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2000-03-08 第147回国会 衆議院 農林水産委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年三月八日(水曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 松岡 利勝君    理事 金田 英行君 理事 松下 忠洋君    理事 宮本 一三君 理事 小平 忠正君    理事 鉢呂 吉雄君 理事 宮地 正介君    理事 一川 保夫君       赤城 徳彦君    今村 雅弘君       大石 秀政君    木村 太郎君       北村 直人君    熊谷 市雄君       栗原 博久君    栗原 裕康君       塩谷  立君    園田 修光君       中野 正志君    野呂田芳成君       藤本 孝雄君    二田 孝治君       松本  純君    御法川英文君       矢上 雅義君    谷津 義男君       山口 泰明君   吉田左エ門君       安住  淳君    石井 紘基君       石橋 大吉君    岩田 順介君       大石 正光君    木幡 弘道君       佐藤謙一郎君    漆原 良夫君       丸谷 佳織君    井上 喜一君       佐々木洋平君    菅原喜重郎君       中林よし子君    藤田 スミ君       菊地  董君     …………………………………    農林水産大臣       玉沢徳一郎君    農林水産政務次官     谷津 義男君    政府参考人    (厚生省生活衛生局長)  西本  至君    政府参考人    (農林水産省構造改善局長    )            渡辺 好明君    政府参考人    (農林水産省農産園芸局長    )            木下 寛之君    政府参考人    (農林水産技術会議事務局    長)           三輪睿太郎君    農林水産委員会専門員   外山 文雄君     ————————————— 委員の異動 三月八日  辞任         補欠選任   麻生 太郎君     松本  純君   稲葉 大和君     栗原 裕康君   河井 克行君     山口 泰明君   木部 佳昭君    吉田左エ門君   熊谷 市雄君     中野 正志君   石橋 大吉君     岩田 順介君   木幡 弘道君     石井 紘基君   長内 順一君     丸谷 佳織君 同日  辞任         補欠選任   栗原 裕康君     稲葉 大和君   中野 正志君     熊谷 市雄君   松本  純君     麻生 太郎君   山口 泰明君     大石 秀政君  吉田左エ門君     木部 佳昭君   石井 紘基君     木幡 弘道君   岩田 順介君     石橋 大吉君   丸谷 佳織君     長内 順一君 同日  辞任         補欠選任   大石 秀政君     河井 克行君     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  大豆なたね交付金暫定措置法及び農産物価格安定法の一部を改正する法律案内閣提出第三二号)  青年等就農促進のための資金の貸付け等に関する特別措置法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案内閣提出第三一号)     午前十時三十三分開議      ————◇—————
  2. 松岡利勝

    松岡委員長 これより会議を開きます。  内閣提出大豆なたね交付金暫定措置法及び農産物価格安定法の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、お諮りいたします。  本案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省構造改善局長渡辺好明君、農林水産省農産園芸局長木下寛之君、農林水産技術会議事務局長三輪睿太郎君及び厚生省生活衛生局長西本至君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 松岡利勝

    松岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 松岡利勝

    松岡委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。漆原良夫君。
  5. 漆原良夫

    漆原委員 おはようございます。公明党・改革クラブ漆原でございます。  まず、私の方からは、農水省構造改善局不祥事について若干お尋ねしたいと思います。  一連の構造改善局不祥事は、三月二日、元課長補佐収賄容疑での逮捕、そして三月三日、農水省本省に対する強制捜索という最悪の事態に発展したわけでございます。  新農業基本法が制定されて、日本の農政が、従来のいわば保護主義的な農政から脱却をして、環境への配慮とか市場原理の導入など、新たに生まれ変わろうとしている重大な時期であると私は考えております。抜本的改革に向けた取り組みには国民信頼と支持がどうしても必要であります。業者との癒着の構造がまかり通るようでは到底国民信頼は得られない、こういうふうに思います。  今回の課長補佐逮捕農水省本省への強制捜索という事態を受けて、大臣、いらっしゃいませんが、総括政務次官、率直なお考えをお尋ねしたいと思います。
  6. 谷津義男

    谷津政務次官 このたび農林水産省の元職員収賄容疑逮捕され、当省が家宅捜索をされましたことにつきましては、公務員の倫理が厳しく問われている中で、まことに遺憾であり、残念に思っております。また、このことにより、国民の方々から不信を招いたことを大変申しわけなく思っております。捜査に対しましては、当省として協力を惜しまない所存でございます。  私といたしましては、この事態を重く受けとめ、今後農業構造改善事業等について、事業執行透明性の確保など、事業実施適正化に全力を尽くしますとともに、倫理の保持について、倫理研修倫理管理体制を強化するなど万全を期していきたいと思っております。
  7. 漆原良夫

    漆原委員 今回逮捕されたこの元課長補佐は、農水省が自主的に行った調査によって二回の処分をこれまで受けているわけですね。平成十一年十二月、減給六カ月間十分の一、十二年一月、停職二カ月間、二回の調査を受けて二回の処分を受けていました。  そういう意味で、そのときに発見されずに、今回司直の手が入ったことになるわけでございますが、農水省調査身内に甘いのではないかというふうな声が聞こえておりますが、総括政務次官、この点いかがでございましょうか。
  8. 谷津義男

    谷津政務次官 上甲継男に対する処分の件だろうと思いますけれども、それは今お話がありました、昨年の十二月二十七日の処分が、これが十分の一の減給の六カ月。これは韓国旅行が一回、それから会食三十二回。それから、本年の一月十一日の処分、これは停職二カ月については、韓国旅行が三回、ゴルフが八回。それから、そのうち、四国大川農協関係では韓国旅行が二回、会食十二回、ゴルフ八回というものでございます。これは調査委員会において調べさせていただいたわけでありますけれども本人の方からは今回のことについては、逮捕の事実については実は何の話もなかったということでございます。
  9. 漆原良夫

    漆原委員 いずれにしても、農水省調査では明らかにならなかった、発見できなかったことが今回警察によって収賄という重大な事件に発展したわけであります。自主的な調査で発見できないことが後になって収賄事件に発展していった、こういうケースは今までにもたくさんあります。ほかの省庁でも、自主的にこうだと言ったところが、新聞社の発表によって後でそれをどんどん追認していくようなケースが見られます。  私、一番心配しているのは、農水省のこの構造改善局不祥事が今回の一個だけにとどまるのか、それともとどまらないのか、さらにまた、新たな収賄事件が出てくるのか、あるいは逮捕される人が出てくるのか、非常に心配しておりますが、こういう身内調査で発見できなかったことがどんどん後で覆されていくということが我が省に対する国民信頼を最も失うところであると思うんです。  そういう意味では、今回処分された十九名ですか二十名ですか、収賄という観点でもう一度見直しをする、調査のやり直しをするということを総括政務次官、お考えになりませんでしょうか。
  10. 谷津義男

    谷津政務次官 今先生おっしゃったんですが、実は十八名処分をしたわけでございます。今回の件がまた発生したことにつきまして、今改めて調査をし直さないかというお話でございましたけれども、実は、調査委員会がやっているのは、業務執行に対しての調査ということでございまして、今お話がありました収賄というものにつきましては、むしろ私は司直の手にゆだねるということになるのではなかろうかと思うのです。  この調査委員会調査の中で、実際に、私、これは個人の考えが入るわけでありますが、かなり限界があるという感じを持たぬわけでもございませんので、そういった面で、もしそういうふうなものがあるとするならば、これはむしろ司直の手にという形になってくるのではなかろうかなというふうに考えます。
  11. 漆原良夫

    漆原委員 今の総括政務次官お話ですと、収賄事件に発展するのは職務行為便宜供与対価関係になるわけなのですが、今までの調査は、そういう観点からの調査はしてこなかったと聞いていいのでしょうか。
  12. 谷津義男

    谷津政務次官 構造改善事業に関する調査委員会は、大臣訓令に基づいて設置されたものでございまして、その調査は、農業構造改善事業執行体制適正化目的にしたものでありまして、犯罪行為を摘発することを目的としたものではございません。  このような立場に立って、本人自己申告基本として、強制権限がない中で、調査委員会は、五年前にさかのぼって百六名の職員対象に可能な限り網羅的に調査を行いました。  その結果を踏まえて、職員倫理規程、これは平成八年の十二月につくられたものでありますが、それに照らしまして十八名についての厳しい処分をしたものでありまして、調査が決して甘いということではなかったと思うわけであります。
  13. 漆原良夫

    漆原委員 そこで、韓国旅行へ行った、海外旅行へ行った、あるいは飲食をした、そういう接待を受けたということを調査されたわけですね。それだけに終わっているのか、それと職務行為関連性まで踏み込んで調査をされているのか、その点はどうなのでしょうかね。  もう一度、ただ飲食をしたかどうか、あるいは海外旅行へ行ったかどうかという観点調査だけなのか、もう一歩踏み込んで、今回、四国大川農協というのでしょうか、四国大川農協との具体的な予算の配分だとか職務関連に関する因果関係みたいなところまで突っ込んだ調査はしているのか、いないのか、お答えいただきたいと思います。     —————————————
  14. 松岡利勝

    松岡委員長 議事の途中ではございますが、ただいまヨージェフ・トルジャーン・ハンガリー共和国農業地方開発大臣御一行が当委員会の傍聴にお見えになっております。御紹介申し上げます。     〔起立、拍手〕     —————————————
  15. 松岡利勝

  16. 渡辺好明

    渡辺政府参考人 今回の調査、昨年の一月からやっておるわけでございますけれども、やはりベースにいたしましたのは農林水産省職員倫理規程でございます。その中には、先生御案内のことと思いますけれども関係業者等との間で行われるものとして、一切の利益便宜供与を受けることというのが禁止をされておりますので、これに照らしまして調査を行いました。そして、この訓令の中には、もし犯罪行為に当たるようなことがその過程でわかれば、告発をするということになっていたわけでございます。  私どもは、会食、遊戯、旅行、そういった便宜供与等に関するものすべてを調べ上げた上で、犯罪行為に当たるものはその時点では確認できなかったということでありましたので、訓令に基づく司法当局への告発というのは行わなかったわけでございます。
  17. 漆原良夫

    漆原委員 それでは、今回逮捕された上甲課長補佐処分事由に該当する事実について、その内容と回数、年月を明らかにしてもらいたい。そして、さらにその中で、今回のいわゆる贈賄側と指摘された四国大川農協関係するものをまた別に教えてもらいたいと思います。
  18. 渡辺好明

    渡辺政府参考人 上甲継男に対する処分事由でありますが、上甲氏は二回処分を受けております。昨年十二月二十七日の処分、すなわち減給六カ月、十分の一でございますが、これは、韓国旅行を一回行っておりまして、この際、海外渡航承認願提出しておりません。それから、会食につきましては、それまでの確認で三十二回ということになっております。  それから、本年一月十一日に追加の処分、つまり停職二カ月を行っておりますが、それは、韓国旅行三回というものであり、海外渡航承認願提出をされていない、それから、ゴルフが八回ということでございます。  なお、四国大川農協関係は、韓国旅行が二回、会食が十二回、ゴルフが八回というのが確認をされております。
  19. 漆原良夫

    漆原委員 四国大川農協に関するものだけに限定したいと思うのですが、韓国旅行が二回とおっしゃいましたかね。(渡辺政府参考人「はい」と呼ぶ)韓国旅行が二回、この場合は、旅費は自分負担していると思うのですが、大体何泊ぐらいで行っているのか。そして、その間の宿泊費はだれが負担したのか。あるいは、向こうの方で飲食接待があったのか、ないのか。トータルでどのぐらいの費用だったのか。この辺をお調べになられましたでしょうか。お調べになっていたら教えてもらいたいと思います。     〔委員長退席松下委員長代理着席
  20. 渡辺好明

    渡辺政府参考人 海外旅行費用負担につきましては、調査の結果、本人から費用負担をしたということが言われております。また、相手方もそれを確認いたしておりますが、費用のそれぞれをそれぞれの費目に沿って負担をしたのではなく、言ってみればパックというふうな形で周りにお金を渡したと記憶をしているというのが本人の言うところでございます。
  21. 漆原良夫

    漆原委員 その辺は四国大川農協の方に確認されなかったのでしょうか。そして、ついでに、飲食十二回、全体でどのぐらいの金額になるのでしょうか。
  22. 渡辺好明

    渡辺政府参考人 順番を後ろの方から申し上げますが、飲食につきましては、回数確認をいたしておりますけれども、その金額の詳細につきましては、ちょっと手元にデータがございません。  それから、旅行につきましては、本人の経費の負担は、韓国旅行が、これは土曜から月曜まで二泊三日で三万五千円、その次の韓国旅行が、金曜から日曜まで、これも二泊三日で五万円ということになっております。
  23. 漆原良夫

    漆原委員 十二回という飲食、この金額についてはなぜ把握しなかったのか。それから、さらに韓国旅行に、パックで三万五千円とか五万を渡したというのだろうけれども向こうの方で飲み食いしたのかどうか。その辺については確認されたのでしょうか、されないのでしょうか。
  24. 渡辺好明

    渡辺政府参考人 二点御質問がございました。  第一点は、飲食の単価なり額の問題であります。  これは、私どもは、倫理規程上は有償無償を問わず会食をしてはいけないということになっておりますので、倫理規程では、会食をすること、この行為を行ってはならないとなっておりますので、その額にかかわらず倫理規程違反ということでございます。  それから、韓国における飲食費用につきましては、当人の説明では、みずから負担をしたということでございます。
  25. 漆原良夫

    漆原委員 倫理規程有償無償を問わず飲食をしてはならないと言うから、そこだけ確認したと言うんだけれども飲食をしたというのなら、当然幾らかということがだれだって問題になるわけであって、そこのところを、なぜ私は問題にするかというと、その金額の多寡が職務との関連行為との因果関係を推測させる大きな要素になろうかと思うんですね。したがって、金額確認しなかったということは、初めから、その調査の段階で、もう職務との因果関係については調査しないというふうな前提調査していたとしか思えないのですが、果たしてそういうことでいいんでしょうか。
  26. 渡辺好明

    渡辺政府参考人 総括政務次官からもお答え申し上げたんですが、この調査は五年間さかのぼっての調査でございます。しかも、五年前のことになりますと、この調査報告書にも書いてありますが、次第に記憶が鮮明でなくなり正確さを欠くようになるというふうなことも、この報告書の中に記述をさせていただいております。  私どもは、そういう金額をやること自身よりも、むしろだれと何回やったかというところに重点を置いて調査をいたしましたし、そのこと自身がもう既に倫理規程違反であり、倫理規程前提には、関係業者との間でそういう関係を持つことが、これは二月の報告書にさかのぼりますが、裁量余地があるというところに結びつきかねないということで処分をしたわけでございます。
  27. 漆原良夫

    漆原委員 もう一点だけお尋ねしますが、この四国大川農協に対してどんな調査の仕方をしたのか。例えば、現地にこっちの係官が行って調査をしたのか、あるいは現地から来てもらって調査をしたのか。その際に、この上甲氏が言っている事実を裏づける書類、帳簿類の提示を求めたのか求めないのか。この辺についてはいかがでしょうか。
  28. 渡辺好明

    渡辺政府参考人 名前の特定ということになりますと、非公表を前提協力をお願いしておりますので、ここでは申し上げませんが、先生が今御指摘をされた関係業者ということでお話をさせていただきます。調査委員会といたしましては、本人申告本人との個別面談関係業者等のヒアリングということで、関係業者に当たる方に上京をいただきまして、事実関係確認し、本人の供述と突き合わせて事実の確認をさせていただいたということでございます。
  29. 漆原良夫

    漆原委員 農協幹部によるこの課長補佐に対する飲食とか海外旅行接待、何らかの便宜供与を期待してなされたものだということは、もう国民一般的に推測されるところだと思います。今回の不祥事国民が最も知りたいのは、やはり、単に飲食をしたということじゃなくて、何らかの利益供与があったんじゃないかという点であると思います。  上甲課長補佐がこうした接待見返り四国大川農協に対して何らかの便宜供与をしたのかどうか、あるいは本件以外に収賄事件に発展するような事実があったか否か、調査の結果だけで結構でございますが、明らかにしていただきたいと思います。
  30. 渡辺好明

    渡辺政府参考人 まず、後者の収賄の事実ということに近い話でありますけれども現金の接受という問題につきましては、私ども事情聴取の際にすべてを出してくれという話をいたしましたが、本人及びこの関係者から行った事情聴取においては何の報告もなく、事実関係を把握することができなかったものでございます。現金の授受につきましては、調査委員会としては事実関係を把握することができなかった。  それから職務との関係でありますけれども、この点につきましては、既に二月の報告におきまして、いわゆる「班長行政」という、かぎ括弧つきでありましたけれども、そういう言われ方で、古手の担当者裁量の働く余地があり得たという結論を当調査委員会としてはしております。しかし、それが個別に、具体的に、だれがどこどこにということにまでは至っておりません。
  31. 漆原良夫

    漆原委員 何回も何回も韓国旅行に一緒に行ったり飲食ゴルフ接待を受けたりしている。接待を受けた本人は、何のために接待を受けたというふうに説明しているのか。あるいは、接待したという四国大川農協は、何のためにこうやって接待したというふうに説明しているのか。この調査委員会調査の際、どんなふうに双方は説明したのか。また、それをどういう理由で調査委員会は納得されたのか。その辺についてお答えいただきたいと思います。
  32. 渡辺好明

    渡辺政府参考人 少なくとも倫理規程制定以後はやってはならないことであるということについて、本人にもただしました。本人は、今から思えばそういうことであった、大変申しわけないことをした、私は処分を受け、さらに身を引かせていただくということでございました。
  33. 漆原良夫

    漆原委員 四国大川農協関係者はどういうふうに、何のために接待をしていたのか、この辺についてはいかがでしょうか。
  34. 渡辺好明

    渡辺政府参考人 事業に直接関連するようなことを目的としてやったとは言っておりません。関係者からは、事業をねらってこの種の会食旅行をしたものではないというふうに聞いております。
  35. 漆原良夫

    漆原委員 それを聞いて、はいそうですかというのは、一般の我々から聞いてもいかにもおかしいなと。  一般業者が役人に近づくのは、何らかの利益を期待しているのが普通でありまして、調査委員会としては、その話を聞いて、はいそうですかというんじゃなくて、実際に予算関係で、上甲氏がいる間、直接間接に、この四国大川農協に対してどんなふうに予算づけがされているのか、何か便宜供与があったのか、その辺までやはり確認してみる必要性があったのではないでしょうか。
  36. 渡辺好明

    渡辺政府参考人 もちろん、彼のポスト権限補助金交付という関係は、事実として調査をしております。こんなことを言ってしまいますと、身もふたもないんですけれども、その権限を行使できるようなポストにはいなかったということであります。  ただ、私どもは、そういったことを、会食をする見返りがどうこうということの疑惑を招きかねないということがあって倫理規程ができたわけでございますので、倫理規程に反することをやっていたということは、すなわち、世の中から見れば今先生がおっしゃったようなことに思われるわけでございますので、倫理規程違反をもって処分対象とするという方針でございました。  また、繰り返して恐縮でありますけれども相手方関係者からは、そういう意図をもって会食ゴルフ旅行をしたものではないということでございます。
  37. 漆原良夫

