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2000-04-14 第147回国会 衆議院 大蔵委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年四月十四日(金曜日)     午前十一時一分開議  出席委員    委員長 金子 一義君    理事 衛藤征士郎君 理事 鴨下 一郎君    理事 根本  匠君 理事 渡辺 喜美君    理事 上田 清司君 理事 北橋 健治君    理事 石井 啓一君 理事 佐々木憲昭君       石原 伸晃君    今村 雅弘君       大石 秀政君    大野 功統君       木村 隆秀君    桜田 義孝君       塩谷  立君    下村 博文君       砂田 圭佑君    田中 和徳君       高市 早苗君    戸井田 徹君       西川 公也君    林  幹雄君       御法川英文君    宮島 大典君       宮本 一三君    村井  仁君       村上誠一郎君    渡辺 博道君       岡田 克也君    河村たかし君       渋谷  修君    末松 義規君       仙谷 由人君    中川 正春君       藤村  修君    久保 哲司君       並木 正芳君    若松 謙維君       矢島 恒夫君    安倍 基雄君       西田  猛君    鈴木 淑夫君       横光 克彦君     …………………………………    大蔵大臣         宮澤 喜一君    国務大臣    (金融再生委員会委員長) 谷垣 禎一君    金融再生政務次官     村井  仁君    大蔵政務次官       大野 功統君    政府参考人    (警察庁長官官房長)   石川 重明君    政府参考人    (警察庁刑事局長)    林  則清君    政府参考人    (金融再生委員会事務局長    )            森  昭治君    政府参考人    (金融監督庁検査部長)  五味 廣文君    政府参考人    (金融監督庁監督部長)  乾  文男君    政府参考人    (法務大臣官房司法法制調    査部長)         房村 精一君    政府参考人    (外務省経済協力局長)  飯村  豊君    政府参考人    (大蔵省主税局長)    尾原 榮夫君    政府参考人    (大蔵省金融企画局長)  福田  誠君    政府参考人    (大蔵省国際局長)    溝口善兵衛君    政府参考人    (国税庁次長)      大武健一郎君    参考人    (預金保険機構理事長)  松田  昇君    大蔵委員会専門員     田頭 基典君     ————————————— 委員の異動 四月十四日  辞任         補欠選任   河井 克行君     宮島 大典君   塩谷  立君     御法川英文君   高市 早苗君     今村 雅弘君   岩國 哲人君     藤村  修君   谷口 隆義君     久保 哲司君 同日  辞任         補欠選任   今村 雅弘君     戸井田 徹君   御法川英文君     塩谷  立君   宮島 大典君     河井 克行君   藤村  修君     渋谷  修君   久保 哲司君     谷口 隆義君 同日  辞任         補欠選任   戸井田 徹君     木村 隆秀君   渋谷  修君     岩國 哲人君 同日  辞任         補欠選任   木村 隆秀君     田中 和徳君 同日  辞任         補欠選任   田中 和徳君     高市 早苗君     ————————————— 四月十三日  資金運用部資金法等の一部を改正する法律案内閣提出第五八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  預金保険法等の一部を改正する法律案内閣提出第三五号)  保険業法及び金融機関等更生手続特例等に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第五七号)     午前十一時一分開議      ————◇—————
  2. 金子一義

    金子委員長 これより会議を開きます。  内閣提出預金保険法等の一部を改正する法律案及び保険業法及び金融機関等更生手続特例等に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  この際、お諮りいたします。  両案審査のため、本日、参考人として預金保険機構理事長松田昇君の出席を求め、意見を聴取し、政府参考人として法務大臣官房司法法制調査部長房精一君、大蔵省主税局長尾原榮夫君、国税庁次長大武健一郎君、金融再生委員会事務局長森昭治君、金融監督庁監督部長乾文男君、金融監督庁検査部長五味廣文君、大蔵省金融企画局長福田誠君、外務省経済協力局長飯村豊君、大蔵省国際局長溝口善兵衛君、警察庁長官官房長石川重明君、警察庁刑事局長林則清君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 金子一義

    金子委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 金子一義

    金子委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。仙谷由人君。
  5. 仙谷由人

    仙谷委員 預金保険法の一部を改正する法律案について主として質問をいたします。  法律中身が問題になるわけでありますが、抽象論でやってもしようがありませんので、格好の材料は日本長期信用銀行でございますから、日本長期信用銀行の三月一日譲渡、これに至る経過あるいは再生委員会の作業等々をお伺いいたしたいと思います。  まず、いわゆる長銀リップルウッドに譲渡する前提として、適債権不適債権、あるいは適資産不適資産というのでしょうか、これを仕分けをするといいましょうか、なさったわけでありますが、このうち、適債権というふうに仕分けたものの中で、貸倒引当金を二〇%を超えて引き当て計上したものというのはあるのでしょうか。もしあるとすれば、その件数債権総額をお答えいただきたいと思います。
  6. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 長銀で適と判定いたしましたものの中で、引当金を積んだのが約九千億でございます。今二〇%以上とおっしゃいましたが、その細部については発表いたしておりません。
  7. 仙谷由人

    仙谷委員 発表されたらどうかなと思うのです。  私、個別の固有名詞を挙げて発表せよということを申し上げておるわけではないのですね。貸倒引当金が九千二十八億、二〇〇〇年の二月二十九日付の貸借対照表を拝見しますとそうなっておりますから、そのうち、いわゆる一般の貸倒引当金と個別の貸倒引当金というのが当然のことながらあろうかと思うのですね。九千億の内訳を明示していただきたいと思いますし、さらに、その件数はどのぐらいだったのかということであります。  さらに重ねて、個別債権のうち、一番引き当てた率が多い債権は何%ぐらい引き当てておるのでしょうか。
  8. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 先ほど約九千億と申しましたが、その内訳につきましては、現在民間銀行となっております長銀経営中身に関してまいりますので、御答弁は差し控えさせていただきたいと思います。  後段引き当て、今おっしゃったのは……(仙谷委員引き当て率の高いものは何か、何%だったか」と呼ぶ)高いものは何かということでございますね。これは、正常先要注意先及び要管理先につきましては、過去の貸し倒れ実績率等に基づいて算出された引き当て率に基づく引き当てが行われているわけでありますが、破綻懸念先につきましては、債権額のうち、担保などでカバーされていない部分の七〇%の引き当てを積む。  それから、あと例外的なのでございますが、実質破綻先及び破綻先につきましては、債権額のうち、担保等でカバーされていない部分の一〇〇%の引き当てがなされているものがございます。これは、更生債権であるとか、そういう法的な整理枠組みの中にあります共益債権でありますとか、そういったようなものは例外的に一〇〇%の引き当てがなされているものがございます。
  9. 仙谷由人

    仙谷委員 今一〇〇%の話が出ましたが、今のは、七五%を引き当てた、一〇〇%を引き当てたというふうな資産適資産の中に入っているというお話ですか。
  10. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 今七五%とおっしゃったのは七〇%でございます、それから一〇〇%、いずれも適の中に入っているということでございますが、一〇〇%については、先ほども申し上げたような法的整理に入っているようなものの中の更生債権であるとか共益債権であるとか、そういった例外的なものでございます。  いずれにせよ、こういった引当金は、金融検査マニュアルであるとかあるいは公認会計士協会実務指針によりまして判断をしているものでありまして、無用引き当てを行っているという性格のものではございません。
  11. 仙谷由人

    仙谷委員 無用引き当てを行っているという結論を申し上げようと思っているのではなくて、常識的に考えて、なぜそんな引き当てをしている資産適資産になるのか。もしそういう資産適資産になるとすれば、適資産とされないでRCC送りになったというか、不適資産にされたものとの基準をどうとるのか、この辺が大変な大問題になってくると思うのですね。私は、常識的に考えて、適資産である限り、まさか二〇%、二五%を超えた引き当てをするものがあるというのは、少なくとも私の常識では考えられない。  この問題はもうちょっと具体論に入ってからお聞きするわけですが、では、適債権としたもののうち、二〇〇〇年二月二十九日以前に債権放棄長銀もしくは他の金融機関要請をしておった債務者というのはどのぐらいあるのか、そしてその総額はどのぐらいなのか、これをお答えいただきたいと思います。  さらに、二〇〇〇年三月一日以降、つまりリップルウッドとの本契約を結んだ以降、債権放棄要請してきた、そういう債務者がいるのかいないのか。いるとすれば、その件数、つまり債務者の数と、そしてその債権放棄要請総額、その総額資産に占める、つまり債権に占める割合、これをお答えいただきたいと思います。
  12. 森昭治

    森政府参考人 お答え申し上げます。  適資産というもので限って債権放棄を認めた例、及び日長銀特別公的管理から出た後でどうなっているかというお尋ねかと思いますけれども、特公管に入っている最中の長銀につきましては、まず公的整理枠組み私的整理枠組みかでございますけれども、私的整理枠組み、すなわち、単に債権放棄要請があって、協調金融団と相談の上、債権放棄をする、そうした例は一つもございません。また、当委員会としても、私的整理枠組み債権放棄を認めるわけにはいかないということを明らかにしております。  一方、公的管理の最中に、法的制度枠組み特別清算とかあるいは更生計画とか、あるいは和議とか、そういう法的制度枠組みの中で、長銀適資産の中でそれを認めた例は三件ございまして、債権額は約四千八百億ぐらいでございまして、債権放棄額といいますか、カット額は四千三百億円でございます。  なお、特別公的管理から出た後で、新生長銀になってからの債権放棄要請がどの程度あるか、あるいはそれにどう対応するかは、新生長銀経営判断の問題でございまして、当方は承知しておりません。
  13. 仙谷由人

    仙谷委員 もうちょっと端的にお答えいただきたいのですが。  いいですか、適債権とあなた方が認定をした債務者の中で、ことしの二月二十九日までに長銀債権放棄要請した、長銀が認めようと認めまいと、そんなのは関係ないんですよ、債権放棄要請してきた企業というのはなかったんですか、債務者というのはなかったんですか。
  14. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 長銀に対する債権放棄要請はいろいろな程度のものがあったわけでございまして、打診程度のもの、あるいは口頭でなされるものと、態様もまちまちでございますので、どれだけ債権放棄要請に係る計数があったかということは、ちょっと申し上げることが難しいのでございます。  いずれにせよ、先ほど事務局長が申し上げましたように、特別公的管理にある銀行について、債権放棄から生じた損失は公的資金で賄われるということになりますから、私的整理における債権放棄特別公的管理はなじまないという方針で対応した、こういうことでございます。
  15. 仙谷由人

    仙谷委員 私は、今の結論部分は、そんなことは当たり前の話で、税金で債権放棄を認めるなんということが許されるはずがない、それはそもそもの原則だと思うのですね。問題は、債権放棄長銀にも要請するということは、他の銀行、主としてメーンバンク中心になって、いわばメーンバンク私的整理債権者委員会中心になって、そして債権放棄要請している、こういうことなんですよね、基本的には。これは、谷垣大臣も弁護士さんですから、そのぐらいのことはわかっていると思います。  そうだとすると、債権放棄要請するような債務者に対する貸し金を適資産というふうに認定するということはいかがなものか、そんなことがあり得ていいのか。そうだとすると、一般庶民、市民からすれば、全部、銀行債権放棄要請して、それ以降銀行取引が続けられる、こういう話になるじゃないですか。そうじゃないですか。私は、そこに、庶民といいましょうか、ごく一個人としてお金を借りている人、中小企業として借りている人、それと大企業とで極めて恣意的な選別が行われている、何ゆえにそのようなことが行い得るのかというのが疑問で疑問でしようがないのですね。  今の問題については、適資産にしたもののうち債権放棄要請してきたものがあるかという私の問いですよ。一般論をやっているんじゃないのですよ。長銀一般的に何件来たかという話じゃないですよ。適資産というふうにあなた方が仕分けをしているのに、これは私が持っているペーパーだと、昨年の二月十九日付の資産判定結果というのがありますよ。それ以前でもそれ以降でもいいんだけれども、債権放棄要請をするような債務者適資産認定をして、あまつさえ新生長銀にも適資産として送り込んだということになると、これは見やすい道理で、その次の問題は瑕疵担保を適用するかどうかという話になってくるじゃないですか。その瑕疵担保の問題は後で聞きますから、まずおっしゃってください。
  16. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 債権放棄要請を受けて、しかし適と認めた、債権放棄要請を受けた企業のその債権を適と認めたという例はあるようでございます。  それで、それがどういう場合かと申しますと、特別公的管理下銀行だけに債権放棄要請をしているわけではなくて、ほかにもいろいろ債権放棄要請をいたしまして、その結果その企業が立ち直って、それで適と認めた、こういう例があると聞いております。
  17. 仙谷由人

    仙谷委員 立ち直る可能性があるのでいいんだったら、会社更生でも大丈夫ですよ。会社更生を申請した会社に対する貸し付けも適と認定したっていいんですよ、そういう理屈であれば。債権放棄を申請するということは、そもそも、もう金融取引の世界においては信用が一切なくなるということじゃないですか、現実に。国有長銀債権だけが、その時点では放棄要請に応じなかったから、それは劣化していないと。そういう認定が、債務者本人信用にかかわる問題がそもそもあるのに、そういう判定をすること自身、私は、いかにも恣意的であるし、せっかくの金融再生法に基づく国有長銀仕分けについて、何らかの政治的な判断といいましょうか、思惑といいましょうか、そういうのが働いたと言わざるを得ない。  きょう、これは私が新聞紙上から拾っただけの「主な債権放棄計画」というペーパー委員皆さん方にもお配りしてあります。ごらんください。  日貿信などという古いのもあります。なるべく固有名詞は読み上げないようにしますが、いいですか、この私がつくった一覧表以外にもあるのではないかと私は思っておりますが、これだけでも、これはほとんど長銀融資先債務者じゃないですか。  ここに記載した分について、不適債権にしてRCC送りにしたものがあるかないか答えてください。
  18. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 ただいまの仙谷委員の御質問は個別の取引に関するものでございますので、答弁は差し控えさせていただきたいと存じます。
  19. 仙谷由人

    仙谷委員 私、個別のことを聞いていないですよ。いいですか。この中で不適債権にした部分があるとすれば件数を言えと言っているだけの話ですよ。個別の固有名詞を挙げろと言っていないですよ。
  20. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 今ここにお挙げになりましたけれども、先ほど申しましたようにいろいろな打診、それからいろいろな程度がございまして、この中からどうというのは実は非常にお答えがしにくい、ちょっと整理ができていないということでございます。
  21. 仙谷由人

    仙谷委員 私、この種の資産査定適不適を分けるときになさったということは極めて疑問に思うのですね。このほかにも、多分ノンバンク、非上場会社ノンバンク等々は、債権放棄要請があったという部分が相当あるのではないかと思いますけれども、そのことを除くとしても、これは要するにゼネコンと商社、流通じゃないですか。長銀さんの上得意だった部分ですよ。  この部分について、こんな巨額なものが一方で適債権にされて、国有長銀としては債権全額残されておるんだけれども、一方ではしかし、ほとんどそれが、何十%かは支払われる可能性がないという状況下で、しかし、不適にすると直ちに倒産等々にも結びつくから、ちょっと日延べして先送りしようよ、新生長銀で処理してもらえばいいじゃないかという思惑が働いたとすれば、これは金融再生法、あるいはこれからは危機対応何とか銀行になるようでありますが、この種の法の運用としては非常にでたらめになって、モラルハザードを大量に起こすのではないかということを考えるのですよ。  これは破綻をした国有長銀資産査定ですから、本来ならば人のことなんか構っていられないはずなんですよ。みずからがいかに悪い脂身を取り除いて、スリムな健全な体に立ち返るかというのが前提であるはずですよ。ところが、これもいいあれもいい、そういうやり方でやられておるんじゃないか。そういう手術をする、そのことなくしては日本の構造改革は、特に金融システム改革はあり得ないという覚悟で六十兆というお金を決めたんじゃないですか。それは結果としてはどちらがお金がかかるかわかりませんよ、その時点では。しかし産業界全体、経済全体にとっては必ずその方がいいはずだ。もう十年も長く先送り先送り、そのうち土地が上がる、そのうち景気がよくなる、これで十年来たわけでしょう。私は、この適不適判定が非常に後顧の憂いを残すということを申し上げたいと思います。  さらにもう一つつけ加えると、大臣、これは適債権として新生長銀に引き継いだ分がありますよね。日にちの面から見てもわかりますよね、四月に要請が来たというのが。これは新聞記事の私の情報でありますが、そう書いてございます。  この種のものについては、金融再生委員会あるいは国有長銀、あるいは預金保険機構もこれに絡んでおるのかもわかりませんけれども、承継すべき適債権というふうに認定したものが、契約を締結してたった一カ月で、金融界常識では不適どころか整理会社である、破綻会社であるということが結果としてわかってしまった例が、少なくとも二例書いてあるでしょう。こういうのをごらんになって、単なる先延ばしはしてみたけれども結局はだめだった、ただ、国有長銀がとどめを刺さなかったから責任が逃れられるのだという程度の話だとすれば、これは非常にお寒い話だと思います。  適債権にしたものが一カ月ぐらいで破綻してしまった、こういうケースについてどういうふうにお考えになりますか。
  22. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 まず仙谷委員が、資産判定において何らかの政治的な思惑があって本来不適とすべきものを適としたのではないか、最初そうおっしゃったわけでございますけれども、資産判定基準では、債務者特殊事情特許取得保証などそういった特殊事情に基づいて将来の収益とか債務の履行を見込んできておりまして、これらが合理的なものと認められる場合には、これらの事情も考慮して判定するというふうにされておりまして、破綻懸念先以下の債務者であっても、例えば親会社等保証がある、あるいは担保により与信全額がカバーされているといった条件を備えている債務者に対する債権については不適とはしないで適資産判断している、こういうわけでございます。  こういったものを不適としなかったのは、保証あるいは担保などによってその資産の回収が図られているということに加えまして、更生計画における例えば共益債権のように、特別公的管理銀行の貸し出しが当該債務者経営再建に不可欠なものとなっている場合があることも配慮したということでございます。  それから後段の方の御質問の、特別公的管理から民間銀行になってわずか一月余りの間に債権放棄を求めるというのは何事であるか、それこそ適不適の判別がきちっと行われていなかったのではないかというお問いかけでございます。  確かに、私どもも、民間に移りましてわずかの間にそういうことが起こるということは残念なことだと思っておりますが、これは、実は適不適資産判定をいたしましたのは一年前、十一年二月十九日だったと思いますが、一年前の資料に基づいて判断をした結果がこういうことになっている、こういうことでございます。
  23. 仙谷由人

    仙谷委員 そういうことをおっしゃるのだったら、ではお伺いするわけですが、昨年の二月十九日に資産判定をした後に、今回譲渡されるについて改めて、私の言い方で言いますと修正バランスシートでありますが、再生委員会の出された資料によると予備的基準日貸借対照表とか、予備的基準日損益明細表とか、こういうのをせっかくおつくりになっているのに、この時点では、そうすると、売買の基準たる財産あるいはバランスシートの内容は正しい資産状況が表現されているのではなくて、一年前のものを基準にしてリップルウッドに十億円で売った、こういう話になるのじゃないですか、今の話は。  正確な資産査定のもとに行われた会社といいますか有機体そのものを売る、多分こういう話だったと思うのですが、それはいかがですか。
  24. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 適不適判定は、先ほど申しましたように、平成十一年の二月の段階の資料判定しているわけです。ただ、引き当てをどう積むかという判断は十二年二月のクロージングの日を基準としてやって整理をいたしております。
  25. 仙谷由人

