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2000-03-08 第147回国会 衆議院 文教委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年三月八日(水曜日)     午後一時十一分開議  出席委員    委員長 鈴木 恒夫君    理事 飯島 忠義君 理事 小川  元君    理事 奥山 茂彦君 理事 栗原 裕康君    理事 肥田美代子君 理事 藤村  修君    理事 西  博義君 理事 松浪健四郎君       岩永 峯一君    小此木八郎君       河村 建夫君    倉成 正和君       小島 敏男君    下村 博文君       平沢 勝栄君    宮島 大典君       望月 義夫君    渡辺 博道君       田中  甲君    松沢 成文君       山元  勉君    池坊 保子君       旭道山和泰君    笹山 登生君       石井 郁子君    濱田 健一君       粟屋 敏信君     …………………………………    文部大臣         中曽根弘文君    文部政務次官       河村 建夫君    文部政務次官       小此木八郎君    政府参考人    (文部省高等教育局長)  佐々木正峰君    政府参考人    (厚生省健康政策局長)  伊藤 雅治君    政府参考人    (厚生省医薬安全局長)  丸田 和夫君    文教委員会専門員     岡村  豊君     ————————————— 委員の異動 三月八日  辞任         補欠選任   岩下 栄一君     宮島 大典君   柳沢 伯夫君     望月 義夫君 同日  辞任         補欠選任   宮島 大典君     岩下 栄一君   望月 義夫君     柳沢 伯夫君     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  国立学校設置法の一部を改正する法律案内閣提出第三六号)     午後一時十一分開議      ————◇—————
  2. 鈴木恒夫

    鈴木委員長 これより会議を開きます。  内閣提出国立学校設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、お諮りをいたします。  本案審査のため、本日、政府参考人として文部省高等教育局長佐々木正峰君、厚生省健康政策局長伊藤雅治君及び厚生省医薬安全局長丸田和夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 鈴木恒夫

    鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 鈴木恒夫

    鈴木委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。肥田美代子さん。
  5. 肥田美代子

    肥田委員 民主党の肥田美代子でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  国立学校設置法改正案に関連いたしまして、まず文部大臣にお尋ねいたします。  昭和六十二年に、当時の塩川正十郎文部大臣大学審議会に対しまして、「大学等における教育研究高度化個性化および活性化等のための具体的方策について」を諮問されました。それ以来、国立大学制度改革に関する論議が行われ、平成十年には、「二十一世紀の大学像と今後の改革方策について」という答申が出されております。  しかし、以前にも増して大学知的レベル低下指摘されております。大臣はこうした指摘をどう受けとめていらっしゃいますか。
  6. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 委員指摘のような、大学生の学力低下をしているかどうかということにつきましては、現在のところ実証的なデータはございませんので正確なことはわかりませんけれども、しかし、学力低下傾向が進んでいるということであれば大変憂うべきことではないか、そういうふうに思っているところでございます。  その原因と申しますか、これは、大学への進学率が非常に上昇してまいりまして、高等教育がいわゆる大衆化をしてきたということ、それからもう一つは、高等学校における教育内容がやはり多様化をいたしまして、そして生徒の皆さんが一律に一定の履修を備えているということが難しくなってきた、そういうようなことも原因とされているのではないかと思っておりまして、高等学校教育方法検討しなければなりませんけれども大学におきましては、個性特色を発揮しながら学部段階における教育機能充実強化を図って、そして卒業生の質を確保するように、そういう努力をしているところでございます。
  7. 肥田美代子

    肥田委員 それでは重ねてお尋ねしますけれども、長年にわたる大学改革論議、これは効果を生み出しているとお考えでしょうか、まだまだ効果は生み出されていないとお考えでしょうか。
  8. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 効果を生み出しているかどうかという御指摘でありますけれども、最近のこの十年余の大学改革というのは、大学審議会答申を踏まえまして、教育研究個性化高度化、それから活性化、また、それぞれの大学における自主化、あるいは自主性自律性を高める、そういう方向努力をやってまいりました。また、カリキュラムにつきましても非常に私は充実もしてきていると思いますし、自己評価等も行っておるわけでございまして、そういう意味では取り組みが着実に前進をしてきている、そういうふうには思っております。  しかし、今先生おっしゃいましたように、今後の国際社会の中で日本大学が本当に大丈夫かということを考えますと、まだ心配もあるわけでございまして、引き続いて、大学はもとより、我々もそういう点について十分に配慮をしながら政策をつくっていかなければならない、そういうふうに思っているところでございます。
  9. 肥田美代子

    肥田委員 今回の改正案を拝見いたしますと、教育研究に必要なエネルギーを誘発させるというようなものよりも、むしろ文部省組織いじりという感がどうしても否めないわけでございます。そういう印象を持つわけでございますが、教育研究上の基本組織として国立大学教育部研究部が新設されるわけですけれども、既存の研究科を二つに分けるメリットはどこにありますか。
  10. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 今までは、大学院段階組織として、委員が御承知のとおり、特定分野教育活動研究活動を一体的に行う研究科が置かれていたところでございますけれども、最近、急速な学術研究進展、それから大学院におきます教育質的向上必要性等を踏まえて、研究組織教育組織を分離した方がいい、そういうような考え方から、今回研究部教育部に分けることになったわけでございます。  これによりまして、学生の所属する組織である教育部、それから教官の所属する研究組織である研究部という形になりまして、より明確に教育それから研究に専念できるようになるのではないか、そういうふうに思っているところでございます。
  11. 肥田美代子

    肥田委員 今回の改正案は、大学教育研究第三者評価する、いわゆる大学評価学位授与機構を創設するとしております。  大学が象牙の塔となり、極めて閉鎖的で社会に与える影響力も小さいことを考えますと、第三者による大学評価大学活性化に道筋をつけるその可能性を持っているのではないかとは思います。しかし、他方では、大学評価大学の自治、研究の自由という伝統的な価値観と衝突するのではないか、そういうふうなおそれも出るわけですけれども、この両者の関係については大臣はどのようにお考えですか。
  12. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 今回の大学評価学位授与機構の行う大学評価は、各大学自己点検、それから評価結果などの資料を活用しながら、各大学の設定した教育研究目的目標に即して行うことを基本としております。  また、各大学個性とかあるいは特色にも十分配慮をするとともに、その評価結果をその大学にフィードバックする、そういうことによりまして、大学教育研究活動改善に向けた主体的取り組みを促そうとするものでありまして、私は、大学教育研究の自由を侵すものにはならない、そういうふうに思っております。
  13. 肥田美代子

    肥田委員 大学を多元的に評価するとなれば、さまざまな評価項目とか、それから基準が必要になることになりますけれども、この評価項目とか基準はどこで決定し、その内容はどういうものでしょうか。
  14. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 具体評価を行う場合の評価基準につきましては、大学評価委員会、それから評価を直接担当いたします専門委員会検討、策定されることとなりますけれども、例えば教育評価につきましては、教育目的目標効果的に達成するために適切な教育内容、また方法となっているかどうか、それから、教育の質の向上改善のための研修システムが整備されているかどうか、また、研究評価につきましては、研究内容が国内的及び国際的に見てどの程度の水準にあるか、あるいは、研究成果社会経済、文化にどの程度貢献しているかなどがこの評価項目としては考えられるわけでございます。
  15. 肥田美代子

    肥田委員 今大臣効果的というお言葉を使われましたけれども、やはり国立大学というのは国から多額の資金が投入されているわけですね。ですから、私たちが知りたいのは、国からの投資に見合うそういう研究成果社会に還元されているかどうかということだと思うのです。つまり投資効果関係であると思うのですが、大学評価に当たっては、この投資効果についても評価対象になるべきだと私は考えるのです。恐らく大臣の方からは、それは難しいというお答えが出るように思うのですが、いかがですか。
  16. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 極めて厳しい経済環境の中で資源を有効的に活用するということは非常に重要なことでございますが、投資効果というような経済性に重点を置いたような評価を行うことは、今は考えておりません。純粋に大学教育また研究活動を調査させていただくということでございます。
  17. 肥田美代子

    肥田委員 私は、希望を申し上げれば、そういうことも情報公開の中に入れて大学の総合的な判断にすべき、国民に対する責務があるように思っております。  それでは、次の質問に移ります。  平成十年十月の大学審議会答申は、国立大学予算配分に際しまして、「第三者機関による評価参考資料の一部として活用される」と提言しております。  大学評価の結果は、大学に対する予算配分にも影響を与えることになりますか。
  18. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 今お話ありましたように、評価結果を参考資料一つとして活用されることが期待されるわけであります。  この評価結果は広く社会に公表をされることでございまして、大学に対して研究費などの資金を提供する機関団体、いわゆる民間のいろいろな団体資金も提供しておるわけでございますが、それらがより適切かつ効果的な予算配分を行う、そういう観点から、必要に応じて、今申し上げましたように参考資料一つとして活用することが期待をされているわけでございます。  国立大学予算配分に際しまして、評価結果を参考資料の一部として活用することは考えられますけれども、その具体的内容につきましては、この機構が行う評価状態活動状況、そういうものを十分勘案しつつ今後検討をしていきたい、そういうふうに思っているところでございます。
  19. 肥田美代子

    肥田委員 民間大学とか看護婦養成機関では、介護保険制度の発足に向けて、介護関係に従事する人材育成を一生懸命やっていらっしゃるわけですけれども国立医学部保健学科、ここにも当然準備されるべきだと思うのですが、そういう方向性は今ないのでしょうか。
  20. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 これから介護サービスの需要というのは当然増大するわけでございますけれども、それに伴いまして、介護福祉関係人材養成というものも大変に重要なわけでございます。  社会福祉士養成する国立大学状況におきましては、現在、六大学において、社会福祉士国家試験を受けるのに必要な指定科目を開講し、社会福祉士養成を行っているところでございます。  文部省といたしましては、国公私立大学を通じまして介護福祉関係人材育成充実を図ることは重要な課題であると認識をしておりまして、国立大学における育成体制充実については、公私立大学における社会福祉関係学部等設置状況や、それから国立大学における検討状況行財政事情等を総合的に勘案しつつ検討していきたい、そういうふうに思っております。
  21. 肥田美代子

    肥田委員 さらに、薬剤師教育延長年限についてもちょっとお尋ねしたいのですが、その前に、京都大学病院で起きた医療事故につきまして、文部省の見解を伺っておきたいと存じます。  まず、事故内容原因について御説明ください。
  22. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 まずもって、今回の事故でお亡くなりになられました患者さんに対しまして、本当に心から御冥福をお祈りする次第でございます。また、御遺族の皆様方に対しましても深くおわびを申し上げる次第でございます。  今回の事故は、京都大学医学部附属病院において、人工呼吸器を装着していた患者さんに対し、人工呼吸器加湿器蒸留水を補充しなければならないところを、二月二十八日午後六時ごろ、間違えましてエタノールを補充してしまい、この状態が三月一日午後十一時ごろまで続き、そして翌三月二日午後七時五十四分に患者さんがお亡くなりになられたというものでございます。  京都大学附属病院では翌三月三日にこのことを警察に連絡をいたしまして、患者さんの御遺体は京都府警による司法解剖に付されましたけれども、同日同府警から行われました発表によりますと、患者さんの死因はエタノール中毒であった、そういうふうに聞いております。
  23. 肥田美代子

    肥田委員 この事故は、やはり病棟における薬剤管理のずさんさ以外の何物でもないと思うのです。病棟における薬剤管理が適切に行われるためには、やはり十分な薬剤師配置されなければいけないのですが、京都大学の場合、いかがでしたか。
  24. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 京都大学薬剤師配置について私は詳細を承知しておりませんので、もしお許しいただければ、政府参考人から答弁させたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  25. 鈴木恒夫

  26. 佐々木正峰

    佐々木政府参考人 京都大学における具体配置人員については現在資料を持っておりませんけれども特定機能病院として所要とされる薬剤師については配置をしておるところでございます。
  27. 肥田美代子