    漆原委員 多分これは平行線になるでしょうからこれ以上はやめますけれども、私は、今のお答えはまことに不満でございます。入り口倫理規程に違反しているのだから奥に入る必要はない、こういうお考えのようですけれども、それは間違っているのじゃないでしょうかね。倫理規程に違反することが、さらに奥に何かあるからこそ倫理規程で、入り口で入っちゃいかぬよと言っているのであって、入り口倫理規程に違反しているのだからその奥は調べる必要はない、そういう考え方というのは、やはり今回の事件を通じて調査委員会問題点をえぐり出していくのだ、国民疑惑を積極的に晴らしていくのだ、そういう気迫に欠けていると思うし、熱意にも欠けていると私は思います。  やはり、これは農水省みずからが、今いろいろな批判をされているわけなんですが、調査委員会をつくった以上は、自分から積極的にそこまで踏み込んで調査していくという、多少制限はありますけれども、踏み込んで国民の前に明らかにしていくという姿勢がなければ、結局入り口懲戒事由に当たるからそれ以上のことは調べないというのでは、ある意味では事実を隠ぺいしているというふうに言われかねないことになると思います。これは私の感想として言わせていただきたいと思います。  時間がなくなりましたが、最後に、十一年の十二月二十四日の調査報告書によりますと、再発防止のために以下の三点について逐次実施したところであるというふうに報告がなされております。この報告書に基づいて、一番が第三者委員会設置等による農業構造改善事業に係る業務運営透明化、二番が農林水産省職員倫理規程の遵守についての職員注意喚起、三番目が他の専門分野との大幅な人事交流について逐次実施したところであるというふうに報告がなされておるわけでございますが、この三点について、どのようにしたのか、概略的に説明をしていただきたい。そしてまた、今後こういうことがないようにしっかりやっていただきたいと思います。
  38. 渡辺好明

    渡辺政府参考人 本件は、職員倫理観の問題であると同時に、農業構造改善事業等執行についてのシステムの問題でもございます。  したがって、まず、農業構造改善事業につきましては、執行適正化という観点から第三者委員会を十一年度から設けております。この委員会は、事業の適正かつ効率的な執行を確保するために、大学、消費者団体、監査法人、マスコミなどの学識経験者から事業執行方針や執行状況について意見を聞き、これを公表するものでございます。  具体的に申し上げますと、地区の認定、事業費配分の基準の設定と公表、事業実施地区の計画概要の公表、業務委託を予定する市町村の事前公表、こういったことをするに当たりまして第三者委員会の意見を聞くことといたしまして、担当者裁量が働かないような仕組みにしたわけでございます。  倫理規程の遵守につきましては、それぞれ担当課長なりから十分にその注意喚起等浸透いたしましたが、さらに、本年一月には職員倫理啓発対策室を設けまして、職員対象とする倫理研修、それから、倫理管理体制を強化して、これまでの職員倫理の保持について周知徹底を図っているところでございます。  なお、人事交流につきましては、昨年二月の報告書にもございましたように、一定の分野で偏った人事が行われるということが一つの原因とも考えられましたので、昨年の四月には、構造改善事業課あるいは地域振興課の課長補佐を大幅に他の分野の方々と交流をさせました。本年も同様に人事の交流を活発にして、こういった面でのよどみがないようにしていきたいと考えております。
  39. 漆原良夫

    漆原委員 最後に大臣にお尋ねしたいのですが、総括政務次官にお尋ね申し上げたのですが、大臣のお言葉として、今回の上甲課長補佐逮捕農水省本省に対する強制捜査、こういう事態に対して、大臣の率直なお気持ちと今後の決意をお尋ねしたいと思います。
  40. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 このたびの農業構造改善事業に関しましての事案で逮捕者が出まして農林水産省が捜査を受けるという事態になりましたことは、まことに残念のきわみでございます。国民の皆さんに対しましても、不明をおわびするものでございます。今後こうした事案がないように、今改革について取り組んでおるわけでございますが、倫理向上も含めて襟を正して前進してまいりたい、このように考えております。
  41. 漆原良夫

    漆原委員 今大臣のおっしゃったことをぜひ実現していただいて、二度とこういうことのないようにひとつよろしくお願いしたいと思います。  以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  42. 松下忠洋

    松下委員長代理 次に、菅原喜重郎君。
  43. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 まず冒頭に、私からも、今回の農水省不祥事件については厳しい対応をなし、今後二度とこのようなことの起こらないよう、国民への信頼回復のためにも一層の規律の引き締めを強く要望して、質問に移りたいと思います。  今回、大豆なたね交付金暫定措置法の改正法案が出されたわけでございますが、本来、大豆、菜種は旧来の日本農業におきましてはなくてはならない作目でございました。殊に、東北におきましての畑作は麦と大豆の二毛作が大半を占めておりましたし、また、肉食禁止令も出されていた日本にとっては、日本の食生活の中で大豆は貴重なたんぱく源でありました。  日本食文化はみそと豆腐を抜いては特色もなくなるくらいの、そういう主要作目であったわけですが、最近は何とこれが、平成九年度の統計を見ますと、需要の三%台まで落ち込んでいるわけでございます。平成十一年度には十八万七千トンの生産高になっておりますが、しかし五百万トンも利用している中から見ますと、全く微々たるものでございます。この自給率の比率には、昔は製油用として、油をとる大豆としての需要はそんなになかったといたしましても、日本農業の作物の中では大豆は大変な壊滅状態になっているわけでございます。  それで、今回の新たな大豆政策について、一体政府はどのような基本考え方でこの法案を作成してきているのか、まずこのことから御質問いたしたいと思います。
  44. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 大豆は、委員がおっしゃられますように、我が国の歴史上から見ましても大変重要な農産物でございます。豆腐、納豆の原料として食生活上重要な役割を果たしており、さらに国産大豆は、外観、食味、風味等がすぐれており、一般に輸入大豆に比べ高い評価を得ております。しかしながら、最近におきましては、自給率が低下をしておるわけでございます。  そういう中におきまして、大豆につきまして、食料・農業・農村基本法の成立を踏まえ、食料の安定供給の確保、農業の持続的な発展に資するよう、その基本方向として、昨年九月に新たな大豆政策大綱を取りまとめたところでございます。この大綱におきましては、実需者のニーズを踏まえて品質向上、生産性向上等の努力をすれば、生産者が報われるとともに、実需者もこれを希望して利用する状況をつくり出し、これにより国産大豆の需給の均衡を図りつつ、量的拡大を目指すことを基本理念としております。  このため、取引のあり方の見直し等による生産者、実需者間の安定的取引関係の構築、市場評価が生産者手取りに的確に反映されるような交付金制度の見直しと、価格低下が経営に及ぼす影響を緩和するための大豆作経営安定対策の創設、品種、栽培技術の開発普及、機械、施設の整備、土地基盤整備等を通じた生産体制の整備等の施策を総合的かつ有機的に推進をしていくことといたしておるところであります。
  45. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 この交付金制度の中での改革として、これまでの不足払い方式は、販売価格のいかんにかかわらず生産者手取りが一定額となっており、生産者の生産販売努力が促進されにくい仕組みだったわけですから、今回の改正は、これを努力して生産者がより高い手取りを実現できるよう事前に定める全銘柄一律の定額の交付金単価による助成方式に改めようとするものでありますから、一応評価はできるわけでありますが、そこで、高価格で取引される銘柄は交付金単価を漸減させるとのことになっているのですが、この趣旨は一体どういうことなんでありますか。
  46. 木下寛之

    木下政府参考人 お尋ねの件でございますけれども、国内で生産される大豆につきまして、通常その過半は交付金を受けずして流通して、または自家消費されているという状況にございます。  今回、委員御指摘のとおり、基本的には事前に定めた一定の単価により交付金を交付するということにしておりますけれども交付金は販売価格のみで生産費を償うことができない、そういうような実態にかんがみて措置するものであること、また現行の不足払いの制度のもとでも、先ほど申し上げましたように、通常その過半は交付金を受けずして流通しているという実態にあること、さらに品質向上等の努力により高価格を実現し、交付金を受けないで生産拡大できるよう、いわば自立した大豆生産が供給の大宗を担うようになることが望ましく、そのような方向で施策を講ずる必要があること等々から、生産費水準を超える販売価格を有する銘柄につきましては、交付金単価を減額することとしているところでございます。
  47. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 実は高価格で取引される銘柄というのは、表で見ますと、それはもう全体の生産量自体が三%、四%台になっているのですから、大した比重ではないといたしましても、しかし個々の、煮豆、総菜の中では、大体三万トンあるのですが、八五%ものシェアを占めているわけでございます。  ですから、販売価格の実態から見て、交付金単価が削減されるものはどの程度あると見込んでいるかお伺いするわけなのですが、この表から見ると、全くわずかな程度にしかなっていかないのじゃないか。交付対象外の、高品質、高価格大豆づくりに努めても、自立した、そしてまた後継者も育つような農家を育成すべきである。どちらかというと専業農家的な対応、これは私がいつも主張しておりますように、自由化に対応できる日本農家の育成、こういう観点から見ますと、いわゆる自立農家を育成できる、そういう観点では、何か物足りない、物足りないのじゃなくして、今回の高価格で取引される銘柄に対する交付金単価の減額は、このくらいはしなくてもいいのじゃないかというふうに思っているのです。それで、今言いましたように、このような農家に対する支援策もそれではどうするのか。最初に言いましたように、削減される交付金の単価をどの程度見込んでいるのか、二つをまずお伺いいたします。
  48. 木下寛之

    木下政府参考人 お答えいたします。  まず第一点の、交付金単価が削減される数量はどの程度かという点でございますけれども、私ども、先ほど申し上げましたように、生産費水準を超える販売価格を有する銘柄につきまして、交付金単価を減額したいというふうに考えているところでございます。その生産費水準として、現行制度の基準価格でございます一万四千十一円を予定していること、また十年産よりも生産量が増加すると見込まれること等を踏まえますと、一万四千十一円を超えるような販売価格を実現して交付金単価が減額される銘柄はほとんどないというふうに承知をいたしております。  それから第二点目のお尋ねは、交付対象外の高品質なり高価格大豆づくりにどのような振興策を講ずるのかという御質問でございます。高価格で取引され、また交付金制度によらずして流通する大豆の拡大を図ることは、新たな大豆政策大綱においても極めて重要というふうに位置づけておりまして、必要な支援を行うこととしているところでございます。  具体的には、無農薬の栽培大豆あるいは有色大豆等、実需者、消費者の関心が高い大豆の供給を可能とするような栽培技術の確立、また、きめ細かな選別なり低温保管、実需者、消費者が望む流通体制の確立、必要な機械、施設の整備等々につきまして、産地としてまとまって取り組むこととした場合に、JA等に対して支援措置を行いたいというふうに考えているところでございます。
  49. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 いずれにしても、みんなこういう高価格の銘柄の農家というのは、それ相応に努力している農家なんですから、ひとつ専業、米づくりもできる、そういう体制のもとではやはり対応策も十全にしていっていただくようにお願いしたい、こう思います。  さてそれで、次に移りますが、登録集荷業者及び交付交付の現状は、大豆の集荷は、生産者は登録集荷業者、農協等なんですね、これは一系統なんですが、経済連を通じて生産者団体等へ売り渡しの委託をし、全農は売り渡しの委託を受けた大豆を販売する。そして、交付金の交付は、国は生産者団体、全農等へ交付金を交付する。交付を受けた全農等は、経済連、農協を通じて生産者に交付する。こういうことになっているんですが、今回、登録集荷業者制度を廃止する、この理由、また、廃止すると、今後大豆の集荷や交付金の交付はどのような方法になるのか。規制緩和という立場では、これは賛成もできることなんですが、交付金の交付は一体どうなっていくのかについてお伺いします。
  50. 木下寛之

    木下政府参考人 登録集荷業者の登録義務のお尋ねでございますけれども、制度発足当初は、生産者に対し直接交付金の交付を行う集荷業者につきまして、その適正を期する観点から、都道府県知事の登録を受けるよう義務づけてきたところでございます。ただ、制度発足以来四十年近くが経過し、登録集荷業者といたしまして、御指摘のような全農の系列、それから全集連系列の二系列に集約されてきているという状況で、またその数も減少してきているところでございます。  したがいまして、登録制度をとらなくても業者の把握は可能になってきていること、また規制緩和の観点も踏まえまして、今回の改正によりまして、登録集荷業者制度を廃止することとしたところでございます。  ただ、集荷業者につきましては、都道府県知事の登録を義務づけることはいたしませんけれども、引き続き生産者から大豆を集荷し、また生産者に交付金を交付するというこれまでの物の流れ、あるいは交付金の流れにつきましては、それ自体変更されるものでないというふうに理解をいたしております。
  51. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 ひとつ交付金の対応、その方法については、これまた疎漏のないようにお願い申し上げまして、次に移ります。  菜種や菜種の植裁は、戦前まで、日本農業にとってはこれもなくてはならない作物の一つでありましたし、また、日本民族にとっても、民謡の中で歌い続けられてきたばかりではなく、灯油としての利用は、荒れ地にも簡単に栽培できるところから、二宮尊徳の逸話にも上るように、私たちにとっては、菜種、それの灯油というのは本当に、情緒的というよりも生活の一部であったわけでした。  しかし、最近は全く生産ががた落ちしまして、昭和三十一年には三十二万トンの生産量があった菜種の生産が、平成十一年には七百八十三トンにまで減少しました。こういう需要の減少は一体どのような理由なのか。  それから、菜種に対する措置を法律上の助成から予算上の助成に移行することになるわけなんですが、菜種を見切ってしまったのか。しかし、将来、生産が大幅に増大できるようだったら、それについては予算措置も考えていけるのかどうか、この二点についての見解をお伺いいたしたいと思います。     〔松下委員長代理退席、委員長着席〕
  52. 木下寛之

    木下政府参考人 菜種の生産量でございますけれども、御指摘のとおり、昭和三十一年には三十二万トンに上っていたわけでございますけれども平成十一年には七百八十三トンというふうに減少しているわけでございます。このように減少してきた理由といたしまして、一つは、担い手の減少なり高齢化という問題は別にいたしまして、水田にあっては、水稲の移植期の早期化によりまして、水稲の移植期が菜種の収穫期と重なるというようになりまして、水田の裏作物としての作付が困難になってきたこと、また、畑にありましては、収益性の高い野菜などへの転換が進んだこと等々によるものというふうに理解をいたしております。  また、今後、菜種の措置でございますけれども、私ども、菜種が青森あるいは鹿児島等々地域の特産物となってきたという状況にかんがみまして、今回、法律上の制度から外すというふうに御提案をしているわけでございます。今後の予算措置につきましては、その時々におきまして適切に対応していきたいというふうに考えているところでございます。
  53. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 一応、十三年産の菜種から、産地の実態に即した措置をとるということになっているわけなんですから、どうか、その際には、農家経営に十分配慮し、ぜひ前向きに検討していただくように要望しておきます。  次に、菜種は、こういうようないわゆる法律上の助成から予算上の助成に移ったんですが、休耕田対策として、麦、豆に対しても今度助成措置がとられることになっているわけですが、菜種を裏作で飼料としてつくった場合、十二年度からの転作奨励金の水準はどれくらいになるのか。この質問は、実は、今米作農家というのは年に三カ月ぐらいしか働けないんですね。ですから、米作農家に対しては、裏作が十分に青森以南はできるんですから、裏作を導入させて、いわゆる飼料をつくれば水田畜産、あるいは水田裏作としての主穀増産の対応、何かそういう形態を、将来水田も、二、三十ヘクタールの規模の水田農家、稲作農家を育てようとしているんですから、ぜひ菜種は、こういう措置になったとしても、飼料作としての中に組み込んで、これが水田酪農なりに活用できるように考えていっていただきたい。そのような立場から、この奨励金の水準は一体どれくらいなのか、お伺いするわけであります。
  54. 木下寛之

    木下政府参考人 十二年度から、水田農業経営確立対策におきまして、水田を活用した麦、大豆、飼料作物等の本格的な生産に取り組むこととしているところでございます。  そこで、仮に菜種を飼料作物として利用するという場合でございますと、まず、生産調整実施計画に位置づけ、経営確立助成の団地化等の要件を満たし、また、同一年度におきまして野菜やソバの収穫等を行う場合には、十アール当たり最高七万三千円の交付を受けることが可能というふうに考えているところでございます。
  55. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 やはり、大豆の日本農業における復権といいますか、主要作物に、また日本農業の中で大豆づくりを復活させるためには、国際自由市場価格の中でも対応できるような大豆づくりの育成、そういうモデル農家の育成をぜひ政府で考えていただきたい、こう思うわけでございます。  大豆の生産費の統計を見ますと、〇・二ヘクタール、〇・四ヘクタールの作付面積では十アール当たり大体十万円以上みんなかかっているんですね。しかし、作付面積が十八ヘクタールにもなってきますと、もうこれの半額以下の四万七千円の生産費がかかるわけです。こういうような統計を見ますと、内地では難しいかもしれぬけれども、北海道あたりではこういう専業農家の育成が可能じゃないかと思うんですよ。  ですから、私は、これは前に大臣にも話したんですが、何か国際市場価格にも対応できる日本農家の育成ということをぜひ心がけていただきたい。  さらに、そのためには、これは今回の法案とは関係ないといたしましても、やはり自由化に対応できるためには、土地利用型の農業、主穀農業あるいは主畜農業、畜産とか穀類をつくる農業は、どうしても面積が大きく拡大していかないとだめなのと、機械化がやはり投入されていかないとだめなわけで、そういう要素がこれは絶対的な要素としてあるわけなんですから、かんがい排水の施設のしっかりした基盤整備をなし、優良農地を確保する。  そのためには、今基盤整備の農家負担は、国庫補助金、市町村の補助金を加えればたったの一〇%、五%と軽減されております。しかし、後継者のない農家では、こういう負担はまだ一反歩当たり十八万、二十万足らずとしても、一ヘクタールでは百八十万、二百万になりますと、百姓をもう継ぎそうになくなった子供に借金を残したくないということで、予算化しても基盤整備がなかなか、説得するのに大変なのが地方の実態ですから、私がしょっちゅう主張しているように、もうそろそろ国家が全面的にお金を出す、そのためには都市計画法に基づくような減歩制度や何かでそこから負担をさせて、国土の大改造、いわゆる国土保全の、いわゆる安全な確保を図っていっていただきたい。  そういうことを要望して、もう時間が来ましたので、これで質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  56. 松岡利勝

    松岡委員長 次に、安住淳君。
  57. 安住淳

    ○安住委員 きょうは、大豆なたね交付金暫定措置法及び農産物価格安定法の一部を改正する法律案の審議でございますが、その質問に先立ちまして、先週構造改善局職員がついに逮捕をされる、なおかつ農水省に捜索が入ったのはどうも二十年ぶりであると、まことに遺憾であると思います。  大臣、私はこの問題をずっと取り上げてまいりましたけれども、率直に申し上げまして、今我が国の農家の皆さんの農業収入、大体百万円ちょっとという時代ですよね。本当にこの厳しい環境の中で三割減反を事実上強いられて、なかなか展望のない時代です。それで、ウルグアイ・ラウンドの予算がついて、生産性の向上を図るという目的でやってきた。  しかし現実に、今度の事件で明らかになっているのは、農家はやせて、それを所管する農水省やそれに関連する農業土木のグループが太るというか、今非常に日本農業は危機的な状況にあるけれども、農家の皆さんがこの一連の不祥事に対して大変な憤りを持っていらっしゃるわけですよ。  まず初めに伺いますけれども、そういう観点で、今度の事件だけでなくて、これは後でまた聞きますが、私はあくまで個人の問題というよりも構造的な問題だと思うから、役所のつくった紙でなくて、ちゃんと大臣の言葉で、ひとつ今回の事件をどうとらえるのか、お話しいただけますか。
  58. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 農業構造改善事業の事案において収賄容疑で元職員逮捕されまして、農林水産省家宅捜索されましたことは、まことに遺憾であり、残念に思っておるところであります。また、このことによりまして国民の皆様にも不信を抱かせた、そういう点につきまして、大変申しわけなく思っておる次第でございます。  農業構造改善事業及びウルグアイ・ラウンドにおける公共事業、決してこのような事件を起こすためのものではございませんで、あくまでも生産性を向上せしめて、外国との農業の中において競争力をつけて、国民の皆さんに安定した食料の供給を図っていく、こういう目的を持って進めたものでございます。今後とも、みずからの襟を正すと同時に、日本の農業発展のためにこの事業が生かされるような、そういう形で努力をしていかなければならぬと思っておるところでございます。  また、倫理の問題につきましても、省内で倫理研修倫理管理体制を強化するなど、このようなことが再び起こらないように万全を期してまいりたいと考えております。
  59. 安住淳

