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2000-03-14 第147回国会 衆議院 大蔵委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年三月十四日(火曜日)     午後二時三十一分開議  出席委員    委員長 金子 一義君    理事 衛藤征士郎君 理事 鴨下 一郎君    理事 根本  匠君 理事 渡辺 喜美君    理事 上田 清司君 理事 北橋 健治君    理事 石井 啓一君 理事 鈴木 淑夫君       石原 伸晃君    大石 秀政君       大野 功統君    河井 克行君       桜田 義孝君    塩谷  立君       下村 博文君    砂田 圭佑君       高市 早苗君    西川 公也君       能勢 和子君    林  幹雄君       宮本 一三君    村井  仁君       村上誠一郎君    渡辺 博道君       岩國 哲人君    岡田 克也君       河村たかし君    末松 義規君       仙谷 由人君    中川 正春君       谷口 隆義君    並木 正芳君       若松 謙維君    安倍 基雄君       一川 保夫君    西田  猛君       佐々木憲昭君    中林よし子君       矢島 恒夫君    横光 克彦君     …………………………………    大蔵大臣         宮澤 喜一君    国務大臣    (金融再生委員会委員長) 谷垣 禎一君    金融再生政務次官     村井  仁君    総務政務次官       持永 和見君    大蔵政務次官       大野 功統君    政府参考人           (警察庁長官官房審議官) 上田 正文君    政府参考人    (総務庁行政管理局長)  瀧上 信光君    政府参考人    (大蔵省関税局長)    渡辺 裕泰君    政府参考人    (海上保安庁長官)    荒井 正吾君    参考人    (預金保険機構理事長)  松田  昇君    大蔵委員会専門員     田頭 基典君     ————————————— 委員の異動 三月十四日  辞任         補欠選任   桜井  新君     能勢 和子君   佐々木憲昭君     中林よし子君 同日  辞任         補欠選任   能勢 和子君     桜井  新君   中林よし子君     佐々木憲昭君     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  国家公務員等旅費に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第二一号)  関税定率法等の一部を改正する法律案内閣提出第二二号)     午後二時三十一分開議      ————◇—————
  2. 金子一義

    金子委員長 これより会議を開きます。  内閣提出国家公務員等旅費に関する法律の一部を改正する法律案及び関税定率法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  この際、お諮りいたします。  両案審査のため、本日、参考人として預金保険機構理事長松田昇君の出席を求め、意見を聴取し、政府参考人として警察庁長官官房審議官上田正文君、海上保安庁長官荒井正吾君、大蔵省関税局長渡辺裕泰君、総務庁行政管理局長瀧信光君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 金子一義

    金子委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 金子一義

    金子委員長 これより質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。砂田圭佑君。
  5. 砂田圭佑

    砂田委員 自由民主党の砂田圭佑でございます。短い時間ではありますけれども、端的な質問をしたいと思います。  このたびの関税定率法改正について伺います。  私は、もともと神戸の生まれでございますから、神戸港で常にこういうことについていろいろ見聞きをしている、そういうことが身についている、そういう極めて素人臭い質問でありますけれども、税関長輸入を承認して、そして指定した貨物については特例申告を認める、そして申告検査基本的に省略して貨物引き取りを許可するという制度がこのたび新しくできるわけでございますけれども、やはり海辺に住む者としては、麻薬とかけん銃とかそういうものの密輸入品が入ってくることを、こういう形で完全にチェックできるのかどうか、そこのところをぜひお伺いしたいと思います。
  6. 大野功統

    大野(功)政務次官 砂田先生指摘簡易申告制度でございます。今まで、基本的に引き取り申告とそれから納税申告とをあわせて行っておりましたけれども、引き取り申告納税申告を分けて、そして信用ある輸入者については、しかも同じ品目、これも品目HS九けたで特定いたしますけれども、これは最終分類でございますが、しかも年間頻繁に行う、二十四回程度以上行う、こういう信用できる輸入者につきましては簡易申告を認める。すなわち、どういう意味かといいますと、インボイスなしで、納税は後でして結構ですと、品物を即座に引き取ってもらう。大変スピーディーというか、輸入される物が入ってくる時間がわかるわけですから、輸入者にとっては大変便利な制度でございます。  原則として、そういうスピーディーな、いわば迅速な処理を行うわけでございますけれども、一方において先生の御心配は、適正な検査が行えるのかどうか、こういう問題であります。これは、仮にそういう心配があるとすれば、二つに分けて考えられると思うのでありますけれども、一つは、例えば税金逋脱のおそれがある、関税逋脱のおそれがある、こういう疑いがあるときは、いつでもそういう検査をする権利を留保いたしております。  それからもう一つは、先生指摘の一番大きな社会悪の追放、麻薬とか覚せい剤でございます。あるいは銃砲等でございます。こういうものについては断固戦っていく、これは全く別の系統の話でございますから、そういう話がありましたら徹底的に検査をして社会悪を追放したい、こういう心構えで対応するつもりでございます。
  7. 砂田圭佑

    砂田委員 ありがとうございます。ぜひとも麻薬あるいは銃砲等については、厳重なチェックをお願い申し上げたいと思います。  それでは次に、整理回収機構回収業務についてお伺いをいたしたいと思います。  整理回収機構は、もともと住専問題から端を発して、住宅金融債権管理機構、それと整理回収銀行の合併で始まったところであります。不良債権回収について機構が大変御努力をしておられる、また関係者の大変な努力が重なって成果を上げておられるということについては、敬意を表するところでございます。しかしながら、不良債権ではありますけれども、回収される方はなかなか厳しい状況であるだけに、いろいろな疑問とか不満とかいうようなことが出つつある、そんな話も耳にするところでございます。  そこで、まずこの整理回収機構の性格、その目的、そしてまた合併して株式会社組織になっているのですが、いわゆる民間的な株式会社組織がもたらすメリットについて、これは本来整理回収機構に直接聞くところでありますけれども、その背景であります預金保険機構がすべての株主でもありますので、預金保険機構松田理事長からお伺いをしたいと思います。よろしくお願いします。
  8. 大野功統

    大野(功)政務次官 整理回収機構につきましては、先生指摘のとおり、預金保険機構一〇〇%出資の民間株式会社でございます。なぜ民間にしたか、それはやはり透明なルール、公正なルールできちっと市場原則に基づいて仕事をすべきである、こういう思想があろうかと思います。その仕事は、御存じのとおり、まず住専から引き継ぎました不良資産、あるいは破綻金融機関から引き継いでおります資産、それから一般金融機関から買います資産等管理回収を行うわけでございまして、管理回収をいち早くスピーディーに行うことによりまして、とにかく金融システム安定化を目指していこう、それによって日本経済再生を目指していこう、これが目的でございます。  したがいまして、運用ルールは明らかに、公正であるということ、それから透明であるということ、そして早くやらないといけないということですから、まず整理回収機構考え方としては、三原則でございますけれども、まず第一にしっかりしている、ファームである、それからスピーディーである、早くやらなければいけない、それからクリーンである、こういうことを三原則としているところでございます。  その背景にあるものは、やはり二次ロスが出ればそれはタックスペイヤーの負担になるじゃないか、こういう問題があろうかと思います。二次ロスが出れば、それは特例業務勘定あるいは再生勘定、場合によっては健全化勘定から出ていくわけですから、これはきちっとしておかなきゃいけない、こういうことだと思います。  しかし、先生十分御存じのとおり、一件一件の債権債務関係にはその背景にいろいろなストーリーがあるのじゃないか、こういうふうに思うわけでございます。したがいまして、前の社長の中坊さんがおっしゃっています、血も涙もある回収、私はけだし名言だなと思っているのでありますが、やはり、血も涙もある回収ということも一方において心がけなきゃいけない。そのためには、一件ごとの事情を十分承る相談窓口を拡充していかなきゃいけない、こういうことがあろうかと思いますので、一方において相談窓口を十分拡充強化しながら頑張っていく、こういうことでございます。
  9. 砂田圭佑

    砂田委員 今まで、過去の住専不良債権の中には、大変バブルに乗じた悪質な不良債権もあったという気がいたしますし、当然、今の政務次官のお話のように回収を急いでやらなきゃならない、そういう本当の意味不良債権、そういうものについては徹底して回収が望まれるところであります。ただ、その後発生した銀行破綻、そういうものがもたらした不良債権というものの中には、やはりその大半が中小企業が対象になっているというのもまた事実ではないかという気がいたします。  そういう意味で、自分が今までつき合っていた、取引をしていた銀行さえつぶれなければ何とか生き延びられた、言うなれば善意のといいますか、そういう借り手もその中にはたくさんあるのじゃないかという気がいたします。そういう善意借り手、まあ不良債権ですから当然、法的には借りたものは返さなきゃならないのは基本でありますけれども、そういう中で、そういう善意の、善良な借り手というものの存在というのは機構の中ではお認めでしょうかどうか、伺います。
  10. 大野功統

    大野(功)政務次官 これからの金融行政でございますけれども、一般論として申し上げたいと思います。  やはり、今砂田先生がおっしゃったように、システム全体を考えていくということが大事であろう。そういう意味で、借り手をどうするのか、システミックリスクをどう考えたらいいのか、こういう点は十分考えていかざるを得ない。そういう思想で今度の新しい預金保険機構改正もでき上がっていると私は承知いたしております。  今、具体的にそれでは整理回収機構がそういうことを一々考えているかどうか、これは私の立場から申し上げるのは筋違いと思いますけれども、一般論として、先ほど申し上げましたように、窓口十分事情をお伺いしている、このことを再度申し上げたいと思います。
  11. 砂田圭佑

    砂田委員 金融機能早期健全化法という法律目的は、何といいましても、我が国の経済活性化がその法律目的になっているわけであります。まさにそういう経済活性化基本になる、底力になるものは中小企業ではないかという思いがいたします。そういう経済の源泉になる中小企業、そういうところに対して、整理回収機構不良債権回収しなければならないのは当然でありますけれども、回収に当たって担保を売却する、当然のことであります。担保を売却してそれを債権取り立ての中に入れていく。しかしながら、全額を取り立てようという思いが強いばかりに、担保を売却してもなお、もちろん債務を完済するわけにいかないわけでありますから、膨大な債務がそういう人たちのところに残る。そうなりますと、それ以上の回収は、将来その会社が、回復しよう、あるいは復帰しよう、今までどおりだったらというときに、回収を急がれる余りに資金繰りがつかない、そして、結果として倒産を招きかねない、そういうところもたくさんあるやに聞いているわけでございます。  整理回収機構におかれては、そういう中小企業に対する回収について十分な状況を把握していただいて、先ほど次官からもお話ありましたけれども、時には一定の配慮とか、あるいは少し自制をするとかいうようなことが求められているという気がいたします。少なくとも、間違っても、悪質な債務者と同じようなレベルで債務者財産の強制的な捜査権、権限を発動するとか、あるいはそういう公的な力、いずれにしても、国策会社でありますから、あるいは国策を遂行する会社でありますから、当然のこと、懸命に回収をしなきゃなりませんけれども、まだまだこれから生き延びられる、そういう中小企業に対する配慮、そういうものをお考えいただいているかどうか。あくまでも公権で回収を進めていくということではなくて、生き延びる中小企業に対して御配慮をいただいているかどうか、そこのところをお伺いしたいと思います。
  12. 松田昇

