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鈴木(淑)
委員 自由党の
鈴木淑夫でございます。
ただいま
審議しております
法案は、申すまでもなく
二つあるわけでございますが、本日は、その中のいわゆるペイオフ関連
法案、
預金保険法等の一部
改正法案について
質疑を進めさせていただきたいと思います。
この
法案は、よく御存じのとおり、
金融審議会の答申を
もとにいたしまして、まず
政府案の骨子ができてきた。それに対して、私ども自自公の与党三党がいろいろ検討しました結果、三党の
金融プロジェクトチームで、あるいはその上部機関である三党の政策責任者
会議でいろいろ議論をして、昨年末、
政府の方に、こういうところを直していただけないものかということを申し上げて、それを受け入れていただいてできたのがこの
法案でございます。
自自公の
金融プロジェクトチームでは、私の前に質問しました石井
委員も公明党の代表者の一人でございまして、私は自由党の責任者として入っておりました。その上部機関の政策責任者
会議でも私はメンバーの一人でございましたから、ここへ出ている
法案について何か
お尋ねをするという立場には本来ないわけでございます。ですから、うっかりすると、さっきの石井
委員のように、
政府のかわりに一生懸命しゃべっているようなことになりかねない。
そこで、きょうは、大変僣越でございますが、野党の
委員の皆様方が来週から
質疑をされるわけでございますが、それに先立って、幾つかの点で事実認識の共通の土俵をこしらえたいな、そういう問題意識から
質疑をさせていただきたいというふうに思います。これがいい悪いというより、事実認識で共通の土俵をつくりたいということでございます。
さて、このペイオフを二〇〇一年四月から解禁しようという決定は、九五年の村山自社さ政権の
もとで行われた、この事実認識をそろえておきたいと思います。そして、九六年に住専
処理をした直後にはっきりしてくるわけでございますね。
あのときの認識は、これは橋本総理の御答弁の中にはっきりあるわけですが、住専も
処理したので
不良債権問題は峠を越したと思う、ついては、まあ住専に公的資金を入れて非常に
国民の反発を買ったものですから、これからは公的資金は、信用組合の
破綻処理には使うかもしれないが、それ以外には使わなくて済むと思うとおっしゃったわけですね。それから、マネーセンターバンクはまず大丈夫だ、つぶれない、こういうふうにおっしゃったわけです。
これは、今から振り返ってみると、失礼ながら、非常に甘い見通しだったわけですね。
不良債権問題というのはもっともっと根の深い問題であり、マネーセンターバンクをも巻き込む
金融危機を生み出すほどの力を持った問題であったわけですが、そういう認識がない
もとで、二〇〇一年四月からのペイオフ解禁を決めたんだ、これをひとつ共通認識として持たなきゃいけないと思うのです。
当時、早期是正
措置の実施は決まっていた。だから、早期是正
措置、あれをやっていけば、五年ほどたって、二〇〇一年四月にはもうペイオフ解禁しても大丈夫なようになっちゃうだろう、こういう認識でスタートしたものだということもひとつ共通認識にしたいと思うのでございます。
というのは、逆に言えば、実は二〇〇一年四月にペイオフ解禁するというのは非常に甘い見通しの
もとに決めちゃったことなんですが、時の経過とともにこれは本当に大丈夫かなという不安が関係者の間に広がったわけですね。特に、悪夢のようだと先ほど
宮澤大臣がおっしゃいました、九七年から九八年に荒れ狂った
金融危機、マネーセンターバンクをも巻き込んで大変な
金融倒産、そして
金融システムの動揺が起きたわけであります。これを経た
段階で、非常に甘い認識に基づいて決めちゃったが、本当に二〇〇一年四月にペイオフ解禁して大丈夫なものだろうか。
私が承知している限り、専門家の間では、これは危ないという認識が次第に形成されたように思います。それは
金融審議会の
委員の皆さんの中でもそうだったわけですね。したがって、
金融審の答申というのは、私の目から見ますと、文字どおりのペイオフ解禁を二〇〇一年四月にやったら危ないので、ついては、何とか二年間の過渡期を置いて、一見ペイオフ解禁のごとく見えて実はあっちこっちに安全装置を新たに加える、そういうものにしよう、これが
金融審議会の答申の中身であったと私は認識をしております。
では、どういう安全装置をつけたかというと、まず第一は、決済性
預金は
保護しちゃおうというわけですね。決済性
預金は、二〇〇一年と二年、二年間
保護しちゃおう。それから、定期性
預金についても、
借り入れの担保に入っているものは
借り入れの返済に使わせちゃおうというわけですよ。ということは、大口定期
預金も、担保になっているものは事実上
保護しちゃっていることになるわけですね。さらに、公金
預金と特殊法人の
預金を
保護の対象に入れてこよう。それから、これは今までもやっていたのですが、
金融債については引き続き
保護の対象にしよう。これが
金融審議会の答申であり、それに基づく当初の
政府案であったわけです。
これは私に言わせれば、実はペイオフ解禁ではなくて、ペイオフ解禁の二年延期案であると思うのですね。ただ、官僚の皆さんというのはどうしても先輩が決めたことを覆すのを嫌がるものですから、そう言わないで、私の目から見たら、ペイオフ解禁の二年延期案を出してきたと思います。しかし、私ども与党三党で
審議した結果、これでいいのかねという議論になりました。
一番問題なのは、私、
銀行の頭取、会長に友人が大勢おりますから、聞いてみました、統計がないものですから。これは常識的にわかることです。決済性
預金を
保護しちゃいますね。残りの定期性
預金について、大口定期というのは大体担保に入っていますよ。担保に入っていない一千万を超える大口定期なんというのはほとんどないわけですよ、探し回ったって。それだけが
保護の対象外なんですね。そんなもの、
一体どのくらいありますかと聞いたら、大体、私の友人、
金融機関の役員たちは、それは一割もないかもしらぬなというようなことだったのですね。特に、公的
預金やなんかも対象になっちゃう。そうすると、これはもう九割以上を
保護する、とてもペイオフ解禁なんという代物ではないんだというふうに思うのです。
それほどの
危機感をやはり
金融審議会のメンバーも持っていたし、それに基づいた当初案をつくった官僚の諸君も、そしてそれを指揮された大臣もお持ちだったのだというふうに私は認識しているのですよ。
これは来週以降の野党の皆様の
質疑に当たって共通の認識にしておきたいというふうに思うのですが、
宮澤大臣、私、これは
預金の何割ぐらいが
保護対象にならないんだろうということについて、内々で伺いましたら、数字がないそうでございますね。
ただ、大臣、いかがでしょう。決済性
預金は
保護しちゃうよ、大口定期
預金で担保に入っているのは借入金と相殺できるので、事実上
保護されておることになるよ、そうなると、残りの一千万を超える定期
預金なんというのは幾らもないという点はいかがでございましょう。常識的に考えて、そんなものは幾らもないんだと思いますが、ほとんどは信託か何かに行っちゃうんだと思いますが、いかがでございましょうか。