    肥田委員 このような事故防止するために、ぜひ、国立大学病院病棟における薬剤取り扱い管理の実態を緊急に調査していただきたいと思うのですけれども大臣、いかがですか。
  28. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 私どもとしては、当然のことでありますけれども、今回の事故を非常に重く受けとめております。今後再びこのような事故が発生することのないように、京都大学とともに、まずは徹底的な原因究明原因調査、これを行いまして、多重的なチェック体制を整備するなど、今後の万全な体制づくりに努めていきたい、そういうふうに思っております。  医療事故防止というものにつきまして、この事故は、京都大学医学部附属病院だけの問題ではございません。国立大学附属病院全体、あるいはよその病院もそうでありますけれども、これらが取り組むべき本当に重要な課題であると思っておりまして、この事故の教訓というものは、今後の国立大学附属病院全体の医療事故防止対策に生かしていかなければならないと思っております。  私といたしましても、文部省担当に対しまして万全な取り組みを指示しているわけでありますけれども、早急に調査委員会を設けまして、そして、そういう薬剤を含むいろいろな病院体制がどうなっているか、まず点検をして、そして今後の防止のために必要なものを洗い出して、その防止策を打っていくようにということで指示をしているところでございます。  そういうことで、今後につきましても再発防止のために取り組んでいきたいと思っております。
  29. 肥田美代子

    肥田委員 三年前の平成九年二月の文教委員会で、私は、薬剤師六年制問題につきまして小杉文部大臣質問させていただきました。その際、大臣は、六年制のための基盤整備として、薬科系大学院の量的、質的な改善を図っており、学部段階でのカリキュラム充実についても一生懸命取り組んでいると回答されました。  それから三年がたちました。学部カリキュラム充実、それから薬科系大学院改善、さらには薬学部学生病院実習実施状況はどうなっておりますか。
  30. 河村建夫

    河村政務次官 お答えいたします。  薬学部におけるカリキュラムの問題で、肥田委員からも今お示しのような御指摘もございました。  平成八年三月に、薬学教育改善に関する調査研究協力者会議最終まとめの中でモデルカリキュラムが示されたわけです。文部省は、これを早くきちっとした形で実施に移さなければいかぬということで、各大学においても、このモデルカリキュラムにあります臨床薬学教育の重視とかあるいは実務実習充実カリキュラムの精選、この視点に立ちまして進めてきたわけでございます。その結果も、平成十年度におきましては、モデルカリキュラムに示された四週間以上の実習、これが五割まで進んでまいりました。文部省としても、さらにこれを全部きちっとできるような形で強力に進めてまいりたい、このように考えておるわけでございます。  さらに、薬学部学生病院実習についても、このモデルカリキュラムにおいては四週間以上実習をということでございますが、これができた大学は、国公私立四十六大学中二十二大学でございます。しかし、病院実習のみ実施した大学は十七大学、こういうことでまだ十分ではありません。さらに、臨床薬学関係専攻を置く大学院修士課程、これにおいても、十九大学ございますが、モデルカリキュラムに示された六カ月以上の実習を行う大学、これはまだ四大学ということでございますから、これも十分ではありません。この点につきましては、受け入れの病院側のこともございますので、厚生省側とも、御協力をいただいてこの実習充実に努めたい。  特に国立大学がどうしても、研究者といいますか、新薬の方とか、そういう方面に当たる研究者養成することに力点が置かれているものでありますから、どうも実習がおろそかになっている嫌いがございます。このことも踏まえて、文部省としても、強力に大学側を指導し、実習に入るように、薬学部長会議等々もございますので、そういう席で担当の方から強く求めていきたい、このように考えております。
  31. 肥田美代子

    肥田委員 大変積極的な御答弁をいただきました。ありがとうございます。ぜひ頑張っていただきたいと思います。  去る三月三日に、平成十二年度社会保険診療報酬改定の概要が示されました。  この中で、薬剤関連技術料改定が行われまして、薬剤情報提供料薬剤管理指導料のアップが図られ、新たに退院時服薬指導加算評価されることになっております。また、薬局における薬剤服用歴管理指導料も新設されました。これは医薬分業に対応した診療報酬あり方を示すものとして理解しております。  医薬分業はやはり薬剤師資質向上しなければ語れないわけですね。ですから、厚生省論点整理のための薬剤師教育モデルを作成されておりますね。この概念図薬剤師教育六年制を念頭に作成されたものと受けとめていいですか。
  32. 丸田和夫

    丸田政府参考人 今委員の方から御質問論点整理関係でございますが、これは御承知のように、平成八年から文部省厚生省あるいは日本薬剤師会及び日本病院薬剤師会、この四者によりまして薬剤師養成問題懇談会を設置いたしまして、これに、昨年の五月、国公立私立大学関係者の方が入りまして、通常私ども者懇と呼んでおりますが、この中で、六年制に係る問題も含めまして、いろいろな諸問題がございますので、それについて現在議論をしているところでございます。  お尋ねの、論点整理表というのはこの懇談会の中で今まで議論されたものについてどういったパターンがあるかということを整理したものでございますので、今後、こういうものをもとに、より六年制の教育問題というものについて議論してまいりたいと思っているところでございます。
  33. 肥田美代子

    肥田委員 今おっしゃられた六者懇ですけれども、もう会議が始まってから一年たちます。いわゆる六者懇談会結論はもうぼつぼつ出す時期ではないかと思うのですが、総括、いかがですか。
  34. 河村建夫

    河村政務次官 この六者懇は、最初は四者懇で始まったわけですね。それに、さらに六年制の問題も入ってくるということを踏まえて六者にふやそうということで、薬剤師国公立大学薬学部長会と、それから私立大学薬学部大学協会も含めて、六者で話し合っていただくということで検討をいただきました。  肥田委員指摘のように、一年やって、まだ具体的な結論に至っておりません。この時期に、それではいつ結論を出すのだという問題でございますが、もうちょっと検討の結果を見なければならないと思いますが、今御指摘のように、当然、修業年限あり方を含む薬学教育あり方についてということでございますから、六年制への移行ということを踏まえて具体的な検討に入っていただく時期に来たというふうにとらえておりまして、今は、いつまでにこの結論を出せということをまだ切る段階にはないと思います。  いましばらく六者の懇談会の様子を見守りたいと思っておりますが、方向としては、委員指摘のような、いわゆる年限の問題を含めて、そろそろ結論をまとめていただきたいというふうに期待をいたしておるところであります。
  35. 肥田美代子

    肥田委員 それでは次に、厚生省にお尋ねします。  平成六年に設置されました厚生省薬剤師養成問題検討委員会は、今世紀中をめどに六年制の実施努力するという結論を出しております。それから五年がたちました。今世紀もことしで終わります。検討委員会結論については、今後どのような取り扱いをされますか。
  36. 丸田和夫

    丸田政府参考人 先生御指摘のように、平成六年の薬剤師養成問題検討委員会の最後の部分にそのようなことが記述されております。ただ、これは御承知のようにいろいろな大きな問題もございますので、そのために、先ほど申し上げましたいわゆる六者懇の中で現在具体的に検討しているところでございます。  この中では、やはり病院等での実務実習充実方策とか、あるいは大学院修士課程充実方策、あるいはまた生涯研修充実方策、こういった大きな問題について議論し、また修業年限具体的な方向についても今検討しているところでございますので、この結論を待って対応することになろうかと思います。
  37. 肥田美代子

    肥田委員 先ほど総括政務次官がおっしゃいましたように、やはり結論は早ければ早いほどいいわけでございますので、ぜひ頑張って、お出しいただくものは出していただきたいと思います。  厚生省は、平成十二年一月三十一日に、医療制度抜本改革の進め方についての基本方向を示されまして、一つの大きなテーマとして医療従事者資質向上を掲げておられます。これに基づきまして、医師歯科医師については、卒後臨床研修義務化が法制化されると聞いておりますが、これは間違いありませんね。
  38. 伊藤雅治

    伊藤政府参考人 医師歯科医師臨床研修必修化につきましては、医療関係者審議会、それから先般社会保障制度審議会の御答申をいただきまして、その線に沿って、今国会に法案を提出すべく努力しているところでございます。
  39. 肥田美代子

    肥田委員 薬剤師医師歯科医師と同じく、やはり医学、薬学進展という環境の変化の中に置かれているわけです。例えば、平成八年の医薬分業は二二・五%、院外処方せん発行枚数は三億枚でございました。それが平成十一年には、それぞれ三五%、四億五千枚に達することが見込まれております。  文部大臣議論を聞いておられてお感じになったと思いますけれども、私は、もういつまでも検討をしている時代じゃないと思うのですね。検討時代を早く終わらせていただきまして、大臣がそのポストにいらっしゃる間に、ぜひ薬学六年制の実施に向けた方向性を示していただきたいと切に念願するわけですが、決意のほどを伺いたいと思います。
  40. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 先ほどから総括政務次官、また厚生省から答弁いたしておりますように、この六者懇において現在検討中でございます。私は、薬剤師さんの医療分野において果たしている役割、また国民の健康の維持増進等に果たしている役割というのは大変大きいものと思っておるわけでございまして、そういう意味で、薬剤師さんの資質向上をさらに図るべき、そういうふうに思っております。  そういう意味で、この懇談会で今教育年限の延長につきまして検討しておりますけれども修業年限の延長も視野に入れながら、私ども文部省としては、今後も厚生省とよく協議をしながら、この検討状況を見据えつつ検討を進めていきたい、そういうふうに思っておりまして、重要性は十分に認識しておるつもりでございます。
  41. 肥田美代子

    肥田委員 今大臣の御発言を聞いておりますと、三年前とそう変わらないのですね。先ほど申し上げましたけれども、もう検討時代は終わらせてくださいと申し上げているのですから、もう一度前向きな御答弁をちょうだいしまして、私は終わらせていただきたいと思います。
  42. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 私の考えは申し上げたとおりでございます。できるだけ早く結論が出るように、また努力をしていきたいと思っております。
  43. 肥田美代子

    肥田委員 ありがとうございました。
  44. 鈴木恒夫

    鈴木委員長 次に、田中甲君。
  45. 田中甲

    ○田中(甲)委員 民主党の田中でございます。  自民党の議員さんが中曽根文部大臣がいらっしゃる時間帯を野党に回してくださったということだそうでありまして、感謝を申し上げながら、質問を始めさせていただきたいと思います。  民主党は、きょう質疑を行っております国立学校設置法の一部を改正する法律案に対して基本的に賛成であります。ただ、第三者機関による大学評価に関しては、少し時間をいただいて、文部大臣の御所見等をお聞きした上でという考えでございます。  どうも世界全体の流れを見てまいりますと、大きな地殻変動を起こしていると表現しても決して過言でない時代の変化や、あるいは社会状況変化という急激なその変化に、我が国日本大学というものが十分に対応できているのだろうかという危惧を持たずにはおられません。  実際に、日本大学大学院に対する世界的評価は驚くほど低いわけでありまして、そんな中で、この質問を始めるに当たりまして、日本高等教育の現状認識、あるべき高等教育の姿ということにつきまして、大臣の御所見を賜りたいと思います。
  46. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 大学評価にはさまざまな観点がございまして、単純な比較というのは非常に難しいとは思いますけれども、我が国の大学には改善すべき点がまだまだあろうか、そういうふうに思っております。  具体的には、学生課題探求能力を育成することなど、教育研究の質の向上を図ることが一つ。それから、多様な学習需要に対応するための大学自律性を確保すること。それから、学長のリーダーシップの発揮や、また教授会等における意思決定を適正化すること。さらには、こうした取り組みにつきましての透明性の高い第三者評価実施など多様な評価の仕組みを確立すること。こういうことが挙げられると思っております。  こういう観点から、二十一世紀に向けて、先ほど申し上げました、課題探求能力を持った質の高い学生をきちんと教育する視点に立ちまして教育充実を図っていくことが大切であると思っております。  具体的には、各大学において、学生が広い視野を持ち、学問を総合的に把握し、課題を探求できるような幅広い教育を教養教育と専門教育両方を通じて施すとともに、責任ある授業運営や厳格な成績評価など、教育充実について指導しているところでございます。  また、学術研究につきましても、世界の研究者を引きつけるような世界最高水準の学術研究を活発に進めている、そういうふうには思っておるところでございます。  また、こうした取り組みを可能とするため、各大学教育研究については自主性自律性を高めるとともに、先ほど申し上げました第三者評価を含めた多元的な評価システムの確立を図ることとしております。  こういう改革を通じて、大学個性化多様化を図り、また競争的な環境を醸成して、国際的に通用する創造性豊かな人材育成、また世界的水準の学術研究に努めていきたい、そういうふうに思っております。
  47. 田中甲

