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2000-05-10 第147回国会 衆議院 農林水産委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年五月十日(水曜日)     午前十時二分開議  出席委員    委員長 松岡 利勝君    理事 金田 英行君 理事 岸本 光造君    理事 松下 忠洋君 理事 宮本 一三君    理事 小平 忠正君 理事 鉢呂 吉雄君    理事 宮地 正介君 理事 藤田 スミ君       赤城 徳彦君    麻生 太郎君       伊藤 達也君    稲葉 大和君       今村 雅弘君    大石 秀政君       木村 太郎君    木村 隆秀君       北村 直人君    熊谷 市雄君       栗原 博久君    塩谷  立君       園田 修光君    野呂田芳成君       二田 孝治君    御法川英文君       矢上 雅義君    谷津 義男君       安住  淳君    石橋 大吉君       大石 正光君    河村たかし君       木幡 弘道君    佐藤謙一郎君       石井 啓一君    漆原 良夫君       中林よし子君    井上 喜一君       加藤 六月君    一川 保夫君       菅原喜重郎君    菊地  董君     …………………………………    農林水産大臣       玉沢徳一郎君    農林水産政務次官     谷津 義男君    政府参考人    (農林水産省畜産局長)  樋口 久俊君    政府参考人    (農林水産省食品流通局長    )            福島啓史郎君    農林水産委員会専門員   外山 文雄君     ————————————— 委員の異動 五月十日  辞任         補欠選任   河井 克行君     木村 隆秀君   木部 佳昭君     大石 秀政君   野呂田芳成君     伊藤 達也君   安住  淳君     河村たかし君   長内 順一君     石井 啓一君   佐々木洋平君     菅原喜重郎君 同日  辞任         補欠選任   伊藤 達也君     野呂田芳成君   大石 秀政君     木部 佳昭君   木村 隆秀君     河井 克行君   河村たかし君     安住  淳君   石井 啓一君     長内 順一君   菅原喜重郎君     佐々木洋平君     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  食品流通構造改善促進法の一部を改正する法律案内閣提出第四六号)(参議院送付)     午前十時二分開議      ————◇—————
  2. 松岡利勝

    松岡委員長 これより会議を開きます。  内閣提出参議院送付食品流通構造改善促進法の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、お諮りいたします。  本案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省畜産局長樋口久俊君及び農林水産省食品流通局長福島啓史郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 松岡利勝

    松岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 松岡利勝

    松岡委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。矢上雅義君。
  5. 矢上雅義

    矢上委員 自由民主党矢上雅義でございます。  本日は、ちょっと本題と離れますが、当委員会にとりまして極めて関係のある問題についてお尋ねいたします。  先般来、マスコミで報道され、国会におきましても民主党議員から何度も取り上げられている問題で、林野庁所管公益法人林野弘済会の問題でございます。問題の中身は、平成八年の閣議決定に反しまして株を持ったということでございます。  このことをまた林野弘済会にいろいろお聞きしましたところ、閣議決定後、それに違反して新たに株を持たれたのが二件ございます。そのうちの一件である秋田県の玉川温泉に関する件につきましては、民主党羽田幹事長の十年以上にわたる玉川温泉開発に対する強力な働きかけがあり、このような中で、林野弘済会として出資を行い、開発に参加することとなったというお話を伺っております。  林野庁状況を確認いたしますと、昭和六十年、当時の自民党政調農林部会の岩倉氏を伴って秋田を訪れた際に、当時の秋田営林局長が両氏を現地に案内したとのことであり、それから、内容はいろいろございますが、再三再四強い働きかけがありまして、結果として、林野弘済会が受け皿となって、出資を行い、株を取得したという経過があると、私どもの調査で確認いたしております。  ただ、林野庁長官はまだおいででないですよね。
  6. 松岡利勝

    松岡委員長 林野庁長官は、きょうの参考人としての決議に、矢上先生の要請に載っておりませんので、きょうは参っておりません。  したがって、矢上先生、きょうは林野庁長官答弁はできませんので、そのようなことでお願いしたいと思います。
  7. 矢上雅義

    矢上委員 それでは、答弁ができないということでございますので、私としましては、二件ある株取得の問題のうち一件が、総理大臣農林大臣を務められた羽田孜先生が強力に働きかけて行われたのではないかという事実が調査の中で明らかになっております。政官業の癒着ということで、羽田幹事長自由民主党に対して相当な攻撃をされておりますが、果たして、御自身政治的立場をお考えになった場合に、私は、この委員会の場で、参考人として公の場で事情を説明していただければ、それが政治家の務めだと思っております。  今回、私の手違いで、林野庁長官をお呼びすることができませんでしたが、委員長にお願いいたしまして、どうかいま一度、農林水産委員会の場でこの件を御質疑いただければありがたいと思っております。
  8. 松岡利勝

    松岡委員長 ただいまの矢上雅義君の、参考人を含む申し入れに対しましては、理事会で協議をして、整理をしてまいりたいと思います。
  9. 矢上雅義

    矢上委員 続きまして、本題でございます、今回の食品流通構造改善促進法改正におきましては、前回、食料農業農村基本法によりまして、平成二十二年までに食料自給率を四五%まで高めるということで設定されておりますが、今回の食品産業農業との連携強化におきまして、金融、税制上のてこ入れをすることになっております。さらには予算上のてこ入れも必要と考えておりますが、今後の予算上のてこ入れにつきまして、農水省のお考えをお聞きいたしたいと思います。
  10. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 質問の御趣旨は、これによって自給率が上がるか、こういうことでございますが、今回の基本計画におきましては、基本法に基づきまして、食料農業農村基本計画といたしておるわけでございます。食料自給率向上せしめていくためには、生産者努力ばかりではなくして、その生産したものをいろいろ加工して消費者の皆さんに提供し、そして、これを大いに消費していただくことによりまして自給率向上していく、こういう趣旨が込められておるわけでございます。  近年の食料消費を見ますと、総菜等加工食品が家計の食料費の半分以上を占め、その地位が高まる傾向にあります。このような状況のもとで食料自給率向上を図るためには、消費者食品産業ニーズに的確に対応した農林水産物生産推進していくことが不可欠であると存じます。そういうことで、審議いただいております法案は、食品産業農林漁業との連携等推進するものでありまして、食料自給率向上という基本計画の課題にこたえるものと考えておるところでございます。  さらに、この法改正によって、予算上の措置も必要ではないか、こういう委員の御質問でございますので、これは、当然のこととしまして、食品産業農業との連携強化のための施策におきまして予算を確保して、これを充実していきたいと考えておるところでございます。
  11. 矢上雅義

    矢上委員 今の大臣のお答え、まさしくそのとおりでございます。今後とも、農産物付加価値を高め、また、国民に安心、安全な農産物を提供するための食品産業重要性理解していただきまして、御支援のほどよろしくお願いいたします。  以上をもちまして、質問とさせていただきます。  ありがとうございました。
  12. 松岡利勝

    松岡委員長 次に、佐藤謙一郎君。
  13. 佐藤謙一郎

    佐藤(謙)委員 民主党佐藤謙一郎でございます。  きょうは、食品流通構造改善促進法の一部を改正する法律案につきまして、最初に質問させていただきたいと思います。  私、幾つかの法律に接するときに、この法律関係方々がどういうふうに感じ取っておられるかをいつも聞いて回るんですけれども、残念ながら、この法律は非常に評判が悪い。毒にも薬にもならない法律とか、あってもなくてもいい法律ということで酷評する方もおられて、どうしてなんだろうなと。  確かに、本法平成三年に成立、そして施行されたわけでありますけれども、その目的には「食品流通部門構造改善を促進するための措置を講ずることにより、食品に係る流通機構合理化流通機能高度化を図り、あわせて一般消費者利益の増進と農林漁業の振興に資する」、なかなかしっかりとした目的ではないかというふうに私は思って見ているわけですけれども、実は、この趣旨目的というよりも、やはりその運用がどうも実態とかけ離れているのではないか。  まず冒頭、御質問させていただきますけれども、例えば基本的な四事業というのがあるわけです。食品生産販売提携事業卸売市場機能高度化事業食品販売業近代化事業及び食品商業集積施設整備事業と四つあるわけですけれども、専ら活用されているのは食品生産販売にかかわる事業で、本来の目的である食品流通部門については、卸売高度化事業認定四件、融資額で二億円、あるいは食品商業整備事業認定二件、融資額四億円と、極端に少ないわけです。  こうした実績を見ていると、本当にこの制度自体機能しているんだろうか、不必要ではないか、そうした極端な意見まで私は聞いておりますけれども、そうした考えに対して大臣はどういうふうにお考えか、そしてまた、今回改正するに当たって、これまでの制度が果たしてきた役割というものを一体どういうふうに評価されているのか、その二点について御質問をさせていただきます。
  14. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 まず実績から申し上げていきたいと思います。平成三年に本法が制定されて以来、食品生産販売提携事業中心に、これまで二百八十九件の構造改善事業が行われ、これによりまして、農林漁業者に対しましては農林水産物の安定的な販路の確保、消費者に対しましては高鮮度、高品質な食品の効率的な供給、食品販売業者に対しましては食品販売業近代化事業による店舗の近代化等が図られ、食品流通構造改善推進に大きな役割を果たしてきたものと評価いたしておるところでございます。
  15. 佐藤謙一郎