    仙谷委員 この二月二十九日、三月一日以降に債権放棄要請した会社の中に、長銀に対する債権放棄は、九〇%の債権放棄をせよという要請までした会社があるというじゃないですか。雑誌とか新聞記事を読むだけでも、要するに従来の決算が粉飾ではないかと言われておる部分があるじゃないですか。そういう会社資産判定するについて、そんな今おっしゃられたような甘い話が、そして、そこに引当金を積んで承継すべき資産のうちに含めたなどということになってくると、もう何をか言わんやという話になるのじゃないですか。  私は、今のお話を聞きますと、ますます資産査定資産判定というものが、鉛筆をなめて適当にやったのではないか、あるいはこの会社は大きいから倒産させてしまっては困るから、あるいは国有長銀が引き金を引いてはまずいから、ちょっとまあこれは不適だけれども何とか適の方に入れて様子を見ようよ、そして、リップルウッドとの関係では瑕疵担保特約でもやっておけばいいや、こういう雰囲気が見えてくるのですよ。どうですか。
  26. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 昨年の二月を基準として判定したものがその後資産劣化したということは確かにあったのだろうと思います。しかし、仙谷委員のおっしゃっているように、そこは政治的配慮でいいかげんにやったというようなものではございませんで、先ほども申し上げましたように、いろいろな基準をもちましてきちっと認定しているということでございます。
  27. 仙谷由人

    仙谷委員 依然としてこういう処理が行われるということについては、民主党の方からは、九〇年あるいは九二年以降の金融問題に絡んだあれやこれやの不祥事もありましたけれども、これについて国会が主導権を持った調査委員会をつくるべきだという提案を現在しております。その中でも、もう一度詳細にこれは検討、調査をしなければいけないと思っておるところでございます。  譲渡後債権放棄要請するような銀行については、これは当然リップルウッドとの契約書の中の瑕疵担保条項が適用されることになるんでしょうか。そして、その場合はどのぐらいの金額が新たな負担として国からリップルウッドあるいは新生長銀に払われるということになるのですか。
  28. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 債権放棄をした場合、これが今度の契約における瑕疵担保の瑕疵に当たるということは、確かにそのとおりだろうと思います。ただ、瑕疵担保契約で解除権が発生するかどうかということは、契約上二割の減価ということが決まっておりますので、その二割の減価に当たるかどうかということだろうと思うのです。  実は、このことは、先ほど九〇%の、九割の債権放棄を要求しているというふうにおっしゃいましたけれども、どこの部分かということによってくると思うのです。つまり、担保によってカバーされている部分かそれとも全体なのか、そういうことによってこの二割の計算も変わってまいりますので、どれだけ要請があった場合にこの二割に当たるのかどうかという判断は、今の段階でやるのは非常に困難であろう、こう思います。
  29. 仙谷由人

    仙谷委員 この契約書を拝見し、あるいはその契約書の中に記載されている「一九九九年二月の資産判定に使用された債務者区分を使用するものとする。」これをあわせて読めば、債権放棄要請があったときにはほとんど無条件に解除理由に該当するじゃないですか。だからこそ、私は前回大蔵委員会でも、こんな瑕疵担保などという民法上の瑕疵担保責任とは全く違う概念をつくり上げて後々の負担をつくるべきじゃない、そういうことを申し上げたわけですよ。  ところが、あたかもこれが特許を取れる発明であるかのごとく喜んでこんなものをつくってリップルウッド契約してしまった。案の定、この放棄が既に二社続いているのですよ。この分については、いずれにしてもリップルウッドの方から解除権を行使されれば契約解除になって、債務者の、総額債権元本プラス利息を国が払わなければいけない。こういう契約になっていたじゃないですか。そうなるんじゃないですか。
  30. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 仙谷委員法律論争をするような愚かなことはしようとは思っておりません。  先ほど瑕疵担保の解除権の問題ですけれども、もう一度申し上げますが、金融再生委員会が適とした債務者債権放棄要請を行うような状況に立ち至っている、これは確かに瑕疵に該当すると判断されるわけです。しかし、二割以上の減価が生じているかどうかというのは個別債務者の状況によって異なってまいります。  要するに、同一債務者に対する全貸し出し関連資産のその時点での現在価値、その時点での引当金控除後ベースの総額が当該資産の当初の価値、当初引当金控除後ベース総額に比して二割以上減価している、こういう条件がついておりますので、債権放棄があったからといって直ちに瑕疵担保責任上の解除権が生ずるとは必ずしも言えない、そこらは個別債務者の状況を見なければわからないということでございます。
  31. 仙谷由人

    仙谷委員 そういう素人がわからない法律論なのか計算方法をおっしゃって逃れようとしても、そういうことを言えばだんだん個別の話に入っていかざるを得なくなってくるのです。全体として六二%の債権放棄要請する会社が、それで長銀に対しては九〇%の債権放棄要請する会社が、何で債権自体が二割減価しないなんという、そういうばかげた計算が出てくるのですか。余りそういうマニュアルをもてあそぶようなことを言われると、ますます不信感が募ってくるということだけを申し上げます。  いずれにしても、この瑕疵担保責任というのをつけたために、私は、今度のこの基準日の貸借対照表を見ましても、どうも適債権という認定をして新生長銀に承継すべきものの約九千億のうち、貸倒引当金を積んでありますから、これは九千億とおっしゃった、これの約三分の二、六千億円ぐらいはこの種のものだろうというふうににらんでおるのですね。引当金が六千億だとすれば、今度は、引き当てた率で割ってやりますと、一兆円を超える適債権と言われたものを、これが適ではなくて瑕疵担保責任を追及されるということになるのではないか、大体こういう推論をしておるのです。  そういう契約上の瑕疵担保責任を果たそうとして、国が補てんをするといいましょうか、返還請求に応じたときには、これは当然のことながら、国会に個別案件ごとに金額を報告していただけるのでしょうね。
  32. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 個別案件ごとに御報告をするというのはちょっと無理でございますが、これはそういうことをいたします場合には金融再生勘定に出てまいりますので、それは国会に御報告をする、こういうことであろうと思います。
  33. 仙谷由人

    仙谷委員 だけれども、この種のものは、国会に報告するのはイニシャルとかイニシャルもつかないでぼっと報告をする、それも半年に一回ですから随分おくれて報告される、新聞では堂々と報道される、こういう話になるのですよ。私は、そんなことは、もうこの情報化社会といいましょうか、情報が飛び交う社会の中にあっては、あり得てはならないと思うわけであります。  これは、こういう特別の、つまり世の中には相当異論のある、無理をした瑕疵担保という契約の特別の条項をつくったわけでありますから、そして、そこに当然のことながら税金分が何割か上乗せされて、リップルウッドがたった十億円で買い取った新生長銀に払われるということでありますから、これは国民負担がふえるということでありますので、ぜひ個別に報告をしていただきたいと思います。  それから、ちょっと話題を変えますが、谷垣大臣に一言やはり聞いておかなければいけないのは、何か、住友信託銀行に合併をさせた方が安かった、再生法上の処理は高くついた、こうおっしゃいます。これは私も非常に高くついていると思いますね。  その第一の原因は、金融監督庁の、あるいは金融監督庁になる以前の銀行局の検査がでたらめだったということが最大のものだと思うのですよ。一カ月ぐらいの検査の期間で二兆円も差額が出てくれば、これはたまりませんよ。  そのほかに、金融再生委員会がもっと厳しく資産査定をやるのかと思ったら、さっきから申し上げているように、資産査定が非常に甘い。ここが第二番目。  第三番目は、本来ならば支払うべきものでない劣後債、劣後ローンまで温かく支払ってしまった。何でこんな資本勘定に入るものが払われなければいけないのですか。それは、私が前回、柳沢大臣の時代にお聞きをして、柳沢さんも再度検討するというような話があったのですけれども、これはそもそも、この劣後債、劣後ローンというのは幾ら払ったのですか。
  34. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 劣後ローン、劣後債でございますが、特別公的管理開始以降、基準日までの間に、金融債は約四兆九千億円償還されました。それから、劣後ローンは約二百億円償還されたというふうに承知しております。
  35. 仙谷由人

    仙谷委員 金融債の中の劣後債というのはどのぐらいですか。
  36. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 金融債だけです。
  37. 仙谷由人

    仙谷委員 金融債の支払いについても、私どもは、こんなものまで負担をしようとするとそれは膨大になるのは当たり前だ、こういう議論をしてきたわけであります。つまり、預金の保護ではなくて、預金保険料を払っていない金融債に、そもそもなぜ払わなければいけないのかという理屈もあります。  さらに、リスクをとって、投機とまでは言いませんけれども投資をした。つまり、ビジネスベースで投機をした部分について支払いをするというのは、まさにマーケットの自己責任原則を犯す、これは非常に奇妙な話だという批判をしてきました。私は、そういうことをなさるから処理費用が膨らむということを申し上げてきたわけであります。  この種のやり方が、谷垣大臣、再生法三条六号の原則、つまり費用最小化原則との関係で、それを遵守できたとお考えですか。それとも、これは少々緩過ぎたかなというふうにお考えですか。どちらですか。
  38. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 劣後債、劣後ローンについて、仙谷委員が従前から批判をお持ちであるということは承知をしておりまして、柳沢再生委員長のときに、国会で御議論した後、検討するとおっしゃって、委員にお答えをする機会がなかったようでございますので、ちょっとそのあたりも申し上げたいと思うのです。  長銀及び日債銀の劣後ローン契約におきまして、劣後特約というのは、破産宣告、それから会社更生手続開始の決定がなされ、かつ継続している場合というふうに劣後事由を限定して定めております。劣後事由が生じた場合には、劣後ローンに係る債権者には、債権カットなどの債権債務の清算手続が行われる過程の中で、弁済順位が劣後した形で元利金の支払い請求権が発生することになるわけであります。  他方、特別公的管理の制度というのは、破綻金融機関に係る預金者等に対しまして、債権カットなどの債権者の負担を求めることなく、特別公的管理銀行の営業を継続させる中で不良資産整理回収機構への売却などを行うとともに、必要な限度において資金援助を行って、健全な財務状況を有する銀行として受け皿金融機関等に円滑に引き継いでいこう、こういうものではないかと思うのです。  それで、特別公的管理制度は、債権全般について、債権カットなどによる債権債務関係の清算手続を求める制度ではなくて、また、特別公的管理制度は、当該劣後ローン契約に限定列挙されている劣後事由に該当するものでもないわけでございますので、金融再生委員会として、劣後ローンを含むすべての負債について契約に従い保護するということを、その後議論して改めて確認をいたしたところでございます。  こういう観点から、長銀及び日債銀に係る特別公的管理を公表しましたときの総理談話において、長銀あるいは日債銀の預金、金融債、インターバンク取引、それからデリバティブ取引等の負債は全額保護されて、期日どおり支障なく支払われることとなっているとの見解が示されているということでございます。
  39. 仙谷由人

    仙谷委員 私は、幾ら考えても、おっしゃるように、破綻認定を受けて特別公的管理になったということが、会社更生やあるいはその他の法的な整理と同視すべき事柄であるというふうに考えるのは当然であって、今のような非常に拡大解釈、それも、これは契約条項ですから、法律ではなくて、そうだと思うのですよ。劣後ローンの設定契約の中で書かれておるものをあえてそういうふうに拡大して温かく読んであげたということにしかすぎない。私は、この点については、今の段階でも非常に不当なやり方だったなと思います。  そのことと関連して、この預金保険法の改正案が出ておりまして、特別危機管理銀行というのがありますが、この場合にはどうなのですか。金融債も劣後債も劣後ローンも全部保護されるのですか。あるいは、これは支払うのですか。
  40. 大野功統

    大野(功)政務次官 特別危機管理銀行というのは、破綻処理の問題でございます。そして、御存じのとおり、総理大臣が発議して、金融危機対応会議で決定するわけでございます。  それで、いかなる決定になるのかはすべて金融危機対応会議でございますので、どこまで保護していくか、つまり、ペイオフコストの一千万超を保護するのか、それも含めてすべて対応会議の議を経る、こういう形になっております。
  41. 仙谷由人

    仙谷委員 そんないいかげんな話ないですよ。今の時点でも問題になっているんですよ。特別危機管理銀行なるものが、マーケットに規律性を与えるためのペイオフを一切ないがしろにしようとしているのではないか、将来永久にペイオフなんかない、すべて国家が最終的には保護するんだ。一時的な話じゃないんですよ、恒久的な措置としてこの制度をつくろうとしているんでしょう。恒久的な制度をつくるときに、この場合は金融債を保護して、この場合は金融債を保護しない、そんなことがあり得ていいはずないじゃないですか。この銀行の場合にはここまで保護してあげるけれども、この銀行の場合にはここまで保護しないなんてことがあり得ていいはずないじゃないですか。性質が違うんですよ、預金と金融債なんというのは。劣後債はもっと違う。そんなことぐらい当たり前じゃないですか。  もしあなたがおっしゃるようなことだったら、この法律は欠陥法律ですよ。
  42. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 それは、私は御質問の方向にもともと疑義がありますが、この制度そのものが何か非常に安易に適用されて、そしていつでもこういうことがあり得るようなお尋ね、その発想はちょっとこの法律の意図しているところではないと私は思います。こんなことがしょっちゅうあってはたまりません。  しかし、それはそれとして、保護される範囲は今と同じです。今の制度と同じですから、同じ範囲で保護される。そのときそのときで変わるというふうには法律は考えていません。
  43. 仙谷由人

    仙谷委員 いやいや、それじゃ、保護する範囲を決めたらどうですか、法律で今から。  宮澤さんなんかは、こんなものいつでも使われたら困ると言うけれども、当たり前の話です。当たり前だけれども、制度というのは、いつでも使えるようにするのが制度ですよ。そして、金融再生法よりも、認定の、あるいは、この特別危機管理銀行にするその要件は広げているじゃないですか。そのことを我々が批判していることぐらい知っているでしょう。認定の要件を広げた上で保護される対象を限定しない。  本来は、ペイオフで預金の一千万までは保護するけれども、それ以上は保護できない、そこから始まった話なんでしょう、これは全部。そうじゃないんですか。そして、システミックリスクを回避するためにどうするのかという次の大問題があった、だから金融再生法をつくったと。その当時、大蔵大臣は、こんな国有化なんかとんでもない話だ、随分反対されたじゃないですか。思想に合わないということもおっしゃった。  それで、思想に合わないのはいいんだけれども、いずれにしてもその大蔵大臣が、今度この特別危機管理銀行ですか、こういうのを導入されたから、おかしいことをするな、所有権法理論をあれだけ信奉された宮澤大蔵大臣が国有化することにそれほど痛痒を感じなかったのかなと私は見ていましたよ。国有化して、どこまで面倒を見るのかという限定をつけないで、今度のこの長銀の、今私が指摘しているような処理のように、無限にとは言いませんが、ほとんど国民の税金でこれをカバーする、こんなことがどこまで続くと思っているのですか。  そして、いつでもこんなものが適用されたらたまらないと今大臣はおっしゃったけれども、私は大臣とは少々経済の日本の状況についても考え方が違いまして、もっと危機感を持っています。だから、谷垣大臣が住友信託銀行長銀が合併されれば安かったとおっしゃるけれども、これも非常に疑問です。合併だけで当時のシステミックリスクがおさまったか、それが一つです。それから、合併された新しい住友信託銀行か何かは現時点でうまくいっているか、そういう判断をしますと、より高くついた可能性があるのです。  つまり、なぜそういうふうに言うかというと、先延ばしすればするほどコストが膨らむというのは、これは常識じゃないですか。天佑のように土地でも上がれば話は別ですよ。どうですか、あれからでも、二年たってもまだ土地は下がっているじゃないですか。それはそれ、土地が下がることについては、グローバルな経済の中での原因があるから下がるわけでしょう。そういう観点から考えますと、私は、日本の都銀も地銀もまだまだ安心はできない、いつの日か突如どこかの事業会社が九〇%の債権放棄要請するような、それと似たようなことが金融機関でも必ず起こる、そのぐらい危機感を持っています。  そういう危機感の中でこの新しい制度を、金融再生法特別公的管理に似たものを預金保険法に入れ込むというのであれば、それは、マーケットの規律というものも考え、常々おっしゃっている自己責任原則というものも貫徹しなければ、本当に緩みっ放しのモラルハザード法になってしまいますよ。  これは今からでも修正をして入れたらどうですか、保護する対象とそうじゃないのを。
  44. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 あえて発言いたしましたのは、谷垣大臣のその御発言についても私にもいろいろ感じることがございます。ございますが、これは、この二年以内の国会の御意思があって、行政がそれでやってきたことですから、長い日にちがたちましたら、また御議論があって、そのときは私どももいろいろ申し上げたいこともございますが、ただ、先ほどのように、金融債を保護したことまで、これはもともと反対だったというようなことをおっしゃいますと、それはまた議論が随分違ってくるんだろうと私は本当は思っています。しかし、これは今議論をすることは自重いたします。  が、今の百二条について、何かこんなことがしょっちゅうあるようなお気持ちで、今の金融情勢はそういうものだという御判断なら、それは私どもはそう思っていない。こういうことはそうしょっちゅうあることではない。  ただ、日本の憲法は、御承知のように、昔の緊急勅令というようなこともありませんし、非常事態について述べていることは少ないわけですから、金融について、あるときにはこういうことをいたさなければならないと思いますから、そのための授権をいただいておるということです。
  45. 仙谷由人

    仙谷委員 宮澤大蔵大臣が憲法二十九条の解釈を少々変えられたということを確認できましたので。  それはそれとしまして、ちょっと時間がございませんが、第一勧業銀行の問題をちょっとこれからも触れていきたいと思います。  KG—サブというのが一で、十四番にICRJαLと書かれておるものがございます。第一勧業銀行が昨年の三月末日に資本注入を九千億受けた。再生委員会の決定によって、金融健全化法の規定に基づいて九千億の資本注入を一方で受けた。一方では、この決算期に九千億円強の不良債権償却をしております。  それで、どうもこれは、それこそ庶民の、消費者の訴えから調べていってだんだんわかったんですが、ここにございます、こういう有限会社、これはいわば何とか一郎から何とか十三郎までみたいな話ですよ。こういう細分化された子会社、代表者はすべて一緒。本店の所在地も、有限会社は同じ、そして株式会社の分については、支店としてそこに所在する。こういうところに分割をして——分割をしてだろうと思うんですよ、バルクで債権償却、つまり売却をしたのではないかと疑われるんですね。ごらんのように、本店の部分はケイマンですよ。非常に重大な疑惑が浮かびます。  第一勧業銀行銀行協会の会長行でございますから、この種のやり方をすることがいいのか悪いのか。もちろん、昨日法務省に問い合わせをしましたら、この種の会社はサービサーとしての許可を受けていません。当然ですよね。こんな会社にどのぐらいの債権がまとめて売られたのかという点が一つ。  これは、いわゆるサービサー法、この法律に照らして、資本注入を受けるような、銀行協会の会長行であるような銀行が行っていいような債権譲渡なのかどうか、まずそれが一つ。  そして、実質的に債権回収を目的とする会社に譲渡することは、その会社の弁護士法違反行為を知ってやることになるのではないか、それが一番。さらには、その会社はどこかから資金を入れて買うのでしょうから、こういう細分化したやり方は株式会社の監査等に関する商法特例法に違反しないか、これが第二番目。三番目には、貸金業の規制に関する法律などとの関係はいかがになるのか、これをひとつお答えを願いたいと思います。  私は、これを見ただけで、ああ、これは脱税のためのやり方だな、脱税のためにこんなことをやっている会社に第一勧銀ともあろう者がまとめ売りをしたんだな、こういうふうに思いました。いかがですか。
  46. 金子一義