    ○田中(甲)委員 ありがとうございます。  第三者評価機関改正案の第九条の四関連の質問を始めさせていただきたいと思います。  従来からの学位授与機構を改組いたしまして大学評価並びに学位授与機構を設置する、第三者機関による大学評価機関の設置でございますけれども、かなり速いテンポで進んできたように私は認識しております。  一昨年、九八年でありましたけれども、十月の段階で、大学審議会文部大臣の諮問機関でありますけれども、その「二十一世紀の大学像と今後の改革方策について」という中で、まずこの第三者機関の設置ということが答申として出されてまいりました。細かくその概要を今述べる必要はないと思うのですけれども、この答申を受けて、昨年、九九年の四月、大学評価機関、仮称でありましたけれども、設置準備室を設けられて、ことし、二〇〇〇年に入りまして、二月、「大学評価機関の創設について」という報告書が出された。非常に速いテンポで進んできたなという感があります。  これを受けて、今回の国立学校設置法の改正ということになったわけでありますけれども、ここで重要な点は、先ほど第三者評価機関ということで「透明性の高い」という言葉を大臣がお使いになられておりましたけれども、私はここで、中立性と厳格性の高さ、評価の中でこれがどこで担保されるかということが非常に重要になってくるのだろうと思います。  そのためには、大学評価委員会、基礎となっている三十名の委員構成ということを、大臣はどのようにお考えになられているか。これから委員会で決めることですというその委員会のメンバーですけれども国立大学関係者文部省人材、その割合ということはかなり問題になってくること、ポイントになるところではないかと思うのです。  つまり、第三者評価機関として、文部省国立大学関係者の割合をやはり少なくしておくべきだろうというふうに私は思うのですけれども、その点、大臣はどのようにお考えになられているか、御所見を賜りたいと思います。
  48. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 大学評価委員会は、委員御案内のとおり、今お話ありましたとおり三十名程度の委員で構成することとしております。  この委員会は、大学評価基本方針の策定や評価結果の取りまとめ等を行う、そういう大変重要なものでございまして、この委員会の審議に、各学問分野の専門的な見地に加えまして、社会経済界等の多様な視点が反映されるよう、委員の構成について適切に配慮してまいりたいと思っております。  委員がおっしゃいました中立性、厳格性、それから公明性、当然重要なポイントでございます。その委員具体的な、分野といいますか、お話ありました国公私立大学関係者ももちろん入りますけれども、そのほか、経済界を初めとして、社会経済、文化等の幅広い分野の有識者を今想定しているところでございます。
  49. 田中甲

    ○田中(甲)委員 社会経済その他、企業関係もそうなんでしょう、研究者、いろいろな視点から大学評価ができるように、中立性、厳格性あるいは透明性という御答弁をいただきました。  冒頭の質問の答弁の中で、大臣が、これからは日本の、我が国の高等教育というものを国際的に見ても水準の高いものにしていかなければいけないとおっしゃられたわけでありますけれども、そういう意味からしますと、この新しくつくる評価体制の中に、海外からの目というものもやはり取り入れていく必要があるだろうと。国際的な競争力の向上の観点から、グローバルスタンダード、海外からの評価もやはり積極的に取り入れていくべきだと考えます。  具体的には、外国人の登用ということもこの中に検討していく、その枠の中にぜひとも置いていただきたいと考えるのですが、いかがでしょうか。
  50. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 この大学評価学位授与機構具体評価を行うに当たりましては、国際的な視点に立って評価を行うことは大変重要であるわけでございます。  今後、機構の専任教員や、それから大学評価に携わる委員の選任に当たりましては、委員指摘の点も踏まえながら適切に対応していきたい、そういうふうに思っております。
  51. 田中甲

    ○田中(甲)委員 ありがとうございます。ぜひ御検討をいただきたいと存じます。  さきの質問者と少し重複をしてしまいますが、条文には出てまいりません、出てまいりませんが、この大学審議会答申というものを受けて、「大学評価機関の創設について」という報告書の中でも、この評価の結果、調査結果というものが国立大学への資源配分並びに予算配分の際に参考資料として活用されるということのようでございます。  再度この点について、これが事実であるかどうかということも、明確に大臣の御答弁をいただければありがたいと思います。そして、次の質問に続けたいと思います。
  52. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 この大学評価学位授与機構では、みずから資源配分を行う機関ではありませんけれども、この評価結果は、先ほど質問でも御答弁いたしましたけれども、広く社会に公表されることとなっております。そういうことから、大学に対して研究費などの資金を提供する機関あるいは団体が、より適切また効果的な資源配分を行うことができるような観点から、必要に応じて評価結果を参考資料一つとして活用することが期待をされるわけでございます。  国立大学予算配分に際して、この評価結果を参考資料の一部として活用することは考えられるわけでございますけれども、その具体的内容につきましては、この機構の行う評価活動の今後の活動状況等を十分に勘案しつつ、今後検討していきたい、そういうふうに思っております。
  53. 田中甲

    ○田中(甲)委員 私が危惧することは、わかりやすく申し上げるならば、調査結果が予算配分の際の参考資料となるということでありますから、大学評価学位授与機構の、さじかげんという言葉が適切かどうかはわかりませんが、この辺によって、大学にお金がつく、あるいはつかないということが決まっていくのではないか、そんな観点が、当初あるいは継続されていく中で出てきはしないだろうかと思うわけであります。それによって、国立大学大学が萎縮してしまいまして、常に評価基準ということを気にしながら、学問の自由ということが侵害されるような事態も起こり得るのではないか、そういう危惧を持つわけであります。  憲法の第二十三条「学問の自由は、これを保障する。」という点に抵触していくのではないか、その私の疑問に対して、大臣、そうではないんだというような、力強い、これからの評価機関のありようというものをお話しいただければありがたいと思います。
  54. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 委員の御指摘の点は、今回こういう制度を導入するに当たりましては大変重要なことだ、そういうふうに思っております。  大学というところは、自由な教育研究活動を行うと同時に、公共的な機関としての大学の果たすべき社会的使命に照らしまして、教育研究水準の不断の向上に努める必要があります。この機構の行う大学評価は、各大学がみずから設定したそういう教育研究目的目標に即して行うことを基本としておるわけでございますし、各大学個性特色十分配慮しなければならない、そういうふうに思っております。  評価結果は評価を受けた大学にフィードバックされることとなっておりますけれども、そのフィードバックをされる当該大学におきましては、評価結果を大学のさらなる発展の足がかりとして、教育研究活動改善に向けて自信を持って取り組んでほしい、そういうふうに思っておりまして、大学のそういう自由な研究教育活動が阻害されたり、あるいは何らかの制約を受けることがないように、適正な、先ほど申し上げた中立的な、厳格な評価を行っていくということであろうと思っております。
  55. 田中甲

    ○田中(甲)委員 有馬前文部大臣のレポートの中に、これは大臣をおやめになられてすぐに書かれたのでしょうか、「日本はGNP当たりの高等教育費がわずか〇・六%であるのに対し、アメリカ、イギリス、ドイツは一・二ないし一・四%となっている。したがって、独立行政法人化を検討する前に、国や地方自治体が高等教育への経済援助を増やすことを考えなければならない。」という御自身の御所見を述べられています。  そもそも、この評価によって、十分な予算的な措置ということが継続して受けられるのか。いや、そうではなく、この評価によって、少ないパイをまた奪い合っていくという厳しい状況がここで生み出されてしまうのではないかという危惧を生みかねない。大学あるいは大学院が適正に教育及び研究ができることをまずは前提とする、その上で、第三者機関の調査結果がよければ上積みをするという形が、今の日本高等教育の中でとられるべき姿ではないかと私はとらえているのですけれども、その点については、大臣、いかがでしょうか。あるいは政務次官でも結構でありますが、いかがでしょうか。
  56. 河村建夫

    河村政務次官 有馬大臣が、あれは大臣をおやめになった後だと思います、またかねてからそういうことをおっしゃっておりますし、日本の、特に高等教育にかける国民総生産等の比率がアメリカの半分以下であるということは、やはり重要な問題としてとらえていかなければいかぬというふうに思います。  しかし、開かれた大学として、これから評価も入れながら切磋琢磨して世界に誇り得るべき大学にしていくためには、そうした設備の充実等をやっていかなければいかぬことは当然のことだろうというふうに思います。  したがいまして、今回の評価についても、さっき委員指摘のように、萎縮をさせるのではなくて、改革意欲とかそういうものに対してはプラスして拡充してあげるという姿勢が当然出てこなければいかぬだろうというふうに思っておりますし、今教育改革が叫ばれておりますが、世界の先進国との格差をどうやって詰めるかということは大きな課題だと思いますので、今後、国民的議論の中で方向を打ち出していただく、当然、文部省としてもその方向で最大の努力をしていくことが必要だろうというふうに考えております。
  57. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 今、総括政務次官からも御答弁申し上げましたけれども日本の公財政支出のGDP比というのは欧米諸国に比べまして約半分、アメリカが一・一%、それからフランス〇・九、ドイツも〇・九、イギリスが〇・七に対しまして、日本が〇・五%という水準でありまして、こういうところからも、先進諸国並みに早く近づけていくような最大限の努力をしていかなければならない、そういうふうにも私も思っております。  さらに、大学がよりよい研究、また教育充実が図られて、それによってますます大学側の、教育に対するといいますか、意欲も増して、そして全体の学校のレベルが上がる、そういうような形が理想、そういうふうに思っておるわけでございます。今回このような機構評価をすることによってそういうようなことの促進にも役立ってもらえれば、私はそういうふうに思っておるところでございます。
  58. 田中甲

    ○田中(甲)委員 大臣が今お話しされたように、まさにこの第三者評価機関というものが、そういう前向きな意味を持っての役割を担ってもらえるならばというふうに願ってやまないところであります。  大学紛争が激しくなったころから、大学への予算の伸びがとまったままであります。以前参考人としていらしていただきました高知大学の学長が、今の状態は、病院にお医者さんはいるけれども看護婦がいない状態になっている、教授はいるが施設が貧困になり、支える職員の方々がいない、そういう実態を切々と訴えておられました。  アメリカの姿を少しお話しさせていただきたいのですけれども、一九六〇年代、ケネディ大統領が、教育の効用、人的資源、雇用対策を重視して、十万人の教員をふやすプランを設定いたしました。そしてそれを実行して、現在のアメリカの大学の世界最高水準というものが、そこからやはり続いて現在に至っているのだろうというふうに思います。  また、一九九〇年に入りまして、これはAKモデルという、S・レベロ、アメリカの経済学者が人的資源ということを、さらに力点を置いた内生的経済成長論ということを強く主張されて、現在の情報通信革命、IT革命においては、やはりそのような教育に力を入れてきたアメリカという姿の、その妥当性ということがここで見られるのではないかということを改めて感じております。  重ねて、我が国日本が、今こそ将来を考えて、未来への投資、不況下の雇用対策、最大の景気対策として高等教育の予算づけ、そこに投入する資金というものの拡充を国策として考えていくべきではないだろうか、そう考えるわけでありまして、大臣の前向きな御所見をいただければ、大変にうれしいと思います。
  59. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 各国とも人材育成養成には大変力を入れているところでありますし、我が国も、今後の国家の発展のためにも、当然、同様に人材育成をやっていかなければならないと思っております。  そういう中で、大学は、情報化を初めとして非常に変化をしております社会の各分野で、それに適応して活躍できる人材養成しなければなりませんし、同時に、先ほどから申し上げておりますように、世界的水準の学術研究も行っていかなければならないわけでありまして、まさに、社会の発展を支えていくという本当に重要な役割を担っておるわけでありますし、また期待されているわけです。  文部省といたしましては、そういうような観点からも、この平成十二年度におきましては、教育研究活性化など大学改革の推進、それから大学院教育研究高度化多様化、さらに国立大学等の施設の高度化多様化の推進、それから私学助成の充実、こういうものを図ることとしております。  今後も、厳しい財政事情の中ではありますけれども、引き続いて、教育研究条件の改善などに必要な予算の充実、また確保に努めてまいりたい、そういうふうに思っております。
  60. 田中甲