    佐藤(謙)委員 これはもう見解が違うわけですけれども、いろいろな方々お話を聞くと、どうも十分機能していない、先ほどの数字にもあるわけです。もともと食品製造販売業者の多くが中小零細企業で、融資事業などについても、多くが中小企業庁などの施策と重なっているためにどうも積極的な利用に結びつかなかったということを言う方がおられます。いろいろな制度の中で、この法律をさらに前進させていくというのは大変努力の要ることではないかというふうに思うわけです。  これは、生産分野に圧倒的に農水省影響力を持っているわけですけれども、どうも、今まで影響力が弱かった食品流通分野に特化して権限の拡大に乗り出した、省益が先に行って、実態というものが後からついてこなかったというふうに見るべきではないかと思うわけです。  今、多くの成果があったと言われているわけですけれども、実際に利用する側にとってみては、必ずしもそういう評価が得られていないというふうに思っておりますが、その辺について大臣の御見解を。
  16. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 本法平成三年に制定された当初におきましては、ともすればバブル崩壊後の、投資意欲が減退しておった、こういうことも影響がありまして、利用実績が低迷しておったと考えております。  しかしながら、その後、生産者販売業者提携をねらいとする食品生産販売提携事業の増加を皮切りに、各事業へのニーズが出始めまして、中小食品販売業者間の利害調整等に時間を要する食品商業集積施設整備事業につきましては、本年六月一日をもって大店法を廃止し、これは立地法に変わるわけでございますけれども、そういう情勢を控えまして、現在、この取り組みが広がっているというのが現状でございます。  また、卸売市場機能高度化事業につきましては、昨年、卸売市場法等改正を行いまして、卸売業者仲卸業者営業権の譲り受けによる経営規模拡大等支援措置を講じたところでございます。また、今回の法改正により固定資産税軽減措置が講ぜられることとされたところから、これを受けて、今後は活発に利用されるものと考えておるわけでございまして、これからの取り組みが非常に大事になってくるというふうに考えておるところでございます。
  17. 佐藤謙一郎

    佐藤(謙)委員 今の御説明は承っておきますけれども、私は、この法律がなかなか機能していかない、もちろん経済情勢もあるわけですけれども、農林漁業金融公庫あり方ということにも触れないわけにはいかないと思うんですね。  この公庫そのものはもともとどういうことで創設されたかというと、一般金融機関融資困難な農林漁業者に対する長期低利融資制度としてできてきたわけですが、この創設に対しては、一般金融機関政府系金融とのすみ分けが前提となっているはずなんですね。ところが、だんだん生産者への融資が減り始めてきて、公庫自体存在意義が今問われるようになってきた、慌てて新しい貸出先製造加工流通業をつくり出して、そのためにでき上がった法律本法ではないかというふうに言われているわけであります。  きのう取り寄せております農林漁業金融公庫貸付金額の推移というのがありますが、これを見ていても、平成元年度、農林漁業加工流通に対して、そのパーセンテージが九一・三%対八・七%、つまり、農林漁業が九一・三%、加工流通が八・七%だったのが、平成十年度では、農林漁業六〇・八%、実に三十数%落ちて、加工流通が三九・二%に上がっているわけです。  こうしたことから考えると、そもそも農林漁業金融公庫あり方そのものをやはり我々はここできっちりと議論をして、時代に合ったものにしていかなければいけない。場合によっては、融資先生産者からのニーズがもしも減っているということであるならば、公庫そのもの規模を縮小しなければいけないかもしれませんし、あるいは、昨年できた基本法で、まだまだ公庫が果たさなければいけない別の分野、例えば、意欲的な生産法人環境保全型農業を目指す人々に対する対応とか、間伐などの森林保全を通じた雇用創出とかいろいろとあるわけなんです。その辺をあいまいにして、気がついてみたら農林漁業生産者から加工流通へ移行しているという行き方というのには、やはり多くの批判が集まってくるのではないかと思いますが、その辺についてはどういうお考えでしょうか。
  18. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 私の考えは、食品関係に対して四〇%も出ておるということは、よりこれは積極的な評価をした方がよろしいのではないかと思います。  と申しますのは、生産を行いまして、原材料をいろいろな形で食品産業でこなしまして、できるだけ多くの消費者消費をしていただく、こういう努力が今後、自給率を上げる最大のポイントになるのじゃないか、こう思うわけでございます。  食材の三分の二が国産材である、こういうことを考えますと、いろいろな、例えばレトルト食品とか、そういうものもたくさんつくっていく。農林省の入り口のところにも、御飯を中心とした食品を展示しておるわけでございますけれども、いろいろな形で食べていただくというような、つまり、食品産業可能性というものを進めていくということにおいて、この法律を大いに活用していただく必要がある。農林漁業金融公庫におきましても、それに対応しながらやっていく、こういうことが大事ではないかと思うわけでございます。  また、林業の問題等におきましては、一番今、行わなきゃなりませんことが間伐事業でございます。間伐をしませんと、今後、森林の有効な活用というものができない。そういう観点からいいまして、四百七十数億の間伐予算もやっておるわけでございます。  問題は、間伐をされた木材が有効に利用されていない。原材料のままで使うというのはなかなか困難でありますから、これをいろいろな加工、つまり、間伐材加工していろいろな用途に使っていくということをもっと積極的にやらなければ、せっかく間伐した木材が半分以上使われていないというような状況でございますから、こういうことに対しても、積極的に金融機関の果たす役割というものを認めていく必要があるのではないか、こういうように考えるわけであります。
  19. 佐藤謙一郎

    佐藤(謙)委員 農林漁業金融公庫創設趣旨をあいまいなままにして、加工流通にシフトしていっていいじゃないかという御意見でありますけれども、だとすれば、ここで質が問われてくると思うのです。  中小零細製造加工流通業者にまで枠を広げる。実態はどうかというと、これは大企業にまさに融資先を広げているわけです。例えば、食品生産販売提携事業は、その三七・二%が大企業向け融資、こんなことでは、民間とのすみ分けどころか、民業圧迫そのものじゃないか、そういう批判が今満ち満ちているということについてはどうお考えですか。
  20. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 大企業農林水産業にかかわっておるわけでございますから、これを全部否定する必要はないと思います。  三〇%という委員の御指摘でございますが、内容は私もまだ全部つまびらかにしているわけではございませんが、しかし、七〇%はそれ以外のところに融資されている、こういうことでございますから、大体バランスがとれているんじゃないかな、こう思います。
  21. 佐藤謙一郎

    佐藤(謙)委員 さっきの数字は三七・二%ですから、かなり大企業に比重がいっていると思うのですね。  実は、今度の改正案というのは、その一つに、農林漁業者あるいは中小零細業者が大企業にのみ込まれていってしまうのではないかという不安があるということを前提とした議論をしないと、大企業だっていいじゃないか、三七・二%、それは使って大いに結構、そういう議論の延長からは何物も生み出されてこないだろうというふうに私は心配するところであります。  その議論を後に二、三控えさせていただきますが、そこで、私が次に議論を進めたいのは、食品流通構造改善機構についてでございます。  この食品流通構造改善機構自身は、食品流通構造改善民間サイドから支援するための組織として平成三年にできたわけですけれども、我が国の農産物価格が割高と言われている原因として、まさに流通部門における中間流通コストが高くついていることが指摘されているわけです。  このまま食品流通構造改善というものを図っていこうとするならば、まさにこの部分にメスを入れていくことが必要だというふうに思えるわけです。残念ながら、この食品流通構造改善機構は、その構成からいって、会長が農林水産省OB、そして理事五十一人も、農水省の天下りの方や業界代表者ばかりと。  せっかく、昨年の基本法消費者視点というのが強調されてきたわけであります。平成十年の農政改革大綱でも、消費者視点を重視した食料政策の構築ということが言われておりましたし、それから、基本法考え方の中にも、消費を起点とした流通への転換ということが声高に叫ばれているときに、まさにこの機構そのもの農水省業界との利益を守る場として機能をしていて、消費者視点というものが一体どこにあるのかということが問われているんだろうと思います。  特に、こうした食品産業というものをこれからさらに充実発展させていくということで、農業との連携というのはよいことだと思いますけれども、消費者というのを本法改正案ではどのように位置づけようとしているのか、バランスが本当にとれるのだろうかということを懸念しているわけであります。この機構についてを含めて、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  22. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 食料農業農村基本法におきましては、生産だけを重視するのではなくして、消費者あるいはユーザーの立場十分理解をし、またその積極的な協力といいますか、理解といいますか、こういうことも得ながら進めていかなければ、やはり真の意味での生産あるいは自給率向上せしめることはなかなか困難である、こう思うわけでございます。そういう観点から、この食品流通問題等におきましても、流通の段階におけるコストを低減していくということがやはり問われると思うわけでございます。  そういう意味におきまして、食品流通構造改善促進機構がそれぞれの流通部門の中の構造改善を行う、こういう趣旨で今日まで来ておるわけでございますけれども、農林水産省OBがいたから、これはただそこに居座って給料をもらっているのじゃないかというようなことではなくして、やはり優秀な人材がそこに参りまして流通改善を行っていく、同時に、業界方々にも理解をいただかなければならぬわけでございますから、そういう方々にも大いに参加していただきまして、流通構造改善を進めていく、こういうことが大事じゃないかと思うわけでございます。  個々の問題点等につきましては常に検証しまして、目的が果たせるようにしていかなければならない、このように考えております。
  23. 佐藤謙一郎

    佐藤(謙)委員 今の御答弁でも全く消費者視点というのが欠落をしていて、なるほど、そういう御認識なのかなと。人材というのは、何も農水省の方を私は否定しているわけではなくて、人材業界だけではなくて、市民にも消費者にもたくさんおられるわけであります。そのバランス考えていかないで、法律機能するはずがない、そういう視点で御質問をさせていただいたんですけれども、一方的な御答弁だったので、残念というよりか、そういう御認識であるのかなというふうに感じたところであります。  そこで、先ほどの、中小零細人たちがのみ込まれていくのじゃないか、そういう不安に対して一つ質問させていただきます。平成十一年、去年の食品産業農業連携推進に関する研究会報告というのがあるわけですが、ここでは、「食品産業事業者国内農業者等が、一定の約束のもとに、継続的、安定的な取引関係を構築し、双方利益を享受できるようになることが基本考えるべきである。」というふうになっているんですね。「双方利益を享受」ということは極めて大事なところだと思うんですけれども、大規模食品産業に小規模農業者がのみ込まれてしまうのではないかというまさに不満に対して、この法律、そして、この改正案はどのように対応されようとしているのか、その辺について御見解をお聞かせください。
  24. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 食品産業者農林漁業と安定的な取引関係を構築し、必要となる農林漁業投資を行うことは、農林漁業者にとりまして、農林水産物の安定的な販路を確保することができ、農林漁業生産施設整備が進み、農林水産物生産の安定及び農林漁業者経営の安定を図ることができるという大きなメリットがあると考えております。  他方、国内農業食品産業連携推進する本法に基づく支援措置につきましては、食品産業農林漁業者契約に基づき長期にわたる農林水産物取引関係を築く必要があり、契約の相手方たる農林漁業者の合意が必要であること、本法支援措置の対象となる農業投資は、農林漁業者との安定的な取引関係を確立するために必要な施設整備食品製造業側リスク負担により実施されているものであることから、食品産業による農業支配につながるものではないと考えております。  また、食品産業農林漁業者との取引関係が不公正と認められる場合には、食品流通に関する構造改善計画認定しないなど、御懸念のような事態の生じないよう適切に対応してまいりたいと考えておるところでございます。
  25. 佐藤謙一郎