    金子委員長 時間が来ておりますので、簡潔にお願いします。
  47. 村井仁

    村井政務次官 まず事実関係でございますけれども、一般論として申し上げますと、金融機関が不良債権の処理に当たりまして、バランスシートから落とすということで、SPCなどに一括していわゆるバルクセールをやる、これは、私どもとしましては、近時、いろいろなところで積極的に活用されているという認識を持っております。  ただ、今委員御指摘のようなケース、これは私どもの承知しておりますところでは、モルガン・スタンレー・ディーン・ウィッターというのがございますが、これが、不良債権の証券化商品の投資家向けパンフレットの中で、御指摘のKGI等の名称を使ってやっておりますけれども、この外資系の金融機関が管理するSPC、そういうふうに記載されておりまして、そのことではないか、こんなふうに理解をしております。  ただ、問題は、第一勧銀がどういう行動をとったかということになりますと、これは個別の金融機関の個別取引の問題でございますので、私どもとしましては具体的にコメントをさせていただく立場にはないということを申し上げざるを得ないと思います。  それから、先ほどもおっしゃいました弁護士法の問題とか、あるいはサービサー法の問題、これはちょっと私どもの方でお答えできる問題でもございませんので、よろしくお願い申し上げます。
  48. 金子一義

    金子委員長 今の後者の問題については、サービサー法とか、だれか答弁してください。——では、ちょっと理事で協議していただけますか。  それでは、法務省房村司法法制調査部長。
  49. 房村精一

    ○房村政府参考人 第一勧業銀行からの債権譲渡が弁護士法あるいはサービサー法に違反するかとのお尋ねでございますが、個別の事案でもあり、また具体的事実関係を承知していないこともありますので、答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
  50. 仙谷由人

    仙谷委員 時間が参りましたので、終わりますが、委員長の方に、これはまた理事の方からも言ってもらいますけれども、大蔵省あるいは法務省の方もお答えにくいのでしょうから、これは、第一勧業銀行の会長の杉田さんを参考人としてひとつ呼んでいただいて、この種のやり方がいいのか悪いのか、ここで審議をしていただきたいと思います。  終わります。
  51. 金子一義

    金子委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時六分休憩      ————◇—————     午後二時十四分開議
  52. 金子一義

    金子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。横光克彦君。
  53. 横光克彦

    ○横光委員 社民党の横光克彦でございます。  まず最初に、きょう大蔵大臣がG7に出発されるそうで、そのことでちょっとお伺いしたいのです。  昨年の九月のワシントン、そしてまた本年一月の東京と、二回のG7において連続して声明の中に円高懸念の共有というのが盛り込まれましたね。ようやく自律的な景気回復の兆しが見えるという経企庁の発表もございます。しかし、それをさらに確かなものにするためには、やはり円高の懸念というのはあるわけでございます。  今回G7に出席されるに当たって、我が国の主張として、この二回盛り込まれました円高懸念の共有ということを、各国と共有意識を持って声明文に盛り込むように主張されるおつもりでしょうか、お聞かせください。
  54. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 そこのところが、ここ何回かのG7の会合で各国で議論をしますと、必ずしも表現についてすぐに議論が一致をしないところでございます。  殊に、昨年の九月あたりでございますと、もうきょうとは大分事情も変わっておりますけれども、日本経済の先が見えないという感じが強うございましたから、確かに円が余り高いということは、それはそうだろう、困るのだろうが、しかし、それは日本政府自身がいろいろ景気刺激的な政策をとり、また、それと歩調を合わせた金融政策をとる、そういう努力が前提にあって、その上で、円高はどうもなかなか問題があるのだ、そういう論理の運びならば、それは濃淡はありますけれども、そうだろうというようなコンセンサスができるのですが、だんだん経済もよくなってきておりますし、我々としては随分やることをやってきておりますから、これ以上何かと言われても、さてというような物の考え方もあります。ですから、そういうようなあたりを議論していてどの辺の結論になるかな、やってみないとわからないなという感じがしております。  もう一つは、ユーロにつきまして、ユーロは実はなかなか思ったほど強い通貨にならないことについて心配をする向きと、いや、それは物価が安定すればいいのだ、別に大して強い通貨になる必要はないのだという、恐らくヨーロッパ自身の中に、人によって考え方が違う。いわんやG7になりますと一緒でないということがありますから、通貨のことを言うのなら、やはり円もいい、ユーロもいいというのでないとおかしいじゃないかといったような議論もあって、そうしたら、ユーロについて何を言うのだとなれば、これはユーロの見解が違うものですから、またそこが一緒にならないといったようなことがあります。  長々申し上げましたけれども、今大体の空気を申し上げたので、さあ、どういうところに落ちつきますか、ちょっと、行ってみんなの議論をやってみないと必ずしもはっきりしないというところがございます。
  55. 横光克彦

    ○横光委員 議論されるということですが、それは当然のことです。その中で方向性が決められるのでありましょうけれども、その議論の中で、我が国の主張というものをはっきりと持っておく必要が、やはり大事だと思うのですね。今の大臣のお答えでは何か他国任せのような気がしたわけですけれども、やはりどうしても日本の金融問題というのがG7の一番中心の課題になると私は思うのです。そうした場合、日本の国がはっきりとした主張をまず持っておくことが必要である、この思いを強くしております。  ところが、この円高の懸念というものが景気回復のためにいま一つ必要だという状況であるならば、やはりそれに欠かすことができないのがゼロ金利政策ということにつながると思うのですね。そうしますと、先日の速水日銀総裁の、ゼロ金利政策の早期解除もあり得るという発言がございましたが、こうなりますと、アメリカやあるいはIMFは、その発言そのものに批判的な声が出ているわけでございます。  ですから、ゼロ金利政策はまだ今の日本の経済状況から見て必要であるか必要でないか、どういうお気持ちをお持ちか、お聞かせください。
  56. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 これは中央銀行が決定をされることですけれども、この四月十日に、ごく最近でございますが、政策委員会の会合がありまして、発表は、ゼロ金利政策はなお続けるべきである、こういう発表でございます。
  57. 横光克彦

    ○横光委員 政策会議でそういった合意というか意思決定がされたにもかかわらず、その直後には日銀の総裁が、継続するにしても早期の解除もあり得るというようなことを発表したわけですね。ですから、私が心配しているのは、大蔵大臣と日銀の総裁がG7に参加されるわけで、そのお二人のお考えを、日本の主張をやはり一致しておくことが何よりも大切だと思うのですね。  では、速水総裁の発言に対してどういうお考えをお持ちでしょうか。
  58. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 昨日夕方、速水さんから電話をいただきましたときに、こういうことを言っておられました。  日本銀行の基本方針は四月十日に決定して発表したとおりであるが、だんだんに日本のデフレ懸念というものが薄れてきて、それで政策委員の中にも、したがって、前よりはゼロ金利政策については永遠のものでないという意見が強くなってきていましたと。しかし、決定としてはああいう決定をした。  そこで自分が思っていることは、いろいろ日銀の政策については、独善的にならずに、やはり市場と絶えずコミュニケーションがあるということが大事で、その都度その都度の自由な市場とのコミュニケーションを自分は心がけてきたつもりであるが、今回のことも、結局、今年内というような漠然とした話ですけれども、今年内ぐらいの間にはそういうことがあり得るかという質問に対しては自分はあり得ると答えているのも、ある日突然何かが起こって、市場が十分にそれを受け入れられないということではよくないので、殊に、自分は設備投資についてはもう心配がないと思うが、雇用とか消費とかいうところへそれがどう結びついていくかということもまだはっきりしないといったようなこともあるので、その辺はよく現状認識をコミュニケートしておきたい、こういうことで言いましたと、こう言っておられました。  ところで、速水さんと私との間でそういう話をし合うということは比較的すぐに理解ができることですけれども、今のG7の中では、日本のデフレ懸念というものはまだ消えていないという強い考え方をしている国があるし、IMFの事務当局、経済展望もそういう見方をしているわけです。ですから、速水さんと私の間でお互いに考えていることの合意点を見つけるということは別に難しくないのですが、そういうG7の場になりましたときには、それはそういう意見がかなりございますから、必ずしも簡単なことではない。ちょっと頭の痛い問題ではございます。
  59. 横光克彦

    ○横光委員 きょう、お昼のニュースで大臣の記者会見を見たときに、やはり最後に頭の痛い問題だという言葉で終わっていましたけれども。  今お話ございましたように、IMF等は日本のデフレ懸念というものをまだまだ警戒している。そして速水総裁の発言ではそれがかなり払拭されつつある、ここに大きな差があるわけですね。そしてそれが、ゼロ金利政策を継続していくのか、あるいはいずれ今年中にも解除していくのかという問題につながると思うのですが、私は、やはり大蔵省と日銀との政策決定の主導権争いみたいな気がしてならないのですね。そういうことであってはならないという気がするのです。G7に行くに当たっては、何とかして大蔵省と日銀とが意見を一致して、一致した形で各国との協議に臨んでいただきたいという思いを強く持っているわけです。  今も、速水総裁とのお話では頭の痛いというお言葉がございましたが、もう時間はないわけですので、何とかお互いにいま一歩意思の疎通を図って、日本側としてはG7においてはどういう対応をするか、どういう主張をしていくか、景気回復のために、ということになろうと思います。  ゼロ金利政策というのは確かに異常な政策です。しかし、これはプラス、マイナス両方あるわけで、本当にデフレ懸念が払拭されて本格的な自律的な景気回復という形になれば、もうこれは解除したって当然なわけですけれども、ここで腰折れになるという可能性もあり得るわけですので、そこのところをどうかしっかりと協議してG7に臨んでいただきたい、このようにまず私はお願いを申し上げたいと思います。  今度のG7はサミットの一つの前哨戦といいますか、そういった会合でもございますし、その中で、最貧国の債務の件ですが、この問題もG7で取り扱われると思うのですが、そこのところは、そういう予定になっておりますかどうかわかりませんか、大蔵大臣
  60. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 これは、昨年のケルンの最高首脳のサミットのときに既に議論されましたし、その後大蔵大臣もずっと議論をしておりまして、我が国も、一昨日でございますか、ODA外の債務についても一〇〇%免除するといったようなこと、あるいは国際機関に対しての資金援助もするというようなことを、一歩進めた立場を決定いたしました。  各国におのおの、そういう一つ一つの問題がございますから、現実に最終的な結論に至りますまでの議論をまた今度のサミットでいたすことになると思います。これは御承知のように相手側の、つまり債務国がどういうふうに対応していくかという問題もあるものでございますから、両側に問題がございますが、債権国側は、今度の明後日の会合でも当然議論をいたしてまいります。
  61. 横光克彦

    ○横光委員 国連の発表では、現在、世界において絶対的貧困の人口は十三億人以上あるという発表があるのですね。この絶対的貧困とはどういうことかと申しますと、三度の食事、そしてまたきれいな水、雨風をしのげる寝床、こういうものを確保できない人たちが約十三億人いる、こういった人たちのことを絶対的貧困というそうでございます。  貸した金は当然返してもらわなければなりませんし、借りた金は返すのが当たり前でございます。それはそのとおりでございます。しかし、この最貧国が、生産能力とか低所得とか紛争とか、いろいろな形で貧国になっているということもございますが、最も大きい貧困の原因が債務の返済なんですね。大変な債務を受けて、その返済をしていくがために、国内の社会インフラはもちろん、医療とか教育とかいろいろなところにもうほとんど手が回らない。その結果、いわゆる絶対的貧困者というものが次から次へと生じているのですね。今、ウガンダでは五人に一人の幼児が五歳まで生きられないらしいのですね。そういった状況でもある。  ですから、貸した金は当然返してもらわなきゃならない、約束事ですから。しかし、国が破産して、そういった国が返済能力がないというような状況がわかっていながら、なお貸し付ける国もある。これは貸す側の責任にもなってくる。  しかし、これは昨年のケルン・サミットでこういった状況を、先進国みんなで共通認識としてこの問題に取り組んだわけなんです。そして、いわゆる二国間のODA債権放棄しよう、これが昨年のケルン・サミットで合意できたわけですよね。もちろん日本もそれに合意している。そして、今お話ございましたように、十日ですか、非ODA関係も九〇%から一〇〇%の削減を日本が表明いたしました。これも前進です。しかし、問題は、本体であるODAの債権放棄が、日本の場合は独特なんですね。ほかの先進国との違いがここに歴然とあらわれている。  きょうは外務省にもおいで願っておりますが、現在、我が国が持っておりますODAの債権総額、これは幾らぐらいあるのか、お聞かせいただけますか。
  62. 飯村豊

    飯村政府参考人 お答え申し上げます。  今委員御指摘の、いわゆる重債務貧困国、現在四十カ国ございますけれども、この四十カ国に対して我が国が有します債権の残高は、ODA、非ODA債権合わせまして、一九九八年末で一兆一千七百四十八億円でございます。
  63. 横光克彦

    ○横光委員 その中で、まずアフリカだけに絞った金額といいますか、例えばミャンマーなんかも相当あるはずですが、ここはまあ債権放棄する必要はないと思います、軍事政権に利用されるだけだという意識がございますので。ミャンマーを除いて、アフリカだけという金額に絞ってみるとどれぐらいになりますか。
  64. 飯村豊

    飯村政府参考人 お答え申し上げます。  中近東、アフリカ、合計いたしまして三十三カ国ございますけれども、ODA債権は九八年の末の残高で五千四百七十五億円、非ODA債権は一千二百二十三億円というふうに承知しております。
  65. 横光克彦

    ○横光委員 もうそれは大変な金額は金額です、これは財源は国民の金ですから。しかし、金融不安のときの我が国の公的資金の投入の額と比べたらどうでしょうか。今のアフリカだけに絞ると約五千億近く、しかもそれを放棄すると世界先進国と同一の合意をケルン・サミットでしたのです。  ところが、その放棄の仕方がほかの国と違うのですね。いわゆる日本のこのODA、二国間の債権放棄のシステムをちょっと御説明いただけますか。
  66. 飯村豊

    飯村政府参考人 お答えいたします。  先ほどまず金額を申し上げましたが、この債権の残高をすべて放棄するあるいは救済するということにはなっておりませんで、ケルンの合意におきましては、まず債権が維持可能か不可能か、さらにはIMF・世銀の構造調整プログラムを受け入れているかどうか、三番目には、当該国が債務救済を求めているかどうか、それから四番目には、貧困削減戦略ペーパーというものをつくるかどうか、この四つで判断されるわけで、最終的に何カ国が対象になるかはわからないというのがまず一つございます。  それから、今の委員の御質問につきましては、日本の債務救済の方式は、これは各国、G7あるいはほかの債権国、それぞれの方法がございますけれども、日本の場合は、一たん先方に返済の段階まで持ってきてもらいまして、その上で債務救済無償というものを行う、こういう形をとっております。これは国際的に認められた方式であるというふうに理解をしております。
  67. 横光克彦

    ○横光委員 ケルン・サミットで同じような債権放棄を発表した各国、日本以外の国で同じような方法でこのやり方をとっている国がありますか。
  68. 飯村豊

    飯村政府参考人 若干やり方は異なりますけれども、フランスの場合は比較的同様のアプローチをとっているというふうに理解しております。
  69. 横光克彦

    ○横光委員 これは、見方によっては、本当の放棄になっているのかどうか、救済になっているのかどうか、非常にわからないやり方じゃないかと私は思うのですね、この債務救済無償援助スキームというような日本のとっているやり方。これは四十年間かけてやるわけですね。しかも、今お話ございましたように、一回返してもらって、しかも今度はそれと同額のものを無償で提供する、それは金額ではなくて、今度は商品である。商品を援助するわけですが、商品の中身は何を援助しているかさっぱりわからない。何かこの日本のやり方というのは、ほかの国から見るとすっきりしないのですね。やはり、本当にそういった取り消しとかいうものをやるのならば、相手国にとってそれだけプラスにならなければ意味がないという気がするわけなんですね。  そういった意味で、この方法をやはりもう少し確固たるものにする、あるいはケルン・サミットでシュレーダー首相がイニシアチブをとったように、日本が今度の沖縄サミットでは、何とかして、これからどなたが首相になられるかまだわかりませんが、やはり総理が沖縄サミットのイニシアチブをとっていただきたい。いわゆる特別立法という手でもできるわけですし、いろいろな形はあると思うのですね。とにもかくにも、ケルン・サミットで合意したことを確実に実施するということを沖縄サミットで世界に向けて宣言するということをしなければ、ケルン・サミットでも、いわゆるNGO関係者が五万人も来て、何か人間の鎖ということで、貧困国を救えといって世界各国から集まったというのですね。これを日本が宣言しないということになれば、沖縄に世界各国からそういった思いを持った人たちが集まって抗議活動をするのではないか。そういった意味では、そういうことさえできなかったら、日本は世界的に大変恥をかいてしまうのではないか。沖縄サミットは、世界各国から大変注目される一週間ですから、このときにそういった問題が出てきた場合には、日本の国の非常に大きな損失につながると私は思うのですね。これはもう私は、官僚の方とかそういった問題じゃなくて、あくまでも高度な政治判断だと思っております。  これに対して、大蔵大臣、総理に進言するとかそういった意思表示も必要であろうと思いますし、二国間のODAの債務を二〇〇〇年中には放棄すると宣言するというようなことについてはどのようにお考えか、お聞かせください。
  70. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 今一番大事な部分は後でお答えを申し上げますけれども、この債務免除というものに関係します一つの問題は、先ほどあちこちの国の例をお挙げになられましたが、債務を免除する、それは免除をするということはそれ自身で意味のあることであるのですが、免除を受けた国が、果たしてそういう債務を免除されたということを、我々が見てその国の問題であるいろいろな問題の解決のために使っていくかどうかということについて、国の名前は申し上げませんけれども、政治のあり方というものがなかなかそういうふうにいっていない国というのが少なからずある。  したがって、免除を受ける対象の国、先ほど外務省の説明員が言われましたが、IMFなり世銀のプログラムを受け入れるかとか、あるいは、人道的なことについてどうかすると、一種の約束をしてもらって債務免除をするということをせざるを得ないような国が、残念ながらあるわけですね。そういうことが問題を非常に複雑にしておる一つだということを申し上げておきたいわけでございます。  それから、その次の、後の方の問題は、私自身が何年間か実は疑問に思っている問題でございます、きょうに始まったことではないので。  すぐに同じ金を差し上げるのですから、一遍返してくださいといったようなことは差し支えないようであって、やはり返すためには一遍どこかで金をつくらなきゃならないというのが理屈でございましょうから、それはなかなか難しいんだなということが恐らく私は現実にあるんだと思うのですね。  それでも、しかし、こういう方法をずっととってまいりましたのは、一つは、多くの国がいろいろ植民地の関係もあったりしますものですから、貸すつもりなら、やっちゃうんですね。援助に、ギフトにしてしまうという国が多いので、貸すというのがちょっと、日本あたりが一番金額の多い方の国で、植民地関係がございませんでしたから。それでも、よくやってきたと思う。ギフトにしてしまうという政策と貸すという政策の違いがやはり国によって伝統的にあったと思います。  しかし、おっしゃるように、そこまで免除するんなら、きれいにやったらどうかねという議論は、私自身が長いこといろいろ思ってきていることでもあるのですが、やはり国の法律がありまして、国としての債権を免除することは、基本的にはいろいろな手続が要る。免除をした場合には次にはもう貸せない、そういう条項がついております。  それは、今のこととの関連で言うとすぐに議論が出るわけですが、伝統的には、免除をすることになれば、それはすぐ次に貸すというわけにはいかないな、納税者のお金でございますから。そういう伝統的な日本の考え方が現に法律になってございます。ございますから、その法律をここで変えてまでやるかということに恐らくなっていくんだろうと思いますが、なかなかそこまでの全体のコンセンサスができていかない。  同じものを向こうにすぐ出すんだから実質的には同じことではないかという議論が政府部内にずっとございまして、今日に至るまでこれについての最終的な結論は出ておりませんで、現に、私自身が総理として主要国のサミットでこういう議論をいたしますときに、日本は、やはり一遍戻してもらって、そして同じ額を差し上げるんだという説明をするのは、まことにどうも余りきっぷのよくない話なんですけれども、それが現実にきょうまでの我が国のこの問題についての立場であるわけです。
  71. 横光克彦

