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2000-04-20 第147回国会 衆議院 農林水産委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年四月二十日(木曜日)     午前九時三十一分開議  出席委員    委員長 松岡 利勝君    理事 金田 英行君 理事 岸本 光造君    理事 松下 忠洋君 理事 宮本 一三君    理事 小平 忠正君 理事 鉢呂 吉雄君    理事 宮地 正介君 理事 藤田 スミ君       赤城 徳彦君    麻生 太郎君       稲葉 大和君    今井  宏君       今村 雅弘君    大石 秀政君       河井 克行君    木村 太郎君       熊谷 市雄君    栗原 博久君       塩谷  立君    砂田 圭佑君       園田 修光君    野呂田芳成君       藤本 孝雄君    御法川英文君       望月 義夫君    矢上 雅義君       谷津 義男君    安住  淳君       石橋 大吉君    大石 正光君       木幡 弘道君    佐藤謙一郎君       漆原 良夫君    丸谷 佳織君       中林よし子君    井上 喜一君       加藤 六月君    一川 保夫君       佐々木洋平君    菊地  董君     …………………………………    農林水産大臣       玉沢徳一郎君    農林水産政務次官     谷津 義男君    政府参考人    (厚生省生活衛生局長)  西本  至君    政府参考人    (農林水産省構造改善局長    )            渡辺 好明君    政府参考人    (農林水産省畜産局長)  樋口 久俊君    政府参考人    (農林水産省食品流通局長    )            福島啓史郎君    政府参考人    (食糧庁長官)      高木  賢君    農林水産委員会専門員   外山 文雄君     ————————————— 委員の異動 四月二十日  辞任         補欠選任   麻生 太郎君     砂田 圭佑君   木部 佳昭君     大石 秀政君   北村 直人君     今井  宏君   二田 孝治君     望月 義夫君   長内 順一君     丸谷 佳織君 同日  辞任         補欠選任   今井  宏君     北村 直人君   大石 秀政君     木部 佳昭君   砂田 圭佑君     麻生 太郎君   望月 義夫君     二田 孝治君   丸谷 佳織君     長内 順一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  農産物検査法の一部を改正する法律案内閣提出第五二号)(参議院送付)  農水産業協同組合貯金保険法及び農林中央金庫と信用農業協同組合連合会との合併等に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第六八号)  農水産業協同組合再生手続特例等に関する法律案内閣提出第六九号)     午前九時三十一分開議      ————◇—————
  2. 松岡利勝

    松岡委員長 これより会議を開きます。  内閣提出参議院送付農産物検査法の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、お諮りいたします。  本案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省構造改善局長渡辺好明君、農林水産省畜産局長樋口久俊君、農林水産省食品流通局長福島啓史郎君、食糧庁長官高木賢君及び厚生省生活衛生局長西本至君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 松岡利勝

    松岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 松岡利勝

    松岡委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。栗原博久君。
  5. 栗原博久

    栗原(博)委員 農産物検査法法案提出に際しまして、その策定に御努力されました玉沢大臣並びに農林省の皆様に深く敬意を表する次第でございます。この件につきましては、参議院でいろいろ審議されたようでございますので、かいつまんで御質問させていただきます。  この改正案は、行政改革の一環として、平成十一年四月の閣議決定を受けてこの法律案を見たと思うのでございますが、その改正点の要点について大臣からひとつお聞きしたいと思います。
  6. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 本日御審議いただきます農産物検査法改正案は、まず一つは、行政組織改革行政改革に基づきまして民間能力積極的活用を図る、こういう趣旨でございます。平成十一年四月に閣議決定されました国の行政組織等の減量、効率化等に関する基本計画に基づきまして、農産物検査におきましても、その実施主体を国から農林水産大臣登録を受けた民間検査機関移行するとともに、その業務の適正な運営確保するための措置を講ずるものであります。  具体的に申し上げますと、農産物検査実施主体を、国から、一定検査能力を有するものとして農林水産大臣登録した民間検査機関に改めること、また、登録検査機関の適正な業務運営確保するため、農林水産大臣が、登録の取り消し、改善命令等指導監督を行う仕組みを整備すること、さらには、国は、天災等の場合には臨時特例的に検査業務実施し得ることとするとともに、民間検査体制が整うまでの一定期間におきまして、国が登録検査機関とともに検査業務実施できるよう経過措置を講ずることなどをその内容としておるものでございまして、改正案平成十三年四月一日から施行する、こういうことにしておるところでございます。
  7. 栗原博久

    栗原(博)委員 今大臣の御説明を承りまして、これから行政改革といいましょうか、特にまた民間に可能な限りそういう任務を移譲するということは、時代の的を射たものだと思っておりまして、大変ありがたいものだと思っております。現場におきまして、迅速に、高い技術能力によっての検査がされることをまず御期待いたしたいと思っています。  次に、食品検査あるいは食品の安全の面では厚生省食品衛生法によって所管しておるようでありますし、また農林省は、食料品品質などについて、今の農産物検査法でやはり検査を行うわけであります。つきましては、米の安全性確保の面におきましてちょっとお聞きしたいと思うのでございます。  と申しますのは、私ども新潟県の鹿瀬町で、昨年度、実はカドミが検出されまして、鹿瀬町というのは、水俣病の発生したところであります。その水俣病の発生した水口から近いところに深戸という部落があるのでありますが、ここは高台でありまして、阿賀野川の水とは関係ない地区なのでありますが、そこでカドミウム米が検出された。食糧庁の機敏な調査によりましてそれらの発見がされて、新潟県に通知をし、またそれに基づいて再検査をしたということです。最初は〇・四ppmのカドミウムが稲の穂から見つかった。その後、その収穫された玄米を調査しましたところ、約一・〇〇ppmのカドミが検出されたということであります。  このようなことは一例と思いますが、食料、麦もそうでございますが、米の安全確保の面におきまして、厚生省食糧庁が常に連携を保ってこれらの食料品の安全、我々農家は、いい、おいしい、安全な米を供給しますし、またそれをチェックする食糧庁並び厚生省に対する期待もあるわけであります。そういう中で、米を含む米穀安全性確保について、厚生省そして食糧庁からお聞きしたいと思います。
  8. 西本至

    西本政府参考人 お答えをいたします。  私ども厚生省では食品衛生法という法律を所管しておりますが、この法律に基づきまして、各都道府県衛生部局実施をいたしました米の検査の結果、この法律規格基準違反した米が発見されました場合には、食糧庁に対して迅速に情報の提供を行うということにいたしております。また逆に、食糧庁さんが実施されました米の検査の結果、食品衛生法違反した米が発見された場合には、食糧庁の方から私どもに対しまして情報が提供されているところでございます。  このように、これまでも相互に情報交換を密に行いながら米の安全確保に努めてきたところでございますが、今後とも、連携を密にして米の安全確保に努めてまいりたい、このように考えております。
  9. 栗原博久

    栗原(博)委員 今米が約七十万トン近く外国から実は輸入されてはおりますが、国内米穀などの食料品検査は万全で、食糧庁においては、約九千五百人の職員のうち、これらの検査で三千五百人、特に専従で千九百人おるということです。だけれども、昔に比べたらずっとこれは落ちているので、相当精度の高い技術検査をしていただいていると思います。食品衛生法上は、全国で七千二百十一人ですか、食品監視員がおって、特に今七十万トン近い米の輸入に対しましては、その水際作戦といいましょうか、全国三十一の検疫所食品監視員二百六十四名でその防御体制に当たっているというふうに伺っております。  そういう中で、やはり七十万トンの中にもいろいろ、不良米とか、目で見たものと違ってまた品質の面での不良品もあると思うのですが、そういうことについて、食糧庁並び厚生省におかれては、どのように外国からの輸入の米についてのチェック、そしてまた、それに対して当然検査結果が出ていると思うのでありますが、その違反の件数とか数量、並びにそのものをどのように処理したかということをお聞きしたい。  あわせて、国別に、大体概略で結構ですが、どの国のものがそういう不良的なあるいは食品安全上問題があったかということについて、ひとつ手短に御回答してください。
  10. 高木賢

    高木政府参考人 平成十年度に輸入されました米について、事故品といいますか、適格でないものの数量は千百九十九トンということでございまして、その主な要因は、水ぬれであるとか異臭を発するということでございます。  産地別に見ますと、玄米ではアメリカ産で七百四十七トン、精米では四百五十二トンですが、そのうちタイ産が二百三十三トン、ベトナム産が二百十九トンということでございます。  こういう事故品につきましては、食用に供されないようにするというのが基本方針でございまして、食糧事務所指導監督のもとで、被害の程度によりまして、輸入業者が、加工用飼料用工業用原料ということで、売り渡し先を特定の上処理をするということでございますが、一部使い物にならないものは廃棄をする、こういうことでございます。
  11. 西本至

    西本政府参考人 平成十年の輸入米検査では、八百五十七件のうち、約二・五%に当たる二十一件が違反となっております。重量では約二十八万三千トン中の百八十四トンでございます。  それから、違反になりました米のうちで、一件につきましては、これは九十五トンでございますが、工業用ののりとして食用以外に転用されております。それから他の一件、五十五トン、これは輸出国に積み戻し処分といたしております。残りの十九件、約三十四トンにつきましては、すべて廃棄処分にされたところでございます。  以上でございます。
  12. 栗原博久

    栗原(博)委員 ウルグアイ・ラウンドによって、我々は外米の輸入を強いられておるわけでありまして、これはやはり食糧庁並び厚生省の的確な、厳正検査実施していただきまして、国内に来る米穀については、残留農薬あるいはまたそういったものがないように、徹底してひとつ検査業務に励んでいただくことをお願いしまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  13. 松岡利勝

    松岡委員長 次に、大石正光君。
  14. 大石秀政

    大石(正)委員 民主党からこの食物検査法の御質問をさせていただきますが、大臣大変ごぶさたをしておりまして、時々はみ出るかもしれませんけれども、ひとつお許しをいただきたいと思います。  先ほど栗原さんから御質問がありましたけれども、この法律参議院で先議をされてきたと伺っております。まことに申しわけありませんが、これの改正必要性問題点、どのようなものになっているのか、簡単で結構ですが、再度お答えいただけませんでしょうか。
  15. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 この改正案につきましては、やはり一つは、行政改革趣旨を徹底する、こういうことがございます。したがいまして、国の行政組織を減量し、効率化を図るという観点から、農産物検査におきましても、検査主体を国から民間に移す、こういう点がポイントであると思います。  したがいまして、国が行ってきた検査業務民間に移すという場合におきまして、いかにその公正中立的な検査確保されるかという点がやはり十分検討されなければならぬところかと思うわけでございまして、国民皆さんに安全で良質な食料をいかに確保していくか、こういう観点から、検査が極めて厳正中立、公正に行われるということが大事なところではないかと考えるわけでございまして、こういう点を中心に論議がなされてきたという点でございます。
  16. 大石秀政

    大石(正)委員 そうしますと、今回の民営化の中で問題があるわけでありますが、今まで十分その役割を果たしてきたとの御認識でございましょうか。
  17. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 十分とは何をもって言うかあれでございますけれども、少なくとも、検査体制におきましては、非常に客観的、厳正中立に行ってまいりまして、国民皆さん信頼も得られておる、こういうように評価しているところでございます。
  18. 大石秀政

    大石(正)委員 いろいろ農林省提案をしております概要の中で、この検査法の流れというものがあるわけでありますが、明治初期から昭和初期昭和中期と続き、昭和十五年ごろに現在の食糧管理法が出てきたわけであります。これによりますと、昭和十五年に農産物検査法というものが成立して、それが基本となって今回の検査法が出ているということが書類に書いてあるわけでございます。  そういうことを見ますと、言葉を変えますと、これは戦時法、緊急な措置法ということになるわけでありますが、その辺、食糧庁長官、どのようなものなのか、ちょっと御説明いただきたいと思います。
  19. 高木賢

    高木政府参考人 ただいま先生からお話がありましたように、最初同業組合による県域単位での検査ということでございましたが、その後、都道府県検査移行するということで、昭和九年に都道府県への移行が完了いたしました。  その後さらに、昭和十七年に食糧管理法、まさに戦争中の食糧安定確保ということで食糧管理法ができましたけれども、その際に国営検査が開始されたわけでございます。  これは、今御指摘のありましたように、国が全量買い入れるということを前提といたしまして、いわば国が買い入れるものが適切なものであるかという観点から、いわゆる検収検査と申しますか、国が買うに当たって、適格性があるかどうかという観点から国営検査が始まったものでございます。その後、食糧管理法のもとで、農産物検査、幾つかの改正がございましたが、基本的には国営検査を維持してきたわけでございます。  しかし、食糧管理法食糧法に改められまして、民間でのいわゆる自主流通米制度としても主体として位置づけられる、こういうふうに変化をしてまいりました。検収検査という意味合いも変わってまいったわけでございます。  今回は、まさに行政改革必要性で、民間ができるものは極力民間に移管する、委任する、任せるということで、この提案に至ったものでございます。
  20. 大石秀政

    大石(正)委員 そうしますと、食糧管理法根拠となって、今回の法律がずっと今日まで来たということでありますと、非常に戦時の大変なときに生まれた基本的なものでありますから、今日のように食料が余って大変なときに、現在の検査法というものが一体必要だったのかどうか、その辺はどのようにお考えでございますか、食糧庁長官
  21. 高木賢

    高木政府参考人 先ほどちょっと言葉足らずだったと思いますが、農産物検査国営検査になったというのは、食糧管理法と軌は一にしておりますが、根拠法規農産物検査に関する法律が別にあって、行っているものでございます。  現在の農産物検査法は、原型が昭和二十六年にできておりますけれども、その目的は、「農産物の公正かつ円滑な取引とその品質改善とを助長」するということで、まさに取引当事者間で、要するに、現物を一つ一つ見ないで、いわば規格取引といいますか、規格に合致していれば物を見ないで取引できる、非常に取引迅速化ができるというメリットと、それから生産者にとりましては、どういうものをつくれば高く評価されて高く売れるかという目安になる、こういう意味合いにおきまして農産物検査制度が確立され、今日に至ってきているということでございます。
  22. 大石秀政

    大石(正)委員 そうしますと、その役割は、公正中立で、全国統一規格をもって今日まで来られたということでありますけれども、今回、民間に対するさまざまな新しいシステムの中で、この御趣旨にありますように、民営化というものをやられるわけでありますが、今まで公正中立にやってきた、その必要性はもうなくなったのでしょうか。
  23. 高木賢

    高木政府参考人 検査結果が取引当事者間の公平な取引に非常に重要な影響といいますか、基礎的なものになりますので、やはり公正な検査というものは公平なる、円滑な取引に必要不可欠なものというふうに考えております。
  24. 大石秀政

    大石(正)委員 今までやってきた役割は、統一規格公正中立をもとにしてやってきた、それがこの検査法の一番の大きな柱であるというふうに私は認識しておりますが、そのとおりでよろしいんでしょうか。
  25. 高木賢

    高木政府参考人 まさに全国流通するものでありますから、全国統一規格であるということがまず一つ。それから、それに基づいて判定が公正に行われるということは、これまでも重要なポイントでありましたし、今後も重要なポイントであるというふうに思います。
  26. 大石秀政

    大石(正)委員 そうしますと、その一番大事なもとをして、今回の民営化という問題の中で取り組んでいらっしゃるわけでありますけれども公正中立基本としてあくまで民営化をやっていくということには、きちっとそれは柱として今までどおり変わりなくやっていかれる方針なんでしょうか。
  27. 高木賢