    佐藤(謙)委員 まさにその辺を厳しく適切に運用していただきたいというふうに思うわけであります。  もう一つ、弱い立場から。この法律自身平成三年にできたわけですけれども、そのときちょうど規制緩和を目的とした大店法の問題があって、そうしたことから、中小零細規模の小売店をどうやって守っていくかということが、やはりこの法律趣旨一つであったのだろうと思います。中心市街地活性化の観点から、いわゆる八百屋さんや魚屋さんを中心とした商店街の活性化というのがまさに課題になっているわけですが、食品流通構造改善を促進していく中で、こうした専門小売店の振興をどのように進めていこうと考えておられるのか、その辺についての御見解をお願いします。
  26. 谷津義男

    谷津政務次官 ただいまの先生の御指摘、非常に大事な御指摘でございまして、食品流通につきましては、郊外や駅前などに立地をしておりますまとめ買いに対応する大型店を中心とする流通と、一方、商店街などの便利なところにありまして、多頻度購入にこたえていくための専門店を中心とする流通の二つの流通形態が共存しておるわけでございまして、これは相互に補完することが望ましいというふうに考えておるところであります。  このために、八百屋さんや魚屋さん等の専門小売店につきましては、地域に密着した商業としての対面販売の利点の発揮や、八百屋さんや魚屋さんといった業種の垣根を越えた業種横断的な連携によりますところの活性化、また、鮮度、品質、品ぞろえ、価格、サービス面で大型店に負けない競争力の強化をしていかなければならないということで、専門店としての特性を生かしながらその活性化を図っていくことが重要ではないかというふうに考えております。本法に基づく事業推進や電子御用聞き、これは電話とかファクシミリだとか、時によってはインターネットということも可能になってくるわけですが、そういった実験の実施や後継者の育成等、各般の施策を講じまして食品流通合理化と、八百屋さん、魚屋さん等の活性化に努めていく所存でございます。
  27. 佐藤謙一郎

    佐藤(謙)委員 どうかその視点も忘れずにひとつお願いしたいと思います。  それから、冒頭にお聞きしなければいけなかったわけですが、まさに食料自給率、今度の基本計画等でも具体化が進んできているわけでありますけれども、食料自給率向上に対して今回の法改正がどういうような効果があるのか、その辺について、大臣、どうお考えでしょうか。
  28. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 農産物を、生産したものが滞りなく消費者の皆さんに届けられるということにおきましては、流通、販売を強化していくということが大事だと思います。そうした中におきましても、さらに新しい食品等を開発していくということも大事でありますから、そういう面での投資に対しましてもこの法律において支援していく、こういうことになるわけでございますので、やはり、いろいろな食品が出てそれが消費拡大につながっていく、しかも、国産材を食材とするものが大いに消費されていく、こういうことが大事じゃないかと考えるわけでございます。  また同時に、スーパーとか大規模店舗だけが発展するのではなくして、個々の地域のニーズにこたえてやっておられます魚屋さんとか八百屋さんがさらに仕事が繁盛するように、地域と密着しまして商業が展開できるように一度に集積をしてやっていく、こういうようなことに対しましても応援をしていくということでございますので、それらを通じて消費者の皆さんにもいいものを、ニーズにこたえるものを進めていく、多くの理解を得てたくさん買っていただきまして消費していただく、それによって自給率向上していく、こういうことをねらいとするものでございます。
  29. 佐藤謙一郎

    佐藤(謙)委員 実は、これに関連して食品の安全の問題について御質問したかったんですけれども、時間があと十分少々になりましたので、この法律に関連する質問はこの程度にさせていただいて、一つだけ、あとの十分を、私自身が今、問題意識を持っている給食の安全性というテーマで若干質問をさせていただきたいと思います。  学校給食というのは文部省の所管であることは重々承知しておりますけれども、国内のパンに使用されている小麦粉の大部分が輸入されていて、食糧庁によって一元的に管理されているという点から、食品の安全に関して、私は、農林水産大臣の哲学といいますか、一つの情熱のようなもので、食品の安全というものを農水行政から支援していけるのではないかなというふうに考えているわけであります。  そこで、学校給食パンから残留殺虫剤が非常に高濃度に検出された、そうした調査報告が私のところに来ておりますので、若干説明をさせていただいて、それに対する御見解をいただきたいと思います。  一つは、昨年、北海道消費者センターというところで輸入小麦を原料に用いたと見られる市販のパン十三種類を検査したところ、有機燐系殺虫剤のクロルピリホスメチルが平均一・八ppb、マラチオンが平均一・七ppb検出された、そうした結果が出ております。  実は、遺伝子組み換え作物のことで国内だけではなくて世界的なNPO、NGOをまとめて、例えばFAOやWHOのコーデックス委員会にも積極的に提言をされている日本子孫基金という市民団体があるわけですけれども、「食品と暮らしの安全」という小冊子が出ております。こちらが二〇〇〇年に検査した十二のブランドベーカリーの胚芽パンや全粒パンなどの検出平均値が、クロルピリホスメチルが五・一ppb、マラチオンが三・一ppbあると。  これは明らかに収穫後に使用されたポストハーベスト農薬が残留したものと考えるしかないわけでありますけれども、この中で、例えば、マラチオンは環境ホルモン作用が今疑われています。ppbレベルのごく少量でも安全ではないと言われるようになってきているわけでありますし、また、化学物質過敏症にかかった人は、有機燐系殺虫剤を成人で一日に一マイクログラム吸入すると発症するということが言われているわけであります。先ほどのブランドベーカリーの胚芽パンや全粒パンなどをたった百グラム食べると、これに近い量の有機燐系殺虫剤を一食でとってしまうことになる。  これは大変危機的な状態なんだろうというふうに思っておりますが、パンに殺虫剤が残留してしまうような小麦の輸入にかかわっている食糧庁に対して、ポストハーベスト農薬についてどのように考えているか、食糧庁を監督しておられます大臣から前向きな御見解を伺えればと思っております。
  30. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 食の安全を確保していくということは、極めて重要なことだと考えております。したがいまして、危険性をできるだけ排除していくという努力を常にしていかなければならない、こう考えておるわけでございます。  今委員が御指摘をされた点でございますけれども、例えば、クロルピリホスメチルとかマラチオンとかフェニトロチオン、こういうものが一応検出されたということになっておるわけでございますが、厚生省との関連におきましても、検出値は〇・〇一から〇・〇五である。これはどのくらいの量になったならば危険性があるかということでちょっと試算しましたら、一回の食事でパンを四十キログラム食べて、三食ということになりますと、百二十キロ食べないと一生の間において危ないところには来ない。日本人は年間のパンの消費量が約十二キログラムでありますから、この数値まで達するにはなかなかいかないんじゃないかな、こういうふうに思うわけでございます。  しかしながら、我々の方としましては、外国産麦の安全性の検査体制といいますのは、船積みの前に検査をする、輸出エレベーターからサンプルを採取して検査をいたしております。さらに、船積み時にサンプル採取し、これを本邦に空輸し、厚生大臣指定検査機関で検査を実施いたしております。さらに、厚生省は食品衛生法に基づき到着貨物の検査を実施いたしておるところでございます。今後もこの点につきましては十分留意しまして、安全性が確保されるように万全を期して努力をしていきたいと思っております。
  31. 佐藤謙一郎

    佐藤(謙)委員 食品の安全性というと、厚生省あるいは環境庁、文部省とかが前に出てくるわけですけれども、農水行政でそうしたことに前向きに取り組んでいただきたいというのが私の考え方です。  とりわけ、先ほど数字を挙げて、パンを何キロ食べない限り大丈夫だという、そういう議論がいつも出てくるんですね。私がここで主張したいのは、例えば去年のダイオキシンの議論でもそうでした、環境ホルモンの議論もそうでした、成人男子を前提にして、基本にして、安全性というのは議論されている。  一日耐容摂取量一つとっても、体重一キログラム何ppmというような考え方で、例えば母乳をとる赤ちゃんに、その有害性を問いただすと、母乳をとるのは長い人生の間にほんの一時期ではないか、何も十年も二十年も母乳を吸い続ける人はいないわけだから、一時期高濃度のダイオキシンをとったとしても、一日耐容摂取量というのは、これは人生一生の問題ですから、その辺は問題ないという、何とも恐ろしい答弁が返ってくるわけです。  事学校給食というのは、子供にかかわる問題であります。弱者ということを考えると、例えば、北里研究所病院の臨床環境医学センターの宮田幹夫教授という方が、こういうことを書かれておられます。残留農薬基準というのがあるけれども、「私の専門である化学物質過敏症の視点からすると、基準値は、ないよりもマシという程度のもの」だと。つまり、一つは、こうした最も微量で起きる化学物質過敏症というときに、食べたときに反応するかどうかとは別の問題で、本当に微量な化学物質によって、とりわけ有機燐化学物質の室内空気汚染によって、人間は頭痛やせきやだるさ、あるいはもっと重い症状になっていくのはわかっているわけであります。  先ほどの「食品と暮らしの安全」という小冊子に出ておりますけれども、一九九三年と九五年、二回に検査した百九十の学校給食パンから、クロルピリホスメチルが平均三・五ppb、マラチオンが平均七・〇ppb検出されている、そういう数字が出ています。検査時期が異なるとはいえ、先ほどの環境ホルモン作用が疑われているマラチオンが、学校給食パンの方が先ほどの市販のパンよりも検出濃度の平均値が高かったこと、これは非常に問題があると私は思うんですね。  先ほど、輸入米麦の安全性確保体制というのを私も勉強させていただいて、農水省としては万全の体制をとっていただいているということはわかっているわけでありますけれども、それにしてこうした問題が起きてくる。もう既に七、八年前から、学校給食パンがポストハーベスト農薬で汚染されているということは社会的な問題、これは大きく取り上げられ続けていながら、しかし、学童、児童は拒否することのできない学校給食を小さな体でとり続けている。そういう現実を、これは何省だから、あの省だからといって座視することではなくて、そのもとになる素材をまさにしっかりと監督する農林水産省が先頭を切ってこの問題に取り組んでいただきたい。  この七、八年、食糧庁は一体どういう対応をされてきたのか。ただ拱手、座視をしてきただけなのか。それとも、こうした対応をしてきたというような具体的な取り組みがおありであったら、その処置についてお聞かせをいただきたい。  また、ここから先の議論として、農薬を使っていない国産米、あるいは、これは量的にはちょっと難しいわけですけれども、例えば、北海道産の小麦ですとか、国内産の原料を使った小麦であれば安心なわけですから、一時的にせよ、学校給食にそうした取り組みをすることによって、安全性というものを先頭に立って考えている農水省という、そうした行動に出ることができないだろうかと提案をさせていただきます。  この二点について、大臣の御所見をお伺いして、私の質問を終わらせていただきます。
  32. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 冒頭に、つまり、一食四十キログラムとらなければ危険値に達しないという私の趣旨は、とかく風評被害みたいなものがございまして、過度に危険だ、危険だと言うことによりまして多くの誤解が生じるわけでございますので、そういう点について正確な情報を明確にしておきたい、こういう趣旨でございます。  委員のおっしゃられるように、食の安全を確立していくということは、今後の最大の課題であると思うわけでございます。特に、農林水産省としましては、例えば、外国産の小麦の安全性につきましては、輸入に当たりまして、食品衛生法上の残留農薬基準に反していないかどうか独自に検査を行うとともに、厚生省において食品衛生法に基づく検査を行っており、これらの検査に合格したものだけを食用として買い入れるということにしておるわけでございます。仮に、学校給食等において子供さんたちあるいは乳幼児に与える影響というようなものを考えた場合におきましては、よりより安全性のあるものを追求していくということが大事だと思うわけでございますので、我々としましても、例えば国産の麦でつくったものが安全性が高いというようなことがあるとすれば、そういうものも奨励しまして、安全を期すためにできるだけの努力をしてまいりたいと思っております。
  33. 佐藤謙一郎