    ○横光委員 確かにいろいろな問題があるということは承知しております。  しかし、実際、そういうことを実施している国があるわけです。ケルン・サミットで日本だけが違った方法、フランスがちょっと似たような方法だと言いますが、あとはほとんど一切免除しておるのです。そういうことをやっている国があるだけに、日本が余計そういうことに対して関心が薄いじゃないかという意識が持たれるということで、私は心配しておるわけです。  やはりいろいろな方法があると思うのですね、返済の仕方も。ただ、援助であるならば、本当に援助になるのか、それがむしろ重荷になっているという現状を打開するために、まず日本が沖縄サミットで私は発表していってこそ沖縄サミットの価値も上がるんじゃないかという気がしておるだけに、こういった質問をしたわけでございます。  外務省、どうもありがとうございました。  それでは、この法案について質問させていただきます。  預金保険法についてちょっとこの前質問をしたのですが、もうちょっと質問させていただきたいと思うのです。  これは、当座預金、そしてまた普通預金、流動性預金、この流動性預金については、ペイオフ解禁後、いわゆる平成十四年の四月以降解禁後もさらに一年間全額保護となるわけでございますが、今度一年間ペイオフ解禁を延ばした理由が、これから実施が始まります信組、信金に対する検査を一年かけて実施するんだとか、あるいは、その翌年から資本注入などの手法を用いて信組、信金などのいわゆる協同組織金融機関経営基盤を強化するんだとか、そういうことにつながって、それがその整理や再編などを進めていくためであると、その一年延期することの理由をおっしゃられました。であるならば、国際公約とも言えるこの解禁を一年間延ばすわけですから、この間に、基本的に金融システムの安定はぜひともなし遂げてもらわなければならないわけでございます。  そういう一年間延ばすのに、なぜ流動性預金についてさらに一年間延ばすのか。さらに、全額保護するわけですね。ここのところがちょっとよくわからないのですが、これはどういう理由でこうなったのでしょうか。
  72. 大野功統

    大野(功)政務次官 流動性預金の保護につきましては、金融審議会でもいろいろな議論が交わされました。  一方において、企業や個人の決済への問題が生じないように、流動性預金は全額保護すべきである。つまり、本来預金保険機構というのは少額預金者の保護でございますが、やはり金融機能の中には、決済機能それから借り手保護、こういう問題が出てまいります。その中の決済機能というところで見れば、やはり全額保護すべきではないか、こういう議論がありました。  一方、そういうことをやりますと、やたらに流動性預金にシフトしていく、金利をどうするんだ、あるいは流動性預金の定義はどうなるんだ、こういう問題が出てまいりまして、モラルハザードの問題になってまいります。  そういうことで、決済の問題は、可能な限り、破綻処理の迅速化、それから民間決済の方法が開発されてくる、こういうことで処理すべきではないか、こういう議論が金融審議会であったわけでございます。  最終的には、やはり迅速な破綻処理が確実なものになる、破綻処理が確実になれば、決済機能はそう必要はなくなるわけでありますから、破綻処理が迅速になる。それから、その間に民間の決済サービスが発展してくる、こういうことがあればいいのですが、それまでの間、企業や個人の決済が滞ることになれば、やはり経済全体や金融システムに重大な影響を及ぼす。こういうことから、流動性預金について特別な措置をとっていこう、そして二年間ぐらいが適当である、こういう意見が金融審議会から出てまいりました。  こういう金融審議会の議論、あるいは昨年末の与党における合意を踏まえまして、さらに一年間、つまり平成十四年度に一年間に限って延長する、こういうことにしたわけでございます。したがいまして、その間にやはり破綻処理を迅速にやれるような体制をつくっていかなきゃいけない。預金者のデータを整備していくということもやらなきゃいけないし、民間で決済サービスをきちっとやってもらう、そういうような方法を考えてもらうということがベストの解決であることは間違いありません。  したがいまして、十五年の四月には、そういう預金者データベースがきちっとして、何らかの民間の決済サービスができ上がっていく、そうすれば、決済の問題、あるいは借り手保護の問題、こういう問題は解決をしていく、そのゆとりの一年間、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
  73. 横光克彦

    ○横光委員 今詳しく説明がございました。流動性預金の全額保護を一年間延ばすということは、いわゆる企業の定期性預金がその間に流動性預金にシフトするということも当然考えられると思うのですね、今お話ございましたように。こういった場合の金利対策というのはどういうようにお考えなんでしょうか。
  74. 大野功統

    大野(功)政務次官 シフトという問題、当然考えていかなきゃいけません。銀行預金全体で申し上げまして、流動性預金が約二〇%、それから約三分の二が定期性預金でございますから、これがシフトしていくとなると大変なことになってしまうわけでございます。  そこで、金利の問題とそれから保険料の問題、両方から考えていかなきゃいけないと思いますが、まず金利の方は、臨時金利調整法によりまして、ある上限を決めていく、流動性預金の上限を決めます。したがいまして、定期性預金とは区別をしていく。金利が大変低い時代でございますから、この定期性預金と流動性預金の金利差がどの程度のインセンティブになるのか、これは別といたしまして、まず金利差を設けますから、そうシフトしないというふうにお考えいただければと思います。  それから、保険料の方でございますが、当然、流動性預金につきましては保険料に差を設ける。今御存じのとおり、保険料は一律〇・〇八四%でございますが、流動性預金に限って差を設けよう、こういう方向で検討いたしております。したがいまして、銀行金融機関の方も、流動性預金がふえればそれだけ保険料がふえますから、そういう意味でモラルハザードは減ってくる、こういうことではないでしょうか。
  75. 横光克彦

    ○横光委員 こういったシフトが仮に起きた場合、金融機関にとって資金繰りと計画性が非常に難しくなるという心配もあるわけでございます。  次に、信組などに対する検査、資本増強を通じた再編をこれから開始されるわけでございますが、大手十五行に資本注入をした後、地銀、第二地銀についてのリストラ、再編状況、これは今どうなっているのか。最初の金融再生委員長の柳沢大臣のときには、こういった問題には非常に積極的に取り組まれていたなという気が私はするのです。それが、越智前大臣になったときには、そういった意欲が相当薄くなったのじゃないかという気がした。さらに、今度、一年間ペイオフが延期ということで、どうしても再編ムードが後退したというようなことが起こりかねないのですね。この地銀、第二地銀に対する検査状況をまずお知らせください。
  76. 五味廣文

    五味政府参考人 地方銀行、第二地方銀行に対します検査でございますが、金融監督庁が発足をいたしました平成十検査事務年度、これは平成十年の七月から昨年の六月までの一年間でございますが、この間に、金融再生トータルプラン第二次取りまとめ、これを踏まえまして、緊急的対応として、地銀、第二地銀のみならず主要行につきましても、緊急的に自己査定とそれに基づく償却、引き当て体制の適切性について実態把握をするということで集中検査を実施いたしました。これは、私ども金融監督庁と財務局、それから日本銀行、これが連携をいたしまして実施をしました。その結果、地方銀行と第二地方銀行全行につきまして検査が一巡をしております。  また、今検査事務年度、昨年の七月からでございますけれども、この事務年度におきましては、当初は、こうした銀行の集中検査一巡を受けまして、生命保険会社あるいは信用金庫に対する集中的な取り組みをしておりましたけれども、金融検査マニュアルができましたので、昨年の九月期決算が出そろうのを待ちまして、ことしの一月からまた銀行に対する検査を再開いたしました。これまでに、地方銀行八行、それから第二地方銀行七行につきまして二巡目の検査を行っておる、こういう状況でございます。
  77. 横光克彦

    ○横光委員 地銀、第二地銀に対する資本増強、これがこれまで六行である。北海道、足利、北陸、琉球、広島総合、熊本ファミリー、六行にすぎないという言い方もできると思うのですが、今後の資本増強及び再編の見通し、いわゆる柳沢前大臣のように迫っていくのか、強く取り組んでいかれるのか、そのあたりをちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  78. 村井仁

    村井政務次官 ただいま検査部長から検査の状況はお話ししたところでございますが、地域銀行を取り巻く経営環境、これはペイオフ解禁の延期いかんにかかわらず、金融サービスをめぐる大変広範な競争が進んでいるというような状況で、率直に申しまして、引き続き厳しい環境にある、こう言わざるを得ないと私ども認識しております。  そういう中で、地域銀行が地域に密着した銀行として、地域経済の発展のための中核的な役割を果たす、これは非常に大事な問題でございますので、そのためには不良債権の処理、これをともかく急ぐばかりではなくて、将来を見据えた明確な経営戦略を立てましてやっていってもらわなきゃいかぬ、こんなふうに思っております。  そういう意味で、リスクの分散でございますとか、あるいは資金調達基盤の拡大というようなものが非常に重要でございますし、それから、顧客によりよい金融サービスを提供するというようなことをやりますためには、システム投資、これが非常に金がかかる。それから、商品開発、これもなかなか大変である。そういう意味で、多額の固定費がかかるというのが一つの現実でございます。  そういう意味では、地域銀行が再編を図るということは、こういった費用を効率的に使っていくという意味からも、私どもは非常に意味のあることだと思っておりまして、私どもとしましては、その再編につきまして、これを大いに歓迎する、積極的にまた進めていかなければいけない、こんなふうに思っております。  それから、資本につきましても、これはそれぞれの金融機関経営戦略によるものでございますけれども、それぞれに十分なものにしていってもらわなければいかぬ、さような意味で、早期健全化法に基づく資本増強制度も視野に入れつつ、その資本政策につきまして真剣な取り組みを行っていただいている、このように思っております。  いずれにしましても、私ども、実はペイオフ解禁の延期ということに際しまして、あえて当時の金融再生委員長から、それぞれの業態に対しまして、こういう延期というようなことで油断することなく、それはなかったつもりでしっかり気を引き締めてやってくれということを申し入れたわけでございます。また、検査あるいは監督権限の活用を通じまして、いずれにしましても、地域を支える強固な金融システムが構築できるように努めてまいりたい、そういう決意でございます。
  79. 横光克彦

    ○横光委員 今お話しのように、本当に私は、この一年間ペイオフ解禁の延期がなかったものだと思って取り組んでほしいということは、非常に金融機関にとっては大事だと思うのですね。やはりどうしても、一年間の延長ということは、ある意味ではそういったシステムの安定に向けてはちょっと弱くなる嫌いもあるわけで、ぜひよろしくお願いしたいと思います。  今改正案には、破綻処理の迅速化を図る措置が設けられております。金融機関破綻を早急に処理できれば、それだけ預金者保護に資するわけでございます。アメリカでは、金月処理、いわゆる金曜日に破綻した金融機関の営業を翌月曜日には別の金融機関が引き継ぐ。金曜日に店のシャッターをおろして、土日に新たな受け皿をつくって、そして月曜日にはまた新しい金融機関としてシャッターをあけるということがアメリカでは、これはまあ非常に理想的な破綻処理の仕方でございますが、こういったことがあるわけですね。  これは、金融監督庁や金融再生委員会は非常に容易でないというお考えをお持ちであったというふうに私は記憶しておりますが、この金月処理、これを実施するにはどの点に問題があるのか、どの点が難しいのか、そして、その難しさは果たして我が国においては克服できるのかどうか、そこのところをちょっとお聞かせいただければと思います。
  80. 森昭治

    森政府参考人 お答えを申し上げます。  ただいま横光先生のおっしゃった点は、まさにポイントであろうかと思います。金月処理、これが理想の形でございまして、今回の預金保険法の一部改正におきましても、そのための万全の措置を盛り込んでいるところでございます。  すなわち、迅速化のためには、一つは、事前準備を十分にしておくことが重要でございます。もう一つは、破綻から受け皿金融機関への営業譲渡を迅速に行うことが重要でございます。この二点について申し上げます。  まず、事前準備につきましては、まず名寄せにつきまして、金融機関に必要な預金者データの整備及びそのデータを預金保険機構にスムーズに引き継ぐためのシステム対応を義務づけているという点が一つの大きな特徴でございます。もう一つは、資産内容の把握につきましては、破綻処理に必要な情報を、資料徴求ばかりではなくて、立入検査によっても監督当局等が破綻前に入手することが可能にしております。三番目に、受け皿探しの点でございますけれども、これにつきましても、破綻金融機関となる蓋然性の高いと認められる金融機関があったときには、その業務または財産の状況に関する資料を他の金融機関等に交付いたしまして、破綻金融機関の合併等にかかわるあっせんに必要な準備行為を行うことができるようにしております。このように、制度的にはできる限りの事前準備の充実に配慮を図っているところでございます。  さらに、営業譲渡の迅速化につきましては、資金援助が可能になる場合を拡大するために、営業の一部のみの譲渡の場合であっても資金援助を可能にしている点が一つの大きな特徴でございます。さらに、金融整理管財人制度を恒久化いたしまして、それにあわせて営業譲渡にかかわる株主総会の特別決議にかわる裁判所のいわゆる代替許可、この制度の手続の迅速化のための規定を整備しております。さらに、受け皿金融機関があらわれやすい環境づくりのため、ロスシェアリングや受け皿金融機関に対する資本増強等の制度も導入しております。さらに、受け皿金融機関が直ちにあらわれない場合の対応策としては、ブリッジバンク制度を恒久化しているところでございます。  いずれにいたしましても、これらの新たな制度を十分活用いたしまして、できる限り迅速な処理というものに努めていきたいと考えております。
  81. 横光克彦

    ○横光委員 今御説明がございましたように、いろいろ難しい問題がいっぱいあるという状況でございます。しかし、迅速な破綻処理の理想型でございますので、少しでも、一歩でもこういった形に近づけていくということが大事ではなかろうかと思っております。  今回の改正に伴って、いわゆる公金預金が恒久的に付保対象に加えられる見通しだと思うのですが、これはなかなか私は難しい問題ではないかと思うのですね。改正法案のもととなった金融審議会の答申においては、企業との均衡を勘案すれば預金保険の扱いに差を設ける必要はないという見解は示されておりますが、しかし、そもそも私は、地方公共団体と企業との均衡を考慮する必要があるのだろうかという気がするわけですね。  公金預金の現状としては、全国三千二百三十二市町村のうち二千八百余りの市町村が指定金融機関を設けておると聞いております。また、平成十一年三月末における公金預金の全預金に占める割合は、国内銀行全体で約三・八%、地銀だけで見ると約六・五%ということですが、たかが六・五%という思いをお持ちかもしれませんけれども、地銀の経営には六・五%の及ぼす影響というのは非常に私は大きいと思うのですね。  地銀協会によると、同じく平成十一年三月末の数字で試算した場合、公金預金が付保対象となった場合の保険料負担、これが地銀全体で新たに八十八億円増加する。業務純益に対する保険料の比率が八・二六から八・八四にまで上がる、こういうデータを出されておるのですね。これでは、地銀の経営をむしろ圧迫することになるのではないか。  やはり審議会の答申でも、これまで公金預金は付保対象でなかったわけですが、その理由として、一千万円まで保護しても実質的な意味は乏しい、金融審はこういう思いでこれまでは付保対象にしていなかったのですね。それぐらいはっきりこれまでは述べられておったのに、今回、地銀の経営を圧迫してまであえて公金預金を保護することとする本当の理由は何なのか、御説明いただきたいと思います。
  82. 大野功統

    大野(功)政務次官 まず、公金をなぜ保護するのかという問題でございますけれども、預金保険機構というのは、まず第一には、少額預金者の保護でございます。個人の保護。しかし、個人を保護するというと、横並びで企業を考えますと、企業も一千万円ならいいではないか、同じではないか、こういう個人と企業の横並びが出てきて、そして今度は、しからば企業と公共団体、並べて見ると同じことではないかということが金融審議会の答申の一部に入っているわけでございます。しからば、地方銀行協会からどういうふうな意見が出てきているか、これも参考にしなきゃいけないと思います。  地方銀行協会からは、金融審議会に対しまして、公金預金を仮に保護するとしても、新たに専用の保証スキーム、例えば保険料を国または地方公共団体が負担する、このような新しいスキームをつくるなど、預金保険制度とは別の制度的工夫によることも考えるべきじゃないか、こういうような意見が出てきております。これは一つの発想法で、新しいスキームがそういう方向でできるとすれば、大歓迎すべきものだと私は思います。  それともう一つ、個人的意見でございますが、地方公共団体も、銀行だけじゃなくて、例えば公金を国債で保管するとかいうことも考えていいんじゃないか、新しい時代の新しい方法をそれぞれ考えていくべきではないか、このように思う次第でございます。  さらに、もう一つの問題点である地銀の経営を圧迫するのではないか、こういう問題でございますが、非常に難しい問題で、先生も御指摘でございますが、確かに、地方銀行は支払い保険料上昇率で見ますと一番大きい。平均で四・八%の上昇率ですのに、地方銀行はたくさん、先ほど六・五%とおっしゃいましたか、ということで、大変大きな上昇率、七・二%になっております。  しかしながら、今度は保険料の負担率で見てみますと、もし仮に公金についても保険料を払うと仮定しまして、負担率で見てみますと、これは十一年三月末の資料をもとに計算しているものでございますが、平均が六・七六%になります。都市銀行の負担率が五・四五%であるのに対しまして、地方銀行は確かに八・七七%、これが八・二一%から八・七七%に上がるわけでございます。しかしながら、第二地銀の数字を見てみますと、九・〇三%から九・三八%というふうになっておりまして、第二地銀の方が保険料の負担率は高くなっている、こういうこともございます。  このような数字から、負担についてどういうふうに考えるか、これは御判断にお任せしたいと思いますけれども、やはり企業の合理化等によってこの辺は乗り切っていく問題なのかなというふうに考えております。
  83. 横光克彦

    ○横光委員 金融システムのいろいろな不安、とりわけ地方銀行に対して非常に厳しい状況であるだけに、こういった心配の質問をしたわけでございます。  時間がちょっとなくなってまいりまして、保険業法のことでちょっと一問質問させていただきます。  今回の生命保険契約者保護機構、この財源として、保護機構の借り入れにかかわる政府保証の恒久化及び平成十五年三月末までの国庫補助を可能とするわけでございますが、この財源措置の検討に当たっては、大蔵省と生保業界との間でかなり意識の相違があったということを聞いております。  特に業界側は追加負担に相当な難色を示したと聞いておりますが、これはやはり業界の理解を得ないことにはこの機構もスムーズにいかないということを心配いたしますので、そのあたりの理解がどこまで得られている状況か、お聞きしたいのです。  この破綻処理の財源として、生命保険会社が拠出し、積み立てる負担金、これで意見の差があると聞いております。破綻処理により財源が減った場合の追加負担は必要ない、それをやられるといわゆる青天井になるんじゃないか、そういう業界の主張をされたそうですが、それは事実でしょうか。
  84. 福田誠

