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2000-04-13 第147回国会 衆議院 逓信委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年四月十三日(木曜日)     午前九時三十分開議  出席委員    委員長 前田 武志君    理事 浅野 勝人君 理事 荒井 広幸君    理事 遠藤 利明君 理事 佐藤 剛男君    理事 伊藤 忠治君 理事 中沢 健次君    理事 福留 泰蔵君 理事 矢島 恒夫君    理事 西田  猛君       石崎  岳君    今村 雅弘君       江渡 聡徳君    小野 晋也君       大石 秀政君    小坂 憲次君       佐藤  勉君    坂井 隆憲君       園田 修光君    棚橋 泰文君       虎島 和夫君    野田 聖子君       水野 賢一君    山口 俊一君      吉田六左エ門君    小沢 鋭仁君       今田 保典君    渋谷  修君       中田  宏君    久保 哲司君       富田 茂之君    前田  正君       中井  洽君    横光 克彦君     …………………………………    郵政大臣         八代 英太君    大蔵政務次官       大野 功統君    郵政政務次官       小坂 憲次君    郵政政務次官       前田  正君    政府参考人    (運輸省自動車交通局長) 縄野 克彦君    政府参考人    (郵政大臣官房長)    松井  浩君    政府参考人    (郵政省貯金局長)    團  宏明君    政府参考人    (郵政省簡易保険局長)  足立盛二郎君    政府参考人    (郵政省通信政策局長)  有村 正意君    逓信委員会専門員     大久保 晄君     ————————————— 委員の異動 四月十三日  辞任         補欠選任   坂井 隆憲君     小野 晋也君   園田 修光君     棚橋 泰文君   中尾 栄一君     水野 賢一君   野中 広務君     野田 聖子君   小沢 鋭仁君     今田 保典君   富田 茂之君     久保 哲司君 同日  辞任         補欠選任   小野 晋也君     坂井 隆憲君   棚橋 泰文君     園田 修光君   野田 聖子君     野中 広務君   水野 賢一君     中尾 栄一君   今田 保典君     小沢 鋭仁君   久保 哲司君     富田 茂之君 同日  西田猛君が理事辞任した。 同日  矢島恒夫君が理事に当選した。     ————————————— 四月十一日  電波法の一部を改正する法律案内閣提出第九〇号) 同月十三日  電気通信事業法の一部を改正する法律案内閣提出第九一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  政府参考人出頭要求に関する件  特定通信放送開発事業実施円滑化法の一部を改正する法律案内閣提出第四七号)(参議院送付)  特定公共電気通信システム開発関連技術に関する研究開発推進に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第四九号)(参議院送付)  郵政官署における原動機付自転車等責任保険募集の取扱いに関する法律案内閣提出第七六号)  郵便貯金法等の一部を改正する法律案内閣提出第六七号)  電波法の一部を改正する法律案内閣提出第九〇号)  電気通信事業法の一部を改正する法律案内閣提出第九一号)     午前九時三十分開議      ————◇—————
  2. 前田武志

    前田委員長 これより会議を開きます。  この際、お諮りいたします。  去る四月七日の議院運営委員会における理事の各会派割当基準の変更に伴い、理事辞任及び補欠選任を行います。  まず、理事辞任についてお諮りいたします。  理事西田猛君から、理事辞任申し出があります。これを許可するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 前田武志

    前田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次に、理事補欠選任についてお諮りいたします。  ただいまの理事辞任に伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 前田武志

    前田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  それでは、理事矢島恒夫君を指名いたします。      ————◇—————
  5. 前田武志

    前田委員長 この際、八代郵政大臣から発言を求められておりますので、これを許します。八代郵政大臣
  6. 八代英太

    八代国務大臣 おはようございます。  去る四月五日に再び郵政大臣を拝命いたしました八代英太でございます。再任されました小坂総括政務次官前田政務次官ともどもよろしくお願いを申し上げます。  前田委員長を初め逓信委員会委員皆様には、郵政行政の適切な運営につきまして平素から御指導を賜り、厚く御礼申し上げます。  本内閣は、日本新生内閣であり、前内閣政策を継承しながら、日本経済新生と大胆な構造改革を図ることが重要な課題でございます。郵政省といたしましては、二十一世紀を開く発展基盤整備新規産業と雇用の創出、だれもが参加できる情報通信社会の構築の三つ観点から情報化を積極的に推進しているところでございますが、引き続き、IT革命起爆剤とした経済発展を目指すとともに、情報通信基盤整備情報通信利用環境整備等を通じまして、二十一世紀における諸課題解決し、豊かな国民生活の実現を図ってまいります。  また、地域に密着し、国民日常生活に欠かすことのできない郵政事業につきましても、二万四千七百の郵便局ネットワークを生かしまして、国民利用者のニーズにこたえるという原点を忘れることなく、引き続き適切な事業運営に努めてまいりたいと思っております。  先月末から活発な噴火活動を続ける有珠山につきましては、郵政省といたしましても、地域郵便局情報通信を活用したさまざまな支援措置を講じているところでございますが、今後とも、状況に応じまして必要な対策を的確に推進してまいりたいと思っております。私も十六日の日曜日には現地に赴きたい、このように思っているところでございます。  引き続き、郵政大臣の職務を全力を傾けて努めてまいる所存でございますので、委員皆様の御指導、御鞭撻を賜りますよう心からお願い申し上げますとともに、法律案の御審議もよろしく御指導のほどお願い申し上げまして、ごあいさつといたします。よろしくお願いいたします。(拍手)      ————◇—————
  7. 前田武志

    前田委員長 内閣提出参議院送付特定通信放送開発事業実施円滑化法の一部を改正する法律案及び特定公共電気通信システム開発関連技術に関する研究開発推進に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  この際、お諮りいたします。  両案審査のため、本日、政府参考人として郵政省通信政策局長有村正意君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 前田武志

    前田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  9. 前田武志

    前田委員長 これより質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。小野晋也君
  10. 小野晋也

    小野委員 皆さん、おはようございます。  本日は、二法案提案されておりますことの審議でございますが、この両案とも通信放送機構に絡みます法案でございます。この通信放送機構と申しますと、情報通信分野研究開発推進並びに通信放送事業高度化等支援、さらに放送事業支援等のことを目的と挙げる法人になっているわけでございますけれども、そんなことを考えますと、この機構情報社会にとりましては開拓者としての役割を担っている組織である。そんなことから、きょうはまず大臣に、この情報社会の御認識からお尋ねをさせていただきたいと思うわけでございます。  実は、恥ずかしい話でございますが、私の事務所に置いてありますコンピューターが先日暴走をいたしました。これは、インターネット接続しておりまして、メールのやりとりをするための端末として活用していたものでございますけれども、いつの間にか自動でその接続をするようになっておりまして、それに事務所所員が気づかないまま時を過ごしてしまったがために、累積で三十五万円に及ぶ何の役にも立たない通信費というものがかかってしまったわけであります。  これは、金額がどうこうというのではございませんで、その技術的問題解明ということをまずやらせていただいたわけでございますが、これはもう細かい説明はいたしませんが、最終的なところははっきりした原因がわからない。少なくとも通信回線には問題がなかったということでありますけれども、コンピューターハードソフト、そしてその設定、このどの部分トラブルを起こしてこういうふうな事態になったかわからない、こういうふうな状況に立ち至ったわけでございます。  そこで、ならば、こういう問題がどう解決されるのかということで、いろいろな方々に御相談をさせていただきながらこの問題解決に取り組んでみたわけでございますが、そこではっきりとわかってまいりましたことは、この種の問題が発生した場合に、日本の国における解決手段というものは非常に限定されているという事実でありました。  まず第一に、相談窓口が明らかでないという問題がございました。この問題は、今申しましたとおり、回線業者の問題がございます。それから、コンピューターハードウエア会社の問題がございます。それに入れているソフトウエアの会社がございます。さらに、そのソフトというのはもともとバンドルして売られているものでありますから、これはハードメーカー責任もなしとは言えないものであります。しかも、私の事務所においていろいろなコンピューターソフトを入れておりましたり、OSも入れかえたりしておりますものですから、ソフト設定が随分その購入後変わってきているというような状況もございます。  こういうふうになってまいりますならば、どこがこのトラブル原因であって、だれがこの三十五万という金額負担者になるべきかという問題が極めてあいまいでありまして、各部署へ相談を申し上げますと、それなりに調べていただいても、結果的には、明らかでないものは責任を負うわけにいかない、こういうことでございまして、私の事務所所員もほとほと困り果てていたような状況が見られたわけでございます。  考えてみますと、今、高度情報社会、今大臣も言われましたように、だれもが参加できる情報社会ということをスローガンに掲げながらこの情報社会を建設しているわけでございますが、一たんトラブルが起こった場合に、それを解決する相談窓口が明らかでないというような一つの問題があるという気持ちがいたしました。  第二に、この問題に関連いたしますが、解決スキームが必ずしも明らかでないんですね。例えば交通事故の場合でしたら、事故を起こしたらすぐに警察に通報すれば、警察がそれを調べに来て、大体事故原因はこういうことですということがはっきりすれば、あと保険会社の方で処理をしていただけるという一つの流れがあるわけでございますけれども、このコンピューターにおけるトラブルの場合には、トラブルをこうむったその人自身が駆け回らないとその解決道筋が見えないし、その道筋すらどういう道筋になるかがやってみなきゃわからない、こういうふうな非常に頼りない状況にあるというのも事実としてわかりました。  それから第三点目には、このコンピューター社会というものが、今申し上げましたとおり、大衆的なものに今なってきている、だれもが使えるということをうたう社会になってきている。それにもかかわらず、トラブルが起こってみると、その端末管理責任使用者にあるという姿勢がこの全体の中にあるわけでございますね。  昔、コンピューターというのは非常に専門性が強くて、技術を十分理解された人が、そのハードもわかる、ソフトを何を入れて、どういうふうに動くソフトかもわかっている、その人が動かしているときは、専門家としてそれを動かしているわけだから、管理責任使用者でよかったと思うんですね。また、企業ネットワークを使ってやっている場合も、その多くの人が、熟知してない方が使っているとしても、必ず管理責任者がいてその技術を熟知して対応されるわけだから、それも管理責任がその企業にあるということでよかったと思いますが、今や二千万に及ばんとする人たちネットワーク接続しながらコンピューターを使っている。それはもう、子供もいれば、技術が全くわかっていない方々も随分たくさん使っておられるにもかかわらず、一たんトラブルが起これば、それは使っている人がきちんと管理しなきゃいけないのですよ、こういう立場なんですね。  例えばウイルスの汚染の問題もいろいろ議論されてきたと思いますけれども、コンピューターウイルスに汚染してしまった場合に、それはひとえにコンピューターウイルスを防げなかった使用者に問題がある、こういうふうにされるのが現在の状況でございまして、管理責任というものを、これだけ大衆化された情報社会になりながら、端末所有者使用者にゆだねているということにも一つの大きな問題があるのではないか。こんなふうなことをいろいろとこの機会に考えさせていただいて、問題点を発見させていただいたわけでございます。  これらを総合して、例えてみるならば、大臣、今日本情報社会というのは、かつてのアメリカ西部劇時代ではないのでしょうか。次々に、フロンティアを目指して、ほろ馬車隊が出かけていって町をつくります。そのときに、町をつくった人たちは、自分たち自分を守らなきゃいけないのですね。一たん、例えばインディアン等の襲来があって被害を受けたからといって、だれも救済してくれない。その被害をこうむってしまったら、それはたまたま運が悪かったか、自分の力が足りなかったから自分責任だ、こういうふうに言われる姿とよく似ているような気持ちがいたします。  今、郵政省でも、安全対策については、荒井先生も随分ハッカー対策で御活躍されて、議論をしてまいりましたが、この対応している姿というのも、ようやくその町に保安官が派遣されてきて、少しは安全を守るために政府がやりましょう、こういうふうに言っている姿のような気持ちがいたしまして、まだまだこれだけの大衆化された情報社会というのに見合う社会的な体制というのは生まれていない。特に、トラブルに対して、それをきちんとカバーして、システムの運用に支障が起こらない、または被害をこうむった人が救済できる、こういう体制になっていないというのが率直な私の感想でございますが、この現状に対して大臣がどういう御所見をお持ちになっておられるか、お尋ねをさせていただきます。
  11. 八代英太

    八代国務大臣 いろいろな西部劇を引用されながらお話を伺いまして、もっともだと思いながら聞き入ったところでございますが、インターネットがこれから爆発的な人気、また、インターネットビジネスというものも展開していく二十一世紀というものを展望いたしますと、今までよく日本インターネットは、高い、それから遅い、危ない、こういうことが三つの例えで言われてまいりましたが、高い部分もだんだん解決されつつあるし、遅い部分もこれから技術開発で大きくクリアされていくだろうと思いますが、あとは、まさに今小野委員指摘のように、危ない部分だろうと思うのです。  それはまさに、大志を抱いて、フロンティア精神西部に出かけていって、そして自分の小さな牧場を守ろうとしたら、そこへ悪漢が殴り込んできて、せっかく育てた牛もトウモロコシもみんな奪われてしまう。ワイアット・アープに頼んでも、ワイアット・アープは一人しかいなくてどうにもならないということで、OK牧場の決闘みたいな形の悲惨な結果になっていくと、これも大変でございますから、そういう意味でも、いろいろなトラブルがこれから生じてくるということは、私たちも予測しなければならないだろうと思います。  そういう意味でも、ある程度の専門知識が必要となるのは当然なんですけれども、一般消費者が思わぬトラブルに巻き込まれてしまう。小野委員も、専門家でありながら、三十七万円ものそういう請求をいただいたということでございますけれども、ネットワークに対する社会経済依存度が急速に拡大していきますと、その辺もしっかり環境整備をすることは不可欠だろう、このように思っております。  事態の把握や被害者への対応等情報通信に係るサービス全体において消費者を保護するシステム充実ということも、これも急務だというふうに私たちは考えておりまして、郵政省としましても、電気通信サービスに係る相談窓口として、電気通信利用環境整備室というものが設置されております。しかし、これだけではわかりませんね。  ですから、私は、インターネット一一〇番的なものが、だれしもそういう不測の事態あるいは思わぬトラブルに巻き込まれたときには、ぴっぴとこうやると、そのことについての的確なアドバイスと対応と、それに対するいろいろな保護施策が展開されるようなシステムをこの際しっかりつくっておく、セキュリティーの問題も含めて考えておくということは大変重要だというふうに思っておりますし、小野委員は党におけるインターネット小委員長でもありますから、いろいろこれからお力、お知恵を拝借しながら、そういう相談窓口相互間の連携強化を行っていく上でどのような対策が必要なのかも、これから早急に私たち取り組みたい、このように思っております。  ただ、難しい窓口ではなくて、これからやはり、よく知っている人と、私のように知らない者がいろいろインターネットにアクセスしていくと、思わぬところで迷子になってしまったり、どうにもならない事態などというのを経験を積みながら、私たち一つ一つ前へ進みたいと思っているのですが、そういう意味でも、気楽に平仮名的に駆け込みができる、アクセスで駆け込むことができるような一一〇番的なものも、私は対策としてこの際必要ではないかな、このように思っているところでございます。
  12. 小野晋也

    小野委員 的確な御答弁をどうもありがとうございました。  大臣OK牧場というようなお話も出していただいたわけでございますが、西部開拓時代開拓者は、それなりの覚悟を持って先進的なフロンティアのところへ乗り出していったと思うのですね。それだけのまた装備といいますか、鉄砲だとか、攻撃を受けた場合にそれを守る手段も持っていったと思うわけでありますが、現在の日本の今展開されている情報社会というのは、大衆情報社会でございますから、丸腰の人たちがその先端部分に実は進んでいくような状態が生まれているような情報社会になっているということでございますから、ぜひその時代状況対応できる体制ないし施策というものを要請させていただきたいと思います。  とりわけ、これから特に大きな話題になってくるのは、現金決済インターネット上でとり行うというようなことが一般化してくる時代になってくるだろうと思いますけれども、そのときに、コンピューターウイルスで、その現金決済を行うソフト部分にいたずらを行うようなものが広範に頒布されたというような状況を考えますと、一人当たり何十万、何百万というようなおかしな決済が行われる。それが何万人、何十万人に広がってしまったということになると、これは、総額にすると数千億だとか数兆円というような大混乱が実は引き起こされてくる可能性があるわけですね。  今までですと、例えば省庁にハッカーが入ったといったって、その画面を書きかえれば、正直なところ終わりなんですよ。しかしながら、これからの情報社会は、もっと現実的な、深刻な問題を帯びてくるというようなことになってくるわけでございまして、現状のような、救済措置が何も考えられないで突き進むということは、非常に大きな社会的混乱、問題を引き起こす可能性もはらんでいるという意識を持っていただいて、お取り組みをお願いしたいと思うのでございますが、これはもう先ほども御答弁があったのですが、今後のお取り組みについて、特に触れていただけるようなものがございますでしょうか。
  13. 八代英太

    八代国務大臣 先ほど申し上げましたように、小野委員の御指摘は至極当然でございますし、これはまさに急務だというような思いを持っておりますので、相談窓口相互間の連携強化を行っていくことも含めて、相談窓口におけるトラブル解決能力の一層の充実が図られるよう、郵政省としてこれはしっかり検討していかなければならない、このように思っておりまして、繰り返しになりますが、インターネット一一〇番的な、駆け込み寺的なものもこの際必要だな、このように今私も思った次第でございます。
  14. 小野晋也

    小野委員 一一〇番の機能のこれからの創設拡充と、それと同時に、やはり被害を受ける人というのは現実に生まれるわけですから、受けた人に対する救済的な施策ということも十分お考えいただきたいと思うのですね。やはり情報社会においては、情報強者情報弱者がおられます。大臣はかねがねから社会的な弱者という問題に非常に力を入れておられるわけでありますが、情報弱者がこれから大きな被害をこうむる可能性を持つ社会になってくるという観点からのお取り組みも、これは御要望させていただいて、この質問は終わらせていただきたいと思います。  引き続きまして、総括政務次官お尋ねをさせていただきたいと思うわけでございますけれども、今回のこのトラブルを経験させていただきまして私が痛感いたしましたのは、おかしいということが早い時期に我々に認知ができていれば、これだけずるずると長期間にわたって異常接続が続いて、高い金額被害を受けることがなかったわけでございます。  考えてみれば、私たちの体も異状を来した場合どうだというと、すぐに熱が出てくる、痛みを感ずる、またはかゆみを感ずるとか、いろいろと我々がこれを認識できるから、早目に手を打って体を健康にすることができるわけでありまして、情報社会というものを考えました場合に、異常検知という問題が非常にこれから大事になってくるなと。特に、これから多数の人たち端末を操作する社会になってくるということを考えますと、端末自身に、異常をきちんと検知をして、それを警告し、対処をしろというふうに促すシステムが組み込まれなければならないのじゃないかというような印象を非常に強く持たせていただきました。  そこで、通信放送機構では、基礎から応用への研究開発を行うということで、いろいろな自主研究、また委託研究が展開されているわけでございますが、この点も、これからの情報社会というものを考えますと非常に大事なテーマの一つになるんじゃないかなということでございますが、この研究に取り組むということについての政務次官の御所見はいかがでございましょうか。
  15. 小坂憲次

    小坂政務次官 小野晋也先生には大変な被害をこうむられたようで、お見舞いを申し上げたいと思うわけでございます。工学部御出身の小野先生専門家でいらっしゃいますので、あらゆる面から検討を重ねられたと思うのですね。それでまだその原因がわからないということでございますから、もし原因がある程度わかりましたら、ぜひともまた教えていただきまして、そういった面でもまたさらに研究を進めたいと思います。  ただいま御指摘の点につきましては、言ってみれば急速に発展をしてきた情報通信社会の影の部分一つになるのではないかと思うのですね。システムを熟知しているならともかく、普通に、きのう人に言われてきょうから始めたという方もいっぱいいらっしゃるわけですから、そういう方々でも安全に使える環境整備というのは確かに必要だと思っております。そんな意味で、このシステムの利用の観点から大変重要な課題である、こういう認識を持っておるところでございますが、今回のような、通信放送機構で、基礎から応用への研究の中にこういうものも踏まえて研究をしてみたらどうだ、こういうお話でございます。  この異常接続がどのような原因で起こったかというのは、先ほど御指摘のようにハードの面で何か異常があったのか、それはコンピューター本体ですね、あるいはモデムのようなパソコンの接続窓口のところで何かが起こったのか、あるいはそれを動かしているソフトの面で何かがあったのか、いろいろな局面が考えられると思いますので、その原因によって、どこが研究開発してそういう防御システムをつくるのか、慎重に考えなければいけない部分もあるかとは思いますが、今後の研究開発について、どのような形が一番有効なのか、先生のそういった御指摘も踏まえながら今後さらに勉強させていただきたい、こう思いますので、ひとつまた今後とも、原因がわかりましたらぜひとも教えていただきたいと思います。
  16. 小野晋也

    小野委員 こういうトラブルに際しましてやはり必要なのは、トラブル自身が起こらないようにするというのが一番大事なことだと思うのですね。しかしながら、それでも素人が使うという機械になりますと、いろいろなトラブルが起こるでしょう。だから、トラブルが起こったことが早期に発見されるというのがその次に大事なことであって、起こってしまって被害が起これば、その後の対応がきちんと行えるというのがその次に必要なことでございます。  今、情報社会の中で取り組まれている主なテーマは、最初のトラブルが起こらないようにする部分は非常に技術者も熱心に取り組んでいるのですが、その後の部分、第二番目のトラブルが早く検知できる、そしてその後の処置を的確に行う、この部分にまだおくれがあるというのは事実でございますので、ぜひその検討を進めていただきますことを御要望させていただきたいと思います。  それから、引き続きまして今回の法案の改正点でございますけれども、これから地方公共団体等のコンピューターに対して電子申請が可能になるように研究推進するという項目が入ってくるわけでございますが、私は非常に危惧しておりますのは、こういう電子申請というものが、公的であり、非常に正確性が要求されるようなものであるときに、私は、今回トラブルを起こして経験して気づいたことに、本当にきちんと情報がやりとりできて、確度の高いものになるのかどうかという不安が出てきたのですね。  私どももいろいろメールを受け取ることもありますけれども、よく文字化けを起こしていることがあります。ソフトの面では十分検討され、つくっているはずでありますし、回線もトラブルが起こらないような工夫をしているのでありましょうが、それでも文字化けが起こって、これは何書いているんだというようなメールが届くことがあるということを考えますと、よほど信頼性の高いシステムを組み上げていく必要があるということになるんだろうと思うのですね。  恐らく地方自治体が設置するコンピューター側の方はきちんとした対応をしながら、正確性の高いシステムになると思いますが、端末側が果たしてそれにきちんとこたえられるものになるかということを考えますと、ソフト自身にそれだけの信頼性があるのか、また、その他のものに問題を起こすことはないのか、こういう問題が出てくるわけでございまして、これから電子申請を行うということになりますと、端末機器ないしはソフトそのものについて、本当にその機能を果たし得るのかということについての検証、認定というような機能も必要じゃないかと考えるわけでございますが、御所見はいかがでございましょうか。
  17. 小坂憲次

    小坂政務次官 確かに御指摘のように、一つ機器を買ったら、こういう接続がちゃんとなされるであろうという信頼関係というのがやはり機器との間にも必要でございますので、そういう意味で、認定というのは必要だと思っております。  電気通信事業法では、ネットワークに直接接続される機器、例えば今おっしゃったような機械であればモデムのような部分でございますが、ネットワークの損傷を防止する観点から技術基準を定めておりますし、その認定制度を定めているところでございます。  しかし、御指摘のような点のネットワークに直接接続されるモデム以外の部分、いわゆるソフト部分ですね、パソコンソフトウエアに関しましては、これもそういった一定の枠をつくっていくことが必要だとは思うわけであります。しかし、そういった一方で、ある程度独自の開発によって自分ソフトウエアの特徴というものを出していくことも必要でございますので、そういう点については創意工夫というものも各業者が導入いたしまして、先ほど先生御指摘のように、今幾らかかりましたよとか、もうこれでずっと接続しっ放しですけれども、こんなところに接続していますよというものが事前にワーニングとして出てくる。  こういったシステムをやるようなことにつきまして、今後、端末機器の認定とかそういった面で、国際的に見ますと、これを全部そういう認定の枠に課しているという例はないわけでございますが、そういった中で、地方公共団体のサーバー側のセキュリティー機能を向上させるとか、あるいはユーザーのリテラシー、こういうものを使う能力ですね、こういうものを向上するようないろいろな援助を行うとか、こういった方法によって対処をしてまいりたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
  18. 小野晋也

    小野委員 これから情報社会というものは、非常に広範な社会的影響を生み出してくると思います。文明の軸に立って、また人々の思想という問題にも大きな影響を及ぼしてくるということを考えました場合に、より大きく、社会の中に情報通信システムがどうあらねばならないのか、どうあればいいのか、こういうことを考えるシンクタンク機能の必要性も私どもは痛感しているところでございまして、これからこういうことの検討も含めて、郵政省八代大臣中心にますますの御活躍をいただきますことをお祈りをさせていただいて、質問を閉じさせていただきます。  どうもありがとうございました。
  19. 前田武志

    前田委員長 次に、江渡聡徳君。
  20. 江渡聡徳

    ○江渡委員 自由民主党の江渡聡徳でございます。おはようございます。  まずもちまして、八代大臣初め両政務次官、御再任本当におめでとうございます。引き続き郵政行政推進のために御尽力をお願いしたいと思っているわけでございます。  さて、我が国の経済というのは依然として低迷しておりまして、その低迷から脱し切れていない状況にありますけれども、このような中におきまして、インターネットあるいは携帯電話の爆発的な普及に象徴されるように、急速な発展を見せておりますこの情報通信分野、特に情報通信技術関連投資の、つまりIT関係なわけでございますけれども、この部分が牽引役といたしまして、設備投資の誘発、あるいは新規産業の、そして雇用の創出、さらには国際競争力の強化等さまざまな波及効果というものを今現在もたらしておるわけでございます。日本の経済の再生には大きな役割を果たすところであるというふうに私は思っておるわけでございます。  また、情報通信というものが、経済、行政、教育、生活そしてまた文化と、さまざまな分野にまさに基盤的に、そしてまたインフラ的な役割を担っているために、あらゆる分野におきまして情報通信の高度化を推進していくということはまさに必要でありますし、また不可欠のものでございます。そして、そのための先導役として、今回の公共電気通信システム法に代表される、共同分野の情報化というものがかぎであろうというふうに思っているわけでございます。  ですからこそ、今回の公共電気通信システム法の改正の主要目的ということを、ひとつ政務次官からお聞かせいただきたいと思います。
  21. 小坂憲次

    小坂政務次官 ありがとうございます。  委員指摘のように、情報通信の高度化を通じて高度情報通信社会の構築をすることは喫緊の課題であると認識をしているわけでございまして、平成九年五月には公共分野の情報化、あるいは平成十年十一月には高度情報通信社会推進に向けた基本方針を閣議決定いたしておるところでございます。こういった意味で、先進的アプリケーションの開発は政府の役割である、こういう認識を基本的に持っているところでございます。  そして、今回の法改正の目的でございますけれども、地方公共団体における申請手続電子化に資する電気通信システム、あるいは、もう一つは漁業情報の高度利用に資する電気通信システム、いずれも、これを通信放送機構において委託研究をさせるための枠組みを法律において規定することが必要でございまして、その意味で今回の改正をお願いいたしているところでございます。
  22. 江渡聡徳

    ○江渡委員 ありがとうございました。  続きまして、システム法で現在行われておりますプロジェクトについて、これまでの進捗状況というのもやはり聞かせていただかなければなりませんし、また、今回追加しようとしております二つのシステムの実現にそれぞれどのようなメリットがあるのでしょうか。先ほど小野先生の方からも危惧がなされておりました。特に改ざん防止のところとかセキュリティーの部分、これらのことについてもお聞かせいただきたいと思います。
  23. 有村正意

    有村政府参考人 お答えいたします。  この公共電気通信システムの開発は平成十年度から取り組んでいるわけでございますけれども、具体的に申し上げますと、平成十年度からは、文部省、農林水産省、運輸省と連携いたしまして、教育支援システム、それから農業用水管理システム、移動制約者支援システムの開発を行っております。平成十一年度からは、警察庁、消防庁と連携をいたしまして、警察通信安全対策に資するシステム、防災情報の収集に資するシステム等の開発にそれぞれ取り組んでおります。  例えば、文部省との連携について進捗状況を御報告いたしますと、平成十年度、十一年度におきまして、全国約一千六百校をインターネット接続いたしまして、学校に接続されるインターネットの高速大容量化に関する実証実験というものを既に一部開始しておりますけれども、その他の省庁とのシステムにつきましても、実証実験の実施や実験用システムの設計、構築を進めている、そういう段階にございます。  今回の改正でございますけれども、今回は、これらのシステムに加えまして、水産庁との連携によります漁業情報の高度利用に資する電気通信システム、自治省との連携による地方公共団体における申請手続電子化に資する電気通信システムの二つのシステムを追加するということにしております。  まず、水産庁との連携でございますけれども、このシステムは、衛星等を活用いたしまして、漁業活動に関する画像情報等を広域的に収集、加工、配信することを可能とするシステムを開発するものでございます。  このシステムが実現いたしますと、海上における漁船や水産庁の取り締まり船にとりまして、画像で見ることが可能になりますので、視覚的に理解しやすいということが実現できますし、また、受信機に送信されてまいります情報を蓄積いたしまして、必要なときに利用したい情報を取り出して利用するということが可能になる、そういったメリットがございまして、漁船の操業とか水産資源管理に必要な情報を効果的に提供したり利用できるようになるということが期待されております。  次に、自治省との連携の地方公共団体における申請手続電子化に資する電気通信システムでございますけれども、これは、地方公共団体に対する住民の皆様方の申請とか届け出等の行政手続をオンライン化するシステムでございます。  このシステムが実現いたしますと、地方公共団体におきまして住民の皆様が申請あるいは届け出等をされました場合の処理の迅速化が図れるということもございますし、地域住民の皆様方が行政手続を行う上で、自宅とかあるいは事務所からも電子的に行えるということで、負担の軽減を図れるということがございます。  そして、こういったシステムにつきましては、先生が先ほどお話しになりましたように、地方公共団体のシステム、事務と申しますのは、住民の皆様方の個人情報というものを扱うものでございますので、特に、私どもが開発する内容といたしまして、セキュリティー技術というものを大事にして開発を進めたいというふうに思っております。
  24. 江渡聡徳

