○
上田(清)
委員 はい。
そこで、私は、政府の金融監督行政あるいは
検査行政の原点は、実は富士
銀行の不正融資事件にその原点があるというふうに
理解をしております。
御記憶も随分去ってしまったかもしれませんが、たまたま予算
委員会で我が党の代表であります鳩山代表に対するさまざまなやみ献金疑惑という形で、改めてこの富士
銀行の不正融資事件にかかわった、いわば核心に迫る花田さんという方の手記がさる雑誌に出て、問題が出てまいりました。
これはいい機会だなということで、一連の
銀行、金融関係の破綻のその後の調査やあるいは原因解明、責任追及についても、この富士
銀行でふたを閉めたからその後何もできなくなったのではないのかという認識を私は実は持っておりまして、これをもう一度徹底的に解明する必要があるというふうに思っております。
概略を御説明いたしますと、ぜひ
思い起こしていただきたいのですが、九二年のころに、これは当時
大蔵大臣は前総理の橋本
大蔵大臣でありました。富士
銀行赤坂支店の渉外課長でありました中村稔という方を中心に約六千五百億の不正融資が行われ、正確な数字で申し上げますと、その
回収できなかった
不良債権額が二千五百七十億、こういう大きな数字で出ております。
御承知のとおり、富士
銀行には二度にわたって合計一兆一千億の資本注入が国民の名のもとになされております。もし、この
回収不能になった二千五百七十億のお金が、この一兆一千億の中から処理をされるというふうに勝手に仮定いたしますと、お金に色はついていないので、このお金ではないと言ってしまえば、またそれはそれで
一つの
議論になるかもしれませんが、私は、この一兆一千億、国民が
銀行に貸して、そして立ち直ってほしい、そういう
意味で貸したお金も、もしこの富士
銀行の不正融資事件のしりぬぐいの中に使われるとしたら、やはりこの問題も大きく取り上げる必要があるというふうに思っております。
この中で、実は、中村稔氏そして花田氏、そして、実は予算
委員会で証人喚問もなされました、実際実現はできなかったのですが、橋本前総理の秘書でありました小林豊機氏、この三人を中心に、いろいろな形で、さまざまな政治家も絡みながら、不正融資事件が起きております。その中の
一つとして我が党の代表も扱われているものだというふうに認識しておりますが。
いずれにしても、これは膨大な員面調書あるいは警察庁の調書がございまして、私は、段ボール四箱見させていただいております。以前から見ておりました。大変、この間における富士
銀行の隠ぺい工作、そしてそれに手をかした大蔵省、この構図は明らかであります。また、そのような答弁も、大蔵
委員会、決算
委員会で、西村元
銀行局長、あるいはその答弁をいわば訂正した山口
銀行局長の答弁の記録も、私の手元に残っております。四十五日もさかのぼって富士
銀行の役員の稟議書が、内部の慣行だから許されるというふうに堂々と発言した当時の西村
銀行局長、そしてその後、山口
銀行局長は適切ではないという答弁の訂正をなされましたが、平気で何度も内部の慣行だと言って大蔵省は当時開き直っておった、こういう事実であります。
そこで、ここに
一つさわりの部分だけを持ってまいりました。これは、先ほど申しました主犯の中村稔氏の供述調書、「
平成四年二月二一日警視庁刑事部捜査第二課において、本職は、あらかじめ被疑者に対し」、被疑者というのが中村稔さんですが、「自己の意思に反して供述をする必要がない旨を告げて取り調べたところ、任意次のとおり供述した。」ということでありまして、この中で、先ほど申し上げました、我が党の代表にいわれなき誹謗中傷をなさっておられます花田さんが、核心的な発言をしておられます。
ちょっと読み上げていきますが、「私は、三月二二日」、これは九二年当時でありますが、「三月二二日ころの午後ころ全日販に行くと、」全日販というのは花田さんの
会社であります、全日販の
社長をやっていたのが花田さんでありますが、「いつものように
社長室に入りました。そして花田
社長に例の件だけど花ちゃん、三月二九日に五〇億ひっぱるからハンコがいるので鈴木専務にも話しておいて下さい。」中村稔というのは、先ほど申し上げましたように富士
銀行赤坂支店の渉外課長であります。五十億引っ張るから判こを用意しておいてくれと。
ずっと、一連の不正融資の
一つのパターンでありますが、この辺は余り読んでもいかがなものかと
思いますので、少し省略させていただきます。
そして、要するに、不正融資を行うという話をしていたわけでありますが、その後、「花田
社長は、課長、ありがとうございます。それでいきましょう。金さえあれば、認可なんかうちの得意とするところですから、やれますよ。今日も園田(
社長)の紹介で、お兄さんの園田
先生と松岡
先生と一緒に昼めしを食ってお願いしてきたんだ。課長、これはいけますよ、と興奮した口ぶりでいったのです。」と。この間、この認可というのは、ウラウスリゾート事業計画におけるスキー場や、ゴルフ場の許認可関連のことであるということも添え書きをしてあります。
このように、実はこうした員面調書の中にたくさん、当時の富士
銀行にかかわる大変いろいろな不正融資の事実、このことを明らかにしておりますが、それが
国会の
質疑の場ではほとんど無視をされるという形で、調査報告書も出されておりません。もちろん、内部の
検討委員会もございました。なぜこの問題を
国会が全力を挙げて、あるいは大蔵省がいわば金融問題の原点として取り上げていかないのか、このことについて改めて、
宮澤大蔵大臣、当時のいきさつも含めて御記憶にあるかと
思いますので、なぜ調査報告書が出ないのでしょうか。