    ○安住委員 いや、一部の新聞を見て私、ちょっと愕然としたんです。大臣、読売新聞に書いてあるんですが、ごらんになったと思いますけれども、三月七日付で、構造改善局職員やOBに調査をした結果というのが出ているんですね。インタビューしたんだかどうかわかりませんけれども、三十人にインタビューしたと。いいですか、大臣、いや、これは通告していませんから、率直な感想を言ってもらわないといけませんけれども、ワイシャツは業者からもらうのが当たり前だった、だれもが飲食費をツケ回していたとか、いやしくも日本の報道機関のインタビューに対して、OBや現職の、これは名前は書いてありませんけれども、半ば癒着が恒常化して、ずっと恒常的に行われていた、つまり、感覚が麻痺したということをOBも含めて言っているわけですよ。  こういうことも書いてあるんですよ、三月七日付の新聞。入った当初はそういう感覚はなかったけれども、周りから、接待を受けるのを断ると何となく気まずい気持ちになった、講演に行ったときに、副収入で百万もらったようなこともあります、しかし、済んだことですからと。  大臣、前から私は言っているけれども、この問題は根が深いんですよ。個人の倫理観に負うべきような話でない。逮捕されたその職員の個人の倫理観というよりも、これは、局全体としてこういう体質がずっと続いてきて起きた事件であった、私はそういう認識なんですよ。まじめに農業をやっている皆さんに対してちゃんと謝罪しないといけないんじゃないですか、国民の皆さんにもそうだけれども。つまり、あなた方は国の予算を食い物にしてきたという話でしょう。いかがですか。
  60. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 今新聞の話をされたわけでございますけれども、OBの方たちが、だれということがまだ判明しませんけれども、そのような感覚で言っておるということはまことに残念なことだと思います。  私は、平成八年に職員倫理規程ができまして、そしてみずからも正していく、こういう方向をとって、その後においても、いろいろな事案が生じたことにかんがみまして調査委員会ができまして、調査を行い、厳しくこれを処分いたしたわけでございますけれども、やはり、あってはならないことが平然と行われておったというようなことに対しましては、国民の皆さんにも大変申しわけない、こう思っておる次第でございます。
  61. 安住淳

    ○安住委員 しかし、そこまで申しわけないと思っていたら、今度のような調査委員会のあり方で果たしてよかったのかという反省が出てこないとおかしいと思うんですよ。これまで私も予算委員会を含めて何度かこの問題をやってきて、構造改善局長のもとに構造改善局のこういう不祥事調べ調査委員会を設けるというのは、果たしてどういうものかということを私は随分言ってきました。しかし、大臣の一貫したお答えは、倫理規程に従ってやる調査だから限界があると。大臣、(玉沢国務大臣「聞いている」と呼ぶ)聞いていますね。限界があるという話をずっと言ってきた。しかし、果たして本当に限界があったのか、限界があるようにみずから規制をして余り突っ込んだ調査をしなかったのか、国民の皆さんから見たら、どっちかわからないぐらい不信感が強いと私は思いますよ。  そこで、伺いますけれども、この中の、逮捕された職員ですが、四国大川農協から結果的には現金五十万円の授受を受けていたということのようですね。大臣調査委員会の中では、この職員に対する調査というのではこのことはわからなかったわけですか。また、この職員はこのことを自己申告しなかったんですか。
  62. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 調査に当たったのは私ではございませんので、報告を受けておるわけでございますけれども調査はかなり広範にかつ厳しく行ったと思います。  それで、処分の内容から申し上げますと、減給六カ月とか停職二カ月、こういう処分を行っておるわけでございますけれども、この事案にまつわることは確認をされなかったということになるわけです。したがいまして、自己申告もなかった、こういうことになると思います。  今委員がおっしゃられたわけでございますが、構造改善局長が調査委員長になっておるということは、そこに甘いところがあるのではないかというお話でございました。  大蔵省の場合においてやはり同じような点を指摘されたところでもありますけれども、大蔵省の場合は官房当局に調査委員会を設けた、その違いはどうかということを聞かれたことがあります。  私は、大蔵省の場合におきましては、金融不祥事でございまして、証券局と金融局と二つにわたる大きな、範囲が広い、そういうところでございますから、これは、監督責任としましても官房がしっかりとした調査をする、こういうことになるかと思うわけでございますが、農業構造改善事業におけるこの事案におきましては、担当課が構造改善課と地域振興課と二つの課でございます。したがいまして、監督責任を負う者は局長である農業構造改善局長であるわけでございます。  そういう観点から、今回、調査委員会委員長構造改善局長が占めて、官房からは秘書課長がそれに参加して調査を行った、こういうことであると思いますので、決して身内の者が身内を甘く調査をしたということではなくして、監督責任者が明確にその責任を負って調査をした、こういうふうに受けとめておるところであります。
  63. 安住淳

    ○安住委員 いや、違いますよ。格好はそういうことになるかもしれないけれども、結果はそうでないということを私は言っているんですよ。いいですか。大川農協とこの逮捕された職員は、つまり、最初の調査のときには今のような話はなかったわけですよ。それで、今度もう一回調査をしたときに新たに出てきて、さらに処分を追加している。また今度は、一部報道機関に書かれたのをあなた方は追認して再調査をしたということでしょう。最初から、例えば一例で言うと、この職員に対する調査というのは、本当に厳重に、厳密にやったというふうに思っていますか。一言でいいですよ。
  64. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 調査は、私は、厳密という言葉が適当かどうかはわかりませんが、厳しくやったと思います。  しかしながら、何回も申し上げておるわけでございますが、強制権限がない中でやはり客観的な調査自己申告に基づいて行うということでございますので、その点については十分でなかったというところは認めるところでございます。
  65. 安住淳

    ○安住委員 十分でないんですよ。だから、逆に言うと、ほかのことに対しても、この程度の調査をしているからもっといっぱいあるんじゃないかというふうにだれだって思っちゃうんですよ、大臣、わかりますか。だって、韓国旅行の件だって実際のところはわからなかったわけですよ。なおかつ、私は率直に疑問に感じるんですけれども、大川農協の方々とかと韓国旅行に行った、それに対する調査の結果はどうか。自己申告だから、本当に金は、どちらが接待をされたのか、自費でやったのか。つまり、こういうことに対して、はっきり言うと、裏取りをするような調査をしていないということは、調査をしてないということなんですよ、大臣、わかりますか。あなた方はあの倫理規程に基づいてやったと言うけれども、それは調査と言わないんじゃないですか。普通は、もし疑念や疑惑があるんだったならば、直接、大川農協に行って、仮に韓国旅行申告したとすれば、行った直接の当事者に対して、本当に、領収証も何も含めて見せてもらえばいいんですよ。  大川農協に対して、大臣、そういうところまで本当にやったんであれば、もっと早く実態解明というのは、司直の手による前にできたんではないかなというふうに私は思いますが、いかがでございますか。
  66. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 今、大川農協に対して何にもしなかったんじゃないかという委員お話でございますが、調査委員会は、大川農協のそれぞれの方々から十分調査をしておるということでございます。残念ながら、この事案に結びつくものは確証が得られなかった、こういうことでございます。
  67. 安住淳

    ○安住委員 そういうのは、十分調査をしたと言わないんですよ。それは日本語が違うんじゃないですか。十分調査したというのは、事実を解明したときに言う言葉。事情は聞いたけれども、実態は解明できませんでしたと言った方がいいんじゃないですか。訂正してください。
  68. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 しかしながら、十分解明されなかったということであるならば、処分も何もできないわけですね。そうでしょう。処分をするに当たる事案が明らかになったわけでありますから、十八名に上る処分を行った。  同時に、私が就任しましたのは十月の五日ですよ。前の中川大臣が命令して中間報告が出された。調査委員会が出ましたのは昨年の一月、中間報告は二月。そして、中間報告でも不十分じゃないかという指摘を受けまして、私が就任をしましてから、当委員会でも予算委員会でもいろいろと質問を受けまして、しっかりと調査の上、しかるべく処分も行いますということをやってまいりました。  そして、明らかになった事実をもとに、職務倫理規程に照らしてその上で処分を行っておるわけでございますから、何も処分をやっていないというのであれば、委員のおっしゃられるように、全く解明がなされていない、ほとんどなされていない、こういうことにはなるかもしれません。しかし、残念ながら逮捕につながるような確証は得られなかったものの、調査は十分行いまして、処分等につきましても行った、その結果、本人は辞職を申し出た、こういうこともあるわけでございます。
  69. 安住淳

    ○安住委員 では、例えばの話、もともと私は本当に不信感を持っているのは、最初の調査委員会だって口頭注意しただけじゃないですか。つまり、皆さんは世の中が騒いだからまたやり出しただけで、みずから一生懸命やり出したようなことをあたかも言っているけれども、違いますよ、大臣。最初に中川さんがやった調査報告書だって一切公表しなかったじゃないですか。口頭注意で済ませているじゃないですか。あなた方、積極的に、ポジティブにこの話をやってきたんじゃないですよ、大臣。そのことだけはちゃんと認めてもらわないと困りますね。
  70. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 中川前大臣がこの調査委員会を設けたということは極めてまれな例であると。全くない、大臣訓令によって調査委員会が設けられるということは。それが継続をされてまいりまして、決してこの中間報告で終わるということじゃないわけですから、私が就任をいたしましてから、なおかつみずからに厳しくと、こういうことで調査委員会に申し上げまして、それで調査を行った結果、処分も行ったわけであります。  何か委員のおっしゃられることは、全く最初からやる気がなくてつくったんじゃないか、そんなことはございません。私も、国会で申し上げてきたことに対して、責任ある対応をすると委員に申し上げたでしょう。そういう形の中でやってきたわけでございますから、やはり十八名の処分を出すということは、そうそう簡単に出せるものではない、これをぜひ御理解をいただきたいと思います。
  71. 安住淳

    ○安住委員 それが役所的発想なんですよ、大臣。世間から見たらそんな話じゃない。不祥事がないところに不祥事があるあると騒いでいるのじゃないんですから、これは。いっぱい不祥事があって、それで、はっきり言えば、あなた方の態度が問題だ。事実究明とか解明ができない、限度があるからまことに申しわけない、そういう話だったらいいけれども、一生懸命調査をしたんだ、そういう話にはならないでしょう。  再三言っているけれども調査の仕方が大体問題だと言っているんじゃないですか。事実を突き詰めていくんじゃなくて、Aは認めてBは認めなかったからわかりませんでしたというのは、世間からいうと調査と言わないのですよ。これは聴取ですよ、ただ事情を聴取。それに基づいて十八人処分したのは大変なことだ、それは霞が関での大変なことであって、世間から見たら違うんですよと言っているんです。少なくとも大臣、あなたは政治家で、農水省の役所の職員じゃない。あなたは役所の言いなりになって、そういうことを言ってはいかぬと私は思いますよ。役所に対してもっと厳しいコントロールをしていくのが大臣の仕事じゃないですか。  あなた、そこまでおっしゃるのだったら、では、仮に今度新しい事態が出てきたら、政治責任、とられますか。
  72. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 大事なことは、やはりこの執行体制の中におきましても明確にこれを改革して、こうした事案が起こらないようにやっていく、倫理の研修もしっかりとやりまして、高い倫理観を持って行政に臨むということが大事なことでありまして、そうした方向に私は責任を持って取り組んでまいりたいと考えております。  今委員は仮定のお話をされましたから、私としましては、仮定の話に対しましてはコメントを言うことを慎みたいと思います。
  73. 安住淳

    ○安住委員 いや、仮定でなくて、新たな事実が出てきたら、ちゃんと政治責任はとるのですかと聞いているのですよ。
  74. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 新たな事実が出てきた場合におきましては、調査をしっかりとやりまして、明確なる対応をしていきたいと思います。
  75. 安住淳

    ○安住委員 明確なる対応というのは、大臣の政治的な責任を含めてということですか。
  76. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 明確なる責任の対応を、責任ある対応をしてまいります。
  77. 安住淳

    ○安住委員 ところで大臣構造改善事業の公益法人を含めた執行体制の見直しというのは、私は現下の急務だと思いますよ。これは、私も再三いろいろなところで話しているのだけれども、どう考えたって、言葉は不適切かもしれませんが、特定の業者が仕事をとってきたという事実だけは否定できないと思いますよ。また、それをつくる仕組みを公益法人が持っていたということは、私は事実だと思いますね。  しかし、これは非公共だけかと。私は、構改全体の問題でもあるんだと思うのです。であれば、仕組みを抜本的に改革するのに三年から五年かけて悠長に議論するという話にはならないんじゃないですか。こういうことであったら、本当に来月から、新年度からでも事業執行体制を見直すという話になるのが私は当たり前だと思うのですが、いかがでございますか。
  78. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 三年から五年という今委員がおっしゃられたことは、公益法人をどのようにするかという趣旨でございまして、事業執行体制につきましては、平成十一年度から第三者委員会を設けておるわけでございます。この委員会は、事業の適正かつ効率的な執行を確保するため、大学、消費者諸団体、監査法人、マスコミなどの学識経験者から事業執行方針や執行状況について意見を聞き、これを公表するものであります。  具体的には、地区認定、事業者配分の基準の設定、公表、事業実施地区の計画概要の公表、事務委託を予定する市町村の事前交渉について、まずこの第三者委員会の意見を聞くこととし、担当者裁量が働かないような仕組みとしているというところを今やっておるわけでございます。
  79. 安住淳

    ○安住委員 いや、だから、前倒しで、公益法人の見直しはどうなんですか。前倒しでちゃんとやるんですか。
  80. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 公益法人は自主的な話し合いによる組織であるわけでありますから、今後五法人の組織のあり方につきまして、三年から五年を目途とした再編を視野に置いて検討する、こういうことになっておるわけでございまして、直ちに公益法人との連絡会議を、調査委員会を発足させまして、ことしに入ってから既に四回も実施をいたしまして協議を進めているところでございまして、今後、再編の具体案を早急に取り進める、これは、三年とか五年とかというよりも、もっと早くやるという趣旨でやりたいと思います。
  81. 安住淳

    ○安住委員 きょうの質疑の中で、そこだけ唯一前向きな話でありまして、それはとにかく一日も早くやってください。  それで、大臣、もう時間が三分ぐらいしかないけれども、私はこの間も天下り公益法人の話をしたでしょう、予算委員会で。これは公務員の退職制度にもかかわるかもしれないけれども、つまり、今回のことを機会に、三つも四つも、鳥じゃないんだから、渡り鳥なんて言われて何億も収入を得るような、こういうやり方を、農業者を見ながらそれを豊かにしようという役所の人間が、渡り鳥みたいなことをやって一億も二億も三億も稼ぐという、大臣、あなた、そのことを放置していたら史上最低の大臣と言われかねませんよ。また、これをちゃんとやれば、立派な大臣だという話になる。我々政治家というのは、役所をそういう意味で変えることが大事なことであって、その上に乗っかるという話じゃないんだと私は思うのですよ。  だから、公益法人もやめ、要らなくなったらどんどん廃止しちゃえばいいんですよ、だって、それは自由競争を阻害しているんだから。なおかつ、渡り鳥もやめさせる、補助金をもらって給料をもらっているということは、税金をそのまま食っているという話だから。  つまり、そういうことをちゃんと正して、襟を正した上でなきゃ、我が国の農家の方々につらいことや負担を強いるようなことを口が裂けたって言えるわけがないんだ。それをあなた方は平然とやってきたから、犯罪的なことをやったと私は怒っている。  大臣、これは最後に、政治家として、私と全く同じ考えならそれで、全く同じ考えですと言えばいいですし、改善するというのだったら改善すると。ちょっとそこを、政治家として話を聞かせてください。
  82. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 確かに、委員のおっしゃられるとおり、退職してからそれぞれのところを移りまして、それで年間の収入と退職金を合わせて三億円、これはかつてあったわけですね。それをやってきたんじゃないかと私に言われても、私はそのときは大臣じゃございませんから……(安住委員「今やめればいいんだ」と呼ぶ)いやいや、正確を期さなきゃいかぬです。あなたはやってきたと今おっしゃいましたが、私は政治家としまして、官僚のトップに立ったのは今回が初めてなんですから、官の、行政の。  したがって、よくそういう点も見直して、これから検討していく、国民の目線から見て、要するに、不合理だと思うようなところは改善すべきである、こう思います。
  83. 安住淳

    ○安住委員 いいですか、今回は非公共だけれども、一番今注目されているのは、逆に言うと、公共の方ですよ。結果的には、自民党の比例代表に二人も出して、業界の既得権益を守っているわけだ。そこに連なるピラミッドの体制というのが、まさに自由競争や規制の緩和にも全く逆行する社会として実は現存しているわけですよね、大臣。私は、そこが問われているわけだから、非公共だけ直すという話じゃないと思うのですね。  だから、構改全体の今までの事業体系のあり方というのが問われていると思うのですが、最後にこれの認識を持っていらっしゃるかどうかだけ聞いて、私の質問を終わります。
  84. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 公共事業執行については、かねてから明確にその透明性を明らかにしながらやってきたわけでございますけれども、今後ともそれはしっかりやっていかなきゃいかぬ、こう思います。
  85. 安住淳