    ○田中(甲)委員 ありがとうございました。  十日に参考人としてお呼びする予定になったようでありますけれども、東京外語大学の中嶋学長さんが、「日本大学はまだまだ閉鎖的な体質を持っており、「知の鎖国」状態にある。」という表現を使われて、「正当な大学評価で「知の鎖国」を打破せよ」というレポートを書かれています。中嶋学長は、有馬元文部大臣とは異なりまして、独立行政法人には強く反対されているお一人のようにもお聞きしておるのですけれども、この知の鎖国状態という言葉は、まさに日本の今の高等教育の実態ということを言い得て妙なり、そんな感を持っておりまして、これからグローバル化時代に求められる高等教育あり方について、もっと予算もつけて、積極的な文部省の対応、国を挙げての政策としての対応ということが必要になってくるのだろうと思います。  この問題で大臣は、大学審議会に対して「グローバル化時代に求められる高等教育の在り方について」諮問をされているとお聞きしています。  主な点は三点。国際的通用性、互換性を重視し、世界に開かれた大学づくりの推進を。二点目として、高等教育機関社会との往復型による生涯学習の推進を。さらに三点目は、高等教育における情報通信技術能力の育成と情報通信技術の活用による教育提供等の推進の三点とお聞きをしているところでありますが、ぜひ、この問題について、審議会に投げかけられた大臣御自身の御所見、現在のお考えということをお聞かせいただければありがたいと思います。
  61. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 委員が御説明くださいましたように、昨年十一月に大学審議会に、「グローバル化時代に求められる高等教育の在り方について」ということで諮問をさせていただきました。  二十一世紀におきましては、人や物などの国境を越えた流動性が一層高まり、国際的な競争もより激しさを増すとともに、社会の変化もますます急速になっていく、そういうふうに予測をされております。そういう中で、先ほど指摘になりました三点について諮問させていただいたわけです。  もう少し詳しく申し上げますと、日本高等教育機関は、国際的通用性を有する教育研究を展開する世界に開かれた機関となっていくことが求められる、これが一点でございます。  それから二点目は、変化の激しい時代にあって人々が力を発揮し活発に活動していくためには、生涯の必要なときに必要な学習を行い知識や技術を習得することができる環境が必要であり、こういう点で高等教育機関の役割も増大しているということ、これが二点。  それから三点目は、普及の著しいインターネット等の情報通信技術の発展というものは、経済産業界のみならず、高等教育にも大きな変化と新たな可能性をもたらすと考えられるということでございまして、国際的通用性、それから生涯学習、また情報化時代大学というものについて今検討していただいているところです。  さらに私、個人的に、今の三点に加えまして、やはり大学においては、学問の研究はもちろんでありますけれども人材養成という意味でも大変重要な役割を果たしているわけでありますから、国際的な広い視野と、我が国の伝統とか文化に対する理解、また道徳観とか倫理観など、あるいは責任感等の高い倫理性を備えた人材、そういう人材育成することも大学の大きな役割ではないか、そういうふうに思っているところでございます。  こういう観点から、この大学審議会高等教育あり方について幅広く御審議を今いただいているものでございまして、ことしの秋ごろを目途に御提言をいただくことを期待しているところでございます。
  62. 田中甲

    ○田中(甲)委員 少し時間が残りましたので、早目に終われという声もあるようですが、せっかくの機会ですから、もう一、二分だけ、大臣にぜひ、なるほどそういうことも今文部省関係で問題になっているのかというような点を一点だけ。  私が話し始めると、ああまたダンスのことを話すなということですが、大臣も大変にスポーツが、大臣は陸上ホッケーでしたか、学生時代から通じて全日本の選手として活躍されたということもお聞きしております。大変な理解者であると認識しておるところでありますけれども、ダンススポーツという競技が、二〇〇四年のアテネ、あるいは二〇〇八年の、北京になりますか大阪になりますか、そのオリンピックの中で、正式競技としてどうやら決定がされていくという流れになっております。  私は実は、今、ダンススポーツ推進議員連盟というのを、国会議員の方々約百人を超える方々と議連をつくって、もちろん超党派で、島村宜伸予算委員長に会長に就任していただいて進めているところです。  三つのテーマがございまして、一つは、ダンススポーツというものが風俗営業法の適用であったことの除外をする立法府の仕事でありました。それはおかげさまで、まだ全部ではありませんけれども、ダンススクールに関しては風俗営業法ではなくなりました。  二点目は、公民館、体育館ですそ野が広がっている、公民館、体育館の中高年齢の方々のダンス競技あるいはサークルに、健康のためにプラスになるそういうダンスのすそ野の広がりに、やはり国からももっと協力しようではないか。  三点目が、実は大臣にちょっとお伝えをしたいなと思ったのですけれども、ダンス界の統一ということを行ってオリンピックへの出場というところにつなげていきたいという悲願があるのですけれども、どうも、競技の特殊性からプロがアマチュアを統括するという傾向が非常に強いのです。  今、プロの方も、文部省の生涯スポーツ課でしたか、課長さんが随分熱心にプロの団体の統一ということを努力されているようでありますが、それより一歩先に、アマチュア団体が、JADAというアマチュアの団体をさらに統括して、全部を網羅する形で、日本ダンススポーツ連盟という新たな団体にもう姿をかえております。そしてJOCの方からも、日本ダンススポーツ連盟がオリンピックに直接つながっていく団体であるという正式な認定ももう出されているところであります。しかしながら、日本の場合には、プロとアマが車の両輪のように対等に一つの新しい統一団体をつくるというところには、残念ながらなっておりません。  一番のネックは何かと申しますと、八年にわたって文部省生涯スポーツ課とかけ合ってきているのですけれども、もうすべて文部省の生涯スポーツ課が言われる問題点をクリアしているにもかかわらず、ダンススポーツという公民館、体育館でサークル活動を行っている全国組織の、一千万人のダンス愛好者がいると言われているそのすそ野のアマチュアダンスに対して、公益法人化の許可が出ないということなんです。  この許可をとることによって、日本のダンス界は、これからかなり健康面でも中高年層に私はプラスの面があると思いますし、あるいは、子供のころに教養として、あるいは文化としても、これからオリンピックに出ていく中で日本が確立しておかなければならないと思いますので、アマチュア団体がすそ野を広げて、こういう表現もちょっと使わせていただきます、各選挙区の先生方にお願いに上がって請願書も出すやに聞いておりますけれども、ぜひ文部大臣に、ダンス界のアマチュアとプロとが見事にお互いにプラスの相乗効果を生むような形で統一していくことに当たりまして、公益法人化の許可ということも含めて、前向きに検討していただきたいとお願いを申し上げ、一言、御所見、御答弁をいただければありがたいと思います。
  63. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 いろいろな競技団体がございますが、やはりプロとアマが、それぞれの組織、また会員も違うかとは思いますが、一体となってその競技の発展のために努力をしているところでありますし、また努力をしていただきたいとも思っております。  今お話しのダンス界のことにつきましては、私詳しいことは存じ上げませんが、アマチュアとプロが一体となるということは、このダンスの世界においても当然向かうべき方向であろうと思いますし、そういう意味で、先生もいろいろ御尽力されておられると思いまして、感謝を申し上げます。  実は、アマチュアの方のことは詳しいことを存じませんが、プロの方も三つの団体に分かれておりまして、その一つ団体が世界の、国際のダンス連盟の方につながっていて、世界選手権に人を出せる。それから、それぞれの三つの団体がばらばらに全日本選手権等をやっている。それから、一つ団体が財団法人であって、プロダンス界の八割のメンバーを擁しているという事情があります。  このたび、私の方から三つの団体にもお願いして、やはり一つのまとまりを持っていただきませんと、世界への道、あるいは日本の選手権大会の開催等について、将来の発展を考えますと支障があるということで、三つの団体がお話し合いをしていただきまして、一体となった協議会、カウンセルが、つい先日三者に署名していただいてできたところで、そういう意味では、プロの方は今一つにまとまりつつあるというふうに言ってもよろしいかと思います。  そういう意味で、今後、アマチュアとの統一といいますか、そういう提携、統一に向けて、私も私の立場で努力はさせていただきたいと思っておりますし、それから公益法人化につきまして、申しわけありませんが今初めて伺いましたので、よく調べて、またよりよき方向になるように努力していきたいと思っております。
  64. 田中甲

    ○田中(甲)委員 ありがとうございました。
  65. 鈴木恒夫

    鈴木委員長 次に、石井郁子さん。
  66. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子でございます。  提出の国立学校設置法改正法案には、それぞれ異なる四つの内容が一括して出されているわけでございまして、私は、それぞれに尋ねたいことはございますけれども、今回は、初めて設置される大学評価機関の問題、これでお尋ねをしたいと思います。  法案では、学位授与機構大学評価学位授与機構に改める、大学教育研究活動等を評価し、公表するということが明記されただけで、具体的な評価に関する事項等は今後省令などをまたなければいけないということかというふうに思うのですね。  どういう目的でどんな評価を行うのか、あるいは、それがどう活用されて、どんなふうに大学のいわば研究活動に役立っていくのかというような問題については、大学評価機関の創設準備委員会の報告というのを見なければいけないのかなと思うのですが、それを見る限り、私は、これが我が国の高等教育を発展させるものとなるのかどうかと危惧を抱かざるを得ないわけでございます。  その一つが、もう既に質疑も出ているのですけれども、報告に書かれてあります、「資源配分機関や助成団体大学等への寄付者(企業等)などが必要と判断した場合は、大学評価学位授与機構の行う評価の結果を、配分指標あるいは参考資料一つとして活用することができる。」というところでございます。  改めて確かめたいと思うのですけれども、この資源配分機関の中に、政府、文部省も入るのでしょうか。
  67. 佐々木正峰

    佐々木政府参考人 資源配分機関の中には、文部省を含め、国の機関が入ります。
  68. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 では、この評価の結果を資源配分の参考の一つとして活用していくというのは、先ほど大臣の御答弁で今後の検討課題というふうにもちょっとお聞きいたしましたけれども、例えばいつごろからとか、そういうことのお考えはございますでしょうか。
  69. 佐々木正峰

    佐々木政府参考人 基本的には、大学教育研究活動活性化を図っていくためには、それぞれの大学個性を発揮していくことが大切でございます。その個性を尊重しながら、すぐれた取り組みであるとか、あるいは教育研究活動の水準向上のための努力、これを正当に評価していくことが大切であると思っております。そのためには、きめ細かな評価情報に基づいて、客観的で透明な方法によって適切な予算配分等を行っていくことが必要であるというふうに考えておるわけでございます。  ただ、この評価機関自体は平成十二年度に立ち上げまして、平成十四年度までは対象分野や対象大学数を絞って、段階的に実施をしていくわけでございます。その段階においてさまざまな、評価あり方改善、工夫といったようなことも大学関係者等の意見も聞きながら進めていくわけでございます。  そういった観点からすれば、予算配分等に当たってこの機関評価結果というものを参考資料としていくということについては慎重な対応が求められるかと思っておりますが、具体的にいつから予算配分に当たっての参考資料としていくかについては、今後の状況などを勘案しながら検討していくべき課題であると考えているところでございます。
  70. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 いずれにしましても、私はやはり、評価の結果と国の予算配分がリンクするということを表明されたという点で、これは大変重大だというふうに考えているのです。  というのは、この報告を見てみますと、「評価目的」として挙げられているのは二点なんですね。「評価結果を各大学等にフィードバックすることにより、各大学等教育研究活動改善に役立てる。」それから二つ目が「広く国民の理解と支持が得られるよう支援・促進していく。」社会大学評価を公表していくという問題なんですけれども目的として挙げられているのはこの二点なんです。  しかし、この結果は、そういう予算配分にリンクするということなんです。私はこれは、目的からいって、どうしても読み取れないというふうに思うのです。だから、目的のないことをやるという点でいうと、評価の結果を予算配分にリンクするということは目的をゆがめることにもつながる。先ほどもちょっと出ておりましたけれども、やはり大学を萎縮させますし、それから大学の自己改革につながっていかない、あるいは自律的、自主的な教育研究活動というものを阻害しかねないのではないか、予算配分というのはどうしてもそういう問題を持つのではないか。  この点で、いかがでしょうか。これは大臣の御見解を伺いたいと思います。
  71. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 先ほど政府参考人からも申し上げましたけれども国立大学予算配分に際して、この評価結果を参考資料の一部として活用することは考えられますけれども具体的内容については、この機構の行う評価活動状況等を勘案しつつ検討をしてまいりたいということでございます。  今委員から御指摘がありましたこの評価結果の活用でございますけれども、おっしゃるとおり二点ほどあるわけでありますが、参考としてそれを活用していくということにつきましては、先ほど申し上げましたけれども、一般的な資金を提供する機関団体、こういうところが参考にする、そういう観点から活用の期待をされているわけでございます。
  72. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 既に今、相当額の国立大学予算というものは傾斜配分されているんですね。科研費がございますが、これは審査によって資源配分が行われています。大学改革を推進していると文部省が判断する大学には、またさまざまな名称の傾斜配分予算があります。来年度予算を見ましても、大学院創造性開発推進経費は六十四億五千万円。学長裁量経費は、このところ上がりましたね、二百九億八千万円。実際、こういう予算で大学間格差が拡大しているという現場からの声も聞かれるわけであります。  私が伺いたいのは、先ほどの、国の予算の配分にも今後検討されるとなると、国の予算というと、まさに基盤的教育研究経費の積算校費ですね。この積算校費の大学分についても評価によって傾斜配分していくということまでを含んでいると、大変重大なことなんですけれども考えられるのでしょうか。
  73. 佐々木正峰