    佐藤(謙)委員 前向きの決意を伺ったところで質問を終了させていただきます。ありがとうございました。
  34. 松岡利勝

    松岡委員長 次に、漆原良夫君。
  35. 漆原良夫

    ○漆原委員 おはようございます。公明党・改革クラブの漆原でございます。  新農業基本法は、十七条で「国は、食品産業食料の供給において果たす役割重要性にかんがみ、その健全な発展を図るため、」中略「事業基盤の強化、農業との連携推進流通合理化その他必要な施策を講ずるものとする。」と規定しております。  今回の改正案は、この規定にのっとり、三つの観点一つは、食品産業農林漁業との連携推進、二番目、卸売市場間の連携の強化による流通合理化、三番目は、食品産業に係る新技術の研究開発推進による事業基盤の強化という具体的な施策を講ずるものと説明されております。  まず総括的に大臣にお尋ねしたいのですが、本改正案の背景とその趣旨について、一般的にお答えいただければありがたいと思います。
  36. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 今回の改正案でございますけれども、これは食料農業農村基本計画で定められました食料自給率の目標達成のためには、農業者食品産業及び消費者が一体となって努力していかなければならない、こういう趣旨に基づくものでございます。  近年の食料消費を見ますと、総菜等加工食品が家計の食料費の半分以上を占め、その地位がますます高まる傾向にございます。このような状況のもとで食料自給率向上を図っていくためには、消費者食品産業ニーズに的確に対応した国産農産物生産推進していくことが不可欠であると存じます。  今回、御審議いただいております法律案は、食品産業農業との連携等推進するものでありまして、食料自給率向上という基本計画の課題にこたえるものであると考えております。
  37. 漆原良夫

    ○漆原委員 食品生産製造業との連携についてお尋ねしたいと思うのです。今回は、現行法制定から九年を経て、新たに食品製造業者及び食品加工業者を加えようとしているものでございますが、しかし、食品産業農業との依存関係はずっと前から強いものでありまして、消費者ニーズにおいても、生鮮食料品に占める割合よりも加工食品に対するものの方が従来から高かったわけでございます。  例えば、家計食料費支出に占める加工食品等比率を見ますと、当初から加工食品の占める割合が約五割に達しております。平成二年の資料でございますが、加工食品は年間五十万円、四八・五%、現在も五十二万六千円、五〇・九%、こうなっております。現在というのは平成九年の数値でございますが、これに対して生鮮食料品は、平成二年が二十九万七千円、二八・八%、平成九年では二十七万四千円、二六・五%、こうなっております。今回、新たに食品製造業者及び食品加工業者を加えた理由は何なのか、裏返して言うと、従来なぜこれを加えてこなかったのか、この辺の理由を御説明いただきたいと思います。
  38. 福島啓史郎

    ○福島政府参考人 今先生から御指摘がありましたように、平成三年に本法が制定された以降、生鮮食品中心流通合理化を図ってきたわけでございます。しかしながら、今先生が言われましたように、消費や食の外部化が進んでおりまして、消費支出に占めます加工食品であるとか、外食の割合が非常にふえているわけでございます。そうしたところの需要が伸びているわけでございますので、国内の農林水産物としましては伸びている分野に供給していく必要があるわけでございます。そのためには、食品産業、つまり、製造業なり外食産業と国内農業との結びつきを深めまして、伸びる分野への需要の拡大を図っていこうということで、今回、法改正をしたわけでございます。
  39. 漆原良夫

    ○漆原委員 そこで、食品産業農林漁業との連携推進することによってどのような効果が双方に期待できると考えておるのか、御説明いただきたいと思います。
  40. 福島啓史郎

    ○福島政府参考人 まず一つは、農林漁業サイドから見ますれば、食品産業側で安定的に購買してくれる、つまり、安定的な販路が確保できるということ、また、食品産業サイドにおいて農林業施設等の整備をしてもらえる、そのことによりまして、所得なり経営の安定が図られていくということでございます。  逆に、食品産業サイドから見れば、農林業サイドから安定的に原材料、食材を調達できる、また、いろいろな消費サイド、つまり、消費者ニーズの動向なりを生産サイドに伝えることによって、消費者ニーズに合った食材、食品を供給できる、そういうメリットがあるというふうに考えております。
  41. 漆原良夫

    ○漆原委員 農水省統計部が平成十一年度に行ったアンケート調査、これは「食品産業消費者国内農業連携」というアンケート調査によりますと、こういう結果が出ております。農業生産者食品産業連携に取り組んでいるこの取り組みの相手方について、単位農協六七・二%、卸、仲卸その他流通業者三〇・九%、量販店、小売業者二四・三%、食品製造業者一七・四%、外食産業八・六%、こういう数値が出ておりますが、農業生産者が直接に食品製造業者または外食産業との連携に取り組んでいる割合は一七・四%と八・六%でございますから、まだまだ割合は少ないというふうに思いますが、この数値に対してどのように分析、評価しておられるのか、お尋ねしたいと思います。
  42. 福島啓史郎

    ○福島政府参考人 今先生から御指摘がありましたように、消費者モニターを対象とした調査結果が出ております。単位農協あるいは食品産業の中では卸、仲卸あるいは量販店、小売業者等との割合に比べまして、製造業あるいは外食産業の割合が低いわけでございます。  そういうことから、近年の食料消費状況を見ますと、加工食品が五割、それから外食が二割ということで、両方合わせますと、七割になるわけでございます。その部分がウエートが大きくなっているわけでございますので、国民に対しまして食料の安定供給と食料自給率向上を図るためには、消費者食品産業ニーズに的確に対応した国産農産物生産推進していく、また、それを消費者に届ける製造業なり外食産業との結びつきを強めていく必要があるわけでございます。  今回の法改正によりまして、必ずしも農林漁業者との連携が十分進んでいない食品製造業あるいは外食産業を対象に連携推進する、それを支援していこうというものでございます。
  43. 漆原良夫

    ○漆原委員 食品産業は、原料農産物コストの低減と同時に、量及び品質面での安定的な供給や安全性の確保を強く求められております。  さきのアンケートでは、こんな調査が出ております。農業者モニターそれから流通加工業者モニターの約八割が、国内農業者と食品産業連携推進していくことが必要だとの意向を示しております。また、八割を超える農業者モニターが連携相手先からの支援を期待しており、六割を超える流通加工業者モニターが支援の意向を示しております。  そういう意味では、今こそ地域農業食品産業が密接なかかわり合いを持って相互の発展を目指して連携推進していくべきときだと思います。政府は、この連携の強化にどのような具体的な取り組みをしていくつもりなのか、お尋ねをしたいと思います。
  44. 福島啓史郎

    ○福島政府参考人 本法改正によります改正後の食品流通構造改善促進法趣旨の普及徹底を図ってまいりたいというふうに考えております。  それにあわせまして、この法律に基づきます金融税制措置に加えまして、補助事業の活用などによりまして、例えば、平成十一年度からは食品産業者と農協がパソコンを通じて食材の取引を行うことを支援しておりますし、また、平成十二年度からは農林漁業食品産業の情報流通を促進するために、マッチングといいますか、要するに、仲介者を配置していく、お互いのニーズがどこにあるかを探り、その仲介をする人を置いていくということ、また、情報交流会を開催するなど連携事業を進めまして、必要な支援事業に加えまして補助事業等も活用してまいりたい、充実していきたいというふうに思っております。
  45. 漆原良夫

    ○漆原委員 これまで食品産業農業との間ではお互いに不信感があって、一定の条件のもとに継続的、安定的な取引を構築していくことが阻害されてきた、こういうケースが多いと思いますが、食品産業事業者国内農業者の双方がお互いに利益を享受できるようにすることが基本であると言われております。その点についての政府の今後の具体的な取り組みの大要を聞きたいと思います。
  46. 福島啓史郎

    ○福島政府参考人 食品産業農林漁業との連携が成功するためには、お互いにいわば長続きする関係をつくっていく必要があるわけでございます。そのために、一つ契約関係を書面ではっきりさせるということ、それから、その中でお互いにいわば弾力的な対応ができるような条項を持って、いわば我慢をし合いながら長続きする関係をつくっていくことが重要だろうというふうに思っております。  そのために、農林水産省といたしましても、標準的な契約例など優良事例を取り入れながらつくってそれを示すなど、この普及に努めてまいりたいというふうに考えております。
  47. 漆原良夫

