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冬柴委員 公明党の
冬柴鐵三でございます。きょうは、
同僚議員の御同意を得て差しかえをしていただきました。
法律扶助基本法としての性格を有する
民事法律扶助法案というものが、きょう
委員会において最終の
審議が行われる。感無量であります。
私は、初当選以来、その前に大阪
弁護士会で
弁護士を二十二年ほどやっておりまして、その間、
法律扶助事業にもかかわったことがある者として、その飛躍的な
充実ということが必要である、このような
認識を持っておりました。
初当選をいたしまして、その次の六十二年の五月三日
憲法記念日がちょうど
憲法発布四十周年という節目を迎えますので、そのときに基本的
人権にかかわりの深い
法律扶助基本法ともいうべきものを何とか議員提案したい、このような
思いで、半年ほど準備をいたしまして、
法律扶助基金法というものを起草いたしました。残念ながら、これは本院に提案することができませんでしたけれ
ども、公明党の基本
政策に取り入れていただくことができました。
そういう
経過もありまして、きょう
質問させていただくために、国立国会図書館で大体何回ぐらいやったのか調べてみますと、今日までにどうも二十二回やっているようでございます。そのうち六回が予算
委員会の総括
質疑、そして一回が分科会、それから十五回この
法務委員会で
質疑を重ねてまいりました。
一番最初に
質疑をさせていただいたのが、六十二年三月二十四日、中曽根内閣、遠藤要法務
大臣のときでございました。そのとき私は、この
法律扶助事業というのは、
憲法十四条の日本
国民はいわゆる経済的な関係において差別を受けないという基本的
人権の骨格、それから三十二条における「何人も、
裁判所において
裁判を受ける
権利を奪はれない。」これをあわせ読めば、当然に国の責務ではないのか、
憲法に由来する国の
事業として行われなければならないのではないか、このように
考えるがいかんということを聞きましたところ、昭和六十二年当時でございますけれ
ども、当時の
法務省の基本的な
考え方としましては、我が国の
民事訴訟は
弁護士強制主義というものをとっていない、したがって、だれでも最高
裁判所まで本人で訴訟ができる仕組みになっている、それから、
民事訴訟法で
弁護士報酬は訴訟費用の一部には
考えられていない、こういう論点から、残念ながら、
弁護士を付した方がいいという判断のもとにその資力のある人が
弁護士をつければいいのであって、そのような建前となっておりますと、えんきょくではありますけれ
ども、はっきりと否定された
答弁をされました。
また、その年の七月十六日に予算
委員会総括
質疑で
質問させていただく機会がありましたので、重ねてしつこく遠藤法務
大臣に、ぜひ基本法をつくらなきゃならないのではないかということもお尋ねしたんですけれ
ども、そのとき
大臣は、今行っている
補助制度で十分やれていると思う、
法務省としてはあなたの言うような
制度を変えるという
考え方は今は持っておりませんというつれない返事でございました。それが、ずっと以前から六十二年当時までの基本的な
法務省の
考え方だったと私は理解いたしております。
しかし、それであきらめるわけにいきませんので、その後ずっと
質疑を続けてまいりまして、
平成元年、第二次竹下内閣のときに、高辻正己法務
大臣が就任されました。この方は、もちろん
弁護士でもありますけれ
ども、その前に法制
局長官等を務められた法曹でありまして、この方に、今まで言ってきた
憲法に由来する
国民の基本的な
人権ではないのかということを訴えましたところ、そうだと言われました。そして、
民事法律扶助というものは
憲法に由来する国の義務だということを初めて認められました。私は、これが
平成元年だったから、
法律扶助元年だなということを感じました。
そして、そのときに高辻法務
大臣から、
弁護士会の今までの
法律扶助制度についてのいろいろな熱意ある御
努力並びにいろいろな資金的なやり繰りの御苦心等を伺うにつけ、
弁護士の皆さん、
弁護士会の
方々、
弁護士会そのものに対して大変深い感謝の意を表したく存じております。
今
お話がありましたように、いろいろな基金の創設であるとか基本法の制定の問題であるとかいろいろ御提案がございますようでありますが、これらについてはなお時間をかしていただいて、さらに御趣旨を体して
検討させていただきたいと
思います。
という大変温かいお
言葉も賜りました。
それから、私は、今後ろで
委員としていらっしゃいますけれ
ども、
左藤恵法務
大臣の際には、訴訟援助だけが国の義務ではないのではないかということを申し上げました。
民事の
紛争というのは、訴訟の場で解決されるだけではなく、むしろそれは全体から見ればごく一部のことであって、大多数は当事者間の話し合い、示談による解決が行われているのが実情だ。そうであるとすれば、その示談の内容が正義にかなったものでなければならない。それは、当事者が力の強い人であろうと弱い人であろうと、あるいは金持ちであろうと貧乏人であろうと関係なく、ジャスティス・フォア・オールでなければならない。そのように
考えたときに、この
憲法三十二条が言っている理念というものは、ただ単に訴訟援助だけではなしに、無料
法律相談、いわゆる法的助言援助
制度まで及ばなければならないのではないかということを申し上げましたところ、
左藤大臣は、「今の財団
法人法律扶助協会が行っております無料
法律相談に対して、そうした
仕事をもう少し何か応援できないかということを、当然国庫から
補助するとかいうようなことも含めまして
検討して、この拡充を図って、もっと利用していただきやすい形を
考えるべきではなかろうか、このように思っております。」ということで、訴訟援助だけではなしに
法律相談も含めて国の義務として
考えていきたいという画期的な
お話がありました。
前置きが非常に長くなって申しわけなかったんですけれ
ども、そのような流れの中で、私は、二十何回
質問しますと各
大臣に
質問したことになりますが、そのたびごとに、この
法律扶助は、
憲法三十二条だけではありませんが、
憲法に由来する国の義務ではありませんかということを尋ねて確認をし、そして、そのとおりだということを高辻法務
大臣以降の
大臣はすべて認めていただいたわけであります。
そこで、今回の
民事法律扶助法案を読ませていただきました。この基本法が閣法でこのように出されたということを大変高く私は評価しますし、敬意も表するわけでございますが、全文を読みましても、
憲法三十二条ということには論及していられない、そういうものは書かれていない。事の性質上やむを得ないのかわかりませんが、私としては、ぜひ法務
大臣に、この
法律扶助事業というものが
憲法三十二条の
裁判を受ける
権利に由来するものであるという精神にのっとって構築されている、私はそう思うんですけれ
ども、その点について明確な
答弁をちょうだいしておきたいと
思います。