    佐々木政府参考人 本機構評価結果を参考資料の一部として予算配分をやっていく、どういう経費をその対象としていくか等につきましても、今後の機構の行う評価活動状況を見ながら検討していくべき事柄であるというふうに考えております。
  74. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 私は、今の局長の御答弁ですと、この積算校費も対象になり得るというふうに含めて考えざるを得ないのですけれども、いいのですか。
  75. 佐々木正峰

    佐々木政府参考人 現時点で当該経費を対象とするということを申し上げているわけではございませんで、本機構評価結果、評価活動の実情なども見ながら今後検討してまいりたいということでございます。
  76. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 積算校費は、大学の基礎的な教育研究を保障するものとして本当に大事なものであります。それが全然上がっていないという点で、今、大学は本当に困難をきわめているんですけれども、資源配分の対象とは絶対にすべきでないということは強く主張しておきたいと思います。  資源配分とのリンクという問題については、この第三者評価機関を設置するに当たって、大学関係者からは大変危惧されていたことだと思うのですね。国立大学協会がまとめた大学評価機関に関する大学長アンケートがございますけれども、その中でも、第三者評価の結果を資源配分に利用することは、現在の大学間格差を拡大、助長することになる、結果として競争的環境の形成を阻害するという意見が紹介されていますし、資源配分に結びつけることについてはその弊害の危惧を表明する回答が多かったというまとめがされているわけであります。  私は、この評価を資源配分とリンクさせないというのが国立大学のあるべき方向として考えなければいけないということを、文部省としてはやはりきちんと言うべきじゃないのかというふうに思うのですが、大臣、いかがですか。
  77. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、この機構の行う評価活動状況等を十分に勘案しつつ今後検討してまいりたい、そういうふうに思っております。
  78. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 私、このことを強調しますのは、大学評価は一九八〇年代にイギリスで始まったということでございますね。その背景というか、イギリスで始まったのは、やはり大学の補助金を削減するということが契機となって始まったと言われているのです。そして、研究評価があり、教育評価がありと。その結果、イギリスは高等教育制度を一元化して、結局大学間の序列化が今一層広がっているということが言われているわけですね。だから、大学評価に基づく傾斜配分というのはやはりそうならざるを得ないわけでしょう。そういうことがやはり日本でも起こってくるんじゃないかというふうに心配するのは、私は当然だと思うのです。  そういう点で、今回のこの第三者評価機関は、大学審議会答申の中間まとめでも述べられ、そして今回の法改正というふうになったかと思うのですが、この大学評価学位授与機構というのは文部省のもとに置かれる機関です。だから、この機関が、国立大学教育研究評価する、そして文部大臣に報告をする、それで文部省がその評価予算配分資料とするということになりますと、やはり大学自律性を揺るがすということは当然考えておかなくちゃいけない、あるいは学問の自由さえ侵しかねないという問題も考えておかなくてはいけないということになると思うのですね。  ですから、大学審の中間まとめに対しまして、大学基準協会が当時大変厳しい意見を表明されていたというふうに思うのです。つまり、官が評価目的に新たな行政上の事後監督システムを構築することは、大学の自律的本質、自治の根幹を制度的に保障した憲法の精神に大きく抵触するおそれがある、特にこうした機関による評価大学財政をコントロールする機能が抱き合わせになることは、大学の自律的な教育研究機関としての機能を根底から覆すことになるという意見がございましたね。こういう意見に対して、文部省はどういう見解をお持ちでしょうか。
  79. 佐々木正峰

    佐々木政府参考人 まず、大学評価学位授与機構の位置づけでございますが、文部省所轄の国の機関ではございますけれども大学共同利用機関と同様の位置づけの機関でございます。したがいまして、通常の国の行政機関とは異なり、その運営については、自主性が尊重される仕組みとなってございます。  具体的には、評議員会や運営委員会等が設けられ、その専門的な判断に基づいて運営されるというふうな特色を持って自主的に運営されるという機関の性格がまずございます。その機関においては、評価実施をする中枢的な機関でございます大学評価委員会委員には、幅広く適任者を選出し、評価の客観性を確保するとともに、評価の透明性を確保すべく、例えば評価委員であるとか、評価基準評価の結果報告等については公表をすることといたしておるわけでございます。  これらを通しまして、評価の透明性、客観性、専門性を確保し、かつまた、その結果は大学にフィードバックするわけでございます。そのフィードバックした結果を踏まえて、それぞれの大学が主体的に教育研究活動改善に結びつけていく、かようなものとして評価機関を運用するわけでございますので、文部省といたしましては、これを通して大学個性化多様化を進めることに寄与すると考えておるところでございます。
  80. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 そもそも教育研究第三者評価するというのは大変難しいということは、もう言うまでもないかと思うのですね。だから、教育分野研究分野というのは、今回でも専門家が評価するということが強調されているかとは思うのですけれども、しかし、どんなにすぐれた学者、研究者であっても、個々の研究への評価というのは本当に難しいんじゃないかというふうに、私はやはり思います。  例として挙げたいのですけれども、廣中平祐さん、山口大学学長でいらっしゃいます。特異点解消という理論を完成させたということで、数学のノーベル賞と言われるフィールズ賞を受賞されたわけですけれども、その研究過程では、世界的な数学者の中でさえ、無意味だ、役に立たないとずっと言われ続けたというわけですね。そのことをもって、廣中先生自身が、科学者の中で今大いに注目されているファジー理論についても、これは役に立たないだろうと評していたということを述べて、やはり人の研究評価することは難しいということを表明していらっしゃるわけであります。  私、またある学者に伺いましたら、やはり評価というのはどうしても過去の評価なんですよ。だって、実績評価でしょう。実績評価なんですよ。しかし、本当は未来と夢を評価してほしいと言われていました。皆さんも、今まさに、十年先、二十年先の日本が心配だと。大学の中からそういう若い人がどう育つかという話になっているわけです。やはり、芽がどう出るか、出始める研究があるのかないのか、そういう未来の開拓につながる研究を本当に評価する、そこが今求められているのではないかというふうに思うのです。  そういうことで、公正なとか、公平なとか、正当な評価とかいろいろ言われていると思いますけれども、やはりその評価自身が大変困難だ。それをもって、さらにその評価大学全体の評価と資源配分にリンクするということになったら、私はやはり問題は非常に大きいというふうに思うんですね。再度、大臣、いかがでしょうか。
  81. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 委員がおっしゃいますように、研究成果評価というのは非常に難しいとは私も思いますし、主に過去の実績、研究評価することになると思いますが、おっしゃるとおり、将来の未来性についてもやはり配慮しなければならないとも私は思っております。  今回のこの機構目的というものは、やはり一番の主眼というものは、大学の水準をより高めようということではないか、私はそういうふうにも思っておりまして、そういう意味で、各大学個性とか特色等を十分に配慮した上で評価を行い、そして当該大学にフィードバックをし、そしてその大学においては、それに基づいてまた改善を行っていただくということでございまして、そういう意味から、私どもは、自由な教育研究をさらに伸ばすためのものである、そういうふうに思っているところでございます。  評価については、先ほど申し上げましたように、幅広い委員の方々に参加をしていただいて、公正な評価ができるように、それは私どもの方も、我々の立場でそういう形になるように努力をしていきたいと思っております。
  82. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 出されている、機構だとか、専門委員を選ぶだとか、いろいろな問題があるかと思いますが、そういう意味では、大学関係者の慎重な意見をくみ上げてつくり上げられるのかなというふうに思いますけれども、しかし、本当にこの問題は難しいということをやはり深くお互いに自覚をして、安易に予算配分などにリンクさせていかないということについては、私は厳しく申し上げておきたいと思います。  最後にですけれども、今大臣おっしゃいましたように、本当に大学関係者を励ます、大体評価というのはそういうものだと思うのですが、そして自主的な、自律的な研究を本当にちゃんとできるように、そして将来の研究が生きていくようにということでしていかなくてはいけないと思うのです。やはりその点で、これも先ほども出ていましたが、日本高等教育の予算をやはりちゃんと確保する、これを何よりも国としてやってほしい、やらなくてはいけないことだというふうに思います。  実はこの点でも、もう私ども何度も取り上げてまいりましたけれども、国内だけの認識じゃなくて、世界的に日本大学は貧困過ぎるという指摘になっている、これはやはりちょっと恥ずかしい状態だというふうに思うんですね。  「ネーチャー」という有名な世界の科学誌がありますけれども、ことしの一月六日号で、アジア太平洋地区担当の編集長の論説という形で、日本の科学研究環境は劣悪だ、世界有数の経済大国というよりは第三世界並みだ、海外から来られた方は、劣悪な状況を目の当たりにしてあきれ果てると同時に、なぜ対策が実施されないのかと疑問を抱いて帰る、こういうのが載っているんです。  次の号にも載っている。具体的な事例としては、過去十年間で大学院生は二倍になったけれども研究室の延べ床面積は一〇%しかふえていない、だから研究室に詰め込まれているという話ですね。  私、それで具体的に伺いたいのですが、科学技術基本計画は来年度で五カ年の計画を終了することになりますけれども、この計画によっても、老朽・狭隘施設の解消というのは、目標の一割にも達していないわけです。日本学術会議も、この点では厳しい指摘、勧告を昨年十月に出されました。科学技術基本計画は新たな策定が行われると思うのですが、その際には、ぜひこの高等教育予算の抜本拡充と老朽・狭隘施設の解消を重点的に取り入れるということを私は求めたいと思いますが、その点での大臣の御決意を伺っておきたいと思います。
  83. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 委員がおっしゃいますように、日本大学研究環境、特に施設面においてはまだまだ十分ではなくて、これについては一層の改善、改良の努力をしていかなければならないと思っております。  また、お話にありましたように、我が国の大学教育への公財政支出の国内総生産比というものは他の先進諸国に比べて低いということは、先ほど委員の間での御審議にもあったとおりでありまして、これも一日も早く欧米並みにしていかなければならない、そういうふうに思っているところでございます。  また、大学の果たす役割は、日本が科学技術創造立国ということを掲げて発展を目指していく上では、申すまでもなく大変重要な役割を果たしているわけであります。  平成十二年度におきましては、文部省といたしましては、そういうことから、教育研究活性化など大学改革の推進、それから大学院教育研究高度化多様化、さらに国立大学等の施設の高度化多様化の推進、そして私学助成の充実等を図ることとしているところでございます。厳しい財政事情のもとではありますけれども、引き続いて、この研究条件の改善などに必要な予算の充実確保に努めていきたい、そういうふうに思っております。
  84. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 終わります。ありがとうございました。
  85. 鈴木恒夫

