○中田
委員 今私お聞きしたのは、評価
委員会の今後の
運営ということについてお聞きをしたのですけれども、私がお聞きをした理由というのは、先ほど申し上げたような
専門家の
人たち、この
人たちというのはお忙しい方ばかりでして、この
方々に
一つ一つのアイデアをしっかりと議論してもらって精査してもらって、ある
意味では時として現地に足を運んでもらって、これはいいぞというような選考というのは、恐らくは物理的にできなんだと思うのですね。
そうなると、いわゆる事務方の方が事前に審査して、そしてそれを評価
委員会に上げていくというような感じになるんだろうと思うのですけれども、ここら辺がまさに、ITという本当にアイデアを競っているようなところで、その
一つ一つのアイデアが商品ですから、このアイデアを、将来性を見込んだり、新規性と先ほど簡単にはおっしゃるのだけれども、新規性を見込んだりということを、それこそ感覚の鋭い
専門家が見る時間があればいいけれども、そうもいかない。ここが実に今回の難しさであるような気がするんですよ。ですから、そこは事務方の
方々にも相当に感覚を磨いてやってもらう必要があるわけで、私は申し上げているのです。
とりわけ、最近
インターネット関係、IT関係も、例えばマーケット、株なんかでも、
インターネット関連というだけでわっと株が上がっていったり、あるいは今度は逆にどんと下がってみたり、そういう非常に難しい側面がある。これは、今回の制度とも本当に複雑に、密接に絡む要素ですね。すなわち、玉石混交になってしまっている
部分があるわけです。例えば、マザーズなんかにも、公開したはいいけれども、しかもわっとムードで上がっていったはいいけれども、全然これは実体がないじゃないかとか。マザーズがそうだと言うと、また株が下がっては困りますから、そんなことは軽々には言えないんだけれども。
しかし、その
企業一つ一つを見てみると、
インターネット関連
企業というのは、大体今まで黒字を出したことのない
企業の方が圧倒的に多いんですよね。黒字を出したことのない
企業が上場しているんです。そして、将来性だというけれども、将来性というものの見込みとか根拠というのはさっぱりわからないままに買われていったりするわけです。
そういう
意味では、この今回の審査も実に難しい審査。私は、そういう
意味では、大原則的に言うと、本当に公金を使うことがいいのかどうかなというそもそも論もあるとは思うのですよ。ただ、そこは、先ほど申し上げたように大局観に立って、今この分野を育てることが重要なんだという側面に立って、賛成はしたいと思うわけですけれども、しかし、今申し上げたとおり玉石混交でいろいろな
会社がある。
この間、ある人から聞いた話ですけれども、ベンチャー
企業の投資というものをどういうふうに判断していくのかというと、民間のエンゼルと呼ばれるような
人たちに対して、ここら辺が重要だろうという幾つかの項目が並んでいて、例えば、こうした特色がある
企業には投資をしない方がいいと。
十項目ぐらい羅列があるのですけれども、そのうちの幾つかを拾ってみると、パンフレットが立派な
企業はやめた方がいい。それから、IPO、IPOとIPOが間近だという
企業はまずやめておけ。
事務所が一流の場所にある、こういう
企業もやめておけ。それから、プレゼンテーションが非の打ちどころがない完璧な
会社はやめておけ。ここら辺をすべて疑ってかからないと、逆に全部これはもう、かつてネズミ講やら何やらがあったのと逆で、今は、
インターネットだ
インターネットだ、我々はもうIPOも近いんだ、
技術力があるんだということでどんどん金を集めて、知らない間に
会社はだめになっていた、どこかへ行っちゃったなんというのだって最近は後を絶たない。
その
意味では、本当は、この制度で審査をしてお金を出すというのはまさに難しいんですよ。実に難しい。二億円とか
一つ当たり五百万円という
金額が大きいか少ないかという議論の中で、このぐらいで大丈夫かなという少なさを逆に感じるけれども、でも難しいのですね。だから、そこら辺はもう本当に私は重要なことだと思う。
ということは、皆さんに要望するだけではなくて、実は
一つ申し上げたいことがある。それは何かというと、事後のチェックをしっかりやることだと思うのですね。
もう一度大原則を申し上げますが、ベンチャー
企業を育てていく、民間を育てていくというのは、本当はベンチャー
企業という性質からいうと、投資ですから、今回は助成ですけれども、投資をしていくというのは民間が民間同士の中でやっていく話なんですよ。本当は国がやるべき話じゃないんですよ。助成も、もとをただせばその議論はあると思うんですよ。
例えば、ベンチャーキャピタルが
日本の場合まだまだ育ち切っていないという議論の中で、民間のベンチャーキャピタルだってまだ未成熟で、例えば、
日本のベンチャーキャピタルの
一つの大きな
問題点は、サラリーマンキャピタリスト。すなわち、
会社組織の中にいて、例えばの例で言うと銀行が出資したベンチャーキャピタルがあって、そのベンチャーキャピタルには銀行から出向者が来て、銀行が今まで土地を担保に金を貸していたのと余り変わらないような感覚でサラリーマンキャピタリストがお金を出す出さないを決めているというようなケース。もちろん、担保をとるという話はここではないわけだけれども。
しかし、要は、サラリーマンキャピタリストの
問題点というのは、
一つのビジネスを育てる、シードを育てたときに、それが大きく花開いたときに
自分にも見返りがあるというような、そういったキャピタリストは、やはりこれは真剣に
一つ一つを投資して
自分の感覚を持ってやるわけですよ。ところが、
日本の場合そこが育っていない。サラリーマンキャピタリストの問題もそこにある。
そうすると、なおさら、いわんや税金を使って物をやるときというのは、どうもここが今まで甘い。これまでのさまざまな例を見ても甘い。今回だって、このことをやるのは私賛成だけれども、しかし一方では、事後のチェックをちゃんとやらなきゃだめだと。
もう一度だけ申し上げると、エンゼル税制の拡充だとか、あるいは、情報提供をして役所が仲介をしたりすることによってキャピタリストがどんどん投資をする、そういうことの
環境整備のことなら私は大賛成なんだけれども、直接助成をするということについて、やった事後のチェック。私は、極論を言えば、一年間これをやってみて、あるいは二年、三年やってみて、どれだけの
企業が育っていったのかということをしっかりとチェックをして、それで、しっかりとした結果が出なかったら、やはり見直すべきだと思うのですね。
今、こういう経済状態が悪いときだからこそ、新規の分野を育てることが何よりも雇用の問題にとっても重要だし、
日本の活力にとって、まさにITというのはこれから先大変な命運を握ると冒頭申し上げたとおりだから、この
部分に今やるのはいい。しかし、それがある程度育っていけない、育っていったとしても、しっかりと事後チェックをして、どうも二億円の効果というのが、どれほど膨らんだかというものが見えないならば、見直すことを勇気を持ってやっていかないと、そもそも論からいったら、国が
企業を育てましょうということに直接的にお金を使うことは間違いだと私は思うものですから、その事後チェック、ここは重要だと思うので、ぜひそこについてのお約束みたいなものをいただきたいなと思うわけであります。