    高木政府参考人 民間に移管されるということで、基本的な仕組みというのは確かに一部変わります、実施主体。しかし、それが公正に行われるように担保しなければいけない。そういう意味で、民間にはまさに検査実施業務を移管いたしますけれども、その移管された業務が公正、的確に行われるような担保措置というものが、この改正案におきまして、例えば業務規程をあらかじめ届け出て、不都合であればこれの改正を命ずることができる規定とか、業務が仮に不都合であった場合には改善命令だとか業務停止命令、そういう措置ができるようにするとか、いろいろな公正、適正なる検査担保するための措置を入れ込んだ上で民間移行ということを提案しているわけでございます。
  28. 大石秀政

    大石(正)委員 信頼性確保ということを基本におやりになっているということでありますが、今まで私ども認識している部分は、検査員はできるだけ関係のない地域信頼性が保てるように、人の関係のある地域をわざわざずらして必ずやってこられました。それが信頼性につながってき、食糧庁がやっているという一つの大きな柱のもとでやってきたわけですね。  それが、今回、民営化の中で、信頼性確保するという中で、お話によりますと、農協とか第三者機関中心にそれを移管していくという方向で話を伺っておりますが、そのような方向信頼性が保てるとお考えでございましょうか。
  29. 高木賢

    高木政府参考人 民間検査実施業務を移管するという場合に、現実に民間として想定されるものは、多分農協が相当部分を占めるだろうと思います。もちろん、これは登録制度ということでございますから、一定の要件を備えればその他の法人でも、あるいはそのために協業体が法人成りをするというようなこともあり得るかと思います。しかし、現実問題としては農協が相当な部分を占めるであろうという想定のもとに、この新たな制度提案しているわけでございます。  今御指摘のように、農協生産者が組織する事業体でありますし、組合員である生産者のために事業を行う、こういう性格のものでございますから、それは一方に偏することになるのではないかという御疑念が呈されるのはある意味では当然のことかと思います。ただ、同時に、組合は、農業者の利益のためにきちんと取引の相手方に信用を得なければならない、きちんとしたことをやらなければならない、そういう立場にもあるわけでございます。  この新しい検査法案におきましては、やはり登録検査機関ということで、検査を行う上では公正な検査が行われるような担保措置が必要だというふうに考えておりまして、さまざまなそのための措置を具体的に法文の中に盛り込んでございます。  まず、一番大きなものは、農産物検査員としての職員は、公正、誠実に検査業務を行わなければならないということを二十条二項にうたってございます。  それから、研修を行うということで予定しておりますけれども、その中でもやはり、仮に不適正な検査を行った場合には、その所属する農協あるいはその産地全体に御迷惑をかける、信頼を損なう結果になるんだということの周知徹底を図りたいと思っております。  それからまた、現実問題として、国は、検査をする人につきまして、農産物検査員の氏名を登録台帳に記載いたしまして公示をするということで、客観的に、だれが検査員であるかということを明らかにする。そして、本人さんには、登録台帳に記載されたということを証する書面、登録証とでもいいましょうか、そういうものを本人に交付をいたしまして、自他とも農産物検査員である、公正かつ誠実に職務を行うべき検査員であるということの認識を徹底させるように措置することにいたしております。  仮に農協職員農産物検査員として不適正な検査をやったという場合には、先ほども申し上げましたが、業務改善命令、つまり、業務改善の中身といたしましては、その検査員はもう検査には従事させてはいけないという命令を含みますけれども業務改善命令を行う。そして、さらにそれに違反した場合には、業務停止を命ずる。そして、さらにそれを聞かないというときには、いよいよ最終的な担保としては、役員、職員に対しての罰則の適用ということを用意してございます。  こういう仕組みを通じまして、農協職員が仮に行った場合にも公正な検査実施させる、それから、農協の行う検査に対する信頼確保する、こういう措置を新しい法案におきまして規定をしているわけでございます。
  30. 大石秀政

    大石(正)委員 信頼性確保に対して大変な御努力をされていることはよくわかるわけであります。実は、参議院議案審議中に、いろいろ読ませていただきました中で、要するに、公務員法という規制の中で、検査員自分に直接の大変厳しい罰則が課されるということを前提に置いてあるわけでありますが、今回、一般民間人農協職員となりますと、そういう罰則規定がはっきりしないということを、私はその参議院での審議の中で読ませていただいたわけであります。それが、石井議員質問がまだ途中で、審議未了になっているわけでありまして、それ以降食糧庁として御検討されたのかどうか。  まずその点が一つと、もしそれだけの信頼確保するならば、私ども地元農協職員を見ておりまして、やはり各産地間競争が非常に激しい。例えば宮城県で見ても、県内の農協単位の問題もあるし、岩手県や、大臣もよくおわかりでしょうに、秋田県やさらには青森県、山形県と、それぞれ産地間競争が激しいわけであります。とすれば、今まで検査員がやっていたように、自分たちが担当している地域検査をしないという基本のもとに、宮城県の職員宮城県の米を検査せずに山形とか岩手とか、逆にずらすような、そういうような仕組みというものは考えられないんだろうか。今まできちっとそこまでやってきていながら、民間に移すという形の中で、いとも簡単に、自分たちの生産する米は自分たちの組織する組合に任せる、そういう部分でおやりなのか、それとも、そこまで踏み込んできちっと信頼性確保することをやられるのか、その辺、ちょっと私ども、わからないので、どのようにお考えか教えていただきたいと思います。
  31. 高木賢

    高木政府参考人 参議院で石井委員からお尋ねのあった点につきましては、その後さらに私どもも精査をいたしまして頭の整理をいたしました。そのときにちょっと御説明が不十分だった点もございますので、改めて申し上げます。  まず、罰則のあり方につきましては、法務省、まさに刑事局などの政府部内において、ほかの法令の罰則との整合性にも十分留意をして御提案をしたものでございます。  どういう考え方でやっているかといいますと、最近の立法例によりますと、つまり、検査関係の立法例ということでございますが、例えば、液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律あるいはガス事業法というものがございます。これは、安全のために検査実施する、民間の人が検査実施する、こういう法律でございますが、その民間検査をやる検査員の人が不適正な検査を行った場合に、直ちに検査員に直接罰則を適用するということではなくて、検査員業務従事を禁止するなどの業務改善命令を行う、それから、その検査員を含めましてその法人全体の業務停止する業務停止命令を科する、そして、そういう上で、それを実行しない場合に最終的な担保措置として罰則を適用する、こういう考え方が最近における立法例でございます。  JASについて直接の罰則があるという御指摘がございました。これは、昭和二十六年のJAS法ということでございまして、むしろ、その後の立法例では、今申し上げたような立法例が最近の傾向といいますか流れであるというふうに判断をいたしております。そういう流れの中で、農産物検査法につきましても、液化石油ガスあるいはガス事業法、こういったものの立法例に倣いまして罰則を整理したわけでございます。  罰則の整理の考え方は、仮に検査員が不適正な検査あるいは表示を行った場合には、検査員業務従事を禁止する内容の改善命令を出す、改善命令によっても是正が図られない場合には、法人の業務の全体を停止する業務停止命令を出す、それでも言うことを聞かないという場合に、最終的な担保措置として、法人の役員あるいは職員、役員と職員両方もあり得ますけれども罰則、一年以下の懲役ないしは百万円以下の罰金ということで、最後のところで罰則を適用するという仕組みによりまして、検査員の公正かつ適正な業務実施担保するということでございます。  重ねて申し上げますが、今のような考え方で、法務省など関係省庁と合意を見たものでございます。  それから、検査のあり方として、産地競争とかそういう問題を起こさないかということがお話にございました。先ほど先生からも御指摘ありましたように、戦前の府県営検査というのは物差しが各機関で異なっておりました。そうしますと、全国流通のものとしてはこれがなかなかうまく流れない、必ずしも適正な流通にもならない、こういうことでございますが、まさに今回提案してございますのは、国が検査規格検査方法を全国統一的に定めるという点に、新しい段階での意味があるというふうに思っております。  それから、地方公共団体ではなくて国が全国的に一定のレベルを確保するために、国としての業務改善命令とか立入調査あるいは検査をする、指導監督を行う。地方公共団体でなくて国が統一的に指導監督を行うという点におきまして、一段階、戦前とは異なったものになってきているというふうに考えております。
  32. 大石秀政

    大石(正)委員 何か今のお話ですと、ガス検査法と同じような仕組みで、法的には何も問題ない、それはそうだと思います。私も、実は三年数カ月ちょっと浪人をしておりまして、実際に自分が中央で政策をやっているときと、現場に帰ってみてその違いを肌で非常に感じてまいりました。大臣は同じ東北であり、農家の考え方と意識というもの、法律とのずれというものを随分御認識でいらっしゃると私は思うわけであります。  現実に、法律でこうだから、それぞれの民意が必要だという中で、私は、今のお話を聞いていれば、何も検査はそんな人がやらなくてもいいような感じ、ガス法でやる検査ならば機械検査で十分だと私は思うのですね。書類によりますと、これは機械検査もする、補助的にやるということでありますが、五年間でそれを調整するのであれば、私は、自動的に機械で検査して、等級なんかやめてしまって、むしろ標準米とその他ということにしてやった方がよほどむだを省いて民営化に役立つような感じがしてならない。  そしてまた、お話をしていますと、法律的には確かかもしれないけれども、農家の人たちが、この検査に対する意識と同時に、この検査が、今カントリーエレベーターや、一俵一俵のあの手間の中で一々袋を刺して、そして取って、さらにまた、穴があいた部分をわざわざ紙を張っているという手間を考えれば、五年間かけてやるのであれば機械検査で十分なものだと私は思う。そして、その食料も、そんなに厳しく検査しなくたって、今は安定して十分余っているわけでありますから、むしろ基本的な形をやっていけば十分じゃないかと私は思う。さらに、検査員が千九百人、臨時的にやられる、そういう形があれば、むしろ、検査員を今から指導してむだなお金をかけるよりも、今の検査員第三者機関移行するなり、逆に検査員農協に出向させてその分をやりながら、やはり将来の機械検査移行するためのむだを省いた形の行政改革をやった方が、よほど合理的であり、透明感があり、正しいような感じがしてならない。  私の考えは、農家をある程度肌で感じてきてここに戻ってきて、今感じるわけでありますけれども大臣はそんなような感じはお持ちになりませんでしょうか。
  33. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 どういうふうに公正中立なものを確保するかということが大事ではないかと思います。  例えば、かつての場合は、国が全量買い上げて、消費者にもそれを売る、こういう過程を経ておったわけでありますから、国の検査員検査をするというシステムは非常に動きました、大事になっておりました。しかし今度は、自主流通米等銘柄ごとに市場において判断されるという場合におきましては、やはり国の管理とは違う要素がここに加わったのではないか。したがって、それぞれの銘柄米がこれほどいい米ですよというような形を、つまり証明をして、市場に出して、それが正当に評価されるということにおきまして値段がついていく、これは私は大事なことではないかと思います。  したがいまして、もしでたらめな検査等をやっておりますと、その産地は全くでたらめな表示でありますから、信用性というものがなくなってしまう、こういうことになるわけでございます。そこが、自制をしてよりよきものをちゃんと表示していくということにつながっていくのじゃないかと私は思います。  それで、今委員がおっしゃられましたように、宮城県の検査員山形県にといった場合は、今度は、産地競争で相手側の方を低く評価するというようなことがあったりしては、逆なことになるのではないかと考えるわけでございます。民間検査をするといった場合は、民間の、市場で評価されるということも裏打ちとしてあるわけでありますから、やはりしっかりとした検査をしなければ信用が得られない、こういう面が今回の場合は大いにあるのではないかということを考えておるところであります。
  34. 大石秀政

    大石(正)委員 確かに信頼性確保というものは、何十年も食糧庁が努力をしてきたわけでありますから、検査員の努力をやはり評価をして、それが一つでも間違えばすべてが崩れていくわけでありますから、それを守るというのは私は必要だと思う。だから、第三者機関でやるというのも一つの方法じゃないかと思うし、今大臣がおっしゃった品質、それは、実際に検査法では基準を決める、一級、二級というのですか、一等、二等というだけの話であって、それ以上のものは、食味とかそういうものは、味というものは別なところで決まっていくものだと私は思っているのですね。  例えば、天然乾燥した米や無農薬米とか、我々に随分あります。その付加価値性は何も米の検査であらわれる問題じゃない。米の検査は最低の基準を決めればいいだけであって、それ以上は皆さん、それぞれ農家なり個人的に一生懸命やっているだけであって、等級の話とは別な話じゃないかと私は思うのですね。  だから、まずどうやって統一規格をやって、まず基本的なベースの信頼を保つかということが一番であって、それ以上の、米が流通でどのくらい高く売れるか売れないかは、それぞれ販売会社や農家の皆さんの生産の努力につながってくると私は思うんです。  私ども地域でも、やはり米の検査をせずに直接販売している農家があります。そして、その人たちは、自分たちが直接消費者とぶつかり合いながらやっているけれども、メリットは多いけれども、逆にちょっとでも失敗すればデメリットがあるわけですね。そういう個人的な経営をやっている方が非常にいる。そういう人たちを初め、これからは農家が少しずつ、米だけじゃなくて、いろいろな産物、また畜産でも幅を広げて、それぞれ共同してやっていくという形になってくると、どうしても法人化という問題が生まれてくるわけですね。  それがこの検査の中でどういう影響を及ぼすのかという問題も、やはりそれなりに不安を持っている農家がいると思うんですけれども、そういうものはどういう影響があるのか、私はわからないので、関係があるのかないのか、その辺をちょっとお答えいただければと思うんです。法人化というと、長官か、それとも構造改善局になるのですか。
  35. 渡辺好明

    渡辺政府参考人 農業経営の法人化の問題は、基本法の二十二条の中にも位置づけをされておりまして、これからも進めていかなければならないと思っております。  法人化という場合、特に米などの場合ですと、土地利用型農業ですから、農業生産法人ということになります。農業生産法人は農地法の中に位置づけをされておりまして、農地法の第一条の「土地の農業上の効率的な利用を図る」というところから、農業生産法人制度というのが第二条にできているわけでございます。したがいまして、各種の要件がございますけれども検査を受ける、受けないというのは、農地法との関係においては関係がないというふうに思われます。  ただ、法人経営は大きくなりますと、やはりみずから出荷をする品物について均一化を図るとか、何らかの形でそこに対して第三者から、公的といいますか、保証、グレードについてギャランティーをする必要がございますので、そういう点では、法人というのはやはり積極的に、検査といいますか、そういうグレーディングに参加をしていくというふうに私自身は考えます。
  36. 大石秀政

    大石(正)委員 農家の皆さんもいろいろ努力をしているわけでありますが、精米表示が平成十三年四月一日から変わるということが書類に出ておりました。これ以降、今までたしか六十キロ五十円ぐらいの手数料で検査をされているように思っているわけでありますが、もし新しい仕組みになって検査をやった場合、例えばカントリーの検査とか、また一袋当たりにするのかどうか、それは別にして、仕組みが随分変わってくると思うんですね。  そうしますと、第三者機関でやった場合に、今までの手数料が上がる傾向が生まれるのだろうか。農家が実際今、とにかくいろいろな面で、農薬も含め全部上がって大変苦しい。だけれども、一方、米の価格は下がりぎみであるという中で、減反が三割という我々宮城県で考えれば、三年に一年はただ働きという現実の中で、やはり何かもっと新しい方法を考えてやらなきゃならぬ。できるだけ農家の手取りが残るように、必要経費をできるだけ減らしてやるというのが我々政治家の役目であり、食糧庁の役目だと私は思うんですね。これが、もし流通がもっともっと進んで米がもっと売れるようになれば、それはいいことかもしれません。しかし、そういう面で、手数料や経費等を含めたそういう歯どめを一体かけられるのか、それともかけるつもりがないのか。その辺、ちょっとお教えいただきたいのです。
  37. 高木賢