    鈴木委員長 次に、濱田健一君。
  86. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 今回の国立学校設置法の一部を改正する法律案、幾つかの眼目があると思うんです。まず最初に、今、国立大学大学院研究科というものがあるわけでございますが、そこに、教育部及び研究部というものを設置していくということが言われているわけでございます。  平成十二年の四月以降、九州大学と東京大学の二校から始めていこうとされておられるようでございますが、機能強化という意味で研究科教育部研究部という形に振り分けられる、その大きな意味合いというのはどこにあるのかということと、そのことが国民に対して、大学院研究教育という二つの側面がどういう形で発展をしていくことに期待がされるのか、その辺をまずお聞きしたいと思います。
  87. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 昨年五月の学校教育法の一部改正によりまして、大学教育研究上の目的を達成するために有益かつ適切である場合には研究科以外の基本組織を設けることができることとされたところでございますが、これを受けまして、今回の改正により、政令で定める国立大学大学院に、研究科にかえて、学生の所属する教育組織である教育部と、教官の所属する研究組織である研究部を設置することとしたところでございます。  このように、大学院の内部の組織編制として研究組織教育組織を分離することによりまして、研究面では日進月歩の学術研究進展に即応した組織編制ができるように、また教育面では学生教育ニーズに適切に対応した組織編制をそれぞれとることが可能となるようになる、そういうふうに思っております。  また、各大学が、それぞれの理念に即して最もふさわしい組織編制を大学院段階で取り入れていくことによりまして、近年の急速な学術研究進展による研究高度化への対応と、大学院における教育質的向上とがそれぞれ適切に推進されることを期待しているわけでございます。
  88. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 今大臣がおっしゃったとおりの眼目があると思うんですが、研究科という部分について、それを教育部研究部に分けるということは、それぞれの持つ機能を二つに分けて、お互いが相互作用の中で高まっていくということが期待されるわけですが、この場合、予算というのは、現時点の研究科に配分されるものよりも当然ふえていくというふうに考えてよろしいのでしょうか。
  89. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 組織的な分離について、今申し上げまして、これが予算と直接連動するものではない、そういうふうに思います。
  90. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 予算とは連動しないとなると、今一つ組織が二つに分かれて、そこで、先生たちや学生の皆さん方をバックアップする人的な配置も二つに分かれるわけですから、現在の財政の中では、きついですからそう多くは望めないと思うんですけれども、多少の人件費なりなんなりふえていくと思うんですが、そういうのは全く考えておられないというふうに理解していいんですか。
  91. 河村建夫

    河村政務次官 組織がこれによって拡大するという考え方には立っておりませんで、今の大学院あり方を、研究機能と人材養成の機能というものにある程度分けていこうという考え方です。  しかし、これを今後進めていく上で、さらに教授陣を充実しなければいかぬとかいろいろな問題が起きれば、当然それに備えて予算を増額していくということはあり得るというふうに考えております。
  92. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 わかりました。  ということは、施設設備面も含めて、現時点では、新しい年度にスタートするに当たっては、大きな改革ということではなくて、内部のいわゆる組織的な利便性や高まりの中で、今ある研究科というものを二つに分けることが、まずスタートとして大学院の質の高まりというものにつないでいけるんだ、そこからのスタートだというふうに理解しておいてよろしいわけですね。     〔委員長退席、奥山委員長代理着席〕
  93. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 それで結構だと思います。  今後、予算がふえていく場合に、それぞれの部といいますか、その実情に応じて配慮をしていくということになろうかと思います。
  94. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 ありがとうございました。  大学評価第三者評価システムをより強固な形で取り入れようという仕組みが、もう一つ、この設置法の改正案の中にございました。  第三者評価をする第三者というものが第三者としての機能をより発揮をしていく、非常に抽象的な言い方ですが、そのためには、システムである人的な配置というものを含めて、特にどういう部分において第三者性を発揮させるために工夫をすべきだというふうにお考えでしょうか。
  95. 河村建夫

    河村政務次官 この大学評価も、やはり人がやらなければいかぬことでありますから、第一義的にはどういう人を配置するかということが非常に大きなウエートを占めるであろうと思われます。  御案内のように、この新しい大学評価というのは、いわゆる大学共同利用機関という形でなってくるわけでありますから、大学関係者だけではなくて、あらゆる面からの有識者にこれに参加をしていただくということがどうしても必要になってくるわけであります。  そしてまた、同時に、どういう評価をするか。この評価そのものは、大学にももちろんフィードバックされるし、社会にも公開をされるわけでありますから、それにたえ得る評価でなければいかぬということで、そこで御指摘のように、極めて高い第三者性が求められるということになろうと思います。  したがって、当然、企業の視点というのも必要でしょうし、地域的なといいますか、いわゆる生涯学習の観点からの開かれた大学への視点とか、そういうものが当然評価になっていなければいけません。企業について言えば、この前新しくできました技術移転機関、TLOなんかへの配慮、そういうものがどういうふうにされているかということも、評価の視点になってくるであろうというふうに思います。  また、あわせて、今人のことを申し上げましたが、大学評価委員会人材をどう集めるかということでありますから、できるだけ大学関係者のウエートは抑えて、経済界等々、マスコミ界等もありましょう、そういう客観的なもので見られる方々のウエートを少し高めていくということも、一つ第三者性を高める上で非常に大きいものではないか。  さらにつけ加えれば、この評価機関そのものを改めて評価するということも考えていかなければいけないんではないか、自己点検とあわせて、改めてまた第三者評価機関に対する評価も求めていく、こういうことが必要になっていくんではないか、このように思います。
  96. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 今総括政務次官が言われましたとおりに、全学的なテーマもあり、この一つのひな形みたいなものを見ていますと、人文系だとか教育学系だとかいろいろな形であると思うんですが、やはり、その大学特色というものについてより集中的な評価をするという観点も物すごく大事だと私は思うんですよ。  例えば、私の出た鹿児島大学であると、地域性からいって、南方の医学の問題点というものを物すごく研究していて、そういう部分についての医学的な見地での対応をしていこうとしていますし、農学部であれば、南方の植物、果物等々についての研究をしていく、そういうことに対してのきちっとした評価のできる第三者というような位置づけ等々が大事になってくるし、そういうところの評価が、全体から見たときには非常に部分的な、基礎的な研究であるかもしれないけれども、実際上、先ほど石井委員から出た、過去の評価についても将来に向けての新たな付加価値のつく評価というものも出てくる。そういうところをやはり広く検討しながら、第三者評価をしていく人たちの配置というのも大事じゃないかというふうに思っております。  時間が来ましたので終わりますが、その辺、総括政務次官、一言だけ。     〔奥山委員長代理退席、委員長着席〕
  97. 河村建夫

    河村政務次官 御指摘のとおりだと思いますね。各大学はそれぞれ特色を出して研究し、また人材養成いたしておりますから、先ほど、未来に夢をという話がありましたが、今我々は次の時代のこういう研究もしているんだということもやはり評価の対象になっていくだろう、このように思います。
  98. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 終わります。ありがとうございました。
  99. 鈴木恒夫

    鈴木委員長 次に、小島敏男君。
  100. 小島敏男

    ○小島委員 自由民主党の小島敏男です。  いろいろと質問を聞いていまして、私自身も感じたことがありますので、質問をする前に少しお話をさせてもらいます。  しばらく前になりますけれども、外国の教育研究の方が日本を訪れまして、帰るときに言った言葉があります。日本という国の教育はわからない、あれほどすばらしい義務教育をしていながら、同じ生徒が高等学校大学に行くとどうして変わってしまうんだろうというような、残していった言葉がありますけれども、今高等教育が非常にそれで問題になり、何とかしなければならないということで、皆さんが大変に議論をしているわけであります。  今回出されている国立大学設置法の一部を改正する法律案、このことに対しては、先ほど来いろいろと議論がされたわけであります。第三者評価機関が必要であって、今後の運営、そしてその効果に大いに期待をしているわけであります。最初からベストというのはできないわけですから、ベターでもいいからこういう問題にともかく取り組んでいくということに対して、大きく期待をしているわけであります。  その場合に、いろいろと話を聞いておりますと、やはり問題点もあるなという点がございます。  いわゆる大学が出す自己点検評価結果及び関係資料の提出というのがありますけれども、この問題が大きくのしかかってきますと、大学の学長及び教授の仕事量がふえてくる。その仕事量がふえることがどういうことかというと、自分たちの大学評価ですから、やはり自己PR、このことに大変な時間を費やすということであって、これは余り煩雑な書式でなくて、もう少し大学の先生方が、ともかく朝から晩までこのことに時間を費やすというようなことがないようにしなければいけない。  それから、この評価結果が予算配分影響があってはという話が先ほど来ありましたけれども、私は、あって当然と、そういうことがなかったら競争原理も生まれませんし、自分たちが独自の開発をしながら、これだけ予算がかかるんだ、こういう事業をやっているんだということに対しての適正な評価があってしかるべきと私は思いますので、その辺を、初めての試みですけれども、やはり粛々と進めていただきたいというふうに思います。  それから、評価チームによる訪問調査とヒアリングというのがありますけれども、これも非常に難しい点であります。この辺にも十分注意をして、何人ぐらいの方を訪問させて、そしてヒアリングをするかということで、これは大学を訪れる人によってまちまちですから、その辺の統一的な見解というもの、考え方というものも全部やっておかないと、どうもあの先生が来るとおれたちはいいのだというようなことで、ああ来てよかったなんて、そんなことでは困りますから、ぜひ公平な訪問調査をしていただきたいというふうに思います。  それから、評価の結果の提供、公表ということであります。この辺も、全部公表するわけですから、その公表するときに、当たり前のことだったら公表することはないです。なぜ評価をするか。これはいい点と悪い点を明確にするからでしょう。それが、この学校もいい、あの学校もいいなんていうのだったら、やることはないですよ。何のために第三者評価をするかということをやはりよく考えなければいけないわけであります。都合のいいこと、悪いこと、それはあると思いますけれども、そういうことをしっかりとやる。  しかしながら、その公表の結果が大学の格差につながってはいけない。その大学の格差につながってはいけないということを、はっきりとやっておかなければいけないと思うのです。大学の設置してある場所というのが、都会にあるところだとか地方にあるところだとか、みんな環境が違うわけですから、その環境を一律に論じれば必ず格差が出てきますから、その辺については、格差が起きるようなことはしないような、そういう手だてもぜひ必要であろうと思います。  今のお話を聞きますと、やはり個性を重視しなさいということであります。大学というのは、教育研究社会貢献ということで、先ほど肥田委員の方では、そのことの社会貢献が行き過ぎてはということで、国立大学というのは税金を使っているのだ、だからそういうことが行き過ぎては困るということなのですけれども、何のために研究しているのか。やはりずっとたどってみると、これは社会貢献をするために研究というのは続けるわけです。  教育も大切ですよ。ただ、研究がそのまま書類でただ大学に置かれるということであれば、これはいけないのであって、税金を使っているのであれば、やはりその税金が正しく使われて、そして社会貢献ができるような、そういう研究結果の発表というのが私は必要だと思いますので、この辺も私の持論ですけれども、お話をしておきたいと思います。  それでは、時間がありませんから質問に、このまましゃべっておると質問にならなくなりますので、端的にお話をします。きょうは中曽根文部大臣はおられませんけれども、次期の大臣河村総括政務次官がおられますので、大いに答弁を期待しながら、これから質問をいたします。  この間、実は自由民主党では部会がありまして、いわゆる文教部会というのであります。大学の独立法人化等に向けて研究会を重ねているわけでありますけれども、この部会がずっと続けられておりますが、国立大学の学長さん、それから私立大学の学長さん、そういう方を順次呼びながら、御意見を聞きながら、自分たちがこう思っているということで意見交換をしているわけであります。そのとき、国立大学の学長さんが非常にショッキングなお話をされたので、そのことについて私はお伺いをしたいと思うのです。  これは、スイスのシンクタンクであるIMDの、国際競争力の調査というのが行われたのですけれども日本大学教育の水準というのが、主要四十七カ国中の最下位の四十五位だというのですね。これには大変にショックを受けたわけですけれども、この四十五位ということに対して、私たち議員は唖然として、だれもこのことについて質問ができなかった。ショックだったのですね。まさか四十七カ国中の、私は悪くても二十位ぐらいだろうと。二十位でも悪いのですけれども、四十五位というのは私は非常にショックだったのですけれども、これらの内容について、総括政務次官、知っていたらお知らせいただきたいと思います。
  101. 河村建夫

