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2000-04-18 第147回国会 衆議院 地方行政委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年四月十八日(火曜日)     午前九時三十分開議  出席委員    委員長 斉藤斗志二君   理事 田野瀬良太郎君 理事 滝   実君    理事 中野 正志君 理事 山本 公一君    理事 中川 正春君 理事 中沢 健次君    理事 桝屋 敬悟君 理事 春名 直章君       今井  宏君    大野 松茂君       栗原 裕康君    七条  明君       杉山 憲夫君    竹本 直一君       橘 康太郎君    谷  洋一君       西田  司君    平沢 勝栄君       平林 鴻三君    水野 賢一君       森  英介君    河村たかし君       桑原  豊君    松崎 公昭君       松本  龍君    石垣 一夫君       北側 一雄君    穀田 恵二君       藤田 スミ君    野田  毅君       佐々木洋平君   知久馬二三子君     …………………………………    自治大臣    国務大臣    (国家公安委員会委員長) 保利 耕輔君    自治政務次官       平林 鴻三君    自治政務次官       橘 康太郎君    政府参考人    (警察庁長官)      田中 節夫君    政府参考人    (警察庁長官官房長)   石川 重明君    政府参考人    (警察庁交通局長)    坂東 自朗君    政府参考人    (郵政省通信政策局長)  有村 正意君    政府参考人    (自治大臣官房長)    香山 充弘君    政府参考人    (自治省行政局公務員部長    )            木寺  久君    政府参考人    (自治省財政局長)    嶋津  昭君    地方行政委員会専門員   蓼沼 朗寿君     ————————————— 委員の異動 四月十八日  辞任         補欠選任   栗原 裕康君     森  英介君   平沢 勝栄君     竹本 直一君   穀田 恵二君     藤田 スミ君   鰐淵 俊之君     佐々木洋平君 同日  辞任         補欠選任   竹本 直一君     平沢 勝栄君   森  英介君     栗原 裕康君   藤田 スミ君     穀田 恵二君   佐々木洋平君     鰐淵 俊之君     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  公益法人等への一般職地方公務員派遣等に関する法律案内閣提出第七九号)(参議院送付)  地方公共団体一般職任期付研究員採用等に関する法律案内閣提出第八〇号)(参議院送付)     午前九時三十分開議      ————◇—————
  2. 斉藤斗志二

    斉藤委員長 これより会議を開きます。  内閣提出参議院送付公益法人等への一般職地方公務員派遣等に関する法律案及び地方公共団体一般職任期付研究員採用等に関する法律案の両案を一括して議題といたします。  この際、お諮りいたします。  両案審査のため、本日、政府参考人として警察庁長官田中節夫君、警察庁長官官房長石川重明君、警察庁交通局長坂東自朗君、郵政省通信政策局長有村正意君、自治大臣官房長香山充弘君、自治省行政局公務員部長木寺久君及び自治省財政局長嶋津昭君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 斉藤斗志二

    斉藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 斉藤斗志二

    斉藤委員長 この際、田中警察庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。田中警察庁長官
  5. 田中節夫

    田中政府参考人 警察庁長官田中でございます。  本日は、三月八日の当委員会における私の中川正春委員に対する答弁につきまして、一部訂正をさせていただきたく、御説明申し上げます。  私は、中川委員から、中田関東管区警察局長に対する処分をめぐって懲戒審査委員会開催されたかどうかという点につきまして御質問を受け、懲戒審査委員会開催された旨御答弁申し上げました。しかしながら、実際は、同局長につきまして、私が懲戒処分を必要と認めませんでしたので、懲戒審査委員会開催を要求せず、同委員会開催されておりません。  一方、小林新潟警察本部長につきましては、二月二十五日午後、警察庁長官室において、その懲戒処分について検討するため懲戒審査会開催したところであります。その席上、あわせて、中田局長に対する措置についても、私からその方針を説明し、審査会委員から意見を聴取したという場面がありましたことから、同局長に係る懲戒審査委員会は正式には開かれていないにもかかわらず、これが開催されたものと思い違いをし、その旨御答弁申し上げたものであります。  この点につきまして、謹んで訂正させていただくとともに、不正確な答弁により委員各位に御迷惑をおかけしましたことにつきまして、深くおわびを申し上げる次第でございます。     —————————————
  6. 斉藤斗志二

    斉藤委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。水野賢一君。
  7. 水野賢一

    水野委員 自由民主党の水野賢一でございます。  きょうは、まず、参議院から送付されてまいりました公益法人等への一般職地方公務員派遣等に関する法律案並びに地方公共団体一般職任期付研究員採用等に関する法律案についていささかお伺いをして、その後、現在国民の間の非常に重大な関心事にもなっております警察不祥事の問題、また警察改革の問題についていささかお伺いをしたい、そんなふうに考えております。  まず最初に、公益法人等への一般職地方公務員派遣等に関する法律案についてお尋ねしたいと思います。  地方行政を円滑に進める、また、よりよい地方行政を進めていくに当たっては、公務員と民間の間でも相協力するものは協力して、そしてよりよい地域をつくっていくんだ、そういう連携体制を整えていくことが重要だということは言うまでもない、そうそう異論のないところだと思うわけでございます。だからこそ、現在におきましても、四万人弱ですか、かなりの規模地方公務員が、営利法人の場合もあれば公益法人などにも派遣をされているという実態があるんじゃないのかな、そんなふうに思うわけです。  しかしながら、現状においては、地方公務員派遣というのは、そういう規模でかなり行われているにもかかわらず、統一的なルールと申しましょうか法律上の制度と申しましょうか、そういうようなものが確立をしていない。むしろ、制度の運用によって現実に行われているという実態があるんじゃないのかな、そういう指摘がなされているわけでございます。  それゆえに、現場において混乱というものも一部の地域であるやに指摘をされておりますし、地域によっては住民訴訟が提起されたりとか、それによって最高裁まで行った事例もあるやに聞いております。ですから、私もここで、法律によって一定ルールづくりをしていく必要があるんじゃないのかなと。  そこで、所管大臣として、公益法人等への職員派遣現状をどのように認識され、そしてどのような考え方派遣適正化を図ろうとしていらっしゃるのか、まず最初そこら辺からお伺いをしたいと思います。
  8. 保利耕輔

    保利国務大臣 先日、提案理由の中でも御説明を申し上げたのでありますが、現在、公益法人等職員地方自治体から派遣することは行われておるわけでございますけれども、そのやり方が、例えば休職扱いにしたり、あるいは職務専念義務の免除というようなやり方をしておりまして、やや不安定なところがございます。そうした点については、地方公共団体からも、できるだけ法制度整備してくださいということを要望されておる実態がございます。  確かに、そういう法制度整備して、透明度を持った派遣をしなければなりませんし、また、裁判等で争われております給与の出し方等についても、地方自治体が負担すべきものか、あるいはその派遣先が負担すべきものかということについても、きちんとルール化していくということが今望まれているという環境にあるわけでございます。  そこで、地方公共団体においては、派遣をいたします場合に、平成十年の最高裁判所判決等もございますので、条例で定める団体派遣先を限定するとか、あるいは派遣公益性確保するための一定の要件を備えているところに派遣をするとかいうことでルールづくりをしていこうということでございます。したがって、必要性が低い派遣については、このルール化をすることによって見直しが行われるのではないか、こんなふうに考えておるわけでございます。  このようにして、公益性確保し、かつ透明な手続のもとで職員の適正な派遣が行われまして、そして地域住民の理解のもとに、地方公共団体公益法人等との適切な連携関係地域の諸施策が推進されていくということをねらったものでございます。派遣透明化一つ目的としてこの法律が仕組まれております。
  9. 水野賢一

    水野委員 この法律で取り上げられている公務員派遣というのは、地方公務員の場合なわけですよね。現実には、国家公務員派遣とかもいろいろあるわけでしょうけれども。まず、ちょっと私も調べてみると、国家公務員の場合も派遣についての統一的なルールと申しましょうか、法律上の制度みたいなものはないかと思うのですけれども、今回法律で取り上げているのは地方公務員の場合ということですが、何ゆえ地方公務員においてのみ職員派遣制度というものを創設されようとするのか、その辺の理由についてお伺いをしたいと思います。
  10. 平林鴻三

    平林政務次官 便宜、私から申し上げます。  地方公共団体におきましては、その担任する事務性格が国と若干異なっておりまして、住民に身近なサービスの提供等がその事務の大半といいますか、大宗を占めておるというようなことでありまして、地方公共団体みずからが運営を行う方式だけでなくて、公益法人等との適切な連携協力によりまして実施するというような方法、そんな方法をとることがかえって効率的かつ合理的であるという場合も多々考えられるところでございます。  また、公益法人等地方公共団体施策の推進に資する活動を効果的に行いますためには、地域における人材として、地方公共団体職員の知識、能力を活用するということが有効と考えられる事例も多いわけでございます。  さらに、国におきましては、必要な場合には法律によって法人を設立する、あわせて、当該法人業務に従事する国家公務員処遇等について、法令上必要な措置を講じることが可能でございます。地方公共団体では、この法令上必要な措置を講ずるということはできないわけでございまして、そのような国と地方事務性格や実情の相違、さらには法制度の違いから、国と地方における制度必要性やあるいは緊急性が異なっておりまして、国家公務員制度にない制度地方公務員について構築するということに今回いたしたわけでございます。
  11. 水野賢一

    水野委員 次に、地方公共団体一般職任期付研究員採用等に関する法律案についてお尋ねをしたいと思います。  平成九年から、国の試験研究機関においては任期付研究員制度というものが導入されているということですけれども、一方、地方公共団体公設試験研究機関、これは、例えば県にある農業試験場だとか、もしくは工業技術センターだとか、そういうようなものを指しているのでしょうけれども、ここでの研究というものは、地域科学技術の振興にとって非常に大きい役割を果たしているということは事実だと思うわけであります。  そういう地方の公的な試験研究機関が今後さらに充実した研究というものを進めていくに当たりましては、やはり外部のすぐれた研究者任期つき採用できるような、今回法律に盛り込まれているような制度導入するということが必要だと思うわけですけれども、この制度がもし成立してできた暁には、法の趣旨に沿って適切な運営というものが必要じゃないかな、そういうふうに思うわけですが、自治省としてのお考えをお伺いしたいと思います。
  12. 保利耕輔

    保利国務大臣 今回御提案申し上げております任期付研究員制度というのは、各都道府県それぞれ研究機関を持っております。私の県でも二十幾つかの研究機関がございますが、そこでの研究を活性化させるとか、あるいは競争的な研究開発環境を実現していこうとかいうようないろいろな目的を持って、外部からの刺激を得るという目的を持って招聘型の任期付研究員制度というのを考えたわけであります。  これは、すぐれた学者とか著名な科学者方々に来ていただこうということになりますから、実は、こういう制度をつくったからといってすぐに実現するわけではなくて、恐らく、知事さん等は大変苦労をして人集めをなさるだろうと思います。それだけに、招聘という言葉が使われているんだろうと思います。そして、そういう形で都道府県の中の研究機関刺激を与え、そして研究が活性化することによってその地域科学技術のレベルが上がってくるということを目指して、このような制度を設けたわけでございます。  したがいまして、その制度趣旨を踏まえまして、地方公共団体におきましても研究環境整備というようなものに心がけていかなければならない。例えば宿舎でありますとか、あるいは研究費でありますとか研究資器材でありますとか、あるいはスタッフを与えるとか、いろいろな配慮のもとに招聘型の研究員においでをいただかなきゃならない、こんなふうに考えておるわけでございます。  同時に、若手研究員が、大学のいわゆるポスドクの皆様方が、どこかでもう少し腕を磨きたいという研究者に対してチャンスを与えるべきであるというような考え方から、そういう地方におきます試験研究機関若手方々に自由に研究をしていただいて、自分のわざを磨いていただく。それがひいては人材の育成にもなりますし、また人材確保という面からもこれはいい事業ではないかと私ども考えまして、そのような提案をいたしたわけでございます。  自治省といたしましても、地域活力創出プランというような中でいろいろな支援体制を組んでいっておりますし、また発展基盤緊急整備事業、いわゆるミレニアム事業というような中でも、財政措置を講じて試験研究施設整備等に後押しをするというようなことをねらっております。こういうことによりまして地方研究が活性化し、そしてその地域科学技術が振興されていくということをねらった法律というふうにお考えをいただきたいと存じます。
  13. 水野賢一

    水野委員 今、詳細にわたる御答弁をありがとうございました。  そうすると、今のことも多少関係すると思うのですけれども任期付研究員採用するわけでしょうが、その場合、いかにいい人材確保するかというときに、どういう形で公平な採用をするのか、どういう形でいかにいい人材採用するのか、そこら辺が非常に重要だと思うわけですが、どうやって人材確保していくのか、何か具体策があればお伺いしたいと思います。
  14. 木寺久

    木寺政府参考人 お答えいたします。  招聘研究員につきましては、研究業績等により特にすぐれた研究者と評価されているような研究者対象でありますので、個々研究者研究業績等に着目した採用が行われるものと考えられます。  採用に当たりましては、当該公設試験研究機関研究課題に対して適切な選考がなされるよう、任命権者またはその委任を受けた試験研究機関責任者において対応することとし、個々研究者について人事委員会の承認を必要とするというふうにしておるところであります。  また、若手研究員につきましては、大学博士課程修了者等、独立して研究できる者を対象にしておりますが、従事する研究業務内容でありますとか選考手続、それから予定任期等を定めました採用計画というものを任命権者人事委員会と協議して策定をするということにしております。具体的には、公募等によりまして広く人材を募集されることになるものと考えております。  いずれにいたしましても、各地方団体におきまして、公正な選考採用により、適切な人材確保がなされますよう助言をしてまいる所存でございます。
  15. 水野賢一

    水野委員 続いて、警察不祥事、また警察改革の問題についてお伺いをしたいと思います。  一連警察不祥事というものを見てみますと、これは本当に警察に対する信頼国民信頼というものが大きく揺らいでしまった。これは本当に、いかに言葉をきわめて非難しようとも、まだ足りないのじゃないか、そういう不祥事が相次いでしまったわけでございます。この委員会でもいろいろと議論をされてきた。そして今回、改革のために警察刷新会議というものが設置をされたわけでございますけれども、つくった限りは、本当に実のある改革に結びついていかなきゃしようがない。  これは、ただ単に名前だけ刷新というような言葉を使って批判を一時的にかわすというような、そんなことがあっては困るわけでありまして、そういうことはないと信じてはおりますけれども。まず最初に、この警察刷新会議をつくった趣旨開催状況とか、そして今後、いつぐらいをめどに結論を出していくのかというようなことを含めた今後の取り組みについて、お伺いをしたいと思います。
  16. 石川重明

    石川政府参考人 お尋ね警察刷新会議でございますけれども、御指摘のように、昨年来、警察における一連不祥事がございまして、これを契機といたしまして、現行の警察制度全般にわたる問題が提起をされておるわけでございます。  こうした状況にかんがみまして、警察刷新改革方策につきまして各界の有識者の御意見を承ることを目的といたしまして、国家公安委員会がその発足を求めたものでございます。三月二十三日に第一回会議開催をされまして、その後、四月四日、四月十日と、これまでに三回開催をされております。  今後のことでございますが、四月中にあと二回会議予定をされておりまして、五月、六月にそれぞれ地方公聴会が一回ずつ、また会議が二回ずつ開催される予定でございます。六月下旬以降の日程はまだ決まっておらないわけでございますけれども、第一回会議におきましては、六月末から七月にかけて警察刷新会議の提言を取りまとめることというふうにされているところでございます。
  17. 水野賢一

    水野委員 警察というのは、本来、国民に最も信頼されている機関でなきゃいけないわけでございますし、確かに、過去を振り返ってみると、日本警察に対しては、かなりそういう信頼は高かったと言えるんじゃないかとも思うわけでございます。多くの国民は、日本警察は世界で最も優秀な警察である、また倫理性も高いというふうに信じておったと思うわけですし、それが現場における警察官誇りでもあり、また、モラルというものを維持する、士気を維持するという上においても大きい役割も果たしていたのじゃないのかなと思うわけですけれども、残念なことに、この一連不祥事によって、現場警察官士気というものも落ちてきてしまうんじゃないかという危惧があるわけでございます。  それだけ、不祥事を起こした人たち責任というのは重大であり、重いと言わざるを得ないわけですが、警察官現場士気を維持していく、もしくは高揚していくために、どういうようなお考えを持っていらっしゃるか、あれば伺いたいと思います。
  18. 石川重明

    石川政府参考人 御指摘のように、一度不祥事案が発生いたしますと、警察に対する国民信頼を失墜することになるわけでございまして、国民信頼を基礎に、その協力を得て職務に精励をしておる、あるいは警察活動を実行しております警察官におきましては、士気に影響が生じる可能性は否定できないわけでございまして、私どもとしても、その点を非常に懸念しておるわけでございます。  こういう現在、警察がなすべきことは、国民信頼回復することでございます。そのために、今、都道府県警察あるいは警察庁一体となりまして、一層の規律の厳格化士気の高揚を図る必要がある、また全警察職員誇り使命感を持てるような職場環境の醸成に努める必要があるということで、いろいろな取り組みを行っておるわけでございますが、特に、これらの警察職員が日々の警察活動を積極果敢に推進することによりまして、そのことによって国民信頼を一日でも早く回復するように努力していく必要があるというふうに考えております。  その過程におきまして、現場で汗を流して仕事で成果を上げた職員につきましては、適宜表彰とかあるいは称揚を行うといったようなことも、一方で大変大事なことだろうというふうに思っております。  また、各都道府県警察におきましては、提案制度といったようなものを部内に持っておるわけでございまして、第一線警察職員意見を継続的、組織的に吸い上げるための仕組み、これを活性化させようということで、今後ともこういう制度を有効に活用いたしまして、第一線で厳しい環境職務に従事をしております職員の声が警察本部長等の幹部に届く、意思疎通の図られやすい、士気の高い組織づくりに取り組んでいく必要がある、このように考えておるところでございます。
  19. 水野賢一

    水野委員 今官房長のおっしゃったことが、言葉の上にとどまらずに、現実にきちっと実現していくということを本当に望みたいと思います。  そして、警察改革の話になりますと、よく監察制度導入のことが話題になるわけですが、これは、前に警察改革一つの切り札として導入されたはずの特別監察が、少なくとも新潟県においては機能していなかったという厳しい指摘があるわけです。そうなると、監察制度について、今度は外部監察導入すべきじゃないかという意見もあるわけでございます。  これは、物事はメリットもあればデメリットもあるわけでしょうけれども外部監察というものについて、警察庁としては、どういうメリットデメリットがあるのか、そこら辺どういう御見解を持っているのか、まずお伺いをしたいと思います。
  20. 石川重明

    石川政府参考人 いわゆる外部監察という制度導入によりまして、メリットといたしましては、監察第三者性というものが確保されるということがあろうかと思います。  一方で、実効ある監察を行うためには、新たに相当の体制を構築する必要があるといったようなこと、あるいは、警察職員による不祥事案が発生した場合において、そこにおける問題点というものを正確かつ速やかに評価するためには、業務内容に精通した者が行う必要があるということ、あるいは、監察結果に応じて厳正な処分を行い、また把握された業務処理上の問題点改善等を図るためには、監察人事の密接な連携が必要であるといったような点もあるわけでございます。そういう意味で、慎重な検討が必要であるというふうに考えております。  なお、監察公正性あるいは実効性ということにつきましては、大変重要な問題でございますので、その確保方策につきましては、各方面の御意見伺いながら、今後さらに十分に検討をしてまいりたい、このように考えております。
  21. 水野賢一

    水野委員 今の監察の問題などを含めて、今後刷新会議でもいろいろ議論がされて結論も出ていくのじゃないか、出されるのでしょう。  最後に、公安委員長にお伺いしたいわけですけれども警察、これだけ多くの問題が出てきた。しかしこれは、警察というものは信頼回復に努めなきゃならないわけですから、これに当たって、今警察法改正などのことも言われていますけれども警察法改正も含めて、どういう決意で、どういう覚悟で、どういう信念で信頼回復の問題に向けて取り組んでいくのか、決意についてお伺いをしたいと思います。
  22. 保利耕輔

    保利国務大臣 不祥事案につきましては、国家公安委員会が開かれますたびに、いろいろ報告を受けながら私ども意見を言っておりますが、その意見の中心をなすのは、この事案についてどういう反省を具体的にするのか、そして、どういう点が問題であったのかということをきちんとはっきりしなきゃいけない。そのことを反省の材料として、日本全国の県警本部に配付をして勉強していただかなきゃならない。そして、こういうことがあってはならないよということの具体的な事例を示しながらの反省材料を与えるということによって、各県警の引き締めをしていきたい、このように思っておるわけであります。  同時にまた、第一線警察官のところまでどのくらい指示が徹底しているのかということを監察をしていかなければ、あるいは監査をしていかなければ、これは不祥事案というものがまた再発する可能性がある。したがって、指示の徹底を具体的に求めるというようなことを、公安委員会の中では私どもの方から警察庁の方に求めております。  ともしますと、こういう不祥事案が起こったときには、反省はするんですが、結局、反省が総括的になってしまいまして、反省点が具体的なポイントが散ってしまう、そういう点を一番危惧しておりまして、こういった問題が多発するのを機会に、そうした問題についての具体的反省点を求めるということにいたしております。  なお、警察法改正等についてお述べになられました。現在、政府側から警察法改正案を提出いたしておりますが、神奈川県警における事案考えた上での警察法改正案でございますので、十分かと言われれば、まだ検討すべきところはたくさんある。  しかし、この際、十分に検討を加えて、二十一世紀の警察をつくっていくために、やはり必要な抜本的改革をねらって議論をしていただこうというので警察刷新会議を起こしたわけでございますけれども、極めて根源的なお話をずっとしていらっしゃいまして、一回の会議を三時間ぐらいおやりになるというようなことで、大変精力的に詰めておられますから、そうした議論の行方というものをにらみつつ、また国会の会期等もにらみつつ、私どもとしては今後この問題の取り扱いを考えていかなければならないなと思っております。  これから先、犯罪というのはいろいろな形でふえてくると思います。今までにありませんでしたハイテク犯罪というようなものもございますし、またテロというのがどういう形で起こってくるかわかりませんし、すぐにはサミットの問題もある、有珠山の問題もある。そういうものにきちんと対応していく警察というのをつくるために、まずは不祥事案に対しての反省を加え、それに対する適正な警察法をつくっていくということが必要であると同時に、士気が緩まないように、そして、いついかなる事案、事態が起こってもこれに即応できるような警察体制ということもあわせて考えていかなければならないというようなことでございます。  大変責任が重いと思いますけれども警察庁の皆さんとともに頑張ってまいりたいと思いますので、国会からもいろいろまた御指摘をいただきますようにお願いを申し上げておきたいと存じます。
  23. 水野賢一