    ○漆原委員 大臣にお尋ねします。  自給率向上について、今回の法改正によって政府は四五%の自給率向上を目指すというふうに計画されておるわけでございますが、この自給率向上にどのくらいの効果があるというふうにお考えなのか、それが第一点。  もう一つは、過去の実績を踏まえて、旧来の食品流通構造改善促進法では自給率向上は見込めなかったのかどうか、そして、今回の改正によって製造流通消費構造がどのように変わると見込んでおられるのか、この辺についてお尋ねしたいと思います。
  48. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 この法律改正は、食料農業農村基本法趣旨に基づきまして自給率を上げるということにおきましては、生産者努力のみならず、流通あるいは加工食品産業、そしてまた消費者の御理解を十分いただきながら進めていくということが、やはり大事なところではないかと考えておるわけでございます。それぞれのところの課題が解決をされることによりまして食料自給率向上に大いに資する、新しい食品加工品とかこういうものが、この法律等によりまして、生産者加工食品業者との間の連携等によりまして新しい製品がつくられて、それがどんどん売れていく、こういうこともあればかなり自給率向上に資するものと考えておるわけでございます。  今までの法律の中でどういうふうに評価するかということでございます。平成三年に制定されましてから、先ほどから事例が少なかったのじゃないかというようにも指摘されているところでございますが、今までの経済状況もございまして、なかなか投資等が進まなかったという面もありますけれども、しかしながら、これからが一番大事だと思うわけでございます。  例えば、大規模店舗法も六月一日から新しい立地法に変わることによりまして、やはり地域で大規模店舗をどうするかということも含めて商業地帯というものを構成していく。そうしますと、大規模店舗に、あるいはスーパー等に対抗するために、同じ小売業者方々が集積された市場、形をつくりながらこれに対抗していく、こういうようなことで、数々の事例が出てきておるわけでございますので、これから改正をされた法律案を大いに活用していくときが来るのではないかということを期待しておるところでございます。
  49. 漆原良夫

    ○漆原委員 食品流通構造改善促進法三条の規定によりまして、大臣食品流通部門構造改善を図るための基本方針を決めるとされております。今回の法改正によって食品流通に関する構造改善事業が充実されることに伴って新たな基本方針の策定がなされると思いますが、平成十一年度の基本方針とどのような点が変わるのか、お尋ねしたい。  また、基本方針の性格にかんがみて、基本方針の速やかな策定が必要と考えますが、そのタイムスケジュールはどのようにお考えになっているのか、お尋ねしたいと思います。
  50. 福島啓史郎

    ○福島政府参考人 法三条に基づきます食品流通部門構造改善を図るための基本方針の改正につきましては、今回の法改正により新たに追加されます食品製造業と農林漁業との連携推進一つでございます。また、もう一つ新たに加えられました新技術研究開発事業の実施に当たっての方針、それらの基本的な事項を定めることが中心になる、それが改正内容中心だろうというふうに思っております。  時期でございますが、食品流通審議会の意見を聞くなど、所要の手続を要します。それらを考えますと、遅くとも六カ月以内には改正をいたしたいというふうに考えております。
  51. 漆原良夫

    ○漆原委員 原料原産地の表示についてお尋ねしたいと思うのですが、消費者ニーズは安全、安心なものを求め、それに伴って、国産の農産物に対する信頼は大きなものがあります。しかし、製造業者は、品質が同じものであれば、安価な輸入原材料に移行する可能性もあります。  この原料原産地表示について、消費者に誤解のないように、より正確に表示させるべきであると思いますが、食料加工品の原料原産地表示について、この実施の時期はいつごろになるのか、お尋ねしたいと思います。
  52. 福島啓史郎

    ○福島政府参考人 原料原産地表示の問題でございますが、これにつきましては、昨年来、学識経験者あるいは農業団体、製造業者流通業者消費者方々などの参加を得まして研究してきたわけでございます。この三月に、加工食品の品目ごとの製造流通実態等を踏まえました表示のあり方、また表示対象品目等の報告が取りまとめられたわけでございます。  この報告を受けまして、品目ごとに対応していこうということでございまして、まず、梅干し、ラッキョウ漬けにつきまして、専門的な検討を加えまして、原料原産地表示を含みます品質表示基準案を策定していく。以下、干物等その他の品目につきましても精査し、その結果に基づきまして、必要な品目につきまして、品質表示基準で原料原産地表示を実施していくということでございます。  梅干し、ラッキョウ漬けにつきましては、この秋にも品質表示基準案を策定できるように手続を進めていきたい。実際の施行はそれから一年程度の猶予期間を経た後ということでございます。
  53. 漆原良夫

    ○漆原委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  54. 松岡利勝

    松岡委員長 次に、藤田スミ君。
  55. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 食品流通構造改善促進法についてお伺いいたします。  この法案は平成三年に施行されたわけでありますが、それまでは食品関係の小売、卸、卸売市場、外食等の流通部門については、独立した法制度としては卸売市場法だけでありました。それ以外には、一般的な中小企業制度等を適用するしかなかったわけであります。それが初めて食品流通部門を独立した形で法律上位置づけられまして、構造改善を促進しようとするもので、そういう意味では大変関係者から期待が持たれたものであります。  今回の改正というのは、食品生産販売提携事業を拡充して、生産者食品製造業者との連携事業にも金融、税制上の優遇措置をとったり、また新技術の研究開発や卸売市場の機能高度化事業についても、卸売市場間の連携生産者との結びつきを強めていこうというものでありまして、その点については私どもは評価をしております。  今、国内で生産される農水産物の三分の一強が加工食品や外食などに使用されておりますけれども、しかし、加工食品原材料の輸入依存度は年々高まってきています。しかし、食品の安全性を求める消費者ニーズから、高品質で安全性の高い国産原料を安定的に調達していきたいという食品製造業者の要求も高まっているわけであります。  したがって、私は、本法案が国内農水産物の利用を高め、ひいては食料自給率向上を図っていく、そういう趣旨が柱にあるというふうに理解しておりますが、大臣のこの点についての御決意をここで聞かせていただきたいわけであります。  同時に、この法案は融資中心でありますけれども、そういう法の趣旨を大いに生かし、目的を達成していくために、生産地と食品業者間の情報提供、情報交換など、政府としての支援措置を拡充していくべきだと考えますが、この点についての政府のお考えをお聞かせいただきたいと思います。     〔委員長退席、松下委員長代理着席〕
  56. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 国産農林水産物の三分の一が食品製造業、外食産業に仕向けられている一方、食品製造業の原料の三分の二を国内農林水産物が占めておりまして、農林漁業食品産業連携の強化は重要な課題となっております。このため、今回の法改正では、農林漁業食品産業との連携強化を図るための事業の拡充を行うこととしておるところであります。  農林漁業食品産業連携強化のための支援措置につきましては、今回の法改正による金融、税制上の措置のほか、双方の情報交換を進めるため、平成十一年度から原料食材循環需給システム整備事業により、食品企業と農協がパソコンを通じて原料食材の取引等を行うことを支援するとともに、平成十二年度からは、農林漁業食品産業の情報流通の促進を図るための食品産業農業ニーズ情報マッチング事業により、仲介者の配置、食品企業及び農業ニーズ調査、情報交流会の開催等を行うことといたしておるところでございます。
  57. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 食料自給率向上の問題について、大臣に決意をお伺いしておりますが、その点はいかがでしょうか。
  58. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 これは、食料農業農村基本法趣旨によりまして、食料自給率向上を図っていくためには、やはり生産者努力はもちろんのことでございますけれども、消費者の皆様の御理解、また流通業界、食品産業等、それぞれの課題を解決しながら、安全で安定した食料が供給をされまして、それを通じて食料自給率向上されていくということを目標といたしておるところでございます。
  59. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 自給率の問題についての大臣のこの法案を通しての役割ということを期待して御答弁を求めたわけでありますが、ちょっとずれていますけれども、結構です。  大手のスーパーが市街地で周りの商店をつぶしてひとり勝ちをしているという実態は、大臣も御存じだと思うのです。また、スーパーの戦略で、にわかに郊外に撤退するなどして、消費者を無視するというような横暴な事例も、大臣は御存じだと思います。したがって、この法律が積極的に中小の食品製造業、販売業の支援にもなるようにすべきであります。  農水省の統計情報部が最近発表した資料を見ましても、食品の販売金額が年間五十億円以上というような食品製造業では、自前の配送センターを持って荷を動かしている。また、外食産業では、配送センターだけでなく、セントラルキッチン、つまり、集中調理施設を自前で持っている。さらに、受注も五十億円以上の食品製造業では大半が、ファクスや電話ではない電子受発注のシステムを完備しているなど、その点では中小の食品製造業との力の格差というものは非常に歴然としております。しかし、食品製造業は、中小企業の占める割合が、事業所数で九九・一、従業員数で八三・九、製造品の出荷額で八四・七というふうに圧倒的に中小企業で、地域経済で重要な担い手になっていることは改めて言うまでもありません。  したがって、大臣食品流通構造改善については、融資だけではなくその他の補助事業についても充実を図っていただきたいということを求めたわけであります。今御答弁をいただきましたけれども、私は、やはりそこでも中小企業の育成というものを基本に据えていただきたいというふうに考えるわけでありますが、その点について大臣の御所見をお伺いしておきたいと思います。
  60. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 十九世紀の議論をちょっと思い起こしていただきたいと思いますけれども、自由競争が展開をされまして、神の見えざる手によって、何もしなければただ自由競争で発展するという考えがございました。ところが、これは勝者と敗者を厳然と分けまして、一方においてはブルジョアジー、一方においてはプロレタリアート、こういう形で階級闘争というものが生み出されました。これに対して、ブルジョアジーをせん滅しようとしたのがマルクスを初めとする共産主義的な考え方です。(藤田(ス)委員「恐れ入りますが簡潔に。済みませんが、時間がありませんので、簡潔にお願いします」と呼ぶ)いや、反対しているわけじゃありませんから。  それに対して、保守主義者と言われる人たちは、それをできるだけ緩和するようにしなければならない、やはり世の中はバランスが必要である、こういう観点から、福祉政策と同時に、自由競争ばかりではなくして、ある一定の秩序を持った体制をとっていくべきであるという考え方に基づきまして、資本主義の政策を直すようないろいろな政策を展開してきたことは御案内のとおりであります。したがいまして、保守党といいますのは、この世紀において国民の支持を、全国的並びに世界じゅうにおいて受けてきたところでございます。  そこで、委員質問にお答えをするわけでございますが、いわゆる自由競争というものの枠の中で、最近の議論等におきましても、規制緩和をすればすべて経済が発展するという考え方のもとに、例えば、スーパーとか大企業が小売販売とかそういうところに参りまして、中小小売店まで圧迫をするというような事例が見られたわけであります。これは行き過ぎである、私はそう考えておるわけでございまして、そういう観点から、やはり大規模小売店舗法も、地域の皆さんがこれをどう受けとめるかということによって、開店されるかどうかという形の大規模店舗立地法改正をしたというのは、そういう考えなのです。  ですから、私は、委員趣旨に何も反論しているわけではございませんで、中小の小売店もちゃんと生き残れる、また、スーパーはスーパーとしてやっていく、お互いに競争の機会を対等に与えていく、こういうような体制をつくっていくということが、これからの日本の発展にとって最も大事なことであるという観点から、この法律等におきましても、食品業者生産者が一体となって協力して頑張ってやっていく、こういうことに対して支援をしていくということでありますから、何も委員の先走ったことに対して反論しているわけではないわけでございます。  ある面においては共通の視点を持って求めているということをお考えいただきまして、具体的には、食品加工施設等の整備に対する補助、技術開発に対する補助、食品廃棄物のリサイクル推進施設整備に対する補助等を初めとしまして、中小食品産業対策を推進し、その育成に努めているところでございます。
  61. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 私の時間は大変限られているのです。大臣の頭の中は余りにも知識が豊富で、ここでもう吐き出したくて仕方がなさそうですけれども、どうぞ演説は外でしてください。  大臣は、要するに、本法で中小企業の育成を基本に据えてやっていこうという御意思であるというふうに受けとめてよろしゅうございますか。
  62. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 先ほどの意見を聞けばおわかりだと思いますが、よろしいです。
  63. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 平成四年二月の次官通達を見ますと、農林漁業金融公庫による食品流通改善資金の融通に関する措置要綱、これが次官通達のネームでありますが、認定条件として、取引量が事業実施後五年以内におおむね二〇%以上増加すること、または取引額が年間三千万円以上とすることとしているわけであります。  私は、局長にお伺いいたします。この二〇%以上の増加の要件というのは、これまでの実績に照らして満たされたものになっているのか、また、これはもう聞くまでもないと思いますが、本法案によってこの認定条件は食品製造業にも適用されることになるというふうに理解いたしますが、確認をしておきたいと思います。
  64. 福島啓史郎