    ○江渡委員 今お答えいただきましたけれども、特にこのセキュリティーの問題、これは一番大きな部分だと思いますのでよろしくお願いしたいと思いますし、また、漁業者にとりまして真にプラスになれるような情報をいち早く発信していただきたいなというふうに思っておるわけでございます。  これから特にこの公共分野の情報化というのは各省庁の連携によりまして一層強力に推進していかなければならないというふうに思っておりますし、そのことが真に重要なことだと思っておるわけでございます。  そこで、大臣にお聞かせいただきたいと思うわけでございますけれども、郵政省としての今後の展望をいかにお考えになっているかということをお答えいただきたいと思います。
  25. 八代英太

    八代国務大臣 情報通信時代のリーダーシップは、情報通信を担当しております郵政省が当然中心になるべきと考えておりますが、また、これは郵政省だけでできるものでもございませんので、内閣には、総理大臣を本部長といたしまして、私が副本部長という立場ではございますが、高度情報通信社会推進本部というのがございます。  これからの情報化時代を目指しましていろいろな形で各省庁と連携を深めておりまして、例えば、運輸省、建設省と連携をしまして、交通分野では、ITSと言っておりますが、高度道路交通システムというようなもの、私もその実験場を見学に行きましたが、例えば、もう車がそれぞれ通るだけでその料金が自動的にカウントされるというようなやり方で渋滞をなくすとか、あるいはまた、交通情報とかというものも的確にするとか、あるいは駐車場なんかも、どこの駐車場にあきがあるかというようなことをして、まことにもう新しいシステムが考えられておりますし、あるいは行政分野では、国土庁と建設省、通産省、運輸省、自治省と連携しまして、地理情報システムの構築、これはGISと言っておりますけれども、そういう情報通信技術研究開発にも既に取り組んでおります。  あるいは、一番身近な郵便局としましても、ワンストップ行政、今局長からも話がありましたが、そういうワンストップ行政サービスを実験することによって、これから地方の時代と言われておりますが、地方自治体と連携を持って、郵便局がその足らざるところを補う、その情報通信網というものも考えていくことも必要だというふうに思います。  また、平成十二年度の予算におきましては、ミレニアムプロジェクトとして、特に小渕前総理から強く提案されました教育の情報化、電子政府の実現、それからIT21、つまり情報通信技術二十一世紀計画ですね、こういう推進も採択されておりまして、この辺はまさにすべての省庁と深い連携を保たなければなせるものではございませんので、そういう意味で、情報通信行政の主管庁としての郵政省のリーダーシップを発揮するとともに、引き続き関係省庁との連携による公共分野の情報化に積極的に私たちも取り組んでいきたい、このように思っている次第でございます。
  26. 江渡聡徳

    ○江渡委員 大臣、ありがとうございました。  続きまして、開発法に関して質問させていただきたいと思いますけれども、情報通信分野のベンチャー企業は米国において経済発展の牽引役としての役割を果たしておりますし、また、我が国におきましても、情報通信産業というものは、来るべき二十一世紀の新たなリーディング産業といたしまして、経済発展の、そしてまた雇用創出のかぎを握るものとして期待されているわけでございますけれども、この分野のベンチャー企業の育成というものは極めて重要であると認識しておるわけでございます。  そこで、今回追加されます情報通信分野のベンチャー企業に対しましての助成金制度について、特に助成率とか助成限度額、あるいは手続などの具体的な内容というのはどうなっているのか、そしてまた、情報通信分野技術革新や市場の急速な変化に対応するために申請手続の簡素化というのがどうしても必要だと思っていますし、また、迅速化というのも必要だと思っておるわけですけれども、この点につきまして、通信政策局長、お答えいただきたいと思います。
  27. 有村正意

    有村政府参考人 お答えいたします。  今回の改正は、先生からお話のありましたように、情報通信ベンチャーに助成金を差し上げようというものでございまして、情報通信分野のベンチャー企業などを対象にいたしまして、新しい事業の立ち上げに必要な資金の一部を助成する、そういう制度をつくろうとするものでございます。  助成対象の経費といたしましては、経営のためのコンサルティングを受ける経費でございますとか、新しい技術を用いまして試作品を開発するための費用、こういったものを予定しております。助成率は二分の一ということで、助成の限度額は一事業者当たり五百万円とすることにしております。  それから、手続でございますけれども、これは通信放送機構から助成をするわけでございますけれども、通信放送機構が一般公募によりまして助成金制度への申請をまず募りまして、その上で情報通信分野に詳しい学識経験者、ベンチャーキャピタル関係者、マーケットに詳しい専門家、あるいはベンチャー企業の経営に詳しい専門家で構成されました評価委員会におきまして公正な評価をした上で、助成対象事業者を決定するということにしております。  また、先生がお話しになりました手続の簡素化という面でございますけれども、手続に際しましては、まずは公正な審査と適正な事業の実施を確保するということが必要でございますので、ある程度の申請書類は必要であるというふうに考えておりますけれども、おっしゃいましたように情報通信分野技術革新あるいは市場の急速な変化に対応していくということが必要でございまして、そのためには迅速な手続が必要ということでございますので、ベンチャー企業の事情をも考慮して、申請手続が煩雑なものとならないように、手続の簡素化、迅速化に努めるように通信放送機構指導してまいりたい、そのように考えております。
  28. 江渡聡徳

    ○江渡委員 できるだけ簡素化、迅速化というのをお願いしたいと思うわけですけれども、しかし、そういうときにおいてもやはり公正さというものがしっかりと担保されるものでないと、国民の信というものはなかなか問えないと思うわけでございます。  最後に、時間の関係もありますので、大臣の方に御質問させていただきたいと思うわけでございますけれども、我が国経済の発展と雇用の創出を図るために、この情報通信分野のベンチャー企業の育成というものは本当に不可欠であると思っておるわけでございます。今後の情報通信分野のベンチャー企業支援取り組みにつきましては、どのようにお考えなのでしょうか。  また、特に、今後インターネット関係を中心としたベンチャー支援だけで経済を引っ張っていこうとした場合に、いろいろなところで言われておりますけれども、それで引っ張っていける年数というのは五年ぐらいにしかならないだろう、そういうようなお話もなされていますけれども、その後の情報通信関連の取り組みにつきまして、どのように考えてどのように行おうとしているのか、お聞かせいただきたいと思います。
  29. 八代英太

    八代国務大臣 情報通信分野におきまして、いろいろな意味でベンチャー企業の育成を図ることが大事だというふうに思っておりまして、将来の成長が期待できるベンチャー企業が多数登場する可能性がある。特に若い人たちは、今は就職したくない、自分企業を起こすためにはインターネット関連で、そしてまた二、三人のグループでというような、そういう一つのベンチャー企業の起こし方もございますけれども、そういう意味では、これらベンチャー企業日本の経済に刺激を与えるという意味では、我々もこういう法律を通じながらそれをどう支援していくかということが大切だろう、このように思っております。  こういう認識を持っておりまして、郵政省におきましても、従来から実施している情報通信分野のベンチャー企業育成のための施策に加えまして、これらベンチャー企業が新しい事業を実施するために必要な資金の一部はどうしてもお手伝いをしたいという思いを持っているわけでございます。支援施策のさらなる拡充に向けても、これからは積極的に取り組んでいかなければならないと思っております。  また、電気通信審議会から先般答申をいただきまして、二十一世紀情報通信ビジョンというものがまとめられたところでございます。これは、もう二〇〇五年と言わず二〇一〇年、ちょうどそのころには日本はデジタル時代を迎えるわけでございますが、そういうものを展望しながら、二十一世紀には五つの潮流ということを考えております。  高速、常時接続、低廉、定額、あるいは通信・放送の融合、あるいは加速するネットワークとユーザーニーズの高度化、あるいはボーダーレス化、情報通信の担い手の多様化、いろいろなことを加味しながら、私たちもこの提言をもとにいたしまして、国際社会への貢献を視野に入れつつ、ITによる日本型の社会変革の実現を目指す提言になっておりますから、そのことも押さえながら、かといって、日本の文化、歴史が、こういうものでボーダーレスの時代になったからといって、すべてがワンワールド的につくられていくのも困りますけれども、日本日本の文化、歴史を重んじる。  そういう意味での新しいIT時代というものを展望しながら、よりまたきめの細かな、そして平仮名的な、そして家庭の中でも気楽に、老若男女、この世界の中でしっかりと企業が打ち立てられていくような施策も含めながら、先ほど来御議論ございますように、高いものも解決し、それから遅いものもクリアし、そして危ないという影の部分もしっかり押さえながら、これからの情報化時代というものに取り組んでいきたいものだ、このように思っているところでございますので、よろしくまたお力添えをお願い申し上げます。
  30. 江渡聡徳

    ○江渡委員 ただいま大臣の方から五つの潮流ということでお話を伺ったわけでございますけれども、それらのことをしっかりと進めるためにも、やはり一番大事なところは、この情報通信関連の信頼の確保と確立であろうと思っております。それゆえに、大臣初め、政務次官、そして郵政省皆様方の今後とも一層の御尽力をよろしくお願いいたしまして、質問にさせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  31. 前田武志

    前田委員長 次に、中田宏君。
  32. 中田宏

    ○中田委員 中田宏でございます。  大臣政務次官、お疲れさまでございます。改めて、森新政権で要職におつきになられましたことはお喜びを申し上げて、今後のますますの郵政行政の御発展に力を注いでいただきたいとお願いを申し上げます。  早速質問に入らせていただきたいと思いますが、きょうかかっているもののうち、私は、特定通信放送開発事業実施円滑化法の一部を改正する法律案、これについて主に質疑をさせていただこうというふうに思っております。  ベンチャー企業を育てなければいけないということは、我が国のこれから先のまさに活力でありまして、これまで日本が経済成長をしてきた中において、中小企業がほとんど我が国の企業数の中に占める中で、我が国の活力というのは、まさに本当に中小の企業の活力があって、それにひとつ大企業も機能してというぐあいだったと思います。  しかし、それに対して、これから先は、ベンチャー企業、これは単なる中小企業という言い方ではなくて、本当にアイデアや技術力というものをどんどん開発してもらって、磨いてもらって、そして日本の中に新たなる分野、産業というものを展開していかなければ、当然のことながら日本のこれから先の活力というものは出てこない。  かつてのベンチャー企業が今日本の大企業になっているわけでありまして、ソニーにしたって松下にしたって、そういうところだって一つの町工場から始まって、技術力を生かして、今や世界に冠たる企業になっている。  そういう意味では、アメリカのベンチャーなんかともよく比較を日本の場合されますけれども、ビル・ゲイツがつくったとか、一つの小さなところから始まった企業がわっと大きくなっていく。日本も、そういう意味では本当にそれを育てなければいけない。  とりわけ、我が逓信委員会で扱う分野である情報通信関係、IT関係というのは、まさにそうした日本の命運を握るような大変大きな分野でありますから、そこの育成をしていくというのは、私もこれは絶対にやっていかなければいけないことだということは、本委員会の中でも私はたびたび発言もさせていただいてきたし、まさにここは大臣を初めとした皆さんとも全く一致をする部分だと思うわけであります。  そういう意味では、趣旨そのものに私も賛成でありますし、私も本案には賛成をさせていただこうというふうにもちろん思っているわけでありまして、以下、これから先の実施等についての幾つか、ひとつ円滑にそれこそ進めていくための御所見というものをお伺いしたいというふうに、まず私のスタンスを持っております。  それで、まず冒頭お聞きをしたいのは、今回の法改正によって、いわばどれだけのマーケットがあるのか、マーケットというか、どれだけの申請を見込んでいるのかということなんですね。せっかくつくっても、どれだけニーズがあるのかということがわからないままこれが検討されてきたということでは恐らくないというふうに思いますので、そこら辺について、ぜひまずお伺いをさせていただきたいというふうに思っております。
  33. 小坂憲次

    小坂政務次官 中田委員におかれましては、今回の特定通信放送開発事業実施円滑化法に対して基本的には賛成である、こういう御理解をいただいていることにまずもって感謝を申し上げる次第でございます。  委員が御指摘のように、このマーケットをいかに育てていくかというのは、本当に今日の我々に課せられた使命は非常に重要である、こういうふうに認識はいたしておりますが、では、どのぐらい需要があるのか、こういう御指摘でございます。  まだ法律の通っていない段階から、この内容すべてが、どのくらいのニーズがあるか、正確に把握するのはなかなか難しいわけでありますが、この法律の策定に当たりまして類似の制度として参考にしたものを若干申し上げますと、先進的な情報通信技術研究開発を行うベンチャー企業に対してその経費の一部を助成するいわゆるテレコムインキュベーション事業、この支援を平成七年度から実施しているわけでございます。  この実施件数を見ますと、平成七年度、実施当初は申請件数が六十一件ございまして、このときは助成件数が十一件と絞られておりましたので、約六倍近いニーズがあったと思うわけでございます。その後、八年度は十件の助成件数に対して六十一件の申請、九年度が十一件に対して四十件、そして十年度は二十件に対して六十七件と上ってまいりまして、昨年、十一年度は、十二件の助成を行ったわけですが、申請は六十四件あったわけでございます。  このような意味で、いわゆる市場のニーズは非常に強いものがあるというふうに認識をいたしております。これの中から類推をいたしますと、今回のこの法案によるマーケットも、大体同程度か、あるいは、その後の発展が著しいものですから、これをはるかに上回るような申請件数もあるかと思うわけでございます。  しかしながら、今回、予算枠としては大体二億円ぐらいのものを予定しておりますし、また一件当たりが五百万円という限度でございますから、この枠全体としては四十件ぐらいの枠が想定されるのかな、こう思っておりますと、その何倍来るのか、今申し上げたようなレベルで計算をしながら、期待もし、また準備を進めているところでございます。
  34. 中田宏

    ○中田委員 本当に、多く申請が来て、そしてベンチャーが育っていくことがもちろん望ましいわけであります。今テレコムインキュベーションの方の例を出していただきましたけれども、その程度の見込みは当然あるんだろうと思うのですね。より多くいろいろな人に周知をしていくことが必要でありますね。その周知についてお伺いをしたいわけであります。  役所のPR下手というのも時としてあるわけでありまして、せっかくいい制度があっても、それが民間のやる気のある人たちのところにちゃんと情報として伝わっていないと、残念ながら宝の持ちぐされになってしまいます。そこら辺、周知方法ということが工夫を要されるというふうに思いますが、ここについて、今後の周知のあり方というものを、プランをお聞かせいただきたいと思います。     〔委員長退席、中沢委員長代理着席〕
  35. 小坂憲次

    小坂政務次官 御指摘のように、せっかく制度をつくっても、御利用いただくような方にその情報が伝わらなければ意味がないわけでございます。  この助成金制度は、情報通信分野のベンチャー企業や創業を目指す個人を対象にいたしておりますので、通信放送機構が一般公募による募集を実施する予定でございます。  一般公募を実施するに当たりましては、当然、政府の方でございますので、官報による公告ということを基本的には考えるわけでありますが、これでは不十分でございますので、報道の発表に工夫を凝らして、なるべく大きく扱われ、多くの人に読んでいただけるような方法をするとか、あるいはインターネットを通じて幅広く周知するように通信放送機構を私どもとしては指導をしてやってまいりたいと思いますが、委員におかれましても、何かいいアイデアがありましたらば、ぜひともお知らせをいただきたいと思います。
  36. 中田宏

    ○中田委員 まさに今政務次官おっしゃられたように、官報で周知をする、これは政府のやることですから当然なんですが、ベンチャーを今から育てていこうと思っている若い経営者は、官報は見ていないんですよね。そういう意味では、官報で求めようと思ってもなかなか無理で、インターネット等というふうに今政務次官からも具体的にありましたから、ぜひそういったメディアを積極的に活用していかなければいけないということは言うまでもなく、私もその点を強調したいわけであります。  この間もそれこそ私の友人である一人のベンチャーに話を聞きましたけれども、例えば求人をする、人を求めるというときも、ハローワークに求人は出さないと言っていましたよ。そうじゃなくて、若い人たちが読む雑誌類におけるパブリシティーや、また求人の広告ということであるならば、雑誌、新聞等のメディア。それからやはり、今やリクルートとかこういった大手の会社なんかも、ネット上で求人をするサイトを持っているわけですね。それから、まさにIT関係のベンチャー企業ならば、自社のホームページで求人をしていくというようなことを積極的にやって、むしろここで反応してくる人を求人する。ハローワークに求人票を持っていって、そしてハローワークへ職求めをしてきた人に来てもらうという、そういう感覚は我々にはないよねと彼らは言っていました。ですから、今回のこういう制度ができたときも、まさしく官報は読まないでしょう。  それから、役所の広報物というものを役所内でつくっても、いわば聞きつけてきた人だけに資料を送りますという形でもなかなかそれは広がっていかないわけでありまして、やはりこういう制度ができたんだということをパブリシティー、またネット上、まさにIT関係のベンチャーを育てようと言っているわけですから、ネット上でどんどんこういうのが広まる方法論を考えていかないと、せっかくつくったものが生きてこないというふうに思います。そこら辺のことをぜひ工夫してやっていただきたい。私も、政務次官のおっしゃった答弁というものを踏まえて幾つかつけ加えさせていただきましたけれども、ぜひここら辺の工夫が必要だということを申し上げておきたいというふうに思います。  それで、今回の制度、助成対象経費というものを幾つか限定をしていますね。その具体的な限定というのは、コンサルティング経費、それから試作開発費というふうに資料には書かれてありました。そのほかに何があるのかと私、事前に聞いてみましたら、手続諸経費だというふうにもお答えになった。これは、特許申請だとか会社設立登記などにかかわる弁理士に支払うお金、あるいは司法書士に委託をした際の経費だとか、こういったものも含むということなんですね。ここを限定しているということの意味、すなわちそれ以外のものに使っちゃだめよということの想定も恐らくあるからこの限定があるんだろうと思うのですけれども、この意味、限定をしていることの理由、またどういう方面にお金が使われることが懸念をされているのか等々についての御答弁をお聞かせいただきたいと思います。
  37. 小坂憲次

    小坂政務次官 御指摘のように、情報通信ベンチャー助成金の対象経費といたしましては、コンサルティング経費や試作開発費等ということで、こういった種類のものを想定しているわけですが、一言で申し上げるならば、領収証等の帳票等によって支出が確認できるような、そういったものがひとつ必要なのかなというふうに思います。  また、どういうものを避けたいと考えているかといいますと、言ってみれば、申請者において膨らませて申請をすることができるようなものはできるだけ抑えぎみにしておこうというのが基本的な考え方なんだろうと思っております。  そういった中で、情報通信ベンチャーは、特に経営ノウハウの不足からコンサルティングを必要とすることがあると思うわけでございます。また、新しい技術によりやるわけでございますので、試作品をつくることが必要で、そのための開発経費というものがかなり大きなウエートを占めてくる、こう想定されるわけでございます。  また、交付対象事業者によりまして今申し上げたような恣意的な積算が行われる可能性のある経費、例えば人件費とか光熱費等を排除して、そして外部への委託費、外注費等、あるいは外部の者との間の契約書など、交付の際の検証が可能である、そういったものを盛り込むという観点から、コンサルティング経費、試作開発費等に限定をするというふうにさせていただいたところでございます。
  38. 中田宏

    ○中田委員 これから先もひとつ検討して、推移を見守ってもらいたいなと思うのは、例えばコンサルティング費ですけれども、会社の経理等を含めて、普通の基本的なコンサルティングというのは、委託先が有名どころじゃないところでも、コンサルティング経費として大体一月十万から十五万ぐらいかかる、すなわち年間で百二十万ぐらいかかってくるというのが相場ですね。それに、例えばキャッシュフローの分析だとか他社との比較分析アドバイスをしてもらったり、その他貴重な情報を収集してもらうなどということになると、五十万、百万、百五十万というのがすぐにコンサルティング経費として出ていってしまうわけですね。  そこら辺を考えますと、国から助成を得たその年は出せたけれども、次の年になったらぱたっとそうした経費が賄えないなんということになると逆にベンチャーつぶれになってしまいかねない部分もあったり、ここら辺は今の現状で憂えてもしようがないですね。この法律を今回施行するに当たって、このことを今から憂えても仕方ない。やることそのものは私は結構なことだと思うので。そこら辺についての事後的なフォローアップというものも必要だと思うし、これは恐らく毎年毎年同じ業者が受けるということはできないわけですから、そこら辺を含めて検討をしていく課題かなとは私は思うのです。  それから、もう一つの試作開発費の方ですね。こちらの方に関しては、果たしてIT分野における試作開発費というのはどういうものを想定しているのかということをまずちょっと先にお聞きしてから、私の意見を申し上げたいと思うのです。
  39. 小坂憲次

    小坂政務次官 御指摘のように、試作開発品というのは、物をつくっている会社ですと、実物をつくって見えるわけですけれども、ITの分野におきましては、やはりハードウエアのみならずソフトが非常に重要なウエートを占めてまいりますので、情報通信サービスの提供に当たって必要な試験用のシステムの開発にかかわる経費ということを想定いたしておりますので、ハードのみならず通信関係のソフトウエアも含むことにしておりまして、この辺が一般の製造業等の試作品とは違うところでございます。  ベンチャーの例として申し上げますと、無線のパケット通信網を利用いたしまして、移動中においてもクレジットカードのオンライン照会ができるシステムの開発があるわけでございますが、この場合はカードリーダー、コンピューター等のハードにかかわる経費に加えまして、これらを動かす通信ソフトウエアにかかわる経費も対象といたしたところでございます。
  40. 中田宏

    ○中田委員 今政務次官がくしくもおっしゃったように、IT分野における試作品というのはすごく難しい一面がある。製造業なら本当に試作品と目に見える形のものが出てくるわけですが、ITの場合はそこがなかなか難しいところで、例えば簡単にソフトハード的な部分で言うと、ハード、こちらの方の開発というのは大企業、大きな資本が中心になっていろいろなハード物の開発をやっているわけですね。ここにベンチャーでやっていくというのは、もちろんアイデア、技術というのは問われるわけですけれども、なかなかこちらの難しさがある。それから、ソフトの方なんですけれども、ソフトの方の試作品というのは本当にそれこそ難しい部分ですね。いわばアイデアそのものがソフトですから、そのアイデアを構築することについて助成金を出すことまではあったとしても、さて助成金を出した結果として何ができましたかというその判断が実に難しいというふうに思うわけであります。  今おっしゃられたように、例えばカードリーダー一つつくって、それに対する通信料も含むというような、ある程度柔軟な発想をしていかないと、こうした助成金を出してもなかなか、その結果をもちろん短絡的に求めることもできないし、ある意味では、こうしたものをつくって、長い目で見てやっていくことも一方では必要だなというふうに思うわけであります。  さて、次でありますけれども、先ほどの申請について、こうしたベンチャーをやっている人たちがより目にとまるような、情報としてインフォームされるような場面に出していくことが必要だと申し上げたことと、もう一つ重要だと思うのは、どうも役所がやろうとすると極めて煩雑な手続が必要になったり、実に書類を山ほど持ってこいという話になったりということが懸念される。先ほどの議論の中でも若干これは出てきて、そして御答弁の中で、簡素迅速にやっていくというようなことも出ていました。簡素迅速にやっていくことも一方で私お願いをしたいとも思うし、そして、さあ、書類が出ました、申請が出ました、これから先の審査についてお伺いをしたいわけです。  審査の方ですけれども、私は、役所のお金——役所のお金というのは税金ですね。税金を使って一つの助成をやっていくということになりますと、一つの基準がどうしても必要だと思うのですね。迅速にやっていくことは必要ですよ、簡素迅速にやっていくことは必要なんですが、そうはいっても、やはり一つの基準がなければなかなかお金を出すということは許されないとも思います。そういう意味で、この助成交付対象企業の審査基準ということについてお答えをいただきたいと思います。
  41. 小坂憲次

    小坂政務次官 先ほど委員が御指摘になりましたけれども、今回の制度は立ち上がりを助成するわけですね。そして、その立ち上がりに当たって計画をしているものをしっかりと見きわめていかなければいけない。大きな企業でなくても、試作品をつくるときに、市販をされている汎用品を組み合わせた新しい組み合わせによって、アイデアで試作品をつくっていくということも可能であると思うわけですね。ですので、その審査基準については、新規性とか、あるいはほかの人がやろうと思ってもなかなか困難なんだけれども、これを使えば非常に簡単にいくようになるとか、また、そういったシステムができると一気に波及して大きな経済効果を生むとか、あるいは困難性を解消するとか、審査基準にはそういった新規性、困難性、波及性といった三つの点を特にポイントとして審査をしていく必要がある、こう考えておるわけであります。  この新規性は、今申し上げたような点に加えて、今までアイデアはあったんだけれども実用化されていないとか、これを実用化するとサービスの価格が著しく低下するような効果が生まれるとか、そういったものをやはりこの新規性という点で評価をしてまいりたいと思います。また、資金面で自力で調達することが困難だったからなかなか実現しなかった、こういうような分については今回の助成によってスタートをさせていただく、こういうことを考えております。またさらに、通信・放送分野の発展にあれは大変に貢献したな、後から見てもこう言っていただけるようなことが想定されるようなもの、こういうものを審査基準に加えて、そして評価委員会というようなものをつくってこれを評価してまいりたい、このように考えているところでございます。
  42. 中田宏

    ○中田委員 申請を出したけれども採用されなかった企業からすると、何で落ちたんだということは必ず出てくるのですよね。何で落ちたんだ、おれが落とされる、せっかくいいアイデアを出したつもりなのにそれが採用されなかった理由は何だ、理由をはっきりさせろというような部分というのが出てくると思うのです。  ただ、私はこれも、さてさて、あなたの申請に基づいて審査をしたけれども、残念ながらこれとこれとこれがだめだったから今回は採用できませんでしたというような理由は、これはすべて一々言う筋合いのものではないと思います。ただ一方では、採用した理由、交付を決めた理由の方ははっきりさせないとだめだと思うのですね。それがないとやはり次以降、後に続いてくる申請者というのが、どの程度のレベルかとか、どういったものを出していけばいいのかということがわからないままにこの制度が進んでいくことは、一方ではまずいことだろうと私は思っています。落ちる理由をはっきりさせる必要はないが、採用する理由の方ははっきりさせる必要があるということですね。そのことはぜひお願いをしたい。  これはやはり基準をしっかり、全部こうでなければというクリアする基準だとか数値だとかが必要なわけではないですよ。しかし、項目として必要だし、また、採用した、交付決定をした理由は全部オープンにすべきだというふうに思いますので、その点の理由をはっきりきちっと出して、オープンにしてそれで決める。だれから聞かれても理由はわかるんだということはぜひ御検討いただいて、ちゃんとやってもらいたいなというふうに思うところであります。  それから、もう一つ関連をして、その審査をしていく審査委員会、これは評価委員会というのでしょうか、評価委員会運営等についてお聞きをしたいと思うのです。  評価委員会というのは、私が聞いているところだと情報通信分野に詳しい学識経験者とか、ベンチャーキャピタル関係者、マーケットに詳しい専門家、ベンチャー企業の経営に詳しい専門家、こういった人たちが予定をされているということでありますけれども、この運営ですね、法が施行されて呼びかけをする期間があって、申請が出て、締め切り日があって、そこからこの評価委員会がスタートをしていくわけですけれども、どの程度のペースや、どういった手続で最終的に選考していくのかということの運営、ここら辺をちょっとお聞きしたいと思うのです。     〔中沢委員長代理退席、委員長着席〕
  43. 小坂憲次