    水野委員 時間ですので、終わります。その決意で頑張って、改革に向けて努力をしてください。
  24. 斉藤斗志二

    斉藤委員長 次に、中川正春君。
  25. 中川正春

    中川(正)委員 民主党の中川正春でございます。  質問の冒頭に、ちょっと事前の通告がしてないので、大臣、恐縮なんですが、一つだけ確認をさせていただきたいと思うんです。  今回の新しい内閣に組閣をしていく過程で、青木臨時総理が就任するということを大臣はいつの時点で知ったか。あるいは、閣僚の一員として、閣議を持たれてその中で了承をしていくという過程があるんだろうと思うんですが、その開かれた時期と、それをさかのぼっていつの時点で知ったかということ、これをひとつ確認させていただきたいというふうに思うんです。
  26. 保利耕輔

    保利国務大臣 四月三日月曜日の十二時四十分から開かれました臨時閣議の席上、青木官房長官から、閣僚全員そろっているところで御説明があったのが正式の通知でございます。  ただ、そのときのお話では、午前九時に臨時代理に就任をすることに決めたとおっしゃっておられまして、たしか十一時の記者会見ではその旨を述べておられます。いろいろな事情があって、正式な閣議を招集するのは十二時四十分になりましたけれども、その場で伺ったのが私としては正式に伺った最初でございます。
  27. 中川正春

    中川(正)委員 そうすると、それまでに、前総理の病状であるとか、あるいは入院をされた事実であるとかいうようなことの連絡というのは当然行ったんだろうと思うんですが、その経緯については、いつの時点でどの程度のことを連絡されていたか、保利大臣自身が情報として握っておられたか、このこともあわせてお聞きをしたいと思うんです。
  28. 保利耕輔

    保利国務大臣 過般の衆議院本会議におきましても官房長官からお話があっておりますけれども、大臣には通知をすぐにはしなかったという旨のお話がございました。  私がこの情報に接し得ましたのは四月三日の朝六時半ごろ、私、ちょうど土曜日、日曜日、風邪を引いて熱を出して、薬を飲んで寝ていたものですから、六時半ごろ家内にたたき起こされまして、小渕さんが倒れたというお話を家内から聞きました。二階に休んでいるものですから、下におりて新聞を見てみましたら一面に大きく出ておりまして、それが、私が小渕前総理が入院されたという事実を知った最初のことであります。その後、警察庁から午前中に連絡がございまして、入院をされたという事実を承知いたしております。
  29. 中川正春

    中川(正)委員 警察庁長官、これも事前通告がなくてちょっと申しわけないことなんですが、さっきの問題の関連で、長官は、いつの時点で総理に急変があったということを情報としてつかんでおられたのか。そして、さっきのお話によると、保利国家公安委員長のところに連絡が行ったというのは、警察の方からは三日の午前中であった、こういうことですが、田中長官としてはそこのところを、国家公安委員長にその情報を伝えよ、こういうことで恐らく指令というか指示をされたんだろうと思うんですが、それがどの辺の意図でされたか、その三日の午前中でよかったのかどうか、このことも含めてお尋ねをしたいと思います。
  30. 田中節夫

    田中政府参考人 お答えいたします。  私のところに小渕前総理の入院に伴う警戒措置等につきまして連絡がございましたのは、四月二日、青木内閣官房長官が記者会見をされる直前だったと存じます。  通常、総理を含めまして、警護対象者の動静というのは逐一私どもの方には連絡がございません。したがいまして、特別な警戒措置あるいは警備措置が必要となるというような事案があって初めて私どものところに連絡がございます。したがいまして、今お話しのように、官房長官の記者会見となりますと、当然、病院に係りますところの警戒警備とかあるいは不審者が紛れ込まない措置が必要でございますので、そういうことで連絡がございました。  それに基づきまして、私どもの方から、所轄は警視庁でございますので、しっかりとした警戒警備措置をとるようにという指示をいたしましたのは、四月二日の夜でございます。大臣の方には、担当官を通じまして、警戒措置をとったということについて三日の午前に連絡を差し上げたということでございます。  なお、つけ加えて申しますならば、私どもといたしましては、私どもの立場上、当然、前総理と申しますか、警護対象者の具体的な病状につきましては全く知り得る立場にはございませんので、入院とかあるいは外形的に警戒警備措置が必要になったということをもって連絡を受け、また大臣に連絡をしておるという状況でございます。
  31. 中川正春

    中川(正)委員 こうして、それぞれに情報が伝わった時間を確認しただけでも、危機管理といいますか、そのときの情報伝達の重要性というのがここでも認識されていないのだなという感じがします。  仮に、記者会見の直前に知ったということ、このこと自体が、長官、組織から伝わってくるのが遅いのだと思うのですね、一つは。しかもその後、翌日の午前中まで国家公安委員長にその事実が知らされていなかったということですね。これも警察の中の、臨機応変に、そのときそのときの事の重大性というのを判断しながら情報が伝わるというシステムができていないということを一つ指摘ができるのじゃないかというふうに思います。  そのことを含めて、また、全党的に今問題意識を持ちながら議論を進めているところでありますので、改めての議論にしていきたいというふうに思います。きょうは、通告がなかったので、その程度にさせていただきます。  さて、次は警察の問題に入りますが、先ほど長官の再答弁がございましたが、今回の警察不信というのは、この問題が出てからも、まだいまだに次から次へといわゆる不祥事と言われる警察対応の鈍さといいますか、そういうものが出てまいります。国民からすると、今の警察は本当に大丈夫か、どうなっているのだろうかという気持ちの中に、四つぐらいの要素があるように思うのですね。  一つは、現場対応、これがなっていない。本当に国民のために働こうという、あるいは、いろいろな相談が持ち込まれたときに、それを警察の仕事として受け取っていきながら親身になって問題解決をしていく、そういう一つのモラールというか警察官自体の職業意識と誇り、そんなものが現場の中で死に始めてきているのじゃないかという、そうした基本的な不満が一つはあります。  それからもう一つは、それでもやはり警察官というのは、それは一〇〇%聖人じゃないわけでありますからいろいろな問題を起こす場合がある。その問題が起きた場合に、警察官そのものが罪を犯した場合に、一つはそれを厳正に、悪いことは悪いということで処罰をできるような体制ができているのだろうか、どうだろうかということです。端的に言えば、どうも身内に甘いということが一つ。  それからもう一つは、事実を隠しているということ、情報公開が十分でないということ、この二つがあります。  そして、今回の答弁をしていただいた中に含まれている問題というのは、この身内に甘いということです。これがあったのじゃないかという国民の批判がここでしっかり出てきた。出てきたから、中田局長それから小林前本部長に対して、まあ諭旨免職という制度はないのですが、とにかく辞表を出せよと言ってやめさせた後、国民の批判に対して、改めて退職金を返上しろという話をして退職金を返上させた、こういう経緯があったわけです。  片方、その事実があった中で問題となったのは、ではそのときに田中長官が、今のいわゆる表の部分、警察のこれまでの処分という基準に照らし合わせて、どういうふうにそれを考えていったらいいのかという議論の経過の中で、審査会があったのか審査委員会がどうだったのか、そういう経過の話ですね。  それで、さっきの答弁は、小林元本部長に対しては懲戒処分対象にした、だから審査会をそこで開いた。この内容というのは、懲戒免職じゃなくて減給ですね。しかも一カ月減給するだけ、こういうことなのです。それで、中田局長に対しては懲戒処分の必要がないから、これは委員会を開くということもしなかった、そういう答弁だったわけです。これは、聞いていると、どう見ても国民の常識とは相当かけ離れているのですよ。片方、表の舞台で、中田局長に対しては懲戒処分なし、それで小林元本部長に対しては一カ月の減給処分ということですね。  ところが、実際に田中長官が二人に命じたことは、すぐやめろ、退職しろ、こういうことで辞表を書かせたわけですね。しかも、その後に退職金を返しなさい、こういうことを言ったわけですね。それで返してきた。トータルで見ると、これは正式な処分からいくと、懲戒免職に相当するような処分がプライベートに、私的に二人に対して行われている、こういう結果になるわけです。  私は、なぜ審査会とか審査委員会にこだわったかというと、どうもトータルの処分の話を見ていると、こういう審査会とか委員会とか、あるいは、もっと言えば国家公安委員会というような、こうした正式の組織を通じての十分な議論をした上で、そして処分を決めていくというプロセスが、全くこれは形骸化していって、形の上だけになって、しかも国家公安委員会には、ここで議論されるということじゃなくて、持ち回りでそれを承認されるという話だけに終わって、本当の処分田中長官一人がプライベートな判断でやっているのだ。しかも、そういう事犯が起こったときに慌て込んで、そうした処分をどうするのかというふうなプロセスに持ち込まないで、その時点で、おまえすぐに辞表を書けという形で済ませてしまったということですね。  これが、これから先にもいろいろな事犯が起きてくるだろうと思うのですが、これから先の警察のそうした処分のあり方、それからルール、それからだれが本当にそこを判断して、厳しく罰していくところは罰していくのだというようなシステムをつくっていくのか、それが信頼性を取り戻すという一つのポイントになるわけですけれども、それに対してしっかりとした方向性が出てきていないということ、そこを私は言いたかったわけなんです。  だから、重箱の隅をつっついたような、審査会をしたかしないか、委員会をしたかしないかというようなこと以上に、本来は、そのプロセスを十分に議論していないのであれば、国家公安委員会も含めて、こうした処分についてはもう一回やり直す。これは訓令の中にあるんです。間違っていたらやり直さなきゃいけない、審議していなかったらやり直さなきゃいけない、そういう規定があるんです。だからできるんです。だから、そういうようなことも含めて、しっかりとしたルールをここで実行したらどうですか、実はそういう意味合いを込めて前回質問をさせていただいたということなんです。  それについて、まず長官の方から御答弁をいただきたいというふうに思います。
  32. 田中節夫

    田中政府参考人 今委員の方から御指摘いただきました不祥事案、問題が発生した場合の対応、一つは厳正に処罰、処分すべきである、もう一つは事実を隠しているということはないかというお話がございました。特に、身内に甘いのではないかということで、その処分のプロセスの透明性といいますか、その問題の御指摘をいただきました。  今回の小林前新潟警察本部長あるいは中田関東管区警察局長に対する処分手続あるいは処分内容等については、いろいろ御意見、御批判があるということは私どもも十分に承知をしております。  しかしながら、私どもは、あの時点であの処分内容と申しますか、小林前本部長に対するところの処分につきましては、これは国家公安委員会がお決めになる処分でございますので、私どもが申したと申しますか、協議をして上げた内容について御判断をいただきました。また、中田関東管区警察局長に対する処分につきましては、これは先ほどおわびの御説明を申し上げましたけれども審査会のメンバーの意見を聞きましたけれども審査会は開いていなかったのは事実でございます。  そのような過程につきまして、そのプロセスが必ずしも明確ではないというような御批判があるとすれば、今後、そのようなプロセスあるいは処分手続と申しますか、そういうものの明確化を一層図っていく必要がある、そして処分の公正さということにつきましてもさらに努力をしていく必要があると思いますけれども、私どもとしては、個々のケースはいろいろ違いますので具体的に申し上げるわけにはまいりませんけれども、一般的に、今委員指摘のようなプロセスの明確化あるいは公正さの確保ということにつきましては、これは一層努力をしてまいる必要があろうというふうに思っております。
  33. 中川正春

    中川(正)委員 だから、中田局長については正式の委員会を開かずにということは、そこで正式な議論をせずに、もう懲戒という判断は要らないということを田中長官個人が勝手にやったということになるわけですよね。それを、これからはそんなことのないように努力をしていきます、こういうことじゃないと思うのですよね。一つは、やはりこれはもとに戻して議論をしなきゃいけないんじゃないかというふうに思います。  ここのところは、やはり裁くのは国家公安委員長だと思うのですが、答弁が先ほどのようになったので、これも通告していなかったのですけれども、一回、そこはどうするのか、委員長としての判断の要るところだというふうに思うのですが、どうでしょう。
  34. 保利耕輔

    保利国務大臣 中田局長に対する処分というのは、今警察庁長官から説明いたしましたように、警察庁長官人事ということでおやりになった。  それで、あれはたしか二月の二十八日だったと思いますが、緊急で国家公安委員会を招集して、再度、長官のとった処置について国家公安委員会として事情を聴取して、どうでしょうかということで五人の委員全員にいろいろ御意見伺いましたところ、長官の報告を了とするということが五人の方々から意見として開陳がございまして、その結果を取りまとめて国家公安委員会としての結論にしたということで、そこの取りまとめは私が行いましたけれども、五人の方が皆了としているということで、この件は、それが決定事項ということになっております。したがいまして、これを再度繰り返しということは、私はちょっと困難ではなかろうかと思います。  しかし、いろいろ反省すべき点もあると思いますので、警察庁とは今後とも、こういった事案が起こることがないことを期待しますけれども、起こった場合の処置等については、十分に慎重を期さなければならないということの話し合いはよくしていかなければならない、こう思っております。
  35. 中川正春

    中川(正)委員 もう一回確認したいんですが、小林元本部長というのは、何をもって懲戒の減給ということになったのですか。何が悪かったのですか。
  36. 田中節夫

    田中政府参考人 小林前新潟警察本部長処分事由でございますが、これは三つございまして、一つは、少女監禁事件に関し、一月二十八日の記者会見において事実と異なる発表を行うことについて了承を与え、結果として報道をミスリードすることとなり、その後も迅速な訂正をすることなく、報道対応に適切さを欠き、警察の信用失墜を招いた責任。  二つ目が、一月二十八日、被害者の発見等を出張先の車中で電話報告を受けた後、あらかじめ手配した旅館に投宿し、電話やファクスで事件処理の指揮を行いつつも、来県中の関東管区警察局長と懇親を続け一泊するなど、最高責任者として本件の重大性についての認識を著しく欠くと言わざるを得ない不適切な行動があり、警察の信用を失墜した責任。  三といたしまして、神奈川県警を初めとする一連不祥事案の反省、教訓の上に立ち、警察において再発防止対策を講じてきたところであり、警察本部長は再生の道を先頭に立って歩まなければならず、これまでも、その職責の重みとそのあり方について国家公安委員会警察庁として指導してきたところであるにもかかわらず、その職責を果たせなかった責任。この三点が処分理由でございます。     〔委員長退席、滝委員長代理着席〕
  37. 中川正春

    中川(正)委員 それでは逆に、中田局長はどうして処分対象にならなかったのですか。
  38. 田中節夫

    田中政府参考人 中田関東管区警察局長国家公務員法に係りますところの懲戒処分事由に当たる行為につきましては、一月二十八日に、新潟警察に対する特別監察実施当日であるにもかかわらず、監察終了後、監察を受ける立場の県警側と懇親するという、監察担当官としての立場をわきまえない行為があったこと。それから二つ目に、少女監禁事件の被害者の発見等について、その重大性を認識すべきであるにもかかわらず、警察本部長に対し指揮に専念するよう配意しない不適切な行動をとったこと。三つ目に、神奈川県警を初めとする一連不祥事案の反省、教訓の上に立ち、警察において再発防止対策を講じてきたところであり、管区警察局長は再生の姿を先頭に立って歩まなければならず、これは特別監察等も含みますが、これまでも、その職責の重みとあり方について国家公安委員会警察庁として指導してきたところであるにもかかわらず、その職責を果たさなかった責任。これらの事由に当たるというふうに認識したわけでございます。  これも累次国会等で御答弁申し上げておりますように、具体的な行為につきまして懲戒処分に付すべきかどうかという判断をいたします場合に、御案内のように、本人に対しましては引責辞職、先ほど委員から諭旨免職に相当するというお話がございましたけれども、諭旨免職に相当するところの行為をとらせたこと、そういうことも含めまして、しかも本人が自主的に、この違法行為と申しますか、国家公務員法に触れる行為につきまして自主申告をしてきたこと等も含めまして、極めて私も悩んだわけでございますけれども国家公務員法に言うところの懲戒処分に付さないことといたしたわけでございます。  そして、その引責辞職というのも、公式の処分ではございませんけれども、本来ならば受け取るであろう退職金を二千万円近く減額して受け取るという行為でございますので、措置としては大変重い措置であるという認識のもとに、私は、今申し上げましたような判断をしたわけでございます。
  39. 中川正春

    中川(正)委員 世間の常識からいったら、接待した方とされた方、これは両方とも悪いのですよ。ひょっとしたら接待された方が余計に悪い。それと同時に、監察官の仕事というのは、マージャンしている現場でそんな連絡があったときに、それに対して敏感に反応しないような本部長があったら、それこそ監察対象になる、そういう仕事で行ったわけですね。それを見逃しているというのは、監察そのものの機能を果たしていないということ、これが国民の大きな不信の一つになっている。そんな基本的なことをやりながら、片方で懲戒免職の対象にならない、あるいは懲戒処分の、処分自体の減給の対象にもならない、本部長だけやってこっちはやらないんだという、そういう意味で、身内に甘い、特に警察官僚同士の身内で甘いという批判が出たわけですね。  これは、さっきの説明では、そうした国民の批判に対して説明したことにならないですよ。納得しないですよ。やはり甘いなというところが出るのですよ。私はこれは納得しないのですけれども、国家公安委員長は納得しているのですか、これで。
  40. 保利耕輔

    保利国務大臣 この件については、先ほども答弁申し上げましたとおり、国家公安委員会の中で再度議論をいたしまして、その結果、五人の委員が全員了とするという意見を出しておりますので、国家公安委員会としては、長官の処置を了とするという結論を出しておるということでございます。  したがいまして、国家公安委員会結論でありますから、国家公安委員長として別のお話を申し上げることはできないというふうに私は承知をしております。
  41. 中川正春

    中川(正)委員 そのときに、国家公安委員長としてどういう意見を述べられましたか。
  42. 保利耕輔

    保利国務大臣 いろいろ警察庁長官からお話を伺いまして、国家公安委員会方々がそれぞれに御意見を言われました。私は、取り仕切りをするいわば司会の立場、委員長あるいは議長の立場でありますから、意見は申さず、そして最終的に意見が出尽くしたところで五人の皆様方の御判断を徴しましたところ、了とするということでございましたから、それを総理をするという立場から取りまとめをしたということでございます。
  43. 中川正春

    中川(正)委員 国家公安委員長というのは、総理をするということじゃないんだと思うのですね。私は、もっと大きな役目を担うべきだろうというふうに、だからわざわざ大臣が兼任しているんですよ。そういう責任逃れといいますか、自分の意思を持たないような、特に政治という立場で仕事をしておっていただくだけに、さっきの答弁、余計に私は納得がいかない。そんなことでどうして国家公安委員会というのが運営できますか。これは私、大きな問題だというふうに思います。  これから警察の仕組みをどうしていくかということを議論していくときに、やはりこのままでは機能していかないんだということがはっきりしました。これからも、委員長の立場としては、国家公安委員会の中では自分の意見は全く言わないんだ、周りの意見だけを聞いて、それをまとめる事務局長役割に徹していくんだ、そういうお考えでこの職務を続けられるつもりなんですか。
  44. 保利耕輔

    保利国務大臣 表決あるいは表決に準ずるものの場合には、私は中立の立場を守っていかなければならないと思っておりますが、そうでない場合の意見、例えば一般的に、テロ対策をどうするかとか、あるいは麻薬対策をどうするかとかいうようなことについては、私は十分に国家公安委員会の中で発言をいたしておりますし、昨日も管区の警察局長会議がございましたけれども、そこの場でも、あいさつのほかにも懇談的なことを申しております。そういう形で議論には参加をいたしておりますが、事国家公安委員会の表決という場合には、自分の立場というのは非常に難しい立場であるということを承知しております。  つけ加えさせていただきますと、昭和二十三年に警察法が施行されましたときには、政治家はこの国家公安委員会には入っていなかった。しかし、昭和二十九年の改正で、大臣がそこに国家公安委員長として入るようになった。しかしながら、それは表決権を持たない形で入るということになっておるわけでございます。そこの解釈というのは非常に微妙な問題がありますから、私は、いろいろな会議等で十分に御議論をいただきたいポイントの一つであるというふうに考えております。
  45. 中川正春

    中川(正)委員 表決のときはそういうことかもしれませんが、表決に至るまでに議論があるんですよ。その議論というのは、みんながそれぞれ意見を出し合いながら、当然委員長議論を出す、その中で最終的に表決をしていく、その表決をまとめる、それは当然でしょう。しかし、自分の意見を持ちながらその中でしっかりと議論をしていくということが大事なので、この問題については、さっきから話を聞いていると、こんな大事な問題を十分議論をしていなかったということに結びつくし、議論をしたといっても、どうも委員長、逃げているだけだというふうにしか聞こえない。国民に説得力を持った話をもう少しやっていただかないと、ますます不信が募っていくということになると思います。そのことを指摘しておきたいと思うのですが、次の問題にもぜひ入りたいので、話題を移させていただきます。  大分通告したことを抜かしていかなきゃいけないのですが、名古屋の少年恐喝あるいは桶川のストーカー事件、あるいは、それ以外にもいろいろ不祥事が起こってきていますけれども、これは一つ一つ、恐らく監察対象になりながら詳しく調べていくんだろうと思うのですが、それも詳しく聞こうと思っていたのですけれども、ちょっと時間がないので、問題点指摘と、それから、どういう認識を持っておられるのか、ここを一つ確かめたいのです。  国民が相談に行ったときに適切な対応はしてこなかった、その一つの大きな原因というのは、私も警察官にそれを言われたことがあるのですが、警察は民事介入しないということなんですね。ところが、ストーカーという言葉自体、これは英語なんですけれども日本語に訳すとどうなるのかな、つけ回し事件とかなんとか言うのですか。実はこの認識が、日本語にないということは、こういう行為自体の定義がなかったわけなんですね。  考えてみたら、現場の警官について、例えば苦情が一本だけ入ってくる、後ろから来て、何やかんやと恋人同士が別れられないんだというような話があったときに、もし現場警察官の中にそうしたはっきりとした、それが犯罪なんだという認識がないままにそれに対応していたら、やはりそれは、ほかの女を世話したらおさまるだろうとか、あるいはちょっと本人を呼んでちゃんと説教をするからそれでいいだろうという対応であるとか、そんなのでずっと済ませてきた、済ませてきたから社会的な病理というのが現実に出て、殺人という話になった、こういう経緯なんだろうと思います。  普通、現場警察官に大義名分として民事不介入という話があるとすれば、あるいは教育体系の中でそれを教えているとすれば、これは非常にいい言い逃れといいますか、自分自身の気持ちを整理するのに、その問題は民事不介入なのでちょっとそれ以上は行けないんだという、自分の心に言い聞かす大義名分になっている、それがどうもシステム的に全警察官の中にぐっと浸透しながら、新しい社会事象に対して対応できないような状況になっているのではないか。これは全部新しいのです。  子供たちについては、これまで学校側がちゃんとするべきだという話になっていて、警察官が学校へ行ったら大変なことなんだという先入観がありますね。それから、ドメスティック・バイオレンスで、家庭内で暴力があったあるいは児童虐待があった、これに対して警察がどうかということになると、これは家庭の中の話じゃないですか、夫婦の話じゃないですか、犬も食わないですよという話なんだというような先入観があった。  こういう新しい社会事象に対して、どのように現場に対して個々に具体的に対応をしろという指示をしているのか、そこのところをしっかり押さえておかないと、これは、警察を今の方向で、外からチェックをするという話だけで進んでいると、基本的な問題の解決ができないというふうに思うのです。そこのところの認識をひとつ聞かせていただきたいと思います。     〔滝委員長代理退席、委員長着席〕
  46. 田中節夫