    ○福島政府参考人 計画認定の基準といたしまして、食品製造業者等と農林漁業者等との取引関係が五年以上継続するということと、五年以内におおむね二〇%以上取引量が増加する、あるいは、取引額が年間三千万円以上になることと定めておりまして、こうした要件のもとに現在、事業を実施しているということでございます。それは順調にいっているということでございます。  製造業者につきましても、基本的には同様の基準により対応してまいりたいというふうに思っております。
  65. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 これも農水省からいただいた食品生産販売提携事業実績及び中小企業の占める割合についてというものであります。それによりますと、本法が施行されてから二〇〇〇年二月までのこの九年間の間に、食品流通構造改善事業実績の中の食品生産販売提携事業ですが、認定件数は百九十五件あり、この事業に対する農林漁業金融公庫等の総融資額は千八百億円ということになっております。また、融資対象事業者のうち、中小企業が六割、融資額は五割というふうになっているわけであります。ただもう一つ、この事業の中で卸売市場機能高度化事業というものを見ますと、これは九年間でたったの四件であります。また、食品商業集積施設整備事業は、九年でわずか二件にすぎません。  どうしてこんなにこれらの事業が少ないものになっているのか、その点では、これを拡充するために政府としても改善の余地があるのじゃないかというふうに私は思いますが、その点について局長にお伺いをしたいわけであります。  その中で、卸売市場機能高度化事業の対象に仲卸が入っていって、そこにはどういう融資がされるのか、それから、食品商業集積施設整備事業というものは、八百屋、魚屋など、商店街で抜けてしまってつぶれてなくなってしまっている商店街に、やはり消費者ニーズにこたえてそこに八百屋、魚屋を入れていくための事業も入っていると理解しておりますが、どうぞ、そういうことも含めてお聞かせをいただきたいと思います。
  66. 福島啓史郎

    ○福島政府参考人 この法律に基づきます構造改善事業の実施状況でございますが、先ほど大臣から御答弁がありましたように、当初はバブル崩壊というような事情もありまして低迷したわけでございますが、その後、先ほど先生の御質問にありましたような食品生産販売提携事業が増加しております。これを皮切りに、ニーズが顕在化し始めております。ただ、食品商業集積施設につきましては、複数の商業者が集まって、いわば一つの専門店を中心としました、スーパーといいますか、ワンストップショッピングを図っていこうというものでございますので、利害調整を要するわけでございます。そういうことで、少し時間がかかってきたわけでございますが、ことしの六月には大店法も廃止されるわけでございますので、平成八年、十一年、それからことしは二件出てくるというふうに、取り組みが広がっているところでございます。  また、卸売市場機能高度化事業につきましては、昨年、卸売市場法等改正によりまして、仲卸業者経営規模拡大する場合の融資も対象になるなど、内容を拡充したわけでございます。また、今回、地方市場につきましては、固定資産税軽減措置も受けられるようになるというようなことから、この卸売市場機能高度化事業利用が増加するものというふうに考えております。
  67. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 そうすると、仲卸さんは、昨年の市場法の改正からこの制度の適用があって、それまでは全くありませんか、そんなことはないはずですよ。
  68. 福島啓史郎

    ○福島政府参考人 改正前におきましても、卸売市場機能高度化資金の貸付対象者として、仲卸業者は対象となっておりました。ただ、一般の設備投資ということでございますので、どちらかといえば、設備投資よりも、いわば商用的な経営基盤の強化ということが重要になっておりますので、その点を強化したということでございます。
  69. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 要するに、私が求めたいのは、もっとこの事業が活用されるようにしてもらいたいということです。徐々にふえてきているといっても、九年でまだおよそ十件にも満たない状況で、余り褒めた話じゃないわけでありますが、中身はなかなか歓迎されるものだと思うんです。  私、仲卸の皆さんにお会いしましたけれども、この高度化事業については本当に知らないんですね。知りたいということで指定の金融機関に尋ねると、その指定の金融機関も御存じない。そこで、近畿農政局の方に問い合わせると、パンフなど事業説明するものを送ってほしいと言っても、そのパンフもないのだという答えです。そういうふうな性格のものじゃないんだと。要するに、計画を持っているなら、そちらに伺って審査をさせていただくなんていきなりおっしゃるものですから、仲卸の皆さんは、余りに不親切じゃないかと。  どういうものかよく知ってから自分の計画というものも打ち出せるのであって、そういう点では、ぜひともこういう事業が活用できるように、まず、イロハのイのところにとどめますけれども、イロハのイのところのこういうものについて、情報を十分下まで浸透するように、この際、説明会など、そういう手を打っていただけませんか。
  70. 福島啓史郎

    ○福島政府参考人 今も、こういう形でパンフレットをつくりまして説明等しているわけでございますけれども、この改正法の成立を受けまして、農政局あるいは業界団体を通じまして説明会を開催するなど、普及、活用等のPR活動を進めてまいりたいというふうに思っております。
  71. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 お見せになるほどの立派なパンフレットをお持ちなのに、農政局がそういう冷たい突き放し方をしたということは、皆さんの指導にかかわる問題だというふうに私は思います。  仲卸業者の問題でこの際、聞いておきたいのですが、昨年の卸売市場法の改正の審議の中で、私は、量販店の優越的地位の乱用問題を取り上げ、実態調査を求めました。このとき、当時の中川大臣は「仮にも、特権的立場ですか、地位を利用し、また相手に対して問題となるようなことがあるならば、我々としても厳しくその実態調査しなければならない」と思っているというふうに御答弁をされたわけであります。  ことしの二月、量販店の取引等に関するアンケートというものを実施されたと聞いておりますが、まずこの調査規模及び概要についてお伺いをし、この調査をいつまとめられ、公表されるのか、簡潔で結構です、時間がありませんので。
  72. 福島啓史郎

    ○福島政府参考人 本年二月に、中央卸売市場の仲卸業者と大型量販店の取引の実態調査したわけでございます。  具体的な調査内容としましては、量販店と仲卸業者間におきます価格なり取引数量の取り決めの内容、あるいは納入価格、数量の決定方法や協賛金、リベート等の量販店からの要請の有無などでございます。公表につきましては、六月を目途に取りまとめをしたいというふうに考えております。
  73. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 仲卸業者の皆さんは、農水省が早速こういう取り組みを行ってくださったということを大変喜んでおります。景気が悪い上に量販店にいじめられ、商売の展望も失いがちな仲卸業者にすれば、こういう農水省調査でさえ大変大きな励ましになるわけであります。だから、調査の結果については一日も早く明らかにするとともに、単なる統計的な調査ということではなく、仲卸業者と量販店との取引の実態を把握して、卸売市場における取引の円滑化と経営改善を図るためにあるわけでありますので、一つ一つの事例に対しても早速に手を打っていくというような対応を期待したいわけでありますが、その点について御答弁ください。
  74. 福島啓史郎

