○
松本善明君 私は、
日本共産党を代表して、ただいま
議題となっております二〇〇〇年度
政府予算三案について、
反対の
討論を行います。(
拍手)
今
国民が
政治に最も求めていることは、言うまでもなく
景気の
回復であります。また、今
日本の将来についてだれもが憂えているのは、国の
財政の破綻であります。来年度
予算の
課題は、もちろんこの
二つの
課題について解決の展望を示すものでなくてはなりません。ところが、
政府予算案はこの
二つとも破綻させる、誇張ではなく文字どおりの
亡国予算であります。
第一に、
小渕内閣が編成した総額八十四兆九千八百七十一億円の史上最大の
予算案は、またもや前年と並ぶ
巨額のゼネコン型
公共事業と、六十兆円の大銀行支援策をさらに十兆円も拡大するばらまきが
中心であります。
ゼネコン型の大型
公共事業がもはや有効な
景気浮揚策とならないことは、今や明白であります。
景気対策の名で、宮澤
内閣以来十一回、七十一兆円にも上る異常な
公共事業の積み増しが繰り返されましたが、これが個人消費の
回復に結びついていないという我が党の追及に対し、宮澤蔵相は、
公共事業のGDP
効果が減り始めているのは事実という
答弁しかできなかったことが、このことを雄弁に物語っております。
大型
公共事業をゼネコンに発注しても、その大半がゼネコンの不良債権の処理に消え、もうけの二〇%程度しか新たな
設備投資に回らないことは、ミニ
経済白書と言われる昨年十二月に
経済企画庁が発表した、
平成十一年
経済の回顧と
課題でも述べられているところであります。
公共事業が雇用を支えるという言い分も成り立ちません。九〇年代以降では、
公共事業による就労者は三分の二に落ち込んでおり、
堺屋経済企画庁長官が、
公共事業では生産性が向上し、人員が減らされていると
答弁したとおり、従来のようなゼネコン型
公共事業では雇用拡大には結びつかなくなっていることは明白であります。
これまで、ゼネコン向けの
公共事業が政官財の癒着の温床として指摘されてきたことは枚挙にいとまがありませんが、今度は、大銀行支援策もまたそうであったことが、辞任した越智前
金融担当相の公的資金をまるで自分のポケットマネーのように考えている発言で白日のもとにさらされました。まさに、ばらまき
予算が
政権維持と
選挙目当てのものであることは、今や
国民がはっきりと見抜いているのであります。
その一方で、
国民に対しては、
年金制度の改悪、
医療自己
負担の増額、
介護保険
制度の実施などによって、二兆円もの
負担増、給付減を押しつけようとしております。これでは、
景気悪化に拍車をかけるだけであります。
第二に重大なのは、ばらまきの結果、
世界に例を見ない
借金急増の
予算となっていることであります。
来年度末には国と
地方の
長期債務残高は六百四十五兆円に達し、
国民一人当たり五百十万円にもなります。これはGDP比一二九%に上り、EUの通貨統合の最低基準であるGDP比六〇%以下の倍を上回るものであります。このけた外れの破産状態は、第二次
世界大戦末期の一九四三年の
我が国の
財政状態に匹敵するのであります。
マスコミからも異常な
借金予算として一斉に批判され、元大蔵省主計局長でさえ、国の
借金はもう手おくれ、取り返しがつかないほど拡大してしまったと嘆いているほどであります。ところが、
小渕首相は、みずからを
世界一の
借金王などと開き直っています。しかも、二兎を追う者は一兎をも得ずと、
景気対策優先を口実に
財政再建を一顧だにしようともしておりません。
しかし、この間の
国会論戦で明らかになったように、仮に二%の
経済成長が達成できても税収増は一兆円余りで、毎年三十兆円以上の
国債発行額と比べれば焼け石に水であります。
政府資料に基づけば、三・五%の成長でも、五年後の二〇〇五年度に
借金は、
地方を含めて九百兆円に達するとさえ推定されます。深刻化した
借金財政解決についての大まかな
計画と展望を
国民に示すべきだとの我が党の追及に、
小渕首相は、申し上げられないと
答弁するだけでありました。まさに何らの
計画も持っていないことをさらけ出したのであります。国のかじ取りの資格は全くないと言わざるを得ません。(
拍手)
財政も
経済も重大な事態に陥っている
日本の現状では、
景気対策と
財政再建は車の両輪であり、
財政再建の
見通しと
計画を持たない本
予算案では、
景気回復をも実現させることはできないのであります。
九割の住民が建設
反対を表明した吉野川可動堰問題や、
愛知万博を隠れみのにした大
規模開発事業が二十
世紀型開発至上主義と博覧会国際事務局から厳しく指弾された問題は、決して個別問題ではありません。