    福田政府参考人 若干、経過も含めて御説明いたします。  生命保険のセーフティーネットでございます保険契約者保護機構の運営費用につきましては、基本的には会員である生命保険会社の負担金により賄うという考え方でございます。  したがいまして、法令上で申し上げますと、負担金については、「資金援助等業務に要する費用の予想額に照らし十分な額として定款で定めるところにより算出した額」まで積み立てるという業法上の規定がございまして、具体的には、今、定款におきまして、年間四百六十億円、総額で四千六百億円というふうになっているわけでございます。  今回、現行の負担金以上の拠出につきまして、取り巻く経営環境が厳しいということから、業界からこれを超える負担は難しいという主張があったことは事実でございます。  他方、今申し上げましたように、法令上は、会員である生命保険各社に対しまして、「資金援助等業務に要する費用の予想額に照らし十分な額」まで負担金の納付をしなければならないという義務が課されておりますので、やはり法令上、総額、現行四千六百億円の拠出でもってその負担金の拠出義務がなくなるという性格ではございません。  したがいまして、今回、どれぐらいの追加負担を求めるかという話になったわけでございますが、今回、千億円の負担増を求めているわけでございますが、現時点におきまして、生命保険業界の業務純益に対する負担金の水準を見ますと、銀行業界のそれとほぼ同水準になる額が大体一千億円であるということでございます。  なお、この財源対策につきましては、本来、昨年末、保護機構自身から当局に要請が出てまいったわけでございまして、この一千億円につきましては、最終的には保護機構の総会におきまして会員の意思で決定されたというプロセスでございます。
  85. 金子一義

    金子委員長 時間が参っておりますので、簡潔にお願いします。
  86. 横光克彦

    ○横光委員 はい。時間が参りましたので、終わります。
  87. 金子一義

    金子委員長 宮澤大蔵大臣から一言発言があるようでありますので。  宮澤大蔵大臣
  88. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 大変恐縮でございますが。  先ほど横光委員に申し上げました、少し正確を欠いておりますので、訂正させていただきます。  国の債権の免除の件でございますが、財政法第八条におきまして、国の債権の全部または一部を免除するには、法律に基づくことを要するとなっておりますので、法律の定めがない限り国の債権について元本の削減をすることはできないということを申し上げました。  ところで、ODAの話でございますが、例えば国際協力銀行の有するODA債権は財政法八条に言う国の債権であるか、あるいは国際協力銀行は政府関係金融機関として独立の法人格を持っておる以上、それはそういう法人の債権であって国の債権ではないという、法律的にはそういう議論がございます。  したがって、必ずしも、この第八条に定めるところによりと申し上げることができるかどうかについて疑義があるかと存じます。あたかもそうであるように申し上げましたが、それは、実ははっきり確定した解釈ではございません。将来またこの問題は出ることがあると存じましたので、お許しを得まして、訂正をさせていただきます。
  89. 横光克彦

    ○横光委員 どうもありがとうございました。
  90. 金子一義

    金子委員長 次に、佐々木憲昭君。
  91. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。  信金、信組の問題に入る前に、公的資金を注入された十五行の中小企業向け貸し出し問題についてお聞きをしたいと思います。  計画が実勢ベースで大幅に超過達成されたという数字が報告をされました。そこで、資料をぜひ見ていただきたいのですけれども、昨年の九月末の時点では達成までにほど遠い状況でありました。そればかりか、三月の実績よりも下回った銀行が六行ありました。資料によりますと、日本興業銀行、富士銀行、大和銀行、東海銀行、三井信託、三菱信託、この六行でございます。  ところが、ことしの三月末にはそれがすべて超過達成をされているわけであります。合計をいたしますと、十五行で、全体として一六二%から一七七%の達成率。どうしてこのようなことが可能なのか。どう考えても腑に落ちないところがございます。  実勢ベースというのは、不良債権を処理した数字が含まれているということでございます。しかし、不良債権を大量に処理したとしても、現実に貸し出しを相当ふやさなければ、実勢ベースで残高はふえないわけであります。  実際に貸し出しを大幅にふやしたかどうか、これは確認できますか。     〔委員長退席、根本委員長代理着席〕
  92. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 私どもが把握している数字は、先般、全銀協の会長が当委員会参考人としてお出になって、見込み値といいますか暫定値を発表されたと思いますが、現在のところはその数字を把握しているのみでございまして、その数字の精査をしていくというような作業はこれからでございます。
  93. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 どうも貸し出しが急増したという実感がないわけでありまして、中小企業の六割が赤字だという状況は変わりません。黒字企業が急増したという事実もございません。景気がよくなって資金需要が何倍もふえたという状況もありません。  実際に、四月四日の参考人質疑の際に、全銀協の杉田参考人はこう答えております。「もちろん、実感といたしまして、全体的に資金需要が大いに盛り上がってきているというようなことまでは行っていないかと思います」、こう答えておられるわけですね。  大体、借り手の中小企業、中小業者に直接話をお聞きしましても、貸し渋りが著しく改善したという話は一切ございません。それなのにこれほど貸し出しの残高が急増しているというのは、何か理由があるはずであります。  年度末にどんなやり方でふやしたのか。これを具体的にわかるように説明していただきたい。
  94. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 先ほどと同じ御答弁になりますけれども、先般、見込み値といいますか暫定値として発表されたものにつきまして、今後、決算作業を経て確定する計数につきましては、それぞれの銀行で取りまとめられ次第、早期健全化法の第五条四項でございますが、これに基づいて、確定計数とあわせて、これまでの中小企業向け貸し出しの取り組み状況などを記載した履行状況の報告を速やかに求めていく、それでこれを公表するということにしております。その際、各行から下半期の中小企業向け貸し出しの増加要因等について説明がなされるものというふうに承知しております。  ですから、そういうことでこれから報告内容を精査していきたい、こう思っております。
  95. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 やはり大事なのは、実態を正確に把握するということだと思います。説明を聞いて、説明がありました、その説明はこうですよというだけでは、それは銀行が言っていることをただ繰り返しているだけの話でございます。実態がどうなのか、どのようなことがやられているのか、ここを正確に把握するということが非常に大事だと思います。  私は、公的資金を受けました銀行関係者に伺いました。そうしますと、ことしの二月から三月にかけましてとんでもないやり方をして水増しをしている、こういう事実を私は把握いたしました。  どういうやり方をしているかといいますと、一つは、銀行が、銀行の子会社はたくさんありますね、自分の子会社、関連会社に対して何十億円という単位で貸し出す。駆け込み的に二月三月に子会社に対して貸し出す。その子会社中小企業扱いになるわけです。ですから、ノンバンクなどの自分の子会社に貸せば貸すほど中小企業向け実績が上がっていく、計画の達成に効果がある、こういうことになる。これが一つであります。  二つ目に、関係の深い優良な中小企業、まあ優良な貸出先ですね、この中小企業に対して、何も必要がないのに一時的に期末残高を積み増しするというやり方をしている。本店や支店で積み増しを頼み込む中小企業のリストをつくりまして、そして個々に頼み込んで短期的に融資の積み増しを行うという方法をとっている。これは上田議員も一部紹介されました。そういう方法をやっている。  それだけじゃないのです。  三つ目に、大手の企業、大企業に貸し付ける前に、その大企業の子会社に対して一時的に貸している形にして、そして一定期間後、親会社に振りかえる。  私が聞いただけでも、これだけの手口がとられている。  四月四日の参考人質疑の際に、全銀協会長の杉田参考人は、各行が「知恵を絞りまして、工夫を凝らして取り組んでいる」というふうに答えているのですね。知恵を絞り工夫を凝らすというのはこんなやり方を言うのか。しかも、部分的に行われているんじゃないのですよ。かなり大規模に行われているという事実がございます。  これが事実とすると極めて重大であります。再生委員会、監督庁は、こういうやり方を具体的に調査をして把握すべきだと思います。そういう意思はありますか。     〔根本委員長代理退席、委員長着席〕
  96. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 先ほどから御答弁申し上げておりますが、今後報告を求めまして数字を精査していく、それから、どうして貸出量がふえたかというようなことも聞き取りをしていくわけでございますけれども、その際、今委員が御指摘になったような点も念頭に置きまして作業を進めたい、こう思っております。
  97. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 やり方で私が非常に問題だと思っておりますのは、三月三十日とか三月三十一日にそれを実行しているということなんですよ。いわば駆け込み的に残高を膨らませる。かなりの部分がこういう方法で積み増しが行われているということであります。  しかも、貸出期間が極めて短い。例えば、三月三十一日に貸し出した形にする。それを返してもらうのが四日後、あるいは四月七日、一週間後。こういうふうにして短期的に回収する。つまり、名目的に期末残高をふやす、そういう手口であります。  短期でもこれは利子が必要でありますから、相手の負担になるじゃないか。そのことについても、利子負担が軽減されるように、例えば金利の低い普通預金に入れておくというような手口を使っている。  私は、こういうやり方は絶対に許せないと思いますよ。つじつま合わせで、ともかく数字だけ超過達成したらそれでいい、これでごまかせると思っているところに重大な問題がある。直接確かめれば、このことは直ちに判明することであります。  ある銀行の役員は、ことしの初めに、中小企業向けの貸出計画の達成は難しい、こういうふうに発言をしておりました。ところが、実際には超過達成をしております。また、ほかの銀行は、二月時点でも計画は達成していない、こう言っておりました。ところが、三月末には超過達成であります。ある銀行の頭取は、ことしは選挙の年だ、中小企業向け貸し出しは必ず達成する目標だと。選挙があるからと、まさに政治的な思惑で形だけ計画を達成したかのように見せかけている。  これは、銀行が説明をしたことをただまとめてそれを報告すればいいという問題ではございません。具体的に出した数字、銀行の説明、それだけではなくて、その裏で何が実際に行われているかということの実態調査が必要であります。その実態を正確に調査をしなければ、本当に中小企業に資金が回っているかどうかはわからない。超過達成は表向きだけで、実際には貸し渋りは進んでいる、そういうことだってあるわけであります。  ですから、これは説明を聞いて報告しますということではなくて、積極的に実態を調査して、その実態、事実関係をぜひ報告していただきたい。いかがですか。
  98. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 今いろいろ佐々木委員の御見解を承りました。  ただ、先般公表された中小企業向け貸し出しの計数というのは、国会での御議論も踏まえまして、全銀協として、あえて三月期の計数を見込み値といいますか、そういうもので報告したものと承知しておりますので、これの精査は、先ほどから申しておりますように、これからでございます。  我々も、これが今の委員の御表現、三月三十一日の直前に貸して、終わった後すぐ取り立てるものなのかどうか、瞬間風速を高めたというようなことなのかどうか、そこらもよく精査をしなければいけないなと思っておりますが、いずれにいたしましても、今まだ見込み値で出てきておりまして、私どもも確信を持ってお答えするだけの材料がございませんので、これから作業したい、こう思っております。
  99. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 私は、そういう形で具体的に実態をぜひ調査して報告していただきたいと思います。  しかし、私は、直接銀行の頭取にどんなやり方をしたかということをどうしても聞きたいと思うのですよ。監督庁の調査の報告ももちろん私は求めたいと思いますが、同時に、例えば先ほど申し上げました、昨年九月ではマイナスだった、それが大幅に超過達成しているこの六行、日本興業、富士、大和、東海、三井信託、三菱信託、この頭取を当委員会参考人として招致して、直接私は説明を求めたいと思います。具体的な事実を確かめたい。  委員長にお願いをいたしますけれども、この点を理事会で検討していただきたい。
  100. 金子一義

    金子委員長 改めてちょっと銀行の名前を言ってください。
  101. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 日本興業、富士、大和、東海、三井信託、三菱信託です。
  102. 金子一義

    金子委員長 十五行、頭取を呼ぶという協議事項になっておりますので、理事会で引き続き継続事項とさせていただきたいと思います。
  103. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 はい。  では次に、信金、信組の問題についてお聞きをしたいと思います。  これらの協同組織金融機関というのは、会員、組合員の相互扶助の精神で、いわば銀行がなかなか相手にしてくれない、そういう対象をカバーするというのが目的だと思います。そういう地域密着の金融機関だと思います。いわば地域の多数者から預金を集めまして、地域の中小企業に貸し出し、そして地域の支持のもとで活動するという金融機関でありますが、実際にはこれらの金融機関が目の前からどんどん消えていくという事態が進行しております。  例えば、信用金庫について言いますと、この十年間に合併、再編などで六十以上の信金が消滅をいたしました。昨年は五行の合併、十一月末には大阪の不動信金の事業譲渡、ことし三月には岡山県で三つの金庫、東京で五つの金庫が合併をいたしました。大蔵省の資料によりますと、三月末には信金の数は三百八十六金庫となっております。  それから、信用組合について言いますと、この十年で百以上の組合がなくなっております。三百以上の店舗が消滅しております。四百以上あった信用組合は現在二百九十一にすぎません。今、信用組合のない県は、沖縄県、鳥取県、徳島県、これに奈良県が加わりまして全体で四県であります。静岡県、和歌山県、愛媛県の三県では、十年前には県内に五つから三つぐらいは信用組合がありました。しかし、それがどんどん消えていきまして、現在はたった一つであります。  そこでお聞きをいたしたいと思いますが、今後この預金保険法の改正案が通りますと、地域密着型のこのような協同組織型の金融機関の合併、再編というのが進むというふうに言われておりますけれども、地域経済にとって必要な金融機関整理統合されていく、あるいは支店がなくなっていく、店舗がなくなっていく、こういうことが出てくると、地域の中小企業にとって必要な資金供給を行う金融機関が消えていくということになりはしないか。中小企業に対する資金の流れが断ち切られるということにならないか。この点についてどう対応するつもりか、お聞かせをいただきたいと思います。
  104. 村井仁

    村井政務次官 協同組織金融機関、佐々木委員御指摘のとおり大変重要な役割を果たしているわけでございまして、そういう意味では、これが減ってきている、確かに一つの問題点だということは私も同感でございます。  ただ一方で、この減り方でございますが、協同組織金融機関を取り巻く環境が非常に変化しましたために、例えば合併、統合というような形で行われておるようなケースが非常に多いわけでございますね。その結果、こういう合併等によりまして、一般論でございますけれども、ある程度規模が大きくなる、シェアが拡大できるということによりまして、経営基盤あるいは競争力が強化できる。それから、本部機能の統合ですとか金融に非常に重要なシステム投資の軽減、こういったことがよい効果という意味ではあるわけでございます。それによりまして経営が効率化される。そしてその経営の効率化によりまして、貸出金利の引き下げも可能になる、あるいは収益力が向上する、自己資本が増大する。それによりまして貸し出し余力も拡大する。  そういうことで、あながちに貸し付けを受ける中小企業にとって不利なことばかりではない、かえってこれによりまして地域の中小企業がよりよい金融を受けることができる、そういう効果も私はあるのだろうと思っております。
  105. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 体力がつくという面もあると言われましたけれども、同時に、目の前にある金融機関あるいは支店、店舗がなくなるということになりますと、これは不便な形が広がるわけでありまして、その逆の面もきちっと見た形で、中小企業に必要な資金が提供されるような、サービスが向上するようなそういう方向をぜひ目指さなければならないと思います。そのためには、画一的な形で自己資本比率だけで見たり、あるいは債務者を赤字という外形だけで機械的に判断するとか、そういうことのないようにぜひしていただきたいと思うのです。  次に、雇用問題についてお聞きをしたいと思います。  合併、統合とおっしゃいましたが、その際には、その金融機関で働いておられる従業員の方の雇用問題というのが必ず出てくるわけであります。  そこで、合併、再編が雇用不安を広げるというようなことがあってはならないわけで、預金保険機構松田理事長にお聞きをしたいのですけれども、具体的に、破綻した国民銀行の場合、現在、もとの頭取、副頭取が特別背任に問われておりますけれども、破綻処理のために公的資金が投入される、これ自体、私は大変なことだと思っておりますが、八千代銀行経営の受け皿となっているようですけれども、お聞きをしたいのはこの雇用問題でありまして、どのように対処をされておられるのか、説明をしていただきたいと思います。
  106. 松田昇

    松田参考人 お答えをいたします。  国民銀行につきましては、当機構と松島、田知本、三人のものが金融整理管財人に選任されておりまして、十二年三月七日に八千代銀行との間で営業譲渡をするという契約を締結したところでございます。  その間、営業譲渡契約を結ぶに当たりまして、八千代銀行にもいろいろお願いもいたしまして、現在、国民銀行で約六百人の従業員がいるわけでございますけれども、そのうち、三百二十人を下回らない人数を再雇用するということで契約を結びまして、現在具体的な採用選考が進められているという段階でございます。  ただ、八千代銀行に再雇用されない従業員の方、職員の方もおられることでございますので、厳しい情勢下ではございますけれども、これらの職員の処遇につきましては、銀行内に雇用対策室を設置するなど、取引先とか株主とか、その他一般事業主を含めまして広く働きかけをいたしまして、再雇用の機会拡大に資するように配慮し努力をしているというところでございます。
  107. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 雇用対策室などをつくって努力をされているということでありますが、国民銀行の親会社だった国際興業に対しても具体的に働きかけをされているのでしょうか。
  108. 松田昇

    松田参考人 株主であります国際興業に対しましても、金融整理管財人みずからが出向きまして、いろいろお願いをいたしております。
  109. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 谷垣再生委員長にお聞きしますけれども、破綻処理などの際にやはり雇用不安を招かないようにするというのも大変重要な課題だと思います。この点について、どのようにお考えか。雇用不安を招かないような対応を今後ともやっていくということが私は大変大切だと思いますけれども、どのようにお考えでしょうか。
  110. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 ある意味で大変お答えしづらい御質問なんですが、全く法の建前でまいりますと、合併、事業譲渡などにより消滅する金融機関の職員の再雇用問題については、金融当局としては関与する法的な根拠というようなものはないわけなんでございますね。だから、その再雇用問題については、当事者間において協議が行われ、決定されるという仕組みになっている。  しかしながら、先ほど申しましたように、公的管理下にある金融機関においていろいろ議論が行われていますときに、先ほど預保の松田理事長の方からもお話がございましたように、金融整理管財人がつくってまいります、金融再生法十三条に基づいて当委員会に報告される調査報告書におきましては、営業譲渡等に当たっては従業員の雇用確保にも配慮するという基本方針が掲げられるのが普通でございます。  私どもとしては、こういう金融整理管財人の努力も見守っていきたい、こういう立場でございます。
  111. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 国民銀行だけではなくて、これからは幸福銀行ですとか、東京相和、なみはや銀行、新潟中央銀行など処理を控えているというのがございます。ですから、今後ともこのような方向で従業員の再雇用に万全の体制をとっていただきたいというふうに私は思います。  信組が、都道府県の管轄から監督庁の管轄に移りました。これらの地域密着型の金融機関についても、やはり同じように雇用安定に努めるということが必要だと思います。  昨年の十一月に破綻処理されました大阪の不動信金、この場合は九つの受け皿金融機関がありましたけれども、職員の引き受けを一切拒否したという事例もありました。百七十二名の労働者が全員解雇されるという極めて深刻な状況が起こったわけであります。こういう場合も、やはり最初から再雇用に努める、そういう姿勢で対応するということが必要だと私は思うのですね。そういう点で、初めの段階からそのような再雇用の方向を示していくということが大変重要だと思います。  そういう点で、これから信金、信組を初めとして、地域金融機関の合併、再編ということが言われております。その際に、私は、その合併、再編自体がどうかという問題ももちろんありますが、仮に破綻をした場合に、今後の雇用不安を起こさないようにきちっと対応していきたいということを、ぜひ最後に決意を、再確認という意味で大臣にお願いしたいと思います。
  112. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 通常、存続する金融機関が消滅金融機関の職員の再雇用について協議するに当たりましては、事業譲り受け後の業務運営の円滑な遂行ということも視野に入れた上で、今おっしゃった雇用の問題等も決定しているというふうに承知しているわけなんですが、当局として、合併等を認可するに際しましては、存続金融機関がその業務を的確、公正かつ効率的に遂行できるかどうかを審査しなければならないわけでありますけれども、この場合、必ずしも職員数をもってのみ効率的な業務が遂行できるかというふうに審査するものではないということを申し上げたいと思います。
  113. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 雇用問題は、その金融機関に働く労働者だけじゃなくて、地域の雇用不安につながるわけですから、その点はきちっと配慮の上対応していただきたいということを最後に申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
  114. 金子一義