    田中政府参考人 今御指摘のようないろいろな事案というのが発生してきておりまして、ストーカー行為あるいはドメスティック・バイオレンス、さらに児童虐待、その他いろいろな事象が社会問題化してきていることは私ども十二分に承知しております。  今委員指摘のように、民事不介入の原則ということが私どもを縛ってはいないか、あるいは第一線警察職員の行動を束縛してはいないかという御質問でございます。  この民事不介入の原則というのは、必ずしも確立した概念ではございませんけれども、戦後、警察の力といいますか、それを一方でできるだけ抑えようとする考え方がございまして、できるだけ警察の力が及ばない、少なくとも家庭内とかあるいは民事でもって解決できるものにつきましては、それが及ばないとする考え方があったようでございます。  それをもって、民事不介入の原則ということで、警察の力が及ばないということをよしとするような考え方があったわけでございますけれども、近時のドメスティック・バイオレンスとかあるいはストーカー行為、さらには児童虐待というような事象を見ますと、少なくともそういうような民事あるいは従来の家庭の中で、あるいは従来の学校の中で解決できるというような問題ではなくなってきているという認識は私どももございます。そういうようなものに十分に適正に対応できていないというのは、委員指摘のとおりでございます。  したがいまして、私どもといたしましては、DVの問題あるいは児童虐待の問題につきましても、一線に通達を発出いたしまして、そのような問題にも的確に対応できるようにという指示をしております。  ただ、委員指摘の、基準と申しますか、どこまでが私どもが入っていいのか、あるいは調査によりますと、相談は持ちかけるけれども警察には入ってきてもらいたくないという意見も一方にございます。そういうところで一線が大変悩んでいるというのも実情でございますので、私どもはいろいろな方の御意見を賜りながら、私どもが入るべきとすればどの辺までなのか、あるいは具体的に法制が十分でない、例えばストーカーにつきましてはいろいろ御議論がございます。法制が十分でないということで私どもが介入するにもなかなか難しいという面もございますので、そういう面も含めまして、基準とか、あるいは国民の皆様がここまで警察の力が及んできてもいいというような御意見というものがあれば、私どもとしては積極的にそういうような声に対応してまいりたい、かように考えておるところでございます。
  47. 中川正春

    中川(正)委員 実は、実際にこれは我々の責任でもあるのですね。ストーカー防止法だとか児童虐待防止法だとか、それぞれの法整備が必要なわけです。地方自治体によっては、既に条例レベルでそうした準備をしてきているところがありますね。実は、民主党もこのストーカーについては防止法案を上げているのです。どうぞ、積極的な議論をこの警察法改正と同時にやっていただきたい、こんなふうに思います。  それから、そのことだけじゃなくて、今回の少年事案の問題についても、学校だけに任せていくということだけじゃなくて、これは本当に警察との関連でどうしていくかという、少年法を、今のような方向だけの改正じゃなくて、もっと違った切り口からこの問題の整理を法的にしていくというふうな必要性があるように思うのですね。  そこのところを、本来なら、さっきのお話のように、警察権というのをなるべく限定していくというのが民主党の立場なんです。我々の立場なんです。しかし、時代背景がこんなふうになってくると、刑事警察だけではもうこれは対応できない。いわゆる予防警察というか、犯罪が起こらないような形で警察機能というのをどう充実していくか、そういう視点が必要になってくるんだろうというふうに思うのですね。  だから、それを一つはっきりと区分していく。我々の立場は、公安警察については徹底的に、盗聴法も含めてこれは警察権を抑止していくという立場で考えていかなきゃいけない。しかし、民間のこうした新しい事象に対してどのように警察を機能させていくか、そういう面については、積極的にその役割の見直しをしていかなきゃいけないし、その中に入っていくには、やはり法整備というのが日本は欠けているんだろうというふうに思います。  そんなことも含めて、こういう議論国家公安委員会の中でされて、国民に対して問題意識を開示しながら一緒に巻き込んでいく、そういうことなんだろうというふうに思うのです。それを期待したかった、こういうことなんですが、そんな思いを込めて、きょうの質問にさせていただきたいと思います。  そうしたもろもろの問題を含めて、私は保利大臣に頑張っていただきたい、こんなふうに思うのです。逃げないでください。さっきの答弁なんかも、はっきりと大臣としての考え方を指し示していただいて、もう一回再審議をやるんだ、やるべきことはやっていきますよというぐらいの気骨を見せていただきたい。そんな期待を込めて、最後に、民事介入の話について国家公安委員長としてどういうお考えをお持ちか、お尋ねをしておきたいというふうに思います。
  48. 保利耕輔

    保利国務大臣 もろもろのお話、よく承りまして、私も日本の治安維持のために一生懸命努力をしていかなきゃならぬ、そういう立場におるんだということを強く認識いたしております。  警察というのは、いろいろな役割がありますけれども、第一義的には、やはり凶悪犯罪に対していかに立ち向かうかという非常に厳しい仕事を持っておる。反面、今言われておりますような、つきまとい事案のようなものに対して親切に対応しなければならないという、両面性を持たされているというところがございまして、非常にある意味でいうと微妙なところがあります。  何でもかんでもしゃしゃり出ればいいかというと、しゃしゃり出過ぎれば、それはそれなりに御批判をいただく、出なければ出ないで、これも御批判をいただくということでありますから、そのころ合いというのは非常に難しい点があるかと思います。こういった点も含めて、公安委員会の中でも警察のあり方等について十二分に論議をしていくということを考えておりますので、申し上げたいと思います。  なお、非常に大きな問題としては、私は、サミットの警戒、有珠山の問題もございますが、サイバーテロのような新しい犯罪に対してどう立ち向かうか、あるいは麻薬が非常に蔓延をいたしておりますので、これに対してどう立ち向かうかというようなものを大きなポイントの一つとして意識をしておることを申し添えさせていただきます。
  49. 中川正春

    中川(正)委員 以上、質問を終わります。ありがとうございました。
  50. 斉藤斗志二

    斉藤委員長 次に、桑原豊君。
  51. 桑原豊

    ○桑原委員 民主党の桑原でございます。  今、中川委員の質問を聞きながら、まず、少し関連をしてお聞きしたいと思うんです。  これは前総理の入院に関するということで、もちろん事前に通告をしてございませんけれども、今の質問を聞きながら、さらに少しお尋ねをしたいと思うんです。  保利大臣のもとに連絡が入ったというのは四月の三日の午前中だった、そして御自身が奥さんから聞いたのが朝の六時半だと。我々は、前日の記者会見を見て既に知っておったんですけれども、一国の公安委員長、ある意味では警察、危機管理の責任者のお一人なわけですけれども、そういった方が我々よりも、一般の国民よりもある意味ではきちっとした情報を得られていない、この点が私は非常にひっかかるんです。そのことについて、大臣として、これでいいのかというふうな思いはあるんじゃないかと私は思うんですけれども、それが一つ。  それから、既に警察庁長官には記者会見の直前に連絡が入って、それをその翌日の午前中になるまで大臣のところに連絡がなかったということについても、私はおかしいというふうに思うんですよ。この二つ。  危機管理の総元締めであるのに、こんなことでいいのか。これにやはり大臣は、ある意味では頭に来て、おれはやってられないというくらいになるべきだと私は思うんですけれども、その点を含めて、どうなんですか。
  52. 保利耕輔

    保利国務大臣 国家の危機管理というものに対して責任を持っている立場は、私も認識を十二分にいたしております。したがいまして、仮に、二日の早暁、小渕前総理が御入院をなされましたことを知らなかったといたしましても、仮に二日の朝方ハイジャック事件が発生をしたという場合には、これは仮の話でありますが、直ちに警察庁から私の方に連絡があるはずであります。  そういうふうになっておりますが、その場合、私はすぐ官邸に連絡をとります。官邸は、それを受けてすぐに危機管理の対応をするように現在のやり方ではなっておりますので、それは地震の場合でも大事故の場合でもでありますが、私は、危機管理体制はきちんととられておる。十分かどうかということになりますれば、これはまだ検証していかなきゃならないところがあるかと思いますが、危機管理体制はそういう形で行われますので、総理御自身がどこにいらっしゃるかということも大切なことでありますけれども、それ以上に、一たん国家の大事が起こったときには、私の方から官邸に連絡をする、もちろん警察庁からも連絡をするという体制は整えてございますから、危機管理上は問題はないものと承知をいたしておるわけであります。  それから、総理の耳にどういうふうな形で入るだろうかということになりますと、これは官邸の仕事ということになろうかと思います。私どもから通知をいたしますのは、あくまでも官邸ということになろうかと思います。そういう意味で、危機管理体制は整えられておるというふうに申し上げておきたいと思います。
  53. 桑原豊

    ○桑原委員 私はやはり、それは国家のそういう意味での危機管理を担う最高責任者の一人としては、おかしな話ではないかな、こういうふうに思います。  特に、もうそれまでの間に与党の自民党の中では、後から明らかになったことですけれども、主要な方々が集まっていろいろな話をされているわけですね。それは、とりもなおさず、そのことを通じて、一体この事態にどう対応しようとするのかということで、国民には見えない形で既に議論をやっておるわけですよ。  私は、そんなことの以前に、むしろ、国家の最高責任者がそういう事態になったということであれば、閣僚の皆さんが、特に国の危機管理について責任を負うべき大臣、そういった方々にきちっとした連絡があって、どうすべきなのかということの対応を協議するのが当然だというふうに思うんです。我々一議員よりも後に、そうだったのかというような体制で、本当に対応できるのかどうか、私はできないというふうに思うんですね。その点やはり、どうも国家公安委員長はそういった面での危機意識というか、少し乏しいんではないかという感じがいたします。  それから、田中長官にもお聞きしたいんですけれども、総理にはSPがついているわけですね。そして、いろいろな対応についてはそこを通じて連絡があるというような仕組みになっているんではないかと思うんですけれどもそこら辺はどうなんですか。記者会見の直前まで全くわからなかった、そこで初めてわかったということで、総理がどこにいるのかもわからなくて、いろいろな、身辺警護も含めたきちっとした対応ができるはずもないというふうに私は思うんですけれども、そんなふうなことで本当にいいのかどうか。  それから、公安委員長に対して次の日の午前中まで連絡をしなかったということに対する対応も、極めてずさんだ、おかしい、私はこういうふうに思うんですけれどもそこら辺、改めて長官、どうですか。
  54. 田中節夫

    田中政府参考人 先ほどの答弁でも申し上げましたとおり、警護対象者には二十四時間、あるいは自宅にお帰りになりますと警護対象からSPを外す場合がございますけれども、具体的に、その行動につきましてSPから報告が私どもに上がってくるというシステムにはなっておりません。毎日の個々具体的な対象の行動は、警察庁長官まで上がってくるシステムにはなっておりません。  ただし、その対象者によりまして、新たな警戒措置が必要になった場合、さらには、不特定多数の前でいろいろな演説をするというようなことで特別に態勢が必要な場合、さらには、二つの府県警にまたがりまして行動される場合で、両府県警で調整をとって警戒措置をとるというような場合につきましてはあらかじめ連絡がございますけれども、具体的な対象につきまして、お風邪を召されて入院をされたとか、あるいは具体的にどこどこに現在おられるとかという報告はございません。  したがいまして、今回の小渕前総理の動きにつきましても、私どもは病状そのものは知る立場にございませんので、単に入院という事実をもって、それでもって私どもに報告が上がってくるという形にはなっておらないというのが実情でございます。  したがいまして、先ほどお話し申し上げましたとおり、四月二日の青木官房長官の公表に伴いまして、順天堂医院にマスコミその他が押しかけてくるだろうということで、新たな警戒措置が必要であるというような判断があって初めて、その前に私どもに上がってくるわけでございまして、委員指摘のように、治安維持上というような問題というよりも、むしろ私どもとしては、総理の身辺警護ということでもって措置を講じているわけでございます。  また、大臣への報告が遅いではないかという御指摘でございます。  それは、私どもの判断といたしましては、先ほど大臣が申し上げましたとおり、国の治安全体でいろいろな問題が起きてきた場合ということにつきましての連絡体制というのは、常に、いかなる場合でもとり得る状態にございます。しかし、具体的に総理がどこにおいでになって、あるいは現在何をしておられるか、それに伴いまして若干の警備措置とかあるいは具体的な警戒措置を新たに講ずるということがありましても、その都度それを新たに、そのたびに大臣に御報告申し上げるということでは決してございませんで、重要な場合に、その措置をとった上で御報告をするということはございます。
  55. 桑原豊

    ○桑原委員 総理が入院をしてどういう事態になっておるかもわからないというようなことが、私は、それは本当にある意味では国にとっては大事なことだと思うんですよ。そのことが何か、ほかのいろいろなことと同じように扱われた言い方ですけれども、私は、一国の責任者がそういう事態に陥ったということについては、危機意識を持っている方なら、すぐに公安委員長に報告をするというのは当然ではないかというふうに思うのです。  公安委員長、それだけ事態の報告がおくれたということ、公安委員長警察を管理する立場にあるわけですから、警察がどういう報告を受けて、そのことについてどういう対応をすべきなのかというようなことは、報告を公安委員長が即受けて、そのことをやはり議論しておくべきだと私は思うのです。そういう意味からいっても、それだけおくれたということに対してどう考えておられるのか、このことの考え方を聞きたいと思います。
  56. 保利耕輔

    保利国務大臣 その前に、先ごろの本会議におきまして、青木内閣官房長官から、このように病状がわからない段階であったので、正式に病状を見きわめてから発表、連絡すべきとの私の判断のもと、検査結果が出るまで見守っていたところでありまして、各閣僚にお伝えしなかったことは事実でありますというふうに申しておられます。この辺は官房長官の御判断であっただろうと思います。  その後、十一時半ごろ記者会見がございまして、これが全国にテレビで放送されたということでありましたが、私はその時点で実は、プライベートのことは申し上げたくありませんけれども、風邪薬を飲んで十時半ごろからずっと寝ておりまして、家内も既に寝ておりましたものですから、この会見を見ておりませんでした。したがいまして、それを知り得たのは次の朝ということになったわけでございます。  その点に関して、総理の病状ということでございますので、それは知っていた方があるいはいいかもしれませんけれども、そういう状態であったということは御理解をいただきたいと思う次第でございます。  その上に立って、こういった場合にどういうふうな対応措置警察庁としてとるべきか、あるいは、総理の身辺警護というのは一義的には東京警視庁の仕事でございますから、東京警視庁が総理の身辺についてどういう把握の仕方をし、どういう連絡をすべきかというようなことについて、あるいは、警察庁がそれを知り得た段階でどういうふうに国家公安委員長に知らせるべきかというようなことについては、十分に今後検討をしてルール化をしておかなければならない事項だなというふうに考えております。
  57. 桑原豊

    ○桑原委員 この問題で余り長い時間を要することはできませんけれども、やはり私は、およそ、これだけの一大事を国家の危機と、ある意味では国家管理上の大問題というふうに受けとめて、それにきちっと対応していくというような、そういう危機感というのは、とても委員長と長官の回答からは感じられないんです。  そういう意味では、この間にいろいろな出来事があって、そのことが具体的な問題として問われるということがなかったから幸いするものの、やはりこういったことについてはきちっとした危機意識を持って対応するということで、とてもこの間とられた双方の対応といいますか、また大臣が、その段階で連絡がなかったのは病気に対するいろいろな配慮もあったのだというようなことで納得されているということそのものが、私は全くよくわからない。国家公安委員長の立場とすれば、おれにまず最初にきちっと知らすべきだというくらいの対応があってしかるべきだというふうに私は思うのですけれども、どうもそこら辺が非常に希薄な危機意識ではないかというふうに言わざるを得ません。  これは、我が党としても、国家の危機管理といいますか、こういった事態での対応の仕方ということで、問題点をさらに追及していきたいというふうに思っております。  それでは、法案の審議ということでございます。公務員関係の二つの法案についてお尋ねをしたいと思います。  まず、公益法人等への一般職地方公務員派遣に関する法案ですけれども、従来から、この派遣に関するいろいろな問題については、疑義のある問題がございました。特に、派遣職員の給与の負担をどうするかということなどについては、裁判などにもなっておりましたから、いろいろ関心を集めていたわけですけれども、今回のこの法案によって、派遣等に伴う職員の身分保障であるとか、あるいは処遇、服務等については、これまでの疑義が解消されて、それなりに整理された考え方が打ち出された、こういうふうに思います。  ただ、ちょっと気になるのは、第六条、派遣職員の給与の問題なんですけれども公益法人等派遣をする場合には、条例を定めて要件を決めるならば地方自治体がその給与を負担できる、こうなっております。それから、もう一つ営利法人への派遣の場合には、直接その職員に給与の支給はできない、地方公共団体はできない、こういうふうになっておるわけでして、考え方としては整理をされておるというふうに思うんです。ただ、営利法人等に対して自治体が別途、補助金とか負担金とかという形で一定の補助をしていくというようなことがあれば、その補助金が給与に使われるというようなことになれば、ある意味では、別の手段で迂回的に給与の負担を自治体がするというふうなことになってしまうわけでして、この支給しないというのは、自治体のお金は職員の給与に使わないんだよということだとすれば、そういうふうなことをもし許すとすれば非常に問題が出てくるわけでして、そこら辺の整理をどのようにされているのか、このことについてお聞きをしたいと思います。
  58. 平林鴻三

    平林政務次官 私からお答えを申し上げますが、いわゆる第三セクターの営利法人に退職をして派遣をされる、こういう人に対しましては、職員としての身分を有しませんから、派遣元の地方公共団体は給与を支給することができないということでございます。  なお、第三セクターは、本来、みずからの自助努力といいますか、そういうもので運営されることが原則でありますけれども、第三セクター自体の社会的な便益が広く地域にもたらされるような事業を行うというような場合でありますと、地方自治法の第二百三十二条の二の規定など、この規定は非常に包括的な規定でありますけれども、「普通地方公共団体は、その公益上必要がある場合においては、寄附又は補助をすることができる。」という規定でございますが、この規定によりまして、地方公共団体が財政的援助を行う場合もあり得ると考えられます。  ただし、その場合、その財政的援助の内容につきましては、当該の第三セクターに対する地方公共団体のかかわり方を踏まえて、補助金等に係る公益上の必要性などについて十分検討が行われるものと考えております。これはもう、その当該県なり市町村の長あるいは議会がかかわってお決めになる公益上の判断ということになろうかと思うわけでございます。
  59. 桑原豊

    ○桑原委員 給与の負担をめぐっていろいろな訴訟が行われておりましたわけですから、それをある程度整理をして、こういう場合は給与の負担なども含めたそういった財政援助というものが可能なんだとか、あるいは、こういう場合はそれはできないんだとかというようなことを少しきちっとしていかないと、またここら辺を通していろいろな問題が出てくるというようなことも考えられますから、自治体とお話をしていく際に、十分そこら辺は整理をしていく必要があるんではないかというふうに思いますので、申し上げておきたいと思います。  それから、例えば行革の中でも、PFIというような形で民間資金を導入して公共事業をやるというようなことなども、今後どんどん広がっていくというふうに思います。そういう意味では、今、人的な問題についてどうしていくかというようなことで一定の整理がなされておりますけれども、官民共同事業というような形でさまざまなものがもう既に展開をされていますし、今後ますますその領域が広がっていくというふうに思うんですけれども、そういったものを総体的に広い視野からとらえて、どう一つの法で見ていくのかというような観点もやはり必要になるんではないかというふうに思うんです。  特に第三セクターの場合には、たくさんの数があって、そしていろいろな赤字企業も多い、こういうようなことでございますから、そこら辺を総体的に見ていく法体系というのがやはり必要ではないかなというふうに思うんですが、その点について大臣、どういうふうなお考えを持っておられるか。
  60. 平林鴻三

    平林政務次官 この第三セクターに関して、非常に範囲が、いろいろな仕事が第三セクターとかかわってまいりますし、また、その数もふえていく傾向にあるというのが今までの傾向でございます。他方で、第三セクターの経営に関しまして、すべてがうまくいっておるとは限りませんで、なかなか経営が困難なところもたくさんある。そういう現状にございます。  そこで、第三セクターを、今回の公務員人事の面だけでなくて、もっと総合的にとらえて、法律的な、まあ規制とは申しませんでも、何か基本的なことを決めたらどうかというようなお考えが含まれておるように思いますが、現行の制度では、第三セクターは、関係の法律に基づいて地方公共団体が出資者として参加をするというのが普通であろうと思います。また、事業に応じまして、民法法人であったり、また商法法人であったり、その選択がされておるものだと考えられるわけでございます。  さらに、お話がありましたPFIでございますけれども、昨年七月に法律が制定されましたけれども、これは、官民の責任分担を明確にしました上で、民間資金等の活用による公共施設等の整備などを促進するということを目的として行われる制度でございます。  このように、第三セクターやPFIは、事業目的性格に応じて、これらの方式のうち、ふさわしい官民協調の形態が採用されることによりまして事業の効果が高められるということを期待しておるわけでございます。  そこで、御指摘のような総合的な法律ということになりますと、官民共同という点に着目して統一的な法令を設けることは、現実的には多くの困難を伴うのではないか、また、今申し上げましたこうした多様性を制限するということもどうかというような感じがございます。また、第三セクターの問題は、この制度自身がいろいろな問題を起こしておるということでなくて、運用面で問題が起こっておるというようなことが考えられますので、言ってみれば、適切な指導監督が行われれば、それで対処ができるんではないかというようなことでございまして、今のところは、なお慎重に検討すべき問題であろうと思っております。
  61. 桑原豊

