○神崎武法君 私は、公明党・
改革クラブを代表いたしまして、
総理並びに関係大臣に対し御所見をお伺いいたします。
最初に、衆議院定数削減問題についてであります。
今月二十七日、衆議院本
会議で定数削減
法案が可決されました。
野党が欠席のまま可決されましたことはまことに残念ですが、この問題は、与
野党選挙
制度等協議会、そして政治倫理・公職選挙法
改正特別委員会で一年以上議論されてきた問題です。
昨年十二月十四日の衆議院議長の、閉会中においても一分一秒惜しんで協議を行っていただきたいとの裁定を踏まえ、私たちは何度も閉会中審査を求めてまいりましたが、
野党側は一度も審議に応じようとはしませんでした。
さらに、
与党三党派は、六回にわたり理事会、理事懇談会で、さらには四回の幹事長・書記長会談で、審議を始めるよう
野党側に粘り強く呼びかけてまいりました。しかし、残念なことに
野党側のかたくなな審議拒否姿勢は変わらず、話し合いは平行線をたどりました。私たちは極めて丁寧かつ慎重に対応してまいりました。
地方議員はこの四年間で実に約二千三百人の定数を削減しております。また、国家公務員は十年間で二五%削減することになっています。現下の厳しい
経済状況の中で、民間企業も血のにじむような思いで経営合理化を進めております。本来ならば、
国会議員みずからが
改革の先頭に立ち、まず範を示すべきところを、
野党の思惑で超党派で実施できないことはまことに遺憾であります。(拍手)
今月十七日に放映されましたNHKの世論調査におきましても、六割以上の方が衆議院の定数は減らすべきだと回答しており、もはや
国民の世論となっています。この声を
野党はどのように受けとめているのでありましょうか。
民主党は、定数削減を求める
国民の期待にこたえ、またみずからの身を切る決意を明確にして行政
改革などの諸
改革を推進するとの
考えを昨年から表明し、比例定数の五十削減を主張していたではないですか。なぜ、五十削減には賛成できて、二十削減には賛成できないのでしょうか。それとも、定数削減の
方針は撤回したとでも言うのでしょうか。
その上、不可解なことは、どうして定数削減そのものに反対している共産党や社民党と共闘できるのでしょうか。政略的な思惑を優先させ、この問題を駆け引きに使うこと自体、党利党略そのものであると断ぜざるを得ません。(拍手)
野党の皆さん、
野党の良識を発揮して、ともに
改革の方向に向かって前進しようではありませんか。そして、待ったなしの
経済再生のために、お互いに全力を挙げようではありませんか。
私たちは定数削減の早期実現に全力を挙げる決意です。定数削減をめぐる問題について、
総理のお
考えを承りたいと存じます。
昨年十月に
連立政権が誕生し、あすで百二十日を迎えます。一部
野党に、巨大与党など、議員数が多いからそれがいけないとの余りにも無謀な御批判があります。しかし、私たち
与党が
国民のために何をなしたのか、
国民のためにどのような成果をつくったのか、その実績を見ていただいた上で判断することが大切であります。
三党派の協力関係は、多くの
重要課題について、プロジェクトチームのもとで
法案作成や審査が緊密に行われており、着実に成果を上げてきていることは
国民の皆さんも御理解をいただいていると確信するのでありますが、
総理の三党派
連立政権についての評価をお伺いいたします。
総理、私たちは今、二十一
世紀まであと三百数十日、第三の
千年紀、
ミレニアムのスタート台に立っております。
総理は
施政方針演説の冒頭で、二十
世紀から二十一
世紀へと時代が移ろうとするそのとき、私は、あすの時代を担うこの
子供たちのために何ができるのか、何をしなければならないのか、一人の政治家としてそのことをまず第一に
考えると述べられました。
公明党は、結党以来、中道主義の政治を一貫して掲げてきました。中道政治とは、端的に言って、生命の尊厳に立脚し、
人間を最も大切にする
人間主義であります。