    松田参考人 お答えをいたします。  今先生指摘のことはまことにそのとおりだと思いますが、債務者にもいろいろございまして、特に住専関係では、悪質な債務者については厳しい法的、例えば告発とか、私どもの持っている財産調査権の発動による隠匿資産の摘発とか、そういうことを厳重にやっていくということも非常に大事なことだと思います。これは引き続きやらなきゃいけませんけれども、一方で、先生指摘のような誠意ある債務者もたくさんいるわけでございますので、それにつきましては、債務者の個別的な事情をよくよく聞いて、それにも配慮しながら回収を行っていくということを今考えておりますし、そういう指導を行っているところでございます。  整理回収機構には相談室がございまして、個別の申し出があればそれを受け付けることにもなっております。引き続き、預金保険機構としてもそのような指導は徹底していきたい、このように思っております。
  13. 砂田圭佑

    砂田委員 いずれにしても、日本経済再生ということで考えれば、これはもう、前回の国会中小企業対策国会であったという気もいたしますし、今も、日本経済再生は、やはり中小企業がしっかりしなきゃ、育たなきゃならないということが前提になっていると思います。現場皆さんがつい回収を急ぐ余りに、中小企業、いわば善良な借り手の息の根をとめてしまうというようなことが起こりますと、日本社会全体としての安定、あるいは日本経済の足を引っ張ることにもなりかねない。そして、その結果としては失業者がふえる、あるいは生活扶助者がふえていくということを大変危惧するものでありますし、そういうことが起これば行政コストもだんだん高くなるということにもなります。整理回収機構の慎重な御対応をぜひともお願い申し上げておきたいと思います。  そして、時間がありませんが、今次官もおっしゃいました、中坊前社長が血も涙もある回収ということを盛んに強調されておりました。基本的な精神としてそういう形を持ちながら皆さんが御努力なさっていることは承知でありますけれども、血も涙もある回収とは、一体、現場のところではどういう面でそういうことが実際出ているか、その辺を少し具体的にお聞かせいただければありがたいと思うのですが。
  14. 松田昇

    松田参考人 血も涙もある回収というのが具体的にどういう場合かというのは、例えば、個別の案件で、相談室に持ち込まれて、整理回収機構社長の裁断でいろいろな弾力的な取り扱いをしているのですけれども、例えば、その一つとしては、返済額についていろいろ交渉して変更することもあり得べし、それから、担保物件の処分について猶予することもありましょう、そのようなことがいろいろございまして、個別の債務者の個別的な事情に応じながら、しかし、基本的には債権早期回収基本的使命でございますので、そのちょうどバランスのとれたところで苦慮しながら対応している、こういうことでございます。
  15. 砂田圭佑

    砂田委員 ありがとうございました。  ちょっと時間がありませんけれども、あと一つだけ、あと一分ほどのことでありますけれども、前もって御通告もしておりませんけれども、今の旅費規定の改定であります。  私は、小さな商売をして人を使った経験からいうと、これ以上何でもかんでもお役人を締めつけていくというような形のもの、これは考えようでありますけれども、今までの旅費がぜいたくだったのかどうかはわかりませんけれども、リストラクチャーという名のもとに何でもかんでもそういうものを縮めていくということが、果たして、お役人国家のために働く意欲をそぐのではないか、そんな思いもいたします。その辺について、御感想で結構です。
  16. 大野功統

    大野(功)政務次官 大変お励ましのお言葉で、ありがたく思います。  今の法律昭和三十一年からできておりまして、当時航空機は二段階であったのですが、その後、昭和六十一年からヨーロッパ線、それから平成四年からアメリカ線、それぞれ三段階になった。三段階になっても、実際の運用ファーストに乗れる者が実はビジネスで行っている、そういう涙ぐましい努力をやっていたわけでございますが、今の民間の厳しい経済状況の中におけるリストラの努力、そういう厳しい経営態度を見れば、こういう努力をするのは当然だと私は思っています。運用上は当然そういうことをやっているわけでございます。  それが士気に影響するじゃないか、こういう御指摘でございますけれども、実はエコノミークラスに該当する者でも、例えば距離に応じて、通常八時間ぐらいを考えておりますが、八時間以上飛んで国際交渉をやらなきゃいけない、こういう場合はビジネスに乗って結構です、こういう規定を置いておりますので、そういう場合は疲れなく仕事ができる。  みんな一生懸命そういう規定のもとに現実にやっていることを今回法制化した、こういう趣旨でございますので、どうぞ御理解のほどをよろしくお願いいたします。
  17. 砂田圭佑

    砂田委員 ぜひとも官僚の諸君には頑張っていただきたいと思います。  時間になりましたので、終わります。
  18. 金子一義

    金子委員長 次に、北橋健治君。
  19. 北橋健治

    北橋委員 民主党の北橋健治でございます。  まず、旅費法案につきまして質問させていただきますが、今回は行政コスト削減を図るという意味におきまして、官僚皆さんからしますと、六百三十人とも言われているファーストクラスを利用されていた方が、今回の改正で七十人ぐらいに絞り込まれる。これによって五%ぐらい、四億円強のコスト削減につながるということでございまして、基本的にはこの改正方向を是としたいと思うのでございます。  この中で新たに、閣僚クラスが重要な交渉をするときに、現実には課長なりあるいは総括班長と言われる人たちが実際に外国に出張されて、大変事前に苦労しながら徹底的に議論を闘わせているのだろうと私は思うのですが、その実動部隊人たちはどうなるかといえば、今回はビジネスクラスという扱いがあるのですけれども、若干気になりましたのは、アジア海外出張する場合にはエコノミーで行く。  要するに八時間以上乗る件についてはビジネスだということなんですけれども、果たして、私は野党の立場ではあるのですが、アジアといっても、これからASEANその他ますます欧米からアジアに目を向けていかなければいけないときに、日本国政府としてもたくさんの職員アジア諸国に派遣する場合があるのですが、八時間もエコノミーに乗って仕事になるのですか。私も新幹線に乗っておりまして、大体四時間が限度だなと思うのですが、四時間なり五時間というところでビジネスを利用できる、そういう検討があってもいいのではないかと思うのですが、政務次官、どうでしょう。
  20. 大野功統

    大野(功)政務次官 御指摘のとおり、以下はビジネスには乗れないというところでございますけれども、例えばカンボジア、ラオス、ベトナム、モンゴル、こうきちっとなっております。ではビジネスに乗れるのは今北橋先生指摘のとおり四時間なのか、何時間なのかという議論でございますけれども、我々の考え方は、勤務時間八時間だから、八時間以上乗った場合にはビジネスに乗れるようにしてあげないと、いかにも疲れ果てて国際交渉も何もできないのじゃないか、こういう考え方でございます。  そういう考え方に基づいてとりあえず地域を決めている、それを四時間か五時間にしろ、こういうありがたい御指摘でございますが、これはまた別の問題として改めて検討をしなきゃいけない。今回は八時間という勤務時間を念頭に置いて決めたものでございます。
  21. 北橋健治

    北橋委員 私も伝え聞くところによりますと、アメリカの国務省の職員海外出張をすると、時差もあります、大変ですので、例えば二十四時間を、その間ジェットラグの対応のために時間を置いてから海外会議に出るようにしているとか、そういうシステムを聞いたことがあるのですが、そういう国々の職員人事管理のこともよく調べられまして、私は、必ずしも勤務時間が八時間だということだけではなく、やはり健康管理といいますか、そういった面から見ても弾力的に今後検討されてもよいのではないか、そのように感想を述べておきたいと思っております。  二番目に、大臣にお伺いいたしますが、これは法案に直接関連したことではございませんが、私は、国会議員も今ファーストクラス海外出張しているのは見直してはどうかという意見を持っております。  私はこれまで、テレビ宮澤大臣が過去出られたので非常に感動した一件がございまして、吉田総理に言われて池田勇人さんと一緒にサンフランシスコ平和条約事前の折衝にワシントンに行かれて、人脈も何もないときに、旅館で福神漬け日本酒をちびちびやりながら、人脈づくりで物すごく苦労をされた。私、その若いころのテレビの記録を見まして非常に感銘を受けたことがあるのですが、そうやってみんな苦労しながら海外との人脈をつくってきたのですね。  やはりこれだけの借金を抱えて、官公庁のみならず我々議会人に対しても世間の視線が厳しくなっているときに、今回次官級ファーストクラスで行こうというのを残しているのですが、私は、これは議運で話し合うことなのであえてそれ以上申し上げられないのですが、基本的には国会議員ビジネスクラスで出張するようにしてはどうか。そのことを、大臣、もし御所見があれば聞きたいのです。  それともう一つ国会議員が今後議運での話し合いによってファーストクラスを見直してビジネスで行くようになったときには、私は今現在の次官級方々ファーストクラスはやめた方がいいのではないか。やはりタックスペイヤー視線というものを我々は十分認識して対処すべきだと思うのですが、大臣にもし御所見があれば聞かせていただきたいと思います。
  22. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ちょっと何とも申し上げにくいことでありますが、国会議員方々が公務でお出かけになるときは、やはりファーストクラスで行かれていいのではないかと思います。  それと役所の方のそれとの連動のことはよくわかりませんけれども。
  23. 北橋健治

    北橋委員 私は国会議員ビジネスに乗るべきだと思っておりますので、大変残念でございますけれども、まあ、これは議運での話し合いでございますので、議運での話し合いを見守りたいと思っております。  続きまして、関税定率法改正案につきまして、特に関心の深い事項について絞って質問をさせていただきます。  まず、今回の法改正簡易申告制度を導入するということでございますが、これは関係省の間でこれまで長い間論議をされまして一つ方向性を見出された、その方向性については理解をする一人でございます。  しかしながら、何事も新しい制度に踏み込むときには心配をする向きも他面にございまして、そういった意味では、例えば銃器あるいは麻薬社会悪と言われているものが昨今密輸されるケースが急増している、そういう状況からしましても、水際での対応に手抜かりはないだろうか、そういう声もあるわけでございます。  この簡易申告制度の導入に当たりまして、そのような懸念はないと言い切れるか、大蔵省の見解を聞きたいと思います。
  24. 大野功統

    大野(功)政務次官 先ほど砂田先生の御質問にもお答え申し上げましたけれども、この簡易申告制度社会悪である麻薬覚せい剤等あるいは銃器等の問題は別の問題でございます。むしろ逆に、簡易申告制度を遂行することによりまして、余裕ができましたら、その余裕をそういう社会悪の摘発に振り向けたい、こういうふうに考えているところでございます。  水際の問題、御心配いただいているとおり、水際で摘発されるものがもう六割から七割台に上がってきておりますので、その点の御指摘を十分に踏まえて頑張ってまいります。
  25. 北橋健治

    北橋委員 別問題だとおっしゃったのですけれども、現実には、私、心配をされている皆さん方の御意見を十分聞くチャンスがなかったのでございますが、しかし、このような形で導入されますと、そういう社会悪の密輸をねらっている人たちが巧みにこの制度に便乗して悪用するのではないか、そういう心配があるわけなんですが、そういうものに対する見解としては不十分だと思うのです。再度答弁を求めます。
  26. 大野功統