    金子委員長 次に、西田猛君。
  115. 西田猛

    ○西田(猛)委員 西田猛でございます。  きょうは、宮澤大蔵大臣谷垣国務大臣、また大野政務次官、村井政務次官、その他内閣、行政府の皆様方、本当にお疲れさまでございます。また、委員の皆様方も、大変長きにわたってお疲れさまでございます。  大蔵委員会では、保守党はたしか初めての質疑かと思いますので、保守の心というものについて少しお話をさせていただければと思っております。  簡単なことでございまして、保守といいますと、非常に古めかしい、何やらこう固まっている、守り通すというふうな意味にとられがちですけれども、私たちの考えている保守の心というのはそういうものではございませんで、これは、ここにも大蔵大臣もそれから谷垣大臣もいらっしゃって、まことに恥ずかしい話でございますが、英語の保守という意味のコンサーバティブというのは非常にいい意味の英語の単語だそうでございます。  語源をたどれば、ラテン語の接頭辞コン、プラスサーブという、コン・プラス・サーブで、要するに、コンというのは、ともに、一緒にという意味でありまして、ともに、一緒にサーブすると。これは、お互いに助け合う、お互いに協力し合うという意味であるそうでございまして、すなわち共同体。共同体というものがみんなのよりどころなんだよということが本当の保守の心なんだそうでございます。したがって、そこの中では、温かみも家庭もそして教育もあるということでございます。  せんだっての森新内閣総理大臣に対する野田幹事長の代表質問の中でも、衆議院本会議で申し述べましたけれども、日本国憲法の中には、国民の義務の一つとして子女に教育を受けさせる義務はあっても、養育をする義務は書いていないということを明白に申しました。共同体であったればこそ、みずからがその共同体の子女を教育する義務があるのではないかというところからこの憲法を切り取ってみようではないかというふうな考え方でございまして、私たちは、何も古めかしい国家主義とかそういうものに立っているのではございません。目新しい共同体主義、それが人間の住む心。  そして、全地球に目を向けますれば、私何度か申し上げましたが、無理やりの国民、国家というふうな枠組みはなくなって、自分たちが親近感を感じられるような共同体が地球上には何万、何十万とできてきて、そして、経済活動、貿易活動が地球規模で行われる。それは当然、イントラネットが小さくあって、インターネットが世界じゅうにある、そういう形ではないかな。そうすれば、世界じゅうからいろいろな意味での紛争もなくなるでしょうし、経済はもっとフリーでフェアでオープンな、グローバルなものになるのではないかなというようなことを、夢のようなことですけれども考えておりますし、ぜひそのような形に私たちの日本経済も進んでいかなければいけないのではないかなというふうに思っている次第でございます。  そこで、私も議員にならせていただいてから三年半ほど、また次の免許書きかえの時期も迫っているようでございますが、長らく大蔵委員会でお世話になっておりました。その中では、一昨年の夏から秋にかけての金融特別国会もございまして、思い起こしますれば、平成四年ですか、東邦相互銀行破綻に始まるいろいろな金融危機が我が国を席巻して、私どもが議員になった平成八年以降でも、平成九年夏のアジアの通貨危機を発端として、非常に混乱をきわめたのでございました。  その中での、金融特別委員会それから大蔵委員会での、日本の金融信用秩序あるいは世界の金融秩序に対する我々の真剣な取り組みは、歴史に残るものではあるだろうというふうに思います。しかし、それを振り返ってみれば、銀行業あるいは金融業というものが、かつて日本のバブル経済のころには、世界最強の日本のと言われていたものが、実はこんなにももろいものだったということ、これは歴史上もやはり銘記されるべきだと思います。そこの真髄は、結局、マーケット、市場原理に基づいた公正な競争にさらされている、それにたえ得る私企業ではなかったのだということではないかなというふうに思っております。  そのような観点から見れば、今回の預金保険法の改正、それから保険業法の改正などについても議論をしていくべき点は多々ありますし、この大蔵委員会でも長らく時間をとっていただいておりますので、屋上屋を重ねることは避けて、私の方から二、三の関心事を御質問させていただきたいというふうに思っています。  全体的な預金保険機構の業務の中で、最終的に一番問題になってくるのは金融再生勘定ではないかなというふうに私は思っております。一部新聞でしたか、きょうテレビニュースでしたかでも出ていたかと思いますけれども、金融再生勘定を閉じるときに損失が出たらば、それはやはり、政府保証をしておる中での損失補てんを、国の財政資金を使って行わなければいけないだろうということになってくるのだと思います。そして、その点については、今までなかなか、長らく我々国民の目の前には明らかにはなっていなかったことのようでございます。  これは実は質問通告をしていなかった点ではございますけれども、冒頭、少しざっくりとしたところで結構ですので、再生勘定を手じまったときの、損失が出たらばということはきっと当局の方でも考えておられるとは思うのですけれども、それはやはり当然、今政府が行っている十八兆円の政府保証の中で政府が政府保証を実行するということになるのでしょうね、今の枠組みでいくと。
  116. 大野功統

    大野(功)政務次官 金融再生勘定を閉鎖するときのことでございますので、今から予測的に申し上げるのもなにかと思いますが、制度上の問題として申し上げたいと思います。  金融再生勘定は金融再生業務終了の日に廃止されることは当然でございますが、そのときに、もし利益が出ておりましたらこれは国庫に残していただく、当然のことでございます。それから、損失が出ておりましたときは予算措置を講じなければならない、こういう制度でございます。
  117. 西田猛

    ○西田(猛)委員 今大野政務次官からお答えいただいたとおりが制度の立て方だと思います。  そこで、思い起こせば一昨年の金融特別国会のときには、当時私どもは与党ではなかったのですけれども、再生法の立て方というのは果たしていいものかどうかということは考えておりました。したがって、やはりマーケット主義にのっとって、倒れる銀行はもう倒そうと。早目に整理して、これは当時の宮澤大蔵大臣が何度も私に対しても、パーチェス・アンド・リデンプションなんだよ、これはもう売ってしまっていいんだ、つぶしてしまっていいんだというふうなお話を何度か言ってくださったと思います。  したがって、そういう倒れるべき銀行については整理を早くしてしまっていいじゃないかということを我々主張しておりまして、しかし残る銀行はどんどん強くして、そして民間企業にどんどん資金供給をしていただく、それでバブル崩壊後の日本経済の疲弊を再生していかなければならない、だから金融の早期健全化法なんですよという流れを我々は考えて、その法律は実は当時の自由党も、自民党、公明党と一緒になってつくらせていただいたのでございました。  ですから、私が冒頭申し上げた、再生勘定が一番問題になりますねというのはその意味でありまして、引きずってきた負の遺産をいずれは手じまわなければいけないときも出てくるでありましょうから、そのときに向けて我々は心づもりをして、財政的なことも考えていかなければいけないなというふうに思っている次第でございます。  そんな中で、今度保険の方もやはり大きな問題でございましょう。ただ、保険は、十分議論が尽くされてきているようですけれども、国民の皆さんの安心のよりどころですから、それはやはり、そういう観点からの切り口も必要になってくるでしょう。  そこで、今回のような、保険業法を改正して、生命保険契約者保護機構におけるセーフティーネットの形成、こうなってくるのでありますが、これを政府が、五千億円分の債務保証をふやしてセーフティーネットをつくっていく。預金保険機構のセーフティーネットづくりのときにはよく交付公債の手法をとったのですけれども、この交付公債の手法をとるのと債務保証の方式を直接とるのとは、どういうふうな経過の違いがあって、効果的にどのような違いが出てくるのでございましょうか。     〔委員長退席、渡辺(喜)委員長代理着席〕
  118. 大野功統

    大野(功)政務次官 基本的に、預金保険制度の場合には、金融不安の真っただ中でつくっておりますので、やはり初めから財政負担ということを考えていかざるを得ない、交付国債ということで手当てしよう、こういう考え方がございました。したがいまして、特例業務勘定の中で交付国債の手当てをする、こういう考え方でございます。  しかしながら、保険業法の場合は、もちろん日産の破綻とか東邦生命の破綻とか大あらしに見舞われたわけでございますけれども、あらしが済んで、今から先どういうふうになっていくんだろうか、このところがよくわかりません。したがいまして、あらかじめ税金というのではなくて、政府保証というワンステップを踏んでいこう、こういう考え方でその違いが出てきていると思います。
  119. 西田猛

    ○西田(猛)委員 生命保険のセーフティーネットなんですが、これは事務方から御説明を受けたときにも、私、何度も聞き返さなければいけなかったんですが、私の理解が足らなかったんだと思います。それと、この大蔵委員会でも何度も議論が出ておりましたけれども、五千億円分の政府保証枠を追加して九千六百億円まで保険契約者保護機構は借り入れることができる。ただ、それについて、保護機構そのものに対する加入者である生命保険会社が負担できるのは一千億円までだというお話、これはいろいろな数値の積み上げでしようがないのでありましょう。今まであった現行の限度額の四千六百億円、これはもう加入しておられる各生命保険会社が負担されるということで間違いなかったのでしょうね。
  120. 大野功統

    大野(功)政務次官 まず、新しく恒久制度としてでき上がります生命保険契約者保護機構でございますが、全体として九千六百億円の政府保証をいたします。政府保証は恒久措置でございます。全体として九千六百億円の保証をいたします。政府保証は恒久措置。それから、暫定措置が四千億円の政府補助でございます。それらが措置となります。  それから、金額、大きさの問題でございますけれども、先生よく御存じのとおり、これまで四千六百億円でございましたが、これが、東邦生命の破綻によりまして三千八百億円必要でございます。したがいまして八百億円しか残らない。では、これから先どの程度の大きさのセーフティーネットをつくればいいかという問題で、やはり四千六百よりも大きいセーフティーネットがよかろうということで、五千億追加して五千八百ということにしているわけでございます。そういたしましてその大きさを確定した。  ただし、そうなりますと、一体保険会社の負担をどう考えるかという問題が出てまいります。それは今まで四千六百億円だったわけですが、一千億円積み増してもらう。そうすると五千六百億円になるわけでございますが、その五千六百の根拠は、保険会社の業務純益に対してその負担金が大体六%になる、これは預金保険機構銀行の負担とほぼ同水準、こういうことでございます。したがいまして、それを超えた四千億円については国庫補助を可能とする、これが措置でございます。
  121. 西田猛

    ○西田(猛)委員 それから、先ほど私が申し上げた中で、恐らく宮澤大蔵大臣があれと思われたかもしれません。パーチェス・アンド・アサンプションでございます、私はリデンプションと申し上げたと思いますけれども、それは間違いで、アシューム、アサンプションです。失礼いたしました。  それで、今大野次官も言われたのですけれども、生命保険会社の業務純益という話が出てまいりまして、そうすると、生命保険会社の業務の内容、これを、税金で負担することを予定される国民の皆様方も、はっきりしてもらわなければ困るではないかということは当然お考えになられるんだと思います。  その財務の内容、経営の内容をやはりディスクローズしていく必要があるのだと思うのですけれども、そこのところについていろいろ問題があるようでして、巷間言われているところでは、相互会社の場合、総代会に出られればいろいろなことを聞けるんだけれども、なかなか総代会に出られないということなんですけれども、この総代を選ぶような過程についてはどのような仕組みになっているのかについてお聞かせいただけますでしょうか。
  122. 村井仁

    村井政務次官 保険業法の第四十二条それから保険業法施行規則の第二十一条、これによりまして、総代の選出方法でございますが、これは定款で定めるということになっております。  ただ、定款で定めるわけでございますが、社員総代会というのは、申し上げるまでもなく相互会社におきまして最高の意思決定機関でございますから、そういう意味では、契約者の意思を代表して実質的に経営チェックを行う非常に重要な機関でございます。そこで、昭和四十年に保険審議会の答申がございまして、そこで総代候補者選考委員会というものをつくったらどうだという提言がございまして、各社とも、こういう保険審議会の答申を受けまして、自主的に総代候補者選考委員会というものを設置し、ここで総代の選考をしている、こんなふうに承知しております。
  123. 西田猛

    ○西田(猛)委員 保険という性質上、それからまた相互会社という性質上、しかるべき人を選んでしかるべく財務の内容についても審議していかなきゃいけないというのは当然だと思うのですが、やはり民主主義の時代ですし、それから、株式会社であれば、たとえ一株の一株主でも株主総会に出て物が言えるというこの時代において、物を言いたいあるいは聞きたいんだけれども事前に選考されてしまうということが、今の時代でもあっていいのかなということを私、ちょっと個人的に直観として思うのですね。  ですから、総代になろうと思っても、今次官が言われたような候補者選定権を持つ選考委員会制度、こういうことが、私も資料をいただきました、あるんですね。これは、例えて言えば、衆議院議員になりたいので候補者になりたいんだけれども、その候補者になれるかどうかを選考する何か第三者機関があって、西田君は候補者になれません、村井次官は当然候補者になれます、どうぞというようなことで、何やら被選挙権まで制限されているようなことなのではないかなと私は直観的に思うのでございます。  したがって、御答弁は結構なんですが、やはりこれだけの国民負担を経て、これから生命保険会社についても、国民の安全、安心のよりどころとしてさらに頑張っていただかなければいけないということを考え合わせれば、そのあたりの改善は当然これからもう考えられてしかるべきではないのかなと思うのでございます。御意見ありましたならば……。
  124. 村井仁

    村井政務次官 金融監督庁の立場といたしましては、総代会につきまして、経営チェック機能の充実を図るという観点から、相互会社の運営に関する監督上の留意事項につきまして事務ガイドラインをつくって、各社に、総代の選出における、職業ですとかあるいは年齢等のバランスですとかあるいは手続の公正性、透明性、こういうものを求めるという方向でやっておりまして、今委員御指摘のような点も踏まえまして総代会の健全な運営を確保するように監督をしてまいりたいと思っております。  ただ、ここで申し上げなければなりませんのは、あくまでこれは相互会社の社員自治の問題でございますので、このポイントはちょっと外すわけにいかないのではなかろうか。社員自治の問題であるという点を特に申し上げておきたいと存じます。
  125. 西田猛

    ○西田(猛)委員 ええ、社員自治でございまして、そうなんですけれども、その社員自治の中で、自分も参加したいという人がはなからはねのけられてしまうというのは自治の範囲内に入るのかなというところが、直観ですよ、私も感じから思うわけでありまして、今後も私も検討材料にさせていただきたいというふうに思っております。  そんな中で、今次官も言及されました、昭和四十年ですか、もうこれは古いですね、昭和四十年といえばかなりほこりをかぶった答申でございまして、今はもう二〇〇〇年でありますので、もう一つ新たな答申が出てきてもいいかなというふうにこれまた思うのですけれども、その中で、こんなくだりもあるのです。相互会社の運営に適時社員の意思を反映し、会社運営の公正を図るため、社員総代会とは別に、会社経営に関する諮問を受けるような組織などを設けるべきだというふうなくだりもあったようでございます。  こういうものは、今どうなんでございましょうか、各生命保険相互会社の中ではどのように組織づくられているのでしょうか。
  126. 大野功統

    大野(功)政務次官 その場合には、例えば少数の社員によります議案提案権は認められておりますし、また社員単独による代表訴訟権等の規定が整備されております。
  127. 西田猛

    ○西田(猛)委員 あくまでも私のこの点に関する論点は、やはり生命保険会社経営内容の透明性を確保するという観点からの話でございまして、国民の安心のよりどころとしてさらに大きく力を発揮していただきたいという思いでございます。  そこで、私の質問の最後になるのですけれども、この前、全銀協、地銀協、それから全信組、全信金の代表の皆さんに参考人質疑をさせていただいたときにも、私、皆様方にお話を聞きました。その中で、信金それから信組の代表の方からは、例えば、各破綻した金融機関、長期信用銀行ですとか、そういうものに対する今回のいろいろな処理の流れについてどのようにお考えですかということをお尋ねしたならば、かなり率直に、そしてどちらかといえば重い、勇気のある御意見を賜ったというふうに考えております。  そのようなところからも、私は非常に、そういう信金、信組、地域に密着した協同組織金融機関の皆様方の気概を感じたのでございます。やはり地域に密着したそういう中小企業あるいは特色のある企業の皆様方に、当然経営の健全化を求めていかなければいけないにしろ、融資した途端に向こうさんが赤字になってしまう、あるいは第二分類以下の債権に分類されてしまうということはわかっていても、やはり融資をしてあげたい、していかなければならないというところを感じ取っておられる、そういう気概を私は非常にある意味で心強く、頼もしく思った次第でございました。  そのような中で、当然、そういう協同組織金融機関でも、経営の健全化を求めていかなければなりません。何度も言われていることですが、銀行などとは別に、そういう協同組織金融機関、信金、信組等で、金融検査あるいは監督の手法にもっと細かな、よりソフィスティケーテッドされたと申しますか、手法が組まれてもいいのではないかなというふうに思うのですけれども、この点についてお聞かせいただけますでしょうか。
  128. 村井仁

    村井政務次官 何度か御議論のあった点でございますけれども、協同組織金融機関につきまして、他の銀行とは別の検査の仕組みを仕組むということではないんだろうと私どもは思っておるのです。  と申しますのは、金を貸す側ということで申しますと、償却、引き当てですとかあるいはその準備作業でございます資産査定ですとか、こういったものは、金融機関どこでも、与信をやります以上は、信用リスクに備えて、金融機関の規模の大小問わず、同じことをやらなきゃならない。貸す側は変わりがないんだろうと思うのですね。そういう意味で、私どもは、その貸す側をチェックするということで、現在、検査の手順というものを持っているわけであります。  一方で、今度のこのマニュアルを適用しますときに、借り手の側でございますね、これを見ますと、今まさに西田委員仰せのように、例えば、極端に言えば、法人としては赤字であるけれども、しかし、経営者の個人資産だとかそういうものを見ますと実際はこれはバンカブルであるというような場合が、これは十分あり得るわけでございまして、そういうようなところはちゃんと見てやりなさいよということを言っているわけでございます。言ってみますと、借り手の側で若干違いがあるのかなと。  ですから、そこは協同組織金融機関について、別の検査の仕方をするということでは多分ないのだろうというふうに私ども考えておる次第でございます。
  129. 西田猛

    ○西田(猛)委員 いずれにいたしましても、公明、公正な、そして開かれた自由なマーケットの中で金融機関も自由に競争していただく、それが日本の国民経済に資してくることであると思いますので、その観点でこの法律案をさらに審議していただきたいと思っております。  これで私の質問を終わらせていただきます。
  130. 渡辺喜美

    渡辺(喜)委員長代理 次に、上田清司君。
  131. 上田清司

    ○上田(清)委員 民主党の上田清司でございます。お疲れですが、もうしばらくよろしくお願いいたしたいと思います。  それでは、臨時出席の警察庁の方からお話を伺いたいと思いますので、よろしくお願いします。既に通告をしておりますので、手短にさっさといきたいと思いますので、簡潔明瞭にお答えしていただきたいと思います。  警察共済組合のいわゆる資金運用について、もともとこの運用の目標、特に利回りの目標をどのように設定されて、どのような形で実現をされているか、端的にお答えいただければ大変ありがたいと思います。
  132. 石川重明

    石川政府参考人 警察共済組合におきましては、長期経理の資金の運用に当たりまして、安全かつ効率的な方法によって組合員や遺族等に対する年金の支払いを確実に行う、そのために将来にわたる資産債務の変動予測を行いまして、目標とする利回りを、単年度ごとに収支がマイナスにならないようにするということで、平成十年七月以降三・五%と設定いたしまして、その適切な運用に努めているところでございます。  その結果、平成十年度におきましては二・七三%、それから平成十一年度は、見込みでございますが二・五%、そうしたそれ相応の成果を得ている、こういうところでございます。
  133. 上田清司

