたえられるよう一層の努力をするよう、警察庁を通じ督励してまいりたいと存じます。  警察の刷新、改革につきましては、住民の不安に的確に対応する警察活動のあり方を含めた見直しが必要であり、一連の不祥事を受けて先般発足した警察刷新会議でも精力的に議論されているところであります。  私といたしましては、国会や各党の御提言や御論議を踏まえ、このような警察刷新会議を初めとする関係方面の御意見も十分伺いながら、失われた国民の信頼を回復すべく、警察の刷新、改革に全力を尽くす所存でございます。  以上でございます。(拍手)     —————————————
  26. 渡部恒三

    ○副議長(渡部恒三君) 倉田栄喜君。     〔倉田栄喜君登壇
  27. 倉田栄喜

    ○倉田栄喜君 ただいま議題となりました犯罪被害者等の保護を図るための法律案と民主党案について、公明党・改革クラブを代表して質問いたします。  命のとうとさを最大の価値と考える社会にあって、犯罪によってその命を奪われた被害者とその家族に対し、我が国の捜査、裁判、執行という司法システムは、どのような立場を用意してきたのか、今、改めてじくじたる思いがいたします。  現在の刑事裁判は被害者を疎外するシステムになっていて、一人の人間の死に対する尊厳や血の通ったものを何一つ見出すことができないという被害者の声に、自分で復讐したいという被害者遺族の叫びに、我が国の司法システムは本当に信頼に足るべく機能しているのでしょうか。  法務大臣にお聞きします。なぜ刑罰権は国家に独占されているのですか。法秩序の維持という目的の中に、被害者の権利と被害回復の立場は含まれないのですか。改めて確認したいと思います。  私は、被害者が、司法システムの中で単に保護の対象者ではなく、被害者の知る権利も含め権利の主体者として位置づけられなくてはならないと主張してきました。しかし、被害者とその家族に対する現状は、保護の対象どころか保護のらち外にあり、刑事システムにあっては、証拠資料としての扱いしか受けていないというのが現実です。  犯罪の被害者には、いつでも、だれでも、ある日突然、思いもかけずになってしまうのに、一たん被害者になれば、治療、生活維持、精神的ケア、被害の回復等、すべて自己責任で解決しなければならないのです。  犯罪が社会から生まれ、だれもが被害者になる可能性がある以上、犯罪被害者に権利を認め、医療と生活への保障や精神的支援などの被害回復のための制度を創設することは国や社会の当然の義務であるとの主張は、我が国では通用しない主張なのでしょうか。  法務大臣、なぜ、我が国刑事訴訟の世界は被害者の立場を今日まで無視してきたのでしょうか。裁判というシステムが、お上の権威によるお上のものであり、国民のものであるという意識がなかったからということでしょうか。  亡くなった被害者のかわりに、言うことは言い聞くことは聞いてようやく仏壇に報告できる気持ちになるというのが、被害者遺族にとって偽らざる心情であろうと思います。  一九九九年五月十五日、全国被害者支援ネットワークによって採択された、公正な処遇を受ける権利、情報を提供される権利、被害回復の権利、意見を述べる権利、支援を受ける権利、再被害から守られる権利、平穏かつ安全に生活する権利という七つの権利主張に対して、どのようにお考えでしょうか。法務大臣見解を求めます。  国家公安委員長にお尋ねいたします。  法務総合研究所がこの三月に発表した犯罪被害実態調査によれば、個人で犯罪の被害に遭った場合、実際に警察に被害を届け出る割合は、強盗で三〇・八%、性的暴行で九・七%、暴行、脅迫で二一・三%ということであります。被害に遭っても警察に届けない被害者が多いのはなぜでしょうか。  愛知県で起こった少年による五千万円もの恐喝事件、被害届を出したのに、警察は捜査を放置したとの報道がありますが、どうなっているのでしょうか。  警察による被害者連絡制度は、被害者と家族の気持ちにこたえるものになっているでしょうか。捜査の密行性とかプライバシーとかの理由で、被害者の知りたいという気持ちにこたえていないことが多いのではないでしょうか。  犯罪被害給付制度についても申し上げれば、その要求や支給額について、抜本的に拡充すべきではないでしょうか。国務大臣としてもお考えをお聞かせください。  法務大臣、今回の法案で、被害者等に公判手続の傍聴手続が規定されたことは評価しますが、今後、配偶者の兄弟姉妹など、その範囲はさらに広げるべきではないでしょうか。  また、公判記録の閲覧、謄写は、加害者への賠償請求に必要な場合等正当な理由がある場合に限定されていますが、公開法廷の記録である以上、公判中であっても被害者に対しては公開原則であるべきではないでしょうか。  関連する刑事訴訟法の一部を改正する法律案において、公判における被害者等の意見の陳述は、意見陳述が認められる被害者等の範囲はどこまででしょうか。精神的障害も含めて、本人が意見陳述することができない場合も多いと思いますが、その場合、家族の意見陳述は認められていますか。証人の付き添いとともに、被害者と家族の付き添いは保障されますか。刑の執行及び保釈と終了について、希望する被害者等には通知できないのでしょうか。  さて、被害者問題については、精神障害者による事件の被害者と少年による事件の被害者の立場について特に申し上げたいと思います。  これらの事件による被害者とその家族は、一般の犯罪被害者以上にその立場が抑制されることになります。命のとうとさが全く同等であるべきなのに、被害者とその家族にとって、加害者がだれであろうとその苦しみと悲しみが少なくなるはずがないのに、一方は犯罪の成否という問題で、他方は少年の健全育成というために、情報提供を受ける権利も意見を陳述する権利も蚊帳の外にあると言っても過言ではありません。  加害者の人権保障や、国家を少年の親として加害少年の更生を目的とし、これらによって社会を非行、犯罪から守ることを価値とすることで、被害者の立場が必要以上に抑制されていると考えざるを得ません。そうであるとすれば、その抑制分に見合うだけの保障を考えてようやくバランスがとれるのではないでしょうか。  もちろん、人権の保障や少年審判の理念の中で可能な限り被害者の知る権利や意見陳述の権利の実現を目指すべきこととしても、その理念と目的ゆえに抑制される代償措置としての支援制度を確立すべきであると思います。  一つは、国費による被害者弁護人制度を確立すること、さらにもう一つは、保護者の監督責任を民法の不法行為理論ではなく、少年の保護監督者責任とともに、国親思想というのであれば、国も含めた保護者としての賠償責任を明確に定めた方がよいのではないでしょうか。これらについて、法務大臣の御所見をお尋ねいたします。  民主党提案の犯罪被害者基本法は、犯罪被害者の支援対策を基本法の目的としていますが、せっかく野党の立場で提案されるのであれば、我が国の刑事システムにおける被害者の権利者としての立場をもっと明確に掲げるべきではなかったでしょうか。例えば、基本法は、刑事手続について、犯罪被害者等に対して適切な取り扱いがなされるような必要な措置を求めていますが、権利の主体者ではなく保護の対象者としての措置を求めているにすぎないように見えますが、どうでしょうか。  犯罪被害者らの叫びは、せめて加害者に認められる具体的な権利を被害者にも認めてほしいということだと思います。  さらに、この基本法の哲学と理念では、我が国の司法システム、ひいては現行刑事訴訟法や少年法をどうお考えになるのか、具体的な考え方が見えません。提案者にお聞きしたいと思います。  最後に申し上げたいと思いますが、法務大臣、近時、リストラティブ・ジャスティスと呼ばれる考え方が注目されています。回復的正義あるいは刑事和解モデルなどと訳されるようでありますが、この考え方の特徴は、従来の刑事司法における加害者を処罰するという考え方から、被害者が受けた損害の回復を求めるという発想の転換にあります。  今、私たちは、現行の司法システム国民の信頼にこたえているのかどうか、刑罰権を国家が独占しているのは本当に何のためなのか、社会秩序の維持や犯罪の防止のためには、被害者、加害者、そして犯罪が発生した地域がそれぞれの立場を超えて共同して取り組むべきであるという考え方について、ぜひとも研究、検討していただきたいということを強く申し上げて、私の質問を終わります。(拍手)     〔国務大臣臼井日出男君登壇
  28. 臼井日出男