    ○桑原委員 新たな問題意識を持って、さらに検討をしていただきたいというふうに思います。  次に、任期付研究員採用等に関する法律案についてですが、この法律案は、既に行われておる国の制度地方にもということでつくられたわけですが、国の制度ができる際に、いわゆる自治体の研究職場における競争的な研究環境の形成でありますとか、あるいは研究支援機能の充実強化というようなことで、科学技術基本計画の一環として、そういった施策も抱き合わせて国はこの制度導入したわけですが、地方公務員制度調査研究会ですか、去年の四月に報告が出ておりますが、その報告の中でも、それに類したことを地方でやる場合でも行うというような趣旨が報告をされていると思うんですけれども、そういったことを踏まえて、今申し上げたような競争的な研究環境の形成とか研究支援機能の強化充実、そういったところにどのような施策考えておられるのか、そのことをお聞きしたいと思います。
  62. 保利耕輔

    保利国務大臣 御指摘科学技術基本法とか、あるいは科学技術基本計画におきましては、国の責務として科学技術振興施策を策定していくということが述べられておりますが、同時に、地方公共団体の責務でもある、こういうふうにされておりまして、地方公共団体でもこうした科学技術振興についての独自の取り組みをしていかなければならないということであります。各四十七都道府県の中で、現在三十七の地域については科学技術振興指針などの策定がされておりまして、こういった取り組みを全国的にやろうということに進められていっております。  なお、科学技術振興関係でありますが、国の関連予算といたしましては、平成七年度の六十三億円ぐらいの科学技術の振興関係の予算から、現在、平成十二年度では三百六十億円に六十三億から増加をしております。国としてはそういう取り組みになっておりますが、自治省といたしましても、地方公共団体人材育成とか確保取り組みを支援してまいりますために、地域活力創出プランというようなものをつくっておりまして、これは平成十一年度からやっておりますが、こうした中で、いろいろな環境整備を進めていく、研究開発の支援をやっていくというようなことがつくられております。  また、今回の任期付研究員制度導入に当たりましては、こうした地域におきます科学技術振興のための国の支援措置を活用することなどによりまして、ソフト、ハード両面にわたりまして研究開発環境整備等に努めまして、同制度が所期の効果を上げ得るように適切な運用が望まれるところでございまして、今後とも、必要な助言、支援を行ってまいりたいと思います。  科学技術振興のための支援措置というのは、具体的に申しますと、いわゆるミレニアム事業と言っております中にソフト事業として百億を用意いたしておりまして、それに基づいて、科学技術の施設でありますとか、あるいは研究費とかを出していくというような支援措置を講じているところでございます。
  63. 桑原豊

    ○桑原委員 もう一点、この制度についてお聞きをしたいと思うんですが、任期付研究員制度は二通りございまして、いわゆる大変優秀な知識、技能を持った方を招いて行う招聘型と、それから若手を育成するというような若手育成型と、二通りあるわけですけれども、この招聘型については、地方公務員法五十八条三項の、いわゆる裁量労働制は地方公務員には適用しないというのを適用しないということで、裁量労働制を採用できる、こういうことになっておるわけでございますけれども、なぜそういった方々についてはそういう適用除外にするのかという、その根拠。  それから、裁量労働制をとった場合に、研究職場にとってそれがプラスに働くのかマイナスに働くのか。確かに、そういった形で自由な研究をやられることが一つの大きな刺激になってプラスにもなると思いますし、また逆に、一方では裁量労働で行われている、自治体の研究職場は今フレックスタイム制がとれることになっていますけれども、しかし、多くの職場では、それを採用せずに従来どおりの執務体制研究をやっている。そこら辺に、一方ではそうだということで、自治体の従来の一般の研究職員は、ある意味ではやる気をなくすことにつながる可能性もないわけではないわけですね。  そういう意味では、いいように働いてくれればいいわけですけれどもそこら辺をどういうふうに考えてプラスに転ずるように工夫をされているのか、その点ひとつお聞きしたいと思います。
  64. 平林鴻三

    平林政務次官 おっしゃいますように、裁量勤務制ということを導入してもいいということにいたしておりますが、招聘研究員というのは、特定の研究分野において研究業績等により特にすぐれた研究者であると認められている者を対象とするものでございまして、もちろん、この裁量勤務に不可欠な自己管理能力、御本人が裁量勤務をする場合にちゃんと自分で判断をしてやってくださる、こういう自己管理能力を十分有しておる者だというぐあいに考えておるわけでございます。  したがって、国家公務員の取り扱いに準じて、創造性をより発揮できる自由な研究環境整備をもちろん図りますとともに、他の機関におきまして裁量勤務に従事して高い実績を上げている者を採用する場合の環境整備ということの一環で、この制度を用意しようとするわけでございます。  御指摘の、果たして、さような勤務制度導入した場合に研究機関全体としてプラスに働くかマイナスに働くかという判断は、任命権者においてよく検討して判断をすべきものだと私も思っております。一般の研究員にやる気がなくなってくるというような悪い影響が起こったのでは、これは何にもなりませんから、そこら辺をプラスマイナスよく考えて判断をすべきものだと思っております。  今回の裁量勤務制は、すべての招聘研究員に当然に適用をするというものではございませんで、研究業務の能率的な遂行のため必要と認める場合にのみ適用すべきものである、さように私ども考えております。ひとつ、任命権者でこの点を十分に踏まえて、適切な運用を図ってもらいたいと思っております。
  65. 桑原豊

    ○桑原委員 実行をされる際には、自治体とも十分に話し合いをして、そういった制度が所期の目的に沿ってプラスに働くように十分工夫もされてやっていただきたい、こういうふうに思います。  時間が大変押し詰まってまいりましたけれども警察改革につきまして、何点か御質問をしたいと思います。  まず、公安委員長お尋ねをしたいんですが、警察法改正の見通しですね。先ほど少しお話がございましたけれども、まさにこの問題は緊急を要する、すぐ手を打たなければならない、そういう重要な課題でございます。どのような見通しを持って改正考えておられるのか、お聞きしたいと思います。
  66. 保利耕輔

    保利国務大臣 現在国会に提出申し上げております警察法改正案は、神奈川の事案対象にして考えたものでありますので、十分かと問われれば、いろいろ問題もあろうかと思います。  そういう意味で、その後起こりました新潟事案、その後のいろいろな問題について問題点を明らかにし、そして法案に盛り込めるものは盛り込んでいかなければならないというようなことで、各党からもいろいろ御意見も出ておりますし、さらにまた、警察刷新会議におきましても、より根源的な議論を進めていただいているというような状況でございまして、私どもからも幾つかの、例えばキャリア制度をどうするかとか、あるいは公安委員会事務体制をどういうふうな持ち方をするかとかというようなことを申し上げてあるのでありますけれども、その前に、情報公開の問題についてきちんと議論をしようとかいうようなことで、大変濃密な議論が展開をされております。  これは恐らく、少し時間をいただいて、長い目で議論をして、二十一世紀に耐え得る警察組織をつくっていくという意味で、そういった議論を根源的にされているものと私は承知をいたしておりまして、そういう議論の行方を、いつまでも見守っているというわけにはまいりませんけれども、会期末をにらみながら、私どもとしては、どういう結論が出てくるかなというようなことを注目をしておるわけであります。  その上に立って、法案の扱いでありますから、各党各会派でお話し合いをいただきながら法案の取り扱いを決めていかなければならないと思っておりますけれども、もう少しお時間をいただいて、その方向性をよく見きわめたいというのが私の立場であります。
  67. 桑原豊

    ○桑原委員 刷新会議議論はそういう形で進んでいるとしても、やはりこの問題の解決のために、責任ある立場として、早急に法整備をして対応しなければならぬ問題というのは明らかになっているというふうに私は思うのです。そういったものについて明確な方針を出すということが、まず第一の責務だろうと思うのです。刷新会議結論待ちで、それに合わせて議論をするというようなことでは、とても国民のいろいろな問題意識にこたえることにはならないというふうに私は思います。不祥事のきちっとした解決にもつながっていかないと私は思うので、ぜひ早急に、この国会で改正すべきものは何かというようなことを出して、議論をすべきだというふうに私は思うのです。  現在、公安委員長は、刷新会議の第一回の会議で、幾つかの点に絞られて、これらについて議論してくれというようなことをおっしゃったようですけれども法制度改正にしても、一体どの点を対象にして改革をしていくんだというような、そこら辺すらまだ明らかになっていないように私は思うのです。一体何を問題視して、中身は今議論しているけれども、何が制度改革対象なんだということもはっきり打ち出されていないのではないかというふうに思うのですけれども、その点について、改革対象も含めてどう考えておられるのか、お聞きしたいと思います。
  68. 保利耕輔

    保利国務大臣 第一回の刷新会議が行われましたときに私が申し上げましたのは、これは私がごあいさつの中で申し上げさせていただいたのですが、不祥事案を根絶する方策、二番目が監察制度のあり方、第三がキャリア制度、それから第四が公安委員会のあり方、それから第五は、これは大事なことだと思いますが、警察力の強化というようなことについて御論議をいただきたいということでごあいさつを申し上げました。  刷新会議の方の反応は、それはそれとして、刷新会議刷新会議で何をやるべきかというのをきちんと考えていきたいということで、非常に自主的な御判断をされておるようでありまして、こういうことは聞いてはおるが、まだこれにとらわれての議論ではないというふうな位置づけをされております。  しかし、私は、行き着くところはやはり今申し上げましたような点、あるいは追加的に二、三点出てくるかもしれませんけれども、そういったものが中心になって論議が進められていくもの、このように理解をいたしております。
  69. 桑原豊

    ○桑原委員 その点については最優先をして、法制度改正をできれば今度のこの国会の中でやりたい、こういうふうなお考えを持っておるというふうに解してよろしいですか。
  70. 保利耕輔

    保利国務大臣 法案を提出しております以上、その扱いについては責任もございますし、また、第一義的にはそれは国会の中での御論議でございますけれども、私どもとしては、こういった現下の情勢に対応するような法律をつくっていくというのは任務であるというふうに理解をしているところであります。
  71. 桑原豊

    ○桑原委員 もう時間もございませんからあれですが、神奈川の問題などで一定の反省をして、法案を既に出しているわけですね。その法案を、その後いろいろなことが続いて、これだけでは不十分だと。NHKの朝の討論会では、公明党の冬柴書記長などは、もう陳腐化したというふうな表現もとられておりましたけれども、そういった法案をどうするのかということもはっきりしない。それから、その法案がだめなら、これらについて法案化を考えていくんだという制度改革対象もはっきりしない。刷新会議待ちなのかというと、刷新会議議論は相当長引く、いろいろな問題が出てくる、それを待っていたのではなかなか法案化も難しいというようなことで、どうも政府の姿勢がはっきり見えてきません。問題視はしているけれども、一体これをどう扱おうとしているのか、これを一体どこの議論にゆだねようとしているのか、そこら辺が一向に見えてこないわけですね。  私は、そういうことでは、極めてこの問題の対応としてはまずいのではないかというふうに思うので、その点どうなんでしょうか。
  72. 保利耕輔

    保利国務大臣 いろいろな事案がございましたものですから、あるいは考え方がありましたものですから、国家公安委員会としては、警察刷新会議国家公安委員会につくりまして、それで根源的な議論をしていただいているわけでございますが、大変見識の高い先生方がたくさんお集まりでいらっしゃいまして、そこでの御議論というのは、今までにないような議論がなされております。そういったものをどうまとめていくのかということについては、少し時間をいただいて、その方向性を出していかなければならない時期は必ず来る、そのように私は考えております。  その場合は、やはり国家公安委員会としてもイニシアチブをとってやっていかなければならないことでございまして、今の法案の取り扱いを含めて、イニシアチブをとって頑張っていかなきゃならない事項だと思っております。
  73. 桑原豊

    ○桑原委員 時間が参りましたので、終わりたいと思います。
  74. 斉藤斗志二

    斉藤委員長 次に、石垣一夫君。
  75. 石垣一夫

    ○石垣委員 初めに、警察改革問題についてお伺いしたいと思うのですけれども、当委員会で随分論議をされてまいりました。今日続発する一連不祥事は、まさに痛恨のきわみであります。今日まで営々築いてこられました国民信頼を大きく失墜をし、いまだにその信頼回復のめどもつかない、こういう状況の中であります。  そこで、現在、警察刷新会議がさまざまな視点から論議をされておると思うのですけれども、私は、結論として、警察の情報公開ができるのか、さらにまた外部監察制度を取り入れることができるのか、この二点が大きな焦点だと思うのですけれども、今日まで、この二点について警察庁としてどのように取り組んでこられたのか、お願いしたいと思います。
  76. 石川重明

    石川政府参考人 警察刷新会議は、今月の四日に第二回、十日に第三回の会議開催されまして、それぞれの会議におきまして情報公開について御議論がございました。  第二回会議におきましては、委員方々から、捜査上の秘密などを理由に、公開すべき情報まで公開していないのではないか、どこまで情報公開していくかについてのガイドラインを作成すべきではないかなどの意見がございまして、情報公開のガイドラインを検討するということになったわけでございます。  また、次いで第三回の会議におきましては、このガイドラインに関しまして、情報開示の請求を待たずにみずから積極的に公表を行っていく場合の基準はどうか、あるいは情報公開法が施行になった後開示請求があった場合に、開示、不開示をする判断の基準というものはどういうものかといったようなことが検討されました。その中で、不開示となる例外事由が具体的に明らかになるものにすべきである、こういう御議論があって、今引き続き検討しているという状況でございます。  そこで、私ども警察としてどのような情報を公開しようと考えているのかということでございますが、国家公安委員会警察庁は、平成十三年四月から施行されます委員御案内の情報公開法の実施機関とされているわけでございまして、情報公開法の第五条におきまして、第一号の個人情報から第六号の事務事業情報まで、不開示とできる情報が列挙をされております。これらの不開示情報に当たらない限り開示するということが法的に義務づけられることになるわけでございます。  この開示、不開示の判断につきましては、個々の開示請求ごとに法の規定に照らして判断をされるわけでございますが、法の施行までに、可能な限り具体的な判断の基準を策定していく必要があるというふうに考えております。  そうした場合に、それではどのような情報が開示できないのか、こういうことになるわけでございますが、例えば個人のプライバシーに関する情報であるとか、あるいは公にいたしますと警察の捜査方針あるいは捜査の手法などが明らかになるということで犯罪捜査に支障を生じるような情報、そういったものが不開示情報に該当することになるんだろうと思います。他方、風俗営業などの許認可あるいは運転免許の取り消し等の基準に係るものなどに関しましては、開示することも何ら差し支えのないものが多いだろう、こういうふうに考えられるわけでございます。  従来から、警察白書あるいはインターネットのホームページ等、そういうものを活用いたしましていろいろな情報を公表してきたわけでございますけれども、情報公開法の施行前におきましても、さらに積極的な国民皆様方への情報提供に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。  それから、外部監察の問題でございますけれども、この点につきましては、警察刷新会議との関係で、まだそこまで御議論が至ってございません。今後の会議において、監察制度のあり方というものについては御議論がなされるものというふうに承知をいたしております。  そこで、警察庁として、今までの外部監察についての考え方でございますが、これを導入いたしますと、監察第三者性確保されるというようなメリットと申しますか、長所があろうかというふうに思います。ただ、一方で、実効ある監察を行うためには、新たに相当の体制整備する必要があるといった点、あるいは、警察職員による不祥事案が発生した場合において、問題点を正確に、かつ速やかに把握をして、そして速やかに厳正な処分を行う、あるいは問題点を改善していくというためには、警察業務内容に精通した者が当たる必要があるということ、あるいは、人事との関係が非常に密接に連携しなければならないといった問題があるといったようなこともございます。そういう意味で、慎重な検討が必要であるというふうに考えておるわけでございます。  ただ、監察公正性あるいは実効性というものは重要な問題でございますので、その確保方策につきましては、この会議の御議論あるいは各方面の御意見というものを伺いながら、今後、十分に検討してまいりたいというのが警察庁考え方でございます。
  77. 石垣一夫

    ○石垣委員 今、情報公開それから外部監察制度についての取り組み状況についてお話がございました。  今の答弁を聞いておりますと、これに対しては前向きに取り組む、こういう判断でいいわけですか。
  78. 石川重明

    石川政府参考人 まず、情報公開の問題につきましては、国の立場で今申し上げましたけれども都道府県における警察、これにつきましても、現在九県で情報公開条例が改正をされて、公安委員会あるいは都道府県警察がその実施機関に入るということになっておるわけでございます。こうした動きというものは今後さらに進んでいくだろう、そして警察としては、国民協力確保のためには情報の公開ということが大事なことだという位置づけでこの問題に取り組んでいきたい、こういうふうに考えているところでございます。  外部監察の問題につきましては、先ほど申しましたようなメリットデメリットもございますので、慎重な検討が必要である、それにつきましては、会議の御議論等も十分に参考にしながら判断をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  79. 石垣一夫

    ○石垣委員 今、外部監察については慎重に判断をしたい、こういう答弁なんですけれども警察庁を指導監督する所管の公安委員長として、大臣として、この二点についてはどのような見解をお持ちですか。
  80. 保利耕輔

    保利国務大臣 情報公開につきましては、今官房長から御答弁申し上げましたとおり、これは進めていかなければならない事項だと考えております。ただ、警察という特殊な仕事でありますから、そこの部分について情報公開になじまない点があるということについては、国民の間に御理解を賜らなければならない点があろうかと思います。  それから、外部監察の問題につきましては、ここでも前にも御答弁申し上げましたとおり、外部監察機関警察の中を見るというのは、外から見ますと、確かに、独立して監察をするわけでありますから、そういうメリットはあろうかと思います。しかしながら、警察に対する監察というのは、今求められておりますのは、経理監査のようなものとはちょっと様子が違う、もちろん経理監査の面もありますけれども、実際、業務が規則正しく、規律を持って遂行されているかどうかというような面を監察するということになりますと、警察内部の、組織内部の事情を相当詳しく知っている人がやはり事務局に入っていないといけない、あるいは、それは一たん組織的には切りましても、警察でいろいろ見聞きし経験をしてきた人が入るという必要があるんではないかというふうに考えております。  外部につくりました場合でも、なお、警察組織の内部においてその規律を厳正に正していく機構というのはそのまま残るであろうというふうに私は想定をいたします。外部監察に対応する機構というのが内部に必要だということを考えますと、それを抱き合わせて新しい機構をつくるのか、それとも、全く外部に独立して、さらに内部は内部でそれに対応する組織をつくるのか、そこのところは非常に悩ましいところでありまして、一つの大きな研究課題として刷新会議にもかけられている問題だと思っております。
  81. 石垣一夫

    ○石垣委員 外部監察あるいはまた情報公開、もろもろの問題点があろうとも、十分ひとつ論議を尽くしていただいて、今日、行政に対する国民信頼は、私はやはり情報公開と説明責任、この二つが信頼回復の大きなキーになると思うんです。警察行政といえども、やはりこの域を超えることはできません。したがって、この事件を一つの大きな起点として、国民信頼回復へ前進をしていただきたい、このことを希望しておきます。  次に、地方公務員制度改革関連二法案に対する質疑をしたいと思うのですけれども公益法人等への一般職地方公務員派遣に関する法律案の中で、その第二条第二項職員派遣、五条派遣職員職務への復帰、六条二項派遣職員の給与について、具体的な実例を挙げて質問したいと思うのですけれども、現在、地方自治体が取り組んでいる第三セクターの運営実態についてお伺いをしたいと思うのです。  第三セクターの数は、平成十一年度現在、一万百三十五法人あることにまず驚きました。自治省調査の「地方公社の現況」を見ますと、地方公社の統廃合は、平成八年度、九年度、十年度で百八十六法人が廃止されております。また、地方公社の統合数は百法人になっております。この統廃合の中に解散された数は含むのか。またあるいは、倒産したいわゆる負債額の大きい第三セクターの法人地方自治体のワーストテンをひとつ発表してほしいと思うのです。
  82. 香山充弘

    香山政府参考人 お答え申し上げます。  地方公社の統廃合百八十六という中には、当然解散が含まれておるというふうに御承知おき賜りたいと存じます。  それから、解散に至りました第三セクターの負債額でありますけれども、民間の調査結果等によりまして最近十年間の状況を見ますと、大きいところを申し上げますと、泉佐野コスモポリス、負債額が六百七億円、千葉急行電鉄三百二十億円、北海道のウラウス・リゾート開発公社百三十五億円、秋田県木造住宅株式会社百三十五億円、それから呉ポートピアランド百十四億円、別府商業観光開発六十七億円、福岡のネイブルランド六十一億円、日光リゾート開発五十六億円、国際見本市協会、これは大阪でございますけれども、五十億円、美濃加茂都市開発株式会社三十四億円、こういったところが大きいものでございます。
  83. 石垣一夫

    ○石垣委員 今ワーストテンを発表していただきましたけれども、私の調査では、解散したものは九七年は九法人、九八年は二十五法人、さらに昨年九九年は二十九法人と年々増加をいたしております。ことしも、埼玉県所沢青果あるいはまた厚木総合情報センター等が清算手続をしております。  そこで、資料をちょっと配ってほしいと思うのですけれども委員長、了解いただけたらと思うのですけれども
  84. 斉藤斗志二