    ○上田(清)委員 設定を三・五%という見込みでありますから、したがって、平成八年度からは目標どおりいかないということでありますが、この理由は一体何でしょうか。
  134. 石川重明

    石川政府参考人 委員御案内のように、資産運用環境というものが悪化をしておりまして、努力をしておるわけでございますが、こうした結果になっておるということでございます。
  135. 上田清司

    ○上田(清)委員 例えば、運用委託先を丁寧に評価し直すことによって、運用のいわば利回りのいいところに重点的に委託することによって運用益を上げることができる。  さきに私は、年金福祉事業団の運用委託先が固定化して、しかも運用利回りの悪いところに大いにしっかり振り込むという愚策を犯して、国民の資金の大ロスを起こしてしまっているということを指摘させていただいた経緯がございますが、こちらも、警察関係の全国の都道府県の前線、一線で戦っておられます皆様方の生活の安定のために極めて大事な資金運用ですので、そのようなことについて、よもや過ちはないでしょうか。
  136. 石川重明

    石川政府参考人 お尋ねでございますが、警察共済組合におきましては、資金をどういうところに運用を委託するか、その選定あるいは評価に当たりましては、運用機関からの運用成果報告というものを求めまして、それを踏まえまして、長期にわたって共済組合の資産が安全かつ効率的に運用されるように、運用機関ごとの定性評価あるいは定量評価を総合的に勘案して委託機関の選定あるいは委託額の決定を行っておるわけでございます。  そうした合理的な判断というものを担保するということで、共済組合の中に資産運用をいろいろ合理的に判断する合議制の組織をつくりまして、そこでいろいろな評価を行っておる、そして、そういうものが組合員のためにしっかりした運用がなされるようにということで努めているところでございます。
  137. 上田清司

    ○上田(清)委員 実は、年金福祉事業団にもその運用先を決める選定の基準書が内部になかった経緯がございまして、一応内部の内規的なものだけあるということで、ペーパー一枚だけいただいたことがあるのですが、選定基準書みたいなものはあるのでしょうか。
  138. 石川重明

    石川政府参考人 長期経理に係る資産運用の基本方針というものを警察共済組合で定めておりまして、そこで、長期経理に係る資産運用に当たりまして、いろいろな基本的な考え方でありますとか、あるいは運用において考慮すべき事項であるとか、そういうものの基準、あるいは資産の構成のための割合、そういったようなものを策定する、あるいは受託機関の選定、あるいは評価に当たってどういう観点で評価をするかといったような基本的な事項を定めておるということでございます。
  139. 上田清司

    ○上田(清)委員 官房長はその基準書を見たことがございますか。
  140. 石川重明

    石川政府参考人 ここに今手元にございますが、じっくり見たことは実はないのでございますが、引き継ぎのときに見たことがございます。
  141. 上田清司

    ○上田(清)委員 すべてを掌握するというのは大変難しいのですが、正式な意味での基準選定書という文書があるのでしょうか。今ちょっとわからなかったのですよ、御説明の中で。その答えを聞きたいのです。内規であるのか、正式な文書であるのか、あるいはメモ程度であるのか。年福にはメモ程度しかなかったということを私、先ほど申し上げました。
  142. 石川重明

    石川政府参考人 ただいま申し上げましたように、この長期経理に係る資産運用の基本方針と申しますのは、警察共済組合が正規に定めた文書でございまして、それぞれ基準、目標といったものが詳細に記載をされておる、こういうものでございます。
  143. 上田清司

    ○上田(清)委員 後でぜひその資料を提出していただきたいと思います。  そこで、先ほど合議機関で決めておられると言っておるのですが、その合議機関の構成メンバーはどのような形になっているか、御説明ください。
  144. 石川重明

    石川政府参考人 これは名称を資金運用委員会というふうに申しておりまして、この場で審議、決定がなされるわけでございます。この構成でございますが、警察共済組合の理事長、常務理事事務局長、資金運用課長等によって構成されておるわけでございます。これが構成でございます。
  145. 上田清司

    ○上田(清)委員 今のメンバーの中に金融機関の出向者はおられますか。
  146. 石川重明

    石川政府参考人 ただいま申し上げました警察共済組合の資金運用委員会の構成委員の中には、金融機関からの出向者はございません。ただし、事務担当課でございます資金運用課には、平成十一年四月一日付で、日本興業銀行から年金資産運用に高度のノウハウを持っておられる方一名が課長補佐として出向していただいておる、こういう状況でございます。
  147. 上田清司

    ○上田(清)委員 そこで、既に資料はいただいておるのですが、実は内部告発みたいな形で私のところに手紙が届きまして、特定のところと癒着しているのではないか、こういうお話がありました。そうでないということであれば一番いいのですが、若干私も運用利回りなんかの数字を追っかけまして、やや偏りがあるかなというようなニュアンスがあります。  まだ精査を十分しておりませんので、また精査した後に改めて機会を設けたいと思っておりますが、特に金融機関への天下りの実態について御報告をお願いしましたところ、合計で、信託、生命保険を中心に十六人の天下りというのでしょうか、再就職先がございますが、これは間違いない資料でございますね。
  148. 石川重明

    石川政府参考人 警察共済組合が平成十一年度に資金運用の管理を委託いたしました金融機関は三十三社あるわけでございますが、そのうち、ことしの一月一日現在で、十三社に、御指摘どおり十六名の警察庁のOBが再就職をしておるというふうに承知をいたしております。     〔渡辺(喜)委員長代理退席、委員長着席〕
  149. 上田清司

    ○上田(清)委員 委託運用先にメンバーが、親会社がとかくするというのはどういう意味を持っているかというのは、世間の常識で御存じだと思いますね。例えば、建設省のOBあるいは住都公団のOBが、あるゼネコンなりに再就職すると、その人の給与分以上のことを発注させなければいけない、給与分以上というか利益以上のものを発注しなければならない、そういう常識がございますね。そういう常識については是認される立場でしょうか。それとも、いや絶対そういうことはないという判断をしておられるのか。
  150. 石川重明

    石川政府参考人 OBの再就職の問題でございますけれども、基本的に、私どもは、これらの会社への再就職は、職員が在職中に培った豊富な経験と知識が当該会社の健全な運営に貢献できるというふうに判断をされて就職を請われた、就職した職員はそうした観点から当該会社の健全な運営に貢献をするという形で働いておられるというふうに承知をしておるわけでございます。  今御指摘の点でございますけれども、先ほど申しましたように、運用機関の幾つかにOBが再就職をしているわけでございますけれども、警察共済組合による委託運用機関の選定あるいは評価といったものにそのこと自体が影響を及ぼすということはないというふうに承知をいたしております。委託運用機関の選定、評価というのは、それぞれの、先ほど申しましたような定性、定量といったような評価を踏まえて共済組合が責任を持って行っている、こういうふうに考えております。
  151. 上田清司

    ○上田(清)委員 こういう御時世でございますから、もうそういう判断をしないで、一切引き揚げるとか、あるいは、これからは一切そういうことをしないというふうに考えた方がいいとは思いませんか。
  152. 石川重明

    石川政府参考人 これは、それぞれの会社がOBの知識、経験というものをどういう形で生かすかというようなことが一つあろうかと思います。  ただ、委員御指摘のような観点というものも踏まえまして、何よりも共済組合の資金運用というものが効率的で健全になされるといったようなことが基本でございます。また、そうした関係が何らかの信頼を失うといったようなことがないように、私どももこうした問題について対応してまいりたい、こういうふうに考えております。
  153. 上田清司

    ○上田(清)委員 私がいただいている資料の中に氏名が出ておりますけれども、それぞれ顧問として、あるいは相談役として就任されている。このメンバーの中には、運用部門に在籍したことがない方がおられますが、それでもお役に立つのでしょうか。
  154. 石川重明

    石川政府参考人 個別に申し上げるのはなかなか難しいわけでございますけれども、いろいろな会社の業務運営上、危機管理の問題とかそういうものについて、警察界で培ってきた経験というものをそうした形で生かすという場があるならば、それはそれで一つの考え方だろう、こういうふうに考えております。
  155. 上田清司

    ○上田(清)委員 今のはやや意地悪な質問で、失礼しました。  それで、気になるところでありますが、三月三十日付の委託先あるいは委託額、運用収益、手数料等と、三十一日付の数字をいただいておるのですが、三十一日には、例えば、エスジー山一アセットマネジメント、あるいは大和住銀投信投資顧問、UBSブリンソン投資顧問等々十一社が、突然委託額がゼロになって、いわば契約を破棄というか、継続をしなかったというのでしょうか、このような事実が、この数字、三十一日と三十日で出ておりますが、事前のレクの説明の中では、やはり運用益のいいところにシフトをするためにこういうシフトを変えたのだ、こんなふうに伺っているのですが、これで間違いないのでしょうか。
  156. 石川重明

    石川政府参考人 警察共済組合におきましては、ことしの三月三十日付で、委員御指摘のように、九社、十一ファンドでございますが、一つの会社が三つ固まりを持っておりまして、終了をいたしております。これは、一つ一つの運用機関への委託額を大きくすることで資金運用の効率性を高める、また、運用機関を少なくすることで運用機関に対する管理を充実させるといったような観点と申しますか、目的を持ったことでございます。  こうした運用委託先の再編成に当たりましては、資金運用委員会で数年にわたる、先ほど申しました、定量、定性評価というものを総合的に勘案をして決めたというふうに承知をいたしております。
  157. 上田清司

    ○上田(清)委員 余り説明になっていないのですね。  具体的に、例えばこの野村アセット・マネジメント投信あるいは日興、安田、興銀、三和、こういったところを全部増額されているわけですね、その分だけを。そうですね。すると、なぜそちらに増額されて、こちらをゼロにされたのか。例えば、今言ったところは運用益の平均が過去五年間で実はこれだったんです、ところがこっちの方はこうだったんです、したがってこっちを線引きして切りました、そういうのが答弁なんですよ。今むにゃむにゃ言っていることは答弁じゃないんですよ。世の中では通じないのです。ぜひきちっと答えてください。
  158. 石川重明

    石川政府参考人 先生が御指摘になったような基本的な考え方でございます。過去五年間の成績と申しますか、それを定量、定性分析いたしまして総合的に評価をした、こういうことでございまして、その内容にわたりましては、非常に詳細なものになりますので差し控えさせていただきますが、おっしゃったような基本的な考え方で整理をしている、こういうことでございます。
  159. 上田清司

    ○上田(清)委員 官房長が全部それを知らなくてもやむを得ないと思いますが、多分、仕切りがやはりあると思うのですね。仕切りがなくてこういうことがあると、当然内部的には混乱するでしょうから。その仕切りをきちっと今度は報告していただきたいというふうに申し上げますが、ただ、一つだけ御指摘させていただきます。  たまたま告発の方が、興銀にやや偏っているのではないかということで、私は特に興銀だけを五カ年分、少し運用利回りの比率について調べましたが、格段にいいというふうに思われません。特にこの三年は最低に近いですね。なぜそうなっていくのか。  今、確たる答弁がとても求められないというふうに私は思いますが、当然そういうことを聞かれるはずだというふうに思ってこられなかったのかな、私はそういう話をしたつもりだったんですが。解約九社の理由は何なんだということを、ちゃんと質問項目で挙げているはずなんですけれども。だから、それを定性的、定量的に総合的に勘案しまして決めましたでは説明にならないんですよ。
  160. 石川重明

    石川政府参考人 興銀の関係でございますけれども、それで申しますと、定量、定性、総合という形で評価にも偏差値があるわけでございますが、これを見まして偏差値によるシェアを出していく、そういう過程を経てその配分の額が決まっていく、こういうことを一定の方式に基づきまして判断をして行っておる、こういうことでございます。
  161. 上田清司

    ○上田(清)委員 その一定の方式とは何なんですかということを聞いているんですよ、さっきから。
  162. 石川重明

    石川政府参考人 定量ということですから運用利回りのところでございますし、委員御案内のとおりでございます。定性は、継続的に人的な問題とかあるいはシステムというものが確立されているか、こういうようなこと。それで、その総合評価。それぞれ評価を偏差値で求めまして、偏差値によるシェアを決めていく、そして配分額をそれに反映をさせていく、こういうことでございます。  数字で申しますと、興銀の第一ライフにつきましては、定量関係の評価による偏差値が五二・四九、それから定性による偏差値が六四・〇四、総合いたしますと五四・八〇ということで、偏差値によるシェアが二三・六三%になる、こういうことでございまして、それによって配分額が決まってくる、こういうことでございます。
  163. 上田清司

    ○上田(清)委員 それでは、今の総合的な偏差値を資料として出していただきたいと思います、若干疑念がありますので。  今すぐ全部言っていただければ、今数字だけばっと挙げていただけますか、上から順次。そうすると、すぐすっきりしますから。今言われた最後の数字だけ。
  164. 石川重明

    石川政府参考人 これは配分額一千五百四十億円のときの数字でございますけれども、三菱信託銀行につきましては、評価による偏差値が、定量が六八・八八、定性が五七・五五、総合が六六・六一、偏差値によるシェアが二八・七二%。  それから野村アセット・マネジメントが、定量が六一・五一、それから定性が三一・六一、総合が五五・五三、偏差値によるシェアが二三・九四%。  それから日興アセットマネジメント、これは定量が五九・三五、定性が三七・四四、総合が五四・九七、偏差値によるシェアが二三・七〇%。  それから興銀第一ライフにつきましては、先ほど申し上げました数字でございます。
  165. 上田清司

    ○上田(清)委員 解約した仕切りのところの数字を言っていただけますか。——わからない。  僕らが確認できるのは、実は定量でしかできないのですね、もらった資料の中では。だから、定量では必ずしも今お答えされたような数字が出てきていないので、ちょっと疑念があります。  それで、総合の部分を後でまた資料をいただきたいのですが、解約十一社、私は十一社と言ったんですが、九社ですね、これは投資顧問が同じところですので。  当然、その理由はということを言っているわけですから、そういう用意をしてきてほしいなというふうに思います。多分、後ろに控えている方だったら答えられるのかもしれませんが、そういう準備になっていませんので、改めて伺いますから、この分に関してはきょうは結構でございますので、どうも御足労ありがとうございました。もうちょっときちっと、丁寧に対応していただきたいというふうに思います。  それでは、今度の預金保険法の改正案でございますが、皆様の前に、私、思いつきで、預金保険機構の協力を得まして資料をいただきまして、「国民負担と金融機関とのバランスシート」というタイトルが必ずしもいいとも思えませんが、金融機関からどれだけお金を供出していただき、そして破綻金融機関への金銭贈与を中心としてどれだけお金を払ったか、使ったかという、収入と支出を見てみました。お手元にございますか。  再生委員長、保険料が昭和四十六年から十一年度末までで二兆六千二百三十七億——そうだ、パネルを一応持ってきたんだ。余り見えないですね、どっちにしても。済みません。  それで、買い取り価格を上回る回収実績も中にありまして、それが三百十一億。破綻金融機関への退職金返済七億円。破綻金融機関への私財提供十億円。民事の損害賠償額が、まだ提訴中の分もありますので、この四百三十二億が完全に戻るとは限りませんが、戻ることを前提にして合計していきますと、二兆六千九百九十七億。一方では、破綻金融機関への金銭贈与が九兆五千百八十五億円、債務引き受け四十億、こういったところが支出でありまして、もちろん債権の買い取りだとかそういうのもございますが、それは収支のバランスから外していいかなというふうに思っておりますので、あえて外しております。  そこで、七兆円近いいわばマイナスになっておりまして、もちろんこの中には住専の六千七百億も入っていませんし、そしてまた山一の大蔵大臣責任発言の中での、何千億になるかわかりませんが、三千億から四千億ぐらいかなと私は勝手に推定しておりますが、そういうお金もございますし、しかも平成十二年度現在の分まで入れていくと、まだまだ相当数ふえていくということがあります。  そこで、もう一枚のペーパーですが、これはマッキンゼー社の融資の方がつくっていただいた、金融システム全体に対する国民負担の計算をされたものでございまして、この十年間で総額で六十七兆国民は負担したことになるということを言っておられます。  1の部分で、「銀行部門の国民経済への貢献」、納税が一兆九千億。これは逆な意味でプラスでありますけれども、しかし、それ以上に、有税の引き当て分の還付六兆六千億とか、保証協会の中小企業貸し付けの保証に伴うリスクフリー融資からの金利分六千億。  あるいは「民間金融システムの維持のための国民負担」、先ほど申し上げました資料では九兆五千億という形で出ておりますが、こちらの概算では八兆円。そして、御承知のとおり、健全銀行信用改革のための資本注入、いわゆる資本増強の部分が九兆五千億。  そして、これはいろいろまた判断があるのでしょうが、マッキンゼー社の試算によれば、「資産運用技術の未熟さと商品開発の遅れによる損失」、日米の資産運用リターンの差を一・六%と仮定すると、十年間で三十二兆円損したことになる。  あと、「公的金融システムからの負担」、郵貯への補助金とか、あるいは住宅金融公庫、中小企業金融公庫、国民生活金融公庫への一般会計からの補助金、あるいは中小企業保証枠の三十兆に貸し倒れを二〇%、また回収率を三〇%と仮定して、さまざまな試算をほうり込むと四兆二千億、そして、財投の中での、いわば日本政策投資銀行なんかに見られるようなそうした不良債権部分を七兆と見てというもの。  こういう雑駁な数字ではありますが、十年間で六十七兆からの、したがって一年間に六・七兆返金だということで、これは消費税五%のうちの三%分を金融システムの安定のために使っている。それでも安定していればいいじゃないかという議論もありますが、この数字の大きさについて、改めて私は大蔵大臣と金融再生大臣にお伺いしたいのです。  なかなか悩ましい話ばかりでございました、正直申し上げまして。我々も、金融システム安定、しかし、いたずらに公的資金を投入するのはいかがなものか、こういう悩ましいなりの立場の中でさまざまな改革やシステムをつくってきたわけであります。振り返って、実はこういう収入支出であり、あるいは、概算で恐縮ですけれども、金融システム全体に対する国民負担の計算の根拠ということで民間のシンクタンクから出していただいた数字などを見て、何を答えろというふうに私も申し上げるつもりはございませんが、改めて、預保でさらに交付国債の増額等々、あるいは信用金庫連合会、そうした中央機関にも補てんをする仕組みをこの法案でつくっておりますが、一体この辺の金融機関というのは、まだまだこういう仕組みを用意しないとだめなものなのか、あるいは、もうこれで終わりだろう、そういう感覚的なもの、感想で結構でございますので、ぜひそれぞれ大臣からお伺いしたいと思います。
  166. 大野功統