    小坂政務次官 委員が御指摘のように、こんないいアイデアがあったので採用しましたというのは、広く広報するぐらいの意味で公表をした方がいい、すべて透明性を持ってやらせていただくというのが基本原則でございますが、今おっしゃったような委員方々に評価委員になっていただきましてこの運営をするわけでございますが、通信放送機構が助成金を交付するに当たりましては、まずもって、先ほど、広く広報するということで、官報だけじゃだめだという御指摘をいただきました。そういった意味も踏まえながら、インターネット、報道発表等を利用しながら、一カ月の公募期間というものを定めて幅広く周知をして応募を集めていきたいと思いますし、先ほどの委員お話のように、インターネットでも書類を取り寄せることができるような、そういうこともできれば考えたいと思っております。申請そのものについては、かなりいろいろな書類が必要でございますので、まだ一気にインターネットというわけにいかないかもしれませんが、そういったことも将来は検討していきたいと思っております。  こういった中で周知をしまして、申請があった案件につきましては、評価委員会による書類審査の上、必要に応じてヒアリング等も実施をさせていただいて、そして、余り時間をかけてもしようがありませんので、迅速にということで、二カ月程度を目安に厳正な審査を行ってまいりたいと考えております。  この審査結果をもとに、通信放送機構が助成対象事業者を決定するわけでありますが、決定したものについては、助成金交付企業のフォローアップというような意味で、助成金交付後一定期間を経まして、毎年一回、実施の結果を報告させていただく、そういう仕組みを整備してまいりたいと考えております。この報告をもとに、助成金が有効に活用されているかどうかをまたさらに評価をしていく。  こういうことで、まず、こういう企業が採用されました、また、企業の方からはその後運用はこのようにしておりますという報告を求めて、このフィードバックを繰り返しながらフォローアップをしていく。これらの事業の評価を踏まえて、今後の助成金の制度のあり方についてもまた検討してまいりたい、こう考えておりまして、必要な制度の改善の参考にすることを予定いたしております。  成果の公表については、成功事例などを公表する予定でございますけれども、どの程度公表するのかということになりますと、これは、アイデアはアイデアでございますが、その中には企業秘密的な部分も含まれていると思いますので、経営上の秘密に当たるような情報にも配慮しながら、できるだけわかりやすく公表をしてまいりたい、このように考えているところでございます。
  44. 中田宏

    ○中田委員 今私お聞きしたのは、評価委員会の今後の運営ということについてお聞きをしたのですけれども、私がお聞きをした理由というのは、先ほど申し上げたような専門家人たち、この人たちというのはお忙しい方ばかりでして、この方々一つ一つのアイデアをしっかりと議論してもらって精査してもらって、ある意味では時として現地に足を運んでもらって、これはいいぞというような選考というのは、恐らくは物理的にできなんだと思うのですね。  そうなると、いわゆる事務方の方が事前に審査して、そしてそれを評価委員会に上げていくというような感じになるんだろうと思うのですけれども、ここら辺がまさに、ITという本当にアイデアを競っているようなところで、その一つ一つのアイデアが商品ですから、このアイデアを、将来性を見込んだり、新規性と先ほど簡単にはおっしゃるのだけれども、新規性を見込んだりということを、それこそ感覚の鋭い専門家が見る時間があればいいけれども、そうもいかない。ここが実に今回の難しさであるような気がするんですよ。ですから、そこは事務方の方々にも相当に感覚を磨いてやってもらう必要があるわけで、私は申し上げているのです。  とりわけ、最近インターネット関係、IT関係も、例えばマーケット、株なんかでも、インターネット関連というだけでわっと株が上がっていったり、あるいは今度は逆にどんと下がってみたり、そういう非常に難しい側面がある。これは、今回の制度とも本当に複雑に、密接に絡む要素ですね。すなわち、玉石混交になってしまっている部分があるわけです。例えば、マザーズなんかにも、公開したはいいけれども、しかもわっとムードで上がっていったはいいけれども、全然これは実体がないじゃないかとか。マザーズがそうだと言うと、また株が下がっては困りますから、そんなことは軽々には言えないんだけれども。  しかし、その企業一つ一つを見てみると、インターネット関連企業というのは、大体今まで黒字を出したことのない企業の方が圧倒的に多いんですよね。黒字を出したことのない企業が上場しているんです。そして、将来性だというけれども、将来性というものの見込みとか根拠というのはさっぱりわからないままに買われていったりするわけです。  そういう意味では、この今回の審査も実に難しい審査。私は、そういう意味では、大原則的に言うと、本当に公金を使うことがいいのかどうかなというそもそも論もあるとは思うのですよ。ただ、そこは、先ほど申し上げたように大局観に立って、今この分野を育てることが重要なんだという側面に立って、賛成はしたいと思うわけですけれども、しかし、今申し上げたとおり玉石混交でいろいろな会社がある。  この間、ある人から聞いた話ですけれども、ベンチャー企業の投資というものをどういうふうに判断していくのかというと、民間のエンゼルと呼ばれるような人たちに対して、ここら辺が重要だろうという幾つかの項目が並んでいて、例えば、こうした特色がある企業には投資をしない方がいいと。  十項目ぐらい羅列があるのですけれども、そのうちの幾つかを拾ってみると、パンフレットが立派な企業はやめた方がいい。それから、IPO、IPOとIPOが間近だという企業はまずやめておけ。事務所が一流の場所にある、こういう企業もやめておけ。それから、プレゼンテーションが非の打ちどころがない完璧な会社はやめておけ。ここら辺をすべて疑ってかからないと、逆に全部これはもう、かつてネズミ講やら何やらがあったのと逆で、今は、インターネットインターネットだ、我々はもうIPOも近いんだ、技術力があるんだということでどんどん金を集めて、知らない間に会社はだめになっていた、どこかへ行っちゃったなんというのだって最近は後を絶たない。  その意味では、本当は、この制度で審査をしてお金を出すというのはまさに難しいんですよ。実に難しい。二億円とか一つ当たり五百万円という金額が大きいか少ないかという議論の中で、このぐらいで大丈夫かなという少なさを逆に感じるけれども、でも難しいのですね。だから、そこら辺はもう本当に私は重要なことだと思う。  ということは、皆さんに要望するだけではなくて、実は一つ申し上げたいことがある。それは何かというと、事後のチェックをしっかりやることだと思うのですね。  もう一度大原則を申し上げますが、ベンチャー企業を育てていく、民間を育てていくというのは、本当はベンチャー企業という性質からいうと、投資ですから、今回は助成ですけれども、投資をしていくというのは民間が民間同士の中でやっていく話なんですよ。本当は国がやるべき話じゃないんですよ。助成も、もとをただせばその議論はあると思うんですよ。  例えば、ベンチャーキャピタルが日本の場合まだまだ育ち切っていないという議論の中で、民間のベンチャーキャピタルだってまだ未成熟で、例えば、日本のベンチャーキャピタルの一つの大きな問題点は、サラリーマンキャピタリスト。すなわち、会社組織の中にいて、例えばの例で言うと銀行が出資したベンチャーキャピタルがあって、そのベンチャーキャピタルには銀行から出向者が来て、銀行が今まで土地を担保に金を貸していたのと余り変わらないような感覚でサラリーマンキャピタリストがお金を出す出さないを決めているというようなケース。もちろん、担保をとるという話はここではないわけだけれども。  しかし、要は、サラリーマンキャピタリストの問題点というのは、一つのビジネスを育てる、シードを育てたときに、それが大きく花開いたときに自分にも見返りがあるというような、そういったキャピタリストは、やはりこれは真剣に一つ一つを投資して自分の感覚を持ってやるわけですよ。ところが、日本の場合そこが育っていない。サラリーマンキャピタリストの問題もそこにある。  そうすると、なおさら、いわんや税金を使って物をやるときというのは、どうもここが今まで甘い。これまでのさまざまな例を見ても甘い。今回だって、このことをやるのは私賛成だけれども、しかし一方では、事後のチェックをちゃんとやらなきゃだめだと。  もう一度だけ申し上げると、エンゼル税制の拡充だとか、あるいは、情報提供をして役所が仲介をしたりすることによってキャピタリストがどんどん投資をする、そういうことの環境整備のことなら私は大賛成なんだけれども、直接助成をするということについて、やった事後のチェック。私は、極論を言えば、一年間これをやってみて、あるいは二年、三年やってみて、どれだけの企業が育っていったのかということをしっかりとチェックをして、それで、しっかりとした結果が出なかったら、やはり見直すべきだと思うのですね。  今、こういう経済状態が悪いときだからこそ、新規の分野を育てることが何よりも雇用の問題にとっても重要だし、日本の活力にとって、まさにITというのはこれから先大変な命運を握ると冒頭申し上げたとおりだから、この部分に今やるのはいい。しかし、それがある程度育っていけない、育っていったとしても、しっかりと事後チェックをして、どうも二億円の効果というのが、どれほど膨らんだかというものが見えないならば、見直すことを勇気を持ってやっていかないと、そもそも論からいったら、国が企業を育てましょうということに直接的にお金を使うことは間違いだと私は思うものですから、その事後チェック、ここは重要だと思うので、ぜひそこについてのお約束みたいなものをいただきたいなと思うわけであります。
  45. 小坂憲次

    小坂政務次官 中田委員指摘のとおりに、本来このベンチャーキャピタルというのは民間が、そういった意味で、アメリカの例を見ましても、エンゼルと言われるキャピタリストが、自分の目を信じて、本当にみんながまだ目をかけないようなところにも目をかけてとりあえずスタートをさせるわけですね。そしてまた次に、それがある程度広がると、また新たなベンチャーキャピタルがそれに再投資をしてどんどん膨らんでいく、こういう環境になっていくわけですが、日本ではまだ十分にサラリーマンキャピタリスト以外のものは育っていないとおっしゃいましたが、まだまだ未成熟の部分があることは事実だと認識をいたしております。  そして今回、公金を使って助成をするわけでございますので、そういった意味において事後のフォローアップをしっかりやる。申請と内容が全く違うことをやっているとか、そういうような場合には報告を求めるわけですが、その報告を見ながら、また客観的評価も加えながら、もし違う使途であるならばこれを取り返す、そういった仕組みもこれに組み込んでいきたい、このように考えておりますし、また、全体の効果というものも、先ほど申し上げましたが、一定の期間、評価をし、その内容を公表し、次なる展開に向けてこの助成のあり方というもの、この仕組みについても評価をして、今御指摘のように、注意深く、また厳正かつ慎重な審査のもとにこの運用を図っていきたい、このように考えております。
  46. 中田宏

    ○中田委員 今おっしゃった、全然使い道が違うじゃないかということについてのチェックなどは当然やって、それはお金を返してもらうことなんかも考えなきゃいけないとは思いますよ。しかし、私が申し上げたのは効果ですよ。すなわち、助成したけれどもそれがどれだけ育っているのか。もちろん、どれだけの会社を助成した結果として、確率どのぐらいで上場したかなんて、そんなことを単純に求めることはできないにしても、やはり一つの軌道に乗っていったのかどうかというチェックをしないと、私は、ベンチャー育成はやらなきゃいけないのは間違いないんだ、ただそれに国が直接的にお金を使うことはそもそも違う話であって、税制をしっかりと改正していくことだとか、あるいは情報提供をしっかりやっていくことだとかというのは国がどんどんやるべきことだと思うけれども、そのそもそも論がありますからね。  だから、政務次官、今答弁いただいたけれども、不正をやっているとかいう場合は、これは論外なんですよ、論外。大体、ベンチャーをやっている若い世代の人たちというのは、なにコンサルティングだとか、やれ試作品開発費だとかそんなのに金をくれと言っているんじゃなくて、そもそも毎日食べる金をくれよというような感覚の人たちも山ほどいるわけですよ。じっとパソコンに向かって、とにかくいろいろなビジネスアイデアを考えているけれども、毎日考えるには生きていかなきゃいかぬし、生きていく中でとにかくアイデアをめぐらせているんだ、そんな連中もいっぱいいるわけですから。  その意味では、不正のチェックだとかというのは当然やらなきゃいけないんだけれども、それ以上のものなんですよというところ、効果が問われるんですよというところは、ぜひこれは厳密に考えて、一年後なら一年後、二年後なら二年後に一つの集約をして、そして、これは続けていく必要があるのかどうか、絶対やる、しっかりと見直す必要がある。大臣、どうですか、御感想をいただきたいんですが。
  47. 八代英太

    八代国務大臣 今いろいろ中田委員からお話また御提言もいただいたんですけれども、五百万円、ベンチャー支援という額は、非常に制約された中での支援の額になっていきます。  また一方、基礎的な科学というものは日本の弱い分野でもございますので、これが、言ってみれば肥やしになり、それからまた種をまく。しかし、種をまいているけれども、花も咲かない、芽も出ないということもあるかもしれません。その辺の評価も、やはりこういう支援をしながら、私たちも全体で考えながら、これからそうしたベンチャー支援のためにやっていく。  そして、その人たち会社を立ち上げることによってさらにまた大きく夢が膨らんでいくのか、あるいはしぼんでいくのかわかりませんけれども、しかし、まずはそうしたベンチャー企業の育成を通じながら、雇用の創出を考えながら、そうした皆さんのアイデアというものの一つの入り口の中で、私たち支援する一つ政策として、こういうものも大変いい結果をもたらすのではないかと期待をしているところでございます。  あと一つ、手続的になかなか難しいものがあるというのが日本の仕組みでございますから、この辺も、緩やかな形で私たちは考えながら、この評価も含めて、今後もしっかり支援していきたいと思います。  五百万円、それも四十社程度ということの数の問題もあるかもしれませんけれども、今まさに、私は、肥やしをまくとき、種をまくときという思いに立ってこういう支援策は考えていくべきだとも一面で思っております。
  48. 中田宏

    ○中田委員 総論として私も賛成をしますので、そういう意味では応援をさせていただきたいと思います。  私、郵政の問題を語るときには、応援する分野もあれば、一々いちゃもんをつけている分野もあるんですが、お許しをいただいて、その部分もちょっと最後に、残った時間があるものでお聞きをしたいと思います。荒井理事におかれましても、ぜひ寛容にお許しをいただければと思います。  先般、小泉純一郎先生がお出しになったチラシについてお聞きをしたところ、これは書籍だ、信書ではないんだというふうに大臣が御見解を本委員会でしっかりとしてくださった。  今度は、それに対して小泉先生がまた新たに、三月に吉日でという形で発送した同じようなチラシがある。これは、表は全く変わっていない、同じである。若干、「この本は小泉純一郎・松沢しげふみが編集しました。」という文字が書いてある。裏の方にはというと、裏が変わっている。裏の方は、郵政省に対する小泉さんの思いが書いてあるわけですが、特定の方にこれを読んでもらいたいということで万年筆で書いたわけではなくて、むしろ小泉さんとしては、これは万民に読んでもらいたいんだぐらいの内容であり、そのことは間違いがなく御本人もそうおっしゃっているわけです。  さて、今度は信書だというふうにお返事が来たそうであります。大臣でも政務次官でもなくても結構なんですが、何が違うんですか、これとこれ。今回の判断について、ちょっと、御担当の方でも結構ですからお答えいただきたいと思うんです。
  49. 前田正

    前田政務次官 先生御指摘のその文案ですが、まず最初に小泉先生が出された文案につきましては、その内容が、本の要約のものが大半でございまして、したがって、書籍とは大臣もおっしゃっておられませんで、あくまでも書籍の要約をしたものである、こういうふうな見解をされておられます。  ところが、二番目に送られた、特に裏でございますが、その中には、先生みずからがいろいろと書いておられることがございます。その中の文言が、小泉先生御自身のお考えをその中に述べておられる、したがってそれは信書だ、こう理解しております。
  50. 中田宏

    ○中田委員 最初の方のチラシも、決して小泉さんの書籍の内容の抜粋じゃないんですよ。小泉さんの写真もあって、しかも小泉純一郎というふうにしっかりと本人の、直筆でないにせよ署名が入っているわけであって、そして、その内容は本の抜粋ではない。  その下に、実は、郵政民営化研究会のメンバー国会議員が名前を連ねて、私もその中に入っています。私は、こういうスタンスであることは皆さんにも申し上げたけれども、私がここに書いているのは、「郵便局員は営業努力をする。彼らほど勤勉な公務員は他にいない。だからこそ舵取りを間違ってはならない。」私はこう考えているんですが、これは決して、本の中に書いてある私の文章と一致している文章ではないんですよ。そっくりそのまま抜き出したわけじゃないんですよ。内容的には同じ趣旨を言っていますよ。言っているけれども、そっくりそのままどこかを引用してきたという一字一句同じではないわけで、ある意味では、このチラシのために私が書いた文なんですよ、これは。  だから、そこら辺、やはりあいまい——あいまいというのは、私は、省庁再編も踏まえて、今の郵便局のあり方、郵政の事業のあり方というのが国民サービスとしては支持をされている、経営体としては別の問題としても、サービスとして支持をされている、そのことをより国民に使いやすく、かつこれから先の日本一つの原則に合わせてやっていくための一つしっかりとした定義が必要であり、そのための信書の問題というのもむやみやたらに裁量行政になってはいかぬだろう。ましてや、この間私ちょっと最後に申し上げたんだけれども、中身を見なきゃわからないというのは、これはまさに通信の秘密にも絡んできちゃいますから、そういうのじゃだめよということは私は思っているわけで、ここは本当に、郵政には精力的に、私これだけ言っているんだから恐らくもう内部で検討していると思いますよ。ちゃんとやってもらいたいと思う。  最後に一問だけ聞きます。  今回、小泉先生のところには、東京郵政局郵務部企画課長の大石利允課長名で、「郵便法第五条第四項の信書に該当します。 したがいまして、あなたの行為は同項の規定に違反することになります。」という文書が正式に送られてきました。来たんです、小泉さんのところに。  さて、郵便法第五条第四項に違反をして、これから先郵政省の手続はいかがなされるんですか。これは「三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。」こういうふうに書いてあるんです。今後手続等をお考えなのか、これからについて御所見をお伺いして、質問を閉じます。
  51. 八代英太

    八代国務大臣 小泉先生がいろいろと考えられて、それは御提言として承っておるわけでございますが、いずれにしても、法律法律として、私たちはその法律がある以上は守らなければなりません。また、守るのが国会議員としての私は責任だろう、このように思っているんです。  そこで、最初のものは、私のところに参りましたので私は全体を見ましたところ、これは言ってみれば書籍の要約のものであるということであります。そこで私は小泉さんにお手紙を書きました。もしそこに、私はこういう本を書いた、ぜひお読みいただきたいというあなたの気持ちが入っていると、それは信書に当たるというお手紙を私は差し上げたんですね。  そうしたら、今、中田委員お示しのような、まさに小泉さん御本人の意思が、書籍の要約としてではなくて形として印刷されて、また私のところにもいただきました。しかしこれは信書である。信書という定義はるる申し上げません。第五条に照らしまして、いろいろな意味で幾つかあって、罰則規定もございますけれども、そういうものに照らしますと——ただ、法律を犯して、では、これでまた新たな問題提起してみようというのは、お気持ちわからないでもありませんけれども、しかし、法律はそうじゃないと思うんですね。法律はあるわけです。車は左、人は右というものをつくった、私は右側を歩くのは嫌だ、左側を歩きたいんだ、これはやはり違反ですよ。私はそうだと思う。  そういう意味で、法律を変えるための一つ政策提言とするならば、それはそれで大いに議論をしていただくのは構わないけれども、現状のある法律をみずから破られるということはいかがなものかという思いに立ちますので、破られた以上は、私どもも、今中田委員指摘のような形の手続を踏んで一応喚起をさせていただいたということでございます。  今後どうであるかということは、今の段階では一応そういうことで御注意も申し上げ、その旨の手続は粛々と踏んだところでございます。
  52. 中田宏

    ○中田委員 またお聞きをしたいと思います。  終わります。
  53. 前田武志

    前田委員長 次に、渋谷修君。
  54. 渋谷修

    ○渋谷委員 民主党の渋谷修でございます。  新しく逓信委員となりまして、多分短い任期になるんでしょうけれども、初めて逓信委員会での質問をさせていただくことになりました。  先ほど大臣の再任のごあいさつもございましたが、今回の政権の移行について、法案についての質疑の前に、もともとは小渕総理に任命されまして郵政大臣としてその任に当たってこられた八代大臣に、この政権の交代、移行という問題について、御見解あるいは御所見をぜひお伺いしたいと思います。
  55. 八代英太

    八代国務大臣 昨年の十月五日に、第二次小渕改造内閣におきまして小渕総理から郵政大臣を拝命いたしました。そして、私たちは、郵政省のもろもろの政策につきまして今日まで努力をさせていただいてまいりました。平成十二年度の予算も通過をいたしました。そして今、関連法を含めていろいろ御審議をいただいているところでございますが、そうした状況の中にありまして、まさに突然小渕総理が倒れられました。そして、私たちも、小渕総理の特にまた七月の沖縄サミットに向けての強い思いをいつも伺っておりましただけに、今病床にあっても大変無念な思いであろう、このように思っております。  四月四日に私たち内閣が総辞職をいたしました。そして、四月五日に森内閣が、衆参それぞれの手続に沿って森総理というものが誕生いたしました。そしてまた、森総理が小渕前総理の政策を引き継いでいくということが大切であり、日本新生内閣という思いはまさに小渕前総理の志でもあるという思いに立ちまして、いろいろな関連法案等々もありながら、これからの政治の空白はない形でなければならないという思いに立って、新たに内閣を任命するというよりも、今までの人たちが継続してこの森内閣においても留任といいますか再任といいますか、私も、また新たな手続の中で郵政大臣を拝命いたしたというのが現在までの経過でございます。  そういう意味におきまして、小渕総理の一日も早い御回復を願うと同時に、特に、私は北区というところで、渋谷委員は隣の板橋というところにお住まいでございますが、あの地域におきましてももう五十年以上も小渕総理はお住まいになられたという思いを持ちますと、私たちは、群馬県の小渕総理という思いではなくて、むしろ板橋、北区の小渕総理という思いもないわけではございません。  そんな思いになりますと心痛むところでございますが、しかし、新内閣が誕生いたしましてその任を拝命しましたので、これからも、引き続き前小渕内閣郵政大臣という思いをさらに自分自身の中にこの森内閣においてもその務めを果たしていきたい、このように思っている次第でございます。  よろしくお願いいたします。
  56. 渋谷修

    ○渋谷委員 小渕前総理への大臣の思い、これは私も同じでありまして、特に御家族ですね、必死に看病に当たっておられると思いますが、早く御家族のもとにお返しをしなければならない、そんな思いで医師団も含めて一生懸命看病されているというぐあいに考えます。  先日の本会議での代表質問の中で私ども鳩山代表からの質疑もありましたが、政権の正統性ということが問題となりました。その後マスコミでもそのことが取り上げられておりまして、一部新聞の社説には、政権の継承の疑問点、あるいは、内閣が信用されないといった社説を掲げているところもございます。  政権の正統性というのは、森さん本人ももちろんでありますけれども、これは、大臣を含む森内閣全体に対して向けられているものでありまして、この正統性ということについての疑惑が払拭されなければ、実は、ここで法案の審議をこれから行う——既にもうやりとりもされているわけでありますけれども、法律を成立させまして行政がそれを執行していく、その法律の目的、効果を上げようと思えば、当然のことながら、国民の理解、協力、信頼がなければその実効性を上げることはできないわけでありまして、その意味では、政府の信頼性というのは、実は基本的な問題、大前提の問題であります。  その意味で、私は、この今回の政権の交代ということについての、少なくとも、ただ単に野党が追及しているだけではない、一般の方々も、マスコミも含めてこれに対して疑念を抱いているということは大変実は重大な問題でありまして、その意味で、大臣は、もちろん小渕前総理に任命され、郵政大臣として仕事をしてこられたという点で、この疑惑を向けられているということについてどういうお考えをお持ちかということをぜひお伺いしたいのであります。
  57. 八代英太

    八代国務大臣 内閣が、先ほど申し上げましたように、四月四日、総辞職をいたしました。そして、総理を決める本会議が招集されて、参議院も含めて、衆議院では当然ですが、民主主義は結果尊重でございます。あのとき、伊藤議長が高らかに、内閣総理大臣の指名選挙ということで、森さんが第一位で、それから鳩山さん、それぞれの方々に渋谷議員も含めて投票されたと思うのです。そして、まさに国会は最高の議決機関でありますから、そこで日本の総理が決められた。そして、その総理が新しい内閣をつくるときに、みずからの考え方に沿って、前総理の政策を継承していくという思いに立って私も再任されたということで、何ら私は瑕疵があったとは思いませんし、まさに民主主義の轍はしっかり踏んだ形の中で森総理の誕生であったということは、自信を持って私は言えるだろうと思います。
  58. 渋谷修

    ○渋谷委員 民主主義は結果尊重というぐあいに申されましたけれども、私は、民主主義は手続が公正で透明で、これが正しくなければならないというぐあいに教わりましたし、私もそう思っています。一番最初の手続を間違えますと、後にどんなに取り繕いましても、後の手続は当然のことながら無効であります。これは、例えばいろいろな訴訟等についても同じことでありまして、そういうことで争われるケースはたくさんあるわけであります。  そのことは先に申し上げておきますが、四月四日に内閣の総辞職ということでありますけれども、大臣が、小渕前総理がぐあいが悪い、入院されたということを一番最初に聞かれましたのは、いつの時点で、どなたからの連絡でございましたか。
  59. 八代英太

    八代国務大臣 私は、青木官房長官の記者会見で初めて知りました。
  60. 渋谷修

    ○渋谷委員 ということは、記者会見で知ったのであって、青木官房長官から例えば直接に連絡があったとか、あるいは官邸の中からどなたかからまずは連絡があったということではないわけですね。
  61. 八代英太

    八代国務大臣 さようでございます。
  62. 渋谷修

    ○渋谷委員 大臣、これはぜひ冷静に考えていただきたいのです。皆さんは、小渕総理に直接に任命されたのです。当たり前の話であります。したがいまして、小渕総理がそういう緊急の事態になったということは、本来であれば、それはまずは任命された大臣に直接連絡があるべきであって、それぞれの大臣が各役所をそれぞれ統括しながら仕事をしているわけでありますから、危急の問題があれば、まずは現場がそれに対応しなければならないという意味の危機管理ということであれば、これはもう大前提の第一歩であります。  それが、その連絡は、まずは自民党の党幹部にすぐ連絡が行き、そして各大臣には連絡がなく、青木官房長官の記者会見でこれを知るなどということが、これは当たり前の手続ですか。
  63. 八代英太

    八代国務大臣 その日は日曜日でございました。私も、日曜日にそれぞれの政務としての日程をこなさせていただいてはおりました。帰った時間は夜の十一時でございます。その間、連絡があったかどうかは確認はいたしておりませんけれども、いずれにしましても、先ほど申しましたように、青木官房長官の緊急記者会見でその事態を知りました。まことに驚きました。  それから、その記者会見の後の青木官房長官の経過の中の御説明は、既に国会等でも御答弁をされているとおりであり、あの事態では精いっぱい青木官房長官も尽くされたという思いは私も持っております。  したがいまして、私も、郵政省の問題につきまして別段何があったというわけではございませんし、直接その経過をいち早くという形で連絡を受けたわけではございませんので、これはこれからの危機管理の問題の全体を通しながら議論をしていただくべきものだ、このように思います。
  64. 渋谷修

    ○渋谷委員 少なくとも閣僚ということになれば、四六時中連絡をとる体制があるのは当たり前でありまして、それは、日曜日であろうと他の祭日であろうと、そんなことは関係ない話であります。それはもう大前提の話じゃありませんか。  それが、みずからは官房長官の記者会見でその事実を知る。最も重大な問題、みずからを任命した者のその危機的な状況について、まずは官房長官から、官房長官は実態を知っていたわけですから、その後の記者会見で知った時間というのをまた変更しておりますけれども、少なくとも、入院されて、午前の二時ごろにはその状況を知ったというわけでありますから、その時点で、本来であれば連絡がなければならない。そして、事実を知ったら、当然のことながら、党幹部、これももちろん知らせなければいけないでありましょうけれども、少なくとも同時に臨時閣議を招集するということが行われなければならないじゃありませんか。  これは、野党だからということでの追及じゃありません。議会人として見れば、当たり前の話じゃありませんか。与党の方々もそう思いますでしょう。いかがですか。
  65. 八代英太

    八代国務大臣 その後の経過につきましては、衆参のそれぞれ代表質問で、青木官房長官がプロセスは十分にお答えになっているわけでございます。したがって、今後の問題で、いろいろまた議論がきっと危機管理の問題は出てくるでありましょう。  しかし、私も郵政大臣で、確かに小渕総理から任命を受けました。しかし、その任命を受けた私が、総理の一日の二十四時間をすべて情報として持つことも不可能でございますし、例えば閣議であれ何であれ、それは私が招集権者じゃありませんので、私たちは、その大臣としての職務を全うするということが私に課せられた責任だ、このように思っているところです。
  66. 渋谷修

    ○渋谷委員 その辺になると、大臣、非常に論理があやふやになってきておりますけれども、私が言っているのは、少なくとも、いわば他の重要事項と比べることのできないほどの緊急の事態なんです。この緊急の事態のことが、少なくとも党幹部には先に知らされて、そして任命された大臣が記者会見で知って、なおかつ臨時閣議は四月の四日に開催をされる。いずれこの事実は明らかになるでありましょうけれども、だからこそ、実は疑惑が生まれているわけであります。正統性が問われているということになります。  内閣の総辞職は四月四日ということになりましたが、この総辞職そのものをどなたが発議されたんですか。
  67. 八代英太

    八代国務大臣 四日のお昼に臨時閣議が開かれました。そして、それは青木官房長官が、そのときの臨時代理としての一つの考え方、それによって、小渕総理の病状の経過、私たちも閣議の中で、それは記者会見を踏襲するものでございましたが、そういう経過を聞きながら、既に青木長官が答えているような経過を踏んで臨時代理に青木長官が御就任されて、そして臨時閣議が開かれた。そして、その夜七時から、私たちがまた官邸に招集を受けまして、そこで内閣が総辞職をした、こういう経過でございます。
  68. 渋谷修

    ○渋谷委員 そのときの青木官房長官の臨時代理という問題でありますが、青木官房長官はどういう資格で、その臨時代理という言葉でありますけれども、皆さんに自分が臨時代理として就任した根拠というものについてどのように述べられたのですか。
  69. 八代英太