    国務大臣(臼井日出男君) 倉田議員にお答えを申し上げます。  刑罰権を国家が独占する理由及び法秩序の維持の目的に関し、被害者の権利等についてのお尋ねがございました。  刑罰権につきましては、社会の秩序の維持の観点から、私的報復を許容せず、国民の共同体である国家がこれを独占することとされているものと理解をいたしております。  また、刑事手続は、刑罰権の行使によって法秩序の維持という目的を達成しようとするものでございますけれども、その過程におきまして、被害者の立場が尊重される必要があると考えております。  我が国刑事訴訟が被害者の立場を無視してきたのではないかとのお尋ねがございました。  刑事訴訟手続に関しましては、これまでも、例えば昭和三十三年に、刑法及び刑事訴訟法の一部改正におきまして、証人等威迫罪の新設、権利保釈除外事由の拡張等、証人尋問中の被告人退席、退廷規定の新設など、被害者保護のための改正が盛り込まれております。  また、平成十一年八月、いわゆる組織犯罪対策三法が公布されまして、刑事訴訟法の一部を改正する法律案によりまして、証人等に対して威迫等が行われることを防ぐため、証人の住居等につきましてその尋問の制限等の制度を導入してきたところでございまして、また、既存の制度運用によって被害者の立場を尊重し、その保護に努めてきたところでございます。  次に、全国被害者支援ネットワークによって採択された七つの権利の主張についてのお尋ねがございました。  御指摘の主張に含まれている事項は、いずれも被害者の立場から見て重要なものでございます。しかし、その具体的な施策につきましては、被疑者、被告人の防御権、その他の関係者の利益の保護や刑事訴訟の基本構造との関係など、関連する諸制度におけるさまざまな要請との調和を図りつつ検討していくことが必要と考えます。  今、国会提出しております犯罪被害者の保護のための法案におきましては、被害者の立場に配慮する個別具体的な制度を導入しているところでございます。また、今回の法案に盛り込まれていない点につきましても、今後とも検討を行い、議論が熟したものから適切に対応してまいりたいと考えております。  次に、本法案第二条の公判手続の傍聴の対象者の範囲を拡大すべきではないかとのお尋ねがございました。  法律で傍聴への配慮義務を明定する対象者の範囲は、被告人が原則として法定に出頭することとの均衡上、犯罪の一方の当事者である被害者またはこれにかわるべき者、すなわち被害者の法定代理人を原則とし、被害者が死亡した場合またはその心身に重大な故障がある場合につきましてはその配偶者等の近親者とするのが適当であると考えられます。  御指摘のように、その範囲を拡大することといたしますと、一般の傍聴希望者が実際に傍聴できる数に影響を及ぼすことや、被告人の家族の傍聴に対する配慮との均衡などの問題がある上、法律上、裁判長に配慮義務が課せられる範囲を合理的かつ明確に規定することは困難になるおそれがあると考えられます。  なお、御指摘のような方につきましても、個別の事情に応じて、従来どおり、実際上の配慮が払われるものと考えます。  公判記録につきまして、その公開原則であるべきではないかとのお尋ねがございました。  刑事の裁判資料は、本来、刑事手続を適正に実施するために、裁判所または捜査機関の権限の行使として収集され、その吟味に服するものでございますので、これを刑事訴訟の目的以外に用いることにつきましては慎重な配慮が必要であると考えられます。  この点、被害者は刑事手続における訴訟当事者でなく、本制度におきましても、被害者の立場を考慮して、損害賠償請求権の行使などの正当な理由が認められる場合におきましてはその利用を認めるものであること、係属中の事件の公判記録を対象としていることから、閲覧、謄写を認めれば当該事件の公判等への支障や関係者の名誉、プライバシーへの侵害等のおそれがあり、そのような支障のない相当な範囲でのみこれを認めることとするのが適当でありますことから、裁判が公開されていることをもって、直ちに、原則として公判記録を閲覧、謄写できるものとすることは相当でないと考えます。  刑事訴訟法及び検察審査会法の一部を改正する法律案に盛り込まれている、意見陳述ができる者の範囲等についてお尋ねがございました。  意見陳述における被害者等の範囲につきましては、被害者またはその法定代理人とし、被害者が死亡した場合におきましては、被害者の配偶者、直系の親族または兄弟姉妹といたしております。  被害者本人が心身の故障により公判廷で意見陳述ができない場合のうち、被害者の身体に重大な故障がある場合には、法案上、書面により意見を表明することは可能とされております。  また、その精神に重大な故障がある場合には、法定代理人によることが可能でありますが、そのような場合には、むしろそのような状況に陥ったことにつきまして、被害者の配偶者等に証人として証言していただくことが相当であると考えます。  公判手続の傍聴や意見陳述の際に、被害者の家族の付き添いは保障されるかとの点につきましてお尋ねがございました。  まず、公判手続の傍聴につきましては、その心身に重大な故障がある場合には、被害者本人とともにその配偶者なども傍聴の配慮義務の対象者としておりますので、被害者の家族の付き添いは法的にも配慮されることになるのでございます。それ以外の場合につきましても、個別の事情に応じまして、従来どおり、実際上の配慮による対応が可能でございます。  また、意見陳述につきましては、証人への付き添いの規定を準用しておりまして、証人への付き添いと同様、家族などの適当な者の付き添いが可能でございます。  刑の執行及び保釈と終了につきまして、希望する被害者等に通知できないかとのお尋ねがございました。  まず、保釈につきましては、検察庁の被害者等通知制度におきまして、被害者等が通知を希望するときは、保釈を含む身柄の状況を通知することができることとされております。また、刑の執行につきましては、同通知制度におきまして、裁判の主文、裁判年月日、裁判の確定等を通知することとしておりますので、これによって被害者等は刑の執行等を知り得るところでございまして、さらに、特に被害者等から照会があれば、相当と認められる限り、検察官から被害者等に刑の執行開始等をお知らせすることも可能であろうと考えております。  他方、刑の終了につきましては、犯罪者の改善更生、プライバシーの保護の要請をも考慮し、犯罪被害者等に対し、どのような場合にどのような範囲の情報を提供することが適当かについて、鋭意検討を行っているところでございます。  被害者弁護人制度及び保護者の賠償責任に関するお尋ねがございました。  御指摘のように、被害者の保護のあり方につきましては、それぞれの事件の性質や手続目的等を十分に踏まえた上で、これを検討すべきものであると考えております。  犯罪被害者に対して国費により弁護士を付する制度につきましては、その弁護活動の範囲、内容をどのようなものとするかということを、さまざまな観点から、その必要性などについて慎重に検討する必要があると考えております。  また、犯罪による被害について、民法上の不法行為責任以外に、国を含めた保護者としての賠償責任を認めることにつきましては、その根拠等について慎重な検討を要するものと考えております。  以上でございます。(拍手)     〔国務大臣保利耕輔君登壇
  29. 保利耕輔