    大野(功)政務次官 まず、簡易申告制度を適用できる輸入業者を選定するに当たりましては、過去に非違がなかったこと、当然でございます。過去にそういう関税の方の逋脱がなかったことは当然でございますけれども、麻薬等の問題もなかったこと、当然でございます。それから、もし仮にそういう麻薬等の疑いがあれば検査することは当たり前でございますので、それは当然のことでございます。  そういう意味で、私、先ほど別問題と申し上げた次第でございます。
  27. 北橋健治

    北橋委員 この新しい制度は、法令の遵守という大前提を置いてこれから運用されると思いますけれども、いささかもそのような懸念が出ないように、万全の対応をとっていただきたいと思います。  続きまして、麻薬、大麻あるいは銃器等、いわゆるそういう社会悪と言われるものが昨今大量に日本に向かってきている、そういうことをいろいろな方々から聞くわけでございます。それに対して、税関、海上保安庁、警察あるいは入管、関係官庁が協力をして、あるいは外国の捜査機関とも連携をとりながら、水際で食いとめるために必死の努力をされているやに私も聞いております。果たして、その要員体制あるいは予算というものが十分であるのだろうか、そういう観点から、以下、質問させていただきます。  まず、警察庁にきょうはお越しいただいておりますが、昨今、青少年あるいは主婦を初め、麻薬等の摘発が急増している、大量の覚せい剤日本を襲っている、このように警察庁もレポートをまとめておりますし、いろいろな面で努力をされていると思いますが、今現在、摘発されている人はほんの一部分だろうと思うのです。果たして、一体どれぐらいの人たちがこの覚せい剤等に手を染めていると認識されているか、まず実態についてわかっていれば示していただきたいと思います。
  28. 上田正文

    上田政府参考人 私どもが持っております推計値でございますけれども、約二百万人ぐらいではないか、こう思っております。薬物に手を染めている可能性のある人間は二百万人ぐらいだと思っております。
  29. 北橋健治

    北橋委員 二百万というのは大変な数でございますが、何でも、警察庁の外郭団体では二百二十万という数字も私は聞いたことがありますが、その推定の根拠を教えていただけますか。
  30. 上田正文

    上田政府参考人 今手元にその正確なお答えをする用意がないのでありますが、要するに、何千人かのアンケートをとりまして、自分の周囲で薬物等に手を出している人間を見たことがあるかといったふうな質問をとりまして、その辺から推計をしたものでございます。
  31. 北橋健治

    北橋委員 いずれにしても、二百万という、若干の誤差があるにしましても、大変な脅威になってきていることは間違いないということがよくわかったわけでございます。  そこで、その社会悪と言われるものがどうやって日本の国内に上がってくるかでありますが、税関の職員皆さんがチェックをするときに、例えば、異常に雰囲気がおかしいから不審に思って尋問をして、中をよく見てみると実に巧妙に大麻やそういったものが隠されていることを発見したとか、大変な、税関職員の長年のトレーニングといいますかプロ感覚といいますか、そういったものでかなり摘発をされているやにも聞いていますが、同時に、ゴムボートに乗って海岸にこっそりと運び入れて、そこでたまたま情報をキャッチした当局が摘発をしたという事例も、いろいろなケースがあります。  そこで、きょうは海上保安庁の方に来ていただいていると思うのですが、海、つまり洋上で取引をすれば税関を通らないわけです。よく、通信機などを使いまして証拠が残らないように場所と時間を決めて、そこで手渡しますと、今度はその証拠物件を海に捨てれば逃走できるということでございますが、こういう洋上取引がふえてきていると言われているのですが、その現状と、海上保安庁はどう対応されているか、お伺いします。
  32. 荒井正吾

    荒井政府参考人 海上保安庁からお答え申し上げます。  薬物の密輸入される形態を見ますと、委員指摘のとおり、最近、洋上での瀬取りによって上陸するというケースがふえておりますが、そのほかにも、堂々と入港されて、隠し持って搬入される、あるいは、日本の手引き、暴力団等の日本船によって瀬取りをして上がってくるというようなケースがございます。  それに対して、どの程度入っておるかなかなかうかがい知れないのですが、捕捉の率を上げるために、洋上での疑わしい行動をする船舶の動静を監視する能力を高める、あるいは、怪しげな船が非常に暗いところ、船の通らないところをうろうろしているのを監視して追尾するといったような、怪しげな船の絞り込みと監視の強化ということは大きな対応策であろうかと思っております。  それに対して、不十分ではございますが、装備と人員の訓練にいろいろ工夫を凝らして、今後とも、そのような怪しげな船舶の絞り込み、動静監視、捕捉ということに実効を上げていきたいと考えております。
  33. 北橋健治

    北橋委員 海上保安庁と警察庁に改めてお伺いいたしますが、現在の人員その他の体制で、本当にこの激増する社会悪の物品を押さえることができるかどうかという率直な疑問に対してお答えいただきたいのですが、平成六年から十年までの五年間に、覚せい剤で押収されたのは千七百七十キログラムという数字があります。それが、平成十一年だけで実に千九百七十五・九キロ、過去五年間を上回るものが去年一年間で押収されているわけです。物すごい激増でございます。  したがいまして、私は、これまでも関係官庁は精いっぱいの努力をされてきたということは承知をしておりますけれども、これまでのような要員体制で果たして水際でとめることができるのだろうか、大変不安に思うわけです。  率直なところ、警察庁と海上保安庁は、平成十一年、過去五年分を上回る分が一気に押し寄せてきた、この異常なる事態に対応して、新たにこの平成十二年度に向けてどういう対応をとろうとされているのか。率直に、人員が足りないといえば足りないと言っていただいて結構ですから、その辺の方針を聞かせてください。
  34. 上田正文

    上田政府参考人 お答えします。  警察としましても、ここ二年ぐらいの特に覚せい剤の大量密輸入については非常に危機感を持っております。  これにつきましては、現在の所要の体制、これをフルに活用し、また海上保安庁あるいは税関等の関係機関、そして外国の関係機関と連携を密にしながら、いわゆる流入のルートの解明、そしてそれの摘発、そして国内のいろいろな情報等からの突き上げ等によりまして、そういう密輸入の言うならばパイプを絞っていく、そういう努力をしたいというふうに考えております。
  35. 荒井正吾

    荒井政府参考人 北橋委員の御指摘ではございますが、人員が欲しいのはやまやまではございますけれども、現在の状況を見ますと、犯罪を行われる人たちの悪知恵というのが大変進んでおりますので、現在力を入れておりますのは、立入検査をしたときに薬物が発見できる機械でございますとか、船艇の怪しげな行動を遠隔から監視できる装置でございますとか、怪しげな船の動静を絞り込むようなコンピューターのシステムでございますとか、いろいろな装備に工夫を凝らして、それに人員を張りつけて能力を高めるということを積み重ねておるところでございます。  今後とも、人員及び体制の強化については、敵を上回る勢力を築き上げたいと考えております。方向といたしまして、いろいろな能力を、特に情報システムを活用した新しい装備を充実させて対応していきたいと考えておるところでございます。
  36. 北橋健治

    北橋委員 今、第三次覚せい剤乱用期と言われて、二百万と言われる人たちが手を染めているのではないか、大変深刻な事態になっているわけです。政府も九八年から二〇〇二年まで薬物乱用防止五カ年戦略を立てて頑張っていることはわかっております。しかし、今のお話を聞いておりますと、過去五年を上回るこういう社会悪の物品が去年押収されたという、本当にショッキングな危機的な状況対応するにしては、私はまだまだ不十分ではないかと思っております。  そういった意味で、定員をふやすとなりますと、まずは皆様方のそれぞれの官庁でやりくりをして、減らすところは減らすということも必要でしょうから、大変しんどい作業であることはわかるのですが、海上保安庁並びに警察庁におかれましても、この事態が大変重大な脅威を日本に与えていることにかんがみまして、次年度に向けて要求されるときには、思い切り、腹を据えて要求をしていただきたいと思っております。  続きまして、税関の定員に関連してお伺いするわけでございますが、私も、税関がどのようにして覚せい剤等を発見しているかと見ますと、本当に涙ぐましい努力をされていると思うわけです。また、麻薬犬の訓練等で麻薬犬によって発見されることもあります。でも、多くの発見をしたときというのは、本当に様子がおかしいとかアタッシュケースが妙に重さが違う、バランスが崩れているとか、これはもう本当に一人一人の特別の長い間の訓練、そして組織的規律で鍛えられてきた人たちならではの手法にゆだねられていると私は思うのですね。  それにしては、定員は非常に少ないのではないか、また処遇についてももっともっと再検討すべきではないかと思うのです。特に、最近は大きな港や飛行場についてはそれなりの定員が確保されていますが、どうしても手薄な地方の港なんかに最近そういう覚せい剤等が密輸されるケースがふえてきている。そういった意味におきまして、やはり国税職員のときにも質問いたしましたけれども、私は、税関につきましても腹をくくって、総務庁その他に要求すべきと思うのです。  そこで、きょうは総務庁の政務次官にお越しをいただいております。まず質問しますが、毎年のように税関の体制整備、職員の処遇改善、定員増については附帯決議でもって、超党派で私どもの意思をお伝えしてきたわけでございますが、今回の査定を見ますと、残念ながらマイナスということになっております。果たして私どもが指摘をしてきた職務の重要性について正当に評価をされた結果なのでしょうか。甚だ疑問でありますが、まずは総務庁の見解を聞かせていただきたいと思います。
  37. 持永和見

    ○持永政務次官 先生も御案内のとおり、現在の国家公務員をめぐる定員状況というのはまことに厳しい状況でありますし、そういった中で、小渕内閣としても大幅な定員縮減を行うのだ、そういった前提でいろいろと臨んでおるところであります。  さはさりながら、今御指摘のように、現在大変、社会悪の問題、特に麻薬とか銃器とかそういった問題の事案がふえているのは事実でありますから、それはそれなりで、私どもとしても、それぞれの省の御要求を伺いながらきちんと対処していかなければいかぬなという姿勢でございます。  税関につきましては、これで十分とは私も決して申しておりませんけれども、平成十二年度に監視取り締まりとそれから通関検査部門で四十人の増員をいたしております。税関全体としては四十六人でございますが、四十人の増員を、監視取り締まりそれから通関検査部門に充てたということでございます。  全体として大変厳しい状況の中でありますけれども、そういっためり張り、重点的な形での査定は行ったつもりでございますが、今後とも、この問題は社会的にも大変大きな問題となりますので、私どもも各省のそれぞれの事情をお伺いしながら、これから定員問題については臨んでまいりたいというふうに考えておるところであります。
  38. 北橋健治