    高木政府参考人 検査手数料の問題でございますけれども民営化後におきましても検査業務の内容は基本的には現行と同様のものになろうかと思っております。ただ、今先生もおっしゃいましたが、検査規格につきましてもこれから見直しをしていかなければならない、やはり必要最小限のものにして、関係者の御負担を軽くするということは必要なことだと思っております。  ただ、これは生産者と流通業者の取引に及ぼす影響が大きいものですから、やはりここは関係者の意見を十分聞いて合意を見ながら、検査規格の見直しをしてまいりたいというふうに思っております。したがいまして、検査業務が今より重くなるといいますか、複雑になるということではございませんので、検査コストが上がるという見通しはございません。  それから、十三年四月一日から五カ年間で移行するということでございますが、この五年の間は国の検査民間検査が併存する形になります。国の手数料は、今お話がありましたように、米の場合一俵五十円ということでございますが、これを変えるつもりは持っておりません。したがいまして、移行期間中におきましては、国の検査料が民間検査手数料も規定することになるというふうに見ております。  それから、長期的に見ますと、これまでずっと、検査場所の集約とか、今お話がありましたように、カントリーエレベーターにおける検査ということで、かなり合理化がされております。今後とも、当然、カントリーエレベーターなりの流通合理化施設というものは、全国的にさらに推進をしていくべきものでありますし、それから、検査場所の集約化ということも全国的にやっていくということで、長い目で見ても検査コストというのは低下の方向に向かうべきものというふうに考えております。
  38. 大石秀政

    大石(正)委員 わかりました。  ちょっと別な方向からお話をさせていただきたいと思います。実は、私は中国問題を長年ずっとやってまいりました。そして、谷津政務次官もここにいらっしゃいますけれども、中国研究会という、中国と日本の若手の政治家が交流して、二度とああいう戦争を起こさないような平和をやろうということでいろいろやってきたことがあります。この一環で、日中食品流通委員会という日本と中国の流通の仕組みがありまして、私も当時、日本側の顧問としてしょっちゅう会議に出させていただいていたわけであります。私もしばらく留守にしておりまして、今は顧問ではないと思いますけれども、そういう仕組みが今現在どのような仕組みになっているのか、流通局長、わかればちょっと教えていただきたいと思うんです。
  39. 福島啓史郎

    ○福島政府参考人 今、先生からお話のありました、日中両国の食品流通開発に関します民間交流を目的としまして昭和五十九年三月に設立されました、当時日中食品流通開発委員会と呼んでおりましたが、現在、日中流通産業発展委員会というふうに名前を変更しておりますが、そこでいろいろな実績を上げてきたわけでございます。  例えば、昭和六十一年には北京での日本食品総合技術展覧会を開催する、平成元年から平成三年にかけまして、東北三省におきます穀物流通システム近代化調査を実施する、また、平成四年から九年にかけましては、モデル卸売市場建設調査、そういった形で食品流通開発の分野におきまして大きな実績を上げてきたというふうに承知しているわけでございます。  しかし、最近におきまして、相手方の中国側におきまして行政改革が進んでおりまして、中国側の体制の見直しが進行中であるということで、具体的なプロジェクト等への取り組みが一時中断しているという状況と聞いております。  しかし、先ほど申し上げましたように、日中流通産業発展委員会を通じました民間交流に対しましては、特に中国の食料あるいは農業開発を進める上で、中国側から期待が非常に大きいわけでございます。したがいまして、この委員会におきまして、中国側の体制整備の状況も踏まえながら、食品流通開発分野におきますプロジェクトや条件整備など民間交流を推進していく方針でありまして、農林水産省としても、そうした委員会の活動につきまして、必要な助言指導あるいは支援を行っていきたいというふうに考えております。
  40. 大石秀政

    大石(正)委員 中国は大変な穀物の生産市場でありまして、日本の何十倍という生産をしているわけであります。そして、その流通は、御存じのように、確かに合理的にやっている部分が非常に少ない、むだも結構多いという話をいろいろ聞いております。今現在、中国の穀物の生産量というのはどのぐらいのものなのでしょうか。
  41. 福島啓史郎

    ○福島政府参考人 約五億トン程度というふうに承っております。
  42. 大石秀政

    大石(正)委員 そのうち、穀物は小麦と米等いろいろあるのでしょうけれども、実は日本の米のかなり品質のいいものが満州や中国地方でいろいろ品種改良されて、指導されているという話を聞いておりますが、どういうような品種か、一体どの程度そういうものがされているのか、おわかりでしょうか。
  43. 福島啓史郎

    ○福島政府参考人 詳しい話はちょっと資料を調べてみる必要があるわけでございますけれども、新しい品種といたしましては、日本からの米の品種を改良したものも栽培されているというふうに聞いております。
  44. 大石秀政

    大石(正)委員 余りお調べじゃないんですね。中国では、北海道のきららがかなり品種改良されているということを私は聞いております。特に、満州地域は、北海道地域と非常に似ていて、日本のきららよりもいい品種のお米ができているという話も随分いろいろな方から聞いておりますけれども、そういう話は余り入っていないんですね、局長の方には。  現実に、今、この食品流通でやっているのは冷凍食品中心にやられてきたはずでありまして、中国の冷凍食品の市場は急激に広がってきた、こう私は聞いております。そして、そういう顧客も、かなり高所得の方々が冷凍食品を買っている。それを日本に輸出しているという部分もあるわけでありますが、実際に、米そのもので日本に中国から輸出されている実績というのはどのくらいあるんでしょうか。
  45. 高木賢

    高木政府参考人 中国からのミニマムアクセス米の輸入数量は、平成十一年度におきまして、七万六千五百トンということでございます。
  46. 大石秀政

    大石(正)委員 日本が米を輸入する総量のうちの何%になるんですか、中国は。
  47. 高木賢

    高木政府参考人 一一・七%でございます。
  48. 大石秀政

    大石(正)委員 そうしますと、この輸入に対する検査というものは、どういう検査をされて輸入を認められているんでしょうか。
  49. 高木賢

    高木政府参考人 三段階に分かれておりまして、現地で荷を積み出すときにいわゆる積み地検査というものをやります。それから、サンプルにつきまして、空輸をしてまいりまして、それを検査いたします。それから今度は、現実に日本の港に着いたとき、これは、厚生省さんが食品衛生法に基づいて検査をするということでございます。
  50. 大石秀政

    大石(正)委員 それは、中国だけじゃなくて、アメリカや各地も一緒でございますね。
  51. 高木賢

    高木政府参考人 これは各国共通でございます。
  52. 大石秀政

    大石(正)委員 としますと、実際に検査をする、厚生省担当かもしれませんけれども、日本が、日本の米の検査をする部分と、実際に輸入米検査するのと、どの違いがあるんでしょうか。
  53. 高木賢

    高木政府参考人 農産物検査法に基づく検査は、内外、国産のものも、先ほど来お話があったようにやりますし、それから外国のものもやるわけでございます。これはいわば品位等の検査でございまして、今申し上げた三点は安全性という観点からのものでございます。ですから、外国産につきましては、両方が行われるということでございます。     〔委員長退席、松下委員長代理着席〕
  54. 大石秀政

    大石(正)委員 同じようなやり方でやっているわけですね。  先ほどの話に戻りますけれども、これからますます輸入量がふえざるを得ない、ウルグアイ・ラウンド、ガットの問題で出てくるわけですね。とすると、これからの検査をする中で、要するに、それを別々にやられているんでしょうけれども、統一しておやりになる考えというのはないんでしょうか、一括で。
  55. 高木賢

    高木政府参考人 まず、輸入量でございますが、これは、ガット・ウルグアイ・ラウンド合意で定められた輸入量を輸入するということでありまして、それ以上に輸入するつもりは方針として持ってございません。それがまず前提でございます。  それから次に、検査の統一の問題でございますが、いわゆる農産物検査ということで、品位等がどうであるかという検査と、厚生省さんがメーンでやっております安全性検査というものは、検査の内容といいますか目的と、やっている分析等の内容が違いますので、これは一緒にというわけにはいかないと思います。ただ、それぞれやらなければいけないことはやらなければいけないということでございますから、両方をやるということですが、一つの行為で二つを兼ねるというわけにはいかないと思っております。
  56. 大石秀政

    大石(正)委員 基本的な検査は一緒だということでございますね。  それで、実際に、これからますます世界じゅうから食品が日本に入ってきます。日本の米は一定の季節ですけれども、世界じゅうで食料生産しているわけでありますから、それが入ってきたり小麦が入ってきたり、ますます日本の輸入量というのはふえてくるわけですね。そうしますと、その輸入に対応するためのシステムもさらに充実しなきゃならないし、また、諸外国に対して同じにしていかないと、日本国内のチェックと外国から来るチェックを別にしたのでは国際問題になってくるわけで、そういう点では、国内検査法という部分は簡素化しても、外国検査法部分というものは今までどおり検査員検査をするのか、それとも厚生省にまるっきり預けてやるのか、そういう部分は整理されていらっしゃるんでしょうか。
  57. 高木賢

    高木政府参考人 食品衛生の問題は厚生省の所管でございますので、貨物の到着時に行うものは厚生省が行うということでございますが、食糧庁はそれにプラスして、現地での、積む際の積み地検査というものと、船積み時に採取したサンプルにつきまして、安全性検査をプラスしてやっているということでございます。そのほか、品位等につきましては、国産のもの、外国産のものを問わず同じように検査をしているということでございまして、いわばそれが積み重なった形で検査をしているということでございます。
  58. 谷津義男

    谷津政務次官 ただいま大石先生、輸入がこれからだんだんふえてくるというおっしゃり方をしておるわけでありますけれども、この点につきましては、WTOとの交渉がこれから始まるわけですね。そういう中で輸入の問題というのが議論されてくるわけですが、ふえてくるという前提のもとでの話は、私は間違っていると思います。これからそういった面で、私どももしっかりとその辺の国益を守りながらやらなきゃならない点がありますものですから、ひとつ誤解のないようにお願いいたします。
  59. 大石秀政

    大石(正)委員 いや、私の、ふえるというのは言葉が足りなかったんです。米だけということじゃないんです、食料がふえるということなんですね。世界じゅうから食料輸入がますますふえてくるということで、米と限定したわけじゃないので、それは失礼いたしました。私は……(谷津政務次官「それはすべてを含めてそういうことです」と呼ぶ)はい、わかりました。  ただ、検査法という部分の中からすれば、やはり、厚生省農林省とが別々にやるということではなくて、民営化されて、合理化されるんだから、この際、検査は一括でやるべきだと私は思うんですね。何十年も努力してきた検査員が千九百人もいて、その人たちをどんどん減らしていくわけですけれども、やはり厚生省と話をして、民営化をもっと合理的にやる必要性がある、これでは、ただ形を変えるだけで本当の民営化になっていないような感じが私はするんですけれども大臣、そう思いませんか。
  60. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 もう一つの視点は行政改革という趣旨ですから、その面も評価して、民間検査をゆだねる、こういうことでございます。したがって、問題は、やはり民間において公正中立検査が実質的にどのように確保されるか。そういう場合におきまして、例えば食糧庁におきましては、全国の統一的な基準とか指導を徹底するということが大事だと私は思います。
  61. 大石秀政

    大石(正)委員 私、先ほど質問した中で、まだお答えいただけない部分がありますので、ちょっとお答えいただきたいと思います。実は、検査員がいろいろやっている中で、第三者機関、もちろん、皆さんがおっしゃるのは、農協とかそういう機関をいろいろ指導をしていくということでありますけれども、私は、その検査員を指導してむだな経費を使うよりも、逆に、今いる人たちを少しずつ減らしていって、できるだけ機械化、合理化をしていくという方向でやった方がむしろ行政改革に合っているのではないか、私は先ほどそう質問いたしました。そして、その部分の過渡期は、やはり実際に検査官が、各農協を合理化して、結局一カ所に集めて合理的に検査をしていくという食糧庁長官の話でありますから、私はその部分で十分足りるのではないかと考えるんですけれども、その部分に対してまだお答えをいただいていないんです。その辺はどういうふうにお考えでございますか。
  62. 高木賢

    高木政府参考人 農産物検査官につきましては、十一年度末で三千四百七十五人が任命されております。そのうち、約半数の千九百人が検査業務に専業的に従事している人でございます。  これらの人につきましては、民営検査ということで移行いたしますと、完全に移行した暁には国が行う検査実施業務がなくなりますので、その部分の削減というのは不可避ということになります。  ただ、一方で、先ほど来言っておりますが、民営検査指導監督などの業務は必要でございます。端的に申し上げますと、指導監督に必要な人以外の検査に専業的に従事している人、これが削減可能な数ということに機械的になるわけでございます。ただ、現実的には、意に反して首にするとか免職にすることは国家公務員法上困難でございます。今先生からお話のありましたように、退職した後補充しないというような形で徐々に削減を図っていく、こういうことになろうかと思います。  それから、全体の食糧事務所のあり方、定員につきましては、食糧事務所が本来やるべき米あるいは麦の需給、価格の安定の業務、こういったものを柱にいたしまして、そのほか、食糧事務所がやるべき業務というものの的確な推進ということも考慮に入れまして、これから第一次定員削減計画というものが策定される予定になっておりますけれども、農林水産省全体の定員のあり方の一環として検討をしていきたいというふうに考えております。  それから機械でございます。機械につきましては、現在、開発を進めております。ただ、このうち一番求められているものが穀粒判別機でございます。現在、市販されておりますこの穀粒判別機は、米粒に光を当てて、整粒であるか被害粒であるかというものを判別するということでございますが、現状は、残念ながら、まだ精度が低いという状況でございます。  したがって、これの精度を上げなければいけないということで、平成十一年度からこの開発に向けて取り組みを始めました。十三年度に検査現場での実用化試験を行うという予定にしておりまして、平成十五年度からは本格的導入を目指しております。  ただ、機械ですべて置きかえられるという状況にはございません。やはり銘柄というものは、機械でやるというのはなかなか難しい。それから、いつとれたか、こういうようなものはやはり機械では難しいということでありまして、その産地におきまして、肉眼による判定というものが必要だというふうに考えております。
  63. 大石秀政