    国務大臣(保利耕輔君) 倉田議員にお答えいたします。  犯罪被害を警察に申告しなかった理由については、御指摘の法務総合研究所の調査によりますと、被害がそれほど重大ではないことが最も多く、次は、残念ながら、警察は何もできない、あるいは証拠がないことであると承知をいたしております。警察では、被害を積極的に申告できるよう、相談体制の強化や女性の性犯罪捜査員の配置などの措置を講じており、今後ともこうした施策をさらに推進するよう、警察庁を督励してまいりたいと存じます。  愛知県警察の事案につきましては、被害者や加害者側からの相談に対して的確な対応がなされなかったなどの御指摘がございまして、現在、愛知県警におきまして詳細調査中でございます。  被害者連絡制度につきましては、捜査に支障があるなど例外的な場合を除いて、捜査状況や被疑者の検挙などの事実を被害者に連絡しているものと承知しております。今後とも、被害者の要望にこたえ、被害者連絡制度をさらに充実すべきものと考えております。  犯罪被害給付制度につきましては、これまで、支給対象の拡大や過去三回にわたる給付金額の引き上げなど、所要見直しを行ってきております。また、現在、警察庁において被害者対策に関する総合的な調査研究を行っており、その結果や被害者のニーズなども踏まえ、今後、犯罪被害給付制度の拡充を含めた被害者の支援策のあり方を検討してまいる所存でございます。  以上でございます。(拍手)     〔坂上富男君登壇
  30. 坂上富男