    北橋委員 総務庁にお願いしておきたいことは、税関のみならず、海上保安庁、警察、こういった部門に当たる人たちについても特段の配慮をしていただきたい。そして、ぜひともまた附帯決議の形で私どもが懸念していることをお伝えして、これから特段の配慮をいただきたい、こう思っております。  この問題の締めに当たりまして、大蔵大臣に、要求官庁、また各省庁の予算を査定する立場、両面をお持ちでございますが、今やりとりしましたように、二百万人の人が薬物に手を染めているのではないかという異常な事態でございます。そして、過去五年間を上回るものが去年だけで押収された、大変な事態になってきております。そういう情勢変化に対応して、税関の対応並びに関係官庁の関連予算、定員について特段の配慮をしていただきたいわけでございますが、大臣の所信をお伺いしたいと思います。これは大臣からお願いします。
  39. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 これらの問題につきましては国会会期ごとに必ずお話がございまして、社会の変化に従いましてそういう取り締まり対象が変化するということに予算、定員が敏速に対応していないという御批判がありまして、十分そのことは肝に銘じて、存じております。またきょうそういうお話がございまして、予算の編成あるいは定員の決定につきましては、そういう国会の御意思を反映させたいと思っております。  税関につきましては、税務署もそうでございますが、実は私自身が要求官庁になっているという問題がございまして、それはそれとして一生懸命そういうことを頼む側になって頼んでおるわけでございますけれども、従来いろいろお話がありますのになかなか実現できませんで、申しわけないと思っています。一生懸命努力をいたします。
  40. 北橋健治

    北橋委員 ぜひ大蔵大臣、総務庁、頑張っていただきたいと思います。  そして、きょうは、日掛け金融の取り締まりにつきましては、ぜひ質問させていただきたかったのですが、時間が参りましたので、別の機会に譲らせていただきます。  終わります。
  41. 金子一義

    金子委員長 次に、上田清司君。
  42. 上田清司

    上田(清)委員 民主党の上田清司でございます。  今、税関の問題につきましては北橋議員と同じ問題意識に立っている者で、私どもも視察を通じて各税関の職員皆さんが大変御苦労されておられることをよくわかった上で、よくその努力を評価した上で、幾つかお尋ねをしたいと思います。  先般、さる週刊誌に記事が出ておられて、その方に私は面談をしてまいりまして、じかに聞いてきたのですが、いわゆる北朝鮮、朝鮮総連の財務局のトップ級幹部でありますが、こんな話を聞きました。  新潟は、税関はフリーパスと同じ、本国からしっかり接待せよとの指示がある、その中身は、主に古町の歓楽街とゴルフだ、こんなお話を実は聞いてまいりましたが、そういう事実というのはあるのでしょうか。
  43. 大野功統

    大野(功)政務次官 税関職員、特に新潟の問題でございますけれども、まず、きちっと検査しているかという問題は置いておいて、つまり、公務員の倫理に反するようなことをやっているかどうか、この一点に絞ってお答えしたいと思います。  八〇年代から九〇年代後半にかけまして該当する税関に勤務した者、関係した者、すべてヒアリングをさせていただきました。その結果を申し上げますと、いわゆる一九九二年の万景峰92号の就航時と、それから翌年に就航一周年という記念行事をやっておるようでございます。そのときに船上レセプションをやったようでございまして、その船上レセプションには多数の港湾関係者が招待されております。税関職員が他の港湾関係者とともに出席をした事実はございます。  しかしながら、今お話しのような歓楽街とかゴルフとか、そういうことは一切ございませんので、御理解をいただきたいと思います。
  44. 上田清司

    上田(清)委員 それはそれで、また後日確認の作業をさせていただきたいと思います。  富士運輸というこの業の中身について御存じであるかどうか。
  45. 大野功統

    大野(功)政務次官 私は存じておりませんでしたけれども、今耳打ちされたところによりますと、新潟の運輸業者というふうに聞きました。
  46. 上田清司

    上田(清)委員 一応通告をしておりましたので、事務方、間違いのないようにしていただきたいというふうに思います。  この業務の実態についてきちんと把握しておられるかどうか、このことについて。事務方でも結構ですよ、どうも次官はわからないみたいですから。
  47. 渡辺裕泰

    渡辺政府参考人 私も新潟に行ってまいりました。富士運輸という港湾会社があるということも知っております。それからまた、この会社が北朝鮮向けの貨物を主に扱っておられるところだということは存知しております。
  48. 上田清司

    上田(清)委員 特に問題があるというような事実はございませんでしたか。
  49. 渡辺裕泰

    渡辺政府参考人 特に問題があるというふうには聞いておりません。  また、倉庫等にも私は行ってまいりましたが、倉庫等にある荷物について、税関の職員が厳正に審査をしているというふうに聞いて帰ってまいりました。
  50. 上田清司

    上田(清)委員 ありがとうございます。後日また細かい点についてお伺いする機会もあるかと思います。  先ほど北橋委員が言われましたように、国際関係、貿易量の増大等々、関税業務、税関業務の拡大は本当に大変なことだと思いますので、政府におかれましても十分配慮していただきたいということを重ねて申し上げたいと思います。  それでは、私、ずっと以前から、この一連の金融危機の中で、政府の立場の中で、基本的にこういうお話ではなかったかなというふうに理解をしております。とにかく火を消すのが先で、出火の原因を捜すのは後だ、こういう理解のもとに国民の御理解を得て、資本注入やさまざまな金銭贈与を行ってきた経緯がございます。しかし、私の目から見ると、一連の金融機関の破綻後の責任追及やあるいはまた原因の解明について、不熱心であると断言せざるを得ないというふうに思っております。  例えば、強行採決までもしましたなみはや銀行、福徳銀行となにわ銀行の特定合併でありますが、この合併をしたとき、平成十年五月二十二日、大蔵大臣の談話の中で、今後両行は法律規定に従い新銀行の経営計画を策定していくことになるが、大蔵省としても、このような観点に立って、日本銀行預金保険機構とも連携協力しつつ、新銀行の業務が円滑に運営されるよう適切に対応していく所存であるというようなコメントを出されておりますが、約一年三カ月たって、この特定合併したなみはや銀行は破綻をいたしました。  八月七日に金融再生委員長の談話が出ておりますが、他人事であります。なぜ失敗したか、だれに責任があったのか、全くそういう話は出ておりません。どのような形で責任が追及されるのか。ただ、預金者に迷惑をかけないように冷静に対応いたします、その程度の話であります。  大方、兵庫銀行からみどり銀行になって、そのみどり銀行も破綻をいたしました。その後も、長銀、日債銀、あるいは幸福銀行、東京相和、あるいは国民銀行、さまざまな銀行が破綻をいたしましたが、私は、必ずしも責任追及が明確になっていない、また、責任追及、原因の解明についてもきちっとやっているというふうに思えません。  そこで、アメリカのペコラ委員会みたいな委員会を国会の中で設置して、与野党ともにやってはいかがかということを私は委員長に提案し、理事会の協議事項の一つに加えていただきたいと思います。
  51. 金子一義

    金子委員長 これは民主党の提案ですか、それとも上田先生の提案ですか。(上田(清)委員「民主党です」と呼ぶ)  理事会で相談させてください。
  52. 上田清司

    上田(清)委員 はい。  そこで、私は、政府の金融監督行政あるいは検査行政の原点は、実は富士銀行の不正融資事件にその原点があるというふうに理解をしております。  御記憶も随分去ってしまったかもしれませんが、たまたま予算委員会で我が党の代表であります鳩山代表に対するさまざまなやみ献金疑惑という形で、改めてこの富士銀行の不正融資事件にかかわった、いわば核心に迫る花田さんという方の手記がさる雑誌に出て、問題が出てまいりました。  これはいい機会だなということで、一連の銀行、金融関係の破綻のその後の調査やあるいは原因解明、責任追及についても、この富士銀行でふたを閉めたからその後何もできなくなったのではないのかという認識を私は実は持っておりまして、これをもう一度徹底的に解明する必要があるというふうに思っております。  概略を御説明いたしますと、ぜひ思い起こしていただきたいのですが、九二年のころに、これは当時大蔵大臣は前総理の橋本大蔵大臣でありました。富士銀行赤坂支店の渉外課長でありました中村稔という方を中心に約六千五百億の不正融資が行われ、正確な数字で申し上げますと、その回収できなかった不良債権額が二千五百七十億、こういう大きな数字で出ております。  御承知のとおり、富士銀行には二度にわたって合計一兆一千億の資本注入が国民の名のもとになされております。もし、この回収不能になった二千五百七十億のお金が、この一兆一千億の中から処理をされるというふうに勝手に仮定いたしますと、お金に色はついていないので、このお金ではないと言ってしまえば、またそれはそれで一つ議論になるかもしれませんが、私は、この一兆一千億、国民が銀行に貸して、そして立ち直ってほしい、そういう意味で貸したお金も、もしこの富士銀行の不正融資事件のしりぬぐいの中に使われるとしたら、やはりこの問題も大きく取り上げる必要があるというふうに思っております。  この中で、実は、中村稔氏そして花田氏、そして、実は予算委員会で証人喚問もなされました、実際実現はできなかったのですが、橋本前総理の秘書でありました小林豊機氏、この三人を中心に、いろいろな形で、さまざまな政治家も絡みながら、不正融資事件が起きております。その中の一つとして我が党の代表も扱われているものだというふうに認識しておりますが。  いずれにしても、これは膨大な員面調書あるいは警察庁の調書がございまして、私は、段ボール四箱見させていただいております。以前から見ておりました。大変、この間における富士銀行の隠ぺい工作、そしてそれに手をかした大蔵省、この構図は明らかであります。また、そのような答弁も、大蔵委員会、決算委員会で、西村元銀行局長、あるいはその答弁をいわば訂正した山口銀行局長の答弁の記録も、私の手元に残っております。四十五日もさかのぼって富士銀行の役員の稟議書が、内部の慣行だから許されるというふうに堂々と発言した当時の西村銀行局長、そしてその後、山口銀行局長は適切ではないという答弁の訂正をなされましたが、平気で何度も内部の慣行だと言って大蔵省は当時開き直っておった、こういう事実であります。  そこで、ここに一つさわりの部分だけを持ってまいりました。これは、先ほど申しました主犯の中村稔氏の供述調書、「平成四年二月二一日警視庁刑事部捜査第二課において、本職は、あらかじめ被疑者に対し」、被疑者というのが中村稔さんですが、「自己の意思に反して供述をする必要がない旨を告げて取り調べたところ、任意次のとおり供述した。」ということでありまして、この中で、先ほど申し上げました、我が党の代表にいわれなき誹謗中傷をなさっておられます花田さんが、核心的な発言をしておられます。  ちょっと読み上げていきますが、「私は、三月二二日」、これは九二年当時でありますが、「三月二二日ころの午後ころ全日販に行くと、」全日販というのは花田さんの会社であります、全日販の社長をやっていたのが花田さんでありますが、「いつものように社長室に入りました。そして花田社長に例の件だけど花ちゃん、三月二九日に五〇億ひっぱるからハンコがいるので鈴木専務にも話しておいて下さい。」中村稔というのは、先ほど申し上げましたように富士銀行赤坂支店の渉外課長であります。五十億引っ張るから判こを用意しておいてくれと。  ずっと、一連の不正融資の一つのパターンでありますが、この辺は余り読んでもいかがなものかと思いますので、少し省略させていただきます。  そして、要するに、不正融資を行うという話をしていたわけでありますが、その後、「花田社長は、課長、ありがとうございます。それでいきましょう。金さえあれば、認可なんかうちの得意とするところですから、やれますよ。今日も園田(社長)の紹介で、お兄さんの園田先生と松岡先生と一緒に昼めしを食ってお願いしてきたんだ。課長、これはいけますよ、と興奮した口ぶりでいったのです。」と。この間、この認可というのは、ウラウスリゾート事業計画におけるスキー場や、ゴルフ場の許認可関連のことであるということも添え書きをしてあります。  このように、実はこうした員面調書の中にたくさん、当時の富士銀行にかかわる大変いろいろな不正融資の事実、このことを明らかにしておりますが、それが国会質疑の場ではほとんど無視をされるという形で、調査報告書も出されておりません。もちろん、内部の検討委員会もございました。なぜこの問題を国会が全力を挙げて、あるいは大蔵省がいわば金融問題の原点として取り上げていかないのか、このことについて改めて、宮澤大蔵大臣、当時のいきさつも含めて御記憶にあるかと思いますので、なぜ調査報告書が出ないのでしょうか。
  53. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 私、当時の事情も存じませんし、また今のそういう状況も存じませんので、金融監督庁、総括政務次官からお答えをいただきます。
  54. 村井仁

