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鉢呂委員 経営安定対策を講ずることで
農家経営の安定を図れるというのが、今の
大臣の御答弁だったと思いますけれども、
現状の
経営安定対策は、先ほども言いました三年なりの、移動三カ年という表現をしておりますけれども、その市場での取引の変化率でいくということでありますから、
稲作の場合をごらんになったとおりでございます。ああいう、基準が全くなくて、後から、補てんされたものを含めて補てん基準
価格を設定する場合の算定の基礎に入れざるを得ないというような、超法規的なものにせざるを得ないということになるわけであります。
ですから、
経営安定対策というのは、ある面ではもう少し長期的に、あるいは補てん基準
価格というものを固定的に見なければ、これが市場に連動するという形をとりますと、極めて市場の
影響は強い。こちらの補給金も市場の
影響を受ける、五〇%でありますけれども。そして、この
経営安定対策も市場の
影響を受けるというのでは、今の
稲作経営が、
北海道は特殊かもわかりませんけれども、全国的な形で、
自主流通米は三割近く下がって、経営に与える
影響は大変な
影響になってきているということを回避することはできない。
ですから、生源寺教授も言っております、
経営安定対策のフレームワークに担い手層を配慮した傾斜的、選別的な要素を組み込むことは、この
経営安定対策では容易ではない、むしろ、これとは別に、担い手の
農業所得を
確保するための
政策が用意されるべきと
考えると。
ですから、今の
経営安定対策は総花的で、これは希望者が加入をすれば、だれでも個別に、自分の積み立てによって補てんできるわけでありますけれども、しかし、これではやはり問題ありと。
稲作は九割補てんとか、担い手層に限ってとかという形をしていますけれども、生源寺教授は、
経営安定対策、
現状のものでは担い手層を全部壊滅的なものにしてしまう、こう述べておるわけであります。
自民党さんの中でも、このことについて
松岡委員会でも検討されておると思いますけれども、
農水省は必ずしも積極的かどうか疑問視せざるを得ない。この点について、やはり
大臣としてきちんとした指導性を発揮していただきたい、私はこのように
考えるところであります。
例えば、高木
農水省事務次官はこう述べております。農産物の
価格政策について市場原理を一層活用すべきである、
価格変動は需給の変動とともに起こるが、担い手層に打撃を与えるのでは今後の
農業生産の担い手を失うので、
価格低落時の
影響を緩和するための所得
確保対策を講ずる必要ありと、これは同じ本で述べております。これは率直な
意見として述べたんですが、私は何も批判するつもりで言っておりません。
同時に、この同じ座談の中で、高木事務次官は、予算について、今の組織を前提では、局長の行動様式は明らかで、自分の局の予算をみずから減らす発想はない、なぜかといえば、組織内の反発を受け、さらに今ある
関係団体から総スカンを食らうことになるからである、したがって、組織再編する時期にやらなければならないというのが、来年の一月から始まる新たな局制になることを言っておるんですけれども、チャンスはそのときしかないと思うけれども、どこまでやれるか自信がない、非常に難しい話だ、こう率直に述べておるわけであります。
枝葉をとるのではなくて、まさに今、公共事業が五割以上になっております。公共事業がすべて悪いというわけでは絶対ありませんけれども、今、世界の流れも
日本の流れも、生源寺教授は、先ほど言ったことがまさに構造改革だ、こうまで彼は述べておるわけです。担い手層に集中して所得
政策を行うこと、集中的にサポートし、
国民全体に利益がこれで還元されることが構造改革型の所得
政策である、こうまで言っているわけです。
ですから、この点について、
農水省の予算についても、あるいは
農水省の
基本的な
考え方も、やはり大きく見直すのは今の時期しかない。このままこういうような
価格支持
政策と
経営安定対策というものをずるずるやって、私は
前回の大豆のときにも言いました、畑作経営全体についての
経営安定対策をまず
最初に
考える、こう農政改革大綱で
農水省みずから述べておるのに、まさに具体化の
方向が全く見られない。個別の
経営安定対策、
法律をつくってそれから
考えるというふうに、
皆さんの御答弁はなっておるんですけれども、そんなものではないと。
農業共済も含めて、
価格補てんに伴う所得補償
対策をどうやって講ずるのか。これは
平成十三年度の大きな
一つの目玉にしていく必要があるというのに、この行き先がまだ見えないというのはやはり問題がある、このように
考えざるを得ないんです。
ですから、
大臣としても、単に直接所得補償をするということではありません。単に農産物の量目に対してこれだけの補てんをするというのは、あくまでも
価格支持
政策でしかありません。牛乳一キロに対してこれだけの
経営安定対策を講ずるというのは、
価格支持
政策の最たるものであります。個別では黄色
政策そのものであります。経営全体をやったときに、果たして緑の
政策になれるかどうかというところにあるんです。
いずれにしても、そういうものも含めて、
農水省の
基本的な
方向というものをやはり見定める時期に今来ておる、このことを大胆に検討を実施していただきたいというふうに思います。