    八代国務大臣 それは、憲法第七十条に照らしながら御説明があり、そして、全閣僚それによって承認をしたということでございます。
  70. 渋谷修

    ○渋谷委員 報告されているように、小渕さんからの指示、これは一番最初は、臨時代理としてやってくれ、そういう指示があったという、まさに小渕総理の言葉をそのまま述べたかのような記者会見がありました。  その後この内容は覆されておりますけれども、その四日の臨時閣議のときには、青木官房長官からは正確に、臨時代理について私は——それは憲法のことを言っているんじゃないですよ、私は小渕さんとのやりとりの話を聞いているんです、小渕さんと青木官房長官の。小渕さんからそういう指示があったということを言葉で明確に青木官房長官は言って、したがって、後は手続があります、手続に基づいて臨時代理に就任したという形でみずからの資格を述べたんですか。  大臣、大事なところです。ここは大事なところです。青木官房長官が、内閣の総辞職を発議するということについて、小渕さんからの指示、いわば伝言でありますね、これを引用されてみずからの資格を皆さんに披瀝して、自分の立場、ポジションを披瀝して、そして内閣の総辞職ということを発議したんですか。
  71. 八代英太

    八代国務大臣 そういう経過であろう、このように思います。  それは、したがって、十二時の臨時閣議におきまして、青木官房長官が臨時代理になるということを全閣僚に諮りまして、そして全閣僚がそれを承認して、したがって、そこから臨時代理としての青木さんの職務も始まったという思いがいたします。
  72. 渋谷修

    ○渋谷委員 大臣、私の質問している意味は御理解できますでしょう。私が言っているのは、青木官房長官が臨時代理に就任をした、その以前の、どういう経過があって、小渕さんから、例えば具体的に、臨時代理をもしものときにはやれということで指示をされたのか。そのことの根拠がなければ、当然のことながら、皆さんが、小渕総理からどういう伝言があったのかということは確認しなきゃなりませんでしょう。根拠がないということになったらえらい話になりますからね。いかがですか。
  73. 八代英太

    八代国務大臣 それは再三にわたって国会でも議論されておりますし、青木官房長官も記者会見で議論されているんですから、どうぞ直接お聞きになっていただければと思います。
  74. 渋谷修

    ○渋谷委員 私は、臨時閣議の場で青木官房長官が発言をした、発議をした。そのときに、大臣大臣は小渕前総理から任命されたんですよ。青木官房長官から任命されたわけじゃないんだ。これは重大な問題なんですよ。小渕総理から任命されたみずからの身が、総辞職をする、みずからも含めて辞職をする、これは重大な問題ですね。当たり前の話であります。それが一体何の根拠に基づくものか。  私は法的なことを言っているんじゃない。小渕総理との間で青木官房長官がどういうやりとりがあったから、したがって、その後は法的手続云々というのはわかります。その前の、前段の話がありましたかどうかということを聞いている。
  75. 八代英太

    八代国務大臣 内閣法の、それぞれの法律に照らした手続を踏んでそういう形になっていった。あとは本会議でるる答弁されている経過に基づくものだということです。
  76. 渋谷修

    ○渋谷委員 それではもう一回確認します。  では、青木官房長官からは、その臨時閣議の場で、小渕総理からもしものときには臨時代理をやれという伝言があったので手続を踏んだという、その前段の部分はなかったわけですね。記者会見では、一番最初の記者会見では、もしものときには臨時代理を頼むというぐあいに言われたと青木さんは言っておりますが、臨時閣議の場でこの重大な発言というのはなかったわけですね。
  77. 八代英太

    八代国務大臣 内閣の手続に従って、こういうことでございます。
  78. 渋谷修

    ○渋谷委員 ということは、記者会見で言った青木官房長官の言葉はなく、ただ、内閣の手続に従って自分が臨時代理として就任をしましたと青木さんが発言をしたんですね。——思い出して答えてください。大事なところです。
  79. 八代英太

    八代国務大臣 四月四日、私も閣議に臨みまして、大変心も動転をいたしておりました。それゆえに、御指導をいただいていた小渕前総理の急病の驚きでもございました。  そういう意味におきまして、きょうこの委員会で、事細かに私がそのときの青木官房長官のお話等々が御披瀝できないのは申しわけなく思いますが、また、事前にそのことの御通知があればしっかり調べてお答えできたとも今思っておりますけれども、また後日そのことは、よくそのときの……(発言する者あり)記憶というか、私の方でなくて、そのときの官房長官の発言というものは当然閣議の中の発言としてあるわけですから、それをまた御紹介したいと思っております。
  80. 渋谷修

    ○渋谷委員 まあそれぞれの個性というのはありますから、記憶がないと言われればそれまでの話でありますが、少なくとも閣僚という要職につけば、例えば、大事な部分については記録を、みずから日記をつける、特に今度のような大事件になれば、その閣議の中でどういうやりとりがあったかというのは、これは後で思い出しても例えばメモぐらいには書くということはされるものだろうというぐあいに思います。  それがないということでありますから、これ以上詰めても仕方がない話でありますが、いずれにせよ、そこのところが疑惑の根源になっているわけであります。だから、それぞれマスコミ等も一体これはどうなっているんだ、まさに密室劇ではないかというような指摘もあり、つい先日の鳩山代表の代表質問の中で、昔の、昔々ですね、もう二千年以上前の中国の秦の始皇帝の末期の趙高と李斯の密議に例えて質問の中でも取り上げておりますけれども。  ただ単に謀議をして政権を奪取したという話だけではなく、私はあえて申し上げたいのは、皆さんもよく知っている非常に有名なエピソードがこの秦の時代の末期にあるわけですが、それは馬と鹿と書いて馬鹿という言葉であります。  秦の始皇帝が行幸先、旅先で亡くなりまして、この話は有名な話でありますから、皆さんほとんど御存じでありましょう、旅先で亡くなりまして、宦官という、人ではない人というぐあいに宦官を専門に書く本の中には書いてありますけれども、その宦官の趙高が、当然のことながら、自分が仕えている皇帝が死ねば、これは殉死せざるを得ない、あるいは殉死に追い詰められる。もちろん、権力者のそばにいますから、権力に対する欲望もあります。  そこで、この秦の始皇帝が死んだことを必死に隠しまして時間稼ぎを図り、命令書、詔書を偽造いたしまして、自分に都合の悪い、危ない王子たちはにせの命令書でどんどん殺してしまう。そして、どうでもいいぼんくらの胡亥という皇子を次の後継者に立てます。それだけでも、実は趙高は不安で仕方がない。自分のことをみんなどう思っているか、どこかで暗殺されはしないか。  そこで、胡亥が皇帝に就任して以降でありますけれども、そこに角を切った鹿を連れてきまして、皇帝に、これは馬でございますと言上する。幾らぼんくらの皇帝でも鹿と馬ぐらいの区別はつきますから、何を愚かなことを言っているのかという話になりますが、宮廷の中の役人や政治家がその中でまた趙高が愚かなことをやっていると顔をしかめたり、横を向いたりするのを部下の宦官に見張らせまして、そして、その事件の後、自分に敵対する方々を九族までみんな殺していくわけであります。  いわば国家の有能な人材を失うわけでありますから、国が滅びるのは当たり前であります。鹿を馬と言うような愚かなことが国の中枢で行われたら、これは国が滅びる、そういう戒めを実は馬鹿という言葉の中には含んでいるわけであります。その意味で、私も含めてでありますが、民主党がこの間の経過について厳しく追及するのは、そんな愚かなことが今どきの、現代の日本であってはならないというぐあいに考えるからでありまして、当たり前の話であります。  ところが、今回の政権の交代劇の一番の根源の部分、青木官房長官が小渕さんを見舞って、そしてそこで小渕さんから臨時代理を頼むと言われた部分について、その後その言葉を撤回され、よろしく頼むという程度の抽象的な話だったということになっていますが、これほど重大な部分は、本来であれば、医者なり家族なり第三者を必ず同席させなければならない。権力の移行の手続というのはそのぐらい実は重大な問題でありまして、このことが、実は、日本は旧ソ連のクレムリンじゃないか、あるいは日本の政治の密室性ということで既に海外から言われているわけでありまして、このことによって私どもの国の国益というものは深刻に損なわれているんです。そのことの自覚がなければならないというぐあいに実は私は思いますが、大臣、したがって、ここの疑惑の部分を明らかにするためには今でも手段はある。  当時、主治医が立ち会ったようでありますが、その主治医やあるいは順天堂の医師団、当然のことながら、小渕総理が現職でありましたときのその情報というのはあくまでも公的な情報であります。私で隠すことのできる情報ではないのであります。このことを明らかにするように、今も閣僚の中にいるわけでありますから、八代大臣から当然のことながら閣議の中で提起されてしかるべき話じゃありませんか。いかがですか。
  81. 八代英太

    八代国務大臣 既に衆参で代表質問があり、その中で青木官房長官がその経過はお答えになり、そして、憲法、内閣法に基づいて臨時代理という形になり、そのプロセスに瑕疵があったとは思いませんし、また、森総理が誕生したという中に疑惑などがあろうはずもない。そういう意味では、まさに民主主義にそれはプロセスも大切だということは先ほど伺いましたが、その中において、皆さんも堂々めぐりで投票されて、そして内閣総理大臣として議長が森喜朗君を指名する、こういうことによって新しい森政権が誕生し、そして私が再び郵政大臣を任命された、こういう経過でございます。
  82. 渋谷修

    ○渋谷委員 一番根源の部分が実は疑惑があって、その事実がないということになれば、皆さんは依然として小渕内閣の閣僚なんですよ。根源的にはそういうことですよ。そこに瑕疵があれば、その後の手続というのは無効になります。我々はいいかげんな情報に基づいて、そして、いわば、もちろん議会の中での手続は踏みましたけれども、もともとが青木官房長官が臨時代理でも何でもなかったということになれば、総辞職そのものがなかったということになるんです。当たり前の話であります。  ですから、今まさに森内閣についての信頼性、信用性、正統性ということが問われる、議論になるのは当たり前の話でありまして、それを払拭しようと思えば、医師団のきちんとした報告を求める、当たり前の話じゃありませんか。閣僚という立場でいえば、かつて小渕総理に直接任命され、小渕総理には先ほどの熱い思いがあるわけでありますから、医師団の報告を求めるというのを閣議の中で発言される気持ちがあるかどうか、そのことをお伺いします。
  83. 八代英太

    八代国務大臣 繰り返し申し上げますが、憲法の規定、これは七十条に基づいて、それから内閣法では九条の定めに従って進められたものでありまして、内容については官房長官が既に述べているとおりでございます。私も、今どうだったかああだったとかと事細かに尋ねられましても、確認しなければ御答弁はできません。  そういう意味におきまして、私は、今までの官房長官の、あるいは既に新しい森政権というものがスタートいたしておりますので、森総理に指名された郵政大臣としてこれから職責を全うするということに尽きるわけでございます。
  84. 渋谷修

    ○渋谷委員 私がお伺いしたのは、医師団の報告を求める、つまり森内閣の信頼性を高めるということなんですよ、これは。そんないいかげんな話を野党から追及され、マスコミでわいわい騒がれるのは迷惑千万、したがって、これを透明性をきちんと明らかにし、我々はきちんとした手続に基づいた内閣であるということを明らかにするために医師団の報告をさせるべきじゃないか。このことについては、そのとおりだということなのか、それはできないということなのか、そのことをお伺いします。
  85. 八代英太

    八代国務大臣 私は、官房長官の、また森総理のやりとりの中をすべて信じておりますので、私がそのようなことを申し上げるつもりはございません。
  86. 渋谷修

    ○渋谷委員 大臣としては申し上げるつもりはないということでありますが、連立を組んでおります公明党の神崎代表は、十二日のとあるところでの講演で、危機管理の観点からすると、一国の首相は公人だから、きちんと病状を公表し、医師団も国民に正確な情報を提供する必要があると述べ、病状を公開する必要があるという考えを示しているわけです、これはきょうの読売新聞ですが。いかがですか。
  87. 八代英太

    八代国務大臣 いずれにしましても、これから病状は推移していくでありましょうし、今病魔と闘っておられる小渕前総理、それから御家族の心情を思いますといかばかりかと思いますが、そのことは、いずれ経過、結果というものは何らかの形であるだろうと思いますけれども、現状においてはそういう思いであるということを申し上げたつもりでございます。
  88. 渋谷修

    ○渋谷委員 二千年前の昔であれば、趙高の圧力を恐れて、あるいは迫害を恐れて、居並ぶ閣僚が黙り込んでしまうというのもそれは当然としてあったでしょう。今どきの時代であります。私が言っているのは、森政権がいろいろ言われているということについて、透明性を高め、信頼性を高め、正統性を明らかにする、これはいいことじゃありませんか。そのために医師団に報告をさせるということについて、それは言えない。現代の趙高の迫害を恐れているんですか。だれが趙高かということはぜひ御想像にお任せいたしますが、このことが事実とすれば、これは日本の政治史上の一大失態、汚点になるわけですよ。私どもは、そのことのいわば議会人としての深刻さ、危機感というものを、まさに危機管理ということではこのことが原点じゃありませんか、これを持たなければならないというぐあいに実は私は思います。  しかし、大臣はその気はないということでありますから、お互いにそんなに長い任期ではありません、選挙で決着をつけるしか方法はないのでありましょうけれども、少なくとも私も含め民主党は、このような疑惑は、日本の議会制民主主義のためにも、日本の政治史上のこれからの発展のためにも、どうしても明確にしなければならない、明らかにしなければならないというぐあいに思っております。したがいまして、既に質問主意書等でも出しておるところでありますけれども、医師団の正式な発表というのは、これを具体的にぜひ実現をしたいというぐあいに考えております。  そのことを一応申し上げまして、次に、本題でありますけれども、そういう意味での大臣答弁では、きょう議題になっておる法案審議について気合いを入れ、真剣にやろうという気がちょっと起こらなくなってしまうんですね。これは内閣の信頼性が問われている話を、そういう医師団に公表させることもしないということでありますから——私が質問中ですから、申しわけない、質問中であります。
  89. 前田武志

    前田委員長 大臣、しばらくお待ちください。
  90. 渋谷修

    ○渋谷委員 委員長の指示がありませんから、法案審議の方に行きます。  既に幾つか取り上げられておりますが、もう残された時間が余りありませんので、特定公共電気通信システム、長い名称ですからもうそれ以上は言いません、これにつきまして、この改正案がかかっているわけですが、これは通信放送機構の守備範囲、業務範囲を拡大するという程度の話ですね。  具体的には、漁業情報の高度利用ということと、あるいは地方公共団体における申請手続、これの電子化という話ですが、これは一問一答というか、行って来いでおしまいにします。これはどのくらいの期間で開発をしようというのか。それにかかる費用はどのくらいのものなのか。それから、それが開発された後、具体的にそれを利用しようとすると、利用者はどのくらいの負担ということを想定されているのか、そのことについてお伺いします。
  91. 小坂憲次

    小坂政務次官 委員も法案等の資料を請求されておられますので、ある程度御存じかと思うわけでございますが、今回のこのシステムの開発に要する予算でございますが、これはおおむね二億ないし三億の枠組みを想定いたしております。また、開発期間でございますが、三年程度を考えておるわけでございます。  一問一答ということでございますので、この程度にさせていただきます。
  92. 渋谷修

    ○渋谷委員 通信放送機構ということで、私もいろいろ調べさせていただきました。商工委員会に所属をしますので、NEDOという組織のことも私の方で把握をしているわけでありますが、もちろんそれぞれの組織ができた歴史的な経過は違います。違いますから、単純にこれを一体化せよなどという話をするつもりはありませんが、今度のこうした法案が出てくる背景には、総理大臣が本部長となり、さらに官房長官そして郵政大臣、通産大臣が副本部長となって進めてきました高度情報通信社会推進本部というところで作業されてきたこと、その一環の事業ですね。  本来であれば、歴史的な経過は違いますけれども、もう通産省の所管のNEDO、あるいは郵政省の所管で通信放送機構などとばらばらにやっているのではなくて、人材の問題もそうでありますし、あるいは財政の問題も非常に深刻な赤字の状況もあるわけでありますから、貴重な税財源をばらばらに投下していくというのは、実は日本にはそんな余裕はないんですよ。アメリカなどは、科学技術の振興について八兆円ぐらいの、それ以上超える規模の予算を組んでいますが、日本はせいぜい三兆円ぐらいでしょう。長銀の処理に使う税金よりも少ないわけでありますから、そういう意味でいうと、組織の効率化、合理化ということは、当然のことながら考えなければならないというぐあいに考えるわけでありますが、その点、一言お伺いしておきます。
  93. 八代英太

    八代国務大臣 先ほど手を挙げさせていただいたのは、一生懸命やる気でお答えいたしていきたいと思っておりますので、それはそれとして、この法案につきましてはよろしくお力添えをいただければ、このように思っております。  今回は、通産省が所管する公共分野については対象とはなっておりませんけれども、今御指摘のように、やはり通産省との関係では、地域情報化観点から地方自治体等への助成を行う先進的情報通信システムモデル都市構築事業とか、従来からいろいろな数多くの施策でお互いに連携を進めてきております。  特に平成十二年度におきましては、ミレニアムプロジェクトにおいて、教育の情報化、電子政府の実現、それからIT21の二十一世紀計画、これらもみんな通産省と連携することによって、言ってみれば、そういう一つの計画、その風を送るのは我ら郵政省が中心となってリーダーシップを発揮していくわけでございますけれども、情報通信行政の主管庁としての役割を果たしつつ、あるいはすべての省庁にまたがるものが、これから電子政府等々考えていきますと重要な連携が必要になってくる時代でございますので、いろいろな意味で私たちも各省庁と連携を図りながら、これからの情報通信社会を目指して政策を立案していきたい、このように思っております。
  94. 渋谷修

    ○渋谷委員 連携を図るというのは、お互いばらばらにやるという話じゃありませんで、一緒の問題については当然のことながら情報交換をしながら、そしてむだのないように取り組まなければならないということなんですが、先ほど中田委員からの指摘もありましたけれども、実は今度のベンチャー支援郵政省でやる事業とほとんど同じ事業、参議院でも指摘されてきたと思いますが、新事業開拓助成金交付事業、これは通産、中小企業庁の方でやっております、五百万支援ということはほぼ同じ内容であります。  大蔵省の方にきょう来ていただきました。もうない、短い時間でございまして、簡単にお願いいたします。郵政省でやろうというこのベンチャー支援の事業と、通産省が既に二年ぐらい前からやっているこの事業と、具体的にどこの違いがあるからということでこれは予算づけをしたんですか。わかりやすくお願いします。
  95. 大野功統

    ○大野(功)政務次官 まず、情報通信・放送の分野でございますが、これはアメリカも同じでございます。日本でも、将来の発展成長が大いに期待されている分野でございます。将来の発展が大いに期待されている分野というのは、そもそも民間で自分の力で成長発展をしてもらいたい、こういう分野でございますから、基本的に申し上げますと、助成金の交付ということはなじまない分野であろうかと思います。それは官民の役割分担の観点から考えても、やはりそのように考える次第でございます。  しかしながら、情報通信の分野というのは、やはり日本の経済社会の四番バッターを打ってもらいたい。特定の新規性の高い情報通信ベンチャーに対しまして助成をやることが、日本の経済社会にとって、放送、情報通信分野にとって非常に期待されることであれば、当然やってしかるべき問題である。  問題は、では重複しているのか、こういう問題でありますけれども、こちらの方はいわば情報通信全体の分野にいい影響を及ぼしてもらいたい、それから、中小企業庁のやっております新事業開拓助成金の方は中小企業対策としてやっている、こういうことで考え方は違っている。では、あとはむだがどうか、これはまた別の観点からやるべきだと思っております。
  96. 渋谷修

    ○渋谷委員 今お話がありましたが、一番前段の、本来は民間の努力でやるべきだというところは、実は非常に重要な深刻な問題があるんです。アメリカの方では、もちろんこういう産業の、日本に先行して、なぜ先行したかという理由もあるんですが、これは商工委員会でやりましたから余りこっちでは取り上げませんが、例えば、シリコンバレーを中心とするそういうベンチャー事業をどんどん輩出している地域で、それを具体的に見ている専門家から、政府が意図的に実施する政策でベンチャーに役立つことなど考えられない、役立とうなどとつまらないことを考えず何もしないでほしい、それこそが最も有効な支援策であると。えらい皮肉な話でありますけれども、もちろん、私は何にもするなと言っているんじゃありませんよ、この間もいろいろな議論もしてまいりました。  つまり、ベンチャーを生み出すための環境づくりは必要なんです。直接的な、この助成金を投入するということについては、今大蔵省から話がありましたように、実は非常に重要な懸念があるんです。商工委員会でも取り上げましたが、例えば、先端企業と思われているような京セラという企業でも、助成金の不正流用がつい最近明らかになりまして、具体的な事実を私も指摘をいたしました。政府支援をしようとしましても、そのことが流用される。  今のお話の中で、中小企業庁がやっているのは中小企業対策だと言いますけれども、実際に中小企業庁が実施しているもので、第一回目は百六十六件ありましたけれども、そのうちの七十一件が情報通信産業分野。今進行中でありますが、百十四件のうちは三十二件。つまり、第一回目は四三%が情報通信、第二回目は二八%が情報通信、これは当たり前なんですよ、先行する産業ですから。そういうところが中心となるのは当然の話でありまして、二億円といったって、限られた税財源を役所が違うからといって同じ分野に投資をするというのは、どう考えたってこれは問題点を感じないという方がおかしいのですね。一緒にやればいいじゃないですか。しかも、これは事業者が重複して補助を受けることも可能でしょう、そういう制度になっているんですから。  申しわけありません、質問時間がなくなりましたから。だから、私はこの法律を見て、残念なことながら、情けない法律をここで審議するなというぐあいに率直に思いました。なぜこういったことを限られた税財源で、例えばアメリカにしたって見劣りをしているような税金を投入するのに、支援が必要ないという議論も一方ではありますけれども、それをやろうということであるならば、これはやはり集中的に投入をするということが必要なんじゃないですか。  通産省と連携しているというぐあいに言いますけれども、もう二年も前にやっているんですから、通産省とこういうことについてはもうちょっときちっとしたお互いの連絡をしながら、先ほど言った推進本部の下に実行組織がないでしょう。最近その本部会なんてやっていないじゃないですか。まさに日本の将来の戦略的な産業なんですから、その実行部隊をきちんとつくるということでやっていかなければ、これはアメリカになんか追いつかないですよ、今の体制づくりも含めてでありますけれども。済みません、時間がないので、もう終わります。  そういうことについて全般的な大臣の見解をお伺いいたしまして、私の質問は終わります。
  97. 八代英太

    八代国務大臣 情報通信というのは、これからのリーディング産業として大変重要でもございますし、また、夢をつくる一つのベンチャー企業の創出ということも大変重要な政策だと思います。  通産省の中小企業一つ政策の中にもそういうものがあることは十分承知をしながら、我々は特に情報通信という分野におきましての立ち上げの、言ってみれば肥やしになるか種になるかわかりません、それがまたどう実るかわからないところもあるかもしれませんけれども、しかし、それによって新たな夢がつくられ、そして新たな雇用の場が確保され、そしてさらなる発展につなぐ一つの水先案内人になれれば、このように思っている次第でございます。
  98. 渋谷修

    ○渋谷委員 ありがとうございます。  終わります。
  99. 前田武志

    前田委員長 次に、福留泰蔵君。
  100. 福留泰蔵

    ○福留委員 公明党・改革クラブの福留泰蔵でございます。  このたびの小渕前総理の病気の報に接しまして、私も大変心の痛む思いでございました。各種の景気対策等の効果が見え始めて、日本の経済の再生への兆しが見えてきたところで、またサミットを前にしての小渕総理の御病気、御本人にとってどんなに残念なことだろうかと思っている次第でございます。  八代郵政大臣また両政務次官、再任ということでございます。この前総理が敷かれたレールをしっかりとやっていくということが我々の課題だと思っておりますので、また引き続きの御努力をお願い申し上げる次第でございます。  本日は、いわゆるシステム法と開発法の質疑をさせていただくわけでございますけれども、まず、私はかねてより、我が国における情報通信の分野における国家戦略の問題について、この委員会でも議論をさせてきていただいているところでございます。  今、来るべき情報通信社会が到来するに当たって、我が国の国家戦略がないのではないかということがかねてより指摘されてきたところでございますけれども、平成十年に郵政大臣が電気通信審議会に諮問されて、そしてその諮問されたものというのが「二十一世紀における高度情報通信社会の在り方と行政が果たすべき役割」でありますけれども、先日この提言がまとまりました。  この二十一世紀情報通信ビジョンと題する今回の答申、私も一読させていただいて、よくできているのではないかなというふうに思っているところでございますけれども、まず大臣から、今回の答申についての御見解を伺いたいと思います。
  101. 八代英太

    八代国務大臣 福留委員におかれましては、この情報通信関連に大変なお力添えをいただいておりまして、感謝申し上げます。  二十一世紀情報通信ビジョンは、副題の「IT JAPAN for ALL」、万人のためのITという思いで命名されておるわけでございますが、国際社会への貢献を視野に入れつつ、ITによる日本型の社会変革の実現を目指す提言でございます。  その中では、地球的規模で進行しているIT革命の姿が描かれておりまして、二十一世紀に向けて情報通信政策を担う者が認識すべき問題点が五つの潮流という形で提示され、二つの課題、そして三つの原則として整理されております。  かいつまんで申し上げますと、五つの潮流は、高速であるということ、常時接続が可能であるということ、低廉で定額制であるということ。通信・放送の融合ということも視野に入れること。あるいは、加速するネットワークとユーザーニーズとの高度化を図っていくということ。あるいは、国際間のボーダーレス化にどう対応するかということ。情報通信の担い手の多様化という問題点。  二つの課題とすれば、デジタル情報格差、デジタルディバイドと言われておりますけれども。脆弱性、こういうものを一つの安全面で考えていくということ。  三つの原則としては、情報収集、公開による的確な動向把握、情報提供。それから二つ目として、適切な方向性の提示。それから、スピードを持った政策資源の集中投入というようなことでまとめ上げられております。  私たちも、変化の激しい情報通信時代、時間との闘いということを思いながら、この指針に沿いまして、しっかり政策提言について着実に実行していきたいもの、このように評価をさせていただいているところでございます。
  102. 福留泰蔵

    ○福留委員 今大臣の方からも御紹介ありましたけれども、この答申では、いわゆるIT革命によって、住みたい、訪ねたい、働きたい、投資したい、魅力ある日本の創造を図っていかなければならない、取り組まなければならないということを指摘しているわけでありまして、二十一世紀の新しい日本社会像を明示しています。  また、二十一世紀の新しい日本社会像としては、知の競争力が躍動する国、だれもが夢を描き、人生を創造することができる国、魅力と貢献によって世界の人々を引きつけ、共感を呼び起こす国である、本当にそういった社会像というものを具体的にまたイメージができるような形で明示しているわけであります。そして、今大臣からお話ありましたとおり、二十一世紀へ向けた情報通信政策と、さらに具体的な政策展開まで提言しているわけであります。  そういった意味で、私も評価をしているわけでございますけれども、問題は、いわばこれは電気通信審議会の答申であります、これをいかに国家戦略として、国家ビジョンとして位置づけていくかというのが大事なのではないか。大変すばらしい答申をまとめていただいたけれども、それを郵政省審議会がただ出したということだけではなくして、これを国家としての一つの共通目標、そして共通の政策課題としてひとしく認識していくということがこれから大事になっていくのじゃないかと私は思っているところでございます。  国家戦略の問題についてはもう改めて申し上げませんけれども、この答申の中にも既に書いてありますが、アメリカ、イギリス、ドイツ、韓国、香港、マレーシア、それぞれの国々で国家戦略を持って取り組んでいる状況があるわけであります。  すばらしい内容がまとまったわけでありますけれども、これをいかにして国家戦略として位置づけて、そして国家の共通の課題として認識して政策実現していくか、これが大事だと思うわけでございます。大臣の見解をお伺いしたいと思います。
  103. 八代英太

    八代国務大臣 まさに、このビジョンをいただいて、それをしっかり生かしていかなければ絵にかいたもちになってしまうわけでございますので、郵政省といたしましては、二十一世紀情報通信ビジョンを今後の情報通信政策を適切に展開していくための基本的な指針となるものと受けとめておりまして、ここに盛り込まれた政策提言につきましては着実に実行していかなければならない、このように思っております。  具体的に申し上げますと、高度情報通信社会推進本部、これは総理大臣が本部長でございますけれども、ここには企業関係、学識経験者、専門家、いろいろな方々が網羅されておるわけでございますが、そこへしっかりとこのビジョンを御説明申し上げまして、答申をむしろ基本方針という形でまとめ上げていただいて、これが反映されるように努めるということが大事です。  それにはどうしても財源が必要になってまいります。いよいよ平成十三年度の政府予算案の時期も迫ってきておりますので、そういう編成過程において情報通信分野に対する一層の重点配分を求めまして、私たちも、これは時間との競争になる分野も大分ございますし、今御指摘のようにそれぞれの国々もいろいろなビジョンを発表しておりますので、おくれをとってはならない、こういう思いも込めまして、全力を尽くして、財源確保、そしてまた基本的な考え方を形にしていくべく推進をしてまいりたい、このように思っているところでございます。
  104. 福留泰蔵