    村井政務次官 私どもといたしましては、この事件は、富士銀行の赤坂支店を舞台にします、銀行の幹部職員がノンバンクに対して不正に融資を図った、しかも内部において文書等々をいろいろ偽造といいましょうか何と申しましょうか、実際に銀行で公に使われている用紙などを使って非常に大変な事件を起こした完全な刑事事件だ、このように判断しておりまして、司直の手も入りまして、そして刑事裁判の判決も御案内のとおり出されているという案件でございまして、事案そのものの中身につきましては一通り明確になっているもの、そのように理解しているところでございます。
  55. 上田清司

    上田(清)委員 私の質問は、なぜ調査報告書が出ないのかということであります。国会に明らかにできないのかということです。
  56. 村井仁

    村井政務次官 刑事事件の判決文そのものは、それとして公といいますか、手に入れようと思えば手に入れることはできるということでございまして、委員指摘の報告書とおっしゃるのはどういうことか、私、ちょっと理解いたしかねるところでございます。
  57. 上田清司

    上田(清)委員 御承知だと思いますが、内部の調査報告書もございます。何よりも、大蔵省が、あるいは現在の金融監督庁が、この問題について総括をしなきゃならないということを私は申し上げております。なぜしないのかと。日本金融行政の不祥事の一番の原点がここにあるじゃないですか。この点であります。
  58. 村井仁

    村井政務次官 これは完全に犯罪なんでございますね。私どもいろいろ改めて調査するまでもなく、非常に明確に、この中村何がしを初めとして、あるいは出島何がし等々がかかわりまして、それでノンバンクを経由して金を引き出すということの舞台に富士銀行の赤坂支店を使った、これは大変けしからぬ事件でございまして、そういう意味では、それぞれ実刑も受けているわけでございまして、そのあたりは委員十分御案内のとおりであります。  私、率直に申しまして、これはすべての原点だとおっしゃるよりは、これはもう完全に犯罪でありまして、それにつきましては司直の手によって事態はある程度解明されている、このように理解をしておるわけでございます。  さらに、私ども金融監督庁といたしましても、もちろん事案の概要につきましては承知をいたしておりますけれども、そのことは委員が既に把握しておられることと特段差異がないのだろうと思っております。
  59. 上田清司

    上田(清)委員 少なくとも、富士銀行の内部調査は外に出ておりません。大蔵省あるいは金融監督庁の立場の中ではそれが拝見できるはずであります。  しかも、私と当時の西村銀行局長とのやりとりの中では、明らかに間違った、うその答弁をしきりになされていたという事実もあります。このことについて、山口、当時の新任の銀行局長が前言を撤回されたような形がございますから、そういったいきさつも全部明るみに出してほしいと言っているのです。
  60. 村井仁

    村井政務次官 その点につきましては、私が理解しておりますところでは、国会での質疑に際しまして、平成八年の五月三十日でございますが、当時の西村銀行局長が、富士銀行内部の問題であるので、書類のたしか日付が違っているという点でございますけれども、それにつきまして、書類の作成の手順そのものは富士銀行内部の問題であるので、そのような慣行があるかどうかわからぬというような答弁をいたしました。それを後に、同じく平成八年十二月になりまして、山口、当時の銀行局長でございますが、日付が一致していないということは適切とは言いがたいものがあるということを申しております。  そのあたりのことを委員は御指摘のことかと存じますけれども、私ども、これをいろいろ調べてみた限りで理解しておりますところを改めて申し上げさせていただきますと、要するに、七月二日という時点で、その時点ではまだ明らかになっていなかった事案が既に富士銀行の内部資料の中に入っているという点に委員一つ問題を感じられて御指摘になっておられるわけでありますけれども、私ども調べてみますと、この七月二日という日付そのものが、後で整理して、いわば事柄を整理して上へ上げるに際して、そのプロジェクトチームを立ち上げたかどうか、そのあたりはちょっとはっきりいたしませんが、その作業を始めた時点の日付をたまたま書いた。その後に判明した事実もその書類の表題の中に書いてある。実際にそれが処理をされたのはそれよりも後のことであったというふうに私どもは聞いております。
  61. 上田清司

    上田(清)委員 個々の細かいやりとりをしていても委員の皆様方はよくわからない。わかる議論をしなきゃ意味がないと私は常日ごろ思っておりますので、このことでは触れませんが、今総括次官が言われましたことは実は違っておりまして、その部分は具体的に不正融資の案件についての調査でありました。だから、日付を勝手に変えたりすれば不正融資そのものをごまかす話になってしまうのです。その辺がまず違うのです。その辺の理解次官は足りない、こう断言を私はしておきます。これは、また後で議論する機会がありましたらやりますが。  ただ、時間もありませんので、私が申し上げたいのは、例えば、谷垣大臣、先ほど事例で挙げましたなみはやでありますが、これは強行採決までして決めた案件でありまして、そして先ほど申し上げましたように、大蔵省が責任を持ってやっていくと言って、わずか一年三カ月で破綻して、何の報告書もなければ、だれが本当の責任者なのか、どうしてこんなふうになったのかという解明すらも行われていませんよ。こういう案件が多いじゃないですか、ずっと見てみれば。  では申し上げますが、例えば、急な質問で恐縮ですが、なぜ国民銀行の受け皿、譲渡が八千代銀行なのか国会に報告しましたか。何にもしていないでしょう。こういうことが平気でなされているのですよ。金銭贈与にしても、ただじゃないのです。どこからお金が出ているんだと言うのです。全部国民のお金ですよ。もうけたお金でも何でもない。  そういうことを考えれば、私は、ありとあらゆるこれまで破綻した金融機関のきちっとした、バブルの生成から崩壊まで、それも含めて、金融機関の破綻の原因解明とそして責任追及ということをきちっとやっておかなければ、これからまた預保の改正があって、場合によっては新たに信組に資本注入だってどんどん出ていくわけでしょう。そういうことも考えなくちゃいけませんし、保険業法の改正の中で生保にもまた資本注入をやっていく。とにかく大変だからお金だけちょうだいと言って、間違った後何の反省もなければ、では具体的になみはやで、大蔵省のだれかが、申しわけありませんでしたという言葉一つでもありましたか。それをお聞きしたいのですけれども。
  62. 谷垣禎一

    ○谷垣国務大臣 今、今までの過程の中で起こったいろいろな事件、上田委員はお触れになりました。  個別のことを今細かに申し上げる時間はありませんけれども、そのときそのときのやはりセーフティーネットのあり方で、当事者が全力を尽くして当たったものではないか、私はこう思っております。  それから、ごく最近のことにつきまして、国民銀行がなぜ八千代銀行に行くことになったのか、その辺の開示もないということでございましたけれども、こうして二年前に金融国会でおつくりいただいた枠組みの中で、金融再生委員会として責任を持って問題を解決せよ、こういうことになっているのだろうと思います。もちろん、私どもは国会に御報告すること自体が決定の要件になっているとは考えておりませんけれども、できるだけ問題は開示していくべきものでございますから、私たちはでき得る限り御質問があればお答えをしたい、こう思っております。  ただ、破綻した銀行でございましても、それぞれの取引先とは信用関係を持っておりますので、全部をにわかに公開するというわけにはなかなかいかない面がございますことは御理解をいただきたい、こう思っております。
  63. 上田清司

    上田(清)委員 では、二点だけ確認いたします。  八千代銀行に対する受け皿銀行としての指定をどのような形で行ったのか、競争相手があったのかなかったのか、それをぜひ資料として要求したいというふうに委員長にお願いしたいと思います。一点であります。  それから二点でありますが、なみはや、これは政府の法案でつくられた特定合併の仕組みでありまして、まさに大蔵大臣のあっせんでつくられた銀行でありまして、これは官製で行われたものだというふうに思いますが、具体的にこの問題について、破綻したときに、銀行関係者じゃなくて政府のだれかが責任をとるなり何らかの失敗の談話でも出されましたか。このことをお伺いしたいと思います。
  64. 村井仁

    村井政務次官 その当時の特定合併制度というのと現在のセーフティーネットとは違うわけでございますが、御指摘のように、確かに、そのときに与えられたシステムによりましてこのなみはやのケースに適用した、それが結果的にうまくいかなかった、これは私ども大変残念なことだと思っておりますが。  ただ、ある意味で、なみはや銀行の設立に至る経過というのは、もう委員十分御案内のとおり、平成九年から十年秋にかけて、金融再生法等がまだできていない段階でありまして、行政当局が、ある意味では事態の深刻さというものを必ずしも十分認識していなかった。その段階で、その当時に可能な法令にのっとって最善の努力を尽くした、その結果だろうと私は思っておるわけでございます。
  65. 金子一義

    金子委員長 先ほどの、国民銀行の件について資料要求がありましたけれども、御説明していただきたいと思います。
  66. 谷垣禎一

    ○谷垣国務大臣 国民銀行と八千代銀行の件に関しましては、ほかに受け皿銀行として手を挙げたところが確かにございました。ですから複数競合したわけでございますが、その中から、デューデリジェンスをやりまして、こういう俗っぽい言葉を使っていいかどうかはわかりませんが、一番よい値段をつけてくれたといいますか、国民負担が少ないところ、それが八千代銀行であったということでございます。そのとき、金融再生委員会としては、委員長の談話として、まとめといいますか要約も発表いたしております。  ただ、具体的に今、複数あった手を挙げた先がどこかということは、それぞれの経営のいろいろな問題もございますので、名前を出すことは差し控えさせていただきたいと思います。
  67. 上田清司

    上田(清)委員 時間が参りましたので終わりますが、先ほどのなみはやの問題、極めて残念ですでは済まない話です。強行採決までして政府がつくった仕組みの銀行でありました。当然、丸坊主になるなりなんなりして責任をきちっととってもらわなきゃだめだということです。その時々最善の努力をしました、結果は残念でした、それで済むのだったら簡単な話でありますということを申し添えて、終わります。  ありがとうございました。
  68. 金子一義

    金子委員長 次に、佐々木憲昭君。
  69. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。  関税定率法等の一部改正に関連して、簡易申告制度の導入問題に絞って質問をしたいと思います。  提案されている内容は、年二十四回以上継続的に輸入されている特定の貨物については、一定の要件を満たせば、引き取り申告納税申告を分離し、納税申告の前に貨物引き取りができるようにしようというものであります。  そこで、初めに大蔵大臣基本的な考えについてお聞きをしたいのですけれども、大蔵省関税局がつくりました資料に、貨物に着目して審査、検査を行うというふうに書かれております。つまり、貨物そのものに着目しなければ、申告と違うものが入ってきたり、あるいは社会悪貨物が入ってきたり、そういうものを防ぐことはできないということで、これは当たり前のことだと思うのですけれども、大蔵大臣貨物に着目するというのは非常に大事なことだと思いますが、基本的にそのようにお考えでしょうか。大臣にまずお聞きをしたいと思います。     〔委員長退席、鴨下委員長代理着席〕
  70. 大野功統