また、国際的視野においては、戦争の
世紀であった二十
世紀から、新
世紀を平和の
世紀とするために、一国平和主義的生き方を離れ、全人類的視野に立った世界平和主義、相互繁栄主義の立場を標榜してまいりました。
先端技術のインターネットは、たった一人の
人間が、世界の隅々まで情報を収集したり、全世界へ情報を発信することが可能になってきています。一人の
人間の命は地球の重みを持つと言われてきましたが、影響力の点でも、情報通信技術の発達は、一人の
人間の力で意思、情報がまさに瞬時にして地球上の民族すべてに広がるという時代を現出しています。まさに二十一
世紀は、一人一人の
人間の力が最高に発揮されていく時代を迎えています。
そのような意味から、先日発表された
総理の私的諮問機関、「二十一
世紀日本の構想」懇談会の最終報告は注目に値します。「二十
世紀が「組織の
世紀」だったとすれば、二十一
世紀は「個人の
世紀」となるだろう。」「主役は個人であり、個人が
社会を変え、世界を変える。そうした中から新たな
社会が生まれ、
日本が生まれる。」という記述に強く感銘をいたした次第であります。
神奈川県警の一連の不祥事、またジェー・シー・オーの臨界事故、新幹線トンネルの崩落事故、さらに幼児や女性への猟奇とも見える殺人、傷害事件の続発など、かつての
日本人には見られなかった精神構造の崩壊ぶりが顕著なのであります。
このように、モラルの荒廃は
世紀末に近づくほどその度を増していることはだれの目にも明らかであります。とりわけ、政治家、官僚、さらに企業人など、特に
責任ある立場にある人々にあらわれていることが事態の深刻さを物語っています。
民主主義が二十一
世紀以降も繁栄し共存する唯一の政治
システムであることは、だれも否定し得ないでありましょう。しかし、個々人が自由と放縦を履き違え、精神や規範の崩壊をとどめることができないならば、
我が国の崩壊もこれまた自明の理であります。
特に近年は、
日本の未来を担うべき青少年にこうした傾向が特にうかがわれることに、驚きを禁じ得ません。
平成九年に日米中の高校生を対象にしたアンケートで、本人の自由にやってよいと思うことを尋ねたところ、親に反抗することについては米国が一六%、中国一四%に対し、
日本の高校生は実に八五%です。学校をずる休みすることでは、
日本六五%、米国二一%、中国九%など、
日本の若者に放縦の傾向が強い事実があります。
既に
経済の分野では、二十一
世紀は
人間主体の頭脳産業の時代と指摘されています。アメリカの著名な
経済学者レスター・C・サロー氏によれば、現在は、知識主義
経済の創成期、後世の歴史家が第三次産業革命と呼ぶはずの時期なのであります。
日本は
教育制度の大胆な
改革をしなければならないとしております。
総理は
施政方針演説で、五つの挑戦のトップに創造への挑戦を掲げ、創造性の高い人材を育成するために
社会の
あり方まで含めた抜本的な
教育改革の必要性を強調され、内閣の最
重要課題として
教育改革に取り組む決意を示されました。
政府は
教育改革国民会議を近々発足させますが、
教育改革の方向性について
総理の御見解をお伺いいたします。
また、青少年育成
対策も非常に重要な
課題と
考えます。学校
教育問題とは別に、特別プロジェクトを編成し、抜本策を講じるべきだと
考えます。この点について
総理の御見解を伺います。
次に、地球への挑戦についてお伺いいたします。
総理は、
平成十二年度を循環型
社会元年と位置づけ、
地球環境に大きな負荷を与えてきた、大量生産、大量消費、大量廃棄という
我が国の
社会の
あり方を見直すための基本的な枠組みとなる
法案を提出するとありました。私たちは、既に昨年十二月、独自の循環型
社会形成推進
法案を提案いたしました。
循環型
社会における循環とは、ワンウエーの使い捨ての流れをリサイクルさせる製品の循環のことだけではなく、ごみ、廃棄物問題を狭義にとらえるのではなく、地球温暖化問題や大気汚染問題などの二十一
