○笹山
委員 自由党の笹山
登生でございます。
平成十一年の九月に
教育改革プログラムというものが出されまして、今回のこの
法案も、広い
意味ではその流れの中にあるのではないかというふうに思うわけでございます。
その際の四つの柱が、心の
教育の充実、そして二番目は、個性を伸ばし、多様な選択ができる
学校制度の実現、そして現場の自主性を尊重した
学校づくりの促進、そして大学改革と研究振興の推進、この四つだと思っているわけでございます。
それで、
教育改革の先進国でありますイギリスの例でございますけれども、サッチャー政権時代、八〇年代から九〇年代にかけまして、矢継ぎ早にいろいろな
教育改革をした。その辺の
評価というものがだんだん出てきているわけですね。余り芳しくない
評価というものも中にはあるわけでございます。
例えば、選ばれる
学校と選ばれない
学校との二極分化が生じてきた。あるいは、親の経済的、社会的な地位によって選択に制約が生じている、親の選択というものが結局の選択になってしまっている。あるいは、貧困な家の
子供に私学へ行かせるための奨学金制度というものが実際は富裕な家庭のものになってしまっているとか、あるいは、企業との連携のカレッジというものあるいは中央直轄の公立校というものが、実際はエリート校の一変形にすぎなくなってしまっているというような、イギリスの
教育改革の
評価というものは、現時点では余り芳しくないということになっておるわけでございます。
そこで、日本におきましても、近時のバブル崩壊後、親の経済的な状況が非常に変わってまいりまして、そして、そのこと自身が
子供の多様な選択、イコール親の多様な選択なんでありますけれども、それを狭めているというような状況もございますし、特に、私学、私立の中
学校、高等
学校におきましては、学期の途中で公立校に泣く泣く転校する、そういうような例も結構多いわけでございます。
ですから、私の
考えますに、今、セーフティーネットという言葉がございますけれども、
教育の世界におきましても、親の経済的な状況にかかわらない
教育のセーフティーネットというものもやはり
考えておく必要があるのではないか。奨学金制度、あるいは私学におきますれば授業料の延納とか、いろいろなソフトがあると思うんですけれども、その辺をやはりもう少し充実する必要があるのではないかというのが一点でございます。
二点目は、
教育というものを公共財の
一つの供給というふうな
観点で見た場合、供給を市場メカニズムにゆだねるということでどのような問題が生じるのかというようなことも、やはりこの際
考え直す必要があるんじゃないかというふうに思うわけでございます。
例えば、私学の重視、
教育産業への依存、あるいは産学連携、これはいずれも市場メカニズムをもとに、ある一部をゆだねるわけでございますから、そうしますと、バブルの崩壊等の経済基盤の沈下によって、このこと自体が、このスキームがもろくも崩れてしまうというようなことであるならば、やはり経済変動に左右されない、保障的なものが必要なんじゃないかというのが二点目でございます。
教育の市場化と言われているわけでございますけれども、私は、
教育の市場化というのは、
効率化とか、あるいは自由な選択、
多様化、こういうものには寄与すると思いますけれども、やはりどうしてもショートラン、短視的な
評価を迫られる、あるいは非永続的な
効果しか上げられないというような、市場化に伴う
一つのデメリットというものもあるわけでございますので、ぜひともその辺の、いわば市場化に依存してこれまで改革というものを進めてきた面もあるとすれば、やはりここらである程度の再
評価というものをする必要があるのではないかと思いますが、いかがでございましょうか。