    大野(功)政務次官 後から大臣に御答弁していただきたいと思いますが、まず事実関係を申し上げたいと思います。  現行の関税法というのは昭和二十九年にでき上がりまして、その当時は賦課課税制度でございました。賦課課税制度でありますから、輸入貨物に着目することは当然のことでございます。したがいまして、だれが輸入したかというよりも品物に着目していわば悉皆調査をやっていた、こういうことでございます。  その後、昭和四十一年に申告納税制度になりました。したがいまして、申告を重んずる、そのかわり、時代の流れに応じまして、ハイリスクのものとローリスクのものは分けていこう、いわば人間という要素が入ってきておる次第でございます。さらに、場合によっては、仕出し国、仕出し港という考え方も入ってくるのかもしれません。そのような総合的な判断のもとにハイリスク、ローリスクという考え方をいたしております。  したがいまして、物を輸入するわけでございますが、考え方は変わってきておりますということを申し上げたいと思います。
  71. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 物を輸入するというところに着目をする、しかし考え方は変わってきている、こういうことで、大蔵大臣も大体基本的に同じ認識ですよね。
  72. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 今政務次官が言われましたとおりでございます。
  73. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 これまでの我が国の税関手続というのは、輸入申告、すなわち引き取り申告でありますが、これと納税申告を同時に行うということをやってまいりましたから、いわば一段階方式であります。これに対して、貨物引き取り申告納税申告を分離した方式は二段階方式であります。提案されている簡易申告制度というのは、この二段階方式というふうに理解してよろしいですね。
  74. 大野功統

    大野(功)政務次官 そのとおりでございます。
  75. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 昨年の六月十五日に、税関手続に関する関税率審議会企画部会懇談会座長とりまとめ、こういうものが出されておりまして、この中にその特徴を次のように説明をしております。一段階方式というのは、関税債権の確保を図ったり、関税率の決定の際に貨物を見て判断できることや、水際においてすべての手続が完了できるというメリットがある、このように書いているわけであります。一段階方式のメリットというのはこういうことだと。  それでは、二段階方式の場合のメリットというのは、当然、迅速な引き取りということになると思うのですね。それでは、二段階方式のデメリット、これはどのように規定されていますでしょうか。
  76. 渡辺裕泰

    渡辺政府参考人 お答えを申し上げます。  若干先生のおっしゃったことと重複するかもしれませんが、整理をさせていただきますのでお許しをいただきたいと思います。  まず、従来の輸入申告納税申告を同時に行う一段階方式では、まず輸入者にとりましては、一回の申告ですべての手続が完了するというメリットがありますとともに、納税申告に必要な書類や情報がそろわないと貨物引き取りができないというデメリットがございます。  これに対しまして、引き取り申告を行って貨物を引き取った後に納税申告を行うという二段階方式では、輸入者にとりましては引き取り申告納税申告という二回の手続が必要になるということはございますが、納税申告に必要な書類や情報がそろわない場合であっても貨物引き取りが可能となるため、貨物の迅速な引き取りに資するというメリットがございます。ジャスト・イン・タイムで生産を行っている時代でございますので、迅速かつコンスタントな貨物引き取りが可能になれば在庫も減らせるというメリットもあり、既にEU、アメリカ等で二段階の方式を導入しているところでございます。  以上が輸入者についてのメリット、デメリットでございます。  次に、税関にいてのメリット、デメリットを申し上げますと、一段階方式では、関税等の納付または確定した税額に対する担保等の徴求の後輸入許可をするため、関税等の債権確保が容易であるというメリットがございます。また、関税率決定の際に実際に貨物を見て判断できるというメリットがございます。しかし、迅速性の要請あるいは税関手続の国際的調和という要請にこたえられないというデメリットがございます。  二段階方式では、迅速性あるいは税関手続の国際的調和という要請にはこたえられますものの、関税債権の確保の容易さあるいは納税申告時に貨物の確認が難しいという問題点が残ります。  この二段階方式のメリットを生かしながら関税債権の確保や納税申告時に貨物の確認が難しいという問題点を解消いたしますために、継続的に輸入を行っており、かつ、コンプライアンス、法令遵守のよい人に限る、対象となる貨物を指定する、担保を徴求する、事後調査を行う、さらには審査、検査の権限は留保するということにしてこの二段階方式の問題点を解消し、各国とも二段階方式を導入しているわけでございまして、我が国も同様にこの簡易申告制度を導入しようとしているものでございます。
  77. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 一段階方式は、関税債権の確保を容易にする、あるいは水際で手続が完了し貨物を見て判断できる、こういうメリットがある。しかし、二段階方式になりますと、申告に関連をして二回の申告が必要になるという煩雑さが生まれる、それから、税関は納税申告時に貨物の確認ができない、適正な納税申告の確保あるいは不適正な申告への対処が問題となる、これは座長とりまとめでも書かれているとおりであります。  したがって、簡易申告制度が導入されますと、いわば一段階方式から二段階方式に移行するわけであります。そうしますと、一段階方式のメリットは失われる、二段階方式のデメリットが逆に発生する、このようになるわけでありますが、そういうことですね。
  78. 渡辺裕泰

    渡辺政府参考人 ただいま御提案しております簡易申告制度は、二段階方式の一種でございますが、ここにおきましては、すべての輸入者が利用できるというわけではなくて、あらかじめいずれかの税関長の承認を受けている輸入者が、継続的に輸入しているものとして指定を受けた貨物について、法令遵守の確保を要件に利用することができるものとすることによりまして、御指摘のような問題点に対処しようとしているわけでございます。  すなわち、まず、輸入者の承認に際しましては、過去、社会悪物品の密輸などを行い、関税法上の処分を受けた者などについては承認を行わないこととして、簡易申告制度からあらかじめ排除するということにしております。次に、そのような承認を受けた輸入者が仮に不正を行った場合につきましても、引き取り申告時における審査、検査でチェックされることになります。  すなわち、審査、検査に区別があるわけではございませんが、概念的に、いわゆる社会悪物品に関するものと納税に関するものとに分けて考えますと、社会悪物品に関する検査は従来どおり行う、それから、納税のための審査、検査基本的に省略することとしておりますが、必要な審査、検査を行う権限は当然のことながら留保しておりまして、例えば関税逋脱の疑いがある場合などには、厳正に審査することとしております。したがって、このような審査、検査を通じて、不正な申告をチェックすることが可能でございます。  さらに、我が国では、この前に指定物品の指定というものを非常に厳正にやろう、HS番号の九けたできちっと指定しようということで、そこを極めて厳しくし、そのことによって二段階方式のデメリットが出ないようにするということで、むしろ、私どもの考え方としては、二段階方式のメリットを生かしながら、そのデメリットをむしろなくして二段階方式のメリットを大いに生かそう、そういうことがこの簡易申告制度考え方だというふうに御理解をいただきたいと存じます。
  79. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 今いろいろと説明をされましたが、この座長とりまとめで言われている第一段階のメリット、これは第二段階に移行することによって失われていくわけであります。あらかじめ承認の前提条件としていろいろな基準を設けるとおっしゃいましたが、果たしてそれでこのデメリットがクリアできるかどうか、ここが問題になるわけですね。  それで、要件として、分類で九けた、年に二十四回以上の継続的に輸入されている貨物であること、あるいは輸入業者に法令違反がないことなど一定の条件を満たせばよいということでありますが、このような要件を満たすものというのは、全体の申告件数のうちのどの程度の比率に現在なっているのでしょうか。
  80. 渡辺裕泰

    渡辺政府参考人 簡易申告制度を御利用いただくための税関長の承認を得るために幾つかの要件がございます。その中のまず一番目として、簡易申告を行おうとする貨物について、継続的に輸入されている貨物の指定を受けることというのがございます。(佐々木(憲)委員「パーセントだけでいいです」と呼ぶ)これにつきましては、関税分類番号で九けたごとに見て、年間二十四件以上、過去一年間の実績のある輸入ということのみをとらえまして、最大限、簡易申告の対象となる輸入申告件数割合を推計いたしますと、全輸入申告件数に対しまして約五三%ございます。ただし、そのほかに、関税法その他国税に関する法律に違反して通告処分以上の処罰を受けていないこと、あるいは滞納がないこと、あるいは加算税が課されていないことといった要件を満たす必要がございます。  また、本制度を利用するかどうかは輸入者の選択によりますので、全輸入申告のうちどの程度が簡易申告になるのかは、現段階で確たる予測はできないということを申し添えさせていただきます。
  81. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 数字を聞いたのであります。いろいろな説明はわかっておりますので、それは言わなくても結構です、時間がありませんので。  五三%という比率というのは大変大きな比率でありまして、もちろん選択制ですから全体がそのように移行するとは限らないけれども、しかし、それだけデメリットの面も発生する可能性が大きいということであります。  大蔵省によりますと、これは関税手続の国際的調和の流れに沿うものだと言っております。果たしてそうか。  昨年の八月から九月にかけてドイツ、イギリス、フランスに大蔵省の調査団が派遣され、これらの国の簡易申告制度に関する報告書が出されております。簡単な報告書が私のところにもありますけれども、例えば、この中に「制度を利用できる者」として、「頻繁に輸入申告を行っていること」というふうに書かれております。中身がよくわかりませんので、具体的にお聞きをしたい。この「頻繁に」というのは、どのような頻度をいうのか。年何回以上申告がある場合「頻繁に」とされているのか。ドイツ、イギリス、フランスそれぞれについて、説明は要りません、数字だけ言ってください。
  82. 渡辺裕泰

    渡辺政府参考人 私どもの調査した限りにおきましては、英、独、仏各国とも、簡易申告制度の承認のために必要な申告の頻度につきまして、統一的、具体的な基準は有していない模様でございまして、具体的な判断は、承認を行う各税関にゆだねられているというふうに承知をいたしております。
  83. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 その税関にゆだねられている基準、ドイツの場合は例えばどうなっておりますか。
  84. 渡辺裕泰

    渡辺政府参考人 EU各国は、EC関税法施行規則というものにのっとって行っておるわけでございますが、このEC関税法施行規則そのものに、原則として貨物引き取り申告をまれにしか行わない者に対しては簡易申告の承認を与えないということしか記載しておりませんで……(佐々木(憲)委員「ドイツは」と呼ぶ)ドイツにおきましても、したがって、具体的な規定がございません。したがって、各税関の判断ということになっているというふうに私どもは承知をいたしております。
  85. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 各税関の判断の、その判断の中身を聞いているのですよ。調査に行ったのでしょう、ドイツに。  私が調べたところ、ドイツでは、一カ月に最低十回、したがって年に百二十回以上、それで承認された後、一カ月に一回も申告しないときには取り消しになる、そういうことを聞いておりますが、そうじゃありませんか。
  86. 渡辺裕泰