    ○福留委員 今大臣がおっしゃったとおり、この答申の中にも、財源の集中的な投資というのですか、配分というものが重要であるというふうに書いてあるわけですね。ですから、来年度の予算に向けて、そこの中にこのことが反映されるかどうかということが大変重要な課題だろうと思っておりますので、ぜひまた御努力をしていただきたいと思いますし、私どももできるだけの御支援をしたいと思っているところでございます。  この答申の中に、我が国の基本戦略の一つとして、ITに適応した経済社会構造への改革が必要であるというふうに書いてあります。つまり、具体的には、この情報通信、ITを想定していない時代の法制度を大胆に見直すことが重要であるというふうに指摘しているわけでありまして、これはまさしく私どもが考えている電子政府実現への課題だと思っているところでございます。  電子政府の問題についてはミレニアムプロジェクトの中にも位置づけられておりますし、二〇〇三年を目標にその基盤を構築するということで、今政府でも取り組みを進められているところでございます。  私どもは、電子政府の実現については政府取り組みと若干考え方が違う部分がございまして、今の政府取り組みについては、電子政府ということについては、かつて進めてきた行政の情報化の延長上にしかないのではないか、失礼な言い方を申し上げると、そういう認識をしているわけであります。  このたびの答申の中にもありますけれども、来るべきIT社会社会像というものが示されたわけであります。来るべきITを利用した社会における姿というものをまず想定する、そしてその想定した社会の中において国家の果たすべき役割また国家の機能というものが、そこに今までの社会とは違う国家の姿というのがあるんだろう、行政の果たすべき役割があるんだろう、それを前提にしながら、そこへ至る道のりが私は電子政府の実現だろうと思っているわけであります。  現在の政府のやっていることをただ電子化することだけが私は電子政府ではないというふうに認識をしておりまして、そういった意味での電子政府の実現に対する取り組みというものをもう一回考え方を変えてやらなければならない、私はそういう意味で、このたび議員立法として、電子政府の早期実現に関する法律というものをつくり上げました。今与党で調整中でありまして、議員立法で提出をする準備をしているところでございます。  電子政府の実現について今私どももそういうふうに考えておりますけれども、大臣の、郵政省としてでもよろしいですけれども、電子政府の実現について、その必要性をどのように認識して、そしてそれをどのように推進していくのか、お考えをお伺いしたいと思います。
  105. 小坂憲次

    小坂政務次官 ただいま福留委員が御指摘になりましたように、今までの社会の延長における単なる情報化、すなわち文書をデジタル化するとか集約化する、こういったことだけでは済まされないというふうに私どもも考えておりまして、委員が御指摘のように、新たな、全く新しい形の社会になっていく、そしてその新しい枠組みの中で高齢化あるいは少子化、こういった問題にも対応できるような社会づくりをしていく、そして国民の利便性の向上をし、また日本経済の、活力ある社会を築いていくんだ、こういう視点に立って電子政府の必要性というものを認識しているわけでございます。  特に、最近のインターネットの急速な普及や電子商取引の実用化の動き、あるいは社会経済の環境の変化に応じて行政の情報化推進し、また行政手続のオンライン化などの可能性を追求いたしまして、可能な限りすべてその方向に進めていく、そして、電子政府を実現することは行政の効率化やサービスの向上だけでなく社会生活全体の変革をもたらすものだ、こういう認識に立って進めてまいりたいと思います。  委員が御指摘になりましたように、ミレニアムプロジェクトとして取り組みを決定し、二〇〇三年度までという目標も設けながらやっているところでございますし、また、さらに申し上げるならば、政府認証基盤といったものをこの十二年度中に整備し、十三年度からはもう運用を開始するというスピード感を持ってこれに対処してまいりたいと考えておりまして、委員がただいま御指摘になりました議員立法というものも踏まえながら、与党の中で検討される動向をしっかりと見定めさせていただきまして、私どもも的確に対応してまいりたいと存じます。
  106. 福留泰蔵

    ○福留委員 政府の方でも鋭意取り組んでいただけると思いますが、電子政府の実現に当たって、今御答弁にもありましたけれども、二〇〇三年度までに基盤を鋭意築いていきたいというふうなお話でございましたけれども、こういったITの分野で言われることは、やはりスピードというのが大変重要な課題でございます。前倒しをして、一日も早くこの基盤をつくり上げていくということが、二十一世紀において我が国が世界においてやはりリーダーシップを持てる国としてやっていけることにつながっていくんではないかと思っておりますので、いわゆる世界最高レベルの電子政府を一日も早く世界に先駆けてつくり上げてそしてそのモデルを世界に提示していく、これがまた国際貢献につながっていくのではないかという期待もしているところでございまして、先ほどの答弁でもありましたけれども、ある程度集中的な財源配分もやりながら、これは一日も早く実現すべき課題だというふうに認識をしているところでございます。  そこで、電子政府の関連で今回のシステム法に関して一点御質問させていただきますけれども、特定公共電気通信システム研究開発ということでこれまでも数々の実績があるわけであります。文部省との教育支援システム、農水省との人工衛星を使った農業用水管理システム、運輸省との運送関係申請手続電子化システム等々、まだございます。今回は、新たに、農水省との漁業情報の高度利用に資する電気通信システムと、自治省との地方公共団体における申請手続電子化に資する電気通信システムが追加される、農水省と自治省のプロジェクトが追加されたわけであります。  私は、今ずっと述べてきましたけれども、電子政府の実現に当たってまず大事なことは、法制度の見直しそしてインフラの整備等が必要であるというふうな認識をしておりますけれども、実は先ほど来もいろいろ質疑がありますけれども、安全性の確保とかいった面でのそれを支える技術開発がなされなければならないというふうに認識をしているところでございます。そして、私は、こういった今の特定公共電気通信システムで行っている研究開発というものはまさにそこを担う役割を持っているんではないか、電子政府実現のための技術的な部分での基幹的役割を担うのがこの機構であって、通信放送機構がその役割を十分果たしていかなければならないというふうに思っているところでございます。  そういった意味で、法律の審査も、新たに追加されるプロジェクトごとに法案審査法律の改正を行うというふうな仕組みになっているわけでありまして、一つ一つを見ると確かにこれは必要なことだなというふうにわかるんですけれども、私は、電子政府の実現という観点から見たときに、総合的にこれを実現する技術課題はこんなにあるんだ、それをどうやって一つ一つ詰めていこうというプロセスをぜひ教えていただきたいと思っているわけです。この技術課題、これをクリアしさえすればもうできるんだ、そうすると、その上で、通信放送機構でこの部分について今集中的に取り組んでいるからこの技術課題はもうクリアできるんだというふうなことが見れればいいなというふうな感じがしております。  昨今のニュースを見てみますと、民間でも電子政府については大変関心があって、既にそのシステムをつくり上げたとか、モデルルームでそれを公開しているとかいった企業も出てきているようであります。郵政省の方から電子政府の実現に向けた技術課題についてどのようなお考えがあるのか、お伺いをしたいと思います。
  107. 有村正意

    有村政府参考人 お答えいたします。  電子政府の実現に当たりましては、ただいまお話ございましたように、技術的な観点解決すべき課題というものも幾つかございます。例えば、押印にかわりまして申請、届け出が本人からなされたものかという申請者等の認証でございます。それから、途中で改ざんや漏えいなどがないかという原本性の確保の問題、情報システムへの不正なアクセスの防止等について、こういった課題があるところでございます。  これらの課題解決に当たりましては、まず、電子文書を本人だけが持つ暗号かぎで暗号化するデジタル署名の技術というものが必要になってまいります。それから、伝送途中での改ざんを防止するための暗号技術とか電子透かし技術というものが必要になってくるわけでございます。またさらに、コンピューターウイルスとかデータの盗み出し、破壊等の不正なアクセスを防止する技術、こういったネットワークの安全性、信頼性を確保するためのセキュリティー技術の確立が必要となるわけでございます。  これらにつきまして、郵政省通信放送機構では、例えば情報通信セキュリティー技術に関する研究開発ということで、平成七年度から研究開発を進めております。また、次世代インターネットに関する研究開発ということで、電子透かしの技術でございますとかホームページの真正性証明技術等の研究開発を進めておりまして、汎用的なセキュリティーの技術の開発というものを進めながら、一方また、それぞれのシステムごとに、例えば今回審議をお願いしております地方公共団体のシステムでございますと、地方公共団体におきまして住民の情報を扱うということでございますから、また、それなりに特有のセキュリティー技術というものについても個別に研究開発をしているということでございます。  いずれにいたしましても、電子政府の実現にはこういったセキュリティー技術の確立が大変重要でございますので、郵政省として主導的に取り組むということでやっておるわけでございます。
  108. 福留泰蔵

    ○福留委員 ぜひとも、技術課題というものをしっかりクリアしないと、法制度をつくっても、またシステムをつくっても、国民の皆さんがそれを電子政府として信頼を持って認識していただかない限りは、これが実現できないわけですから、技術課題についてもしっかりと取り組んでいただきたいと思いますし、ぜひとも通信放送機構においてもこういった研究をしっかりやっていただきたいと思う次第でございます。  続きまして、いわゆる開発法の方のベンチャー支援のことについて質問をさせていただきたいと思います。  ITの重要性についてはもう申し上げるまでもありません。経済再生の一つの大きなかぎを握っていると言われているわけでありますし、この委員会でもこれまで質疑をなされているわけでございます。  先ほどの渋谷委員の質問の中にもありましたけれども、ベンチャー支援ということについては、さまざまな支援策が、昨年来、急にいろいろできているわけであります。もう一回確認いたしますけれども、中小企業庁で行っているベンチャー支援策と、このたびの通信放送機構で行う支援策との役割分担、違いというものをもう一回確認をさせてください。
  109. 小坂憲次

    小坂政務次官 この点につきましては、先ほど大蔵総括政務次官の方から答弁のあったところでございますが、通産省及び中小企業庁におきますベンチャー支援というのは、中小企業振興のため横断的にベンチャー企業に対して対応するようにしてきたわけでございまして、また、今回の郵政省におきます中小企業支援策というのは、中小企業のいわゆる振興というだけでなくて、情報通信分野日本経済の活性化に大きな効果を発揮する、そういった意味合いにおきまして、情報通信分野発展につながる新規性の高い事業を行う情報通信ベンチャーの支援を実施していこう、こういう観点でその違いがあるところでございます。  郵政省といたしましては、情報通信分野社会経済に重要な役割を果たすことから、今後とも、同分野のベンチャー企業支援策のさらなる拡充強化に向けて、今回だけでなくさらに取り組んでまいりたい、このように思っているところでございます。
  110. 福留泰蔵

    ○福留委員 これはきのうですか、私、ちょっとインターネットで朝日新聞のニュースを見ていましたら、項目がありまして、ベンチャー育成の補助金不要、起業家からの不満相次ぐというニュースがありまして、これはどうしたことかと思って早速見てみましたら、どうも大蔵省が仕掛けているようでありまして、大蔵省がソフトバンクの孫正義社長やエイチ・アイ・エスの沢田秀雄社長らを呼んで、我々のところにはお金は十分に来るんです、だから、それよりも税制上とかほかの手当ての方が重要ですというふうなことを言っているんです。  私は、孫さんとかこういった方々はベンチャーじゃないなという感じがしておりまして、やはり立ち上がりのときにある一定のお金というのは必要なんじゃないかなという気がしておりまして、こういったことを意図的に大蔵省がやって、こういったことはまたばらまきだという批判を巻き起こして何かしようという考えがあるのかどうかわかりませんけれども、ちょっと違うような、現実の、これから何か新しいことを始めようとする方々については、ある一定の立ち上がりの支援というのは必要なんだろうという認識をしております。  しかし私は、ある意味で、しかしながらベンチャーでこれから何か始めようとする方々にとって、お金の問題というのは一番大切な問題じゃないという認識もしておるんです。やはり、今までもいろいろ質疑がありましたけれども、例えば申請をするときの手続の問題がお話がありましたけれども、私は、この申請の手続ではなくして、新しいビジネスをする際に、いわゆる許認可、役所が持っている許認可に対する手続の煩雑さ等が、ベンチャービジネス支援の、起業活動の障壁になっているのではないかなという気がしてならないのであります。  実は、規制緩和三カ年計画の再改定がまとまりまして、ほぼこの三カ年計画がとりあえずめどがつくという状況でありますけれども、この規制緩和の推進三カ年計画の中でさまざまな許認可の見直しをやっておりますけれども、伺うところによりますと、通信・放送の分野というのは、多分、経団連とか大きな企業だとかといったところから規制緩和の要望があって、そして、それに対して回答したというのがこの中身じゃないかなというふうに思っているんです。  ですから、私は、お金の支援も重要であるけれども、もう少しノウハウだとか、それから、ある意味では手続の仕方だとか、それをやりやすくしてあげる、また手続をサポートしてあげる、そういった役割が大変重要じゃないかと思っているわけでございます。その点について御見解を伺いたいと思います。
  111. 小坂憲次

    小坂政務次官 今議員が御指摘になりました朝日新聞ニュースということについては、私も詳細わかりません。背景がどのようなものであるかはコメントは差し控えさせていただきますが、福留委員指摘のように、ベンチャーというのはいろいろな形があるわけですね。個人で、よし、おれはこのアイデアを何とか生かしてやってみたい、マーケティングの方はこれからやらなきゃいかぬが、非常に可能性はあると思う、しかし資金がどうしても集まらない、だれか助けてくれる人はいないのかな、こう思っている方々にもチャンスを与えて、広くそのアイデアを生かしていくのが経済活性化には非常に必要だ。そういう意味で、委員も御理解をいただいたというふうに思っているところでございます。  また、こういったベンチャー支援につきましては、単に助成金というだけでなく、もう既に御存じのところでございますが、平成七年度には先進技術研究開発助成金制度、それから九年にはストックオプション制度、十年にはテレコム・ベンチャー投資事業組合による出資、そして平成九年にエンゼル税制、また十二年度の予算においても情報通信ベンチャーへの助成ということ、今回のこのようなことで、いろいろ形を変えて支援をしていこうというふうに努力をしているところでございます。  その中にあって、手続的なものも一つの障害になるよ、こういう御意見でございます。  結論から先に申し上げれば、情報通信ベンチャー企業の皆さんの声にしっかりと耳を傾けて、何が障害になっているか、それを除去するように努力をしていくというのが基本であることは、そのとおりでございます。  このプロバイダー等、今のベンチャーの一つの形を見ますと、インターネットサービス・プロバイダー等の場合には一般の第二種電気通信事業者が多いわけでございまして、特に許認可の手続が障害になっているような煩雑な形ではないものですから、現状、この手続面において、ベンチャーが非常に出にくい、郵政省の関連においてはそんなに大きな障害になっていないと認識しておりますが、今申し上げたように、しっかりと耳を傾けて、もしそういうような疑いがあるのであれば、その緩和について努力をさせていただきたい、このように申し上げておきます。
  112. 福留泰蔵

    ○福留委員 大変にありがとうございました。  もう時間が来ましたので、一言だけ申し上げますけれども、ベンチャー支援ということに一生懸命また取り組んでいただきたいと思いますし、支援というよりも、ある意味で言えば育てるというふうな姿勢でぜひ取り組んでいただきたいと思います。  それから、もう一点だけ。規制緩和の流れの中で、基本的に通信分野、自由市場にゆだねられている状況に近づいてきていると思いますけれども、私は、自由市場になればなるほど資本力の大きい大手の企業の方が大変有利でありますから、ベンチャーといったところがそこへ参入していくことについては、ますます壁が大きくなるわけであります。そういった点も考慮しながら、ベンチャー支援というものをどういうふうに育成できるのかということを、ぜひ御努力されんことを期待申し上げまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  113. 前田武志

    前田委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時二十一分休憩      ————◇—————     午後二時四十分開議
  114. 前田武志

    前田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。矢島恒夫君。
  115. 矢島恒夫

    矢島委員 法案の質問に入る前に、けさ方の大臣のあいさつの中で、十六日に有珠山噴火の現地調査というお話がございましたので、一つだけ決意をお聞きしたいのです。  と申しますのは、私たちの党も国会議員団の中で有珠山噴火被害対策本部というのをつくりました。ちょうど噴火のあった当日、第一弾の調査を行いました。それから、第二回目の調査も既に行っております。  現地で、最初のうちは非常に避難される方も混乱しておりましたので、やはり現地の人たちお話で、正確な情報とか、あるいは家族との通話とか通信関係、いろいろ不十分さが指摘されておりました。大分改善はされているらしいですけれども、やはりぜひ万全を期して情報提供が行われるようにしてもらいたい。それから、もう一つあったのは、郵便物の配達の問題が出されました。避難して居どころがわからないというような状況の中でなかなか手元に郵便物が来ないというようなお話もあったわけであります。  そこで、ぜひ郵政省関係のこういう問題などについては万全を期していただきたい、このことを私は求めるわけですが、ひとつ大臣の決意をお伺いしたい。
  116. 八代英太

    八代国務大臣 今度の日曜日にぜひ現地へ伺いまして、もちろん避難されている皆さんを、私の力では不十分だとは思いますが、激励申し上げたいこと。また、避難されておられる皆さんのために、北海道郵政局を中心といたしまして、幾つか閉鎖された郵便局もあるものですから、そういう皆さんが、避難所に移動ポストのような形をとらせていただいて、より身近で、ともども避難する方々のそういう御要望にしっかりこたえるようにということを私も指示しているところでございます。  はがきを無料配布とか、あるいはまた携帯ラジオあるいは携帯電話、そしてイナイコール、一七一をかけるとどこにどういるか、そういう伝達事項、それから、中山本部長の指示のもとに、曇っても、雲があっても、上から偵察しながら地形の変化あるいは噴火の状況等が把握できる、そういう飛行機を飛ばすとか、いろいろなできる限りの、私ども郵政省のこぞっての今対応をいたしております。  しかし、それでも十分ではないかもしれません。郵便物が届いていないということも含めますと、一体どこに、どなたがどこの避難所にいるかというのをなかなか追跡調査をするのも大変でございますから、そういう意味では、そうした皆さんがコールバックしていただいて、そして、私はここにいます、したがって私への郵便物はこうですということの仕組み等々も踏まえながら、私も、足らざるところをどう補うべきかということを含めて、十六日にはしっかりと皆さんの御意見を伺ってきたい、このように思っているところです。
  117. 矢島恒夫

    矢島委員 ぜひひとつ、現地の人たち、避難で大変苦しんでいらっしゃる生活を行っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。  それでは、法案についての質問に入らせていただきます。  まず最初に、開発法の方でお聞きしたいわけです。長ったらしいですが、特定通信放送開発事業実施円滑化法の一部を改正する法律案についてです。  情報通信分野の新規事業を支援するということを目的といたしましてこの法律ができ上がり、郵政大臣情報通信の分野の新規事業と認定した企業に対して、通信放送機構を通しまして出資だとかあるいは債務保証など支援を行ってきたわけであります。いわゆる新規事業を支援する、ベンチャービジネスを支援するという法律であったわけです。  私たちは、中小企業支援策として考える場合に、この大変深刻な不況を、よくなったといっても、中小企業の皆さん方のところは消費は拡大しないは、銀行の貸し渋りはあるは、いろいろな面での大変な事態が引き続いているわけであります。ですから、本来ならば、そういう中小企業日本の全体を見てやっていく、これは政府政策としての問題でありますけれども、やるべきですが、そういう意味では、一部のベンチャー企業だけ支援するというやり方については私たちは問題があるということを指摘してきたわけであります。  しかし、中小企業の新規事業立ち上げの支援自体、これに私たち反対するものではありません。問題は、本当に中小企業の立ち上げを支援するものになっているかどうか、ここが一つの私たち問題点として指摘したいところであります。  そこで、まず有村局長にお尋ねするわけですが、この法によって、現在まで幾つの新規事業が認定を受けてきたか、その数を教えていただきたい。
  118. 有村正意

    有村政府参考人 ただいま御審議いただいております特定通信放送開発事業実施円滑化法、これは平成二年九月に情報通信分野のニュービジネスを幅広く支援することを目的として施行されたわけでございますけれども、それ以降、郵政省といたしましては、この法律に基づきまして二十四件の通信・放送新規事業の認定を行っているということでございます。
  119. 矢島恒夫

    矢島委員 その二十四件のうち、出資という形で支援した企業は何社あるか、それからそういう中でこれまでリターンがあったかどうか、その点についてお答えいただきたいと思います。
  120. 有村正意

    有村政府参考人 現在までに、開発法によりまして通信・放送新規事業として認定した事業者のうち、出資という形で支援を行いました事業者は八社でございます。  このうち、株式公開後に株式を譲渡するなどによりまして譲渡益を得た場合は、通信放送機構はその利益を受け取ることになりますけれども、こういったリターンの実績というのはいまだないというのが現状でございまして、出資を受けた事業者の、八社と申しましたけれども、このうちの六社は実は平成十年十月以降のものでございまして、資金供給を受けましてからまだ期間が短いといったようなこともございますし、株式公開を達成した事業者というのは今のところまだ出ていない、そういう状況でございます。
  121. 矢島恒夫

    矢島委員 そこで、出資を行った企業の中でオムニトラックスという企業があるかと思うのです。それについてお聞きしたいのです。  この企業は多分平成六年の一月に認定を受けたと思うのですけれども、政府としては、あのとき通信放送機構を通じて一億五千万円でしたか出資しているわけであります。これが倒産して清算が行われたのですが、政府の出資はどうなりましたか。
  122. 有村正意

    有村政府参考人 この株式会社のオムニトラックスでございますけれども、この会社は我が国で初めて通信衛星を利用いたしまして車載の端末向けに移動体通信サービスを提供した事業者でございますけれども、お話のように、平成六年一月に認定をいたしまして、同月に通信放送機構が一億五千万の出資を行っております。  この会社の事業は、当初から我が国で初めてCDMA方式を使った通信方式を採用するといったように、技術的に見ても当時としては極めて高い新規性を有する事業であったわけでございますけれども、その後携帯電話、PHSというものが予想を上回る普及を遂げたということ等がございまして、車載端末の販売台数が当初計画の一割強にとどまったということで売り上げが低迷いたしまして、経営困難に陥ったわけでございます。  その後もなかなか販売台数の増加が見込まれないということで、平成七年度から会社の再建計画が検討されました結果、オムニトラックスは清算をすることになったわけでございます。  そのプロセスで機構が出資をいたしました一億五千万につきましては、他の株主に七千五百万円で譲渡いたしたわけでございます。  そういったことで、一億五千万出資したもののうち七千五百万が返ってきたということでございますけれども、通常、清算をいたしますと、株主の立場というのは非常に順位が低うございますので、そういった中では、七千五百万返ってきたということは、不幸中の幸いと申しますか、そういったことではあったかと思います。  そういったことで、会社も清算し、また機構の方も平成八年度にそういった償却をしているということでございます。
  123. 矢島恒夫

    矢島委員 局長は不幸中の幸いで半分返ってきたと言いますけれども、もともとは、一億五千万を出資することを決めて、認定して、ここは優良な会社だ、将来、見込みがあるだろうというので出資したのですから、半分返ってきたからこれでいいやじゃなくて、やはりこういう会社を認定していくという、そのところのこれからの反省の教訓の一つにしていかなきゃならないと思うのです。  私は、この新規事業、約二十四件の企業をいろいろと調べてみました。一番最初に認定を受けたのが衛星デジタル音楽放送株式会社、この資本金は六十億円。それから、先ほど話題に出ましたオムニトラックスというのは三番目に認定されているのですね。これは伊藤忠系で、資本金が三十億円。そのほか、大阪ガス系の関西シティメディアというのが資本金十一億円。さらに七番目にはセコム系のジャパンイメージコミュニケーションズ、ここが資本金十三億円。いわゆるベンチャーというよりは、大体大企業が、伊藤忠にしても、あるいは衛星デジタル音楽は多分任天堂だったと思いますけれども、いろいろなそういうバックがあった上で立ち上げたという新規ビジネスであったと思うのです。  本当に、そういう大きな会社の子会社だとか、そういうものじゃなくても、やはりいろいろな都市銀行やあるいは別の大企業からの支援企業も認定を受けているということがこの二十四件を調べてみてわかったわけなんですが、国の支援などなくてもやっていけるような企業だな、私はそう感じたのです。  というのは、先ほど問題になりましたオムニトラックスですけれども、これは伊藤忠系ですね。それで、先ほどのお話のように会社を清算したのです、国が出資したのです。だから、親会社の伊藤忠は清算するときに、この国の出資した分、その半分になりますか、これだけ助かったといえば助かったわけなんですね。そういう見方もできるわけで、大企業に対しては一定の利便性をこれまでの法案で発揮してきたけれども、どうも中小企業の新規事業応援ということにはそんなに役に立ってこなかったのじゃないかと私は思うのです。  今回法案が提出されました。これから助成金という形で助成をしていくわけです。そこで、今度はなぜそういう助成金という支援措置を打ち出してきたのか、その理由について説明していただきたい。
  124. 小坂憲次

    小坂政務次官 矢島委員指摘のように、やはり公費を支出するわけでございますから、そこはしっかりと見ていかなければなりませんし、今委員が御指摘のような点も踏まえて、私もまたこれから十分に検討をしてまいりたいと思っております。  そこで、今回の支援措置でございますが、特定通信放送開発事業実施円滑化法に基づきましていたします今回の支援は、情報通信分野のベンチャー企業の育成ということが、世間の期待も非常に高く、また今日の経済の活性化のためにはどうしても必要だ、これはきょうも委員会で各委員から御指摘のあったとおりでございまして、私どももその点を踏まえてこれを行うわけであります。  今回は、情報通信分野のベンチャー企業や創業を目指す個人を対象として、今おっしゃったように、いいアイデアを持っているけれどもなかなか世に出せない、だれか支援してほしい、ちょっと助けてもらえばあとは自力で頑張って、そしてさらなる支援を受けるための基礎をつくれると思う、立ち上がりに欲しい、こういう切実な要望にこたえていくために、特にコンサルティング経費とかあるいは試作品の開発費といったようなものを助成する意味で、一件当たり五百万円、額は少ないわけでありますが、しかし、こういった分野では自己負担も半分は出してもらって、そして立ち上げの支援をしよう、こういう考え方でございます。  そういった線から考えれば、今委員が御指摘のあったような線にある程度合致したような施策ではないかと思っておるわけでございます。
  125. 矢島恒夫

    矢島委員 助成の規模は、お話がありましたように一件五百万円、そして二分の一ということですから、株式会社を立ち上げる最低の資本金額である一千万円の二分の一という額になるわけです。  この額から見ましても、主として中小企業あるいは個人、そういうところで立ち上がりに困難なところへの支援だなということはわかるのですが、法文上、中小企業に限定するような文章はこの中にないわけなんですね。気持ちはわかりますけれども、多分そういう方向でやるんだ、そういう方向でぜひやってもらいたいと私は思うのです。  ですから、国が今、大変な財政難の中からこういう資金を提供するわけですから、助成金をもらわなくても新規事業を立ち上げるに何ら困難のないような、そういう大企業だとかその子会社だとか、あるいは大銀行やベンチャーキャピタルが既に支援申し出ているような企業、そういうところに助成が行くようであってはこの法律の精神にそぐわないのじゃないか。  だから、新規事業の立ち上げに困難なそういうところにきちんと支援が行くというためには何か基準があるのだと思うのですね。こういうところはちょっと難しいよ、ここは個人としてやろうとしているんだ、あるいは中小企業としてこういう新しい開発をやろうとしているんだというあたりの見きわめですね、これはどんなところでつけるのか。局長で結構です。
  126. 有村正意

    有村政府参考人 今回の制度は、総括政務次官が申し上げましたように、通信・放送分野の新規事業創出の担い手となりますスタートアップ段階のベンチャー企業とか、創業をしようとする個人を支援することを目的にしております。  先生もお話しになりましたけれども、法令上は大企業とか大企業の子会社であるかどうかというのにかかわりないということになっておりますけれども、やはり自力で資金調達が可能かどうかということを判断して助成をするということになると思っております。  通常、大企業とか大企業が資本金の大部分を出資している子会社である、そういうことになりますと、自力で資金調達ができるわけでございますので、その場合には支援の対象にならないものというふうに考えております。  これをどういうふうにして実現するかにつきましては、私どももベンチャー企業の実態などを調査しながら現在検討しておるところでございまして、具体的には、通信放送機構が、この法案が成立いたしまして実施をいたします際に、助成金交付要綱を決めて助成をしていくわけでございますので、その中で申請事業者が自力で資金調達が可能かどうかを判断するための具体的な要件を定めていきたい、そういうふうに考えております。     〔委員長退席、伊藤(忠)委員長代理着席〕
  127. 矢島恒夫

    矢島委員 午前中にもいろいろ出てまいりました、評価委員会というものですけれども、いろいろなインターネットを利用した高速低廉な情報提供サービスなどが新規事業として出てくるわけですけれども、こういう情報通信社会的インフラとしてインターネットというものが急速に発達しているという状況の中で、それを利用したところのビジネスというのもこれまた次々と立ち上がってきていると思います。  しかし一方、そういう中には、残念ながら、反社会的な情報提供、例えば麻薬そのほかのドラッグ販売だとか、あるいはわいせつな画像を流すとか、そういうようなものもないわけではない。  そこで、もちろん、国のお金を使って助成するわけですから、こういう反社会的な企業に対して助成するなんということは毛頭あってはならないことですけれども、それがどういうふうにして判断され、そしてまた、つまり申請があったときの審査、午前中ちょっと評価委員会お話が出ましたが、もうちょっと詳しくお話しいただけますか。
  128. 有村正意

