○坂上
委員 これはまさに登記の信頼にかかわる重大な問題でございますから、ひとつ的確に
調査の上、本当に私たちは戸籍と登記だけは信頼していたんですよ。これが、こんなことがあるのかなと思うと本当にがっくりしますので、信頼回復のために、
警察の次は今度はまた法務局だなんというのは大変なことでございますから、ぜひ的確な処置と真相の解明をしていただきたい、こう思っておるわけであります。
それから、今度は
警察庁に
質問させてもらいますが、公電磁的
記録不正作出、同供用罪についての
質問でございます。これは大変残念なことでございますが、私は、共謀共同正犯ということについて聞きたいと思っておるわけであります。
どうも、新聞の
報道、あるいは私の読み落としもあるかもしれませんが、出ている記事によりますと、現秘書、元秘書、そして依頼者、この三人は民間人でございますが、この人たちが逮捕された。しかし、それはあくまでも、免停が何とかならないだろうかというような話があった、そしてそれが
犯罪の共謀だというような言われ方しか、私は記事を読んだ限りでは得られないのでございますが、それだけでは共謀共同正犯にならない、もっと踏み込んだ事態がなければならない、こう私は思っているわけです。
そこで、
法務省から、
警察から
検察庁に送致されたときの送致事実の要旨というものをいただきました。この送致事実の要旨を読めば、逮捕状も勾留状もほぼ同じことがここに書かれていると思うのであります。そこで、これを読んでみますると、共謀による共同正犯でございます。罪名は、公電磁的
記録不正作出、同供用という問題でございます。
そこで、これをちょっと読んでみますると、
被疑者三名、さっき言った三名ですが、三名は、
警察官大沢それから曽根原と共謀の上、電子計算機内の運転者管理ファイルに登録された
被疑者某の交通違反点数の抹消を企てたというんですね。
企てたというのは、共謀によって企てたというんですから、私はこれは、三人の諸君が、いわゆるコンピューターを操作して抹消してくれや、こういう踏み込んだ依頼がここにあったから共謀共同正犯としての取り
扱いなんじゃなかろうか。単に、点数あるいは免停は何とかならぬかという程度の話じゃなくて、いわゆるコンピューターそのものを操作してデータを抹消してくれ、こういうような共謀があった、そして、その共謀によって交通違反歴を抹消した、こう書いてある。そして、その抹消したものを運転管理課の事務処理の用に供したというんですね、だから供用罪だと。この二つがあるわけでございます。
したがいまして、私は、この場合の共謀共同正犯というものは、要件としては何と何が要件になっているのかということをお聞きしたいと思っておるわけでございます。
と申し上げますのは、共謀共同正犯というのは、久しぶりに刑法の本を読んでみましたら、こう書いてあるのですね。「共謀共同正犯の成立要件」、「客観的側面として、共謀に参加した者の誰かが実行に着手しなければならない。」これは当たり前。
警察の人が着手したのだろうと思います。その次、二番目、「「実行」と評価できるだけの共謀関係が認定されなければならない。ここでは、「共同実行性」が認められるだけの重要な役割を果たしたか否かが、謀議の際の発言内容・その後の行為などから客観的に
判断されるのである。「意思を通じ他人の行為をいわば自己の手段として
犯罪を実現」する必要がある。共同して
犯罪を行う意思を形成するだけの共謀が必要」なのだと。だから、コンピューターを操作しようではないかという意思の共通の共謀がなければならぬ、こう言っているのだろうと思います。
この秘書たちは実行には関与していないわけですから、そこで「単なる意思の
連絡又は共同犯行の認識の存在だけでは足りない。判例も形式的に共謀さえあればすべて共同正犯にしているわけではない。」こう言っているのですね。でありまするから、単に免停を何とかしてくれと言っただけではないのであって、それ以上踏み込んだ共同謀議があったのではなかろうか。しかも、送致事実から見ると、はっきりと抹消を企てた、そして
警察官が抹消した、こう書いてあるわけです。どうですか、これは送致事実ですから
検察庁ですね。
法務省は、共謀共同正犯、そしてこの
事件を私はどう
理解したらいいのか、御答弁いただければ、こう思います。