    ○安住委員 終わります。
  86. 松岡利勝

    松岡委員長 次に、鉢呂吉雄君。
  87. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 民主党の鉢呂吉雄でございます。  まず、大豆関係の法案につきまして関連がございますので、一つはWTOの対応について質問をいたします。  大臣は、所信表明の中で、農業分野については、農業協定上、第二十条に基づいて本年から交渉が開始されることになっておりますと、極めて率直に農業分野の開始について言及をされておりますけれども、日本政府は包括交渉ということをWTOの次期交渉に先立って強く主張してきたわけでありまして、その点について、現在の局面で日本政府として包括交渉についてどういった戦略を持っていらっしゃるのか、大臣のお考えをお聞きいたします。
  88. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 シアトルの閣僚会議が延期される、こういう形になりましてから、やはり全体会議をできるだけ早く行うべきであるというのが我が国の方向でございます。したがいまして、EUあるいはアメリカとも話し合いを今続けておるわけでございまして、全体的な包括交渉をできるだけ早く立ち上げるべきである、その方向で努力をしておるというのが第一点であります。  しかし、前回のウルグアイ・ラウンドの際の協定によりまして、ビルト・イン・アジェンダ、こう言っておるわけでありますけれども、農業とサービスは一年前から交渉するということが決まっておるわけです。農業協定の中にそれが明確になっておるわけでございまして、そういう観点から、全体会議は早期立ち上げということで、それとの関連においても大事なことであるわけでございますが、農業交渉は、三月の末に一般理事会の農業委員会、ジュネーブにありますけれども、それの特別会合という形で第一回の会合に入るということが決まりました。  したがいまして、そういう中におきましては、議長を選出する、あるいは会議の手続、透明化、こういうものをどうするかというような観点からの議論が幅広く行われていくものと思われるわけでございます。我が国もこれに参加しまして、交渉の中におきまして、我が国の主張ができるだけ取り入れられるように万全を期して努力していくということが大事だと思います。
  89. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 農業分野の交渉は先行的に行われる、その具体的な方向も大臣は言われたわけでありますけれども、日本のいわゆる包括交渉の戦略との関係が見えない。アメリカあるいはケアンズ・グループの小さなところでの交渉妥結という形の戦略の方に色濃く移行していくのではないか、私はその懸念があると思うのですね。  ですから、日本政府として、包括交渉というものをどういった戦略のもとに組み立てるのか、その関係で農業交渉というものの交渉の進展をどのように考えるのか。やはり政府として、農水大臣として、そこはもっと戦略的なものを明確にする必要がある、このように私は思いますけれども、その点についてのもう少し具体的な、戦略的な形をお答え願いたいと思います。
  90. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 我が国は、WTO次期交渉につきましては、農業等の合意済み課題だけでなく、新たなラウンドの早期立ち上げに向けての努力やWTOの意思決定プロセスの改善の検討についてもバランスよく進めていくことがWTOの信頼性の回復に向けて重要である、こう考えております。  二月の七日、八日に開催されたWTO一般理事会公式会合におきましても、我が国はこの旨を明確に主張したところでありまして、また、三月二日、三日にはEUと、三月六日には米国とそれぞれ高級事務レベル協議を行い、新ラウンドの立ち上げに向けた意見交換を行ったところであります。  今後とも、外務省、通産省等の関係省庁及び米国、EU等の主要国とも十分連携を図りつつ、包括的ラウンドの早期立ち上げに向けて積極的に貢献をするという考えで臨むということでございます。
  91. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 大臣、皆さんの書いたものを読まなくてもよろしいわけですけれども、もう一つ日本の包括交渉についての戦略というのが見えずに、農業分野の交渉がどんどん先行する嫌いがある。そこのところについて、大臣として十分注意をしてやっていただきたい、このように思います。御答弁は要りませんけれども、強く要望させていただきます。  それから、いわゆる多面的な機能というものについて、日本の政府としての提案をされております。ただ、その中身については、日本政府の提案も、食料安全保障のための国内農業生産の増大、そのための必要な政策的介入が国際規律にどう位置づけられるのか、またどの程度許容されるのか、十分検討されることが必要である、十分配慮してほしいという程度のことで提案は終わっております。  この中身について、日本政府としてどう具体的なものにしていくのか、国際交渉にゆだねるような姿勢でしかないわけでありまして、過日の新聞でも、多面的な機能の具体策について、どういったことがあるのか、そういったことが各国から求められておるというような新聞報道もありましたけれども、その点について大臣はどのようにお考えになっておるのか、また、その具体策について、大臣としてやはり具体的に答えていただきたいと思います。
  92. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 まず、多面的機能の中に包括されるわけでございますけれども、農業協定第二十条におきましては、非貿易的関心事項という中に、食料の安全保障、環境の保護、こういうことがあります。このほかにも、多面的機能の中に大きな役割を果たしておりますのは、例えば、国土の保全であるとか食品の安全であるとか、いろいろとあると思います。  この多面的機能につきましては、WTOの閣僚交渉の中におきましては、私は、閣僚宣言の中に多面的機能というものに十分配慮するということを入れるべきだということを最後まで主張しました。なぜこれが大方の合意が得られなかったかといいますと、やはりまだ、OECD等におきましても、ことしから概念規定について作業に入るということになっておりまして、FAOにおいて、昨年の十一月の総会におきましても、多面的機能という形で配慮すべきだと主張したのは二十一カ国、それは必要ないというように発言したのが十一カ国。つまり、国際的なコンセンサスが得られていないというところが、残念ながら、このシアトルの閣僚会議の宣言案の中にいま一歩明確な地位を占められなかったのでございます。  したがいまして、我が国が主張しておる多面的機能の概念規定といいますのは、今申したわけでございますけれども、具体的な概念規定を提案しまして、各国がそれぞれ、農業が果たしておる役割というものは多面的機能というものがある、それが、ただ貿易が自由化されるだけで、多面的機能というものがなくなる、あるいは農業というものが維持できない、こういうことであってはならないというところがポイントであると思うわけでございます。  例えば、食料の安全保障ということ一つとりましても、やはり、二十一世紀を見てまいりますと、将来を考えますと、世界的に食料が不足するという事態が想定されるわけです。したがいまして、それぞれの国々がみずからの国民に安定した食料の供給を図っていくという努力がなければ、これは大変大きな禍根を残すことになる、そういうことでございますから、食料の安全保障といった場合におきましては、各国がみずからの主要食料品についてどのような生産体制を確立するかということと十分関連してくるわけでございますから、食料の安全保障の意味というものは一つ明確になってくるんではないかな、こう思うわけでございます。
  93. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 大臣、概念規定の問題じゃなくて、概念規定に伴う具体的な政策の介入、日本政府も言っておるんですけれども、その具体的なものというのが見えてこない。ですから、日本政府も抽象的に言っておりますけれども、国内の生産を増大させる場合は、国内の支持政策と切り離すことができないという立場にきちんと大臣も立つということですか。  あるいは、アクセスの問題で、例えば穀物セクターというのは、米単品ごとじゃなくて、穀物セクターという複数の品目をどの程度アクセスする。例えば、ミニマムアクセスを小麦も入れた中でやっていくか、そういったものを、大臣としてやはり具体的に世界に対してメッセージを送るべきであるというふうに思うわけでありますけれども、この二つについて、どう考えるか。
  94. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 まず第一に、日本は昨年、食料・農業・農村基本法を制定したわけでありますから、それに基づきまして、自給率を今後どうするか、農業の維持をどうするか、農村の開発をどうするかというような課題を一つ一つ実現していくという努力が大事だと思います。  米のミニマムアクセスをどうするかとか、個々具体的な問題につきましては、まだこれからの交渉、これは来年以降になると考えるわけでございますけれども、食料・農業・農村基本法に基づきまして、世界の国々との主張の中におきまして、米の問題とかミニマムアクセスの問題、そういう点について方向を決めて交渉をして、そして、米は主食でありますから、やはり万全を期して自給は行うことができるような貿易ルールといいますか、これを確保していくように交渉していくということが大事ではないかと思います。
  95. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 国内の生産の増大のためには、国内の支持政策というものは、自由貿易を歪曲しない形で強化することがあり得るんだ、この点についてはどうですか。
  96. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 既に緑の政策等におきましては、大半が、それぞれ日本の中におきましても政策実行をしておるわけでございますから、委員のおっしゃられるとおりの趣旨を踏まえてやっていくということです。
  97. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 それは緑の政策ではなくて、国内の生産を増大させるという観点で、国内の助成、支持政策を強化する、ふやすということも、今はAMSで削減の方向でありますけれども、そういった考えをとるのですかと。長々と前提はいいですから、時間がありませんので、端的に答えていただきたい。委員長、よろしくお願いします。
  98. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 米と同時に、麦、大豆、飼料作物等、自給率を向上せしめるための生産奨励等を行いまして、そして、この法案もそういう趣旨のもとに行われておるわけでございますから、農家の所得もふやし、意欲を持って取り組めるような政策を展開していくということにおいては何ら委員と意見がたがうことはない、こう思います。
  99. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 先ほど言った穀物セクターの大くくりで、米も主食ですけれども、小麦も五百万トン以上も輸入しているわけですから、一つの穀物という中で、そのセクターの中で、アクセス水準というものを考える、この考え大臣はきちんと、世界に対してもあるいは国内に対しても表明する、そういう考えについてはどうですか。
  100. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 やはり各国の農業の特質に十分配慮、理解がなされるということがWTOにおける今後の交渉で一番大事なことでございます。しかし、日本の場合におきましては、例えば小麦は五百万トン輸入するとか、大豆は四百万トン入ってくる、それから飼料作物は千六百万トン入ってきている。これらを全部自給するというような国内的な農地は確保できないんですね。  しかしながら、主要な穀物は日本の国内でどれだけ生産をするかという指標は明確にしまして、その生産体制を確立していくということは大事だと思います。
  101. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 今回の大豆交付金制度あるいは経営安定対策というのは、削減対象の、現状のWTOでは黄色の政策になることは大臣も御承知のとおりでございます。今ほどお話があったように、削減対象の黄色の政策を今後とも日本政府としては実行していくということでとらえてよろしいかと思いますけれども、その確認をしたいと思います。
  102. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 今後とも実行していきます。
  103. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 世界的に見ますと、輸出国を中心にAMSの約束水準というのは、日本も三〇%程度クリアしておりますけれども、もっとそれ以上の、アメリカ等はもう七〇%削減ということで、むしろ削減の度合いは、今二〇%以上は日本自体もクリアしておりますけれども、しかし、実際問題、現実の問題として、現状のWTOの協定内容を考えますと、非常に厳しいものがございます。それに反して、日本政府としてやっていくんだという強い日本政府としての態度というふうにとらえてよろしいでしょうか。
  104. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 これは今後のこともありますが、例えば、グリックマン農務長官と会いますと、多面的機能という言葉は、いわゆる言葉としてなかなか認めがたいけれども、農業の持っておる多面的な機能の要素というのは我々も認めておりますと。  それで、何を言わんとしているかといいますと、やはり農業は一律的にすべてルールだけでは律せられない、いろいろな要素があって不安定になる、アメリカも、昨年、八十七億ドルも財政措置を農業にやっているじゃないですか。最近においてはグリックマン農務長官の発言も、何か多面的機能という言葉を、貿易歪曲的ではないけれども、認めなきゃいかぬようなことまで言っているんです。我々はそういうところも見ていかなきゃいかぬじゃないかと思うんです。  だから、農業を永続的に維持していく場合におきましては、不安定な要素に対していかに安定的な生産体制をやっていくかということが、やはり今後も議論の対象となっていくと思いますので、ここに視点を置いて政策を遂行していくということが大事じゃないかと思います。
  105. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 委員長、交代しないで。ちょっとそのまま、委員長にも質問がございますので、五分だけでよろしいです。  大臣、私は、最高責任者が、日本の立場を考えて強気の世界交渉をやっていただきたい。そういう意味では、玉沢大臣に、言葉もそうですし、内実も強気の、日本の農業をしっかり考えた交渉に立ってほしいし、具体的な提言、提案をしていただきたい。配慮とか、そんなわからないような言葉じゃなくて、皆さんが去年つくった日本の提案は非常にあいまいでわかりにくいんですよ、英文もそのとおり書いてあります。書いてありますから、配慮とか、先ほど私が言ったように、必要な政策介入が国際規律にどう位置づけれられるか、またどの程度許容されるのか十分検討される必要がある、こんな日本政府の立場なんということはないんです、前中川大臣も言っております。もっと許容されるものがどうあるんだということを具体的に日本政府として言わなかったら、だれがそこで、国際的なところで合意できるんですか。そういう考えで、大臣のこれまでの経験を生かして、日本の政府として日本の利益に立った強気の交渉をどんどんやっていただきたいというふうに思っております。  そこで、食料・農業・農村基本計画を年度内に策定し、国会に提出をする、報告をするという形になっておるわけでありますけれども、現状の、スケジュールはまあいいとしても、私は、一つ提案があるのは、第十五条の基本計画では、政府は基本計画を定めなければならない、政府にその一元的な責任、もちろん国会にその後報告をするという形になっております。  この食料・農業・農村基本計画というのは、自給率だけでなくて、今後十年間の日本の農業、農村、食料のあらゆる基本的な方向を指し示すわけでありますから、この基本政策審議会の答申を得た後、やはり国会でこの問題についての意見を、決定する前に聴取をする。もちろん報告は必要であります。その審議を、これは総理大臣に審議会は答申するようでありますけれども大臣の御臨席のもとに、やはり国会できちっとした審議をしておくべきである、私はそう思います。  そこで、松岡委員長に、事前に、政府が決定をする前に、衆議院としてきちっとした審議をしておくべきである、このように思いますけれども、ぜひ御配慮をお願いいたしたいと思います。
  106. 松岡利勝

    松岡委員長 その点につきましては、理事会で協議をいたしたいと思います。
  107. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 理事会なんという、そういうことでなくて、そういう方向にある、私はそういうふうにしますというぐらいの決意があってもいいんじゃないですか。
  108. 松岡利勝