    有村政府参考人 通信放送機構が助成金の交付を決定するに当たりましては、ベンチャーの技術に詳しい、あるいは経営に詳しい専門家でございますとか、さまざまな外部の専門家から成ります評価委員会の判断を反映させるということにしておりまして、その評価委員会におきます審査に当たりましては、申請された事業がどのような事業かということも当然審査されるわけでございますので、そのプロセスで、反社会的な情報を提供するような事業、こういったものについては助成金の交付対象から排除されていくということになると考えております。
  129. 矢島恒夫

    矢島委員 新しい事業が立ち上がるときに援助するということに当たって、今後つくられるわけですが、それぞれの専門家であろうと思いますし、有識者であると思いますが、この評価委員会の判断というのは非常に大きいと思うんですね。  午前中にも、実際に法の趣旨にのっとって使われているか、また申請とは別のことを始めちゃったとか、いろいろな問題が起きたときに、やはり、この法についてもう一回見直すという気持ち、こういうものも必要だ。つまり、判断が間違っていた部分、あるいは法的に不備な部分によってそういう事態が起こった。ですから、それはもちろんやってみなきゃわからないという部分はありますよ。だけれども、やった結果どうだったかということを、一定の期間、例えば二年後なら二年後これを総括して、そして、もし見直す必要があったならば見直すことが必要だ。  これを、実は午前中、同僚議員が質問したんですよ。政務次官は大体私も納得するような話なんです。ちょっと間をあけて大臣に同じことが質問された、見直すかどうかと。そうしたときに大臣は、今後もしっかり支援していくという御答弁だったんですけれども、また、もし見直す必要があるときにはきちんと見直すんだということでよろしいですか。
  130. 八代英太

    八代国務大臣 支援しっ放しということもいけないと思いますし、ある程度の成果は期待を持って大切な税金で支援するわけでございますから、全体をしっかり検証しながら、見直すべきところは見直していくのは至極当然のことだ、このように思っております。
  131. 矢島恒夫

    矢島委員 次に、システム法の方へ質問を移します。  通信放送機構、いわゆるTAOが行う研究開発というのは二種類あったと思います。つまり、通信放送機構が直接行うところの直轄研究というのと、それから企業など、あるいは大学なども含めますけれども、外部の機関に委託して行う委託研究、この二種類があった。私たちは、後者の方については、つまり委託研究というのは事実上の大企業の補助金だとして反対しました。  二〇〇〇年度の通信放送機構の経費を見ますと二百五十三億円、昨年がたしか百六十七億円、そうすると約一・五倍にどんどん伸びたわけであります。そこで、昨年度と今年度の当初予算で、通信放送機構関係費のうち、直轄研究費と委託研究費、それぞれどうなっているか、お答えいただきたいと思います。
  132. 有村正意

    有村政府参考人 通信放送機構の平成十一年度の当初予算額で申しますと、直轄研究が五十六・三億円、委託研究が三十・七億円でございます。十二年度の方は、直轄研究が六十二・四億円、委託研究が五十九億円ということになっております。     〔伊藤(忠)委員長代理退席、委員長着席〕
  133. 矢島恒夫

    矢島委員 いずれにしろ、委託研究の伸びというのが非常に大きいということが言えると思います。  実は、委託研究の場合、どれだけの予算が今日まで投じられてきたのか。委託した先、金額等も含めて、上、幾つでもいいです、三つか四つお話しいただけますか。
  134. 有村正意

    有村政府参考人 通信放送機構委託研究でございますけれども、これは平成八年度から始まっておりまして、平成十一年度までの総額が百二十七億八千二百万ということでございます。  平成十一年度までの委託額の上位の会社と委託順を順に申し上げてみますと、まず日本電気が二十二億五千四百万円、これは累積でございます。いずれも以下同じでございますけれども、その次に日本電信電話が、これは再編前の日本電信電話株式会社でございますけれども、二十一億六千六百万円、次が、KDD研究所が十億五千百万円、富士通が六億六千八百万円、大体そんなふうになっております。
  135. 矢島恒夫

    矢島委員 時間がなくなりましたので、はしょりますが、私は、ホームページで委託研究の二十のプロジェクトの予算と委託研究先が公表されていますので、それを見ました。今も日本電気から始まってKDD、富士通などなど、委託研究に相当多額の、つまり上位の企業というのはいずれも大企業であることは間違いないんですが、ホームページを調べてみましたら、日本を代表する大企業がずらっと並んでいるんですね。  それで、委託研究に参加している、二つ参加しているのもありますから、延べにしますと五十六社ありました。大企業十六社だけで八〇%を占めているんですね、委託研究の場合。百三十六億円。ホームページには百三十六億円、今のお答えでは百二十七億八千二百万円というお話ですが、大体百三十億円近いお金のうち、八二%はこの十六の大企業が受け取っているんですね。こういう状況に対して、私たちは、どうもこれは大企業に対する補助金のようなものだということで反対したわけです。  しかし、直轄研究というのはそれなり意味があると私たちは考えております、研究成果というものが国民に還元されるという意味で。ただ、ここで問題なのは、直轄研究の共同研究にもいろいろな企業が参加しています。NTTだとか沖電気だとか参加しているわけですが、この研究成果の問題なんですが、研究成果を共同研究に入っているそういう企業が独占するようなことがあってはこれまた問題なんですけれども、入っていない企業に不利益になるようなことがないのかどうか、その辺についてお答えいただきたい。
  136. 有村正意

    有村政府参考人 直轄研究についてのお尋ねでございますけれども、通信放送機構におきましては、共同で研究をいたします場合にも、契約でその成果については公表するということを取り決めておりまして、研究終了後、研究成果は報告書とかあるいは研究発表会などによりまして公開をするということになっております。  また、共同研究の結果得られた特許権等につきましては、通信放送機構と共同研究者が貢献の度合いに応じて共有をするということになるわけでございますけれども、通信放送機構としても公表をしているということでございまして、通信放送機構としては、直轄研究の成果というものにつきましては、共同研究に参加していない企業からの利用についても配慮をいたしまして研究を進めているということでございます。
  137. 矢島恒夫

    矢島委員 最後に大臣にお聞きしたいんですが、今度のこの法が制定されまして、農林水産省や自治省との連携ということで行われます。前にも二つ追加されてまいりました。私たちは、こういうシステムが本当に国民の利便性を高めるということで、賛成してきました。公共性があるというだけでなくて、やはり国が積極的に関与しなければなかなか研究開発が進まないという分野が採算の点からいってもあるわけですから。例えば、前にも私もこの委員会で話をし、評価したのですが、駅などの公共施設、そういうところで身体障害者や高齢者のための移動を助けるシステム、こういうものが入っているということで、私は賛成した。  そこで、今後もやはりバリアフリーの観点から、運輸省だとか、あるいは社会保障分野については厚生省だとか、そういうところと連携した、そういう意味での公共システム、こういうものの分野での開発、そこにぜひ力を入れてもらいたいと思うのですが、ひとつその点での大臣の決意をお願いします。
  138. 八代英太

    八代国務大臣 大変バリアフリー化というのは重要でございますし、まさに内閣にもバリアフリー閣僚懇というものも私どもが提唱いたしまして、全体の情報通信分野のみならず、いろいろな意味でのバリアフリー化は今後の大切な政策だろう、このように思っております。  情報通信は、特に高齢者、障害者が抱える距離やあるいはまた時間の制約を克服する。別に車いすでタイムカードを押さずとも、テレワークとかあるいはSOHOとかというような情報通信によって、自分の家で気楽に企業活動ができる、社会参加ができるという面においても、大変社会参加の手段として大切だというふうにとらえております。  こうした観点から、実は情報バリアフリー環境の整備に向けた施策は各省といろいろ連携をいたしておりまして、例えば交通分野においては運輸省と連携をしながら、平成十年度から、自由な移動が困難な障害者等による鉄道駅の利用を支援するための情報通信システムの開発とか、あるいはまた福祉分野においては厚生省と連携をいたしまして、平成十一年度から、各地の地方公共団体の協力を得まして、きめの細かい効率的な福祉サービスの提供や、高齢者の自立を支援する情報通信システム研究開発、こんなふうなことをやっております。  バリアフリー懇談会も、先般いろいろな提言をまとめていただきましたので、二十一世紀に向けた情報バリアフリー環境の整備に向けた課題、提言がこの報告書の中に盛り込まれておりますから、しっかり提言をいただいたことを踏まえまして、一つ一つにはなります、先般の矢島委員が御熱心に御質疑いただきました、例えば聴覚障害者の文字放送とか、そういうものを含めたいろいろなことが形になれば、完璧でなくても、それを実際利用しながら、運用しながら、またそれをさらに開発していく、さらにまた進歩させていくということで、万般にわたって取り組んでいくことがこれから情報社会では大切だ、こういう認識を持っております。
  139. 矢島恒夫

    矢島委員 学校インターネットの問題で質問通告しておきましたが、時間になりましたので終わります。
  140. 前田武志

    前田委員長 次に、西田猛君。
  141. 西田猛

    西田(猛)委員 保守党の西田猛でございます。本逓信委員会では初めて保守党が質問させていただきます。  私は、情報通信と保守という概念は非常に重要な関係を持っていると思いまして、実は、この保守党という命名、これは英語で申し上げますと、当然のことながらコンサーバティブということであります。このコンサーバティブというのは、もう皆様重々御承知のこととは存じますけれども、日本語で言えば保守という何か古めかしいイメージがありますが、英語の単語としては非常にいい意味を持った単語でありまして、語源をひもとけば、ラテン語のコンという接頭辞とサーブという言葉からできているようであります。コンというのはもう皆さん御存じのように、ともにという意味でありまして、要するに、ともに助け合う、ともに働き合うというのがコンサーバティズムの語源だそうであります。これは要するに、共同体というものを守り育てていくのがコンサーバティズム、保守主義だということなんだそうです。  私どもが考えておりますのは、将来的な世界はそういうお互いに近親感を感じることができるようなコミュニティー、共同体があって、そして地球上全体があって、それらは、地域内はいわばイントラネットで結ばれ、そして世界じゅうはグローバルにネットで結ばれて、貿易、通信、科学技術の開発などが行われていく。そういう社会になれば、戦争もそんなに起こらず、皆自分の温かさとかコミュニティーの近親さを感じながら幸せに暮らしていけるようになるのではないかなというふうなことを、夢かもしれませんが、私は思っております。  そのような中で、この高度情報通信化というのは非常に重要でございます。きょうもずっと大変有意義な御質疑がございました。今度、通信放送機構、TAOというふうに呼ばせていただきますけれども、TAOが通信・放送の新規事業の実施に必要な資金を助成できるということになります。助成金は、返されることが予定されていない税金でございましょうし、その意味においては、この助成をされるに当たっては十分気をつけていかなければならないし、かつ、この助成金の経理については、透明性をいやが応も保っていかなければならないというふうに考えているのであります。  そんな中で、私、今回の改正法案を見ておりまして思いましたのは、新しく今度設けられた助成金交付事業、これはどうも別建てで経理区分をしていく方が透明性の確保という点からはいいのではないかなというふうに思うのであります。従来、このTAOの中には経理区分として六つあるようでございますけれども、従前の六つの中の経理区分にそれぞれ分けて経理されるようでありますが、助成金交付という新しい事業ですから、ぜひそれ一つでわかりやすい、国民の皆さんのどういう方がごらんになってもわかるようなお金の出入りをされたらいいのではないかなというふうなことも考えております。  この点の御答弁もいただければいいとは思うのですけれども、それを踏まえて、きょうも午前中からずっと御質疑が出ておりますが、特にイメージしておられる助成対象、助成をする対象の新規事業あるいは企業の具体的な姿を少し語っていただけますでしょうか。
  142. 小坂憲次

    小坂政務次官 西田委員には大変に御理解をいただきまして、ありがとうございます。  今御指摘いただきましたように、勘定は六つに分かれているわけでございます。現在の勘定は、一般勘定、衛星所有勘定、研究開発債務保証勘定、研究開発出資勘定、研究開発推進勘定、そして高度電気通信施設整備促進勘定の六つでございます。  今回の助成金交付業務につきましては、このうちの研究開発債務保証勘定に整理することにいたしておりまして、研究開発債務保証勘定は、研究開発債務保証という名称が付されておりますけれども、内容といたしましては、高度通信・放送研究開発に対する研究開発債務保証業務のほか、通信・放送新規事業に対する債務保証業務、それから地域のCATV事業に対する利子補給業務、それから情報提供業務等民間の事業に対する支援業務に係る勘定となっているわけでございます。  委員が御指摘のように、今回のベンチャーの助成というのは大変重要だから独立勘定とすべきだというお考えも確かにあるわけでございますが、今回の助成金交付業務も新たな民間事業に対する支援業務であることから、この勘定に経理区分しても特段の支障はないのではないかということで、御意向は踏まえながらもこのような方向でやらせていただきたいと現在考えているところでございます。
  143. 西田猛

    西田(猛)委員 ありがとうございました。  それを踏まえまして、今回助成の対象になる新規事業のイメージを語っていただけますでしょうか。
  144. 小坂憲次

    小坂政務次官 失礼しました。新規事業のイメージという御質問もあわせていただきました。  これは先ほども幾つか答弁させていただきましたが、助成する事業としては、今まで全くなかったサービスだ、こういう新規性とか、従来提供されていなかった新しいサービスを提供する業務であるとか、あるいは、今までこういうものがあったらな、考え方はあったけれども実用化した人がいない、これをやったら非常に効果が大きいだろう、そういった技術を用い、サービスの価格を著しく低下させるような効果があるとか、あるいは通信・放送分野に著しく貢献をしていただけるようなものを助成していきたい、そんなイメージを持っております。  この新規性の判断は、外部の評価委員会という中に、ベンチャー企業に詳しい方とか、あるいはそういった技術に詳しい方、ベンチャーの経営に詳しい方、そういった方から成る評価委員会を設けまして、この評価を受けまして通信放送機構が助成金の交付決定を行うことといたしております。  具体的な通信・放送新規事業の例といいますか、それを申し上げますと、アジア各地の政治経済情報をインターネットを通じて低コストで配信をする事業とか、あるいは、従来オンライン照会が困難であった移動体からのクレジットカード認証を可能にするシステムを提供する事業等、こういった例が考えられるわけであります。
  145. 西田猛

    西田(猛)委員 ネット時代のベンチャーに対する助成でありますから、ぜひよくよく吟味をされた上で、しかしながら、勇気を持って助成事業に当たっていただきたいと思います。  その意味では、八代郵政大臣を初め両政務次官あるいは郵政省皆様方の力量が、これから我々大変御期待申し上げたいところでありますし、来年以降、総務省になってからもぜひこの事業を推進していただきたい。特に、この通信放送機構が中心になってやっていただくわけですが、この通信放送機構、従前から非常にすばらしい事業をいろいろとやっていただいております。  これまた、私どもの地元の話になって若干恐縮でございますけれども、大阪府の池田市では、福祉支援情報通信システム開発・展開事業というのが行われております。これはTAOからの、通信放送機構からの研究開発に係る助成金をいただきまして、池田さわやか公社という財団法人が、ひとり住まい、独居の老人の皆様に池田市のマスコットでありますウオンバットという動物の縫いぐるみに通信の機能を内蔵させまして、安否の確認ですとか福祉、それから健康の相談などが、おひとり住まいの老人の方がその人形の通信機能を通じてできるというシステムも開発しております。そのために、TAOは多大な力を発揮していただきました。そのようなこともしていただいておりますので、これからも新しい助成金の措置もできます。  そこで、大臣に一言お伺いしたいのですけれども、通信放送機構を使って、さらなる日本のネット時代、高度情報化に向けてのお考えをお述べいただければと思います。
  146. 八代英太

    八代国務大臣 西田委員から御紹介がありました福祉分野の情報化の一環として、大阪の池田市における通信機能を持つペット型ロボットをお年寄りや要介護者のお宅に設置して、安否の確認や健康相談などを行うことができるというシステムを平成十一年度から研究開発をしているわけでございます。  これからまさに地方分権の時代でございますし、また、介護サービスも四月から始まったわけでございますが、でき得れば、例えばケアプランということでいろいろもめることが予測されますと、一週間ぐらいこういうものがケアの状況全体を把握して、それをコンピューターが認証をして、そのまま例えば要介護一なのか二なのか三なのか、そういうシステムをこれからゆめゆめ考えられる、そういう時代もやってくるだろうというふうに思っております。  いろいろこれから、国際的視野に立った戦略的な研究開発はもとよりといたしまして、私たちの暮らしの中に福祉分野でこうしたものがどんどん開発されていく、それがまた新たな発信となって、池田市から全国にそういうシステムが波及していくような効果も踏まえて、これからいろいろ考えていかなければならない、その取り組みにも私たちも積極的に推進の方で努めていきたい、このように思っております。
  147. 西田猛

    西田(猛)委員 ぜひ、郵政省、総務省、通信放送機構の健闘をお祈りしたいと思います。  では、以上で終わります。
  148. 前田武志

    前田委員長 次に、中井洽君。
  149. 中井洽

    ○中井委員 久しぶりに逓信委員会で質問させていただきます。八人目ぐらいですので、法案の中身はほぼみんな各党賛成でもありますし、事前にレクチャーと言われましても、大体よその党と重なるのだろうと思って、別に項目も出さずに率直に質問をいたします。お答えをいただければありがたいと思っています。  最初に、委員会の席でありますが、小渕前首相の一日も早い御回復をお祈り申し上げます。  実は、前日、本会議場で有珠山の噴火を聞きまして、私、我が党の藤井幹事長に明日の会談を延期すべきだと強く申し上げ、私ども党内も圧倒的にそういう声がございました。私どもの党から申し入れた会談なだけに、なかなか幹事長もちゅうちょされたのでありますが、小沢党首と相談の上延期方を申し入れた。残念ながら官邸もお急ぎになられて、有珠山の噴火といっても、まあまあ予知のあれでいけば長引く可能性が多い、こういう御判断であったようでございまして、一日に会談が行われた。私どもは、そういう状況で、二階さんも仲間でございましたから、とりあえずお話を聞いて帰ってくる、こういうことになったわけでありますが、ああいう形で決着がつけられました。この世界、たらればはなしでございますけれども、この十日間ばかり、時々そんなことを、もしもということを思っているわけでございます。  そういう中で、一つ大臣お尋ねしたいのは、大臣は、小渕前首相が倒れられた、これは第一報を、どういう形で、いつどなたからお聞きになったか、この点をお聞かせいただきます。
  150. 八代英太

    八代国務大臣 四月一日が土曜日、それから二日が日曜日でございました。先ほども渋谷議員にはその旨私のその日のことを申し上げたのですが、政務を終えまして、いろいろな行事がありまして、家に帰りましたのが十時過ぎでございました。それから記者会見が緊急に開かれたということで、青木官房長官の十一時過ぎの記者会見でございましたでしょうか、そこで私は初めて知った、こういうことでございます。
  151. 中井洽

    ○中井委員 二日の晩の十一時半の記者会見でということでございます。今お話の出ました渋谷議員の御質疑の中で、明くる日ですか、また、その次の四日の閣議のことについてもお尋ねがございました。  大臣、御答弁で、事前通告もなしに整理もされていないのできちっとというお答えをされておりましたが、少し整理ができて当日等のことがおわかりだったらお答えいただければいいし、もし、きちっと問い合わせたりしてこういうことだったという御報告がいただけるのなら、次の委員会にでもお出しいただければありがたい、こう思いますが、いかがですか。
  152. 八代英太

    八代国務大臣 私、先ほど渋谷委員の質問に対しまして、四月四日の昼の閣議と申しましたが、四月三日の閣議でございました。そのぐらい私自身も動転をいたしました。  実は、私の家から二丁目ぐらい離れたところが王子本町という小渕さんの東京の私邸でございましたので、そういう意味では大変心配もいたしましたし、びっくりもいたしました。そんな思いの中で、その間、恐らく側近であった青木官房長官が、いろいろと国会での御報告がございましたけれども、私は、恐らく青木官房長官も単なるちょっとした過労からという思いで、すぐ戻られるというような思いの中におきまして、その間の何時間というものがいろいろ議論されているようでございますが、私は、みんな精いっぱいやったというふうに思っておりますし、そのために一日も早く御快癒を願うのが、今私の心境でございます。
  153. 中井洽

    ○中井委員 ここで論議をしようとは思いませんし、する場でもなかろうかと思います。  今回の交代劇を見させていただいておりますと、民主党さんは何か秦の始皇帝のお話を出されておりますが、私は、江戸時代の大名や旗本や大名の家臣の相続と同じ形でやっている、このことを思いましたし、選挙区でも説明をいたしております。  要するに、養子さんが、あるいは跡継ぎが決まっていない段階で突如当主が倒れる。倒れたのを伏せて跡目相続の届けをして、そして認められてから病状を発表したりいろいろなことをやる。これはこれで、江戸時代はお家を続けるという意味で大事であったんだろうと思っておりますが、今の時代にああいう手続でよかったか、このことを私も考えざるを得ない、このように思っておりますし、重大な問題をつくられたと判断をいたしております。  私ごとで恐縮ですが、私の父親も、かつて国会議員のときに脳溢血になりまして、逓信病院で三カ月御厄介をおかけいたしました。こういったことの状況等を見ますと、前総理が御入院直後から小康を保っておられて、記者会見直前にああいうふうに悪くなられたというのは本当かな、こういう思いはだれしも抱くわけでございます。そんなことを含めまして、また他の機会に論議をしていきたいと思います。  皆さん方にしてみれば、病気の最中じゃないか、ただただ御回復をお祈りするのが人間じゃないか、こういうことかもしれませんが、しかし、それは日本で一番権力のある総理大臣というポストということも考えていかなきゃならない、こういった意味で、あえて申し上げたわけでございます。  御整理ができましたら御提出をいただきますよう、委員長、お取り計らいをお願いいたします。
  154. 前田武志

    前田委員長 理事会において協議いたします。
  155. 中井洽

    ○中井委員 では、法案について簡単にお尋ねをいたします。  若いころに、逓信委員会に御厄介をかけておりましたころにこの機構が立ち上げられました。それからもう十数年、二十年近くになるのか、こう思っておりますが、郵政省の法案といいますと、毎回のようにこの機構に新しい権限をつけ加えている、こういう形で来られました。その割には、人数をふやしたりせずに、ぎりぎりのところで御努力をいただいておるんだろう、こう思います。  これからもこういう形で、この機構にだけいろいろな形でつけ加えてやっていくのか、またこういう政策ばかりでいいのか、こんなことを時々思いますが、大臣としてどのようにこの機構の存在、あり方の御判断をなさっているんでしょうか。
  156. 八代英太

    八代国務大臣 例えば、今般御審議していただいております法律の中にも、これを法律化するほどのものではないのではないかという御意見もあるかもしれません。しかし、法制局等といろいろ、法律を執行していく上におきましてはいろいろな壁もございますし、それらを一つ一つクリアしていって御審議をいただかなければならないという問題もございます。  そういうことを考えますと、これから、来年度は新しい省庁再編に基づきながら、一つの大きな流れがまた新たに始まるということを思っていきますと、いろいろな意味でスリム化してわかりやすく、そして難しい壁をつくらずにスムーズに、喫緊の課題あるいは長期的テーマで論ずる課題、いろいろなものを仕分けしながらやっていくべき時代に来たのではないかというふうに思っております。
  157. 中井洽

    ○中井委員 少し議論がかみ合いませんが。  そういう中で、ベンチャー創業者に対して助成金を交付する、こういうことであります。これはこれで大変結構だと思いますが、五百万、二億円、四十件前後の件数、ここのところは何とも言えない感じでございます。  大体、ベンチャーですから、この四十件ぐらいに助成をされて、どのぐらい成功してくれればいいかな、どのぐらいスタートしてくれればいいかなとお思いでございますか。
  158. 小坂憲次

    小坂政務次官 委員もこの分野においてはずっとかかわっていらっしゃいますので、多分それなりの感覚をお持ちなのではないかと思います。  私どもも、二億円という予算枠、そしてまた五百万円という額でどのくらいの歩合というか打率でいくか、できれば四十件全部が大ヒットをしてくれればいいなと思うわけでありますが、ベンチャーというのはなかなかそういうものでもなさそうであります。これは推移を見ながら、それぞれレポートを出していただきまして、この効果をその都度その都度はかりながら先へ進んでいく。そしてまた、新たな助成制度の参考にさせていただき、評価を加え、このシステム全体をまた見直していく。  こういう形で進んでいくということで、今のところ、応募件数が大体何倍になるのか、先ほど申し上げたように五、六倍、あるいはもっと激しい競争になるかもしれない、こういう予想をしながら、ニーズはあるものとは思っておりますが、その打率につきましては、そういう意味で、具体的なものにつきましては、今後の推移を見ながらまたお答えをする機会を得られればと思っておるわけでございます。
  159. 中井洽

    ○中井委員 ちょうど細川内閣のときに、短期間ですが、商工委員長をさせていただきまして、そのときに、ちょうどベンチャーの融資というのがスタートいたしました。  私、三重県ですから、三重県へ帰ったときにいろいろなお話を聞いておりましたら、陳情がありまして、申し込んだけれども返事がはかばかしくない、こう言うので、県の担当者に電話をかけて、どうだと聞きましたところ、保証人がいない、こう言うんですね。あなた、ベンチャー企業というのはそもそもそういうものじゃないんだろう、保証人がいないからベンチャーで苦労しておるんじゃないか、こう言ったことを思い出しております。  先ほど小坂さんは、ベンチャーの経営に詳しい人等、こういうお話がございましたが、そんなにベンチャーの経営に詳しい人が郵政省関係にいるわけもなかろう、こう思いますし、余り厳しくやっちゃうとだめだろうし、緩くやると全部つぶれちゃう、大変難しい助成制度だろうと思います。少しでもおもしろい企業がスタートできる、こんな夢でみんな賛成するわけですから、そこのところを十分お考えいただいて、御努力をいただきますように。  せっかくの機会ですから、もう一つお尋ねします。  この申し込みだとか、そういういろいろな計画を出すのは、やはりコンピューターで出せばいいというふうになっておるんですか、書類を一々届けていただくということになるんですか。そこら辺はどうですか。
  160. 小坂憲次

    小坂政務次官 先ほどおっしゃるように、ベンチャーの詳しい人というのは郵政省関係だけではなかなか難しいかもしれません。しかし、民間の方を募って、アメリカにおけるベンチャー等を研究されている方もいらっしゃいますし、また、ベンチャーキャピタルとして大変厳しい目を持ちながら精通されている方もいらっしゃいますので、そういうお知恵を拝借しながらやってまいるつもりでございます。  また、御指摘のように、どういう書類が必要かということについては、先ほども御質問ありましたけれども、障害になるほどに分厚い書類を出してくれとか、余りこういうことになると、それがもうベンチャーをつぶしてしまうことにもなりかねない。しかし、そうかといって、インターネットで簡単に書いてぽんと送れば、それですぐにお金がもらえる、そうもなかなかいかないものですから、ある一定限の書類を出していただく。  それから、募集に当たりましては広く広報して、そして、そういう際にいろいろ賜る意見も聞きながら、今回の法案審議の中でもいただいた御意見等を参考にしながら、その申請の書類の態様につきましても考えてまいりたいと思いますし、御指摘のように、できるだけ簡素化を図り、そしてまたインターネットで申し込み等ぐらいは、書類を送れというぐらいはそれでもできるかもしれません。  そんなことも検討しながら、障害にならないように努力をいたしたいと思っております。
  161. 中井洽

    ○中井委員 とにかく税金ですから、国の関係の金融機関を含めて、いろいろな融資制度、助成制度、書類、大変だというのはよくわかりますが、膨大なむだがありますから、ベンチャー企業人たちにとっては、こういうところをクリアするだけでも並大抵ではない。しかし、コンピューターをいじって計画やバーチャルプランを出すというのは非常に得意なところだろう。  したがって、そういったところを大いに生かして、有効に、あるいはよりよい企業育成家が出てくるように御努力をいただきたい。このことをつけ加えて申し上げておきます。  それからもう一つ、特定公共電気通信システムの方でありますが、自治省と提携をされて地方公共団体の申請手続等電子化に取り組まれる、こういうことでございます。  せっかくの機会でございます。大臣、かつて戸籍のコンピューター化というのを法務省はいたしました。それ以来もう六年ぐらいになろうといたしております。三千数百あります市町村、戸籍のコンピューター化というのはどのぐらい進んでいると御認識でしょうか。
  162. 八代英太

    八代国務大臣 いろいろこれからは、電子政府の構築も含めまして、やはり三千三百の市町村がよりペーパーレス化をしていくという意味でも、この情報通信分野というのは大変重要になっていくと思います。  例えば、住民票を今ワンストップサービスでやるとかというような試験的なこともやっておりますし、それぞれの自治体もいろいろな意味での情報化ということに取り組んでいただいております。細かい資料、どこの市がどういうことをやっているかということも、たくさん御紹介すべきような状況で今かなり進んでおりますので、それらも踏まえて、これからだんだん、地方分権時代でもございますから、まず、市役所にそのシステムがあって、病院であれ、介護でも遠隔介護とか遠隔治療とかというようなこと、あるいは図書館が、どういうところにどういう本があるかというようなデータ、いろいろなことを含めて、行政のスリム化も考えながら、地域の皆さんにサービスするための情報化コンピューター化ということはますますこれから顕著になっていくだろう、このように思っております。
  163. 中井洽