    渡辺政府参考人 私どもが聞いておりますのは、幾つかの税関に行って聞いてみますと、どうもそれぞれに答えが違っているようでございまして、先生がおっしゃっているような一月十件というお答えのところもございましたが、もっと少ない件数で認めているというところもございましたものですから、それぞれの税関の判断に任せられるというふうに御説明を申し上げているわけでございます。
  87. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 つまり、ドイツでは独自の基準があって、それぞれの税関が判断をしてやっている。しかも、今私が申し上げましたように、一カ月十回以上、年に最低百二十回以上と、回数としては大変厳しいわけであります。  今回提案されております簡易申告制度、これは、基準は年に二十四回でありますから、圧倒的にドイツの方がハードルが高いわけです。ですから、そこで数字が言えなかったのだろうと思います。  では、ほかの国でもどうかということでありますが、例えばイギリスでは、国境での引き取りは必ず書面で行うというふうにあなた方の報告書にも書かれていますね。あるいは、インボイスの提出が義務づけられている。ですから、国際的調和だとか欧米並みと言いますけれども、それぞれ違うわけですよ。ですから、何か世界の流れに日本を合わせるのだと言いますが、そうではないのですね、実態は。その点を明確にしておきたいと思います。  やはり、問題は、貨物に着目した審査、検査がしっかり行われるかどうか。書類がどんなに立派に整っていても、違う物資が入ってきたら、税関としての機能は果たせないということになるわけですね。  そこで、実態をお聞きしますけれども、この数年間の輸入許可件数に占める検査件数とその比率を出していただきたい。
  88. 渡辺裕泰

    渡辺政府参考人 輸入許可件数に占める現物検査の比率というお尋ねでございます。  昨年も先生からお尋ねがございましてお答えを申し上げまして、繰り返しになりまして恐縮でございますが、御説明をさせていただきます。  税関では、必ずしも十分でない人数で大量の物件を処理いたしますために、的確にリスクを見きわめ、効果的、重点的な事務運営を行うことによって、全体として適正な通関と迅速な通関の双方を求めていくという考えに基づいて貨物の通関処理を行っております。  具体的には、通関手続の電算化に当たりましても、必要な各種情報を蓄積した通関情報総合判定システム、CISを活用することによりまして、適正な申告が行われていない可能性が高い貨物、いわゆるハイリスク貨物と、可能性が低い貨物、ローリスク貨物に選別をして、こうした可能性が低い貨物については検査を極力省略し迅速通関を図る一方で、こうした可能性が高い貨物については重点的に検査を行うことにより、チェック機能の重点化、集中化を行っているところでございます。(佐々木(憲)委員「数字」と呼ぶ)  このため、全申告貨物に対する平均的な検査率を申し上げました場合に、検査対象者が、ハイリスクと認定されているか、あるいはローリスクと判定されているかを御自身で判断できることとなり、税関現場での検査の実施にさまざまな面で支障が生ずるおそれがございますことから従来から公表していないものでございまして、現場のこともお考えをいただき、申し上げることができないことを御理解願いたいと存じます。
  89. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 全然、数字も出せない、実態が明らかにならない。昨年も私はこの問題を聞いたのですけれども、いろいろな理屈をつけて数字を出さない。つまり、どのぐらいの輸入があり、その中で検査を実際どのぐらいやっているかという実態、その数字さえ出せないというのは、私は極めて問題だと思う。情報公開に反する。  昨年の質問でふえているのか減っているのかと私は聞きました。それに対しては「検査水準は、残念ながら下がってきております。」こういう答弁をされていますね。簡易制度の導入によって当然省略されていくわけですから、全体の審査、検査率は一層下がることになるのじゃありませんか。  限定してお聞きしますが、税目的検査率は、これを導入したら下がっていくということになりますね。
  90. 渡辺裕泰

    渡辺政府参考人 検査自身がどういう目的であるかということは、概念的には分かれますけれども、実際の検査を二つに分けるということは実際にはできないことだと思ってはおります。  ただ、税関では、的確にリスクを見きわめ、効果的、重点的な事務運営を行うことによって、全体として適正な通関、迅速な通関の双方を求めていくという考えに基づいて貨物の通関処理を行っております。  御提案申し上げております簡易申告制度は、法令遵守の確保を条件に、あらかじめ税関長の承認を受けた輸入者貨物、つまり、よりリスクの低い貨物につきましては輸入申告時の納税のための審査、検査基本的に省略し、よりリスクの高い貨物検査を重点的に行うことによって適正な通関を一層確保しようとするものでございまして、本制度の導入によって全体の検査率を低下させようという意図はございません。
  91. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 意図はなくたって、基本的に省略するわけですから、税に関する検査率は下がるのは当たり前じゃないですか。今までも下がってきているのですよ。それがさらに省略されることによって、実物の、貨物そのものの検査率は下がっていく、そんなの当たり前じゃないですか。上がる理由は明確に示されませんでしたね。  実際、この実地調査、これは事後調査ですけれども、その中で、非違のあった輸入者数と比率を見ますと、全体の輸入者の一割を調査しただけで、非違のあった者が約六割にも達している。申告漏れ課税価格も八百三十一億に達しております。  九八年十二月号の貿易実務ダイジエストによりますと、関税局の職員が解説をしておりますが、その原因として、貿易取引の形態が著しく複雑になっている、あるいは取引規模が拡大している、こういうことが挙げられております。また、依然として不適正な納税申告の解明のため多くの問題が残されている、こういうことが書かれております。  ですから、このような状況で安易に簡易申告制度を導入してよいかどうか、これが今問われているわけであります。  そこで、具体的にお聞きしますけれども、簡易申告制度の利用を認められた輸入者がその後不正な輸入をした場合、例えば税の面でいえば、似たような物品で関税率が違うものを混入させた、それで検査を受けないで輸入する、こういう不正を行った場合、特別情報がない限り、それをどのようにして防止するのか。そのすべはあるのかどうか。これをお聞きしたいと思います。
  92. 渡辺裕泰

    渡辺政府参考人 お答え申し上げます。  簡易申告制度におきましては、輸入者の承認に際して、過去に社会悪物品の密輸などを行って関税法上の処分を受けた者などについては承認を行わないこととし、簡易申告制度からあらかじめ排除することにしております。  そのような承認を受けた輸入者が仮に不正を行った場合につきまして、引き取り申告時における審査、検査でチェックをされることになります。  すなわち、審査、検査に今区別があるわけではございませんが、概念的にいわゆる社会悪物品に対するものと納税に関するものに分けて考えますと、まず、社会悪物品に関する検査は、先ほどから御答弁申し上げておりますが、従来どおりに行うこととしております。  次に、納税のための審査、検査は、基本的に省略することとしておりますが、必要な審査、検査を行う権限は当然のことながら留保をしておりまして、例えば指定されたものと違うものを紛れ込ませているという疑いが濃厚のような場合には、当然のことながらそれは検査をさせていただきます。また、検査をさせていただいた上で、それについては、不正があれば処分をし承認を取り消すということになろうかと思います。
  93. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 質問に対して正面から答えてないのですね。  簡易申告制度というのは、税関では、引き取り申告を行うと、これはすぐ許可が出て、貨物はノーチェックで通るのですよ、省略するわけですから。全く現物を見ないわけですね、省略するわけですから。このような不正を防止できる保証、これは今お聞きしても、権限があるとか、そういう不正がある場合はチェックするとか言っていますけれども、制度そのものは、チェックをする制度をやめてしまうわけですから。  ですから、社会悪の場合も、事前に垂れ込みがあったり警察からの情報があったときは、それは中を検査するでしょう。情報があれば中を見るのは当たり前です、それをやらなければ職務怠慢ということになるので。問題は、情報がない場合。そういう場合は見ないということになるのじゃありませんか。いかがですか。
  94. 渡辺裕泰

    渡辺政府参考人 検査はどういう場合に行うかということで、先生の方の御理解では、情報がある場合だけ行うのだということのようでございますが、そういうことではございません。  情報がある場合にもちろん検査は行いますが、情報がなくても、税関職員が、この物件は指定されたものの通関ということになっているけれども、ほかのものが紛れ込んでいそうだとか、あるいは社会悪物品が紛れそうだとか、そういうおかしいなと思われるときは検査をさせていただきますということを申し上げているわけでございます。
  95. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 昨年の十一月の関税率審議会の議事録が公開されております。それによりますと、情報がない場合はどうするのかと畠山委員に聞かれまして、筑紫審議官は、情報がないときは見ないということになりますと答えているじゃありませんか。  また、六月十五日の税関手続に関する関税率審議会企画部会懇談会の議事録によりますと、筑紫審議官は次のように説明しております。「貨物が港もしくは空港に着きまして、それを引き取る。その際に、税関当局の方で何らかの情報がある場合、これはおかしいぞという情報がある場合には検査をいたします。ということでありまして、そういうものがない場合には、そのまま到着したら通過してもらうと、こういうことでございます。」と述べている。  こういう説明をしているのじゃありませんか。この説明自体は事実でしょう。
  96. 渡辺裕泰

    渡辺政府参考人 昨年十一月九日に関税審議会の総会をいたしまして、筑紫審議官がそういう旨を申し上げました。その旨は、私どもの公開しておりますものに載っておりますが、その後をちょっとお読みいただきますと、実は私がその後補足をいたしておりまして、「ちょっとこの点の補足をさせていただきたいと思います」ということで、「やはり税関の職員現場で見て、こういう品目で来ているけれども、これは明らかにおかしいというときは、社会悪の問題がなくても、それは検査をさせていただきます。当然です。」「基本的にはやらないというのは、当然におかしいと思うものまで検査放棄はいたしませんが、普通はやりませんと、こういうことを言っているわけでございます。」ということで、情報がなくてもやりますということを、その後補足で訂正をさせていただいております。
  97. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 今の説明でも、おかしいというものは検査をする、そうでない場合は、仕組み上それは見ないということだという説明をしているだけであって、何らの訂正の発言ではございません。筑紫審議官のこの説明というのは極めて明確でありまして、情報があれば見るが、ない場合は見ない。水際で社会悪を防ぐことができないということになるじゃありませんか。法の改正ではなくて、これは改悪であります。  私どもは、こういうものは絶対に認めるわけにはいかない。そして、職員の抜本的な強化、増員を図って、水際できちっとした検査が行われるような体制、審査が行われる体制をつくっていただきたい、このことを最後に申し上げまして、質問を終わります。
  98. 鴨下一郎