    河村政務次官 小島委員の方から、これからの評価機関に適切な御示唆をいただきました。十分踏まえて対応してまいりたいというふうに思っております。  今、日本大学評価が非常に低いというお話であります。  これについて、今御指摘のIMD、スイスのローザンヌに本拠を置く国際経営開発研究所というところがやったというものでございますが、これは、特に企業の活動をどのようにとらえて、いわゆるそれをバックアップする教育環境がどうかという観点から、企業の経営幹部にアンケートをしているわけですね。日本の主たる経営者あたりに、日本大学日本経済発展にどういう貢献をしていると思うかというような形での感じを聞いたわけであります。  そうしますと、それに対して日本の経営者が日本大学に対する評価を、余り期待していないという、もちろん期待はしているのでしょうが、ほかの国に比べて非常に低かった。今おっしゃったように、私もそういうことでいただきましたが、一番はフィンランドであります。しかしアメリカも、ではトップクラスかというと十一番、それからイギリスになりますと二十七位、日本は四十七分の四十五、最下位は韓国、こういうような結果が出ております。  これは、企業の経営者が日本教育に対する期待感をあらわしたものでありまして、ちょっと私も残念に思いますが、ただ、日本の企業というのは非常に企業内教育というのをやりますから、学生が参りますと、そこで今まで養成をしてきたという点が一つはあると私は思いますね。  もう一つは、日本大学教育の欠点だと思いますが、大学に入ることが目的化されていて、中で何を学んだかということが非常に評価が低いという面があります。企業側も学歴偏重的なところがある。そういうものがこういうところにあらわれているのではないかとは思います。  しかし、いずれにしても、世界に比べて、経営者もそういうふうに思っているということは、これは大きな問題であります。これをいかに高めるかということについては、これから大学改革という面で、まさにこの評価機関もその一つであります、みずからの大学をどう評価し、どういうふうに効果をあらわしていくかということをやっていかなければなりません。そういう視点でこれからの教育改革に取り組んでいかなければいけない、一つの大きな課題だ、このようにとらえております。
  102. 小島敏男

    ○小島委員 ありがとうございました。  いずれにしても、今政務次官がおっしゃったように、どういう調査にしても、四十七分の四十五というのはやはりおかしいということで、企業が評価をするにしても、やはり日本大学というものがそれなりの評価を得なければならないということでありますので、ぜひこれから頑張っていただきたいと思います。  それから、二〇〇九年からいわゆる大学全入になるということをおっしゃっていました。それから、学生が消費者だ、大学を選別する時代に入ってきたということが言われていました。それから、大学の統廃合も起こり得る問題である、こういう問題も指摘されました。そして、国立大学の学長さんみずからが、私たちの大学も護送船団方式、金融機関と変わらないと言うのですね。そういう親方日の丸的な考え方ということでありますと大変なことになりますので、これからは国立も公立も私学も、生徒が急減をするということで、存続をかけて熾烈な闘いが、競争が起きてくるということも予想されるわけであります。  そこで、今回の第三者機関による大学評価というのは我が国で初めての試みだということですけれども、私自身は、先ほど言ったように、大いに期待をしているわけですね。先ほど共産党の委員の方のお話がありましたけれども第三者評価機関というのはイギリスで八〇年代から始まったということでありますから、先進国の方ではそれなりの期間、走り出しているわけですね。動き出しているわけですから、その諸外国における第三者機関における評価機関、これはどのようになっているのか、そして我が国としてはそれをどのように評価しているのか、このことをお伺いします。
  103. 河村建夫

    河村政務次官 御質問にありましたように、イギリスでは一九八六年からイングランド高等教育財政カウンシルというところが始めました。これはいわゆる研究評価、それから教育評価、今我々も考えているような形はこれが一つのモデルになっているわけでありますが、そしてこの教育評価結果というものは、大学等社会に対して説明責任を持つのだという考え方に立ちますと同時に、資源配分にも当然活用される、こういうことでございます。  また、フランス、ドイツ、アメリカ等も既に行っておるわけでございまして、日本も、これから世界競争に太刀打ちできる大学をつくっていくためには、当然そうした先進諸国の評価制度というものを見習いながら、日本には日本に適した形で評価をやっていきたい、このように考えておるところでございます。
  104. 小島敏男

    ○小島委員 これは質問の通告に入ってなかったのですけれども、時間がちょっとあるということなので。  今、日本では憲法論議が、実は調査会ができて非常に活発に動き始めたわけですね。今の憲法というのは、ドイツのワイマール憲法を模したということも言われていて、アメリカがつくったということですけれども第三者機関をつくる場合の、いわゆる参考にしたのはどこですか。どこの国の第三者機関ですか。
  105. 河村建夫

    河村政務次官 日本で今考えている機関については、申し上げましたように、イギリスが非常に効果的にやっているということを基幹にしながら、アメリカ、ドイツ、フランス、いずれも行っておりますので、そういうあらゆる機関実施状況というものを参考にして今の法案を提出させていただいている、こういうことであります。  確実にこれだけを模倣した、こういうものではないということです。
  106. 小島敏男

    ○小島委員 どうもありがとうございました。  大変に注目をしていますし、高等教育の重要性というのはこれからますます社会の中で大きな役割を果たすわけですので、私自身は、この機関が正常に動きながら日本教育を本当にすばらしいものにしていくことになればということで、ぜひ総括政務次官には頑張って、文部省を初め各機関を叱咤激励してやっていただきたいということを申し上げまして、質問を終わります。  どうもありがとうございました。
  107. 鈴木恒夫

    鈴木委員長 次に、西博義君。
  108. 西博義

    ○西委員 公明党の西博義でございます。  国立学校設置法の一部改正案について、関連して御質問を申し上げたいと思います。  まず初めに、大学評価の中の説明責任のことについて御質問申し上げます。  今、行政機関すべてにわたって説明責任ということが問われておりまして、情報公開が求められておりますが、この大学評価制度もその意味では必要な制度である、このように思っております。しかも、第一義的には大学側がこの大学評価をより活用するということが期待されているわけですが、同時に、先ほどからも議論がありましたように、国民に対する説明という意味でも、これは大変大事な内容になってくるのではないか、こう思います。今国会、そういう意味でまた質疑を通して議論をしていきたい、こう思っております。  先月、学位授与機構大学評価機関準備委員会が「大学評価機関の創設について」という冊子を報告書の形でまとめました。その中に、大学評価基本的な考え方、先ほどもほかの委員からも若干紹介がありましたけれども、出ております。  現在、大学はそれぞれの大学自己点検評価を行っておりますけれども、それに加えて今回、第三者評価を導入する、こういうことになる理由として二点挙げておりまして、一つ評価結果を大学にフィードバックして教育研究改善に役立てる、これが大きな柱となっております。二つ目は、先ほども若干申し上げましたが、社会にわかりやすくこれを示すことによって国民の理解と支持を得る、これが二つ目の理由となっております。  そこでまず、この制度はだれに対する説明責任を負うことになるのかという基本的なことを確認させていただきたいと思います。  私はやはり、大学ももちろんのことですが、国民に対して説明する責任を負っているということが大変重いだろうと思っております。  国民の理解と支持を得られるような評価をするためには、ただ単なる専門用語を並べただけの評価、こういうことではだめだ。今までの自己点検評価を私も幾つか拝見いたしましたけれども、まず自分たちだけがわかるような難解な言葉で、しかも目標も余り明確でなく、当然、結果についても自分たちのやったことを発表しっ放し、こういうことがほとんどだろうというふうに思います。  海外の評価委員を入れたレベルの高い評価も若干ございますけれども、それはごくごく一部であって、評価に値しないという内容がかなり多かったように思います。  もちろん、これは自己点検評価ですから、当然まだまだ、これから第三者評価にかかってくるわけですが、そういう意味で、国民にわかりやすい大学評価をするということについて、どんな報告を考えておられるのか。また、単なる記述形式ではなくて、記述形式でもきちっと目標と結果とを本当にわかりやすく書いておられる、意識してこれは部外の人が見てもわかる内容にしているんだなというような報告書も若干ありますが、そんなことを考えておられるのか。それから、もしくは目標に対する達成度を、例えば五段階評価をするとか、そういうふうなことも考えられているのか。  いずれにしても、国民にわかるという意味で、どのように考えられているのか、お教えをいただきたいと思います。
  109. 河村建夫

    河村政務次官 御指摘のように、この第三者評価あり方がこれからの大学改革に大きくつながっていかなければならぬわけで、御案内のように、自己点検、自己評価については、もう平成十一年から国立大学については義務化をしております。そしてそういうものが出てきておるわけでございます。しかし、それはどうしても身内の評価でありますから甘くなる、こう思ってもやむを得ない点もあろうと思います。それに対しての第三者評価というものがあるわけでございます。  ただ、国民に対してわかりやすくということでありますが、これはやはりもうちょっと、国民といったって広いのでありますから、特に、今おっしゃったようにわかりやすい言葉でということで言えば、例えば受験生が見ても、自分が大学を今度選ぶときに、どういう大学がどういう評価を受けているかということが読んだときにわかるようなものでなければいかぬのではないか。それから企業側にとっても、どういう人を採用するかというときに、この大学はどういう人材をつくっているということがわかるような、そういう評価でなければいかぬだろう、こういうふうに思います。  ただ、それを五段階評価する、相対的な評価ということになりますと、心配される、例の大学のランクづけ等に利用されて、まさに週刊誌の話題にされてしまう懸念もございますので、そういうことは避けながら、やはり記述等についても国民にわかりやすくということを第一にしてやっていただきたい、このように考えております。
  110. 西博義

    ○西委員 大変わかりやすく御答弁いただきましてありがとうございます。  次に、研究成果に対する評価についてお尋ねを申し上げたいと思います。  研究評価については、学部、研究科、それから大学共同利用機関という組織評価の対象となる、こんなことが出ておりますが、つまり、ある一定の組織単位の評価ということになります。実際には、その組織単位の評価は、それぞれの研究成果評価することによって、当初の目的が達成されたのかということが評価されるように思うのです。ただ単に論文数が幾つかとかいうようなことだけではなかなか見えない部分が、きっと出てくるのであろう。研究内容についてもやはりある程度突っ込んでいくということが必要であろう、こう私自身は思っております。  そんなことを考えてみますと、先ほど御紹介した「大学評価機関の創設について」という先月の文書の中には、このように出ております。専門家による評価を中心とした評価を行い、学科、専攻レベルでの状況を明らかにしていく、その際、質を重視した評価を行うことが必要、こうあるわけですが、それぞれの研究内容、それぞれの個々の研究について、質的な評価をどのようにされるかということをお伺いしたいと思います。
  111. 河村建夫

    河村政務次官 西委員の御指摘の点は、いわゆる組織的な評価というものが今言われているわけでありますが、それをさらにその研究者個々の評価までおろしていくかどうかという問題かとも思います。これについてはなかなか、今回の研究評価の中にはそこまでは入っていないわけでありまして、個々の研究者評価については、やはり、その設置者であります大学、そして学長のもとで評価をしていく性格のものである。しかし、個々の研究が相まってそこの全体の研究機関研究につながっているということは間違いございません。  ただ、個人の研究については科研費の査定のときにはかなり厳しい評価をしておりますから、そういうところで評価を受けるということになっていくのではないか、このように考えておりますが。
  112. 西博義

    ○西委員 非常に微妙な話なんですが、個々の研究者の成果という、最終的にはそこに帰属するんですが、集団で何人かのチームを組んで研究するとか、そういうケースもいろいろあります。例えば、ある何々学科の成果ということになりますと、その一つ一つ、その学科の人たちが発表した論文なら論文のそれぞれの意味といいますか、それぞれの価値といいますか、そういうものが所期の目的を達した内容になっているのかということ、何らかの形でやはり質的なものも評価しないと、十本出たからこれでオーケーよと、こういうことには必ずしもならないんではないかという、個人的な側面じゃなくて、論文の中身の側面を若干指摘をさせていただきました。  続いて、先ほど石井委員からも、成果だけではなく未来に夢をという話が出ておりました。今のこの法案では、組織を単位とした評価を行う、これはもうよくわかるんですが、先ほどの私の質問にも関連するんですが、将来、研究者個人の研究評価ということも視野に入れているのかということの一端としてちょっとお伺いしたいんです。  最近ベストセラーになっております「リアル・クローン」という本、これは作者は若山三千彦さんという方で、実は日本の若い研究者の方のお兄さんなんですが、そのお兄さんが書かれた本です。画期的なクローン技術を開発された研究者の話として物語は進んでいくんですが、この科学の世界で有名な「ネーチャー」への研究論文の投稿をめぐって、厳正と思われる一流誌の審査の過程で、論文を発表する前に情報が流れてしまって大変苦労した、こういう話が事件として載っております。最先端の研究分野にいる研究者が置かれている大変熾烈な、一日一刻を争うその競争の状況が出ておりました。  そこで、仮に研究者個人の研究評価するということになりますと、その調査の過程で、例えば専門の委員があちこちの大学を回って評価をしていく。でき上がった論文の評価ですといいんですけれども、どうしても個人のことになってくると、夢を語り、先のことということに、僕はここまでできたんだということで未発表の部分まで踏み込んでいきますと、専門家同士ですから、大変微妙な関係が出てくるんではないかというふうに思います。  そんな意味で、不利益をこうむった場合はどうするのかとか、非常にそんなことが問題となってくると思うんですが、先ほど若干答弁もいただきましたが、そういう意味では、個人の研究に対する研究評価ということについては、これは非常に微妙な問題があるということを提起させていただいて、御答弁をお願いしたいと思います。
  113. 河村建夫