公共事業を初め、国政のかじ取りのあらゆる
分野で行き詰まった自民党
政治に、二十一
世紀の
我が国のかじ取りを任せることはできないのであります。
今こそ、
公共事業には五十兆円、
社会保障には二十兆円と繰り返し批判されてきたゼネコン型
公共事業と、大銀行支援を
中心とした
経済、
財政の仕組みから、
社会保障と
国民の暮らしを主役にした仕組みへの転換を図ることによって、
経済の土台をしっかりと立て直しつつ、段階的に
財政再建の道を切り開く方向に向かうことが必要であります。
日本共産党は、この立場から、
政府予算案に
反対するとともに、
公共事業ばらまき型から、
社会保障と
国民の暮らし
中心の
予算への抜本的組み替えを求める、二〇〇〇年度
政府予算案に対する
日本共産党の提案を行ったところであります。
その第一は、
景気にも
財政にもマイナスのゼネコン型公共投資などの浪費をやめることであります。公共投資を
計画的に半減し、生活福祉型への転換を図ること、大銀行への公的資金投入を中止し、軍事費の半減、
思いやり
予算の廃止など、
歳出面での縮減を徹底することであります。
第二は、
社会保障、暮らしに
予算を重点的に
配分し、
国民の将来不安をなくして消費
不況を打開する土台とすることであります。そのために
年金改悪をやめ、国庫
負担を二分の一に引き上げること、
介護の基盤整備と低所得者への減免
措置の創設、
医療保険の改悪の中止、子育て支援の充実などが必要であります。
第三は、消費を温め、営業を守る
景気対策の実行であります。
景気対策のかなめは、GDPの六割を占める家計消費の拡大を図ること、
日本経済の支え手である
中小企業や農業を守ることであります。そのために、異常なリストラの規制、労働時間短縮での雇用拡大など、雇用不安を解消すること、各種世論調査で
国民の望む
景気対策のトップに立っている消費税の減税を断行し、緊急に三%に引き下げること、
中小企業
予算を
一般歳出の二%まで引き上げ、大型店の無秩序な出店、撤退を抑えること。農業については、WTO協定改定を強力に働きかけるとともに、農業
予算を
公共事業優先から価格補償、所得補償優先に切りかえることなどが必要であります。
第四は、
財政再建の目標と
見通しを明確にすることであります。
財政再建は、単に収支のつじつまを合わせるのではなく、
国民の暮らしや福祉を守り、
日本経済のつり合いのとれた
発展に寄与することに、その本来の目的があります。この立場から、国、
地方の
財政赤字を大幅に削減すること、不公平税制の是正で税収の空洞化を食いとめることであります。こうした
歳出面、
歳入面の民主的改革を実行すれば、
財政赤字を削減し、真に
景気回復につながる
対策を行い、暮らしや
社会保障のための
財源も確保できるのであります。
次に、この
予算が受け入れを前提にしている沖縄・名護の新基地についてであります。
自民党は、沖縄知事
選挙で新基地の返還期限を十五年と公約した現稲嶺知事を支持、推薦し、このことについて共同の責任を負っております。新基地の十五年返還を沖縄県民と
国民にはっきり公約しながら、
政府がこの新基地について、アメリカの要求にこたえて耐用四十年以上の確認を取り交わしていたという重大な事実がこの
国会で明らかになりました。これは、沖縄県民と
国民を欺き、県民と
国民の安全を売り渡す、
最悪の背信行為であります。(
拍手)
時事通信が沖縄県民を対象に行った意向調査で、サミットに当たって
世界に最も訴えたいことの第一位は米軍基地問題で、四五%に及びます。
小渕首相は、アジアの声を発信すると
沖縄サミットの準備を鳴り物入りで進めておりますが、この基地問題で県民と
国民を欺いて、あなたは何を
世界に訴えるのでありますか。あなたの
姿勢は、まさに、どこの国の
総理なのかが問われる根本問題であります。
最後に、この
予算審議はまことに異常でありました。巨大
与党の数の横暴がまかり通り、
審議日数も、首相の
審議に出席した日数も、史上最短であります。野党不在で
与党だけで平然と
審議が行われ、首相はドコモ株問題で自分にかかわる
疑惑について求められても出席せず、国政について進んで野党の
質問に答え、
国民に
説明しようとする熱意などは全く見られない、事実上
審議を拒否する態度に終始したのであります。みずからの
政権維持を最優先に、党利党略から議会制
民主主義の根本を踏みにじり、さらにこの
亡国予算を強行しようとすることは、憲政史上例のない暴挙であります。
こうした
小渕自
自公内閣に、
政権を担う資格は全くありません。直ちに
衆議院を解散し、本
予算案も含めて
国民の信を問うことを強く要求して、
反対討論を終わるものであります。(
拍手)