世紀に解決していかなければならない環境問題の根本原因である浪費型
社会の
あり方を変えることであります。
私たちが
考える循環とは、この地球という大自然の循環のことであり、この循環の機能を維持し、損なわず、回復しつつ、持続的に発展することができる
社会をつくっていくことが二十一
世紀の
我が国及び世界の
政策課題であると
考えます。同時に、新しいビジネスチャンスも、循環型
社会づくりを視野に開けてまいります。
新しい循環型
社会づくりの
法案は、新しい発想により進めていかなければなりません。私は、この機会を逃してはならないと
考えます。官僚主導の
法案づくりではなく、幅広く
国民各層の意見を聞きつつ、二十一
世紀にふさわしい、環境に配慮した
社会構造への転換を進める、実効性のある循環型
社会法案を作成すべきであります。
総理の御見解を伺います。
高度情報通信
社会の
あり方について伺います。
IT革命、いわゆる情報通信技術の進展は、今や国の生存をも左右しかねない重大な現実として目前に突きつけられており、しかも、それは、単に機器や技術等のハード的な整合性にとどまらず、一国の
制度や
仕組みなど、ソフト面での国際標準化を相互に不可避にしております。それらの標準化に乗りおくれれば、それはそのまま、国際競争における
我が国の劣後を意味するという段階に至っているのであります。
また、IT革命の進行は、一方で、そのリアルタイム性、グローバル性、
経済効果、
生活の多様性、利便性の向上、身障者等の自立支援等々、今後の
社会生活において不可欠な数多くの長所を持つと同時に、それとは裏腹に、プライバシー保護や情報保存技術、あるいは二〇〇〇年問題やハッカーなどの不正アクセスに見られるような
社会的脆弱化等が、あわせて大きな
課題として浮き彫りにされ、その解決が迫られております。
私は、それらを十二分に認識しつつも、二十一
世紀を、だれもが、いつでも簡単に利用でき、暮らしの豊かさに直結する、人に優しい情報通信
社会とする以外に、
我が国が今後生き延びる道はないと
考えます。そうした見地から、私たちは、昨年来、情報通信立国を目指す署名活動を全国的に展開し、インターネット利用環境から見て情報通信立国への最大の懸案である通信料金の引き下げや、また
国民本位の行政の実現や
経済再生、産業
振興の牽引役とするために、電子
政府の早期実現などを提案してきたところであります。
総理の高度情報化
社会構築に関する御決意並びに御見解をお伺いいたします。
次に、
新生への挑戦についてお伺いいたします。
世界は大競争、変化の時代にあり、そのスピードはますます加速度を増しております。そうした中、
我が国経済はバブルの後始末に時間がかかり、世界の新たな産業革命ともいうべき潮流にややおくれをとった感がありますが、今ようやく大競争に向けた体制がとり得る
状況になりつつあります。
すなわち、小渕内閣になってからは、金融再生法、早期健全化法を初めとする金融
システムの安定化
対策の実施、自立
社会を先取りした大幅恒久的減税、貸し渋り
対策を初めとする中小・ベンチャー企業支援、切れ目のない
景気刺激
対策など、
政府としてでき得る限りの
対策を的確かつ大胆に実施した結果、
平成十一年度は三年ぶりのプラス成長が確実なものとなりました。足元の
景気も、日経平均株価が一万九千円前後まで回復し、また設備投資など各種の
経済指標も着実に改善の方向へと向かいつつあります。
私たちは、昨年十月、金融不安を解消し、
景気の回復と
日本経済の立て直しを図り、安心、活力ある
社会を実現するため、三党派による
連立政権の樹立を決断いたしました。そして内閣の一員として、
平成十一年度第二次補正
予算、
平成十二年度
予算案の策定にも参画してまいりました。
私たちが加わった
連立政権の
経済対策の結果、ようやく
景気の本格的回復に向けた曙光が見えてきたことは、三党派
