○
鰐淵委員 ただいまの大臣の考えにつきましては、私も了といたすところでございます。
そこで、
農林水産省から出ている統計資料を見ますと、ここに端的に、私は、昭和三十六年から今までの
農業の推移、これからいくべき
農業の姿というものは、この統計でよく映し出されると思います。
一つは、作付の面積等は、昭和三十五年を一〇〇としますと、現在は約四二%減、作付面積はほぼ四二%減っておるということです。それから、稲作、水稲ですが、これは約三七・五%減じている、減っておるということです。それから、大変大きいのは麦ですね、これは約八二・六%減っております。非常に減少しております。カンショは八六%減、豆類も七四・六%減っておる。ですから、もうこれは減っているのが圧倒的に多いのですね。そこで、果樹は一八%ふえている。野菜はそんな減りぐあいではないですが、二〇%減っている。最もふえているのは飼肥料作物、九九・五、約一〇〇%ふえているということであります。あるいはまた、耕地面積そのものは約一九%減っておる。
そこで、家畜の関係をいきますと、
農家戸数からいたしますと、これは激減、昭和三十五年を一〇〇とすると、現在九%ですから、いわば九一減っておるのです。しかし、乳用牛を飼っている頭数といいますと、約二・二倍になっております。ですから、いかに戸数が減って飼養頭数がふえておるか、大規模になっておるかということをあらわしておると思います。そのうち北海道は、何と二十八・六倍。わずかな期間で大変な大規模な
経営に至っているということは、この統計から示されるわけであります。
そうしますと、
あと中小家畜は、これはもう企業
養豚、企業養鶏等が入りますから、これは大頭羽数飼育でありまして、ちょっとこれは統計から外したいと思いますが、この統計からいいますと、戦後、
酪農、
畜産というのは、昭和三十六年の
農業基本法のときは、私自身は今釧路に生活しておりますが、釧路と根室の
酪農をつぶさにこの四十年見てきております。そのことを考えてみますと、当時、昭和三十六年のころは、まだ馬産
農家が圧倒的に多かったのですね。そして、ようやく
酪農に転換していくという時期から、搾乳の頭数が多いところで三頭か四頭、しかも一頭当たりの搾っているのは三千か三千五百キロ、こういう非常に小規模な状態でした。
今はというと、御案内のとおりに、もう百頭、二百頭、搾乳頭数も三十頭、四十頭、根室などはもっと大規模であります。そういう大規模な
酪農経営になっておりますので、当然、歴史、伝統がないわけでございますから、それに
拡大したことに要する資本の投資、土地改良、草地改良、機械器具、畜舎、その他もろもろ、投資がかなりあったわけでありまして、
農業所得はふえましたが、
農家所得は余りふえない。ということは、借金がやはり多いということです。
今、
日本の
酪農ということを考えていきますときに、根室、釧路、
日本一の
酪農郷は先進国に負けない
経営規模であり、能力は持っているけれ
ども、やはり資本の蓄積は残念ながら少ない。これが
競争力をかなり落とすわけで、したがって、この辺を
政策としてしっかり考えていく必要があるのではないかというのが一つ。
それから、私は、今度は新しい
食料・
農業・
農村基本法において、
基本計画の中で自給率を決めたということは、世界で初めてでないか、恐らく世界の国にないのではないかと思います。しかも、この自給率を決めるというのは、非常に難しい要素がたくさんあったと思うのですね。しかしながら、あえてこの難しいことに挑戦して、自給率を出した。これはやはり大変な成果であり、
努力であると評価をしたいと思っています。
そこで、私は、
食料というのはやはり、
食料安保という話もありますが、危機
管理の一つに入るのですね。
日本人の食というものにいつ何どき、どんな変化があるかわからない。そうすると、食べるものはどうかということは、私
どもはもう昭和二十年に体験しているわけですね。今はその二十年の時代は来ませんけれ
ども、しかし、来ないとは限らないということを考えたら、いわゆる危機
管理という点、やはり自給率を設定し、そこを確実に確保する
努力というものは、私は必要だと思うのです。
そのためには、一つは、私
どもの子供たちの食べているのを見ますと、全然私たちと嗜好が違います。私
どもは、もう炭水化物、米ばかり、米の方がいいわけです。今の子供たちは、パンとかファストフードだとか、とにかく全然違う。この食生活、若い人がだんだん違ってくるということに対して、せっかく米の自給率は高まっているのだけれ
ども米が余ってくる、こういう問題。ですから、カロリーベースからいくと、幾らでも食生活の改善といいますか、そういう問題が一つあります。
それから、
農家サイドからいうと、
生産基盤の体制として、どういうように需要のある品目をつくっていくかということ、
政策がどういうようにポイントを合わせていくかということを考えたときに、私は四五%という
目標は妥当ではないかとは思うのですが、この妥当性について、農林大臣、どのように考えておられますか。