    ○福島政府参考人 このアンケート調査を取りまとめまして、その中で公正取引上問題のあるようなアンケート結果になった場合におきましては、今後、専門家の意見を聞きながら、必要に応じて補完調査を行いまして、さらなる実態把握に努めるということ、また、流通・取引慣行に関する独禁法上の指針に抵触するおそれがあるような取引慣行の状況が明らかにされた場合には、公正取引委員会に対しまして指導の要請を行うなど、適切に対処してまいりたいというふうに思っております。
  75. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 大臣の長い長い演説のために私の質問はこぼれてしまうことになりますが、要請だけはしておきたいと思います。  要するに、この法案のベースになった食品産業農業連携推進に関する研究会の検討経過を読んでみましても、農産物契約取引のリスクの調整を当事者が決めなければいけない、その調整の制度をつくらなければならない、また短所の克服のためにモデル契約、モデル条項をつくる必要があり、契約を守ると得をするという支援考えるべきだ。  これは、千葉県のある農業生産法人企業からの出資要請を断り続けている、つまり、こういう提携事業には応じないんだと。なぜかというと、県内の養鶏業に大手商社が出資生産拡大の動きが広がったけれども、収益が上向かないと見るや、手のひらを返すように撤退したからだということがある、これは、この事例にとどまりません。  そういう点では、今までは市場での買い手、売り手の双方が見えない形でリスクヘッジしていたけれども、市場外の連携になると、行政支援がないと育たない。また、モデル契約の指導ということにとどまらず、連携する参加者がみずからの制度の価格安定基金を整備した場合に、国が支援をするなど、これは、自治体の制度を国が支援するなどのやり方を含めて考えていくべきだということを私は求めておきたいわけであります。大臣、何か関係することで。
  76. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 長い答弁をしまして御迷惑をかけましたけれども、大事なことでございましたので、申し上げたわけでございます。  最後でございますが、今委員のおっしゃられたことは全く私も考えておりまして、いわゆる力を持って不公平な取引等を行って、仲卸あるいは中小企業を圧迫するという不公平な商売が成り立たないように、今後、明確にしてまいりたいということでございます。
  77. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 以上で終わります。
  78. 松下忠洋

    ○松下委員長代理 次に、菅原喜重郎君。
  79. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 今回の食品流通構造改善促進法の一部を改正する趣旨として、三つの要点が挙げられております。一つは、食品製造業者等と農林漁業者等との連携を図るための事業を実施することによる食品産業農林漁業との連携推進であり、二つは、卸売市場間の連携の強化による流通合理化推進、三つは、食品産業に係る新技術の研究開発推進による事業基盤の強化というわけであります。  そこで、生鮮食料品の流通において地方卸売市場が果たしている貢献は大変大きいわけでございますが、流通面、規模、取引面、情報収集面その他において、いろいろな問題を抱えているのも現実でございます。そこで、今後、地方卸売市場が果たすべき役割をどのように位置づけているのか、また、位置づけようとしているのかを、まずお伺いいたします。     〔松下委員長代理退席、委員長着席〕
  80. 福島啓史郎

    ○福島政府参考人 今先生から御指摘がありましたように、生鮮食料品等の流通の大宗を卸売市場は占めるわけでございますが、その中で、中央卸売市場は大都市地域の拠点市場、地方卸売市場が大都市地域以外の地域の拠点市場という役割分担をしながら、全体として生鮮食料品の流通ネットワークを形成しているわけでございます。  それで、産地の大型化あるいは生鮮食料品等の流通の広域化の進展の中で、効率的な市場流通が求められている、要請があるわけでございます。その一方で、地域の農水産業と密着した商品の開発流通、または有機農産物等のこだわり農産品の供給等、川上、川下の卸売市場に対するニーズは多様化しているわけでございます。  このために、中央市場、それから地方市場がそれぞれの特性を発揮しながら、全国各地の市場利用者のニーズにこたえられるような運営を行いまして、生鮮食料品の安定かつ効率的な供給を行っていくように、施策を展開していくことが必要であるというふうに考えております。
  81. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 それでは、地方卸売市場の活性化のモデルとなる例としてはどのようなものがあるのか、ひとつお聞かせいただきたいと思います。
  82. 福島啓史郎

    ○福島政府参考人 地域の特性に応じまして、また、創意工夫を発揮しまして活性化を図っているところ、例えば、低温売り場の整備あるいはオゾン発生装置の設置によりまして、衛生管理の向上と安心、安全な食品を供給するということで、地方卸売市場のメフレがございます。また、インターネット等を活用しまして売買参加者へのサービスの向上を図っている市場としまして、愛知県の豊明の花市場があります。また、地元の生産者と小売店が連携いたしまして、通い容器を導入して、段ボールを不用化している、省資源なり廃棄物の縮減を図っている宮崎県の日向青果地方卸売市場などが見られるところでございます。
  83. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 地方卸売市場の果たしている役割は非常に重要であることは、大臣も御承知のとおりでございます。岩手県におきましても、盛岡には中央市場があり、また県南には、一関、水沢、北上、花巻等地方市場があり、こういう市を中心として、複数あるいは単数の市場が全国に散らばっているわけでございますので、地方卸売市場の活性化のために、大臣は一体どのような支援考えているわけですか。
  84. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 現在、流通関係におきましては、その七割が中央卸売市場等を通じて行われておるわけでございますが、基本的には、さらに重要性認識しまして、しっかりとこの市場の役割を高めていくということが一番大事であると思うわけでございます。  地方卸売市場の活性化を図るため、農林水産省といたしましては、市場の統合、大型化や効率的な市場施設整備への助成、施設や機械の整備に対する農林漁業金融公庫からの長期、低利融資等により支援をしておるところであります。  特に、今回とった処置といたしましては、全国の民設の中核的卸売市場から御要望がございました固定資産税軽減措置を設けることにいたしたのが第一点であります。これは、卸売市場機能高度化事業を実施しているところでございます。それから、地域の中核となる民設卸売市場が行う施設等の整備に対する助成を実施することといたしておるところでございます。  今後とも、これらの施策を通じまして、地方卸売市場の活性化を支援してまいりたいと考えております。
  85. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 最近、スーパーマーケットなどの進出によりまして、産地直送など、卸売市場を経由しない流通がふえているわけであります。こういう傾向は、いい悪いじゃなくして、やはり一つの傾向としてこれから進んでいくのじゃないか。そうなりますと、卸売市場としてどのように対応していくのか、またはいかせようとしているのか、これが大事だと思いますので、この点についてもお考えをお聞きしたいと思います。
  86. 福島啓史郎

    ○福島政府参考人 ただいま先生の御指摘がありましたように、産地の大型化なり、量販店の比重の増大等によりまして、市場外流通がふえておりまして、この十年間で市場経由率は一〇ポイント程度低下して、青果物、水産物で七割程度となっております。  生鮮食料品といいますのは、御案内のように、腐りやすい、あるいは豊凶変動が激しいという商品特性があるわけでございます。そのために、今後とも、卸売市場が、消費者への迅速かつ効率的な生鮮食料品の提供、また、生産者に対しましては確実かつ迅速な販路の提供、また、流通、小売業者に対しましては、取引の場の提供といったような役割を適切に果たしていくことが重要であるというふうに考えております。  こうしたことから、昨年、卸売市場法等改正が行われたわけでございまして、市場関係業者経営体質の強化、市場利用者のニーズに応じました取引方法の改善等の措置を講ずることとしたわけでございます。現在、改正市場法の施行が行われているわけでございまして、市場外流通との競合あるいは市場間の競合の中で卸売市場が競争力を高め、その役割を今後とも十分発揮できるように努めてまいりたいというふうに考えております。
  87. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 次に、防疫面、もしも発生しますと、流通面にも影響を及ぼしてくる防疫面でお聞きします。今年十月、豚コレラの予防ワクチンが全国で一斉に中止されるのを受け、養豚農家から反対の声も上がっております。  国内で豚コレラウイルスが撲滅された可能性は極めて高いとワクチン中止を進める農水省に対して、いつどこからウイルスが入ってくるかはわからない、九十二年ぶりの口蹄疫発生でも見られるように、反対者の農家は、防疫体制をもっとしっかりしていただきたい、今後とも豚コレラの予防接種を続けていただきたい、こういう声が日本養豚経営者連絡協議会からも私のところに届いているわけであります。  豚コレラ撲滅対策について、ワクチン接種継続を求める生産者に、政府は今後どのように対策を進めていこうとしているのかをお聞きいたします。
  88. 樋口久俊

    樋口政府参考人 お答えを申し上げます。  お話がございましたように、豚コレラは、私どもとしては大変注意を払わないといけない伝染病だと思っておりますが、その前に、ワクチン接種をめぐりましてぜひ御理解をいただきたいことがございます。  それは、お話がございましたように、農家の皆さんは、万一発生した場合の影響が心配だからワクチンを打つというお話がございますけれども、その反対側に、我慢をしないといけないことがあるわけでございます。一つは経済的負担でございます。これは、ワクチンを打つことによりまして、毎年毎年四十億円の負担をすることになるわけでございます。それから、国際的には、使用していない国、つまり、清浄国に対して輸入制限を主張できないということがあるわけでございます。  そこで、私どもとしては、もう五年ほどになりましょうか、撲滅運動を展開してきておりまして、お話がございましたように、本年の十月を目途に、いろいろな手段を講じてきておりますけれども、現在までの調査で確認をされましたデータから、清浄性、つまり、撲滅されたということをもう主張してもいい段階になったのじゃないかということが一つございます。それから、本年の四月で、既に三十二県が接種を中止されております。  そういうことから、私どもとしては、なるべく早くそういうレベルに達したことを内外に宣言したいと思っておるわけでございますが、中に接種継続を求める生産者がおられることも承知をいたしております。皆様方にはいろいろな機会を通じまして、地元で説明会等もございますので、国から担当者が出向きまして、撲滅対策の必要性、それから、国内でも清浄性に達しているというデータを御説明する、あるいはパンフレットを配布する、養豚関係の雑誌へ関連記事を掲載するということで、いよいよ最後の段階でございますので、これらの努力を引き続き続けていきたいと思っているところでございます。
  89. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 それでは、ワクチン中止の説明を一応聞いたわけなんですが、豚コレラワクチン接種中止後、万一発生した場合の対策として、政府はどのような対策を考えているのかをお聞きしたいと思います。
  90. 樋口久俊