    斉藤委員長 もう配っています。
  85. 石垣一夫

    ○石垣委員 これが、今の解散実態であります。時代を反映したゆえんかわかりませんけれども、解散の特色は、いわゆるリゾート開発、それから土地開発公社、開発協会など、観光開発や土地開発関連法人が多く倒産しております。  また、IT革命と言われる今日、第三セクターの通信事業は、九八年に三社が解散、九九年にも三社が解散しております。これは、郵政省の資料とは若干違うと思うのですけれども、十年前から肝いりで推進しましたテレトピア構想事業が、現在七社が解散している、こういう実態なんですけれども、郵政省、その現状説明してください。
  86. 有村正意

    有村政府参考人 お答えいたします。  ただいま先生が御指摘になりましたように、第三セクターのテレトピア推進法人は、ここ三年間で七つが解散をしているところでございます。解散いたしました法人のほとんどは、テレトピア構想に基づきまして、昭和六十年代に、キャプテンというふうに愛称しておりますビデオテックス等によりまして、情報提供を主たる業務とするということで、地域の情報化を推進するために設立されたものでございます。  先生御承知のように、この分野の技術進歩は大変著しいわけでございまして、近年におきましては、インターネットとかCATV等を利用いたしまして、そういった新しいメディアで情報提供等を行うということが起こっておりまして、キャプテンの利用が減少しているというふうに聞いているわけでございまして、そういった事情も反映しているかというふうに思っております。
  87. 石垣一夫

    ○石垣委員 そこで、自治省は、こうした解散に至らないために、また債務超過にならないように、第三セクターに対して平成十一年の五月二十日に、いわゆる「第三セクターに関する指針について」ということで各都道府県、市町村に通達をいたしておりますね。この内容は、極めて懇切丁寧に、四点にわたってきめ細かく指導されております。改めて敬意を表したいと思うのです。  ところで、この第三セクターが問題として表面化してくることは、いわゆる地方自治体の簿外債務が明るみに出た、こういうところから始まってきたと思うのです。その端的な例としては、福岡県の赤池町が、第三セクター土地開発公社の累積赤字十九億九千九百万円を含む二十七億円を町が負担しなければならない、こういうことで赤字再建団体になったという事実があります。私は今後、地方自治体が連結決算あるいはまたバランスシートを作成することによって、その実態が顕在化してくると思うのですよ。そうすると、こういう例が随所に出てくるのではないか、このように私は危惧をいたすわけであります。  国の方は、バブル崩壊対策として、いわゆる金融機関に対する公的資金の導入を初め数々の手を打ってきたのですけれども地方自治体のバブル対策はこれから始まるのではないか、その焦点は第三セクターじゃないか、私はこのように危惧するわけであります。  そこで、自治省の第三セクターの経営状況についての調査結果では、今後一層、債務超過や法人の解散など、拡大をする可能性を危惧した内容なのですね。ところが一方、この危惧を回避する明確な方針が自治省のこの方針の中に示されていない、私はこう思うのです。第三セクターの経営状況についての資料の中で、個別ごと第三セクターの債務超過というのがあとどのくらいあるのか、その自治体名はどこなのか、この点を明らかにしておりません、この調査票では。これでは、地方自治体の経営責任の自覚を促すことは難しい、私はこう判断するのですね。  そこで、第三セクターの中で債務超過になっている法人件数はどのくらいあるのか。また、その法人名は公表できますか。
  88. 嶋津昭

    嶋津政府参考人 お答えいたします。  昨年の十二月に発表いたしました第三セクターの経営状況に関する調査結果につきましては、債務超過の状況を調べるというような調査票の形式にはなっておりませんでした。この調査におきましては、商法法人、民法法人という第三セクターの二つの形式がございますが、それのいわゆる経営状況、損益状況を調査したところでございまして、商法法人の形をとる三セクの約四割、千四百三十六法人が直近の決算において経常赤字でございました。また、民法法人の形をとる第三セクターの約四分の一の千二百十九法人が直近の決算において当期正味財産減少額、いわば赤字になったという状況でございます。  それぞれの団体の三セクの財政状況につきましては、自治法に基づきまして、二分の一以上出資している団体については、その決算状況がそれぞれの団体、議会に報告をされているところでございますので、そういうことに該当する団体については、それぞれの設立団体、出資団体がその状況を把握しているというふうに考えております。
  89. 石垣一夫

    ○石垣委員 そこで、私が幾つか調査した実態を申し上げますと、地方自治体が第三セクターに五〇%以上出資し、債務超過に陥っている法人数は三十七法人あります。また、二五%以上の出資比率で二十七法人あります。私は、市町村別に、債務超過に陥っている第三セクターについて実態名を挙げてその改善を促していきたい、こういう方針でなければいかぬと思うのですよ。やはり具体的に第三セクターをチェックしないと、なかなか改善のスピードは進まない、こう私は思うのです。さらにまた、出資比率五〇%以上で、資本を食い込みしている、いわゆる債務超過のおそれのある第三セクターは六十法人あります。  この実態を見て、今お手元に資料をお配りしておりますけれども、所管の大臣として、地方自治体に喚起すべき指導はどのようにお考えですか。
  90. 保利耕輔

    保利国務大臣 委員が御熱心に第三セクターの問題についてお調べをいただいておりまして、実態は非常に厳しい赤字の累積等がありまして、経営が悪化しているというのは事実でございます。  こうしたものに対しましては、委員指摘のとおり、昨年の五月に第三セクターに関する指針というのを出しておりますが、その中では、第三セクターについては、その設立に当たって、今後設立する場合には事業の見通しについて十分な検討が必要である。それから二つ目でありますが、住民への情報開示あるいは議会への説明を積極的に行う。それから、経営状態を定期的に診断するというのが三番目。それから四番目に、組織機構の見直しや経営の改善に取り組むこと。五番目が、これが非常に大事なところなんでありますが、経営の悪化が深刻であり、かつ将来の経営改善の可能性がないと判断されるものについては、問題を先送りせずに対処することとなっておるのですが、この対処という意味は、事業の存廃を含めて検討をしなさいということを申しているのが、この昨年五月に出したものであります。  そういった線に沿って、経営の状態というのを明らかにしつつ、今後の第三セクターのあり方について十分に検討を加えていかなければならない。必要によっては、自治省において助言等を行うというようなことを考えております。
  91. 石垣一夫

    ○石垣委員 時間がありませんので、はしょって指摘したいと思うのですけれども、第三セクターが設立される時点で、地方自治体と第三セクターとの契約書または覚書、こういう中に財政上の区分と責任体制を明確にしていない、ここが一番大きな問題点だろう、私はこのように思うわけであります。実態はどんどんずるずる補てんをしていく、こういう現状が現在あるわけであります。したがって、今経営者の姿勢についてはいろいろ話がございましたけれども、とにかくこの問題は捨ておけぬ大きな問題であろう、私はこのように思います。  最後に、途中を飛ばしまして申しわけないのですけれども、本来に戻りまして、今提案をなされております議案の中で、職員派遣の第二項ですね。いわゆる任命権者は、職員派遣の実施に当たっては、あらかじめ当該職員に取り決めの内容を明示し、その同意を得なければならない、こういう同意事項が明記されております。  しかし、先ほど申し上げたように、いろいろとセクターというのは、いつ解散されるかわからないという不安な事業があるわけです。そういうところに責任を果たしてこい、こういうふうに命令しても、果たしてそれを正直に受けられるのか、こういうことなんです。したがって、同意事項があるのですけれども、これを断った場合、果たして職員の処遇について差別をされないのか、こういう懸念があると私は思うのです。したがって、そういう一つ保障事項をこの法律の中に入れるべきではないか、こう思うのです。  例えば、具体的に、第二条二項の、その同意を得なければならないこと、その後に、同意を得られないことを理由人事の公平に均衡を失することのないよう努めるものとする、私はこういうふうな規定が組み込まれてしかるべきではないか、こうすれば職員も安心をしていろいろの対応ができると思うのです。この点どうですか。
  92. 平林鴻三

    平林政務次官 おっしゃいますことは、第三セクターに派遣されるのを断った場合に不利益な取り扱いを受けるような心配があるから、それを法律で不利益にならないように措置してはどうかというお話でございますけれども、本来、地方公共団体の公務に従事することを前提に任用されておる職員でありますから、今回の制度によって派遣されることとなる場合には、身分取り扱い等に大きな変化をもたらすことになりますので、職員派遣に当たりましては、職員の同意を要件とするということにいたしておりますし、退職派遣につきましても、本人の意思による辞職を前提にしてこの法律はできておるということでございます。  したがって、こうした同意や本人の意思は、派遣を行うに当たってのいわば大前提になっておりますから、派遣されることを受け入れなかった職員が処遇上の不利益をこうむるようなことは、これはもう絶対にあってはならぬ、そういうことで法律をつくったつもりでございます。  したがって、明文の規定は置いておりませんけれども職員派遣に当たってあえて本人の同意を要件としております趣旨や、地方公務員法第十三条の規定、すなわち平等取り扱いの原則というのがはっきり書いてございますから、そういうようなことにかんがみまして、任命権者がこのことを遵守すべきものだというのは、これは法律の構成趣旨から申して当然出てくることでございますから、そのようなことで各地方公共団体でこの法律の運用をしてもらいたい、そう思っております。  私どもとしましても、さようなことが、不利益なことが起こらないように、十分に適切な助言をしてまいるという考え方でおります。
  93. 石垣一夫

    ○石垣委員 同意事項がスムーズに行われるというのは前提なんですけれども、先ほど指摘しましたように、現在の第三セクターの経営危機の実態、こういうことを背景に今申し上げたわけであります。したがって、自治省としても、この第三セクターの経営状況についてはきちっと把握をされて、そして適切な指導監督を一層強化する、こういうことを希望しておきます。
  94. 保利耕輔

    保利国務大臣 今御懸念の点につきましては、法文上にも同意ということをきつく入れておりますし、また、そういった同意が条件ということを私どもとしては重く受けとめて、地方自治体に対してその線に沿った指導をしていかなければならない、このように感じております。
  95. 石垣一夫

    ○石垣委員 終わります。
  96. 斉藤斗志二

    斉藤委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時十分休憩      ————◇—————     午後二時四十三分開議
  97. 斉藤斗志二

    斉藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。春名直章君。
  98. 春名直章

    ○春名委員 日本共産党の春名直章です。  きょうは、最初警察問題をお聞きしていきたいと思います。  三月の八日に新潟県警の集中審議をやりまして以降、もう皆さんも御承知のとおり、白川代議士秘書による交通違反もみ消し問題、埼玉の桶川問題、愛知の恐喝事件問題等々、重大な警察にかかわる不祥事が続いているわけです。上から下まで腐っていたのかと、改めて憤りが今広がっているという状況です。最新の世論調査でも、警察信頼できないというのが五六%、こういう報道もされているような状況ですので、いよいよこの声を真摯に受けとめなければなりません。  そこで、具体的なお話を聞いていきたいと思います。  一つは、白川議員の地元秘書の要請による交通違反のもみ消し事件について、これ自身のいろいろな動機や理由づけとか、そういう問題を私はきょうは質問をいたしません。警察庁は従来から、通達などで、抹消登録、要するに交通違反の行政処分の点数等々ですね。抹消登録については担当課長または課長相当職の決裁事項とすること、それから決裁印のない登録については端末機を操作しないように徹底することなど、四点にわたって今まで指導してきた、今回の事件を踏まえて再度指導する、こういう御説明を私は受けております。  これは、簡単に言いますと、今までやってきたことをそのまま、少し注意深くやる、こういうふうになるわけです。要は、こういう事件が起こって、国民信頼回復するという点では、二度とこういうことが起こらないシステムを国民にも明らかにして、絶対に起こさないということを明らかにすることが極めて大事であります。もみ消しなどの違法をやろうとしたときに必ずそれが判明する、そういうシステムをつくらないと再発の防止にはならないと思います。  そういう仕組みになっているのかどうか、どういうお考えかをお聞かせいただきたいと思います。
  99. 田中節夫

    田中政府参考人 委員指摘の、新潟県警におきますところのいわゆる交通違反もみ消し事案でございますけれども、これにつきましては、まことに遺憾で、あってはならない事案でございます。  それで、従来とも登録の抹消には厳正な管理を行うよう指導してきたところでございますけれども、この事案につきまして国家公安委員会にも御報告申し上げました。それで、国家公安委員会におきましても、重大な関心を持っており、警察庁責任を持って再発防止のための措置を講じてほしい、通達を出すだけではなく、もっと基本的な対応が必要であり、必死になって取り組んでほしいとの御指摘がございました。  そこで、それを受けまして、私どもといたしましては、今回の事件の事実関係の解明の結果、まだ目下解明中でございますけれども、判明する問題点を踏まえ、このような違法行為が二度と引き起こされないような不正防止のためのシステムを構築してまいりたい、かように考えております。また、各都道府県警察におきましても、抹消登録の実情あるいは管理体制につきましても十分点検いたしまして、問題の絶無を期したいと考えております。現在、警察庁におきまして具体的なシステムについて取り組んでおるところでございます。
  100. 春名直章

    ○春名委員 システムをつくりたいと御答弁いただきました。  報道によると、大沢、曽根原両被告が、この半年間で別のもみ消し行為を少なくとも六件行っていたということが新たに明らかになっていますね。いずれも行政点数をコンピューターから抹消したものだ、こういう報道がされています。地検は追起訴、依頼者側の立件について検討を進めるということも報道されています。また、この事件が起こったときにまことしやかにささやかれたのは、ほかでも同様のもみ消しの依頼とかそういう問題はいろいろあるんだ、これが特別な例じゃない、こういう声も随分ありました。こういう問題にやはり大きな不信の根源があるわけでして、今お話がありましたシステムですね、チェックした上で入力をし、入力結果を再度チェックして絶対に不正が入り込む余地がない、そういうものを本当に明確にして、裁量が入らないようなシステムをつくるということが、どうしてもこれにこたえていくかぎだと私は思いますので、その点を改めて確認をしておきたいと思います。
  101. 田中節夫

    田中政府参考人 今回の交通違反もみ消しの事案につきましては、システム上欠陥があった、あるいは具体的な抹消登録の過程におきましていろいろな者の介入の余地があったということでございますので、そのような問題点を踏まえまして、今委員指摘のような入力の過程あるいは入力の結果のチェックということにつきまして、再びこのようなことがないようなシステム、そういうものを構築してまいりたい、かように考えておるところでございます。
  102. 春名直章

    ○春名委員 関連して、これは余り表ざたになっていないことなんですが、一九九八年の八月に千葉西署で、警察官が交通事故の事故証明を改変していたという事件が発覚をしております。その報道もされております。この事件の概要とてんまつについて、簡潔に述べていただきたいと思います。
  103. 坂東自朗

    坂東政府参考人 交通事故証明書の変造の件についてのお尋ねでございますけれども、これは、平成九年の七月十六日、千葉市内で発生した物件交通事故に関するものでございまして、この事案の概要は、所轄署の警部補が、一方の当事者の父親からの交通事故証明書の内容が違うとの申し出を受けまして、自動車安全運転センターに連絡いたしまして、当該交通事故証明書を訂正することを企て、同センターの事務を誤らせる目的で、事情を知らない同センター職員をしてその内容を変更させたというものでございます。  本件事件につきましては、関係者の取り調べなど所要の捜査を遂げまして、平成十年八月六日、この警部補を公電磁的記録不正作出罪によりまして地方検察庁の方に送致しているところでございます。  以上でございます。
  104. 春名直章

    ○春名委員 今送致しているということなんですけれども、問題はこれも、もみ消しとシステムチェックという点では共通する問題があるわけなんですね。つまり、警察官であれば簡単に事故証明を、さまざまな動機があって改変できるような状況だったということが明らかになったわけです。  その後、千葉県警はこの事件を契機にして、署長決裁のない訂正の申請は認めない、こういうふうに改めたとお聞きをしております。当然これは、千葉県警だけの問題ではないということになります。全国的な問題でして、当時、全国的に事故証明の訂正の事務手続がどのようになっていたのか、その後、少なくとも千葉県警でとられたような手だては全国的にとられてきているのかどうか、この点を伺いたいと思います。
  105. 坂東自朗

    坂東政府参考人 こうした事案というものはあってはならないことでございますので、委員指摘のように、千葉県警におきましては再発防止の措置をとったところでございますけれども、私ども警察庁におきましても、その直後の全国会議におきまして本件事案を示しまして、再発防止を指示したところでございます。  なお、この種事案の絶無を期すために、各都道府県警察の改善状況等につきましては現在調査中でございます。
  106. 春名直章

    ○春名委員 全国に徹底をされていることですので、是正が行き渡っているかどうかをしかるべき時期にぜひ文書で提出していただきたいということが一つ。  この点でも、一千葉県警の問題ではないということですので、その是正の中身が不正を必ず未然に防ぐし、不正が出たらわかるというシステムをやはりつくり上げていくということが大事なことでありまして、一本の通達で徹底しなさいということではだめなわけですね。  その二点、お答えいただきたいと思います。
  107. 坂東自朗

    坂東政府参考人 まず、再発防止でございますけれども、先ほど委員指摘のように、千葉県警におきましては、こういった訂正の措置をとる場合におきましては必ず署長の決裁を得るというような措置をとっているところでございますので、先ほど申しましたように現在全国の警察の改善状況等を調査中でございますけれども、そういったことのとられていないようなところにおきましては、そういった再発防止の措置をとるように今後指導を徹底してまいりたい、このように考えております。(春名委員「提出、報告」と呼ぶ)その点も含めまして検討させていただきたいと思います。
  108. 春名直章

    ○春名委員 白川代議士のあのもみ消しの問題とかこの千葉西署の問題などは、確かにそれ一つ一つの事件に背景があるわけでして、それ自身を解明するということが大事なんですけれども、同時に、容易にこういうことができるというところに重大な問題があると私は思うのですね。そこの点をこの二つの事案から肝に銘じて信頼回復するということこそが、やはりどうしても必要な改革ではないかと私は思いますので、冒頭に質問をさせていただきました。  二点目は、兵庫、桶川、それから愛知等にかかわる問題です。  兵庫では、九九年の二月、殺された女性の方が、九八年十二月二十三日にストーカー被害を兵庫県警に申し出ていました。告訴する意思を伝えましたが、地元署の警察官から誓約書で済ますようにと求められていたと報道されています。昨年二月にその相手から車をぶつけられて死亡いたしました。お兄さんは月刊誌に手記を寄せて、警察が本気で対応してくれていたら妹は死なずに済んだと怒りを述べています。  埼玉の桶川事件、この兵庫の事件、構図は全く同じであります。警察の怠慢、国民の安全を守るという第一の職責を果たさなかったことによって、かけがえのない命が奪われるということになったのです。許されざる事件です。  さらに、愛知の恐喝問題が起こりました。この件では、疑問な点がたくさんあります。少年から被害届を受けた愛知県警の緑署が、十分な捜査をしないで事件を放置していたという状況。昨年七月一日に被害に遭った少年から事情を聴取したのに、それを放置していたのではないかという問題。また、そのときに、加害者の名前をその場で聞いていたのではないかという疑問。ことしの三月六日、主犯格の少年の親が緑署を訪れて相談されたのに、なぜすぐに捜査を始めなかったのかという問題。また、逮捕された少年が関与した別の事件についての被害届を放置していた問題などなどです。重大な疑問点があります。  この点は必ずしも鮮明になっておりませんので、必ず徹底調査をしていただいて、報告をしていただきたいと思います。この点よろしくお願いします。
  109. 田中節夫

    田中政府参考人 今御指摘のありました桶川の事件あるいは愛知の事件、さらには兵庫の事件等いろいろございまして、これはいずれも国民のいろいろな要望に十分こたえられない、その結果起きた事案だというふうに、私どもは真剣にその問題を考え、また深刻に受けとめておるところでございます。  桶川事件につきましては既に報告が出されておりますので省略いたしますけれども、愛知の事件あるいは兵庫の事件等につきましては現在調査中でございます。したがいまして、その愛知県警あるいは兵庫県警におきまして調査の結果がまとまりました場合には、これを御報告したいというふうに考えているところでございます。
  110. 春名直章

    ○春名委員 今、国民の要望について十分こたえていないという率直な長官のお話がありましたけれども、相次いでまさに耳を疑うようなこういう事件が発覚している以上、その該当の県警とか該当の警察署とか一警察官の問題とか、まさにそういう問題として片づけることができないということが今明らかになったわけです。  これは、神奈川や新潟の問題でも、キャリアと言われる官僚の方、中枢の幹部が問題を起こしたという点で議論してまいりましたけれども、今回のこの一連の問題もまさに全国に波及しているわけであって、一警察官の態度の問題などで答えられるものではないということは、もうはっきりしていると思うのです。警察全体の問題です。  そこで、警察庁長官伺いたいと思います。  この一連の事件について、みずからの責任はどう感じていらっしゃるか。また、なぜこうした考えられない事態が頻発するのか、その原因がどこにあると今お考えになっているのか。この御認識を問うておきたいと思います。
  111. 田中節夫

    田中政府参考人 今ほど委員が御指摘のいろいろな事案が起きております。その事案の基本的な背景あるいは根本的な原因がどのようなところにあるのか、そしてまたどのような対策を講ずるのかということにつきましては、これは個々具体でケースが違いますけれども、その中で共通の問題、あるいは基本的に我々として考えなければいけない問題というのが当然あるはずでございますので、そういうものを探り出して、そして、このようなこと、あるいは国民に御迷惑をかけるようなことが二度と再び起こらないようにするということが私の責任であるというふうに感じておるところでございます。
  112. 春名直章

    ○春名委員 具体的に、なぜこういう事態が頻発するのか、原因がどこにあるのかは今お答えになりませんでしたので、議論をする上で、参考に二点具体的に聞いてみたいと思います。  この背景に、一つは、昇進などの役に立たない仕事は軽視をするという点数主義とか成績主義、こういうものがはびこっているのではないかと広く指摘がされています。こういう警察内部の構造的な問題がここでもあらわれていることについては、どういう御認識でしょうかというのが第一。  第二は、警察官への教育と研修、この内容の問題であります。本当に、国民のための警察という原点をどう徹底されてきたのかということです。  例えば、四月の七日付の毎日新聞にこういう社説が出ました。「「ごんぞう体質」を一掃せよ」という社説です。「研修・教育は通常は昇進時に合わせており、昇進する警察官対象としている。本来は優先的に教育すべき“ごんぞう”は、昇進とは無縁であるために、各種の研修・教育にも縁遠い。」「ごんぞう」というのは隠語だそうですが、僕はこれで初めて知ったんです、申しわけありませんけれども。市民に不親切で、やる気のない警察官のことを指す警察隠語だというふうに解説が出ておりましたけれども、こういう指摘があります。  みずからの職務国民のためにあるんだという原点、それ自身が完全に忘れ去られている事件が相次いでいるわけであって、本当に恐ろしいことだと思うんです。こういう中身、必要な教育が徹底されるという改革の問題、こういう点がやはりこれから問われなければならないし、今までどうだったのかということが問題だろうと私は思います。  この二点、具体的に指摘もされている問題です。警察庁長官にお聞きし、同時に、国家公安委員長としても、今後の警察改革の重要な問題ですので、御認識を問うておきたいと思います。
  113. 田中節夫