    大野(功)政務次官 両大臣にお答えいただく前に、若干コメントさせていただきたいと思います。  まず、この二つの資料でございますけれども、先ほどちょうだいしたばかりでございまして、私も、いすに座りながらじっと眺めているところでございます。直観的にしか申し上げられないことをお許しいただきたいと思います。ただし、直観的に申し上げまして、こういう分析をすることがこれからの国の負担を考える場合に非常に大事なことだ、このように思います。  それからまた、もう一つ、この数字の背景にいろいろなことがあるんだな。例えば「破綻金融機関への退職金返済」、こういうことがあるんだな、あるいは「買取価格を上回る回収実績」、頑張っているんだな、さらにRCCにも頑張ってもらいたいな、こういうような感想がございます。  その上で若干コメントをさせていただきますと、まず、先生御自身がおつくりになった表でございますが、これにつきましては、収入と支出で六兆八千億円の差があるわけでございます。その差のうち、既に交付国債として使用済みのものが四兆八千億円あります。そうしますと、二兆円ばかりになるわけでございますが、この二兆円はどういうことになるのだろうということを考えますと、今のところは借入金でございます。それから利息も生んでおります。利息は約四千億ございます。したがいまして、借入金のところは将来とも保険料収入がございます。そこでカバーできるのかできないのか、こういう問題が生じてくると思いますし、勘定を閉鎖するときには国債で処理しなきゃいけないという部分も出てきております。したがいまして、中身はもう少し精査していかなきゃいけない、このように思います。  それからもう一つ、これはマッキンゼーでつくった資料でございますが、こちらの方は、これをすべて金融システムの問題として考えていいのかな、金融政策の部分も一緒に入っているのではなかろうか。  例えば、4のところでございますけれども、郵貯への補助金あるいは財政投融資関係の問題、そして特に真ん中の二つでございますが、住宅金融公庫云々のところと中小企業保証枠三十兆円云々のところ、これはむしろ貸し渋りに対する中小企業対策として非常に有効に働いたところではないかな。こういうことでございますから、金融システム中小企業対策とを一緒にして負担を考えるということはどういうふうに評価したらいいのかな、こういう感想でございます。  さらにもう一つ、2の二行目の健全銀行信用改革のための資本注入九兆五千億円でございます。この部分はほぼ全額回収できるだろうし、景気がよくなってくればプロフィットも生むのではなかろうか。  したがいまして、こういう分析をしていくことは非常に有益だと思いますけれども、詳細についてはもう少し考えさせていただきたい、こういうことでございます。
  167. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 私は、大野総括政務次官とは別人格でございますが、全く同じような感想を持ちながら伺っておりました。  まず、委員がおつくりになったバランスシートでございますけれども、私どもがこの数年経験いたしましたのは、後に振り返りましても歴史的な経験だったと思いますので、これが国民負担という意味からどういうバランスシートになるのか、これはやはりこれからも、こういうものがより精緻なもの、より正確に歴史的な経験を反映するように我々も努力していかなきゃいけないと思いますので、委員の御努力を私は敬意を持って伺っておりました。  そして、それと同時に、この数字、特にシンクタンクがおつくりになった数字、これはいろいろな前提なり仮定があっての数字だろうと思います。私どもも、この二つの資料をこれからもよく拝見させていただきたいと思っておりますが、ちょっと今確定的なコメントは差し控えさせていただきたいなと思います。  いずれにせよ、これを背景にしましての感想は、ある意味では平凡な感想でございますけれども、大変な巨額の国民からの資金をお預かりして金融再生の仕事に携わらせていただいているわけでございますから、この大事なお金を使ってやっている仕事をきちっと金融システムの安定に結びつけていかなければなりませんし、また、今後破綻した金融機関なんかが生ずる場合には、国民負担というものが最小限になるような努力というものを我々はしていかなきゃいけないと思っております。  そして、いつまでもこういうことが必要なのかどうかということに関しましては、今私ども金融再生委員会でさせていただいております仕事は、ペイオフ解禁というものが起こりまして、幕があけたときにばたばたとおかしなところが出てくるというようなことではとても安心してペイオフ解禁ができませんので、やはりその体質を改善していくということでございまして、それは私は、峠をほぼ越えつつあるのではないかなと思っているのです。もちろん、これから先絶対ないなんというふうに断言するつもりはございませんけれども、この重みを十分頭に置いて努力をいたしたい、こう思っております。
  168. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 バブルの後始末の一つであります金融システム信用確保、信用の回復にやはり随分金がかかっているという思いがいたしますし、本当はもっともっとまだかかるのではないか。何かがあるというのではありません、普通の状況に戻るまでに、金銭的にもかなりの負担がまだ国民経済的にあるのではないかということが一つです。  もう一つは、しかし、そうしましたら、日本の金融機関というものが、日本において、あるいは世界において期待されている役割を果たすようになれるかどうかということにつきましては、いろいろな要素がありますけれども、一遍失われた組織の有効性、あるいは一遍失われた自信を取り戻すこと、あるいは人的に壊れたものが、これはむしろ壊すためにそうなったのかもしれませんが、それを新しいシステムなり陣容として構築することにどのぐらい時間がかかるのだろうかということが、金銭では計上できない損失と申しますか、それができましたら損失と申す必要はないので、それだけのコストをかけてできたことになりますが、そういう成果に向かって再建が実際進んでいくかどうかということにはやはり非常に大きな関心がございます。
  169. 上田清司

    ○上田(清)委員 率直な御感想ありがとうございました。保険料も十倍近くふえてきたりしておりますので、今後の会計について見通しが全くつかないわけじゃないのですが、実は、私どもの党の方で銀行業界の調査をしてみました。どういう調査かといいますと世論調査であります。  どのように国民が銀行業界を考えているかということについて調査をいたしましたところ、基本的に、資本注入そのものはそんなに強い批判はないのですね。しかし、どういう不満、批判があるかというと、いわばバブルの責任をとっていないとか、つまり貸し手責任の部分ですね。先般から、佐々木議員からも指摘がありましたように、地銀以下はきちっと回答しているにもかかわらず、都銀は全然回答しない。これは衆議院議長を通じての予備的調査ですから、院の権威をかけてお願いしているのにもかかわらず、きちっと回答しないこの横着さ。この間の第一勧銀の頭取、協会長のあの非常に態度の大きな対応、そういうのが出ているのですね。経営者が責任をとっていない。これなんか一番多いですね、九〇%近く数字が出ております。  その証拠も実はございまして、先ほど退職金七億と言いましたが、請求額は五百六十六億なんですね、請求額というか、退職金の支給手取り額が。正確に申し上げると、返還要求額は五百六十六億なんですが、返還された金額は七億三千万ということで、率でいきますと一二・九%と、極めて真摯な態度に欠けている。これが一つ銀行責任の部分だというふうに思っております。  それから、民事、刑事の訴追も非常に少ない。資金援助した件数が七十二金融機関であります。九兆五千百四十五億、債務引き受けが四十億。刑事が十三件でありますが、金融機関のダブりは九件。七十二件中刑事訴追が九件しかない。民事は、さすがに三十一件ありますが、いわば銀行内部で、だれだれさん、だれだれさんというようなダブりもありますから、十八件。七十二件中十八件しかない。これは、時効の問題だとかいろいろあるのですが、余りにもそうした意味での追及がなかなかない。住専関係は割と追及しているところでありますけれども、その中に住専なんか入っていますから大したことないんです、一般金融機関は。極めて少ないのです。そういうことも含めて、銀行を甘やかしているという調査報告もあるのですね。大変よくない。  過去の清算なしに、このような形で次から次に預保の枠をふやしていくということに我々は疑念を持っておりますので、そこで民主党はペコラ委員会をつくって精査しろ、こういう要求を修正案の中で挙げているわけであります。  先ほど佐々木議員の方からも御指摘がありました。私も非常に気にしております。中小企業向けの融資を三兆近く設けたわけでありますが、結果としての信用保証協会の枠もあったり、いろいろありましたので、必ずしも銀行がこの枠を一〇〇%達成できなくても、しかるべき理由があれば私はそれでいいと思うのですが、どうも臭い。なぜこんなにいきなりぎりぎりの段階でふえるんだろうと。  これをちょっと谷垣再生委員長にお伺いしますけれども、御承知のとおり、九月末は達成率が二三%だと。あけてびっくり玉手箱という感じで私は感じました。これは、これだけの融資になって当たり前だと、十二月に通達を出し、一月に前委員長が集めて、しっかりやれ、このままだと大変だぞと言われたこともあって、叱咤激励したので、これだけたくさん、この間の発表では四兆八千億から五兆三千億のキャパですね、本当にしっかりこれだけ出されることを、私はおかしいと思ったのですが、委員長は当然だと思われましたか、それとも不思議だと思われましたか、何とも思われなかったか。三つの回答のうち一つ。
  170. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 前回の委員会のときも、たしか上田委員にお答えしたのか、どなたにお答えしたのか失念いたしましたけれども、私自身は、やはりこの三月末に目標達成というのは、前回が七千億を切っておりますから、これは容易ならぬことだなと思っておりまして、その結果が出たときに、また国会ではどのように御答弁するのかなというようなことにも実は頭を悩ましていたわけでございます。  私自身も、あるいは前任の越智先生も、あるいはお役所の面々も、機会あるごとに、こういう三兆というのはなかなか難しいかもしれないが努力をしてくれという、いろいろ要請なり慫慂をしていたことも事実でございます。そういう中で、金融機関の側から、中小企業ファンドみたいなのを設けたり、あるいはそれぞれの支店等でも重点をそこに置いたりしてやっている、まあ定性的と言っていいかどうか、そういう話は聞いておりまして、何とかいい数字が出てほしいというふうに願っていたことも事実でございます。  それで、この結果を聞きまして、これはあくまで概算値と申しますか、見込み値でございますから、先ほど佐々木委員にもお答えいたしましたように、私としてはきちっとしたコメントは今の段階ではなかなかできないわけでございますが、率直に言って、あ、こんな数字が出てきたのかと、非常にびっくりしたというのが正直なところでございます。
  171. 上田清司

    ○上田(清)委員 驚きだったという私どもと同じような感想ですので、六月ごろ、確定してから調べるんじゃなくて、私のところでも二件、先ほど佐々木憲昭議員が言われたことがございますので、ぜひ一週間以内ぐらいに調べていただいて、まさにポイントだけ調べていただくということで結構ですので、報告していただきたいというふうに思います。  それから、先ほど仙谷議員が指摘をされましたけれども、第一勧銀の九千億の償却の中で、資本金一ドルの、いわばタックスシェルターの会社にどんどんほうり込んでいる、こういういわば品性のない償却の仕方ですね、第一勧銀。まさにこれはモルガンのダミー会社を使ってやっているわけですけれども、こういうことを平気でやるような銀行が果たして公的資金を注入できるような銀行か、こういうことを私は指摘せざるを得ないですね。  この間もまだ十分納得できなかったので、先ほど佐々木憲昭議員が言われて、十五行を全部呼んで云々といっても時間もないでしょうから、先ほど銀行六行に加えて、ぜひ委員長には、この第一勧銀を出していただきたいと思います。  ある意味では、山口組のダミー会社でも使って何か取引をしているような、そういうイメージでありますね。一ドルの資本金で、しかも、本店が全部ケイマン島、私書箱七〇九なんというようなところを相手にして大変な金額を動かしている。それで、支店がエビスガーデンタワーなんという、何かわけのわからない、モルガンの日本支社のところにダミー会社の支店があるような、本当に、ペーパーカンパニーとはまさにこういうことを言うのでありまして、こういうところを相手にしているような第一勧銀とは一体何者だと、仙谷議員は余り怒っていませんでしたけれども、私は強く怒りますね、これは。第一勧銀というのはとんでもない会社だと。何が第一だ、これでは第百ぐらいだと。  それで、ぜひ第一勧銀も加えていただきたいと思います。委員長、よろしくお願いします。
  172. 金子一義

    金子委員長 既に協議事項として伺っておりますので、引き続きの理事会での協議をいただきます。  谷垣国務大臣
  173. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 ちょっと上田委員、話が先へ進まれてしまいまして、先ほど、一週間以内に調べて答えを出せということでございますが、やはり私もこの場でお答えをするとなりますと余りいいかげんなことでお答えをすることができませんので、前回、九月の中間値を出しましたときも、できるだけ前倒しをするということで努力をさせていただきました。そういう努力はさせていただきますが、ちょっと一週間というのは、いささか、胸をたたくわけにはいかぬなと思っておりますので、その点もお含みおきください。
  174. 上田清司

    ○上田(清)委員 それでは、私も以前、富士銀行の不正融資事件、なぜ富士銀行にこだわっているかというと、一兆一千億という一番資本注入の多い銀行でありまして、当時の未回収の二千七百五十億と言われている不正融資額、不正融資額全部は六千五百億でありますが、この未回収の部分に、どんな形で不良債権が膨らんだかわかりませんけれども、もっと膨らんだ可能性がありますけれども、必ずこの資本注入——お金に色はついていませんけれども、それが使われている可能性が高いということを前提にする以上、この問題はいわば銀行・金融行政のデパートなんですね。政界ルートあり、いろいろありまして。  それで、私も、全体で六千ページに及ぶ、段ボール四箱の刑事調書、司法警察員によるところの刑事調書を、克明に読みましたとは言いませんが、関係のあるところだけしっかり読ませていただきまして、いささか整理したものを皆さんにお配りしようとしたら、それは配るのはいかがなものかという衛藤筆頭理事の御指摘もあり、それもさることながらということで私も控えさせていただきましたので、若干皆様方には御報告みたいな形になりますが、この中で明らかになったことは、私も再三再四、一部の資料だけしか当時持っておりませんでしたので、大蔵委員会や決算委員会で指摘をさせていただきましたけれども、尾花万里子さんという方に対する不正融資の資料がございましたので、これは不正融資ですよということを申し上げてきて、あくまで、橋本元首相や富士銀行は、当時においては正規の融資であった、それを尾花さんは確信しておられた、そういうことをずっと言っておられましたけれども、この刑事調書を見ますと、完全にそうじゃないということが明らかになりました。  完全なうそをついておりまして、日付の問題で以前私は西村銀行局長とやり合ったことがありますけれども、もう完全にうそであったということですが、今行政そのものは継続しておりますので、これは看過できない問題だというふうに思って、改めて、この尾花万里子さんへの不正融資が、富士銀行が見て正規の融資であると思っていた、そして尾花万里子さんも、不正融資ではない、つまり正規の融資であるというふうに思っていた、そのとおりでございますということを、当時の銀行局長はなぜそういうことを言っていたのか。この刑事調書ではまるっきり違うことが書いてある。このことについて御答弁いただきたいと思います。
  175. 村井仁

    村井政務次官 御指摘の点でございますけれども、当時の大蔵省銀行局が富士銀行に確認したところでは、平成三年七月下旬に、尾花氏から富士銀行に対しまして借入金の返済をしたいという申し出があったところ、銀行としては融資した事実がない、そこで、正規の融資手続がとられていないことが判明したという経過がありまして、その後、富士銀行が事件の解明を進める中で、改めて尾花氏との間で正規の融資契約を締結した、このように私どもは聞いておるということであります。  それから、刑事調書というお話でございますけれども、これは残念ながら私どもは持っておりません。そういう意味では、委員の御指摘でございますけれども、私どもは従来、大蔵省銀行局が当時調査をいたしましたその情報に基づきましてお答えを申し上げているということでございます。
  176. 上田清司

    ○上田(清)委員 富士銀行の当時の主犯でありました中村稔氏ですか、この方は約五十日缶詰にされて、そして、事件が発覚した後に大蔵省に通告を富士銀行がする、その前に既に五十日間にわたって缶詰にして、克明にこの中村稔氏から事件のてんまつを聞いて、それを内部の報告書に書いているわけでありますから、なぜそれを見て確認しないのですか。
  177. 村井仁

    村井政務次官 いずれにいたしましても、私どもといたしまして、当時富士銀行から聴取したことを基礎にしてお答えを申し上げるしかないわけでございます。
  178. 上田清司

    ○上田(清)委員 これは究明する意思がないんですか、金融監督庁というのは。以前の国会で事実上うその答弁になってしまったという事実に対して、究明する意思はないんですか。
  179. 村井仁

    村井政務次官 この事件につきましては、前も同じようなことを申し上げた記憶がございますけれども、既に刑事事件として訴追をされ、そしてそれぞれに判決が確定し、服役中の者もあるということでありますし、中には出てきた者もおりますけれども、そういう案件でございまして、それなりの刑事的な措置がとられたという意味では、一つの事件としてはある意味では完結している問題ではないかと私は思っております。
  180. 上田清司

    ○上田(清)委員 村井次官はいつ警察庁になられたんですか。私は刑事事件の話をしているんじゃないんですよ。大蔵省の金融行政、きちっと検査をして事実を明らかにするのかしないのかということについて問われているんですよ。  この判決でも出ているじゃないですか、ずっと。高橋判決についても、大蔵省がちゃんと早く明らかにしていけば東海銀行の事件も起こらなかったんだというような判決文もあります。そういうことをやっていないから、ずっと繰り返しているんじゃないですか。東海銀行の出島さんのものなんか、印鑑が全然違っていたり筆跡が違っていてもどんどんお金が出ているよというのは、以前私は指摘したじゃないですか。そういうことについてきちっと精査したものがここで報告がないことを問題にしているんですよ。刑事事件の話なんかしていませんよ。
  181. 村井仁

    村井政務次官 今東海銀行の例もお引きになられましたけれども、平成二年から三年にかけまして、東海銀行の秋葉原支店の職員、それから富士銀行の赤坂支店の職員が共謀しまして不正にノンバンクから融資を引き出したという事件があるわけでありますが、富士銀行が隠ぺい工作をしたという点につきましては、その判決の中で、平成三年六月上旬に不正融資が富士銀行内部で発覚した後も富士銀行が同年七月下旬まで事件を公表しなかったことから、被告人がさらなる犯行を続けた、こういうことを判示している、それを指していらっしゃるんだと思います。  これにつきましては、当時大蔵省銀行局が富士銀行に調査をさせたわけでございますけれども、富士銀行平成三年六月の事件発覚後直ちに全力を傾注して事件の調査解明に努め、その全容がほぼ明らかになった七月二十五日に事件を公表し、事件の関係者を刑事告訴した。富士銀行として隠ぺい工作を行っていたというようなことは全くない、このように言っているということでありまして、私どもといたしましては、平成三年当時の一連の金融事件、不祥事、これにつきましては、本来高い公共性、社会性を有する金融機関においてこういう事件が起きたということは大変遺憾でございまして、そういうことを踏まえまして、現在は検査監督の点でも非常に厳しくやらせていただいている、そういうつもりでございます。
  182. 上田清司

    ○上田(清)委員 そういうことであれば、当時の内部報告書を出していただければいいじゃないですか。少なくとも橋本元首相や、お話ししていますから。富士銀行はその当時うそをついているんですよ、国会で。そして、西村銀行局長もずっとうそをつきっ放しですよ。大蔵省はずっと富士銀行、東海銀行の不正事項を見逃していたじゃないですか。そのことを認めるまで私はやめませんよ、この話は。認めるまで絶対やめませんよ。
  183. 村井仁

    村井政務次官 富士銀行の書面でございますけれども、これにつきましては、事件とは直接関係のない善意の取引先でございますとか、あるいはその取引先に係る担保の状況等プライバシーに関する事項が多く記載をされておりますので、これを提出するというのは、私ども、守秘義務上の観点やあるいは金融取引全体に与える影響という点から適当でないと考えております。
  184. 上田清司

    ○上田(清)委員 そんなことありません。今までにも、大蔵省の示達書を関係のあるプライバシーの部分を黒く塗りつぶして提出したことがあるじゃないですか。出せばいいじゃないですか。じゃないと、晴れないですよ。検事調書から見れば、全く大蔵省はうそをついていたということじゃないですか。私は、この大蔵委員会や決算委員会で全くばかにされたということと同じですからね。どちらが正しいかきちっとしましょうよ。そうじゃないとだめですよ。いつまでもふたをしていたら。  これは、政界ルートもあり、ウラウスリゾートで我が党の代表にもそういう話が出たり、いろいろあるのですから、国民の前へ明らかにしないと、政治家はみんなそういう人たちだという話になってしまうじゃないですか。だれが本当に悪かったのか、明らかにしようじゃないですか。だから我々は、ペコラ委員会をつくってきちっとやりましょうということを言っているわけであります。  もう時間が来たみたいであります。ちょうどこのいきさつについてさまざまな資料が届いております。その部分について、ちょっときょうは時間がないので、断片だけ話してもわかりづらいと思いますが、また次の機会にこの部分を扱わせていただきたいと思います。  どうもありがとうございました。     —————————————
  185. 金子一義

    金子委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  両案審査のため、来る十八日火曜日、参考人出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、理事会で協議決定の上、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  186. 金子一義

    金子委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次回は、来る十八日火曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十六分散会