    大石(正)委員 今企業も機械化でいろいろな鑑定や選別、流れ作業で細かい電子産業まで全部機械化されて合理的に検査をされていますね。今お話しのように、確かに、米検査員がいらしたから何も機械はそれほど必要性がなかったわけですね。しかし、現実に行政改革の中で、機械化を進めて合理的にやっていかなければならないということの御努力は、当然していただかなきゃならないわけであります。  私は機械というのはよくわかりませんけれども基本的には、機械は、人間がソフトを入れて、例えばササニシキとかコシヒカリとか何年産というもののデータを入れて初めて機械が動く。コンピューターもそうだと思うんですね。それを機械が選別できないというのは、要するに、入れるソフトのデータがしっかりしていれば何も、機械判別ができると僕は思うんです。ただ、それをやるかやらないかの意識の違いじゃないかと思うんですね。  今、行政を減らしてどんどん合理化しようとしている。そして、さっきお話ししたように、農林省役割厚生省役割が違うという。しかし、それぞれ省庁統合をもう既にやろうとしている中で、これから五年間かけてこの検査業務の合理化をやるならば、私は、今の方向性に合っていることではないかと思う。それをあえてしないで、目の検査が必要だということは余りにも逆行しているような感じがしてならないんですが、大臣、そうお考えになりませんか。
  64. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 民間移行することによっての効果は、やはり、より効率的な検査をするものと思われます。  そういう場合におきまして、今食糧庁長官の方から言いましたように、精度の高い機械であればできるだけ機械を使って、人手を使わないという方向で適正な検査をするものと考えられますので、むしろ、国がやっているよりも民間の方がより効率的な方法で行うことを模索していくんではないか、こう考えますので、精度の高い機械があればそれを導入してやっていく、こういう体制になるものと考えられます。
  65. 大石秀政

    大石(正)委員 民間は多分コストで全部物事を判断すると思うんですね。ですから、手数料が上がれば当然努力もしない。手数料が上がらなければ、できるだけ合理化をして、機械化をして、経費を少なくして手取りをふやしていくという問題がやはり生まれてくる。とすれば、今大臣がおっしゃるように、できるだけ機械化をして、合理化をしていくのは民間の方がより前向きであれば、今まで、戦後ずっと検査官が努力をして、全国統一信頼確保してきたものをこれから維持するためには当然そういう努力をさせる監視の目をやるべきであって、検査員をふやすための指導の監視よりも、むしろ科学的な合理性と、その透明性を高める努力を食糧庁が進めるべきじゃないか、それが現実に合っているんではないかと私は思いますが、間違いでしょうか。
  66. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 いや、間違いじゃないと思います。なかなか立派な御意見だと思います。
  67. 大石秀政

    大石(正)委員 私は、行政改革の中でこういうことをやってはいけないと言うのではなくて、こういうことをやることは非常にいいことだと私は思っているわけであります。ですから、農家の皆さんがこの検査という方法の中で、戦後、どこかで非常に引っかかっている部分が今まで随分あった。それが、これだけ食料がふえて、さらに米も余っている時代の中で、そういう手間をできるだけ減らして、農家の皆さんがもっともっといい米を自由に流通して、流通がもっと盛んになるようにするためにこの検査業務というものをもっと合理化するべきだ、もっと事務的にするべきじゃないかと私は考えて、御質問させていただいたわけであります。  そういう意味において、それぞれ、北海道で努力する農家もいるし、東北で努力する農家もいる。しかし、全国統一規格の中で当てはめる部分はもうできるだけ少なくして、前向きで行政を進めていく。そういう行政改革を進めることこそが、農業のさまざまな意味での失地を挽回して、より新しい産業として生まれ変わり、少しでも前向きに農家に意欲を持たせることが必要なことではないかと私は思って、いろいろ御質問させていただきました。  大臣にも御誠意のあるお答えもいろいろいただいたわけでありますが、最後に、今大臣お話しのように、前向きでやるという姿勢と同時に、できるだけその機械化、合理化を進める努力と、さらには、できるだけ民間人への移行を少なくして、今の検査員の中で賄えるようなシステムをぜひ検討いただいて、そして、第三者機関に余りこだわることなく合理化をして、六十キロ当たり五十円におさまるような一つの節度を持った、何か枠をはめるようなことをお考えいただければ大変ありがたいと思うのです。最後にひとつ御所見をいただいて、終わりたいと思います。
  68. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 民間移行することのもう一つのメリットは、やはり、必要なときに必要な検査、きめの細かい検査が行える。国の場合はとかく、少し機動性に欠けるというところもあったかと思うわけでございます。より積極的に、行政改革趣旨民間移行することにおけるメリットというようなものも評価していただきまして、今委員が言われましたように、検査料というものも、ただただ上げるんじゃなくして、これは現行どおりやりながらやっていく。  それからまた、より専門的な知識を有する者が今食糧庁におるわけでございますから、そういう検査員の方々、また今までも、OBの方々も有効に、この検査業務にそれぞれ協力をしてきたという例もあるわけでございますから、専門的な知識がそれぞれ生かされるようにしていくということは非常に大事なことだと思います。
  69. 大石秀政

    大石(正)委員 いろいろ御所見を大臣からいただきまして、ありがとうございました。  以上をもって、私の質問を終わらせていただきます。
  70. 松下忠洋

    ○松下委員長代理 次に、漆原良夫君。
  71. 漆原良夫

    ○漆原委員 公明党・改革クラブの漆原でございます。よろしくお願いします。  まず、本改正案改正趣旨についてお尋ねしたいと思います。本法案は、行政改革及び規制緩和の一環として農産物検査業務民営化しようとするものであって、私ども基本的に評価したいと思っております。  本法案提出に至る経過を若干振り返ってみたいと思います。平成八年十一月、行政改革会議が政府に発足をして、行政機構の減量が課題として取り上げられて、行政のスリム化、民間能力の活用の精神が議論をされました。平成九年十二月、行政改革会議最終報告が取りまとめられまして、その中で、「食糧検査等については、積極的に民営化民間移譲を検討する必要がある。」とされたわけでございます。  十一年一月、政府の中央省庁等改革推進本部は中央省庁等改革に係る大綱を策定しまして、その中で、「農林水産省の食糧事務のうち、食糧検査について民営化する。」と決定をされました。そして、平成十一年四月、政府は、国の行政組織等の減量、効率化等に関する基本的計画を閣議決定しまして、その中で、「農林水産省の食糧事務のうち食糧検査については、民営検査への移行に向けて所要の法的措置を講じることとし、平成十二年の通常国会を目途に所要の法案を提出する。」と決定されて、今回の法案は、以上の経過を経て、今国会に提出されたものであります。  そこで、大臣にお伺いしたいのでございますけれども、現在、農産物検査業務農産物検査官が行っております。しかし、この農産物検査官はある意味ではそれ自体で独立した資格ではなくて、食糧事務所職員の中から食糧事務所所長によって任命されたものでありまして、通常は、農産物検査のほかに、主要業務として食糧理事務を担当しております。  この食糧事務所職員、そして検査官の数は、ちょっと調べてみましたが、以下のとおり大幅に減少しております。  昭和四十二年、職員が二万七千二百七十三人、うち検査官が二万一千七百人、平成十年、職員が一万人、検査官が三千六百八十六人、そして平成十一年、職員が九千七百八十四人、検査官が三千四百七十五人。昭和四十二年から比べて、職員の数にして三分の一、検査官も二万一千から三千四百まで大変に減っているわけなんでございますが、まず第一点は、ここまで職員及び検査官が減少した理由は一体どういう理由によるのか。  そしてもう一つ、この少ない検査官の数で検査業務は賄っていけるものなのかどうか、この二点をまずお伺いしたいと思います。
  72. 高木賢

    高木政府参考人 お答え申し上げます。  職員の数が大幅に縮減してきたということは、御指摘のとおりでございます。この食糧事務所職員につきましては、これまで、国家公務員の定員削減計画に基づきまして、退職者の不補充あるいは他部門への配置転換ということによりまして、着実な定員縮減を図ってきたところでございます。  これはなぜできたかということでございますが、今までのといいますか昔の検査は、毎個検査といいまして、一つ一つの個体について検査をしてまいりましたが、やはりある程度まとめて、その中で一定の統計理論で抽出すれば、その全体の品質検査が可能である、こういうことでございまして、特にカントリーエレベーターにおきましては、品質の調製をいたしますので、相当抽出率が低くても検査が可能になる、あるいは抽出検査ということで、ある程度まとめることによりまして、一つ一つ検査しなくてもいいということ、あるいは検査場所を集約化して移動期間、時間が短くなる、こういういろいろな検査業務改善合理化を推進してまいりました。そういうことで、現実の定員の削減のテンポより農産物検査官の数の減少の方が大きいということが実現できたわけでございます。  その数でできるかという問題は、今申し上げた理由とまさに裏腹でございまして、サイロなどに入っておりますばら物を対象とするばら検査とか抽出検査、こういうもので九割になってきておりますので、そういった点で、この人数で実行できるということでございます。  なお、ちなみに三千四百七十五人のうち、本当に専業的に検査に従事している人は約千九百人、その他の方は、ほかの部門に日ごろは従事しておりますけれども検査のピーク時に検査官として臨時的に参加をする、こういう方がその残りの方でございます。
  73. 漆原良夫

    ○漆原委員 ありがとうございました。  これは大臣にお答えいただきたいと思うのですが、非常に減少してきた、三千四百人のうち、今おっしゃった千九百人が専業、専従で検査業務に当たっておられる、あと千五百人の方は兼務されておるということですね。  ある意味では、だんだん人間が非常に少なくなってきたわけなんですが、このような現状のもとにおいて、今回、農産物検査業務民営化することによって、どの程度行政改革に資することになるのか、その辺をお答えいただきたいと思います。
  74. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 完全に民間移行する、こういうことになりますと、今言った三千四百人が必要なくなるわけでございますけれども、しかし、急にそれができるわけじゃありませんから、五年間かけてやっていく。  そして、五年間かけて民間移行するわけでございますけれども、やはり民間のやっていることを全国的、統一的な基準をつくったり、指導監督を明確にするという要員は必要である、こういうふうに考えるわけでございますので、現在よりは少なくなると思うわけでございます。その点においては、数はこれからだと思いますけれども、今よりはかなり少なくなって、指導監督業務を推進する、こういうようなところが残る、その分が、人員が減った分だけ行政改革趣旨に沿うと考えるところであります。
  75. 漆原良夫

    ○漆原委員 嫌な聞き方をしたいと思うのですが、国全体で行政改革をしようということで、先ほど申しました、いろいろな会議を設けて、閣議決定をしたり、大変大きな国全体の作業の中で、今回の行政改革の一環としてこの検査業務民営化が決まった、こういうふうにお聞きしておるわけなんでございますけれども、農水省全体として、大臣の感覚として、今回の、千五百人前後が将来縮小されるであろうというふうに私は考えておるわけなんですが、もともと、国の権限を民間に移譲した、そのこと自体で大変な行政改革なんだというふうにおっしゃる方もいると思うんですが、人数の点から見ると、これを多いと見るか少ないと見るかはわかりませんけれども大臣は、行政改革に農林水産省として積極的に対応したんだというふうにお考えでしょうか、いかがでしょうか。
  76. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 これは、農林省の人員が、例えば林野庁においてもかなり縮減をされてきておるわけであります。それから、食糧庁におきましても、委員が御指摘されましたように、かつては二万名もおったものが、だんだんと縮減をされてきて今日に来ておるわけでございますから、決して今直ちに行政改革だからという趣旨ではございませんで、それぞれ時代のニーズに従いまして、変化に応じてやってきた。  特に、かつては国が全部お米も買い上げて、国が食管のもとで賄っておったわけでございますけれども、そういう時代から、自主流通米とかいろいろな形で、米の大半が民間で流通するという形をとってきた。そういう観点に立って考えますならば、やはり米の検査におきましても、それなりに国の方から民間に移っていく、こういうようなことも当然のこととして考えられる措置ではないかと考えるわけでございまして、私は、そういう点においては、時代の流れに沿ってそれぞれ対応してきた、こういうように評価しておるところでございます。
  77. 漆原良夫

    ○漆原委員 農産物検査制度の沿革を少したどってみますと、昔は、明治以前は無検査時代だった、それから、同業組合検査の時代があった、その後、道府県の道府県営検査がなされて、そして、今日の国営検査というふうに変遷を重ねて今日に至っているわけですね。  この国営検査という方法で、全国統一的な規格に基づいて銘柄とか品位等について検査を行うことによりまして、三つの利点が指摘されております。一つは、当事者間の取引において、現物の確認を要しない、信頼感のある、安定的、効率的な取引や価格形成が可能になる、第一点でございます。第二点は、生産面での品質改善を助長することになる。第三番目、精米の適正な表示の基礎ともなるというふうに、三つの、国営検査による利点が説明されてきたわけでございます。  今回、国営検査が、行政改革の議論の中で民間移譲することになるわけですけれども、今まで国営検査の利点として挙げられてきたこの三つの利点を考えてみて、それを民間移譲にしようとするわけですから、今までの説明との関連性でどうなのかなという心配があります。行政改革の論議の中で、どのような必要性からどのような経過をたどって民間移行することになったのか、その議論の内容を少し御説明いただければありがたいと思います。
  78. 谷津義男

    谷津政務次官 先生御指摘のとおり、農産物検査につきましては、これまで国が一元的に検査実施業務を担うことによりまして、今お話がありました三点の、信頼性といいましょうか、公正性が確保されてきたというところであります。  また一方、行政改革をめぐる国民的な議論の中で、官民の役割分担の適正化と、民営化による業務の一層の効率化などの観点から、民間でも対応可能なものは積極的に民間にゆだねていくことが必要であるというようなことで、強く求められてまいりまして、これは行政改革委員会の方におきましてもいろいろ議論をされまして、そういった経過をたどりましてこの民営化に踏み切ってきたわけであります。  今回の改正は、以上の点を踏まえまして、検査信頼性、公正性を確保するための措置を講じながら民間検査機関の参入を図るという基本的な考え方のもとに、国が規格の設定等の基本ルールの策定をいたします。また、民間検査機関登録及び適切な検査実施のための指導監督などを行うこととする一方、検査実施業務民間が行うこととしたところであります。  いずれにいたしましても、農産物検査については、国の事務事業のうち、民間でも対応可能なものは積極的に民間にゆだねるべきであるという国民的な要請を踏まえまして、民営化移行することに踏み切ったところであります。
  79. 漆原良夫

    ○漆原委員 民営化したといっても、検査規格の統一性は確保されているというふうに御理解させていただきたいと思います。  それでは、民間業務に移管することによって一体どんな利点があるのか、その利点を御説明いただければありがたいと思います。
  80. 高木賢

    高木政府参考人 民間で行うことのメリットは、大きく三点が挙げられるかと思います。  例えば、まず、検査の大宗を占めます米の場合について見ますと、実際に検査業務の主な担い手ということが予想されます農協などの出荷取扱業者にとりましては、集荷と販売、それと検査を一元的に担うことができる、つまり、集荷・販売計画に沿った形で柔軟な検査実施が可能となるという点が第一点でございます。  それから、登録制度でございますので、複数の民間検査機関の参入が可能になります。したがいまして、相互に創意工夫を発揮することで、より効率的で、検査を受ける側のニーズに即した検査実施が期待されます。  それから三番目に、今るる御議論がございましたが、行政改革の理念であります行政組織の減量につながる一方で、民間側には新たな事業機会が開かれる、この三つの点が主なメリットとして考えられる点でございます。
  81. 漆原良夫

    ○漆原委員 それでは、検査業務実施主体についてお尋ねしたいと思います。本改正案では、農産物検査実施主体農林水産大臣登録をした登録検査機関検査業務に当たる、こういうふうになっておりますが、現行の農産物検査においては、検査官は原則として自己に利害関係のある農産物については検査をしてはならないということが九条三項に規定されております。  今回の改正では、この規定が削除されておりますが、検査業務に、今長官がおっしゃったように、農産物取引する当事者である農協等が参入することが予測されているわけです。そういう意味では当事者がまさに検査業務に当たるということ、利害関係人をあらかじめ排除していくというこの法律は、制度信頼性中立性を制度的に担保するものとして私は大事な条文だったんじゃないのかなと思うんですが、今回、この条項が削除されてしまいました。そもそも利害関係人をあらかじめ排除するという九条三項を削除したその理由について、まずお聞きしたいと思います。
  82. 高木賢

