○岩國
委員 時間も迫っておりますから、この問題はこの辺で終わりたいと思いますけれども、公的秩序を
維持するために、民間機関がそのように三十四社もそろってお金を出したのであれば、公序良俗というのは、私はそういう概念をここにも援用されるべきだと思うのです。
そのとき、なぜそのような裏
契約を尊重しなければならないのか。
法律家には
法律家の意見があるでしょう。しかし、政治家には政治家の、国会には国会の、
政府には
政府の意見というものをもっとはっきりと打ち出すべきじゃありませんか。新聞に何と書かれていますか。何となくおかしな、締まりのない話として新聞記事としては報道されております。もう少しけじめのある、
国民の利益はあくまで守ってみせる、それが
政府なんだと。これから次々とまた出てくるかもしれません、期待しているわけじゃありませんけれども。そうした第三、第四のいろいろなこういう
金融救済が出てくるたびにいつも、締まりのない、だらしのない、何かきちっと最後まで詰めたことの行われていないような行政だということになれば、
金融行政に対する非常に大きな不信につながってくる、それを私は懸念しております。
したがいまして、今の六十五億円、もう払ってしまったのだったら遅過ぎるのかもしれませんけれども、もう一度やり直してでも、意見というものをつくり直し、対抗手段をとる余地が残されている、時間的な猶予がまだあるのであれば、ぜひそれを私は闘っていただきたい、そのように申し上げて、次の
質問に移らせていただきます。
生命保険会社への公的資金の
投入についてでありますけれども、これは、
金融サービス業という大きな海の中で今までのように
保険は
保険、信託は信託、証券は証券、こういう
時代が終わってきた、ある
意味では
金融商品という
一つの
セーフティーネットワークというものが、こういう
保険に対しても公的資金が必要な
時代がやってきたのではないかな、そのように私は個人的には思います。党の意見がどう出るかはわかりませんけれども。
ただ、私がここで申し上げたいのは、
生保の中にも非常に大きいところもあれば小さいところもある、これは場合によっては
銀行以上に体力差というのが大きいのではないかと思います。
大手の
生保の場合には、かつてはウォール街もヨーロッパも、毎日毎日のマーケットを日本の
生命保険会社のお金が揺り動かしたものです。朝のメリルリンチの役員会で一番最初に出てくるのが
生保はどう動いているか、これがメリルリンチの朝の役員会の一番最初の
状況分析だったのです。
生保というのはもう英語になっていました。
銀行というのは英語になっていませんでしたけれども、
生保はもう既に英語になっておったんです。もうセイホで通用する。セイホというのはドイツの
保険会社じゃなくて日本の
保険会社だと。それぐらいに大きな存在になっておった
生保として、今のようなそういった公的資金に安易に依存するような考えがどこから出てくるのだろうかなということを、私は一面残念に思います。
最近
保険業界の雑誌にも浅谷さんという方が、これは元
大蔵省におられた
保険関係の権威の方ですけれども、浅谷輝雄さんが、今
保険業界の顧問として、年頭にことしの見通しを特別に書いておられます。その中に、公的な資金
投入が
業界のために必要だということは、幾つも問題点を挙げておられながら書いておられない。わずかに書いておられるのは、
保険契約者の
負担を軽減するため若干の公的資金が
投入されれば、障害はなくなり、そういったリスクを少なくすることにはなるだろうと。
しかし、
業界のために、組織的な公的資金の
投入ということについては、これは
保険業界を代表する主張とは言えないかもしれませんけれども、
保険業界にとって本当に今回のような
保険の
保険機構というものが必要だというほどの切実な声が上がっておったのかどうか、これを見ながら少し私は疑問に思います。
むしろ、
保険業界の
立場からいって終始一貫この中で批判し、問題視しておられるのは、ゼロ
金利政策なんです。ゼロ
金利政策でもって、
保険会社の利差益、費差益、死差益と
三つのプロフィットの出る源泉がありますけれども、その中の利差益が逆ざやになってしまった。費差益、経費のリストラに努めた。死差益、日本人はだんだん長生きになってきた。その二つのファクターはプラスですけれども、しかし、肝心の利差益、運用
資産のマージンというものはこのゼロ
金利政策によって完全に崩壊し、破壊されてしまった。そこに日本の
生保業界が急速に弱体化した原因がある。これを浅谷さんは鋭く批判しておられるのです。
ということは、
政府、日銀が今
銀行救済あるいは大手ゼネコン救済のためにとっておられる超低
金利政策がこういう
生保業界に大きなマイナスを投げかけ、結局、
銀行救済、ゼネコン救済のツケが回り回ってまた
国民のところへ返ってくる。
保険保険、言葉にしてもごろが悪いと思います。
預金保険まではまだいいのですよ、今度は
保険保険。なぜ
保険に
保険が要るのかということさえもよく納得いかないのです。
その上、原因が
業界のいろいろな問題ではなくて、ゼロ
金利政策に問題があってこういう
業界が
自分のお金を出せないということになっているとすれば、春秋の筆法をもってすれば、ゼロ
金利政策の犠牲になってきた多くの
預金者、毎年四兆円を奪われている、それをさらに
生命保険の
保険機構をつくるために公的資金を
投入するということになれば、ゼロ
金利政策の被害はまたそこに膨らんでくる、こういうことになるのじゃありませんか。
このような
考え方は間違っているかどうか、
大蔵大臣に御答弁を
お願いします。
〔
委員長退席、根本
委員長代理着席〕