    松岡委員長 一党一派に偏しちゃいけませんので、これはまさに民主的に理事会で諮らせていただきます。
  109. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 そこで、大臣にお聞きいたしますけれども、今、自給率を設定する段階で、事務当局も大変な御労苦をされておると思います。新聞等では、つい先ごろは、四三、四%という形で自給率の目標を設定するというような報道が二、三されておるわけでありまして、大臣としてどのように考えるのか。  昨年の新しい基本法論議では、やはり国内の自給率ということであるから、最低でも五〇%というのが各党各会派の一致した御意見であったように私は聞いておったわけでありますけれども、そういうものを踏まえて、現在、どういう考えに立っておるのか、お考えをお聞かせ願いたいと思います。     〔委員長退席松下委員長代理着席
  110. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 自給率をどう設定するか、五〇%ぐらいが適当ではないかという委員の御意見であるわけでありますけれども、今審議会にお諮りをして、御意見をいただくという段階でございますので、私の方としましては、やはり実現可能な方途を十分探りまして、そして積み重ねをしまして、できるだけ実現可能な自給率というものを高く求めていくということが大事ではないかな、こう思うわけでございます。  具体的なことについて申し上げますと、先ほども申し上げたわけでございますけれども、例えば、米は一千万トン自給できます、しかし、大豆は四百万トン輸入せざるを得ない、小麦は五百万トンだ、トウモロコシは千六百万トンだと。仮にこれらを全部国内で生産するというのであれば農地面積はどのぐらいかといいますと、外国から入ってくるものを全部見て、農地に転換して計算しますと、千二百万町歩という数字があります。日本の農地は五百万町歩でございますから、農地をどれだけ維持して、その中で反当収量も今後どれだけ上がるかということ、それから国民の皆様の消費性向というものがどういう方向に向いていくのかとか、食生活において非常にむだが多い、こういうのも相当の数字に上っているというようなことを考えながらやっていかなきゃいかぬのではないか。  仮に、最初に五〇%ありきということで、何ら積み上げの具体的な事実を検討しないで、五〇%、五〇%と言って、全然、旗はとっても陣地はとらないというふうなことであれば、全くこれは、砂上の楼閣というのはそのことでありますから。やはり現実の客観的な事実というものをよく見て自給率というものを設定しませんと、十年後に何にも実現できなかった、これの方がはるかに私は不信が募るだけだ、こう考えるわけでございますので、政策決定に当たりましては、できるだけ積み重ねをした上で実現可能な数値をどう設定するかということが大事だと思います。
  111. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 実例として、昨年も私、言っておるんですけれども、例えば昭和六十二年、ほぼ十年前に日本の自給率は五二%ありました。それから毎年一%ずつ下がって四一%、昨年もっと下がったようでありますけれども、この十年間で五〇%ラインを下がっておるのですね。農水省のお役人の皆さんは、農基法ができた当時に比べると、日本人の食生活の変化、こういったことが自給率の変化につながってきたということを盛んに言うのですけれども、十年間のこの変化、これが一番大きな問題だ。  日本古来の野菜等が、鶏卵を除いて、ほぼ大変な急激な勢いで輸入にシフトしている。日本の生産力がなかったわけではなくて、あるのだけれども、言ってみれば、自由貿易の中で外国の輸入農産物に席巻をされて国内の生産力がもう急速に弱まった結果、それは相互にいきますから、どっちがどっちだということにはなりませんけれども、今日の現状になっておる。  ですから、大豆についても、昭和六十二年は自給率が六%ありました。大臣も御案内のとおり、今三%です。食用だけ見ますと、二九%の自給率があったのですけれども、今はちょうど一四%、半分になっておる。  もちろん、大豆で全体の自給率を一%上げると大変なことだ、こう言っている皆さんの論理はわかるのですけれども、しかし、作付してできるものはきちんと昭和六十二年台に戻すことによって、それはもちろん農地についても、単に農地の今ある面積だけではなくて、それをどのぐらい作付できるか、いわゆる二毛作も含めて高度に利用できるか。あるいは、今耕作放棄地になっているようなものを十分活用する。大臣も御案内のとおり、転作田はほとんどつくり捨てといいますか、大豆も確かに十四万五千トン、日本国内で生産されている、収穫がされていると言いながら、大臣も御案内のとおり、一戸当たりの面積は六アールなのです。ほとんど自家消費か、あるいは収穫もしないで転作という事態、本当の生産をし、流通にほとんど直結をしておらない。  今日の転作の大きな過ちは、七万三千円とか多額の金額を投入して、一向に定着をしない、飼料作物、大豆、麦を重点化をすると言いながら、飼料作物についてもほとんど流通しておらないのではないか。もう畜産農家は特化していますから、転作田につくったものはその地域内で循環できるなんて、そんな生易しいものにはなっておりません。  本当にそこを流通させて、消費まで、市場作物を消費というのはおかしいですけれども、利用される、そのところにきちんとした政策の実行をしなければ、またぞろ金は投入したけれども、日本のこの自給率、穀物、飼料作物を含めての自給率の向上には一向につながらなかったということになるわけであります。  そういうものを含めて、もちろん残飯も大事でありますけれども、私の計算では、十年前の五二%は、日本のこの貿易の国境措置等のあり方を転換をすれば回復は可能である。もちろん、十年間で耕地も減ってきておることは事実でありますけれども、そこはもっと大胆な政策を投入し、責任を持った政策と予算を投入すれば、私は可能であると思います。きょうはこの論議ではありませんからこれまでにしますけれども、積み上げ方式ではなくて、過去の十年前から今日に至る一%ずつ段階的に下がってきた内容なり根拠というものを十分精査をして、やはり日本の国民の皆さんの信頼に足る自給率を掲げていただきたい、このように考えます。  そこで、大豆についてはそのような減少をしてきておるわけであります。ただし、大豆のこれからの需給にかかわってきますと、大豆の作付動向からいきますと、現在、六割程度は転作田です。今言いましたとおりでございます。これが七万三千という大変大きな金額でいきますと、この転作田の大豆が急激に収穫をされることによって、日本の大豆の需給に大きな変化をもたらす可能性が強い。先ほども言いましたように、それが商流という形で消費者ときちんと結びつくのであればいいのですけれども、これが、単につくっただけに、物ができてから売れることにはなりますけれども、消費と結びつかないということになりますと、大変大きな影響を受ける。特に純粋畑作農家、これは転作奨励金七万三千円というのは大きいです、これがないわけでありますから、この純粋畑作農家に対する影響は極めて大きい。  私の地元の北海道でも、お聞きをいたしますと、政府のやっている政策と別のことをやればいいという観点で、これは今までの不信感が農水に対してあるのですけれども大豆をつくらない方がいいと。大豆をつくってしまえば、価格が暴落をすれば、八千三百五十円の交付金があっても、もうほとんど輸入物と価格が変わらないような市場流通の価格になった場合に、従来の交付金制度とは違って大きな打撃を受けてしまう、このように農家の皆さんは判断をされておるわけであります。この点について大臣の所見をお伺いいたしたい。
  112. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 今回の大豆大綱等におきましては、やはり国内の消費者あるいは実需者が求める大豆の生産、そういう方向を志向しておるわけでございます。  確かに、大豆の価格が安いというところもありますけれども、いろいろと工夫してやっておられるところにおきましては、非常に高価格を維持しているところもあるわけでございます。  だから、今後とも、大豆といいますのは、例えば食生活等におきましても、豆腐とか納豆とか、これは外国から遺伝子組み換え大豆が入ってくる、これに対してやはり消費者の皆さんは大変不安を持っておる、国内の生産は非常に安心して食べられる、こういう面もあると私は思いますよ。  ですから、消費者の皆さんとか実需者が求めるものはできるだけ供給するということ、そして、いい大豆をつくればそれによって収入が多く得られるというような政策を遂行していくということが大綱の目的でございますから、私は、その方向を、何も最初から否定的な考えでふさぐ必要はない、こう思いますよ。
  113. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 例えば、平成六年と平成十年の日本の作付面積を言います。平成六年は六万一千ヘクタール、平成十年はその一・八倍の十万九千ヘクタール。このほとんどが転作田。面積五万ヘクタール、転作田がふえたことによって、このようにふえました。  しかし、残念ながら、平均の販売価格は、六十キロで一万三千四百七十三円からほぼ半減の七千四百七十七円、この四年間でもなっておる。大臣、よろしいですよ。大臣、そんな中身を見なくても私、そんな細かい質問はしませんから。こういうふうに、実態としては転作田に影響されて、面積が倍になったり、同時に、そのことによって価格が下がっておるというのが現状です。  このことは、後で質問しますけれども、今から始める事業ですけれども、経営安定対策の改善を求めたいという意味で、実態を言っておるわけであります。このように、まさに大豆については、非常に天候にも左右されます、豊作になりますと急激にふえます。そういう実態にあるわけであります。  そこで、そのことは後に続いてもう一回触れますけれども、現行法の改正の手法です。  大臣も御案内のとおり、これはお役人さんに任せているかもわかりませんけれども、現行法を手直しして今回提出をされました。後ろの方はいいです、言わなくてもいいですよ。この目的は、もう三十年以上前の目的をそのまま第一条で踏襲して、変更しておりません。しかし、その中身は、この現状の法律は、大豆の輸入に関する事情の変化をもってこの交付金制度を行う、しかもそれは、大豆の生産の確保と農家所得の安定に資することを目的としておる。これを今回変えていないのですけれども、今回の新農業基本法第三十条では、もっと積極的な意味合いで、品質等がきちっと市場価格で評価をされて、そのことが大豆の生産も振興するし農家所得も確保する、しかし、それは一定のタイムラグがあるから経営安定対策を講ずる、大臣もうなずいているように、そういう精神で新基本法の価格政策、所得安定対策というものはなっておるわけであります。  しかし、今回の法の改正は、現行の目的を全く古色蒼然たるものにしながら、首をかしげることはありません、全く昔のままで、ただ交付金制度というところだけの算定方式だけをいじったものであるのであります。  これは大臣も御案内のとおり、今回、加工原料乳の問題ですとか糖価安定法、さまざまな各価格政策の法案が出てきていますが、多分全部同じような中身で、しかも、暫定法という形で提案をされるんだろうと思っていますけれども、私は、やはり閣法であっても新しい基本法に基づいた目的なりに変えて、全く新しい装いで、例えば経営安定対策についても、政府がきちっと行うのであれば、これは全く条文には入っておりません、これも条文に入れ込んで提案をするのが私は至当だと思いますけれども、提案している本人がだめだと言うことはできないでしょうから、いい返事は得られないと思いますけれども、私はそれが本当のところだと思います。  大臣は、きのう提案されました。その提案も今の目的とは全く違うんですよ。読み上げますか。大臣はただ読み上げたからもう記憶にないかと思いますけれども、きのうの提案の説明、趣旨あるいは理由。需要動向に即した大豆生産を確保し、市場評価が的確に反映される算定方式の措置を講ずることが提出の理由でありますと、今のお考えはどうですか。
  114. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 改正前の法律も今度提案している法律も、交付金をあてるということは、変わらないことだと思うんですよ。  提案理由の中にも言っているわけでございますけれども、要するに、今までの制度は、あえて言えば、つくった大豆の価格を全部平均化しまして、それに対して交付金を払う。今回の場合におきましては、銘柄ごとと言ってもいいかと思いますけれども、実需者の要請に応じて、こういう大豆が欲しい、こういう大豆であればもっと高く買いますよとか、いわゆる市場性というものを生産者と実需者の間につくっているというところが特徴だとお考えをいただければいいと思います。(鉢呂委員「だから、目的、一条は違うんじゃないですか」と呼ぶ)  いやいや、しかしながら、大豆はやはり、今委員が明確におっしゃったように、豊凶があります。凶作もあれば豊作もありますし、不安定な面が多々あるわけです。米の場合と比べますと、なかなか不安定な要素がある。そういう点におきましては、経営安定対策等を講ずるとか、あるいは一俵当たり八千三百五十円でありますけれども、価格が低落した場合におきましては百五十円それにプラスするとか、いろいろと工夫しておるわけですよ。そういうところも見ていただかないと、ただ第一条がほとんど同じじゃないかということだけを見ておられると、ちょっと我々としてもまだ不十分ではないかなと思うのでございます。
  115. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 大臣、そういうことを聞いておるんじゃなくて、目的大臣の言っている今後の価格政策とは乖離していることを言っているわけであります。私は何も重箱の隅をつつこうとは思いませんから、そういうことであればそういうことで認めていただいて、これからの法案の提出に当たっては、やはり新基本法は古い法案とは大分違うわけです。中身を見たら全く古色蒼然たる目的等を書いてあって、そして、こういうものを出してくるというのは私はいかぬと思いますから、そこは大臣はきちんとした指示をしていただきたい。今出されておるものはしようがないかもわかりませんけれども、きちんとした考えをしていただきたいと思います。よろしいですね。  そこで、大豆交付金の算定方式でありますけれども、新しいこの方式で、移行初年度、ことしの十二年産の助成単価というものは既に昨年の十一年の十月に決められて、八千三百五十円、大臣もおっしゃいました。  この算定基礎は、文言では「今後の大豆作の担い手となるべき生産性の高い経営体の経営安定に資する観点から、その生産費と実現される平均的な販売価格との差額」というふうになっておりますけれども、八千三百五十円の根拠は全くなし。事務当局に聞いても、しどろもどろするだけであります。三カ年の平均でも、六千七百四十二円しかその差額はなりません。十年度についてだけ見ても、八千百三十六円ということであります。その後に、透明性の確保されたルールに基づいて算定することが国民全体の信頼を得ると言っておるにしては、大変透明性を欠く初年度の価格ではないかというふうに私は思いますから、その点は大変大きな問題である、このように私は思いますけれども、今さら直すことはできないでしょうから。  しかし、大事なことは、八千三百五十円で果たして大丈夫か。従来は、これに販売価格が、実際の販売価格、七千円や八千円で売れましたから、いわゆる交付金の従来の一万四千円は確保されておったんですね、ここ数年は。しかし、急激に転作田がふえてきた。ことしはさらにふえそうだということで、大臣も御案内のとおり、少し過剰になりますと、市場の価格というのは急激に下がります。これは輸入価格の二、三千円まで張りつく可能性も十分想定されます。  そこで、経営安定対策を講じておると言っておるんですけれども、これも市場価格連動であります。過去三年間の市場価格の実勢価格をもって、これを三分の一で割り出して補てん基準価格を設定するわけであります。ことしはいいかもわかりません。しかし、来年以降、この補てん基準価格というものが実勢価格に影響されますから、価格変動の極めて大きい大豆の価格がこの補てん価格に影響する場合は極めて強い。その証拠に、この交付金のところに、価格の低落があったときに百五十円をつけますというわけのわからないものをここにつけておるのでありまして、これも問題がありますけれども、こういう小さいことは聞きません。  問題は、この経営安定対策というものが市場価格に極めて影響される。これでは農家の皆さんの所得の確保、安定的なものにつながらないと言わざるを得ません。これはもう大臣御案内のとおり、米で実証済みではありませんか。米は、おかしなことで、去年の実勢価格にプラス補てん金額を入れて、それが去年の価格のように入れ込んで補てん基準価格を新たに設定したのであります。こういった透明性を欠くような方式をとるべきでない。私は、価格の変動が予想されるだけに、この経営安定対策は三年なり五年なり固定的なものとして見ていくのが本当に必要だというふうに思いますけれども大臣の本当のところの考えをお聞かせください。
  116. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 まず、安定的に推移していくということが一番大事なことでございますが、三年ないし五年間定着せしめるという委員の御意見もわかりますけれども、しかしながら、やはりある程度市場実勢を大事にして、それに基づいてこの制度を、仕組みをとっておるわけでございますから、だから、プール制度でスタートをさせていただければと思いますが、三年から五年を固定化するという考えにはまだ立たないということです。
  117. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 大臣も少し言葉がやわらかくなりましたから、私の言っていることもわかってくれているんだろうと思います。  まず出発させてくれということでありますけれども、往々にして、一つできたものは大臣なりの政治家の判断がなければ変わっていかないんですね。ですから、米でもう実証済みなわけでありますから、ああいう継ぎ足しで物事を変えていくというのは、まさに皆さんが言っているように、透明性の確保されたルールに基づいて算定する、言葉はいいのでありますけれども、そうはならない形が米でありましたから、やはりそこは政治家がきちんとルールをつくるということが大事なんです。何も選挙があるから、金をふやしてやったからいいだろう、そんなことでは大臣がかわったら通用しなくなるわけでありますから、きちっとしたルールを、世の批判にもたえなきゃなりませんけれども大豆の施策の転換した方向に合致した安定した経営を当面は得るような制度というものをぜひつくっていただきたい。市場に連動したような経営安定対策では、私はうまくいかない、これは断言できるわけであります。  特に、転作において三作物を重点化しているわけですから、一番つくりやすいといったら大豆であります。その大豆が急激に生産をふやした場合の消費価格といいますか、販売価格に与える影響はすぐわかるわけでありまして、そういう点で、政策に対する大臣の特段の判断をお願いいたしたいなというふうに考えます。  そこで、農政改革大綱でも、いわゆる個別の作物の経営安定対策、これで走るけれども、経営全体の経営安定対策というものについて、特にあの農政改革大綱の備考欄で、畑作専業経営について、これをまず最初に検討していくというふうに文言が明記をされておるのですけれども、この関係の作業はどの程度進んでおるのか。大豆ですとか米という一つ一つのことではなくて、畑作物について、これを農政改革大綱で、この制度について検討していきます、畑作専業経営と、そこまで明記をしているだけに、その具体化の段階を示していただきたいと思います。
  118. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 今後、畑作経営は極めて重要な役割を果たしていくと考えますので、今そのあり方等につきまして当然検討をしておる、こういうふうに承知しております。
  119. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 ちょっと今大臣はそこをつかまえていない形だと思いますけれども、おととしの十二月に出されました農政改革大綱、この中でそのように明確に表現をしております。今、私もちょっと見つけられなかったのですけれども、「当面、輪作体系による大規模畑作経営を想定した検討」、全体の経営安定対策というものを行っていくというふうにこの改革大綱で述べておるだけに、その作業をきちんと進めていただきたい、このことを要望させていただく次第でございます。  なお、今回基本問題審議会といいますか、審議会に、いわゆる目指すべき経営のあり方について農水省から提出をされておるわけであります。大臣に、畑作農家の現況をちょっとお伝えをさせていただきます。  これは農水省の農業経営統計調査によりまして、昭和六十一年から六十三年の平均と、それから平成七年から十年の平均、ですから、十年間でどういった推移をしたのか、二十ヘクタールという畑作純粋専業農家に焦点を当てて。大臣、これはちょっと聞いておいてください。  この比較をしますと、農業粗収益、これは農業の売り上げですね、これが十年前は二千五百二十一万七千円、二千五百万、最近、七年から十年で二千九十四万四千円ですから、二千百万、一七%ほど粗収益が減少しています。これは端的に言って、畑作価格の単価の減少であることは明白です。それから、農業経費は一千五百六十万に対して一千四百四十万、これは七%ほどの減ですから、大した減少はできなかったわけであります。二十ヘクタールという限定をしておりますから。  農業所得は九百五十万から現状は六百五十万、何と三二%、三一・九%ほど減少しております。所得率は三八%から三一%ということで、畑作農業経営も、ほかの分野も押しなべて同じなんですけれども、いわゆる農業所得率も減少しているし、農業所得額、絶対額も三割も減少しているということで、専業農家ほど、この間の農産物の輸入自由化あるいは価格政策の低下、今回は市場価格に連動しますけれども、影響が大きいのであります。これは大臣も御案内だと思いますけれども、再度確認をしていただければというふうに思っておるわけであります。  そういう中で、先般の審議会でも、畑作農家、これは北海道に焦点を当てていますけれども、農業所得一千万、一千百万でしたけれども、一千百万の農業所得を目指して、これを今私、二十ヘクタールと言いましたが、四十ヘクタールに、十年後でありますけれども、目標としては増加をさせていきたいという経営類型が示されたわけでありますが、現実にはなかなか難しい面がある。特に、市場価格に連動するということになりますと、純粋畑作農家は転作田に大きな影響を受けるということもあって、大変な状況であると私は思っております。  したがって、こういう点も考えて、市場価格の影響を本当に緩和して経営を安定的な方向に持っていくには、価格補てん制度だけでは問題があるのではないか。WTOで、黄色の政策が本当に日本政府が言うように認められればいいのですけれども、ヨーロッパ等の流れを見ても、やはりむしろ緑の政策というものについて、もっと日本の政府はその方向に政策を変えていく必要があるのではないか。  今、中山間地域政策で直接支払いを入れました。私は、過渡的であっても、恒久的とは言いません、いわゆる直接所得補償のようなものを畑作農業経営なり専業的な経営に入れておく必要があるのではないか。今、自給率を下げていく一番の大きなもとは、担い手あるいは借金両面にわたって専業的な経営は大変な思いで、この状況に耐え得るか耐えられないか、今の価格政策、経営安定対策では耐えられないと思わざるを得ません。そういう意味で、日本政府としては黄色の政策を認めさせていこうという考えはいいのですけれども、やはり緑の政策、価格政策だけでは問題があるよというところにシフトする必要があるのではないかというふうに思いますけれども大臣の率直な考えをお聞かせ願いたいと思います。
  120. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 委員のおっしゃられること、畑作専業農家の今後の方策等いろいろと教えられるところがありました。  農業は、いろいろな変化の中に安定や不安定を繰り返していくというのが実情ではないかと思うわけでございまして、アメリカ等の政策を見ましても、要するに、生産農家の所得を国が埋めている、こういう政策等もやっておるわけでございます。そうしたことを見ながら、国際的な貿易ルール等におきましても日本の主張が反映されるように努力をし、そして国内の政策等におきましても、できるだけ農業経営が安定的に推移することができますように、政策を展開していくということが大事ではないか、このように思います。
  121. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 残り五分でありますけれども、私も余り質問したくない問題ですけれども構造改善局の問題について大臣確認だけしておきたい。  私は、先般、群馬県の新治村に行ってまいりました。村長等ともお話をしてきましたけれども、九六年の十月に、県営中山間地域総合整備事業、これは十一億程度の事業なんですけれども、この落成式、新聞等で言われておる燦々橋の完成落成式に、当時の構造改善局の建設部長が出席をしております。これは農水省の出張命令で行ったのか、まずそこをお聞きいたします。
  122. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 竣工式には公務出張により出席し、当日帰京しておるというふうに聞いております。
  123. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 村の村長、幹部は、この際、新幹線の費用宿泊費を持った、負担をしたというふうに明確に言っております。この扱いはどうだったのか。それから同時に、この種の十一億円程度の事業費に、建設部長というのは最高幹部です、最高幹部が出席をする、出張命令を出すということが妥当なのかどうか、その見解をお聞きいたしたいと思います。
  124. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 当日帰ってきておるわけでございますから、宿泊費とかそういうことで便宜を図ってもらっているとは思いません。これは、私的な旅行、失礼しました。当日帰ってきているわけですから、宿泊費はないと思いますよ。以上です。
  125. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 それともう一つ、この手の事業の落成式に建設部長が出張命令で行くのですか。
  126. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 国の職員に対して、農業農村整備事業の完工記念式典等への出席要求があった場合には、業務日程等との調整により、出欠や出席者等を決定しているところでございます。
  127. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 私も十年国会議員をやっておりますからわかるのでありますけれども、この種の落成式は、私は、農水省の建設部長に求めがあったから命令を出すというようなものではないのではないか、この辺もきちっと姿勢を正すなり、行うべきではないかというふうに思います。  答弁は後で聞きますけれども、この際、この落成式に、九六年の十月でありますけれども、落成式の費用として九百七十五万円を村が支出をするという形で、そのうち橋の建設にかかわった業者に三百八十万円、これはあうんの呼吸だというふうな言い方をしておりますけれども、村が業者に求めて三百八十万円を業者持ちにさせた。全体で一千万近く、一千万かかっておる落成式、私は、こういう落成式を行うような余裕はない、もしくは業者がこういうことで落成式の負担をしておるのであれば、その分の国の補助金は返還をしてもらうべきである。このほかにもさまざまな問題がございました。  補助事業でやった農地について、それを農地転用しないで別の農業関係予算で会館を建てるとか、いろいろな問題が起きておるわけでありますけれども大臣、やはりこういう落成式というのが普通のように行われ、しかも、業者からその負担を多額に徴収しておる、こういう落成式についてどう思われますか。
  128. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 この場合におきましては、村の費用と招待者からのお祝いというようなことでなされておるようでございますが、竣工式等におきましては招待者からのお祝い金、ここはいろいろあると思いますけれども、できれば村が主体的にみずからの村費でやるというのが趣旨だと思います。
  129. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 時間の終了通告が来ましたので、最後に一問だけ。  当時の森田建設部長が就任直後の一月以内の落成式でありました。村の元幹部職員から、当時業者を含めて昇進祝い金というものを集めて、森田次長に送ったというようなことが言われておりまして、村長はこれを否定しておりました。また、業者でありますから、私も関知していないですというような言い方をしておりましたけれども、事務次官が森田次長にこの中身について聞いておるのか。  口頭注意で辞職を認めたという形になっておりますけれども、いかにも、先ほど言ったように、調査をきちっとして勇退をさせるなら勇退をさせたということではなくて、正月早々の一月四日に、人事異動にしては余りにもあやふやの段階で認める。これは大臣が認めたんだと思いますけれども、そういった意味で問題がありというふうに私ども調査を終えてきたわけでありますけれども、今の関係について確認をしておるのかどうか、お答えを願いたいと思います。
  130. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 当時の当事者からはそのようなことはなかったという報告を受けておるところでございます。  また、辞任するに当たりましては、任期の期間が次長として一年半ということを経過しまして交代した、こういうように認識をいたしております。
  131. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 終わります。
  132. 松下忠洋

    松下委員長代理 次に、藤田スミ君。
  133. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 質問に入る前に、委員長に一言だけ要請をしておきたいと思うのです。  きょうも随分構造改善事業をめぐって議論がされているわけでありますが、本日は大事な法律案の審議の場になっておりますので、私は、結論からいうと、この問題で重ねて当委員会の集中審議を求めたいというふうに思います。  大体、収賄罪で逮捕される、農水省に捜査まで入ったというようなことは、もう本当に、公務員倫理処分をしたから、農水省としてはもうこれで済んだのだということではないわけであります。問題は、収賄罪ということになりますと、文字どおり国民の税金の使い方をゆがめたということでありますので、これは構造的な癒着体質があるということで、深く解明していかなければならないというふうに考えます。  そこで、きょうは私は、この問題について触れることはできませんけれども、事は日本の農政基本にかかわる問題でありますし、国民の政治に対する信頼の問題にあるわけでありますから、ぜひ集中審議を求めておきたい、いかがでしょうか。
  134. 松下忠洋