    高木政府参考人 九条三項を削除した理由ということでございます。これはまず、実態の変化が背景として大きなものがございます。  と申しますのは、昭和二十六年に制定されたときからこの規定が置かれているわけですけれども、先ほども説明を申し上げておりますが、二十六年当時は、個袋、個別の袋一つ一つを毎個検査ということで検査をしてまいりました。したがいまして、農産物検査官が検査実施するに当たりまして、自己に利害関係のある農産物に当たるのか否かということが容易に判別できるということがまず前提にありまして、これを回避するために置かれたものでございます。ただ、例外として、その規定にもありますが、食糧事務所長がやむを得ないと認めて承認した場合は例外的に検査実施することができるということになっております。  その実態が変化をしてまいりまして、毎個検査、すべての個別の検査をするということから、荷口の均質化、大型化が進みまして、サイロなどに入っているものを対象とするばら検査、あるいは品質が均質なものの中から抽出して行う抽出検査というものが九割になってまいりました。つまり、利害関係のある農産物に該当するかどうかというのは、識別が困難な状態で集荷をされるということになりまして、実態的にも食糧事務所長が例外を認める場合が現実問題としてふえざるを得ない。  つまり、これはえこひいきをすることを禁止するためにやったわけですけれども、えこひいきすべきというんですか、対象物が溶け込んで、なかなかこれができないというのが現実問題として出てまいります。逆に言えば、えこひいきしようとしてもその部分が取り出せないということでありますから、そのおそれが少なくなっているのではないかというふうにも思います。  そういう実態面の変化と、もう一つは、やはり検査の全般に関します信頼性中立性の確保のための措置ということでございますが、これは別に二十条二項で、公正、誠実にその職務を行わなければならない、訓示規定でございますが、そういう義務規定も置きますし、それから、仮に不適正な検査を行った場合には、その検査業務からその人を排除する、あるいはそれを使った法人に対しても業務停止命令を行うということで、不適正な検査を行った場合における対処措置といいますか、改善措置が明記されております。  そういった実態面の変化というものを踏まえたとともに、もう一方では制度的に公正、誠実に職務を行う措置についての仕組みを設けたということから、九条三項はこの際、削除したということでございます。
  83. 漆原良夫

    ○漆原委員 公正に行う仕組みを設けられたという、場合によっては立入調査だとか指導監督等、こういうふうになっていると思いますけれども、これは食糧庁でやることになると思うんですが、現在の食糧庁職員でそういうことをきちっと実効性のあるものとしてやっていく体制になっているのかどうか、その辺のことをお聞きしたいと思います。
  84. 高木賢

    高木政府参考人 食糧事務所役割といたしましては、今後は、みずから検査実施するということから、検査をする機関に対しましての指導監督ということに変わるわけでございます。  具体的には、実際の現場におきまして、検査機関が適正な検査を行っているかどうかということをチェックいたしますために、食糧事務所の本所あるいは支所の職員検査の現場を巡回をいたし、立入調査を行う、そして、それに基づく指導等を行うというふうに考えております。その結果といたしまして、国の定めた規格あるいは方法に基づかない、こういった不適正な検査が行われていた場合には、食糧事務所の担当課におきまして改善命令等の是正措置を検討の上、迅速的確に命令を出す、こういうことを考えております。  現在は検査実施そのものをやっているわけですが、やはり指導監督業務実施そのものよりは分量としては少なくなることが見込まれますので、十分対応ができるというふうに思っております。
  85. 漆原良夫

    ○漆原委員 業務主体について最後のお尋ねですけれども、十七条二項の三号、四号。ここで、資力信用の要件として「農産物検査業務を適確かつ円滑に行うに必要な経理的基礎を有する法人であること。」というふうに書いてありますが、まず一つは、必要な経理的基礎を有するというのは一体どんなことなのか、少し具体的に述べてもらいたい。  そしてもう一つの、体制要件について四号に書いてありますが、「業務の公正な実施確保するため必要な体制が整備されていること。」これも抽象的な文言になっておるわけでございますが、この二つの要件について、もう少し具体的に、どのようなことをお考えなのか、お尋ねしたいと思います。
  86. 高木賢

    高木政府参考人 まず最初に、「業務を適確かつ円滑に行うに必要な経理的基礎を有する」という経理的基礎の点でございますが、これは、安定的にあるいは継続的に検査業務をやれるかどうかという点で、資力信用を有するものかどうかということを確認するための要件でございます。  具体的には、資力信用を有するものであるかどうかということにつきましては、貸借対照表とか収支決算書などの財務諸表あるいは金融機関の融資証明書などの添付をさせまして、実質的に債務超過になっていないかどうかということを確認する予定でございます。  それから、組織体制の方でございますが、「公正な実施確保するため必要な体制が整備されている」ということでございますが、それが可能となるような責任体制が整備されているかどうかということを確認をいたしたいということでございます。  具体的には、検査担当部門の役員、職員が他部門から区分されて、責任を持って公正に業務を遂行し得る体制となっているかどうかということが、組織規程などで明確にされているということを確認する予定でございます。
  87. 漆原良夫

    ○漆原委員 それでは、検査員についてお尋ねしたいと思うんですが、現在、検査官というのは一定の内部的な検査基準に基づいて食糧事務所の所長が任命することになっておるようでございます。今回、検査員の資格要件については農林水産省令で定めるというふうになっておりますが、従来の検査官の資格要件と比べて、農林水産省で予定している、頭の中にある資格要件というのは一体どんなものなのか、お聞かせいただきたいと思います。
  88. 高木賢

    高木政府参考人 民営になった場合におきます農産物検査員の具体的要件といたしましては、農林水産省令におきまして、大きく二つのことを考えております。  一つ農産物検査一定期間従事した経験を有する人、それからもう一つは、農林水産大臣が指定する研修の課程を修了した人、ただ、これだけでは十分ではありません。そのいずれかに該当して、検査実施に必要な知識、技能を有する者と認められたもの、こういうことにしたいというふうに考えております。  これは、農産物検査員、現在の要件のうち、経験とか研修の履修、あるいは関係者の推薦の要件ということは、現行と同様に設けるということで考えております。それから、学力、年齢、身体能力といった点は、農産物検査を的確に行うために必要な知識及び技能を有する者、こういう資格の中で実質的に同等に考慮されるというふうに考えております。     〔松下委員長代理退席、委員長着席〕
  89. 漆原良夫

    ○漆原委員 検査員が適正かつ公平な検査を行うためには、年間を通じた検査標準品についての知識の習得だとか、鑑定技術の練習が必要になってくると思いますが、この法律の五年間どうするのか。あるいは、五年を過ぎた場合に、どういうふうに国がその辺を、研修について支援をしていくのか。五年間の間と、六年目からどうするのか、その辺、お考えがあればお尋ねしたいと思います。
  90. 高木賢

    高木政府参考人 研修につきましては、平成十二年度から予算措置を講じまして育成研修を実施するということにいたしております。  それからもう一つ最初に育成研修をやっただけであとは終わり、こういうことではございません。検査員技術の維持向上を図るということで、鑑定能力の維持、向上のための鑑定会を定期的に行うということ、それから、検査シーズン前に格付の程度を統一するための目合わせというものをやっていく、これについての支援を行っていくというふうに考えております。  それから、五年後どうなるのかということでございますが、これはまさに、現実の進行がまだわかりませんので、必要であるのかないのかといった点はその時点で改めて判断したいと思います。
  91. 漆原良夫

    ○漆原委員 最後に、大臣にお伺いしたいと思うんですが、四月九日付の日本農業新聞に「地方自治体や関係団体へ」と題しまして、農水省から「補助事業に関する陳情お断りします」、こういう大きな記事が一面に出たわけでございます。まず、こういうふうに決定をされたその趣旨をお尋ねしたい。  二番目に、この記事によりますと、補助事業などの地区採択は、採択基準を明確にして、基準を満たした地区に限り採択する方式にするというふうに報じられておりますが、採択基準は、いつまでに、どのような方式で明確化される予定なのか。この二つ、趣旨とその採択基準、そしていつまでという、この点についてお伺いしたいと思います。
  92. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 四月九日の農業新聞に、補助事業の陳情お断りという記事が出たわけでございますが、これは、不正確な趣旨でございまして、極めて迷惑しておると申し上げたいと思います。  本件は、国と地方公共団体や農業団体との関係を新しい基本法の理念のもとで見直してみようとするものであります。食料・農業・農村基本法第八条に、地方公共団体は、国との適切な役割分担を踏まえて、その地方公共団体の区域の諸条件に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有するとあります。今後の農林水産行政は、地域の方々とのより実質的、建設的で、かつ、対等な関係を構築し、役割分担のもとで地域の実態に根差した政策展開を図ることが必要であると考えております。  このため、地方公共団体や農業団体の方々には、今後、国の概算要求の内容を単になぞったような陳情、要請や、個々の地区採択の陳情ではなく、実質的かつ建設的な政策形成に資する提案をむしろ行っていただきたい、こういう趣旨であるわけでございます。  そういう観点でございますので、新聞報道にあるような、陳情お断りと、いかにも上の方から下の方に申し渡しをする、こういうような姿勢ではございませんで、お互いに、地域をよくしていくためには、農業団体の皆さんも市町村の方々も、どのような形で政策を遂行していくか、こういうことで、対等の立場から建設的な提案をしていただきたいということを申し上げておるわけでございます。これはぜひ御理解を賜りたいと存じます。  補助事業の採択基準の明確化につきましては、政策上の効果などの客観的な指標で優先度を決定できるよう、事業ごとに六月末をめどに改善方向を取りまとめるべく今検討しておるところでございますので、御理解のほどをお願い申し上げます。
  93. 漆原良夫

    ○漆原委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  94. 松岡利勝

    松岡委員長 次に、藤田スミ君。
  95. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 農産物検査、検疫というのは、国が責任を持ってこれを行ってこそ生産者、消費者、さらには流通業者の安心を得られるものであります。そして、今、その充実こそ求められていると思います。  私は、そういう立場から、農産物検査法質問に先立って、若干、日本の畜産業の存亡にかかわっていると言っても言い過ぎではない口蹄疫問題について聞いておきたいと思います。  今、この問題では、二つの大きな問題を指摘せざるを得ません。それは、現在の防疫、検疫体制が万全なのかという問題と、宮崎県の畜産農家に対する所得補償をどう実現するのかという問題であります。  そこで、まず、畜産農家の生活の保障、所得の補償という問題について聞いていきたいと思います。事態は本当に深刻であります。私どもも調査に参りましたけれども、家畜市場は閉鎖され、五十キロ圏内の搬出規制で、牛や豚を売ろうにも売れない事態になっています。農家は、えさ代も確保できない、生活費も大変だ、牛を売って子供の大学の入学金を予定していたのにそれができなくなった等々、本当に切実な声が続出しています。これに対して政府は、出荷停止に伴う経営対策として、五百億円の大家畜・養豚経営維持資金特別融通助成事業という新規の事業を打ち出しているということは知っておりますけれども、これはあくまでも融資、借金でありまして、償還期間も三カ月となっており、現地では、とてもこんなものは使えないと、逆に怒りの声さえ聞こえてくるわけであります。そして、現地の皆さんは訴えるんです。それこそ、激甚災害指定と同じぐらいの対策をとってもらいたい、何よりも所得の補償ができるような新たな対策に早急に乗り出してほしいと訴えているわけでありますが、この声にこたえて、政府は真剣に検討するべきではないでしょうか。
  96. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 まず、現在とっておる支援策等について申し上げてみたいと思います。(藤田(ス)委員「簡単で結構ですから、答えは」と呼ぶ)簡単でいいですか。  具体的にとっている政策につきましては、豚舎の収容能力の関係で、家畜防疫員の指導に基づき子豚の淘汰を行う場合の助成、出荷のおくれに伴う肉質低下による販売収入の減少に対する助成を行っております。  また、肉用牛農家につきましては、肉用牛肥育経営安定緊急対策事業の助成要件である肥育素牛の導入の月齢要件を十二カ月齢未満から十五カ月齢未満に緩和措置をしたほか、肉用子牛の補給金の交付要件である譲り受けに係る月齢要件を二月未満から四月未満に緩和することとしたところでございます。  なお、大事なことは、やはり、引き続きの、今までの生業が口蹄疫によってなかなかできなくなったということが一番の問題であるわけでございまして、やはり、搬出制限をいかに早く解くかということが私は一番大事なことだと思っておるわけでございます。この点について鋭意調査の上、安全宣言に向けて最大限の努力を払っているところでございます。
  97. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 いろいろな対策をとっていらっしゃることを百も承知の上で、現地の方は生活の補償をということを求めているわけであります。県全体の死活問題にかかわることになるんだ、これは大臣、おわかりでしょう。宮崎県というのは、農業粗生産の半分以上が畜産業に占められておりますので、こういう問題が起きますと、ここが大きく狂ってくる。それは大変なんです。だから、JAの宮崎経済連の佐藤会長も、精神的な面を含めて壊滅的状況にある、こういうふうに表現するほど事態は深刻になっているんです。  宮崎の畜産の中心地である都城というところは、畜産生産の約六割を高齢で零細な畜産農家が担っています。これらの農家が、今回の事態で、もう畜産はやめたということになれば、私は、宮崎畜産自身が雪崩を打って崩壊しかねない危機的な事態になるんじゃないかというふうに思わざるを得ないわけですが、そういうことを防ぐためにも、この九十何年に初めて出てきた深刻な問題を政府は真剣に受けとめて、とにかく生産者に生産意欲を何としても持ち続けていただくために、所得の補償をきちんと行うべきじゃないかということを申し上げているわけであります。大臣、真っすぐ答えてください。
  98. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 いつも共産党さんは、被害が起きますと、すぐ所得補償、所得補償、こう言われるわけでございますが、やはり有珠山の被害等におきましても、非常に厳しい状況の中ではございますけれども、農林水産業の生業をいかに維持していくか、それによって所得を確保していくかということも大事な対策の一つであると私は思うわけでございます。  したがいまして、確かに今回こうして打撃をこうむったわけでございますけれども、いかにしてこの打撃から立ち直って畜産業の振興を図っていくかというところにもウエートを置いて、やはりそれを応援していくということも大事なことであるわけでございまして、所得補償だけがすべての対策であるということではないと思うわけでございます。  あえて申し上げますと、この移動規制は、口蹄疫の蔓延を防止し、周辺の畜産農家の財産を守るとともに、我が国畜産業への影響を最小限に食いとめるため、公益的な観点から行う必要不可欠な措置でありまして、農家の方々に御不便を強いることになりますけれども、受け入れていただかざるを得ない性格のものであると考えております。  このため、法律にも、強制的に殺処分の対象となった家畜等に対する手当金は別としまして、補償の規定は設けられておりませんで、生活の補償はただいまのところ困難であるという点を御理解をお願いいたしたいと存じております。
  99. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 大体、私は別に所得補償がすべてだと言っていませんし、今政府がとっている対策が何も悪いことをしているなんて一言も言っていません。それはありがたい対策だけれども、しかし、本当に望んでいるのはここなんだということを申し上げているわけなんです。移動、搬出の規制、市場の閉鎖というのは国の指導のもとで行われている。しかもそれは、やらなければなりません。だから、それの財源的な裏づけというもので、農家の皆さんの生活の基盤を揺るがせないようにするために裏打ちをかけていくというのは当然の要求じゃありませんか。自民党の幹部の皆さんでさえ、現地にいらっしゃったら、そういうふうに発言せざるを得ないんですよ。大臣、私は、きょうはこの問題はもうここでとどめますけれども、ぜひお考えをいただきたいと思います。  次に、現在の防疫、検疫体制について聞きたいわけですが、これを考える上で決定的なことは、いまだ感染ルートが判明していないということであります。ですから、あらゆる感染ルートの可能性を考え、少しでも可能性があると考えられるものについては排除しなければなりません。  そこで、今問題になっているのは口蹄疫発生国からの稲わらの輸入でありますが、現在、例外なしに口蹄疫発生国からの稲わら輸入は禁止されていると言えるんでしょうか、局長。
  100. 樋口久俊