連立政権の大きな成果であります。
しかし、油断は禁物であります。今、政治が最優先に取り組むべき
課題は、
我が国経済を本格的な
回復軌道につなげるとともに、二十一
世紀の新たな発展基盤を築くための諸
施策を推進し、よって公需から民需へとうまくバトンを渡すことができるよう、
平成十二年度
予算の
早期成立を期していくことであります。また、それが
国民の強い希望でもあります。議員各位におきましても、現下の
経済情勢を踏まえ、
国民の意に反して党利党略で
予算の成立をおくらせることのないよう、協力を強く望むものであります。(拍手)
平成十二年度
予算については、
景気対策に最重点が置かれておりますが、同時に、私たちが掲げる
国民のための政治を反映する
予算になっております。
具体例を挙げますと、未就学児までの
児童手当の拡充、育児・介護休業手当の大幅拡充、ゴールド
プラン21による介護基盤の整備、新
エンゼルプランによる保育
対策の拡充、循環型
社会実現に向けた環境
対策、さらには減税の延長を含めた住宅
対策などが盛り込まれています。
さらには、長期的な展望に立って、情報化、高齢化、環境対応、町づくりなど、二十一
世紀に向けた
ミレニアムプロジェクトとして、重点的、効率的な
予算配分がなされており、
構造改革への確かな芽が数多く盛り込まれております。
さらには、行政
改革もおろそかにせず、国家公務員を四千七百四十五人純減しております。
自民党、自由党そして私たち公明党・
改革クラブのそれぞれの持ち味が出たものと自負いたしております。
小渕総理の
我が国経済の実情についての認識と今後の
経済運営の基本的な
考え方、また
平成十二年度
予算案の持つ重要性、意義についてお伺いいたします。
最近、
平成十二年度
予算に絡めて、積極
財政か
財政再建かという二者択一的な、誤解を招くような議論が与
野党の一部から出されております。
私は、積極
財政すなわち来年度
予算のような
景気対策予算と
財政再建とは、相反するものではないと
考えるものであります。私は、かねてより、
経済再建なくして
財政再建なしと主張してまいりました。
九七年の金融危機以来、
日本経済は長く非常事態ともいうべき
状況が続いており、
財政政策においても、少なくとも本年度、来年度はスクランブル態勢で取り組むべき重要な時期であり、そうであるならば、まずは
経済再建が最優先されるべきであることは当然の帰結であります。
もちろん、
我が国財政の危機的な
状況を決して無視してよいわけではありません。むしろ今は、積極型の
財政出動によって公債の拡大があったとしても、公共
事業など公需主導の
経済状況から一日でも早く脱し、民間が自力で
経済を引っ張っていける
経済環境をつくり出す
対策が、結果として
財政再建への王道であり、近道にもなり得ると
考えるものであります。また、民間主導の自律的な成長軌道に一度乗ったならば、新たな
景気対策に費やす費用も必要なくなるだけでなく、歳出削減など本格的な
財政再建も可能となるのであります。
米国の例を見るまでもなく、IT革命ともいうべき規制緩和、
構造改革に向けた
経済再建をまずは先行させ、その結果、ニューエコノミーという議論も出るほど、空前の
景気拡大が今もって続いております。民間主導の
景気拡大は、当然のごとく自然増収をもたらします。米国は、九二年度には二千九百四億ドル、約三十兆円あった
財政赤字も、九八年度には黒字へと転換したのであります。もちろんこの間、包括
財政調整法による
財政再建への努力もありますが、
景気拡大による自然増収が大きく貢献したのであります。
もちろん、
財政再建の道筋について、規制
改革、行政
改革、歳出削減、公共
事業の
見直し、国と地方の役割分担の
あり方など、本格的な議論を進めていくことは極めて重要であります。要は、タイミングを間違えてはすべてが水泡に帰すのであり、私たちはこれまでの失敗を断じて繰り返してはならないのであります。
