○鈴木(淑)
委員 自由党の鈴木淑夫でございます。大分おなかがすいてきましたが、もうしばらく御辛抱いただきたいと思います。
私、九七年の
金融ビッグバンの審議のときから主張しておりましたので、あるいは御記憶にあるかと思いますけれ
ども、率直に言って九〇年代の
大蔵省の
金融行政は順番を間違えたというふうに私は思っています。
どういうふうに順番を間違えたかといいますと、本来であれば、バブル崩壊後、九〇年代の前半にまず不良債権処理に取りかからなければいけなかった。米国で言うプロンプト・レゾリューション・オブ・バッド・ローンズに取りかからなければいけなかったと思うのですね。それを先送りしてきた。実際は、そこで不良債権処理をする、そうすれば不良債権処理に伴って資本が傷みますから、次に自己資本比率
規制を入れて、キャピタル・アディカシー・レシオのレギュレーションを入れてくる。そして、不良債権も処理した、資本も十分な水準を
回復したというところで、さあ国際
競争に打って出る、こういう順番が私は適切であったと思うのです。
米国は、八〇年代にやはり不良債権処理を先にやって、自己資本比率を
回復して、それで強い
銀行になってきたと思うのですよ。
日本はそれを間違えちゃって、九五、六年ごろに早期是正措置とかいって自己資本比率
規制を入れるぞという。続いて、一番最後に到達しなきゃいけないこと、すなわち
ビッグバンで国際
競争する、これを九七年に入れたわけですね。一番最初にやらなきゃいけない不良債権処理をおっぽり出しておいて、そういう間違った順番でやったものですから、不良債権が火を噴いた。九七年秋から九八年の
金融危機でございます。その結果、泡食って今度は不良債権処理まで入れてきたものですから、不良債権処理と自己資本比率の適正化、そして国際
競争力を高めるための
経営の効率化、三つ一遍に
銀行に要求したものですから、これはたまったものではない。一番手っ取り早い対応の仕方は不良債権の処理をする、自己資本比率が下がる、そうしたら分母を小さくしちゃう、つまり貸し渋りですね、こういう対応を
銀行はしたのだと思います。
金融三法で、そこに公的な資本を注入したり、あるいは不良債権処理を促進したりして何とかここまで来たと思うのですね。ここまで来たという
意味は、
銀行もようやく前向きに、IT関係を
中心とした
設備投資をやろう、今までの不良債権処理とか傷んじゃった資本を
回復するというのはかなり後ろ向きの対応ですが、いよいよ国際
競争に打って出るぞということを含めて
設備投資をやるぞという態勢にようやくなってきたと思います。
三月の日銀短観、御存じだと思いますけれ
ども、ずっと落ちてきた
金融機関の
設備投資が二〇〇〇年度にはプラスに転じる、特に
銀行業全体で昨年度マイナス二四・五からことしはプラス三八・五になる。特に都市
銀行はプラス六五・八という大変高い
伸びをする。ここまで来たのは結構なことだと思うのです。
そこで、宮澤大臣に御
質問申し上げたいのは、こういう傾向、今までは、不良債権がたくさんある、自己資本比率も低い、がたがたの
日本の
金融機関の
経営を立て直す、そして
金融システムを立て直すということに追われてきましたが、ようやくこういう前向きの動きも出てくる。そして、今出ている法案のように、ペイオフは一年延ばしますが、最終着地は、本当の
意味のペイオフ、二〇〇三年四月からというところは動かしていないわけです。ですから、二〇〇三年の四月をにらんで大丈夫だというところへ持っていこうとしているわけですが。
宮澤大臣、この二〇〇三年四月以降については、本来であれば、小さな
預金保険制度にならなければいけない、あるいは公平な
預金保険制度にならなければいけないのだと私は思いますね。もう大臣おわかりだと思います。小さなという
意味は、特別保険料を乗っけておりますが、二〇〇三年四月からもうやめるよと言えるところへ持っていきたいものだ、さらに言えば、二〇〇三年四月からは、ペイオフ解禁するだけではなくて、
銀行の信用力に応じて可変的な保険料を入れてくるということだって
考えたいものだと。
これは、
金融審議会は、そういうことを言った
先生がいるものですから、そういう問題もあるよという
指摘だけになっておりますが、私は、特別保険料をみんなから
資金量割り当てで取っちゃうというのは、これは一種の奉加帳だと思います。一種の護送船団方式だと思います。決別しなければいけない大蔵
金融行政のしっぽがまだそこに残っておるというふうに思うのですね。可変保険料を入れないのも、これは一種の奉加帳ですよ。
ですから、奉加帳方式、護送船団方式からきっぱり決別するためには、本当は、特別保険料を外し、可変保険料を入れてくる、そこまで展望してみんなで
努力しなければいけない。二〇〇三年四月以降はそこまで持っていくというぐらいのつもりでなければいけないと私は思うのですが、この法案はそこは書いていないのですね、どうなるかわからぬという格好をしておりますが。
いかがでございましょう、大臣。私は、二〇〇三年四月以降にそういう姿を頭に置きたい、すぐにできなくてもそこへ持っていきたいと思いますが、いかがでございますか。