    松下委員長代理 後刻理事会において協議いたします。
  135. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 それでは、大豆なたね交付金暫定措置法及び農産物価格安定法の一部を改正する法律案に沿って質問をしていきたいというふうに思います。  大豆は、先ほど大臣自身もおっしゃったわけですけれども、みそやしょうゆはもちろんですが、お豆腐といっても高野豆腐から湯葉から、そういう関係の食品、納豆というふうに、極めて日本人の貴重なたんぱく源として、また食文化の歴史的な中心作物として重要な役割を果たしてきました。ところが、今、大豆の自給率はわずか三%です。食用大豆ということになりましたら一四%。これも大臣はおっしゃっておいでですけれども、今多くの消費者は、遺伝子組み換えの大豆の輸入で大変大きな不安を持っています。  そこで、改めて我が国の大豆の自給率はということで振り返ったときに、そこには自給率の異常な低さがある、このことに愕然といたしました。そして、輸入に頼らず、国産大豆をもっとふやしてほしい、そのことは本当に切実な願いであります。私は、この点について、改めて大臣の御認識をお伺いしたいというふうに考えます。いかがですか。
  136. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 食料の一番大事なことは、基本的には、地産地消という言葉がありますように、その地域でとれたものを食するということが一番安全であり、また健康にもいいし、最も適切である、こう思うわけでございます。  大豆におきましても、これはもう、原産地中国から伝わりまして、千年以上前から日本に定着したものだと思うわけでございますが、かつてにおきましては、たんぱく質をとるために極めて有用な作物であった、こう思うわけでございまして、それが最近におきましては、今委員がおっしゃられたように、自給率が極めて低下しているということは、食料の安全保障という観点から見ましても極めて残念なことだと思うわけでございます。  したがいまして、国民の皆さんからも安全で安心した食料の供給が求められておる。特に、大豆におきましては、遺伝子組み換え農産物が相当あるわけでございまして、そういう観点からも、消費者の皆さんは、日本の国内で、おいしい納豆、おいしい豆腐の原料である国内大豆をぜひつくるべきではないかという要請があることも事実であります。そうしたことにこたえて今回の法律改正というものも御提案をしておるわけでございますし、大豆大綱もぜひ政策として実行してまいりたい、このように思います。
  137. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 だからこういう法案を出されたという部分はちょっと横へ置きましても、大臣が、食料というのはやはりできるだけ地場でとれたものと。私たちは、安全な食料は日本の大地からということをずっと求め続けてまいりましたけれども、今の御答弁は私の思いと本当にとても共通するものがあるわけであります。  だから、大豆の自給率それから生産量についてはぜひとも、これから引き上げていく、私は本当に、大豆を自給率向上の最重要作物として位置づけて、生産増大に取り組んでいく、それくらいの意欲を持っていくべきだというふうに考えますが、この点はどうでしょうか。
  138. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 全く委員の言うことと同じでございます。
  139. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 それでは、そういう思いを共通にさせながら、大豆の自給率が一九六〇年当時は二八%ありました。これは、食用大豆でいきますと六三%ということでありますが、国内生産量は当時四十二万トン近くありました。ところが、今は、生産量は十四・五万トンで、自給率は三%。食用の大豆の方は一四%ということであります。何でここまで生産量が減少し、自給率が落ちてしまったのか、この点についてはどういうふうにお考えですか。これは大臣にお伺いしたいんです。
  140. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 自給率の低下は、昭和三十年代と比較して、豆腐、油揚げ用の大豆消費量が二倍となるなど、食品用大豆の需要量が大幅に増加したこと、高齢化等による労働力不足や、農家の食生活の変化に伴う自家用大豆の減少等により、畑作大豆の生産が減少してきたこと、米の生産調整により一時期増加した転作大豆も、生産調整面積の変動や気象災害の影響を受けて生産量が不安定であったことなどが大きな要因になっているものと考えております。
  141. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 もう少しきちっとその辺のところを解明していきたいというふうに思うんですが、私は、大豆の自給率の低下は、政府の政策によるものだというふうに思っています。そうじゃないでしょうか。農業基本法に基づく選択的拡大で大豆は増産対象になりませんでした。そして、大豆は輸入に置きかえられていった。そこに大豆生産の縮小の始まりがあるわけであります。これは一にかかって政府の政策によるものであります。  大豆は、一九六一年に輸入自由化されました。そして、大臣、五年後の一九六六年には、輸入量はほぼ倍加しています。そして、大豆自給率は二八%から九%に落ちていった。また、食用自給率は六三%から三〇%に激減していきます。さらにその五年後はどうでしょうか。輸入量は、当初の、十年前のちょうど三倍近くになりました。自給率の方は、二八%が四%になり、食用大豆の方は六三%が一六%に低落をしたわけであります。  これは農産園芸局長にお伺いいたしますが、私の言っている数字はそんなに間違いはないと、皆さんの資料に基づいて聞いておりますが、確認をしたいと思います。
  142. 木下寛之

    木下政府参考人 大豆輸入量、生産量、自給率等々でございますけれども、まず、大豆の輸入量でございますけれども、昭和三十五年ごろは百万トン程度というふうに推移してきておりますけれども、近年は五百万トン弱で推移をしているというわけでございます。  また、これに伴いまして、自給率でございますけれども、昭和三十年代後半、二〇%前後、あるいは食品用で限りますと五〇%前後で推移しておりましたけれども、最近、平成十年をとりますと、全体で三%、食品用に限りますと一五%というような数字になっておるところでございます。
  143. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 ちょっとそらせたんですが、私の言った数字というのは確認ですからね。その事実は違いありませんね。違いなかったら違いない、違っていたら違っている、それでいいんです。
  144. 木下寛之

    木下政府参考人 間違っておりません。
  145. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 大臣、輸入自由化政策、そして農業基本法に基づく選択的拡大政策が、かくも無残な自給率の低下を招いたということを肝に銘ずるべきじゃないかというふうに私は考えます。もちろん、輸入自由化による国内生産への打撃は与えないようにという趣旨で設けた大豆なたね交付金暫定措置法のもとにあっても、それでかばい切れないほどのドラスチックな激減をさせた。  今、私たちが自給率を引き上げてよと言うと、この場でも、いつでも、一%引き上げるのにどれほどの努力が要ると思うんだと、皆さんは大変私たちに対して逆にしかりつけるようなおっしゃり方をなさるけれども、しかし、私は、こんなにもドラスチックに引き下げたということについては、本当にどういうふうに考えられるか、大臣に一言だけもう一度聞きたいと思います。     〔松下委員長代理退席、委員長着席〕
  146. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 当時の政策判断としまして自由化した、その結果、国内の輸入大豆の率が上昇した、事実としてこれは認めなきゃいかぬと思います。  しかしながら、今日と違っておったのは、やはり大豆に対する消費者の考え方も、今のように、例えば国内の大豆を食べたいとか、遺伝子組み換え農産物でないものを食べたいとか、こういうような位置づけが明確でなかったということもあったのではないか、こう思います。ここが当時の情勢と違うところではなかったかなと思います。
  147. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 私は、とんでもないことをおっしゃると。これはまた質問の中で言っていきますが、そこで、私は、この措置法、本法律に基づいて、政府が定めた基準価格と国内の生産量との関係を見ていきたいと思うんです。  一つは、私が皆さんからいただいた大豆の生産量の推移、それからもう一つは、大豆交付金の交付実績というのを持っておりますが、これをもとにしてずっと見ていきますと、もうたくさん言いませんが、基準価格の方は、一九七四年、昭和四十九年、これは前年七三年の六千七百五十円に対して一気に八千八百五十円にふやしています。  これは、七三年というのはアメリカの大豆輸出禁止が行われて、価格が一遍にはね上がった。私はそのころ台所におりましたから、本当に大変でした。豆腐を買いに行くたびに上がって、たしか四十円か五十円あれば買えた豆腐が一気にどんどん上がっていき、大豆ショックが日本じゅうを駆けめぐって大騒ぎになった時期であります。  私は、政府がこれを見て慌ててこの年基準価格の引き上げを行ったのは、何よりも大豆の増産を図らなければならない、そういう政策的目的があってということだというふうに考えますが、いかがですか。
  148. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 これは、大変貴重な経験をさせてもらったんだと私も思います。つまり、アメリカは大豆を戦略物資として使いまして、冷戦時代に、多分あれはソ連の方に優先的に回すということで我が国に対して輸出規制を行った、こういうことだと思うんです。  友好国であるアメリカが約束を破りまして、あのような勝手な行動をとったということは許せない。食料の安全保障という観点とやはり輸入国の権利というものをここから私どもは主張しておるわけでございまして、今後、こういうようなことがないためにも国内の自給率を上げる、それからまた、貿易のルール等におきましても、輸入国側の権利というものを明確に主張する、輸出国側の横暴を許さない、こういうことが大事だ、こう思います。
  149. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 大変勇ましい御答弁をいただいたんですが、当時も、三木内閣のときでしたか、政策として自給率の向上だ、国内農業の見直しだということで、守りから攻めへの農政というような言葉が出されて、もちろん消費者もそうだということになったわけであります。  そして、その後、年々基準価格も引き上げていきました。ピーク時、一番高くなったのは八一年、昭和五十六年ですね。これは一万七千二百十円で、この時期、国内生産も実に十六年ぶりで二十万トン台にぱんと上がったんです。これは正直なものであります。自給率ももちろん、三%の数字が五%、六%と記録をしていきました。  ところが、一九八七年です。当時、玉沢大臣はここで松岡委員長の席にいらっしゃいました。このとき、交付金暫定措置法が改正されたわけです。私たちは、この改正案は、大豆研究会の報告で述べられているように、過度な財政負担への依存から脱却を図るとの観点に立って行われるものであって、この制度適用に制限を加えるとか、基準価格を引き下げるためのこの改正は絶対にやっちゃならないということを言ったわけでありますが、その後、基準価格はずっと引き下げられていきました。そして今、八五年当時の二〇%安になっています。  政府は、八七年の水田農業確立対策で転作大豆を加え、そのことによって大豆生産量は減らないんだと御説明されたわけですが、残念ながら、大豆生産量も二十万トン台から十万トン台に再び落ちていったわけであります。  こうしてみると、基準価格の引き上げが、つまり政府の支えが生産量をふやし、その引き下げが生産量を落としていく、このことは事実として示されているというふうに考えますが、いかがですか。
  150. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 昭和六十二年の大豆なたね交付金暫定措置法の一部改正は、銘柄ごとに基準価格を設定することや、基準価格の算定を生産費勘案方式に改めるなど、大豆の品質の改善や生産性向上を図ることを目的としたものであります。これにより、良品質大豆の生産振興や一五%程度の生産費の削減が図られるなど、一定の成果が得られたものと考えております。  その後の大豆の作付面積を見てみますと、昭和六十二年産以降、平成六年産まで減少し、七年産以降は増加に転じております。これは、大豆の作付面積に占める転作大豆の割合は七割と高く、また、その定着も十分図られていないため、米の需給調整による生産調整規模の変動の影響を強く受けてきた結果によるものと考えております。
  151. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 その後の生産量は、基準価格が低下した、落ちていったことによるものではなく、米の不作で復田などで大豆の団地が瓦解するというようなことで落ちたのであって、今はもうまた回復してきているよという御説明だと思うんですが、それはちょっとやはり素直じゃないと、率直じゃない。そういう考え方からは、本当に、言ってみれば、これから増産をしていこうということの取り組みにつながっていかないというふうに思うわけなんです。やはり事実は事実としてお認めになるということが大事なことじゃないですか。  それで、私はこのとき、質問で政府の長期見通しということを聞きました。長期見通しといったって、このときは八七年の九〇年、三年先に当たる数字なんですが、生産量は四十二万トンと見通されているということであったわけですが、このときの生産量というのは、八七年のときは二十八万七千トンですから、四十二万トンにたどり着こうと思ったら、とても遠い距離があったわけです。しかも、基準価格も交付予算も削られていって、生産目標達成どころか、逆に生産量は減ってしまったわけであります。ここはやはり率直に政治家として見ていただきたいんです。いかがですか。簡単で結構です。そこはしっかり見なければいけないと思うんです。
  152. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 私はいつも率直なんですけれども委員のおっしゃられるような要素も加味されておったものと思います。
  153. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 それで、私はこの際、聞いておきたいんです。けさのニュースでも伝えられておりましたし、きょうの農業新聞の報道にもよりますと、とにかく生産努力目標を示したということで、テレビやラジオでは、とにかく一・六倍に大豆は引き上げていこうと考えている、そういう目標を示されたということですが、これは間違っていますか。
  154. 木下寛之

    木下政府参考人 私ども、現在、新しい食料・農業・農村基本法に基づきます基本計画の中で、平成二十二年度の生産努力目標について御議論をいただいている段階でございます。私ども、そういう段階でございますので、そういうような具体的な数字を示したということはございません。
  155. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 ニュースで言っていたんです。  先ほど大臣も最初に、最重要作物として位置づけて生産増大を図るべきじゃないかという意見に対しては共鳴されているわけでありますし、これは少なくともそういうことでふやしていくという、そういう意思をお持ちだということは違いないということを、私はここでもう一度確認しておきたいと思います、大臣
  156. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 日本共産党さんがこの法案に賛成するか反対するかはちょっとわかりませんけれども、いずれにしろ、大豆の生産をふやすという目的でこの法案を出しておるわけでございますから、そういう観点におきましては、委員と全くその点については意見が一致しておる。願わくば、法案に対しても賛成していただければ大変ありがたいと思います。
  157. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 ふやすという点では一致している、これは大変心丈夫なことでありますが、現実はなまな話じゃない。そのことは政府、農水省調査でも、生産量は、このままの趨勢が継続していけば、平成十年の十六万トンは平成二十二年に十五万トンということで既にもう出されておりますね。これは現在の趨勢がそのまま継続すればの話ですから、目的を持って高めていけばということじゃありませんからあれですが。  だから、相当の構えで、先ほども言ったように、基準価格も交付予算も減って、生産目標が達成するどころか、逆に減った、こういう教訓の上に立つならば、そして、大臣がおっしゃるように、ふやさなければということのお立場に立つならば、現行の交付金制度をより充実させて、そのために消費者、生産者の問題はちょっとわきに置いても、政府の方は責任を持って大豆のその下支え機能を強化していく、そういう立場に立つべきじゃないですか。
  158. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 今回の交付金制度の見直しによりまして、高い市場評価を得た大豆の生産者がより高い手取りを得られるように、実需者ニーズに応じた生産の誘導を図るということが大事であると思います。
  159. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 私の聞いているのはそうじゃないんです。国が本当に腹を据えて、国民の大事な大豆、千年の歴史を持って、営々と私たちとつき合い、私たちの命を守ってきたたんぱく源としての大豆を本当にふやしていこうというなら、国が責任を持ってそういう政策に真剣に取り組むべきじゃないか、私はあえて下支えの機能を強化すべきという言葉を使いますけれども、その点についての大臣のお考えを聞いているんです。
  160. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 国としてこの法律案を提案しまして、御承認をいただくようにお願いをいたしておるわけでありますから、大豆の生産拡大に対しまして、国としても十分決意を持って、責任を持って大豆の生産の拡大に向けて取り組んでいく、こういう思いでございます。
  161. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 ところが、出された法律案は、不足払いを廃止して定額助成方式に改める、そういうことであります。その理由を先ほど大臣は少しばかりお述べになりましたけれども、私は、大豆政策大綱を読んでいても、何で今不足払い制度がだめなのか、やれ集荷の量が足りないんだとかいい品種が少ないんだとか、だから、その市場評価を手取りに的確に反映させていけばそういうことが解決するんだ、ここのところのつながりがさっぱりわからないんです。もう一度きちっと説明をしてください。
  162. 木下寛之