    田中政府参考人 警察に今強く求められておりますのは、安心して暮らせる空間の確保のための諸活動であるというふうに思います。犯罪等の被害に遭った方はもとより、その不安を訴える方からの届け出や相談を受けた場合におきまして、たとえその時点で犯罪等によることが明らかでない場合、また、あるいは家庭内の問題でありましても、相談者の訴えに十分に耳を傾け、犯罪等による被害の未然防止の徹底を期することにあるというふうに思います。  そこで、今委員指摘のように、困り事相談等に対する私どもの評価というものが十分ではないのではないかという御指摘がございました。これにつきましては、先般、都道府県警察に対しまして、困り事相談業務の強化について指示いたしまして、体制の充実強化、あるいは相談内容に応じた適切な対応、処理、困り事相談業務に関する適正な評価を行えということを指示いたしました。  従来、ややもいたしますと、事件検挙と申しますか、大きな事件を検挙した場合の評価に偏っていたという嫌いはございます。御指摘のような面があったことは否定できないところだと思います。したがいまして、このような市民の具体的な日常の困り事につきましても、それを受けて適正に処理した場合につきましては、それを高く評価するようにという指示を出したところでございます。  それから、二点目の教育の問題でございます。国民のための警察というようなことを考えた場合に、警察の原点を徹底する教育が必要ではないかという御指摘でございます。  御指摘のとおり、警察は、個人の生命、身体、財産の保護に任ずるものでございまして、教育面では、誇り使命感を持って国家と国民に奉仕すること、あるいは人権を尊重し公正かつ親切に職務を執行することといった職務倫理の基本等を定めまして、これを中心とした職務倫理に関する教養を全般に対して徹底したところでございます。  ただ、お話しのように、私どもの教養体系というのは、基本的には昇任時教養というのが基本でございますし、また職場教養もやっておりますけれども、私どもといたしましては、昇任の機会がなかなかないといいますか、昇任しない、あるいは研修を受けたことがないというような者を抽出いたしまして、その未研修者に対しまして徹底的に教養するというようなことも昨年来やっておるところでございます。こういった取り組みをさらに徹底してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  114. 保利耕輔

    保利国務大臣 幾つかお答えを申し上げたいと思うのであります。  まず、冒頭お話しになりました新潟県警の交通違反もみ消し事案、これについては、三月二十三日の国家公安委員会で議題にいたしまして、かなり突っ込んだ意見の交換をいたしました。そのときに、人間がやっていることだから場合によってはミスを犯すこともあり得るかもしれない、しかしそれは、システムを直すことによって人間の犯すミスをカバーしていかなきゃならないというようなことで、そのシステムの改善について宿題をお出ししたわけであります。  その後、宿題についての一応の回答が示されましたけれども、これではまだ不十分であるというようなこともあり、できるだけ機械的にそういうものが、人間ではなくて機械の方で拒絶をしてしまうようなシステムがつくれないかということについての研究の宿題を出しておる状態で、次第次第にそれが煮詰まってくると思います。煮詰まってきました段階では、こういうシステムでやっているということがあるいは公表できるのではないかと思います。  それから、兵庫、愛知、桶川の問題についての御指摘がございまして、これらも公安委員会の中でそれぞれの具体の報告を受けまして、いろいろ議論をいたしております。  まずは桶川の問題から発生をいたしまして、こういう事案が起こりますたびに警察の方では、あるいは警察庁では、反省をしなければいけない、今後しっかりしなければいけないというような抽象的な結論で終わってしまう場合が今まで多いという反省の上に立ちまして、できるだけ具体的にこれらの事案についての分析を行い、反省すべき点がどこであるかを抽出し、その反省した点というのを一つの反省材料として全国の警察組織に周知徹底せしめて、こういうことが起こらないようにしていかなければならないということを桶川の件でやろうといたしておるわけでございます。  かなり詳細な報告が出ましたので、これから個別の反省点、あるいは、これはある意味でいえば教訓というのになるのかもしれませんけれども、そういったものを整理して全国の警察に示し、それを参考にして規律の維持を図ってもらいたいというようなことを申しております。  それから、似たような事件で兵庫の問題が明るみに出まして、ああ、ここでもあったのかという感じが私自身いたしておりまして、非常にショックであります。  こういった問題というのは、いろいろ裏もありましょうし、全部オープンでというわけにはなかなかいかない点もあるのかもしれませんけれども、調査中という項目が非常に多いわけであります。調査中というものについては、きちんと、どこをどう調査するのかということをはっきりさせなければいけない。例えば誓約書の問題にいたしましても、なぜ誓約書をつくったときにその相手方の女性の方に渡しておかないのかというようなことは、今もって私にとっても疑問であります。  そういった問題が国家公安委員会でやはり議論をされておりまして、警察に対して調査の結果の答えを期待するというような形で対処をいたしております。  また、愛知の問題については、これは少年の犯罪でありますし、また世間の常識で考えますと、これだけのお金を中学生が奪取するというようなことは、社会常識的に言って考えにくいことでありますが、この裏に一体何があるのか、どういう状況でこうなったのか、警察の対応はどこの時点でどう出ていったらよかったんだろうか、これもまた具体の問題として反省の材料にしなければいけないと思っております。  警察は、やるときはきちんとやらなきゃいけませんが、さればとて、何でもかんでも出かけていくというふうなことをやって、過剰介入することもやはり注意をしなければならない点でありますので、その辺も十分にわきまえながら、今後の警察活動のあり方について十二分に国家公安委員会の中でも議論を進めてまいりたい、こういうふうに思っております。
  115. 春名直章

    ○春名委員 以上で警察問題は終わりますが、最後に、三月三十日に日本共産党としても、警察問題、国家公安委員会改革という問題の緊急提言を出しておりますので、ぜひそれも見ていただきまして、本当に国民信頼に足る改革をしていくということを提言申し上げておきたいと思います。  次に、公益法人等への地方公務員派遣法の問題についてです。  まず、大臣の基本認識を一般論でお聞きしたいと思います。  地方公務員法の十五条に公務員の任用の根本基準が示されております。その解説では、任用というのは、任命権者が特定の者を特定の職につけることをいう、こういうふうになっていまして、逐条解説でも、地方公共団体には一定業務があり、その業務が職の単位に分割され、その職に具体的な人を充てることが任命である、任命というのはそういう意味である。  つまり、最初に人があるのではなくて、最初に職があって、そこに人をつけるというのが任命という中身であって、戦前はその逆だった。身分というのが先にあって、その身分を持った人間が職務を割り当てられる、そういう考え方だったので、逆になったわけですね。  そういう基本認識、最初に職があってそこに人をつけるということを、これは基本的なことなんですから、申しわけないですけれども、改めて確認をしておきたいと思います。
  116. 保利耕輔

    保利国務大臣 御指摘のように、地方公務員法におきましては身分と職は一体のものと考えられております。特定の職につけることが任用である、こういうふうに理解をされておりまして、それによって地方公務員のあり方が規定されている、このように思っております。
  117. 春名直章

    ○春名委員 そのことを前提にすると、公務員といいますのは、本来、公務につくために試験をパスして公務員になる。その公務員を本来業務から離すということは極力避けなければならないというのが当然の帰結になっていくわけです。その点の認識もあわせて確認しておきたいと思います。
  118. 平林鴻三

    平林政務次官 委員がおっしゃいます、本来の職務と切り離すことは避けなければいかぬ、こういうお考えでございますが、その考え方地方公務員法の三十五条、いわゆる職務専念の義務という規定がございまして、「職員は、法律又は条例に特別の定がある場合を除く外、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、当該地方公共団体がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければならない。」こういうことが法律で定められております。したがいまして、逆に読みますと、職務に専念をする義務を解除するためには法律または条例に特別の定めを必要とする、こういうことになるわけでございます。  このたび定めようといたします制度におきましては、公益法人等業務の円滑な実施の確保を通じた地方公共団体のもろもろの施策の推進を図るという目的から、政策的に公務外の業務に従事するというものでございます。  例を挙げますと、これは法律になっておりますが、外国の地方公共団体機関等に派遣される一般職地方公務員処遇等に関する法律、こういう法律がございますが、この法律におきましても、国際協力等の目的により外国の地方公共団体機関等の業務に従事する場合の派遣制度が設けられております。公務員としての身分、これは職を含むわけですが、身分を保有しながら公務外の業務に従事するという点で、今回の制度と同一の制度が設けられておるということが御参考になろうかと思います。
  119. 春名直章

    ○春名委員 特別な定めが必要だということで、原則論を最初確認しましたので、そのことは確認しておきますが、その上に立ってお聞きします。  この法案の成立によって、率直に聞きますけれども、自治体での第三セクターなどへの派遣職員が今三万九千六人と統計ではなっていますね。この三万九千六人というのは減ることになるのか、それともこの水準を維持するのか、あるいはふえることになるのか、大臣はどのようにこれはお考えでしょうか。
  120. 保利耕輔

    保利国務大臣 地方公共団体からの御要請もありまして、派遣についての統一的なルールをぜひ確立してほしいということで今回の法案を用意したわけでございます。  この考え方は、手続の透明性を確保しようという考え方に立っておりますので、派遣の増加に直接結びつくというようなことではないと私ども考えております。むしろ、派遣に当たりましての条例制定をしなければなりませんけれども職員派遣に必要な、派遣先となります団体公益性などについて十分な論議がなされるということもございまして、必要性が低いものへの派遣については見直しも行われ得るというふうに考えております。こういったことをあわせ考えまして、増加に直接結びつくものではないというふうに考えております。
  121. 春名直章

    ○春名委員 ところが、トータルな現状をいいますと、地方公共団体の第三セクターは、このところ、大体毎年二百ぐらいずつふえております。これは、出資が二五%以上という限定したものでさえ、二百毎年ふえております。それから、平成六年四月一日、三万四千三百八十八人だった派遣職員が、先ほど言いましたように、平成十年四月一日、三万九千六人に増加をしております。しかもこの傾向は、公益法人よりも営利法人への派遣がふえている傾向が毎年続いています。  法案も、今お話があったように、透明性のルールをつくるというのが趣旨であるということだったと思います。したがいまして、法案が派遣を抑制するというような内容でないことは明らかです。むしろ、ルールができたからということで派遣がふえていくということに全体の流れとしてはならざるを得ないのじゃないかというふうに私は認識をしておりますが、そうではないでしょうか。
  122. 平林鴻三

    平林政務次官 これはもう御承知のところでありますが、今回の法律は抑制を目的にしたものではございませんで、ルールを設けて適正にやるということを目的にしております。したがいまして、特定の法人の要件には、地方公共団体事務または事業と密接な関連を有することとしてあります。  その中身でございますが、密接関連性というのは総合判断で定められるべきものでございますけれども地方公共団体の長期計画における位置づけ、それから地方公共団体からの出資、補助等の状況、三つには地方公共団体からの受託事業状況、四つには地方公共団体職員の非常勤役員としての参加状況、五つには地方公共団体当該法人等に対する許認可権等の関与の有無というような要素を総合的に勘案して判断をすべきものだと思っております。  裁判の例等も参照をいたしてこのたびの法案を作成したわけでございますけれども、密接な関連というものの判断を、今申し上げました要素の総合判断でひとつ各団体で決めてもらう、そういうことがねらいでございます。
  123. 春名直章

    ○春名委員 そのことを私は今聞こうとしていたわけです。  今度の法律の中に、その密接な関連を有する事務あるいは業務という言葉が三カ所ほど出てきます。二条にも出てきますし十条にも出てまいります。そこをお聞きしますけれども、今五つのメルクマールで判断するということを言われましたけれども、では、裁判の判例で必ず出てくると言っていいような、同視する事務、同一視できる事務と、この密接な関連を有する事務というのは同じなんですか、違うんですか。あえて違うように言っているんでしょうか。そこを明確にしていただきたいと思います。
  124. 平林鴻三

    平林政務次官 私どもが裁判の事例研究いたしてみますと、職務命令による派遣について、そもそも派遣先において従事する業務が公務であるということが前提になると思うわけでございますが、裁判になりました事例の多くは、株式会社に対して、職務命令または職務専念義務の免除をすることによって派遣をされました職員に対する給与支給の、給料を出すということの是非が争われたものでありまして、こうした措置との関連におきまして、派遣先法人業務公益性等についての判断が裁判の場合に行われたものであろうと考えるわけでございます。  このたびの法案は、平成十年四月二十四日の最高裁判決で示された考え方を踏まえまして、派遣目的派遣先団体性格事業内容派遣職員が従事する職務内容等に関して、地方公共団体の自律的な判断を前提として、すなわち各地方公共団体で自主的に派遣先を条例で定めるということでありますが、そのような自律的な判断を前提として全国統一的なルールを設定しよう、そういう考え方で立案をされたものでございます。
  125. 春名直章

    ○春名委員 条例で派遣先を決めるというのは当然なんですけれども、立法者の意思がそこに働きますので、法律そのものの。だからその中身を聞いているわけで、先ほど裁判で争われた中身は、公益性という問題について争われたということが出ました。そのことをまさに私は議論したいわけなんですね。  つまり、裁判の判例の中では、どれを見ましても、給料を払う際に、今までやっていた地方公共団体の仕事と同一視できるもの、あるいは同視できるもの、そういうものに限らないと、職務専念義務の免除をして送って給料を出すなんということはだめだ、そういうことはやっちゃならぬということを、どの裁判の判例を見ても、あえて、同一視あるいは同視できるような業務でなければまずいですよ、そうでないから違法ですよ、こういう判決が基本的に下ってきているという状況があるわけなんですね。  ですから、私がねちっこく聞いているのは、同視、同一視というのは本当にまさに一体といいますか、そういう判断ができないと、先ほどの公務員というのは何かという話もありますけれども、そういうもの以外のところに税金を投入する、給料を出すというようなやり方はまずいと、特に営利法人。そういうことになって、それで違法判決が出てきているという過程があるわけです。  そうであれば、大臣も前回の参議院議論でも、判決の精神を大いに生かすという立場だというふうにおっしゃっておられるので、そういう意味でいえば、密接な関連を有する事務というあいまいな言い方をあえて使っていることについて私は非常に疑問がありまして、抽象的で拡大解釈される可能性が十分そこにあると思っています。  例えば、チボリ・ジャパン株式会社への職員派遣についての岡山地裁の判決を見ると、当該職員が本来の公務を離れるとしても、公務員の基本的な規範である職務専念義務に反しないと見られる特別な事情がある場合、例えば職員の本来の職務上の資質及び環境等の向上等を目的とする場合、派遣先業務そのものが地方公共団体事務と同視し得る場合に限られるものというべきである、こういうふうな判決になっているんですね、明確に。そういうものに限定的、制限的にやったときに初めて許されるかと、本来は例外的なんだけれどもと、こういう判決がされているわけなんですね。  ですから、関連する業務、密接な関連性を有するという非常に抽象的な言い方でもって枠が、むしろこの法律ルール化によって広げて解釈できる条件が広がってしまっているというように私は非常に感じるわけなんですね。その点について、どうでしょうか。
  126. 平林鴻三

    平林政務次官 最高裁の判決は、ただいま申しましたように、給与支給の是非についてというのがこの判決の骨子でございますから、さようなことは十分に尊重いたしまして、このたび、事務との密接関連性という定義をいたしたわけでございます。  さきにお答えいたしましたように、幾つかの要素を総合的に判断をする、それが判断要素でありますし、その判断を決定いたしますのは、地方公共団体の条例で定めることで明確にするということで、今申しましたようなルールをつくろうというわけでございます。
  127. 春名直章

    ○春名委員 同じ答弁をされているのですけれども、要するに給与支給という問題だというのは当然わかっています。営利法人の方へ行くのは、退職ですから給料を出さない、そういう仕組みをきちっとつくられているということは知っております。そうではなくて、この法律の中に書いてある派遣できる条件ということが、密接な関連を有するという表現にあえて落としているというのが、どうしても私は不思議でしようがないわけですね。  あえて裁判では違法だと言われているのは、せめて違法でないというのは同視、同一視できる事務に限るんだ、業務に限るんだという判決が次々と出ているのに、そういう表現もお使いにならないで、同じだとも言わないので、どういうものか、どう違うのかよくわからないのですけれども、こういう密接な関連を有するということでいけば、幾らでも条例で決めれば派遣することができるということに、この条文からいけば当然ならざるを得ないわけですね。  しかも、非常に御丁寧に書いてあるというか、僕は読んで非常にわからなかったところが、二条の四項はこう書いてあるのですよ。派遣先団体で従事すべき業務内容について、主たる業務地方公共団体事務または事業と密接な関連を有すると認められる業務を除いて、地方公共団体事務または事業と密接な関連を有すると認められる業務を主たる内容とするものでなければならない。  これはどういう意味かよくわからなかったのですけれども、要するに、主たる業務地方公共団体事務と密接な関連を有している、全体がほとんど同じ業務をしているというところは、それはそうと、それとは別に、そうでなくても、行った先で関連している仕事をしていたら、そのパーツでですね、それでも構いませんよという表現にこれはなっているのですね。そういう分け方にしていまして、こういう条文を使いますと、はっきり言いまして、相当広くいろいろなところに派遣できるようになるなという感じを受けざるを得ないのですね。そこが私は非常に不思議です。  そこで、別のものとの関係でちょっと聞いておきたいのですけれども、公の施設の管理の場合はどうかということなんです。  例えば、その設置主体である地方公共団体が直接これに当たるのが原則です。管理の場合ですよ。施設をより有効に活用しようという趣旨で、条例で他の団体に委任できるようになっています。これは、根拠法は地方自治法の二百四十四条の二の第三項。ここで想定されている団体は、今回の派遣が問題となっている第三セクターです。第三セクターに委託する場合には、受託をする第三セクターの要件として、施行令の百七十三条の三ですけれども地方公共団体が二分の一以上出資している法人、明確にそういう歯どめをかけて基準を示しています、施設の管理、委託という問題では。  それだったら、職員派遣についても、密接な関連を有するなんというわけのわからぬ表現ではなくて、派遣が本来の姿ではないのであれば、派遣についても歯どめとなる具体的な基準をきちっと示して、そういう方法をとる。そうでないところに、今第三セクターにどんどん派遣して、破綻して、そして財政もかぶっていくような深刻な事態が生まれているわけだけれども、それを追認して後押しするようなことにこの法律ではなりかねない、そういう危惧を私は感じるのですよ。なぜこういう基準を示さないのか、このことを最後に聞きたい。
  128. 平林鴻三

    平林政務次官 御懸念はごもっともなところは確かにございますけれども、このたびの法律趣旨では、繰り返すようでありますけれども平成十年の四月二十四日の最高裁判決等を踏まえまして、ただいま御指摘になりましたように、派遣対象を、地方公共団体事務事業と密接な関連を有し、公益的な活動を行う団体とする、また派遣される職員が従事する業務についても、地方公共団体事務事業と密接な関係を有する場合等に限定をするというようにいたしまして、法制化を図ったわけでございます。  しかも、さような限定をいたしました上で、具体的な対象法人につきましては条例で定める。条例で定めるということは、各地方公共団体の議会で審議をして、それで定めるわけでございますから、そこで住民自治の、地方公共団体の自主的な決定ということは確保できるものと思っております。  やはり現在の実態を、御承知と思いますけれども地方公共団体公益法人等との、株式会社等の第三セクターも含めてでありますが、そういう法人等との関係はさまざまでありまして、これを法律で画一的な基準を定めるということは、立法上も必ずしも適当ではないだろうと思います。できる限り各地方公共団体の自主的な判断で、自主性を尊重する形でこういうルールをつくった方が適当であり、またルールを定めることも必要だ、そういう判断をいたしたわけでございます。  おっしゃいますような、やたらに範囲が広がるのではないかというようなことは、これはもう、今申し上げましたような観点からいいますと、必要性が必ずしも高くないというような場合には見直しをするというようなことに通じるものであると思っております。
  129. 春名直章

    ○春名委員 最後に、この点で一点、特別な例でどうしてもお聞きしておきたいことがございます。東京都の医学系研究機関についてです。  東京都には、神経科学総合研究所、臨床医学総合研究所、精神医学総合研究所、老人総合研究所という四つの都の医学系研究機関があります。この全員が都の職員です。要するに派遣職員です。約五百人。都の職員だということで優秀な研究者や技術者が採用されて、研究者、技術者でいえば、約四百名という規模になっています。研究水準は国際的だと評価を上げているものです。  今回の法律で、三年—五年という形で派遣期間が切れるということになるとすると、この四百人の研究者は、一つ確認しておきたいのは、もちろん公務員としてですから、公務員としての身分は守られるということは当然だろうと思うのですけれども、その点を確認したいということと同時に、三年—五年という派遣期間が切れたときに、その行き場をなくす。研究者ですから、技術者ですので、事務をするわけではありませんので、もしそういうふうなことになったら一体どうなるのだろう、こういう不安が寄せられているのです。  これは、規模としても東京都としての特別の例といいますか、そういう例かもしれませんけれども、こういう不安にもおこたえいただきたいと思っていますので、この点、一言答弁いただけませんか。
  130. 木寺久

    木寺政府参考人 今回の制度は、一定期間経過後に当然に職務に復帰することを前提としておりまして、職員の身分扱いの安定を図る必要があることなどから、派遣の期間の上限を法律で規定しているところであります。  こうしたことから、一たん派遣され公務に復帰した職員を特段の理由もなく引き続いて再度同じ団体派遣するということは、一般的には適当でないというふうに考えているところであります。  しかしながら、あくまでも一般論で申し上げるとするならば、再度の派遣を行わないこととした場合には派遣先業務を遂行する上で著しい支障が生じる等特段の事情がある場合にあっては、再度派遣の諸手続をとった上で、引き続いて同じ団体に同じ職員派遣するということも例外的にはあり得るのかなというふうに考えているところであります。
  131. 春名直章