    河村政務次官 西委員指摘の微妙な問題が確かにあると思います。ただ、個人の評価の問題については、科学技術会議政策委員会においても、やはり研究者個人の研究評価あり方も含む議論も行われておりますから、そういうものもしんしゃくして今後の検討材料にしていかなければいかぬ、対応していかなければいかぬと思っております。  今のクローン技術の問題も、御指摘がございましたが、あのヒトゲノムの解析についても熾烈な競争があるわけであります。したがいまして、将来の夢を与えるようなといったって、それがどのようにすぐに先取りされるかわからない競争の中にありますから、評価をする場合の扱いというものは、そこのところには十分配慮をして、当然組織評価する中には個人のそうした評価も入ってくるであろうと思いますので、今の御指摘の点は十分配慮した上での評価でなければいかぬ、私はこのように、同感の思いで聞いておりました。
  114. 西博義

    ○西委員 最後の質問になりました。意見の申し立てについてちょっと確認をしておきたいと思います。  大学評価委員会が行った評価結果については、この評価結果を確定する前に一度大学に通知をする、こういう結果になりましたということを事前に通知するというシステムができているとお伺いしました。  それで、大学評価委員会が行った評価に対して、大学側から異論がある場合には意見の申し立てを行うことができる。それで、お互い、両者が相談して意見を調整をするといいますか、意見を述べ合った上で内容についての結論を出す、こういうことをお伺いしましたが、この大学評価委員会大学側との間の意見がどうしても対立して埋まらないということもあるかと思うんです。そんなときには、大学の側の意見もやはり付して、ある程度の客観性といいますか、公平性というものを保つということについて、政務次官のお考えをお伺いをしておきたいと思います。
  115. 河村建夫

    河村政務次官 西委員の御指摘のとおり、申し立ての機会を与え、一方的に言って、もうそれでおしまいということには絶対ならないように、そして両者でじっくり話し合ってもらうことは当然でありますが、と同時に、どうしてもその評価報告書を出す最後の段階で意見がまとまらないという場合には、両論併記方式をとるということで透明性を確保していこう、こういうことにいたしております
  116. 西博義

    ○西委員 ありがとうございました。
  117. 鈴木恒夫

    鈴木委員長 次に、松浪健四郎君。
  118. 松浪健四郎

    ○松浪委員 自由党の松浪健四郎でございます。  内閣提出第三六号、国立学校設置法の一部を改正する法律案について審議されておるわけでございますけれども、この法案の一番の問題、これは何と申しましても、今までずっと審議されてきましたように、やはり大学評価の点であろうか、こういうふうに思います。我が党にありましても、この問題については何時間もかけて議論をさせていただきました。そして、建学の精神を重視する私立学校にありましては当分の間評価をしない、そしてまた、専門の評価する委員の先生方の再任をできるだけ防ぐような要望を出させていただいたところであります。  そこで、大学というのは、深遠な真理を探求する場であると同時に、つまり学問の府、研究の府である。そしてまた、人格形成の府でもあります。加えて、文化を伝承する、伝達する府であると私は思います。そこで、評価というものは、いろいろな視点から多様性に富んだ形でしていかなければならないというのは多言をまつまでもございませんけれども、私は、文部省はそれなりに今までいろいろなことを工夫しながらやってきた、こういうふうに思うものであります。  その一つを勉強している中で大変な事故が起こりました。そこで、その事故について若干お尋ねをしたい、こういうふうに思っておるわけでございます。  新聞報道で既に御案内のように、文部省主催の平成十一年度大学山岳部リーダー冬山研修会が行われ、五日の午前十一時二十五分、事故がそこで起こりました。これは、文部省にとりましては大変なショッキングな話であります。大学が文化の伝承、伝達の場あるいは人格形成の場という意味からすれば、やはり教科外活動、サークル・クラブ活動等、これらも評価をしなければならないし、またこれらを活発化させる、これは大きな意味を持つものである、こういうふうに私は考えておりまして、文部省はそれを援助するというような形で登山研修所をつくられ、そして、このような研修会を年に三回開催されておる、こういうふうにお聞きしておるわけであります。  そして今回、この研修会には三十二名の学生が参加されました。その内訳は、国立大学十六名、公立大学三名、私立大学十三名。実に半数の学生国立大学学生でありました。そして、参加した大学は二十二大学に上りまして、その半数も国立大学でありました。その意味からしまして、登山であるとかワンダーフォーゲル、このように山に取り組み、またその活動を盛んに国立大学学生諸君がやられているということがよくわかるわけであります。  この研修会に参加しようと思いますと、非常に厳しいルールがあります。研修会の開催要項をよく読んでみますと、非常に厳しいもので、初めて登山を志す者が参加するというようなものではございませんで、この要項には、持参すべき物はこういう物だというふうに、逐一細かく指定をされておりますし、大学長の許可がなければ参加できない、また、二年生以上のリーダーあるいはリーダー候補生でなければ参加できないというふうに、厳しい規制があり、しかも書類を提出したから参加できるというものではなくて、登山研修所で書類選考した上、研修に参加することを許可するというような形になっております。したがいまして、三十二名の学生について、私は、参加するに何らの問題はなかった、こういうふうにとらえております。  それが大変な遭難事故になったわけでございまして、文部省は強いショックを受けました。  どの程度のショックかと申しますと、もう文部省自体もかなりうろたえておりまして、翌日の十二時に作成しましたレポートでは、遭難した、つまり雪庇から転落した人数は、学生六名とそれから講師一名の七名という発表であります。ところが、翌七日の九時三十分の発表では、転落したのは九名だという発表であります。発表するたびに転落した人間の数が異なるぐらい、とにかくろうばいしておったということを私は想像することができるわけであります。  そこで、翌日も天気が悪かった、そしてきのうも天気が悪かった、本当に一生懸命文部省が中心になって捜索活動をやられているのかどうか、そのことについて、今の現状をお尋ねしたいと思います。
  119. 河村建夫

    河村政務次官 御答弁申し上げる前に、登山事故防止を第一の目的として設置されております登山研修所の研修において、このような遭難事故が起き、富山県の県警を初め関係者皆様方の懸命の捜索努力にもかかわりませず、まだ行方不明者を発見できない状況にあること、大変苦渋の思いでおるところでございます。御家族のお気持ちも拝察し、一刻も早く生存のままで発見される、これを心から念願いたしておるところでございます。  現況どうなっているか、こういうことでございます。今御説明いただきましたように、大日岳山頂付近で実技研修に参加していた学生のうちの九名、講師二名が、雪庇の崩壊によって転落した。そのうちの二名が行方不明になっておる、学生二名でございます。ビーコン、発信機をつけておるようでありますから、大体千メーターぐらい滑落して、そのあたりにいるということはわかっておるようでありますが、こういう気候状況でございまして、なかなか直接入れないという状況でございます。  極めて捜索は難航しておりますが、文部省としても、状況改善し次第、警察と協力をいたしまして、全力を挙げて捜索活動に邁進をしておる、このような状況下にあるわけでございます。
  120. 松浪健四郎

    ○松浪委員 とにかく、御家族の心痛、我々は十分にお察し申し上げることができるわけでございまして、一刻も早く救出されますよう、心からお願いをしておきたいと思います。  リーダーになる者、リーダー候補生やリーダーがこの研修会に参加しておったわけでございまして、とにかく、冬山ですから雪崩が怖い。雪崩については十分な知識を持たなければいけない。参加するには、事前に書物から雪崩についての知識を十分に積んで参加してほしいということも要項に書かれてあります。そして、実際、研修会におきましては、実は五時間以上の理論と実技を、雪崩事故あるいはこういう事故に遭ったときにはどのような形で対応していくかというようなことについて研修を受けてあります。ところが、そこには雪庇ということが出てこない。  そこで、雪庇あるいは雪庇事故等についてこの研修会の中で教えていたのか、講習していたのかということをちょっとお尋ねしたいと思います。
  121. 河村建夫

    河村政務次官 雪庇は、委員の方が詳しいのでありますが、山の稜線の風下に張り出す雪のひさしと言われております。大変大きなものになると、山の稜線かどうかもわからなくなるぐらいなもので、専門家でも非常に見分けも難しいと言われております。  そこで、今回の冬山の研修会では、研修の初日の講義の中で、雪崩の危険判別法について、そして、雪崩の危険性を指導する際に雪庇の危険性についても指導が行われたというふうに聞いております。さらに、研修三日目以降の大日岳における実技研修においても、行方不明者が属する第二班では、雪庇の視認とか説明などの指導を実施したとは聞いております。  しかし、事故が生じた頂上付近において、その時点で雪庇の指導を行っていたかどうかということはまだはっきりいたしておりません。その点については十分調査をしてまいりたいというふうに思っております。
  122. 松浪健四郎

    ○松浪委員 とにかく、冬山というのは厳しいわけであります。新聞報道によりますと、二月九日以降、連日雪崩注意報が富山県内の山岳部に出されておったという報道があります。そして、当日、ガスがかかっておった。厳しい天候下にあったのではないのか、こういうふうに私は想像しているわけでありますけれども、とにかく、この研修会の講師陣は超一流、超ベテランをそろえておりました。しかも、研修所ができて三十四年目で初の大事故である。百回近い研修会をおおむね無事故でずっとやってきたという実績があるわけですけれども、もしかしたら、そのようなベテランばかりがそろっているから、気の緩みというようなものがあったのかどうか。これは、後日、事故の究明を、分析をしていただかなければならないことだというふうに思っているわけでございます。  とにかく、冬山の研修には安全への配慮というものは不可欠であります。今回の冬山研修会の実施における安全への配慮及び今後の安全面への取り組みについて、文部省はどのように考えているのか、お尋ねしたいと思います。
  123. 河村建夫

    河村政務次官 松浪委員指摘のように、冬山登山においては、研修も含めてでありますが、まさに天候の急変、雪崩等の発生が予想されるわけであります。これまでもいろいろな一般の事故は起きておるわけでありますが、特に研修で起きたというのは今回初めてでございまして、安全に対して最大の注意を払った研修でこういうことが起きたということは、非常に残念に思っておるわけでございます。  今回の研修現場の大日岳周辺は、冬山における登山技術を研修するための比較的安全なコースの認定が可能であると言われておりまして、研修を開始した昭和四十二年以来、ずっと会場としてここを使われてきておるわけでございます。また、研修会の講師は、日本山岳会の会員など、冬山に関する経験の深い指導者、御指摘のように大ベテランの皆さんが万全を期して行っておるわけでありますが、残念でありますが、結果的にこのような事故が起きたということでございます。  文部省といたしましては、まずは行方不明者の発見に全力を尽くすということが第一義でございます。そして同時に、なぜこういうことになったのかという徹底した原因の究明をいたしまして、これからの大きな反省材料にしなければならぬわけでございますし、もし、研修内容方法に万一問題があったということでありましたら、これも正していかなければいかぬ。今後の大きな課題といいますか、一つの反省材料にしてこれを今後役立たせていかなければいけない、そういうことになろうと思います。  何はさておいて、まず行方不明者が早く見つかることを願うばかりの心境でございます。
  124. 松浪健四郎

    ○松浪委員 登山研修所は全員に電波発信機を持たせたり、いろいろな形で万全を期しておったということは十分に理解しておりますけれども、とにかく、この二人の救出のために可能な限りの手段を尽くして、一日も早く救出できるように最大の努力をお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  125. 鈴木恒夫

    鈴木委員長 次回は、来る十日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時三十一分散会