    ○中井委員 僕がお尋ねしたのはそういうことじゃなしに、戸籍のコンピューター化、日本人の名前がコンピューターの中へ載るというのは大変なんですね。大変お金がかかりまして、まだ二〇%いっていないのではないか。ここらがやはりアメリカに、あるいはヨーロッパ諸国にペーパーレス化で劣っている大きなネックになっていると僕は判断しています。  市町村は、これを自分のお金でやらないとコンピューター化できない。前の国会で、住民の基本台帳というところはコンピューター化になりました。これもそういう点をお使いになっておやりになるのだろうと思いますが、トータル的に行政サービスの面でそこのところを突破しないとなかなか欧米に追いついていかない、このことを心配しています。  しかし一方では、そういうことをやればやるほど、プライバシー侵害だという声もある。ここら辺を早くクリアをして、住民にとって大いにサービス向上になるように、また、郵政省のお考えになっておるワンストップサービスが、ワンストップじゃなしに、本当にいろいろな形で有効にこの二十一世紀に生かされるように御努力をいただきたい、このことを申し上げて質問を終わります。
  164. 前田武志

    前田委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  165. 前田武志

    前田委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  まず、特定通信放送開発事業実施円滑化法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  166. 前田武志

    前田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、特定公共電気通信システム開発関連技術に関する研究開発推進に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  167. 前田武志

    前田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  168. 前田武志

    前田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  169. 前田武志

    前田委員長 次に、内閣提出郵政官署における原動機付自転車等責任保険募集の取扱いに関する法律案を議題といたします。  この際、お諮りいたします。  本案審査のため、本日、政府参考人として、運輸省自動車交通局長縄野克彦君、郵政省郵政大臣官房長松井浩君、貯金局長團宏明君及び簡易保険局長足立盛二郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  170. 前田武志

    前田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  171. 前田武志

    前田委員長 これより質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。中沢健次君。
  172. 中沢健次

    ○中沢委員 民主党の中沢でございます。  八代郵政大臣、そしてお二人の政務次官、再任をされました。まずそのことを心からお祝いを申し上げたいと思います。郵政行政全般としては大変課題が山積をしておりますが、ぜひひとつ頑張っていただきたいと思うのです。  具体的な質問に入る前に、私は北海道の出身ですから、先ほど、郵政大臣が十六日に現地にお見えになる、こういうお話でございます。そのことに関連をして、一つ二つ、お礼を含めて申し上げたいと思います。  三十一日、ああいう緊急事態になりまして、非常に北海道の郵政局、あるいは電監局を含めて、本省もそうでありますが、臨時郵便局を開設するだとか、移動体の電話関係のいろいろな配備をするだとか、あるいはところによっては郵便の有料のはがきなどを無料で配布をする。極めて迅速に、しかも適切なさまざまな対策が講ぜられた。私は、地元の出身の国会議員として、まずそのことを心からお礼を申し上げます。  さて大臣、せっかく十六日行かれるわけでありますから、ひとつ提案といいましょうか、私の希望を申し上げたいと思うのです。  知ってのとおり、郵政省の事業として、ケアタウン、二年間の指定がえということでやっておりました。これは全国的にも大変希望が殺到しておりまして、御承知のように、新年度で改めて全国五十カ所、北海道はおかげさまで五カ所、指定をいただいています。  私はやはり率直に考えまして、いろいろな郵政本省、地元の対策、これから必要でありますが、この際ですから、一自治体せいぜい四千万円程度の財源でケアタウンは具体的に運用ができると思いますから、伊達市、虻田町、壮瞥町、この一市二町に限ってぜひひとつ、せっかく郵政大臣が現地に行かれるのであれば、その程度のお土産と言ってはちょっと言葉としては適切でないかもしれませんが、具体的な、やはり郵政大臣として、ぜひひとつケアタウン、特別に被災地の皆さんに対する元気を与える、こういう立場で積極的に内部検討していただいて、できれば十六日、訪問された折にそのことを現地で発表されてはいかがか。  これは質問通告をしておりませんけれども、お互いに政治家でありますから、その程度のことは、ひとつぜひ決意を含めて、お答えをお願い申し上げたいと思います。
  173. 八代英太

    八代国務大臣 私も、十六日の一番早い飛行機で現地へ伺いたいと思っております。そして、何より気になっておりますのは、特に高齢者の皆さん方がどういう思いで避難されているか、あるいは、障害を持った方あるいは聴覚、視覚に障害を持った方々がどういう形でそこの避難生活を送っておられるかということにも激励を申し上げたい、こういう思いも大変強うございます。  そのケアタウン構想も、全国五十カ所、そして一千万ずつ二カ年、こういう形で実施しているわけでございますけれども、こういうことも踏まえて、とにかく十六日には、現地へ参りましてしっかりと皆さんの御意見を聞いて、中沢委員の御指摘の件も踏まえて、また私なりに答えをまとめさせていただきたい、このように思っております。
  174. 中沢健次

    ○中沢委員 ぜひ私としては期待をしたいと思いますから、特別な決断も含めてよろしくお願いを申し上げたいと思います。  さて、これから具体的な法案の質問に入りますけれども、我が党としては、もちろん私もそうでありますが、この法案については賛成でございます。  幾つか資料もいただいておりますけれども、お尋ねをしたいと思うんですが、一つは、およそ十年間ぐらいにさかのぼって、原付自転車、全国的にどういう保有台数の推移をしているのか。十年前と比べて今日ふえているのか減っているのか。あるいは保険の加入ということでいいますと、かなり全国的に濃淡、つまり、加入率の高い府県と低い府県、非常に極端な差が私はあるんではないかと思いますが、そういうことも含めて、加入率のこの十年間ぐらいの全国的な、あるいは、そういう私の言ったような特徴も含めてどういう推移になっているか。それから、大事なことは事故の発生件数だと思います。これもこの十年間ぐらいどういう推移をたどっているか。  この三つ、特徴的に十年間ぐらいの推移、改めて、数字として、あるいは特徴的な事項としてお答えをいただきたいと思います。
  175. 前田正

    前田政務次官 議員御指摘の質問でございますが、手元にあります資料ですが、昭和六十三年、保有車両数が大体一千五百六十万台ぐらいです。それから、平成元年にやはり同じく一千五百万台ぐらい、それから、平成二年、平成三年、平成四年、大体同じようでございまして、近年、平成八年と平成九年が一千三百万台ぐらいにちょっと減っておる、こういう保有台数の統計が出ておるところでございます。  それから、あとは保険の加入ですか、この自賠責の保険とそれから自賠責の共済、両方ございますが、これにつきましても、昭和六十三年が一千百五十三万九千、それから、平成元年からも同じく一千百五万八千台、それから、同じように平成二年、平成三年、大体よく似たところでございますが、先ほど申し上げました平成八年と九年で、この保有台数も減っておりますと同時にこの保険も加入が減っておりまして、この時分では、平成八年で大体九百九十九万六千台、それから平成九年で九百六十七万台、こういうふうな形になっております。  若干地域的にも多少この保険の加入度合いというものは違うようでございまして、特に北海道とか東北はやはり全体的に少ない、こういうことになっております。
  176. 中沢健次

    ○中沢委員 まだ答弁漏れがあります。事故発生については。
  177. 前田正

    前田政務次官 事故発生につきましては、平成十年で、原付自転車が四万五千五百件、軽二輪自動車が四千七百件、合計約五万件ぐらいということになっております。
  178. 中沢健次

    ○中沢委員 今、十年間の推移、それから特徴的な事項についてお答えをいただきました。私は、資料をいただいて、原付自転車にしても、あるいは軽二輪にしても、全体としてはふえているのかなと直感的にそう思ったんですが、結果的に、この十年間で原付で三百万台ぐらい減っている。これはどういう理由があるのかよくわかりません。もっと言うと、これから郵政省が保険代理店ということを実際やるわけでございまして、今直ちにお答えいただかなくて結構でありますが、これからやはり、全体的なそういう市場の傾向についてしっかりとできるだけ客観的にこれからの推移を把握する必要があると思いますから、そのことを念のために申し上げておきたいと思うんです。  それともう一つ、原付にしても軽二輪にしても、いわゆる車検がない。これは、私自身は別に車の免許を持たないことを自慢にするわけじゃありませんが、幾ら原付といったって、普通十万も二十万もする、結構なやはり騒音も上げるし、あるいは環境に対するさまざまな影響だってあるのに、どうして車検がないのかなと。これは別に郵政省責任ではありませんが、運輸省あたりはどういう見解を持っているのか。運輸省をきょう呼んでおりませんけれども、その辺の理由について何かお答えができれば、お答えをお伺いしたいと思います。
  179. 前田正

    前田政務次官 その車検のことでございますけれども、もともと、自動車の保守管理は自動車使用者責任のもとになされるべきものでございます。自動車は、交通事故だとか環境汚染により、自動車の使用者自身の生命とかあるいは身体のみではなく、第三者の生命、身体にも影響を与える危険性を非常に含んでおるものでございます。国は、自動車の安全の確保と環境の保全を図る観点から、安全及び環境に関する基準を定めて、自動車の車検によって各車両の基準への適合性を確認をしておると聞いております。  一方、原動機付自転車等につきましては、その構造上非常に軽量であって、そしてスピードも低く、構造も大変簡単にできております。また、走行距離が非常に短く、乗車人員も少ないことなど、その運行形態から、安全の確保と環境の保全を図る上で、国があえて検査制度により基準への適合性を確認しなくとも、使用者みずからの保守管理責任に任せても差し支えないことから検査の対象外としておると聞いております。
  180. 中沢健次

    ○中沢委員 そのことの是非をめぐっては、また別な委員会あたりで議論をしたいと思っておりますが、そういう運輸省の基本的な考え方については、答弁としては受けとめておきたいと思います。  さて本論に入りますが、今回初めて郵政省が、いわゆる現場で、郵便局の職員の皆さんが事実上の損保関係の代理店業務、例えば、台数で言うと恐らく二百七十万ぐらいまだ未加入でありますから、業務としてはこれから大変な作業量になってくると思うんです。  そこで、今度の法案を提出をした、つまり郵政省が出先を含めて損保の代理店業務を行う、この基本的な理由といいましょうか、それについて、これはやや精神論かもしれませんが、大臣の方からお答えをいただきたいと思います。
  181. 八代英太

    八代国務大臣 私ももちろんオートバイの免許を持ったことがありませんし、車は人に乗せてもらうものだが私の主義でございまして、そういう意味では、車両にまつわるいろいろな仕組み等々は余り理解をいたしておりません。  さてそこで、郵便局における原動機付自転車に係る自賠責保険の取り扱いの、なぜこういう法改正を行う理由があるのかというお尋ねでございますが、強制保険でありながら自賠責保険の加入の有無を確認する機会がないことから、無保険車両が非常に発生しやすい、これが一つはあると思います。  それから、交通事故被害者団体を初め交通安全関係団体から、郵政省に対して実は要望が大分寄せられております、野田大臣のころも含めて。私も、手元に何でこれが、警察に要望が行かずに郵政省に来るのだろう、こういう思いもしたのですけれども、やはり無保険車両対策の徹底という、言ってみれば、交通安全基本計画の中で何よりも政策課題一つとして掲げられてもおりますし、そういう意味では、まさに郵便局ネットワークをこの際積極的に御活用いただいて、別に郵便局がそれによってもうけるとかなんとかというもの以前の、いわば社会的な一つ郵政行政責任において、原動機付自転車等の自賠責保険に限定して、民間損害保険会社からの受託として取り扱うこととするような仕組みになっておるわけでございます。  積極的に郵便局員が行って、さあ、入ってくださいというようなことはやりませんで、言ってみれば、全国津々浦々にある郵便局窓口を使っていただいて、原動機付自転車であれ何であれ、それによって事故で悲しむ人も多いし、また、当事者も大変なけがをして、けがをした後、ああ、保険に入っていなかったというようなこともいっぱいあるわけでございますから、そういう啓蒙も含めながら、私たちは、そうした社会のニーズにおこたえする大変意義のある窓口業務としてこの自賠責保険の取り扱いができるということを、社会運動の一つというような思いに立って、大変有意義にとらえているところでもございます。
  182. 中沢健次

    ○中沢委員 今、郵政大臣からお答えをいただきました。私も基本的にはそうだと思います。やはりせっかく全国で大変な数のネットワークを持っている、しかもユニバーサルサービス、この種の損保についてまだまだ未加入も多い、こういうことに視点を当てて今度の法改正に踏み切った、その辺は評価をしたいと思うのです。  ただ、今おっしゃったように、この事業をやることによって、ある意味で損得は度外視をする。それはそれで結構だと思うのですが、例えば、今お話がありました、恐らくいろいろなリストは全部お持ちだと思うのです、どこの市町村でどなたが保険に入っていないか。普通であれば、民間が相当セールスをして、個別に勧誘に行って、一件千六百円ですから大した手数料は入らないのですけれども、しかし、そういうことも一面的にやっていかないと、ただ一般的なPRで、果たして郵政省の保険代理業務というのが、趣旨からいって余り喜ばれないといいましょうか、いい意味で言うと、もっと積極的にやる必要があるのではないか、別に遠慮することはない、私はこういうふうに感ずるのですけれども、いかがですか。
  183. 前田正

    前田政務次官 先生の御指摘にありましたそういう資料というものは、私どもはなかなかそこまで手に入るものではありませんし、また、その資料に基づいて私どもも積極的に勧誘するというところまではなかなかいけないだろうというふうに思っております。  私どもは、どちらかというと、この自賠責保険というものは、民間損害保険代理店においては主に窓口においてその取り扱いをしておられるようでございまして、私ども郵便局におきましても、自賠責保険を取り扱う場合につきましても、基本的には窓口においてその取り扱いをすることを想定いたしております。  したがいまして、私ども職員あるいは外務員を使いましての契約事務の取り扱いについては、今後、事務処理とかあるいはそういう御要請があればまた勘案しながら検討していかなければならないというふうに考えております。  また、自賠責保険の普及につきましては、これまでの運輸省を中心とする関係省庁や関係業界において、自賠責保険制度の重要性についてキャンペーンを実施しておるところでございまして、また、私どもも連携をとりながらそのような方向で頑張ってまいりたいと思っております。
  184. 中沢健次

    ○中沢委員 それで、スタートをしたばかりだからやや慎重に、これはわからぬわけじゃありません。ただ、先ほどの質問にもちょっと関連をするのですが、例えば北海道でいうと原付の自転車の保有台数は約十八万、加入率は全国最低、窓口でやっている程度であればこういう傾向になるのかな。もっと言うと、自賠責の保険よりも自賠責の共済、つまり労済と農協がやっている、数字の上では極端に低いのです。  ですから、この種のことをカバーするのが、やはり郵便局せっかくやるのですから、そういうところにもひとつ着目をしていただいて、慎重にやるということはわからぬわけじゃないけれども、もう少し積極的な作戦も一面では考えながらやっていかないと、せっかくこういう法案をつくって、全体的に業務として郵便局の皆さんがいろいろ大変になるのですけれども、仏をつくって魂を入れずということにならないように、釈迦に説法かもしれませんが、そのことを特に申し上げておきたいのですが、いかがでしょうか。
  185. 前田正

    前田政務次官 議員御指摘のとおり、郵政省といたしましても、やはり地域の実情に応じて関係団体と協力いたしましてキャンペーン活動に取り組むほか、外務員によるPR活動、声かけ運動も念頭に置きながら、原動機付自転車等の自賠責保険の普及の促進に寄与してまいりたい、かように思っております。
  186. 中沢健次

    ○中沢委員 それに関連してもう一つ、恐らく郵政の会計上、一件千六百円とはいいながら、全国的には相当程度の目標を持ってやるのじゃないかと思うのですが、大体、収入としてはどの程度を見込んでいるのか。しかも、その収入はどういう会計で受ける予定なのか、あわせてお答えをいただきたいと思います。
  187. 前田正

    前田政務次官 郵便局窓口における原動機付自転車等の自賠責保険の取り扱い見込み件数につきましては、取り扱い開始当初は、民間損害保険代理店の平均的な更新による契約件数を目安といたしまして、大体年間六万件程度の取り扱いができるように努めてまいりたいと実は考えております。仮に、年間六万件程度の取り扱いとなった場合は、自賠責保険契約の一件当たりの手数料が千六百円とされておりますので、手数料の収入は年間約九千六百万円ということになります。  また、自賠責保険が被害者保護を目的とした社会保障的性格の強い強制保険であることから、自動車損害賠償保障法においてノーロス・ノープロフィットの原則が定められておりまして、自賠責保険契約の一件当たりの手数料は、これに基づき取り扱いコストに見合った額として算出をされております。  したがいまして、郵便局においての原動機付自転車等の自賠責保険を取り扱う場合におきましても、損害保険会社が作成し送付された申込用紙等を使用することになっておりまして、特段の経費を要しないこと、それから、保険の内容が基本的には同じであることから煩雑な商品の知識は不要であること、事故対応については損害保険会社で行うこととすることなど、民間の代理店での自賠責保険の取り扱いと格別異なるものではないので、手数料に見合った取り扱いコストによる運営が十分可能であると思っております。
  188. 中沢健次

    ○中沢委員 そうすると、全国一本で郵政省の会計でその収入は受ける。  私はあえて検討していただきたいと思うんですが、この際、それほど大した金額ではありませんが、やはりこの種の初めてやる仕事でありますから、でき得れば府県別にそれは割り戻しをして、何かそういう業務に関係するような費用として使う、こういう方法をおとりになった方がいいんじゃないですか。郵政本省で九千万だとかその程度を受けたって、変な話、大した金額でもないし、逆にやはりそれが一つの励みになって、別に馬の鼻先にニンジンをぶら下げるという意味じゃありませんが、せっかく初めてやるんですから、何年間かはそういうことも具体的に検討されてはどうか。あえてそのことを申し上げて、もしお考えがあればお答えをいただきたいと思います。
  189. 八代英太

    八代国務大臣 大変いい御提案だ、このように思います。  例えば、ケアタウン構想とかいろいろなものが簡保事業を通じて、私たちも、高齢化時代をとらえますと、そういうことを思っておりますし、また、こういう自賠責も含めた、自動車であれ原動機付自転車であれ、被害を受けるのは高齢者であり、あるいは障害を持った人たちというふうなことを考えますと、全国九千数百万、そういう金額でありますから、これを有効にまた地域に還元しながら、交通安全とかあるいはみんなの体操の普及事業とか、いろいろなものがございますから、そういうものをいろいろ想定しながら、お金の色はどれかというのはわかりませんから、それはそれで、いろいろ新しいPRメニューも含めて国民皆様に還元する方策は考えてみたいと思っております。
  190. 中沢健次

    ○中沢委員 まだ若干時間が残っておりますが、予定の質問はほぼ終わりました。  ただ、今大臣の方から、高齢者あるいはいろいろハンディを持っている方が事故に遭われるケースが多い。いただいた資料でもそのとおりでございまして、そういう意味からいっても、私の持論に別にこだわりませんが、全国で九千万、場合によっては、それぞれの郵便局に分割すると本当に小さな金額かもしれませんが、それが一つの呼び水になって、さまざまなボランティア活動あるいはこの種の交通安全運動といいましょうか、そういうものにも役に立っていくのではないかと思いますから、ぜひひとつ具体的に検討を再度お願い申し上げまして、少し時間が残っておりますけれども、時間短縮に協力をして、私の質問を終わりたいと思います。
  191. 前田武志

    前田委員長 次に、矢島恒夫君。
  192. 矢島恒夫

    矢島委員 自賠責保険を郵便局で取り扱う、こういうことでの法律でありますけれども、もちろんこの法案は、いわゆる無保険車両に対して自賠責保険を普及するというのが目的だと思います。私は、この目的なら、社会的意義もあり、郵便局の公共性という点から見ましても賛成できると考えております。  ところが、新聞報道ですけれども、こういう報道があるんですね、郵政省、損保事業へ進出。今回の自賠責保険の取り扱いはそのための橋頭堡と書いてあるんです。もしもそうであるならば、郵便局が行っているこの簡保事業の目的にかかわる大問題だと私は思うんです。  代理店形式でこれからも損保の商品を拡大していくなんということがあるのかないのか、そういう計画があるのかないのか、はっきりと答えていただきたい。
  193. 前田正

    前田政務次官 議員にお答えいたしたいと思います。  郵便局において損害保険会社から受託して取り扱う自賠責保険につきましては、無保険車両対策観点から、原動機付自転車等に限ることにいたしております。したがいまして、原動機付自転車等に係る自賠責保険以外の損害保険商品を取り扱うことは考えておりません。
  194. 矢島恒夫

    矢島委員 この法律があくまで無保険の車両に対する自賠責保険の普及と限定されたものであるということを確認いたしまして、次に、大臣お尋ねしたいのですが、郵便局国民や利用者に対してこうした社会的意義のあるサービスを提供すること自体は、私たちも結構なことだと思っております。否定するものではありません。しかし、幾ら社会的意義のあるサービスだといっても、郵便局の本来業務、郵政三事業、こういう本来業務に支障が出ることがあっては、これは本末転倒ということになるわけですが、そうした心配はございませんか。
  195. 八代英太

    八代国務大臣 民間損害保険代理店数は全国で約六十万軒あるわけでございますが、一代理店当たり年間取扱更新件数は約三件ぐらいだろう。こう計算していきますと、郵便局における原動機付自転車等の自賠責保険の取り扱いにつきましても、一つ郵便局で大体年間三件ぐらいかな、このように見込んでおります。  まさに郵便局の日常業務に支障が出るほどの取り扱いの数ではございませんので、窓口での契約手続の事務が、申込書の受理及び確認、証明書及び保険標章の交付など、煩雑なものというのは、もうほとんどそれは照会する程度のことでございますから、ありませんし、事故対応につきましては、その入っていただいた、契約を結んでいただいた保険会社にやっていただくということでございますから、新しい業務を追加しても、郵便局の日常業務には支障を生ずることはございませんし、本来は三事業をしっかりと心に据えながらやるのが私たち一つの方針でございます。御心配なきようよろしくお願いいたします。
  196. 矢島恒夫

    矢島委員 いずれにしろ、一つ郵便局にすれば数件ということになるかもしれませんが、こういう自賠責保険を扱うということになりますと、郵便局窓口では、実際に事務処理もあるし、現金の取り扱いもやっていかなきゃならない。  そこで、私、この委員会で、窓口での現金過不足金問題を取り上げたことがあるのです。窓口でどういう状況か。過剰金だとか任意弁済金だとか、あるいは欠損金だとか、分けていろいろ集計していると思うんですが、最近の状況について、これは局長で結構ですが、お答えいただきたい。
  197. 團宏明

    ○團政府参考人 お答えいたします。  三事業におきまして、現金の過不足が生じている実態でございます。過去三年間で数字を申し上げますと、過剰金につきまして、平成八年度が、件数にしまして五十八万六百四十六件、金額にしまして十二億六千二百九十七万円でございます。平成九年度は、件数が六十四万七千五百四十一件、金額が六億二千八百七十八万円。平成十年度になりますと、件数が六十八万八千四百九十八件、金額が七億三千七百四十五万円でございます。  次に、欠損金でございますけれども、欠損金につきましては、平成八年度におきまして、件数が千百二十二件、金額が二億五千四百四十七万円。平成九年度が、件数が千五十五件、金額が三億三千五百五十万円。平成十年度でございますが、件数が八百八十二件、金額が三億六千五百五十六万円でございます。  最後に、任意弁償の件数、金額でございますが、平成八年度におきまして、件数が四十四万九千六十二件、金額が十一億三千七百万円。平成九年度が、件数が三十九万五十三件、金額が十一億五千四百十万円。平成十年度につきましては、件数が四十三万四千二百二十五件、金額が十億七千四百六十八万円となっております。
  198. 矢島恒夫

    矢島委員 過剰金にいたしましても十二億、少ないときでも、九年、六億円、欠損金もやはり二億から三億、それから任意弁済になりますと、これは大体十一億前後という数字になろうかと思うんですけれども、実際に窓口でいろいろなこういうミスが生じて、金額にしても、また件数にしても相当大きなものがあろうかと思うんです。  こういう中にあって、郵便局では、例えばトラベラーズチェックの販売を始めたり、それからいろいろなサービスの多様化が進んでいる。今度何か、家電リサイクルの前払い費用も扱うというような報道がございました。社会的に意義あることであっても、こうした問題を解決しないで拡大していくということになると、やはり国民の信頼を失うことになりかねないと思うんですね。そういう点はぜひ注意してやっていただきたいと思うんです。本来業務に支障がなければ郵便局で何を取り扱ってもいいんだということにはならないと思うんです。  あれは九七年、郵政民営化といういろいろな状況がございました。そのときに、国民はやはり安心、安全のよりどころとして国営の郵便局を望むと。そういう世論の大きな力で、郵政三事業というのは国営ということになっていった。  諸外国を見てみますと、例えばニュージーランドやドイツなどでは、郵便局で文房具を売っていたり、コンピューターソフトを売っていたりというような、さまざまな商品を売る、まさにコンビニ化が進んでいるということも聞いております。  もし民間のコンビニや商店と同じようなものを売るとすれば、これは郵便局が国営である必要が国民にとっては感じられなくなってしまうんですから、やはり安心、安全のよりどころで国営の郵便局がいいんだ、これをぜひきちんと堅持していかなきゃならない。  八代郵政大臣も、民営化に反対するんだということで、参議院で私どもの同僚議員に答弁されております。郵便局で取り扱うサービスというのは、やはり国営事業にふさわしいものが必要だと思うんです。  これは、自見元郵政大臣が書いた「郵政省 蘇る」という本の中にたまたまそういう問題が取り上げられておりましたので、私はその中の一文をちょっと引用してみたいんですが、こんなふうに自見さんは書いているんですね。「コンビニのようにただ単にモノを売るだけ、それも誰もが売ろうと思えばできる同じ商品を扱うというのでは何の意味もない。」「郵便局でしか提供できない独自の商品やサービスがあって、初めて郵便局の存在価値があるというべきだろう。安易なコンビニ的多角化には、その意味で慎重であるべきだと思う。」こんなことが書いてあるんですね。  ですから、ぜひひとつ大臣郵便局が提供するサービスというのは、国営事業にふさわしい、こういうものであることが根本的な考え方だろうと思うんですけれども、いかがお考えでしょうか。
  199. 八代英太

    八代国務大臣 まさに大切なことだと思いますし、こうした自賠責一つをとりましても国会で御審議をいただいて、言ってみれば、ウインドーに飾る商品一つ一つも諸先生方の御審判をいただかなければできないというのがまた厳しさでもあり、よさでもあり、それが国民共有の財産たるゆえんでもあろうか、このように思います。  そういう意味でも、今後も郵便局ネットワークは、国の機関として、営利を追求せずに公的機能を果たして、また国民全体の利便の向上に資するような施策を実施していくべきもの、このように思っておりまして、郵便局がコンビニと同様になっていくものとは私たちも考えておりませんし、まさに自見元大臣の御指摘のそのとおりだろうというふうに思っております。  しかし、民間の足らざるところは、例えば、いろいろ宅配便があっても、そんな山のところまでは運ばないよ、とても採算がとれないよ、これはもう自由競争の中には当然そういう部分が出てまいります。しかし、ゆうパックというものは、どんな山の中であろうとも、どんな離島であろうともしっかりお届けする。  それはすなわち、待つ人がいれば、そこに国民の共有財産としての郵政三事業がまさにかゆいところに手の届く行動をし、フットワークを持って実践をしていくということでございますから、そういう御懸念も御懸念としてあるかもしれません、しかし、そういういろいろなことを踏まえて、国民共有の財産であるという基本的な姿勢を保ちつつ、これから三事業は推進していかなければならない、このように思っております。
  200. 矢島恒夫

    矢島委員 運輸省、来ていただいておると思うんですが、原付自転車等の加入率の問題です。  先ほど政務次官の方から前の質問者の答弁の中で出ておりますが、おおよそ分母の方が千五百万台前後、いろいろ年によって違いますけれども。それに対して約千百万台前後の加入ということになりますと、大体七三%前後、年によって違いますけれども。  つまり三割近いといいますか、そういう無保険車両という数字が先ほど御答弁ありましたが、運輸省として、この自賠責保険を所管する官庁として、三割近い未加入者というものがあるという原因をどういうふうにお考えか。それから、どういう対策を運輸省としてはとっているか。この二点についてお答え願いたい。
  201. 縄野克彦

    ○縄野政府参考人 御説明申し上げます。  原付自転車等につきましては、御承知のように、車検制度がございません。  実は、自賠責につきましては、新車、あるいは一年あるいは二年、三年置きの継続車検のときに、自賠責の強制保険を掛けているかどうかを私どもの職員がチェックをさせていただいておる。いわゆる一〇〇%近い、これは世界に冠たる付保率なんでございますが、これを確保しておるわけでございます。  原付自転車につきましては、その構造が簡易であるというようなことから、車検制度までは要らないという判断に立っておりまして、そのために、いわゆる四輪自動車に比べますと無保険車が多いのかなというふうに思います。  先ほどおっしゃられました無保険車の率でございますが、実は車検制度がないために正確な推定というのは容易ではございません。  確かに、実際あるであろう届け出された車両に比べて、保険を掛けている数を調べますと、七四、五%という数字もあり得るんですが、実は車検制度がないために、御想像がつくと思いますが、原付を例えば農家の蔵にそのまま、実態は廃車になっているものが眠っているというものもございます。  そういうものが分母になっているということも推測されまして、私どもが一方で、例えば街頭監視活動なんかでの実績から推計しますと、数%、三%から五、六%ぐらいの無保険車はやはりあるのかなと。これは四輪車に比べますと、四輪車の方は一万台に数台程度でございますので、それでもやはりかなり高率の無保険車があるというふうに思っております。  そういうことで、私どもも今までも、今申し上げました街頭監視活動、警察の協力を得て街頭の取り締まり、あるいは、損保業界の協力も得ましてキャンペーン、広報活動なんかをやっております。  今回の郵便局の参入によりまして、代理店の増加が無保険車の減少に寄与することを私どもとして期待もしておりますし、運輸省としてももちろん引き続き対策を講じてまいりたいと思っております。
  202. 矢島恒夫