    ○春名委員 この場合は、特別な例として私言っているのは、技術者と研究者なんです。技術者と研究者の場所がなかったら、技術も研究も生かせないわけですね。そういう問題としてありますので、この法案がもし通ればこういう問題が出てきますので、ぜひ相談をいただきたいといいますか、考慮しておいていただきたいと思っているわけです。
  132. 平林鴻三

    平林政務次官 これもやはり地方公共団体のそれぞれの判断であろうと思っております。やはり原則あり、例外を設けることにつきましても、地方公共団体の判断で再び同じ手続をして派遣するということはあり得るものと思っております。
  133. 春名直章

    ○春名委員 最後に、任期付研究員の問題についてですけれども、短い時間ですので、率直に聞きます。  もう三年近くになりますけれども、国立試験研究所で任期付研究員制度はもう実行されています。今度、地方公設試験研究機関にもこれを拡大するわけなので、国立でやられてきたこの三年間、研究者自身にとっていいものなのか、研究員からは歓迎されているという御認識をお持ちなのかどうか、その辺の評価をまず聞かせておいていただきたいと思います。
  134. 平林鴻三

    平林政務次官 国の任期付研究員制度平成九年度に導入されておりまして、以来、着実に採用実績を伸ばしております。平成十一年四月一日現在において、国立試験研究機関招聘型の研究員が十人、若手育成型の研究員が百十九人、合計百二十九人になっておる由であります。  この制度の活用によりまして、ポストドクターなど若手研究者の活躍の場がふえる、民間企業のすぐれた技術者や大学教授あるいは海外で活躍していた日本研究者等、さまざまな人材採用が可能になったと聞いておるところであります。  国におきましては、科学技術基本計画のフォローアップ、これは平成十二年一月でありますが、このフォローアップにおきまして、任期付研究員制度も含めて、これまでにとられた措置についての検証が行われております。今後、次期基本計画も視野に入れて、重点的な取り組み検討する予定と聞いております。その中でも、主な課題の一つとして、競争的研究環境人材の流動性の一層の促進が指摘されるところでありまして、制度導入については積極的な評価がなされておると考えております。  こうした国家公務員におきます任期付研究員制度導入状況を踏まえて、地方公共団体においてもこの制度導入を希望する団体がふえておるというぐあいに私どもは把握しております。
  135. 春名直章

    ○春名委員 時間が来ましたので、一点だけ申し上げて終わりますけれども任期付研究員なんだけれども研究者からは不人気なんですよ。それは、全通産がアンケートをやっているのですけれども、パーマネントと任期つきのどちらかを選べるとしたらどちらを選んだかという問いに、七五%の方がパーマネント、永久がよいと答えている。  なぜ不人気なのかといえば、一つは、任期が終わった後の保障が十分ない、この問題です。使い捨てになるのじゃないかという問題。もう一点は、業績手当は出るけれども、扶養手当も住居手当も単身赴任手当もないのですね。工業技術院、十年度、若手育成型の研究員六十一名入っていますけれども、業績手当が出た方はわずか一名。十一年度の場合、百五名中わずか三名。だから、手当を含めると一般職員よりも給与が低くなってしまう、こういう声まで出ているんですよ。だから不人気なんです。  このことは、そういう実態なんだということはぜひ知っておいていただきたいと思いまして、本当はこれを議論したかったわけですが、時間が来ましたので終わりたいと思いますけれども、この制度は余りよろしくないということをはっきり申し上げまして、私の質問を終わります。  以上です。
  136. 斉藤斗志二

    斉藤委員長 次に、佐々木洋平君。
  137. 佐々木洋平

    ○佐々木(洋)委員 ただいま提案になっておりますこの二法について、まず質問をいたします。現行の制度、今までもいろいろ議論になったわけですけれども、重複する部分があると思いますけれども、御了承願いたいと思います。  今までは、公益法人に対する地方公共団体職員派遣については、その地方公共団体の判断に便宜上ゆだねられていたということで、先ほど来お話がございましたとおり、給与の問題とか、あるいはちょっと不透明である、あるいはまた内部職員との均衡の問題もあるでしょうし、あるいはまた派遣職員の給与負担をめぐって住民訴訟もあったということがありました。そういうことで、私自身も、やはり早くこの派遣については基本的な枠組みというものをきちっと決めるべきだということで、私は大いに今回の法律に理解をしておるつもりでございます。  そこで、賛成の立場から申し上げるのですが、公益法人への人的支援を行うということは、行政と民間との適正な関係が当然ながら維持され、そしてまた住民から信頼される状況をつくっていくということだろうと思います。民間と役所の職員との意思の疎通といいますか、そういうものも非常に微妙な部分もあるのではないかなというふうに思っております。いずれ、今回のこの派遣制度の創設によって、行政の公正性といいますか、あるいはまた行政に対する住民信頼度というものが増すだろうというふうに思っております。  そこで、民間と職員との関係も踏まえながら、その辺の配慮をどういうふうにするのか、まずお伺いしておきたいと思います。
  138. 橘康太郎

    ○橘政務次官 お答え申し上げます。  今回の制度におきましては、職員派遣適正化をその目的といたしておりまして、先生御指摘のとおり、行政と民間との適正な関係を維持し、そして信頼が損なわれることのないように十分配慮することが大切だ、そのように考えております。  このため、本法案におきましては、派遣対象地方公共団体事務事業と密接な関連を有する公益的な活動を行う団体といたし、また、派遣される職員が従事する業務につきましても、地方公共団体事務事業と密接な関係を有する場合等に限定するなどの措置を講じておりますほか、具体的な対象法人につきましても条例で定めるなど、派遣ルールを定めておるところでございます。  このように、統一的なルールのもとで、かつ透明な手続によりまして職員派遣が行われ、また、条例制定の過程などにおきまして、派遣必要性などについても十分な議論が行われることなどにより、行政と民間の適正な関係が確保されるものと認識をいたしておるところでございます。  もとより、公益法人などへの職員派遣制度の運用に当たりましては、行政と公益法人等のかかわり方についても、十分で、かつ相互理解に立った上、対処をすべきものと考えておりますし、自治省といたしましても、住民の不信を招くことのない行政運営確保されますよう、地方公共団体に対しまして助言を行っておるところでございます。
  139. 佐々木洋平

    ○佐々木(洋)委員 ひとつ法人と公共団体との風通しがいい関係をつくっていただきたいなというふうに思います。  次に、地方公共団体が主宰する公益法人なんですが、公益法人責任者といいますか役員といいますか、そういう方々はほとんど地方公共団体のOBの方がなられているわけです。そこで、OBの理事長であったり、そういう方々が二年ぐらいで交代をしてしまうんですね。そういうことで、現場のプロパー職員がいろいろ積み上げてきたものが、理事長の交代によって事業が大きく変わってくるということが非常に多くあります。やはりこの辺が、今回の職員派遣制度の創設によって少しでも解決できるのかなという感じはします。天下りと言っては失礼なんですが、OBの天下りが果たして本当にいいのかどうか、私は非常に疑問に思っている一人でございます。また、プロパー職員も、もう何十年とたっておりますから、すばらしい職員がどんどん今成長しています。  ですから、そういう方々もひとつ役員に登用して、すばらしい公益法人をつくってもらうように、その辺の御意見があったらお聞かせを願います。
  140. 橘康太郎

    ○橘政務次官 お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、地方公共団体の関係する公益法人との間の問題につきましては、私も会社の経営をしておりまして、いろいろな会社との人のやりとり、やりくり、いろいろやった経験もあるわけでございまして、全く先生のおっしゃることはそのとおりだと私は思っております。  したがいまして、先生のおっしゃっておられるような趣旨にのっとりまして、今後、この交流に当たりましては、人材そのもの、あるいは公益法人との間の本当にしっかりとした相互信頼のもとにこれは行われるべき筋合いのものと考えております。  それから、もう一つ先生がおっしゃいました、実際に、公益法人の方で下から一生懸命努力をして積み上げてきた方たちが、いわゆる天下りではないでしょうけれども、天下りと称する人たちとの間に摩擦が起こるというようなことにつきましては、これはやはり考慮すべき問題だ。したがいまして、人材の交流を行うときには、先ほどもお答えいたしましたように、やはり両者が本当に相互理解の精神に立ってしっかりと話し合いをして、相互理解の上で行うということが大切だ、このように考えておるところでございます。
  141. 佐々木洋平

    ○佐々木(洋)委員 地方に行くと、よくそういう話が出ます。例えば、住宅供給公社が住宅団地をつくろう、それでずっと長くかかって、ここにつくろう、しかし理事長がかわったためにそれが没になった、こういう例というのはたくさんございます。それ以外にもあります。ですから、この派遣制度の中で、県あるいは公共団体法人との連携というものをやはり大事にして、風通しがいい状況をつくっていただきたい、こういうふうに御祈念をいたします。  次に、先ほども出たんですが、第三セクターです。中身についてはあれですけれども、これもまた、もちろん対象になるわけですけれども、今、バブルの崩壊以降、非常に厳しい経営環境にあるわけでございまして、大変な赤字を抱えた第三セクターも多々見られるわけでございます。まさに深刻な状況にございます。  この第三セクターの現状と、なぜこういうふうになっているのか、この問題点、並びに健全化のために自治省はどういう指導を公共団体にしておるのか、お伺いしたいと思います。
  142. 香山充弘

    香山政府参考人 お答え申し上げます。  午前中もお尋ねございましたけれども、第三セクターのうち、例えば商法法人の形態をとっておる第三セクターの場合は約四割が赤字を計上いたしておりますし、一部の第三セクターでは、赤字の累積等によりまして事業の遂行そのものに支障を来しているような事例も見られます。  そのように、第三セクターの経営は厳しい状況にあります。構造的、一般的には経済環境の急変というのが問題であろうと思いますけれども、個別に見ますと、経営のまずさ、こういったことが指摘できるのではなかろうかと考えております。  そういうことでございますので、自治省におきましては、地方公共団体に対しまして第三セクターに関する指針というものをお示しいたしまして、経営状況を定期的に点検評価すること。その場合にも、単年度収支でありますとか償却前の収支、累積欠損金と自己資本との比率、あるいは当初の事業計画と実績との対比、こういったものを経営診断の手法によりまして数値的にチェックすること。さらに、これらの指標によりまして経営が悪化していると認められる場合につきましては、問題を先送りすることなく、原因を検証し、組織機構の見直しも含めた抜本的な改善策を検討すること。さらに、もっと深刻な経営状況にある場合にありましては、第三セクター方式での事業の存続そのものについても判断をするように、文書によりまして要請をいたしたところであります。  地方団体におきましては、これらの指針を参考にしていただきまして、第三セクターの見直しに本格的に取り組んでいただくことを期待いたしておるところであります。  今後、こういう第三セクターの問題が、母体であります地方団体の財政運営に大きく影響を及ぼすような事態がございますれば、私どもといたしましても、事情を十分お聞き取りいたしまして、必要な助言等を行ってまいりたいと考えておる次第でございます。
  143. 佐々木洋平

    ○佐々木(洋)委員 非常に厳しい第三セクターの経営状況の町もございます。ひとつその辺をしっかりと調査して、適切な判断のもとに指導していただきたいとお願いします。  次に、先ほども出たんですが、任期付研究員採用等についてお伺いしたいと思います。  民間研究機関あるいは大学から公的な試験研究機関研究者採用する、任期つきである、こういうことなんですが、まさに活性化になるだろうと思います。非常にいいことだとは思いますけれども、実際に、先ほども質問があったわけですけれども、処遇の問題というのは非常に大きな問題になるんだろうと思うんですね。それから、この研究の成果によって、業績評価といいますか、そういうものもきちっと決めないと、これはなかなか、特に地方の場合は研究施設も非常に軟弱な部分もございますし、そう簡単に、はい、どうぞということにはならないんじゃないかなという心配をします。  ですから、そういう処遇の問題とか業績評価をどういうふうに考えているのか、その辺、まずお伺いしたいと思います。
  144. 橘康太郎

    ○橘政務次官 お答え申し上げます。  今回の地方公務員任期付研究員の給与につきましては、国家公務員任期付研究員の給与に準じて条例で定めることとなるものと考えております。  国家公務員任期付研究員の給与につきましては、研究員一定の任期において高い研究成果と研究活動などを期待されるものであることから、長期継続雇用を前提とした既存の研究職俸給表の枠組みによらず、任期中においてこれら研究員の行うこととなる研究業務にふさわしい給与を確保するために、民間の研究員の給与水準などを考慮し、簡素な号俸構成から成る俸給表が設定されておるところでございます。  また、採用当初に期待された以上の、特に顕著な研究業績を上げたと認められる研究員につきましては、任期付研究員業績手当を支給できるといたしておるところでございます。  自治省といたしましては、地方公務員任期付研究員の給与につきまして、任期付研究員業績手当を含め、国の任期付研究員の給与に準じて対応するよう、必要な助言などを行ってまいる所存でございます。  先ほども、この問題につきまして御質問並びに御意見が出たところでございます。これらの意見を十分に考慮いたしまして、これからも、こういったせっかくできるシステムが世の中で歓迎されるようなシステムであるべく、努力をしてまいりたいと考えておるところでございます。
  145. 佐々木洋平

    ○佐々木(洋)委員 今るる説明があったわけですが、具体的な給与の水準についてはちょっとわかりかねたわけですけれども。  これは質問通告していないので大変恐縮なんですけれども、外国人の場合はこういう任期付研究員としての採用はなるんですか、ちょっとお伺いします。     〔委員長退席、滝委員長代理着席〕
  146. 木寺久

    木寺政府参考人 国家公務員任期付研究員採用につきましても外国の研究者採用しているという例もあると伺っておりまして、地方公務員の場合に、公権力の行使、公の意思の形成によるような職務以外の職務につきましては、外国人も任用することは基本的には可能だと考えておりますので、任期付研究員につきまして外国人を任用することは可能だというふうに考えているところであります。
  147. 佐々木洋平

    ○佐々木(洋)委員 任期つきということですので、本当に来ていただく方、そして任期を終えて帰られるときのいろいろな条件が、大学であったり、いろいろな民間の企業であったり、そういうところから来るわけですから、その辺はやはりお互いに話し合いをした上で、後でトラブルが起きないような、行ってよかったなと言われるような、そしてまさに一生懸命やれるような環境をも含めて、ひとつつくっていただきたいなというふうに思います。  次に、もう時間もないので簡単にお伺いしますが、警察改革についてお伺いしたいと思います。  先月二十三日ですか、警察刷新会議議論が始まっているわけです。大体六月末から七月ごろをめどにまとめられるということを聞いておりますが、制度面の改革まで踏み込むのかなというふうにも思います。そうしますと、今の警察法とのかかわりはどういうふうになるのか。今まだ提案になっていないんですが、警察法改正案もあるわけです。その辺の、現下の政治情勢の中でどのようなスケジュールになるのか、まずお伺いしたいと思います。
  148. 石川重明

    石川政府参考人 今国会に提出されております警察法の一部改正法律案についてのお尋ねでございますけれども、提出後におきまして発生をいたしました不祥事案を契機にいたしまして、警察制度あるいは運用、警察のあり方全般につきまして、与野党からさまざまな御意見、御提言が出されているところでございます。  一方、今御指摘の、先般発足をいたしました警察刷新会議におきましては、警察をめぐる問題全般につきましてさまざまな角度から御議論が行われているところでございまして、既に三回の会議開催をされて、今後、六月半ばまでの間に、公聴会を含めまして八回の会議予定をされているということで、大変活発な御論議が予定をされているというものでございます。  それで、現在提出中の法案の取り扱いについてでございますが、こうした国会におきます御議論、あるいは警察刷新会議における御論議、各方面の御意見を十分伺いながら、適切に対応してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  149. 佐々木洋平

    ○佐々木(洋)委員 ということは、今の警察法改正については、この刷新会議状況を見ながら判断をしたい、こういうことなんだと思いますが、そういうふうでいいと思います。  次に、今いろいろ話があったわけですけれども新潟県警を初めとする一連のいろいろな不祥事が起きて、各委員会でもいろいろな質疑がなされたわけでございまして、まさに警察改革ということが国民の間からも叫ばれている昨今でございます。警察庁内でも検討会を設置して検討されているやに聞いておりますが、そこで、警察の内部で考えていられる見直しといいますか、主な内容についてちょっとお伺いしたいと思います。  まず第一点は、キャリア制度の見直しについてはどういうふうに警察内で考えていられるか。二点目は、研修制度の改善についてはどのように警察では考えておられるか。あるいは、組織の見直し、監察体制の充実強化、こういった面をどのように今警察内部で検討されておるか、お伺いしたいと思います。
  150. 石川重明

    石川政府参考人 今委員指摘の、警察庁におけるこの問題についての検討状況でございますけれども、まず、いわゆるキャリア制度についてでございますが、神奈川県警察あるいは新潟警察事案におきまして、警察本部長を初めとするI種採用者が不適切かつ見識を欠く行動に及んだという反省の上に立ちまして、現在、警察庁におきましては、一つには、このI種採用者について、第一線現場での勤務経験をより多く積ませる必要があるんではないかという点。それから、警察本部長等の組織管理者につきまして、指導能力あるいは危機管理能力等求められる資質をどのように涵養し、また、そうした人材であるということをどう見きわめていくかといったようなこと。それから、都道府県警察における警察官の昇任のあり方について、幹部にふさわしい人材の登用という理念と申しますか、考え方をどう具体化していくかといったようなこと。  それから、現行の推薦制度というのがございます。これは、各県警等で採用になった警察官警察庁で勤務をいたしまして、その後そういう職歴を積んでいく、こういうことでございますが、こういう制度を活用いたしまして、都道府県警察採用警察官をより積極的に警察本部長等の幹部に登用していくこと。こういったような人事制度全般について検討、見直しに取り組んでいるところでございます。  二点目の研修制度についての問題でございますが、昨年来の事案を踏まえまして、国家公安委員会規則でございます警察教養規則というものが改正になったわけでございます。その要点は、警察職員全般に対する職務倫理に関する教育を徹底するということ、それからもう一つは、幹部に対する教育の充実を図ること、こういうことでございます。  こういう新しいと申しますか、改正教養規則の考え方に従いまして、現在、この教養制度全般の見直しを図っている、こういうところでございます。  それから、組織の見直しについても御質問がございました。これにつきましては、新潟におきます女性監禁事件等への対応についての反省を踏まえまして、安心して暮らせる空間の確保という国民の皆様の身近な要望に積極的にこたえる必要があるということで、全国の警察署に専任の困り事相談員を配置する、そして困り事相談の受理対応体制を充実強化する、そういうようなことにつきまして指示をしたところでございます。  警察に対する身近な要望に的確に対処をしていくために、適正な、また効果的な人員配置に努めていく必要があるというふうに考えているところでございます。  それから、監察体制の充実強化の問題でございますが、昨年来の不祥事案の再発防止対策といたしまして、監察体制につきまして質、量ともにその体制を強化するということで努力をしてまいったわけでございますが、先ほど御質問のございました、監察に関する公安委員会の管理機能の強化を図るための警察法改正案も提出をさせていただいたわけでございます。  こうした監察制度の改善に取り組んできたところでございますけれども、公安委員会あるいは管区警察局の組織、権限について、今後どういう形のものが望ましいかといったようなことにつきましては、今後の警察刷新会議における御議論といったようなものも十分に踏まえまして、対応してまいりたいと考えておるわけでございます。  それから、賞罰ということがございます。士気の高揚、規律の保持という観点から、この問題についても積極的に取り組んでまいりたい、このように考えているところでございます。  いずれにいたしましても、これらの問題、大変広範にわたるわけでございまして、先ほど来申し上げておりますように、警察刷新会議を初めとする関係方面の御意見も十分に伺いながら、さらなる検討を進めてまいる所存でございます。
  151. 佐々木洋平

    ○佐々木(洋)委員 研修制度についてちょっとお伺いしたいんですが、今おっしゃったとおりだと思うんですが、研修の場所は、例えば民間企業とかそういった場に行くというような発想はないですか。まずそれが一点。  それから、さっきの賞罰の話ですが、人事の評価なんですが、見ていますと、検挙率だけをどうも対象にしてやっているような感じを受けるんですね。それに偏重しているんじゃないか、私はそういうふうに思っております。やはり、警察官個人の勤務態度であったり、あるいはまた人間性であったり、人と接するそういう人間性、そういうことも非常に大事な評価の一つだと私は思うんですが、今どっちかといえば、繰り返しますけれども、検挙率偏重になっていたという部分はあるのではないかなという気がします。まず、その辺はどうか、お伺いしたいと思います。  最後に大臣、これは大臣からお答えするのは非常に苦しいんだろうと思いますけれども、公安委員会のあり方について、公安委員会制度というのは絶対必要なんです。必要なことはわかっています。国家公安委員長自治大臣兼務ということが、今実際に大臣が委員長ということを兼務されているわけですが、この辺は公安委員長としてどういうふうに受けとめていられるか。これは、違った専任ポストをやはり置くべきだという意見があるのかないのか、その辺を最後に大臣にお伺いしたいと思います。
  152. 石川重明

    石川政府参考人 民間企業で研修をするといったような考え方はないのかと、こういうお尋ねでございますけれども、今、語学研修とかそういったものでは民間のところに行ってまいりますが、民間のところにそのままストレートに出向等の形で勤務経歴を積むといったようなしっかりした制度はございません。これはまた一つの御意見として、いろいろ研究してみたいというふうに存じます。  それから、人物評価あるいは人事評価、賞罰の関係について、検挙主義に偏っているのではないか、こういう御指摘でございますが、御指摘のように、昇任試験の際に人物評価というものにもう少しウエートを見て考えるべきではないかとか、あるいは勤務評定にそういったものをしっかり取り込むべきではないかといった議論は私どもの中でもございまして、そういうものにも取り組んでまいりたい、このように考えております。
  153. 保利耕輔