小渕総理は、デフレ
政策を全面転換し、今日までの
経済状況にまで持ってこられた功労者でありますが、私の主張についてどうお
考えか、明確な答弁をお願いいたします。
中小企業対策についてお伺いいたします。
我が国経済の屋台骨であり、貴重な財産である
中小企業の方々の元気なくして、
我が国の本格的な
景気回復はあり得ません。私たちはこうした認識に立って、
中小企業向けの特別保証
制度枠の三十兆円への追加拡充を初め、ベンチャー企業総合支援センターの設置、
中小企業の
資金調達の多様化
対策、
事業承継税制の拡充など、税制面での支援などの実現を図ってまいりました。
このほど
日本商工
会議所は、特別保証
制度の効果について、七千件の倒産が未然に防止され、その結果、六万人の雇用維持に役立ったと報告しております。一部マスコミは、この
制度の追加拡充について、
連立政権によるばらまき
政策の典型のように扱ってきたわけでありますが、的外れな指摘を証明するものでありました。
このたび私たちは、さらに
中小企業の方々の声を
政策に反映するため、実態調査を行っているところでありますが、その結果を踏まえて、後日、
政府・
与党内で御議論をいただきたいと
考えているところであります。
先
国会は
中小企業国会と位置づけられて、
総理はその先頭に立ってこられましたが、
中小企業対策についての
小渕総理のお
考えをお伺いいたします。
次に、農業問題についてお尋ねいたします。
昭和三十六年に制定された農業基本法が、農業と工業における生産や所得の
格差是正を目的としていたのに対し、昨年制定された新しい食料・農業・農村基本法は、食料の安定供給の確保、多面的機能の発揮、農業の持続的な発展、農村の
振興という四つの基本理念を掲げ、
我が国の農業の基本方向を示す画期的なものとして高く評価するものであります。
しかし、
我が国農業は、先進国で最も低い四〇%の食料自給率に端的にあらわれているように、農業従事者の著しい減少と高齢化、後継者不足、耕作放棄地の拡大、農産物価格の下落等の深刻な問題を抱えていることも見過ごしにできないところであります。
我が国農業のこうした
課題に対処するには、
政府全体として取り組むことが重要だと
考えます。中長期的に世界の穀物需給の逼迫が強く懸念される中、食料の安全保障は重要な
課題であります。
その意味で、
我が国の食料自給率をどう引き上げていくのか。また、私たちの主張が実り、新たに中山間地域の生産農家に対し直接所得支払い
制度が導入されましたが、この直接支払いの意義等を含め、
総理の、農業の抱える問題解決と
日本農業の今後の再生に対する決意をお尋ねいたします。
次に、安心への挑戦について伺います。
少子化は先進国に共通する悩みとなっております。特に
我が国においては、少子化のみならず、高齢化も世界に例のないスピードで進行しており、既に
平成十年には、六十五歳以上の老年人口が十五歳未満の年少人口を上回りました。こうした逆転現象は、西欧諸国でもまだ起きてはおりません。このことは、世界の中で、少子化への早急な
対策を強く迫られているのが
我が国にほかならないということをあらわしております。
この問題については、年々
国民的関心が高まり、九七年度厚生科学研究の一環として行われた、少子化
社会における家族等の
あり方に関する調査研究では、国を挙げて積極的に取り組むべきであるとの回答が二八・五%、個人の望む結婚や出産を阻んでいる要因を取り除く限りにおいて対応を図るべきとの回答が七〇・一%にも上るなど、何らかの支援を求める意見が多数を占めておりました。
私たちが
子育て支援策の拡充を大きな
課題として取り組んでいるのも、まさにこのためであります。
与党の中にあって、総合的
少子化対策の一環として、仕事と
子育ての両立を支援する保育
サービス、育児休業給付が大きく前進しました。そして、私たちが主張してまいりました