    樋口政府参考人 お答えを申し上げます。  我が国に口蹄疫が発生いたしましてから、お話がございましたように、輸入された稲わらあるいは麦わらが原因であるという可能性は完全に否定をし切っておりません。  したがいまして、侵入防止を徹底しないといけないということでございまして、三月の三十日より、家畜伝染病予防法に基づきまして、口蹄疫の発生地域から輸入をされます稲わら等につきましては、動物検疫の対象にする。具体的には、輸入時に家畜防疫官による輸入検査を行いまして、その国がわかれば、必要に応じてホルマリンの消毒をする。実はホルマリンの消毒と申し上げますのは、動物はもう食しないということになりますので、事実上の禁止ということで考えていただいて結構だと思います。  なお、その場合に、中国産の稲わらのうち、一定の条件を満たすものにつきましては、約束をされた蒸熱処理がきちっとされている場合には、その処理の上で、我が国に口蹄疫が侵入する可能性はないものと考えておりまして、その条件のもとでされたものに限っては輸入がされるということでございます。
  101. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 多くの畜産関係者は、たとえ加熱処理をしていても口蹄疫発生国からの稲わら輸入については不安を感ずる、このことを表明しておられるわけであります。加熱処理をしていない稲わらが混入してしまう可能性がありはしないか、加熱処理をした後、人などを介して口蹄疫のウイルスが移行する可能性はないのか、一〇〇%安全であると言い切れないではありませんか。  多くの口蹄疫清浄国は、本当に徹底して口蹄疫が自分の国に侵入しないように規制をかけています。例えばカナダは、小鳥を輸入するのも、口蹄疫の発生地域からのものはだめだということで、遮断をしています。さらにカナダは、日本が清浄国であったそのときでさえ、日本から畳の輸出に際して、一九七七年までは消毒を義務づけるというような徹底ぶりを見せていました。  だから、大臣、感染ルートが明確になるまでは、口蹄疫発生国からの稲わら輸入は全面的に禁止する、この加熱処理云々じゃなしに全面的に禁止する、それぐらいのことはすべきじゃありませんか。
  102. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 まず、疑わしいものは、できるだけこれは入れないという措置をとっておるわけでございます。中国の加熱処理したものにつきましても、現地に参りまして、その処理の方法その他、きちっと現場を見まして入れておるわけでございます。一方におきましては、それを必要とするところもあるわけでございますので、あくまでも安全を確認した上で部分的には入れざるを得ない、こう思います。
  103. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 私は、口蹄疫というような深刻な問題が起こったときには、やはりその発生国からの稲わらは全面的にストップする、そういう厳密な姿勢を貫かない限り、本当に安心できないということをもう一度申し上げておきたい。ぜひ検討しておいてください。  それから、現在、防疫体制として牛の血液検査を進めておりますが、豚の方は、一例目の牛舎の近くの豚舎を除いて、手つかずの状態になっています。果たしてそれでいいのかどうか。むしろ、きちんと検査を行って、安全を確認した方が養豚経営者にとっても安心できるのではないかと思いますが、これも簡潔に局長の方からお願いいたします。
  104. 樋口久俊

    樋口政府参考人 お答えを申し上げます。  現在のサーベイランス調査、お話のとおり、牛を中心実施をしているということは事実ではございますけれども生産者あるいは関係者は大変心配をしております、豚はもちろん感染対象になりますので。したがいまして、これまで以上に監視をしていただいておりますことに加えまして、万一の懸念もございますから、発生農場と疫学的に関連のございます四農場、これは私ども、把握をいたしております。それから、発生農場が現に三つございますけれども、これは牛の方なんですけれども、それから三キロ以内に二つの豚の農場があることも確認をいたしておりますので、それにつきまして、万一の懸念を払拭したいということで、血液を採取いたしまして、抗体検査を既に実施してございます。  この結果、感染をしていないということを確認しておりまして、現時点では口蹄疫の感染はないものと考えておりますけれども、やはり今後も、こういうところにつきましては、生産者はもとより、関係の獣医師さんにきちっと監視をしていただきたいと思っておりますし、何かございましたら、私どもの方でもできるだけのことはしたいと思っております。
  105. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 確認だけで、イエスかノーかで結構ですが、そうすると、今のところはそういうことになっているけれども、希望すれば豚も血液検査を受けることができる、希望には応ずる、それだけは確認しておきたいと思います。
  106. 樋口久俊

    樋口政府参考人 御承知かと思いますが、現在、地元の獣医師さんとか関係職員、それから、私どもも牛の方に集中的に力を投入しておりまして、御希望に沿えるかどうかというのは、いろいろなスペースもございますし、能力もありますので、検討はしたいと思いますけれども、今、豚のことを言われて、ああそうですかと、すぐできるという状態よりも、むしろ牛の方に最大限の努力を注ぎまして、これの調査に全力を傾注していきたいと思っております。
  107. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 獣医師さんが非常に少なくて、てんやわんやになっているという状態もよく知っています。知っての上で、豚の経営者が心配しているこの問題にこたえるために、大臣、他府県の応援ももっともらって、本当に全国が集中してこの問題に当たるようにしていただきたいということを申し上げて、次に、農産物検査法改正案についてお伺いをしていきたいと思います。  最初に申し上げましたが、検査、検疫というのは厳格に行わなければなりませんし、本来、国が行うべきものであります。それを行政改革の名のもとで民間移行させようというのが今回の法案趣旨であります。  今回の法改正により、先ほどからお話にありますように、せっかく行ってきた国の検査を再び取引当事者による検査にしていくわけでありますが、農家にとっては取引相手による検査では厳し過ぎることになりはしないか、一方、買い取る流通業者にとっては、生産者団体による検査では甘い検査になるんじゃないかなどと疑心暗鬼が出ることが十分予想されるわけであります。  第三者である国による公正中立検査の維持こそ、私はやはり望ましいというふうに考えますが、大臣、はっきり言って、この点ではどうでしょうか。
  108. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 国の検査信用できるが民間検査は余り信用できない、こういうような趣旨に立っての御質問のようでございますが、国の検査が非常に信用できるという評価をいただいたわけでございますけれども、これはよしとしましても、民間検査機関が移った場合におきましても、引き続き公正中立検査を適切に行っていく、こういう点におきまして、万全を期してまいりたいと考えております。
  109. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 信憑性の問題で、公正中立検査の維持というのは、それが望ましいものなんだということで、歴史的にずっと、民間がやっていたのが、県になり国になりして今日に至っているわけですから、本来、行政改革というようなことがなければ、これはやはり国が対応してやるということが最もベターな方法なんだということを、実は大臣御自身も、もう既に参議院の場でおっしゃっていらっしゃるわけです、非常に率直に。私もそうなんだと思うのです。そして、初めに行革ありきで、民営化は、中立公正の維持どころか、それ以前の問題が出てきているというふうに思います。  検査機関にとってもかなりの体制整備が求められることになるわけです。検査は季節性の非常に強い業務で、その一時の業務のために一定数の検査員、それから機械器具を用意しなければなりません。  現在の農協が置かれている状況を見ましたときに、厳しい金融、農業行政のもとで、大変激しい合併、合理化が強制されています。そういうもとで新たに投資が必要な農産物検査に果たしてどれだけ十分対応できるのか。いわんや、農協職員の労働強化になるのではないかと懸念されることは幾らでもあるわけです。  さらに言えば、手数料の問題もそうです。五年間据え置かれておりますけれども民営化の中で値上げにならないという保証は本当にあるのか、その点については長官の方から御答弁を願いたいと思います。
  110. 高木賢

    高木政府参考人 検査手数料の問題でございますけれども検査業務につきましては、民営化後におきましても、現行とほぼ同じ内容になるというふうに想定されます。  現在、国は、現在の手数料収入で検査実施コストを賄っております。それから、移行期間中は民営検査と国の検査が併存するわけでありまして、その期間は、現行水準の国の検査料は変えるつもりはございません。そうなりますと、民間検査手数料がこれによって規定されるということになると見込まれます。したがいまして、民間検査機関の手数料が現行の国の手数料の水準より高く設定されるということは、見込みがたいというふうに思っております。  さらに中長期的に見た今後の推移でございますが、やはり計画的に、取扱規模の小さい検査場所を大きな検査場所へ集約していく、あるいはカントリーエレベーターなどの施設検査場所を整備していく、さらには統一的な玄米調製の指導あるいは生産、出荷の組織化、共同化ということで受検ロットをできるだけ大きくしていく、こういうこともありまして、検査コストは、長期的に見ますと、下がる方向で推移する、また、その条件整備も進めるということを考えております。  それからもう一つ制度的には、新たな仕組みのもとでは、業務規程をあらかじめ出してもらいまして、ぐあいが悪いときは改善命令も出せるという仕組みもございます。  したがいまして、こういった措置によりまして、コストの縮減、平準化を推進いたしまして、全国的に実態に即した合理的な検査手数料の水準となるようにしていきたいというふうに考えております。
  111. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 今の御答弁を聞いていても、民営化することによって、いろいろな困難が出てくるということをもう随分よく知っていらっしゃるというふうに思うのです。  だから、民間機関の参入ということで、今いろいろ、あれこれ行う内容を述べられたわけでありますが、そういうこととあわせて、皆さんは、検査対象品目も、二十品目あったのを十品目にされるし、それから、検査規格だとか方法も簡素化、効率化ということでいくわけですから、民営化というものが、皆さん言葉の中に、いかなるものかということを示しているというふうに思います。  時間がなくなりましたので、最後にお伺いいたしますが、大臣は先ほども、今回、食糧事務所から検査機関を排除することによって、職員は現在よりもかなり少なくなる、その数が減ったということが行政改革に沿うことになるんだ、そういうことをおっしゃいましたね。  中央省庁等改革本部の決定では、食糧事務についても、検査民営化の状況を見つつ、独立行政法人化への検討を進めるというふうに述べております。とするならば、今回の法改正は、食糧事務全体の廃止、民営化の突破口と位置づけられるものになるのじゃありませんか。そうならないという保証はあるでしょうか。
  112. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 まず、今までの制度をちょっと見てみますと、最初は、団体がみずからをやっておったわけでしょう。そういうときは、これは米の相場制度があったと思うのです。やはり自分産地において、みずからの商品はこれだけのものですということをみずからが証明して、相場にかける、それによって高い評価を受ける、こういうことなんですね。  それが、戦時体制ではありますけれども、国が全部米を賄う、こういう体制になりまして、食管制度ができて、国が米の検査についても責任を負う、こういうことになってきた。  しかし、その後の制度におきましては、先ほども申し上げましたように、自主流通米等、そういう制度ができまして、また、その自主流通米といいますのは、需要と供給の関係において、銘柄ごとに値段がありますし、それぞれの評価があると思うのです。  ですから、そういうような制度の変化に応じまして、地域においてみずからの米を検査しまして、その米を市場に提供する、こういうような趣旨からいいますならば、民間検査機関におきましても十分その役割を果たしていく、こういう趣旨なのでございます。  検査実施業務民営化した後におきましても、政府備蓄米の買い入れ、国家貿易の運営等、国民の主食である米麦の需給と価格の安定を図るという食料行政の重要性はいささかも変わるものではないと考えておるわけでございます。
  113. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 食糧事務所の備蓄貿易、JAS法等々、重要な役割はいささかも今後も変わることはない。独立法人化は今、大臣の口から行うとは言われなかったかわりに、重要性を強調されたということを私は素直に受けとめておきたいと思います。  私は、今回の民営化は、食料の生産、流通にわたる国の行政関与を事実上大きく放棄するその一歩になっていきはしないか、そういう危惧も持っておりますし、消費者としては、この農産物検査法を活用して遺伝子組み換えの有無等の検査も一層行っていただきたいという願いも持っているわけでありますから、何としても、この検査民営化するというやり方は納得できませんが、時間が参りましたので、終わりたいと思います。
  114. 松岡利勝

    松岡委員長 次に、一川保夫君。
  115. 一川保夫

    ○一川委員 私の方から今回のこの法律の一部改正につきまして質問をさせていただきます。  質疑において、もうある程度関心あるテーマについては質疑が尽くされたような感がございますが、若干重複する面もあろうかと思いますけれども、確認の意味でお尋ねしたいというふうに思います。  私は、今回の農産物検査法というのは、今ほど来いろいろ話題に出ていますように、非常に歴史のある検査体制といいますか、考え方が今回大幅に転換するわけでございまして、そういう面では、農産物を生産している生産者側、それからまた、それを消費している消費者の皆さん方、またその間で検査に従事している皆さん方、それぞれの立場で皆さん関心を持っているテーマであろうというふうに思っております。  そういう面では、先ほど来話題に出ていますように、民間検査移行した段階での検査信頼性、公平性、中立性、そういったものがしっかりと担保されるということがある面では非常に大事なポイントでございまして、先ほど来いろいろと話題が出ていますけれども農林水産大臣の方から改めて、公平性なり信頼性確保するという点で、所見をもう一回お伺いしたいと思います。
  116. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 国は、登録検査機関による適正かつ確実な検査実施確保するため、登録検査機関に対しまして適切に指導監督を行っていくことといたしております。  具体的には、登録検査機関業務開始に先立ち、法律上の登録要件に照らして登録検査機関としての適格性を的確に審査し、一定の知識、技能を有すると認められた農産物検査員確保しているなど、検査を適正かつ確実に実施する上で必要な能力、体制を有する法人にのみ検査業務への参入を認めるとともに、業務の開始前に業務規程を提出させ、業務内容等の確認を行い、内容が不適当と認められる場合はその変更を命じることといたしておるわけでございます。つまり、登録検査機関業務開始に先立ちまして、明確なる審査基準のもとにこれを的確に審査して行う、これが第一点であります。  また、不適当な事態が発生した場合の是正措置としまして、不適正な検査、表示を行っている場合には改善命令を発出し、改善命令等に従わない場合には、業務停止命令または登録の取り消しにより厳正に対処し、さらに、この業務停止命令に従わない場合には罰則がかかることといたしておるところでございます。  このような仕組みのもとで民間検査機関の適正な業務運営確保され、民営検査信頼性、公正性が確保されるものと考えておるところでございます。
  117. 一川保夫