    木下政府参考人 今回、不足払い方式から一定額を助成する方式に移行するということで御提案をしているわけでございます。  これまでの不足払い方式につきまして、私どもは、一つは、販売価格のいかんにかかわらず生産者手取りがあらかじめ決定されているということで、生産なり販売努力が促進されにくいというような状況になったというふうに考えております。また、その手取りにつきましても、平準化されるということでございますので、個々の生産者に自分のつくった大豆が幾らで売れているかという意味での市場評価が伝わりにくいという側面があったというふうに考えているところでございます。
  163. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 そういうことで、よっしゃ、わかった、こう言えたら便利いいんですが。  要するに、大臣、この交付金制度に乗せれば、市場評価を生産者の手取りに反映させていけば需要に応じた良質大豆生産を拡大することになる、実需者のニーズを踏まえて品質向上等の努力をすれば報われる、市場評価が生産者の手取りに的確に反映される制度に改めたんだ、こういうことなんですね。  しかし、現在でも、私は基本的には、タカノフーズの大豆研究会の専門委員を務めていらっしゃいます方が御発言されている雑誌を見ましたけれども、この人も、日本の大豆、国産大豆というのはとてもいいんだ、どれがいい、どれが悪い、そういうことじゃなしにとてもいいんだという太鼓判を押されていてとても心丈夫に思ったんです。  しかし、その中でも、あえて言えば、丹波の黒豆みたいにとても特化された極上の大豆というのは、もう交付金制度に乗せないで契約栽培で取引をしている、そういう大豆でありますから、不足払い制度をやめれば良質大豆の生産を拡大するというのは理由にならない。それに、市場の評価が高いものをつくれば必ず手取りに反映する、こうおっしゃるわけですが、ごく一部の大豆のほかはそんな保障がありますかね。再生産できる価格、それが維持できると保障されますか。ここは大事です。
  164. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 やはり今委員がおっしゃられるように、銘柄によりましては、非常に高く評価されまして流通しているものもあるわけでございます。今までの場合ですと、良質の大豆をつくっても良質でない大豆をつくっても、価格が平準化されまして、そこの中での努力が評価されないという面があったかと思います。ですから、やはり銘柄ごとに、この銘柄をある一定のロットで実需者にお渡しすることができるというようなことのめどが立っていきますならば、かなり私は価格の高いものもそれぞれ出てくると思うわけでございます。  問題は、どういうような銘柄をどういうふうにつくるかということが大事になってくるわけでございます。そういう意味におきまして、この制度に加えまして、産地における品質あるいはロットの確保等に資する機械、施設の整備も大事でありますし、それから排水対策等土地基盤の整備等もやっていかなければならない。災害等に遭った場合におきましても、共済の加入の促進等もやっていかなきゃいかぬ。  したがいまして、新しい制度と同時に、現在のいろいろな総合的な措置を講ずることによりまして、国産大豆の安定的な生産拡大を図っていくということが可能になってくる、このように考えております。
  165. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 それは全然違うというふうに私は思います。いい大豆をつくっても価格が的確に評価されない、もともと平準化されてしまっていると言われるわけですが、前の改正のときに、既にその後、四等大豆対象からもう外されてしまいまして、一、二、三と極めて制限されてしまいましたので、相当質の悪い大豆というのですか、そういうものはもう対象にされていないわけでありますので、そのお考えには納得できないわけであります。  それに、もう一つこの問題で言わせていただいたら、土地基盤の整備だとか機械化の整備、そういうことに私はとやかく言うつもりはありませんけれども、それも大事でしょう、しかし、例えば品種の改良ということになったら、これは国が責任を負うべき、多分にそういうことになるじゃありませんか。そして、国の段階で私はどういう取り組みになっているのかと。  例えば、大豆関係の研究員の数を見てみても、七〇年が十五人、七五年が十八人、八〇年から八八年、そして九三年は十二人というふうにとっととっとと落ちていきまして、やっと九七年、九八年、九九年に十八人にまた復活をしていきましたけれども、こういうことでは、本当にもっと国がこういう面で消費者のニーズにこたえた品種改良を進めるためにどうするか、どう指導するか、そこのところこそ私は国に求められているし、本筋じゃないかというふうに考えますが、この点はどうなんですか。
  166. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 最も大事なことだと思います。技術の開発、新しい品種の開発、これは私の所信表明でも強調しているところでございまして、やはり消費者から喜ばれる、生産者からも喜ばれる新しい品種を開発していくということは、国の責務でございます。  それから、技術を普及していくということ、畑作の技術は豊凶に、自然の状況に影響されやすい面がありますので、この耕作技術その他普及におきましては、これは大変大事なことだと思いますので、これも国がしっかりやっていかなきゃいかぬ、このように思います。
  167. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 そういうことなら、その交付金、不足払いをやめるということじゃなしに、それもしながらそっちの方も強化をして、今こそ実需者のニーズにこたえていく、消費者のふやしてという声にもこたえていくという方途をとってもらいたいものであります。  そこで、私、せんだって、北海道の十勝の方から、畑作専用の大豆生産地ですが、今度の制度改正に対する不安というものをさんざん聞かされました。  若干御紹介いたしますが、お菓子に使う大豆があるそうです。これはとても評価の高い大豆でありまして、平成十一年は六十キロ当たりの手取りが二万一千円あった。もちろんこれは、不足払いのあれがあったのでしょう。しかしこれからは、流通経費を含めて、販売価格で一万円、定額助成の八千五百円合わせての手取りになるが、そこから流通経費三千円、新たな農家拠出金三%を引くと、これでやっていけるのかなという不安にさいなまれるのだと。  これからは、どの農家もなるべく値のいいものをつくろうというので、これまでそういう大豆には届かない品種の大豆をつくっていた生産者がそういう値のいいところに変えていこうということで、せっかく値がよかったのに、そこがまただぶついてしまって、値が落ちてしまうというような心配も出てくる。  一方、余り評価の高いとは言えない大豆をつくっている人も、水田の本作として大豆がふえてくると、値は確実に崩れるんだと。だって、市場原理とは生産者価格を引き下げられることなり、このことは米で体験したんだということをおっしゃったわけであります。  それでも大豆の生産量はふやし続けることができると、大臣は説得力を持って答えられますか。
  168. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 いつも皆さんと議論をするところが、一番ここが大事なところでございまして、自由社会経済におきましては、やはり需要と供給の原則というものが生きてくる。ところが、社会主義経済におきましては、価格を長期にわたって固定的にしたものでありますから、量は確保しましても質が落ちるとか、それからまた、柔軟な政策に転換できなかったために、膨大な国家財政の赤字が生じまして、結局、にっちもさっちもいかなくなった、こういう硬直的な政策をとったところに共産主義国家の農業政策の失敗があるわけでございます。  いつもここで議論しておるわけでございますけれども、我々はこういう大豆が欲しい、そういう大豆を生産する、これによって価格が上がっていくわけですから、そういう点におきまして、委員はいろいろと心配をなさっておるわけでございますけれども、私どもは、需要者がどういう大豆を求めているか、消費者がどういう大豆を求めているかということに積極的に対応して、生産の増につなげることができるように政策を推進していかなきゃいかぬ、このように思います。
  169. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 余りこの問題から大きくそれた反論の仕方をされないでください。今まで日本は社会主義国家だったのですか、共産主義国家だったのですか。  そして、この間中林委員が、スイスという国は、所得補償はもちろんだけれども、価格保障もしっかりやって、国内の自給率の向上を図ろうという施策をとって、今自給率の向上が図られた。これはイギリスもそうです。EU各国、ずっと調べてみましたら、やはり生産者が安心して、安定的に生産を続けられるようなやり方をというその施策が自給率引き上げにつながっていっているのです。  そして、日本も、大臣、貿易の輸入自由化の打撃を生産者に与えないようにという立場から、交付金制度をとったんじゃありませんか。あのとき、社会主義の国に入るということでとったんですか。私はもう続きの質問に入りますが、余りこっけいな反論の仕方はやめられた方がいいですよ。  それから……(発言する者あり)ちょっと聞いてください。現在、昨年十二月の入札価格が前年同期に比べて二〇%も下がっています。そして、一月に入っても低下傾向に歯どめがかかっていないと報道されています。これは、九九年産が増産であったということもあるでしょう。しかし、同時に、不足払い廃止が決まって以降、市場価格が低迷しているということは、そこを見越しているということもあるわけであります。  だから、再生産が保障されるどころか、本法案が施行されると、価格低下、大きな気象変動あるいは需給のバランス等によって価格変動が起こり、そのことが直接生産者の手取りに響くことになるわけじゃありませんか。大豆は米よりも価格が不安定だというふうに考えられませんか。その不安定な価格で生産者の手取りが狂って、価格の低下に脅かされることになるとすれば、これはもう本当に大豆の生産拡大どころじゃないのです。そして、木材と同じで、結局、市場の価格は外国の輸入物の値で決まっていく、そういうことになるではありませんか。だから、私たちは、この法案はやめなければいけないという立場です。
  170. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 委員もこの場で、丹波の黒大豆は大変高い評価を得ていると言われましたでしょう。これが自由社会ですよ。社会主義社会においては、そういうものも全部押しなべて価格を引き下げて、そういうことなんですね。  それから、スイスの例を申されましたが、ここで議論になりましたので、あえて、話題になりましたから調べてみました。  委員のおっしゃられるように、国内の支持価格体制の保持、国境措置、いろいろとって自給率を上げたのは確かでありますけれども、大変な財政赤字になりまして、その政策を今改めているというのがスイスの現状であるということをあえて申し上げておきたいと思うわけでございます。  それで、要するに、現在の我々が進めている政策が生産の増にならないのじゃないかという委員お話でございますが、我々は、この政策は、実需者にも合った、生産者の意欲も向上せしめて、そして生産の拡大につながる、こういうように申し上げることができると思います。
  171. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 私は、重ねて申し上げますが、それでは本当に生産者はついていけない、その政策にはついていけない、もうやめなければ仕方がない、既にそういう思いを持っている。そして、この価格支持制度の大幅な後退が手取りに反映していけば、もう本当に農業が一層困難になっていくことは明らかであります。  各地で、大豆の不足払い制度をうまく活用しながら国産大豆を定着させていこうという運動は、消費者と生産者の産直関係の中で、あちらこちらで生まれてきているのです。私、福島にも参りましたが、それはとてもすてきな運動であります。こういう運動がせっかく定着しているのに、そのさなかに価格の下支えとしての不足払い方式を廃止するということは、国民に対する重大な裏切りになるということを言っておきたいと思うわけであります。  そこで、時間がもうだんだん迫ってまいりましたけれども、豆経、大豆の経営安定対策の問題に入ります。  これは、皆さん御自身が、価格変動が大きいということで、生産者の意欲を奪ってはならないと言って大豆生産者経営安定対策というのを打ち出されたというふうに考えます。そして、稲作と同様の、豆経と略しますが、これを新設することによって、積立率も、稲作よりも高目に設定していったというのは、やはりその打撃ということをちゃんと予測されているからだというふうに私は解釈をしておりますけれども、この点についてはまた後ほど答えてください。  問題は、これはもう稲作でも証明されておりますように、何といっても、補てん基準価格は前三年の平均販売価格で決まるわけでありますので、単年度の暴落の実態が反映しない、そういう大きな矛盾を抱えているわけであります。  したがって、私どもは、本当に大豆の振興を図り、そして農家の不安をなくすためには、補てんの拠出を農家にも求めるということじゃなしに、全額国が負担し、その差額は国が見ていくというふうにするべきだということを言いたいわけでありますが、この点についても、簡単で結構です、お答えください。
  172. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 大豆にかかわらず、農産物の生産については、豊凶が大きな影響を与えるわけでございます。したがいまして、安定、不安定、いろいろと繰り返すわけでございますが、できるだけ安定的な生産を維持することができるように制度をつくっていかなければいかぬ、こういうことでございますので、大豆作の経営安定対策につきましては、豊凶等の要因により価格が変動することも考えられますので、この安定対策を講ずる、こういうことにしておるわけでございます。
  173. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 残念ながら、あと大事な問題が残っておりますので、この問題はまた参議院の場の方に移していきたいというふうに思います。  菜種についても、私はこの法案を見ながら本当に思ったのは、ではこれからどうするのかというところは何も示されないで、予算化は二〇〇一年からだなんというような言い方で、どうするのかということを示されない限り、一体、この法案を受け入れていいのか反対していいのか、それさえも判断できない。こんな無責任なやり方はやめるべきだということだけは申し上げておきたいというふうに思います。  最後に、遺伝子組み換えで、せっかく厚生省からお見えですので、失礼になると思いますから、御答弁をいただきたいと思います。  政府は、これまで法律に基づかず任意に行われていた遺伝子組み換え食品の安全性の審査を、ことし四月から食品衛生法に取り入れて安全審査として義務づけるということを明らかにしておられます。  私は、これは当然のことであって、評価をしているわけですが、しかし、消費者問題特別委員会というのがこの院にございました、今国会からなくなりましたが、そこの中に、遺伝子組換え食品の表示問題等に関する小委員会というのがありまして、この中でも、党派を超えて政府に求めたのは、安全審査のやり方はまだ非常に部分的だ、食品添加物並みの審査になっていないじゃないか、しかし、遺伝子組み換えの安全性については、国際的にもさまざまな議論を行われているんだから、慢性毒性、アレルギーあるいはまたがん、そういうものについて、本当に食品添加物並みの厳しいチェックをするべきだという意見があったわけであります。  私、きょう詳しく言えませんけれども、この点について、厚生省に御答弁をいただきたい。
  174. 西本至

    西本政府参考人 お答えをいたします。  遺伝子組み換え食品の安全性につきましては、これまで、御指摘のように、私どもで安全性評価指針というものをつくりまして、専門家による食品衛生調査会という場で審査をしてまいったところでございます。  具体的に申し上げますと、挿入いたしました遺伝子によってつくられるたんぱく質の有害性の有無、あるいはアレルギー誘発性の有無、あるいは挿入した遺伝子が間接的に作用いたしまして、他の有害物質をつくる可能性の有無等々につきまして、詳細な項目を設けて審査をしているところでございます。  お尋ねの長期的な影響の問題でございますが、現在の指針におきましても、これらの審査項目による審査では、安全性が十分に確認できないと判断された場合には、食品添加物の指定の場合と同様に、慢性毒性に関する動物試験等の安全性に関するデータを提出させることとなっておるところでございます。  これまで、二十九品種の作物と六品目の添加物について安全性審査が行われてきた範囲におきましては、ただいま申し上げた慢性毒性試験等が必要と判断された例がございませんので、やっておらないということでございますが、今後、必要と判断される事例が出てまいりました場合には、これらの試験データを提出させることになろうかと存じます。  今回、遺伝子組み換え食品の安全性審査を義務化するに当たりまして、従来の安全性評価指針に基づく審査内容を安全性審査基準として文書で明確化することといたしております。今後とも、最新の科学的知見あるいは調査研究を進めて、遺伝子組み換え食品の安全性確保に努めてまいりたいと考えているところでございます。
  175. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 時間が参りましたので、これで終わらなければなりませんが、大臣、最初におっしゃったように、消費者は遺伝子組み換え大豆に大きな不安を持っている、それについてはぜひ関心を持っていただきたい。これからWTOの中でもこのことが問題になっていきますので、私はそのことを強く求めておきたい。  それから、先ほど紹介した小委員会の中では、偶然的混入の上限、遺伝子組み換えの原料不使用の食品の表示というのは、今の政府の品質表示基準案を見ますと、堂々と遺伝子組み換え原料が混入されかねない。なぜならば、混入率が明記されていないのですから。だから、私は品質表示基準にそのことをぜひとも明記するべきだというふうに考えます。  これも超党派で一致していることでありますが、せっかく表示を、来年の四月から市場にもあらわれてくるということにはなりましたけれども、しかしながら、対象になるのは大豆輸入総量のわずか八%です。これではなくて、消費者が求めているように、使用した大豆は遺伝子組み換えの大豆を原材料にしていると原材料表示を行うべきだ、これが消費者の意向なんだということを、これは自由党、公明党、日本共産党、社民党、民主党、自民党を除く各党一緒にそろって前中川大臣に要請をしているところです。自民党がいらっしゃらないのは、女性がそのとき委員のメンバーにいらっしゃらなかったから一緒に行かなかっただけで、女性ばかりで超党派で申し入れもしております。私は、このことだけ大臣にこの場でも正式に申し入れておきたい。また時間があれば、後ほど取り上げたいと思います。  以上です。ありがとうございました。
  176. 松岡利勝

    松岡委員長 次に、菊地董君。
  177. 菊地董

    ○菊地委員 社民党・市民連合の菊地でございます。  私、本日、初質問でございます。農業の専門領域の問題につきましては、私の理解が浅く、実態から離れているところや、あるいは間違っているところもあるかもしれませんが、ひとつ私の意とするところを酌み取っていただきまして、御答弁いただければ幸いでございます。また、答弁に際しましては、私にも国民にも、つまり素人にもわかりやすく、かつ簡潔にお願いいたしたいと存じます。  それではまず、玉沢農林水産大臣にお伺いいたしたいと思います。  昨年の国会で、昭和三十六年に制定されました旧農業基本法にかわって新たな基本法が成立いたしました。その中には、食料の安定供給の確保、農業の持つ多面的機能の発揮、農業の持続的発展など、旧農業基本法の反省から、新しい時代に向けての農業政策の理念がうたわれたわけでございます。  しかし、その具体策となると、これまでの多くの国会論議の中でも、国民の前に必ずしも明らかにされず、国民が重大な関心を持っています食料自給率の目標やそれに関連する施策も、今月末の基本計画までには明らかにできないということでございます。  国民の主要食料である米や麦、大豆をいつまでにどのくらいつくるかという具体的目標が示されないということでは、幾ら理念が立派でありましても、新たな基本法は絵にかいたもちと言わざるを得ないと思います。  大臣、私は農業問題には素人でございますけれども、農業政策、とりわけ食料政策の基本は、消費者、国民に安全で良質な食料を安定的に継続して供給するということであり、生産者、農業者にはその条件づくりのために国が積極的に支援するということに尽きるのではないかと思います。  この立場から、今後本委員会におきまして農政の議論をしていきたいという考えでありますけれども、きょう最初の御質問は、新基本法の二条にも記されております、良質な食料という表現があるわけでありますけれども、良質な食料とは何かということについて、新基本法策定過程でどのような議論があり、どのように定義されましたのか、まず簡単にお伺いしたいと存じます。
  178. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 食料・農業・農村基本法におきましては、安定的な食料の供給、それからやはり健康的で安全な食品を提供するということを目標としておるわけでございまして、基本法第二条第一項におきまして、良質な食料とは、すなわち安全で品質の高い食料の供給、こういうことに御理解をいただければと思います。
  179. 菊地董

    ○菊地委員 私は、究極の良質な食料というのは、人間が手を加えない、野生といいますか、自然に限りなく近いもの、そういう考えを持っているのでありますけれども、きょうはこの議論はいたそうとは思いません。今後、本委員会の議論の中で深めてまいりたいと思っているところでございます。  次に、大豆の自給率が落ちてきた原因ということについては、先ほど来の質問でありましたので、時間の関係で、私も繰り返すことはやめましょう。  そこで、国産大豆の生産拡大、自給率の向上についてでございますけれども、私が理解したところでは、非常に大まかな言い方をすれば、国内の大豆需要量は約五百万トン、そのうち四百万トンが油脂用で、この分野は、アメリカ産を中心とする外国産大豆には価格競争力などで太刀打ちができない分野である。残された百万トンの食品用大豆の中で、国産大豆は、勝負していくといいますか、需要の拡大を図っていくしかないというのが現状であろうと思います。  食品用の分野では、国産大豆は、外国産に対しまして、品質、価格、食味あるいは風味など、あらゆる点で差別化を図っていかなければならないであろう、すなわち、国産大豆の優位性を維持し続けて、外国産との競争に打ちかっていかなければならないということであろうと思います。そのためには、銘柄大豆の作付拡大、生産増大、品種改良、多収穫栽培法の研究など、あらゆる支援策をとっていく必要があると思うわけであります。そうでなければ国産大豆の優位性の維持や生産増大ということは確保できないと思うからでございます。  大臣、これに対してどのような具体策をお持ちか、次にお伺いしたいと思います。
  180. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 大豆大綱をお示しいたしておるわけでございますが、基本的には、銘柄によっては非常に高く評価されておる大豆もあるわけでございます。今、消費者及び実需者は、やはり国内産の安全で良質な大豆を求めておるという傾向があります。その中におきましては、今までは、要するに、先ほども議論したわけでございますけれども、全部、品質がよくとも悪くとも、平均した価格に交付金を出すということでございましたが、今度は、銘柄ごとによって、いいものをつくったならば、どんどん消費が拡大していくというような形でやろうという趣旨でございます。  極端な例で、先ほども話があったわけでございますけれども、丹波の黒大豆といいますのは六十キロで十万円ですから、そういうのは特殊な例だといたしましても、農民の皆さんがそうして努力すればいわゆる報われるという方向に向かって、これを大いに奨励していく、政策で。  安定的にやっていくためには、仮に価格が下がった場合でも経営安定対策というものをあわせてとって、そして持続的に農業が展開していくことができるような配慮もしておるわけでございますので、こういう点をぜひ評価していただければ、このように思います。
  181. 菊地董

    ○菊地委員 食品用国産大豆の現状を見てみますと、平成九年の数字でありますれども、国産大豆の自給率は一四%、約十四万五千トンの生産しかないわけであります。煮豆、総菜用は、国産大豆の使用率は八五%でありますけれども、納豆は九%、みそ、しょうゆはわずかに四%、豆腐、油揚げは一五%というのが国産大豆の使用率であります。納豆、みそ、しょうゆ、豆腐、油揚げなどはまさに日本の食文化を代表する食品でありますが、現状は、外国産大豆によってつくられているということであるわけであります。  この数字をどう見るかということでございますけれども、品質や風味というものが命の豆腐、みそ、しょうゆ、納豆は、逆説的な言い方ではありますけれども、現状で国産率が低いだけに、今後国産大豆の使用を伸ばしていく余地があるというふうにも言えると思うわけであります。したがって、あらゆる施策、支援策を動員して、日本の食文化を代表するこれらの分野で国産大豆の使用量増大を図っていかなければならないと思うわけであります。  そこで、実需者のニーズに合った国産大豆を、銘柄品を中心に、豆腐、みそ、しょうゆ、納豆、それぞれの分野で、これは機械的な数字でありますけれども、仮に五〇%の国産大豆の使用率を確保するという目標を立てるとするならば、現在の総需要量は約八十万トンと聞いておりますので、その半分の約四十万トンの需要拡大ということになるわけでありまして、ということは、現状は九万トンでありますから、三十一万トンの生産拡大を見込むことができる、こういうことであります。この数字は、現在の国産大豆の、平成九年の総生産量十四万トンの二倍強に当たるわけでございます。  先ほど来の議論を聞いていますと、一%の自給率を拡大するのでも大変なことであるというようなことを聞きまして、この実態について私も認識を深くするわけであります。でありますから、もちろん、五〇%の国産使用率という目標はあるいは高過ぎるかもしれないし、このほかにもさまざまな要素を考慮していかなければならないということはあろうかと思いますが、しかし、この改正案によって、本気で大豆の自給率を向上させ、生産拡大を図り、生産農家の収入を確保し、高品質の大豆生産を拡大していこうとするならば、こうした具体的な目標を数字にして示してということが必要ではないかと思うのであります。  大臣、どれだけ国産大豆の生産増大、自給率の向上を図っていこうとしているのか、具体的な数字を示していただくということはできますでしょうか。
  182. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 自給率の問題につきましては、今食料・農業・農村基本審議会におきまして検討しまして、今月の末まで、あるいはその前になるかもしれませんけれども、決定しまして、そして閣議等にかけまして、当委員会におきましても議論していただく、こういう方向でやっておるわけでございます。  今委員から言われました、国内の大豆の生産におきまして、家庭で食べておる食品の部分について、ある程度、五〇%ぐらいの生産は可能ではないか。数字的には可能な数字だとは思います、これは四十万トンということでございますから。  現在、米の生産が大体千三百万トン生産できる水田があるわけでございます。それを、転作その他によりまして大体九百五十万トンぐらい生産しておるわけですが、その中に、大豆と麦と飼料作物を重点的に本格生産に向けて頑張る、こういうことになってまいりますと、委員のおっしゃられるように、十七万トンを四十万トンにしていくというところはかなりいい数字が出てくるかなと思うわけでございます。  つまり、分母が余り広いと一%の自給率を上げるというのは大変なことです。しかし、八十万トンという分母があるとすれば、一%八千トンということになるわけでございますので、そういうことをいろいろとこれから検討してやっていくということであれば、かなり積み上げていくということであれば、なかなかいい数字だな、こう思ったところでございます。
  183. 菊地董