児童手当も、支給対象者が三歳未満から小学校に上がるまでに拡大することになりました。
また、育児休業手当の給付水準は、二〇〇一年一月から、休業前賃金の現行二五%から四〇%へ大幅に引き上げられることになり、また、育児休業中に安心して育児に専念し、職場復帰をしやすくするための育児休業代替要員確保等助成
制度の創設も決まりました。
与党の
少子化対策は着実に実を結んでおります。
今度の
児童手当制度の
改革を含む総合的な
少子化対策は、
社会全体で取り組まなければなりません。今後の適切かつ効果的な推進について、
総理のお
考えをお示しいただきたいと思います。
次に、
社会保障制度の
改革についてお伺いいたします。
昨年十月に三会派の間で交わされた
連立政権合意書の中で、
社会保障については、二〇〇五年を目途に、
年金、介護、後期
高齢者医療を包括した総合的な枠組みを構築することとし、それに必要な財源のおおむね二分の一を公費負担とする、負担の公平化を図るため、消費税を福祉目的税に改め、
社会保障の財源に充てるとされております。
社会保障制度の再構築については、既に
社会保障制度審議会から、
平成七年の勧告と
平成九年の報告で一応の方向性が打ち出されておりました。しかし、これに対する
政府の対応はおくれており、少子化
社会にふさわしい
社会保障の将来像はいまだに示されておりません。
昨年末に、
政府は三党派による
連立政権の成立を受けて、
小渕総理の私的諮問機関として、
社会保障構造の在り方について
考える有識者
会議の設置を決定し、ことしの秋口にも一定の結論がまとめられることになっております。懇談会発足に当たり、
総理は、
国民が安心して暮らせる
社会保障制度の構築は、二十一
世紀の本格的な
少子高齢社会に向けて、安心へのかけ橋として非常に重要であり、
国民全体の理解を深める議論を行う観点からこのような
会議を開催することになったと述べられておりました。
改めて指摘するまでもなく、
我が国の
社会保障が現に
制度疲労を起こしており、再構築が必要なことは明らかであります。
社会保障の再構築について、
総理は具体的にどのような道筋で進めていこうとされているのか、お
考えを伺います。
次に、平和への挑戦で触れられていた七月に開催される九州・
沖縄サミットについてお伺いいたします。
新しき
千年紀のスタートという節目の年に行われる今回の九州・
沖縄サミットにおいては、新たな
世紀に世界が直面する諸
課題と
サミットが果たすべき役割を見据え、
我が国は
議長国として、二十一
世紀を見据えた今後の
国際社会の
あり方について積極的に議論を推進していくことが期待されております。
政府は、九州・
沖縄サミットの成功に向け、万全の準備を期していくべきであります。
九州・
沖縄サミットがアジアの地で行われる
サミットであるという観点から、グローバルな中にもアジアの視点を踏まえつつ、新しき
世紀に向けた明確なメッセージを打ち出す重要な機会となります。
総理は先月、東南アジア諸国を訪問され、
サミットに関し各国首脳と意見交換を重ねてこられましたが、アジア唯一の
サミットの構成国として、また議長として、
総理はどのようなイニシアチブを発揮されようと
考えておられるのか、お伺いしたいと存じます。
今回、
サミットが初めて
沖縄で開催されるということは大変意義深く、この機会を通じ、
沖縄の位置づけについて提案しておきたい点がございます。
沖縄県に過度に集中した在日米軍基地の整理縮小については、国が
責任を持って解決を図っていくことは当然であります。私は
沖縄を、米軍の東アジア戦略のかなめ石としての位置づけを二十一
世紀も固定化するのではなく、
日本の平和戦略の象徴の島としての役割を明確にすべきであると
考えます。その意味から、国連にアジア本部またはアジア平和センターの創設を働きかけ、その拠点を
沖縄に誘致することを
政府として前向きに検討してはどうでしょうか。
サミットを通じ、平和の拠点島