    ○一川委員 ぜひ、そういうことで公平性、信頼性というものが確保できますように、指導をよろしくお願いをしたい、そのように考えております。  さて、ちょっと総括政務次官に、これも今までの答弁と若干重複するところもあろうかと思いますけれども民間検査移行するということでは、当然、検査機関によって検査技術水準的なもののばらつきみたいなものがいろいろと懸念されるわけです。これは、例えばその地域地域によっても、検査の受け入れ体制といいますか、民間移行することについて、ある程度その体制が整っている地域、まだそこまで十分整っていないような地域とか、いろいろばらつきがあるような感じもいたします。そういう観点でこの検査制度そのものの信頼性確保していくということが、大変大切な課題になるわけでございますけれども、この点について政務次官の方の何か御所見がございましたら、ひとつよろしくお願いします。
  118. 谷津義男

    谷津政務次官 先生御指摘のとおり、農産物検査、非常に大事であろうと思います。  取引の客観的な判断基準を提供するという役割を果たしておりまして、民営化後におきましても検査水準の統一性の確保というのは極めて重要なものであるというふうに認識をしているところであります。  このために、改正法におきましても、国が一元的に指導監督を行うこと、登録検査機関は、国が全国統一的に定める検査規格及び検査方法に基づきまして検査実施することとしております。そして、必要に応じまして業務改善命令の発動や立入検査等の指導監督を行いまして、登録検査機関による検査の適正な実施確保しなければならないとしておるところであります。  また、運用面におきましても、登録検査機関農産物検査員の鑑定能力を維持しなければならないために、いわゆる目合わせ、これは、これがことしの一等米だというようなことにつきまして、そういう講習会を定期的に実施いたしまして工夫を行っていくこととしておるところであります。  これらの措置を講ずることによりまして、検査機関ごとの検査水準のばらつきが生じないように、検査制度に関する関係者の信頼性確保していかなければならないと考えております。
  119. 一川保夫

    ○一川委員 この問題に関係してもう少しお聞きしたいわけです。農産物検査は、もうごく当たり前なことですけれども、単なる外観を見ただけで品質の判定というのは難しいケースもたくさんあろうかと思います。こういった一次産品を対象に、産地なり品種等の銘柄についても判定を行うということにもなろうかと思いますけれども、そういった面では、相当の訓練を積んだ検査官の判定能力といいますか、そういうものを常に維持し、向上させていくことが大変重要なわけでございます。  先ほどの参考資料をちょっと一見させていただきましても、米の銘柄の種類だけでも、多い県は、例えば熊本県だったか、十五銘柄があります。それから岡山県は十二ぐらいあります。十個以上の産地品種銘柄を抱えている県は全部で七県ほどあったような気がしますけれども、それぐらいいろいろな品種が全国都道府県にございます。  そういう中にあって、こういったものを的確に判定していくということでは、技術能力というものをしっかりと確保していくことが大変大切な課題であることは間違いないわけでございますけれども、このあたり、特に農水省としてしっかりと担保していけるという自信のほどをちょっと御説明をお願いしたいと思うのです。
  120. 高木賢

    高木政府参考人 農産物検査信頼性担保するということを考えますと、実際に検査に携わる人の能力というものが確保されることが非常に死命を制するという点かと思います。  そこで、民間検査機関登録要件におきまして一号を立てまして、検査員につきましては「農産物検査を適確に行うために必要な知識及び技能を有する者として」省令で定めるものということを要件としているわけでございます。  具体的な要件といたしましては、農林水産省令におきまして、農産物検査一定期間従事した経験を有する人、経験者でございます。それからもう一つは、農林水産大臣が指定する研修の課程を修了した人、そのいずれかに該当して検査実施に「必要な知識及び技能を有する者」として認められる、この具体的要件とともに、プロセスといたしましても、農林水産大臣が作成する名簿に記載された者とするということを予定いたしております。  農産物検査員の氏名は天下に明らかになっておりまして、登録台帳にも記載をされます。したがって、仮に不適正な検査を行ったということになりますと、改善命令によりましてその検査員検査業務への従事を禁ずる、同時に登録台帳からその検査員の氏名を削除するということで、ぐあいの悪いことが起こったときに、もうその検査員検査をやることはない、こういう仕組みをつくっているところでございます。  そのほか、もっとぐあいの悪いことが次に生じた場合には、最後は罰則ということで担保するわけでございます。そういった担保措置の適切な運用によりまして、また一方では研修をしっかりやる、先ほどもありましたが、目合わせとかその他いろいろなこともやりまして検査能力の維持向上に努める、両々相まって人の育成、確保については十分注意を払っていきたいというふうに思っております。
  121. 一川保夫

    ○一川委員 今回のこの改正案は、先ほど来話題に出ていますように、行政改革の一環としまして、また、規制緩和という一つの流れの中で、この法律改正がこれまで検討され、こういった成案を得てきたというふうに私は認識いたしております。  そういう面では、それぞれの産地なり、検査部門等につきましても、自己責任の確立を図っていくという中で、これからある面では非常に厳しい環境に置かれていくわけでございますけれども、また、努力すればしたなりの成果も期待できるということにもなろうかというふうに私は思っております。  そこで、事前に通告はしていなかった事項なのですけれども、ちょっとお聞きしたいのは、民間移行していく段階でなかなかスムーズに移行できないというような場合には、一定期間、国が引き続きこの検査について補完的に応援していこうというようなところがございます。一種の経過措置だと思いますけれども、こういった経過措置というものをどの程度想定されているのか。今までの質疑の中でちょっと聞き漏らした点もありますので、一定期間というのは、期間的にどれぐらいというのはあるのかもしれません、地域的な問題もあろうかと思いますけれども経過措置についての現段階での考え方、何か御説明できるところがあれば説明をしていただきたい、そのように思います。
  122. 高木賢

    高木政府参考人 民営化の開始は平成十三年四月一日ということでございますが、五年間以内に移行するということでございます。その間、ある日突然にすべてが民営化するということではなくて、徐々に移行していくという姿を描いております。  ただこれは、全国でいろいろな地域があり、特徴がありますので、現在、各都道府県段階において、食糧事務所を推進者といたしまして、関係者から成る協議会を設けまして、私どもとしては、いわゆる民営化移行プログラムと称しておりますけれども、そういったものを各都道府県段階でつくっていただいて、計画的に民間移行を進める、こういう手順を考えております。  そうなりますと、例えば、イーブンに二割、二割、二割と移行していけば五年間で完了するということになりまして、国がやる部分はその場合八割、六割、四割というふうに減っていくことになるわけですが、これは機械的にそういうふうにいくものでもございません。その点は、地域の実態がありますので、それぞれの地域で現在、民営化移行プログラムというものを立てていただいているわけでございます。その中で、経過的な期間におきます民間機関と国の役割の分担というものも定まってくる、こういうふうに考えております。
  123. 一川保夫

    ○一川委員 先ほど食糧庁長官の答弁の中で、ちょっと確認の意味でもう一回お聞きするわけですけれども、一種の罰則の件でございます。  今改正案では、基本的には登録検査機関に対する罰則規定というものを明記していると思います。先ほどは、悪質な場合には直接、個人の検査員等に対しても一種のペナルティー的なものを加えていくのだというお話があったかに聞こえたわけですけれども、そこのところはそれでよろしいのですか。
  124. 高木賢

    高木政府参考人 罰則につきましては、ほかの検査・検定制度に関する法令との並びで対応いたしております。  具体的には、ほかの検査・検定制度に関する法令との罰則のレベルの均衡ということと、罰金なり懲役という体刑が十分にその抑止効果があるか、二つの点から検討しております。例えば、業務停止命令違反などに関しましては、これが一番重いわけですけれども、ぐあいの悪いことをやり続けている、それに対して大臣業務停止命令してもまだやり続けているというような場合には、一年以下の懲役または百万円以下の罰金ということにいたしております。
  125. 一川保夫

    ○一川委員 先ほど質疑の中で、検査に関するコストの問題がちょっと出ておりました。これはごく基本的な考え方でよろしいわけですけれども民間移行した段階でも検査の手数料等のコスト的なものは、現行水準をできるだけ維持していきたいという答弁だったわけです。できたら、中長期的にはそういうものをできるだけ下げていきたいという面でのいろいろな施策を展開していきたいという御答弁がございました。基本的には現行水準は上がるということはまず考えられないと私は受けとめたわけでございますし、むしろ、逆にこれから中長期的にはそういったものはもっと軽減させていくということで努力したいとの御答弁があったと思います。その確認の意味で、そこのところをもう一回お願いしたいと思うのです。
  126. 高木賢

    高木政府参考人 まず、現実にかかる検査コストということでございますが、民営化されても、今国営検査でやっている検査業務の内容を濃くするわけではございません。したがって、かかるコストは、基本的に、まず現時点においては同じことになるであろうということが一つでございます。  国営のコストというものは、検査手数料という点で、見合いで検査手数料が定められているわけでありますから、現行の手数料も維持可能であるということでございます。  それから、先ほどお尋ねがありましたように、今後の五年間は両者が併存することになります。その場合、国営の検査の方は、米でいきますと、一俵五十円ということでありますから、移行過程におきまして五十円を超える検査手数料を民間機関が設定するということは考えられないことでございます。  さらに、その先はどうかということでございますが、これまでもやってきましたけれども、ばら検査とか抽出検査という検査の合理化を進めているわけでございます。その基礎になりますカントリーエレベーターの整備も着実に進めておりますから、検査の合理化も当然これに伴って進むということが想定されるわけでございます。そうなりますと、コストが低下をするということでありますから、手数料の引き上げの要因というものは極めて考えにくい、こういう状況だということを申し上げたわけでございます。
  127. 一川保夫

    ○一川委員 私はこれで質問をやめたいと思いますけれども、最後に要望でございます。  こういった伝統ある、これまでの歴史的な農産物検査法改正ということで、しかも、民間移行させるという面では大変重要な問題をたくさん抱えていると思いますけれども、この法案趣旨に沿ってしっかりとした運用がされますように、適切な指導をよろしくお願いしたいというふうに思います。  また一方では、これまで検査に従事してきました食糧事務所、実際に検査官等も、これからいろいろな面でそういった方々のこれまでの経験なり能力を、また新しいところで生かしていくということも含めての、当然ながら、農林水産行政での活用ということが考えられているというふうに思いますけれども関係者の不安が発生しないようにぜひその面の御配慮もよろしくお願いをしまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  128. 松岡利勝

    松岡委員長 次に、菊地董君。
  129. 菊地董

    ○菊地委員 社民党・市民連合の菊地でございます。  大臣、私は、本日の議論を聞かせていただきまして、また過日、三月三十日の参議院における委員審議についても少しく勉強させていただきました。農産物検査法の目的が、適正な格付を行うことによる円滑な流通の促進と、社会経済における能率化と合理化を図るものであること。我が国の農産物検査制度は、明治三十一年に始まりまして、当初の同業組合による団体営から、明治三十四年に県営になり、昭和十七年に旧食管法によって統一国営検査となり、戦後、昭和二十六年に現行法ができて、その後十二回改正されまして現在の制度になってきたわけでありますが、これは、我が国の農産物検査のより公正な制度への発展の歴史であった、そういう意味で、この制度が果たしてきた歴史的な役割について評価するものであります。  農産物検査法に基づく米、麦など現行二十品目の国営検査は、生産者、消費者に、農産物品質安全性に対する信頼性、透明性、中立性、公平性を確保し、食料安全性にかかわる重要な役割を担ってきたと思います。  法律案は、これまで国営検査としていた米などの農産物検査を、平成十三年から五カ年の移行期間をもって民間移行することが核心であります。民間移行によって、予想される検査機関は、農協、経済連、穀物検定協会など生産者団体と、これに関連する団体とが想定されておりますが、みずからつくったものをみずから検査してみずから販売するというこの新たな仕組みに、生産者、消費者から信頼性中立性、透明性、公平性が確保されるのかどうかということが危惧されていると思います。生産者、消費者のこうした危惧をどのように払拭されようとするのか、まず大臣にお伺いしたいと思います。
  130. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 国から民間検査を移管する、やはり、信頼性中立公正を旨として、民間にこれが移っても、それが損なわれないようにしっかりやっていくということがまず第一だと思うわけでございます。  したがいまして、五年間かけまして、今すぐ民間に行くということでなく徐々にやっていく、こういう中におきまして、その手順とか基準、それからまた、検査の仕方という点につきましては、民間に移るに当たりまして、厳密に滞りなくやっていくということが大事かなと思うわけでございます。  具体的には、検査機関業務開始に先立ちまして、検査機関としての適格性をしっかりと審査する、これが大事であると思うわけでございます。それからまた、基準のとり方とか、どういうような検査をするか、検査員の研修、こういうものは全国統一的にやるわけでございますので、この点について格段の差がないようにやるということが大事だ。  それからまた、不適正な事態が発生した場合におきましては、改善命令を発出する。あるいは業務停止命令を行いまして、登録の取り消しも行います。あるいは罰則もかけますよと。こういう意味で、厳正にこの点は措置をして、できるだけ公正な形でやりまして、消費者の皆さんの不安をぬぐい、信頼確保するように図ってまいりたいと考えておるところでございます。
  131. 菊地董

    ○菊地委員 このたびの法改正は、行政改革趣旨を徹底するということに基づいて、農産物検査実施主体を国から民間検査機関移行しようとするもので、民間機関、法人が農産物検査業務にぜひ参入したいという要請やニーズに基づいたものではないわけでございます。五カ年の移行期間があるわけでありますが、果たしてこの民間移行が公平、中立、透明性などを確保しながらスムーズにいくかどうかの問題についてであります。  そこで、お伺いしたいわけでありますけれども、僻地や離島、集荷量の少ない地域民間検査機関業務を引き受けるかどうか。採算、経営の成り立つところだけしか民間機関が引き受けないのではないか、こういうことが第一点。  農産物検査は季節性のあるものでございますので、現在、ピーク時でも三千五百人の検査官が必要と聞いておりますが、民間移行した場合にそれだけの専門的な知識や経験を持った検査員確保できるものかどうか、このことが第二点。  検査員には検査官のOBや研修によって確保するとしているようですが、それで必要数が質、量ともに充足されるものかどうか。民間というのは経営が成り立たなくなればやっていけないわけでありますから、採算が難しくなったときに業務返上などの、仕事を投げ出したりするようなことはないのかどうか。また、検査料を大幅に値上げしたり、検査員の賃金や手当を切り下げたり、検査員をパートタイムにするなど、労働条件を劣悪にする等々のおそれがないものかどうか。  以上、幾つか例示いたしましたけれども、既にお答えのあったところもありますので、そういうところは省いても結構でありますが、できれば一つ一つ、簡潔で結構ですから、お答えいただければと思います。
  132. 高木賢