    矢島委員 実際に登録している車両すべて、それと加入者の数ということで比較しますと七十数%になるかと思うんですが、今言ったように、廃車されてもそのままになっているというようなものや放置されている場合もあるかもしれません。いずれにしろ、自賠責の保険に入っていないというのが少なくはないということは確かだし、自賠責保険というのは、任意保険と違って必ず加入しなければならないという保険ですから、その対象者は限定されているわけですね。  そこで今度は、先ほど政務次官がお答えになっていたんですが、郵政省としてはこの取り扱いをどうやっていくのかという問題で、例えば簡保の外務員に営業活動は、こういうことはしないんだ、キャンペーンもいろいろこれから考えていくんだということで、結局、窓口での業務はするけれども特別勧誘はしないんだと。これでいいんですか、もう一度確認なんですが。
  203. 前田正

    前田政務次官 おっしゃるとおりでございます。
  204. 矢島恒夫

    矢島委員 それでは、今度は別の方向からの質問なんですが、実はこの自賠責保険というのは郵政省自体も大口のユーザーですね。郵政省が保有しているこの自賠責保険の対象となる原付の自転車というのがどれくらいあるか、それから年間にこれはどのくらいの自賠責保険料を払っているのか、それから契約している損保会社はどことどこか。局長で結構です。
  205. 足立盛二郎

    ○足立政府参考人 現在、郵便局で業務上使用しておりますバイクの台数でありますが、平成十二年の三月三十一日現在で約十万台でございます。これに対しまして、自賠責保険料の支払い額でありますが、約七億七千万円となっております。なお、契約している損害保険会社でございますが、安田火災、同和火災、東京海上火災など約八社でございます。
  206. 矢島恒夫

    矢島委員 以前、この委員会でもいろいろと問題になったわけですが、この自賠責の問題じゃないですよ、例の郵便番号読み取り自動区分機で談合があったという問題が起きたときに、利用者国民の不利益となるような、そういうのは困る、やめるべきだ、そういう論議が行われました。そのときに、特定の会社との状況がこの委員会でもいろいろ論議されました。NECや東芝であります。そういうところに郵政省のOBが天下りしている問題もやはりこの委員会で問題になりました。  今、安田あるいは東京海上火災、そのほか何社かとの関係はあるのですが、別に天下りしているわけじゃありませんから、そういう癒着があるということではありませんが、今回、この法案が通りますと、今度は特定のいわゆる損保会社と契約を結んで代理店契約になっていくということですから、自賠責の普及が目的ではあるけれども、特定の損保会社との一定の関係が新しくでき上がるわけです、何社になるか、これからの問題ですが。そういう意味からしますと、やはり透明性を確保するということが非常に重要だ。ですから、今度の取り扱いについては、こういうところと契約をして、この自賠責を取り扱うのだというようなことがだれにもわかるようなやり方、こういうことが必要だと私は思うんです。  そこで、一つだけ最後に質問したいのですが、郵便局が委託を受ける損保会社の選定、どことどこの損保会社の委託を受けてこの仕事をやろうかというような選定はどのようにして行われるのですか。
  207. 足立盛二郎

    ○足立政府参考人 お答えさせていただきます。  損害保険会社の選定でございますが、ただいま御指摘もありましたとおり、公平かつ透明に行われる必要があると考えております。そこで、具体的な選定方法等につきましては、安定的に郵便局との業務取り扱いを遂行できるといったようなこと、また国の信用を害するおそれがないといったようなことを念頭に置きまして、法案が成立した後に、今後、十分検討してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  208. 矢島恒夫

    矢島委員 終わります。
  209. 前田武志

  210. 西田猛

    西田(猛)委員 西田猛でございます。  今回のこの法律につきまして、私はまだちょっと理解が深まっていないところが若干ありまして、それは、今もつらつら考えていたのですけれども、さきの御同僚の皆さんの御質問を聞きながら。  やはり国家公務員が業として行う行為について業法の罰則の適用があるということについて、いかにも、まだちょっと完全には合点がいかないところがありまして、たしか去年の年末の予算折衝の中でも、郵政省と大蔵省の方でいろいろと御議論があったのだと思います。あったのですから、各省庁も巻き込んで議論はある一定の収束を見ているのだと思うのですけれども、もし可能であれば、その経緯をちょっとお聞かせいただくとともに、そこばかり聞いていてもいたし方がございませんので、今回は郵便官署という全国あまねくいろいろなところにある重要なネットワークスで、そういう自賠責に入っているか否かのチェックができにくい車両についての自賠責加入ができる、これは画期的でありますし、歓迎されることでありますから、喜ばしいことだと存じております。  そこで、今私が冒頭申し上げたような経緯、公務員が公務員として行う行為、それが業法の適用を受けるということがほかに例があるのかなということもちょっと思いつきませんし、もし例があったとして、その業法に定める公務員の懲戒という処分以外の業法に定める罰則を受けるということもあるのかな、それでいいのかなという疑問がちょっとまだぬぐいがたいのでございます。  いずれにしましても、そういうことの経緯の中で、今回、バイク自賠責を郵便局で取り扱うこととなった経緯とそれから趣旨について、まとめてお答えいただけますでしょうか。
  211. 前田正

    前田政務次官 お答えをいたしたいと思います。  郵便局における原動機付自転車等に係る自賠責保険の取り扱いにつきましては、強制保険でありながら自賠責保険の加入のあるなしを確認する機会がございません、無保険車両が発生しやすい状況にあるため、無保険車両対策に寄与する観点から、原動機付自転車等の自賠責保険に限定して民間損害保険会社から受託して取り扱うこととするものでございます。  また、本施策の経緯につきましては、平成五年ごろに一部の損害保険会社から提案を受け、それで検討を開始したものでございます。さらに、平成十年には損害保険代理業協会等の関係者との調整を図りまして、平成十一年に同協会から賛同が得られました。また、平成十一年には交通安全関係団体からの要望を受けたなど、必要な手続を踏んだ上で、今回、平成十二年度予算の重要施策として予算要求を行い、予算政府原案として認められたことから、この法律案を提出することになったわけでございます。  それからまた、先生の御指摘の損害保険代理店に係る罰則については、国が国の機関を罰するということはないことから適用を受けないですが、保険募集の際の禁止行為を行った場合に科せられる罰則については、契約者保護の観点から、郵便局の職員に対して適用されるものでございます。  以上です。
  212. 西田猛

    西田(猛)委員 そうなんですね。そうなんですが、そこのところが非常に悩ましいところでありまして、公務員が保険募集の行為を行うのですね。そこで不正が、当然、本当は行われないというのが前提でありまして、昔からキング・キャン・ドゥー・ノー・ロングといいまして、公務員は悪をなさないというのが前提で成り立っていますから、もしもした場合には懲戒処分を行うというのが国家公務員法制の立て方でありますから、そこへこの業法の罰則規定を、網をかぶせているというのはちょっと公務員法制の根本にかかわる問題なのではないかなと僕は思うんですね。  ですから、年末の予算編成の議論も私はつまびらかには聞いておりませんけれども、少し公務員全体の体系の中から考えると画期的なことなのではないかなという気が若干いたしておりますという私の感想を少し述べておきたいと思います。  そのような中で、よく貿易摩擦の中で、アメリカから郵便官署が取り扱う簡易保険の拡大には反対だというような意見が出ておるのでありますけれども、今回のバイク自賠責を扱うことについてのアメリカからの指摘はどのようなものでありましたでしょうか。そしてまた、それに対して郵政省としてはどのようにお考えになっておられますでしょうか。
  213. 前田正

    前田政務次官 民間バイク自賠責保険の取り扱いにつきましては、御指摘のとおり、郵便局窓口において民間損害保険会社の商品を受託して販売するものでございます。日米保険協議の合意におけるいわゆる第三分野の保険商品とは関係がないこと、それから簡易保険の新たな商品ではなく、簡易保険事業の拡大ではないこと、無保険車両という社会問題に対する取り組みとして実施するものであることから、民間と競合するものではなく、その旨をアメリカに対して説明をいたしております。  アメリカからは、受託する損害保険会社の選定に当たっての透明性の確保について要望はありますけれども、本施策については理解を得ているものと考えております。
  214. 西田猛

    西田(猛)委員 ありがとうございました。  このようなことで、いずれにいたしましても、今回、全国の郵便官署で新しい業務を始めることになります。そこで、日々御努力いただいている全国の郵便官署の職員の皆さんに、大臣からこの新規事業の開始に当たってメッセージないし御訓示をいただければ幸いだと存ずるのでありますが。
  215. 八代英太

    八代国務大臣 いろいろありがとうございます。  原動機付自転車等の無保険車両によりまして事故が生じた場合に、加害者、被害者双方にとって悲惨な事態を引き起こすことになることから、自賠責保険の普及は極めて重要だ、このように思っております。  カラスは鳴かない日はあっても救急車のサイレンの鳴らぬ日はない、鳴かない日はないと言われているほど、事故を一たん引き起こしますと、加害者も被害者もともども被害者的な、だれしも好んで事故を引き起こすことを求めていないわけでありますから、そういう意味でも、こういうものを私たち社会運動の一環として、しかもセールスをしなくて、いろいろな損害保険会社のいろいろなメニューを郵便局に置いて、そして皆さんに、無保険ですか、無保険のバイクなら入ってくださいよ、こういう一つ交通事故撲滅を含めたキャンペーン的内容を持ちながらの自賠責という思いに立っております。  これは、全国二万カ所でこのことの取り扱いをお願いするわけでございますが、その局員の皆さんも、やはり郵便局の配達業務等々の中でも、今十万台という数がございましたけれども、あるいは中には事故があって、仕事、職場復帰ができない、そういう人たちもいるわけでございます。しかし、そのときにこの自賠責に入っていたことによってどれだけ救われたか。  私も事故を起こしまして、生命保険が大嫌いでございましたが、しかし、あのとき入っていればよかったなと。実際自分事故を起こしてみて、その悲惨さ、その後にまつわるいろいろな家族の負担等々を思いますと、事故がないことをもとより大切な一つの運動としてやらなければなりませんが、そういう備えあれば憂いなしという意味で、無保険バイクのなくなることを、私たち郵便局の皆さんが率先垂範して社会運動の一環という思いに立ってやっていただくということを、実は四月の三日が平成十二年度の郵政出発式でございましたので、そのことを高らかにP—SATの宇宙衛星に乗せまして、全国の皆さんにそのメッセージをお伝えしたところでございます。  そういう意味では、郵便局の皆さんもその趣旨にのっとって、これから交通事故のない形の中で地域のフットワークを生かしながら、いろいろ御協力をいただくもの、また精進していただくものと思っているところでございます。
  216. 西田猛

    西田(猛)委員 さすがは時代を先取りされる八代大臣、そのようないろいろな手法を用いて全国の郵便官署の皆様方にメッセージを送っていただいているようでございまして、今後とも御健闘をお祈りいたしたいと存じます。  それでは、以上で終わります。
  217. 前田武志

    前田委員長 次に、中井洽君。
  218. 中井洽

    ○中井委員 二、三問お尋ねいたします。  お聞かせをいただいておりまして、さっきから昔話ばかりしているわけじゃありませんが、なかなか感慨深いものがございまして、本当に民間との競合について非難ごうごうで郵政三事業をやってこられて、自動でお互い利用し合うというものも始めるときには随分非難があったんですが、今はもう数百社とお結びだ、こういうふうになっておりますし、今回、これまた損保協会の皆さん方と十分話し合って、目的は少し違うかもしれませんけれども、こういうところで共存共栄、助け合う、こういうところへ参入をされる、本当に長年の御努力であろうと思うと同時に、この金融機関を取り巻く世界の変遷のすさまじさを思わざるを得ません。  今回、こういう法案を提出されるに当たって、八代郵政大臣としてこのような私の思いをどのようにお考えでありますか、お聞かせをいただきます。
  219. 八代英太

    八代国務大臣 郵政三事業、私たちは全国津々浦々にそのネットワークを張りめぐらしまして、いろいろな形で地域の皆さんの利便に供していくという思いに立っての、国民共有の財産という視点に立っております。  いろいろな意見が、この郵政三事業に対する御意見は御意見として承っておるわけでございますが、私たちは、長い歴史の中にあって、いわば郵政三事業は日本一つの文化でもあるという思いに立ちますと、これからますます地方分権化していきますと、郵政三事業が地域に溶け込んで、そのフットワークを生かして、そして、人の住んでいるところには郵便局がある、それが生活の安心、安全の拠点である、こういう思いに立ちながら、採算というものが自由主義経済の中ではまず第一義に考えるところでございますけれども、しかし、それはたとえ赤字になってもくまなくサービスをするという、国民の財産としてこれからも育てていく。  そのための、この自賠責保険というものも、言ってみれば一つの契約で手数料はわずか千六百円、年間何件になるかわからないわずかな契約の御紹介程度なものだろうというふうに思いますが、それによって、また交通事故がなくなり、無保険車両がなくなって、そしてもし万が一事故が起きたときには、そういうものをお勧めしておいたことによって郵便局にまた感謝の声も寄せられるだろう、そんな思いに立ちながら、この自賠責保険も法案を上程するまでには幾つかのバリアもございましたけれども、私たちはいろいろな損保会社のいわば下請をしてさしあげるんだ、こういう思いに立ちながら、民業を別に圧迫するものではなく、共存する中でこうしたものが広くあまねく周知されることを望んでいるところでもございます。
  220. 中井洽

    ○中井委員 直接法案には関係ありませんが、郵政ということで少し持論を申し上げますので、お考えをお聞かせいただきたいと思います。  先般来から警察の残念な事件が相次ぎまして、このときに警察方々が私どものところへいろいろな御説明に来ていただきました。私は、内部の検査というのは大変難しいのだ、このことを常に申し上げてきたところでございます。アメリカやヨーロッパのそれぞれの警察にはやはり内部の検査がありますが、猛烈に嫌われてやっておる。ここのところ、日本人というのはやはり仲間意識でやりますから、嫌われてまでチェックをしない、こういうところが一番の欠陥だろう。その結果、接待をし合うというのがこの間の新潟の事件の一端だと考えております。  そういう意味で、莫大なお金を取り扱われる郵便局、何も事件がなければこれにこしたことはありませんが、やはり人間ですから、欲望に勝てない人はいるわけであります。郵政は郵政で郵政監察官制度、こういうのを持ってやっていらっしゃいますが、本当にこの内部の監察だけで、自主運用もされていく、こういう時代に、またはすさまじい世界の金融業界の統廃合、また垣根を崩した動きの中で持ちこたえられるか、このことを常に思うわけでございます。  そういう意味で、大臣は郵政独自の監察官制度をどのようにお考えになっていらっしゃるか。また、これからの公社化、あるいは二十一世紀に向かって、独自の制度であります。信頼を維持するために、どういうふうに運用をお考えになっていらっしゃるか。あるいは、少なくとも内部の官官接待なんというのは絶対やってないんだ、こんなことを含めて指導をしておる、ここらを含めて率直にお考えをお聞かせいただければありがたいと思います。
  221. 八代英太

    八代国務大臣 実は先日、郵政の監察官の何人かにお目にかかりまして、御苦労話も含めて、そして本当に高齢者や障害者、いろいろな方々からお預かりしている、まさにとらの子のお金が身近な郵便局に預けられていて、福祉貯金とかいろいろなものがありますけれども、もしそういうものも、三十万からの大きな世帯でございますから、中にはけしからぬ人間が生まれないとも限りません、時として散見することもございます。  そういうときに、監察官の皆さんが心を鬼にしながら徹底的な調査をして、そして大事な皆さんのそうしたものに間違いがあってはならない、そしてその事後処理も含めて、徹底的にそれは追及をして、そしてお客様に納得するような形になってという意気込みを私は伺いました。警察手帳と同じような手帳をしっかり所持しておられて、まさに泣く子も黙る郵政監察官、こんなふうにも言ってあげたいような力強さを私は感じたような次第でございます。  しかし、いろいろ郵政省もだんだん人減らしというような時代になっていきますので、そういう行政改革を一方ではやりながら、しかしこうした監察官の皆さん方の御苦労を思いますと、こうした部分にはもう少し人をふやして、あまねく広くしっかりとした、お客様のお預かりしたものの事故のないような形の体制は、今後も引き続き緊張しながら育てていくことも一方では考えなければならない、こんなふうにも思っているところでございます。
  222. 中井洽

    ○中井委員 大変まじめに厳しくおやりになっているというのは承知をいたしております。しかし、大臣のおっしゃるように、泣く子も黙る監察官というところまでやっているかどうかは、私は違うのだろうと思っております。  そういう形で、内部で、公務員だからということでやっていて、本当にこれからの時代乗り切れるかどうか、僕はこのことをいつも心配いたしております。どうぞ、国民の安心、世界じゅうからのいろいろな議論に対して十分たえ得るような制度、お考えもまたいただいて、御運用をいただきますよう要望を申し上げて、質問を終わります。
  223. 前田武志

    前田委員長 横光克彦君。
  224. 横光克彦

    ○横光委員 社民党の横光克彦でございます。きょうは、大臣、両政務次官、御苦労さまでございます。  このバイクの自賠責保険参入の法律でございますが、これまで各委員が、いろいろな、法案の意義あるいはメリット、あるいは問題点等を質問してほぼ網羅されたわけでございますが、ちょっと重複するところがあろうかと思いますが、確認という意味でお聞きをいたしたいと思います。  これまで、郵政三事業の民営化問題のときに、やはり一番大きな争点が、民業を官業が圧迫するということが問題点だったわけです。しかし、その中で、やはり共存共栄といいますか、協力し合っている分野あるいは競争している分野、それぞれあると思うのですね。  例えば郵貯で、これから満期になったこの郵貯資金を再獲得するか、あるいは新たな金融機関に移るか、ここがまた激しい争奪戦、いわゆる競争の分野だろうと私は思っております。また、ATMとかデビットカード、こういったところでは民間業者と協力する分野でもあろう。  そういった中で、今度新たに自賠責の保険の販売をするという新しい事業が始まるわけですが、これまで大臣政務次官お話を聞いていますと、まず問題点といいますか、悪いところはないわけですね、こちら郵政省サイドからすると大変な意義があると。無保険車両をいかにしてなくすか、そのためにこの郵便局ネットワーク、全国津々浦々にあるネットワークをいかに活用するか、そういった大変大きな社会的意義があるというお話を何度もされておりました。確かにそのとおりでしょう。私もこの法案には大賛成でございます。  しかし、それはこちらサイド、郵政省サイドの御意見。片や損保業界の方にとりましては、やはりこれは行革に反するのではないかという意見もある。そういったところで非常に大事なことは、そういった関係者にどこまで理解を得られているかということが私は非常に大事だと思うのですね。そこのところの説明をいま一度お聞かせいただきたいと思います。
  225. 八代英太

    八代国務大臣 郵便局における原動機付自転車等に係る自賠責保険の取り扱いということでございますけれども、先ほど来御説明申し上げておりますように、率先してセールスするというものではなくて、いずれにしましても、強制保険でありながら自賠責保険の加入の有無を確認する機会がないことから、どうしても無保険車両というものが発生しやすい状況にありますし、それが、事故を起こした、あるいは起こされたという双方の中の争いというようなものもあることにかんがみますと、ああ、そのとき保険に入っていればなと、それが割合、無保険で事故を起こした人の後の祭りということにもなるわけでございます。  それもまた大きな社会問題になっているということを思いますと、交通安全関係団体から郵政省に対しまして、自賠責保険の公共性から、ぜひ郵便局ネットワークを通じて無保険バイク対策に活用するように、そして政府の方針も、そういう交通安全対策政策に合致しておりますし、二万のネットワークがあるわけですから、そういうネットワークでそういうことの啓発をし、啓蒙をして、より多く無保険車両対策の徹底ということを踏まえてやることによって、私は民業の皆さんも、最初はいろいろな思惑がありました。  例えば、アメリカの大使などと会いますと、話の中にすぐ出てまいります。いろいろこういうものは出てきますが、しかし、それは皆さんが、アメリカから見るとそうですが、実際はこういうことなんです、日本の簡保というものは、こういう生活的な、まさに身近な暮らしの中の一端としての転ばぬ先のつえ的なものなんですよ、普通の民業を圧迫するような政策ではありませんよ、しかも、一つ一つが国会で審議して国会の先生方に決めていただいているということで、安易に事業の拡大というものをするようなものではありませんよと。  しかし、この自賠責は、そういう意味で、今、交通事故というものが大変大きな問題になっておりますので、十万台から持っております郵政省がみずから範を示しながら、無保険車両の撲滅とでも申しましょうか、そういうキャンペーンも含めた社会運動の一環として、こういうものを取り扱うことには大変意義がある、このように思っているところでもございます。
  226. 横光克彦

    ○横光委員 バイクの場合、車検制度がないということで、本当に無保険車両が多い。そして、事故が起きたときの悲惨さというのはどうしようもないわけですね。そういった意味では、やはり交通関係のいろいろな協会が郵政省に依頼に来たということもうなずけます。本当にそれだけ必要性に迫られているということでしょう。  ですから、現在、無保険車両、これは先ほどのお話では二七%ぐらいという数字が出ていますが、これは結局、廃車とかそういったものも全部含めての数でしょうし、実際はもうちょっと少ないと思いますが、それでも大変な数だと思うのですね。  ですから、その事業が始まったら本当に無保険車両が減ってきたという形をぜひ私はつくり上げていただきたい。本当に、そのことによって郵便局に対する感謝の念もまたわくだろうという先ほどの大臣お話でございましたし、利益だってそんなに上がるわけじゃないし、まさに社会的な意義ということでこれが施行され始めて、実際に運用され始めて、本当に無保険車両が減ってきたという形ができれば最高だなという思いを持っております。  そこで、損保会社の委託を受けるわけですね、代理として。そうした場合の選定、すべての要求する損保会社の場合を受け入れるのか。もちろん、いろいろ審査とか選定とかされるのでしょうけれども、損保会社にとっては、私は、ある意味ではそれだけ代理店がふえるわけですから、プラスの面があると思うのですよ。ただ、とりわけ過疎地では、全国で六十万店の代理店があるとはいえ、まだまだ過疎地ではそういった代理店はないところがあるのです。  ですから、そういった意味で、郵便局がこういう事業を始めるということは大変価値があると私は思うのですが、その損保会社の委託を受ける基準といいますか、要求するところはすべて委託を引き受けるのかどうか、そのあたりをお聞かせいただきたいと思います。
  227. 前田正

    前田政務次官 損害保険会社の選定等につきましては、まず、やはり公平でかつ透明に行われる必要がございます。  具体的な選定方法等につきましては、まず安定的に郵便局との業務の取り扱いを遂行できること、それから国の信用を害するおそれがないことなどを念頭に置きまして、今後検討をしていきたいと考えております。  なお、自賠責保険を取り扱っている数というのは、国内で三十社、外国で十二社、合計四十二社という非常に多い中でございますので、全部取り扱うというのはなかなか難しいかなというふうに考えておるところでございます。
  228. 横光克彦

    ○横光委員 いろいろとこれを始める前に損保業者の中でのバリアがあったということを乗り越えてこられたというお話がございましたし、私は、この選定のところもいろいろな問題点が起きないように、公平、公正という形で委託を受け入れていただきたいという思いがします。  また、先ほど日米保険の件も、これは簡易保険では郵政省もそういった関与をしてきたわけですけれども、自賠責というのはこういう事項にもなっていないというお話でもございました。  営業、広報、これもかなり一生懸命周知徹底して、効果があるようにされるというお話でもございました。  もうほとんど重複いたしますので質問いたしませんが、やはり民間損保が心配されているのは、これを突破口としてさらに新たな商品に拡大されるのではないかという気がする。そこで初めて利害関係といいますか、民業の圧迫につながるのじゃないかという心配をされているのではなかろうかと思います。  そこのところでも先ほどお話もございましたし、もうお聞きいたしませんが、どうかこれを社会的意義という意味で実のある効果が、本当に無保険車両が減って、このことによって犠牲者が少なくなるという形ができますように心からお祈りをいたしまして、質問を終わります。  どうもありがとうございました。
  229. 前田武志

    前田委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  230. 前田武志

    前田委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  郵政官署における原動機付自転車等責任保険募集の取扱いに関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  231. 前田武志

    前田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  232. 前田武志

    前田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  233. 前田武志

    前田委員長 次に、内閣提出郵便貯金法等の一部を改正する法律案電波法の一部を改正する法律案及び本日付託になりました電気通信事業法の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。  順次趣旨の説明を聴取いたします。八代郵政大臣。     —————————————  郵便貯金法等の一部を改正する法律案  電波法の一部を改正する法律案  電気通信事業法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  234. 八代英太

    八代国務大臣 長時間御苦労さまでございます。  郵便貯金法等の一部を改正する法律案電波法の一部を改正する法律案電気通信事業法の一部を改正する法律案、以上三件につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  初めに、郵便貯金法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  この法律案は、中央省庁等改革基本法第三十三条第二項の規定に基づき、郵便貯金または郵便振替として受け入れた資金の全額を自主運用とするために必要な措置を講じ、また、財政投融資制度の改革に伴い、簡易生命保険特別会計の積立金の運用について所要の措置を講じようとするものであります。  次に、この法律案の概要について申し上げます。  郵便貯金または郵便振替として受け入れた資金の全額を自主運用とするために必要な措置を講ずることとし、郵便貯金資金の設置及びその運用範囲、運用計画の策定等について定めるとともに、郵便振替資金の設置及びその運用範囲を定めるほか、簡易生命保険特別会計の積立金の運用範囲の見直しを行う等の措置を講ずることとしております。  なお、この法律の施行期日は、平成十三年四月一日といたしております。  続きまして、電波法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  この法律案は、無線局の免許手続における透明性の向上を図るとともに、免許申請者の利便の向上、電波の有効利用の促進等を図るため、周波数割り当て計画の策定、無線局免許における競願処理手続の整備等に関する改正を行おうとするものであります。  次に、この法律案の概要について申し上げます。  第一に、郵政大臣は、固定業務、移動業務等の無線通信の業務別の周波数の割り当てに加えて、電気通信業務用、公共業務用等の無線局の目的別の周波数の割り当て等を定める周波数割り当て計画を策定し、公示することとしております。  第二に、無線局免許における競願処理手続を整備するため、電気通信業務用の人工衛星局等について、免許申請期間を設けて、公示することとしています。  また、携帯電話の基地局のように、広範囲にわたって多数開設される必要があるという特質を有している電気通信業務用の基地局については、多数の基地局全体を対象とする開設計画の認定の制度を導入することとし、当該認定について申請期間を設けて、公示することとしております。あわせて、これらの基地局の円滑な開設を確保するための所要の措置を講ずることとしております。  第三に、企業組織の再編成の円滑な実施に資するため、現在、無線局の免許人の地位の承継ができることとされている相続、合併等の場合に加えて、事業譲渡の場合においても、郵政大臣の許可を受けて、免許人の地位の承継ができることとすることにいたしております。  第四に、心身の障害により無線従事者免許を取り消された者について、その障害が回復した場合には、直ちに免許の再申請ができるようにする等の改正を行うこととしております。  以上のほか、所要の規定の整備を行うことといたしております。  なお、この法律は、一部を除き、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することといたしております。  最後に、電気通信事業法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  我が国の電気通信分野におきましては、情報通信技術の進展や規制改革の進展に伴い、数多くの電気通信事業者が参入するとともに、市場の急速な拡大が進んでいるところであります。また、電気通信分野は、政治、経済、文化、生活などの社会経済の基盤として、経済発展の原動力であり、我が国の経済構造改革推進に大きな役割を果たすことが期待されているところであります。  今後、電気通信市場を一層活性化させるためには、電気通信事業者間における公正な競争の一層の促進を図っていくことが不可欠であります。そこで、この法律案は、このような目的の実現を目指すため、接続料の原価算定方法として、いわゆる長期増分費用方式を導入することにより、接続料の低廉化を図ろうとするものであります。  次に、この法律案の概要について申し上げます。  郵政大臣が指定する電気通信設備を設置する第一種電気通信事業者が、当該電気通信設備と他の電気通信事業者の電気通信設備との接続に関し、接続約款により定める接続料のうち、高度な新技術の導入によって効率化が図られる機能に係る接続料について、より適正な原価の算定のため、電気通信設備の接続によって増加する効率的な費用を客観的に評価する方法により、原価を算定しなければならないこととしております。  その他、所要の規定の整備をすることにいたしております。  なお、この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲において政令で定める日から施行することといたしております。  以上が、これら三法律案の提案理由及び内容の概要でございます。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますよう心からお願いを申し上げます。  以上でございます。よろしくお願いいたします。
  235. 前田武志

    前田委員長 これにて趣旨の説明は終了いたしました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十一分散会