    樋口政府参考人 農家の方がやはり御心配しておられる最大の原因は、万一発生したときのことではないかということでございます。  これは二つございまして、一つは、とにかく蔓延防止をするための体制、それは、事前にいろいろな用意をしておく、例えば、緊急のワクチンを用意しておくとか、常に消毒をするようなマニュアルをきちっと整理して皆さんに理解をいただく、こういう防疫体制が一つございます。  それから、最大の問題は、経済的損失が問題になるわけでございまして、そのためには、既に互助基金制度というのが発足をしておりますので、それへの加入促進ということでPRに努めていきたいと思っております。  さらに重ねてお願いを申し上げますけれども、今回、口蹄疫というお話も御質問にございましたけれども、その中で、ワクチンを使用しないでできるだけ蔓延を食いとめたいという形で私どもが努力しているということも、ひとつ御理解をちょうだいしたいと思います。
  91. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 時間ですので、以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。
  92. 松岡利勝

    松岡委員長 次に、菊地董君。
  93. 菊地董

    ○菊地委員 社民党・市民連合の菊地でございます。  今回の食品流通構造改善促進法の一部改正は、食料農業農村基本法の第十七条に基づいて、食品産業の健全な発展を図るために、一つには食品産業の技術開発力の強化など事業基盤の強化、二つには食品加工製造業と農林漁業との連携推進、三つには卸売市場の活性化など、流通合理化などを図ろうとするものであろうと思います。これまでの制度が生鮮食品流通を主とした制度だったのに対して、これに、加工食品製造加工する食品メーカーを取り込んだものというふうに理解しております。  こうした改正趣旨に即した問題は本日の審議の中で他の委員からも質疑が行われ、御答弁をいただいているところでありますので、私は、できるだけ重複を避ける意味から、違う視点といいますか、消費者、国民の立場から幾つか質問させていただきたいと思います。  最初の質問でありますが、生鮮食品流通について、生産者の顔の見える流通に対する取り組みが大切と理解しておりますが、生鮮食品の表示、規格など、消費者にとって顔の見える流通に対する農水省の対応状況について、まずお伺いいたしたいと思います。
  94. 福島啓史郎

    ○福島政府参考人 まず、生鮮食品につきまして、その産地が消費者にとって商品選択の重要な指標となるわけでございますので、昨年のJAS法改正によりまして、すべての生鮮食料品につきまして原産地表示をするということで、その表示基準を告示したところでございます。この七月一日から適用ということで進めております。  また、有機農産物など生産方式に特色のある食品についての消費者の関心が高まっておるわけでございまして、これも、改正JAS法に基づきまして第三者認証制度を設けたわけでございます。現在、その施行準備を進めているところでございます。  こうした表示を適切に行うことによりまして、今後、消費者に対しまして生産者の顔が見えるような情報を提供し、消費者の選択に資することとなるように対応してまいりたいというふうに考えております。
  95. 菊地董

    ○菊地委員 私は、本委員会で、大臣に対する最初の質問で、新基本法の二条にあります、安全で良質な食料という定義についてお聞きいたしました。その際、私は、良質な食料とはできるだけ人の手を加えない、天然、自然のものという私なりの定義、私見を述べたわけでありますが、農水省は、安全で良質な食料の安定的な供給という観点から、どのような食品表示対策を講じてきたのか、また、今後どのように講じようとしているのかを重ねてお伺いしたいと思います。
  96. 谷津義男

    谷津政務次官 最近、消費者の健康志向や安全志向が高まっている中にありまして、生産過程において農薬や化学肥料を使わない有機農産物や有機農産物加工食品を求める傾向が強くなっているのは、先生の御指摘のとおりであります。  このため、昨年の七月にJAS法を改正いたしまして、第三者認証制度を導入いたしまして、有機農産物及び有機農産物加工食品の日本農林規格、いわゆる有機JASを定めまして、同規格に適合するかどうかについて検査を受けまして、これに合格し、また有機JASマークが付されるものでなければ有機の表示をしてはならないこととしたところであります。  このことによりまして、例えば有機農産物と表示してあれば、消費者は、その農産物が化学合成農薬や化学肥料を原則として三年間使用しない特別な生産方法により栽培されたものであるということが簡単にわかるようになりますので、このような農産物を求める消費者ニーズに適切にこたえられるのではなかろうかというふうに考えております。
  97. 菊地董

    ○菊地委員 フランスでは、食品流通について、どのような生産状態、生産過程で生産されているかということを把握できるような制度があると伺っているわけでありますが、我が国においてもこのような食品の履歴を追跡できるシステムというものを設けるべきではないかと思うわけでありますけれども、どのようにお考えか、お伺いしたいと思います。
  98. 福島啓史郎

    ○福島政府参考人 先生御指摘のとおり、フランスでは、いわゆる狂牛病問題に対処するために、一九九八年九月から、牛につきまして、農家から屠畜場まで、牛の品種、誕生年月日、肥育農家、ワクチン接種などの衛生証明等の情報につきまして登録制度を設けるということ、また、これに加えまして、屠畜場以降におきましては、牛肉製品のロット番号によりまして、これらの情報が遡及できる制度を導入しているというふうに聞いているわけでございます。  このような制度につきましては、食品に対する消費者の信頼の向上を図る上で一定の機能を果たすというふうに考えられるところでありますので、フランスにおきます制度の運用実態、九八年からでございます、特に屠畜場以降につきましては九八年九月からでございますので、そうした運用実態等につきましてさらに調査をして、参考にしてまいりたいというふうに思っております。
  99. 菊地董

    ○菊地委員 産地の大型化、量販店の進出などで広域流通が広がる反面で、朝市やさまざまな形の直販運動が広がっているわけでありますが、このような動きをどのように評価しておられるか、お伺いしたいと思います。
  100. 福島啓史郎

    ○福島政府参考人 近年の保冷技術の発達なり高速道路網の発達によりまして、広域流通が進展しているわけでございますが、一方におきまして、より鮮度の高いもの、あるいは有機農産物等のこだわり商品、さらには生産者の顔の見える商品等を求める消費者の意向を反映しまして、朝市あるいは産直販売等の取り組みも広がっているわけでございます。  こうした流通経路の多元化は、多様化する消費者ニーズに的確にこたえるということ、そのことによりまして、農業者の所得確保や国内農産物の需要確保に寄与する、また、農村の活性化や国民の農業、農村への理解、関心を深めるという効果も期待できるわけでございます。  今後とも、多様化する消費者ニーズにこたえながら、市場流通と朝市なり産直販売等の取り組みが相互に補完し合って、国民への食料の安定供給が図られるように努めてまいりたいというふうに思っております。
  101. 菊地董

    ○菊地委員 産業連関表等から試算されました、最終消費された飲食費の帰属割合という数字があるのであります。これによりますと、一九九五年で少し古い数字でありますけれども、飲食費の最終消費額は八十兆四千億円でありまして、その中で農水産業の占める割合が十五・四兆円で一九・一%、食品製造業の占める割合が二十二・八兆円で二八・三%、食品流通業の占める割合が二十六・九兆円で三三・五%、外食産業の占める割合が十五・三兆円で一九・一%となっており、食品産業のシェアが一番大きくなっているわけであります。  一九七〇年からの推移を見ましても、食品流通業の占める割合は、当時三・七兆円、二五・二%であったものが、二十六・九兆円、三三・五%とすごく伸びているわけであります。外食産業の伸びも著しくて、一・四兆円、九・三%が、十五・三兆円、一九・一%に伸びているわけであります。この数字を見ますと、原料供給の農水産業の占める割合が、五・一兆円、三五%あったものが、十五・四兆円と金額的には伸びているわけでありますが、一九・一%というぐあいにそのシェアは、割合はぐんと減っているわけであります。  この要因は、我が国の経済成長あるいは女性の社会進出とか単身世帯の増加等による食料消費の外部化、サービス化、簡便化などの理由によるものであろうと思うのでありますけれども、また、我が国の流通コストが高いということも同時に示しているだろうと思います。  そこで、最後になると思いますが、できれば大臣に三つの点をお伺いしたいと思うわけでありますけれども、農業食品産業との連携推進、強化という点でどのようにお考えになっているかということが第一点。  それに関連して、とりわけ地域の食品産業の振興が重要と考えるわけでありますが、それについてどう考えているかというのが第二点。  食品産業及び食品流通業の発展は、自給率向上という点におきましても歓迎すべきことだと思うわけでありますが、一方で、食の外部化、簡便化、洋風化等が、逆に日本型食生活の崩壊ということも促進している面は否定できないわけであります。これらについて大臣はどのように考えておられるか、お伺いしたいと思います。
  102. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 総じて言いますと、食品製造業及び外食産業が伸びていくということは、国内の農林水産業の振興にもプラスになっていくと思うわけでございます。  今、委員が示された数字の経過でございますけれども、例えば家庭におきましては、かつては、魚なら魚あるいは野菜なら野菜を買ってきて、みずからそこで加工して食している。ところが、最近におきましては、それぞれ仲卸、小売、そういう段階でいろいろと総菜をつくって販売するという傾向が出てきておるわけでございますので、数字原材料のところが伸びていないとは言っておりますけれども、加工食品あるいは外食産業の方で使われているという面において、より積極的に農林水産業との連携がある、こういうふうに考えておるわけでございます。  したがいまして、食品製造業は、その原材料調達の三分の二を国内農林水産物に依存をいたしておるところでございます。また、農林漁業主産県ほどその地域経済に占めるウエートが高く、地域農林漁業と深く結びついた、地域性を有する地場産業としての性格を持っておるわけでございます。つまり、加工食品をやれば、付加価値をつけるわけでございますから、そこで働く人たちが雇用されることによって、地域経済に大きな役割を果たしておる、こういうように高く評価をいたしておるわけであります。  今回の法改正におきまして、食品産業農業連携の強化を目的とした食品生産製造提携事業や新技術研究開発事業を追加することといたしているのはそのためであります。  その効果としまして、地域農業食品産業との安定的な取引関係の構築、地域の農林水産物の新たな加工技術の開発や地場産業を初めとする食品産業の技術水準の向上が期待されているところでございます。こういうことを通じまして食料自給率向上していく、こういうふうに結びついていくと思うわけでございますので、委員の御指摘に十分留意して進めていくことが大事であると思います。
  103. 菊地董

    ○菊地委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  104. 松岡利勝

    松岡委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  105. 松岡利勝

    松岡委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  106. 松岡利勝

    松岡委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  107. 松岡利勝

    松岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  108. 松岡利勝

    松岡委員長 次回は、明十一日木曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時九分散会