    高木政府参考人 五年間での移行をスムーズにするために、現在、県段階で生産者あるいは流通業者等の関係者と協議会を設けて、いわゆる移行プログラムというものの作成作業中でございます。この中では、県内のすべてくまなく、山間部あるいは離島なども含めまして、具体的にどうやっていくのかということの検討をしていただいております。そういう不利なところは、集荷体制の整備という方策が一つ。それから、経済連など広域をカバーする機関が、効率の悪いところといいところと両方やってプール計算をしてやっていく、こういうようなことが考えられるわけでございます。  いずれにしても、そこは具体的にその地域の特質に従ってどういう手段をとっていくかということを現在、検討を行っております。その結果を得て、着実な移行を図っていきたいというふうに思っております。  それから、検査員の数でございます。これも、そのプログラムの中で、例えばA農協は、自分のところは何人ぐらいいたらいいかということで、どちらかというと、ゆとりを持ってやや多目に研修をして人員を確保しようというふうに動いているように見受けられます。具体的にだれにするかということも当然JAの方々は、背番号といいますか、顔を浮かべながら数をカウントしているというふうにも思います。そしてまた、自前の職員じゃ足りないというときにはOBを活用したいという意向、何人ぐらい要るんだということも、既にプログラムを作成したところでは、そういう意向も明確になっております。こういうことで対応してまいりたいと思います。  それから、手数料の問題は、先ほど来言っておりますように、低くなる方向で対応しております。  労働条件でございますが、これは改めて申し上げるのも釈迦に説法かと思いますが、一方の当事者だけで決められるものではないと思いますし、それから、パートタイムというより、今いる職員の方にプラスアルファでやっていただくというような取り組みの方が多いように見受けられます。  以上でございます。
  133. 菊地董

    ○菊地委員 時間の関係がありまして、予定していた質問をちょっと飛ばしたいと思うんです。  現行制度のもとでは、農産物検査官の仕事には、農産物検査法に基づく農産物の義務検査、任意検査、成分検査のほかに、食品衛生法に基づく安全性のモニタリングの仕事があるわけであります。残留農薬カドミなどの重金属の安全性のモニタリング調査は大変重要な業務であり、今後より拡充させていくべき食糧庁の仕事であると私は思います。  安全性のモニタリングに必要なサンプルの採取は、集荷時の検査のときに一緒にやっていると聞いておるわけでございます。また、カドミなどの重金属の調査は、過去において一定量以上が検出されたことのある特定地域を指定してモニタリングするという目的意識的な調査をしてきたわけでありますが、民間移行した場合にはこのモニタリングに支障を来すことはないかどうか、お伺いしたいと思います。  すなわち、試料の採取がスムーズにいくかどうかとか、あるいは、平成十二年産米から公表を前提として安全性のモニタリングをやっていくというふうに聞いているわけでありますが、試料提供の協力をお願いしていかなければならないわけでありまして、検査官OBや研修終了者による民間検査員で特定地域のサンプルを集めるというようなことがスムーズにいくかどうか心配であるわけでありますが、このモニタリングのあれが拡充ではなく縮減にならないかということを心配するわけでありますけれども、この点についてお伺いしたいと思います。
  134. 高木賢

    高木政府参考人 米や麦の安全性に関する分析は、今農産物検査官がやっているわけではございません。食糧庁あるいは食糧事務所の分析担当者が別にやっております。したがいまして、検査民営化をいたしましても、直接そのことによって支障を来すものではないということでございます。  ただし、現実には、農産物検査官が試料の採取につきまして検査時にあわせて行うという形も一つあります。ただ、それが唯一の方法ではなくて、農産物検査以外の機会に食糧事務所職員が現場に出向いて行っているという形もございます。  したがいまして、民営化が完全に行われますと、検査官が検査を行うときに試料採取をするという形はとれませんけれども、試料の採取につきましては、食糧事務所職員が現場に出向くということで実施可能でございますので、民間農産物検査移行しても、安全性のモニタリング調査の方に支障を来すというものではございません。
  135. 菊地董

    ○菊地委員 JAS法の改正は本年四月一日から施行されておりますけれども、精米表示基準の適用は二〇〇一年の四月と聞いております。しかしながら、表示と内容の一致が保証されていなければ何のための表示かということになるわけであります。JAS法の改正により、大臣による指示、公表、改善命令罰則といった法的措置担保されると聞いておりますが、それだけで果たして十分と言えるかどうか。  義務検査の米麦については、集荷のところでは検査法に基づく検査が行われているわけでありますけれども、任意検査の計画外流通米はそれすら行われていないわけであります。流通の段階でも検査が行われる必要があるのではないかと考えるわけでありますが、現行の検査法になじむかどうかわかりませんが、流通の段階でも何らかの検査が必要かどうかということについて、見解を伺いたいと思います。
  136. 高木賢

    高木政府参考人 まず、JAS制度におきます精米表示におきまして、産地、産年、銘柄というものを表示する場合には、それは農産物検査を受けていたものでなければそういう表示ができないということで、両者の連動を図っております。  それから、流通段階での検査ということでございますが、改正法におきましても、現行法と同様に米麦などの農産物の売買取引業者、加工業者などの流通業者が取り扱う農産物で、検査を受けていないもの、あるいは産地検査後もみから玄米へ区分変更したことによって検査が失効してしまったもの、あるいは検査から一定期間を経過したものなどについても、検査を行うことにいたしております。こういうことで、引き続き、流通段階での検査制度を設けるということでやっていきたいと思います。
  137. 菊地董

    ○菊地委員 消費者、国民の立場に立ちますと、これは農産物すべてについて言えることでありますが、主食である米麦についていえば、現行検査制度による銘柄、産地、品位、年産の検査だけでは不十分でありまして、食味とか、残留農薬や重金属の安全性の問題、成分などの方が消費者にとってはより知りたい情報であるわけであります。また、天日乾燥か機械乾燥か、あるいは有機栽培か低農薬栽培か、産地についても、県単位ではなく地区単位にするとか、あるいは究極的には生産者、水田ごとの表示が必要ではないのか。農産物は太陽と水と土と人間の労働によってできるものでありますから、だれがどこでどのようにしてつくったものかということが一番大切な情報であると思います。  生産者は、安全で良質な食料農産物を生産し、安定的に供給する。消費者、国民は、農産物検査や適切な表示に基づいてみずからの判断で選択する。良質な食料の安定的な供給のためには、そういった仕組みをつくっていくべきではないかと思うわけでありますが、そのためには、現行制度にとらわれずにこれらの問題を考えていけば、農産物の安全検査品質検査、成分検査等は、表示制度の問題も含めまして、食糧庁が総合的に、一元的に責任を持つという仕組みが必要だと私は思うわけでありますが、大臣の見解をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  138. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 農産物検査を初め、米麦に関する行政は食糧庁中心となりますが、あわせて、関係省庁との役割分担や地方公共団体との連携にも十分配慮し、全体として食料行政の適切な運営を図ってまいりたいと考えておるところであります。
  139. 菊地董

    ○菊地委員 ありがとうございました。これで終わります。
  140. 松岡利勝

    松岡委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  141. 松岡利勝

    松岡委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。中林よし子君。
  142. 中林よし子

    ○中林委員 私は、日本共産党を代表して、農産物検査法の一部を改正する法律案に対する反対討論を行います。  反対の第一の理由は、農産物検査を国から民間移行することは、公正中立検査の水準を保ち、さらに消費者の期待にこたえる検査の拡充を困難にさせるからであります。  登録検査機関は法人の種類を問わないものの、実際の参入は、取引当事者である生産者団体また流通業者の可能性もあります。検査は、公正な第三者機関が行うべきであります。  そして、検査機関にとっても人員や器具など体制整備が求められ、ただでさえ経営が大変な農協など生産者団体にとって大きな負担になります。その結果、検査効率化という名で、農産物検査の水準の低下や手数料の引き上げなど、生産者負担の増大につながりかねません。  さらに、国の検査体制を維持してこそ、輸入農産物を初めとする農産物残留農薬や遺伝子組み換え品など、安全性確保という消費者の要望にこたえる検査の拡充、発展を今後図っていく条件を存続させるものであります。  したがって、生産者、消費者の要求にこたえた改善を図りつつ、国の検査を維持すべきであります。  反対の第二は、検査民間移行が国の公務員削減、行政組織減量という行政改革の一環であるからです。本来、行政改革を言うなら、政官財の癒着にこそメスを入れるべきであります。国民生活に影響を及ぼすような分野を削るべきではありません。品質の向上と円滑な取引を進める役割を果たしてきた農産物検査からの国の撤退は、主食の米を初め食料国民に安定的に確保していく国の責務を大きく後退させるもので、到底認められません。  以上で反対討論を終わります。
  143. 松岡利勝

    松岡委員長 これにて本案に対する討論は終局いたしました。     —————————————
  144. 松岡利勝

    松岡委員長 これより採決に入ります。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  145. 松岡利勝

    松岡委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  146. 松岡利勝

    松岡委員長 この際、本案に対し、松下忠洋君外五名から、自由民主党、民主党、公明党・改革クラブ、保守党、自由党及び社会民主党・市民連合の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨説明を聴取いたします。一川保夫君。
  147. 一川保夫

    ○一川委員 私は、自由民主党、民主党、公明党・改革クラブ、保守党、自由党及び社会民主党・市民連合を代表して、農産物検査法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     農産物検査法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   農産物検査制度は、農産物の公正かつ円滑な取引品質改善を助長する上で重要な役割を果たしており、農産物検査民営化に当たっては、政府は左記事項の実現に努め、その適正かつ円滑な実施に万全を期すべきである。       記  一 検査民営化に当たって、民営化移行プログラムを地域の実情に沿って作成・実行するとともに、移行期間中における国の補完的な検査を適確に実施すること。    また、食糧事務所の組織と定員の配置については、業務の適確な運営職員の雇用・労働条件の安定に十分配慮すること。  二 登録検査機関に対する調査を必要に応じ行うとともに、その業務運営に対する適確な指導監督実施し、公正・中立検査業務確保が図られるようにすること。    また、民間検査が適正な格付によって実施され、農産物の生産・流通・消費の各段階での信頼性確保できるよう、専門的な知識・技能を有する検査員の養成確保や精度の高い検査関連機器の開発等を推進すること。  三 検査規格及び検査方法については、生産者、流通業者、消費者等の意向を適確に反映して設定するとともに、検査手数料については、生産者の過重な負担にならないよう配慮すること。  四 条件不利地域等を含めた公平な受検機会を確保するため、天災その他の事由により検査業務実施が困難となる場合における国の検査実施について適正に対処すること。  五 米穀品質等に対する消費者の関心の高まりを踏まえ、表示に対する消費者の信頼を維持・確保する観点から、精米等の表示については、検査制度との関連も考慮しつつ、適正に対処すること。   右決議する。  以上の附帯決議案の趣旨につきましては、質疑の過程を通じて委員各位の御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。  何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。  以上です。(拍手)
  148. 松岡利勝

    松岡委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  149. 松岡利勝

    松岡委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、ただいまの附帯決議につきまして、農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣玉沢徳一郎君。
  150. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 ただいまは法案を可決いただき、ありがとうございました。  附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、今後最善の努力をいたしてまいります。     —————————————
  151. 松岡利勝

    松岡委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  152. 松岡利勝

    松岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  153. 松岡利勝

    松岡委員長 次に、内閣提出農水産業協同組合貯金保険法及び農林中央金庫と信用農業協同組合連合会との合併等に関する法律の一部を改正する法律案及び農水産業協同組合再生手続特例等に関する法律案の両案を議題といたします。  順次趣旨説明を聴取いたします。農林水産大臣玉沢徳一郎君。     —————————————  農水産業協同組合貯金保険法及び農林中央金庫と信用農業協同組合連合会との合併等に関する法律の一部を改正する法律案  農水産業協同組合再生手続特例等に関する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  154. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 農水産業協同組合貯金保険法及び農林中央金庫と信用農業協同組合連合会との合併等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  農漁協系統の信用事業のセーフティーネットにつきましては、従来から、他の金融機関の預金保険制度と同様の農水産業協同組合貯金保険制度を設けているところでありますが、ペイオフの解禁に向けた金融情勢の急激な変化の中で、今後とも農漁協系統の信用事業の安定を図り、組合員等が安心して農漁協系統金融機関を利用していけるようにするためには、そのセーフティーネットについて、他の金融業態と基本的に同様の整備拡充を図っていくことが必要であります。  このため、農水産業協同組合貯金保険制度の充実強化を図るとともに、農漁協系統金融機関が破綻した場合の迅速かつ円滑な破綻処理システムを確立することとし、この法律案を提出した次第であります。  次に、この法律案の主要な内容を御説明申し上げます。  第一に、ペイオフ解禁時期の一年延期であります。  貯金の全額保護のための特例措置の期限を一年延期して、平成十四年三月三十一日までとすることとしております。  第二に、農水産業協同組合貯金保険制度の適用対象の拡大であります。  農漁協系統信用事業全体としてのセーフティーネットを構築するため、保険制度の適用対象として、これまでの農協等のほか、信用農業協同組合連合会、農林中央金庫等を追加することとしております。これに伴い、信用農業協同組合連合会等が破綻した場合の資金援助の限度額について、その信用農業協同組合連合会等のペイオフコストだけでなく、連鎖破綻のおそれのある会員農協等のペイオフコストを加算することとしております。また、付保対象として、農林債券等を追加することとしております。  第三に、農水産業協同組合貯金保険機構による資金援助の充実であります。  これまで経営が困難となった農協等の合併と信用事業の全部譲渡のみが貯金保険機構の資金援助対象となっておりましたが、多様なスキームにより円滑に破綻処理を行うため、信用事業の一部譲渡等も資金援助の対象に追加することとしております。  また、このこととの関係において、農林中央金庫と信用農業協同組合連合会との合併等に関する法律改正し、信用農業協同組合連合会から農林中央金庫への事業の一部譲渡が行えるよう措置することとしております。さらに、資金援助の手法を充実し、優先出資の引き受け、事後的な損失の補てん等を追加することとしております。  第四に、貯金保険機構の不良債権等の買い取り、回収業務の円滑化であります。  貯金保険機構は、経営が困難となった農協等の不良債権等の買い取り、回収を円滑に行うため、債権回収会社に対して業務委託を行うことができることとしております。  第五に、公的管理人制度の導入であります。  経営が困難となった農協等の合併等を迅速かつ円滑に進めるため、その農協等について、行政庁が公的管理人を任命する制度を導入することとしております。  その他、金融危機への対応等につきまして、他の金融機関と基本的に同様の規定の整備を図ることとしております。  以上が、この法律案提案の理由及び主要な内容であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。  続きまして、農水産業協同組合再生手続特例等に関する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  農漁協系統の信用事業のセーフティーネットにつきましては、従来から他の金融機関の預金保険制度と同様の農水産業協同組合貯金保険制度を設けているところでありますが、ペイオフの解禁に向けた金融情勢の急激な変化の中で、今後とも農漁協系統の信用事業の安定を図り、組合員等が安心して農漁協系統金融機関を利用していけるようにするためには、そのセーフティーネットについて、他の金融機関と基本的に同様の整備、拡充を図っていくことが必要であります。  そのセーフティーネットの一環として、農水産業協同組合が破綻した場合に、組合員、貯金者の利益の保護を図るためにも、迅速かつ円滑に破綻処理を行っていくことが重要であります。  このため、農水産業協同組合再生手続及び破産手続について特例を設け、迅速な破綻処理が可能となるよう措置することとし、この法律案を提出した次第であります。  次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、監督庁は、裁判所に対し、農水産業協同組合について、再生手続開始または破産の申し立てをすることができることとしております。  第二に、農水産業協同組合貯金保険機構は、貯金者表を作成して、裁判所に提出することにより、貯金者を代理して、再生手続または破産手続に関する一切の行為をすることができることとしております。  第三に、再生手続開始後において、農水産業協同組合がその財産をもって債務を完済することができないときは、裁判所は、信用事業の譲渡について、総会または総代会の決議にかわる許可を与えることができることとしております。  以上が、この法律案提案の理由及び主要な内容であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  155. 松岡利勝

    松岡委員長 これにて両案の趣旨説明は終わりました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時三十三分散会