    ○菊地委員 大臣から本日はっきりした目標数字を聞けないのは大変残念であります。いずれ出るということでございますが、やはり具体的目標数字が明示できないというのでは、生産農民に、政府のやる気といいますか、本気かどうかということに疑念を抱かせるものでありますとともに、やはり本改正案の実効性に不安を抱かせるものということになろうかと思いますので、早急に目標設定を明確にしていただいて、本委員会にも報告していただきたい、審議させていただきたいというふうに思うところでございます。  私は、日本の食文化を代表する煮豆、みそ、しょうゆ、納豆、豆腐、こういった分野で、国産大豆の需要のコアをつくっていかなきゃならない、そのためには、重ねて申し上げますけれども、数量を明示した目標設定というものが絶対に必要であろうかと思っているわけであります。  そして、その目標設定に向かってさまざまな政策を講じていく必要がある。例えていえば、アトランダムに申し上げますけれども、高品質大豆銘柄に対する契約生産奨励金の創設や、大豆の均質化、ロット化に対する奨励策を講ずること、あるいは播種前契約、全量引き取りなど、産地、品種、銘柄ごとの販売体制強化を図り、安定的価格形成システムや円滑な取引、流通ルールを確立すること、また先ほど藤田委員からも出たようでありますけれども大豆産地に立脚した顔の見える大豆加工食品を、生産者、加工業者、流通業者、消費者の協力で生産と消費が結びついたネットワークづくりをどう支援していくか等々のさまざまな施策があると思いますが、まだほかにもあり得ると思います。どのような施策を考えておられるか、ひとつお伺いしたいと思います。
  184. 木下寛之

    木下政府参考人 国産大豆を今後さらに増大していくという観点から、私ども、幾つかの点について検討する必要があるだろうというふうに考えているところでございます。  まず一つは、国産大豆について、品質面では非常に高い評価を得ているわけでございますけれども、一方、ばらつきがある、あるいはロットが小さい、あるいは価格変動が大きいというような批判をいただいているところでございます。  したがいまして、私ども、まずは団地化なり土地利用の集積を行いまして、あるいは基本技術の励行ということを行うようなことを通じまして、規模の大きな団地をつくっていきたいというふうに考えております。  また、非常に作柄が不安定だという点もございますので、その点にかんがみまして、排水対策等の基盤整備、あるいは機械、施設の整備など生産振興関連施策の重点実施、それからまた、実需者ニーズに対応したような優良品種の開発、それから生産性向上のための栽培技術の開発等々、各般の施策を講ずることによって国産大豆の振興を図っていきたい、こういうふうに考えております。
  185. 菊地董

    ○菊地委員 いま一つ、国産大豆の生産増大、自給率向上に資する施策として、水田を中心とした土地利用型農業活性化対策による麦、大豆、飼料作物等に対する助成策というものがあるわけでありますけれども、国産大豆の生産拡大を支える、下支えといいますか、そういう意味でも極めて重要であろうかと思います。  この問題についての問題点等も、先ほど鉢呂委員からも言及があったようでございますので、時間の関係もありまして、この問題は繰り返さないことにいたします。  ただ、生産増大、自給率の向上という目標は堅持するのは当然でありますけれども大豆は市況に左右される商品でもありますので、生産増大、供給過剰による値崩れということも考えられるわけでありまして、そういった場合に、生産農家の所得の確保というものがされなければ、作付拡大、自給率の向上は実現いたさないわけでありまして、農家所得の確保には万全を期すべきと思うわけでありますけれども、どのようにお考えか、お伺いしたいと思います。
  186. 木下寛之

    木下政府参考人 大豆につきましては、今回、改正案で不足払い方式から定額の交付金に改正するという御提案をしているわけでございますけれども、これとあわせまして、先生御指摘のとおり、大豆については価格の変動が非常に大きいという点がございます。  私ども大豆作経営安定対策というのを実施いたしまして、一定の基準価格を下回った場合にはその八割を補てんするというような所得確保対策についても、十二年産から実施をしていきたいというふうに考えているところでございます。
  187. 菊地董

    ○菊地委員 今回の交付金法の改正によって、市場で高い評価を受けた品種や産地の生産農家の手取りは高くなり、そうしたところの農家の生産意欲を刺激することになるということは確かであろうと思います。  しかしながら、全体として見た場合、良質な大豆で、市場で高く評価される品種や産地の大豆は、国産大豆の中で一体どのくらいの割合を占めるのか、そういう見通しはお持ちでしょうか。  また、逆に、市場で高く評価されない品種や産地の大豆の生産農家は、改正前の農家の所得水準が確保されることになるのかどうか、この点についてもどのような見通しを持っているのか、お伺いしておきたいと思います。
  188. 木下寛之

    木下政府参考人 市場で高く評価される大豆と申しますと、外観品質なり加工適性にすぐれていること、あるいはロットが大きく均質であること等々がその要件だろうというふうに思っております。  私ども、こういうような市場評価の高い大豆の生産を拡大していきたいというふうに考えているところでございます。そのために、まず第一番目は、大豆を使ってつくっていただくような豆腐屋さんだとか煮豆屋さん、そういうような実需者ニーズの的確な把握、それから乾燥調製施設等の機械施設の整備、あるいは品種の育成、普及等々を行っていきたいというふうに考えております。  このような各般の施策を講ずることによりまして、市場で高い評価を得ている大豆の生産拡大が図られるものというふうに考えているところでございます。
  189. 菊地董

    ○菊地委員 初めてなものですから、遺伝子組み換え食品等の安全基準の問題については、厚生省の方だというようなことも聞きましたのですけれども、ちょうど来ているようでありますが、どちらからでも結構でありますので、その問題について触れさせていただきたいと思います。  今、世界的に遺伝子組み換え食品に対する消費者の懸念が広がっているわけでございます。大豆、トウモロコシ、ジャガイモなど農産物と、これらを原料とした豆腐、納豆、スナック菓子、そしてしょうゆ、大豆油など、生活に欠かせないすべての食品が含まれております。  農水省は二〇〇一年から遺伝子組み換え食品の表示を義務づけることにしていると伺っておりますが、それが消費者にとってはまことにわかりにくいし、何を基準にして安全なのかよくわからない。  豆腐や納豆、みそ、スナック菓子など、大豆を原料としながらも、遺伝子組み換え食品の義務表示と遺伝子組み換え不分別の義務表示、遺伝子組み換えでない任意表示と表示不要、そして何よりも、一〇〇%輸入大豆を使っているしょうゆ、大豆油、コーン油、コーンフレークなどは表示不要となっています。一体何を基準としているのか、明らかにしてほしいと思うわけであります。
  190. 三輪睿太郎

    ○三輪政府参考人 御説明を申し上げます。  食品としての安全性につきましては、先生お話のように、厚生省の方で基準を定めておりますが、農水省の方は、環境に対する安全性とえさ、飼料としての安全性を確認しております。  その基準でございますが、環境に対する影響に対しましては、導入した遺伝子の特性を確認した上で、組み換えた作物の花粉の飛散状況、それから雑草化するかどうか、さらに有毒な物質をつくるかどうか、こういうことにつきまして、遺伝子を導入する前の作物との違いがないかということを確認することによって安全性の審査を行っております。  また、家畜の飼料につきましては、導入された遺伝子についての特性が明らかになっていること、また、既存の飼料と遺伝子組み換え体飼料との間で構成する成分等について差が認められないこと、これらを確認しております。
  191. 菊地董

    ○菊地委員 今、世界で食料輸入大国と言われている我が国は、遺伝子組み換え農産物の規制のないアメリカから、大豆で三百八十九万トン、トウモロコシで千二百八十万トン輸入していると聞いております。アメリカの農務省の報告では、アメリカで生産される大豆やトウモロコシの五〇%以上は遺伝子組み換え農産物だと伝えられています。それが日本で食用油やしょうゆ、みそ、豆腐になっているわけでございます。EUは二〇〇二年までに新たに安全規制を強化する方針と伝えられて、それまでは遺伝子組み換え農産物は認めないと言われております。  食料輸入大国日本としては、健康と環境を守るため、国内でのより厳しい安全基準を消費者にわかりやすい表示とするとともに、国際社会の場で遺伝子組み換え農産物の生産をやめるよう提案すべきだと思いますが、大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
  192. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 大変大事な問題だと思います。これはできるだけわかりやすく御説明をさせていただきたいと思っています。  つまり、トウモロコシと大豆が、これは遺伝子組み換え農産物が入っております。そこで、このIPハンドリングマニュアル、分別流通マニュアルというのをこの前発表しました。  つまり、大豆の場合、生産地から、非遺伝子組み換え大豆、これが種子もちゃんとそうなっていますということを確認する。それからさらに、今度はカントリーエレベーターとかそういうところを通じまして、ちゃんとそこでも遺伝子組み換え農産物とまざらないように、クリーニングされてきたところに入ってきました、さらに、今度は港に入ってまいりまして倉庫に入る場合においても、そこもちゃんとクリーニングされている、さらに、今度は船倉もクリーニングされています、日本の陸に上がって、さらにそこもまざることはありませんね、そして流通経路に従ってやっていく。ただし、ここまでやっても、これらの五%以下ですか、入る可能性がございますので、五%をめどとしましてこの表示義務、こういうふうにしておるわけでございますね。  ただし、トウモロコシの場合は、非遺伝子の組み換えトウモロコシの畑と組み換えの畑が、これはかなり遠くても花粉が飛んでいって交配するわけですね。そのために、マニュアルでまいりましても、今表示するというのはなかなか難しいんじゃないかというようなことで、とりあえず、非遺伝子の組み換えトウモロコシの畑から来ましたよ、こういう経路をやってきましたよということだけは明確に表示をしようではないかということになっているわけです。  そこで、今度はEUでございますが、EUの場合は千六百万トンの大豆を輸入している。我が国は四百万トンですね。それを一%で表示しろということを決めたんですけれども、今言って委員もわかられたとおりですが、要するに、混入率五%をめどとしてかなりやってもどうしても入ってくるというのが我々の経験なんです。  ところが、EUはまず一%ありきということでございまして、ではどういう手順で千六百万トンの中においてそういう形に持ってこられるかということになると、その手順とか手続とか、そういうガイドラインとかマニュアルというのが全然示されておりませんので、事実上は無理ではないかというのが我々の、私の感想でございますけれども、いずれにしろ、向こうの方は、そういう数字を出した以上はどうやってやるかということを見ていきたいと思います。  以上です。
  193. 菊地董

    ○菊地委員 遺伝子組み換えの問題は、私もこれから勉強してまいりまして、この委員会でさらに議論させていただきたいと思っているわけであります。  最後になると思いますが、菜種の問題についてお聞きいたしたいと思います。  菜種については、その作付面積が平成十一年で六百七ヘクタールまでに減少したということで、交付金制度から産地の実態に即した措置に移行するということであります。  あえて菜の花と申しますが、菜の花には別に切り花用やナバナとしての用途がありまして、詩人山村暮鳥の「いちめんのなのはな」という詩を昔教科書で学んだことがありますけれども、春の日本の景観を代表する景色でありまして、美しい日本の文化と伝統を守るものであるだけでなく、まさに農業の多面的機能や観光資源としても農村振興に大きく寄与する作物であろうと思うわけであります。  産地の実態に即した措置を策定する際には、新基本法の精神でありますこうした観点にも着目して、単に菜種として見るだけでなくて、菜の花の作付に対する助成というようなことも講じられてもよいのではないかというふうに考えるものであります。鉢呂先生の、今回の改正案の目的のところ、これは旧態依然のままであるという御指摘もありましたけれども、やはり新基本法に沿った方向というものは考えられてもいいのではないかというのが私の意見でありますけれども、お考えがあれば、ひとつ御答弁願いたいと思います。
  194. 谷津義男

    谷津政務次官 菜種の件についてでありますけれども、我が国の油用の実取り菜種の生産量は、先生おっしゃるように、昭和三十一年で三十二万トンがピークだったんですね。それで、それから減少してきまして、最近では一千トン程度で推移しております。これは地域において特定されまして、最近、鹿児島と青森に集中しております。そういうことで、流通においてもある程度特定の需要と結びついているという状況にあります。  こういうことから、このような生産、流通事情の変化を踏まえまして、平成十三年度から、農家経営の安定にも配慮しながら安定的な契約栽培を推進しようとしているところでありまして、実需者と事前の契約のもとに生産し、販売される菜種について定額の単価により助成するような方策を講じる方向で今検討しているところであります。
  195. 菊地董

    ○菊地委員 ありがとうございました。きょうはこれで終わります。
  196. 松岡利勝

    松岡委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  197. 松岡利勝

    松岡委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。中林よし子君。
  198. 中林よし子

    ○中林委員 私は、日本共産党を代表して、大豆なたね交付金暫定措置法及び農産物価格安定法の一部を改正する法律案に対する反対討論を行います。  反対の理由は、第一に、生産費を基準にした基準価格と販売価格の差額を補てんする現行の不足払い方式を定額助成方式に改めることは、国の価格支持制度の大幅な後退であるという点です。このことにより、販売価格が下落した銘柄については、手取り額が減少し、再生産が一層困難になることは明らかです。  現在、安全な国産大豆に対する消費者の関心の広がりの中で、各地で大豆の不足払い制度も有効に活用しながら国産大豆を定着させる取り組みが進んでいます。その最中に価格の下支えとしての不足払い方式を廃止することは、国民の期待にも反するものです。  また、農民負担大豆生産者経営安定対策の基金をつくり、この加入者だけを交付金制度の対象にすることは、市場価格には影響力を持たない保険制度に価格対策を任せるものです。  なお、今回の法改正の基本には、新農業基本法のもとでの市場原理を一層活用した価格決定と限られた担い手だけの所得確保対策を進める農家の選別政策の具体化であり、国の財政負担の大幅削減のねらいがあることを指摘しておきます。  第二に、菜種を交付金制度から外すことは、地域で畑作の輪作作物として、また国産の貴重な資源としての菜種の生産を困難にし、復活の可能性をなくしてしまうことです。  今必要なことは、農家の再生産を保障して、大豆と菜種の自給率の引き上げのため、生産、流通、販売対策などとあわせ、必要な財源を振り向けるべきであって、不足払い制度の廃止ではなく、制度を生かした支持価格制度の拡充、改善が求められているのです。  以上で、反対討論を終わります。
  199. 松岡利勝

    松岡委員長 これにて本案に対する討論は終局いたしました。     —————————————
  200. 松岡利勝

    松岡委員長 これより採決に入ります。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  201. 松岡利勝

    松岡委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  202. 松岡利勝

    松岡委員長 この際、本案に対し、松下忠洋君外四名から、自由民主党、民主党、公明党・改革クラブ、自由党及び社会民主党・市民連合の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を聴取いたします。鉢呂吉雄君。
  203. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 私は、自由民主党、民主党、公明党・改革クラブ、自由党及び社会民主党・市民連合を代表して、大豆なたね交付金暫定措置法及び農産物価格安定法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     大豆なたね交付金暫定措置法及び農産物価格安定法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、左記事項の実現に努め、大豆の生産の増大と自給率の向上、農家所得の安定に万全を期すべきである。       記  一 新たな交付金制度の運用に当たっては、農業者が意欲を持って生産に取り組めるよう、大豆生産の実態等を十分勘案するとともに、その生産の増大と所得の安定に配慮すること。    また、水田における大豆の本格的生産、外国産大豆の輸入動向等にかんがみ、国産大豆の需給均衡を図るため、生産者団体における販売・生産体制の強化等の措置を講ずること。  二 大豆作経営安定対策の導入に当たっては、生産者の所得の変動の緩和に資するよう、その仕組みと運用に十分配慮するとともに、適宜必要な見直し・改善を図ること。  三 国産大豆の優位性を維持していくため、実需者との連携による高品質多収品種の育成・普及、主産地の形成に資する機械・施設の整備、大豆の安定生産に資する栽培技術の高位平準化及び農業生産基盤の整備等を積極的に推進すること。  四 なたねを交付金制度の対象から除外するに当たっては、産地の実態に即した国産なたねの生産の振興が図られるよう措置すること。  五 遺伝子組換えに係る輸入大豆・なたねが国内に流通していることにかんがみ、その安全性の確保を図ることはもとより、新しい品質表示制度の運用に際しては、消費者の意向に十分配意して対処すること。  六 原料大豆に係る国産使用表示の的確な実施を通じて消費者の選択に資するため、新たな品質表示基準を周知徹底するとともに、国産大豆利用促進に向けた関係団体の主体的な取組を助長すること。  七 WTO農業交渉に当たっては、大豆生産の増大を図る環境を整備する観点からも、食料安全保障、多面的機能の発揮等についての我が国の主張を堅持すること。   右決議する。  以上の附帯決議案の趣旨につきましては、質疑の過程等を通じて委員各位の御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。  何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。  以上です。(拍手)
  204. 松岡利勝

    松岡委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  205. 松岡利勝

    松岡委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、ただいまの附帯決議につきまして、農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣玉沢徳一郎君。
  206. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 ただいまは法案を可決いただき、ありがとうございました。附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、今後最善の努力をいたしてまいります。     —————————————
  207. 松岡利勝

    松岡委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  208. 松岡利勝

    松岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  209. 松岡利勝

    松岡委員長 次に、内閣提出青年等就農促進のための資金の貸付け等に関する特別措置法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより趣旨の説明を聴取いたします。農林水産大臣玉沢徳一郎君。     —————————————  青年等就農促進のための資金の貸付け等に関する特別措置法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  210. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 青年等就農促進のための資金の貸付け等に関する特別措置法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  我が国農業の持続的な発展を図っていくためには、効率的かつ安定的な農業経営を担うべき人材の育成及び確保が不可欠であり、このような観点から新規就農の促進を図ることが重要な課題となっているところであります。  このような課題に対応するため、新たに就農しようとする青年等に対する無利子の就農支援資金の貸し付け等の措置を講じてきたところであり、これにより新規就農者数は着実に増加しつつあります。しかしながら、近年の農業の担い手の減少及び高齢化が進行している状況にかんがみれば、新規就農者数は依然として十分とは言えない状況にあります。  また、最近における就農の実態につきましては、他産業からの離職就農者や農家子弟以外の新規就農者の増加といった就農ルートの多様化等の変化が見られており、このような変化に対応した就農促進のための施策の推進が求められているところであります。  このため、今般、新規就農者に対する支援措置の充実を図ることとし、この法律案提出した次第であります。  次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、従前から都道府県青年農業者等育成センターが就農準備のための研修等に必要な資金として貸し付けている就農支援資金について、農業経営開始のための施設の設置、機械の購入等に必要な資金を追加することによりその内容を拡充するとともに、拡充した資金については、農業協同組合、農業協同組合連合会、銀行等からも貸し付けることができることとしております。  第二に、農業協同組合、農業協同組合連合会、銀行等から貸し付ける就農支援資金について、農業信用基金協会の債務保証の対象とすることとしております。  第三に、認定就農者に対して農林漁業金融公庫が貸し付ける農地等取得資金について、その据置期間の上限を三年から五年に延長することとしております。  以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  211. 松岡利勝

    松岡委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時四十七分散会