    ○坂上富男君 倉田議員にお答えをいたします。  先生の犯罪被害者に対する心情は、私も全く同感であります。御提案につきましては、ありがたく承りました。  質問は二点であります。  第一の御指摘ですが、この法案は、犯罪被害者を単に保護の対象者としているわけではありません。法案の第二条で基本理念をうたい、それに基づいてすべての施策が講じられるという構成になっております。  すなわち、個人の尊厳が重んじられ、被害の状況等に応じた適切な処遇を保障される権利を有するという、まさにその権利の主体者として、犯罪被害者が刑事手続において適切な取り扱いを受ける権利を有することを規定するものであります。  第二に、刑事訴訟手続や少年審判手続をどのようにすべきかということについては、被告人や関係者等の人権など配慮しなければならないさまざまな問題があります。慎重な検討を要するものと考えております。  本法案の基本理念に示されておるとおり、刑事手続においても、犯罪被害者の権利や立場に対して十分な配慮が不可欠であると考えております。  具体的問題につきましては、犯罪被害者と犯罪被害者等の支援者、学識経験者から成る審議会で十分議論を重ねていただくとの趣旨を御理解いただけるものと考えております。  私たちは、本案が最上のものと考えておりますが、修正の御提案につきましては謙虚に伺ってまいります。  また、本年一月二十八日発見、救出、保護された新潟県の女性被害者の長期監禁事件は、約十年前に私の町に起きた事件であります。犯罪被害者保護の必要性を何よりも痛感しておるものであります。この法案の成立に切なるものがございます。何とぞ、前向きに御審議いただきますようお願いを申し上げたいと思います。  ありがとうございました。(拍手
  31. 渡部恒三

    ○副議長(渡部恒三君) これにて質疑は終了いたしました。      ————◇—————
  32. 渡部恒三

    ○副議長(渡部恒三君) 本日は、これにて散会いたします。     午後二時三十二分散会      ————◇—————  出席国務大臣         法務大臣    臼井日出男君         大蔵大臣    宮澤 喜一君         郵政大臣    八代 英太君         建設大臣    中山 正暉君         国務大臣    続  訓弘君         国務大臣    保利 耕輔君  出席政務次官         法務政務次官  山本 有二君         大蔵政務次官  大野 功統君