    ○鴨下委員長代理 次に、横光克彦君。
  99. 横光克彦

    ○横光委員 社民党の横光克彦でございます。  私も、不正薬物等の取り締まりについてお尋ねをいたしたいと思います。  私たちの国は、本当に世界で最も平和で安全な国である、このように言われてきました。そして、確かに戦後五十四年間、平和国家でやってこられたわけですね。これからももちろん平和国家でなければなりません。しかし、いま一つの安全の分野、こっちの方はどうでしょうか。昨今の警察の不祥事によって国民の警察への信頼が今大きく揺らいでいる。おのずと、安全や治安の方面がやはり心配になってくるわけですね。  その警察とともに日本の安全に大変大きな貢献を果たしてきているのが税関であろうと私は思うのですね。いわゆる覚せい剤麻薬あるいは銃砲等、こういった社会悪物品が国内に流入するのを阻止する、水際でそれこそ日夜懸命に努力されているのが税関の職員である、このように私は考えておりますし、皆様方もそれは同じ思いであろうと思っております。  そういった中で、昨年十一年の不正薬物の密輸入の件数が四百九十一件、押収量は二千百九十一キログラム。とうとう不正薬物の押収量が二トンを超えたわけです。この約二・二トンのうち、覚せい剤が何と約一・五トン。これはその前の年の十年の約三倍に近い。覚せい剤が一・五トンも摘発された。私たちはこのことをすごい脅威に考えなきゃいけないと思うのですね。  平成九年の国連の資料によりますと、世界では不正薬物の押収量が全体で三千三百五十トン。覚せい剤が十・九トン。世界では覚せい剤が少ないです。世界では覚せい剤が十・九トン押収されております。そのうちの約一・五トンが我が国で押収された。覚せい剤の約七分の一が日本で押収された、摘発されたということは、事覚せい剤に関しては、私は、世界は日本をターゲットにしている、ねらい打ちにしているのじゃないかという恐怖さえ覚えるわけです、この数字を見ますと。それほど今この問題は真剣に考えなきゃいけないのじゃないかという気が私はいたしております。  確かに、一・五トン阻止することはできましたが、実際にはこれは氷山の一角であろうと言われているのです。警察庁でも、この約十倍近い覚せい剤が実際は国内に入っているのではないかと予想もしているのです。これは大変なことです。もしこの覚せい剤が国内に入ってしまえば、取り締まりがいかに難しいか、そしてその被害がいかにすさまじく広がるかということは、もう十分御承知だと思っております。  こういった被害は、私たちのこれからの日本をしょって立つ青少年、女性、こういった若い方々に物すごく汚染が広がっている。そして、それはおのずといろいろな犯罪につながる。いろいろな事故につながる。現に、きょうの新聞でも、きのう東名の追突事故で死者が出て、車の中から三グラムの覚せい剤が発見されております。恐らく覚せい剤の使用による運転ミスでしょう。こういうふうに、幸いにも阻止できましたが、もし一・五トンの覚せい剤日本に入っていれば、結局物すごい被害が広がるわけですね。そういう状況である。  ですから、いろいろ密輸入業者も密輸の手口がどんどん巧妙化して、悪質化して、そしてまた組織的に、広域的になっている、そういう現状である。となると、やることは何か。いかに水際で阻止するか、これが最大の課題なんですね。いかに日本に入ってくるときにとめるか、これが最大の課題であるということをまず認識していただいた上で、大蔵大臣にお聞きいたしたいと思うのです。  現在、摘発の方法として、X線検査装置あるいは麻薬探知犬あるいは埠頭でのカメラ設置、さらに監視艇等々で不正の摘発に努力しているわけでございますが、これらの機械を扱うのも人間です。最終的には、摘発するのは、発見するのは人員である、職員である、私はこのように思うわけですね。社会悪物品を水際で摘発するために最大の効果を発揮するのは人員である、税関の職員であるという認識を持っておりますが、大蔵大臣も同じ認識でしょうか。     〔鴨下委員長代理退席、委員長着席〕
  100. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それは、おっしゃいますように、発見、摘発のいろいろな道具、手段等を徹底的に整備するということがどうしても前提でございますけれども、最終的にはそれに当たる職員がよく訓練され、十分な数がある、基本的にはそういうことになってしまいますので。  この点は以前から横光委員からも御指摘がありまして、定員を充実せよというお話が何度もありまして、いろいろ合理的な配置などもいたしながら、十分御指摘に沿えていないということを大変に申しわけなく思っておる次第でございます。
  101. 横光克彦

    ○横光委員 総務庁にお越しいただいておりますが、今私が言いました、水際の取り締まりで最大の効果を発揮するのは人員である、税関の職員であるという認識を同じようにお持ちですね。どうぞ。
  102. 瀧上信光

    ○瀧上政府参考人 お答えいたします。  税関の業務量の実態を踏まえまして、従来から必要な定員措置に鋭意努めているところでございますが、今後とも実態を十分に踏まえさせていただきまして、厳正に審査し、適切に対処させていただきたいというふうに考えております。
  103. 横光克彦

    ○横光委員 ちょっと総務庁、最大の効果を発揮するのは、いろいろ対応があるけれども、最後は人員なんだという認識があるかと聞いておるのです。ふやす、ふやさないじゃなくて、そういった認識を持っているかどうかということをお聞きしているのです。
  104. 瀧上信光

    ○瀧上政府参考人 人員というのもその中の非常に大きな要素であるというふうに認識いたしております。
  105. 横光克彦

    ○横光委員 確かにそのとおりだと思います。  定数査定で当局が増員要求をしたら、確かに増員をしてくれています。しかし、それは数字の上でですよ。平成十二年度、七十人の増員要求に対して、四十六人の増員を認めている。これは必要であるから認めたのですよね。しかし、実際には、第九次の定数削減のことを出してきて、九次の定数削減が六十五名で、削減されている。実際は、四十六人の増員を認めていながら六十五名の削減をして、差し引き十九名の純減なんですね。  今、最終的には職員が必要なんだということをお認めになられた。そして、増員要求して、増員も認められている。にもかかわらず、結果的には減員されておる。おかしいじゃないですか。言っていることとやっていることが違うじゃないですか。説明してください。
  106. 瀧上信光

    ○瀧上政府参考人 お答えいたします。  国の行政機関の定員管理の仕組みでございますが、合理化、効率化が可能な分野につきましては削減を実施していただいて、そして、新しい行政需要の増加等、増員を真に必要とするところにつきましては増員措置をするということで、全体として総定員の縮減を図るという考え方でやっておりまして、平成十二年度におきましては、こういった考え方のもとに、政府全体としまして九千百八十五人の定員を削減するとともに、真に必要な増員につきましては四千四百二十人を措置し、全体では四千七百六十五人の純減ということとしているところでございます。
  107. 横光克彦

    ○横光委員 今必要なところは増員するというお答えでございました。私も、この行政改革を実行する上で、定数の削減に反対しているわけじゃないのですよ。ただ、定数の査定に当たっては、やはり必要な分野、必要でない分野、ここのところをはっきり見きわめた上で査定をすべきだ、まずこのことを言っているのです。そして、ここが私は必要だということを訴えているのです。  先ほど言いましたように、本当に青少年の間に広がって、大変な国益の損失につながっているような現状なわけでしょう。それを阻止するためには人員が必要であるということを認めたならば、なぜそこを減らすのか。それこそふやしていかなければならない、増員していかなければならない分野なんじゃないですか。今、国の将来を担う子供たち、青少年に、本当に麻薬の手がどんどん伸びているのですよ。  そして、昨年は約一・五トンを押収したけれども、実際は手に負えない部分、先ほど必要でなければ検査しないという質問に、いや、していると言うけれども、実際、今の人数では検査できるわけがないじゃないですか。それでも一生懸命検査して、そしてまたあれだけの摘発をしている。一・五トン。実際はそうじゃない、もっともっと流入しているのです。そこの現実を見きわめてほしいと私は言っているのです。  ですから、必要性が迫られている分野には、何で画一的な定数削減でなくて、めり張りをつけたことをやらないのですか。それはやはり必要でしょう。日本という国は四方が海なんです。外国との接点は港か空港しかないのですよ。そこで水際で阻止するということが、結局社会悪物品の流入を防ぐ最大の手だて。これで十分だと思っているわけじゃないのでしょう、税関の職員の配置の数が。実際二百ぐらい税関の官署があるのですが、その中で八十近い官署が五人以下の少人数で賄っている。そして、犯罪そのもの、あるいは密輸入業者の手口というのは、中央から地方へ、地方へと移っているのです。税関の配備が少ないところをねらって行っているのです。それが現状なんです。だったらそれに対応しなきゃならないでしょう。でなければ、本当に目に見えない形でどんどん国内に流入して、汚染が広がって、結局私たちの国は大変なことになるのじゃないですか。  今、あなたは言いました、必要なときには増員をするのだと。今度の、十三年からの省庁再編に当たっての定数の査定に当たっては、今のような状況を十分勘案した上で増員も考えるということを、どうぞお答えください。
  108. 瀧上信光

    ○瀧上政府参考人 お答えいたします。  十三年度から十年間で二五%の定員削減の実施等極めて厳しい定員事情が続くわけでございますが、そういった中で、税関の定員につきまして、その実態をよく踏まえつつ、厳正に審査をさせていただき、適切に対処させていただきたいというふうに考えております。
  109. 横光克彦

    ○横光委員 ちょっと、適切じゃなくて、それこそ増員しなければ、国民が被害に遭っても仕方ないんだとあなたは言っているようなものですよ。適切以上に、もっとここのところは踏み込んで、今わかったでしょう、現実がどういう状況か。もう一回答えてください。それだけでは、国民が被害に遭っても仕方ないぞと、あなたは答えているようなものですよ。ここのところは十分配慮する、そういうお考えをお示しいただきたいと思います。
  110. 瀧上信光

    ○瀧上政府参考人 十三年度の要求に当たりましては、税関の定員につきましては、関係当局からその実態等につきましてお話を十分お伺いしまして、極めて厳しい定員事情のもとではございますが、適切に対処させていただきたいというふうに考えております。
  111. 横光克彦

    ○横光委員 まあ、同じ答弁です。とにかく、本当に国家国民のために、私は、ここのところはぜひとも増員が必要であるということを強く訴えまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  112. 金子一義

    金子委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  113. 金子一義

    金子委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  まず、国家公務員等旅費に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  114. 金子一義

    金子委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、関税定率法等の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  115. 金子一義

    金子委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  116. 金子一義

    金子委員長 ただいま議決いたしました関税定率法等の一部を改正する法律案に対し、鴨下一郎君外四名から、自由民主党、民主党、公明党・改革クラブ、自由党及び社会民主党・市民連合の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。北橋健治君。
  117. 北橋健治

    北橋委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。     関税定率法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。  一 関税率の改正に当たっては、我が国の貿易をめぐる諸情勢を踏まえ、国内産業、特に農林水産業及び中小企業に及ぼす影響を十分に配慮しつつ、国民経済的観点に立って国民生活の安定に寄与するよう努めること。    なお、関税の執行に当たっては、適正・公平な課税の確保により一層努めること。  一 高度情報化社会の急速な進展により、経済取引の国際化及び電子商取引等の拡大が進む状況下で、従来にも増した税関の執行体制整備と事務の一層の機械化・合理化の促進に特段の努力を行うこと。  一 国際化の著しい進展、相互依存等による貿易量、出入国者数の伸長等に伴う業務量の増大、銃砲、覚せい剤をはじめとする不正薬物、知的財産権侵害物品、ワシントン条約該当物品等の水際における取締りの国際的・社会的重要性にかんがみ、税関業務の一層の重点化、効率化に努めるとともに、今後とも税関業務の特殊性を考慮し、かつ、高度の専門知識を要する職務に従事する税関職員について、定員の確保はもとより、その処遇改善並びに機構・職場環境の充実等に特段の努力を行うこと。 以上であります。  何とぞ御賛同賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。(拍手)
  118. 金子一義

    金子委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  119. 金子一義

    金子委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付すことに決しました。  本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。大蔵大臣宮澤喜一君。
  120. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨に沿って、配意してまいりたいと存じます。     —————————————
  121. 金子一義

    金子委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  122. 金子一義

    金子委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  123. 金子一義

    金子委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十一分散会