    保利国務大臣 私の気持ちといたしましては、現在のこういう状況考えますと、国家公安委員長として専任で警察を督励したいという気持ちを非常に強く持っております。しかし、国家全体として決めました行政改革の中でも、それから、今までやってまいりました形が、自治大臣と国家公安委員長が、これは県警察制度をとっているということもございまして一体でやっておりますが、気持ちは、公安委員長専任でやりたいぐらいの気持ちを今持っておりますけれども、実際は実現することは無理かな。しかし、来年になりますと、今度はそれに郵政省が係ってくる、総務庁が係ってくるという形になって、非常にロードがかかってくる可能性があるところは、多少私も心配をいたしております。  ただ、自治省では、御承知のように優秀な政務次官が二人いらっしゃいまして、それをカバーしてくださっておりますので、その分安心して私は今警察の方に時間を割くことができるというのが実情でございますが、実際は分けることは少し難しいのではないかなと私は思っております。
  154. 佐々木洋平

    ○佐々木(洋)委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  155. 滝実

    ○滝委員長代理 次に、知久馬二三子君。
  156. 知久馬二三子

    ○知久馬委員 社会民主党・市民連合の知久馬でございます。  私は、まず最初に、警察不祥事に関連して幾つかの質問をさせていただきます。  警察は、市民が安全で安心な暮らしを送る上で欠くことのできない重要な社会的基盤であると思うのでございます。しかし、この一連不祥事によって、警察組織や警察幹部に対する信頼は低下するだけでなく、警察自身の持つ役割への疑問が出されるようになっています。  例えば、新潟県警の女性監禁事件では、保健所からの通報に際して、何でも持ってくるなというような姿勢とか態度があったことが明らかになっています。また、埼玉県の上尾署では、桶川ストーカー事件において、女子大生の告訴に対して何もしなかったばかりか、嫁入り前だとか、告訴はなかったことにとか、警察は忙しいんだよなどといった告訴つぶしを行ってきたことが明らかになっています。  そもそも、このストーカー行為と名誉毀損にきちんと対応していたら殺人も防げたではないかと思うのであります。一命を落とした女子大生が哀れでなりません。警察に訴え、助けを求めたのに、何という対応でしょうか。告訴で仕事がふえる負担を避けるためだったとは、あきれて本当にあいた口もふさがらないと思います。告訴つぶしは怠慢では済まされません。まして、懲戒免職や書類送検では取り返しがつかないと思うのです。  こんなこともありました。栃木県警の真岡署では、昨年十月、強制わいせつ容疑で逮捕状の出た男がみずから出頭してきたのに、署員が、きょうは日曜日で担当者がいないから、またあした来てほしいと言って追い返したというようなことが明らかになっています。日曜日だから逮捕できないというようなことがあって当たり前なんでしょうか。  さらに、名古屋市緑区の十五歳の少年が中学在学中に約五千万円を恐喝されたとされる事件でも、愛知県警緑署は、被害少年側から相談を受けたとき、事件についてもっと学校と継続的に連絡をとるなどして事実を把握する対応が必要だったと、今になって反省しておられますけれども、逮捕された四少年のうち、被害を受けた少年と同じ中学校に通っていた三人について、警察側も、加害少年たちに問題があることは以前から把握していたと言っております。知っていたにもかかわらず、被害少年が被害を認めないなどを理由に、三人と被害を受けた少年との関係について調べなかったといいます。初動捜査のおくれが多額恐喝事件につながったのではないのでしょうか。  もう一件だけ言いますと、兵庫県警でも、傷害事件の届け出を受けた加古川署が、調書や診断書などの関係書類を紛失し、きちんとした事件処理をしないで約三年間も放置したということが被害者側の訴えでわかったといいます。  このような不祥事が毎日のように今新聞紙上をにぎわわせていますけれども、そこで、まず質問いたします。  愛知県では中島生活安全部長が、署がほかの事案を抱えているなど体制にも問題があった、また埼玉でも、同時期に起こった別の事件に追われ、間もなく警部補の担当もかわって事件処理を忘れ、後任に引き継がれずに書類も紛失したらしいと言っています。人手不足や労働過重も背景にあるとは思いますが、実態はどうなっているのでしょうか。余りにも怠慢ではありませんか。その辺、明快な御答弁をお願いいたします。
  157. 石川重明

    石川政府参考人 警察事象には、地域住民方々の身近な苦情相談あるいは警察への要望への対応から始まりまして、犯罪捜査、災害への対応まで、大変多岐にわたっておるわけでございまして、その内容も複雑化、高度化する傾向にございます。  ちなみに、数字で恐縮でございますけれども、刑法犯の認知件数で見てみますと、これは近年増加を続けておりまして、平成十一年には約二百十六万件ということで、戦後最高を記録しました。十年前と比較して約四十九万件、三〇%弱増加をしておる、そういう状況でございますし、また内容も、従来からの犯罪に加えまして、組織犯罪あるいは科学技術を悪用した犯罪といったような複雑、巧妙化したものがふえてきている、こういう状況にございます。  また、別の観点で、一一〇番の受理件数について見ますと、これは全国でございますが、平成十一年中は約七百二十一万件ございまして、十年前と比較をいたしまして二百九十二万件、六八%強の増加という状況でございまして、警察が対応する事象が増加しているということは事実でございます。  こうした警察事象の増加が個々警察官の負担となっているということは否めないわけでございますけれども国民の生命、身体あるいは財産の保護に任ずる警察が被害者の訴えに真摯に対応しないというようなことは、到底あってはならないことであるというふうに認識をしております。また、事件処理を失念するといったような、職務に関する基本的な事項が遵守されていないということは、捜査官としてあるまじきことだ、こういうふうに考えまして、まことに遺憾に考えておるわけでございます。  警察庁といたしましては、警察官一人一人が警察の責務を自覚して適切に職務を執行するように、指導あるいは教育というものを徹底する、あるいは業務管理のあり方というものを徹底するということはもちろんのことでございますけれども、限られた人員で増加する警察事象に対応するためには、業務を効率化する、あるいは省力化するということにも努めなければなりませんし、組織を統合再編する、あるいは部門を超えた人員の再配分を行うといったような各種の施策を真剣に講じまして、必要な警察体制確保に努めてまいりたい、このように考えているところでございます。
  158. 知久馬二三子

    ○知久馬委員 今説明を受けましたけれども、このような状況がいつまでも続くということは、本当に国民は安心して生活ができないという状況がつくられてきます。先がたもありましたように、刷新会議等も今協議されておりますけれども、本当に、警察、特に公安委員会等の役割というのですか、そのものをしっかりととらまえていかねばならないということを思います。  そして、桶川では警察の怠慢のために一人のとうとい命が奪われました。愛知でも恐喝事件の拡大を許していました。これらは、警察が動いていれば本当に防げたことだと思うのです。この警察の不作為、なすべきことをしなかった事件であると言っても過言ではないと私は思います。殺人警官という見出しをつけた雑誌まであります。どのような償いを行われるのでしょうか。国家賠償請求を待たなければ何もされないのでしょうか。信頼回復のためにも、国庫による補償のような特別の措置を講じるなど最善の努力をすべきであると考えますが、この件についてどのようにお考えか、お聞きしたいと思います。
  159. 保利耕輔

    保利国務大臣 委員指摘の桶川の問題、それから愛知の問題、さらにはまた兵庫の問題、それぞれ非常に痛ましいことでありますし、あってはならないことだと私も承知をいたしております。胸の痛くなるような思いがいたす次第でございます。  そこで、先ほどからお答えを申し上げておりますとおり、こういった問題を事件として散らしてしまうことのないように、反省材料をきちんと整理し、問題点がどこにあるのか追求をしていくという形で、国家公安委員会としても重大な関心を持ってこの反省の分析をさせていきたい、こう思っておりまして、それを全国の警察組織に配付することによって、再びこういうことが起こらないような一つの糧にしたいというふうに今思っているところでございます。  なお、国家の賠償、補償の問題は、現行制度上は難しいと思いますけれども委員からそういう御指摘がありましたことは、私はよく胸に入れておきたいと思っております。  なお、この際、ちょっと時間をおかりしたいと思いますが、警察も、例えば目黒の電車事故のときは五百人の警官が瞬時にして出動しておりますし、また、今度の有珠山の問題も千二百人の方がばっと出ているわけでありまして、非常にしっかりやっていると思います。したがって、そういうところにはやはり激励もしてやらなきゃいけないと思っております。
  160. 知久馬二三子

    ○知久馬委員 よくわかりました。  私は、特に桶川のストーカー殺人というのは、最初から本当に真剣に考えていただいてもらったら被害者も出なかっただろうし、加害者も出なかったんじゃないかということを非常に強く思うものでございます。  確かに、警察は強制力を行使することから、一定の節度、歯どめが必要なことは言うまでもありません。しかし、それを口実に職務怠慢とするのは、警察がみずからの使命を放棄するものにほかなりません。警察法に定める警察の責務に従って、きめ細かく適切に対応すべきではないでしょうか。  再発防止について、今度は田中長官の方に、信頼回復するためにはどのようになさるかということをもう一度聞かせてください。
  161. 田中節夫

    田中政府参考人 委員指摘のように、国民の生命、身体、財産の保護に任ずべき警察、深刻な状況に陥っております。しかも、真摯に被害を訴えてくる国民の皆さんに対してはもとよりでございますけれども、必ずしも事件に至るとは限らない困り事の相談に対しましても、消極的な対応、あるいは怠慢と言われるような対応をすることは決してあってはならないことでございます。  警察庁では、解決の手段を求めて警察に相談あるいは申告に見える人に対しましては、訴えそのもののみならず、その背景につきましても十分踏み込んで事情を聴取し、事件化の見込みのあるものについて事件化することは当然でございますけれども、事件にわたらない事案につきましても的確に処理する、必要によりましては関係機関を紹介するというようなアドバイスを行うよう指導してまいりました。  しかしながら、本日の当委員会におきましてもいろいろ御意見がございましたように、先ほど委員の御指摘もありましたけれども警察は強制力を有するということで、従来、その警察の力を使うことにつきまして、ややもいたしますと民事不介入というようなことが言われるような状況のもとで、一歩前に踏み出るということをちゅうちょしてきたことがございます。そのような状況もございますけれども、やはり、社会情勢の変化の中で、本当に警察の原点に立ち返って、国民の真摯な訴えというものには真正面から取り組むべきであるという意味で、意識改革も必要であるというふうに思っております。  今委員指摘のような問題を含めまして、組織を挙げて、そのような国民信頼をかち取るためにも、今申し上げましたような困り事相談等につきまして真剣に対応してまいりたい、かように考えております。     〔滝委員長代理退席、委員長着席〕
  162. 知久馬二三子

    ○知久馬委員 今、決意を述べられました。本当に一日も早い警察信頼を取り返すために努力をお願いしたいと思います。  続きましては、特定法人への退職派遣制度についてお伺いしたいと思います。  まず最初に、営利法人への退職派遣できる法人の要件のうち、出資は幾らでもよいのでしょうか。そして、自治体が一定比率の出資を行っている法人とすることは考えられなかったんでしょうか。  また、自治体の監査基準の二分の一の出資ということも選択肢の一つではなかったでしょうか。  さらに、地方公共団体の本務、事業と密接な関連という場合、その自治体にとって重要性があるかどうかは出資割合が高いことでわかるのではないかとも思いますし、反対に、出資が低いのは密接度が低いのではないかとも思います。また、密接度が高いなら出資割合も高めて監査の対象とすべきではないかとも考えます。  そして、複数の自治体が集まって行う場合は確かに出資比率が下がりますが、当該自治体または複数の自治体が一定割合出資する、このようなことにすればよいのではないかと思うのですが、この四点についてどのようにお考えか、お聞きします。
  163. 木寺久

    木寺政府参考人 お答えいたします。  派遣先となり得る株式会社等の特定法人地方公共団体からの出資の要件につきましては、出資比率にかかわらず、出資を行う際には、議会の審議を通じて一定公益性の判断が行われているものであること。それから、対象法人業務公益性地方公共団体事務事業との関連性ということにつきまして法律一定の要件を定めており、さらに出資比率による限定をかける必要はないこと。それから、対象法人につきましては条例で定めることとしておりまして、地方自治の観点からも、あらかじめ出資比率により対象を限定することなく、極力、各地方公共団体の判断にゆだねることが適当であるなどから、本法律案においては出資比率の多寡を問わないこととしたところでございます。  また、御指摘がありました、地方団体事務事業との密接関連性の判断に当たりましては、出資割合についても判断要素の一つとは考えているところでありますが、地方団体からの受託事業の実施状況でありますとか、地方団体の長期計画等における位置づけ等、総合的に勘案すべきものというふうに考えているところであります。
  164. 知久馬二三子

    ○知久馬委員 これはやはり、地方公共団体にある点は任せるということなんでしょうけれども、その辺がちょっと疑問だったものですから質問しました。  次には、退職派遣の場合は、法文上、職員の同意を必要としないということはなぜでしょうか。退職が任命権者の行政処分であることから、特定法人への派遣は、法文上は職員の同意が必要とされていません。しかしながら、特定法人への職員派遣は、公益法人などへの派遣以上に派遣職員の身分が不安定となるものであり、派遣に当たっての本人の同意の必要性を明確にする必要があるのではないかと思うのでございますが、その点についてはいかがなものでしょうか。
  165. 木寺久

    木寺政府参考人 特定法人への退職派遣でございますが、任命権者職員に対しまして、取り決めに定められた内容に従って当該特定法人業務に従事するよう要請をして、職員がこれに応じて退職した上で特定法人業務に従事するものでございます。  この場合、法文上、職員の同意を要する旨の規定を置いてはいませんけれども制度上あくまで本人の意思に基づいて退職をするということでございますので、その点においては、職員の同意を要するということと結果的には同じことであろうというふうに考えております。
  166. 知久馬二三子

    ○知久馬委員 何にいたしましても、確かに本人の意思によってなんですけれども、その後またその人が復職する場合などのときに本当にその人の不利益にならないようなためにも、しっかりした、本人の同意の必要性を明確にする必要があるのではないかなと考えるものでございます。  次に、条例で定めるとされる、退職派遣職員が復職を除外される場合とは、具体的にどんな行為があるのでしょうか。例えば、退職派遣中に向こうで懲戒処分を受けた場合、復職できるのかどうかというようなことがありますし、部下の行為に対する引責により処分を受けた場合はどうなるのでしょうか。  また、退職派遣者が確実に職場復帰できる具体的な保障はあるのでしょうか。それがはっきりしないとき、場合によってはリストラにつながるようなおそれはないかどうかということも考えますけれども、どうでしょうか。
  167. 木寺久

    木寺政府参考人 退職派遣者が採用されない場合として条例で定める場合としておりますのは、退職派遣されずに、部内の職員としてとどまっていたとしたならば懲戒免職に相当するであろう事由というようなことを想定いたしております。したがいまして、派遣先で部下の行為に関して懲戒処分を受けたといたしましても、懲戒免職相当事由に該当しなければ、任命権者は、法案の第十条第一項の規定に基づき、当該退職派遣者を採用すべきものというふうに考えているところであります。  また、法案第十条第一項の規定は、業務従事期間が満了した場合等においては、欠格条項に該当する場合その他条例で定める場合を除いて、退職派遣者を採用することを任命権者に義務づけているものでありまして、退職派遣制度職員数の削減のために利用されるというようなことはないものというふうに考えております。
  168. 知久馬二三子

    ○知久馬委員 そういうことでしたら、今も話がありましたけれども懲戒処分はその懲戒処分内容によるということなんですね。そういうことで、そうしたリストラ等につながることはないということをお聞きしましたので、そのようなことがないように、ぜひともこの法律がそのようになってほしいと思います。  次に、公益法人等への職員派遣についてでございます。  派遣は、職員地方自治体内部における関係を超えて、派遣先団体との間で新しい権利義務関係、つまり新しい雇用関係になるのですから、配置転換とは同一に論じられるものではありません。  そこで、お伺いしますけれども職員派遣に同意しなかった場合、その後の昇給など処遇面において何らかの制裁措置を受ける可能性はないものかどうでしょうか、その点。
  169. 平林鴻三

    平林政務次官 私からお答えを申し上げます。  職員派遣に当たりましては、職員の同意を要件としております。同意しない職員派遣されるということはあり得ない、そういう法律の建前にしておるつもりでございます。  また、職員派遣に同意しなかったことを理由に、その職員に処遇面で何らかの制裁措置をいたすというようなことはもちろんあってはなりませんので、自治省としてもこの法律趣旨を周知しまして、地方公共団体に対しまして、本人の同意を得ること、この趣旨を十分に徹底するようにいたしたいと考えております。
  170. 知久馬二三子

    ○知久馬委員 ありがとうございました。昇給、待遇等の面でそんな制裁措置がされないことになれば大変結構なことですので、そこらあたり、制裁措置がとられないようにしてほしいと思います。  続きましては、任期付研究員についてでございます。  任期付研究員の給与体系は、招聘型六ランク、それから若手型三ランクの簡素な俸給表を設定されています。そこで、任期付研究員に支給されない手当などについては何があるでしょうか。
  171. 木寺久

    木寺政府参考人 地方公務員任期付研究員の給与につきましては、国家公務員任期付研究員の給与に準じて条例で定めることになるものと考えております。  国家公務員任期付研究員の給与につきましては、俸給自体を、その者が任期中に期待される研究成果、研究活動等にふさわしいものということで設定をしているところであります。このため、俸給の特別調整額、管理職手当ですが、それから勤勉手当など、職務の特殊性や期待される業績等と密接に関連すると考えられる手当につきましては俸給水準で一体的に評価するということで、これは手当としては支給しないということです。  それから一方で、扶養手当や住居手当のように、継続的な勤務を前提として職員のライフスタイルに応じて支給する趣旨の手当につきましては支給をしないということとし、通勤手当や地域関連手当のように、その手当の趣旨等から特に手当の形で支給することが必要であるものに限定して支給することとされております。  自治省といたしましては、地方公務員任期付研究員の手当の取り扱いにつきまして、国家公務員任期付研究員の手当の取り扱いに準じて対応するよう、必要な助言等を行ってまいる考えであります。
  172. 知久馬二三子

    ○知久馬委員 先がたの委員さんもあったと思いますけれども、こういう手当がつかなかったら、その前の職場からそこの研究に入っていって、本当に不利益な状況にはならないかなということを思うのです。先がたも春名委員さんだったでしょうか、業績手当ですか、そのことが皆さんにつけばいいのですけれども、つけていないというような状況もございます。  そうした中で、手当自体もやはり生活の一部分に入ると思いますので、そうした業績の評価基準みたいなものをしっかりとこの中に入れておくべきじゃないかなという思いがいたしますけれども、そのあたりはどうでしょうか。
  173. 木寺久

    木寺政府参考人 長期継続雇用の職員につきましては、長期間、職務責任に応じた給与でございますが、ライフステージに応じたそれぞれの経費の必要というものも考慮した形での諸手当といったような制度ができて、要するにきめ細やかな給与の支給の仕方をしているわけだというふうに思っておりますが、任期付研究員の場合は、限られた任期におきます勤務であるということから、その任期の間において期待される成果というものを踏まえて、俸給というのが通常の長期継続勤務の職員とは別の給与体系で支給をされるということになってございますので、個々の手当が支給されるされないというようなことだけでは、なかなか比較が難しいのではないかというふうに考えているところであります。
  174. 知久馬二三子

    ○知久馬委員 いずれにいたしましても、もとの職場に復帰した場合、しっかりと復帰できるということになっておるようですけれども、その辺をやはり担保していかなければならないなということを思います。  ちょっと時間が残りましたけれども、これで私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  175. 斉藤斗志二

    斉藤委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  176. 斉藤斗志二

    斉藤委員長 これより両案を一括して討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。春名直章君。
  177. 春名直章

    ○春名委員 私は、日本共産党を代表して、政府提出の公益法人等への一般職地方公務員派遣等に関する法律案並びに地方公共団体一般職任期付研究員採用等に関する法律案の二案に対する反対の討論を行います。  まず、公益法人等への一般職地方公務員派遣等に関する法律案についてであります。  本法案は、上尾都市開発事件を初めとする数々の裁判事例で、第三セクター等への自治体職員派遣地方公務員法第三十五条に規定する職務専念義務に違反するとの指摘を受けたことから提案されたものであります。  自治省の調査によれば、こうした職務専念義務の免除による派遣は一万六千三百七十四人、さらに、派遣先業務地方公共団体事務と同一視して差し支えないものであるということが明らかにされない限り、違法あるいは少なくとも不当な行政運営のおそれがあると言われる職務命令による派遣は八千六十六人で、この二つの方法による派遣が全体の六二%を占めています。  判決の趣旨を尊重するというなら、こうした実態を直視して派遣そのものの見直しを行うとともに、一連の判決が指摘するように、派遣の要件を派遣先業務地方公共団体事務と同一視できる場合などに限定すべきであります。  ところが、法案は、派遣先対象団体を、その業務の全部または一部が地方公共団体事務または事業と密接な関連を有する団体と、抽象的な条文になっており、一連の判決で言われた限定するものとはほど遠いものになっています。これでは、現行法で違反と言われた派遣もこの法案によって合法となってしまう可能性があるのであります。  また、第三セクターは現在もふえ続け、その数は、出資比率二五%を超えるものだけでも毎年二百以上にも上ります。しかも、最近では、営利法人の第三セクターがふえる傾向にあります。全国的に開発型の第三セクターの経営破綻が顕在化し、自治体の財政や人的支援の見直しが求められていますが、法案によって新たな営利法人への職員派遣が拡大され、自治体の関与を深めることによって、結果として自治体と住民がツケを負うことにもなりかねません。  次に、地方公共団体一般職任期付研究員採用等に関する法律案についてであります。  この法案は、若手で三年から五年、招聘でも最長十年と研究公務員の任期を打ち切ることによって、研究公務員の身分を脅かし、若手研究員の使い捨てにつながるのみならず、将来の地方公務員制度全体に有期雇用を広げる呼び水となるものであります。また、育成した人材をどう活用するかの制度的保障は全くありません。二十代から三十代の最もフレッシュで創造的な研究ができる時期だけ使われ、任期が終われば自動的に出ていかざるを得ないのであります。  この法案もまた、公務員の任用に当たっては期限を切らないという現行地方公務員制度の基本原則を曲げるものであることを指摘し、反対討論を終わります。(拍手)
  178. 斉藤斗志二

    斉藤委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  179. 斉藤斗志二

    斉藤委員長 これより両案について順次採決に入ります。  まず、公益法人等への一般職地方公務員派遣等に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  180. 斉藤斗志二

    斉藤委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、地方公共団体一般職任期付研究員採用等に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  181. 斉藤斗志二

    斉藤委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  182. 斉藤斗志二

    斉藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  183. 斉藤斗志二

    斉藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十七分散会