沖縄を世界に宣揚することを強く提案するものであります。(拍手)
さらに、
経済、雇用を初めとする各方面にわたる
沖縄と本土との格差を是正し、自立的発展の基礎条件を整備することは、
政府としては最重要の
課題であります。
沖縄の持つ地理的、文化的特性と、古くから受け継がれてきた万国津梁の精神のもとで築かれてきた県民特性を積極的に生かした
沖縄経済振興の具体化が急務であります。
そこで、現在
政府が検討を進めている
沖縄経済振興二十一
世紀プランの策定
状況と今後の見通し、また、
平成十三年度末に期限が切れますポスト第三次
沖縄振興開発計画についてどのように
考えておられるのか、
総理にお伺いしたいと存じます。
次に、日ロ関係についてお伺いします。
昨年末にロシアのエリツィン大統領が突然辞任いたしました。東京宣言及びクラスノヤルスク合意を初めとする一連の合意及び宣言に基づき、本年中に北方四島の帰属問題を解決し平和条約を締結するというこれまでの
基本方針に影響を与えるのではないかと大変懸念をいたしております。今後の日ロ関係の見通しについて、
総理にお伺いをいたします。
日朝関係についてお伺いいたします。
昨年十二月、朝鮮労働党の招請により、我が党を含む
日本国政党代表訪朝団が平壌を訪問し、日朝両国間の関係改善に向け合意しましたことは、大変有意義でありました。
政府は、今回の合意を踏まえ、国交正常化のための
政府間会談を早急に軌道に乗せるなど、朝鮮半島の平和に向けて積極的な関与を行うべきであります。今後の国交正常化交渉と両国間に存在するいわゆる人道問題の解決の進展について、
総理の見解をお伺いいたします。
また、あわせて、北東アジアにおいては、ASEANのような対話の場がありません。昨年十一月、
総理は、日中韓の三カ国首脳会談を提唱し、実現を見ましたが、このような対話の場を拡大、充実するお
考えはないか、お伺いいたします。
今月二十一日、公明党・
改革クラブと自由党は、永住外国人に地方選挙権を付与する
法案を衆議院に提出いたしました。この
法案は、満二十歳以上の永住外国人に対し、地方公共団体の議員及び長の選挙権を付与することを目的としております。
国内ではここ十数年来、永住外国人の大半を占める在日韓国人を中心に、地方参政権を求める運動が続いてまいりました。私は、この
法案の
早期成立は、これまでの不幸な歴史を改善していく上でも喫緊の
課題であると認識しております。
戦後、
日本の繁栄のために懸命に働き、
日本人と全く同じように税金を払いながら、基本的人権の骨格である参政権が与えられていない、これは大きな人権問題であります。一昨年来日された金大中韓国大統領も、
国会での
演説、
小渕総理との会談でもこの問題に触れておられました。
総理も幅広い検討を約束されました。私たちは、この通常
国会で一刻も早く成立するよう全力を挙げるものであります。
総理、新しい
千年紀のスタートに当たり、
我が国を人権先進国とするためにも、また、
日本の中でさまざまな差別と迫害の中で生き抜いてこられた方々の願いをかなえるためにも、早急に実現されるべきです。
総理の前向きな答弁を求めます。(拍手)
最後に、
総理、衆議院解散・総選挙の見通しについてお伺いします。
この通常
国会では、三会派による初めての
平成十二年度当初
予算を編成いたしました。
景気の底は打ちましたが、
日本経済が安定した成長軌道に乗ったわけではありません。
予算の
早期成立によって
経済再生への道筋を確実にすることが至上命題であります。
国会の混乱で
予算成立がおくれれば
景気回復の足を引っ張ることになり、それは政治の
責任放棄と言わざるを得ません。
そして、この
予算案の効果がある程度発揮され、
経済が安定軌道に乗りつつあるしかるべきときに、
国民に信を問うべきであると
考えます。
解散・総選挙について
総理のお
考えを伺いまして、私の質問を終わります。(拍手)
〔
内閣総理大臣小渕恵三君登壇〕